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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159540
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】脛骨トライアルインプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61F2/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024060324
(22)【出願日】2024-04-03
(31)【優先権主張番号】10 2023 110 667.8
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ ヘティヒ
(72)【発明者】
【氏名】ルーシー マイルホーファー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC13
4C097CC17
4C097DD01
4C097SC08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】構造が簡略化され、使用が容易な脛骨トライアルインプラントを提供する。
【解決手段】人工膝関節置換術に使用する脛骨トライアルインプラント(1)であって、大腿骨コンポーネントと結合するように構成された近位関節面(107)と、遠位底部(102)とを有する関節コンポーネント(100)と、脛骨プラトー上に載置されるように構成された遠位載置面(207)と、前記遠位載置面に対して傾斜した近位上部(201)と、ガイド装置(213)とを備える、少なくとも1つの支持コンポーネント(200)と、を備え、前記関節コンポーネントは、前記ガイド装置に接して保持され、前記関節コンポーネントと前記支持コンポーネントとの間の相対移動が、支持コンポーネントの前記遠位載置面からの、関節コンポーネントの前記近位関節面の近位遠位距離を変化させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工膝関節置換術に使用する脛骨トライアルインプラント(1、1a)であって、
大腿骨コンポーネント(F)と結合するように構成された近位関節面(107)と、遠位底部(102)と、を備える関節コンポーネント(100、100a)と、
少なくとも1つの支持コンポーネント(200、200a、200a´)であって、脛骨プラトー(TP)上に載置されるように構成された遠位載置面(207)と、前記遠位載置面(207)に対して傾斜した傾斜部(210、210a、210a´)を形成する近位上部(201)と、前記傾斜部(210、210a、210a´)に対して長手方向に平行に延びるガイド軌道(210)を有するガイド装置(213)と、を備える前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200、200a、200a´)と、を備え、
前記関節コンポーネント(100、100a)の前記遠位底部(102)は、前記傾斜部(210、210a、210a´)と平行になるように傾斜した支持面(110、110a)を有し、
前記関節コンポーネント(100、100a)は、前記ガイド装置(213)に接して保持され、前記支持コンポーネント(200、200a、200a´)に対して前記ガイド軌道(214)に沿って直線的に移動可能な態様で、前記傾斜部(210、210a、210a´)上に前記関節コンポーネント(100、100a)の支持面(110、110a)がある状態で支持され、
前記関節コンポーネント(100、100a)と前記支持コンポーネント(200、200a、200a´)との間の相対移動が、前記関節コンポーネント(100、100a)の前記近位関節面(107)と前記支持コンポーネント(200、200a、200a´)の前記載置面(207)との間の近位遠位距離(H1、H4)を変化させる、
脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項2】
前記傾斜部(210、210a、210a´)および/または前記支持面(110、110a)は、平坦であり、前記傾斜部(210、210a、210a´)からの前記関節コンポーネント(100、100a)の滑りを防止するように構成された表面プロファイル(P)を有することを特徴とする、請求項1に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項3】
前記傾斜部(210)および前記支持面(110)にはそれぞれ一連の段差(S1、S2、S3、S4;S1´、S2´、S3´、S4´)が設けられており、前記関節コンポーネント(100)と前記支持コンポーネント(200)との間の相対移動が、前記近位遠位距離(H1、H4)を段階的に変化させることを特徴とする、請求項1または2に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項4】
前記段差(S1、S2、S3、S4;S1´、S2´、S3´、S4´)が、それぞれ、1mmと3mmとの間、好ましくは2mmの近位遠位高さを有し、それぞれ少なくとも4つの段差が存在することを特徴とする、請求項3に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項5】
前記傾斜部(210)の前記段差(S1、S2、S3、S4)がそれぞれ凸状の突起を有し、前記支持面(110)の前記段差(S1´、S2´、S3´、S4´)がそれぞれ相補的な凹状のくぼみを有し、前記突起と前記くぼみが互いに取り外し可能に係合することにより、前記関節コンポーネント(100)と前記支持コンポーネント(200)との間の意図しない相対移動が防止されることを特徴とする、請求項3または4に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項6】
前記傾斜部(210、210a、210a´)および/または前記支持面(110、110a)が、10°から45°、好ましくは15°から30°、特に好ましくは20°の、長手方向傾斜角度(α)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項7】
前記傾斜部(210)および前記支持面(110)が前後方向において長手方向に傾斜していることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項8】
前記傾斜部(210a、210a´)および前記支持面(110a)が内外方向において長手方向に傾斜していることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1a)。
【請求項9】
2つの支持コンポーネント(200a、200a´)が存在し、前記2つの支持コンポーネント(200a、200a´)は前記関節コンポーネント(100a)の矢状正中長手平面の両側に配置され、前記2つの支持コンポーネント(200a、200a´)は、前記近位遠位距離を変更するために、前記関節コンポーネント(100a)に対して、内外方向において互いに反対向きに移動可能であることを特徴とする、請求項8に記載の脛骨トライアルインプラント(1a)。
【請求項10】
前記ガイド装置(213)が少なくとも1つのガイドスロット(215)を有し、前記少なくとも1つのガイドスロット(215)に、前記関節コンポーネント(100、100a)の少なくとも1つのガイドピン(115)が、前記ガイド軌道(214)に沿ってスライド可能に係合することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項11】
前記ガイドスロット(215)が、前記ガイド軌道(214)の一端に挿入口(216)を有し、前記挿入口(216)が、前記載置面(207)を起点として前記ガイド軌道(214)に対して略垂直に前記ガイドスロット(215)内に開口し、前記少なくとも1つのガイドピン(115)が、前記挿入口(216)を通って前記ガイドスロット(215)内に挿入可能であることを特徴とする、請求項10に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項12】
前記支持面(110)は、前記関節コンポーネント(100)の前記遠位底部(102)において近位方向に凹んでおり、対向する壁部(116、117)によって境界がひかれており、いずれも、前記ガイド軌道(214)に対して垂直に、かつ近位遠位軸に対して垂直に、前記支持コンポーネント(200)に形状適合していることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項13】
