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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159595
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】多方向出力デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/04 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01H25/04 F
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067318
(22)【出願日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】112115700
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】504214936
【氏名又は名称】福華電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】鐘景浩
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼春霖
(72)【発明者】
【氏名】李秀貞
【テーマコード(参考)】
5G031
【Fターム(参考)】
5G031AS14K
5G031HU02
5G031KS09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】信号精度を向上し、小型化して薄型かつ小型の多方向出力デバイスを提供する。
【解決手段】多方向出力デバイスは、第1及び第2の磁気センサが配設されたプリント回路基板と、プリント回路基板の上方に配設された方向制御ユニットと、を含む。方向制御ユニットは、第1及び第2の回転駆動体と、第1及び第2の回転駆動体にそれぞれ可動に接続された第1及び第2の摺動駆動体と、第1及び第2の摺動駆動体にそれぞれ固定された第1及び第2の磁石と、第1及び第2の摺動溝が設けられた下側カバーと、を含み、第1及び第2の摺動駆動体はそれぞれ第1及び第2の摺動溝内に摺動可能に配設され、第1の磁気センサ及び第2の磁気センサが第1の摺動溝及び第2の摺動溝にそれぞれ対応して配設される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多方向出力デバイスであって、
第1の磁気センサ及び第2の磁気センサが配置されたプリント回路基板と、
前記プリント回路基板上に設けられた方向制御ユニットと、を備え、該方向制御ユニットが、
各々が回転可能な長細い弧状構造体であり、対応する該長細い弧状構造体の中心に配置された中心長孔を各々が有する第1の回転駆動体及び第2の回転駆動体であって、前記第1の回転駆動体は前記中心長孔が相互に整列するように前記第2の回転駆動体の上方に配置されて該第2の回転駆動体に対して垂直に交差する、第1の回転駆動体及び第2の回転駆動体と、
前記第1の回転駆動体の一端及び前記第2の回転駆動体の一端にそれぞれ可動に接続された第1の摺動駆動体及び第2の摺動駆動体と、
前記第1の摺動駆動体の一方の面及び前記第2の摺動駆動体の一方の面にそれぞれ固定された第1の磁石及び第2の磁石と、
前記第1の摺動駆動体及び前記第2の摺動駆動体にそれぞれ対応する第1の摺動溝及び第2の摺動溝を有する下側カバーであって、前記第1の摺動駆動体は前記第1の摺動溝に摺動可能に配置され、前記第2の摺動駆動体は前記第2の摺動溝に摺動可能に配置された、下側カバーと、
上端及び下端を有するシャフトスティックであって、前記上端が前記第1の回転駆動体及び前記第2の回転駆動体の下部から前記中心長孔を貫通する、シャフトスティックと、
前記シャフトスティックの下部に前記第1の回転駆動体及び前記第2の回転駆動体と接触して配置されたバランスワッシャと、
前記バランスワッシャの下部に該バランスワッシャと接触して配置された環状バネと、
