(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159552
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】手術器具用のアクセスアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20241031BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61B17/34
A61B1/12 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063858
(22)【出願日】2024-04-11
(31)【優先権主張番号】202321009589.2
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524139611
【氏名又は名称】寧波海泰科邁医療器械有限公司
【氏名又は名称原語表記】NINGBO HITCM MEDICAL DEVICES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.59 Kechuang North Road,Wangchun Industrial Park,Haishu District,Ningbo,Zhejiang 315000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【弁理士】
【氏名又は名称】金高 寿裕
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【弁理士】
【氏名又は名称】小磯 貴子
(72)【発明者】
【氏名】丁 偉江
(72)【発明者】
【氏名】袁 鵬
(72)【発明者】
【氏名】曹 新東
【テーマコード(参考)】
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C160FF45
4C160FF46
4C160FF60
4C161AA24
4C161GG04
4C161HH56
4C161JJ11
4C161JJ13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手術器具用のアクセスアセンブリを提供する。
【解決手段】アクセスアセンブリ1の近位端に設置され、手術器具にアクセスするための縦方向チャンネルを含むハウジング部40と、アクセスアセンブリの遠位端に設置され、アクセスアセンブリの縦方向軸に沿って延在し、手術器具を受け入れるための管状本体部3と、ハウジング部内に設置され、ハウジング部の近位端とアクセスした手術器具とをシールして接続するための近位端シール装置25と、管状本体部の遠位端にシール接続される遠位端シール装置3と、混合部材及び第1流体を導入するための第1流体供給チャンネル31を含む流体供給チャンネルと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術器具用のアクセスアセンブリであって、
前記アクセスアセンブリの近位端に設置され、前記手術器具にアクセスするための縦方向チャンネルを含むハウジング部と、
前記アクセスアセンブリの遠位端に設置され、前記アクセスアセンブリの縦方向軸に沿って延在するように構成され、前記手術器具を受け入れるための管状本体部と、
前記ハウジング部内に設置され、前記ハウジング部の近位端とアクセスした前記手術器具とをシールして接続するための近位端シール装置と、
前記管状本体部の遠位端にシール接続される遠位端シール装置と、
混合部材及び第1流体を導入するための第1流体供給チャンネルを含む流体供給チャンネルであって、前記第1流体供給チャンネルは前記ハウジング部の近位端から遠位端への方向に沿って前記ハウジング部の近位端に延設され、前記混合部材は前記ハウジング部の遠位端に設置され且つ前記第1流体供給チャンネルと流体連通する流体供給チャンネルと、を含み、
前記混合部材は、
第2流体にアクセスするための第1通路と、
前記ハウジング部の遠位端から前記管状本体部の近位端まで延在するように構成され、前記第1流体と前記第2流体を混合して輸送するための第2通路と、を含むことを特徴とする手術器具用のアクセスアセンブリ。
【請求項2】
前記混合部材は前記第1流体供給チャンネルと連通する第3通路をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項3】
