(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015957
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240130BHJP
【FI】
G05D1/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033695
(22)【出願日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2022118278
(32)【優先日】2022-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】上田 俊人
(72)【発明者】
【氏名】伊井 太津喜
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彰
(72)【発明者】
【氏名】西川 智晶
(72)【発明者】
【氏名】位田 章太
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301AA09
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301EE02
5H301LL03
5H301LL08
(57)【要約】
【課題】走行経路の分岐部または合流部を含む区間における搬送車の通行を効率的に行うことにより、物品搬送設備の全体としての搬送効率を高める。
【解決手段】搬送車Vは、第1経路に沿って走行する場合には、第1通過地点を通過するための第1通過許可を区間制御装置Czに求める。搬送車Vは、第2経路に沿って走行する場合には、第2通過地点を通過するための第2通過許可を区間制御装置Czに求める。区間制御装置Czは、第1通過許可及び第2通過許可の双方を搬送車Vから求められた場合には、第1通過地点及び第2通過地点の双方が先行する他の搬送車Vによって占有されていない非占有状態であることを条件として、第1経路又は第2経路から接続経路への搬送車Vの走行を許可すると共に、走行を許可した当該搬送車Vに第1通過地点及び第2通過地点の双方を占有させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送車と、
前記搬送車が走行する走行経路と、
前記走行経路のうちの特定の区間である特定区間を走行する前記搬送車に通過許可を与えて当該搬送車の制御を行う区間制御装置と、を備えた物品搬送設備であって、
前記特定区間には、互いに交差しない第1経路及び第2経路と、前記第1経路における第1接続部と前記第2経路における第2接続部とを接続する接続経路と、が含まれ、
前記第1経路及び前記第2経路のそれぞれは、上流側から下流側へ向かって一方向に前記搬送車が走行する経路であり、
前記第1経路における前記第1接続部よりも下流側に、第1通過地点が設定され、
前記第2経路における前記第2接続部よりも下流側に、第2通過地点が設定され、
前記搬送車は、前記第1接続部を通って前記第1経路に沿って走行する場合には、前記第1接続部よりも上流側において、前記第1通過地点を通過するための前記通過許可である第1通過許可を前記区間制御装置に求め、前記第1通過許可が得られた場合には前記第1接続部を通過して前記第1通過地点へ向かい、前記第1通過許可が得られない場合には前記第1接続部よりも上流側で停止し、
前記搬送車は、前記第2接続部を通って前記第2経路に沿って走行する場合には、前記第2接続部よりも上流側において、前記第2通過地点を通過するための前記通過許可である第2通過許可を前記区間制御装置に求め、前記第2通過許可が得られた場合には前記第2接続部を通過して前記第2通過地点へ向かい、前記第2通過許可が得られない場合には前記第2接続部よりも上流側で停止し、
前記区間制御装置は、前記第1通過許可を前記搬送車に与えた場合には、当該第1通過許可にかかる前記第1通過地点を当該搬送車に占有させ、前記第2通過許可を前記搬送車に与えた場合には、当該第2通過許可にかかる前記第2通過地点を当該搬送車に占有させ、
前記搬送車は、前記第1経路又は前記第2経路から前記接続経路へ走行しようとする場合には、前記第1通過許可及び前記第2通過許可の双方を前記区間制御装置に求め、
前記区間制御装置は、前記第1通過許可及び前記第2通過許可の双方を前記搬送車から求められた場合には、前記第1通過地点及び前記第2通過地点の双方が先行する他の前記搬送車によって占有されていない非占有状態であることを条件として、前記第1経路又は前記第2経路から前記接続経路への前記搬送車の走行を許可すると共に、走行を許可した当該搬送車に前記第1通過地点及び前記第2通過地点の双方を占有させる、物品搬送設備。
【請求項2】
前記搬送車は、前記第1通過地点又は前記第2通過地点を通過した後、前記区間制御装置に対して通過完了通知を行い、
前記区間制御装置は、前記搬送車から前記通過完了通知を受け取った後、当該通過完了通知にかかる前記第1通過地点又は前記第2通過地点について当該搬送車による占有を解除する、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記第1経路における前記第1接続部よりも上流側、及び前記第2経路における前記第2接続部よりも上流側のそれぞれに、前記搬送車が前記通過許可を得られなかった場合に停止する停止地点が設定され、
前記搬送車は、前記第1経路及び前記第2経路のそれぞれにおいて前記停止地点よりも上流側を走行中に、前記区間制御装置に対して前記第1通過許可又は前記第2通過許可を求める、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記第1経路及び前記第2経路のそれぞれにおける前記停止地点よりも上流側に、前記搬送車がそれぞれの前記停止地点で停止するために減速走行する区間である減速区間が設定され、
前記搬送車は、前記減速区間での前記減速走行中に前記通過許可を得られた場合には、前記減速走行から等速走行に移行した後に加速する、請求項3に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記第1経路及び前記第2経路のそれぞれにおける前記停止地点よりも上流側に、前記搬送車がそれぞれの前記停止地点で停止するために減速走行する区間である第1減速区間と、前記第1減速区間の下流側に隣接して設定されて前記搬送車が等速走行する区間である等速区間と、前記等速区間の下流側に隣接して設定されて前記搬送車が前記停止地点に停止するまで減速走行する区間である第2減速区間と、が設定されている、請求項3に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
上位制御装置を備え、
前記走行経路が、複数の制御領域に区分され、
複数の前記制御領域のそれぞれに、単数又は複数の前記特定区間が含まれ、
複数の前記制御領域のそれぞれに対応して、前記区間制御装置が設けられ、
前記上位制御装置が複数の前記区間制御装置を制御するように構成され、
