(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159583
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】過渡エラーのセンサデータ解析のための装置と方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/34 20060101AFI20241031BHJP
G06F 11/30 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G06F11/34 176
G06F11/30 155
G06F11/30 140D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024066466
(22)【出願日】2024-04-17
(31)【優先権主張番号】18/307,910
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピープルズ、ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】リンドホルム、ブライアン イー.
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042JJ29
5B042MA08
5B042MA14
5B042MB02
5B042MC08
(57)【要約】
【課題】過渡エラーのセンサデータ解析のための装置と方法を提供する。
【解決手段】センサ分析システムは、複数のセンサを監視するように構成されたタービン制御システムと、タービンエンジンの動作を監視し、第1のアナログ信号を送信するように構成されたセンサデバイスと、センサデバイスに結合されたセンサ分析デバイスとを含む。センサ分析デバイスは、第1のアナログ信号を受信し、デバイスサンプリング期間によって定義される第1のレートで第1のアナログ信号から第1の複数のサンプルを取り込み、デバイスサンプリング期間によって定義される第2のレートを決定し、第2のレートで第1のアナログ信号から第2の複数のサンプルを取り込み、第2の複数のサンプルのうち、閾値以上又は閾値未満の過渡信号を含む1つ又は複数のサンプルを検出するように構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電所のタービンエンジンの動作を監視するためのセンサ分析システムであって、
タービンエンジンに関連する複数のセンサを監視するように構成されたタービン制御システムと、
タービンエンジンの動作状態を監視し、第1のアナログ信号を出力信号として送信するように構成されたセンサ装置と、
センサデバイスに結合されたセンサ分析デバイスと、
を含み、センサ分析デバイスは、
センサデバイスから第1のアナログ信号を受信するステップと、
デバイスサンプリング期間によって定義される第1のレートで第1のアナログ信号から第1の複数のサンプルをキャプチャするステップであって、第1のレートはサンプル間の第1の持続時間を含む、前記ステップと、
デバイスサンプリング期間によって定義される第2のレートを決定するステップであって、第2のレートは、第1のレートでキャプチャされたサンプル間の第1の持続時間よりも短いサンプル間の第2の持続時間を含む、前記ステップと、
第1のアナログ信号から第2のレートで第2の複数のサンプルをキャプチャするステップであって、第2の複数のサンプルは、第1の継続時間によって分離された第1の複数のサンプルと、第2の継続時間によって分離された追加の複数のサンプルとを含む、前記ステップと、
第2の複数のサンプルのうち、閾値以上又は閾値未満の過渡信号を含む1つ又は複数のサンプルを検出するステップと、
を実行するように構成され、
過渡信号が、第2の継続時間によって分離された追加の複数のサンプル内の1つ又は複数のサンプルを含む、センサ分析システム。
【請求項2】
センサ分析デバイスは、さらに、コンピューティング装置に第1のメッセージを送信するように構成され、第1のメッセージは、第1のアナログ信号内の過渡信号を含む、請求項1に記載のセンサ分析システム。
【請求項3】
センサ分析デバイスは、第1のメッセージをタービン制御システムに送信するように更に構成されている、請求項2に記載のセンサ分析システム。
【請求項4】
請求項1に記載のセンサ分析システムにおいて、前記センサ分析デバイスは、さらに、アナログ出力ポートを介して第2のアナログ信号を送信するように構成されている、請求項1に記載のセンサ分析システム。
【請求項5】
第2のアナログ信号は、前記第1のアナログ信号を表す第1の部分を含む、請求項4に記載のセンサ分析システム。
【請求項6】
第2のアナログ信号は、第1のアナログ信号の修正を表す第2の部分を含む、請求項5に記載のセンサ分析システム。
【請求項7】
第1のアナログ信号の修正は、閾値に基づいて第1のアナログ信号を修正することを含む、請求項6に記載のセンサ解析システム。
【請求項8】
センサ分析デバイスは、さらに、
デバイスサンプリング期間のサブセット内の第2の複数のサンプルのサブセットを識別するステップと、
第2の複数のサンプルのサブセットの平均信号値を決定するステップと、を実行するように構成される、請求項6に記載のセンサ分析システム。
【請求項9】
第2のアナログ信号は、平均信号値に基づく第3の部分を含む、請求項8に記載のセンサ解析システム。
【請求項10】
センサ分析デバイスは、さらに、
パーセンテージのしきい値を決定するステップと、
第2の複数のサンプルの第2のサブセットを特定するステップと、
を実行するように構成され、第2の複数のサンプルの第2のサブセットは、パーセンテージ閾値を超える1つ又は複数のサンプルを含む、請求項9に記載のセンサ分析システム。
【請求項11】
第1のメッセージは、第2の複数のサンプルのうち、最大信号値を含む1つ以上のサンプルを含む、請求項2に記載のセンサ分析システム。
【請求項12】
第1のメッセージは、第2の複数のサンプルのうち、最小信号値を含む1つ以上のサンプルを含む、請求項11に記載のセンサ分析システム。
【請求項13】
第1のメッセージは、第2の複数のサンプルのうち、最大信号値と最小信号値とを含む1つ以上のサンプルを含む、請求項12に記載のセンサ分析システム。
【請求項14】
センサ分析デバイスは、閾値を超える又は未満の1つ以上のサンプルの数を決定するステップを実行するようにさらに構成されている、請求項1に記載のセンサ分析システム。
【請求項15】