前記ハウジング部は前記縦方向チャンネルを取り囲むシェル部材をさらに含み、前記シェル部材は少なくとも相互に接続された円錐部及び円筒部を含み、前記混合部材は前記円錐部に設置され、前記第1流体供給チャンネルは前記円筒部に設置されることを特徴とする請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項4】
前記第2通路の延在方向は前記円錐部の円錐面に沿って前記ハウジング部の近位端から遠位端までであることを特徴とする請求項3に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項5】
前記第3通路は前記第1通路に対して角度αで設置され、前記角度αの値は90°以下であることを特徴とする請求項2に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項6】
前記第1通路には逆止弁が設けられ、前記逆止弁は前記第1流体供給チャンネルからの前記第1流体が前記第1通路に流入することを阻止するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項7】
前記逆止弁はダックビル弁、ダイヤフラム逆止弁及びスプリングボール逆止弁から選択される1つであることを特徴とする請求項6に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項8】
前記第1流体供給チャンネルは、遠位端から近位端へ順に連通する第2チャンネルセグメント、第1チャンネルセグメント及び第3チャンネルセグメントを含み、前記第1流体供給チャンネルの近位端の断面積は前記第1流体供給チャンネルの遠位端の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項9】
前記第1チャンネルセグメントの断面積は前記アクセスアセンブリの近位端から遠位端への方向に段階的に減少し、又は、前記第1チャンネルセグメントの断面積は前記アクセスアセンブリの近位端から遠位端への方向に沿って連続的に減少することを特徴とする請求項8に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項10】
前記第2チャンネルセグメントの横断面の面積は一定であることを特徴とする請求項8に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項11】
前記第1通路の断面積は前記第2チャンネルセグメントの断面積よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項12】
前記第1通路はさらに第3流体にアクセスすることに用いられ、前記第1通路は前記第2流体と前記第3流体との間に切り替えるための切替装置をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項13】
前記第1流体は液体であり、前記第2流体は気体であることを特徴とする請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクセスアセンブリに関し、具体的に手術器具のアクセスアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術過程では、外科手術医は通常、体内の関連臓器の診断及び/又は治療を行うために手術器具(例えばピンセット、グラスパー、カッター、アプリケータ等)を使用する必要があり、該手術器具はカニューレを介して患者の体内にアクセスされる必要があるが、患者の体内に導入された手術器具の操作実行部材は、診断及び/又は治療過程で体腔内の集合体、組織、血液、他の体液等に付着されやすくなり、これは、診断及び/又は治療の効果に悪影響を与えたり、損なったりするため、手術中に関連する手術器具、特に内視鏡のレンズの清潔さを維持することは非常に重要である。一般的には、外科医(例えば、内視鏡操作者)は、内視鏡をアクセスアセンブリを介して患者の体の切開部から取り出し、予め調製された体温での生理食塩水を用いてレンズを洗浄し、その後、ヨードフォア等の消毒剤を用いて内視鏡本体を拭き取り、それをアクセスアセンブリを介して患者の体の切開部に再挿入する。手術過程では、レンズの洗浄に必要な時間がかかるため、手術の合計時間が長くなり、患者が麻酔を継続する必要がある時間が長くなる可能性があり、また、内視鏡を患者の体の切開部から繰り返し取り出して挿入する必要があるため、感染のリスクが高まり、回復時間が長くなる可能性がある。従って、本分野では、追加の洗浄液又は汚れを患者の体腔に導入することなく、術中に内視鏡のレンズを簡便かつ迅速に洗浄できる改良されたアクセスアセンブリが必要とされている。