前記上位制御装置は、前記区間制御装置から問い合わせがあった場合、前記特定区間における前記搬送車の存否に基づいて、前記搬送車が前記第1通過地点又は前記第2通過地点を通過したか否かを判断する、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送車と、前記搬送車が走行する走行経路と、前記走行経路のうちの特定の区間である特定区間を走行する前記搬送車に通過許可を与えて当該搬送車の制御を行う区間制御装置と、を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送設備の一例が、搬送台車システムとして、特開2006-313463号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示された符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示されたシステムでは、搬送車(5)の走行経路の分岐部または合流部にロックポイントを設け、このようなロックポイントが設けられた区間(以下、「制御区間」という)を単位として、ロックポイントにおける搬送車(5)の通行の認否を判断している。
【0004】
搬送車(5)は、ロックポイントが設けられた制御区間への進入前に、ゾーンコントローラ(11)に対して、他の搬送車(5)の当該制御区間への進入の排斥を求めるブロッキング要求を行う。ゾーンコントローラ(11)は、ブロッキング要求を行った搬送車(5)に対して当該制御区間の通行を許可する場合は、ブロッキング許可を行い、他の搬送車(5)の通行を排斥する。ゾーンコントローラ(11)は、搬送車(5)の通行後は、当該制御区間におけるブロッキングを解除して、他の搬送車(5)を受け入れ可能な状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示されたシステムでは、ロックポイントにおける搬送車(5)の通行の認否を制御区間単位で判断しているため、1つの制御区間に同時に複数の搬送車(5)が存在し得ない。そのため、当該制御区間における搬送車の通行の効率が低く、同様の制御区間が多数存在する場合には、物品搬送設備の全体として搬送効率を高めることに限界があった。
【0007】
上記実状に鑑みて、走行経路の分岐部または合流部を含む区間における搬送車の通行を効率的に行うことにより、物品搬送設備の全体としての搬送効率を高めることができる技術の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
物品を搬送する搬送車と、
前記搬送車が走行する走行経路と、
前記走行経路のうちの特定の区間である特定区間を走行する前記搬送車に通過許可を与えて当該搬送車の制御を行う区間制御装置と、を備えた物品搬送設備であって、
前記特定区間には、互いに交差しない第1経路及び第2経路と、前記第1経路における第1接続部と前記第2経路における第2接続部とを接続する接続経路と、が含まれ、
前記第1経路及び前記第2経路のそれぞれは、上流側から下流側へ向かって一方向に前記搬送車が走行する経路であり、
前記第1経路における前記第1接続部よりも下流側に、第1通過地点が設定され、
前記第2経路における前記第2接続部よりも下流側に、第2通過地点が設定され、
前記搬送車は、前記第1接続部を通って前記第1経路に沿って走行する場合には、前記第1接続部よりも上流側において、前記第1通過地点を通過するための前記通過許可である第1通過許可を前記区間制御装置に求め、前記第1通過許可が得られた場合には前記第1接続部を通過して前記第1通過地点へ向かい、前記第1通過許可が得られない場合には前記第1接続部よりも上流側で停止し、
前記搬送車は、前記第2接続部を通って前記第2経路に沿って走行する場合には、前記第2接続部よりも上流側において、前記第2通過地点を通過するための前記通過許可である第2通過許可を前記区間制御装置に求め、前記第2通過許可が得られた場合には前記第2接続部を通過して前記第2通過地点へ向かい、前記第2通過許可が得られない場合には前記第2接続部よりも上流側で停止し、
前記区間制御装置は、前記第1通過許可を前記搬送車に与えた場合には、当該第1通過許可にかかる前記第1通過地点を当該搬送車に占有させ、前記第2通過許可を前記搬送車に与えた場合には、当該第2通過許可にかかる前記第2通過地点を当該搬送車に占有させ、
前記搬送車は、前記第1経路又は前記第2経路から前記接続経路へ走行しようとする場合には、前記第1通過許可及び前記第2通過許可の双方を前記区間制御装置に求め、
前記区間制御装置は、前記第1通過許可及び前記第2通過許可の双方を前記搬送車から求められた場合には、前記第1通過地点及び前記第2通過地点の双方が先行する他の前記搬送車によって占有されていない非占有状態であることを条件として、前記第1経路又は前記第2経路から前記接続経路への前記搬送車の走行を許可すると共に、走行を許可した当該搬送車に前記第1通過地点及び前記第2通過地点の双方を占有させる。
【0009】
上記のような特定区間では、第1経路と第2経路とが互いに交差しないため、接続経路を通行する搬送車が存在しない場合には、第1経路と第2経路とをそれぞれ別の搬送車が同時に通行することが可能である。本構成によれば、第1経路に設けられた第1通過地点と第2経路に設けられた第2通過地点とで、搬送車の通行の認否を個別に判断することができる。従って、複数の搬送車がそれぞれ接続経路を通行せずに第1経路又は第2経路を通行する場合には、それら複数の搬送車に第1経路と第2経路とを同時に走行させることができる。そのため、特定区間全体で搬送車の通行の認否を判断する場合に比べて、特定区間における搬送車の通行を効率的に行うことが可能となる。一方、搬送車が接続経路を介して第1経路から第2経路へ走行或いは第2経路から第1経路へ走行する場合には、区間制御装置は、第1通過地点及び第2通過地点の双方が他の搬送車によって占有されていない非占有状態であることを条件として、搬送車の走行を許可すると共に、走行を許可した当該搬送車に第1通過地点及び第2通過地点の双方を占有させる。これにより、特定区間において複数の搬送車が互いに干渉することを回避できる。以上により、複数の搬送車が互いに干渉することを回避しつつ、物品搬送設備の全体としての搬送効率を高めることができる。
【0010】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図6】搬送車が第1経路に沿って走行する場合の説明図
【
図7】搬送車が第2経路に沿って走行する場合の説明図
【
図8】搬送車が接続経路を介して第1経路から第2経路を走行する場合の説明図
【
図9】停止地点の上流側における搬送車の速度変化を示す図
【
図10】搬送車が減速走行中に通過許可を得られた場合の当該搬送車の速度変化を示す図
【
図11】搬送車が等速走行中に通過許可を得られた場合の当該搬送車の速度変化を示す図
【
図12】その他の実施形態に係る特定区間を示す平面図
【
図13】その他の実施形態に係る特定区間を示す平面図
【
図14】その他の実施形態に係る特定区間を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、物品搬送設備の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1及び
図2に示すように、物品搬送設備100は、物品を搬送する搬送車Vと、搬送車Vが走行する走行経路Rと、走行経路Rのうちの特定の区間である特定区間Za(
図3参照)を走行する搬送車Vに通過許可Sp(
図5等参照)を与えて搬送車Vの制御を行う区間制御装置Czと、を備えている。
【0014】
本実施形態では、走行経路Rが、複数の制御領域Zに区分されている。複数の制御領域Zのそれぞれに、単数又は複数の特定区間Za(
図3参照)が含まれている。そして、複数の制御領域Zのそれぞれに対応して、区間制御装置Czが設けられている。本例では、各区間制御装置Czは、自らが担当する制御領域Zにおいて搬送車Vを制御するように構成されている。より詳細には、各区間制御装置Czは、自らが担当する制御領域Zに設けられた特定区間Za(