前記関節コンポーネント(100)が凹部(G1)を有し、前記凹部(G1)が、前記近位関節面(107)から前記支持面(110)まで近位遠位方向に延び、前記凹部(G1)が、前記近位関節面(107)と前記支持面(110)とをそれぞれ内側面セクション(108、111)と外側面セクション(109、112)とに分割することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200)が凹部(G2)を有し、前記凹部(G2)が、前記傾斜部(210)を通って近位遠位方向に延び、前記凹部(G2)が、前記傾斜部(210)を、横方向、特に内外方向または前後方向に互いに間隔をあけて配置された2つの傾斜セクション(211、212)に分割することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200)が、近位方向および/または遠位方向から見てU字形状を有し、前記2つの傾斜セクション(211、212)が、それぞれU字形状の細長い脚部(L2、L3)を形成していることを特徴とする、請求項14に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項16】
前記関節コンポーネント(100、100a)および前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200、200a、200a´)が、それぞれ生体適合性プラスチック材料(K)から製造されていることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項17】
前記関節コンポーネント(100、100a)および前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200、200a、200a´)が、単一の3D印刷プロセスによって積層造形され、これにより、前記関節コンポーネント(100、100a)および前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200、200a、200a´)が、前記ガイド装置(213)を介して互いに取り外し不能に接続され、かつ、互いに対して移動可能であることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工膝関節置換術に使用する脛骨トライアルインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
人工膝関節置換術または全人工膝関節置換術(TKA)では、大腿骨および脛骨の関節面が膝関節プロテーゼの人工関節面によって置換される。膝関節プロテーゼは通常、大腿骨インプラント、脛骨インプラント、および半月板コンポーネントを備え、これはしばしば滑動面とも呼ばれる。大腿骨インプラントは大腿骨の遠位端に移植される。脛骨インプラントは脛骨の近位端に移植される。半月板コンポーネントは、脛骨インプラントと大腿骨インプラントの間に近位遠位方向に配置される。人工関節置換術の正しい機能を保証するために、先述のインプラントは、患者の解剖学的体軸に対する位置および方向に関して、定められた方法で正確に位置決めされなければならない。正確な位置決めに加えて、インプラントがそれぞれ患者の解剖学的構造に適した寸法で選択され、移植されることも重要である。半月板コンポーネントに関しては、特にその近位遠位方向の高さが不可欠な基準である。
【0003】
脛骨トライアルインプラントは、移植する半月板コンポーネントの必要な近位遠位方向の高さを、術中に決定するために使用される。具体的には、脛骨トライアルインプラントは、移植済の大腿骨インプラントの場合、最適な靭帯の張力と関節ラインを試験するために使用される。半月板コンポーネントは、この試験の結果に従って選択され、移植される。先述の試験は、例えば、様々な高さの半月板試験用コンポーネントを用いて実施することができる。
【0004】
欧州特許出願第4011334号は、上部プレートと下部プレートを備えた脛骨トライアルインプラントを開示している。上部プレートは、大腿骨コンポーネントと結合するための近位関節面を有する。下部プレートは、脛骨プラトーに載置される遠位載置面を有する。上部プレートと下部プレートとの間には、高さ調整機構が配置されている。高さ調整機構は、上側プレートの関節面と下側プレートの載置面との間の近位遠位方向の距離を調整し、したがって、トライアルインプラントの近位遠位方向の高さを調整する役割を果たす。高さ調節機構は、互いに結合された2つのシザージョイント機構を有する。
【0005】
別の脛骨トライアルインプラントがドイツ公開特許第102020208501号から公知である。この公知の脛骨トライアルインプラントは、大腿骨コンポーネントとの結合相互作用のために近位に配置された関節面を有する上部を有する。下部は脛骨固定用に設けられている。上部と下部との間には、高さ調節機構が配置されており、この機構により、上部は下部に対して垂直方向に移動可能にガイドされる。上部の移動は、先述の近位遠位距離、ひいてはトライアルインプラントの高さを調整する役割を果たす。高さ調節機構は、回転駆動ホイールを備えたカムギアを備えている。
【0006】
別の脛骨トライアルインプラントが欧州特許出願第4082485号から公知である。このトライアルインプラントは、近位関節面と遠位関節面とを有するベアリングコンポーネントを備えている。さらに、近位面と遠位取り付け面を有するプレートコンポーネントが存在する。ベアリングコンポーネントとプレートコンポーネントとの間に距離調整配置体が配置され、これは、一方ではベアリングコンポーネントと取り外し可能に係合し、他方ではプレートコンポーネントと取り外し可能に係合し、2つのコンポーネントを、近位遠位方向の可動性を制限した状態で、互いに結合する。さらに、公知の脛骨トライアルインプラントは、複数のスペーサまたはシムを有し、これらは、近位遠位方向の高さを調整するために、ベアリングコンポーネントとプレートコンポーネントとの間の距離調整配置体に挿入することができる。異なるスペーサは、異なる近位遠位方向の厚さを有する。スペーサの選択により、トライアルインプラントの様々な近位遠位方向の高さを設定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、先行技術に比べて構造が簡略化され、使用が容易な脛骨トライアルインプラントを提供することである。
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有する脛骨トライアルインプラントを提供することにより達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による脛骨トライアルインプラントは、関節コンポーネントと、少なくとも1つの支持コンポーネントを備える。関節コンポーネントは、近位関節面と、遠位底部とを有する。近位関節面は、大腿骨コンポーネントFと結合するように構成されている。少なくとも1つの支持コンポーネントは、遠位載置面と、近位上部と、ガイド装置と、を備える。遠位載置面は、脛骨プラトー上に載置されるように構成されている。近位上部は、遠位載置面に対して傾斜した傾斜部を形成する。ガイド装置は、傾斜部に対して長手方向に平行に延びるガイド軌道を有する。関節コンポーネントの底部は、傾斜部と平行になるように傾斜した支持面を有する。関節コンポーネントは、ガイド装置に接して保持され、支持コンポーネントに対してガイド軌道に沿って直線的に移動可能な態様で、傾斜部上に支持コンポーネントの支持面がある状態で支持される。このため、関節コンポーネントと支持コンポーネントとの間の相対移動が、関節コンポーネントの関節面と支持コンポーネントの載置面との間の近位遠位距離を変化させる。本発明により、脛骨トライアルインプラントは特にシンプルな構造を有する。特に、複雑な高さ調節機構や、高さの異なる半月板試験用コンポーネントを使用せずにすますことができる。その代わりに、少なくとも1つの支持コンポーネントを、脛骨プラトーと関節コンポーネントとの間にくさびの要領で押し込むことができる。この目的のために、支持コンポーネントの上部は遠位載置面に対して傾斜し、先述の傾斜部を形成する。関節コンポーネントの遠位底部は、傾斜部と平行に延び、したがってそれに応じて傾斜している。関節コンポーネントと支持コンポーネントとの間の不安定な相対移動を防止するために、ガイド装置が設けられている。ガイド装置は、傾斜部に平行に延びるガイド軌道に沿って、従って支持面にも平行に延びるガイド軌道に沿って、関節コンポーネントと支持コンポーネントとを互いに直線移動可能に固定する。従って、ガイド軌道に沿った関節コンポーネントと支持コンポーネントとの間の相対移動は、近位遠位方向の距離を変化させる。相対移動が大きいほど、距離の変化は大きくなる。関節コンポーネントが局所的に固定されている(術中の)状況を起点として、支持コンポーネントは、関節コンポーネントと脛骨プラトーの間に多かれ少なかれ挿入することができる。