少なくとも1つの追加センサに結合された無線周波数(RF)インターフェースをさらに含む、請求項1に記載のセンサ分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、一般に、信号修正及びデータロギング(signal modification and data logging)を含む、過渡エラー(transient errors)のセンサデータ解析のための装置、システム、及び方法、ならびにそれらの組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業工学環境では、産業機器の動作及び健全性の側面を監視するためのセンサデバイスが実装されている。例えば、発電所環境では、ガスタービンシステムなどの電力システムが、タービンシステムの構成要素の様々な物理的状態を監視する多数のセンサを含むことがあるが、これに限定されない。このようなセンサは通常、出力信号を制御システムに送信し、この制御システムは、例えば、システムの健全性のためにセンサ信号を分析することができる。制御システムによって実行されるセンサデータ分析には、多くの場合、エラー検出とデータロギングの機能が含まれる。
【0003】
しかし、既知の制御システムは、送信されるデータのタイプ、量、又はサンプルレートによって問題を示す場合がある。例えば、制御システムは、40ミリ秒(ms)毎など、予め定義されたサンプルレートで所定のセンサ信号をサンプリングするように構成されるかもしれないが、サンプルの間に過渡的なエラー状態が発生した場合、エラーは制御システムによって検出されないかもしれない。これは、ローパスフィルタリングによって部分的に軽減することができるが、このようなアプローチでは、応答が遅れたり、エラーが検出されなかったりする可能性がある。さらに、過渡現象がサンプリング周波数のほぼ整数倍で周期的に発生すると、不要なエイリアシングが発生する可能性がある。状況によっては、過渡的なエラーが検出されたり、ノイズの多い信号が誤ったサンプルを生成したりすることがあり、その結果、制御システムが、システムにとって無害であり、修正応答を必要としない状況に対して不必要な反応を取るきっかけとなることがある。オシロスコープやデータロガーを使用することで、センサ信号の過渡エラーデータの解析が容易になる場合もある。しかし、このような装置は、現場で行う熟練した操作を必要とし、また、収集されたデータと制御システムのデータとの相関関係を必要とする場合がある。
【0004】
このように、センサ信号経路内、すなわちセンサと制御システムとの間に結合され、基礎となる制御システムと比較して増加したサンプルレートで過渡エラーを監視し、それによって制御システムからの過渡エラーの「マスキング:masking」を容易にし、制御システムへの伝達を防止することができるデバイスに対する必要性が生じる。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、発電所のタービンエンジンの動作を監視するためのセンサ分析システムが提供される。センサ分析システムは、タービンエンジンに関連する複数のセンサを監視するように構成されたタービン制御システムと、タービンエンジンの動作の一態様を監視し、第1のアナログ信号を出力信号として送信するように構成されたセンサデバイスと、センサデバイスに結合されたセンサ分析デバイスとを含む。センサ分析デバイスは、センサデバイスから第1のアナログ信号を受信し、デバイスサンプリング期間によって定義される第1のレートで第1のアナログ信号から第1の複数のサンプルをキャプチャするように構成され、第1のレートは、サンプル間の第1の持続時間を含む。センサ分析デバイスはまた、デバイスサンプリング期間によって定義される第2のレートを決定するように構成され、第2のレートは、第1のレートで捕捉されたサンプル間の第1の継続時間よりも短いサンプル間の第2の継続時間を含み、第2のレートで第1のアナログ信号から第2の複数のサンプルを捕捉し、第2の複数のサンプルは、第1の継続時間によって分離された第1の複数のサンプルと、第2の継続時間によって分離された追加の複数のサンプルとを含む。センサ分析デバイスは、第2の複数のサンプルのうち、閾値以上又は閾値未満の過渡信号を含む1つ又は複数のサンプルを検出するようにさらに構成され、過渡信号は、第2の継続時間によって分離された追加の複数のサンプル内の1つ又は複数のサンプルを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明を添付図面を参照しながら読むと、よりよく理解されるであろう。
【
図1】センサデバイスからの出力信号を監視及び管理するためにセンサ分析デバイスが使用される、例示的なセンサシステムの概略図である。
【
図2】
図1に示すセンサ分析デバイスの追加の例示的なコンポーネントレベルの詳細を示すコンポーネント及びデータフロー図である。
【
図3】センサ信号に含まれる過渡エラーの検出に使用するための例示的な方法のフローチャートである。
【0007】
別段の指示がない限り、本明細書で提供される図面は、本開示の実施形態の特徴を説明するためのものである。これらの特徴は、本開示の1つ又は複数の実施形態を含む多種多様なシステムにおいて適用可能であると考えられる。そのため、図面は、本明細書に開示される実施形態の実施に必要であることが当業者によって知られているすべての従来の特徴を含むことを意味するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で説明する実施形態は、センサ信号解析及び過渡エラー緩和(sensor signal analysis and transient error mitigation)の既知の方法の欠点の少なくともいくつかを克服する。本実施形態は、過渡エラーを監視するために、センサとタービン制御システムなどの制御装置との間に結合され得るセンサ解析装置を実装する。このセンサ分析デバイスは、通常運転中にセンサ信号がデバイスを介して制御システムに送信されるように、センサと制御デバイスとの間に結合されてもよい。さらに、このデバイスは、制御システムによって使用されるサンプルレートと比較して増加したサンプルレートでセンサ信号の過渡エラーを監視することができるため、センサ分析デバイスは、制御システムによって検出されない可能性のある過渡エラーを検出することができる。1つ又は複数の過渡エラーの検出後、デバイスは、過渡エラーログデータをロギングデータベースに送信すること、過渡エラー警告を制御システムに送信すること、及び/又はセンサ分析デバイスなどの別のデバイスへの直接接続を介して分析のために過渡エラーデータを表示することなどによって、エラーを報告することができる。いくつかの実施形態では、センサ分析デバイスは、例えば、過渡エラーサンプル(例えば、予め定義された閾値以上又は以下の信号値)を除去するために出力信号を修正することによって、及び/又は、短期的な過渡エラーのスパイクを本質的にミュートするために出力信号を平滑化する(例えば、生のサンプル値ではなくサンプル値の移動平均を使用する)ことによって、過渡エラーの側面を抑制又は「マスク」することができる。このように、センサ分析デバイスは、短期的な過渡エラーが抑制されるように、過渡エラーの検出と報告を容易にすることができる。
【0009】
