(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159614
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】セパレータ、その製造方法およびこれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/443 20210101AFI20241031BHJP
H01M 50/451 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/446 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/42 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/426 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/423 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/457 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20241031BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20241031BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20241031BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20241031BHJP
【FI】
H01M50/443 E
H01M50/451
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/443 B
H01M50/446
H01M50/42
H01M50/426
H01M50/423
H01M50/457
H01M50/403 D
H01M10/04 Z
H01M50/46
H01M10/058
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024069342
(22)【出願日】2024-04-22
(31)【優先権主張番号】10-2023-0055185
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】519214271
【氏名又は名称】エスケー アイイー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK IE TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 03188 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ジ サン ユン
(72)【発明者】
【氏名】アン ジュン ファン
(72)【発明者】
【氏名】イ チャン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュン ヒュン
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H021BB00
5H021BB12
5H021BB13
5H021CC04
5H021CC05
5H021CC13
5H021EE06
5H021EE07
5H021EE09
5H021EE22
5H021EE23
5H021EE32
5H021EE39
5H021HH01
5H021HH02
5H021HH03
5H021HH06
5H028BB04
5H028BB05
5H029AJ11
5H029AK03
5H029AL07
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029CJ03
5H029CJ06
5H029DJ04
5H029EJ12
(57)【要約】
【課題】本開示は、セパレータ、その製造方法およびこれを含む二次電池に関する。具体的には、中空型接着粒子を含むセパレータ、その製造方法およびこれを含む二次電池に関する。
【解決手段】本開示の一様態によるセパレータは、多孔性基材と、前記多孔性基材の一面または両面に位置し、無機粒子および中空型(Hollow)接着粒子を含む少なくとも一つのコーティング層とを含む。本開示のセパレータは、表面接着力が向上し、電極と高い接着力で接着することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性基材と、
前記多孔性基材の一面上にまたは両面上に位置し、無機粒子および中空型接着粒子を含むコーティング層とを含む、セパレータ。
【請求項2】
前記コーティング層は、前記多孔性基材と対向する面を第1表面とし、前記第1表面の反対の面を第2表面としたときに、第1表面に比べて、第2表面の前記中空型接着粒子の含有量がより多い、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
前記コーティング層は、前記第1表面から第2表面に行くほど、前記中空型接着粒子の含有量が増加する勾配を有する、請求項2に記載のセパレータ。
【請求項4】
前記コーティング層は、無機粒子を含む無機粒子層と前記無機粒子層の上部に中空型接着粒子が浮遊して形成された接着層からなる、請求項3に記載のセパレータ。
【請求項5】
前記コーティング層は、少なくとも一層以上が積層されている、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項6】
前記中空型接着粒子は、中空率が5~97%である、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項7】
前記中空型接着粒子は、平均外径が10nm~10μmである、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項8】
前記中空型接着粒子は、内部が空いている中空構造の中空コアと、接着性物質からなるシェル層とを含み、前記接着性物質は、常温またはガラス転移温度以上の温度で接着力を有する接着性樹脂を含む、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項9】
前記接着性樹脂は、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、アミド系樹脂およびこれらの共重合体またはこれらの混合物を含む、請求項8に記載のセパレータ。
【請求項10】
前記接着性樹脂は、架橋されている、請求項9に記載のセパレータ。
【請求項11】
前記中空型接着粒子は、中空コアとシェル層との間に、中空構造を維持するための構造体物質層をさらに含む、請求項8に記載のセパレータ。
【請求項12】
前記多孔性基材と前記コーティング層との間に無機粒子層をさらに含む、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項13】
多孔性基材の一面上にまたは両面上に無機粒子および中空型接着粒子を含むコーティング組成物を塗布して、コーティング層を形成するコーティングステップと、
前記コーティング層を乾燥する乾燥ステップとを含む、セパレータの製造方法。
【請求項14】
前記乾燥ステップの前にまたは乾燥と同時に振動を加えるステップをさらに含む、請求項13に記載のセパレータの製造方法。
【請求項15】
前記コーティングステップの後、乾燥する前に、前記コーティング組成物が塗布されたセパレータを静置するステップをさらに含む、請求項13に記載のセパレータの製造方法。
【請求項16】
前記コーティング層は、前記コーティングステップおよび乾燥ステップの後、前記中空型接着粒子がコーティング層の表面に浮遊して勾配を形成するか、表面に前記中空型接着粒子からなる接着層を形成する、請求項13に記載のセパレータの製造方法。
【請求項17】
前記コーティング組成物は、固形物の含有量が10~60重量%である、請求項13に記載のセパレータの製造方法。
【請求項18】
前記コーティング組成物は、前記無機粒子100重量部に対して、前記中空型接着粒子を0.2~20重量部含む、請求項13に記載のセパレータの製造方法。
【請求項19】
前記乾燥は、25~100℃の熱風により行われる、請求項13に記載のセパレータの製造方法。