を含み、
前記第1の磁気センサ及び前記第2の磁気センサは、前記第1の摺動溝及び前記第2の摺動溝にそれぞれ対応するように配設された、多方向出力デバイス。
【請求項2】
前記第1の摺動駆動体は前記第1の磁石を収容する第1の収容溝を有し、前記第2の摺動駆動体は前記第2の磁石を収容する第2の収容溝を有する、請求項1に記載の多方向出力デバイス。
【請求項3】
前記第1の摺動駆動体は第1の凹設部を有し、前記第1の回転駆動体は該第1の回転駆動体の回転角を前記第1の摺動駆動体の摺動距離に変換するように前記第1の凹設部に非固定的に係合された第1の係合部を有し、前記第2の摺動駆動体は第2の凹設部を有し、前記第2の回転駆動体は該第2の回転駆動体の回転角を前記第2の摺動駆動体の摺動距離に変換するように前記第2の凹設部に非固定的に係合された第2の係合部を有する、請求項1に記載の多方向出力デバイス。
【請求項4】
前記第1の係合部は弧状溝を有し、該弧状溝に対応する凸状円柱が該弧状溝に係合されるために前記第1の凹設部内に設けられ、前記第2の係合部は弧状溝を有し、該弧状溝に対応する凸状円柱が該弧状溝に係合されるために前記第2の凹設部内に設けられた、請求項3に記載の多方向出力デバイス。
【請求項5】
前記シャフトスティックを第1の方向に揺動させる場合、該シャフトスティックは前記第1の回転駆動体を駆動して回転させ、前記第1の摺動駆動体を引いて前記第1の摺動溝内を前記第1の方向に摺動させ、前記シャフトスティックは前記第2の回転駆動体の前記中心長孔内に接して移動し、前記シャフトスティックを第2の方向に揺動させる場合、該シャフトスティックは前記第2の回転駆動体を駆動して回転させ、前記第2の摺動駆動体を引いて前記第2の摺動溝内を前記第2の方向に摺動させ、前記シャフトスティックは前記第1の回転駆動体の前記中心長孔内に接して移動し、前記第1の方向は前記第2の方向に垂直である、請求項1に記載の多方向出力デバイス。
【請求項6】
前記シャフトスティックを前記第1の方向及び前記第2の方向によって形成される平面上の任意の方向に揺動させる場合、前記シャフトスティックは前記第1の回転駆動体及び前記第2の回転駆動体を選択的に駆動して同時に回転させ、前記第1の摺動駆動体及び前記第2の摺動駆動体を引いてそれぞれ前記第1の方向及び前記第2の方向に摺動させる、請求項5に記載の多方向出力デバイス。
【請求項7】
前記プリント回路基板上に配置されたスイッチバネ片と、該スイッチバネ片上に配置されるとともに前記シャフトスティックの前記下端に対応する押圧駆動体と、をさらに備える請求項1に記載の多方向出力デバイス。
【請求項8】
前記第1の回転駆動体及び前記第2の回転駆動体の各々が、対応する前記長細い弧状構造体の2つの面にそれぞれ配置された2つの凹部を有し、前記第2の回転駆動体は前記第1の回転駆動体の前記2つの凹部内に係合される、請求項1に記載の多方向出力デバイス。
【請求項9】
前記シャフトスティックの前記下端は、各々が突出部を有する2つの面を有し、2つの前記突出部は前記第2の回転駆動体の前記2つの凹部に結合される、請求項8に記載の多方向出力デバイス。
【請求項10】
前記第1の磁石及び前記第2の磁石が、それぞれ前記第1の収容溝及び前記第2の収容溝に接着剤で接着された、請求項2に記載の多方向出力デバイス。
【請求項11】
前記下側カバーは、該下側カバーの中心に配置されて前記シャフトスティックの前記下端に対応する押圧孔をさらに有する、請求項1に記載の多方向出力デバイス。
【請求項12】
前記下側カバーの上方に配置されて開口が設けられた上側カバーをさらに備え、該上側カバーは、前記第1の回転駆動体、前記第2の回転駆動体、前記第1の摺動駆動体、前記第2の摺動駆動体、前記第1の磁石、前記第2の磁石、前記シャフトスティック、前記バランスワッシャ及び前記環状バネを収容する収容空間を与えるように前記下側カバーと結合され、前記シャフトスティックの前記上端は前記上側カバーの前記開口を貫通する、請求項11に記載の多方向出力デバイス。
【請求項13】