図3参照)を搬送車Vが通過しようとする場合に、当該搬送車Vの通過の認否を判断するように構成されている。
【0015】
本実施形態では、物品搬送設備100は、上位制御装置Ctを備えている。上位制御装置Ctは、複数の区間制御装置Czを制御するように構成されている。搬送車Vと複数の区間制御装置Czと上位制御装置Ctとは、互いに通信可能に構成されている。
【0016】
本実施形態では、物品搬送設備100は、搬送車Vを複数備えている。複数の搬送車Vのそれぞれは、上位制御装置Ctから与えられた搬送指令に基づいて自らのタスクを実行するように構成されている。搬送車Vとしては、床面に沿って走行する無人搬送車や、天井付近を走行する天井搬送車などを例示することができる。
【0017】
物品搬送設備100で取り扱われる物品としては、様々なものがある。例えば、物品搬送設備100が半導体製造工場に用いられる場合には、ウェハを収容するウェハ収容容器(いわゆるFOUP:Front Opening Unified Pod)や、レチクルを収容するレチクル収容容器(いわゆるレチクルポッド)などが、物品とされる。この場合、搬送車Vは、ウェハ収容容器やレチクル収容容器などの物品を、走行経路Rに沿って各工程間に亘って搬送する。
【0018】
上位制御装置Ctは、複数の搬送車Vおよび複数の区間制御装置Czを制御するように構成されている。例えば、上位制御装置Ctは、各搬送車Vに対して、物品の搬送元と搬送先とを指定した搬送指令を行うように構成されている。上位制御装置Ctは、各搬送車Vと通信可能に構成されており、各搬送車Vから現在位置情報Iv(
図4参照)を受け取ることにより、各搬送車Vの現在位置を把握可能となっている。すなわち、上位制御装置Ctは、各搬送車Vの走行する予定の経路を把握可能となっている。また、上位制御装置Ctは、各区間制御装置Czと通信可能に構成されており、各区間制御装置Czから各制御領域Z又は各特定区間Zaに関する状況報告(交通状況などの報告)を受けることにより、各制御領域Z又は各特定区間Zaの状況を把握可能となっている。
【0019】
各区間制御装置Czは、自らが担当する制御領域Zの特定区間Zaにおいて、当該特定区間Zaを走行する搬送車Vの制御を行うように構成されている。具体的には、区間制御装置Czは、特定区間Zaにおいて複数の搬送車Vを互いに干渉しないように走行させる。例えば
図3は、特定区間Zaにおいて、当該特定区間Zaを2台の搬送車V(一方を第1搬送車V1、他方を第2搬送車V2とする。)が走行している状態を示している。区間制御装置Czは、第1搬送車V1と第2搬送車V2とが、特定区間Zaにおける同一の合流箇所を通過する予定である場合に、両者を異なるタイミングで通過させる。
図3に示す例では、区間制御装置Czは、第1搬送車V1を先に合流箇所を通過させ、第2搬送車V2を減速或いは停止させるなどして第1搬送車V1よりも後に合流箇所を通過させるように、両者の走行を制御している。後述するように、区間制御装置Czは、特定区間Zaを通過させる搬送車Vに対して、通過許可Sp(
図5等参照)を与えるように構成されている。
【0020】
上位制御装置Ct及び区間制御装置Czは、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各処理または各機能が実現される。物品搬送設備100は、これら上位制御装置Ct及び区間制御装置Czを少なくとも含む制御系を備えている。この制御系は、上位制御装置Ct及び区間制御装置Cz以外にも、他の制御装置を含んでいてもよい。
【0021】
図3に示すように、特定区間Zaには、互いに交差しない第1経路R1及び第2経路R2と、第1経路R1における第1接続部C1と第2経路R2における第2接続部C2とを接続する接続経路Rcと、が含まれる。第1経路R1及び第2経路R2のそれぞれは、上流側から下流側へ向かって一方向に搬送車Vが走行する経路である。
【0022】
本実施形態では、第1経路R1と第2経路R2とは、平面視で互いに並行状に配置されている。そして、これら第1経路R1と第2経路R2とを接続する接続経路Rcは、第1経路R1及び第2経路R2の双方に対して傾斜するように配置されている。すなわち本例では、第1経路R1と第2経路R2と接続経路Rcとが、平面視でN字状を成す経路となっている。
【0023】
特定区間Zaの終端、すなわち特定区間Zaの下流端には、搬送車Vが特定区間Zaを通過したことの目安となる通過地点Ppが設定されている。通過地点Ppは、第1通過地点Pp1と第2通過地点Pp2とを含む。第1経路R1における第1接続部C1よりも下流側には、第1通過地点Pp1が設定されている。第2経路R2における第2接続部C2よりも下流側には、第2通過地点Pp2が設定されている。すなわち本実施形態では、第1経路R1における第1接続部C1よりも下流側、及び第2経路R2における第2接続部C2よりも下流側のそれぞれに、搬送車Vが通過許可Sp(
図5等参照)を得られた場合に通過する通過地点Ppが設定されている。
【0024】
本実施形態では、特定区間Zaの始端、すなわち特定区間Zaの上流端には、搬送車Vが特定区間Zaの手前で停止する場合の目安となる停止地点Psが設定されている。停止地点Psは、第1停止地点Ps1と第2停止地点Ps2とを含む。第1経路R1における第1接続部C1よりも上流側には、第1停止地点Ps1が設定されている。第2経路R2における第2接続部C2よりも上流側には、第2停止地点Ps2が設定されている。すなわち本実施形態では、第1経路R1における第1接続部C1よりも上流側、及び第2経路R2における第2接続部C2よりも上流側のそれぞれに、搬送車Vが通過許可Sp(
図5等参照)を得られなかった場合に停止する停止地点Psが設定されている。
【0025】
本実施形態では、第1経路R1及び第2経路R2のそれぞれにおける停止地点Psよりも上流側に、搬送車Vがそれぞれの停止地点Psで停止するために減速走行する区間である減速区間Adが設定されている。搬送車Vが通過許可Spを得られずに停止地点Psで停止する場合には、減速区間Adにおいて減速走行をした後に停止地点Psで停止する。
【0026】
本実施形態では、減速区間Adに加えて等速区間Acが設定されている。すなわち、第1経路R1及び第2経路R2のそれぞれにおける停止地点Psよりも上流側に、搬送車Vがそれぞれの停止地点Psで停止するために等速走行する区間である等速区間Acが設定されている。搬送車Vが通過許可Spを得られずに停止地点Psで停止する場合には、等速区間Acでの等速走行および減速区間Adでの減速走行をした後に停止地点Psで停止する。停止地点Psに対して上流側に隣接する位置には減速区間Adが配置されるが、当該減速区間Adよりも更に上流側には、等速区間Acや他の減速区間Adが任意に配置されていてもよい。
【0027】
本実施形態では、減速区間Adは、第1減速区間Ad1と第2減速区間Ad2とを含む。
図3に示す例では、第1経路R1及び第2経路R2のそれぞれにおける停止地点Psよりも上流側に、搬送車Vがそれぞれの停止地点Psで停止するために減速走行する区間である第1減速区間Ad1と、第1減速区間Ad1の下流側に隣接して設定されて搬送車Vが等速走行する区間である等速区間Acと、等速区間Acの下流側に隣接して設定されて搬送車Vが停止地点Psに停止するまで減速走行する区間である第2減速区間Ad2と、が設定されている。そして、第2減速区間Ad2の下流側に隣接した位置に停止地点Psが設定されている。第2減速区間Ad2と停止地点Psとの間に、搬送車Vがクリープ走行(微速走行)するクリープ区間が設定されていてもよい。
【0028】