【請求項20】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のセパレータを含む、二次電池。
【請求項21】
正極と負極との間に請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のセパレータを位置させた後、
熱、圧力または熱と圧力を印加して、前記セパレータと電極を一体化するステップを含む、二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セパレータ、その製造方法およびこれを含む二次電池に関する。具体的には、中空型接着粒子を含むセパレータ、その製造方法およびこれを含む二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、二次電池は、電気自動車などに適用するために、高容量化および大型化している。その一環として、電極とセパレータを積層して一体化した電極-セパレータ結合体の技術が開発されている。しかし、既存の電極-セパレータ結合体構造の二次電池は、電極-セパレータ間の結合力が低くて、電極とセパレータとが離隔する欠陥が発生するデメリットがあった。そのため、実質的に、大型化および高容量化を図ることができないという問題がある。
【0003】
これを解決するために、接着性物質、一例として、高分子樹脂を電極と接触する面にコーティングすることで接着力が向上したセパレータを提供する技術が開発されている。このようなセパレータは、普通、多孔性基材上に、耐熱性を向上させるための無機粒子層と高分子樹脂層をそれぞれ形成して製造されるか、高分子樹脂と無機粒子が混合された1液型コーティング液を多孔性基材上にコーティングして製造される。
【0004】
しかし、高分子樹脂層を無機粒子層上に別に形成したセパレータの場合、各層を別に製造しなければならないため、製造時間が長く、工程効率が低くて、生産性が低下するデメリットがある。
【0005】
また、高分子樹脂粒子と無機粒子を混合して1液型にコーティング層を形成したセパレータの場合、製造工程は簡単になるが、電極と接触する面に無機粒子と高分子樹脂が混在することから接着力が低下するデメリットがある。
【0006】
これを解決するために、多量の高分子樹脂を添加して接着性能を改善したセパレータを使用することができるが、このようなセパレータは、二次電池の充放電時に、高分子樹脂が電解質内に溶解して溶出するか、電解質によって高分子樹脂が膨潤してセパレータ内の気孔層が閉鎖するなど、電池性能を低下させる様々な問題が発生する。
【0007】
これを解決するために、少量の接着性物質だけでも高い接着性を有することができ、膨潤に対するバッファーの機能をして、膨潤を抑制することができ、電解質の溶出も減少する新たなセパレータの開発が切実に求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2019-0036724号(2019年04月05日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示の一課題は、少量の接着性物質だけでも、電極と高い接着力で接着されることができるセパレータを提供することである。
【0010】
また、セパレータの接着機能を提供し、且つ電解質などによる膨潤を内部的に収容可能な能力を有する新たなセパレータを提供することを目的とする。
【0011】
また、別の接着層を形成する工程を必要とせず、簡単な工程だけで電極との接着力が向上したセパレータを製造することができるセパレータの製造方法を提供することを目的とする。具体的には、無機粒子および中空型(Hollow)接着粒子を含むコーティング組成物を塗布してコーティング層を形成する過程で、前記無機粒子に比べて相対的に比重が低い中空型接着粒子が浮遊しながら接着層を形成するため、別の接着層を形成するための塗布工程が必要ではなく、一回の塗布工程で電極接着力を提供することを目的とする。また、従来、別の接着層を形成する場合に比べて、相対的に少ない含有量で中空型接着粒子を使用することができ、従来に比べて少ない含有量で使用しても、電極接着力に優れたセパレータを提供することを目的とする。
【0012】
また、前記中空型(Hollow)接着粒子が、電解質による膨潤を内部的に収容可能なバッファーの機能をして、膨潤を抑制し、且つ電解質の溶出が抑制される役割を果たす新たなセパレータを提供することを目的とする。
【0013】
また、膨潤を抑制し、接着力に優れることから、電極とセパレータの積層を多く行っても、アライメントがよく維持される新たなセパレータおよびこれを用いた電池を提供することを目的とする。
【0014】
また、接着力が向上したセパレータを含むことで高容量化および大型化が可能な二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示の一様態は、多孔性基材と、前記多孔性基材の一面上にまたは両面上に位置し、無機粒子および中空型(Hollow)接着粒子を含むコーティング層とを含む、セパレータを提供する。
【0016】
一様態として、前記コーティング層は、前記多孔性基材と対向する面を第1表面とし、前記第1表面の反対の面を第2表面としたときに、第1表面に比べて、第2表面の前記中空型接着粒子の含有量がより多いものであることができる。
【0017】
一様態として、前記コーティング層は、前記第1表面から第2表面に行くほど、前記中空型接着粒子の含有量が増加する勾配を有することができる。
【0018】
一様態として、前記コーティング層は、無機粒子を含む無機粒子層と前記無機粒子層の上部に中空型(Hollow)接着粒子が浮遊して形成された接着層からなることができる。
【0019】
一様態として、前記コーティング層は、少なくとも一層以上が積層されることができる。
【0020】
一様態として、前記中空型接着粒子は、中空率が5~97%であることができ、これに制限されるものではない。
【0021】
一様態として、前記中空型接着粒子は、平均外径が10nm~10μmであることができ、これに制限されるものではない。
【0022】
一様態として、前記中空型接着粒子は、内部が空いている中空構造の中空コアと、接着性物質からなるシェル層とを含み、前記接着性物質は、常温またはガラス転移温度(Tg)以上の温度で接着力を有する接着性樹脂を含むことができる。
【0023】
一様態として、前記接着性樹脂は、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、アミド系樹脂およびこれらの共重合体またはこれらの混合物などを含むことができ、これに制限されるものではない。
【0024】
一様態として、前記接着性樹脂は、架橋されることができる。
【0025】
一様態として、前記中空型接着粒子は、中空コアとシェル層との間に、中空構造を維持するための構造体物質層をさらに含むことができる。
【0026】
一様態として、前記多孔性基材と前記コーティング層との間に無機粒子層をさらに含むことができる。ここで、前記無機粒子層は、前記コーティング層と区別されることで通常当該分野において使用される無機粒子からなる層、すなわち、セラミック層を意味する。具体的には、例えば、無機粒子のみからなり、無機粒子の間に気孔が形成された層や、または無機粒子がバインダーによって結着し、無機粒子の間に気孔が形成された層であることができる。ここで、前記無機粒子層は、前記中空型接着粒子を含まないことができる。
【0027】
本開示のさらに他の様態は、多孔性基材の一面上にまたは両面上に無機粒子および中空型接着粒子を含むコーティング組成物を塗布して、コーティング層を形成するコーティングステップと、前記コーティング層を乾燥する乾燥ステップとを含む、セパレータの製造方法を提供する。
【0028】
一様態として、前記乾燥ステップの前にまたは乾燥と同時に振動を加えるステップをさらに含むことができる。
【0029】
一様態として、前記コーティングステップの後、乾燥する前に、前記コーティング組成物が塗布されたセパレータを静置するステップをさらに含むことができる。
【0030】
一様態として、前記コーティング層は、前記コーティングステップおよび乾燥ステップの後、前記中空型接着粒子がコーティング層の表面に浮遊して勾配を形成するか、表面に前記中空型接着粒子からなる接着層を形成することができる。
【0031】
一様態として、前記コーティング組成物は、固形物の含有量が10~60重量%であることができ、これに制限されない。
【0032】
一様態として、前記コーティング組成物は、前記無機粒子100重量部に対して、前記中空型接着粒子を0.2~20重量部含むことができ、これに制限されない。
