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特開2024-159620ウレタンフォームのリサイクル方法、再生軟質ウレタンフォームの製造方法、及び再生アミン系ポリオールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159620
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ウレタンフォームのリサイクル方法、再生軟質ウレタンフォームの製造方法、及び再生アミン系ポリオールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/28 20060101AFI20241031BHJP
   C07C 213/04 20060101ALI20241031BHJP
   C07C 215/12 20060101ALI20241031BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20241031BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20241031BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20241031BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20241031BHJP
   C08G 18/72 20060101ALI20241031BHJP
   C08G 65/331 20060101ALI20241031BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
C08J11/28 ZAB
C07C213/04
C07C215/12
C08G18/00 A
C08G18/32
C08L75/04
C08K5/17
C08G18/72
C08G65/331
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024069612
(22)【出願日】2024-04-23
(31)【優先権主張番号】P 2023073294
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小澤 宏和
(72)【発明者】
【氏名】木下 俊介
【テーマコード(参考)】
4F401
4H006
4J002
4J005
4J034
【Fターム(参考)】
4F401AA26
4F401AD09
4F401BA06
4F401CA29
4F401CA67
4F401CA68
4F401CA75
4F401CB01
4F401DA12
4F401DC00
4F401EA59
4F401EA67
4F401FA01Z
4F401FA07Z
4H006AA02
4H006AC52
4J002CH052
4J002CK021
4J002CK041
4J002CM012
4J002EN006
4J002EN046
4J002FD202
4J002FD206
4J002GL00
4J005AA04
4J005BB01
4J005BD03
4J034CA14
4J034CA15
4J034CB03
4J034CC03
4J034DA01
4J034DG02
4J034HA06
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC61
4J034HC71
4J034LB05
4J034NA05
4J034RA10
(57)【要約】
【課題】本発明は、ウレタンフォームを分解することが出来、得られる上層液の水酸基価や全アミン価が低く、それを用いた場合のウレタン樹脂製造時の成形性が良好で、所望の硬度を有するウレタンフォームを再形成できる、ウレタンフォームのリサイクル方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ウレタンフォームとジエタノールアミンを含むウレタンフォーム分解剤とを、重量比(ウレタンフォーム:分解剤)が1:1~1:5の比率で混合する混合工程、混合工程で得られた混合物を100~200℃に加熱するウレタンフォーム分解工程と、ウレタンフォーム分解工程で得られた液状分解物を60~120℃で遠心分離し上層液と下層液に分離する分離工程とを含み、前記ウレタンフォーム分解剤に含まれるジエタノールアミンの重量が、ウレタンフォーム分解剤の重量に基づいて、20~100重量%であるウレタンフォームのリサイクル方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタンフォームとジエタノールアミンを含むウレタンフォーム分解剤とを、重量比(ウレタンフォーム:分解剤)が1:1~1:5の比率で混合する混合工程、混合工程で得られた混合物を100~200℃に加熱するウレタンフォーム分解工程、及びウレタンフォーム分解工程で得られた液状分解物を60~120℃で遠心分離し上層液と下層液に分離する分離工程を含み、
前記ウレタンフォーム分解剤に含まれるジエタノールアミンの重量が、ウレタンフォーム分解剤の重量に基づいて、20~100重量%であるウレタンフォームのリサイクル方法。
【請求項2】
前記ウレタンフォームが、軟質ウレタンフォームである請求項1に記載のウレタンフォームのリサイクル方法。
【請求項3】
前記分離工程において、ディスク型遠心分離機を使用する請求項1に記載のウレタンフォームのリサイクル方法。
【請求項4】
