(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001596
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/24 20120101AFI20231227BHJP
【FI】
G06Q20/24
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100346
(22)【出願日】2022-06-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】谷口 和也
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA52
(57)【要約】
【課題】ユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】情報処理装置1は、ユーザのユーザIDに関連付けて、所定の決済手段を用いてユーザが所定期間において決済可能な金額の上限を示す決済限度額を記憶する記憶部12と、所定期間内において所定の決済手段を用いたユーザの決済に対応する決済金額を含む決済要求を受信する決済要求受信部131と、決済要求を受信すると、決済要求の受信時よりも後にユーザに付与される予定の便益の内容を特定する便益特定部132と、ユーザIDに関連付けられている決済限度額と、便益の内容と、所定期間における所定の決済手段を用いたユーザの決済金額の合計額とに基づいて、所定期間において所定の決済手段を用いて決済可能な残りの金額である決済可能額を特定する決済可能額特定部133と、特定された決済可能額が決済要求に含まれる決済金額以上である場合に、決済要求に対応する決済を行う決済処理部134とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを識別するためのユーザ識別情報に関連付けて、所定の決済手段を用いて前記ユーザが所定期間において決済可能な金額の上限を示す決済限度額を記憶する記憶部と、
前記所定期間内において前記所定の決済手段を用いた前記ユーザの決済に対応する決済金額を含む決済要求を受信する決済要求受信部と、
前記決済要求を受信すると、前記決済要求の受信時よりも後に前記ユーザに付与される予定の便益の内容を特定する便益特定部と、
前記ユーザ識別情報に関連付けられて前記記憶部に記憶されている前記決済限度額と、前記便益特定部が特定した前記便益の内容と、前記所定期間における前記所定の決済手段を用いた前記ユーザの前記決済金額の合計額とに基づいて、前記所定期間において前記所定の決済手段を用いて決済可能な残りの金額である決済可能額を特定する特定部と、
特定された前記決済可能額が前記決済要求に含まれる前記決済金額以上である場合に、前記決済要求に対応する決済を行う決済処理部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記便益特定部は、前記決済要求に含まれる決済金額の支払期限までに前記ユーザに対して付与される予定の前記便益の内容を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記便益特定部は、前記便益の有効期限を特定し、前記有効期限が前記支払期限よりも後の前記便益の内容を特定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記ユーザ識別情報と、前記所定の決済手段を用いて決済を行う前記ユーザが利用するサービスに対応する支払実績を示す支払実績情報とを関連付けて記憶し、
前記便益特定部は、前記支払実績に基づいて、前記サービスの利用に対応して前記ユーザに付与される前記便益を特定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記便益は、前記決済要求に対応する決済が完了したことに応じて前記ユーザに付与されるポイントであり、
前記特定部は、前記ユーザの前記ユーザ識別情報に関連付けられている前記決済限度額と、前記決済要求に対応する決済が完了したことに応じて前記ユーザに付与されるポイントと、前記決済金額の合計額とに基づいて、前記決済可能額を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記便益特定部は、前記決済要求受信部が受信した前記決済要求に対応する決済が完了したことに応じて前記ユーザに付与されるポイントを前記ユーザに付与される予定の便益として特定するとともに、当該決済要求の受信時に前記ユーザに対して付与されているポイントである付与済ポイントとを前記ユーザに付与されている便益として特定し、
前記特定部は、前記ユーザ識別情報に関連付けられている前記決済限度額と、前記決済要求に基づいて前記ユーザに付与されるポイントと、前記付与済ポイントとに基づいて、前記決済可能額を特定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記特定部は、前記ユーザから前記決済可能額の特定に用いるポイントを受け付け、前記ユーザの前記ユーザ識別情報に関連付けられている前記決済限度額と、受け付けたポイントとに基づいて、前記決済可能額を特定する、
請求項5又は6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記特定部は、前記ポイントの消費と引き換えに前記決済限度額を増額させる、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記特定部は、前記便益を用いて前記決済可能額を特定する指示を前記ユーザから受け付け、前記指示を受け付けた場合に、前記便益特定部が特定した前記便益の内容を用いて前記決済可能額を特定し、前記指示を受け付けなかった場合に、前記便益の内容を用いずに前記決済可能額を特定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記便益は、前記決済要求に対応する決済が完了したことに応じて前記ユーザに付与されるポイントであり、
前記所定の決済手段を用いて前記所定期間に決済された決済金額の合計額を請求金額として前記ユーザに請求する請求部と、
前記ユーザによる前記請求金額の支払が支払期日までに完了しなかった場合、前記ユーザのポイントを前記請求金額に充当するポイント管理部と、
をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記便益は、前記決済要求に基づいて前記ユーザに付与されるポイントであり、
前記所定の決済手段を用いて前記所定期間に決済された決済金額の合計額を請求金額として前記ユーザに請求する請求部と、
前記ユーザによる前記請求金額の支払が支払期日までに完了しなかった場合、前記決済要求の受信時よりも後に付与される予定のポイントを前記ユーザに付与しない、又は前記決済要求の受信時よりも後に前記ユーザに付与されたポイントを消滅させるポイント管理部と、
をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記便益は、前記決済要求に基づいて前記ユーザに付与されるポイントであり、
前記所定の決済手段を用いて前記所定期間に決済された決済金額の合計額を請求金額として前記ユーザに請求する請求部と、
前記ユーザによる前記請求金額の支払が支払期日までに完了しなかった場合、前記請求金額の支払が完了するまで前記ユーザに付与されているポイントの利用を制限するポイント管理部と、
をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記決済可能額が前記決済要求に含まれる前記決済金額未満である場合に、前記決済金額が前記決済可能額よりも多い状態を解消可能な前記便益を得られる商品の購入、又はサービスの加入若しくは利用を促す情報を前記ユーザの端末に通知する通知部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項14】
コンピュータが実行する、
所定期間内において所定の決済手段を用いたユーザの決済に対応する決済金額を含む決済要求を受信するステップと、
前記決済要求を受信すると、前記決済要求の受信時よりも後に前記ユーザに付与される予定の便益の内容を特定するステップと、
前記ユーザを識別するためのユーザ識別情報に関連付けられている、前記所定の決済手段を用いて前記ユーザが前記所定期間において決済可能な金額の上限を示す決済限度額と、特定された前記便益の内容と、前記所定期間における前記所定の決済手段を用いた前記ユーザの前記決済金額の合計額とに基づいて、前記所定期間において前記所定の決済手段を用いて決済可能な残りの金額である決済可能額を特定するステップと、
特定された前記決済可能額が前記決済要求に含まれる前記決済金額以上である場合に、前記決済要求に対応する決済を行うステップと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の決済手段の利用限度額を設定する情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クレジットカード等の後払い方式の決済手段では、ユーザが当該決済手段を用いて所定期間内に決済可能な金額を示す利用限度額が設定される。例えば、特許文献1には、ユーザが保有するポイントを考慮して後払い方式の決済手段の利用限度額を決定することが開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが所定期間に決済可能な決済可能額は、利用限度額と、所定期間における所定の決済手段を用いたユーザの決済金額の合計額とに基づいて決定される。ユーザは、商品等を購入してポイント等の便益を獲得することにより、便益分の支払能力を新たに獲得することができるものの、従来の技術では獲得予定の便益に対応する支払能力を考慮して決済可能額が決定されないという問題があった。このため、従来の技術では、獲得予定の便益に対応する支払能力を考慮して決済可能額を決定しないことにより、ユーザが商品を購入できなくなることがあり、ユーザの利便性が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報に関連付けて、所定の決済手段を用いて前記ユーザが所定期間において決済可能な金額の上限を示す決済限度額を記憶する記憶部と、前記所定期間内において前記所定の決済手段を用いた前記ユーザの決済に対応する決済金額を含む決済要求を受信する決済要求受信部と、前記決済要求を受信すると、前記決済要求の受信時よりも後に前記ユーザに付与される予定の便益の内容を特定する便益特定部と、前記ユーザ識別情報に関連付けられて前記記憶部に記憶されている前記決済限度額と、前記便益特定部が特定した前記便益の内容と、前記所定期間における前記所定の決済手段を用いた前記ユーザの前記決済金額の合計額とに基づいて、前記所定期間において前記所定の決済手段を用いて決済可能な残りの金額である決済可能額を特定する特定部と、特定された前記決済可能額が前記決済要求に含まれる前記決済金額以上である場合に、前記決済要求に対応する決済を行う決済処理部と、を有する。
【0007】
前記便益特定部は、前記決済要求に含まれる決済金額の支払期限までに前記ユーザに対して付与される予定の前記便益の内容を特定してもよい。
前記便益特定部は、前記便益の有効期限を特定し、前記有効期限が前記支払期限よりも後の前記便益の内容を特定してもよい。
【0008】
前記記憶部は、前記ユーザ識別情報と、前記所定の決済手段を用いて決済を行う前記ユーザが利用するサービスに対応する支払実績を示す支払実績情報とを関連付けて記憶し、前記便益特定部は、前記支払実績に基づいて、前記サービスの利用に対応して前記ユーザに付与される前記便益を特定してもよい。
【0009】
前記便益は、前記決済要求に対応する決済が完了したことに応じて前記ユーザに付与されるポイントであり、前記特定部は、前記ユーザの前記ユーザ識別情報に関連付けられている前記決済限度額と、前記決済要求に対応する決済が完了したことに応じて前記ユーザに付与されるポイントと、前記決済金額の合計額とに基づいて、前記決済可能額を特定してもよい。
【0010】
前記便益特定部は、前記決済要求受信部が受信した前記決済要求に対応する決済が完了したことに応じて前記ユーザに付与されるポイントを前記ユーザに付与される予定の便益として特定するとともに、当該決済要求の受信時に前記ユーザに対して付与されているポイントである付与済ポイントとを前記ユーザに付与されている便益として特定し、前記特定部は、前記ユーザ識別情報に関連付けられている前記決済限度額と、前記決済要求に基づいて前記ユーザに付与されるポイントと、前記付与済ポイントとに基づいて、前記決済可能額を特定してもよい。
【0011】
前記特定部は、前記ユーザから前記決済可能額の特定に用いるポイントを受け付け、前記ユーザの前記ユーザ識別情報に関連付けられている前記決済限度額と、受け付けたポイントとに基づいて、前記決済可能額を特定してもよい。
前記特定部は、前記ポイントの消費と引き換えに前記決済限度額を増額させてもよい。
【0012】
前記特定部は、前記便益を用いて前記決済可能額を特定する指示を前記ユーザから受け付け、前記指示を受け付けた場合に、前記便益特定部が特定した前記便益の内容を用いて前記決済可能額を特定し、前記指示を受け付けなかった場合に、前記便益の内容を用いずに前記決済可能額を特定してもよい。
【0013】
前記便益は、前記決済要求に対応する決済が完了したことに応じて前記ユーザに付与されるポイントであり、前記情報処理装置は、前記所定の決済手段を用いて前記所定期間に決済された決済金額の合計額を請求金額として前記ユーザに請求する請求部と、前記ユーザによる前記請求金額の支払が支払期日までに完了しなかった場合、前記ユーザのポイントを前記請求金額に充当するポイント管理部と、をさらに有してもよい。