上述のように、区間制御装置Czは、特定区間Zaを通過させる搬送車Vに対して、通過許可Sp(
図5等参照)を与えるように構成されている。これにより、通過許可Spが得られた搬送車Vに特定区間Zaを通過させることができ、通過許可Spが得られなかった搬送車Vを特定区間Zaの上流側で停止させることができる。
【0029】
本実施形態では、区間制御装置Czから通過許可Spを得られた搬送車Vは、第1通過地点Pp1又は第2通過地点Pp2を通過した後、区間制御装置Czに対して通過完了通知Sc(
図5等参照)を行う。これにより、通過完了通知Scを受け取った区間制御装置Czは、次の搬送車Vを特定区間Zaに受け入れ可能な状態となる。
【0030】
ここで、通過許可Spを与えた搬送車Vから区間制御装置Czへのその後の応答(本例では通過完了通知Sc)がない場合がある。通信不良や故障等を原因としてこのようなことが起こり得る。区間制御装置Czにとっては、搬送車Vからの応答がない場合には、当該搬送車Vの存否が不明の状態に陥る。
【0031】
そこで
図4に示すように、本実施形態では、区間制御装置Czは、通過許可Spを与えた搬送車Vからその後の応答(通過完了通知Sc)がない場合には、上位制御装置Ctに対して問い合わせSiを行う。本例では、区間制御装置Czは、搬送車Vに通過許可Spを与えた後、予め定められた規定期間が経過するまでに当該搬送車Vから応答(通過完了通知Sc)がない場合に、上位制御装置Ctに問い合わせSiを行う。この「規定期間」は、特定区間Zaでの搬送車Vの走行距離や当該搬送車Vの走行速度などに基づいて適宜定められる。
【0032】
本実施形態では、上位制御装置Ctは、区間制御装置Czから問い合わせSiがあった場合、特定区間Zaにおける搬送車Vの存否に基づいて、搬送車Vが第1通過地点Pp1又は第2通過地点Pp2を通過したか否かを判断する。本例では、問い合わせSiを受けた上位制御装置Ctは、搬送車Vから取得した当該搬送車Vの現在位置情報Ivに基づいて特定区間Zaにおける搬送車Vの存否を確認し、確認結果について区間制御装置Czに回答Saを行う。回答Saを受けた区間制御装置Czは、当該回答Saにより取得した特定区間Zaにおける搬送車Vの存否に基づいて、特定区間Zaにおける搬送車Vの制御を継続する。上記構成により、搬送車Vから区間制御装置Czへの応答がない場合であっても、区間制御装置Czと上位制御装置Ctとの協働により、特定区間Zaにおける搬送車Vの制御を、より一層適切に行うことができる。本例では、上位制御装置Ctは、区間制御装置Czから問い合わせSiがあった場合のみ、上記のように搬送車Vが第1通過地点Pp1又は第2通過地点Pp2を通過したか否かを判断する。このように必要な場合にのみ区間制御装置Czと上位制御装置Ctとを連携させることで、上位制御装置Ctの処理負荷を軽減しつつ、特定区間Zaにおける搬送車Vの制御を適切に行うことができる。
【0033】
以下、特定区間Zaにおける制御について詳細に説明する。
【0034】
図5に示すように、搬送車Vは、特定区間Za、詳細には通過地点Ppを通過しようとする場合には、通過の許可を求めるための通過許可要求Srを行う(ステップ#1)。本実施形態では、搬送車Vは、特定区間Za(詳細には第1接続部C1又は第2接続部C2)よりも上流側において、区間制御装置Czに対して通過許可要求Srを行う。
【0035】
区間制御装置Czは、通過許可要求Srを行った搬送車Vに特定区間Zaを通過させることが可能と判断した場合には、当該通過許可要求Srにかかる通過地点Ppを、当該通過許可要求Srを行った搬送車Vに占有させるために登録し(ステップ#2)、それと同時に、当該搬送車Vに対して通過許可Spを行う(ステップ#3)。なお、区間制御装置Czは、通過許可要求Srにかかる通過地点Ppが、通過許可要求Srを行った搬送車Vに対して先行する他の搬送車Vによって占有された占有状態であるか、占有されていない非占有状態であるかを判断する。区間制御装置Czは、通過地点Ppが非占有状態である場合には、通過許可要求Srを行った搬送車Vに当該通過地点Ppを通過させることが可能と判断する。本例では、区間制御装置Czは、各通過地点Ppが占有状態であるか非占有状態であるかの占有状態情報を記憶する記憶部Mを備えている(
図2参照)。区間制御装置Czは、記憶部Mに記憶された占有状態情報に基づいて、搬送車Vに対して通過許可Spを行う。また、区間制御装置Czは、特定区間Zaの状況に応じて、記憶部Mに記憶された占有状態情報を随時更新するように構成されている。
【0036】
通過許可Spを得られた搬送車Vは、特定区間Za、詳細には通過地点Ppを通過し(ステップ#4)、通過が完了した後は区間制御装置Czに対して通過完了通知Scを行う(ステップ#5)。
【0037】
通過完了通知Scを受け取った区間制御装置Czは、当該通過完了通知Scを行った搬送車Vに占有させていた通過地点Ppの登録を解除する(ステップ#6)。これにより、登録解除を行った通過地点Ppが非占有状態となり、区間制御装置Czは、当該通過地点Ppに次の搬送車Vを受け入れ可能な状態となる。
【0038】
なお、上記の通過許可要求Sr、通過許可Sp、及び通過完了通知Scのそれぞれは、信号として、区間制御装置Czと搬送車Vとの間で送受信される。例えば、通過許可要求Srは、通過要求信号として送受信される。通過許可Spは、通過許可信号として送受信される。通過完了通知Scは、通過完了信号として送受信される。なお、通過要求信号は、搬送車Vが通過地点Ppを通過することが区間制御装置Czの側で認識できる態様のものであればよい。通過要求信号としては、例えば、通過地点Ppの通過を求める旨の信号や、通過地点Ppの占有を求める旨の信号など、様々なものが考えられる。
【0039】
図6~
図8は、搬送車Vが、区間制御装置Czの制御によって特定区間Zaを通過する例を示している。
図6は、搬送車Vが第1接続部C1を通って第1経路R1に沿って走行する場合を、例1として示している。
図7は、搬送車Vが第2接続部C2を通って第2経路R2に沿って走行する場合を、例2として示している。
図8は、搬送車Vが接続経路Rcを介して第1経路R1から第2経路R2を走行する場合を、例3として示している。
【0040】
〔例1〕
図6に示すように、搬送車Vは、第1接続部C1を通って第1経路R1に沿って走行する場合には、第1接続部C1よりも上流側において、第1通過地点Pp1を通過するための通過許可Spである第1通過許可Sp1を区間制御装置Czに求める。本例では、搬送車Vは、第1経路R1において第1停止地点Ps1よりも上流側を走行中に、区間制御装置Czに対して第1通過許可Sp1を求める。そして、搬送車Vは、第1通過許可Sp1が得られた場合には第1接続部C1を通過して第1通過地点Pp1へ向かい、第1通過許可Sp1が得られない場合には第1接続部C1よりも上流側で停止する。
【0041】
図6(a)に示すように、本実施形態では、搬送車Vは、第1通過地点Pp1を通過しようとする場合には、区間制御装置Czに対して第1通過許可要求Sr1を行う。搬送車Vから第1通過許可要求Sr1を受けた区間制御装置Czは、先行する他の搬送車Vによって当該第1通過地点Pp1が占有されているか否かを確認し、占有されていない場合には、第1通過許可要求Sr1を行った搬送車Vに第1通過地点Pp1を通過させることが可能と判断する。すなわち、区間制御装置Czは、第1通過地点Pp1が占有状態であるか非占有状態であるかを判断し、非占有状態である場合に、搬送車Vに第1通過地点Pp1を通過させることが可能と判断する。そして、区間制御装置Czは、第1通過許可要求Sr1を行った搬送車Vに対して第1通過許可Sp1を行う。
【0042】