図1は、センサデバイス(sensor device)114からの出力信号を監視及び管理するためにセンサ分析デバイス(sensor analysis device)120が使用される例示的なセンサシステム100である。例示的な実施形態では、センサシステム100は、発電設備(power generation facility)110内に結合されているが、このような構成は、センサ分析デバイス120及び/又はその関連する使用方法の動作範囲を制限することを意図していない。例示的な実施形態では、発電設備110内のガスタービン112が電力を生成し、1つ又は複数のセンサデバイス114がガスタービン112の動作の様相(aspects of operation)を監視するために使用される。例えば、例示的な実施形態では、センサデバイス114は、ガスタービン112の燃料流消費(fuel current consumption)及びガスタービン112による出力を監視する。一般に、センサデバイス114は、本明細書で説明するようなデータ収集及び分析を容易にする、当該技術分野で公知の任意の適切なセンサであってよい。ガスタービン112についての言及は、例示を意図したものであり、本開示を限定することを意図したものではなく、発電所内の様々な機器(various equipment)の動作監視に適用することができる。
【0010】
通常運転中、センサデバイス114は、タービン制御システム118によって監視及び管理され得る多数のセンサ出力116のセンサ出力116Xとして、アナログ信号をタービン制御システム118に出力する。センサ出力116Xは、例えば、4~20ミリアンペア(mA)電流モード伝送又は0~5ボルト(V)電圧モード出力であってよい。さらに、例示的な実施形態では、センサ出力116Xは、センサ分析デバイス120を介して送信される(例えば、トラブルシューティングのシナリオの間、過渡エラーの検出及び分析が有用であることが証明され得るとき)。より具体的には、センサ出力116Xは、センサ出力122を介して(例えば、センサデバイス114のネイティブ出力に基づいて、パッチケーブル、ワイヤなどを介して)センサ分析デバイス120に結合されてもよく、デバイス出力124は、その後、センサ分析デバイス120をタービン制御システム118に結合してもよい(例えば、センサ出力116Xのケーブルをセンサデバイス114から切り離し、センサ分析デバイス120の出力ポートに接続するなど、パッチケーブルと同様である)。いくつかの実施形態では、センサデバイス114によって生成されたアナログ信号は、センサ出力122からデバイス出力124にルーティングすることができ、したがって、タービン制御システム118は、その通常の動作においてセンサデバイス114の出力を引き続き使用することができる。いくつかの実施形態及び構成では、以下でさらに詳細に説明するように、センサ分析デバイス120は、センサ出力122を修正することができる。タービン制御システム118についての言及は、例示を意図したものであり、本開示を限定することを意図したものではなく、発電所内の様々な機器の動作を監視する制御システムに適用することができる。
【0011】
例示的な実施形態では、センサ分析デバイス120は、特定のサンプリング時間(本明細書では「デバイスサンプリング時間:device sampling time」又は「デバイスサンプル期間:device sample period」と呼ばれる)におけるセンサデバイス114のアナログ信号出力を分析するようにプログラム可能である。デバイス(装置)120は、さらに、過渡エラー検出、報告、及びロギング(transient error detection, reporting, and logging)(例えば、タービン制御システム118によって識別されるには短すぎる継続時間で発生する可能性のある信号異常を識別する)、過渡エラーのマスキング又はフィルタリング(例えば、無視される可能性のある異常又はノイズを識別し、その後、タービン制御システム118に送信される信号からそれらの過渡エラーを除去する)、及びリップル周波数測定など(ただし、これらに限定されない)の様々なデータ分析及びロギング動作を実行するようにプログラム可能である。これらの様々な機能及び動作モードについては、以下でさらに詳細に説明する。
【0012】
例示的な実施形態では、センサ分析デバイス120は、サービスコンピューティングデバイス104(例えば、ラップトップ又はタブレットデバイス又はシリアル端末などのポータブルコンピューティングデバイスコンピューティングデバイスであり、シリアル接続、ネットワークポート及び端末エミュレータ、ワイヤレスネットワークインターフェースなどを介して)を介して分析者(アナライザ:analyst)102によって構成され得る。動作中、センサ分析デバイス120は、他のセンサ分析デバイス120Xと(例えば、無線周波数(RF)通信、Wi-Fiネットワークなどを介して)、又は1つ以上のサポートシステムサーバ(例えば、ロギングデータベース130、タービン制御システム118など、有線又は無線ネットワークインターフェース、セルラモデムなどを介して)と無線接続することができる。いくつかの実施形態では、有線又は無線ネットワークなどのネットワーク142は、タービン制御システム118がサイト管理システム140及びロギングデータベース130と通信することを可能にする。いくつかの実施形態では、タイムサービス106(例えば、NTPサーバ)は、ネットワーク142を介して(例えば、センサシステム100の様々な装置間の時間同期のために)アクセス可能である。
【0013】
図2は、
図1に示すセンサ分析デバイス120の追加の例示的なコンポーネントレベルの詳細を示すコンポーネント及びデータフロー図である。例示的な実施形態では、センサ分析デバイス120は、センサデバイス114への結合を可能にする(例えば、センサ出力122を受信する)ように構成される1つ以上の入力212を含む。各入力212は、センサデバイス114から直接又は間接的に生信号(raw signal)210を受信する。いくつかの実施形態では、生信号210は、4-20mA信号などである。他の実施形態では、生信号210は、電圧入力(例えば、減衰抵抗器(attenuation resistors)などを介して構成可能な範囲にわたる0~5Vの直流(DC))であってもよい。いくつかの実施形態では、生信号210は、交流(AC)入力(例えば、±5V AC)であってもよい。いくつかの実施形態では、センサ分析デバイス120は、これらの入力の各々又は任意の組み合わせのための入力212を含むことができる。
【0014】
例示的な実施形態では、センサ分析デバイス120は、1以上の生信号210を受信し、生信号210を使用して様々な処理及び分析動作を実行する信号分析モジュール(signal analytics module)220も含み、その各々は、様々な構成パラメータを介して構成され得る。いくつかの実施形態では、信号分析モジュール220は、本明細書で説明される様々な動作のいずれか又はすべてを実行するように予め構成された回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、信号分析モジュール220は、本明細書で説明される動作を実行するのに十分なコンピュータ処理ユニット(CPU:computer processing unit)及び他の関連ハードウェア及びソフトウェア構成要素(別途図示せず)を含み、本明細書で説明される様々な動作を実行するようにプログラムされ得る。
