(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159605
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ステーターコイルワインディングのワニス含侵方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/12 20060101AFI20241031BHJP
H01F 41/12 20060101ALI20241031BHJP
H01F 41/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H02K15/12 D
H01F41/12 Z
H01F41/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068648
(22)【出願日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】10-2023-0056078
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(71)【出願人】
【識別番号】524147661
【氏名又は名称】ビエムシ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミン ファン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ソン ムン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン キ
(72)【発明者】
【氏名】ベク,チャン ホ
【テーマコード(参考)】
5E044
5H615
【Fターム(参考)】
5E044AA01
5E044AC01
5E044CA02
5H615AA01
5H615PP01
5H615RR07
5H615SS10
5H615SS41
(57)【要約】
【課題】ステーターのコイルワインディング部分にのみワニスを塗布できるワニス含侵方法を提供する。
【解決手段】本発明によるワニス含侵方法は、真空チャンバー内部の空気をエアーポンプによって外部に排出して内部を真空状態に維持させる第1段階、パイプ中間に接続したバルブ(V)を開放してワニス貯蔵タンクに貯蔵されたワニス(B)を、ワニス供給ホールを通じてステーターコアのスロット内部に注入する第2段階、真空チャンバーバルブ(V)を開放してエアーポンプの作動により陽圧を加えてワニス(B)を真空チャンバーから排出してワニス貯蔵タンクに再度移送する第3段階、バルブ(V)を閉鎖してエアーポンプの作動を中断する第4段階、真空チャンバーの真空蓋を開放した後、ステーターをワニス含侵装置から分離させた後、真空チャンバーから引き出して硬化装置でワニス(B)を硬化させる第5段階、を含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバー(200)に設置されたワニス含侵装置(100)にステーター(600)を装着させた状態で前記真空チャンバー(200)内部の空気をエアーポンプ(500)によって外部に排出して前記真空チャンバー(200)内部を真空状態に維持させる第1段階、
前記パイプ(300)中間に接続したバルブ(V)を開放してワニス貯蔵タンク(400)に貯蔵されたワニス(B)を前記ワニス含侵装置(100)の下部ハウジング(110)に形成されたワニス供給ホール(111)を通じてステーターコア(610)のスロット(611)内部に注入する第2段階、
前記真空チャンバー(200)内部の気圧を外部気圧と平衡状態に作って前記バルブ(V)を開放して前記エアーポンプ(500)の作動により陽圧を加えて前記ワニス(B)を真空チャンバー(200)から排出して前記ワニス貯蔵タンク(400)に再度移送する第3段階、
前記ワニス(B)を真空チャンバー(200)から排出することが完了すればバルブ(V)を閉鎖してエアーポンプ(500)の作動を中断する第4段階、
前記真空チャンバー(200)の真空蓋(220)を開放した後、ワニス含侵装置(100)に装着されたステーター(600)を前記ワニス含侵装置(100)から分離させた後、前記真空チャンバー(200)から引き出して硬化装置(800)で前記ワニス(B)を硬化させる第5段階、
を含むことを特徴とするステーターコイルワインディングのワニス含侵方法。