【0014】
前記便益は、前記決済要求に基づいて前記ユーザに付与されるポイントであり、前記情報処理装置は、前記所定の決済手段を用いて前記所定期間に決済された決済金額の合計額を請求金額として前記ユーザに請求する請求部と、前記ユーザによる前記請求金額の支払が支払期日までに完了しなかった場合、前記決済要求の受信時よりも後に付与される予定のポイントを前記ユーザに付与しない、又は前記決済要求の受信時よりも後に前記ユーザに付与されたポイントを消滅させるポイント管理部と、をさらに有してもよい。
【0015】
前記便益は、前記決済要求に基づいて前記ユーザに付与されるポイントであり、前記情報処理装置は、前記所定の決済手段を用いて前記所定期間に決済された決済金額の合計額を請求金額として前記ユーザに請求する請求部と、前記ユーザによる前記請求金額の支払が支払期日までに完了しなかった場合、前記請求金額の支払が完了するまで前記ユーザに付与されているポイントの利用を制限するポイント管理部と、をさらに有してもよい。
【0016】
前記決済可能額が前記決済要求に含まれる前記決済金額未満である場合に、前記決済金額が前記決済可能額よりも多い状態を解消可能な前記便益を得られる商品の購入、又はサービスの加入若しくは利用を促す情報を前記ユーザの端末に通知する通知部をさらに有してもよい。
【0017】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、所定期間内において所定の決済手段を用いたユーザの決済に対応する決済金額を含む決済要求を受信するステップと、前記決済要求を受信すると、前記決済要求の受信時よりも後に前記ユーザに付与される予定の便益の内容を特定するステップと、前記ユーザを識別するためのユーザ識別情報に関連付けられている、前記所定の決済手段を用いて前記ユーザが前記所定期間において決済可能な金額の上限を示す決済限度額と、特定された前記便益の内容と、前記所定期間における前記所定の決済手段を用いた前記ユーザの前記決済金額の合計額とに基づいて、前記所定期間において前記所定の決済手段を用いて決済可能な残りの金額である決済可能額を特定するステップと、特定された前記決済可能額が前記決済要求に含まれる前記決済金額以上である場合に、前記決済要求に対応する決済を行うステップと、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザの利便性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図7】情報処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[決済システムSの概要]
図1は、決済システムSの概要を示す図である。決済システムSは、ユーザが店舗において商品又はサービスを購入する場合に、ユーザが所持するユーザ端末2又は店舗が使用する店舗端末3から決済要求を受信したことに応じて決済を行うシステムである。
【0021】
決済システムSは、情報処理装置1と、ユーザ端末2と、店舗端末3とを備える。情報処理装置1は、所定の決済手段に対応する決済を行うサーバである。所定の決済手段は、後払い方式の決済手段であり、例えば所定のクレジットカードを用いた決済手段である。ユーザ端末2は、ユーザが使用する情報端末であり、例えばスマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータである。店舗端末3は、例えばPOS端末である。情報処理装置1は、ユーザ端末2及び店舗端末3と、インターネットや無線LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0022】
情報処理装置1は、
図1に示すように、ユーザを識別するためのユーザ識別情報としてのユーザID(Identification)に関連付けて、所定の決済手段を用いてユーザが所定期間において決済可能な金額の上限を示す決済限度額を記憶する。所定期間は、ユーザが購買活動を行う場合に、所定の決済手段において請求対象となる決済金額が集計される単位期間であり、例えば、ある月の締日から1か月が経過するまでの期間である。ユーザIDは、例えば、所定の決済手段に係る決済を行う決済事業者がユーザに付与したIDである。所定の決済手段がクレジットカードを用いた決済手段である場合、ユーザIDはカード番号であってもよい。
【0023】
以下、
図1を参照しながら、決済が行われるまでの流れを説明する。なお、以下の説明において、商品又はサービスをまとめて商品という。
ユーザは、店舗において商品の購入を行う。情報処理装置1は、ユーザ端末2と店舗端末3との少なくともいずれかから、ユーザのユーザIDと、店舗の店舗IDと、ユーザの店舗における商品の購入に対応する決済金額とを含む、所定の決済手段に対応する決済要求を受信する(
図1における(1))。
【0024】
情報処理装置1は、決済要求を受信すると、決済要求の受信時よりも後にユーザに付与される予定の便益の内容を特定する(
図1における(2))。便益は、例えば、決済要求に対応する決済が完了したことに応じてユーザに付与されるポイント、将来予定されている所定のサービスに対する加入特典、決済限度額を決定するためのユーザランクである。
【0025】
情報処理装置1は、ユーザのユーザIDに関連付けられている決済限度額と、特定した便益の内容と、所定期間における所定の決済手段を用いたユーザの決済金額の合計額とに基づいて、所定期間において所定の決済手段を用いて決済可能な残りの金額である決済可能額を特定する(
図1における(3))。情報処理装置1は、特定した決済可能額が、決済要求に含まれる決済金額以上であるかを判定する(
図1における(4))。情報処理装置1は、特定した決済可能額が、決済要求に含まれる決済金額以上である場合に、決済要求に対応する決済処理を行う(
図1における(5))。
【0026】
このようにすることで、情報処理装置1は、決済要求の受信時点においてユーザに対応する決済限度額から所定期間において所定の決済手段を用いて決済可能な残りの金額を減算した金額が決済金額よりも少ない場合であっても、ユーザが獲得する予定の便益に対応する支払能力を考慮して特定した決済可能額が、決済金額を超えることを条件として決済処理を行うことができる。これにより、ユーザは所定の決済手段を用いて商品を購入することができるので、情報処理装置1は、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0027】
続いて、情報処理装置1の構成の詳細を説明する。なお、以下の説明では、便益が、決済要求に対応する決済が完了したことに応じてユーザに付与されるポイントであるものとして説明を行う。また、以下の説明では、説明を簡単にするために、金額の単位は円であり、1ポイントが1円の金銭価値を有するものとするが、これに限らず、ポイントが所定のレートで金銭に変換されてもよい。