支持コンポーネントの前進に応じて、関節コンポーネントは大腿骨コンポーネントの方向に多かれ少なかれ近位に移動し、その結果、支持コンポーネントの載置面、ひいては脛骨プラトーと関節面との間の近位遠位方向の距離が変化する。大腿骨コンポーネントおよび脛骨プラトーは、脛骨トライアルインプラントの一部ではない。大腿骨コンポーネントは、生来の遠位大腿骨または大腿骨インプラントコンポーネントとすることができる。脛骨プラトーは、近位脛骨上の切除面、または切除面に取り付けられた人工プラットフォーム面によって形成することができる。脛骨プラトーに載置されるように構成された載置面は、好ましくは平坦であり、前後方向および内外方向の横断面に対して平行である。支持コンポーネントの上部によって形成される傾斜部は、横断面に対して傾斜しており、特に、内外または前後を見る方向において、支持コンポーネントのくさび形の設計が得られるようになっている。脛骨コンポーネントと支持コンポーネントの間の相対的な動きにおいて、関節コンポーネントの支持面と傾斜部は互いにスライドする。同時に、2つのコンポーネントはガイド装置によってガイドされる。ガイド装置は、支持コンポーネント上に少なくとも部分的に配置および/または形成され、ガイドの目的で、この目的のために構成された関節コンポーネントの一部と相互作用する。一実施形態では、脛骨トライアルインプラントは、ちょうど1つの支持コンポーネントを有し、全体として2部品構造が提供されるようになっている。さらなる実施形態では、脛骨トライアルインプラントはちょうど2つの支持コンポーネントを有し、トライアルインプラントの全体として3部品構造が提供される。
【0010】
本明細書で使用する位置指定および方向指定は、患者の身体、特に脛骨に関するものであり、通常の解剖学的意味に従って理解される。その結果、「前方」は前方または前方へ向かうことを表し、「後方」は後方または後方に向かうことを表し、「内側」は内側または内側に向かうことを表し、「外側」は外側または外側に向かうことを表し、「近位」は身体の中心に向かっていることを表し、「遠位」は身体の中心から離れていることを表す。さらに、「近位遠位方向」は、近位遠位軸に沿って、好ましくは、近位遠位軸に平行であり、「前後方向」は、前後軸に沿って、好ましくは、前後軸に平行であり、「内外方向」は、内外軸に沿って、好ましくは、内外軸に平行であることを示す。前述の軸は互いに直交しており、もちろん、患者の解剖学的構造とは関連しないX、YおよびZ軸に関連して理解することができる。例えば、近位遠位軸は代わりにZ軸と呼ぶこともできる。内外軸はY軸と呼ぶことができる。前後軸はX軸と呼ぶことができる。以下では、指定をよりよく理解し簡略化するために、前述の解剖学的位置および方向に関する指定を主に使用する。また、「上部」などの指定は、遠位を見る視線方向に関連して用いられる。一方、「底部」などの呼称は、近位を見る視線方向との関係で用いられる。
【0011】
本発明の一実施形態では、傾斜部および/または支持面は、平坦であり、傾斜部からの関節コンポーネントの滑りを防止するように構成された表面プロファイルを有する。これにより、一旦設定された近位遠位距離が意図せずに変化することが防止される。表面プロファイルは、傾斜部と支持面との間の摩擦を増大させる。表面プロファイルは、好ましくは、傾斜部および/または支持面の法線方向に突出した隆起および/または導入された凹部を有する。傾斜部および/または支持面が平坦な設計なので、近位遠位距離を段差無しで変更することが好ましくは可能である。
【0012】
本発明の一実施形態では、傾斜部および支持面にはそれぞれ一連の段差が設けられており、このため、関節コンポーネントと支持コンポーネントとの間の相対移動が、近位遠位距離を段階的に変化させる。段差はそれぞれ近位遠位方向に延びる高さを有する。段差は傾斜部の一方の(低い)端部から反対側の(高い)端部の方向に上昇する。支持面の段差も同様である。好ましくは、段差はそれぞれ面取りされており、段差があるにもかかわらず、支持面と傾斜部がガイド軌道に沿って互いにスライドできるようになっている。
【0013】
本発明の一実施形態では、段差はそれぞれ1mmと3mmとの間、好ましくは2mmの近位遠位高さを有し、それぞれ少なくとも4つの段差が存在する。この結果、近位遠位距離の少なくとも4段階の調節範囲が得られる。段差の高さは2mmが特に有利であることが証明されている。一方では、上記の高さは十分に小さく、さらに小さな距離の変化も設定できる。一方、1段あたり2mmの高さは、少なくとも4段の場合、十分に大きな調整範囲を可能にする。個々のステップの高さおよび脛骨トライアルインプラントの達成可能な全高は、好ましくは、利用可能な様々な高さの半月板コンポーネントに合わせて調整され、このコンポーネントは、通常、10mm、12mm、14mm、16mm、18mm、20mm、22mmおよび24mmの高さで利用可能である。
【0014】
本発明の一実施形態では、傾斜部の段差はそれぞれ凸状の突起を有し、支持面の段差はそれぞれ相補的な凹状のくぼみを有し、突起とくぼみが互いに取り外し可能に係合することにより、関節コンポーネントと支持コンポーネントとの間の意図しない相対移動が防止される。突起とくぼみの係合は、相補的な段差の間の、ひいては関節コンポーネントと支持コンポーネントの間の意図しない相対移動を防止する。これにより、脛骨トライアルインプラントの高さが意図せず変化することを防ぐことができる。意図した相対移動のために、くぼみと突起の間の係合は、例えば、関節コンポーネントを支持コンポーネントからわずかに持ち上げることによって、手動で解除することができる。突起とくぼみの配置を逆にすることもできることが理解されるであろう。その結果、一実施形態では、凹状のくぼみは傾斜部の段差に存在し、凸状の突起は支持面の段差に存在する。
【0015】
本発明の一実施形態では、傾斜部および/または支持面は、10°から45°、好ましくは15°から30°、特に好ましくは20°の長手方向傾斜角度を有する。長手方向傾斜角度は、載置面に対して、したがって脛骨プラトーに対しても測定される。代替的または追加的に、長手方向傾斜角度は、仮想の横断面に対して測定される。長手方向傾斜角度が急であればあるほど、脛骨コンポーネントと支持コンポーネントの相対移動と近位遠位距離の変化との間の比率が大きくなる。したがって、小さな相対移動が、近位遠位距離を比較的大きく変化させる。同時に、支持コンポーネントを前進させるためには比較的大きな力が必要となる。長手方向傾斜角度が緩やかな場合は、この逆のことが当てはまる。このような背景から、長手方向傾斜角度は15°から30°の範囲が有利であることが証明されており、20°が最適であると考えられている。
【0016】
本発明の一実施形態では、傾斜部および支持面は、前後方向において長手方向に傾斜している。言い換えれば、傾斜部は前後軸に沿って上昇し、支持面についても同様である。ガイド軌道は傾斜部に平行に延び、従って支持面にも平行に延びるので、上述したことはその長手方向傾斜角度にも適用される。この実施形態では、近位遠位距離を変えるために、少なくとも1つの支持コンポーネントが関節コンポーネントに対して前後方向に動かされる。好ましくは、前方から後方に向かう支持コンポーネントの相対的な前進は、近位遠位距離を増加させる。減少は運動学的に逆の方法で得られる。
【0017】
本発明の一実施形態では、傾斜部および支持面は内外方向に傾斜している。その結果、傾斜部は内外軸に沿って上昇する。これは支持面にも当てはまる。この実施形態では、少なくとも1つの支持コンポーネントは、術中に近位遠位距離を変えるために、関節コンポーネントに対して内外方向に動かすことができる。言い換えれば、支持コンポーネントが「横方向に」相対的に前進する。脛骨トライアルインプラントがちょうど1つの支持コンポーネントを有する場合、これは、本発明のこの実施形態では、関節コンポーネントの矢状正中長手平面の外側または内側に配置することができる。支持コンポーネントが外方向に配置される場合、内方向への前進は好ましくは近位遠位距離を増加させる。代わりに支持コンポーネントが内方向に配置されている場合、好ましくは、外方向への前進が好ましくは近位遠位距離を増加させる。近位遠位距離を縮めるには、支持コンポーネントを運動学的に反対方向に変位させる。
【0018】
本発明の一実施形態では、2つの支持コンポーネントが存在し、これらは関節コンポーネントの矢状正中長手平面の両側に配置され、2つの支持コンポーネントは、近位遠位距離を変更するために、関節コンポーネントに対して、内外方向において反対向きに移動可能である。この実施形態では、支持コンポーネントは、第1の支持コンポーネントおよび第2の支持コンポーネントと呼ぶこともできる。第1の支持コンポーネントは、好ましくは矢状正中長手平面の外側に配置される。第2の支持コンポーネントは、好ましくは矢状正中長手平面の内側に配置される。近位遠位距離を変えるには、2つの支持コンポーネントを関節コンポーネントに対して互いに反対方向に移動させる。特に、この実施形態では、近位遠位距離を内方向と外方向で定量的に異なるように変更可能である。例えば、関節面は、内側では外側よりもさらに近位方向に高くすることができ、あるいはその逆も可能である。これにより、患者の解剖学的構造をよりよく考慮することが可能になる。