【請求項2】
前記ワニス含侵装置(100)は、
内側または外側に突出して形成された複数個のティースと、前記ティースとティースとの間の空間である前記スロット(611)を有するステーターコア(610)と、ステーターコア(610)の上部及び下部にそれぞれ結合される上部及び下部インシュレーター(613)(614)と、スロット(611)を通過して前記ティースに巻き込まれるコイルワインディング(612)と、を含むステーター(600)が内部空間部(112)に装着される下部ハウジング(110)、
前記下部ハウジング(110)の内部空間部(112)に装着された前記ステーター(600)の内側空間の下部に結合される下部密閉部(120)、
前記下部密閉部(120)の上部に設置される中央密閉部(130)、
前記中央密閉部(130)の上部に設置される上部密閉部(140)、
前記上部密閉部(140)の上部と前記上部インシュレーター(613)の内側上部に結合される第1カバー部材(150)、及び
前記第1カバー部材(150)の周り部分と一定間隔を置いて前記ステーターコア(610)の上部外角部分及び前記上部インシュレーター(613)の外周部分に結合される第2カバー部材(160)、
を含み、前記下部ハウジング(110)は下部面に上下に貫通されて形成される複数個のワニス供給ホール(111)を有し、前記複数個のワニス供給ホール(111)は前記スロット(611)と連通することを特徴とする請求項1に記載のステーターコイルワインディングのワニス含侵方法。
【請求項3】
前記下部密閉部(120)の上部と前記中央密閉部(130)の下部の間には第1パッキング部材(P1)が設置されて、前記ステーター(600)の前記ステーターコア(610)内側下部を密閉させて前記ステーターコア(610)の内側空間の下部側にワニスが流入することを防止することを特徴とする請求項2に記載のステーターコイルワインディングのワニス含侵方法。
【請求項4】
前記上部密閉部(140)の下部と前記中央密閉部(130)の上部には第2パッキング部材(P2)が設置されて、前記ステーターコア(610)の内側空間の上部を密閉させてワニス(B)が前記ステーターコア(610)の内側空間の上部から流入することを防止することを特徴とする請求項2に記載のステーターコイルワインディングのワニス含侵方法。
【請求項5】
前記下部ハウジング(110)の外側壁には一対の固定支持台(113)が上部に突出して形成されて、前記固定支持台(113)にヒンジ(114)により締結部(115)が結合されて、前記締結部(115)がヒンジ(114)によって回転可能に結合されて、前記締結部(115)の上部に曲がった折曲部(115A)は前記第1カバー部材(150)及び第2カバー部材(160)を締結して加圧することを特徴とする請求項2に記載のステーターコイルワインディングのワニス含侵方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステーターコイルワインディングのワニス含侵方法に関する。さらに具体的に、本発明はモーターのステーターに含まれるコイルワインディングにワニス(varnish)を真空含侵により塗布させるが、被含侵物の必要な部分にのみワニスが塗布されるようにして、製品の品質と生産効率を上げられる新しい構造のワニス含侵装置を用いるワニス含侵方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にモーターのステーターはステーターコア、ステーターコア上部及び下部に結合される上部及び下部インシュレーター、及びティースに巻き込まれるコイルワインディングを含む。コイルワインディングはティースに巻き込まれてティースとティースとの間の空間であるスロットに位置する。
【0003】
このようなモーターは家電、自動車、ロボットなど多様な分野に応用されている。特に、冷蔵庫やエアコンの圧縮機のような湿気の多い環境で使われるモーターはコイルワインディングに湿気などの流体が接触され得るので、コイルワインディングの表面を絶縁処理しなければ湿気などによりコイルワインディングが短絡(short)される恐れがあり、それによるモーターの故障や火災が発生し得る。したがって、コイルワインディングの絶縁抵抗が低く製品の不良現象が発生することを防止するために、コイルワインディングの表面に一定水準以上の絶縁抵抗を確保する必要がある。
【0004】