【0028】
[情報処理装置1の機能構成]
図2は、情報処理装置1の機能構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
通信部11は、インターネット等の通信ネットワークを介してユーザ端末2及び店舗端末3とデータを送受信するための通信インターフェースである。
【0029】
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスク等を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、制御部13を、決済要求受信部131、便益特定部132、決済可能額特定部133、決済処理部134、特典管理部135、及び請求部136として機能させるプログラムを記憶する。
【0030】
また、記憶部12は、ユーザを識別するためのユーザIDに関連付けて、所定の決済手段を用いてユーザが所定期間において決済可能な金額の上限を示す決済限度額を記憶する。具体的には、記憶部12は、ユーザIDと、単位期間における決済限度額とを少なくとも関連付けた決済限度額情報を記憶する。
図3は、決済限度額情報の一例を示す図である。
図3に示すように、決済限度額情報は、ユーザIDと、所定の決済手段に対応する単位期間における決済限度額と、締日と、支払予定日とを関連付けた情報である。支払予定日は、所定の決済手段を用いて決済された決済金額の合計額である決済合計額がユーザの銀行口座から、決済事業者に対して支払われる予定日である。
【0031】
また、記憶部12は、ユーザのユーザIDと、ユーザに付与されているポイントである付与済ポイントとを関連付けたポイント管理情報を記憶する。
図4は、ポイント管理情報の一例を示す図である。
図4に示すように、ユーザIDと、付与済ポイントと関連付けられていることが確認できる。
【0032】
また、記憶部12は、ユーザのユーザIDと、ユーザの決済金額とを関連付けた決済情報を記憶する。
図5は、決済情報の一例を示す図である。
図5に示すように、決済情報は、ユーザIDと、決済が行われた日である決済日と、決済金額とを少なくとも関連付けた情報である。決済情報は、ユーザに請求する請求金額を算出するために用いられる。
【0033】
また、記憶部12は、ユーザのユーザIDと、ユーザの決済金額を集計する対象の単位期間における決済金額の合計額である請求金額とを関連付けた請求金額情報を記憶する。
図6は、請求金額情報の一例を示す図である。
図6に示すように、請求金額情報において、ユーザIDに対して請求金額が関連付けられていることが確認できる。請求金額情報は、ユーザに請求金額を請求するために用いられる。
【0034】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、決済要求受信部131、便益特定部132、決済可能額特定部133、決済処理部134、特典管理部135、及び請求部136として機能する。
【0035】
決済要求受信部131は、所定期間内において所定の決済手段を用いたユーザの決済に対応する決済金額を含む決済要求を受信する。所定の決済手段がクレジットカードである場合、決済要求受信部131は、店舗に設けられている店舗端末3から、店舗端末3がクレジットカードから読み取ったユーザIDと、ユーザが決済を行う店舗を識別するための店舗IDと、決済金額とを含む決済要求を受信する。
【0036】
なお、決済要求受信部131は、コードを用いた決済方式により、所定の決済手段を用いた決済の決済要求を受信してもよい。コードを用いた決済方式には、CPM(Consumer Presented Mode)方式の決済方式と、MPM(Merchant Presented Mode)方式の決済方式とが含まれる。CPM方式は、二次元バーコード等の決済用コードをユーザ端末に表示させ、店舗側で決済用コードが読み込まれたことに応じて、店舗側から情報処理装置1に対して決済要求が送信されることにより決済が行われる方式である。MPM方式は、決済用コードが店舗で提示され、ユーザ端末で決済用コードが読み込まれたことに応じて、ユーザ端末から情報処理装置1に対して決済要求が送信されることにより決済が行われる方式である。
【0037】
便益特定部132は、決済要求受信部131が決済要求を受信すると、決済要求の受信時よりも後に、当該決済要求に含まれるユーザIDに対応するユーザに対して付与される予定の便益の内容を特定する。例えば、便益特定部132は、決済要求に含まれる決済金額と、予め定められているポイントの付与率とに基づくユーザに付与されるポイントを、決済要求の受信時よりも後に付与される予定の便益の内容として特定する。以下の説明において、決済要求の受信時よりも後に付与される予定の便益を、付与予定便益ともいう。
【0038】
ここで、付与予定便益は、決済要求受信部131が将来受信する予定の決済要求に対応する決済が完了したことに応じてユーザに付与されるポイントであってもよい。決済要求受信部131が将来的に受信する予定の決済要求は、例えば、ユーザが利用しているサブスクリプションサービスや、公共料金の支払サービス等の定期的に利用料金の支払が発生するサービスに対応する決済要求である。
【0039】
この場合、記憶部12に、ユーザのユーザIDと、所定の決済手段を用いて決済を行うユーザが利用するサービスに対応する支払実績を示す支払実績情報とを関連付けて記憶させておく。支払実績には、例えば、決済が行われた決済日と、決済金額とが含まれている。便益特定部132は、記憶部12に記憶されている支払実績情報が示す支払実績に含まれる決済日と決済金額とに基づいて、サービスの利用に対応してユーザに将来付与されるポイントを、付与予定便益の内容として特定する。
【0040】
また、便益特定部132は、決済要求受信部131が受信した決済要求に含まれる決済金額の支払期限までにユーザに対して付与される予定のポイントを付与予定便益の内容として特定してもよい。例えば、便益特定部132は、記憶部12に記憶されている決済限度額情報を参照し、受信した決済要求に含まれているユーザIDに関連付けられている支払予定日を、決済要求に含まれる決済金額の支払期限として特定する。
【0041】
便益特定部132は、支払実績情報を参照し、現在の日時と、特定した支払期限との間に発生する予定の決済要求と、当該決済要求に含まれる決済金額とを特定する。便益特定部132は、特定した決済金額とポイントの付与率とに基づいて、決済金額の支払期限までにユーザに対して付与される予定のポイントを、付与予定便益の内容として特定する。このようにすることで、情報処理装置1は、決済要求受信部131が受信した決済要求だけでなく、将来的に発生する決済要求に対応する決済が完了したことに応じてユーザに付与されるポイントも付与予定便益の内容として特定することができる。
【0042】