【0019】
本発明の一実施形態では、ガイド装置は少なくとも1つのガイドスロットを有し、ここに関節コンポーネントの少なくとも1つのガイドピンが前記ガイド軌道(214)に沿ってスライド動作により係合する。ガイドスロットは支持コンポーネントに導入され、ガイド軌道を画定する。傾斜部と支持面がそれぞれ一連の段差を備えている場合、これは好ましくはガイドスロットにも適用される。この場合、ガイドスロットの段差は傾斜部の段差と平行にオフセットされる。少なくとも1つのガイドピンは、関節コンポーネントに配置および/または形成される。ガイドピンは、ガイド軌道に沿ってガイドスロット内に移動可能に係合する。一実施形態では、ガイドスロットは一端が開口しており、その開口端に、ガイドピンのための挿入口を有する。脛骨トライアルインプラントを組み立てるために、ガイドピンを挿入口からガイドスロットに挿入することができる。さらなる実施形態では、ガイドスロットはその反対側の端部が閉じている。組み立てのために、この実施形態のガイドピンは、関節コンポーネントに対して移動可能であることができる。あるいは、以下により詳細に説明される実施形態に従って、積層造形が提供され得る。一実施形態では、互いに平行に延びる2つのガイドスロットが設けられ、対応して2つのガイドピンが設けられる。
【0020】
本発明の一実施形態では、ガイドスロットは、ガイド軌道の一端に挿入口を有し、挿入口は載置面を起点としてガイド軌道に対して略垂直にガイドスロット内に開口し、少なくとも1つのガイドピンは、挿入口を通ってガイドスロット内に挿入可能である。ガイドピンを挿入するために、関節コンポーネントは、その関節面と底部が逆向きに、すなわち底部がほぼ近位方向を向いた状態で、支持コンポーネントに取り付けることができる。少なくとも1つのガイドピンをガイドスロットに挿入した後、関節コンポーネントを180°回転させ、関節面と底部が意図した向きを再度とるようにすることができる。この特別な組み立てまたは「挿入動作」の結果、関節コンポーネントと支持コンポーネントとの間の移動は、ガイド軌道に沿ってのみ可能となる。これによって、コンポーネントが意図せずに、特に前後および/または近位遠位方向に、分離することが防止される。
【0021】
本発明の一実施形態では、支持面は、関節コンポーネントの底部において近位方向に凹んでおり、対向する壁部によって境界がひかれており、これらはいずれも、ガイド軌道に対して垂直に、かつ近位遠位軸に対して垂直に、支持コンポーネントに形状適合している。前述の形状適合により、脛骨コンポーネントと支持コンポーネントの間の相対移動のガイドがさらに改良される。壁部はそれぞれ、支持コンポーネント、好ましくは傾斜部に横方向に接触する。
【0022】
本発明の一実施形態では、関節コンポーネントは凹部を有し、凹部は関節面から支持面まで近位遠位方向に延び、関節面と支持面とをそれぞれ内側面セクションと外側面セクションとに分割する。この実施形態では、関節面はこのように内側関節面セクションと外側関節面セクションとを備える。これら2つのセクションは、凹部の両側で互いに反対側に配置され、凹部の内外方向寸法だけ互いから離間している。支持面についても同様で、内側支持面セクションと外側支持面セクションが存在する。特に、凹部は、関節コンポーネントの遠位/下方に配置された支持コンポーネントの視認性を向上させる。支持コンポーネントにも同様に凹部が設けられていれば、脛骨プラトーを視認することができる。これにより、手術を行う外科医の術中のコントロールが改善される。
【0023】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの支持コンポーネントが凹部を有し、凹部(G2)は傾斜部を通って近位遠位方向に延び、傾斜部を、横方向、特に内外方向または前後方向に互いに間隔をあけて配置された2つの傾斜セクションに分割する。一方では、凹部を通って延びる傾斜部は、材料の節約を可能にし、したがって、それに関連して、製造コストおよび重量の削減を可能にする。先の説明による関節コンポーネントが凹部を備える場合、支持コンポーネントの凹部は、支持コンポーネントの遠位/下方に配置された脛骨プラトーの視認性を向上させる。傾斜部が前後方向において長手方向に傾斜する場合、2つの傾斜セクションは、凹部の寸法だけ互いから内外方向に離間している。従って、これらを内側傾斜セクションおよび外側傾斜セクションと呼ぶことも可能である。傾斜部が内外方向において長手方向に傾斜している場合、2つの傾斜セクションは、凹部の寸法だけ互いから前後方向に離間している。この場合、これらを前側傾斜セクションと後側傾斜セクションと呼ぶことも可能である。両傾斜セクションは長手方向に延びている。凹部は、好ましくは、傾斜部の長手方向の一端が開口しており、開口は、好ましくは、傾斜部の低位端に配置されている。
【0024】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの支持コンポーネントが、近位方向および/または遠位方向から見てU字形状を有し、2つの傾斜セクションが、それぞれU字形状の細長い脚部を形成している。支持コンポーネントのU字形状は、特に人間工学的な取り扱いを可能にする。脛骨トライアルインプラントの使用中、U字形状の支持コンポーネントは、2つの細長い脚部を連結する横断脚部の領域において、一方の手の指の間で把持することができる。これは人間工学的に有利である。
【0025】
本発明の一実施形態では、関節コンポーネントおよび少なくとも1つの支持コンポーネントがそれぞれ生体適合性プラスチック材料から製造されている。生体適合性プラスチック材料は、関連技術分野の当業者には公知である。このようなプラスチック材料を関節コンポーネントおよび支持コンポーネントに使用することにより、特別な利点が得られる。好ましくは、関節コンポーネントおよび少なくとも1つの支持コンポーネントはそれぞれ、前述のプラスチック材料から一部品として製造される。この製造は、例えば、射出成形によって行うことができる。さらなる実施形態では、その代わりに積層造形が行われる。
【0026】
本発明の一実施形態では、関節コンポーネントおよび少なくとも1つの支持コンポーネントが、単一の3D印刷プロセスによって積層造形され、それによって、関節コンポーネントおよび少なくとも1つの支持コンポーネントが、ガイド装置を介して互いに取り外し不能に接続され、かつ、互いに対して移動可能である。本発明のこの実施形態では、関節コンポーネントと少なくとも1つの支持コンポーネントは、互いに離れないように固定される。単一の3D印刷工程により、関節コンポーネントを少なくとも1つの支持コンポーネントに接続するための別個の組立工程は必要ない。好ましくは、3D印刷は生体適合性プラスチック材料を用いて行われる。
【0027】
本発明のさらなる利点および特徴は、特許請求の範囲から、また、図面に示される本発明の好ましい例示的実施形態の以下の説明からも明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】関節コンポーネントと支持コンポーネントを有する脛骨トライアルインプラントの実施形態の概略透視図であり、関節コンポーネントと支持コンポーネントは、互いに対して第1の構成をとる。
図2図1による脛骨トライアルインプラントを概略側面図で示す。
図3図1および図2による脛骨トライアルインプラントを、遠位を見る方向の概略平面図で示す。
図4図1から図3による脛骨トライアルインプラントのさらなる概略透視図であり、関節コンポーネントと支持コンポーネントは、互いに対して第2の構成をとる。
図5図4による構成の脛骨トライアルインプラントを概略側面図で示す。
図6図4による構成の脛骨トライアルインプラントを概略平面図で示す。
図7図1から図6による脛骨トライアルインプラントの支持コンポーネントを概略透視図で示す。
図8図7による支持コンポーネントを概略側面図で示す。
図9図1から図6による脛骨トライアルインプラントの関節コンポーネントの概略透視図である。
図10図9による関節コンポーネントを、後方を見る方向の概略正面図で示す。
図11図9および図10による関節コンポーネントを、図10の断面A-Aに沿った概略断面図で示す。
図12】第1の構成における、本発明による脛骨トライアルインプラントのさらなる実施形態の概略透視図である。
図13】第2の構成における、本発明による脛骨トライアルインプラントのさらなる実施形態の概略透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1から図6によれば、人工膝関節置換術に使用するための脛骨トライアルインプラント1が提供される。脛骨トライアルインプラント1は、脛骨インプラントの近位遠位高さを決定するために使用され、医学用語ではしばしば試験滑動面と呼ばれる。
