(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159618
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 53/04 20060101AFI20241031BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20241031BHJP
B65D 77/20 20060101ALI20241031BHJP
B65D 53/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D53/04 100
B65D65/40 D
B65D77/20 H
B65D53/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024069450
(22)【出願日】2024-04-23
(31)【優先権主張番号】P 2023073165
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】株式会社レゾナック・パッケージング
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100228175
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充紀
(72)【発明者】
【氏名】田中 優樹
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
3E086
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067AB26
3E067AB41
3E067BA01A
3E067BB25A
3E067BC07A
3E067CA24
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3E084AA24
3E084AA37
3E084AB01
3E084AB06
3E084BA01
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3E084FA09
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3E084GB08
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3E084HD01
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3E086BB05
3E086BB22
3E086BB51
3E086BB57
3E086BB75
3E086CA01
3E086CA11
3E086CA31
(57)【要約】
【課題】容器のフランジ部と蓋材の外周縁部とのヒートシール部の十分な密閉性を確保した上で、開封性を向上させた包装体を提供する。
【解決手段】包装体1は、容器2と容器2のフランジ部21にヒートシールされた蓋材3とよりなる。容器2が、バリア層41、バリア層41の片面に設けられた容器側ヒートシール層42およびバリア層41の他面に設けられた保護層43とを備えている。蓋材3が、基材層51および基材層51の片面に設けられた蓋材側ヒートシール層52を備えている。容器2のフランジ部21と蓋材3とが、容器側ヒートシール層42および蓋材側ヒートシール層52を利用してヒートシールされている。容器2における蓋材3にヒートシールされていない部分の容器側ヒートシール層42の厚みが20~50μmであり、蓋材3における容器2のフランジ部21にヒートシールされていない部分の全体の厚みが30~80μmである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口周縁に外向きのフランジ部を有するとともに内容物が入れられたカップ状の容器と、容器の開口を覆うように外周縁部が容器のフランジ部にヒートシールされた蓋材とよりなり、容器が、バリア層、バリア層の片面に設けられてフランジ部の蓋材側の面を覆う容器側ヒートシール層、およびバリア層の他面に設けられた保護層とを備えており、蓋材が、基材層、および基材層の片面に設けられて蓋材の容器側の面を覆う蓋材側ヒートシール層を備えており、容器のフランジ部と蓋材とが、容器側ヒートシール層および蓋材側ヒートシール層を利用してヒートシールされている包装体において、
容器における蓋材にヒートシールされていない部分の容器側ヒートシール層の厚みが20~50μmであり、蓋材における容器のフランジ部にヒートシールされていない部分の全体の厚みが30~80μmである、包装体。
【請求項2】
容器の容器側ヒートシール層が複層構造である、請求項1記載の包装体。
【請求項3】
容器のバリア層の厚みが100~200μmである、請求項1記載の包装体。
【請求項4】
容器の保護層の厚みが100μm以下である、請求項3記載の包装体。
【請求項5】
容器における蓋材にヒートシールされていない部分の容器側ヒートシール層の厚みをdsμm、容器の保護層の厚みをdpμmとした場合、ds≦dpの関係を満たしている、請求項1記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品、医薬品、電子部品、工業用品等を内容物として密封包装する包装体に関する。
【0002】
この明細書において、
図2~
図4の上下を上下というものとする。また、この明細書において、「アルミニウム」という用語には純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【背景技術】
【0003】
飲料等の液体食品、プリン、ゼリー、ヨーグルト、バター、ジャム等の半固形食品、カレー、ツナ、スープ等の油脂または液体含有食品、経口薬、経皮吸収薬等の医薬品、無菌パックを必要とする医薬品、グリス、接着剤、粘着剤等の粘性を有する工業用品、オイル等の液体工業用品の中の長期保存や品質劣化防止を必要とするものを内容物として密封包装する包装体としては、開口周縁に外向きのフランジ部を有するとともに内容物が入れられたカップ状の容器と、容器の開口を覆うように外周縁部が容器のフランジ部にヒートシールされた蓋材とよりなる包装体が広く使用されている。
【0004】
このような包装体は、密封性を上げるために容器のフランジ部と蓋材とを確実にシールする必要があり、それ故にシール強度が大きくなりすぎて開封性が低下することがある。
【0005】
そこで、容器のフランジ部と蓋材との十分な密閉性を確保した上で、開封性を向上させた包装体が、特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0006】
特許文献1記載の包装体は、容器のフランジ部のヒートシール面(上面)がポリエステル系樹脂またはポリカーボネート系樹脂により構成され、蓋材が、基材層、基材層の片面に設けられた剥離層および剥離層における基材層とは反対側の面に設けられた蓋材側ヒートシール層とよりなり、蓋材側ヒートシール層を利用して蓋材の外周縁部が容器のフランジ部の上面にヒートシールされたものである。特許文献1の包装体の開封時には、蓋材側ヒートシール層における容器のフランジ部にヒートシールされた部分が、剥離層から剥離して容器のフランジ部側に残存するようになっている。
【0007】
特許文献2記載の包装体は、容器が、基材層および基材層の片面であってフランジ部の上面となる面に設けられた容器側ヒートシール層を備え、蓋材が、基材層および基材層の片面に設けられた複層フィルムからなる蓋材側ヒートシール層を備えており、容器側ヒートシール層と蓋材側ヒートシール層を利用して蓋材の外周縁部が容器のフランジ部の上面にヒートシールされ、容器のフランジ部の上面におけるフランジ部と蓋材とのヒートシール部よりも外側の部分に、容器側ヒートシール層における最も蓋材側の樹脂フィルムの厚み以上の深さを有する開封用ノッチが形成されたものである。特許文献2の包装体の開封時には、容器側ヒートシール層における最も蓋材側の樹脂フィルムの開封用ノッチよりも外側の部分が、これに隣接する樹脂フィルムから剥離して蓋材側に残存するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4811083号公報
