(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159619
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】積層剥離容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B65D1/02 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024069506
(22)【出願日】2024-04-23
(31)【優先権主張番号】P 2023072947
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】栗原 誠明
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA21
3E033BA24
3E033BB08
3E033CA20
3E033DA03
3E033DB01
3E033DE05
3E033EA05
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】内容物の減少に伴う内容器の減容変形をいびつになりにくくする。
【解決手段】収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器12、および内容器が積層状態で内装された外容器11を備え、胴部16のうち、少なくともボトル軸O方向の中央部を含む部分は、ボトル軸方向から見た平面視において、ボトル軸上で互いに交差する長軸L1と短軸L2とを有する扁平形状を呈し、胴部のうち、短軸に沿う短軸方向で互いに対向する一対の正面壁部27において、この胴部におけるボトル軸方向の中央部を含む位置にスクイズ領域22が設けられ、外容器のうち、少なくともスクイズ領域に位置する部分は弾性変形可能に形成され、胴部において、長軸に沿う長軸方向で互いに対向する一対の側壁部23には、スクイズ領域と比べて内容器を外容器の内面から剥離しにくくする剥離規制部が設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が積層状態で内装された外容器を備え、筒状の口部、筒状の肩部、筒状の胴部、およびカップ状の底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、
前記胴部のうち、少なくともボトル軸方向の中央部を含む部分は、ボトル軸方向から見た平面視において、ボトル軸上で互いに交差する長軸と短軸とを有する扁平形状を呈し、
前記胴部のうち、前記短軸に沿う短軸方向で互いに対向する一対の正面壁部において、この胴部におけるボトル軸方向の中央部を含む位置にスクイズ領域が設けられ、
前記外容器のうち、少なくとも前記スクイズ領域に位置する部分は弾性変形可能に形成され、
前記胴部において、前記長軸に沿う長軸方向で互いに対向する一対の側壁部には、前記スクイズ領域と比べて前記内容器を前記外容器の内面から剥離しにくくする剥離規制部が設けられている、積層剥離容器。
【請求項2】
前記スクイズ領域には、ボトル軸方向に延びる複数の縦溝が長軸方向に沿って設けられている、請求項1に記載の積層剥離容器。
【請求項3】
複数の前記縦溝の各下端縁は、短軸方向から見て下方に向けて突の円弧上に位置している、請求項2に記載の積層剥離容器。
【請求項4】
前記胴部において、前記スクイズ領域と前記側壁部との境界部分には、ボトル軸方向に延びる区画溝が形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の積層剥離容器。
【請求項5】
前記区画溝は、ボトル軸方向に沿って両側から互いに近付くに従い、前記スクイズ領域の周方向の大きさを広げ、かつ前記側壁部の周方向の大きさを狭めるように延び、長軸方向から見て突の円弧状を呈する、請求項4に記載の積層剥離容器。
【請求項6】
前記スクイズ領域には、ボトル軸方向に沿って両側から互いに近付くに従い径方向の内側に向けて延びるくびれ部が形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の積層剥離容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層剥離容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および内容器が積層状態で内装された外容器を備え、筒状の口部、筒状の肩部、筒状の胴部、およびカップ状の底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設された積層剥離容器が知られている。