前記方向制御ユニットの上方に配置され、該方向制御ユニット、前記押圧駆動体及び前記スイッチバネ片を収容するように前記プリント回路基板と上部から下部に結合された外側フレームをさらに備える請求項7に記載の多方向出力デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2023年4月27日出願の台湾特許出願番号112115700号の利益を主張し、その主題が参照によりここに取り込まれる。
【0002】
本発明は、多方向出力デバイスに関し、より具体的には磁気検知によって駆動される薄型かつ小型の非接触多方向出力デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
ゲームコンソールとして使用される既存のジョイスティック又はモバイルデバイス用の無線ジョイスティックでは、例えば、ジョイスティックの制御を与えるのに炭素皮膜抵抗器が用いられる。しかし、炭素皮膜抵抗器を用いる制御は接触動作であるため、ブラシ接触によってもたらされる摩耗の問題に起因してその実用寿命は極めて限られてしまい、これは実際の要件を満たすことができない。
【0004】
さらに、接触ジョイスティックの短所を回避するために、直接的な手法は、ホール素子の磁気誘導原理を用いてジョイスティックを制御するなど、ジョイスティックの制御を与えるのに非接触の構成要素を用いることである。しかし、非接触ジョイスティックの精度を制御することは難しく、非接触ジョイスティックの構造は複雑かつ大型であり、それにより、小型化のための要件を満たすことができなくなる。
【0005】
したがって、既存の欠点を軽減及び/又は除去するための改善された多方向出力デバイスを提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の課題は、ブラシ接触によってもたらされる摩耗の問題を排除し、それにより実用寿命を大幅に増加させ、操作シャフトスティックのリセット精度を高めて信号精度を向上し、小型化して薄型かつ小型の制御デバイスを設計するために非接触磁気センサが用いられる多方向出力デバイスを提供することである。
【0007】
上記課題を達成するために、本発明の多方向出力デバイスは、第1の磁気センサ及び第2の磁気センサが配置されたプリント回路基板と、プリント回路基板上に設けられた方向制御ユニットと、を備え、方向制御ユニットは、各々が回転可能な長細い弧状構造体であり、対応する長細い弧状構造体の中心に配置された中心長孔を各々が有する第1の回転駆動体及び第2の回転駆動体であって、第1の回転駆動体は中心長孔が相互に整列するように第2の回転駆動体の上方に配置されて第2の回転駆動体に対して垂直に交差する、第1の回転駆動体及び第2の回転駆動体と、第1の回転駆動体の一端及び第2の回転駆動体の一端にそれぞれ可動に接続された第1の摺動駆動体及び第2の摺動駆動体と、第1の摺動駆動体の一方の面及び第2の摺動駆動体の一方の面にそれぞれ固定された第1の磁石及び第2の磁石と、第1の摺動駆動体及び第2の摺動駆動体にそれぞれ対応する第1の摺動溝及び第2の摺動溝を有する下側カバーであって、第1の摺動駆動体は第1の摺動溝に摺動可能に配置され、第2の摺動駆動体は第2の摺動溝に摺動可能に配置された、下側カバーと、上端及び下端を有するシャフトスティックであって、上端が第1の回転駆動体及び第2の回転駆動体の下部から中心長孔を貫通する、シャフトスティックと、シャフトスティックの下部に第1の回転駆動体及び第2の回転駆動体と接触して配置されたバランスワッシャと、バランスワッシャの下部にバランスワッシャと接触して配置された環状バネと、を含み、第1の磁気センサ及び第2の磁気センサは第1の摺動溝及び第2の摺動溝にそれぞれ対応するように配設される。
【0008】
本開示の他の新規の特徴は、添付図面と併せて解釈されると以下の詳細な説明から一層明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の好適な実施形態に係る多方向出力デバイスの斜視図である。
図2図2は、本発明の好適な実施形態に係る多方向出力デバイスの分解図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る、第1の摺動駆動体と第1の回転駆動体の間の接続及び第2の摺動駆動体と第2の回転駆動体の間の接続の詳細な構造を示す。