【0015】
例えば、いくつかの実施形態では、センサ分析デバイス120は、過渡エラーを検出することができる。過渡エラーは、状況によっては、タービン制御システム118によって検出されない可能性があるほど持続時間が短い場合がある。そのため、センサ分析デバイス120は、そのような過渡エラーを検出し、報告し、ログに記録するように構成することができる。より具体的には、例えば、タービン制御システム118は、40ミリ秒(ms)のサンプリング期間(「制御システムサンプリング期間:control system sampling period」)でセンサ信号122/124をサンプリングすることができる。エラー継続時間がその制御システムサンプリング期間未満で発生した場合、すなわち、エラー継続時間が2つの個々の制御システムサンプリング間で発生した場合、タービン制御システム118は、その過渡エラーを検出しない可能性がある。そのような短時間の過渡エラーを検出するために、センサ分析デバイスは、制御システムのサンプリングレートと比較して増加したデバイスサンプリングレートで動作可能であってもよい(例えば、センサ分析デバイスは、制御システムよりも単位時間当たりにより多くのサンプルを受信するように動作してもよい)。例えば、センサ分析デバイス120は、例示的な制御システム118が40msのサンプル周期で動作しているときに、1msのサンプル周期又は10マイクロ秒(μs)のサンプル周期で構成することができる。このように、センサデバイス114から送信される信号を監視する場合、センサ分析デバイス120は、そうでなければタービン制御システム118による検出を逃れる可能性のある、より短い過渡エラーをより確実に検出することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、センサ分析デバイス120は、過渡エラーが高い及び/又は低いことを検出して報告する(detect and report transient error highs and/or lows)ように構成することができる。例えば、センサ分析デバイス120は、センサ分析デバイス120が複数のサンプルを収集する(例えば、1msのサンプリング期間で、ウィンドウごとに40サンプルをもたらす)過渡ウィンドウ(transient error window、例えば、タービン制御システム118のサンプリング期間と同様の40ms)を有するように構成されてもよい。各過渡エラーウィンドウについて、センサ分析デバイス120は、そのウィンドウ内で検出された最高又は最低の信号値を特定するように構成される場合がある。いくつかの構成では、センサ分析デバイス120は、例えば、ロギングデータベース130にメッセージを送信することによって(例えば、無線ネットワークインターフェース232を介して)、過渡エラーデータを含むテキストメッセージを送信することによって(例えば、無線ネットワークインターフェース232を介して)、又は分析者102に過渡エラーデータを表示することによって(例えば、サービスコンピューティングデバイス104へのシリアルインターフェース224を介して)、過渡エラー高値又は低値(transient error high or low value)を報告することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、センサ分析デバイス120は、タービン制御システム118、及び/又は別の下流の監視システム(another downstream monitoring system)が過渡エラー低値を検出しやすくなるように、出力信号216を修正することができる。例えば、過渡エラーは、制御システムのサンプリング時間である40ms未満のサンプリング時間で発生する可能性があり、その後、出力信号の下流に結合されたタービン制御システム118による過渡エラーの検出を容易にするために、1秒の継続時間にわたって送信される可能性がある。すなわち、短い過渡エラーを示す可能性のある過渡エラー低値(transient error low value)の出力信号は、タービン制御システム118及び/又は他の下流の監視システムによる検出を確実にするために増加させることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、センサ分析デバイス120は、特定のウィンドウの時間(particular window of time)、又はサンプルが高閾値を上回る又は低閾値を下回る(above a predefined high threshold or below a predefined low threshold)時間の持続時間の間に、いくつのサンプルが予め定義された高閾値を上回るか、又は予め定義された低閾値を下回るかを決定するように構成されてもよい。例えば、40msのウィンドウと1msのサンプリング期間で上記の例を続けると、センサ分析デバイス120は、高閾値を特定し、所定のウィンドウの間にその高閾値を超えたサンプルの数を決定することができる。高閾値を超えたサンプルの数は、ウィンドウごとに合計され、ログに記録され、表示され、又はタービン制御システム118に送信され、その後、新しい検出ウィンドウごとにリセットされる。
【0019】
いくつかの実施形態では、センサ分析デバイス120は、例えば、そうでなければタービン制御システム118によって検出される可能性のあるノイズ又はシステム妨害の影響を低減することを容易にするために、スライディングウィンドウ平均(sliding window averages)を使用して高い又は低い過渡エラーをマスクするように構成される場合がある。例えば、一実施形態では、センサ分析デバイス120は、10マイクロ秒(μs)のサンプリング周波数(sampling frequency:サンプリング頻度)で所定の時間量(時間の長さ、例えば、4.8msのスライディングウィンドウ)の移動ウィンドウ又はスライディングウィンドウを有するように構成されてもよく、そのウィンドウにわたって、装置120は、そのウィンドウにわたる平均値(例えば、直近の480サンプルの平均値)及び/又はそのウィンドウにわたる二乗平均平方根(RMS:root mean square)を計算する。計算された値は、その後、表示されるか、ログに記録されるか、又はタービン制御システム118に送信される。いくつかの実施形態では、出力信号216は、(例えば、デバイス出力124の現在の値の代わりに)ウィンドウにわたる値を反映するように修正されてもよく、したがって、短い過渡エラーを平滑化することが容易になる。ウィンドウサイズ及びサンプリング周波数は、そのサンプリング周波数でいくつのサンプルがウィンドウサイズを効果的に表すかを決定するために使用されてもよく、そのようなものとして、この機能は、同様の効果を得るためにサンプリング周波数と組み合わせてサンプル数を代わりに使用してもよいことが明らかであろう。