この積層剥離容器では、口部を下方に向けた状態で、外容器の胴部をスクイズ変形して内容物を注出し、内容物の減少に伴い内容器が減容変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の積層剥離容器では、内容器がいびつに減容変形することに起因して、内容物の注出に際し、内容器の内部空間に、口部に向かう内容物の流路と、底部に向かう空気の流路と、を確保することができないおそれがある。
この場合、下方に向けた口部に内容物が到達するまでの時間が長くなることから、内容物が口部に到達する前に、使用者が外容器の胴部をスクイズ変形することで、内容器内の空気のみ、または空気および内容物の混合物が注出されるおそれがある。なお、胴部の外周面にラベルが設けられた場合には、内容物が口部に到達したかどうかを認識することが一層困難になる。
内容器内の空気のみが注出された場合、残り少なくなった内容物を、外容器の胴部のスクイズ変形時に、内容器の内部の空気で押出すことが困難になり、内容物の残量が多くなるおそれがあり、空気および内容物の混合物が注出された場合、内容物が飛散するおそれが考えられる。
このような問題を解決するために、例えば、内容器の肉厚分布、および成形条件等を調整することが考えられるが、適用サイズ等が限定されやすくなると考えられる。
【0005】
本発明は、内容物の減少に伴う内容器の減容変形がいびつになりにくい積層剥離容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る積層剥離容器は、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が積層状態で内装された外容器を備え、筒状の口部、筒状の肩部、筒状の胴部、およびカップ状の底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、前記胴部のうち、少なくともボトル軸方向の中央部を含む部分は、ボトル軸方向から見た平面視において、ボトル軸上で互いに交差する長軸と短軸とを有する扁平形状を呈し、前記胴部のうち、前記短軸に沿う短軸方向で互いに対向する一対の正面壁部において、この胴部におけるボトル軸方向の中央部を含む位置にスクイズ領域が設けられ、前記外容器のうち、少なくとも前記スクイズ領域に位置する部分は弾性変形可能に形成され、前記胴部において、前記長軸に沿う長軸方向で互いに対向する一対の側壁部には、前記スクイズ領域と比べて前記内容器を前記外容器の内面から剥離しにくくする剥離規制部が設けられている。
【0007】
胴部のうち、少なくともボトル軸方向の中央部を含む部分が、前記平面視で扁平形状を呈し、かつ胴部において、長軸方向で互いに対向する側壁部に、短軸方向で互いに対向するスクイズ領域と比べて内容器を外容器の内面から剥離しにくくする剥離規制部が設けられているので、使用者が、内容物の注出に際し、スクイズ変形する部位として、胴部のうちのスクイズ領域を容易に特定することができる。
したがって、内容物の減少に伴い、内容器のうち、長軸方向の両端部が、外容器の内面に固定された状態で、短軸方向の両端部における長軸方向の中間部が、短軸方向に互いに接近するように、内容器を安定して減容変形させることが可能になり、内容器の減容変形がいびつになるのを抑制することができる。
なお、胴部の側壁部において、内容器が外容器の内面から剥離してもよい。この場合であっても、内容器のうちの側壁部に位置する部分が短軸方向に圧潰変形することが、剥離規制部によって規制されることとなり、内容器の減容変形がいびつになるのを抑制することができる。
短軸方向で互いに対向するスクイズ領域を把持すると、長軸が上下方向を向くように、口部を下方に向けやすくなり、この姿勢で内容器が前述のように減容変形すると、内容器の内部空間のうち、長軸方向の一方側である下側が、口部に向かう内容物の流路となり、かつ長軸方向の他方側である上側が、底部に向かう空気の流路となる。これにより、内容物および空気それぞれの流路を確保しやすくなることから、下方に向けた口部に内容物が到達するまでの時間が短く抑えられ、スクイズ領域のスクイズ変形時に、内容器内の空気のみ、または空気および内容物の混合物が注出されるのを抑制することが可能になり、内容物の残量が多くなったり、内容物が飛散したりするのを抑えることができる。