【0033】
一様態として、前記乾燥は、25~100℃の熱風により行われることができる。
【0034】
本開示のさらに他の様態は、前記一様態によるセパレータを含む二次電池を提供する。
【0035】
また、正極と負極との間に前記一様態によるセパレータを位置させた後、熱、圧力または熱と圧力を印加して、前記セパレータと電極を一体化するステップを含む、二次電池の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0036】
本開示の一様態によるセパレータは、中空型接着粒子を含有し、中空型接着粒子の含有量に対してセパレータの表面接着力が向上し、電極と高い接着力で接着することができる。
【0037】
また、本開示の一様態によるセパレータの製造方法は、多孔性基材上にコーティング層を形成するだけでも、電極との接着力が向上したセパレータを容易に製造することができる。
【0038】
また、本開示の一様態によるセパレータを含む二次電池は、電極とセパレータとの接着力が向上して高容量化および大型化が可能であり、実質的に、産業上の利用可能性が非常に高いことができる。
【0039】
また、本開示の一様態によると、セパレータと電極の優れた接着機能を提供し、且つ電解質などによる膨潤を内部的に収容可能な能力を有する新たなセパレータを提供することができる。
【0040】
また、本開示の一様態によると、電解質による膨潤を内部的に収容可能なバッファーの機能をして、膨潤を抑制し、且つ電解質によって接着剤が電解質内に溶出しないようにする新たなセパレータを提供することができる。
【0041】
また、本開示の一様態によると、膨潤を抑制して電極との接着力を維持するため、すなわち、膨潤による接着力の損失を防止するため、電極とセパレータの積層を多く行っても、電極モジュールのアライメントがよく維持される新たなセパレータおよびこれを用いた電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】中が空いている中空コア11と接着性物質のシェル層12からなる中空型(Hollow)接着粒子の一様態を図示した図である。
【
図2】中が空いている中空コア11と中空構造を形成および維持するための構造体物質層13と接着性物質からなるシェル層12からなる中空型(Hollow)接着粒子の一様態を図示した図である。
【
図3】セパレータを製造する方法の一様態を図示した図である。
【
図4】スタッキング接着性を評価する方法を図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本明細書で使用される技術用語および科学用語において他の定義がなければ、本開示が属する技術分野において通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、下記の説明および添付の図面において、本開示の要旨を不明瞭にし得る公知の機能および構成に関する説明は省略する。
【0044】
また、本明細書で使用される単数形態は、文脈で特別な指示がない限り、複数形態も含むことを意図することができる。
【0045】
また、本明細書において、特別な言及なしに使用された単位は、重量を基準とし、一例として、%または比の単位は、重量%または重量比を意味し、重量%は、他に定義されない限り、全組成物のいずれか一つの成分が組成物内で占める重量%を意味する。
【0046】
また、本明細書で使用される数値範囲は、下限値と上限値と、その範囲内でのすべての値、定義される範囲の形態と幅から論理的に誘導される増分、二重限定されたすべての値および互いに異なる形態に限定された数値範囲の上限および下限のすべての可能な組み合わせを含む。本開示の明細書において特別な定義がない限り、実験誤差または値の四捨五入によって発生する可能性がある数値範囲以外の値も定義された数値範囲に含まれる。
【0047】
本明細書の用語、「含む」は、「備える」、「含有する」、「有する」または「特徴とする」などの表現と等価の意味を有する開放型記載であり、さらに列挙されていない要素、材料または工程を排除しない。
【0048】
本明細書において特別な定義がない限り、ある層または部材が他の層または部材の「上に」位置しているとした時に、これは、ある層または部材が他の層または部材に接している場合だけでなく、二つの層または二つの部材の間にさらに他の層またはさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0049】
本明細書において、「中空型(Hollow)接着粒子」は、内部が空いており、接着性を有する粒子を意味する。具体的には、
図1および
図2に図示されているように、中が空いている中空コア(hollow-core)11と、接着性物質からなるシェル層(shell-layer)12で構成され、前記シェル層は、少なくとも一層以上からなることができる。また、
図2に図示されているように、中空コア11とシェル層12との間に、中空構造を形成および維持するための構造体物質層13をさらに含むことができる。
図1および
図2は、本開示の一様態による中空型接着粒子を具体的に例示するためのものであって、これに制限されるものではない。
【0050】
また、前記用語「接着粒子」とは、セパレータをバッテリの負極や正極と接触または圧着した時に、当該粒子を含まなかった時に比べて、剥離強度(Peel Strength)が増加するか、すべり抵抗(skid resistance)が増加する粒子を意味する。
【0051】
従来、電極とセパレータを積層する時に、接着性物質を電極と接触する面にコーティングすることで接着力が向上したセパレータを提供した。しかし、接着性物質と無機粒子を混合してコーティング層を形成したセパレータの場合、電極と接触する面に無機粒子と接着性物質が混在することから接着性物質の含有量に対して接着力が劣るというデメリットがある。これを解決するために、コーティング層に接着性物質を多量投入する必要があるが、この場合、二次電池に適用した時に、接着性物質によって電池性能が低下する問題が発生することもある。
【0052】
本開示によるセパレータの一様態は、多孔性基材と、多孔性基材の一面上にまたは両面上に位置し、無機粒子および中空型(Hollow)接着粒子を含むコーティング層とを含むことができる。
【0053】
本開示の一様態として、前記中空型接着粒子は、内部が空いている構造であるため、前記無機粒子に比べて相対的に比重が低くて、表面に浮遊することができる。そのため、電極接着層を形成するために、接着性組成物を塗布してコーティング層を形成する過程を別に有する必要がなく、前記無機粒子と混合し、同時に塗布してコーティング層を形成することにより、自然に表面層に浮遊する中空型接着粒子により電極接着性を付与することができる。
【0054】
このように、コーティング層に中空型接着粒子を含むことで、前記中空型接着粒子の中空構造により無機粒子に比べて低い比重を有することから、コーティング層の形成時に、コーティング層の表面の方に中空型接着粒子が容易に誘導されることができる。これにより、別の接着層を形成する必要がないため、従来、別の接着層を形成していた技術に比べて、より少量の接着性物質、すなわち、より少量の中空型接着粒子を含むことができ、少量を含んでも、電極との接着力を発揮することができる。
【0055】
また、電解質などによって膨潤が発生する場合、前記コーティング層で内部的に収容して、外部的に膨潤が発生することを予防できる効果を提供することができる新たな概念のセパレータを提供することができる。また、本開示の一様態によるセパレータを含む二次電池は、電池組立時に、電極とセパレータとの接着力が発揮されてセル(cell)組立工程性が向上し、充放電時に、電極とセパレータとの離隔が防止され、電極とセパレータとの離隔による抵抗の上昇またはサイクル寿命の低下など、様々な問題を防止することができる。また、電池の膨張現象を防止することができる。
【0056】
すなわち、前記中空型接着粒子を含むコーティング層を有する場合、セパレータと電極の優れた接着機能を提供し、且つ電解質などによる膨潤を内部的に収容することで、外部的に膨潤しない効果を有する新たなセパレータを提供することができる。
【0057】
また、前記セパレータは、電解質による膨潤を内部的に収容して、外形的に膨潤を抑制し、且つ電解質によって接着剤が電解質内に溶出しないようにする新たなセパレータを提供することができる。
【0058】