ここで、便益特定部132は、便益の有効期限を特定し、有効期限が、決済要求受信部131が受信した決済要求に含まれる決済金額の支払期限よりも後のポイントを、付与予定便益の内容として特定してもよい。ユーザに対して付与されるポイントの少なくとも一部に、ポイントの有効期限が定められている場合、便益特定部132は、当該ポイントの有効期限を特定する。そして、便益特定部132は、特定した有効期限が、受信した決済要求に含まれる決済金額の支払期限よりも後のポイントを付与予定便益として特定する。
【0043】
また、便益特定部132は、受信した決済要求に対応する決済が完了したことに応じて変更される決済限度額を決定するためのユーザランクや、決済限度額が上昇する特典を、付与予定便益の内容として特定してもよい。
【0044】
ユーザランクが、所定期間における決済金額の合計で決定される場合、便益特定部132は、記憶部12に記憶されている決済情報を参照し、所定期間において決済された決済金額の合計額を算出し、当該合計額に、受信した決済要求に含まれる決済金額を加算し、受信した決済要求に含まれる決済金額を加味した合計額を算出する。便益特定部132は、算出した合計額に基づくユーザランクを付与予定便益の内容として特定する。また、決済要求受信部131が、決済要求とともに、ユーザが使用する特典を識別するための特典IDを受信した場合、便益特定部132は、当該特典IDが示す特典が、決済限度額が上昇する特典であるかを判定する。便益特定部132は、決済限度額が上昇する特典であると判定すると、当該特典を、付与予定便益の内容として特定する。
【0045】
また、便益特定部132は、決済要求受信部131が受信した決済要求に対応する決済が完了したことに応じてユーザに付与されるポイントを付与予定便益として特定するとともに、当該決済要求の受信時にユーザに対して付与されているポイントである付与済ポイントをユーザに付与されている便益(付与済便益)として特定してもよい。例えば、便益特定部132は、記憶部12に記憶されているポイント管理情報を参照し、決済要求受信部131が受信した決済要求の受信時にユーザに対して付与されているポイントである付与済ポイントを、付与済便益として特定する。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザに付与されている付与済ポイントも、ユーザの支払余力として扱い、決済可能額を算出することができる。
【0046】
また、ポイント管理情報において、ユーザIDと、複数の付与済ポイントと、複数の付与済ポイントそれぞれの有効期限とを関連付けておいてもよい。そして、便益特定部132は、記憶部12に記憶されているポイント管理情報を参照し、有効期限が、受信した決済要求に含まれる決済金額の支払期限よりも後の付与済ポイントを、付与済便益として特定してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、決済要求受信部131が受信した決済要求に対応する決済金額の担保とすることができるポイントのみを付与済便益として特定することができる。
【0047】
決済可能額特定部133は、ユーザIDに関連付けられて記憶部12に記憶されている決済限度額と、便益特定部132が特定した、決済要求に対応する決済が完了したことに応じてユーザに付与される便益の内容と、所定期間における所定の決済手段を用いたユーザの決済金額の合計額とに基づいて、所定期間において所定の決済手段を用いて決済可能な残りの金額である決済可能額を特定する。
【0048】
まず、決済可能額特定部133は、記憶部12に記憶されている決済限度額情報を参照し、決済要求受信部131が受信した決済要求に含まれているユーザIDに関連付けられている決済限度額を特定する。便益特定部132が特定した便益に、ユーザランク等の決済限度額を上昇させる特典が含まれている場合、当該特典の内容に基づいて、特定した決済限度額を変更する。例えば、特定されたユーザランクが、決済限度額を2倍にするものである場合には、決済可能額特定部133は、ユーザIDに関連付けられている決済限度額を2倍にすることにより、決済限度額を調整する。
【0049】
また、決済可能額特定部133は、記憶部12に記憶されている決済情報を参照し、決済要求受信部131が受信した決済要求に含まれているユーザIDに関連付けられている所定期間に対応する決済金額を合計することにより、所定期間における所定の決済手段を用いたユーザの決済金額の合計額を算出する。決済可能額特定部133は、便益特定部132が特定した便益に、受信した決済要求に対応する決済が完了したことに応じてユーザに付与されるポイントが含まれている場合、調整後の決済限度額と、便益特定部132が特定したポイントに対応する金銭価値との合計額から、算出した決済金額の合計額を減算することにより、決済可能額を特定する。
【0050】
決済可能額特定部133は、便益特定部132が特定した便益に、付与済ポイントが含まれている場合、ユーザIDに関連付けられている決済限度額と、決済要求に基づいてユーザに付与されるポイントと、当該付与済ポイントと、所定期間における所定の決済手段を用いたユーザの決済金額の合計額とに基づいて決済可能額を特定してもよい。
【0051】
また、決済可能額特定部133は、便益としてのポイントを用いて決済可能額を特定する指示をユーザから受け付けたり、決済可能額の特定に用いるポイントをユーザから受け付けたりしてもよい。例えば、決済可能額特定部133は、決済要求受信部131が受信した決済要求に含まれる決済金額が、ユーザの決済限度額から決済金額の合計額を差し引いた金額(便益を考慮しない決済可能額)を超えている場合に、ユーザにポイントを利用して決済可能額を特定するか否かの指示を受け付けるとともに、便益特定部132が特定したポイントのうち、決済可能額の特定に用いるポイントを受け付ける受付画面をユーザ端末2に表示させる。
【0052】
決済可能額特定部133は、受付画面を介して、ポイントを利用して決済可能額を特定する指示をユーザから受け付けると、当該受付画面を介して、決済可能額の増額に用いるポイントをユーザから受け付ける。そして、決済可能額特定部133は、ユーザのユーザIDに関連付けられている決済限度額と、ユーザから受け付けたポイントと、所定期間における所定の決済手段を用いたユーザの決済金額の合計額とに基づいて、決済可能額を特定する。
【0053】
一方、決済可能額特定部133は、ポイントを利用して決済可能額を特定する指示をユーザから受け付けなかった場合、ポイントを用いずに、ユーザのユーザIDに関連付けられている決済限度額と、所定期間における所定の決済手段を用いたユーザの決済金額の合計額とに基づいて、決済可能額を特定する。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザが、決済可能額の特定にポイントを用いることを希望した場合に限定して、ポイントを用いて決済可能額を特定することができる。
【0054】