【0008】
前記スクイズ領域には、ボトル軸方向に延びる複数の縦溝が長軸方向に沿って設けられてもよい。
【0009】
スクイズ領域に、ボトル軸方向に延びる複数の縦溝が、長軸方向に沿って設けられているので、スクイズ変形したスクイズ領域が復元変形したときに、スクイズ領域における外容器の内面と内容器との間に、ボトル軸方向に延びる隙間を生じさせやすくすることが可能になり、スクイズ領域の復元変形時に、外気をスクイズ領域における外容器の内面と内容器との間に導入しやすくなり、内容器を確実に前述のように安定して減容変形させることができる。
【0010】
複数の前記縦溝は、前記スクイズ領域の全域にわたって設けられ、複数の前記縦溝の各下端縁は、短軸方向から見て下方に向けて突の円弧上に位置してもよい。
【0011】
スクイズ領域に設けられた複数の縦溝の各下端縁が、短軸方向から見て下方に向けて突の円弧上に位置しているので、スクイズ領域を短軸方向に押圧したときに、スクイズ領域の変形が、複数の縦溝の下端縁によって阻害されにくくすることが可能になり、スクイズ領域のスクイズ変形量を確保することができる。
【0012】
前記胴部において、前記スクイズ領域と前記側壁部との境界部分には、ボトル軸方向に延びる区画溝が形成されてもよい。
【0013】
胴部において、スクイズ領域と側壁部との境界部分に、ボトル軸方向に延びる区画溝が形成されているので、スクイズ変形したスクイズ領域が復元変形したときに、外容器の内面に対する内容器の剥離が、スクイズ領域から側壁部に伝播するのを抑制することが可能になり、内容器を確実に前述のように安定して減容変形させることができる。
【0014】
前記区画溝は、ボトル軸方向に沿って両側から互いに近付くに従い、前記スクイズ領域の周方向の大きさを広げ、かつ前記側壁部の周方向の大きさを狭めるように延び、長軸方向から見て突の円弧状を呈する、請求項4に記載の積層剥離容器。
【0015】
区画溝が、ボトル軸方向に沿って両側から互いに近付くに従い、スクイズ領域の周方向の大きさを広げ、かつ側壁部の周方向の大きさを狭めるように延び、長軸方向から見て突の円弧状を呈するので、この区画溝と、スクイズ領域を短軸方向に押圧したときのスクイズ領域における周方向の両端部の変形形状と、がほぼ一致することとなり、区画溝が、スクイズ領域のスクイズ変形を阻害するのを防ぐことができる。
【0016】
前記スクイズ領域には、ボトル軸方向に沿って両側から互いに近付くに従い径方向の内側に向けて延びるくびれ部が形成されてもよい。
【0017】
スクイズ領域に、ボトル軸方向に沿って両側から互いに近付くに従い径方向の内側に向けて延びるくびれ部が形成されているので、スクイズ領域を少ない力で容易にスクイズ変形することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の上記態様によれば、内容物の減少に伴う内容器の減容変形をいびつになりにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る一実施形態として示した積層剥離容器を短軸方向から見た側面図である。
【
図2】本発明に係る一実施形態として示した積層剥離容器を長軸方向から見た側面図である。
【
図4】本発明に係る他の実施形態として示した積層剥離容器を短軸方向から見た側面図である。
【
図5】本発明に係る他の実施形態として示した積層剥離容器を長軸方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態の積層剥離容器1は、
図3に示されるように、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器12、および内容器12が積層状態で内装された外容器11を備えている。内容器12は、可撓性に富み、外容器11の内面に剥離可能に積層されている。
【0021】
積層剥離容器1は、外容器11を形成するための外側プリフォーム内に、内容器12を形成するための内側プリフォームを嵌合した状態で、外側プリフォームおよび内側プリフォームを一体にブロー成形することで形成されている。
なお、積層剥離容器1は、共押出し成形した二層構造のパリソンをブロー成形することで形成されてもよい。
