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特開2024-159579複数の角度入力面を有するX線回折イメージング検出器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159579
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】複数の角度入力面を有するX線回折イメージング検出器
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20241031BHJP
   G01N 23/2055 20180101ALI20241031BHJP
   G01N 23/205 20180101ALI20241031BHJP
【FI】
G01T1/20 C
G01N23/2055 310
G01N23/205
G01T1/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024065944
(22)【出願日】2024-04-16
(31)【優先権主張番号】18/307,834
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524143593
【氏名又は名称】ブルカー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【弁理士】
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】リチャード テイク バイザウェイ
【テーマコード(参考)】
2G001
2G188
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA18
2G001CA01
2G001DA01
2G001DA09
2G001KA03
2G001KA04
2G001LA11
2G188AA27
2G188BB02
2G188CC13
2G188CC22
2G188DD05
(57)【要約】
【課題】X線回折イメージング(XRDI)における分解能を改善するための方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】X線システムの検出器組立体であって、検出器組立体は、(a)第1の面を有する光学センサであって、光学センサは、第1の面に衝突する光放射線を受信し、光放射線に応答して電気信号を生成するように構成されている光学センサと、(b)光学センサの第1の面上に配置された光ファイバプレート(FOP)であって、FOPが(i)第1の面の法線に対して鋭角に配置され、光放射線を光学センサに伝達するように構成されている1又は2以上の光ファイバと、(ii)第1の面に対して傾斜した第2の面とを含む、FOPと、(c)FOPの第2の面上に配置され、X線ビームを光放射線に変換するように構成されたシンチレータ層と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線システムの検出器組立体であって、
第1の面を有する光学センサであって、前記第1の面に衝突する光放射線を受信して、前記光放射線に応答して電気信号を生成するように構成された光学センサと、
前記光学センサの第1の面上に配置された光ファイバプレート(FOP)と、
を備え、
前記FOPが、
前記第1の面の法線に対して鋭角に配置された1又は2以上の光ファイバであって、前記光放射線を前記光学センサに伝達するように構成されている、1又は2以上の光ファイバと、
前記第1の面に対して傾斜した第2の面と、
を含み、
前記検出器組立体が更に、
前記FOPの第2の面上に配置され、X線ビームを前記光放射線に変換するように構成されたシンチレータ層を備える、
X線システムの検出器組立体。
【請求項2】
前記第1の面上に配置された追加のFOPを備え、前記追加のFOPが、(i)前記法線に平行に配置された追加の光ファイバと、(ii)前記第1の面に平行であり且つ追加のシンチレータ層がその上に配置された第3の面と、を含む、請求項1に記載の検出器組立体。
【請求項3】
前記X線ビームが、(i)前記法線に対して第1の角度を有する第1の方向で試料から放出される第1のX線ビームと、(ii)前記第1の角度よりも大きい、前記法線に対して第2の角度を有する第2の方向で前記試料から回折される第2のX線ビームと、を含み、前記第2のX線ビームの受信に応答して、前記FOP及び前記追加のFOPは、前記第1の面上にそれぞれ第1のスポット及び第2のスポットを生成するように構成され、前記第2のスポットが前記第1のスポットよりも小さい、請求項2に記載の検出器組立体。
【請求項4】
前記第1のX線ビームの受信に応答して、前記FOP及び前記追加のFOPは、前記第1の面に第3及び第4のスポットをそれぞれ生成するように構成され、前記第4のスポットは前記第3のスポットよりも小さい、請求項3に記載の検出器組立体。
【請求項5】
前記FOPの1又は2以上の光ファイバは、前記第1の面に対して第1の傾斜した角度で及び前記第2の面に対して第2の傾斜した角度で配置される、請求項1~4の何れかに記載の検出器組立体。
【請求項6】
前記第1の傾斜した角度及び前記第2の傾斜した角度が等しい、請求項5に記載の検出器組立体。
【請求項7】
X線分析のためのシステムであって、
第1のX線ビームを試料の面上に衝突するように配向するよう構成された線源組立体と、
検出器組立体と、
を備え、
前記検出器組立体が、
第1の面を有する光学センサと、
前記第1の面上に配置された光ファイバプレート(FOP)と、
を備え、
前記FOPが、
前記第1の面の法線に対して鋭角に配置された1又は2以上の光ファイバと、
前記第1の面に対して傾斜した第2の面と、
を含み、
前記検出器組立体が更に、
前記FOPの第2の面上に配置されたシンチレータ層を含み、
前記シンチレータ層が、前記第1のX線ビームに応答して前記試料から放出される第2のX線ビームを光放射線に変換するように構成され、前記FOP内の光ファイバは、前記光放射線を前記光学センサに伝達するように構成され、前記光学センサは、前記第1の面に衝突する光放射線を受信して、前記光放射線に応答して電気信号を生成するように構成されている、システム。
【請求項8】
プロセッサを備え、前記プロセッサが、前記電気信号に基づいてX線分析を実行するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2のX線ビームは、前記法線に平行な第1の方向で前記試料から放出される第1のビームと、前記法線に対して傾斜した第2の方向で前記試料から回折される第2のビームとを含み、前記第1及び第2のビームの受信に応答して、(i)前記FOPは、前記第1の面上に第1及び第2のスポットをそれぞれ生成するように構成され、(ii)追加のFOPが、前記第1の面上に第3及び第4のスポットをそれぞれ生成するように構成され、前記プロセッサは、前記X線分析を実行するために前記第2及び第3のスポットを使用するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記試料が、前記線源組立体と前記検出器組立体との間に配置され、前記線源組立体は、前記第1のX線ビームを前記試料の第3の面に衝突するように配向するように構成され、前記検出器組立体は、前記第3の面で前記試料に入射し、前記試料を通過する間に回折され、前記第3の面とは反対側の第4の面で前記試料から出射した前記第2のX線ビームを検出するように構成されており、前記第2のX線ビームに基づいて、前記プロセッサは、前記試料のX線回折(XRD)画像を生成するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記XRD画像に基づいて、前記プロセッサは、前記試料中の1又は2以上の欠陥を検出するように構成され、検出された欠陥の少なくとも1つは、前記第3の面と前記第4の面との間に位置する結晶中の欠陥を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記線源組立体及び前記検出器組立体は、前記試料の面上に面しており、前記線源組立体は、前記第1のX線ビームを前記試料の面上に第1の鋭角で衝突するように配向するように構成されており、前記検出器組立体は、前記面から第2の鋭角で回折された前記第2のX線ビームを検出するように構成されており、前記第2のX線ビームに基づいて、前記プロセッサは、前記試料のX線回折(XRD)画像を生成するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