【0003】
本発明に係る内視鏡用のアクセスアセンブリが知られているが、該アクセスアセンブリには気液混合供給装置がなく、負圧吸引速度が遅く、生理食塩水チャンネルの形状に起因して加工が困難であり、徐変チャンネルがカニューレ(非密閉キャップの下カバー)に設置される。
【0004】
内視鏡用のアクセスアセンブリが知られており、T字形に設計され且つ近位端シール部材に取り付けられる三方管を有し、該三方管は気液混合を実現できるが、穿刺器全体の長さを長くさせ、医師による手術操作に悪影響を与え、換言すると、該アクセスアセンブリの1つの欠陥は、アクセスアセンブリ全体の長さが長く、手術操作に影響を与えることであり、別の欠陥は、該三方管がアクセスアセンブリの第1流体供給入口と嵌着されることで近位端シール部材に取り付けられ、三方管がアクセスアセンブリと一体的に固定されていないため、アクセスアセンブリから落下しやすくなり、その結果、該アクセスアセンブリの洗浄機能が確実に実現できないことである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、改良された手術器具用のアクセスアセンブリを提供することであり、該アクセスアセンブリは、構造を簡略化した場合にアクセスアセンブリの洗浄機能、特に洗浄効果を確実に実現することができる。
【0006】
該技術的課題は、本発明に係る手術器具用のアクセスアセンブリにより解決され、該アクセスアセンブリは、アクセスアセンブリの近位端に設置され、前記手術器具にアクセスするための縦方向チャンネルを含むハウジング部と、アクセスアセンブリの遠位端に設置され、アクセスアセンブリの縦方向軸に沿って延在し、手術器具を受け入れるための管状本体部と、ハウジング部内に設置され、ハウジング部の近位端とアクセスした手術器具とをシールして接続するための近位端シール装置と、管状本体部の遠位端にシール接続される遠位端シール装置と、混合部材及び第1流体を導入するための第1流体供給チャンネルを含む流体供給チャンネルであって、第1流体供給チャンネルはハウジング部の近位端から遠位端への方向に沿ってハウジング部の近位端に延設され、混合部材はハウジング部の遠位端に設置され且つ第1流体供給チャンネルと流体連通する流体供給チャンネルと、を含み、混合部材は、第2流体にアクセスするための第1通路と、ハウジング部の遠位端から管状本体部の近位端まで延在するように構成され、第1流体と第2流体を混合して輸送するための第2通路と、を含む。本発明の上記技術的解決手段により、構造がコンパクトで、生産が簡単なアクセスアセンブリを実現することができ、該アクセスアセンブリは、二相流を自動的に生成できるだけでなく、手術器具特に内視鏡のレンズを洗浄する強度を高めることができ、これは、内視鏡を気液二相流で洗浄するときに、その中の液体が不連続なパルス状となり、液体部分に続く気体部分が二相混合流体供給チャンネル内のより速い速度で流体通路の下流側への推力を該液体部分に与えることで、内視鏡レンズに噴射された流体ビームの強度をより大きくし、従って、洗浄流体の内視鏡のレンズに対する洗浄力が高くなり、洗浄効果がより良好になるためである。
【0007】
本発明の拡張態様によれば、有利には、混合部材は前記第1流体供給チャンネルと連通するように構成される第3通路をさらに含む。第3通路の設置は、ハウジング部の円錐状構造と嵌合し、及び第1通路の出口と第1流体供給チャンネルの流体出口とが位置的により良好に嵌合する。
【0008】
本発明の拡張態様によれば、有利には、ハウジング部は縦方向チャンネルを取り囲むシェル部材をさらに含み、シェル部材は少なくとも相互に接続された円錐部及び円筒部を含み、混合部材は前記円錐部に設置され、第1流体供給チャンネルは円筒部に設置される。該技術的解決手段により、第2流体のチャンネルが第1流体チャンネルの下流側に設置されることを確保できるとともに、アクセスアセンブリの横方向輪郭サイズを大きくすることなく第1流体チャンネルの加工に有利である。
【0009】