図4A図4Aは、本発明の好適な実施形態に係る、第1の方向へのシャフトスティックの揺動が行われる多方向出力デバイスの模式図である。
図4B図4Bは、本発明の好適な実施形態に係る、第2の方向へのシャフトスティックの揺動が行われる多方向出力デバイスの模式図である。
図5図5は、本発明の好適な実施形態に係る多方向出力デバイスの上面図を示す。
図6図6は、多方向出力デバイスの図5の線A-A´に沿う断面図を示す。
図7図7は、本発明の実施形態に係る、多方向出力デバイスのシャフトスティックを第2の方向に揺動させた場合の第2の磁石の位置変化を示す。
図8図8は、本発明の実施形態に係る、多方向出力デバイスのシャフトスティックを第1の方向に揺動させた場合の第1の磁石の位置変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態に係る多方向出力デバイスのそれぞれ斜視図及び分解図である図1及び図2を参照されたい。図示するように、多方向出力デバイス1は、外側フレーム11、方向制御ユニット10、押圧駆動体12、スイッチバネ片13、プリント回路基板14、第1の磁気センサ151、第2の磁気センサ152及びフラットケーブル16を含む。方向制御ユニット10は、プリント回路基板14上に配置され、上側カバー102、第1の回転駆動体1031、第2の回転駆動体1032、第1の摺動駆動体1041、第2の摺動駆動体1042、第1の磁石1051、第2の磁石1052、シャフトスティック106、バランスワッシャ107、環状バネ108及び下側カバー109を含む。
【0011】
上記方向制御ユニット10において、上側カバー102は開口1021を有し、上側カバー102は下側カバー109上に配置され、それにより、上側カバー102及び下側カバー109はスナップ止め又はネジ止めの態様で結合され、例えば、そこに第1の回転駆動体1031、第2の回転駆動体1032、第1の摺動駆動体1041、第2の摺動駆動体1042、第1の磁石1051、第2の磁石1052、シャフトスティック106、バランスワッシャ107、環状バネ108及び他の部品を収容する収容空間が設けられる。上記外側フレーム11は方向制御ユニット10の上方に配置され、プリント回路基板14と上部から下部に結合され、その間に、方向制御ユニット10、押圧駆動体12及びスイッチバネ片13が収容される。
【0012】
上記第1の回転駆動体1031及び第2の回転駆動体1032の各々は、回転可能な長細い弧状構造体であり、長細い弧状構造体の中心に配置される中心長孔10311、10321及び長細い弧状構造体の2面にそれぞれ配置された2つの凹部10313、10323を各々有する。組立て後、第1の回転駆動体1031の長細い弧状構造体の長辺は第2の方向(Y軸方向)に延在し、第2の回転駆動体1032の長細い弧状構造体の長辺は第1の方向(X軸方向)に延在する。第1の回転駆動体1031及び第2の回転駆動体1032は、第1の回転駆動体1031が第2の回転駆動体1032の上方に配置され、この2つの回転駆動体が相互に略垂直に交差する態様で配設され、それにより、この2つの回転駆動体の中心長孔10311及び10321が相互に交差及び整列される。第2の回転駆動体1032は、第1の回転駆動体1031の凹部10313内に係合される。さらに、第1の回転駆動体1031には、その長細い弧状構造体の一端において第1の係合部10315が設けられ、第2の回転駆動体1032には、その長細い弧状構造体の一端において第2の係合部10325が設けられる。
【0013】
第1の摺動駆動体1041には、一方の面に第1の凹設部10411が、その反対側に第1の収容溝10413が、設けられる。第2の摺動駆動体1042には、一方の面に第2の凹設部10421が、その反対側に第2の収容溝10423が、設けられる。第1の磁石1051は第1の摺動駆動体1041の一方の面に固定され、第2の磁石1052は第2の摺動駆動体1042の一方の面に固定される。好ましくは、第1の磁石1051が第1の摺動駆動体1041の第1の収容溝10413に収容され、第1の磁石1051は第1の収容溝10413に接着剤で固定されてもよく、第2の磁石1052が第2の摺動駆動体1042の第2の収容溝10423に収容され、第2の磁石1052は第2の収容溝10423に接着剤で固定されてもよい。