ウレタンフォームとジエタノールアミンを含むウレタンフォーム分解剤とを、重量比(ウレタンフォーム:分解剤)が1:1~1:5の比率で混合する混合工程、混合工程で得られた混合物を100~200℃に加熱するウレタンフォーム分解工程、及びウレタンフォーム分解工程で得られた液状分解物を60~120℃で遠心分離し上層液と下層液に分離する分離工程を含み、ウレタンフォーム分解剤が請求項1に記載の分離工程で分離した下層液を含むウレタンフォームのリサイクル方法。
【請求項5】
請求項1に記載の分離工程で分離した上層液とポリイソシアネートとを必須単量体として用いる再生軟質ウレタンフォームの製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の分離工程で分離した下層液と炭素数2~4のアルキレンオキサイドとを用いる再生アミン系ポリオールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタンフォームのリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン樹脂は一般に自動車のシート、家具、マットレスなどのクッション材、断熱材、構造材、舗装材として広く用いられている。そして、この使用されるポリウレタンフォームは、スラブ生産、現場注入工法、スプレー工法、パネル・モールド成型工法等の工法により生産加工され、その生産加工時に、多量のフォームくず(フォーム廃棄物)が発生する。また製品使用後においても、フォーム廃棄物(いわゆる産業廃棄物)とされる場合がある。
これらのフォーム廃棄物は、3次元の網目構造を有する熱硬化性樹脂であるためにリサイクルが困難であり、現状では埋め立てや焼却などの処分がされているため、有効的な再利用方法の開発が求められている。
硬質ポリウレタンフォームのリサイクル方法は、これまでにも提案がなされている。例えば、分解剤としてポリオール及びアミノエタノールを用いてポリウレタンフォームを分解し、接着助剤として再生する方法(特許文献1)、アルカノールアミンなどのアミン化合物でポリウレタンフォームを分解し、その後分解物を分離回収する方法(特許文献2)等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-184513号公報
【特許文献2】特許第3242723号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述するリサイクル方法を軟質ウレタン樹脂の分解に適用した場合、得られるリサイクルポリオールの水酸基価や全アミン価が高いため、それを用いた場合、ウレタン樹脂製造時の成形性が不良であり、所望の硬度を有するウレタンフォームを得ることが難しいという問題があった。
本発明は、ウレタンフォームを分解することで得られるリサイクルポリオールを用いた場合のウレタン樹脂製造時の成形性が良好であり、所望の硬度を有するウレタンフォームを再形成できる、ウレタンフォームの資源循環システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、ウレタンフォームとジエタノールアミンを含むウレタンフォーム分解剤とを、重量比(ウレタンフォーム:分解剤)が1:1~1:5の比率で混合する混合工程、混合工程で得られた混合物を100~200℃に加熱するウレタンフォーム分解工程、及びウレタンフォーム分解工程で得られた液状分解物を60~120℃で遠心分離し上層液と下層液に分離する分離工程を含み、前記ウレタンフォーム分解剤に含まれるジエタノールアミンの重量が、ウレタンフォーム分解剤の重量に基づいて、20~100重量%であるウレタンフォームのリサイクル方法;前記の分離工程で分離した下層液をウレタンフォーム分解剤として用いるウレタンフォームのリサイクル方法;前記の分離工程で分離した上層液とポリイソシアネートとを必須単量体として用いる再生軟質ウレタンフォームの製造方法;及び前記の分離工程で分離した下層液と炭素数2~4のアルキレンオキサイドとを用いる再生アミン系ポリオールの製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のリサイクル方法を使用することにより、それを用いた場合のウレタン樹脂製造時の成形性が良好であり、所望の硬度を有するウレタンフォームを再形成することが出来るリサイクルポリオールを得ることができる、ウレタンフォームの資源循環システムを構築することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のウレタンフォームのリサイクル方法は、ウレタンフォームとジエタノールアミンを含むウレタンフォーム分解剤とを、重量比(ウレタンフォーム:分解剤)が1:1~1:5の比率で混合する混合工程を有する。
ウレタンフォーム分解剤がジエタノールアミンを含むことで、無触媒かつ温和な条件で分解反応を進行させることが出来る。さらに、ジエタノールアミンは、ウレタンフォームを分解して得られたリサイクルポリオールに溶解しにくいため、後述する分離工程での分離が容易であり、純度の高いリサイクルポリオールを得られる。
【0008】
前記ウレタンフォーム分解剤に含まれるジエタノールアミンの重量は、ウレタンフォーム分解剤の重量に基づいて20~100重量%であり、さらに好ましくは50~100重量%である。
前記分解剤に含まれるジエタノールアミンの重量が20重量%未満であると、分解反応が十分に進行しない。
【0009】
分解されるウレタンフォームは、特に限定されるものではないが、例えば、製造工程において発生するフォーム屑(トリミングで発生したフォーム、ばり、空気抜き穴などから洩れたフォーム、品質管理などのためのフリー発泡フォーム、不良品など)や、使用済みの各種産業製品(産業機器、家具、建材など)から回収された回収フォームなどが挙げられる。
