IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

2024-159602車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造
<>
  • -車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造 図1
  • -車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造 図2
  • -車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造 図3
  • -車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造 図4
  • -車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造 図5
  • -車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造 図6
  • -車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造 図7
  • -車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造 図8
  • -車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造 図9
  • -車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造 図10
  • -車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造 図11
  • -車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159602
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20241031BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B60R16/02 620C
B60J5/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068315
(22)【出願日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】18/309,406
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】島田 博
(72)【発明者】
【氏名】松浦 利文
(72)【発明者】
【氏名】関 誠
(72)【発明者】
【氏名】深堀 敬
(72)【発明者】
【氏名】新宮 啓司
(57)【要約】
【課題】シール性に優れ特に遮音性を悪化させることのない低廉の車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造を提供する。
【解決手段】自動車のリヤドア101にブラケット30を介して取付けられ、フロントドア102との間の異物を検知するセンサー40のワイヤハーネス41をリヤドア101のインナパネル101aに形成された貫通穴Hを通してインナパネル101aとアウタパネル101bとの間に配索する構造であって、貫通穴Hを、インナパネル101aのドア側面にあるサービスホールHとした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のリヤドアにブラケットを介して取付けられ、フロントドアとの間の異物を検知するセンサーのワイヤハーネスを前記リヤドアのインナパネルに形成された貫通穴を通して前記インナパネルとアウタパネルとの間に配索する構造であって、
前記貫通穴を、前記インナパネルのドア側面にあるサービスホールとしたことを特徴とする車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造。
【請求項2】
前記ワイヤハーネスは、前記センサーから前記貫通穴に至る前の前記リヤドアの下部では、前記ブラケットから前記リヤドアの前後方向に延びるブラケット横辺部と、前記インナパネルとの間に配置され、
前記リヤドアの下部に、前記リヤドアとフロントドアの閉時に前記フロントドアに弾接する覆い片を設け、前記覆い片に前記リヤドアの前後方向に延び前記ブラケット横辺部を車内側から覆う凹溝部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造。
【請求項3】
前記凹溝部の前側で前記ブラケット横辺部の後側を覆うとともに、前記凹溝部の後側は前記ブラケット横辺部を介することなく前記インナパネルに相対向し、
前記凹溝部の後側に、前記ワイヤハーネスに弾接するとともに、前記インナパネルと前記覆い片の間を密封するスポンジ材を設けたことを特徴とする請求項2に記載の車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造。