【0020】
いくつかの実施形態では、センサ分析デバイス120は、パーセンテージ閾値フィルタと組み合わせてスライディングウィンドウ平均を使用して(using the sliding window average in conjunction with a percentage threshold filter)、高い又は低い過渡エラーをマスクするように構成され得る。例えば、一実施形態では、センサ分析デバイス120は、パーセンテージ閾値及び最小継続時間を用いて構成され得る。各新しいサンプルが採取されると、各サンプルは移動平均と比較される。新しいサンプルが、所定の継続時間の移動平均を一定割合上回る(又は一定割合下回る)と判定された場合、そのようなサンプルは移動ウインドウの計算に含まれる。新しいサンプルが少なくとも最小継続時間の間、パーセンテージの閾値を超えない場合、それらのサンプルは移動ウインドウの計算から除外される。このように、最小継続時間よりも短い継続時間の過渡エラーは移動ウインドウ計算から除外されるため、それらの短い過渡エラーはマスクされる。いくつかの実施形態では、出力信号216は同様に、このマスクされた値又はフィルタリングされた値を反映するように修正されてもよい。他の実施形態では、出力信号216は、最小継続時間より長く発生した過渡データの表現を反映するように修正されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、センサ分析デバイス120は、生信号210のリップル(ripple)を測定し、報告するように構成されてもよい。例えば、センサ分析デバイス120は、設定された数の制御システム期間にわたって、移動平均を横切る上昇ゼロ交差の頻度を測定する(measure the frequency of rising zero crossings across the moving average over a configured number of control system periods)ように構成されてもよい。センサ分析デバイス120は、その後、その数の期間にわたる平均周波数(average frequency:平均の頻度)を報告するか、又はリップルサイクルの平均ピークを報告し、その数の期間が経過した後にリセットされる。
【0022】
例示的な実施形態では、本明細書で説明する特徴のいずれかと共に、センサ分析デバイス120は、センサ出力122をアナログ出力214を介して(例えば、センサ分析デバイス120によって実質的に変更されない出力信号216として)ルーティングするように構成されてもよい。そのような構成では、タービン制御システム118は、(例えば、センサデバイス114が依然としてタービン制御システム118に直接接続されているかのように)生信号210を依然として検出し、それに反応することができる。いくつかの特徴は、上記のいくつかの特徴で説明したように、出力信号216を修正するように構成され得る。例えば、いくつかの特徴は、過渡エラーの詳細を送信するように、及び/又は特定の過渡エラーをマスクするように(例えば、タービン制御システム118がそれらの過渡エラーを検出して反応しないように)構成されてもよい。修正された出力信号216は、そのように、タービン制御システム118による解釈及び処理のために送信される。
【0023】
例示的な実施形態において、及び本明細書で説明する様々な構成可能な特徴のいずれか又はすべてにおいて、センサ分析デバイス120は、特徴によって生成された様々な出力データ(又は「特徴データ」)を1つ又は複数のターゲットデバイスに送信するように構成することができる。これらのターゲットデバイスは、例えば、タービン制御システム118、ロギングデータベース130、サービスコンピューティングデバイス104、又は他のセンサ分析デバイス120Xを含み得る。例示的な実施形態では、センサ分析デバイス120は、信号分析モジュール220、無線周波数インターフェース230、無線ネットワークインターフェース、及び/又はシリアルインターフェース224の間の非同期シリアル通信を容易にするユニバーサル非同期受信機トランスミッタ(UART)モジュール222(a universal asynchronous receiver transmitter (UART) module 222 that facilitates asynchronous serial communication between the signal analytics module 220, a radio frequency interface 230, a wireless network interface, and/or a serial interface 224)を含む。
【0024】
例えば、ローカル表示モードでは、特徴データは、分析者102への提示及び表示のために(例えば、サービスコンピューティングデバイス104の文字ベース又はグラフィカルユーザインターフェースを介して(via a character-based or graphical user interface)、生データサンプル、平均、グラフなどの形態で)、シリアルインターフェース224を介してサービスコンピューティングデバイス104に送信されてもよい。ロギング構成(logging configuration)では、特徴データは、無線ネットワークインターフェース232(例えば、ローカルWi-fiネットワーク、セルラーネットワークなど)又は有線ネットワークインターフェース(図示せず)を介してロギングデータベース130に送信され得る。警告構成(alerting configuration)では、特徴データは、(例えば、セルラーネットワークを介したSMSテキストメッセージを介して)オペレータ202のモバイルデバイス204に送信されてもよい。統合管理構成では、特徴データは、無線ネットワークインターフェース232又は有線ネットワークインターフェースを介してタービン制御システム118に送信される場合がある。
【0025】