【特許文献2】特許第6738625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1記載の包装体の場合、蓋材側に剥離層があるため、開封中に蓋が破れないようにするには、全体の厚みを一定以上にしなければならず、ヒートシール時の熱が容器のヒートシール層まで伝わりにくくなって、過剰に熱を掛けなくてはならなくなり、その結果、容器のヒートシール層の低分子量成分が樹脂溜りへ逃げて、ヒートシール部には凝集破壊しにくい高分子量成分が残り、開封性が悪くなる。
【0010】
特許文献2記載の包装体の場合、容器側ヒートシール層が比較的厚くなっており、ヒートシール時に比較的多くの熱が必要となるので、フィルム残りなどの発生を抑えて確実に開封を実行するためにノッチが形成されているが、ノッチを形成する作業が面倒になる。
【0011】
この発明は、容器のフランジ部と蓋材の外周縁部とのヒートシール部の十分な密閉性を確保した上で、開封性を向上させた包装体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0013】
1)開口周縁に外向きのフランジ部を有するとともに内容物が入れられたカップ状の容器と、容器の開口を覆うように外周縁部が容器のフランジ部にヒートシールされた蓋材とよりなり、容器が、バリア層、バリア層の片面に設けられてフランジ部の蓋材側の面を覆う容器側ヒートシール層、およびバリア層の他面に設けられた保護層とを備えており、蓋材が、基材層、および基材層の片面に設けられて蓋材の容器側の面を覆う蓋材側ヒートシール層を備えており、容器のフランジ部と蓋材とが、容器側ヒートシール層および蓋材側ヒートシール層を利用してヒートシールされている包装体において、
容器における蓋材にヒートシールされていない部分の容器側ヒートシール層の厚みが20~50μmであり、蓋材における容器のフランジ部にヒートシールされていない部分の全体の厚みが30~80μmである、包装体。
【0014】
2)容器の容器側ヒートシール層が複層構造である、上記1)記載の包装体。
【0015】
3)容器のバリア層の厚みが100~200μmである、上記1)記載の包装体。
【0016】
4)容器の保護層の厚みが100μm以下である、上記3)記載の包装体。
【0017】
5)容器における蓋材にヒートシールされていない部分の容器側ヒートシール層の厚みをdsμm、容器の保護層の厚みをdpμmとした場合、ds≦dpの関係を満たしている、上記1)記載の包装体。
【発明の効果】
【0018】
上記1)~5)の包装体によれば、容器のフランジ部と蓋材の外周縁部とのヒートシール部の十分な密閉性を確保した上で、蓋材の開封性を向上させることができる。
【0019】
すなわち、ヒートシール時には、蓋材の上側から熱を掛けると同時に、蓋材と容器のフランジ部とを上下から加圧するので、蓋材側ヒートシール層および容器側ヒートシール層を構成する熱融着性樹脂が軟化して流れ出すことによりヒートシール部の厚みが薄くなり、その結果ヒートシール部が破壊されやすくなってシール強度が低下するおそれがある。しかしながら、容器における蓋材にヒートシールされていない部分の容器側ヒートシール層の厚みが20μm以上であるから、ヒートシール時に蓋材側ヒートシール層および容器側ヒートシール層を構成する熱融着性樹脂が軟化して流れ出したとしても、ヒートシール部の厚みを必要なシール強度を得るために十分な厚みにすることができ、包装体のヒートシール部の密封性を確保することができる。
【0020】
一方、容器における蓋材にヒートシールされていない部分の容器側ヒートシール層の厚みが50μm以下であれば、ヒートシールするべき部分の熱融着性樹脂が短時間で溶融することになってヒートシール時の設定温度を低くするとともに設定時間を短くすることができて、熱融着する容器側ヒートシール層および蓋材側ヒートシール層に過剰な熱が加わることが抑制され、その結果両ヒートシール層に低分子量成分が残存し、シール強度の上昇を抑えることが可能になる。
【0021】
また、蓋材における容器のフランジ部にヒートシールされていない部分の全体の厚みが80μm以下であるから、ヒートシール時に、シール盤から発せられた熱が、蓋材を通して蓋材側ヒートシール層および容器側ヒートシール層に伝わりやすくなって、比較的少ない熱(エネルギー)で両ヒートシール層の界面を溶融させることができ、蓋材の基材層を形成する樹脂が逃げて蓋材の樹脂層および蓋材全体が薄くなりすぎることを抑制することができる。その結果、蓋材の破断および蓋材の破断に起因する開封性の低下を抑制することができる。さらに、蓋材における容器のフランジ部にヒートシールされていない部分の全体の厚みが30μm以上であるから、開封時に蓋材が伸びたり、破れたりすることがなく、安定して開封時の力をヒートシール部の剥離位置に伝えることができる。したがって、蓋材の開封性を向上させることができる。
【0022】
上記2)の包装体によれば、複層構造である容器側ヒートシール層側で凝集破壊や層間剥離が起こるので、蓋材に破れが生じるおそれが抑制され、蓋材の開封性が向上する。すなわち、容器側ヒートシール層が複層構造であり、かつ容器における蓋材にヒートシールされていない部分の容器側ヒートシール層の厚みが50μm以下であれば、ヒートシール部の厚みが大きくなりすぎることが抑制されて、容器側ヒートシール層に存在する層間剥離部に達するまでの凝集破壊の距離が短くなり、その結果ノッチを設けなくても開封性を向上させることができる。
【0023】
上記3)の包装体によれば、容器のバリア層により容器の剛性を確保することができるので、容器における蓋材にヒートシールされていない部分の容器側ヒートシール層の厚みを薄く、たとえば50μm以下にすることができる。したがって、シール部の樹脂が短時間で溶融することになってヒートシール時の設定温度を低くするとともに設定時間を短くすることができ、熱融着する容器側ヒートシール層および蓋材側ヒートシール層に過剰な熱が加わることはなく、両ヒートシール層に低融点成分が残存して、シール強度を押さえることが可能になって開封性が向上する。また、容器のバリア層により容器の剛性を確保することができるので、容器における蓋材にヒートシールされていない部分の容器側ヒートシール層および保護層の厚みを薄くすることができて、容器の軽量化を図ることができる。
【0024】
上記4)の包装体によれば、保護層の厚みがバリア層の厚み以下になるので、容器のフランジ部がカールしにくくなりヒートシールが安定して行われる。したがって、ヒートシール時に必要以上の熱を掛けなくてよくなり、蓋材の開封性を向上させることができる。
【0025】
上記5)の包装体によれば、保護層の厚みが容器における蓋材にヒートシールされていない部分の容器側ヒートシール層の厚み以上になるので、開封性が向上する。すなわち、合成樹脂は断熱性が高いので、容器の保護層がヒートシール時に断熱効果により熱の逃げを抑制することになり、比較的少ない熱(エネルギー)で両ヒートシール層の界面を溶融させることができる。その結果、蓋材の基材層を形成する樹脂が逃げることにより蓋材の樹脂層および蓋材全体が薄くなりすぎて破断することに起因する開封性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図4】蓋材を開封する状態を示す
図3相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0028】
図1はこの発明による包装体の全体構成を示し、
図2~
図4は同じく要部の構成を示す。
【0029】
図1および
図2において、包装体(1)は、開口周縁に外向きのフランジ部(21)を有するとともに内容物が入れられたカップ状の容器(2)と、容器(2)の開口を覆うように外周縁部が容器(2)のフランジ部(21)上面に全周にわたってヒートシールされた蓋材(3)とよりなる。図示は省略したが、容器(2)のフランジ部(21)と蓋材(3)とのヒートシール部には、容器(2)のフランジ部(21)の外周縁よりも内側の部分に全周にわたって形成されてヒートシール部の密封性を確保する環状の本シール部と、ヒートシール部の周方向の一部において本シール部からフランジ部(21)の外周縁に至るように形成されかつ周方向に一定の長さを有する開封開始シール部とを備えている。
【0030】