【0030】
脛骨トライアルインプラント1は、関節コンポーネント100と支持コンポーネント200を備えている。関節コンポーネント100は、図9から図11に個別に示されている。支持コンポーネントは、図7および図8に個別に示されている。
【0031】
関節コンポーネント100は、近位上部101、遠位底部102、内側外部103、外側外部104、前側前部105、および後側後部106を有する。近位上部101と遠位底部102は、近位遠位軸に沿って互いに反対側にある。内側外部103と外側外部104は、内外軸に沿って互いに反対側にある。前側前部105と後側後部106は、前後軸に沿って互いに反対側にある。これらの軸は互いに直交している。
【0032】
関節コンポーネント100の上部101は関節面107を備え、これは大腿骨コンポーネントFとの結合のために構成されている。大腿骨コンポーネントFは、図2に模式的に断面図で示されており、生来の遠位大腿骨または大腿骨インプラントによって形成することができる。
【0033】
図示の実施形態では、関節面107は、2つの関節面セクション108、109によって形成されており、これらは、関節コンポーネント100の仮想矢状正中長手平面に対して互いに反対側に配置されており、内側関節面セクション108および外側関節面セクション109とも呼ぶことができる。
【0034】
関節面セクション108、109の間において、本実施例の関節コンポーネント100は、連続した近位遠位凹部G1を有する。凹部G1は、関節面107を前述の面セクション108、109に分割するものであり、任意のものとみなされる。したがって、凹部G1は、すべての実施形態において存在するわけではない。
【0035】
関節コンポーネント100の底部102は、支持面110を有する(特に図9参照)。図示の実施形態では、支持面110は内外方向に離間した2つの支持面セクション111、112を有し、これらを内側支持面セクション111および外側支持面セクション112とも呼ぶことができる。全ての実施形態において支持面110がこのように細分化/分割されているわけではなく、任意である。前述の凹部G1は、内外軸に関して、2つの支持面セクション111、112の間に配置される。
【0036】
支持コンポーネント200は、近位上部201、遠位底部202、内側外部203、外側外部204、前側前部205、および後側後部206を有する。近位上部201および遠位底部202は、近位遠位軸に沿って互いに反対側にある。前側前部205と後側後部206は、前後軸に沿って互いに反対側にある。
【0037】
さらに、支持コンポーネント200は、遠位底部202に配置された載置面207を有する。載置面207は、脛骨プラトーTPに載置されるように構成されている。脛骨プラトーTPは、図2に概略的に示されており、本実施例では、近位脛骨Tの切除面によって形成されている。代替的に、脛骨プラトーTPは、切除面に取り付けられた大腿骨インプラントコンポーネントによって形成することができる。本実施例の載置面207は、前後方向および内外方向の横断面に平行である。
【0038】
図示の実施形態では、支持コンポーネント200は、近位遠位軸に沿って連続した凹部G2を有する。凹部G2は、載置面207を内外方向に離開した2つの載置面セクション208、209に分割する。載置面セクション208、209は、内側載置面セクション208および外側載置面セクション209とも呼ぶことができる。凹部G2および関連する載置面207の細分化は任意であり、したがって全ての実施形態に存在するわけではない。
【0039】
さらに、支持コンポーネント200は近位傾斜部210を有する。傾斜部210は支持コンポーネント200の上部201を形成し、その逆も同様である。
【0040】
図示の実施形態では、傾斜部210は、前後軸に沿って長手方向に傾斜しており、後部206を起点として、支持コンポーネント200の前部の方向に上昇している。したがって、傾斜部210および/または上部201は、遠位載置面207に対して傾斜している。本実施例における傾斜部210の長手方向傾斜角度は、載置面207に対して、ひいては脛骨プラトーTPに対して、角度αである。
【0041】
既に説明した関節コンポーネント100の支持面110(図9参照)は、傾斜部210と平行に延びており、その結果、傾斜部210に従って傾斜している。既に説明したように、図示の実施形態における支持面110は、支持面セクション111、112によって形成されており、その結果、これらも同様に傾斜部210に平行に延びている。
【0042】
図示の実施形態では、傾斜部210は、前述の凹部G2を理由に、内外方向に間隔をあけた2つの傾斜セクション211、212に分割されている。換言すれば、傾斜部210は、2つの傾斜セクション211、212を備え、これらは内側傾斜セクション211および外側傾斜セクション212とも呼ぶことができる。このような複数の傾斜セクションを有する傾斜部の設計は任意であり、したがって全ての実施形態に存在するわけではない。
【0043】
さらに、支持コンポーネント200は、ガイド軌道214を有するガイド装置213を有する。ガイド軌道214は、図2および図8において破線で示されている。ガイド軌道214は傾斜部210と平行に延びている。
【0044】
ガイド装置213によって、関節コンポーネント100と支持コンポーネント200は互いに接して直線的にガイドされ、互いに対して直線的に移動可能である。この直線的可動性はガイド軌道214に沿っている。この場合、関節コンポーネント100および支持コンポーネント200は、支持面110および傾斜部210を介して、互いに相対的に移動可能な態様で支持される。関節コンポーネント100と支持コンポーネント200との間の相対移動により、関節コンポーネント100と脛骨プラトーTPとの間の近位距離は変更可能である。この相対的可動性により、関節コンポーネント100の関節面107と支持コンポーネント200の載置面207との間の近位遠位距離が変化する。図1から図3に示す脛骨トライアルインプラント1の構成では、近位遠位距離H1が設定される。このため、関節コンポーネント100、より正確にはその支持面110は、本実施例では、ガイド軌道に関して第1の位置で、支持コンポーネント200に対して傾斜部210上に支持されている。図4から図6に示す脛骨トライアルインプラント1の構成は、2つのコンポーネント100、200を様々に相対的に位置決めする際に採用される。異なる近位遠位距離H4に設定されることがある(特に図5参照)。
【0045】
傾斜部210、従って支持面110の長手方向傾斜角度は、本実施例では約15°である。図示しない実施形態では、長手方向傾斜角度は10°から45°の間である。
【0046】
術中、図1から図11に示す実施形態における近位遠位距離は、手術する外科医が関節コンポーネント100を大腿骨コンポーネントFの下に静止させ、支持コンポーネント200を関節コンポーネント100および脛骨プラトーTPに対して前後軸に沿って移動させることによって変更される。図2に示す構成を起点として、支持コンポーネント200を脛骨プラトーTPと関節コンポーネント100との間で後方向に進めることによって、近位遠位距離を増加させることができる。上部201の傾斜部形状の設計と支持面110の相補的な設計により、支持コンポーネント200は、内外方向に見てくさび形状の設計となる。したがって、支持コンポーネント200は、くさびとも呼ぶことができる。近位遠位距離を縮めるために、支持コンポーネント200は、例えば図5に示す構成を起点として、静止する関節コンポーネント100の下から前方向に引き出すことができる。こうして近位遠位距離が設定されると、関節コンポーネント100と支持コンポーネント200は、特にガイド装置213によって、決められた方法で常に一緒にガイドおよび/または保持される。
【0047】
図示の実施形態では、ガイド装置213は少なくとも1つのガイドスロット215を有する。ガイドスロット215は細長く、ガイド軌道214を画定する。
【0048】
図示の実施形態では、ガイド装置213は2つのガイドスロット215を有し、図には1つのみが示されている。図示のガイドスロット215は、支持コンポーネント200の内側外部203において凹んでいる。図示されていないガイドスロットは、外側外部204において凹んでいる。
【0049】
図示の実施形態では、関節コンポーネント100は、支持コンポーネント200のガイド装置213と相互作用するための少なくとも1つのガイド要素113、114を有する。本例では、内側ガイド要素113と外側ガイド要素114が存在し、それぞれがガイドピン115として設計されている。この場合、内側ガイド要素113は、支持コンポーネント200の内側ガイドスロット215に係合する。外側ガイド要素114は、外側ガイドスロット(図示せず)に係合する。ガイドピン115は、ガイド軌道214に沿ってスライド式にガイドスロットと相互作用する。