【0022】
内容器12および外容器11の材質は合成樹脂材料とされ、互いに同材質でも構わないし異材質でも構わない。合成樹脂材料の一例としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ナイロン(ポリアミド)、およびEVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)等が挙げられる。
【0023】
図1および
図2に示されるように、積層剥離容器1は、筒状の口部13、筒状の肩部15、筒状の胴部16、およびカップ状の底部17を備えている。口部13、肩部15、胴部16、および底部17は、共通軸と同軸にこの順に配設されている。
以下、この共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸Oに沿う口部13側を上側といい、ボトル軸Oに沿う底部17側を下側という。ボトル軸O方向から見てボトル軸Oに交差する方向を径方向といい、ボトル軸O方向から見てボトル軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0024】
積層剥離容器1の口部13は、内容器12の口部と外容器11の口部とが積層されることで構成され、積層剥離容器1の肩部15は、内容器12の肩部と外容器11の肩部とが積層されることで構成され、積層剥離容器1の胴部16は、内容器12の胴部と外容器11の胴部とが積層されることで構成され、積層剥離容器1の底部17は、内容器12の底部と外容器11の底部とが積層されることで構成されている。
以下の説明において、特に断りのない限り、内容器12および外容器11の双方が同様の形態になっているものとする。
【0025】
積層剥離容器1のボトル軸O方向の大きさは、例えば、150mm以上250mm以下となっている。積層剥離容器1の内容量は、例えば、200ml以上800ml以下となっている。胴部16の最大外径は、例えば、58mm以上80mm以下となっている。図示の例では、積層剥離容器1のボトル軸O方向の大きさは、約230mmとされ、積層剥離容器1は、内容量が720ml用となっている。
【0026】
積層剥離容器1の口部13は、肩部15の上端部から上方に向けて真直ぐ延びる円筒状に形成されている。
内容器12の口部の上端部に、径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びるフランジ部が形成されている。フランジ部は、外容器11の口部の上端開口縁に載置されている。
【0027】
外容器11の口部の外周面に、図示されないキャップが螺着される雄ねじ部18と、図示されないキャップの周壁部が外嵌される被シール突部19と、が上方から下方に向けてこの順に形成されている。被シール突部19は、外容器11の口部から径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びている。被シール突部19の外周面と、図示されないキャップの周壁部の内周面と、の間は、気密にシールされる。
なお、キャップは、外容器11の口部にアンダーカット嵌合されてもよい。
【0028】
外容器11の口部に、内容物の減少に伴い、内容器12との間に外気を導入する外気導入孔14が形成されている。外気導入孔14は、被シール突部19のうち、最も径方向の外側に位置して、周方向の全長にわたって連続して延びるシール面より上方に位置している。外気導入孔14は、後述する短軸方向に開口している。
なお、外気導入孔14の形成位置は、外容器11の口部に限定されるものではなく、例えば、外容器11のうち、口部以外の胴部、肩部、若しくは底部であってもよく、また、外容器11の口部の上端開口縁と、内容器12の口部の前記フランジ部の下面と、の間等であってもよい。
【0029】
肩部15は、口部13の下端部から下方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びている。ボトル軸O方向に沿う縦断面視において、肩部15は、径方向の外側に向けて突の曲線状を呈する。
胴部16の上端部16a、および胴部16の下端部16bはそれぞれ、ボトル軸O方向に真直ぐ延びている。胴部16の上端部16a、および胴部16の下端部16bはそれぞれ、胴部16の最大外径部分となっている。