容器(2)はカップ状であり、平面視円形の底壁部(22)と、底壁部(22)の外周縁から上方に向かって次第に外側に広がるようにのびた略テーパ円筒状の周壁部(23)とを備えており、周壁部(23)の上端縁(開口周縁)に、外方に向かって水平状にのびた円環状のフランジ部(21)が一体に設けられている。底壁部(22)は、その径方向中間位置に環状段差(221)を有しており、同環状段差(221)よりも内側部分が同外側部分よりもやや高くなされている。周壁部(23)は、その高さ中間位置に環状段差(231)を有しており、同環状段差(231)よりも上側部分が同下側部分よりもやや径が大きくなされている。これらの環状段差(221)(231)により、容器(2)の機械的強度やスタッキング性が高められている。但し、環状段差(221)(231)は任意である。
【0031】
図3に示すように、容器(2)は、バリア層(41)、熱融着性樹脂からなりかつバリア層(41)の片面に設けられて、フランジ部(21の上面(蓋材(3)側の面)、底壁部(22)内面および周壁部(23)内面を覆う容器側ヒートシール層(42)、ならびにバリア層(41)の他面に設けられて、フランジ部(21の下面、底壁部(22)外面および周壁部(23)外面を覆う保護層(43)を備えた容器用積層体(4)から形成されている。すなわち、容器(2)は、バリア層(41)と、バリア層(41)の片面に設けられた容器側ヒートシール層(42)と、バリア層(41)の他面に設けられた保護層(43)とよりなる平坦な容器用積層体(4)に、容器側ヒートシール層(42)が、フランジ部(21)上面側、ならびに底壁部(22)および周壁部(23)内面側にくるように深絞り成形加工や張り出し成形加工を施すことによって形成されている。
【0032】
バリア層(41)は、包装体(1)の内容物をガス、水蒸気、光等から保護するための層であり、厚みが100~200μmアルミニウム箔で形成することが好ましく、厚みが100~150μmのアルミニウム箔で形成することが望ましい。アルミニウム箔としては、JIS H4160:1994で規定される1000系、3000系、8000系からなものが用いられるが、加工性を考慮すると、特に1000系や、8000系のアルミニウムからなるものを用いることが好ましい。また、アルミニウム箔は、光沢面が容器側ヒートシール層(42)側になるように用いることが好ましい。光沢面はマット面に比較して熱の反射効率がよいため、ヒートシール時に過剰な熱を掛けなくても容器側ヒートシール層(42)に熱が加わりやすくなって熱融着しやすくなり、他の樹脂に及ぼす熱の影響が小さくなって開封性が向上する。
【0033】
バリア層(41)となるアルミニウム箔の厚みが薄くなりすぎると、容器側ヒートシール層(42)および保護層(43)を形成する合成樹脂の影響によりフランジ部(21)に反りが発生したり、成形時にアルミニウム箔が破れやすくなってコーナー部などでアルミニウム箔にピンホールが発生するおそれがある。一方、バリア層(41)となるアルミニウム箔の厚みが厚くなりすぎると、容器(2)の成形に用いる容器用積層体が硬くなって細かい成形が不利になる。また、バリア層(41)の厚みが厚くなりすぎると、バリア層(41)を通して放熱しやすくなって、ヒートシール時に後述する蓋材側ヒートシール層(52)および容器側ヒートシール層(42)の熱融着性樹脂を溶融するのに十分な熱が得られないおそれがある。したがって、バリア層(41)の厚みは100~200μmであることが好ましく、100~150μmであることがより好ましい。
【0034】
容器側ヒートシール層(42)は、蓋材(3)の後述する蓋材側ヒートシール層(52)とともに、フランジ部(21)上面と蓋材(3)外周縁部とのヒートシールに利用される層であり、蓋材(3)にヒートシールされていない部分、ここではフランジ部(21)上面における蓋材(3)外周縁部にヒートシールされていない部分、底壁部(22)内面および周壁部(23)内面に存在する容器側ヒートシール層(42)の厚みは20~50μmに限定される。すなわち、上述した容器(2)を成形する前の平坦な容器用積層体(4)の容器側ヒートシール層(42)の厚みが20~50μmになっている。なお、フランジ部(21)上面における蓋材(3)がヒートシールされている部分では、容器側ヒートシール層(42)の厚みは若干薄くなっている。上述した部分の容器側ヒートシール層(42)の厚みを20~50μmに限定したのは、薄くなりすぎると密封に必要なシール強度を得ることができず、厚くなりすぎると蓋材(3)の開封性が低下するからである。すなわち、容器側ヒートシール層(42)の厚みが厚くなりすぎると、シール部の樹脂の溶融に比較的長時間を要することになってヒートシール時の設定温度が高くなるとともに設定時間が長くなることにより、熱融着する容器側ヒートシール層(42)および後述する蓋材側ヒートシール層(52)に過剰な熱が加わって両ヒートシール層(42)(52)の低分子量成分がヒートシール部から流れ出し、その結果ヒートシール部には高分子量成分が多く残留して開封時の凝集破壊が起こりにくくなり、シール強度が過剰に大きくなる。なお、容器(2)のフランジ部(21)の先端面と蓋材(3)の下面との間に、主としてヒートシール部から流れ出した低分子量成分からなる樹脂溜まりが形成される。
【0035】
容器側ヒートシール層(42)は、ポリオレフィンからなる厚みが20~50μmの無延伸フィルムからなる単層フィルムまたはポリオレフィンからなる単層フィルムを複数積層した厚み20~50μmの複層フィルムにより形成されるのが好ましい。単層フィルムおよび複層フィルムのうちでは、融点の異なる樹脂を共押出で形成した複層フィルムを用いることが好ましい。ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン系およびポリエチレン系の樹脂が用いられる。ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン(以下、hPPと称する)、エチレン-プロピレンランダムコポリマー(以下、rPPと称する)、エチレン-プロピレンブロックコポリマー(以下、bPPと称する)、rPPに低密度ポリエチレン(以下、LDPEと称する)や直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと称する)を添加した混合物などが例示される。ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(以下、HDPEと称する)、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(以下、メタロセン系LLDPEと称する)、メタロセン系LLDPEにエチレン-プロピレンラバー(以下、EPRと称する)を添加した混合物などが用いられる。なお、複層フィルムで形成された容器用ヒートシール層(42)のバリア層(41)に接着される側のフィルムにはコロナ処理を施しておくことが好ましい。複層フィルムで容器用ヒートシール層(42)を形成する場合、融点の異なる複数の樹脂を共押出により積層させたシーラントフィルムを用いることが好ましい。当該複層フィルムにおいては、ヒートシール時に蓋材(3)側の少なくとも1つの層が後述する蓋材側ヒートシール層(52)と熱融着することになる。したがって、ヒートシール後に、容器側ヒートシール層(42)には、熱融着した層と熱融着しない高融点の樹脂からなる層とが隣接して存在することになって、両者の樹脂が異なっていることに起因して両者間の界面で剥離が起こりやすくなり、2つの層の間に層間剥離部が形成される。その結果、開封時に、容器側ヒートシール層(42)における蓋材側ヒートシール層(52)と熱融着している層のみが、凝集破壊によって容器(2)のフランジ部(21)と蓋材(3)とのヒートシール部の境界から層間剥離部まで開裂し、両者の間で層間剥離が起こって開封が容易になるからである。
【0036】
容器側ヒートシール層(42)をバリア層(41)に接着する接着剤としては、たとえばオレフィン系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤などの2液硬化型接着剤が用いられる。接着剤の厚みは0.5~5μm、特に2~4μmであることが好ましい。
【0037】