【0050】
図1から図11に示す実施形態では、ガイドスロット215は一端が開いている。さらなる説明のため、以下では内側ガイドスロット215についてのみ言及する。内側ガイドスロット215に関して述べたことは、図示されていない外側ガイドスロットにも準用される。
【0051】
ガイドスロット215は、後部206の領域に挿入口216を有する。脛骨トライアルインプラント1を組み立てるために、内側ガイドピン113を挿入口216からガイドスロット215に挿入することができる。
【0052】
特に図9から図11に示すように、支持面110、より正確にはその支持面セクション111、112は、関節コンポーネント100の底部102において近位方向に凹んでいる。したがって、支持面110は、互いに内外方向において反対にある壁部116、117によって境界がひかれている。先述の壁部116、117は、内側壁部116および外側壁部117とも呼ぶことができる。内側壁部116は、外方向において、関節コンポーネントの内側外部203に接して形状適合する。外側壁部117は、内方向において、支持コンポーネント200の外側外部204に接して形状適合する。
【0053】
図1から図11に示す実施形態では、傾斜部210には段差S1、S2、S3、S4が設けられている(図2参照)。支持面110も同様である。こちらには、段差S1´、S2´、S3´、S4´が設けられている(図11参照)。2つの傾斜セクション211、212および2つの支持面セクション111、112を有する本実施形態の具体的な設計のため、各セクションはすべて段差を有する設計である。
【0054】
傾斜部210および支持面110の段差設計により、関節コンポーネント100と支持コンポーネント200との間の相対移動は、近位遠位距離を段階的に変化させる。支持コンポーネント200の段差S1からS4は、それぞれ特定の近位遠位距離が割り当てられている。段差S1は、図1から図3に示す構成の近位遠位距離H1を規定する。段差S4は、図4から図6に示す構成の(より大きな)近位遠位距離H4を規定する。他の段差S2、S3は、2つの近位遠位距離H1、H4の間にある距離を定義する。
【0055】
関節コンポーネント200の段差S1からS4は、後部206から前部205の方向に向かうにつれて近位方向に上昇する。関節コンポーネント100の段差S1´からS4´は、後部106から前部105の方向に向かうにつれて遠位方向に上昇する。
【0056】
段差S1からS4と段差S1´からS4´は相補的に設計されていることが理解されるであろう。
【0057】
両コンポーネント100、200間の相対移動を容易にするために、段差S1からS4およびS1´からS4´はそれぞれ面取りされている。段差の面取りにより、支持コンポーネント200の段差S1からS4と関節コンポーネント100の段差S1´からS4´とがひっかかることなく、上述のように、支持コンポーネント200を関節コンポーネント100に対して前方にスライド移動させることができる。
【0058】
図示の実施形態では、段差間の近位遠位高さは、いずれも2mmである。図示しない実施形態では、高さは1mmから3mmである。また、本実施例では、いずれも4つの段差がある。
【0059】
支持コンポーネント200が関節コンポーネント100の下に進むと、傾斜部210および支持面110の段差設計により、関節コンポーネント100は近位方向に2mmずつ段階的に上昇する。前方向へ抜き出す際は、脛骨プラトーTPに対する関節コンポーネント100の高さは、2mmずつ段階的に減少する。
【0060】
段差S1からS4およびS1´からS4´は、好ましくは、突起および相補的なくぼみを備え、これらは、互いに取り外し可能に係合し、関節コンポーネントと支持コンポーネントとの間の意図しない相対移動を防止する。上述のくぼみと突起は、図では個別に示されていない。
【0061】
さらに、関節コンポーネント100および支持コンポーネント200は、本実施例では、それぞれ生体適合性プラスチック材料Kで作られている。様々な製造プロセスが想定される。この場合、製造は3D印刷によって行われる。図1から図11に示す実施形態では、関節コンポーネント100と支持コンポーネント200はそれぞれ、互いに別々に積層造形される。2つのコンポーネント100、200の積層造形後、これらを組み立て、脛骨トライアルインプラント1が得られる。
【0062】
図1から図11に示す実施形態では、支持コンポーネント200はU字形の構成を有する。2つの傾斜セクション211、212はそれぞれ、前述のU字形の細長い脚部L2、L3を形成している。U字形状はさらに別の(短い)脚部L1を有する。この別の脚部L1は、2つの脚部L2、L3の端部において内外方向に延びて配置され、これらを互いに連結する。
【0063】
図12および図13は、本発明による試験用脛骨インプラント1aのさらなる実施形態を示す。構造および機能の点で、脛骨トライアルインプラント1aは、図1から図11による脛骨トライアルインプラント1とほぼ同じである。したがって、繰り返しを避けるために、重要な相違点のみを以下に説明する。同一の機能を有する図12および図13による脛骨トライアルインプラント1aのコンポーネントおよび/または部分については、個別に説明しない。その代わりに、繰り返しを避けるために、図1から図11による脛骨トライアルインプラント1に関して既に述べたことを明示的に参照する。
【0064】
脛骨トライアルインプラント1aの主な相違点は、2つの支持コンポーネント200a、200a´の存在である。2つの支持コンポーネント200a、200a´は、第1の支持コンポーネント200aおよび第2の支持コンポーネント200a´とも呼ぶことができ、互いに同一に設計されている。2つの支持コンポーネント200a、200a´は、関節コンポーネント100aの仮想矢状正中長手平面の両側に配置され、関節コンポーネント100aに対して直線移動可能に、互いに別個にガイドされる。この場合、各傾斜部210a、210a´の傾斜はそれぞれ内外方向に沿い、その結果、例えば、支持コンポーネント200a、200a´が関節コンポーネント100aの下で前後方向に押されることができないが、その代わりに、関節コンポーネント100aの下で、横方向に互いに反対に押されることができる。図12は、最小近位遠位距離が設定された第1の構成を示す。比較のために、図13は、高さが増加した設定を示す。
【0065】
さらなる違いは、この実施形態では、それぞれの傾斜部210a、210a、したがって関節コンポーネント100aの支持面110aにも、段差がないことである。その代わりに、表面プロファイルPが存在する。表面プロファイルPは、支持コンポーネント200a、200a´からの関節コンポーネント100aの意図しない滑りを防止する。
【0066】
図12と13に示される実施形態も、生体適合性プラスチック材料Kから積層造形される。脛骨トライアルインプラント1aの製造は、ここでは単一の(結合された)3D印刷プロセスによって行われる。単一の印刷プロセスの結果、コンポーネント100a、200a、200a´は、ガイド装置を介して互いに取り外し不能に接続され、同時に互いに相対移動可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-10-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工膝関節置換術に使用する脛骨トライアルインプラント(1、1a)であって、
大腿骨コンポーネント(F)と結合するように構成された近位関節面(107)と、遠位底部(102)と、を備える関節コンポーネント(100、100a)と、
少なくとも1つの支持コンポーネント(200、200a、200a´)であって、脛骨プラトー(TP)上に載置されるように構成された遠位載置面(207)と、前記遠位載置面(207)に対して傾斜した傾斜部(210、210a、210a´)を形成する近位上部(201)と、前記傾斜部(210、210a、210a´)に対して長手方向に平行に延びるガイド軌道(210)を有するガイド装置(213)と、を備える前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200、200a、200a´)と、を備え、
前記関節コンポーネント(100、100a)の前記遠位底部(102)は、前記傾斜部(210、210a、210a´)と平行になるように傾斜した支持面(110、110a)を有し、
前記関節コンポーネント(100、100a)は、前記ガイド装置(213)に接して保持され、前記支持コンポーネント(200、200a、200a´)に対して前記ガイド軌道(214)に沿って直線的に移動可能な態様で、前記傾斜部(210、210a、210a´)上に前記関節コンポーネント(100、100a)の支持面(110、110a)がある状態で支持され、