また、前記セパレータは、電解質による膨潤を抑制して、電極との接着力の損失を最小化するため、すなわち、膨潤による接着力の損失を防止するため、電極とセパレータの積層を多く行っても、電極モジュールのアライメント(alignment)がよく維持される新たなセパレータおよびこれを用いた電池を提供する。また、膨潤の抑制と溶出の抑制により、電極性能の向上を図ることができる。
【0059】
具体的には、前記セパレータは、無機物粒子が互いに連結されて、無機物粒子によって気孔を形成するコーティング層において前記無機粒子を固定し、また、電極と接着する接着剤として、高分子で製造される中空型(Hollow)接着粒子を含むことができる。
【0060】
前記セパレータの場合、従来、無機粒子および熱可塑性樹脂、例えば、ポリアクリレート、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂の接着剤で製造されるセパレータに比べて、上記の膨潤の抑制、電極接着力の増加、アライメント維持性能、および接着力損失の防止などの効果を付与することができる。
【0061】
また、コーティング層内の前記中空型接着粒子と無機粒子との比重の差によって、電極と接する表面に、比重または密度が低い中空型接着粒子が集中して位置することができ、これにより、接着性を示す接着粒子の含有量を最小化しても、電極と接するコーティング層の表面の接着力が向上することができる。また、接着性物質の含有量を最小化することができ、接着性物質による電池性能の低下問題を防止することができることは言うまでもない。
【0062】
本開示の一様態によるセパレータは、前記多孔性基材と対向する面を第1表面とし、前記第1表面の反対の面を第2表面としたときに、第1表面に比べて、第2表面に前記中空型接着粒子の含有量がより多いことができる。
【0063】
また、前記コーティング層は、前記第1表面から第2表面に行くほど、前記中空型接着粒子の含有量が増加する勾配を有することができる。
【0064】
また、前記コーティング層は、無機粒子を含む無機粒子層と前記無機粒子層の上部に中空型(Hollow)接着粒子が浮遊して形成された接着層からなることができる。すなわち、
図3に図示されているように、前記中空型接着粒子が浮遊して、前記無機粒子からなる層とは別の層を形成することができる。
【0065】
本開示において、セパレータは、単一の前記コーティング層を含むことができるが、これとは異なり、多数個の前記コーティング層が積層されてもよく、この場合、複数の積層により、各層ごとに無機粒子に対する中空型接着粒子の含有量を異ならせることで、電極と接着する表面において中空型接着粒子の含有量を増加させて電極接着力をより向上させることもできる。
【0066】
すなわち、前記コーティング層が単層構造である場合、中空型接着粒子と無機粒子の比重の差によって、前記中空型接着粒子と無機粒子が混合されたスラリーを多孔性基材の表面にコーティングし、乾燥する過程で、自然に、中空型接着粒子が表面に浮上して濃度勾配を有するか、別の接着層をなすようにすることができる。または、前記スラリーをコーティングした後、前記中空型接着粒子が十分に表面に浮上し、無機粒子が多孔性基材の方に沈むように、所定時間そのまま維持する過程を導入し、このときに静置する時間を調節することにより、意図的に中空型接着粒子の濃度勾配が形成されるようにすることができる。すなわち、前記コーティング層において、多孔性基材と対向する面を第1表面とし、前記第1表面の反対の面を第2表面としたときに、第1表面から第2表面に行くほど、連続して中空型接着粒子の濃度が増加するようにするか、または静置する時間を調節することにより、第2表面により多くの中空型接着粒子が分布するように調節することができる。または第2表面に中空型接着粒子が浮遊して形成された接着層を形成するようにすることができる。
【0067】
また、前記コーティング層は、少なくとも一層以上が積層された多層構造であることができる。
【0068】
一例として、無機粒子と中空型接着粒子の含有量を変更して、中空型接着粒子の含有量が相違する複数個の層に形成した多層構造であることができる。詳細には、コーティング層は、中空型接着粒子の濃度が相違するn(n≧2の自然数)個の層に区分された構造であることができる。具体的には、nは、2~5であることができる。
【0069】
前記コーティング層は、多孔性基材と接する第1表面と、前記第1表面の反対の面である第2表面を含み、第1含有量の中空型接着粒子を含有する第1コーティング層と、前記第2表面に接する第3表面と前記第3表面の反対の面である第4表面を含み、第2含有量の中空型接着粒子を含有する第2コーティング層と、第n含有量の中空型接着粒子を含有する第nコーティング層を含むことができる。例えば、コーティング層が二つの層に区分される時に、第1含有量の中空型接着粒子を含有する第1コーティング層と、第2含有量の中空型接着粒子を含有する第2コーティング層とに区分されることができる。また、それぞれのコーティング層は、互いに直接接してなることができる。
【0070】
本開示において、前記セパレータは、多孔性構造であることから、気孔が形成され、気孔度(porosity)を有することができる。セパレータに形成された気孔のサイズおよび気孔度は、多孔性基材の気孔度およびコーティング層の厚さに応じて適宜調節されることができる。一例として、セパレータに形成された気孔の平均サイズ、すなわち、気孔の平均直径は、0.001~10μmであることができ、気孔度は、10~70%であることができる。
【0071】
本開示の一様態によるセパレータは、気体透過度が500sec/100cc以下、400sec/100cc以下、300sec/100cc以下、200sec/100cc以下または100sec/100cc以下であることができる。前記気体透過度は、Toyoseiki社製のDensometerを用いて、ASTM D 726規格に準じて測定される。
【0072】
また、下記式によるガーレー透過度の変化量ΔGが、50sec/100cc以下、45sec/100cc以下、40sec/100cc以下、35sec/100cc以下または30sec/100cc以下であることができる。
【0073】
ΔG=G1-G2
【0074】
前記式中、G1は、多孔性基材の両面にコーティング層を形成したセパレータのガーレー透過度であり、G2は、多孔性基材自体のガーレー透過度である。ガーレー透過度は、Toyoseiki社製のDensometerを用いて、ASTM D 726規格に準じて測定したものであり、単位は、sec/100ccである。
【0075】
また、熱収縮率が、150℃で、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下であることができる。また、170℃で、熱収縮率が、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下であることができる。
【0076】
また、電池組立の後、100回充放電時に、厚さの変形率が、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下または1%以下であることができる。また、60℃以上の温度と、1kgf/cm2以上の圧力で、10秒以上圧着した後、ASTM D 903に準じて、INSTRON社製のUTM装備を用いて、180゜で剥離(peel)した時に、セパレータと電極との接着力が、0.5gf/15mm以上、1gf/15mm以上、例えば、0.5~4gf/15mmであることができる。
【0077】
また、後述する電極接着力の評価で電極接着力に優れることができる。具体的には、
図4のように、セパレータを4×6cmサイズの正極3枚、負極3枚と交互にスタッキング(Stacking)した後、60℃の温度雰囲気で、1kgf/cm
2で、10秒間接着した後、展開し、電極が付着している個数を評価した時に、分離することなく、6個がいずれも接着を維持することができる。
【0078】
[多孔性基材]
一例として、セパレータの多孔性基材は、従来、セパレータの基材として使用されているものであれば、限定されない。具体的には、高分子素材のフィルム、シート、不織布および織物であることができる。具体的には、前記多孔性基材は、ポリオレフィン系樹脂で製造した多孔性基材を含むことができる。前記ポリオレフィン系樹脂は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレンおよびこれらの共重合体からなる群から選択された1種以上であることができるが、これに限定されない。
【0079】