本発明によれば、アクセスアセンブリ内で気液混合し且つ加工プロセスを簡略化するのに特に有利なのは、管状本体の円錐部に混合部材が設置されることである。
【0010】
本発明のさらなる拡張態様によれば、前記第3通路は前記第1通路に対して角度αで設置され、前記角度αの値は90°以下であり、第1通路の延在方向は円錐部の円錐面に沿ってハウジング部の近位端から遠位端までである。該技術的解決手段は、第1流体よりも大幅に低い粘度を有する第2流体、特に好ましくは気体を混合流体チャンネルに導入し、且つここでは第1流体と2つの流体の交互配列順序を形成することで混合流体の洗浄強度を高めるのに特に有利である。該角度が90°以下であることで、流体供給チャンネルから排出された液体と、気体供給チャンネルから排出された気体とを混合流体供給チャンネル内で良好に混合することができ、且つ気体が液体供給チャンネルに入らないことを確保できる。
【0011】
本発明によれば、有利には、第1通路には逆止弁が設置され、逆止弁は第1流体供給チャンネルからの第1流体が第1通路に流入することを阻止するように構成される。負圧の作用下で、第1通路の逆止弁が開き、第2流体がアクセスアセンブリの内部に流入するとともに流入した第1流体と混合して混合流体流、特に気液二相流を形成し、手術器具の端部、特に腹腔鏡レンズを洗浄する。手術器具の洗浄が完了した後、手術器具が再び腹腔に入ると、逆止弁は第2流体の流入方向にのみ開くため、該逆止弁は第1通路内で流体の流入方向と逆方向に自動的に閉じられて、第2流体がアクセスアセンブリから流出することを阻止する。
【0012】
本発明によれば、第2流体がアクセスアセンブリからから流出することを阻止するのに特に有利なのは、逆止弁をダックビル弁として設計し、又は逆止弁をダイヤフラム逆止弁又はスプリングボール逆止弁として設計することである。
【0013】
本発明のさらなる拡張態様によれば、第1流体供給チャンネルは、遠位端から近位端へ順に連通する第2チャンネルセグメント、第1チャンネルセグメント及び第3チャンネルセグメントを含み、第1流体供給チャンネルの近位端の断面積は第1流体供給チャンネルの遠位端の断面積よりも大きく、従って、第1流体に対する抵抗を大きくし且つ第1流体の流速を低下させることができ、それにより第2流体と混合するのに有利である。
【0014】
第1流体の速度を低下させるのに特に有利であり、且つ加工に有利である解決手段は、第1チャンネルセグメントをその流通断面積が流体の流れ方向に沿って段階的に減少するように設置することである。
【0015】
上記解決手段の代替又は追加としては、第1チャンネルセグメントをその流通断面積が流体の流れ方向に沿って連続的に減少するように設置してもよい。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、第2チャンネルセグメントの横断面の面積は変化せず、及び/又は、第2チャンネルセグメントの横断面の面積は第1チャンネルセグメントの第1出口での断面積に等しい。第2チャンネルセグメントは流れ方向においてその流通断面積が変化せず、且つ第1チャンネルセグメントのその出口での流通断面積に等しいため、さらに第1流体に対する抵抗を大きくし且つ流量を減少させ、それによりその下流側で第2気体と混合する効果がより良好になる。
【0017】
本発明の拡張態様によれば、第1通路はさらに洗浄剤などの第3流体にアクセスすることに用いられ、前記第1通路は、切替弁及びマニホールドなど、前記第2流体と前記第3流体との間に切り替えるための切替装置をさらに有する。該切替装置により、気体と洗浄剤との間に切り替えることができ、気体源である第2流体源を第1通路のポートから取り外して洗浄剤源を再接続する必要がない。
【0018】
洗浄流体の強度を高めるのに特に有利なのは、第1流体を第2流体よりも大幅に高い粘度を有する流体として選択し、特に好ましくは第1流体を生理食塩水等の液体として選択し、第2流体を二酸化炭素ガス等の気体として選択することである。
【0019】
本発明の上記特性、特徴、利点及びそれらを実現する方法は、添付の図面を参照してより詳細に説明される非限定的な実施例の以下の説明と組み合わせることでより明確に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は本発明に係る手術器具がアクセスされたアクセスアセンブリの非限定的な実施例の側断面図である。
【
図2】
図2は