前記関節コンポーネント(100、100a)と前記支持コンポーネント(200、200a、200a´)との間の相対移動が、前記関節コンポーネント(100、100a)の前記近位関節面(107)と前記支持コンポーネント(200、200a、200a´)の前記載置面(207)との間の近位遠位距離(H1、H4)を変化させる、
脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項2】
前記傾斜部(210、210a、210a´)および/または前記支持面(110、110a)は、平坦であり、前記傾斜部(210、210a、210a´)からの前記関節コンポーネント(100、100a)の滑りを防止するように構成された表面プロファイル(P)を有することを特徴とする、請求項1に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項3】
前記傾斜部(210)および前記支持面(110)にはそれぞれ一連の段差(S1、S2、S3、S4;S1´、S2´、S3´、S4´)が設けられており、前記関節コンポーネント(100)と前記支持コンポーネント(200)との間の相対移動が、前記近位遠位距離(H1、H4)を段階的に変化させることを特徴とする、請求項1または2に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項4】
前記段差(S1、S2、S3、S4;S1´、S2´、S3´、S4´)が、それぞれ、1mmと3mmとの間の近位遠位高さを有し、それぞれ少なくとも4つの段差が存在することを特徴とする、請求項3に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項5】
前記傾斜部(210)の前記段差(S1、S2、S3、S4)がそれぞれ凸状の突起を有し、前記支持面(110)の前記段差(S1´、S2´、S3´、S4´)がそれぞれ相補的な凹状のくぼみを有し、前記突起と前記くぼみが互いに取り外し可能に係合することにより、前記関節コンポーネント(100)と前記支持コンポーネント(200)との間の意図しない相対移動が防止されることを特徴とする、請求項3に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項6】
前記傾斜部(210、210a、210a´)および/または前記支持面(110、110a)が、10°から45°の、長手方向傾斜角度(α)を有することを特徴とする、請求項1に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項7】
前記傾斜部(210)および前記支持面(110)が前後方向において長手方向に傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項8】
前記傾斜部(210a、210a´)および前記支持面(110a)が内外方向において長手方向に傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載の脛骨トライアルインプラント(1a)。
【請求項9】
2つの支持コンポーネント(200a、200a´)が存在し、前記2つの支持コンポーネント(200a、200a´)は前記関節コンポーネント(100a)の矢状正中長手平面の両側に配置され、前記2つの支持コンポーネント(200a、200a´)は、前記近位遠位距離を変更するために、前記関節コンポーネント(100a)に対して、内外方向において互いに反対向きに移動可能であることを特徴とする、請求項8に記載の脛骨トライアルインプラント(1a)。
【請求項10】
前記ガイド装置(213)が少なくとも1つのガイドスロット(215)を有し、前記少なくとも1つのガイドスロット(215)に、前記関節コンポーネント(100、100a)の少なくとも1つのガイドピン(115)が、前記ガイド軌道(214)に沿ってスライド可能に係合することを特徴とする、請求項1に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項11】
前記ガイドスロット(215)が、前記ガイド軌道(214)の一端に挿入口(216)を有し、前記挿入口(216)が、前記載置面(207)を起点として前記ガイド軌道(214)に対して略垂直に前記ガイドスロット(215)内に開口し、前記少なくとも1つのガイドピン(115)が、前記挿入口(216)を通って前記ガイドスロット(215)内に挿入可能であることを特徴とする、請求項10に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項12】
前記支持面(110)は、前記関節コンポーネント(100)の前記遠位底部(102)において近位方向に凹んでおり、対向する壁部(116、117)によって境界がひかれており、いずれも、前記ガイド軌道(214)に対して垂直に、かつ近位遠位軸に対して垂直に、前記支持コンポーネント(200)に形状適合していることを特徴とする、請求項1に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項13】
前記関節コンポーネント(100)が凹部(G1)を有し、前記凹部(G1)が、前記近位関節面(107)から前記支持面(110)まで近位遠位方向に延び、前記凹部(G1)が、前記近位関節面(107)と前記支持面(110)とをそれぞれ内側面セクション(108、111)と外側面セクション(109、112)とに分割することを特徴とする、請求項1に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200)が凹部(G2)を有し、前記凹部(G2)が、前記傾斜部(210)を通って近位遠位方向に延び、前記凹部(G2)が、前記傾斜部(210)を内外方向または前後方向に互いに間隔をあけて配置された2つの傾斜セクション(211、212)に分割することを特徴とする、請求項1に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200)が、近位方向および/または遠位方向から見てU字形状を有し、前記2つの傾斜セクション(211、212)が、それぞれU字形状の細長い脚部(L2、L3)を形成していることを特徴とする、請求項14に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項16】
前記関節コンポーネント(100、100a)および前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200、200a、200a´)が、それぞれ生体適合性プラスチック材料(K)から製造されていることを特徴とする、請求項1に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【請求項17】
前記関節コンポーネント(100、100a)および前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200、200a、200a´)が、単一の3D印刷プロセスによって積層造形され、これにより、前記関節コンポーネント(100、100a)および前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200、200a、200a´)が、前記ガイド装置(213)を介して互いに取り外し不能に接続され、かつ、互いに対して移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
図12と13に示される実施形態も、生体適合性プラスチック材料Kから積層造形される。脛骨トライアルインプラント1aの製造は、ここでは単一の(結合された)3D印刷プロセスによって行われる。単一の印刷プロセスの結果、コンポーネント100a、200a、200a´は、ガイド装置を介して互いに取り外し不能に接続され、同時に互いに相対移動可能である。
以下の項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載されていた項目である。
(項目1)
人工膝関節置換術に使用する脛骨トライアルインプラント(1、1a)であって、
大腿骨コンポーネント(F)と結合するように構成された近位関節面(107)と、遠位底部(102)と、を備える関節コンポーネント(100、100a)と、
少なくとも1つの支持コンポーネント(200、200a、200a´)であって、脛骨プラトー(TP)上に載置されるように構成された遠位載置面(207)と、前記遠位載置面(207)に対して傾斜した傾斜部(210、210a、210a´)を形成する近位上部(201)と、前記傾斜部(210、210a、210a´)に対して長手方向に平行に延びるガイド軌道(210)を有するガイド装置(213)と、を備える前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200、200a、200a´)と、を備え、