底部17は、周壁および底壁を有するカップ状に形成されている。底部17の周壁と、胴部16の下端部16bと、の接続部分には、周方向の全長にわたって連続して延びる周溝21が形成されている。
【0030】
胴部16のうち、少なくともボトル軸O方向の中央部を含む部分は、
図3に示されるように、上下方向から見た平面視において、ボトル軸O上で互いに交差する長軸L1と短軸L2とを有する扁平形状を呈する。
【0031】
胴部16は、短軸L2に沿う短軸方向で互いに対向する一対の正面壁部27と、長軸L1に沿う長軸方向で互いに対向する一対の側壁部23と、が周方向に連ねられて構成されている。正面壁部27および側壁部23は、ボトル軸Oに直交する横断面視で、径方向の外側に向けて突の曲線状を呈する。
【0032】
正面壁部27において、胴部16におけるボトル軸O方向の中央部を含む位置に、スクイズ領域22が設けられている。外容器11のうちの少なくともスクイズ領域22に位置する部分は弾性変形可能に形成されている。スクイズ領域22は、ボトル軸Oに直交する横断面視で、径方向の外側に向けて突の曲線状を呈する。
【0033】
側壁部23には、スクイズ領域22と比べて内容器12を外容器11の内面から剥離しにくくする剥離規制部24が設けられている。
側壁部23は、ボトル軸O方向に沿う縦断面視で、上下方向に真直ぐ延びている。剥離規制部24は、短軸方向に延びる横溝となっている。剥離規制部24は、側壁部23におけるボトル軸O方向の全域にわたって、ボトル軸O方向に間隔をあけて複数設けられている。
なお、剥離規制部24として、側壁部23が、凹凸を有しない平滑な壁面とされて、外容器11および内容器12が一様に積層された構成を採用してもよい。また、剥離規制部24として、内容器12と外容器11とを接着する接着部を採用してもよい。
【0034】
スクイズ領域22には、ボトル軸O方向に延びる複数の縦溝25が、長軸方向に沿って設けられている。複数の縦溝25は、スクイズ領域22の全域にわたって設けられている。縦溝25の溝深さおよび溝幅は、剥離規制部24の溝深さおよび溝幅より小さくなっている。縦溝25のボトル軸O方向の両端部は、複数の剥離規制部24のうち、ボトル軸O方向の両端部に位置するものと同じボトル軸O方向の位置に位置している。
【0035】
胴部16において、スクイズ領域22と側壁部23との境界部分には、ボトル軸O方向に延びる区画溝26が形成されている。区画溝26は、ボトル軸O方向に真直ぐ延びている。区画溝26の溝深さおよび溝幅は、縦溝25の溝深さおよび溝幅より大きくなっている。区画溝26は、胴部16のうち、上端部16aと下端部16bとの間におけるボトル軸O方向の全域にわたって設けられている。区画溝26は、縦溝25および剥離規制部24から周方向に離れている。区画溝26のボトル軸O方向の両端部は、縦溝25のボトル軸O方向の両端部よりボトル軸O方向の中央部側に位置している。
【0036】
スクイズ領域22には、ボトル軸O方向に沿って両側から互いに近付くに従い径方向の内側に向けて延びるくびれ部28が形成されている。くびれ部28のうち、最も径方向の内側に位置する最深部は、胴部16におけるボトル軸O方向の中央部付近に設けられている。縦溝25は、くびれ部28における全域にわたって設けられている。くびれ部28は、ボトル軸O方向に沿う縦断面視で、径方向の内側に向けて突の曲線状を呈する。くびれ部28は、胴部16の正面壁部27のうち、上端部16aと下端部16bとの間におけるボトル軸O方向の全域にわたって設けられている。
【0037】
くびれ部28におけるボトル軸O方向の両端部は、上下方向から見た平面視において、ボトル軸Oと同軸に配設された円形状を呈する。胴部16において、少なくともくびれ部28のうちの最も径方向の内側に位置する最深部を含むボトル軸O方向の位置では、前記平面視で長軸L1および短軸L2を有する扁平形状を呈する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態による積層剥離容器1によれば、胴部16のうち、少なくともボトル軸O方向の中央部を含む部分が、前記平面視で扁平形状を呈し、かつ胴部16において、長軸方向で互いに対向する側壁部23に、短軸方向で互いに対向するスクイズ領域22と比べて内容器12を外容器11の内面から剥離しにくくする剥離規制部24が設けられているので、使用者が、内容物の注出に際し、スクイズ変形する部位として、胴部16のうちのスクイズ領域22を容易に特定することができる。
【0039】
したがって、