X線分析のための方法であって、
第1のX線ビームを試料の面上に衝突するように配向するステップと、
(a)第1の面を有する光学センサ及び(b)前記第1の面上に配置された光ファイバプレート(FOP)を備えた検出器組立体を用いて、前記第1のX線ビームに応答して前記試料から放出される第2のX線ビームを検出するステップであって、前記FOPが、少なくとも、(i)前記第1の面の法線に対して鋭角に配置された1又は2以上の光ファイバ及び(ii)前記第1の面に対して傾斜した第2の面を含む、ステップと、
前記第2のX線ビームを光放射線に変換するステップと、
前記光放射線を前記光学センサの第1の面に伝達するステップと、
前記光放射線に応答して電気信号を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項14】
前記検出器組立体は、前記FOPの第2の面上に配置されたシンチレータ層を備え、前記第2のX線ビームを変換するステップは、前記第2のX線ビームを前記シンチレータ層に配向するステップと、前記第2のX線ビームを前記光放射線に変換するための前記シンチレータ層を施工するステップと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のX線ビームを検出するステップが、前記第1の層の上に配置された追加のFOPを施工するステップを含み、前記追加のFOPが、(i)前記法線に対して平行に配置された追加の光ファイバと、(ii)前記第1の層に対して平行であり且つ追加のシンチレータ層がその上に配置された第3の層とを含む、請求項13及び14の何れかに記載の方法。
【請求項16】
前記第2のX線ビームは、(i)前記法線に対して第1の角度を有する第1の方向で前記試料から放出される第1のビームと、(ii)前記第1の角度よりも大きい、前記法線に対して第2の角度を有する第2の方向で前記試料から回折される第2のビームと、を含み、前記光放射線を伝達するステップが、前記第2のX線ビームの受信に応答して、前記第1の面上に第1のスポット及び第2のスポットをそれぞれ生成するために前記FOP及び前記追加のFOPを施工するステップを含み、前記第2のスポットが、前記第1のスポットよりも小さい、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のビームの受信に応答して、前記第1の面上に第3及び第4のスポットをそれぞれ生成するため前記FOP及び前記追加のFOPを施工するステップを含み、前記第4のスポットが前記第3のスポットよりも小さい、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
X線システムの検出器組立体を製造する方法であって、
光ファイバプレート(FOP)を受けるステップであって、前記FOPが、前記FOPの第1の面の法線に対して鋭角に配置された1又は2以上の光ファイバと、前記第1の面に対して傾斜した第2の面とを含む、ステップと、
前記FOPの第2の面上に、X線ビームを光放射線に変換するためのシンチレータ層を配置するステップと、
前記光放射線を前記光学センサに伝達するために前記光学センサの第3の面上に前記FOPを配置するステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記1又は2以上の光ファイバを、前記第1の面に対して第1の傾斜した角度で及び前記第2の面に対して第2の傾斜した角度で配置するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の傾斜した角度及び前記第2の傾斜した角度が等しい、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にX線分析に関し、特にX線回折イメージング(XRDI)における分解能を改善するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板中の結晶欠陥を検出するために、X線トポグラフィとしても知られるX線回折イメージング(XRDI)の分解能を向上させるための様々な技術が開発されてきた。
【0003】
例えば、米国特許第9,335,282号には、試料に入射する所望の特性X線をX線源から放射されるX線から分離し、及び所望の特性X線の照射領域を増加させることができるX線トポグラフィ装置が記載されている。このX線トポグラフィ装置は、高精度焦点から所定の特性X線を含むX線を放射するX線源と、所定の特性X線に対応する勾配を有する多層間隔を有する多層ミラーを含む光学系であって、多層ミラーで反射されたX線を試料に入射させるように構成された光学系と、回折されたX線を検出するX線検出器と、を含む。多層ミラーは、放物面断面を有する湾曲反射面を含み、X線源の微細焦点は、湾曲反射面の焦点上に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第9,335,282号明細書
【特許文献2】米国特許第10,816,487号明細書
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、X線システムの検出器組立体を提供し、検出器組立体は、(a)第1の面を有する光学センサであって、第1の面に衝突する光放射線を受信して、光放射線に応答して電気信号を生成するように構成された光学センサと、(b)光学センサの第1の面上に配置された光ファイバプレート(FOP)と、を備え、FOPが、(i)第1の面の法線に対して鋭角に配置された1又は2以上の光ファイバであって、光放射線を光学センサに伝達するように構成されている、1又は2以上の光ファイバと、(ii)第1の面に対して傾斜した第2の面と、を含み、検出器組立体が更に(c)FOPの第2の面上に配置され、X線ビームを光放射線に変換するように構成されたシンチレータ層を備える。
【0006】
幾つかの実施形態では、検出器組立体は、第1の面上に配置された追加のFOPを含み、追加のFOPは、(i)法線に対して平行に配置された追加の光ファイバと、(ii)第1の面に対して平行であり且つ追加のシンチレータ層がその上に配置された第3の面を有する。他の実施形態では、X線ビームは、(i)法線に対して第1の角度を有する第1の方向で試料から放出される第1のX線ビームと、(ii)法線に対して第1の角度よりも大きい第2の角度を有する第2の方向で試料から回折される第2のX線ビームと、を含み、第2のX線ビームの受信に応答して、FOP及び追加のFOPは、第1の面上に第1のスポット及び第2のスポットをそれぞれ生成するように構成され、第2のスポットは第1のスポットよりも小さい。更に他の実施形態では、第1のX線ビームの受信に応答して、FOP及び追加のFOPは、第1の面上に第3及び第4のスポットをそれぞれ生成するように構成され、第4のスポットは第3のスポットよりも小さい。
【0007】