いくつかの実施形態では、特徴データは、センサ分析デバイス120と他のセンサ分析デバイス120Xとの間で送信されてもよい。例えば、追加のセンサ分析デバイス120Xは、無線周波数インターフェース230を介してその特徴データをセンサ分析デバイス120に送信するように構成されてもよい。このように、センサ分析デバイス120は、追加的又は代替的に、センサ分析デバイス120Xの特徴データを、センサ分析デバイス120の特徴データと同様に、ターゲットデバイス104、118、130、204のいずれかに表示又は送信してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、特徴データは、UARTモジュール222によって、信号分析モジュール220及び/又はアナログ出力214に導入されてもよい。例えば、信号分析モジュール220は、入力212からUARTモジュール222への入力モードを切り替える(toggle:トグルする)ようにプログラムされてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、タービン制御システム118への過渡エラーデータの直接送信は、データ送信の精度及び/又は効率の改善を促進する可能性がある。例えば、タービン制御システム118のデータと過渡エラーデータとをより効率的かつ正確に比較する(more efficiently and accurately compare the data of the turbine control system 118 to the transient error data)ために、過渡エラーデータがタービン制御システム118に直接送信された後に、ユーザインターフェースを介して較正(calibration)を実行することができる。ユーザインターフェースを介して実行される較正は、制御システムクロックとUARTモジュール222との間のバイアスを除去した制御システムサンプリング期間での矩形波の送信などによる、出力信号を制御システムクロックに同期させることを含み得るが、これに限定されない。このバイアス調整は、制御システムキャプチャレート(control system capture rate)で制御システムによって出力されるデバイス信号の変化をキャプチャすることを容易にし得る。
【0028】
図3は、センサ信号内から様々な過渡エラー検出機能を実行するための例示的な方法300のフローチャートである。いくつかの実施形態では、方法300は、
図1及び
図2に示すセンサ分析デバイス120によって実行される。例示的な実施形態において、方法300は、動作302を開始し、
図2に示されるようなセンサデバイス114の生信号210のようなセンサデバイスからの入力信号に対して動作していると推定される。次に、過渡エラー機能構成設定が特定される310(Transient error feature configuration settings are then identified 310)。これらの設定は、多くの可能な過渡エラー検出機能のどれが現在動作可能にされているかを特定し、また、様々な変数のどれが各機能に関連付けられ得るかを特定する。
【0029】
いくつかの構成では、方法300は、元のセンサ信号(original sensor signal、例えば、この方法300の特徴のいずれかによって実質的に変更されないように)312を出力することを含み得る。元のセンサ信号の出力312が有効である場合、元のセンサ信号は、(例えば、アナログ出力214を介して、出力信号216として)出力312される。いずれの状況においても、方法300は動作を継続する304。
【0030】
さらに、方法300は、過渡エラーサンプリング320及びそれに関連する様々な機能を有効にすることができる。過渡エラーサンプリング320が有効化される場合、サンプリング期間及び閾値が特定322される。特定322は、過渡エラー検出が、信号内の過度に高い値又は過度に低い値(例えば、高いしきい値、低いしきい値)、又はその両方を特定するように構成されているかどうかを特定することを含み得る。入力信号は、(例えば、デバイス動作中に連続的に、サンプリング期間によって指定されたレートで)変更される324。設定されたしきい値を超える(例えば、高すぎる、又は低すぎる)1つ又は複数のサンプルが検出されると、過渡エラー事象(transient error event)が検出されたことになる。
【0031】
方法300は、過渡エラー事象の報告330を有効にすることができる。過渡エラー報告330が有効である場合、1以上の過渡エラーメッセージが送信される。そのような過渡事象報告330は、例えば、過渡エラー事象データを表示すること(例えば、シリアルインターフェース224を介してサービスコンピューティングデバイス104に)、ロギングメッセージを送信すること(例えば、ロギングデータベース130に)、テキストメッセージを送信すること(例えば、モバイルデバイス204に)、過渡エラー事象データをタービン制御システム118、及び/又はそのようなものに送信すること(transmitting transient error event data to turbine control system 118, and/or the like)を含み得る。
【0032】
方法300は、過渡エラー事象340の抑制を有効にしてもよい。過渡エラー抑制(transient error suppression)340が有効である場合、出力信号は、過渡エラー事象の検出をマスクするように修正324される(the output signal is modified 324 to mask the detection of the transient error event)。修正324は、過剰なサンプルの代わりに閾値又は他の何らかの人工的な値(some other artificial value、例えば、より公称値:some more nominal value)を反映するように信号を修正することを含み得る。言い換えれば、過剰なサンプル時間の間(during the sample times that are excessive)、出力信号を何らかの公称値で修正することによって、過剰なサンプルを除去するように信号を変更することができる。このように、出力信号は、過剰な過渡エラー値が効果的に除去され(例えば、正常値や閾値に置き換えられ)、出力信号の消費者によって検出されなくなる。
【0033】
方法300は、信号平滑化(signal smoothing)350を実行するように構成されてもよく、その結果、短期的な過渡エラーで見られ得る信号値のスパイクをミュートすることができる。信号平滑化350が有効である場合、出力信号は修正352されてもよい。この信号平滑化350は、いくつかの実施形態では、直近の信号セットの移動平均(running average)を計算し、生の入力値ではなく移動平均値(running average value)を反映するように出力信号を修正することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、移動平均を計算するために使用されるサンプル数を効果的に特定するウィンドウサイズ(例えば、移動ウィンドウ又はスライディングウィンドウのサンプル数、単位時間など)が提供され得る。このように、新しいサンプルごとに、修正352は、スライディングウィンドウ内の最新のサンプルのすべてを合計して平均化することを含む。いくつかの実施形態では、修正352は、入力信号の代わりに出力信号として移動平均を連続的に出力することを含み得る(例えば、移動平均による連続的平滑化:continuous smoothing with running average)。他の実施形態では、352を修正することは、サンプルが閾値の一つを超えたサンプル期間の間だけ移動平均を出力し、閾値を超えないサンプル期間の間は元の入力値を出力することを含むことができる(例えば、移動平均による限定的平滑化:limited smoothing with running average)。