本実施形態では、区間制御装置Czは、第1通過許可Sp1を搬送車Vに与えた場合には、当該第1通過許可Sp1にかかる第1通過地点Pp1を当該搬送車Vに占有させる。これにより、当該搬送車Vのために第1通過地点Pp1が占有状態となる。本例では、区間制御装置Czは、第1通過許可Sp1にかかる第1通過地点Pp1を搬送車Vに占有させるために、当該第1通過地点Pp1を登録する。これにより、区間制御装置Czは、他の搬送車Vを排斥し、当該他の搬送車Vが第1通過地点Pp1を通過できないようにする。
【0043】
図6(b)に示すように、本実施形態では、搬送車Vは、第1通過地点Pp1を通過した後、区間制御装置Czに対して通過完了通知Scを行う。区間制御装置Czは、搬送車Vから通過完了通知Scを受け取った後、当該通過完了通知Scにかかる第1通過地点Pp1について当該搬送車Vによる占有を解除する。これにより、第1通過地点Pp1が非占有状態となる。本例では、通過完了通知Scを受け取った区間制御装置Czは、当該通過完了通知Scを行った搬送車Vに占有させていた第1通過地点Pp1の登録を解除する。これにより、第1通過地点Pp1について、搬送車Vによる占有が解除され、他の搬送車Vを受け入れ可能な状態となる。
【0044】
〔例2〕
図7に示すように、搬送車Vは、第2接続部C2を通って第2経路R2に沿って走行する場合には、第2接続部C2よりも上流側において、第2通過地点Pp2を通過するための通過許可Spである第2通過許可Sp2を区間制御装置Czに求める。本例では、搬送車Vは、第2経路R2において第2停止地点Ps2よりも上流側を走行中に、区間制御装置Czに対して第2通過許可Sp2を求める。そして、搬送車Vは、第2通過許可Sp2が得られた場合には第2接続部C2を通過して第2通過地点Pp2へ向かい、第2通過許可Sp2が得られない場合には第2接続部C2よりも上流側で停止する。
【0045】
図7(a)に示すように、本実施形態では、搬送車Vは、第2通過地点Pp2を通過しようとする場合には、区間制御装置Czに対して第2通過許可要求Sr2を行う。搬送車Vから第2通過許可要求Sr2を受けた区間制御装置Czは、先行する他の搬送車Vによって当該第2通過地点Pp2が占有されているか否かを確認し、占有されていない場合には、第2通過許可要求Sr2を行った搬送車Vに第2通過地点Pp2を通過させることが可能と判断する。すなわち、区間制御装置Czは、第2通過地点Pp2が占有状態であるか非占有状態であるかを判断し、非占有状態である場合に、搬送車Vに第2通過地点Pp2を通過させることが可能と判断する。そして、区間制御装置Czは、第2通過許可要求Sr2を行った搬送車Vに対して第2通過許可Sp2を行う。
【0046】
本実施形態では、区間制御装置Czは、第2通過許可Sp2を搬送車Vに与えた場合には、当該第2通過許可Sp2にかかる第2通過地点Pp2を当該搬送車Vに占有させる。これにより、当該搬送車Vのために第2通過地点Pp2が占有状態となる。本例では、区間制御装置Czは、第2通過許可Sp2にかかる第2通過地点Pp2を搬送車Vに占有させるために、当該第2通過地点Pp2を登録する。これにより、区間制御装置Czは、他の搬送車Vを排斥し、当該他の搬送車Vが第2通過地点Pp2を通過できないようにする。
【0047】
図7(b)に示すように、本実施形態では、搬送車Vは、第2通過地点Pp2を通過した後、区間制御装置Czに対して通過完了通知Scを行う。区間制御装置Czは、搬送車Vから通過完了通知Scを受け取った後、当該通過完了通知Scにかかる第2通過地点Pp2について当該搬送車Vによる占有を解除する。これにより、第2通過地点Pp2が非占有状態となる。本例では、通過完了通知Scを受け取った区間制御装置Czは、当該通過完了通知Scを行った搬送車Vに占有させていた第2通過地点Pp2の登録を解除する。これにより、第2通過地点Pp2について、搬送車Vによる占有が解除され、他の搬送車Vを受け入れ可能な状態となる。
【0048】
〔例3〕
図8に示すように、搬送車Vは、第1経路R1又は第2経路R2から接続経路Rcを走行する場合には、第1接続部C1又は第2接続部C2よりも上流側において、第1通過許可Sp1及び第2通過許可Sp2の双方を区間制御装置Czに求める。区間制御装置Czは、第1経路R1又は第2経路R2から接続経路Rcへの走行の許可が搬送車Vから求められた場合には、第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2の双方が先行する他の搬送車Vによって占有されていない非占有状態であることを条件として、第1経路R1又は第2経路R2から接続経路Rcへの搬送車Vの走行を許可すると共に、走行を許可した当該搬送車Vに第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2の双方を占有させる。
【0049】
図8では、搬送車Vが第1経路R1から接続経路Rcを通って第2経路R2の第2通過地点Pp2を通過しようとする場合を例示している。
図8において、搬送車Vは、区間制御装置Czに対して、第1通過許可Sp1を求めるための第1通過許可要求Sr1、及び第2通過許可Sp2を求めるための第2通過許可要求Sr2を行っている。搬送車Vは、第1接続部C1よりも上流側において、第1通過許可要求Sr1及び第2通過許可要求Sr2を行っている。そして、区間制御装置Czは、第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2の双方が非占有状態であることを条件として、第1通過許可要求Sr1及び第2通過許可要求Sr2を行った搬送車Vに対して第1通過許可Sp1及び第2通過許可Sp2を与える。なお、区間制御装置Czは、第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2の少なくとも一方が、先行する他の搬送車Vによって占有されている占有状態である場合には、通過許可Spを求めた搬送車Vの走行を却下する(許可しない)。この場合、走行を却下された搬送車Vは、接続経路Rcよりも上流側で停止する。本例では、搬送車Vは、第1接続部C1の上流側で停止する。
【0050】
図8(a)に例示するように、搬送車Vは、第1経路R1から接続経路Rcを走行して第2通過地点Pp2を通過しようとする場合には、区間制御装置Czに対して第1通過許可要求Sr1及び第2通過許可要求Sr2を行う。搬送車Vから第1通過許可要求Sr1及び第2通過許可要求Sr2を受けた区間制御装置Czは、第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2の双方が、先行する他の搬送車Vによって占有されているか否かを確認し、占有されていない場合には、搬送車Vに第2通過地点Pp2を通過させることが可能と判断する。すなわち、区間制御装置Czは、第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2の双方が占有状態であるか非占有状態であるかを判断し、双方が非占有状態である場合に、搬送車Vに第2通過地点Pp2を通過させることが可能と判断する。そして、区間制御装置Czは、第1通過許可要求Sr1及び第2通過許可要求Sr2を行った搬送車Vに対して、第1通過許可Sp1及び第2通過許可Sp2を行う。なお、搬送車Vは、第2経路R2から接続経路Rcを走行して第1通過地点Pp1を通過しようとする場合についても同様に、第1通過許可要求Sr1及び第2通過許可要求Sr2を行う。そして、区間制御装置Czは、第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2の双方が占有状態であるか非占有状態であるかを判断し、双方が非占有状態である場合には、第1通過許可要求Sr1及び第2通過許可要求Sr2を行った搬送車Vに対して、第1通過許可Sp1及び第2通過許可Sp2を行う。