前記多孔性基材の厚さは、特に限定されないが、1~100μm、または5~60μm、または5~40μm、または5~20μm、または5~10μmの範囲であることができる。前記多孔性基材は、多孔性フィルム形態であることができる。
【0080】
前記多孔性基材に形成される気孔は、リチウムイオンのスムーズな移動が可能なサイズであれば、限定されないが、平均直径が0.01~20μm、または0.05~5μm、または0.05~1μmであるものが、リチウムイオンのスムーズな移動および電解液の含浸において、有利であることができる。また、特に限定されないが、気孔度は、5~95%、または30~60%であることができる。前記気孔度は、サンプルをAcm×Bcmの長方形(厚さTμm)に裁断し、質量を測定して、同じ体積の樹脂重量とセパレータの重量(Mg)の比率により、以下の式で計算されることができる。気孔度(%)=100×{1-M×10000/(A×B×T×ρ)}式中、ρ(g/cm2)は、樹脂の密度である。
【0081】
[コーティング層]
一例として、前記コーティング層は、多孔性基材の一面上にまたは両面上に形成され、無機粒子および中空型接着粒子が互いに連結されて気孔が形成される多孔性構造の層であることができる。または、無機粒子が互いに連結されて気孔が形成される無機粒子層と、前記無機粒子層上に中空型接着粒子が浮遊して形成された接着層が形成された積層構造であることができる。前記コーティング層は、多孔性基材に直接接して形成されることができる。または、前記多孔性基材とコーティング層との間に、通常、セパレータにおいて使用される他の層、具体的には、無機粒子の間に気孔が形成された無機粒子層を別にさらに備えることができ、これに制限されるものではない。
【0082】
コーティング層は、上述のように、中空型接着粒子が電極と接触する表面に集中して位置することにより、従来のセパレータが有する問題点を解決することができる。
【0083】
前記コーティング層の厚さは、特に限定しないが、例えば、多孔性基材の一面に形成されるコーティング層の厚さが、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上、3μm以上、または5μm以上であることができ、例えば、0.1~10μm、0.2~5μm、0.2~3μmであることができるが、これに限定するものではない。また、前記コーティング層は、前記中空型接着粒子が浮遊して形成された接着層を含むことができ、前記接着層の厚さは、制限されないが、0.01~20μmであることができる。前記接着層の厚さは、使用される中空型接着粒子の含有量を調節して調節されることができ、これに制限されるものではない。
【0084】
一例として、前記セパレータの多孔性基材:コーティング層の厚さの比は、本開示の目的を達成することができれば、限定されないが、1:0.01~1、または1:0.05~0.5であることができる。このような範囲で、優れた電池安定性、膨潤の抑制、電池性能の向上および電極との優れた接着力を確保することができて好ましいが、これに限定するものではない。一例として、前記コーティング層は、多孔性基材の各面に対して、各面の全面積のうち90%以上に形成されることができ、95%以上、微細欠陥が発生する場合を除き、多孔性基材の各面の全面積のうち100%に形成されることができる。
【0085】
前記コーティング層は、上述の無機粒子および中空型接着粒子の他に、通常知られているその他の添加剤をさらに含むことができる。例えば、分散剤、滑剤、消泡剤または増粘剤などが挙げられ、その含有量は、通常使用する含有量程度であることができる。
【0086】
また、コーティング層は、その他に、通常、無機粒子層の粒子を固定するための接着剤として、中空型接着粒子ではなく、従来のバインダーをさらに含むことができるが、これは、従来使用している量よりも著しく小さい量で使用されることができる。このような従来のバインダーとしては、特に制限されるものではないが、例えば、アクリル系重合体、スチレン系重合体、ビニルアルコール系重合体、ビニルピロリドン系重合体およびフッ素系重合体などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むことができる。
【0087】
例えば、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリレート、アクリル酸-メタクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセテート-ポリビニルアルコール共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンおよびポリクロロトリフルオロエチレンなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物、もしくはこれらの共重合体であることができるが、これに制限されるものではない。
【0088】
前記バインダーおよび添加剤を適切に最小量でさらに含んで使用することができるが、非限定的な一例として、無機粒子100重量部に対して、バインダー0.1~5重量部および添加剤0.1~3重量部を含むことができる。これは一例示であって、これに限定されない。
【0089】
前記コーティング層に含まれる無機粒子は、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属カーボネート、金属水和物および金属炭窒化物などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上であることができる。例えば、ベーマイト(Boehmite)、Ga2O3、SiC、SiC2、石英(Quartz)、NiSi、Ag、Au、Cu、Ag-Ni、ZnS、Al2O3、TiO2、CeO2、MgO、NiO、Y2O3、CaO、SrTiO3、SnO2、ZnO、およびZrO2などから選択される一つ以上であることができるが、電気化学的に不安定で、電池性能に大きな影響を与えないものであれば、必ずしもこれに限定されない。
【0090】
前記無機粒子は、多孔性基材の耐久性および耐熱性を増進する目的を達成する限り、形状が特に限定されない。具体的には、無機粒子は、球形、角形および無定形からなる群から選択されるいずれか一つ以上の形状を有することができる。
【0091】
また、無機粒子のサイズは、上述の目的を達成する限り、制限されず、具体的には、無機粒子のサイズ、すなわち、平均直径は、0.001~100μm、具体的には0.01~50μm、さらに具体的には0.01~10μmであることができる。前記範囲で、上述のセパレータの気孔度を有することができて好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0092】
前記コーティング層に使用する中空型接着粒子は、中空型有機粒子または高分子粒子であることができ、
図1および
図2に図示されているように、内部に中空が形成されることで、無機粒子より低い密度と浮力を有することができる。前記中空型接着粒子の中空率は、上述の目的、すなわち、無機粒子より低い密度を形成する目的を達成するものであれば、特に限定されない。一例として、中空型接着粒子の中空率は、5~97%、または50~95%であることができるが、これに限定されるものではない。前記中空率は、中空型接着粒子の外径および内径から以下の式により計算することができる。前記外径および内径は、平均粒径を意味し、SEMなどを用いて測定することができる。中空率(%)=内径/外径×100、前記外径は、中空型接着粒子の平均粒径、すなわち、平均外径を意味し、前記内径は、SEM、TEMなどを用いて、シェル層の厚さを測定することにより、前記平均粒径からシェル層の厚さを減算した値で計算される。また、前記中空型接着粒子の中空形態が不均一な中空粒子の場合、粉末密度測定法などを用いて測定した密度(見かけ密度)と理論密度の相関関係で中空率を計算することができる。この場合、中空率(%)=(1-見かけ密度/理論密度)×100で計算することができる。
【0093】
前記中空型接着粒子は、
図1に図示されているように中が空いている中空コア11と接着性物質からなるシェル層12で構成され、前記シェル層は、少なくとも一層以上からなることができる。また、
図2に図示されているように、中空コア11とシェル層12との間に、中空コアが中空構造を形成および維持するための構造体物質層13をさらに含むことができる。
【0094】