絶縁抵抗を確保するための1つの方法として、ステーターをワニスに含侵させてコイルワインディングの表面にワニス塗膜を形成する方法がある。このような先行技術として、日本公開特許公報昭60-77650号では、ワニス含侵液に被含侵物であるステーターを含侵させてコイルワインディングにワニスを塗布する技術について開示する。日本公開特許公報平06-36954号では、コンベヤーにステーターのような電気部品を移送しながらワニスをL上部から積荷させてコイルワインディングにワニスを塗布する技術について開示する。
【0005】
しかし、これら先行技術はワニス含侵液にステーターを含侵するか、ワニスをステーター上部で落下させて塗布するものであるので、コイルワインディング以外のステーターの内側面と外側面などにワニス液が残存するようになる。したがって、モーターの品質と性能向上のためにステーターの内側及び外側面に残存するワニスを除去してステーターコアの内径及び外径寸法を確保しなければならない。
【0006】
さらに、ステーターの内側及び外側面に残存するワニスを除去する別途の工程を行う必要があるので、コイルワインディングに絶縁抵抗を高めるためのモーターの製造工程が複雑になり、生産性が低下することによって、モーターアセンブリーの製作原価の上昇を招きかねないという問題がある。また、ステーターの内側及び外側面に残存するワニスを完全に除去することは困難であり、モーターの品質低下及び不良率が上げる恐れがある。
【0007】
本発明では前述した問題点を解決するために、ワニスをコイルワインディングに供給して真空含侵させる新しい構造のワニス含侵装置を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭60-77650号公報
【特許文献2】特開平06-36954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はステーターの内側及び外側面を除いたコイルワインディング部分にのみワニスを塗布させてコイルワインディングの絶縁抵抗を高められる新しい構造のワニス含侵装置を用いるワニス含侵方法を提供する。
【0010】
本発明の他の目的は生産性を向上させて製造費用を下げられるステーターコイルワインディングのワニス含侵方法を提供することである。
【0011】
本発明の前記目的及びその他内在されている目的は下記で説明する本発明によって何れも容易に達成できる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるステーターコイルワインディングのワニス含侵方法は、真空チャンバー(200)に設置されたワニス含侵装置(100)にステーター(600)を装着させた状態で、前記真空チャンバー(200)内部の空気をエアーポンプ(500)によって外部に排出して前記真空チャンバー(200)内部を真空状態に維持させる第1段階、前記パイプ(300)中間に接続したバルブ(V)を開放してワニス貯蔵タンク(400)に貯蔵されたワニス(B)を前記ワニス含侵装置(100)の下部ハウジング(110)に形成されたワニス供給ホール(111)を通じてステーターコア(610)のスロット(611)内部に注入する第2段階、前記真空チャンバー(200)内部の気圧を外部気圧と平衡状態にして、前記バルブ(V)を開放して前記エアーポンプ(500)の作動により陽圧を加えて前記ワニス(B)を真空チャンバー(200)から排出して前記ワニス貯蔵タンク(400)に再度移送する第3段階、前記ワニス(B)を真空チャンバー(200)から排出されることが完了すれば、バルブ(V)を閉鎖してエアーポンプ(500)の作動を中断する第4段階、前記真空チャンバー(200)の真空蓋(220)を開放した後、ワニス含侵装置(100)に装着されたステーター(600)を前記ワニス含侵装置(100)から分離させた後、前記真空チャンバー(200)から引き出して硬化装置(800)で前記ワニス(B)を硬化させる第5段階、を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明において、前記ワニス含侵装置(100)は、内側または外側に突出して形成される複数個のティースと、前記ティースとティースとの間の空間であるスロット(611)を有するステーターコア(610)と、ステーターコア(610)の上部及び下部にそれぞれ結合される上部及び下部インシュレーター(613)(614)と、スロット(611)を通過して前記ティースに巻き込まれるコイルワインディング(612)を含むステーター(600)が内部空間部(112)に装着される下部ハウジング(110)、前記下部ハウジング(110)の内部空間部(112)に装着された前記ステーター(600)の内側空間の下部に結合される下部密閉部(120)、前記下部密閉部(120)の上部に設置される中央密閉部(130)、前記中央密閉部(130)の上部に設置される上部密閉部(140)、前記上部密閉部(140)の上部と前記上部インシュレーター(613)の内側上部に結合される第1カバー部材(150)、及び前記第1カバー部材(150)の周り部分と一定間隔を置いて前記ステーターコア(610)の上部外角部分及び前記上部インシュレーター(613)の外周部分に結合される第2カバー部材(160)、を含み、前記下部ハウジング(110)は下部面に上下に貫通されて形成される複数個のワニス供給ホール(111)を有し、前記複数個のワニス供給ホール(111)は前記スロット(611)と連通するのが好ましい。
【0014】
本発明において、前記下部密閉部(120)の上部と前記中央密閉部(130)の下部の間には第1パッキング部材(P1)が設置されて、前記ステーター(600)の前記ステーターコア(610)内側下部を密閉させて前記ステーターコア(610)の内側空間の下部側にワニスが流入することを防止することが好ましい。
【0015】
本発明において、前記上部密閉部(140)の下部と前記中央密閉部(130)の上部には第2パッキング部材(P2)が設置されて、前記ステーターコア(610)の内側空間の上部を密閉させてワニス(B)がステーターコア(610)の内側空間の上部から流入することを防止することが好ましい。
【0016】
本発明において、前記下部ハウジング(110)の外側壁には一対の固定支持台(113)が上部に突出して形成されて、前記固定支持台(113)にヒンジ(114)により締結部(115)が結合されて、前記締結部(115)がヒンジ(114)によって回転可能に結合されて、前記締結部(115)の上部に曲がった折曲部(115A)は前記第1カバー部材(150)及び第2カバー部材(160)を締結して加圧することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は真空チャンバー内部に配置されるワニス含侵装置にステーターを装着させた後、真空加圧方式でワニスをステーターのスロットに供給してコイルワインディングを含侵させることによって絶縁抵抗を高め、それによってコイルワインディングの絶縁効率を向上できる効果を奏する。
【0018】
また、本発明はワニス含侵装置の下部ハウジングのワニス供給ホールとステーターのスロットを対応させてワニスを供給することによって、迅速なワニス供給が行われコイルワインディングにワニス塗布時間が短縮されて生産性を向上させる効果を奏する。
【0019】
また、本発明はコイルワインディングの他にステーターの内側面及び外側面にはワニスが塗布されないのでステーターの内外径の寸法の変化がなく、ステーターの不良率を減少させて製品の品質向上を図る効果を奏する。
【0020】
また、本発明はステーターの内側面及び外側面を除いたコイルワインディングにのみワニスが塗布されるのでステーターコアの内側面及び外側面の周りに残存するワニス除去工程が省略されて製造工程を短縮させることによって生産性を向上させてステーターの製作原価を削減する効果を奏する。
【0021】
また、本発明はステーターのスロットに配置されるコイルワインディングにのみワニスを含侵させて塗布するのでワニスの消耗量を減らして製造費用を削減する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明によるワニス含侵装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明によるワニス含侵装置を下から見た斜視図である。
【
図3】本発明によるワニス含侵装置を分解して示す斜視図である。
【
図4】本発明によるワニス含侵装置の断面図である。
【
図5】本発明によるワニス含侵装置からステーターを分離させた状態を示す断面図である。
【
図6】本発明によるワニス含侵装置を真空チャンバーに設置した状態を示す断面図である。
【
図7】本発明によるワニス含侵装置を用いるステーターコイルワインディングのワニス含侵方法の工程順序を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下で添付図面を参照にして本発明について詳細に説明する。