【請求項4】
前記凹溝部の車外側端部の後端部を塞ぐ蓋部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のスライドドアなどのリヤドアに取付けられ、フロントドアとの間の異物を検知する車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11に示すように、自動車のスライドドア(リヤドア)1の前端には上下方向にわたって感圧センサー3が取付けられ、フロントドア2との間に挟まれた人間の指などの異物を検知するようにされている(例えば、特許文献1の(図4)参照)。
感圧センサー3に接続された電力供給用のワイヤハーネス(リード線)4は、感圧センサー3が車外側側に取付けられているため、スライドドア1にあけられた穴5を貫通してスライドドア1内(インナパネル1aとアウタパネル1bの間)に引き込まれて配索されている。
ここで穴5は、インナパネル1aの前端部に対してアウタパネル1bの前端が屈曲してインナパネル1aの車内側に重ね合わされた部分(いわゆるヘミング結合部HM)に隣接する車内側の第1段部1a1に設けられている。
【0003】
しかし、スライドドア1に穴5をあけると遮音性が悪化するといった問題がある。
また、スライドドア1内に水が浸入することも防止する必要がある。
図11では、穴5にグロメット6を装着してワイヤハーネス4を保護しているが、水が浸入しないようにグロメット6を穴5に対して隙間なく取付けることは困難で、周りに型ゴムなどのカバー部材(シール材)7を設けるとグロメット6の追加とともにコスト高になる。
【0004】
また、図12に示すように、ワイヤハーネス(リード線)11をブラケット12の第1壁部配索面12a上に配索して安定に保持する技術や、ワイヤハーネス(リード線)11を導出孔13から引き出す部位においてワイヤハーネス(リード線)11に先通ししたシールスポンジ(図示省略)を保持壁部14の面14aに貼り付けて固定させる技術が知られている(例えば、特許文献2の段落番号(0039)参照)が、ワイヤハーネス(リード線)11をリヤドア内に引き込むものではない。
【0005】
また、図示は省略するが、一般的に、上記特許文献1とは別に、ドア側面側のドアインナパネルに、ドアガラスを昇降させる機構(例えばレール,ドラム,ワイヤー,モーター等)を出し入れさせる作業用の大穴である、開口部Hが設けられたものが知られている(例えば、特許文献3の(図1),(図9)等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-131144号公報
【特許文献2】特開2018-158681号公報
【特許文献3】特開2018-114771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、シール性に優れ特に遮音性を悪化させることのない低廉の車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造は、自動車のリヤドア(101)にブラケット(30)を介して取付けられ、フロントドア(102)との間の異物を検知するセンサー(40)のワイヤハーネス(41)を前記リヤドア(101)のインナパネル(101a)に形成された貫通穴(H)を通して前記インナパネル(101a)とアウタパネル(101b)との間に配索する構造であって、
前記貫通穴(H)を、前記インナパネル(101a)のドア側面にあるサービスホール(H)としたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記ワイヤハーネス(41)は、前記センサー(40)から前記貫通穴(H)に至る前の前記リヤドア(101)の下部では、前記ブラケット(30)から前記リヤドア(101)の前後方向に延びるブラケット横辺部(32)と、前記インナパネル(101a)との間に配置され、
前記リヤドア(101)の下部に、前記リヤドア(101)とフロントドア(102)の閉時に前記フロントドア(102)に弾接する覆い片(60)を設け、前記覆い片(60)に前記リヤドア(101)の前後方向に延び前記ブラケット横辺部(32)を車内側から覆う凹溝部(62)を形成したことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記凹溝部(62)の前側で前記ブラケット横辺部(32)の後側を覆うとともに、前記凹溝部(62)の後側は前記ブラケット横辺部(32)を介することなく前記インナパネル(101a)に相対向し、
前記凹溝部(62)の後側に、前記ワイヤハーネス(41)に弾接するとともに、前記インナパネル(101a)と前記覆い片(60)の間を密封するスポンジ材(70)を設けたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記凹溝部(62)の後端部の開口部を塞ぐ蓋部(80)を設けたことを特徴とする。
【0012】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、センサーから延びるワイヤハーネスは、ドア側面にあるサービスホールからリヤドア内となるインナパネルとアウタパネルの間に配索されるので、ワイヤハーネス取り込み用の穴をサービスホールとは別に設ける必要がなく、これにともない遮音性が低下することが防止される。