【0034】
いくつかの実施形態では、移動平均計算は、パーセンテージ閾値及び継続時間(a percentage threshold and duration)に基づいて修正352されてもよい。より具体的には、352を修正することは、パーセンテージ閾値(例えば、30%)及び持続時間(例えば、サンプル単位、又は単位時間:in samples, or unit time)を特定することを含み得る。そのような実施形態では、直近のサンプルの1つ又は複数が、パーセント閾値の量だけ現在の平均値を超える(例えば、高いサンプル及び高い構成の場合には平均値の30%を超えるサンプル、又は低いサンプル及び低い構成の場合には平均値の30%未満のサンプル)が、指定された継続時間未満の時間継続する場合、それらのサンプルは平均信号値の計算から除外される。直近のサンプルの1つ又は複数が、指定された継続時間を超えてパーセンテージ閾値を超えた場合、それらのサンプルは平均値の計算に含まれる。このように、この機能は、平均計算からそれらのサンプルを除外することによって、短時間の過渡的なエラーを排除し、出力への影響を軽減するのに役立つ可能性がある(例えば、異常なサンプルを除外することによって平均値への影響も軽減される)。
【0035】
いくつかの実施形態では、方法300は、特定のウィンドウ内の最高サンプル値又は最低サンプル値(a highest sample value or a lowest sample value within a particular window)を識別することを含み得る。いくつかの実施形態において、方法300は、ある期間内に、いくつのサンプルが閾値を超えたか(例えば、高い閾値を上回ったか、又は低い閾値を下回ったか)のサンプルカウントを識別することを含み得る。
【0036】
本明細書では、信号修正及びデータロギング、ならびにそれらの組み合わせを含む、過渡エラーのセンサデータ解析のための例示的なシステム及び方法を説明する。本明細書で説明する例示的なシステムは、少なくとも、基礎となる制御システムと比較して増加したサンプルレートで過渡エラーを監視し、制御システムからの過渡エラーの「マスキング:masking」を容易にし、制御システムへの伝達を防止することを含む、従来の設計及びプロセスに勝るいくつかの利点を提供する。
【0037】
上記の説明は、例示的なものであることのみを意図しており、当業者であれば、開示された本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に変更を加えることができることを認識するであろう。本発明の範囲内に入る変更は、本開示の検討に照らして当業者には明らかであり、そのような変更は添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。本明細書に記載されたシステムは、本明細書に記載された特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、様々なシステムの一部は、本明細書に記載された他のシステムとは独立して、別個に利用することができる。
【0038】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴が、いくつかの図面に示され、他の図面には示されていない場合があるが、これは便宜上のみである。さらに、上記の説明における「一実施形態」への言及は、言及された特徴も組み込んだ追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図するものではない。本発明の原理に従って、図面の任意の特徴は、他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照及び/又は特許請求することができる。
【0039】
本開示のさらなる態様は、以下の条項の主題によって提供される。
[実施形態1]
発電所のタービンエンジンの動作を監視するためのセンサ分析システムであって、タービンエンジンに関連する複数のセンサを監視するように構成されたタービン制御システムと、タービンエンジンの動作の態様を監視し、第1のアナログ信号を出力信号として送信するように構成されたセンサデバイスと、該センサデバイスに結合されたセンサ分析デバイスとを含み、前記センサ分析デバイスは、センサデバイスから第1のアナログ信号を受信するステップと、デバイスサンプリング期間によって定義される第1のレートで第1のアナログ信号から第1の複数のサンプルをキャプチャするステップであって、前記第1のレートは、サンプル間の第1の継続時間を含む。前記ステップと、デバイスサンプリング期間によって規定される第2のレートを決定するステップであって、前記ステップと、第2のレートは、前記第1のレートでキャプチャされたサンプル間の第1の継続時間よりも短いサンプル間の第2の継続時間を含む、前記ステップと、前記第1のアナログ信号から前記第2のレートで第2の複数のサンプルをキャプチャするステップであって、前記第2の複数のサンプルは、前記第1の継続時間によって分離された第1の複数のサンプルと、前記第2の継続時間によって分離された追加の複数のサンプルとを含む、前記ステップと、前記第2の複数のサンプルのうち、閾値以上又は閾値未満の過渡信号を含む1つ又は複数のサンプルを検出するステップとを実行するように構成され、過渡信号は、前記第2の継続時間によって分離された追加の複数のサンプル内の1つ又は複数のサンプルを含む、センサ分析システム。
[実施形態2]
前記センサ分析デバイスは、コンピューティングデバイスに第1のメッセージを送信するようにさらに構成され、前記第1のメッセージは、前記第1のアナログ信号内の過渡信号を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ解析システム。
[実施形態3]
前記センサ分析デバイスは、さらに、前記第1のメッセージを前記タービン制御システムに送信するように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
[実施形態4]
前記センサ分析デバイスは、さらに、アナログ出力ポートを介して前記第2のアナログ信号を送信するように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
[実施形態5]
前記第2のアナログ信号は、前記第1のアナログ信号を表す第1の部分を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
[実施形態6]
前記第2のアナログ信号は、前記第1のアナログ信号の修正を表す第2の部分を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
[実施形態7]
前記第1のアナログ信号の修正は、前記閾値に基づいて前記第1のアナログ信号を修正することを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
[実施形態8]