【0051】
図8(b)に例示するように、搬送車Vは、第1経路R1から接続経路Rcを走行して第2経路R2における第2通過地点Pp2を通過した後、区間制御装置Czに対して通過完了通知Scを行う。本実施形態では、区間制御装置Czは、当該搬送車Vから通過完了通知Scを受け取った後、第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2のそれぞれについて当該搬送車Vによる占有を解除する。これにより、第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2のそれぞれが非占有状態となる。本例では、通過完了通知Scを受け取った区間制御装置Czは、当該通過完了通知Scを行った搬送車Vに占有させていた第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2のそれぞれの登録を解除する。これにより、第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2のそれぞれについて、搬送車Vによる占有が解除され、他の搬送車Vを受け入れ可能な状態となる。なお、搬送車Vは、第2経路R2から接続経路Rcを走行して第1経路R1における第1通過地点Pp1を通過した後についても同様に、区間制御装置Czに対して通過完了通知Scを行う。そして、区間制御装置Czは、当該搬送車Vから通過完了通知Scを受け取った後、第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2のそれぞれについて当該搬送車Vによる占有を解除する。
【0052】
このように、搬送車Vは、分岐合流箇所を第1経路R1に沿って走行する場合には第1通過地点Pp1の通過の許可である第1通過許可Sp1のみを区間制御装置Czに求め、分岐合流箇所を第2経路R2に沿って走行する場合には第2通過地点Pp2の通過の許可である第2通過許可Sp2のみを区間制御装置Czに求める。区間制御装置Czは、許可を求められた通過地点Ppが非占有状態であることを条件として、許可を求めた搬送車Vに対して当該通過地点Ppを占有させる。このような構成により、複数の搬送車Vがそれぞれ接続経路Rcを通行せずに第1経路R1又は第2経路R2を走行する場合には、それら複数の搬送車Vに第1経路R1と第2経路R2とを同時に走行させることができる。そのため、特定区間Za全体で搬送車Vの通過の認否を判断する場合に比べて、特定区間Zaにおける搬送車Vの通行を効率的に行うことが可能となる。
【0053】
そして、搬送車Vは、接続経路Rcを通って、自らが走行する経路を第1経路R1と第2経路R2との間で変更する場合には、第1通過地点Pp1又は第2通過地点Pp2を通過することになり、区間制御装置Czに対して、第1通過許可Sp1及び第2通過許可Sp2の双方を求める。この場合、区間制御装置Czは、第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2の双方が非占有状態であることを条件として、許可を求めた搬送車Vの走行を許可すると共に当該搬送車に第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2の双方を占有させる。このような構成により、特定区間Zaにおいて複数の搬送車Vが互いに干渉することを回避し易い。
【0054】
より詳細に説明すると、本実施形態では、区間制御装置Czは、搬送車Vに対して通過許可Spを与えた後は、当該搬送車Vから通過完了通知Scを受けるまで、当該搬送車Vの位置を把握できない構成となっている。そのため、例えば、第1経路R1から接続経路Rcを通って第2経路R2を走行する予定の搬送車Vが、区間制御装置Czから通過許可Spを得られた後に、何らかの理由により途中で停止した場合であっても、区間制御装置Czは搬送車Vの停止位置を把握することはできない。搬送車Vの停止位置が、第1接続部C1上、或いは第1接続部C1よりも上流側の第1経路R1上である場合には、後続の他の搬送車Vに第1経路R1を走行させると、停止した搬送車Vと干渉することになる。また、搬送車Vの停止位置が、接続経路Rcにおける第1接続部C1に近い位置である場合にも、後続の他の搬送車Vと停止した搬送車Vとが干渉し得る。従って、搬送車Vが接続経路Rcを通ることにより、第1経路R1及び第2経路R2の双方に関与する場合には、目的の通過地点Ppが第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2の何れか一方であっても、第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2の双方を占有する必要がある。本構成によれば、上記の場合には、第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2の双方を搬送車Vに占有させるため、当該搬送車Vが途中で停止するような事態が起きても、後続の他の搬送車Vを停止地点Psで停止させておくことができる。従って、複数の搬送車Vが干渉することを回避できる。
【0055】
ここで、上述のように、本実施形態では、第1経路R1及び第2経路R2のそれぞれにおける停止地点Psよりも上流側に、搬送車Vがそれぞれの停止地点Psで停止するために減速走行する区間である減速区間Adが設定されている。本例では、減速区間Adとして、上流側から下流側に向かって順番に第1減速区間Ad1と第2減速区間Ad2とが設定されている。更に、第1減速区間Ad1と第2減速区間Ad2との走行経路Rの間には、等速区間Acが設定されている。
【0056】
図9に示すように、本実施形態では、減速区間Adにおける搬送車Vの減速度が一定となっている。本例では、第1減速区間Ad1における搬送車Vの減速度と、第2減速区間Ad2における搬送車Vの減速度とが、一定となるように設定されている。このような構成により、搬送車Vの減速制御を簡略化し易い。このような減速制御は、搬送車Vが減速区間Adを走行する場合の他、例えば、目的地となる移載対象箇所で停止する場合や、カーブ路を走行する場合にも用いられる。
【0057】
本実施形態では、搬送車Vは、減速区間Adよりも上流側、或いは減速区間Adにおいて、区間制御装置Czに対して通過許可要求Srを行う。搬送車Vは、減速区間Adよりも上流側で区間制御装置Czから通過許可Spを得られた場合には、減速走行することなく、現状の走行速度を維持して走行する。搬送車Vは、減速区間Adまでに通過許可Spを得られなかった場合には減速走行を開始し、更に、停止地点Psまでに通過許可Spを得られなかった場合には停止する。上述のように、本実施形態では、減速区間Adの他にも、搬送車Vが等速走行する等速区間Acが設定されているため、搬送車Vが完全に停止するまでの時間が比較的長く確保される。そして、搬送車Vは、完全に停止するまでの間に通過許可Spを得られれば、停止することなく走行を継続できる。
【0058】
しかしながら、例えば先行の他の搬送車Vが特定区間Zaに存在している場合など、他の搬送車Vとの関係で、区間制御装置Czからすぐに通過許可Spを得られない場合がある。この場合には、搬送車Vは、停止地点Psにおいて停止することを前提として、第1減速区間Ad1において減速走行し、等速区間Acにおいて等速走行し、更に第2減速区間Ad2において減速走行する。そして、搬送車Vは、このように第1減速区間Ad1、等速区間Ac、及び第2減速区間Ad2の走行中に、区間制御装置Czからの通過許可Spを待つ。