保護層(43)は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどからなる単層フィルムまたは単層フィルムを複数積層した複層フィルムにより、容器(2)における蓋材(3)にヒートシールされていない部分の厚みが10~100μmとなるように形成されていることが好ましく、特に20~80μmの厚みに形成されていることがより好ましい。前記単層フィルムは、好ましくは無延伸フィルムとして用いられる。ポリオレフィンとしては、HDPE、LDPE、LLDPE、hPP、rPP、bPPなどを例示できる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称する)、ポリエチレンナフタレート(以下、PENと称する)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと称する)を例示できる。また、ポリアミドとしては、ナイロン6(PA6)を例示できる。
【0038】
容器(2)における蓋材(3)にヒートシールされていない部分の容器側ヒートシール層(42)の厚みをdsμm、保護層(43)の厚みをdpμmとした場合、ds≦dpの関係を満たしていることが好ましい。保護層(43)の厚みが容器側ヒートシール層(42)の厚み以上となっていることによって、ヒートシール時に熱が逃げにくくなり、より多くの熱を掛けなくてもよくなるため、蓋材(3)の開封性を向上させることができる。特に、上述した部分の容器側ヒートシール層(42)の厚みdsμmと保護層(43)の厚みdpμmとの関係が、ds≒dpの場合、フランジ部(21)に反りが発生することを抑制することができる。すなわち、上述した部分の容器側ヒートシール層(42)の厚みdsμmと保護層(43)の厚みdpμmとの差が比較的大きくなると、成形時に加わる力ややヒートシール時に加わる熱による容器側ヒートシール層(42)および保護層(43)を構成する樹脂の伸縮量が両者において異なることになり、容器側ヒートシール層(42)の厚みが50μm以下のように比較的薄く、保護層(43)の厚みが比較的大きい場合、フランジ部(21)に反りが発生しやすくなるからである。
【0039】
容器(2)の形状は、図示の態様には限定されず、適宜変更可能である。例えば、底壁部(22)は平面視楕円形や隅丸方形等であってもよく、同様に周壁部(23)を横断面楕円形や隅丸方形等とすることができ、フランジ部(21)も楕円環状、隅丸方形環状等とすることができる。
【0040】
蓋材(3)は平面視円形で、外周縁の一部における前記開封開始シール部に対応する部分に径方向外方に突出した開封用摘まみ(31)が一体に設けられている。開封用摘まみ(31)は必ずしも必要としない。蓋材(3)の形状は、容器(2)のフランジ部(21)の形状に合わせて適宜変更される。
【0041】
蓋材(3)は、基材層(51)および基材層(51)の片面に設けられた熱融着性樹脂からなりかつ蓋材(3)の下面を覆う蓋材側ヒートシール層(52)を備えた蓋材用積層体(5)を、適当な形状に打ち抜くことによって形成されている。容器(2)のフランジ部(21)と蓋材(3)とは、容器側ヒートシール層(42)および蓋材側ヒートシール層(52)を利用してヒートシールされている。
【0042】
蓋材(3)における容器(2)のフランジ部(21)にヒートシールされていない部分の全体の厚みは30~80μmに限定されるが、40~70μmであることが好ましい。すなわち、上述した蓋材(3)を打ち抜く前の平坦な蓋材用積層体(5)の全体の厚みが30~80μmになっている。なお、蓋材(3)における容器(2)のフランジ部(21)上面にヒートシールされている部分では、蓋材(3)全体の厚みは若干薄くなっている。上述した部分の蓋材(3)全体の厚みを30~80μmに限定したのは、30μm未満では開封時に蓋材(3)が伸びたり、破れたりして、開封時の力を全ヒートシール部のうちの前記開封開始シール部に効果的に伝えることができず、80μmを超えると容器(2)のフランジ部(21)と蓋材(3)とのヒートシール時に、シール盤により蓋材(3)の上方から加えられる熱が、蓋材側ヒートシール層(52)および容器側ヒートシール層(42)に伝わりにくく、両ヒートシール層(52)(42)の界面を溶融するために多くの熱(エネルギー)が必要となり、その結果、蓋材(3)の基材層(51)を構成する樹脂が逃げて蓋材(3)全体の厚みが薄くなりすぎて破断しやすくなり、開封時に蓋材(3)が破れて開けにくくなるからである。
【0043】
蓋材(3)の基材層(51)は、合成樹脂層のみからなる場合と、合成樹脂層および金属箔からなる場合と、合成樹脂層および蒸着層からなる場合とがある。
【0044】
合成樹脂層のみからなる基材層(51)は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどからなる単層フィルムまたは単層フィルムを複数積層した複層フィルムにより形成されたものであって、容器(2)のフランジ部(21)にヒートシールされていない部分の厚みが10~30μmであることが好ましい。厚みが10μm未満であると、ヒートシール時に蓋材(3)が破れやすくなるおそれがあり,30μmを超えると、ヒートシール時に基材層(51)を通過して蓋材側ヒートシール層(52)および容器側ヒートシール層(42)に熱が伝わりにくくなるおそれがあるからである。前記フィルムは、好ましくは無延伸フィルムとして用いられる。ポリオレフィンとしては、HDPE、LDPE、LLDPE、hPP、rPP、bPPなどを例示できる。ポリエステルとしては、PET、PEN、PBTを例示できる。また、ポリアミドとしては、ナイロン6(PA6)を例示できる。
【0045】
合成樹脂層および金属箔からなる基材層(51)は、金属箔の片面に合成樹脂フィルムを接着したり、金属箔の片面に合成樹脂をコーティングすることにより形成されるものであって、容器(2)のフランジ部(21)にヒートシールされていない部分の厚みが15~60μmであることが好ましい。なお、上述した部分の当該基材層(51)の金属箔の厚みは9~40μmであり、合成樹脂フィルムの厚みは5~30μmであり、金属箔と合成樹脂フィルムを接着する接着剤層の厚みは1~5μmであることが好ましい。
【0046】
合成樹脂層および金属箔からなる基材層(51)の金属箔としては、たとえばJIS H4160:1994で規定される1000系、8000系、3000系のアルミニウムからなるアルミニウム箔が用いられるが、加工性を考慮して1000系または8000系のアルミニウムからなるアルミニウム箔を用いることが好ましい。なお、アルミニウム箔の表面には、たとえばクロメート処理を施して耐酸皮膜を形成しておいてもよい。アルミニウム箔は、包装体(1)の内容物をガス、水蒸気、光等から保護する。合成樹脂層および金属箔からなる基材層(51)の金属箔の厚みは、蓋材(3)の硬さや外部応力耐性を考慮すると、9~40μmであることが好ましい。合成樹脂層および金属箔からなる基材層(51)の合成樹脂層は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどからなる単層フィルムまたは単層フィルムを複数積層した複層フィルムが、金属箔の外面側に接着されることにより形成されていることが好ましい。前記フィルムは、好ましくは無延伸フィルムとして用いられる。ポリオレフィンとしては、HDPE、LDPE、LLDPE、hPP、rPP、bPPなどを例示できる。ポリエステルとしては、PET、PEN、PBTを例示できる。また、ポリアミドとしては、ナイロン6(PA6)を例示できる。また、合成樹脂層および金属箔からなる基材層(51)の合成樹脂層は、金属箔の外面に、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シェラック樹脂などをコーティングすることにより形成されていてもよい。
【0047】