また、リヤドアにサービスホールとは別に貫通穴をあけるとそこから水が浸入するおそれもあるが、穴を設けないとそのような心配もなく、穴を塞ぐために型ゴムなどを使用するコストも発生しない。
【0014】
また、ワイヤハーネスは、センサーからサービスホールに引き込まれる前までは、センサーが取付けられるブラケットから延びるブラケット横辺部と覆い片部で覆われ、覆い片ではブラケット横辺部を車内側から覆う凹溝部に納められるので定位置で安定した状態で保護される。
【0015】
また、覆い片の凹溝部の後側には、ワイヤハーネスに弾接するともに、インナパネルと覆い片の間を密封するスポンジ材が設けられているのでワイヤハーネスの位置がバラツキにより多少ずれても水が凹溝部を伝わって車内側に浸入することが防止される。
【0016】
さらに覆い片の凹溝部の後端部の開口部は蓋部によって塞がれているのでこれによっても水の浸入を一層防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造が設けられる自動車を示す概略側面図である。
図2図1に示すX部を車内側から見た拡大側面図である。
図3図1に示すリヤドア下部を車内側から見た拡大側面図である。
図4図3に示すブラケットと覆い片部の位置関係を車外側から見たものでリヤドアを省略した状態を示す拡大斜視図である。
図5図1に示すA-A線拡大断面図である。
図6図4に示すB-B線拡大断面図で、リヤドアとフロントドアを追加したものである。
図7図4に示すC-C線拡大断面図で、リヤドアとフロントドアを追加したものである。
図8】リヤドアとブラケット横辺部と覆い片部の位置関係を示すもので、(a)は図4のD-D線拡大断面図,(b)は図4のE-E線拡大断面図,(c)は図4のF-F線拡大断面図でリヤドアインナパネルも併記した状態を示す。
図9図3に示すZ矢視拡大図である。
図10】(a)は図9のG-G線拡大断面図,(b)は図3のI-I線拡大断面図である。
図11】従来例に係る車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造の要部を示す断面図である。
図12】従来例に係る別の車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造について説明する。
【0019】
図1に示すように、このワイヤハーネス配索構造は、自動車のリヤドア101に取付けられ、フロントドア102との間の異物を検知するセンサー40のワイヤハーネス41をリヤドア101に形成された貫通穴Hを通してリヤドア101内に配索する構造である。ここでは、車両左側のリヤドア101及びフロントドア102の構成について説明するが、車両右側も同様の構成である。
【0020】
センサー40は、図2図4に示すように、リヤドア101の先端にブラケット30を介して上下にわたって取付けられた感圧センサーである。
【0021】
リヤドア101は、図1のA-A線断面図である図5に示すように、車両の前後方向に移動するスライドドアであり、インナパネル101aとアウタパネル101bで構成される。
インナパネル101aは前側に突出して延びる前端面101a1と、前端面101a1の後端から車内側で後側に傾斜して延びる第1段面101a2と、第1段面101a2の車内側端から後側に延びる第1平行面101a3と、第1平行面101a3の後端から車内側に延びる第2段面101a4と、第2段面101a4の車内側端から後側に延びる第2平行面101a5を有している。
アウタパネル101bは前端が車内側に折り曲げられ、インナパネル101aの前端面101a1を挟み込みヘミング結合部HMとされている。
【0022】
フロントドア102も、車両の前後方向に移動するスライドドアであり、インナパネル102aとアウタパネル102bで構成される。
インナパネル102aは後側に突出して延びる後端面102a1と、後端面102a1の前端から車内側に傾斜して延びる傾斜面102a2と、傾斜面102a2の前端から前側に延びる平行面102a3を有している。
アウタパネル102bは後側に突出して延びる後端面102b1と、後端面102b1の前端から車外側に延びる第1段面102b2と、第1段面102b2の車外側端から前側に延びる第1平行面102b3と、第1平行面102b3の前端から車外側に延びる第2段面102b4と、第2段面102b4の車外側端から前側に延びる第2平行面102b5と、
第2平行面102b5の前端から車外側に延びる第3段面102b6と、第3段面102b6の車外側端から前側に延びる第3平行面102b7を有している。アウタパネル102bは後端が車内側に折り曲げられ、インナパネル102aの後端面102a1を挟み込みヘミング結合部HMとされている。
【0023】
ブラケット30は、図2図4に示すように、上下方向に延びるブラケット縦辺部31と車両(リヤドア101)の前後方向に延びるブラケット横辺部32で構成されている。ブラケット横辺部32は、リヤドア1の下部においてブラケット縦辺部31からリヤドア101の後側に向けて延びている。