【0010】
ウレタンフォームは、発泡方法により、硬質ウレタンフォーム、半硬質ウレタンフォーム及び軟質ウレタンフォームと3つに大別することが出来る。気泡が連通し柔らかくて復元性のあるものを「軟質ウレタンフォーム」と言い、独立気泡で硬くて復元性が無いものを「硬質ウレタンフォーム」と言う。また、中間的な性状のものを「半硬質ウレタンフォーム」と言う。
これらのうち本発明のウレタンフォームのリサイクル方法おいては、軟質ウレタンフォームを用いることが好ましい。軟質ウレタンフォームは後述の分離工程における上層液とジエタノールアミンとの分離性が良好であり、上層液に含まれるアミン成分を少なくすることができるため、上層液を用いて成形性が良好で、所望の高度を有するウレタンフォームを再形成することが出来る。
【0011】
分解に用いるウレタンフォームの形状は、特に制限はないが、例えば、フォーム屑や回収フォームをそのまま用いてもよいし、カッター刃を備えるペレタイザー、カッターミル、セントリーカッター、一軸破砕機及び二軸破砕機等で更に細断したフォームでもよい。
【0012】
ウレタンフォームとジエタノールアミンを含むウレタンフォーム分解剤との混合は、後述する分解工程を行う加熱装置及び攪拌装置が付属した反応容器中で混合する等の公知の混合方法を用いることができる。
【0013】
本発明のウレタンフォームのリサイクル方法において、混合工程では、ウレタンフォームとジエタノールアミンを含むウレタンフォーム分解剤とを、重量比(ウレタンフォーム:分解剤)が1:1~1:5の比率で混合する。
ウレタンフォームとジエタノールアミンを含むウレタンフォーム分解剤との重量比が1:1未満の場合は分解反応が十分に進行せず、1:5を超える場合は、液状分解物の分離精製が困難になるという問題がある。
ウレタンフォームとジエタノールアミンを含むウレタンフォーム分解剤との重量比(ウレタンフォーム:分解剤)は、好ましくは1:1.5~1:4.5であり、さらに好ましくは1:2~1:4である。
【0014】
本発明のウレタンフォームのリサイクル方法は、前記の混合工程で得られた混合物を100~200℃に加熱するウレタンフォーム分解工程を有する。ウレタンフォーム分解工程を行うことでウレタンフォームがウレタンフォーム分解剤に含まれるジエタノールアミンと反応し、ウレタンフォームが分解され、液状の分解物となる。
分解工程における加熱温度は、さらに好ましくは130~170℃である。100℃未満であれば反応が十分に進行せず、200℃を超えると、上層液が着色してしまい軟質ウレタンフォームの製造に再使用することができないという問題があり、さらに消費エネルギーを多く使ってしまうという問題がある。
【0015】
分解工程における反応時間は好ましくは2~48時間であり、さらに好ましくは4~24時間である。上記反応時間であると着色等の不具合なく反応が十分に進行し、さらにエネルギーロスが少ない。
【0016】
ウレタンフォーム分解工程は、加熱装置及び攪拌装置が付属した公知の反応容器で行う事ができる。
【0017】
本発明のウレタンフォームのリサイクル方法は、前記の分解工程で得られた液状分解物を60~120℃で遠心分離し上層液と下層液に分離する分離工程とを含む。
分離工程における温度は60~120℃であり、さらに好ましくは80~100℃である。60℃未満であれば分離が不十分であり、120℃を超えると上層液が着色してしまうという問題がある。
【0018】
遠心分離の方法としては、スクリューコンベアを備えるデカンタ型遠心分離機又は傘状に積層する複数のディスクを備えるディスク型遠心分離機を使用する方法が挙げられる。これらのうち、生産性の観点からディスク型遠心分離機を使用する方法が好ましい。
【0019】
分離工程における遠心力としては、好ましくは500~20000Gであり、さらに好ましくは1000~15000Gである。上記遠心力であると分離が効率良く行える。
【0020】
分離工程における分離時間は好ましくは0.1~60分間であり、さらに好ましくは0.1~30分間である。上記分離時間であると着色等の不具合なく分離でき、さらにエネルギーロスが少ない。
【0021】
分離工程において得られた下層液は、ジエタノールアミンや副生成物を含有している。
前記下層液を前記のウレタンフォームのリサイクル方法におけるウレタンフォーム分解剤として用いることが出来る。
すなわち、第二の本発明はウレタンフォームとジエタノールアミンを含むウレタンフォーム分解剤とを、重量比(ウレタンフォーム:分解剤)が1:1~1:5の比率で混合する混合工程、混合工程で得られた混合物を100~200℃に加熱するウレタンフォーム分解工程、及びウレタンフォーム分解工程で得られた液状分解物を60~120℃で遠心分離し上層液と下層液に分離する分離工程を含み、ウレタンフォーム分解剤が前記の第一の本発明であるウレタンフォームのリサイクル方法における分離工程で分離した下層液を含むウレタンフォームのリサイクル方法である。
【0022】
分離工程において得られた上層液は、水酸基価が20mgKOH/g~200mgKOH/gであることが好ましく、さらに好ましくは50mgKOH/g~130mgKOH/gである。分離工程において得られた上層液は、全アミン価が0~100mgKOH/gであることが好ましく、さらに好ましくは0~60mgKOH/gである。分離工程で得られた上層液は、ウレタンフォームを構成していたポリオールを60重量%以上含むことが好ましく、その他にジエタノールアミンや副生成物を含有していてもよい。
本明細書における水酸基価は、JIS K0070(1995年版)に規定の方法で測定される。
本明細書における全アミン価は、ASTM D2074に準じた方法で測定することができる。
また、分離工程において得られた上層液は、淡黄色~褐色であることが好ましい。
【0023】
前記上層液とポリイソシアネートとを必須単量体として用いる軟質ウレタンフォームを製造することが出来る。すなわち、第三の本発明である再生軟質ウレタンフォームの製造方法は、前記の第一の本発明であるウレタンフォームのリサイクル方法における分離工程で分離した上層液とポリイソシアネートとを必須単量体として用いる再生軟質ウレタンフォームの製造方法である。
再生軟質ウレタンフォームの製造方法としては、前記の上層液とポリイソシアネートとを用いること以外に制限は無く、従来からポリウレタンの製造で用いられているすべての方法が適用可能である。例えば、前記上層液、触媒、整泡剤、添加剤及び発泡剤などを予め混合しておいた混合物(プレミックスレジン)と、ポリイソシアネートをハンドミキシングにて1000~10000rpmにて攪拌混合し、特定容器中で発泡させる方法があげられる。
【0024】
前記上層液とポリイソシアネートとを必須単量体として用いて再生軟質ウレタンフォームを製造する場合、前記上層液の他に、他のポリオールを併用してもよい。他のポリオールとしては特に制限はなく、公知のポリオールを用いることができる。
【0025】
再生軟質ウレタンフォームの製造方法に用いるポリイソシアネートとしては、ポリウレタンフォームに使用される公知の有機ポリイソシアネートを使用することができる。例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物である変性ポリイソシアネート(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0026】
発泡剤としては、ポリウレタンフォームに使用される公知の発泡剤を使用することができる。例えば、水、液化炭酸ガス及び沸点が-5~70℃の低沸点化合物等が挙げられる。
【0027】
触媒としては、ポリウレタンフォームに使用される公知の触媒を使用することができる。
【0028】
整泡剤としては、ポリウレタンフォームの製造に用いられる公知の整泡剤(シリコーン系整泡剤及び非シリコーン系整泡剤等)が使用でき、東レ・ダウコーニング(株)製の「SZ-1959」、「SF-2904」、「SZ-1142」、「SZ-1720」、「SZ-1675t」、「SF-2936F」、「SZ-3601」、「SRX-294A」、「SH-193」、日本ユニカー(株)製の「L-540」、「L-3601」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の「L-595」「L-598」「L-626」、エボニックデグサジャパン(株)製「B8715 LF2」等として市場から入手できるものが挙げられる。
【0029】
添加剤としては、着色剤(染料及び顔料)、可塑剤(フタル酸エステル及びアジピン酸エステル等)、有機充填剤(合成短繊維、熱可塑性又は熱硬化性樹脂からなる中空微小球等)、難燃剤(リン酸エステル及びハロゲン化リン酸エステル等)、老化防止剤(トリアゾール及びベンゾフェノン等)及び酸化防止剤(ヒンダードフェノール及びヒンダードアミン等)等の公知の添加剤が挙げられる。
【0030】
分離工程において得られた下層液は、ジエタノールアミンや副生成物を含有している。下層液に含まれるジエタノールアミンにアルキレンオキサイドを付加することによって再生アミン系ポリオールを得ることができる。
【0031】
第四の本発明は、前記下層液と炭素数2~4のアルキレンオキサイドとを用いる再生アミン系ポリオールの製造方法である。本製造方法で得られた再生アミン系ポリオールを用いて再生ウレタンフォームを製造することが出来る。
炭素数2~4のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(以降EOと略記することがある)、1,2-又は1,3-プロピレンオキサイド(以降POと略記することがある)及び1,2-、1,3-、1,4-又は2,3-ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、反応性の観点から、EO及び/又はPOを用いることが好ましい。
【0032】
本発明の再生アミン系ポリオールの製造方法は、前記の下層液と炭素数2~4のアルキレンオキサイドとを混合し、加熱反応することで行う事ができる。例えば、オートクレーブに前記下層液及び触媒を投入し、反応温度が125~135℃を保つように制御しながら、炭素数2~4のアルキレンオキサイドを滴下した後、130℃で熟成し、60℃まで冷却した後に触媒を除去する方法が挙げられ、これによって下層液に含まれるジエタノールアミンにアルキレンオキサイドが付加して再生アミン系ポリオールが得られる。
本発明の再生アミン系ポリオールの製造方法に用いる触媒としては、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが挙げられる。
触媒を除去する方法としては、吸着剤に吸着される方法が挙げられる。
吸着剤としては、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の珪酸塩、活性白土、酸性白土、シリカゲル等が挙げられる。
市販の吸着剤としては、例えば、キョーワード600、700(それぞれ商品名:協和化学工業)、ミズカライフP-1、P-1S、P-1G、F-1G(それぞれ商品名:水澤化学工業)、トミタ-AD600、700(それぞれ商品名:富田製薬)等の珪酸塩等を用いることができる。これらの吸着剤を1種のみ使用する、若しくは2種以上を併用するものであっても構わない。
【0033】