合成樹脂層および蒸着層からなる基材層(51)は、たとえばベースとなる合成樹脂フィルムの内面となる片面に、金属や金属酸化物を蒸着させることにより形成されるものであって、容器(2)のフランジ部(21)にヒートシールされていない部分の厚みが15~35μmであることが好ましい。上述した部分の厚みが15μm未満であると、ヒートシール時に蓋材(3)が破れやすくなるおそれがあり,35μmを超えると、ヒートシール時に基材層(51)を通過して蓋材側ヒートシール層(52)および容器側ヒートシール層(42)に熱が伝わりにくくなるおそれがあるからである。蒸着層の厚みは0.02~1μmであることが好ましい。蒸着層の厚みが0.02μm以上であると酸素、水分、光に対するバリア性が得られ、1μm以下であると蒸着層に割れが発生しにくくなるからである。合成樹脂フィルムとしては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどからなる単層フィルムまたは単層フィルムを複数積層した複層フィルムが用いられる。ポリオレフィンとしては、HDPE、LDPE、LLDPE、hPP、rPP、bPPなどを例示できる。ポリエステルとしては、PET、PEN、PBTを例示できる。また、ポリアミドとしては、ナイロン6(PA6)を例示できる。蒸着層を形成する金属としては、JIS H4160:1994で規定される1000系、8000系、3000系のアルミニウムが用いられることが好ましい。
【0048】
蓋材側ヒートシール層(52)は、基材層(51)の下面側に、ポリオレフィン、ポリエステル、などからなる単層フィルムまたは単層フィルムを複数積層した複層フィルムが、接着剤層を介して接着されることにより形成されていることが好ましい。ポリオレフィンとしては、HDPE、LLDPE、hPP、rPP、bPPなどを例示できる。積層フィルムとしては、たとえば共押出フィルムが用いられる。蓋材側ヒートシール層(52)における容器(2)のフランジ部(21)にヒートシールされていない部分の厚みは15~50μmであることが好ましい。上述した部分の蓋材側ヒートシール層(52)の厚みが15μm未満であると、ヒートシール時に十分なシール強度が得られず、50μmを超えると、ヒートシール時に基材層(51)を通過した熱が蓋材側ヒートシール層(52)の全体および容器側ヒートシール層(42)に伝わりにくくなるからである。接着剤層としては、オレフィン系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤などの二液硬化型接着剤から形成されたものが用いられる。接着剤層の厚みは0.5~5μmであることが好ましく、特に2~4μmであることがより好ましい。
【0049】
上述した包装体(1)の開封時には、
図4に示すように、蓋材(3)の開封用摘まみ(31)を手指で摘まんで引き上げると、容器側ヒートシール層(42)が蓋材(3)とともに比較的強い力で上方に引っ張られる。容器側ヒートシール層(42)が複層フィルムからなる場合には、剥離開封位置となる隣接する単層フィルムの境界において外周側から層間剥離され、容器側ヒートシール層(42)が剥離開封位置で上下に分断される。容器側ヒートシール層(42)が単層フィルムからなる場合には、容器側ヒートシール層(42)で凝集剥離が発生し、容器側ヒートシール層(42)が上下に分断される。さらに、開封用摘まみ(31)を引き上げていくと、分断された容器側ヒートシール層(42)の上側部分が蓋材(3)に付随した状態で、蓋材(3)がフランジ部(21)から分離され、包装体(1)が開封される。
【実施例0050】
次に、この発明の実施例について、比較例とともに説明するが、この発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<容器>
JIS H4160:1994で規定されるA8079-O材よりなり、バリア層(41)を形成する厚み120μmのアルミニウム箔の両面に、リン酸、ポリアクリル酸、クロム(III)塩化合物、水、アルコールからなる化成処理液を用いて、クロム付着量が片面当たり10mg/m2となるように化成被膜を形成した。
【0051】
ついで、化成被膜を形成したアルミニウム箔の一方の面に、ポリエステルポリウレタン系接着剤を厚み3μmとなるように塗布し、当該接着剤を用いて、rPPフィルム12μm、bPPフィルム56μmおよびrPPフィルム12μmの3層構成を有する厚み80μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを貼り合わせて保護層(43)を形成した。当該無延伸ポリプロピレンフィルムは、3層の共押出でTダイ法により作成した。
【0052】
また、化成被膜を形成したアルミニウム箔の他方の面にポリエステルポリウレタン系接着剤を厚み3μmとなるように塗布し、当該接着剤を用いて、MFR2.0g/10分、密度0.918g/cm3のLLDPE65重量部とMFR2.0g/10分のEPR35重量部の混合物からなるフィルム4.5μm、MFR8.0g/10分、密度0.963g/cm3のHDPEからなるフィルム21μm、および上記と同様のLLDPEのみからなるフィルム4.5μmがこの順序で積層された3層構成を有する厚み30μmの無延伸フィルムを、LLDPEのみからなるフィルムがアルミニウム箔側となるように貼り合わせて層間剥離部を持つ容器側ヒートシール層(42)を形成した。
【0053】
ついで、40℃で8日間ヒートエージング処理することにより、容器用積層体(4)を得た。
【0054】
その後、上記容器用積層体(4)を所定サイズの円形に打ち抜いてなるブランクを、保護層(43)側が容器(2)外側となるようにプレス成形装置で深絞り成形し、カップ状の容器(2)を作成した。
【0055】
容器(2)のサイズは、開口径:50.5mm、周壁部(23)の鉛直に対する傾斜角度6度、高さ:28.0mm、フランジ部(21)の平坦部の幅:4.5mmとした。
<蓋材>
JIS H4160:1994で規定されるA8021-O材よりなる厚み12μmのアルミニウム箔の片面に二液硬化型のポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤を厚み3μmとなるように塗布し、当該接着剤を用いて基材層(51)となる厚み9μmのPETフィルムをドライラミネートした。また、前記アルミニウム箔の他面に二液硬化型のポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤を厚み3μmとなるように塗布し、当該接着剤を用いて蓋材側ヒートシール層(52)となるHDPEからなる厚み30μmの無延伸ポリエチレン樹脂フィルムをドライラミネートした。
【0056】
ついで、40℃で8日間ヒートエージング処理することにより、アルミニウム箔およびPETフィルムからなる基材層(51)と、HDPEフィルムからなる蓋材側ヒートシール層(52)とよりなる蓋材用積層体(5)を作製した。
【0057】
その後、蓋材用積層体(5)を80×80mmの大きさに裁断して、全厚みが57μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
上記容器(2)のフランジ部(21)上面に、蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)とが接するように蓋材(3)を重ね、これらの重合面においてフランジの外周縁端から2.5mm内側の位置からフランジ外周縁方向に、200℃に加熱したドーナツ状の熱盤(外径70mm、内径54.5mm、下面の断面形状が下方に突出した曲率半径30mmの円弧状)を、160~200kgfの加圧力で2~10秒間押し当てることにより、ヒートシールを行ってシールを確認し、包装体(1)を得た。
【0058】
[実施例2]
<容器>
保護層(43)として、rPPフィルム13.5μm、bPPフィルム63μmおよびrPPフィルム13.5μmの3層構成を有する厚み90μmの無延伸ポリプロピレンフィルムからなるものを用いた。また、容器側ヒートシール層(42)として、MFR15g/10分、密度0.918g/cm3のメタロセン系LLDPE65重量部とMFR2.0g/10分のEPR35重量部の混合物からなる厚み20μmの単層の無延伸フィルムを用いた。その他は、上記実施例1と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
基材層(51)を構成するアルミニウム箔の厚みが9μmであり、当該アルミニウム箔の両面に塗布された二液硬化型のポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤の厚みが2μmであることを除いては、上記実施例1と同様にして、全厚みが52μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0059】