前記センサ分析デバイスは、さらに、前記デバイスサンプリング期間のサブセット内の第2の複数のサンプルのサブセットを識別することと、第2の複数のサンプルのサブセットの平均信号値を決定することと、を行うように構成される、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
[実施形態9]
前記第2のアナログ信号は、前記平均信号値に基づく第3の部分を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
[実施形態10]
前記センサ分析デバイスは、さらに、パーセンテージ閾値を決定するステップと、前記第2の複数のサンプルの第2のサブセットを識別するステップを実行するように構成され、前記第2の複数のサンプルの第2のサブセットは、前記パーセンテージ閾値を超える1つ又は複数のサンプルを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
[実施形態11]
前記第1のメッセージは、前記第2の複数のサンプルのうち、最大信号値を含む1つ又は複数のサンプルを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
[実施形態12]
前記第1のメッセージは、前記第2の複数のサンプルのうち、最小信号値を含む1つ又は複数のサンプルを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
[実施形態13]
前記第1のメッセージは、前記第2の複数のサンプルのうち、前記最大信号値及び前記最小信号値を含む1つ又は複数のサンプルを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
[実施形態14]
前記センサ分析デバイスは、さらに、前記閾値以上又は以下の1つ又は複数のサンプルのサンプル数を決定するように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
[実施形態15]
少なくとも1つの追加センサに結合された無線周波数(RF)インターフェースをさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
[実施形態16]
前記センサ分析デバイスは、少なくとも1つの追加センサに結合された無線周波数(RF)インターフェースを介してセンサデータを受信するようにさらに構成される、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
[実施形態17]
コンピューティングデバイスに結合された無線ネットワークインターフェースをさらに含む、前記条項のいずれかに従ったセンサ分析システム。
[実施形態18]
前記センサ分析デバイスが、無線ネットワークインターフェースを介して前記コンピューティングデバイスに第1のメッセージを送信するようにさらに構成される、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ解析システム。
[実施形態19]
前記センサ分析デバイスは、さらに、メッセージをモバイルデバイスに送信するように構成され、前記メッセージは、過渡信号の検出を示す過渡信号データを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
[実施形態20]
前記メッセージは、前記過渡信号を構成する1つ又は複数のサンプルの信号値を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のセンサ分析システム。
【0040】
上記の説明における「いくつかの実施形態」への言及は、言及された特徴も組み込んだ追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図するものではない。
【0041】
本明細書で使用される「一般的に:generally」、「実質的に:substantially」、及び「約:about」のような近似語は、別段の指示がない限り、そのように修正された用語が、絶対的又は完全な程度ではなく、当業者に認識されるような近似的な程度にのみ適用され得ることを示す。したがって、「約:about」、「およそ:approximately」、「実質的に:substantially」などの用語によって修正された値は、指定された正確な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似的な表現は、値を測定するための計器の精度に対応することがある。さらに、別段の指示がない限り、「第1」、「第2」などの用語は、本明細書では単にラベルとして使用され、これらの用語が指す項目に序列的、位置的、又は階層的な要件を課すことを意図するものではない。さらに、例えば「第2」の項目への言及は、例えば「第1」又はそれ以下の番号の項目、あるいは「第3」又はそれ以上の番号の項目の存在を必要とするものでも排除するものでもない。
【0042】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴は、いくつかの図面に示され、他の図面には示されていない場合があるが、これは便宜上のものである。さらに、上記の説明における「いくつかの実施形態」への言及は、言及された特徴も組み込んだ追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図するものではない。本発明の原理に従って、図面の任意の特徴は、他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照及び/又は特許請求することができる。
【0043】
本明細書では、実施例を用いて、最良の態様を含む本発明を開示するとともに、任意の装置又はシステムの製造及び使用、ならびに組み込まれた任意の方法の実行を含め、当業者であれば誰でも本発明を実施できるようにする。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者に思いつく他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
100:センサシステム 102:分析者 104:サービスコンピューティングデバイス 106:タイムサービス 110:発電設備 112:ガスタービン 114:センサデバイス 116、122:センサ出力 118:タービン制御システム 120:センサ分析デバイス 120X:他のセンサ分析デバイス 124:デバイス出力 130:ロギングデータベース 140:サイト管理システム 142:ネットワーク 200:コンポーネントレベルの詳細 202:オペレータ 204:モバイルデバイス 210:生信号 212:アナログ入力 214:アナログ出力 216:出力信号 220:信号分析モジュール 222:UARTモジュール 224:シリアルインターフェース 230:無線周波数インターフェース 232:無線ネットワークインターフェース
【外国語明細書】