本発明の再生アミン系ポリオールの製造方法における下層液と炭素数2~4のアルキレンオキサイドとの重量比は、好ましくは1:1~1:100であり、さらに好ましくは1:2~1:60である。下層液と炭素数2~4のアルキレンオキサイドとの重量比が1:1未満だと、得られる再生アミン系ポリオールの水酸基価や全アミン価が高く、それを用いた場合、ウレタン樹脂製造時の成形性が不良となることがあり、所望の硬度を有するウレタンフォームを得ることが難しい場合がある。1:100を超えると、粘度が高くなってしまい、それを用いてウレタンフォームを作成することが出来ない場合がある。
【実施例0034】
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の部は重量部を表す。
【0035】
<製造例1>
表1に示した配合処方に従って、ポリオールに、発泡剤、触媒及び整泡剤を混合し、更に有機ポリイソシアネートを混合して混合物(H)を得た。得られた混合物(H)を下記の発泡条件により発泡して、ポリウレタンフォーム(X-1)を作製した。
得られたポリウレタンフォーム(X-1)を温度25℃、湿度50%にて24時間静置した後、それぞれのポリウレタンフォーム(X-1)の25%圧縮硬さ、40%圧縮硬さ、反発弾性率、引張強度、伸び、引裂き強度及び乾熱圧縮永久歪みを測定し、結果を表1に示した。
なお、有機ポリイソシアネートについては、配合処方におけるイソシアネート指数が表1に記載のイソシアネート指数となる量の有機ポリイソシアネートを用いた。
【0036】
<発泡条件>
型サイズ:250mm×250mm×250mm
材質:木材
ミキシング方法:ハンドミキシング(必要試薬を所定の容器に必要量仕込んだ後、攪拌羽を容器中に挿入し、回転数3000回転/分で6~20秒間攪拌させる発泡方法)
ミキシング時間:5~20秒
撹拌羽回転数:3000回転/分
【0037】
【表1】
【0038】
<実施例1>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン7.5kg、及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)2.5kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、145℃にて8時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を90℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、90℃下、1000Gで7.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物を上層液(Y-1)及び下層液(Z-1)に分離し回収した。
得られた上層液(Y-1)の水酸基価は80mgKOH/g、全アミン価は20mgKOH/g、粘度(25℃)は810mPa・sであった。また、得られた下層液(Z-1)の水酸基価は1540mgKOH/g、全アミン価は520mgKOH/g、粘度(25℃)は1020mPa・sであった。また、下層液(Z-1)に含まれるジエタノールアミンの量は、79重量%であった。
前記ジエタノールアミンの量は液体クロマトグラフィー質量分析 (LCMS)にて測定した。
遠心分離機(A-1)は、遠心管容量200ml、最大遠心加速後32870G、加熱機能付きの遠心分離機である。
また、上層液(Y-1)及び下層液(Z-1)の粘度(mPa・s)は、ガラス瓶に入れて密閉して25℃、24時間温調後、B型粘度計でローターNo3又は4を使用して測定を行った。
【0039】
<液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)の測定条件>
装置:LCMS-8030(島津製作所製)
カラム: Inert Sustain(粒子径2.0μm、内径2.1mm、長さ10cm)
移動相:A/B=15/85(v/v)
A:10mM酢酸アンモニウム水溶液/メタノール=80/20(v/v)
B:メタノール
流速:0.1mL/min
サンプル調整:1~100ppmにメタノールで希釈し、0.45μmのPTFEフィルターでろ過した。
サンプル注入量:0.1μL
オーブン温度:40℃
検出器:質量分析器 イオンソース:ESI
Mode:Negative
測定質量数:m/z 20-2000
【0040】
<実施例2>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン5.0kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)5.0kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、145℃にて24時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を90℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、90℃下、1000Gで7.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-2)及び下層液(Z-2)に分離し回収した。
得られた上層液(Y-2)の水酸基価は110mgKOH/g、全アミン価は46gKOH/g、粘度(25℃)は820mPa・sであった。また、下層液(Z-2)の水酸基価は1480mgKOH/g、全アミン価は505mgKOH/g、粘度(25℃)は1080mPa・sであった。
【0041】