幾つかの実施形態では、FOPの1又は2以上の光ファイバは、第1の面に対して第1の傾斜した角度で及び第2の面に対して第2の傾斜した角度で配置される。他の実施形態では、第1の傾斜した角度及び第2の傾斜した角度は等しい。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、X線分析のためのシステムが更に提供され、システムは、(a)第1のX線ビームを試料の面上に衝突するように配向するように構成された線源組立体と、(b)検出器組立体と、を備え、検出器組立体が、(i)第1の面を有する光学センサと、(ii)第1の面上に配置された光ファイバプレート(FOP)と、を備え、FOPが、第1の面の法線に対して鋭角に配置された1又は2以上の光ファイバと、第1の面に対して傾斜した角度である第2の面とを含む光ファイバプレートと、検出器組立体が更に(iii)FOPの第2の面上に配置されたシンチレータ層と、を備える。シンチレータ層は、第1のX線ビームに応答して試料から放出される第2のX線ビームを光放射線に変換するように構成され、FOP内の光ファイバは、光放射線を光学センサに伝達するように構成され、光学センサは、第1の面に衝突する光放射線を受信し、光放射線に応答して電気信号を生成するように構成される。
【0009】
幾つかの実施形態では、システムは、電気信号に基づいてX線分析を実行するように構成されたプロセッサを含む。他の実施形態では、第2のX線ビームは、法線に平行な第1の方向で試料から放出される第1のビームと、法線に対して傾斜した第2の方向で試料から回折される第2のビームとを含み、第1及び第2のビームの受信に応答して、(i)FOPは、第1の面上に第1及び第2のスポットをそれぞれ生成するように構成され、(ii)追加のFOPは、第1の面上に第3及び第4のスポットをそれぞれ生成するように構成され、プロセッサは、X線分析を実行するために第2及び第3のスポットを使用するように構成される。
【0010】
幾つかの実施形態では、試料は、線源組立体と検出器組立体との間に配置され、線源組立体は、第1のX線ビームを、試料の第3の面に衝突するように配向するように構成され、検出器組立体は、第3の面で試料に入射し、試料を通過する間に回折され、第3の面とは反対側の第4の面で試料から出射した第2のX線ビームを検出するように構成されており、第2のX線ビームに基づいて、プロセッサは、試料のX線回折(XRD)画像を生成するように構成されている。
【0011】
幾つかの実施形態では、XRD画像に基づいて、プロセッサは、試料中の1又は2以上の欠陥を検出するように構成され、検出された欠陥の少なくとも1つは、第3の面と第4の面との間に位置する結晶中の欠陥を含む。他の実施形態では、線源組立体及び検出器組立体は、試料の面上に面しており、線源組立体は、第1のX線ビームを試料の面上に第1の鋭角で衝突するように配向するように構成されており、検出器組立体は、上記面から第2の鋭角で回折された第2のX線ビームを検出するように構成されており、第2のX線ビームに基づいて、プロセッサは、試料のX線回折(XRD)画像を生成するように構成されている。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、X線分析のための方法が更に提供され、方法は、第1のX線ビームを試料の面上に衝突するように配向するステップを含む。第2のX線ビームが検出される。第2のX線ビームは、(a)第1の面を有する光学センサ及び(b)第1の面上に配置された光ファイバプレート(FOP)を含む検出器組立体を用いて、第1のX線ビームに応答して試料から放出され、FOPは、少なくとも:(i)第1の面の法線に対して鋭角に配置された1又は2以上の光ファイバと、(ii)第1の面に対して傾斜した第2の面とを含む。第2のX線ビームは光放射線に変換される。光放射線は光学センサの第1の面に伝達されて、光放射線に応答して電気信号が生成される。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、X線システムの検出器組立体を製造するための方法が更に提供され、方法は、光ファイバプレート(FOP)を受けるステップを含み、FOPは、(i)FOPの第1の面の法線に対して鋭角に配置された1又は2以上の光ファイバと、(ii)第1の面に対して傾斜した第2の面とを含む。FOPの第2の面上には、X線を光放射線に変換するためのシンチレータ層が配置されている。FOPは、光放射線を光学センサに伝達するために、光学センサの第3の面上に配置される。
【0014】
幾つかの実施形態において、本方法は、1又は2以上の光ファイバを、第1の面に対して第1の傾斜した角度で及び第2の面に対して第2の傾斜した角度で配置するステップを含む。他の実施形態では、第1の傾斜した角度及び第2の傾斜した角度は等しい。
【0015】
本発明は、実施形態に関する以下の詳細な説明から、図面を参照して理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るX線回折イメージング(XRDI)装置の概略側面図である。
【0017】
図2】本発明の実施形態による、図1のシステムの検出器組立体の概略断面図である。
【0018】
図3】本発明の実施形態に従った、図2の検出器組立体を使用してX線分析を実行する方法を概略的に示すフローチャートである。
【0019】
図4】本発明の実施形態に従った、図2の検出器組立体を製造する方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
概要
X線トポグラフィとしても知られるX線回折イメージング(XRDI)は、半導体ウェーハから回折されたX線の強度を分析することに基づいて、半導体ウェーハのような結晶試料の格子内の欠陥を検出するために使用することができる。
【0021】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、XRDIシステムを用いて生成される画像の解像度を向上させることにより、結晶試料中の欠陥の検出能力を向上させる方法及びシステムを提供する。
【0022】
幾つかの実施形態では、XRDIシステム(本明細書では、簡潔にするために、X線トポグラフィシステム、又はシステムとも呼ばれる)は、1つ又は2以上の線源組立体を備え、線源組立体の少なくとも1つは、1つ又は2以上のそれぞれのX線ビームを放出するように構成された1つ又は2以上のX線管体を備える。線源組立体の各々は、入射X線ビームを、結晶シリコンウェーハなどの試料の所与の(例えば、下側の)面に入射角度で衝突するように配向するように構成される。
【0023】
幾つかの実施形態において、システムは、透過モード及び反射モードをそれぞれ有するXRDIを実施するための2つの異なる構成を有することができる。透過モードでは、入射X線ビームは、ウェーハを通過する間に結晶面によって回折され、ウェーハの上側面及び下側面とは反対側でウェーハを出る。なお、透過モードでは、入射X線ビームは、ウェーハ表面の法線の両側に対して約0o及び30oの間の角度で照射される。換言すれば、入射ビームは、ウェーハの下面に対して直角又は比較的大きな鋭角(例えば、約80°)に向けられる。
【0024】
反射モードでは、入射X線ビームはウェーハの上面に対して小さな鋭角、例えば上面に対して約0°及び45°の間で向けられる。入射したX線ビームは結晶面によって回折され、その後、(i)入射ビームと回折ビームの方向が法線に対して対称となるように、(回折面が表面に平行な場合)ほぼ同じ小さな鋭角で、又は(ii)ビームが表面に対して傾斜した面から回折される場合には、入射ビームの角度とは異なる角度で、ウェーハの上面から出射する。
【0025】
幾つかの実施形態では、システムは、1又は2以上の検出器を有する検出器組立体を備える。各検出器は、ウェーハから回折されたX線ビームを検出するように構成されている。一実施形態では、検出器組立体は、回折X線ビームの検出に応答して1又は2以上の電気信号を生成するように構成される。検出器組立体の構造を以下に詳細に説明する。
【0026】
幾つかの実施形態では、システムはプロセッサを備え、このプロセッサは、検出器から供給される電気信号に基づいて、入射X線ビームによって照射される領域におけるウェーハのXRD画像を生成するように構成される。更に、電気信号に基づいて、プロセッサは、結晶ウェーハの1又は2以上の欠陥を検出し、検出された欠陥をシステムのユーザに表示するように構成される。
【0027】