前記中空型接着粒子のシェル層は、多孔性基材と電極に対して接着性を有する物質を使用することが好ましく、従来、接着性物質として使用されるものなどとして、接着力を有するものであれば、特に限定されない。一例として、前記接着性物質は、常温またはガラス転移温度(Tg)以上の温度で接着力を有する接着性樹脂であることができる。前記接着性樹脂は、熱可塑性高分子を使用することができ、例えば、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、アミド系樹脂およびこれらの共重合体またはこれらの混合物を含むことができるが、これに限定されない。一例として、前記中空型接着粒子のシェル層は、前記接着性樹脂が架橋されたシェル層であることができる。
【0095】
また、前記構造体物質層は、前記シェル層と同一または相違する樹脂からなることができ、中空コアの中が空いている構造を維持するための材料であれば、制限なく使用可能である。また、接着性を有するかまたは接着性がない物質からなってもよい。具体的には、例えば、SiO2、Al2O3、ZnO、TiO2、SnO2、カーボン、ポリスチレン、ポリアクリレートおよびPVDFなどから選択されることができるが、これに制限されるものではない。
【0096】
前記中空型接着粒子のサイズは、上述の目的を達成する限り、制限されず、中空型接着粒子のサイズ、すなわち、平均外径は、10nm~10μm、または50nm~5μm、または0.1~5μm、または0.2~2μmであることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0097】
上述のように、中空型接着粒子は、中空を形成するものであれば、特に限定されない。一例として、アクリレートとアクリル酸および多官能性アクリル系架橋剤を重合して製造したものであり得る。ここで、アクリル酸のような極性単量体を含むことができ、これは、コーティング層の無機粒子と接着を誘導することは言うまでもなく、電極の活物質または金属層と接着力を向上させることができて好ましいが、これに制限されるものではない。
【0098】
前記中空型接着粒子の製造方法は、多様に製造されることができるが、例えば、韓国特許公開公報第2020-0138213号(公開日:2020年12月9日、日本ゼオン)などで製造する方法により製造することができるが、これに限定されるものではない。このような中空型接着粒子は、内部の中空形態を維持するために、シェル層に架橋単量体の架橋比率を高めて崩壊しないようにするなど、架橋したシェル層を有する中空型接着粒子形態を有することが好ましい。
【0099】
前記シェル層は、単層であってもよく、複数の層を有してもよいが、これを特に限定しない。したがって、前記コーティング層は、単一構造の中空型接着粒子および二重構造の中空型接着粒子のいずれか一つを単独で含むことができるが、これとは異なり、単一構造の中空型接着粒子と二重構造の中空型接着粒子を両方とも含んでもよい。また、
図1および
図2に例示されている中空粒子をすべて含むことができる。
【0100】
前記コーティング層は、前記中空型接着粒子の含有量に比べて無機粒子をさらに多く含むことができる。前記中空型接着粒子の含有量は、接着性を発現することができる程度の少量が使用されることができ、一例として、無機粒子100重量部に対して、中空型接着粒子を0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.3重量部以上、0.4重量部以上、0.5重量部以上、0.6重量部以上、0.7重量部以上、0.8重量部以上、0.9重量部以上、1.0重量部以上含むことができ、20重量部以下、19重量部以下、18重量部以下、17重量部以下、16重量部以下、15重量部以下含むことができ、これらの範囲で使用されることができる。例えば、0.1~20重量部、0.2~20重量部、1~20重量部、1~15重量部、1~10重量部、1~8重量部、または1~5重量部含まれることができ、これに制限されるものではないが、前記範囲でも、十分な電極接着力を発揮することができる。その他、必要に応じて、前記無機粒子100重量部に対して、非中空型の高分子バインダー0.1~5重量部、添加剤0.1~5重量部をさらに含むことができ、これに制限されるものではない。
【0101】
[セパレータの製造方法]
以下、セパレータの製造方法について詳細に説明する。
【0102】
本開示において、セパレータの製造方法は、多孔性基材の一面上にまたは両面上に無機粒子および中空型接着粒子を含むコーティング組成物を塗布して、コーティング層を形成するコーティングステップと、前記コーティング層を乾燥させる乾燥ステップとを含む。
【0103】
一様態として、
図3に図示されているように、多孔性基材100の一面に、前記無機粒子20および中空型接着粒子10を含むコーティング組成物を塗布した後、乾燥することで、コーティング層200の表面、すなわち、前記多孔性基材と接しない表面に前記中空型接着粒子の含有量がより多く存在するように製造されることができる。または、実質的に、前記中空型接着粒子が表面に誘導されて接着層を形成することができる。
【0104】
一例として、前記多孔性基材と対向する面を第1表面とし、前記第1表面の反対の面を第2表面としたときに、第1表面に比べて、第2表面に前記中空型接着粒子の含有量がより多いことができる。
【0105】
一例として、前記コーティング層は、前記第1表面から第2表面に行くほど、前記中空型接着粒子の含有量が増加する勾配を有するように製造されることができる。または、前記コーティング層は、無機粒子を含む無機粒子層と前記無機粒子層の上部に中空型(Hollow)接着粒子が浮遊して形成された接着層からなることができる。
【0106】
一様態として、前記乾燥ステップの前に、人為的に、中空型接着粒子と無機粒子の比重の差による勾配または別の接着層の形成を誘導するために、所定時間静置するか、振動を付与するか、または、前記両方を同時にまたはそれぞれ連続して付与した後、乾燥してもよい。すなわち、コーティング組成物を塗布した後、所定時間静置してから乾燥してもよい。または、コーティング組成物を塗布した後、所定時間静置してから振動を付与した後、乾燥してもよい。または、コーティング組成物を塗布した後、所定時間静置しながら同時に振動を付与した後、乾燥してもよい。または、コーティング組成物を塗布した後、所定時間静置してから振動とともに乾燥してもよい。または、コーティング組成物を塗布した後、振動を付与した後、乾燥してもよい。または、コーティング組成物を塗布した後、振動とともに乾燥してもよい。一様態として、前記所定時間静置する時に、時間を調節して、中空型接着粒子の勾配を調節するか、中空型(Hollow)接着粒子が浮遊して形成された接着層を形成することができる。
【0107】
一様態として、前記コーティング層が前記多孔性基材の両面に形成される場合は、一面にコーティング層を形成した後、また、他の面にコーティング層を形成することができる。両面に同時にコーティングすることも可能であるが、本開示において目的とするように、中空型接着粒子が表面に誘導されるようにする面では、それぞれ塗布することが好ましい。
【0108】
前記のように、中空型接着粒子が、比重の差によって空気面(多孔性基材に接触する面の反対の面)に移行して乾燥することで、接着特性を有する中空型接着粒子が表面に多く存在するようになり、中空型接着粒子の含有量を少ない量で使用しても、電極との接着力を発現することができる。
【0109】
前記中空型接着粒子は、架橋度を調節して強度を調節することができ、特に、圧縮強度を調節することができ、耐熱性の増加を誘導することもできる。
【0110】
このようなセパレータの製造方法は、多孔性基材上に前記中空型接着粒子を含むコーティング層を形成するだけでも、電極との接着力に優れたセパレータを容易に製造することができる。
【0111】
また、一実施態様としては、前記コーティング層は、上述の従来の有機バインダーとして、非中空型有機バインダーをさらに含むことができるが、中空型接着粒子の使用により、その含有量を著しく減少させることができる。
【0112】
前記製造方法において、多孔性基材、無機粒子および中空型接着粒子および製造されたセパレータに関する説明は上述のとおりであり、以下、具体的な説明は省略し、各ステップについてさらに説明する。
【0113】
前記コーティング組成物は、無機粒子および中空型接着粒子が溶媒に分散したスラリー状のものであることができる。その他にも、前記コーティング組成物は、必要に応じて、非中空型の高分子バインダーをさらに含んでもよく、また、通常、該当分野において使用される添加剤がさらに含まれてもよい。