ブラケット縦辺部31は、図5に示すように、車内外方向に延びて車外側が、リヤドア101のインナパネル101aの前端面101a1に近接し、センサー40の後側が両面テープT等で固定されるセンサー取付面31aと、センサー取付面31aの車内側端から後側に延びる第1平行面31bと、第1平行面31bの後端から車内側後側に傾斜して延びる傾斜面31cと、傾斜面31cの車内側端から後側に延びる第2平行面31dからなる。
【0024】
ブラケット縦辺部31の傾斜面31cは、リヤドア101のインナパネル101aの第1段面101a2に平行で第1段面101a2に接する状態でリヤドア101に取付けられている。
また、図6に示すように、ブラケット縦辺部31の第2平行面31dは、リヤドア101のインナパネル101aの第1平行面101a3に平行で第1平行面101a3にボルト又はビスB等の固定手段で固定されている。
【0025】
また、図5及び図7に示すように、ブラケット縦辺部31の第1平行面31bの車内側にクリップCで固定される、中空状のセンターシール51が設けられ、リヤドア101及びフロントドア102の閉時には、フロントドア102に弾接して車内外をシールする。また、フロントドア102の後側に形成されたヘミング結合部HMには中空状のメインシール52が設けられ、リヤドア101及びフロントドア102の閉時には、リヤドア101に弾接して車内外をシールする。
【0026】
リヤドア101及びフロントドア102の車内側にはそれぞれ内装材(リヤ内装材及びフロント内装材)55,56が設けられ、リヤ内装材55の前側には、上述したセンサー40と同様に、フロントドア102との間の異物を検知するインナセンサー58が取付けられている。
【0027】
また、図1に示すように、リヤドア101及びフロントドア102の開口部となるボデー側には、ドア閉時にリヤドア101及びフロントドア102に弾接する、ボデー上部で前後方向に延びるボデー側アッパー見切シール71と、開口部全周を囲むように設けられた中空状のボデー側メインシール72と、ボデー下部で前後方向に延びるボデー側ロア見切シール73が設けられている(上記3種類のシールの断面形状図示は、省略)。
【0028】
センサー40のワイヤハーネス41は、図4及び図7に示すように、センサー40の下端に設けられたセンサー型部42から突出し、ブラケット縦辺部31のセンサー取付面31aに形成された凹溝31mと、リヤドアアウタパネル101bが折り曲げられリヤドアインナパネル101aの後端面101a1を挟み込んだヘミング結合部HMの車内側面との間からブラケット30の第1平行面31bとリヤドア101のインナパネル101aの後端面101a1との間に導かれ、その後、ブラケット横辺部32とインナパネル101aの第1平行面101a3との間を通って後側に延びる。
【0029】
ブラケット横辺部32の後側は、図4に示すように、リヤドア101の下部にクリップCで取付けられた型成形材(ゴムや樹脂等の弾性材)からなる覆い片60で車内側から覆われている。
覆い片60の前後方向中央部には曲面状の受け面61が形成され、また、図2図6及び図7に示すように、受け面61は、リヤドア101及びフロントドア102の閉時に、フロントドア102の下部に取付けられた型成形材(ゴムや樹脂等の弾性材)からなるコーナシール部65の後側に形成された中空状の突出湾曲部66に弾接して水密性を確保している。コーナシール部65は、フロントドア102の下部において、アウタパネル102bが折り曲げられインナパネル102aの後端面102a1を挟み込んだヘミング結合部HMに取付けられている。なおコーナシール部65の突出湾曲部66の上端は、図5に示した、メインシール部52の中空シール部52aの下端に一連一体的に接続されている。
【0030】
また、覆い片60の高さ方向中央部には、図4図7及び図8(b)に示すように、リヤドア101の前後方向に水平に延び相対向するリヤドア101のインナパネル101a側に開口した凹溝部62が形成されていて、ブラケット横辺部32の後側はこの凹溝部62に嵌まり込むような状態で覆われている。
【0031】
センサー40のワイヤハーネス41は、図4図7及び図8(a)に示すように、ブラケット縦辺部31からブラケット横辺部32とインナパネル101aの間を通って後側に延び、さらに後側では、図4図7及び図8(b)に示すように、ブラケット横辺部32が覆い片60の凹溝部62で覆われ、さらにまた後側では、図4及び図7に示すように、ワイヤハーネス41はブラケット横辺部32の後端側から露出して凹溝部62でブラケット横辺部32を介することなく覆われている。凹溝部62の後側はインナパネル101aに相対向している。
また、凹溝部62の後側には、図4及び図8(c)に示すように、ワイヤハーネス41に弾接するとともに、インナパネル101aと覆い片60の間を収縮することで(図8(c)では実線で示した)密封するスポンジ材(コーキングスポンジ)70が設けられている。なお、図4及び図8(c)の点線では、スポンジ材70が収縮していない状態を示している。
【0032】
また、図9及び図10(a),(b)に示すように、ワイヤハーネス41が覆い片60の凹溝部62から引き出される凹溝部62の後端部にはその後端部の開口を塞ぐ蓋部80が設けられシール性がより高められている。蓋部80は開口を塞ぐものであればどのような形状であってもよい。