幾つかの実施形態では、システムは、(i)ウェーハ内の関心領域でXRDIを行うために、プロセッサからの制御信号に基づいて、入射ビームに対するウェーハの位置を設定及び調整するように構成されたウェハステージと、(ii)試料に対して線源組立体を移動させることによって入射角を調整するように構成されたソースステージと、を備える。
【0028】
幾つかの実施形態では、検出器組立体は、(i)光学センサと、(ii)光学センサの外面上に配置された1又は2以上の光ファイバプレート(FOP)と、(iii)各FOPの外面上に配置され、ウェーハから受信したX線を光放射線に変換するように構成されたシンチレータ層と、を備える。
【0029】
幾つかの実施形態では、各FOPは、(a)ウェーハから回折され、シンチレータ層によって光放射線に変換されたX線ビームを受けるように構成された(FOPの前述の外面である)入力面と、(b)光放射線を搬送するように構成された光ファイバと、(c)上述のように、プロセッサによってXRD画像を生成するように、光放射線を受けることに応答して電気信号を生成する光学センサに、搬送された光放射線を出力するように構成された出力面と、を備える。
【0030】
原理的には、FOPの入力面及び出力面は、互いに平行とすることができ、ウェーハ及び光学センサの表面に対して平行とすることができ、光ファイバの方向(例えば、長手方向)は、これらの表面に対して垂直とすることができる。しかしながら、この構成では、鋭角でシンチレータ層に入射する回折ビームは、直角でシンチレータ層に入射する回折ビームよりも大きなスポットサイズとなる。更に、スポット幅の拡大は、上述のように、例えば反射モードXRDI構成において、小さな鋭角において増強される。
【0031】
幾つかの実施形態では、検出器組立体は、異なる形状を有する1又は2以上のFOPを備えることができる。一実施態様では、出力面は依然として光学センサの表面に対して平行とすることができるが、FOPの入力(すなわち、外面)層は入力層に対して傾斜している。更に、光ファイバは、(i)FOPの出力面に対して第1の鋭角、及び(ii)FOPの入力面に対して第2の鋭角で配置される。一実施形態では、第1の鋭角は、入力面及び出力面の各々(及びその間)における光放射線の歪みを最小にするように、第2の鋭角に等しいが、別の実施形態では、第1の鋭角及び第2の鋭角は、異なる大きさを有してもよい。
【0032】
幾つかの実施形態では、FOPの入力面と出力面との間の角度は、システムの構成及びXRDIアプリケーションに従って設定することができる。例えば、ウェーハ表面に対する入射ビームの小さな角度(例えば、約30°)を有する反射構成では、ウェーハ表面に対する回折ビームの角度は約30°であり、従って、FOPの入力表面及びシンチレータ層は、入力表面に対して約60°の角度で配置される。この構成では、回折ビームはほぼ直角にシンチレータ層に入射するため、スポットサイズが最小となり、プロセッサはXRD画像の高解像度を得ることができる。
【0033】
幾つかの実施形態では、非平行の入力面及び出力面を有するFOPに加えて、検出器組立体は、(i)平行な入力面及び出力面を有する前述のFOP、及び(ii)入力面と出力面との間に異なる傾斜した角度を有する他のFOPのうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0034】
幾つかの実施形態では、上記の選択肢の何れかから選択される好適な構成に基づいて、プロセッサは、光ファイバによって光学センサに伝達される光放射線のスポットサイズを最小化するために、ウェハステージ及びソースステージの少なくとも一方を制御するように構成される。これらの技術を適用することによって、プロセッサは、システムによって生成されるXRD画像の解像度を向上させるように構成される。
【0035】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態によるX線トポグラフィシステム10の概略側面図である。本明細書ではX線回折イメージング(XRDI)システムとも呼ばれるシステム10は、結晶構造を有する半導体ウェーハ22等の当試料を検査し、ウェーハ22の格子中の結晶欠陥等の欠陥を検出するように構成されている。
【0036】
本開示の文脈及び特許請求の範囲において、用語「試料」及び「ウェーハ」は同義的に使用され、当該何れかの適切な試料を指す。例えば、単結晶シリコンウェーハ、化合物半導体から作られた基板であり、例えば、これらは、ガリウム砒素(GaAs)のようなIII-V基板としても知られる元素周期表の第3列及び第5列の元素を備え、格子不整合エピタキシャル層がオプトエレクトロニクスデバイスに一般的に使用され、オプトエレクトロニクス及びパワーエレクトロニクスデバイス用のSiウェーハ又は炭化ケイ素(SiC)基板上の窒化ガリウム(GaN)及び他のIII-窒化膜スタックであり、並びに他の何れかの適切なタイプの基板である。
【0037】
幾つかの実施形態において、「結晶欠陥」という用語は、結晶ウェーハの格子における様々なタイプの歪み及び欠陥を指す。例えば、マイクロクラック、転位等のインライン欠陥、積層欠陥等の平面欠陥、ボイド、空隙率及び不純物に関する体積欠陥である。
【0038】
幾つかの実施形態では、システム10は、1又は2以上のX線管、本発明の実施例では、単一のX線管100を有する線源組立体101を備え、線源組立体101は、1又は2以上のX線ビーム105を、線源組立体101に面しているウェーハ22の下面(後述の図2に示す)に、斜め又は直角に衝突するように配向するように構成されている。線源組立体101は、X線管100の励起源を駆動するように構成された高電圧電源ユニット(PSU)(図示せず)を更に備える。
【0039】
幾つかの実施形態では、X線管100は、100Wより小さい出力で約100μmより小さいスポットサイズを有する低出力マイクロ焦点線源、又は2~3kWで1mmのスポットサイズを有する中出力ノーマル焦点線源、又は1~2kW又は高エネルギーで約100μmのスポットサイズを有する高輝度回転アノード線源、より大きいスポットサイズを有する、例えば1mm源で最大10kWのスポットサイズを有する高輝度回転アノード線源を備える。
【0040】
幾つかの実施形態では、X線管100は、高エネルギーX線を放出するように構成された金属から作られたアノードを備える。固体アノードは、典型的には、50~60kVで動作する典型的には17keVのKαエネルギー放出を有するモリブデン(Mo)から作られる。Moベースのアノードは、ウェーハ22又は他の適切なタイプの試料を透過することができるX線を発生するように構成される。
【0041】
他の実施形態では、X線管100のアノードは、異なる用途に適した任意の他のタイプの固体材料から備えることができる。例えば、アノードは、22keVのKαエネルギー放出を有する銀(Ag)などの他の材料から作られてもよい。Agベース及びInベースのアノードは、50kVより大きい電圧で動作させることができる;このような高エネルギーX線ビームは、上述した他のタイプのウェーハを撮像するのに有用である。
【0042】
他の実施形態では、X線管100のアノードは、融点が低く、室温又は室温付近で液体である金属及び合金を含むことができる。例えば、アノードは、約25keVのKαエネルギー放出を有するインジウム(In)合金からなることができる。
【0043】
幾つかの実施形態では、X線管体100は、適切なエネルギー範囲及びパワーフラックスを有するX線をX線光学系(図示せず)に放出するように構成される。幾つかの実施形態では、システム10は、例えばシステム10のXYZ座標系のY軸に沿った回転軸を有する電動回転ステージ150を備える。
【0044】
幾つかの実施形態では、回転ステージ150は、結晶の異なる回折面間でX線ビーム105を移動させるように、ウェーハ22の表面に対するX線ビーム105の角度を調整するように更に構成される。このような実施形態では、システム10は、ウェーハ22の格子面の長距離変動等の1又は2以上の欠陥を検出及び任意選択で画像化するように、結晶構造の異なる回折面を検査するように構成される。
【0045】