【0014】
さらに、第1の摺動駆動体1041は第1の回転駆動体1031の一端に可動に接続され、第2の摺動駆動体1042は第2の回転駆動体1032の一端に可動に接続される。好ましくは、第1の摺動駆動体1041が第1の回転駆動体1031の一端に可動に接続されることによって第1の回転駆動体1031の回転角を第1の摺動駆動体1041の摺動距離に変換するように、第1の回転駆動体1031は、第1の摺動駆動体1041の第1の凹設部10411に非固定的に係合されるその第1の係合部10315を有する。第2の摺動駆動体1042が第2の回転駆動体1032の一端に可動に接続されることによって第2の回転駆動体1032の回転角を第2の摺動駆動体1042の摺動距離に変換するように、第2の回転駆動体1032は、第2の摺動駆動体1042の第2の凹設部10421に非固定的に係合されるその第2の係合部10325を有する。
【0015】
さらに、図3は、本発明の実施形態に係る、第1の摺動駆動体1041と第1の回転駆動体1031の間の接続及び第2の摺動駆動体1042と第2の回転駆動体1032の間の接続の詳細な構造を示す。図示するように、第1の回転駆動体1031の第1の係合部10315は弧状溝10316を有し、第1の摺動駆動体1041の第1の凹設部10411には、弧状溝10316に対応する凸状円柱10412が設けられる。凸状円柱10412を弧状溝10316内に係合させることによって、第1の回転駆動体1031の第1の係合部10315は、第1の摺動駆動体1041の第1の凹設部10411内に非固定的に係合され得る。凸状円柱10412及び弧状溝10316が相互に向かって回転可能に移動されることで、第1の回転駆動体1031の回転角が第1の摺動駆動体1041の摺動距離に変換され得る。同様に、第2の回転駆動体1032の第2の係合部10325は弧状溝10326を有し、第2の摺動駆動体1042の第2の凹設部10421には、弧状溝10326に対応する凸状円柱10422が設けられる。凸状円柱10422を弧状溝10326内に係合させることによって、第2の回転駆動体1032の第2の係合部10325は、第2の摺動駆動体1042の第2の凹設部10421内に非固定的に係合され得る。凸状円柱10422及び弧状溝10326が相互に向かって回転可能に移動されることで、第2の回転駆動体1032の回転角が第2の摺動駆動体1042の摺動距離に変換され得る。
【0016】
シャフトスティック106の一端(上端)は、ユーザが制御することを可能とするように、第1の回転駆動体1031及び第2の回転駆動体1032の下部からこの2つの回転駆動体の中心長孔10311、10321及び上側カバー102の開口1021を貫通する。シャフトスティック106の他端(下端)は、各々が突出部1062を有する2つの面を有する。組立て後、突出部1062は、第2の回転駆動体1032の凹部10323と結合されて、シャフトスティック106の意図しない回転を防止する。バランスワッシャ107は、シャフトスティック106の下方に配置され、第1の回転駆動体1031及び第2の回転駆動体1032の両下端と接触し得る。環状バネ108は、下側カバー109上に配設され、バランスワッシャ107の下方にバランスワッシャ107と接触して配置される。下側カバー109には、第1の摺動溝1091及び第2の摺動溝1092が上側カバー102に向く面上に設けられる。第1の摺動溝1091は、第1の方向(X軸方向)に沿って延在し、第1の摺動駆動体1041に対応する。第2の摺動溝1092は、第2の方向(Y軸方向)に沿って延在し、第2の摺動駆動体1042に対応する。組立て後、第1の摺動駆動体1041は第1の摺動溝1091内に摺動可能に配置され、第2の摺動駆動体1042は第2の摺動溝1092内に摺動可能に配置される。