前記関節コンポーネント(100、100a)の前記遠位底部(102)は、前記傾斜部(210、210a、210a´)と平行になるように傾斜した支持面(110、110a)を有し、
前記関節コンポーネント(100、100a)は、前記ガイド装置(213)に接して保持され、前記支持コンポーネント(200、200a、200a´)に対して前記ガイド軌道(214)に沿って直線的に移動可能な態様で、前記傾斜部(210、210a、210a´)上に前記関節コンポーネント(100、100a)の支持面(110、110a)がある状態で支持され、
前記関節コンポーネント(100、100a)と前記支持コンポーネント(200、200a、200a´)との間の相対移動が、前記関節コンポーネント(100、100a)の前記近位関節面(107)と前記支持コンポーネント(200、200a、200a´)の前記載置面(207)との間の近位遠位距離(H1、H4)を変化させる、
脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
(項目2)
前記傾斜部(210、210a、210a´)および/または前記支持面(110、110a)は、平坦であり、前記傾斜部(210、210a、210a´)からの前記関節コンポーネント(100、100a)の滑りを防止するように構成された表面プロファイル(P)を有することを特徴とする、項目1に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
(項目3)
前記傾斜部(210)および前記支持面(110)にはそれぞれ一連の段差(S1、S2、S3、S4;S1´、S2´、S3´、S4´)が設けられており、前記関節コンポーネント(100)と前記支持コンポーネント(200)との間の相対移動が、前記近位遠位距離(H1、H4)を段階的に変化させることを特徴とする、項目1または2に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
(項目4)
前記段差(S1、S2、S3、S4;S1´、S2´、S3´、S4´)が、それぞれ、1mmと3mmとの間、好ましくは2mmの近位遠位高さを有し、それぞれ少なくとも4つの段差が存在することを特徴とする、項目3に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
(項目5)
前記傾斜部(210)の前記段差(S1、S2、S3、S4)がそれぞれ凸状の突起を有し、前記支持面(110)の前記段差(S1´、S2´、S3´、S4´)がそれぞれ相補的な凹状のくぼみを有し、前記突起と前記くぼみが互いに取り外し可能に係合することにより、前記関節コンポーネント(100)と前記支持コンポーネント(200)との間の意図しない相対移動が防止されることを特徴とする、項目3または4に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
(項目6)
前記傾斜部(210、210a、210a´)および/または前記支持面(110、110a)が、10°から45°、好ましくは15°から30°、特に好ましくは20°の、長手方向傾斜角度(α)を有することを特徴とする、項目1から5のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
(項目7)
前記傾斜部(210)および前記支持面(110)が前後方向において長手方向に傾斜していることを特徴とする、項目1から6のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
(項目8)
前記傾斜部(210a、210a´)および前記支持面(110a)が内外方向において長手方向に傾斜していることを特徴とする、項目1から6のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1a)。
(項目9)
2つの支持コンポーネント(200a、200a´)が存在し、前記2つの支持コンポーネント(200a、200a´)は前記関節コンポーネント(100a)の矢状正中長手平面の両側に配置され、前記2つの支持コンポーネント(200a、200a´)は、前記近位遠位距離を変更するために、前記関節コンポーネント(100a)に対して、内外方向において互いに反対向きに移動可能であることを特徴とする、項目8に記載の脛骨トライアルインプラント(1a)。
(項目10)
前記ガイド装置(213)が少なくとも1つのガイドスロット(215)を有し、前記少なくとも1つのガイドスロット(215)に、前記関節コンポーネント(100、100a)の少なくとも1つのガイドピン(115)が、前記ガイド軌道(214)に沿ってスライド可能に係合することを特徴とする、項目1から9のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
(項目11)
前記ガイドスロット(215)が、前記ガイド軌道(214)の一端に挿入口(216)を有し、前記挿入口(216)が、前記載置面(207)を起点として前記ガイド軌道(214)に対して略垂直に前記ガイドスロット(215)内に開口し、前記少なくとも1つのガイドピン(115)が、前記挿入口(216)を通って前記ガイドスロット(215)内に挿入可能であることを特徴とする、項目10に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
(項目12)
前記支持面(110)は、前記関節コンポーネント(100)の前記遠位底部(102)において近位方向に凹んでおり、対向する壁部(116、117)によって境界がひかれており、いずれも、前記ガイド軌道(214)に対して垂直に、かつ近位遠位軸に対して垂直に、前記支持コンポーネント(200)に形状適合していることを特徴とする、項目1から11のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
(項目13)
前記関節コンポーネント(100)が凹部(G1)を有し、前記凹部(G1)が、前記近位関節面(107)から前記支持面(110)まで近位遠位方向に延び、前記凹部(G1)が、前記近位関節面(107)と前記支持面(110)とをそれぞれ内側面セクション(108、111)と外側面セクション(109、112)とに分割することを特徴とする、項目1から12のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
(項目14)
前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200)が凹部(G2)を有し、前記凹部(G2)が、前記傾斜部(210)を通って近位遠位方向に延び、前記凹部(G2)が、前記傾斜部(210)を、横方向、特に内外方向または前後方向に互いに間隔をあけて配置された2つの傾斜セクション(211、212)に分割することを特徴とする、項目1から13のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
(項目15)
前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200)が、近位方向および/または遠位方向から見てU字形状を有し、前記2つの傾斜セクション(211、212)が、それぞれU字形状の細長い脚部(L2、L3)を形成していることを特徴とする、項目14に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
(項目16)
前記関節コンポーネント(100、100a)および前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200、200a、200a´)が、それぞれ生体適合性プラスチック材料(K)から製造されていることを特徴とする、項目1から15のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
(項目17)
前記関節コンポーネント(100、100a)および前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200、200a、200a´)が、単一の3D印刷プロセスによって積層造形され、これにより、前記関節コンポーネント(100、100a)および前記少なくとも1つの支持コンポーネント(200、200a、200a´)が、前記ガイド装置(213)を介して互いに取り外し不能に接続され、かつ、互いに対して移動可能であることを特徴とする、項目1から16のいずれか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、1a)。
【外国語明細書】