本開示において、用語「回転ステージ」及び「運動組立体」は、同義的に使用され、線源組立体101のX線管100を移動させるステージを指す。
【0046】
幾つかの実施形態では、システム10は、X線管100に関連し、ビーム105のX線スペクトルの少なくとも一部(及び典型的には全て)に対して不透明な材料から作られる、本明細書ではスリット110と呼ばれる電動スリット組立体を備える。
【0047】
幾つかの実施形態では、システム10はフィルタ115を備え、フィルタは、線源組立体101のX線管体100とウェーハ22の下面との間に取り付けられている。フィルタ115は、X線ビームの選択されたスペクトル部分の強度を減衰させるように構成された、本明細書では「フィルム」とも呼ばれる1又は2以上の材料層を備えることができ、後述する検出器140によって取得される画像の品質を低下させる可能性がある。
【0048】
フィルタ115の実施例は、例えば、米国特許第10,816,487号に詳細に記載されており、その開示内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0049】
幾つかの実施形態では、X線管体100、フィルタ115及びスリット110は、全て回転ステージ150に取り付けられている。X線管体100及びスリット110は、それぞれのX線回折アプリケーションの要求に従ってビーム105を成形するように構成される。本発明の実施例では、ビーム105は、入射X線ビーム106を得るように成形され、この入射X線ビーム106は、以下で詳細に説明するように、ウェーハ22の下面に衝突するように構成されている。
【0050】
幾つかの実施形態では、ウェーハ22の表面に入射するX線ビーム105の角度範囲を適合させるように、回折光学素子例えば単結晶又は多層ミラー等の反射光学素子等の他の光学素子を回転ステージ150に取り付けることができる。
【0051】
幾つかの実施形態では、システム10は、可動プラットフォーム、本発明の実施例ではX-Y-φステージ40を備え、このステージは、入射X線ビーム106に対してウェーハ22(その上に取り付けられている)を相対的に移動させるように構成されている。ステージは、XYZ座標系のX軸及びY軸に沿ってウェーハ22を移動させ、ウェーハ22の表面に垂直な軸(例えば、Z軸)を中心に回転φ(図示せず)を加えるように構成されている。
【0052】
幾つかの実施形態において、ウェーハ22は、典型的には、3つの移動テーブルを備えるハンドルロボット(図示せず)を用いてステージ40上に配置される。本発明の実施例では、X軸用の下側テーブル、Y軸用の中間プレート、及びφ回転軸用の上側プレートである。3つのプレートは全て、入射X線ビーム106がウェーハ22の下面に衝突するように開口を有する。
【0053】
幾つかの実施形態では、システム10は、インタフェース36及びプロセッサ34を有する処理ユニット38を備える。典型的には、プロセッサ34は、本明細書で説明する機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされた汎用コンピュータを備える。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して、電子形式でコンピュータにダウンロードされてもよく、又は、代替的に又は追加的に、磁気、光学、又は電子メモリ等の非一過性の有形媒体に提供及び/又は記憶されてもよい。インタフェース36は、以下に説明するように、プロセッサ34とシステム10のエンティティとの間で信号を交換するように構成される。
【0054】
幾つかの実施形態では、入射X線ビーム106のX線は、下面においてウェーハ22に入射する。その後、X線は、ウェーハ22を通過する間に回折され、X線ビーム144として、下面とは反対側であるウェーハ22の上面(後述の図2に示す)から出る。
【0055】
幾つかの実施形態では、システム10は、ウェーハ22から回折されたX線を検出するための1又は2以上の検出器組立体を備える。本発明の実施例では、検出器組立体141は、高速撮像モードでX線を検出するように構成され、X線カメラ46は、高解像度撮像モードでX線を検出するように構成される。幾つかの実施形態では、システム10は、回折ビームを遮断するために検出器組立体141及びカメラ46の一方又は両方を位置決めするように構成された1又は2以上の追加の運動ステージ(図示せず)を備えることができる。組立体141及びカメラ46は、以下に詳細に説明され、システム10は、本明細書に記載される透過モード及び反射モードの両方でXRDIを実施するように構成されることに留意されたい。
【0056】
図1の例では、透過モード構成において、線源組立体101は、透過モードを使用して入射X線ビーム105を指向するために使用され、この場合、X線は、ウェーハ22の下面(線源組立体101に面する)に指向され、ウェーハ22の厚さ全体(Z軸に沿って)を貫通し、ウェーハの結晶面によって回折され、上面ウェーハ22(検出器組立体141及びカメラ46に面する)からビーム144として出る。ビーム144のX線光子は、XRDI用途(例えば、上述のような高速撮像モード又は高分解能撮像モード)に応じて、検出器組立体141又はカメラ46を用いて検出することができることに留意されたい。
【0057】
更に、反射モードの構成は、概念的な明瞭さのために両方のモードを示すために図1に重ねて示されているが、典型的には、システム10は、透過構成又は反射構成の何れかを備える。このような実施形態では、反射モードにおいて、線源組立体151は、ビームとウェーハ22の上面との間の入射角154(例えば、約25°及び35°の間)で入射X線ビーム152をウェーハ22の上面に配向するために使用され、ビームは、ウェーハの結晶面によって回折され、角度154と同じ大きさを有する(又は結晶面の向きによって異なる大きさを有する)ことができる角度155でX線ビーム153として上面ウェーハ22から出射し、これは、検出器組立体141(高速撮像モードの場合)又はカメラ46(高分解能撮像モードの場合)によって検出される。以下に説明する技術が透過モード及び反射モードの両方に適用可能であり、両方の構成で実施できることを示すために、透過モード及び反射モードの両方の構成が同じ図に示されていることに留意されたい。検出器組立体141及びカメラ46は、本明細書において詳細に説明される。
【0058】
図1の実施例では、高速撮像モードは透過モードXRDIにおいて使用され、高解像度撮像モードは反射モードXRDIにおいて使用されているが、高速撮像モード及び高解像度撮像モードの両方は、透過モードXRDI及び反射モードXRDIの両方において(以下の図2に記載される幾つかの制限を伴って)使用できる。
【0059】
幾つかの実施形態では、検出器組立体141は、ウェーハ22から回折されたX線ビーム144のX線光子の検出に応答して電気信号を生成するように構成されている。電気信号は、XRD分析を実行するため、及び該当する場合にはXRD画像を生成するために、処理ユニット38に転送される。
【0060】
幾つかの実施形態では、検出器組立体141は、1又は2以上の検出器を備え、本発明の実施例では、ラウエ幾何学に従ってウェーハ22を通して回折されたX線を、ウェーハの表面に対する検出器の位置の関数として測定するように有する2次元(2D)位置感応型X線カメラを有する単一の検出器140である。検出器組立体141における本発明の実施に向けられた実施形態は、以下の図2に詳細に記載されている。
【0061】
他の実施形態では、検出器組立体141は、何れかの適切な構成で配置された複数の検出器140を備えることができる。4つの検出器(検出器140のような)の一実施構成は、その開示が引用により本明細書に組み込まれる米国特許第10,816,487号に記載されているが、代替の実施形態では、検出器(又は他の種類の検出器)の何れかの適切な構成が検出器組立体141に実装されてもよい。
【0062】
幾つかの実施形態では、システム10は、ウェーハ22及び検出器140の間に取り付けられる、X線不透過材料から作られたビームストッパー130を備える。