【0059】
図10に示すように、搬送車Vは、減速区間Adでの減速走行中に通過許可Spを得られた場合には、減速走行から等速走行に移行した後に加速する。図示の例では、搬送車Vは、第1減速区間Ad1の走行中に通過許可Spを得られた場合に、第1減速区間Ad1での減速走行から等速走行に移行し、等速走行をした後に加速して、第1減速区間Ad1に進入する前の走行速度で走行する。このように、搬送車Vは、減速走行中に通過許可Spを得られた場合でも直ちに加速することなく、一旦等速走行を行ってから加速する。これにより、搬送車Vに搭載されたモータ等の走行駆動源の負担を軽減することができる。また、搬送車Vによって搬送されている物品に作用する振動を低減することもできる。詳細な図示は省略するが、搬送車Vは、第2減速区間Ad2の走行中に通過許可Spを得られた場合であっても同様に、等速走行に移行した後に加速する。
【0060】
図11に示すように、搬送車Vは、等速区間Acでの等速走行中に通過許可Spを得られた場合には、通過許可Spを得られた直後に加速する。図示の例では、搬送車Vは、第1減速区間Ad1において減速走行を行った後、等速区間Acにおいて等速走行中に通過許可Spを得られた場合に、通過許可Spを得られた直後に加速して、第1減速区間Ad1に進入する前の走行速度で走行する。このように、搬送車Vは、減速走行中ではなく、等速走行中に通過許可Spを得られた場合には、直ちに加速することで、目的地までの所要時間を短縮することが可能となる。なお、等速走行から加速走行への移行は、減速走行から加速走行に移行する場合に比べてモータ等の走行駆動源の負担は小さい。
【0061】
〔その他の実施形態〕
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0062】
(1)上記の実施形態では、第1経路R1と第2経路R2と接続経路Rcとが、平面視でN字状を成す経路となっている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、互いに並行状に配置された第1経路R1及び第2経路R2のそれぞれに対して、平面視で直交するように接続経路Rcが配置されていてもよい。この場合、第1経路R1と第2経路R2と接続経路Rcとが、平面視でH字状を成す経路となる。更に、上記のような例に限定されることなく、特定区間Zaは任意に設定することができ、接続経路Rcが第1経路R1及び第2経路R2のそれぞれに対して交わる部分であれば、走行経路Rにおける何れの部分が特定区間Zaとされていてもよい。また、例えば
図12~
図14に示すように、接続経路Rcが、第1経路R1及び第2経路R2のそれぞれに対して任意の角度で交わっていてもよいし、3つの経路の少なくとも1つが湾曲していてもよい。また、複数の接続経路Rcが、第1経路R1及び第2経路R2に対して接続されていてもよい。例えば
図14に示すように、走行経路Rにおける複数のベイ(工程内経路)が接続される部分(工程間経路)に、上記のような構成の特定区間Zaが設定されていてもよい。
【0063】
(2)上記の実施形態では、走行経路Rにおける停止地点Psよりも上流側に、減速区間Adに加えて、等速区間Acが設定されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、等速区間Acは設定されていなくてもよい。この場合には、停止地点Psに対して上流側に隣接する位置に、連続した減速区間Adが設定されているとよい。
【0064】
(3)上記の実施形態では、区間制御装置Czが、通過許可要求Srにかかる通過地点Ppを、当該通過許可要求Srを行った搬送車Vに占有させるために登録するのと同時に、当該搬送車Vに対して通過許可Spを行う例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、区間制御装置Czによる通過地点Ppの登録と搬送車Vへの通過許可Spとは、時間的に前後していてもよい。この場合、通過地点Ppの登録を先に行い、搬送車Vへの通過許可Spを後に行ってもよい。或いは、それとは反対に、搬送車Vへの通過許可Spを先に行い、通過地点Ppの登録を後に行ってもよい。
【0065】
(4)上記の実施形態では、通過許可要求Sr、通過許可Sp、及び通過完了通知Scのそれぞれが、信号として、区間制御装置Czと搬送車Vとの間で送受信される例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、上記の各信号は、上位制御装置Ctを介して、区間制御装置Czと搬送車Vとの間で送受信されてもよい。
【0066】
(5)上記の実施形態では、搬送車Vは、第1接続部C1を通って第1経路R1に沿って走行する場合には第1通過許可Sp1を区間制御装置Czに求め、第2接続部C2を通って第2経路R2に沿って走行する場合には第2通過許可Sp2を区間制御装置Czに求め、接続経路Rcを走行する場合には第1通過許可Sp1及び第2通過許可Sp2の双方を区間制御装置Czに求める例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1通過許可Sp1と第2通過許可Sp2とは、区別されるものでなくてもよい。この場合、搬送車Vは、何れの経路を走行する場合であっても、単に通過許可Spを区間制御装置Czに求める。区間制御装置Czは、搬送車Vが走行する予定の経路を把握している上位制御装置Ctから当該経路の情報を取得し、その情報に基づいて、第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2の何れか又は双方を占有するように構成されていてもよい。すなわち、通過許可Spを求めた搬送車Vが第1通過地点Pp1を走行する予定である場合には、区間制御装置Czは、上位制御装置Ctを介して、当該予定を把握することができる。従って、この場合、区間制御装置Czは、当該搬送車Vに第1通過地点Pp1を占有させる。通過許可Spを求めた搬送車Vが第2通過地点Pp2を走行する予定である場合には、区間制御装置Czは、当該搬送車Vに第2通過地点Pp2を占有させる。通過許可Spを求めた搬送車Vが接続経路Rcを走行する予定である場合には、区間制御装置Czは、当該搬送車Vに第1通過地点Pp1及び第2通過地点Pp2を占有させる。
【0067】
(6)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0068】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送設備について説明する。
【0069】
物品を搬送する搬送車と、
前記搬送車が走行する走行経路と、
前記走行経路のうちの特定の区間である特定区間を走行する前記搬送車に通過許可を与えて当該搬送車の制御を行う区間制御装置と、を備えた物品搬送設備であって、
前記特定区間には、互いに交差しない第1経路及び第2経路と、前記第1経路における第1接続部と前記第2経路における第2接続部とを接続する接続経路と、が含まれ、
前記第1経路及び前記第2経路のそれぞれは、上流側から下流側へ向かって一方向に前記搬送車が走行する経路であり、
前記第1経路における前記第1接続部よりも下流側に、第1通過地点が設定され、
前記第2経路における前記第2接続部よりも下流側に、第2通過地点が設定され、