また、決済可能額特定部133は、受信した決済要求に対応する決済が完了したことに応じてユーザに付与されるポイントである付与予定ポイント又は付与済ポイントの消費と引き換えに、決済限度額を増加させてもよい。例えば、決済可能額特定部133は、ユーザ端末2から、決済限度額を増加させるのに利用する付与予定ポイント又は付与済ポイントの量を受け付ける。決済可能額特定部133は、受け付けた付与予定ポイント又は付与済ポイントの量に基づいて、記憶部12に記憶されている決済限度額を増加させるとともに、決済可能額の特定に用いた付与予定ポイント又は付与済ポイントを消滅させる。ここで、ポイントに基づいて決済限度額を増加させる場合、決済限度額が増加する期間が限られていてもよい。
【0055】
また、決済可能額特定部133は、付与済ポイントの消費と引き換えに、決済限度額を増加させる場合、付与予定ポイントを用いて決済限度額を増加させる場合、決済要求に対応する決済が完了したことに応じて、特典管理部135に、決済金額に対応するポイント(付与予定ポイント)を付与させた後、決済可能額の特定に用いた量の付与予定ポイントを消滅させるように制御する。この場合、決済可能額特定部133は、決済金額に対応するポイントのうち、決済可能額の特定に用いた量の付与予定ポイントをユーザに付与させないように制御してもよい。このようにすることで、ユーザは、ポイントを用いて決済限度額を増加させることができる。
【0056】
また、決済可能額特定部133は、通知部として機能し、特定した決済可能額が、決済要求受信部131が受信した決済要求に含まれる決済金額未満である場合に、当該決済金額が決済可能額よりも多い状態を解消可能な便益を得られる商品の購入、又はサービスの加入若しくは利用を促す情報をユーザ端末2に通知してもよい。
【0057】
例えば、記憶部12に、便益の内容と、当該便益がユーザに付与される商品又はサービスを識別するための情報とを関連付けて記憶させておく。ここで、便益には、ポイントだけでなく、現在の決済限度額を引き上げる特典が含まれるものとする。決済可能額特定部133は、記憶部12を参照し、購入することによりユーザに付与される便益の内容が、決済金額から決済可能額を差し引いた金額である決済不足額を上回る商品又はサービスを特定する。そして、決済可能額特定部133は、特定した商品の購入、又はサービスの加入若しくは利用を促す情報をユーザ端末2に通知する。
【0058】
ユーザが、通知された情報に基づいて、商品の購入、又はサービスの加入若しくは利用を行う場合、決済要求受信部131が受信した決済要求が一旦キャンセルされる。そして、決済要求受信部131は、当該決済要求に対応する商品の購入金額と、通知された情報に対応する商品の購入金額又はサービスの利用金額との合計額を含む新たな決済要求を受信する。そして、便益特定部132が決済要求の受信時よりも後にユーザに付与される予定の便益の内容を再び特定し、決済可能額特定部133が決済可能額を再び特定することにより、決済可能額が、決済要求受信部131が新たに受信した決済要求に含まれる決済金額を超えることとなる。このようにすることで、ユーザは、当初の決済要求に対応する商品を購入することができる。
【0059】
なお、決済可能額特定部133は、特定した決済可能額が、決済要求受信部131が受信した決済要求に含まれる決済金額未満である場合に、将来的に得られる便益を、決済可能額を増加させるのに用いるか否かの選択を受け付けてもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、将来的に得られる便益を決済可能額の増加に用いるかについて、ユーザに対して事前に確認を行うことができる。また、ユーザが、通知された情報に基づいて、商品の購入、又はサービスの加入若しくは利用を行う場合、決済要求受信部131が受信した決済要求が一旦キャンセルされるものとしたが、これに限らない。例えば、サービスの加入が年会費無料のクレジットカードの加入等、費用が発生しない場合には、決済要求がキャンセルされなくてもよい。この場合、便益特定部132は、当該サービスの加入の手続が完了した後に、ユーザに付与される予定の便益の内容を再び特定してもよい。
【0060】
決済処理部134は、決済可能額特定部133により特定された決済可能額が、決済要求受信部131が受信した決済要求に含まれる決済金額以上である場合に、決済要求に対応する決済を行う。例えば、決済処理部134は、決済要求に対応する決済に係る処理として、決済要求に含まれている店舗IDで特定される店舗の口座に決済要求に含まれている決済金額を入金する第1処理と、決済要求に含まれているユーザIDと、決済金額と、決済要求を受信した日時とを関連付けて決済情報として記憶部12に記憶させる第2処理とを実行する。
【0061】
また、決済処理部134は、決済可能額特定部133により特定された決済可能額が、決済要求受信部131が受信した決済要求に含まれる決済金額未満である場合に、決済要求に対応する決済を行うことができない旨を示すエラー情報を、決済要求の送信元に送信する。
【0062】
特典管理部135は、決済処理部134により決済に係る第1処理と第2処理とが実行され、決済要求受信部131が受信した決済要求に対応する決済が完了すると、決済要求に含まれるユーザIDに対応するユーザに対して便益を付与する。
【0063】
例えば、特典管理部135は、ポイント管理部として機能し、決済要求受信部131が受信した決済要求に対応する決済が完了すると、ユーザに対してポイントを付与する。特典管理部135は、決済要求受信部131が受信した決済要求に含まれる決済金額に対して、予め定められているポイントの付与率を乗算することにより、ユーザに付与するポイントを算出し、算出したポイントをユーザに付与する。特典管理部135は、記憶部12に記憶されているポイント管理情報において、決済要求受信部131が受信した決済要求に含まれるユーザIDに関連付けられているポイントに、算出したポイントを加算することにより、算出したポイントをユーザに付与する。
【0064】
請求部136は、所定の決済手段を用いて所定期間に決済された決済金額の合計額を請求金額としてユーザに請求する。例えば、請求部136は、請求情報を参照し、複数のユーザIDそれぞれに対し、決済金額を合計することにより、複数のユーザそれぞれの請求金額を算出する。請求部136は、ユーザIDのユーザに対し、当該ユーザIDに対応して算出した請求金額を請求する。
【0065】
例えば、記憶部12には、ユーザのユーザIDと、請求金額を引き落とす金融機関を示す金融機関情報と、金融機関におけるユーザの口座番号とが関連付けて記憶されている。請求部136は、ユーザIDに関連付けられている金融機関情報及び口座番号に基づいて、請求金額の口座振替を依頼する振替依頼要求を当該金融機関情報が示す金融機関に送信することにより、請求金額をユーザに請求する。
【0066】