【0063】
幾つかの実施形態では、ビームストッパー130は、ウェーハ22を直接透過する(すなわち、回折されずに透過する)X線ビームの一部が検出器140の表面に衝突しないように閉塞するように構成されている。更に、ビームストッパー130は、望ましくないX線が検出器組立体141によって検出されるのを阻止し、それにより、検出器組立体141によって生成される前述の電気信号におけるノイズ及びアーチファクトのレベルを低減するように構成される。
【0064】
幾つかの実施形態では、前述の高分解能X線カメラ46は、本明細書では高分解能X線検出器組立体とも呼ばれ、典型的には、X線に感応するCCD又はCMOS検出器を備える。X線カメラ46は、典型的には、検出器組立体141と比較して高い空間分解能を提供するように、高空間分解能、例えば、約10~15μm又はそれ以下のピクセルサイズを有する、ウェーハ22の選択された領域を撮像するために使用され、一方、検出器組立体141は、ウェーハ22のフルスキャン及びXRDI、並びに、入射X線ビームとウェーハ22との間のアライメント、及び任意選択で他の種類の較正操作等の他の操作のために使用することができる。
【0065】
カメラ46における本発明の実施に向けられた実施形態は、以下の図2において詳細に説明される。
【0066】
幾つかの実施形態では、システム10は、統合光学検査システム50を備えることができる。システム10は、光ルミネセンス(PL)又はラマン散乱ヘッド(図示せず)等の付加的な統合センサを備えることができ、補完的な計測又は検査能力を提供するように構成される。
【0067】
幾つかの実施形態では、プロセッサ34は、検出器組立体141から受信した電気信号を処理し、及び検出器140によって捕捉されたX線光子の回折強度画像を決定するように構成される。プロセッサ34は更に、電気信号に基づいて、ウェーハ22内の1又は2以上の欠陥を検出するように構成される。
【0068】
幾つかの実施形態では、プロセッサ34は、(i)ステッピングモータ、サーボモータ又はそれらの適切な組み合わせを用いて移動させることができるステージ40、及び(ii)ウェーハ22の下面に対する入射X線ビーム106の角度を調整するための回転ステージ150を制御するように構成される。
【0069】
システム10のこの特定の構成は、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を説明するため、及びこのようなXRDIシステムの性能を向上させる際のこれらの実施形態の適用を実証するために、例として示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、決してこの特定の種類の例示的なシステムに限定されるものではなく、本明細書で説明する原理は、当技術分野で公知の他の種類のX線分析システムにも同様に適用することができる。
【0070】
検出器組立体における複数の角度付き入力面を用いたX線回折像の分解能の改善
図2は、本発明の実施形態による検出器組立体88の概略断面図である。検出器組立体88は、例えば、上記図1の検出器組立体141及び/又はカメラ46に実装されてもよく、又はこれに置き換えてもよいが、以下に詳細に説明するように、本発明は、前述の高分解能XRDIモードのためにカメラ46に実装されるとより効果的である。
【0071】
幾つかの実施形態では、検出器組立体88は単一の検出器を備える。或いは、検出器組立体88は、何れかの適切な構成で配置された複数の検出器を備えることができる。
【0072】
幾つかの実施形態では、透過モードにおいて、線源組立体101は、入射X線ビーム106をウェーハ22の下側表面23に、典型的には、表面23及び表面24(ウェーハ22の上面及び下側表面は互いにほぼ平行である)に対する法線54に対して約-25°と+25°との間の何れかの適切な角度で配向する。その後、X線ビーム144は、上述の図1で説明したように、様々な角度で回折されて、ウェーハ22の上面24から出射する。図2の例では、入射X線ビーム106a、106b及び106cは、ウェーハ22の表面23上の3つのそれぞれの領域に向けられる。X線ビーム144a及び144cは、それぞれ入射X線ビーム106a及び106cの指向に応答して表面24から出射する。
X線ビーム144a及び144cは、表面24に対する法線54に対してほぼ平行であるか、又は法線54に対してそれぞれ1又は2以上の小さな鋭角を有する1又は2以上のそれぞれの方向で表面24から放出されることに留意されたい。更に、入射X線ビーム106bをウェーハ22に配向することに応答して、X線ビーム144bは、法線54に対して鋭角51で表面24から出射する。鋭角51は、X線ビーム144a及び144cの1又は2以上の小さな鋭角よりも大きいことに留意されたい。
【0073】
反射モードでは、線源組立体151は、入射X線ビーム152を上面24に、典型的には表面24に対して約25°~35°の間の何れかの適切な角度154で配向する(上述の図1に記載されているように)。その後、入射X線ビーム152をウェーハ22に配向することに応答して、X線ビーム153は回折され、上述した図1に記載されているように、角度155に対応する角度52(法線54に対して)で上面24から出射する。
【0074】
本開示の文脈及び特許請求の範囲において、相対的又は絶対的な数値又は範囲に対する用語「約」又は「約」は、本明細書に記載されるように、部品又は部品の集合体がその意図された目的のために機能することを可能にする適切な寸法公差を示す。
【0075】
幾つかの実施形態では、検出器組立体88は、ウェーハ22の上面24にほぼ平行であり且つウェーハ22の上面24に面している表面25を有する光学センサ33を備える。光学センサ33は、上述の図1に記載されているように、表面25に衝突する光放射線を受信して、衝突した光放射線に応答して電気信号を生成するように構成されている。
【0076】
幾つかの実施形態では、光学センサ33から受信した電気信号に基づいて、プロセッサ34は、ウェーハ22内の前述の4つの領域のXRD画像を生成するように構成される。
【0077】
幾つかの実施形態では、光学センサ33は、ステップスキャンの場合にX線感応性シンチレータスクリーンを特徴とする1又は2以上の電荷結合デバイス(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)カメラを備えることができる。
【0078】
他の実施形態において、ステージ40に連続スキャンを適用する場合、光学センサ33は、高速スキャンにおいて信号対雑音比(SNR)を増加させるように、浜松ホトニクス(浜松市、日本)により製造されたもの等の1又は2以上の時間遅延積分(TDI)X線カメラを備えることができる。
【0079】
幾つかの実施形態では、検出器組立体88は、1又は2以上の光ファイバプレート(FOP)、本発明の実施例では、光学センサ33の表面25上に配置されるFOP55及びFOP44を備える。
【0080】
幾つかの実施形態では、FOP55は、FOP55の外面26と内面27との間に配置された1又は2以上の光ファイバ77(本明細書では、簡潔にするためにファイバ77ともいう)を備える。本発明の実施例では、内面27は光学センサ33の表面25と結合している。
【0081】
幾つかの実施形態では、表面26及び27の両方は、互いに及び表面25に対してほぼ平行であり、繊維77は、互いに平行であり、表面25及び26に対してほぼ垂直である、すなわち、それぞれ直角28及び29を有する。
【0082】
幾つかの実施形態では、検出器組立体88は、FOP55の表面26上に形成され、X線ビーム144及び153を光放射線に変換するように構成されたシンチレータ層56を備える。本構成では、表面26及び層56はウェーハ22に面しており、従って、層56に衝突するX線ビーム144a~144c及び153を受信することに留意されたい。
従って、表面26は、本明細書では、FOP55の入力表面とも呼ばれる。
【0083】