図1におけるアクセスアセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施例は本発明の好ましい実施形態である。該実施例では、説明される実施形態の各部材は、個別かつ相互に独立して考慮される本発明の各特徴をそれぞれ形成し、それらは相互に独立して本発明をさらに拡張し、且つ個別に又は示された組み合わせとは異なる形態で本発明の構成部分を形成することもできる。また、説明される実施形態は説明された本発明の他の特徴で補足されてもよい。
【0022】
注射器アセンブリの様々な態様及びその様々な特徴を詳細に説明する前に、なお、本明細書に開示される様々な態様は、その応用又は使用において図面及び明細書に示される部材の構造及び配置の詳細に限定されるものではない。逆には、開示された機器は、他の機器、その変形及び修正に位置決め又は結合されてもよく、様々な方法で実践又は実行されてもよい。従って、本明細書に開示されるアクセスアセンブリの特徴の態様は、本質的に例示的なものであり、その範囲又は応用を限定することを意図するものではない。また、特に明記されない限り、本明細書で使用される用語及び表現は、読者がアクセスアセンブリの特徴の様々な態様を説明するのを容易にするために選択されるものであり、その範囲を限定するためのものではない。また、理解されるように、アクセスアセンブリの任意の1つ又は複数の部材、その表現及び/又はその例は、限定することなく、任意の1つ又は複数の他の部材、その表現及び/又はその例と組み合わせることができる。
【0023】
図面を参照しながら手術器具用のアクセスアセンブリを詳細に説明し、同じ参照符号は上記図面のそれぞれにおいて同じ又は対応する素子を指す。本明細書で使用される技術用語「手術器具」とは、穿刺器などのアクセスアセンブリを介して被験者の体内に導入できる任意の外科用手術器具を指し、本発明の非限定的な実施例では、特に内視鏡を指し、技術用語「管状本体部」とは穿刺器のカニューレを指し、用語「遠」、「遠位側」とは、手術器具、アクセスアセンブリの一部又はその部材が操作者(例えば医師)から遠い方向(例えば図面に示される下方)を指し、さらに、用語「遠位」とは、手術器具、特に内視鏡が挿入される方向を指し、用語「遠位端」とは、手術器具、特に内視鏡の操作者(例えば医師)から遠い端を指し、対照的に、用語「近」とは、内視鏡、アクセスアセンブリの一部又はその部材が操作者に近い方向(例えば図面に示される上方)を指し、さらに、用語「近位」とは、手術器具、特に内視鏡が取り出される方向を指し、「近位端」とは、手術器具、特に内視鏡の操作者(例えば医師)に近い端を指す。また、用語「内視鏡」は、全体的に、小径の切開部又はカニューレを介して患者の体腔を観察するための腹腔鏡、関節鏡、胃腸鏡、喉頭気管支鏡等の任意の他の機器と交換可能に使用される。本明細書で使用されるように、本明細書で使用される用語「流体」とは、一般的に流動性を有する物質を指し、液体(例えば、純粋な液体、溶液、コロイド、浮遊液、懸濁液)、気体、気液二相流体混合物、プラズマ、流動化された固体粒子等を含むが、これらに限定されない。
【0024】
図1は本発明に係る手術器具10がアクセスされたアクセスアセンブリ1の非限定的な実施例の側断面図であり、該アクセスアセンブリ1は、ハウジング部40、管状本体部3、近位端シール装置25及び遠位端シール装置2を含む。
【0025】
管状本体部3は、手術器具10を受け入れるために構成され、且つアクセスアセンブリ1の縦方向軸Z-Z’に沿って延在するように構成される。ハウジング部40はアクセスアセンブリ1の近位側に位置し、前記手術器具にアクセスするための縦方向チャンネルを含み、管状本体部3はハウジング部の遠位端に接続され、ハウジング部40と管状本体部3は共同で手術器具10を受け入れる全ての縦方向チャンネルを形成する。一実施例では、ハウジング部40と管状本体部3は一体成形され、又は両者は着脱可能に組み合わせられる。ハウジング部40は前記縦方向チャンネルを取り囲むシェル部材4を含み、シェル部材4は少なくとも相互に接続された円錐部42及び円筒部41を含む。円錐部42と円筒部41は一体成形され、又は着脱可能に取り付けられる。
【0026】
本実施例では、シェル部材4は近位端シール部材25を有し、該近位端シール部材25を介して手術器具10の外壁とのシールを形成し、近位端シール部材25は、手術器具10がハウジング部40の縦方向チャンネルを通過するときに手術器具10の外壁に密着してそれをシールする。
【0027】