【0114】
前記溶媒は、固形物である無機粒子および中空型接着粒子を分散することができるものであれば、特に限定されない。一例として、溶媒は、水、エタノール、メタノール、プロパノールなどの低級アルコール、ジメチルホルムアミド、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチレンクロライド、N-メチル-2-ピロリドン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの溶媒またはこれらの混合物を使用することができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0115】
前記スラリー状のコーティング組成物内の固形物の含有量は、塗布が容易であり、乾燥時に上述の無機粒子および中空型接着粒子の密度の差による層分離現象を誘導することができるように、適宜調節されることができる。具体的には、コーティング組成物内の固形物の含有量は、10~60重量%、または20~50重量%であることができるが、これに限定されない。前記固形物は、無機粒子および中空型接着粒子を含み、その他にも、必要に応じて、非中空型の高分子バインダーをさらに含むことができる。一例として、前記固形物の含有量は、無機粒子100重量部に対して、中空型接着粒子を0.1~20重量部、0.1~15重量部、0.1~10重量部、0.1~8重量部、0.1~5重量部または0.1~2重量部含むことができる。その他に、必要に応じて、前記無機粒子100重量部に対して、非中空型の高分子バインダー0.1~5重量部、添加剤0.1~5重量部をさらに含むことができ、これに制限されるものではない。
【0116】
また、前記コーティング組成物は、塗布性や電池性能を大幅に低下させない範囲で添加剤をさらに含むことができる。具体的には、例えば、添加剤としては、分散剤、滑剤、消泡剤または増粘剤などが使用されることができ、これに制限されるものではなく、これについては前記で説明したため、追加の説明を省略する。
【0117】
前記コーティング組成物を多孔性基材の一面または両面にコーティングするコーティング方法は、制限されるものではなく、具体的には、例えば、バーコーティング、ディップコーティング、フローコーティング(flow coating)、ナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの通常のコーティング方法であることができる。
【0118】
前記乾燥ステップにおいて、乾燥手段は、溶媒が90%以上除去可能なものであれば、特に限定されない。乾燥温度は、溶媒に応じて変更可能であるが、例えば、20~200℃であることができ、溶媒の急激な蒸発によって表面の構造が変化しないか、または、中空型接着粒子が溶融し崩壊しない限り、これを限定しない。具体的な例として、25℃~100℃の熱風で乾燥することができ、乾燥時間は、制限しないが、例えば、5秒~300秒であることができる。また、赤外線、近赤外線、ヒートロールおよびこれらのハイブリッド形態の乾燥方法でも可能である。前記範囲で中空型接着粒子の浮遊がスムーズに行われて、より上部領域、接着層または第nコーティング層に中空型接着粒子がより多量位置することができる。
【0119】
一実施態様において、前記乾燥ステップは、乾燥する前に、振動や人為的な静置時間を付与することができ、または、これらの混合手段により中空型接着粒子の濃度勾配を付与してもよい。
【0120】
前記振動がさらに加えられる時に、無機粒子と中空型接着粒子との比重の差による中空型接着粒子の浮遊現象がよりスムーズに行われることができる。振動は、コーティング組成物に振動を加えることができる方法であれば、特に限定されない。振動は、一例として、超音波などのように、エネルギーを印加して、コーティング組成物に直接振動を印加することができる。これとは異なり、多孔性基材にモータなどによる物理的振動を印加して、コーティング組成物に振動を加えることができる。
【0121】
一実施態様において、乾燥ステップの前に、中空型接着粒子の勾配が十分になされるように静置するステップをさらに有することができる。具体的には、前記コーティング組成物を多孔性基材上に塗布した後、30秒~1時間程度静置して、コーティング層の表面に中空型接着粒子が十分に浮遊するようにすることができる。静置温度は、0~50℃、好ましくは、常温(25±5℃)で静置することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0122】
[二次電池]
以下、二次電池について詳細に説明する。
【0123】
本開示において、二次電池は、上述のセパレータを含むものであり、具体的には、負極および正極、両電極の間に、上述のセパレータが介在されて結合した構造であることができる。
【0124】
詳細には、正極および負極としては、二次電池の正極および負極として使用する通常の物質であれば、制限しない。
【0125】
上述のセパレータを含む二次電池は、電極とセパレータ接着力が向上し、充放電時に、電極とセパレータの離隔が防止されることができる。これにより、電極とセパレータの離隔による抵抗の上昇またはサイクル寿命の低下など、様々な問題を解決することができ、高容量化および大型化が可能であり、実質的に、産業上の利用可能性が非常に高いことができる。また、高接着力にもかかわらず、比較的接着性物質が少なく含有されており、接着性物質による電池の性能低下の問題を防止することができる。
【0126】
以下、二次電池の製造方法について詳細に説明する。
【0127】
本開示において、二次電池の製造方法は、上述の二次電池を製造する方法であり、両電極の間に上述のセパレータを位置させた後、熱、圧力または熱と圧力を印加して、前記セパレータに電極を付着するステップを含む。このような二次電池の製造方法は、非常に高い耐久性を有する二次電池を簡単に製造することができる。
【0128】
付着は、上述のように、熱、圧力または熱と圧力を印加して行われることができるが、具体的には、熱と圧力が両方とも印加される熱融着であることができる。このような付着が行われる場合、中空型接着粒子は、破損することができる。これにより、かえってより高い接着力を提供することができる。
【0129】
具体的には、付着は、前記中空型接着粒子のガラス転移温度(Tg)以上、さらに具体的には、中空型接着粒子のTgもしくは1.2Tgで加熱されるように、前記熱が印加されることができるが、これに限定されない。ただし、前記範囲で、中空型接着粒子が高い接着力を維持しながら破損することができる。
【0130】
以下、実施例および比較例に基づいて、本開示をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例および比較例は、本開示をより詳細に説明するための一つの例示であって、本開示が下記の実施例および比較例によって制限されるものではない。
【0131】
以下、物性は、次のように測定した。
【0132】
1)電極接着性(Adhesion force to electrode)
製造されたセパレータを正極と負極との間に位置させ、60℃、1kgf/cm2で、10秒間接着した後、電極との接着力を評価した。
【0133】
評価に使用された正極と負極は、以下のように製造した。
【0134】
正極の製造:正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)92重量%、導電材としてカーボンブラック(carbon black)4重量%、結合剤としてポリビニリデンフルオライド(PVDF)4重量%を溶剤であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加して、正極混合物スラリーを製造した。製造されたスラリーを厚さ30μmのアルミニウム(Al)薄膜に塗布し、120℃の温度で乾燥した後、ロールプレス(roll-press)して、厚さ140μmの正極を製造した。
【0135】
負極の製造:グラファイトカーボン(graphite carbon)、結合剤としてPVDF、導電剤としてカーボンブラック(carbon black)を、それぞれ、96重量%、3重量%、1重量%にして、溶剤であるNMPに添加し、負極混合物スラリーを製造した。製造されたスラリーを厚さ20μmの銅(Cu)薄膜に塗布、120℃で乾燥し、ロールプレス(roll-press)圧着して、厚さ150μmの負極を製造した。
【0136】
電極接着力は、ASTM D 903に準じて、INSTRON社製のUTM装備を用いて、180゜に剥離(peel)して測定した。接着力の単位は、gf/15mmである。