図1は本発明によるワニス含侵装置(100)を示す斜視図であり、
図2はみた発明によるワニス含侵装置(100)を下から見た斜視図であり、
図3は本発明によるワニス含侵装置(100)を分解して示す斜視図であり、
図4は本発明によるワニス含侵装置(100)の断面図であり、
図5は本発明によるワニス含侵装置からステーターを分離させた状態を示す断面図である。
【0024】
図1ないし
図5に図示されるように、本発明によるワニス含侵装置(100)は下部ハウジング(110)、下部密閉部(120)、中央密閉部(130)、上部密閉部(140)、第1カバー部材(150)、及び第2カバー部材(160)を含み、真空チャンバー(200)内に分離可能に設置される。
【0025】
下部ハウジング(110)は上部が開放されたカップ形状を有し、真空チャンバー(200)の装着部(230)に装着されて、下部ハウジング(110)の内部にはステーター(600)が装着される。下部ハウジング(110)は下部面に上下に貫通されて形成された複数個のワニス供給ホール(111)を有する。下部ハウジング(110)の内部の空間にはステーター(600)が装着される内部空間部(112)を有する。下部ハウジング(110)の外側壁には一対の固定支持台(113)が上部に突出して形成される。固定支持台(113)は下部ハウジング(110)と一体に形成されることができ、下部ハウジング(110)と別の部材にして互いに結合されることができる。固定支持台(113)にヒンジ(114)により締結部(115)が結合される。締結部(115)はヒンジ(114)によって回転可能に結合されて、締結部(115)の上部に曲がった折曲部(115A)は第1及び第2カバー部材(150)を締結して加圧する役割を果たす。
【0026】
ステーター(600)は内側又は外側に突出して形成される複数個のティースとティースとの間の空間であるスロット(611)を有するステーターコア(610)と、ステーターコア(610)の上部及び下部にそれぞれ結合される上部及び下部インシュレーター(613)(614)と、スロット(611)を通過してティースに巻き込まれるコイルワインディング(612)を含む。
【0027】
下部密閉部(120)は下部ハウジング(110)の内部空間部(112)に装着されたステーター(600)の内側空間の下部に結合される。中央密閉部(130)は下部密閉部(120)の上部に位置する。下部密閉部(120)の上部と中央密閉部(130)の下部の間には第1パッキング部材(P1)が設置される。第1パッキング部材(P1)はステーター(600)のステーターコア(610)内側下部を密閉させてステーターコア(610)の内側空間の下部側にワニスが流入することを防止する。下部密閉部(120)と中央密閉部(130)は別の部材であると説明しているが、この2つは一体に形成されても構わない。また、下部密閉部(120)と中央密閉部(130)はステーター(600)の内側面に堅固に結合される必要はなく、内側面に接しなくても関係ない。ステーターコア(610)の内側空間の下部は第1パッキング部材(P1)で密閉される。
【0028】
上部密閉部(140)は中央密閉部(130)の上部に設置される。上部密閉部(140)の下部と中央密閉部(130)の上部には第2パッキング部材(P2)が設置されてステーターコア(610)の内側空間の上部を密閉させて、ワニス(B)がステーターコア(610)の内側空間の上部から流入することを防止する。
【0029】
第1カバー部材(150)は上部密閉部(140)の上部と上部インシュレーター(613)の内側上部に結合されてワニス(B)がステーター(600)の内側空間の上部に流入することを防止する。第1カバー部材(150)と上部密閉部(140)は一体に形成された1つの部材であることができる。
【0030】
第2カバー部材(160)は第1カバー部材(150)の周り部分と一定間隔を置いてステーターコア(610)の上部外角部分及び上部インシュレーター(613)の外周部分に結合されてワニス(B)がステーター(600)の上部外側面に流れることを防止する。第2カバー部材(160)は第1カバー部材(150)と一定間隔を置いて複数個のブリッジ(図示しない)により連結された1つの部材であることができる。
【0031】