【0017】
方向制御ユニット10によると、シャフトスティック106は、ユーザによって操作されて、第1の方向(X軸方向)及び第2の方向(Y軸方向)によって形成される平面の360度方向に揺動し得る。第1の方向及び第2の方向は、相互に対して略垂直である。シャフトスティック106を第1の方向(X軸方向)に揺動させると、図4Aも参照すると、シャフトスティック106は第1の回転駆動体1031を駆動してわずかに反時計回り方向に回転し、この瞬間に、第1の回転駆動体1031の回転は第1の摺動駆動体1041を引いて第1の摺動溝1091内を第1の方向(X軸方向)に所定距離を摺動することになる。さらに、シャフトスティック106は、第2の回転駆動体1032の中心長孔10321内に接して移動され、この瞬間に、第2の回転駆動体1032は回転しないため、第2の摺動駆動体1042は摺動しない。シャフトスティック106を第2の方向(Y軸方向)に揺動させると、図4Bも参照すると、シャフトスティック106は第2の回転駆動体1032を駆動してわずかに時計回り方向に回転し、この瞬間に、第2の回転駆動体1032の回転は第2の摺動駆動体1042を引いて第2の摺動溝1092内を第2の方向(Y軸方向)に所定距離を摺動することになる。さらに、シャフトスティック106は、第1の回転駆動体1031の中心長孔10311内に接して移動され、この瞬間に、第1の回転駆動体1031は回転しないため、第1の摺動駆動体1041は摺動しない。
【0018】
上記は第1の方向及び第2の方向に揺動するシャフトスティック106の例であり、第1の摺動駆動体1041及び第2の摺動駆動体1042をさらに引いて摺動させるためにシャフトスティック106が第1の回転駆動体1031及び第2の回転駆動体1032を駆動して回転させることの説明を容易化するものである。一方、本発明では、シャフトスティック106は、第1の方向(X軸方向)の軸線及び第2の方向(Y軸方向)の軸線の交点において任意方向に揺動され得る。例えば、シャフトスティック106を第1の方向(X軸方向)に完全には一致しない方向に揺動させる場合、それは、第1の回転駆動体1031を駆動して回転させてから第1の摺動駆動体1041を引いて第1の方向(X軸方向)に所定距離を摺動させることに加えて、さらに第2の回転駆動体1032を駆動して回転させてから第2の摺動駆動体1042を引いて第2の方向(Y軸方向)に所定距離を摺動させる。他の例では、シャフトスティック106を第2の方向(Y軸方向)に完全には一致しない方向に揺動させる場合、それは、第2の回転駆動体1032を駆動して回転させてから第2の摺動駆動体1042を引いて第2の方向(Y軸方向)に所定距離を摺動させることに加えて、さらに第1の回転駆動体1031を駆動して回転させてから第1の摺動駆動体1041を引いて第1の方向(X軸方向)に所定距離を摺動させる。すなわち、シャフトスティック106を第1の方向及び第2の方向によって形成される平面の360度方向に揺動させる場合、シャフトスティック106は、第1の回転駆動体1031及び第2の回転駆動体1032を選択的に駆動して同時に回転させ、その後に第1の摺動駆動体1041及び第2の摺動駆動体1042を引いて摺動させる。さらに、第1の摺動駆動体1041及び第2の摺動駆動体1042は、それぞれ第1の摺動溝1091及び第2の摺動溝1092内に摺動可能に配置され、それにより、第1の摺動溝1091及び第2の摺動溝1092の構成によって、第1の摺動駆動体1041及び第2の摺動駆動体1042の摺動を制限し、第1の磁石1051及び第2の磁石1052が第1の摺動駆動体1041及び第2の摺動駆動体1042から抜け落ちるのを防止することができる。
【0019】
さらに、環状バネ108及びバランスワッシャ107の構成によって、シャフトスティック106をリセットする力が与えられることになり、それにより、シャフトスティック106は揺動後にその元の直立状態に戻り得る。バランスワッシャ107の下部に配置された環状バネ108は、バランスワッシャ107をその弾性力で上向きに付勢して第1の回転駆動体1031及び第2の回転駆動体1032さらに付勢し、それにより、バランスワッシャ107は第1の回転駆動体1031及び第2の回転駆動体1032の両下端において接触面と面一となり、それによりシャフトスティック106を直立状態にリセットする。したがって、ユーザがシャフトスティック106を直立状態から第1の方向又は第2の方向に揺動させた後、シャフトスティック106は自動的にその元の直立状態に戻り得る。