【0137】
2)スタッキング接着性(Stacking Adhesiveness)
前記接着性の評価に使用された電極を横4cm、縦6cmで切断し、切断した正極3枚と負極3枚を、
図4のように、セパレータの表面に交互に積層(Stacking)した後、60℃の温度雰囲気で、1kgf/cm
2で10秒間接着した後、展開して電極が付着している個数を評価した。
【0138】
3)気体透過度
気体透過度は、JIS P8117に準じて、Toyoseiki社製のGurley type densometerを用いて測定した。測定された値は、厚さ値に補正し、厚さに応じて差がない値に換算して使用した。
【0139】
4)ガーレー透過度の変化量
ガーレー透過度の変化量ΔGは、下記のように計算する。
【0140】
ΔG=G1-G2
【0141】
前記式中、G1は、多孔性基材の両面にコーティング層を形成したセパレータのガーレー透過度であり、G2は、多孔性基材自体のガーレー透過度である。ガーレー透過度は、Toyoseiki社製のDensometerを用いて、ASTM D 726規格に準じて測定したものであり、単位は、sec/100ccである。
【0142】
5)熱収縮率
10cm×10cmのセパレータを、それぞれ、130℃、150℃および170℃で1時間放置した後、面積の減少率を測定し、下記式によって熱収縮率を計算した。
【0143】
熱収縮率(%)=((加熱前の長さ-加熱後の長さ)/加熱前の長さ)×100
【0144】
6)電池性能および電池変形率
正極と負極との間に製造されたセパレータを使用して、積層(Stacking)方式でパウチ型電池を組み立て、組み立てられた各電池に、1Mのリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)が溶解されたエチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジメチルカーボネート(DMC)=3:5:2(体積比)である電解液を注入して、リチウム二次電池を製造した。これにより、容量2Ahのパウチ型リチウムイオン二次電池を製造した。前記リチウム二次電池の抵抗(DC-IR)評価は、0.25C、0.5C、1.0C、1.5C、2.0C、2.5Cで10秒間放電および充電特性を評価するJ-pulse(Japan Electric Vehicle Association Standards、JEVS D 713)方法を用いた。上記の方法で電池3個の平均インピーダンスを計算して、初期抵抗値およびその標準偏差を計算した。初期抵抗の相対的比較値の場合、コーティングされていない多孔性基材(比較例2)の初期抵抗に対して増加した値を意味する。
【0145】
Relative comparison with Ref.(%)=((Impedance-Impedance基材)/Impedance基材)×100
【0146】
サイクル寿命の場合、0.5Cで100回の充/放電した後、初期抵抗測定法と同様に、J-pulseでインピーダンスを計算し、3個の平均および標準偏差を計算した。
【0147】
100回の充/放電の後、抵抗の変化の場合、下記のように計算した。
【0148】
Relative changes in impedance(%)=((Impedance100サイクル-Impedance初期)/Impedance初期)×100
【0149】
電池変形率の場合、充/放電100回の後、電池の厚さ変化の測定により計算された。
【0150】
電池の厚さは、電池の厚さを5ポイント(コーナ4ポイント、中心1ポイント)測定の後、平均値を計算した。
【0151】
ΔTh(%)=((Thn-Th0)/Th0)×100
【0152】
前記式中、Th0は、初期電池の厚さ、Thnは、二次電池を100回充放電した後、測定した電池の厚さである。
【0153】
7)平均粒径および平均外径
ISO 13320-1規格に準じて、粒度分析装置であるMicrotrac社製のS3500を用いて、平均粒径(D50)、D10およびD90を測定した。
【0154】
[実施例1]
水に、平均粒径300nmのベーマイト(γ-AlO(OH))100重量部に対して、ポリアクリルアミド(Polyacrylamide)(Mw150,000g/mol、Sigma Aldrich)3重量部を投入し、分散剤(BYK-2018)をベーマイトに対して0.7重量部を添加し、攪拌して、固形分30wt%の均一な水系スラリーを製造した。これに、韓国特許公開公報2020-138213A(公開日:2020年12月9日)の実施例5により製造された平均外径0.9μm、中空率78%の中空アクリル粒子を、ベーマイトに対して1重量部を投入し、さらに水を投入して、最終固形分25wt%のスラリー組成物を製造した。厚さ9μmのポリオレフィン微多孔膜(ENPASS、SKイノベーション、平均気孔径:40nm)の両面に前記製造されたスラリー組成物を10m/minの速度でコーティングし、45℃の熱風で乾燥した。乾燥は、これ以上の重量の減少がない時間の間に行った。その後、巻き取りを行った。乾燥の後、両面コーティング層の厚さは、それぞれ、3.0μmであった。製造されたセパレータの物性を評価して表1に記載し、製造されたセパレータを用いてセルの物性を評価して表2に記載した。
【0155】
製造されたセパレータをSEM(走査電子顕微鏡)に付着されたEnergy Dispersive Spectrometer(EDS)を用いて観察した結果、中空アクリル粒子が表面に浮遊して接着層を形成したことを確認することができた。
【0156】
[実施例2]
実施例1で、前記スラリー組成物を0.2m×0.2mサイズのガラス板に固定されたポリオレフィン微多孔膜の一面にバーコーティングを用いて塗布した後、3分間静置し、ガラス板に超音波振動を加えた後、45℃の熱風で、これ以上の重量の減少がない時間の間に乾燥したことを両面で2回繰り返した以外は、同様に実施した。製造されたセパレータの物性を評価して表1に記載し、製造されたセパレータを用いてセル物性を評価して表2に記載した。
【0157】
製造されたセパレータをSEM(走査電子顕微鏡)に付着されたEDSを用いて観察した結果、中空アクリル粒子が表面に浮遊して接着層を形成したことを確認することができた。また、実施例1に比べて、より多くの中空アクリル粒子が表面に浮遊していることを確認することができた。
【0158】
[実施例3]
実施例1で、中空アクリル粒子をベーマイトに対して2重量部を投入した以外は、同様に実施した。製造されたセパレータの物性を評価して表1に記載し、製造されたセパレータを用いてセル物性を評価して表2に記載した。
【0159】
[実施例4]
実施例1で、中空アクリル粒子をベーマイトに対して5重量部を投入した以外は、同様に実施した。製造されたセパレータの物性を評価して表1に記載し、製造されたセパレータを用いてセル物性を評価して表2に記載した。
【0160】
[比較例1]
実施例1で、中空アクリル粒子を使用しない以外は、同様にスラリーを製造し、同じ方法でセパレータを製造した。製造されたセパレータの物性を評価して表1に記載し、製造されたセパレータを用いてセル物性を評価して表2に記載した。
【0161】
[比較例2]
前記実施例1で使用されたポリオレフィン微多孔膜(ENPASS、SKイノベーション、平均気孔径:40nm)の物性を評価して下記表1に示した。すなわち、コーティング層を形成せず、ポリオレフィン微多孔膜自体の物性を測定して表1に記載し、これを用いたセルの物性を測定して表2に記載した。
【0162】
【0163】
【0164】
以上のように、本開示では、特定された事項と、限定された実施例および比較例を挙げて説明しているが、これは、本開示のより全般的な理解に役立つために提供されたものであって、本開示は、上記の実施例に限定されるものではなく、本開示が属する分野において通常の知識を有する者であれば、このような記載から様々な修正および変形が可能である。
【0165】
したがって、本開示の思想は、上述の実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、本特許請求の範囲と均等もしくは等価的な変形があるすべてのものなどは、本開示の思想の範疇に属すると言える。
【符号の説明】
【0166】
10 中空型接着粒子
20 無機粒子
11 中空コア(hollow-core)
12 シェル層(shell-layer)
13 構造体物質層
100 多孔性基材
200 コーティング層