本実施例では、遠位端シール装置2はW字形シール部材に設計され且つ管状本体部3の遠位端にシール接続されるように構成され、該シールは一方向に行われてもよく、遠位端シール装置2は管状本体部3の円筒部の内面の遠位端位置に取り付けられ、該管状本体部3の円筒部の内面の内径は、遠位端シール装置2の管状ハウジングの外壁の外径に相当し(例えば、実質的に等しい又はわずかに小さい)、それにより遠位端シール装置2と管状本体部3との間に良好なシールが形成される。遠位端シール装置2は、アクセスアセンブリ1のキャビティ22からアクセスアセンブリ1の外部に向かう圧力差の作用下で、流体がアクセスアセンブリ1の外部(例えば、患者の体腔)から通過してアクセスアセンブリ1のキャビティ22内に入ることを可能にするが、アクセスアセンブリ1の外部からアクセスアセンブリ1のキャビティ22に向かう圧力差の作用下で、流体がアクセスアセンブリ1のキャビティ22から離れてアクセスアセンブリ1の外部(例えば、患者の体腔)に排出することを不可能にする。
【0028】
真空吸引装置(図示せず)は、アクセスアセンブリ1に負圧を供給するように構成され、且つアクセスアセンブリは少なくとも1つの真空吸引チャンネル(排出通路とも呼ばれる)を有し、真空吸引装置は前記真空吸引チャンネルに接続される。真空吸引装置は真空吸引源(例えば、真空ポンプ、病院インフラとしての真空源等)に接続するための真空吸引開口27(排出通路の出口とも呼ばれる)、真空吸引口28(排出通路の入口とも呼ばれる)、及び真空吸引開口27と真空吸引口28とを流体連通する真空吸引チャンネル(排出通路とも呼ばれる)をさらに含み、真空吸引開口27は真空吸引源に直接接続され、且つ真空吸引口28はアクセスアセンブリのキャビティ22内を貫通して、キャビティ22内の洗浄流体及び汚れを吸引し、真空吸引装置により、アクセスアセンブリ1のキャビティ22内の洗浄流体及び汚れが真空吸引口28から真空チャンネルに沿って真空吸引開口27からアクセスアセンブリ1から離れる。
【0029】
図1では、真空吸引口28は管状本体部3内の比較的近位側の位置に位置するように示されるが、本願に係る真空吸引口28はこれに限定されず、管状本体部3内の任意の適切な位置に設置されてもよい。理解されるように、アクセスアセンブリ1及び手術器具10による手術中に、手術器具10が動作する必要がある角度が異なる(例えば、直立、倒立、水平、斜め下向き、斜め上向き等の向き)ため、アクセスアセンブリ1も対応する必要な角度に配置される。従って、洗浄流体及び汚れは重力に起因してアクセスアセンブリのキャビティ22内の近位側又は遠位側に蓄積する可能性がある。この場合、真空吸引口は、キャビティ22内から流体及び汚れを吸引する効果を促進するために、管状本体部3内の近位側又は遠位側に対応して設置されてもよい。
【0030】
管状本体部3の内壁、近位端シール部材25の遠位面及び遠位端部材の近位面は共同でアクセスアセンブリ1のキャビティ22を画定することで、アクセスアセンブリ1の近位側の外部空気及び遠位側の患者の体腔から全体的に隔離された内部空間を形成する。いくつかの実施例では、遠位端シール装置2は、手術器具10が遠位端シール装置2を通過するときに、遠位端シール装置2の弁が開いて手術器具10に密着してシールを形成するように構成され得る。例えば、手術器具10を用いて動作するときに、特に内視鏡を用いて手術視野を観察するときに、患者の体腔がアクセスアセンブリ1のキャビティ22から隔離されること維持する。
【0031】
本実施例では、流体供給チャンネルは、近位端から遠位端へ、第1流体を導入するための第1流体供給チャンネル31、混合部材、第3供給通路セグメント33及び第4供給通路セグメント34を順に含む。第1流体供給チャンネル31はハウジング部40の近位端から遠位端への方向に沿って前記ハウジング部40の円筒部41に延設され、混合部材はハウジング部40の遠位端に設置され且つ前記第1流体供給チャンネルと流体連通する。流体供給チャンネルはアクセスアセンブリ1に混合流体(本実施例では気液混合流体)を供給するために、流体供給チャンネルは生理食塩水等の液体と洗浄気体を混合し且つ気液混合流体をアクセスアセンブリ1のキャビティ22内に排出して手術器具10の遠位端部18を洗浄することができ、該遠位端部は好ましくは内視鏡のレンズである。第1流体供給チャンネル31はシェル部材4の円筒部41に設置され、且つ第1流体、好ましくは液体を外部から導入することに用いられてもよく、混合部材(第3チャンネルが設置されていない実施例)の第2チャンネルは第1流体供給チャンネル31の下流側に位置し、又は混合部材(第3チャンネルが設置されている実施例)の第3チャンネルは第1流体供給チャンネル31の下流側に位置し、且つそれと流体連通する。混合部材はハウジング部の円錐部42に設置されてもよい。第3供給通路セグメント33は混合部材の下流側に位置し且つそれと流体連通し、第4供給通路セグメント34は遠位端シール部材装置の流体チャンネルに設置され、第3供給通路セグメント33の下流側に位置し且つそれと流体連通する。