本発明によるワニス含侵装置(100)はステーター(600)を装着した状態で下部ハウジング(110)の固定支持台(113)にヒンジ(114)で回転可能に結合された締結部(115)が第1及び第2カバー部材(150)(160)を覆う構造を有する。下部ハウジング(110)の下部に形成された複数個のワニス供給ホール(111)はステーターコア(610)のティースとティースとの間の空間であるスロット(611)と連通する。スロット(611)にはコイルワインディング(612)が位置する。ワニス供給ホール(111)の下部からワニス(B)が供給されて、供給されたワニス(B)はスロット(611)を通じて上部に移動してコイルワインディング(612)の上部まで含侵させる。
【0032】
受け部材(116)は下部ハウジング(110)の内部空間部(112)の底面に設置されて、それと同時にステーター(600)の下部インシュレーター(614)の下部側内径部分に設置される。下部インシュレーター(614)の下部側内径部分と受け部材(116)の間には第3パッキング部材(P3)が設置されてワニスが下部インシュレーター(614)の内部側に流入することを防止する。
【0033】
下部ハウジング(110)の内部空間部(112)の底面の最外郭周り部分には第4パッキング部材(P4)が設置されて、下部インシュレーター(614)の下部側外径部分をシーリングする。したがって、下部インシュレーター(614)の下部の外側面部分にワニスが流入なることを防止する。
【0034】
第1カバー部材(150)の下部面の周り部分には第5パッキング部材(P5)が設置される。第5パッキング部材(P5)は上部インシュレーター(613)の上部の内径部分をシーリングしてワニスがステーター(600)の上部から内側面に流入することを防止する。
【0035】
第2カバー部材(160)の下部面には第6パッキング部材(P6)が設置される。第6パッキング部材(P6)は上部インシュレーター(613)の上部の外径部分をシーリングしてワニスがステーター(600)の上部から外側面に流入することを防止する。
【0036】
図6は本発明によるワニス含侵装置(100)を真空チャンバー(200)に設置した状態を示す断面図である。
図6を参照すれば、本発明によるワニス含侵装置(100)は上部が開放されたカップ形状の真空チャンバー(200)の底面に形成された溝形状の装着部(230)に設置される。真空チャンバー(200)の上部には真空蓋(220)が設置されて、真空チャンバー(200)の内部空間を密閉させることができる。真空チャンバー(200)の側面にはエアー通路(210)が設置されて真空チャンバー(200)内部の空気を外部に排出して真空状態を作るか、逆に真空チャンバー(200)の内部が真空状態である場合に外部の空気を真空チャンバー(200)の内部に流入させて外部の気圧と平衡状態に作ることができる。
【0037】
装着部(230)の中央部分にはワニス含侵装置(100)の下部ハウジング(110)に形成されたワニス供給ホール(111)と連通するワニス供給通路(231)が形成される。ワニス供給通路(231)はワニス(B)が供給されるパイプ(300)と連結される。真空チャンバー(200)は支持フレーム(700)に設置されることができ、支持フレーム(700)にはパイプ(300)が貫通する接続ホール(710)が形成される。
【0038】
前述したように、本発明で中央密閉部(130)と下部密閉部(120)及び上部密閉部(140)は一体に形成して1つの部材に提供されることができる。また、第1カバー部材(150)と第2カバー部材(160)も一体に形成して1つの部材に提供されることができる。本発明の第1ないし第6パッキング部材(P1~P6)はゴムを使用できるが、これに限定されるのではなく、シリコン、可撓性樹脂など多様な材質を適用することができる。
【0039】
本発明の実施例では1つのワニス含侵装置(100)を真空チャンバー(200)に配置するのを対象に説明しているが、1つの真空チャンバー(200)内部に複数個のワニス含侵装置(100)を配置して使用することもできる。また、複数個のワニス含侵装置(100)を設置するためのプレート(図示しない)を使用しても良い。この場合、プレートにはそれぞれのワニス含侵装置(100)と連通してパイプ(300)を通じてワニス(B)を供給できる通路が形成されなければならない。
【0040】
図7は本発明によるワニス含侵装置(100)を用いるステーターコイルワインディングのワニス含侵方法の工程順序を示す概念図である。