[実施例3]
<容器>
保護層(43)として、rPPフィルム9μm、bPPフィルム42μmおよびrPPフィルム9μmの3層構成を有する厚み60μmの無延伸フィルムからなるものを用いた。また、容器側ヒートシール層(42)として、MFR2.0g/10分、密度0.918g/cm3のLLDPE65重量部とMFR2.0g/10分のEPR35重量部の混合物からなるフィルム7.5μm、MFR8.0g/10分、密度0.963g/cm3のHDPEからなるフィルム35μm、および上記と同様のLLDPEのみからなるフィルム7.5μmがこの順序で積層された3層構成を有する厚み50μmの無延伸フィルムを、LLDPEのみからなるフィルムがアルミニウム箔側となるように貼り合わせたものを用いた。その他は、上記実施例1と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
上記実施例2と同様にして、全厚みが52μmである蓋材(3)を得た。蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0060】
[実施例4]
<容器>
上記実施例1と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
片面に厚み0.05μmのアルミニウムを真空蒸着させた厚み9μmのPETフィルムを基材層(51)とし、基材層(51)のアルミニウム蒸着層の表面に二液硬化型のポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤を厚み2μmとなるように塗布し、当該接着剤を用いて蓋材側ヒートシール層(52)となるMFR8.0g/10分、密度0.963g/cm3のHDPEからなる厚み30μmの無延伸ポリエチレン樹脂フィルムをドライラミネートした。
【0061】
ついで、40℃で8日間ヒートエージング処理することにより、ポリエチレンテレフタレートフィルムおよびアルミニウム蒸着層からなる基材層(51)と、HDPEフィルムからなる蓋材側ヒートシール層(52)とよりなる蓋材用積層体(5)を作製した。
【0062】
その後、蓋材用積層体(5)を80×80mmの大きさに裁断して、全厚みが41μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0063】
[実施例5]
<容器>
バリア層(41)が厚み80μmのアルミニウム箔からなること、ならびに保護層(43)が、rPPフィルム15μm、bPPフィルム70μmおよびrPPフィルム15μmの3層構成を有する厚み100μmの無延伸ポリプロピレンフィルムからなることを除いては、上記実施例1と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
上記実施例2と同様にして、全厚みが52μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0064】
[実施例6]
<容器>
保護層(43)が、rPPフィルム15μm、bPPフィルム70μmおよびrPPフィルム15μmの3層構成を有する厚み100μmの無延伸ポリプロピレンフィルムからなることを除いては、上記実施例3と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
基材層(51)の一部を構成するアルミニウム箔の厚みが23μmであること、および蓋材側ヒートシール層(52)の厚みが40μmであることを除いては、上記実施例1と同様にして、全厚みが78μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0065】
[実施例7]
<容器>
バリア層(41)が厚み200μmのアルミニウム箔からなることを除いては、上記実施例6と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
厚み12μmのPETフィルムの片面に二液硬化型のポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤を厚み3μmとなるように塗布し、当該接着剤を用いて蓋材側ヒートシール層(52)となるMFR8.0g/10分、密度0.963g/cm3のHDPEからなる厚み30μmの無延伸ポリエチレン樹脂フィルムをドライラミネートした。
【0066】
ついで、40℃で8日間ヒートエージング処理することにより、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材層(51)と、HDPEフィルムからなる蓋材側ヒートシール層(52)とよりなる蓋材用積層体(5)を作製した。
【0067】
その後、蓋材用積層体(5)を80×80mmの大きさに裁断して、全厚みが45μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0068】
[実施例8]
<容器>
バリア層(41)が厚み250μmのアルミニウム箔からなることを除いては、上記実施例6と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
蓋材側ヒートシール層(52)として、rPPフィルム6μm、bPPフィルム28μm、およびrPPフィルム6μmが積層された3層構成を有する厚み40μmの無延伸フィルムを用いた。その他は、上記実施例1と同様にして、全厚みが67μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0069】
[実施例9]
<容器>
保護層(43)が、rPPフィルム18μm、bPPフィルム84μmおよびrPPフィルム18μmの3層構成を有する厚み120μmの無延伸ポリプロピレンフィルムからなることを除いては、上記実施例1と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
上記実施例8と同様にして、全厚みが67μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0070】
[実施例10]
<容器>
保護層(43)が、rPPフィルム4.5μm、bPPフィルム21μmおよびrPPフィルム4.5μmの3層構成を有する厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルムからなることを除いては、上記実施例3と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
基材層(51)の一部を構成するアルミニウム箔の厚みを22μmとした。また、蓋材側ヒートシール層(52)として、rPPフィルム3μm、bPPフィルム14μm、およびrPPフィルム3μmが積層された3層構成を有する厚み20μmの無延伸フィルムを用いた。その他は、上記実施例1と同様にして、全厚みが57μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0071】
[実施例11]
<容器>
容器側ヒートシール層(42)として、MFR5.5g/10分、融点132℃のrPP60重量部とMFR7.0g/10分、密度0.918g/cm3のLDPE30重量部とMFR2.0g/10分、密度0.918g/cm3のLLDPE10重量部の混合物からなるフィルム10μm、およびMFR7.5g/10分、融点155℃のrPPからなるフィルム20μmが積層された2層構成を有する厚み30μmの無延伸フィルムを、MFR7.5g/10分、融点155℃のrPPフィルムがアルミニウム箔側となるように貼り合わせたものを用いた。その他は、上記実施例1と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
蓋材側ヒートシール層(52)として、rPPフィルム4.5μm、bPPフィルム21μmおよびrPPフィルム4.5μmが積層された3層構成を有する厚み30μmの無延伸フィルムを用いた。その他は、実施例1と同様にして全厚みが57μmの蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0072】
[実施例12]
<容器>