特典管理部135は、ユーザによる請求金額の支払が支払期日までに完了しなかった場合、ユーザのポイントを請求金額に充当する。例えば、特典管理部135は、請求金額の支払が支払期日までに完了しなかったユーザのユーザIDを特定する。特典管理部135は、ユーザに請求した請求金額のうち、当該ユーザが支払うことができなかった残りの請求金額を特定する。特典管理部135は、ポイント管理情報を参照し、特定した残りの請求金額に対応する量のポイントを残りの請求金額に充当するとともに、特定したユーザIDに関連付けられている付与済みポイントから、残りの請求金額に対応する量のポイントを減算する。このようにすることで、決済事業者は、支払余力として残っているポイントを残りの請求金額に充当し、残りの請求金額の少なくとも一部を回収することができる。
【0067】
また、特典管理部135は、ユーザによる請求金額の支払が支払期日までに完了しなかった場合、決済要求の受信時よりも後に付与される予定のポイントをユーザに付与しないようにしたり、消滅させたりしてもよい。この場合、特典管理部135は、ユーザが支払うことができなかった残りの請求金額よりも、決済要求の受信時よりも後に付与される予定のポイントが多い場合であっても、当該ポイントの全てを付与しないようにしたり、消滅させたりしてもよい。
【0068】
また、特典管理部135は、ユーザによる請求金額の支払が支払期日までに完了しなかった場合、請求金額の支払が完了するまでユーザに付与されている付与済ポイントの利用を制限してもよい。例えば、特典管理部135は、ユーザによる請求金額の支払が支払期日までに完了しなかった場合、請求金額の支払が完了するまで、ユーザに付与されている付与済ポイントの一度の利用可能量に制限を設けてもよい。また、特典管理部135は、ユーザに付与されている付与済みポイントの利用ができないようにしてもよい。このようにすることで、ユーザは、ポイントの利用が制限されないように請求金額の支払を完了させようとするので、請求金額の支払が完了する確率を高めることができる。
【0069】
[動作フロー]
続いて、情報処理装置1の処理の流れについて説明する。
図7は、情報処理装置1が決済を行う際の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、決済要求受信部131は、所定の決済手段を用いたユーザのユーザIDと、店舗IDと、当該ユーザの決済に対応する決済金額とを含む決済要求を受信する(S1)。
【0070】
続いて、便益特定部132は、ユーザに対して決済要求の受信時よりも後にユーザに付与される予定の便益の内容を特定する(S2)。ここで、便益特定部132は、ユーザに付与される予定の便益とともに、ユーザに付与されている便益として付与済ポイントを特定してもよい。
【0071】
続いて、決済可能額特定部133は、S1において受信した決済要求に含まれるユーザIDに関連付けられて記憶部12に記憶されている決済限度額と、S2において特定された便益の内容と、所定期間における所定の決済手段を用いたユーザの決済金額の合計額とに基づいて、所定期間において所定の決済手段を用いて決済可能な残りの金額である決済可能額を特定する(S3)。
【0072】
続いて、決済処理部134は、S3において特定された決済可能額が決済要求に含まれる決済金額以上であるか否かを判定する(S4)。決済処理部134は、決済可能額が決済要求に含まれる決済金額以上であると判定すると(S4のYES)、S5に処理を移し、決済要求に含まれるユーザIDと、店舗IDと、決済金額とに基づいて、決済要求に対応する決済処理を実行する。続いて、特典管理部135は、決済要求に含まれる決済金額に基づいて、ユーザに便益を付与する(S6)。
【0073】
一方、決済処理部134は、決済可能額が決済要求に含まれる決済金額未満であると判定すると(S4のNO)、S7に処理を移し、決済要求に対応する決済を行うことができない旨を示すエラー情報を、決済要求の送信元に送信する。
【0074】
[変形例]
なお、上述の実施の形態では、決済可能額特定部133は、特定した決済可能額が、受信した決済要求に含まれる決済金額未満である場合に、決済不足額を解消することが可能な便益を得られる商品の購入、又はサービスの加入若しくは利用を促す情報をユーザ端末2に通知したが、これに限らない。決済可能額特定部133は、受信した決済要求に対応する決済が完了した後に、決済可能額を再び特定してもよい。そして、決済可能額特定部133は、再び特定した決済可能額が、所定の金額を下回ったことに応じて、便益を得られる商品の購入、又はサービスの加入若しくは利用を促す情報をユーザ端末2に通知してもよい。
【0075】
また、決済可能額特定部133は、ポイントを利用して決済可能額を特定する指示をユーザから受け付けなかった場合、ポイントを用いずに、ユーザのユーザIDに関連付けられている決済限度額と、所定期間における所定の決済手段を用いたユーザの決済金額の合計額とに基づいて、決済可能額を特定した。この場合、決済可能額特定部133は、受信した決済要求に対応する決済が完了した後に、決済可能額を再び特定してもよい。そして、決済可能額特定部133は、再び特定した決済可能額が、所定の金額を下回ったことに応じて、付与済ポイントを利用して決済可能額を特定するか否かを、ユーザから再びユーザから受け付けるようにしてもよい。この場合、決済可能額特定部133は、現時点でユーザに付与されておらず、将来付与される予定の付与予定ポイントを利用して決済可能額を特定するか否かを、ユーザから再びユーザから受け付けるようにしてもよい。
【0076】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る情報処理装置1は、所定期間内において所定の決済手段を用いたユーザの決済に対応する決済金額を含む決済要求を受信すると、決済要求の受信時よりも後にユーザに付与される予定の便益の内容を特定し、ユーザに対応する決済限度額と、特定した便益の内容と、所定期間における所定の決済手段を用いたユーザの決済金額の合計額とに基づいて、所定期間において所定の決済手段を用いて決済可能な残りの金額である決済可能額を特定する。そして、情報処理装置1は、特定された決済可能額が受信した決済要求に含まれる決済金額以上である場合に、決済要求に対応する決済を行う。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0077】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0078】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0079】
1 情報処理装置
2 ユーザ端末
3 店舗端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 決済要求受信部
132 便益特定部
133 決済可能額特定部
134 決済処理部
135 ポイント管理部
136 請求部
S 決済システム
【手続補正書】