幾つかの実施形態では、シンチレータ層56は、約10μmと250μmとの間の有限の厚さ(Z軸に沿って)を有し、ビーム144a及び144bの受信に応答して、層56は、ビーム144a及び144bのX線光子を、それぞれスポット30及び32において表面26上に配置された光子に変換する。言い換えれば、スポット30及び32は、ビーム144a及び144bの受信に応答してシンチレータ層56によって形成される。法線54に対する角度に起因して、スポット30は、スポット32のサイズ64よりも小さいサイズ31(例えば、X軸に沿った直径)を有することに留意されたい。換言すれば、ビーム144aは直角(又は角度51より実質的に小さい非常に鋭角な層)で層56に衝突し、及び従って、スポット30は、ビーム144bを鋭角51で配向する場合に得られるスポット32より小さい。
【0084】
更に、反射モードでは、ビーム153は、角度51よりも実質的に大きい角度52で表面153から出射し、従って、スポット32よりも大きいスポット(図示せず)が、層56に衝突するビーム153に応答して表面26上に形成される。
【0085】
幾つかの実施形態では、ファイバ77は、スポット30及び32の光フォトンを表面25に伝達し、それにより、スポット30及び32と実質的に類似するスポットを表面25上に形成するように構成される。本発明の実施例において、光放射線は、可視光(例えば、約550nmの波長を有する緑色)又は他の何れかの適切な波長を有し、スポットの強度は、表面26及び25においてほぼ同一である。換言すれば、FOP55のファイバ77は、表面26及び25の間で光放射線を伝達する間、無視できる強度損失を引き起こす。
【0086】
ビーム144a及び144bの異なる方向が、光学センサ33によって生成されるXRD画像の解像度に影響を及ぼすことに留意されたい。より具体的には、ビーム144aと表面26(及び層56)との間の垂直性(又は非常に鋭角)により、スポット32のサイズと比較して、スポット30のサイズが小さくなり、従って、光学センサ33によって生成されるXRD画像の解像度は、入射ビーム106bによって照射される領域と比較して、入射ビーム106aによって照射される領域において高くなる。
【0087】
原理的には、ウェーハ22を検出器組立体88に対して相対的に回転させることが可能であるが(例えば、少なくとも一方を回転させることによって)、このような回転は、Z軸に沿って表面24及び26間の距離が不均一になり、光学センサ33によって生成されるXRD画像の均一性に影響を与える。更に、このような回転は、ウェーハ22の表面24と層56の外面との間の作動距離59を増大させる可能性がある。作動距離59を増加させると、光学センサ33によって生成されるXRD画像の解像度が下側になることに留意されたい。換言すれば、表面26に対するビーム144の入射角、又は作動距離、例えばウェーハ22の表面24と層56の外面との間の作動距離59の何れかにおいて妥協しなければ有する。
【0088】
幾つかの実施形態では、FOP44は、光学センサ33の表面25にほぼ平行であり、及び表面25と結合している表面47を有する。幾つかの実施形態では、FOP44は、表面25及び47の両方に対して傾斜している表面76を有する。本開示の文脈では、表面76は本明細書ではFOP44の入力表面とも呼ばれ、表面47は本明細書ではFOP44の出力表面とも呼ばれる。この構成では、FOP44は、非平行な入力面及び出力面を有する。
【0089】
図2の例に示すように、表面76は、その間に傾斜した角度を示すように、表面25及び47と角度58を形成するように延びている(互いに平行であるFOP55の表面26及び27とは対照的である)。他の実施態様では、表面76及び47は、互いに斜めであっても、物理的に互いに交差しないことがある。
【0090】
次に、FOP44を示す挿入図48を参照する。幾つかの実施形態では、FOP44は、FOP44の表面76上に配置され、シンチレータ層56について上述したように、X線ビーム144c及び153を光放射線に変換するように構成されたシンチレータ層45を備える。
【0091】
幾つかの実施形態では、FOP44は、(1又は2以上の)光ファイバ66を備え、これらの光ファイバ66は、表面25及び47に対する法線54に対して鋭角70で配置される。光ファイバ66は、シンチレータ層45によって生成された光放射線を光学センサ33に伝達するように構成される。
【0092】
幾つかの実施形態では、シンチレータ層45に衝突するビーム144c及び153に応答して、X線光子が光放射線の光子に変換され、光放射線のスポット62及び60が、それぞれ、FOP44の表面76上に形成される。
【0093】
ここで、図2の全体図に戻って参照する。幾つかの実施形態では、FOP44の光ファイバ66は、FOP44の表面47及び76に対して傾斜した角度で配置される。より具体的には、光ファイバ66は、表面47に対して傾斜した角度37で配置されて、表面76に対して傾斜した角度39で配置される。図2の例では、角度37及び39は共に鋭角である。更に、幾つかの実施形態では、角度37及び39の大きさは、ファイバ66によって伝達される光放射線の歪みを低減するように、可能な限り同様である。
【0094】
上述の実施形態によれば、X線ビーム144cは、法線54に平行な方向にウェーハ22から放出され、サイズ(例えば、直径)41を有するスポット60の形成を引き起こし、X線ビーム153は、法線54に対して傾斜した角度、例えば、角度52で試料から回折され、スポット60のサイズ41よりも小さいサイズ(例えば、直径)43を有するスポット62の形成を引き起こす。従って、非平行面47及び76を有するFOP44の使用は、ビーム153に対するXRD画像の解像度を向上させる。
【0095】
加えて、又は代替的に、ビーム144a及び144bがFOP44の層45に衝突する場合、ビーム144bに関連するスポットサイズは、ビーム144aに関連するスポットサイズと比較して、典型的には小さい。換言すれば、X線ビームが傾斜した角度で表面24から回折される場合、平行な表面26及び27を有するFOP55を使用する代わりに、非平行な表面(FOP44の表面47及び76など)を有するFOPを使用すると、XRD画像の改善された解像度を得ることができる。
【0096】
上記の説明に基づいて、(i)法線54に対してほぼ平行なビーム144(例えば、ビーム144a及び144c)用のFOP55、及び(ii)法線54に対して傾斜した角度でウェーハ22から回折されたビーム144b及び153用の非平行な表面を有するFOP44又は他の適切なFOP44を使用することによって、XRD画像の解像度を向上させることができることに留意されたい。本発明の実施例では、プロセッサ34は、FOP55のスポット30及びFOP44のスポット62を選択することにより、XRD画像の解像度を向上させるように構成されている。更に、XRD画像の解像度を向上させるために、プロセッサ34は、ステージ40を制御して、(i)ビーム144a及び144cを放出する領域をFOP55の前方に、(ii)ビーム144b及び153が回折される領域をFOP44の前方に、配置するように構成される。
【0097】
幾つかの実施形態では、高分解能モードにおけるピクセルサイズは約5μm及び20μmの間であり、一方、高速モードにおけるピクセルサイズは約40μm及び100μmの間である。このような実施形態では、FOP44は、検出器組立体141の高速検出器140に実装され得るが、シンチレータ層45の厚さは、高速モードで使用されるピクセルサイズに対して小さいので、このような高速用途では、低い入射角(角度155など)を有するビーム153を層45に衝突させるように配向することによって引き起こされるスポットの広がりがそれほど大きくないので、このようなことをする必要性はあまりない。更に、高速用途ではピクセルサイズが比較的大きいので、表面24と検出器140との間の作動距離はそれほど小さくする必要がなく、必要に応じて、プロセッサ34は、ウェーハ22の表面24に対して検出器組立体141を回転させるようにシステムを制御することができる。このような実施形態において、本発明は、検出器組立体88の構造がカメラ46に実装される場合に、より効果的である。