図7に図示されるように、本発明によるワニス含侵装置(100)は真空チャンバー(200)に設置される。真空チャンバー(200)はワニス(B)を貯蔵しているワニス貯蔵タンク(400)とパイプ(300)により連結されている。パイプ(300)にはバルブ(V)が設置されており、ワニス貯蔵タンク(400)からワニス(B)が真空チャンバー(200)に供給されることを制御する。真空チャンバー(200)に形成されるエアー通路(210)にはエアーポンプ(500)が連結されて真空チャンバー(200)内部の空気を抜くか外部の空気を真空チャンバー(200)の内部に供給できる。
【0041】
本発明によるステーターのワニス含侵方法は
図7の(a)のように、真空チャンバー(200)に設置されるワニス含侵装置(100)にステーター(600)を装着させた状態で、真空チャンバー(200)内部の空気をエアーポンプ(500)によって外部に排出して真空チャンバー(200)内部を真空状態に維持させる第1段階を含む。
【0042】
次の第2段階で、
図7の(b)のように、前記第1段階でパイプ(300)中間に接続したバルブ(V)を開放してワニス貯蔵タンク(400)に貯蔵されたワニス(B)をワニス含侵装置(100)の下部ハウジング(110)に形成されたワニス供給ホール(111)を通じてステーターコア(610)のスロット(611)内部に注入する。
【0043】
このような真空状態でワニス(B)をステーターコア(610)のスロット(611)内部に注入させれば、ステーターコア(610)の内側面及び外側面にはワニス(B)が含侵されないので、ワニス(B)がスロット(611)内部とコイルワインディング(612)にのみ含侵されて塗布され、ステーターコア(610)の内側面及び外側面に塗布されないようにする。
【0044】
次の第3段階で、
図7の(c)のように、前記第2段階でエアーポンプ(500)を通じて、または内外部気圧差を用いる自然な外部空気流入により、真空チャンバー(200)内部の気圧を外部気圧と平衡状態に作った後、バルブ(V)を開放してエアーポンプ(500)の作動により陽圧を加えてワニス(B)を真空チャンバー(200)から排出してワニス貯蔵タンク(400)に再度移送する。
【0045】
次の第4段階で、
図7の(d)のように、前記第3段階でワニス(B)を真空チャンバー(200)から排出することが完了すればバルブ(V)を閉鎖してエアーポンプ(500)の作動を中断する。
【0046】
次の第5段階で、
図7の(e)のように、真空チャンバー(200)の真空蓋(220)を開放した後、ワニス含侵装置(100)に装着されたステーター(600)をワニス含侵装置(100)から分離させた後、真空チャンバー(200)から引き出して硬化装置(800)に移してコイルワインディング(612)に塗布されたワニス(B)を硬化させる。
【0047】
このように、本発明によるステーターコイルワインディングのワニス含侵方法によれば、ワニス(B)がステーター(600)の内側面及び外側面に塗布されることによって発生する寸法変形による不良を防止することができる。さらに、ワニス(B)除去のための別途の工程を省略することができ、ステーター(600)の生産性を向上させることができ、ワニス(B)の消耗量を減らすことができるので、ステーター(600)の製作原価を削減できる。
【0048】
以上で説明した本発明の詳細な説明は例を挙げて説明したもので、本発明の技術範囲を定めるものではない。本発明の技術範囲は下記の特許請求範囲によって定められ、この範囲内での本発明の単純な変形や変更は何れも本発明の技術範囲に属する。
【符号の説明】
【0049】
100 ワニス含侵装置
110 内部空間部
111 ワニス供給ホール
112 中央凹入部
113 固定支持台
114 ヒンジ
115 締結部
115A 折曲部
116 受け部材
120 下部密閉部
130 中央密閉部
140 上部密閉部
150 第1カバー部材
160 第2カバー部材
200 真空チャンバー
210 エアー通路
220 真空蓋
230 装着部
231 ワニス供給通路
300 パイプ
400 ワニス貯蔵タンク
500 エアーポンプ
600 ステーター
610 ステーターコア
611 スロット
612 コイルワインディング
613 上部インシュレーター
614 下部インシュレーター
700 支持フレーム
710 接続ホール
800 硬化装置
B ワニス
V バルブ
P1~P6 第1ないし第6パッキング部材