【0033】
そして、覆い片60の凹溝部62から後側に引き出されたワイヤハーネス41は、図1及び図3に示すように、引き上げられインナパネル101aのドア側面にあるサービスホールHを通されリヤドア101のインナパネル101aとアウタパネル101bの間に配索され、図2に示したコネクタCTを介して自動車の制御装置に接続されている。
このサービスホールHは、ドア内部の部品例えばレギュレータ(図示しない)等を出し入れする際やドア内部の部品を修理する際に作業者が手を入れて作業する既存の作業用の穴(ドア側面部に設けられた大きな穴)であり、ワイヤハーネス41をリヤドア101のインナパネル101aとアウタパネル101bの間に引き込むために貫通穴をサービスホールHとは別に新設したもの(例えば、従来例である図11に示す第1段部1a1に設けた穴5)
ではない。サービスホールHは、図示しないドアホールシールによって塞がれ、図示しないドアホールシールは、図5図7に示したリヤ内装材(ドアトリム)55で、カバーされるようになっている。また、ここで、本実施形態のサービスホールH(貫通穴)は、特許文献3の開口部Hに相当する。
【0034】
このように構成された車両ドア用センサーのワイヤハーネス配索構造によれば、センサー40から延びるワイヤハーネス41は、サービスホールHからリヤドア101内(インナパネル101aとアウタパネル101bの間)に配索されるので、新しくワイヤハーネス41取り込み用の穴をサービスホールHとは別に設ける必要がなく(例えば、図11に示す第1段部1a1に相当する、図5に示す第1段面101a2には穴は設ける必要がなく)、これにともない遮音性が低下することが防止される。
また、リヤドア10にサービスホールHとは別に貫通穴をあけるとそこから水が浸入するおそれもあるが、穴を設けないとそのような心配もなく、穴を塞ぐために型ゴムなどを使用するコストも発生しない。
【0035】
また、ワイヤハーネス41は、センサー40からサービスホールHに引き込まれる前までは、センサー40が取付けられるブラケット30から延びるブラケット横辺部32と覆い片60で覆われ、覆い片60ではブラケット横辺部32を車内側から覆う凹溝部62に納められるので定位置で安定した状態で保護される。
【0036】
また、リヤドア101及びフロントドア102の閉時には、ワイヤハーネス41を保護する覆い片60はフロントドア102に取付けられたコーナシール部65に弾接するので、リヤドア101とフロントドア102の見切部の水密性を確保することができる。
【0037】
また、覆い片60の凹溝部62後側には、ワイヤハーネス41に弾接するとともに、インナパネル101aと覆い片60の間を密封するスポンジ材70が設けられているのでワイヤハーネス41の位置がバラツキにより多少ずれても水が凹溝部62を伝わって車内側に浸入することが防止される。
【0038】
さらに覆い片60の凹溝部62の後端部の開口部は蓋部80によって塞がれているのでこれによっても水の浸入を一層防止することができる。
【0039】
なお、本実施形態では、リヤドア101及びフロントドア102は前後方向にスライド移動するものであるが、リヤドア10の前側に車両ドア用のセンサー40が取付けられフロントドア102間の異物を検知するものであれば、観音開きドアなどどのようなタイプのドアであっても適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 リヤドア
1a インナパネル
1a1 第1段部
1b アウタパネル
2 フロントドア
3 感圧センサー
4 ワイヤハーネス
5 穴
6 グロメット
7 カバー部材
11 ワイヤハーネス
12 ブラケット
12a 第1壁部配索面
13 導出孔
14 保持壁部
14a 面
30 ブラケット
31 ブラケット縦辺部
31a センサー取付面
31b 第1平行面
31c 傾斜面
31d 第2平行面
31m 凹溝
32 ブラケット横辺部
40 センサー
41 ワイヤハーネス
42 センサー型部
51 センターシール
52 メインシール
52a 中空シール部
55 リヤ内装材
56 フロント内装材
58 インナセンサー
60 覆い片
61 受け面
62 凹溝部
65 コーナシール部
66 突出湾曲部
70 スポンジ材
71 ボデー側アッパー見切シール
72 ボデー側メインシール
73 ボデー側ロア見切シール
80 蓋部
101 リヤドア
101a インナパネル
101a1 前端面
101a2 第1段面
101a3 第1平行面
101a4 第2段面
101a5 第2平行面
101b アウタパネル
102 フロントドア
102a インナパネル
102a1 後端面
102a2 傾斜面
102a3 平行面
102b アウタパネル
102b1 後端面
102b2 第1段面
102b3 第1平行面
102b4 第2段面
102b5 第2平行面
102b6 第3段面
102b7 第3平行面
B 固定手段(ボルト又はビス)
C クリップ
CT コネクタ
H サービスホール(貫通穴)
HM ヘミング結合部
T 両面テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12