【提出日】2023-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを識別するためのユーザ識別情報に関連付けて、所定の決済手段を用いて前記ユーザが所定期間において決済可能な金額の上限を示す決済限度額を記憶する記憶部と、
前記所定期間内において前記所定の決済手段を用いた前記ユーザの決済に対応する決済金額と、前記ユーザの前記ユーザ識別情報とを含む決済要求を受信する決済要求受信部と、
前記決済要求を受信すると、前記決済要求に含まれる決済金額に基づいて、前記決済要求に対応する決済が完了したことに応じて前記ユーザに付与される予定の便益の内容を特定する便益特定部と、
受信した前記決済要求に含まれている前記ユーザ識別情報に関連付けられて前記記憶部に記憶されている前記決済限度額と、前記便益特定部が特定した前記便益の内容と、前記所定期間における前記所定の決済手段を用いた前記ユーザの前記決済金額の合計額とに基づいて、前記所定期間において前記所定の決済手段を用いて決済可能な残りの金額である決済可能額を特定する特定部と、
特定された前記決済可能額が前記決済要求に含まれる前記決済金額以上である場合に、前記決済要求に対応する決済を行う決済処理部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記便益特定部は、前記決済要求に含まれる決済金額の支払期限までに前記ユーザに対して付与される予定の前記便益の内容を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記便益特定部は、前記便益の有効期限を特定し、前記有効期限が前記支払期限よりも後の前記便益の内容を特定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記便益は、前記決済要求に対応する決済が完了したことに応じて前記ユーザに付与されるポイントであり、
前記特定部は、前記ユーザの前記ユーザ識別情報に関連付けられている前記決済限度額と、前記決済要求に対応する決済が完了したことに応じて前記ユーザに付与されるポイントと、前記決済金額の合計額とに基づいて、前記決済可能額を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記便益特定部は、前記決済要求受信部が受信した前記決済要求に対応する決済が完了したことに応じて前記ユーザに付与されるポイントを前記ユーザに付与される予定の便益として特定するとともに、当該決済要求の受信時に前記ユーザに対して付与されているポイントである付与済ポイントとを前記ユーザに付与されている便益として特定し、
前記特定部は、前記ユーザ識別情報に関連付けられている前記決済限度額と、前記決済要求に基づいて前記ユーザに付与されるポイントと、前記付与済ポイントとに基づいて、前記決済可能額を特定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定部は、前記ユーザから前記決済可能額の特定に用いるポイントを受け付け、前記ユーザの前記ユーザ識別情報に関連付けられている前記決済限度額と、受け付けたポイントとに基づいて、前記決済可能額を特定する、
請求項4又は5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記特定部は、前記ポイントの消費と引き換えに前記決済限度額を増額させる、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記特定部は、前記便益を用いて前記決済可能額を特定する指示を前記ユーザから受け付け、前記指示を受け付けた場合に、前記便益特定部が特定した前記便益の内容を用いて前記決済可能額を特定し、前記指示を受け付けなかった場合に、前記便益の内容を用いずに前記決済可能額を特定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記便益は、前記決済要求に対応する決済が完了したことに応じて前記ユーザに付与されるポイントであり、
前記所定の決済手段を用いて前記所定期間に決済された決済金額の合計額を請求金額として前記ユーザに請求する請求部と、
前記ユーザによる前記請求金額の支払が支払期日までに完了しなかった場合、前記ユーザのポイントを前記請求金額に充当するポイント管理部と、
をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記便益は、前記決済要求に基づいて前記ユーザに付与されるポイントであり、
前記所定の決済手段を用いて前記所定期間に決済された決済金額の合計額を請求金額として前記ユーザに請求する請求部と、
前記ユーザによる前記請求金額の支払が支払期日までに完了しなかった場合、前記決済要求の受信時よりも後に付与される予定のポイントを前記ユーザに付与しない、又は前記決済要求の受信時よりも後に前記ユーザに付与されたポイントを消滅させるポイント管理部と、
をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記便益は、前記決済要求に基づいて前記ユーザに付与されるポイントであり、
前記所定の決済手段を用いて前記所定期間に決済された決済金額の合計額を請求金額として前記ユーザに請求する請求部と、
前記ユーザによる前記請求金額の支払が支払期日までに完了しなかった場合、前記請求金額の支払が完了するまで前記ユーザに付与されているポイントの利用を制限するポイント管理部と、
をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記決済可能額が前記決済要求に含まれる前記決済金額未満である場合に、前記決済金額が前記決済可能額よりも多い状態を解消可能な前記便益を得られる商品の購入、又はサービスの加入若しくは利用を促す情報を前記ユーザの端末に通知する通知部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項13】
コンピュータが実行する、
所定期間内において所定の決済手段を用いたユーザの決済に対応する決済金額と、前記ユーザを識別するためのユーザ識別情報とを含む決済要求を受信するステップと、
前記決済要求を受信すると、前記決済要求に含まれる決済金額に基づいて、前記決済要求に対応する決済が完了したことに応じて前記ユーザに付与される予定の便益の内容を特定するステップと、
受信した前記決済要求に含まれている前記ユーザ識別情報に関連付けられている、前記所定の決済手段を用いて前記ユーザが前記所定期間において決済可能な金額の上限を示す決済限度額と、特定された前記便益の内容と、前記所定期間における前記所定の決済手段を用いた前記ユーザの前記決済金額の合計額とに基づいて、前記所定期間において前記所定の決済手段を用いて決済可能な残りの金額である決済可能額を特定するステップと、
特定された前記決済可能額が前記決済要求に含まれる前記決済金額以上である場合に、前記決済要求に対応する決済を行うステップと、
を有する情報処理方法。