【0032】
第1流体供給チャンネル31は外部の第1流体をアクセスアセンブリに導入するための入口29と、第1流体を混合供給チャンネル32に排出するための出口とを有し、且つ第1流体供給チャンネル31は3つのチャンネルセグメントを含み、すなわち、流通断面積が変化する第1チャンネルセグメント11、流通断面積が変化しない選択可能な第2チャンネルセグメント12、及び流通断面積が実質的に変化しない選択可能な第3チャンネルセグメント15である。第1チャンネルセグメント11は入口35及び出口23を有し、第2チャンネルセグメント12は入口36及び出口20を有し、第3チャンネルセグメント15は入口29(本実施例では第1流体供給チャンネル31の入口29)及び出口37を有し、第3チャンネルセグメントの出口37は第1チャンネルセグメント11の入口35と流体連通し、第1チャンネルセグメントの出口23は第2チャンネルセグメントの入口36と流体連通する。第1流体供給チャンネル31は流通断面積が変化する第1チャンネルセグメント11、及び流通断面積が変化しない選択可能な第2チャンネルセグメント12を有する。流通断面積が変化する第1チャンネルセグメント11については、流体の流れ方向に沿って流通断面積が減少し、第1流体供給チャンネル31はその流通断面積が流体の流れ方向に沿って段階的に減少するように構成され、あるいは、第1流体供給チャンネル31はその流通断面積が流体の流れ方向に沿って連続的に減少するように構成されてもよい。第1チャンネルセグメント11は第2チャンネルセグメント12を介して第1通路43と流体連通し、該第2チャンネルセグメント12は流れ方向にその流通断面積が変化せず、且つ流通断面積が変化する第1チャンネルセグメント11のその出口23での流通断面積に等しい。
【0033】
流通断面積が変化する第1チャンネルセグメント11の出口23は第1流体供給チャンネル31の入口29からの液体の流速を限定することで、気体と混合して気液二相流を形成する効果を促進する。第1流体供給チャンネル31のその入口29での横断面はその出口20での断面積よりも大きいため、第1流体供給チャンネル31を通過する液体の流量を減少させ、それにより液体源への供給圧力の要件を低下させる。任意の理論的制限がない場合、徐々に縮小する流通断面積は、流通断面積が変化する第1チャンネルセグメント11での流体の流速を徐々に向上させる。ベルヌーイ原理に基づき、液体チャンネルの出口20での流体の静圧を低下させ、それにより第2流体供給チャンネル13からの特に気体と混合して均一な二相流体混合物、特に気液二相混合物を形成することが容易になる。一例として、流通断面積が変化する第1チャンネルセグメント11の出口23は、液体、気体/洗浄剤及び流体混合物に対してそれぞれに対応する抵抗を印加することで、液体と気体/洗浄剤との均一な混合を促進するように構成されてもよい。
【0034】
別の実施例では、第1流体は精製水、生理食塩水等であり、第3流体は界面活性剤等の洗浄剤であり、且つ二相混合流体供給チャンネル内で両者を混合して均一な洗浄剤水溶液又は洗浄剤生理食塩水溶液を形成する。洗浄剤水溶液又は洗浄剤生理食塩水溶液を用いて手術器具10を洗浄するときに、脂肪汚れ及び油脂汚れに対して改善された洗浄効果を提供する。
【0035】