【0020】
図2を再度参照すると、下側カバー109は、下側カバー109の中心に配置されるとともにシャフトスティック106の下端に対応する押圧孔1093、並びに下側カバー109の2つの隣り合う辺に隣接する位置にそれぞれ配置されるとともに第1の摺動駆動体1041及び第2の摺動駆動体1042にそれぞれ対応する第1の摺動溝1091及び第2の摺動溝1092を有する。スイッチバネ片13がプリント回路基板14上に設けられ、押圧駆動体12がスイッチバネ片13上に設けられ、下側カバー109の押圧孔1093を通じてシャフトスティック106の下端に対応する。そこで、多方向出力デバイス1が押圧スイッチとして使用されている動作を示すために、図5は本発明の好適な実施形態に係る多方向出力デバイス1の上面図を示し、図6は多方向出力デバイスの図5の線A-A´に沿う断面図であり、ユーザはシャフトスティック106を押圧し、環状バネ108の弾性力によって、シャフトスティック106の下端が下側カバー109の押圧孔1093を通じて押圧駆動体12に対して下向きに付勢され、それにより、押圧駆動体12はスイッチバネ片13を押圧してプリント回路基板14の回路部品に対して押圧スイッチ動作を実行し得る。
【0021】
第1の磁気センサ151及び第2の磁気センサ152は、プリント回路基板14上に配設され、プリント回路基板14の2つの隣接する面に隣接して配置され、それぞれプリント回路基板14の上方に下側カバー109の第1の摺動溝1091及び第2の摺動溝1092に対応する。したがって、シャフトスティック106を第2の方向(Y軸方向)に揺動させると、例えば、図7に示すように、第2の摺動駆動体1042における第2の磁石1052も第2の方向(Y軸方向)に移動して位置変化をもたらし、第2の磁気センサ152は第2の磁石1052の磁界の変化を位置の変化として検知し得る。同様に、シャフトスティック106を第1の方向(X軸方向)に揺動させると、例えば、図8に示すように、第1の摺動駆動体1041における第1の磁石1051も第1の方向(X軸方向)に移動して位置変化をもたらし、第1の磁気センサ151は第1の磁石1051の磁界の変化を位置の変化として検知し得る。したがって、シャフトスティック106を第1の方向及び第2の方向によって形成される平面の任意の方向に揺動させると、第1の磁気センサ151及び第2の磁気センサ152は角度の変化に伴う第1の磁石1051及び第2の磁石1052の磁界の変化をそれぞれ検知することになり、第1の磁気センサ151及び第2の磁気センサ152によって取得された磁界及び磁界変化の信号が、フラットケーブル16を通じた出力のためにプリント回路基板14の回路を通じて対応の電気信号に変換され、それにより、ユーザがシャフトスティック106を揺動させるために付与される速度、力、方向、距離などに関するデータが計算され、それにより非接触制御が実現される。
【0022】
上記設計によって、本発明は2つの磁気センサを活用して、シャフトスティックの揺動に応じて摺動し得る2つの磁石の磁界の変化を検知し、それにより、ブラシ接触によってもたらされる摩耗の問題なく非接触態様で操作を実行し、それにより実用寿命を大幅に増加させてシャフトスティックを操作する際のリセット精度を強化して信号精度を向上することが可能となる。さらに、シャフトスティックがボタンとして使用され得るため、追加のボタンを設置する必要はなく、これは薄型かつ小型の制御デバイスを設計するための更なる小型化を実現し得る。
【0023】
上記具体的実施形態は、単に例示的なものであり、本開示の残余部をどのような態様でも限定しないものとして解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8