【0098】
他の実施形態では、システム10の反射構成において、ビーム152を向け、及び小さな角度155を有する回折ビーム153を受けるとき、検出器組立体88は、XRDIの改善された分解能を得るように、角度58が角度155に調整されるFOP44のみを備えることができる。
【0099】
代替の実施形態では、検出器組立体88は、表面25のXY平面に沿って(例えば、図2の断面図におけるX軸に沿って)並んで配置された複数のFOP44を備えることができる。
【0100】
他の実施形態では、検出器組立体88は、FOP44の表面76及び47のような、非平行の入力及び出力表面を有する複数のFOPを備えることができるが、FOPのうちの少なくとも2つは、入力表面と出力表面との間に異なる角度(挿入図48において角度58として示されている)を有することができる。加えて、又は代替的に、FOPの少なくとも2つは、異なる角度37及び/又は異なる角度39を有することができる。
【0101】
代替的な実施形態では、検出器組立体88は複数のFOPを備えることができ、FOPのうちの1又は2以上は、法線54(FOP44及び角度58のような)に対して左側に、1又は2以上の鋭角で、向いた入力面を有し、FOPのうちの1又は2以上は、法線54に対して右側に、1又は2以上の反対の鋭角で、向いた入力面を有する。
このような実施形態では、検出器組立体88の構成は、例えば、FOP55の(FOP44の)反対側に位置し、Z軸に沿って回転したFOP44のミラー構造を有する追加のFOPを有する対称構造を有することができる。
【0102】
代替の実施形態では、検出器組立体88のシンチレータ層のうちの少なくとも2つは、それぞれのFOPの角度に基づいて光出力及び空間分解能を最適化するために互いに異なっていてもよい。例えば、FOP44上に配置されるシンチレータ層45は、FOP55上に配置されるシンチレータ層56と比較して異なる厚さを有することができる。加えて、又は代替的に、シンチレータ層45及び56は、それぞれFOP44及び55の角度に基づいて光出力及び空間分解能を最適化するように、異なる材料層を備えることができる。言い換えれば、複数のFOPは、FOPの角度に基づいて光出力及び空間分解能を最適化するために、異なるシンチレータ厚さ及び/又は材料を有することができる。
【0103】
FOP44及び検出器組立体88のこの特定の構成は、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を説明するため、及び検出器組立体の撮像分解能、及びこのようなXRDIシステムの他の性能を向上させる際のこれらの実施形態の適用を実証するために、例として示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、決してこの特定の種類の例示的なFOP及び検出器組立体に限定されるものではなく、本明細書で説明する原理は、X線分析システムの他の種類のX線検出器、及びX線以外の波長を使用するシステムの光子検出器にも同様に適用することができる。
【0104】
図3は、本発明の実施形態による、検出器組立体88を用いてX線分析を行う方法を概略的に示すフローチャートである。
【0105】
上記図2で説明したように、検出器組立体88は、例えば、上記図1の検出器組立体141及び/又はカメラ46を置き換えることができる。
【0106】
本方法は、上述の図2に詳細に記載されているように、入射X線ビーム(例えば、ビーム152)をウェーハ22の表面24に衝突するように配向するX線ビーム指向ステップ200から開始する。
【0107】
検出ステップ202において、角度155で表面24から出てFOP44のシンチレータ層45に衝突するX線ビーム153が検出される。検出器組立体88は、前述の図2で詳細に説明したように、表面25を有する光学センサ33、及び表面47が光学センサ33の表面25に平行であり、その上に配置されるFOP44を備えることに留意されたい。更に、FOP44は、(i)表面47及び25の両方に対して傾斜した角度58で配置された表面76、及び(ii)表面47及び76に対してそれぞれ鋭角37及び39で配置された光ファイバ66を備える。検出器組立体88は、上述の図2にも詳細に記載されているように、FOP44の表面76上に配置されたシンチレータ層45を更に備える。
【0108】
ビーム変換ステップ204において、ビーム153を有することに応答して、シンチレータ層45は、ビーム153のX線を光放射線に変換し、光ファイバ66は、上述の図2に詳細に記載されているように、光放射線を表面47に伝達する。
【0109】
本方法を完結する画像生成ステップ206において、光学センサ33は、FOP44によって生成され伝達された光放射線に応答して電気信号を生成し、電気信号プロセッサ34は、上述の図1及び図2に詳細に記載されているように、XRD画像を生成する。
【0110】
図4は、本発明の実施形態による、検出器組立体88を製造する方法を概略的に示すフローチャートである。
【0111】
本方法は、光ファイバプレート(FOP)受け取りステップ210から始まり、FOP44及び55を受けることにより、FOP44は、上記図2に詳細に記載されているように、(i)表面47(及び表面25)に対して鋭角37に配置された光ファイバ66、及び(ii)表面47に対して傾斜した角度58に配置された表面76、を備える。
【0112】
シンチレータ配置ステップ212において、シンチレータ層45がFOP44の表面76上に配置されて、シンチレータ層56がFOP55の表面26上に配置される。
【0113】
本方法を終了するFOP配置ステップ214において、FOP44及び55が光学センサ33の表面25上に配置される。
【0114】
図4の製造方法は、製造プロセスの本質を説明するものであり、本発明の主要な実施形態に焦点を当てるために、提示を明確にするために幾つかのプロセスステップを省略していることに留意されたい。例えば、製造方法は、(i)光ファイバ66を製造するステップ、(ii)FOP44と光学センサ33との間の結合、(III)FOP44の構成要素(例えば、光ファイバ66)を成形するステップ、及び製造プロセスの任意の他のサブステップを備えることができる。
【0115】
代替の実施形態では、ステップ212及び214の順序を変更して、FOPの少なくとも1つが光学センサ33の表面25上に配置され、その後、シンチレータ層がそれぞれのFOPの外面上に配置されるようにしてもよい。
【0116】
本明細書で説明する実施形態は、主に、ウェーハ及び他のタイプの基板等の半導体及び化合物半導体試料におけるトポグラフィ及び結晶欠陥の検出及び撮像に対処しているが、本明細書で説明する方法及び光学系は、例えば幾つかの高性能光学用途で使用されるような他の単結晶材料における欠陥の検出用とすることができる。
【0117】
従って、上述した実施形態は例示として引用されたものであり、本発明は、本明細書において特に図示され説明されたものに限定されないことが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書に記載された様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読んで当業者に想起され、従来技術に開示されていないこれらの変形及び修正形態を含む。引用により本特許出願に組み込まれた文書は、本明細書において明示的又は非明示的になされた定義と矛盾する方法でこれらの組み込まれた文書において定義された用語がある範囲では本明細書における定義のみを考慮すべきであることを除き、本出願の不可分の一部とみなされる。
【符号の説明】
【0118】
10 X線トポグラフィシステム
22 ウェーハ
38 処理ユニット
46 カメラ
101 線源組立体
105 入射X線ビーム
141 検出器組立体
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】