混合部材はハウジング部の円錐部42に位置し、混合部材は、第2流体にアクセスするための第1通路13と、延在方向が円錐部42の円錐面に沿ってハウジング部の近位端から遠位端までであり、前記第1流体と前記第2流体を混合して輸送するために構成される第2通路32とを含む。別の実施例では、混合部材は第3流体通路43をさらに含む。第1通路13は第3通路43と角度αをなして設置され、該角度は90度以下であり、それにより第1流体供給チャンネル31から受け入れられて第3通路43に導入された液体と、第1通路13から排出された気体とを第2通路32内で良好に混合でき、且つ気体が第3通路43に入らないことを確保する。第2通路32には、第1通路13からの特に気体を第1流体供給チャンネル31から特に液体と合流し、且つ均一な流体混合物、特に気液混合物を形成し、その後、該流体混合物が第3供給通路セグメント33を通過する。一実施例では、結露による曇りを回避するために、気体及び/又は液体は手術器具10の遠位端部が位置する使用環境(例えば、患者の体腔)と同様の温度に調整することができる。本明細書で使用される「均一」な二相流体混合物、例えば本実施例における二相流体混合物とは、気相と液相の絶対平均分布を指すのではなく、両者の実質的に均一な分布を指す。例えば、気液二相流体混合物が位置する流路内に気体又は液体によって完全に占有された長いセグメントが1つ又は複数存在しないときに、該気液二相流体混合物が均一であるとみなすことができる。気液二相流を用いて手術器具10を洗浄するときに、その中の液体が不連続なパルス状となるため、液体部分に続く気体部分が二相混合流体供給チャンネル内のより速い速度で流体通路の下流側への推力を該液体部分に与えることで、手術器具10の遠位端部18に噴射された流体ビームの強度を大きくし、従って、洗浄流体の手術器具10の遠位端部18に対する洗浄力が高くなり、洗浄効果がより良好になる。
【0036】
別の実施例では、第1通路13には、第3通路43からのものを阻止するための逆止弁38が設置され、逆止弁はダックビル弁、ダイヤフラム逆止弁及びスプリングボール逆止弁から選択される1つであり、好ましくはダックビル弁である。
【0037】
別の実施例では、第1通路13は、切替弁及びマニホールド等の切替装置(図示せず)を有し、それにより気体と洗浄剤との間に切り替えることができ、気体源を入口から取り外して洗浄剤源を再接続する必要がなく、その逆も可能である。
【0038】
例えば、手術器具10を使用して支援する手術過程では、通常、例えば真空ポンプ、病院インフラとしての真空源、病院の一般的な気体源(例えば、CO2ガスボンベ、選択可能に減圧弁で圧力を調整できる)、及び液体源(例えば、生理食塩水充填ボトル/バッグ、蠕動ポンプ、注射器等)を使用する。一例として、上記一般的な真空源、気体源及び液体源の動作圧力範囲に基づき、流通断面積が変化する第1チャンネルセグメント11の出口23の断面積の大きさ、第2流体供給チャンネル13の断面積の大きさ及び第3通路32の断面積の大きさを適切に選択し、それにより液体と気体の最適な混合効果を実現して、気液二相流体混合物及び洗浄剤生理食塩水混合物等を含む均一な流体混合物を得ることができる。
【0039】
本実施例では、アクセスアセンブリで手術器具を洗浄する動作過程としては、手術器具をアクセスアセンブリの内部に戻して洗浄し、流体チャンネルが開き、負圧の作用下で、第1通路の逆止弁が開き、第2流体がアクセスアセンブリの内部に流入するとともに流入した第1流体と混合して第1流体及び第2流体で構成された二相流を形成し、手術器具の遠位端部を洗浄する。洗浄が完了した後、手術器具が患者の腹腔に入り、流体供給チャンネルが閉じられ、逆止弁が自動的に閉じられて第1流体がアクセスアセンブリ1から流出することを阻止する。
【0040】
図2は
図1におけるアクセスアセンブリの非限定的な実施例の側面図である。非限定的な実施例では、第1通路13は管状本体部3の縦方向軸Z-Z’及び第1流体供給チャンネル31によって画定された平面内に延在することができる。
【0041】
アクセスアセンブリ1は、外部の任意の気体源に接続される、人工気腹を形成するための任意の気体入口24と、気体源からの気体を患者の体腔内に排出するための気体排出口(図示せず)と、気体入口24と気体排出口とを接続する気体流路(図示せず)とをさらに有する。いくつかの実施例では、気体排出口は管状本体部3の遠位端の外側に位置し、それにより気体源から受け入れられた気体が管腔を通過せずに患者の体腔に排出される。いくつかの実施例では、アクセスアセンブリ1の任意の気体入口24の配置は、穿刺器などの通常の手術器具10と同様であり、CO2等の気体を正圧下で患者の体の切開部から体腔に注入することで、気体によって占有された空間、例えば人工気腹を形成することを支援し、それにより手術器具10の観察及び手術に視野及び操作空間を提供する。有利には、気体が管腔を通過することなく、管状本体部3の遠位端の外側から排出されることにより、人工気腹を形成する気体が遠位端部18の洗浄中に管腔内の液体や汚れの影響を受けることを回避できる。