容器側ヒートシール層(42)として、MFR5.5g/10分、融点132℃のrPP60重量部とMFR7.0g/10分、密度0.918g/cm3のLDPE30重量部とMFR2.0g/10分、密度0.918g/cm3のLLDPE10重量部の混合物からなる厚み20μmの単層の無延伸フィルムを用いた。その他は、上記実施例2と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
基材層(51)を構成するアルミニウム箔の厚みが9μmであり、当該アルミニウム箔の両面に塗布された二液硬化型のポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤の厚みが2μmであることを除いては、上記実施例11と同様にして、全厚みが52μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0073】
[実施例13]
<容器>
容器側ヒートシール層(42)として、MFR5.5g/10分、融点132℃のrPP60重量部とMFR7.0g/10分、密度0.918g/cm3のLDPE30重量部とMFR2.0g/10分、密度0.918g/cm3のLLDPE10重量部の混合物からなるフィルム15μm、およびMFR7.5g/10分、融点155℃のrPPからなるフィルム35μmが積層された2層構成を有する厚み50μmの無延伸フィルムを、MFR7.5g/10分、融点155℃のrPPフィルムがアルミニウム箔側となるように貼り合わせたものを用いた。その他は、上記実施例3と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
上記実施例12と同様にして、全厚みが52μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0074】
[実施例14]
<容器>
上記実施例11と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
蓋材側ヒートシール層(52)として、rPPフィルム4.5μm、bPPフィルム21μmおよびrPPフィルム4.5μmが積層された3層構成を有する厚み30μmの無延伸フィルムを用いた。その他は、上記実施例4と同様にして全厚みが41μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0075】
[実施例15]
<容器>
容器側ヒートシール層(42)として、MFR5.5g/10分、融点132℃のrPP60重量部とMFR7.0g/10分、密度0.918g/cm3のLDPE30重量部とMFR2.0g/10分、密度0.918g/cm3のLLDPE10重量部の混合物からなるフィルム10μm、およびMFR7.5g/10分、融点155℃のrPPからなるフィルム20μmが積層された2層構成を有する厚み30μmの無延伸フィルムを、MFR7.5g/10分、融点155℃のrPPフィルムがアルミニウム箔側となるように貼り合わせたものを用いた。その他は、上記実施例5と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
上記実施例12と同様にして、全厚みが52μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0076】
[実施例16]
<容器>
容器側ヒートシール層(42)として、MFR5.5g/10分、融点132℃のrPP60重量部とMFR7.0g/10分、密度0.918g/cm3のLDPE30重量部とMFR2.0g/10分、密度0.918g/cm3のLLDPE10重量部の混合物からなるフィルム15μm、およびMFR7.5g/10分、融点155℃のrPPからなるフィルム35μmが積層された2層構成を有する厚み50μmの無延伸フィルムを、MFR7.5g/10分、融点155℃のrPPフィルムがアルミニウム箔側となるように貼り合わせたものを用いた。その他は、上記実施例6と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
蓋材側ヒートシール層(52)として、rPPフィルム6μm、bPPフィルム28μm、およびrPPフィルム6μmが積層された3層構成を有する厚み40μmの無延伸フィルムを用いた。その他は、上記実施例6と同様にして、全厚みが78μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0077】
[実施例17]
<容器>
バリア層(41)が厚み200μmのアルミニウム箔からなることを除いては、上記実施例16と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
蓋材側ヒートシール層(52)として、rPPフィルム4.5μm、bPPフィルム21μm、およびrPPフィルム4.5μmが積層された3層構成を有する厚み30μmの無延伸フィルムを用いた。その他は、上記実施例7と同様にして全厚みが45μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0078】
[実施例18]
<容器>
バリア層(41)が厚み250μmのアルミニウム箔からなることを除いては、上記実施例16と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
蓋材側ヒートシール層(52)として、rPPフィルム6μm、bPPフィルム28μm、およびrPPフィルム6μmが積層された3層構成を有する厚み40μmの無延伸フィルムを用いた。その他は、上記実施例8と同様にして、全厚みが67μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0079】
[実施例19]
<容器>
容器側ヒートシール層(42)として、MFR5.5g/10分、融点132℃のrPP60重量部とMFR7.0g/10分、密度0.918g/cm3のLDPE30重量部とMFR2.0g/10分、密度0.918g/cm3のLLDPE10重量部の混合物からなるフィルム10μm、およびMFR7.5g/10分、融点155℃のrPPからなるフィルム20μmが積層された2層構成を有する厚み30μmの無延伸フィルムを、MFR7.5g/10分、融点155℃のrPPフィルムがアルミニウム箔側となるように貼り合わせたものを用いた。その他は、上記実施例9と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
上記実施例18と同様にして、全厚みが67μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0080】
[実施例20]
<容器>
容器側ヒートシール層(42)として、MFR5.5g/10分、融点132℃のrPP60重量部とMFR7.0g/10分、密度0.918g/cm3のLDPE30重量部とMFR2.0g/10分、密度0.918g/cm3のLLDPE10重量部の混合物からなるフィルム15μm、およびMFR7.5g/10分、融点155℃のrPPからなるフィルム35μmが積層された2層構成を有する厚み50μmの無延伸フィルムを、MFR7.5g/10分、融点155℃のrPPフィルムがアルミニウム箔側となるように貼り合わせたものを用いた。その他は、上記実施例10と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
上記実施例11と同様にして、全厚みが57μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0081】
[実施例21]
<容器>
上記実施例14と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
上記実施例11と同様にして、全厚みが57μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0082】
[比較例1]
<容器>
容器側ヒートシール層(42)の厚みが15μmであることを除いては、上記実施例2と同様にして容器を得た。
<蓋材>
基材層(51)の一部を構成するアルミニウム箔の厚みが9μmであること、ならびに保護層(43)の厚みが12μmであることを除いては、上記実施例1と同様にして、全厚みが57μmである蓋材を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体を得た。