前記搬送車は、前記第1接続部を通って前記第1経路に沿って走行する場合には、前記第1接続部よりも上流側において、前記第1通過地点を通過するための前記通過許可である第1通過許可を前記区間制御装置に求め、前記第1通過許可が得られた場合には前記第1接続部を通過して前記第1通過地点へ向かい、前記第1通過許可が得られない場合には前記第1接続部よりも上流側で停止し、
前記搬送車は、前記第2接続部を通って前記第2経路に沿って走行する場合には、前記第2接続部よりも上流側において、前記第2通過地点を通過するための前記通過許可である第2通過許可を前記区間制御装置に求め、前記第2通過許可が得られた場合には前記第2接続部を通過して前記第2通過地点へ向かい、前記第2通過許可が得られない場合には前記第2接続部よりも上流側で停止し、
前記区間制御装置は、前記第1通過許可を前記搬送車に与えた場合には、当該第1通過許可にかかる前記第1通過地点を当該搬送車に占有させ、前記第2通過許可を前記搬送車に与えた場合には、当該第2通過許可にかかる前記第2通過地点を当該搬送車に占有させ、
前記搬送車は、前記第1経路又は前記第2経路から前記接続経路へ走行しようとする場合には、前記第1通過許可及び前記第2通過許可の双方を前記区間制御装置に求め、
前記区間制御装置は、前記第1通過許可及び前記第2通過許可の双方を前記搬送車から求められた場合には、前記第1通過地点及び前記第2通過地点の双方が先行する他の前記搬送車によって占有されていない非占有状態であることを条件として、前記第1経路又は前記第2経路から前記接続経路への前記搬送車の走行を許可すると共に、走行を許可した当該搬送車に前記第1通過地点及び前記第2通過地点の双方を占有させる。
【0070】
上記のような特定区間では、第1経路と第2経路とが互いに交差しないため、接続経路を通行する搬送車が存在しない場合には、第1経路と第2経路とをそれぞれ別の搬送車が同時に通行することが可能である。本構成によれば、第1経路に設けられた第1通過地点と第2経路に設けられた第2通過地点とで、搬送車の通行の認否を個別に判断することができる。従って、複数の搬送車がそれぞれ接続経路を通行せずに第1経路又は第2経路を通行する場合には、それら複数の搬送車に第1経路と第2経路とを同時に走行させることができる。そのため、特定区間全体で搬送車の通行の認否を判断する場合に比べて、特定区間における搬送車の通行を効率的に行うことが可能となる。一方、搬送車が接続経路を介して第1経路から第2経路へ走行或いは第2経路から第1経路へ走行する場合には、区間制御装置は、第1通過地点及び第2通過地点の双方が先行する他の搬送車によって占有されていない非占有状態であることを条件として、搬送車の走行を許可すると共に、走行を許可した当該搬送車に第1通過地点及び第2通過地点の双方を占有させる。これにより、特定区間において複数の搬送車が互いに干渉することを回避できる。以上により、複数の搬送車が互いに干渉することを回避しつつ、物品搬送設備の全体としての搬送効率を高めることができる。
【0071】
前記搬送車は、前記第1通過地点又は前記第2通過地点を通過した後、前記区間制御装置に対して通過完了通知を行い、
前記区間制御装置は、前記搬送車から前記通過完了通知を受け取った後、当該通過完了通知にかかる前記第1通過地点又は前記第2通過地点について当該搬送車による占有を解除する、と好適である。
【0072】
本構成によれば、区間制御装置は、搬送車から通過完了通知を受け取った後、当該通過完了通知にかかる第1通過地点又は第2通過地点について当該搬送車による占有を解除する。そのため、後続の他の搬送車を第1通過地点又は第2通過地点に受け入れ可能な状態とすることができる。
【0073】
前記第1経路における前記第1接続部よりも上流側、及び前記第2経路における前記第2接続部よりも上流側のそれぞれに、前記搬送車が前記通過許可を得られなかった場合に停止する停止地点が設定され、
前記搬送車は、前記第1経路及び前記第2経路のそれぞれにおいて前記停止地点よりも上流側を走行中に、前記区間制御装置に対して前記第1通過許可又は前記第2通過許可を求める、と好適である。
【0074】
本構成によれば、搬送車は、停止地点に到達するまでに通過許可を得られなかった場合には当該停止地点で停止し、停止地点よりも上流側で通過許可を得られた場合には停止することなく走行を継続することができる。従って、特定区間における搬送車の通行の効率を更に高めることが可能となる。
【0075】
前記第1経路及び前記第2経路のそれぞれにおける前記停止地点よりも上流側に、前記搬送車がそれぞれの前記停止地点で停止するために減速走行する区間である減速区間が設定され、
前記搬送車は、前記減速区間での前記減速走行中に前記通過許可を得られた場合には、前記減速走行から等速走行に移行した後に加速する、と好適である。
【0076】
本構成によれば、搬送車が、減速区間において減速走行中に通過許可を得られた場合に、直ちに加速するのではなく、一旦等速走行を行った後に加速するため、モータ等の走行駆動源の負担を軽減することができる。
【0077】
前記第1経路及び前記第2経路のそれぞれにおける前記停止地点よりも上流側に、前記搬送車がそれぞれの前記停止地点で停止するために減速走行する区間である第1減速区間と、前記第1減速区間の下流側に隣接して設定されて前記搬送車が等速走行する区間である等速区間と、前記等速区間の下流側に隣接して設定されて前記搬送車が前記停止地点に停止するまで減速走行する区間である第2減速区間と、が設定されている、と好適である。
【0078】
本構成によれば、搬送車は、停止地点で停止しようとする場合には、第1減速区間で減速走行し、等速区間で等速走行し、その後に第2減速区間で減速走行する。このように、搬送車が停止地点で停止するまでの間に、搬送車が等速走行を行うための等速区間が設定されているため、搬送車が完全に停止するまでの時間が比較的長く確保される。そして、搬送車は、完全に停止するまでの間に通過許可を得られれば、その後停止することなく走行を継続できる。従って、搬送効率の向上に寄与できる。
【0079】
上位制御装置を備え、
前記走行経路が、複数の制御領域に区分され、
複数の前記制御領域のそれぞれに、単数又は複数の前記特定区間が含まれ、
複数の前記制御領域のそれぞれに対応して、前記区間制御装置が設けられ、
前記上位制御装置が複数の前記区間制御装置を制御するように構成され、
前記上位制御装置は、前記区間制御装置から問い合わせがあった場合、前記特定区間における前記搬送車の存否に基づいて、前記搬送車が前記第1通過地点又は前記第2通過地点を通過したか否かを判断する、と好適である。
【0080】
本構成によれば、区間制御装置と上位制御装置との協働により、特定区間における搬送車の制御を適切に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本開示に係る技術は、物品を搬送する搬送車と、前記搬送車が走行する走行経路と、前記走行経路のうちの特定の区間である特定区間を走行する前記搬送車に通過許可を与えて当該搬送車の制御を行う区間制御装置と、を備えた物品搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
100 :物品搬送設備
V :搬送車
Ct :上位制御装置
Cz :区間制御装置
Z :制御領域
Za :特定区間
R :走行経路
R1 :第1経路
R2 :第2経路
Rc :接続経路
Ad :減速区間
Ad1 :第1減速区間
Ad2 :第2減速区間
Ac :等速区間
C1 :第1接続部
C2 :第2接続部
Pp :通過地点
Pp1 :第1通過地点
Pp2 :第2通過地点
Ps :停止地点
Si :問い合わせ
Sp :通過許可
Sp1 :第1通過許可
Sp2 :第2通過許可
Sc :通過完了通知