図3に二点鎖線で示されるように、内容物の減少に伴い、内容器12のうち、長軸方向の両端部12aが、外容器11の内面に固定された状態で、短軸方向の両端部における長軸方向の中間部12bが、短軸方向に互いに接近するように、内容器12を安定して減容変形させることが可能になり、内容器12の減容変形がいびつになるのを抑制することができる。
なお、胴部16の側壁部23において、内容器12が外容器11の内面から剥離してもよい。この場合であっても、内容器12のうちの側壁部23に位置する部分が短軸方向に圧潰変形することが、剥離規制部24によって規制されることとなり、内容器12の減容変形がいびつになるのを抑制することができる。
【0040】
短軸方向で互いに対向するスクイズ領域22を把持すると、長軸L1が上下方向を向くように、口部13を下方に向けやすくなり、この姿勢で内容器12が前述のように減容変形すると、内容器12の内部空間のうち、長軸方向の一方側である下側が、口部13に向かう内容物の流路となり、かつ長軸方向の他方側である上側が、底部17に向かう空気の流路となる。これにより、内容物および空気それぞれの流路を確保しやすくなることから、下方に向けた口部13に内容物が到達するまでの時間が短く抑えられ、スクイズ領域22のスクイズ変形時に、内容器12内の空気のみ、または空気および内容物の混合物が注出されるのを抑制することが可能になり、内容物の残量が多くなったり、内容物が飛散したりするのを抑えることができる。
【0041】
スクイズ領域22に、ボトル軸O方向に延びる複数の縦溝25が、長軸方向に沿って設けられているので、スクイズ変形したスクイズ領域22が復元変形したときに、スクイズ領域22における外容器11の内面と内容器12との間に、ボトル軸O方向に延びる隙間を生じさせやすくすることが可能になり、スクイズ領域22の復元変形時に、外気をスクイズ領域22における外容器11の内面と内容器12との間に導入しやすくなり、内容器12を確実に前述のように安定して減容変形させることができる。
【0042】
胴部16において、スクイズ領域22と側壁部23との境界部分に、ボトル軸O方向に延びる区画溝26が形成されているので、スクイズ変形したスクイズ領域22が復元変形したときに、外容器11の内面に対する内容器12の剥離が、スクイズ領域22から側壁部23に伝播するのを抑制することが可能になり、内容器12を確実に前述のように安定して減容変形させることができる。
【0043】
スクイズ領域22に、ボトル軸O方向に沿って両側から互いに近付くに従い径方向の内側に向けて延びるくびれ部28が形成されているので、スクイズ領域22を少ない力で容易にスクイズ変形することができる。
【0044】
剥離規制部24が、短軸方向に延びる横溝となっているので、外気導入孔14からの外気が、剥離規制部24に対してボトル軸O方向に到達しても、剥離規制部24において内容器12が外容器11の内面から剥離するのを防ぐことができる。
【0045】
次に、本発明の他の実施形態に係る積層剥離容器2を、
図4および
図5を参照しながら説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0046】
本実施形態の積層剥離容器2では、区画溝26が、ボトル軸O方向に沿って両側から互いに近付くに従い、スクイズ領域22の周方向の大きさを広げ、かつ側壁部23の周方向の大きさを狭めるように延び、長軸方向から見て突の円弧状を呈する。短軸方向で互いに隣り合う区画溝26同士は、胴部16におけるボトル軸O方向の中央部で最も接近している。区画溝26の上端部は、周方向に隣接するスクイズ領域22側を向く斜め上方に向けて尖り、区画溝26の下端部は、周方向に隣接するスクイズ領域22側を向く斜め下方に向けて尖っている。
【0047】
短軸方向で互いに隣り合う区画溝26同士の間に、ボトル軸O方向に間隔をあけて複数の剥離規制部24が設けられている。複数の剥離規制部24のうち、ボトル軸O方向の両端に位置する剥離規制部24は、区画溝26から短軸方向に離れ、他の剥離規制部24は、区画溝26と繋がっている。
なお、複数の剥離規制部24のうち、ボトル軸O方向の両端に位置する剥離規制部24が、区画溝26と繋がり、他の剥離規制部24が、区画溝26から短軸方向に離れていてもよいし、全ての剥離規制部24が、区画溝26と繋がっていてもよいし、区画溝26から短軸方向に離れていてもよい。
【0048】
複数の縦溝25の各下端縁は、短軸方向から見て下方に向けて突の円弧上に位置している。複数の縦溝25の各上端縁は、同じボトル軸O方向の位置に位置している。
スクイズ領域22において、区画溝26におけるボトル軸O方向の両端部によりボトル軸O方向に挟まれた部分には、ボトル軸O方向に延びる複数の補助縦溝25aが、周方向に沿って設けられている。複数の補助縦溝25aのボトル軸O方向の両端部は、スクイズ領域22側に位置するものほどボトル軸O方向の外側に位置し、区画溝26側に位置するものほどボトル軸O方向の内側に位置している。複数の補助縦溝25aのボトル軸O方向の長さは、スクイズ領域22側に位置するものほど長く、区画溝26側に位置するものほど短くなっている。
【0049】
以上説明したように、本実施形態による積層剥離容器2によれば、スクイズ領域22に設けられた複数の縦溝25の各下端縁が、短軸方向から見て下方に向けて突の円弧上に位置しているので、スクイズ領域22を短軸方向に押圧したときに、スクイズ領域22の変形が、複数の縦溝25の下端縁によって阻害されにくくすることが可能になり、スクイズ領域22のスクイズ変形量を確保することができる。
【0050】
区画溝26が、ボトル軸O方向に沿って両側から互いに近付くに従い、スクイズ領域22の周方向の大きさを広げ、かつ側壁部23の周方向の大きさを狭めるように延び、長軸方向から見て突の円弧状を呈するので、この区画溝26と、スクイズ領域22を短軸方向に押圧したときのスクイズ領域22における周方向の両端部の変形形状と、がほぼ一致することとなり、区画溝26が、スクイズ領域22のスクイズ変形を阻害するのを防ぐことができる。
【0051】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0052】
縦溝25、区画溝26、およびくびれ部28は設けなくてもよい。
くびれ部28は、正面壁部27のうちボトル軸O方向の中央部に限って設けてもよい。
【0053】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0054】
本発明の態様は、例えば以下の通りである。
<1>
収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が積層状態で内装された外容器を備え、筒状の口部、筒状の肩部、筒状の胴部、およびカップ状の底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、
前記胴部のうち、少なくともボトル軸方向の中央部を含む部分は、ボトル軸方向から見た平面視において、ボトル軸上で互いに交差する長軸と短軸とを有する扁平形状を呈し、
前記胴部のうち、前記短軸に沿う短軸方向で互いに対向する一対の正面壁部において、この胴部におけるボトル軸方向の中央部を含む位置にスクイズ領域が設けられ、
前記外容器のうち、少なくとも前記スクイズ領域に位置する部分は弾性変形可能に形成され、
前記胴部において、前記長軸に沿う長軸方向で互いに対向する一対の側壁部には、前記スクイズ領域と比べて前記内容器を前記外容器の内面から剥離しにくくする剥離規制部が設けられている、積層剥離容器。
<2>
前記スクイズ領域には、ボトル軸方向に延びる複数の縦溝が長軸方向に沿って設けられている、前記<1>に記載の積層剥離容器。
<3>
複数の前記縦溝の各下端縁は、短軸方向から見て下方に向けて突の円弧上に位置している、前記<2>に記載の積層剥離容器。
<4>
前記胴部において、前記スクイズ領域と前記側壁部との境界部分には、ボトル軸方向に延びる区画溝が形成されている、前記<1>から<3>のいずれか1つに記載の積層剥離容器。
<5>
前記区画溝は、ボトル軸方向に沿って両側から互いに近付くに従い、前記スクイズ領域の周方向の大きさを広げ、かつ前記側壁部の周方向の大きさを狭めるように延び、長軸方向から見て突の円弧状を呈する、前記<4>に記載の積層剥離容器。
<6>
前記スクイズ領域には、ボトル軸方向に沿って両側から互いに近付くに従い径方向の内側に向けて延びるくびれ部が形成されている、前記<1>から<5>のいずれか1つに記載の積層剥離容器。
【符号の説明】
【0055】
1、2 積層剥離容器
11 外容器
12 内容器
13 口部
15 肩部
16 胴部
17 底部
22 スクイズ領域
23 側壁部
24 剥離規制部
25 縦溝
26 区画溝
27 正面壁部
28 くびれ部
L1 長軸
L2 短軸
O ボトル軸