【0083】
[比較例2]
<容器>
容器側ヒートシール層(42)として、MFR2.0g/10分、密度0.918g/cm3のLLDPE65重量部とMFR2.0g/10分のEPR35重量部との混合物からなるフィルム12μm、MFR8.0g/10分、密度0.963g/cm3のHDPEからなるフィルム56μm、およびMFR2.0g/10分、密度0.918g/cm3のLLDPEからなるフィルム12μmが積層された3層構成を有する厚み80μmの無延伸フィルムを貼り合わせたものを用いた。その他は上記実施例1と同様にして容器を得た。
<蓋材>
上記比較例1と同様にして、全厚みが57μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体を得た。
【0084】
[比較例3]
<容器>
上記実施例1と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
片面に厚み0.05μmのアルミニウムを真空蒸着させたPETフィルムからなる基材層(51)の厚みが5μmであること、基材層(51)のアルミニウム蒸着層の表面に塗布した二液硬化型のポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤の厚みが3μmであること、ならびに蓋材側ヒートシール層(52)の厚みが20μmであることを除いては、上記実施例4と同様にして、全厚みが28μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体を得た。
【0085】
[比較例4]
<容器>
上記実施例1と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
基材層(51)の一部を構成するアルミニウム箔の厚みが15μmであること、ならびに蓋材側ヒートシール層(52)の厚みが50μmであることを除いては、上記比較例1と同様にして、全厚みが83μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体を得た。
【0086】
[比較例5]
<容器>
容器側ヒートシール層(42)として、MFR5.5g/10分、融点132℃のrPP60重量部とMFR7.0g/10分、密度0.918g/cm3のLDPE30重量部とMFR2.0g/10分、密度0.918g/cm3のLLDPE10重量部の混合物からなる厚み15μmの単層の無延伸フィルムを用いた。その他は、上記実施例21と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
上記実施例11と同様にして、全厚みが57μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0087】
[比較例6]
<容器>
容器側ヒートシール層(42)として、MFR5.5g/10分、融点132℃のrPP60重量部とMFR7.0g/10分、密度0.918g/cm3のLDPE30重量部とMFR2.0g/10分、密度0.918g/cm3のLLDPE10重量部の混合物からなるフィルム20μmおよびMFR7.5g/10分、融点155℃のrPPからなるフィルム60μmが積層された2層構成を有する厚み80μmの無延伸フィルムを、MFR7.5g/10分、融点155℃のrPPフィルムがアルミニウム箔側となるように貼り合わせたものを用いた。その他は、上記実施例21と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
上記実施例21と同様にして、全厚みが57μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0088】
[比較例7]
<容器>
上記実施例21と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
蓋材側ヒートシール層(52)として、rPPフィルム3μm、bPPフィルム14μmおよびrPPフィルム3μmが積層された3層構成を有する厚み20μmの無延伸フィルムを用いた。その他は上記比較例3と同様にして、全厚みが28μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0089】
[比較例8]
<容器>
上記実施例21と同様にして容器(2)を得た。
<蓋材>
蓋材側ヒートシール層(52)として、rPPフィルム7.5μm、bPPフィルム35μm、およびrPPフィルム7.5μmが積層された3層構成を有する厚み50μmの無延伸フィルムを用いた。その他は上記比較例4と同様にして、全厚みが83μmである蓋材(3)を得た。
<包装体>
蓋材側ヒートシール層(52)と容器側ヒートシール層(42)を利用し、上記実施例1と同様な方法で、蓋材(3)の外周部を容器(2)のフランジ部(21)の上面にヒートシールして包装体(1)を得た。
【0090】
なお、実施例1-21および比較例1-8において、PE系樹脂のMFRは、JIS K7210-1:2014(ISO1133-1:2011)で規定される方法で荷重2.16kg、温度190℃で測定したものであり、PP系樹脂のMFRは、JIS K7210-1:2014(ISO1133-1:2011)で規定される方法で荷重2.16kg、温度230℃で測定したものである。
【0091】
[評価試験]
実施例1-21および比較例1-8で得られた29個の包装体(1)に対して、容器(2)の成形性、密封性および開封性を調べた。
<容器の成形性>
株式会社アマダ製の深絞り成形具を用いて、容器用積層体(4)を開口部内径50.5mmで種々の深さの円筒状に深絞り成形を行って容器(2)を成形し、得られた容器(2)のフランジ部(21)やエッジ部のデラミネーションの発生とクラックやピンホールの有無、フランジ部(21)のカールを観察し、下記の判定基準に基づいて評価した。また、クラックやピンホールの有無は、暗室にて光透過法で調べた(◎および〇が合格)。
◎:成形深さ30mm以上でデラミネーションの発生無し
〇:成形深さ26mm以上、30mm未満でデラミネーション、フランジ部(21)のカールの発生無し
なお、いずれの場合にもエッジ部などでのクラックやピンホールは今回は確認されなかった。
<密封性>
JIS Z0238:1998「ヒートシール軟包装袋及び、半剛性容器(2)の試験方法」における、容器(2)の破裂強さ試験方法に準じて試験を行った。
【0092】
実施例、比較例の水充填密封包装体をレトルト処理(125℃、20分)した後、蓋材(3)表面に1mm厚みのゴムシートを貼り付け、ゴムシートの上から空気針により、包装体内に空気を1.0±0.2l/mで送入し、破裂したときの包装体内の圧力を読み取った。試験はn=5で行った。
◎:密封性合格(5個とも包装体内圧力40kPaにて破裂なし)
○:密封性合格(最大で1個が包装体内圧力20~40kPaで破裂)
×:密封性不合格(少なくとも1個が包装体内圧力20kPa未満で破裂発生)
<開封性>
JISK6854-3(1999年)に準拠し、島津製作所製ストログラフ(AGS-5kNX)を使用して,一方のチャックで蓋材(3)を挟着固定し、容器(2)を45°の角度で固定し、引張速度100mm/分で垂直方向に剥離させた時の剥離強度を測定した。
◎:開封性合格(≦15N)
○:開封性合格(15N<、≦25N)
×:開封性不合格(25N<)
実施例1~21の結果を表1に示し、比較例1~8の結果を表2に示す。
【0093】
【表1】
表1に示すように、実施例1~21の21個の包装体は、容器の成形性、ヒートシール部の密封性および開封性のいずれにおいても良好な結果が得られた。これに対し、比較例1、比較例4、比較例5および比較例8の包装体ではヒートシール部の密封性において良好な結果が得られず、比較例2~4および比較例6~8の包装体では開封性において良好な結果が得られなかった。
【0094】
表1に示す結果から、容器の容器側ヒートシール層の厚みが薄すぎる場合にはヒートシール部の密封性が十分ではなく、厚すぎる場合には開封性が劣ることがわかる。また、蓋材全体の厚みが薄すぎる場合には開封性が劣り、厚すぎる場合にはヒートシール部の密封性が十分ではないことがわかる。