<実施例3>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン6.0kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)4.0kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、145℃にて16時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を90℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、90℃下、1000Gで7.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-3)及び下層液(Z-3)に分離し、回収した。
得られた上層液(Y-3)の水酸基価は103mgKOH/g、全アミン価は38mgKOH/g、粘度(25℃)は820mPa・sであった。また、下層液(Z-3)の水酸基価は1490mgKOH/g、全アミン価は510mgKOH/g、粘度(25℃)は1060mPa・sであった。
【0042】
<実施例4>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン8.33kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)1.67kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、145℃にて8時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を90℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、90℃下、1000Gで7.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-4)及び下層液(Z-4)に分離し回収した。
得られた上層液(Y-4)の水酸基価は70mgKOH/g、全アミン価は11mgKOH/g、粘度(25℃)は810mPa・sであった。また、下層液(Z-4)の水酸基価は1580mgKOH/g、全アミン価は530mgKOH/g、粘度(25℃)は980mPa・sであった。
【0043】
<実施例5>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン7.5kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)2.5kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、135℃にて16時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を90℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、90℃下、1000Gで7.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-5)及び下層液(Z-5)に分離し回収した。
得られた上層液(Y-5)の水酸基価は80mgKOH/g、全アミン価は20mgKOH/g、粘度(25℃)は820mPa・sであった。また、下層液(Z-5)の水酸基価は1540mgKOH/g、全アミン価は520mgKOH/g、粘度(25℃)は1010mPa・sであった。
【0044】
<実施例6>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン7.5kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)2.5kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、120℃にて32時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を90℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、90℃下、1000Gで7.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-6)及び下層液(Z-6)に分離し回収した。
得られた上層液(Y-6)の水酸基価は80mgKOH/g、全アミン価は20mgKOH/g、粘度(25℃)は830mPa・sであった。また、下層液(Z-6)の水酸基価は1540mgKOH/g、全アミン価は520mgKOH/g、粘度(25℃)は1000mPa・sであった。
【0045】
<実施例7>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン12.5kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)2.5kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、100℃にて32時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を90℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、90℃下、1000Gで7.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-7)及び下層液(Z-7)を分離し回収した。
得られた上層液(Y-7)の水酸基価は70mgKOH/g、全アミン価は11mgKOH/g、粘度(25℃)は810mPa・sであった。また、下層液(Z-7)の水酸基価は1580mgKOH/g、全アミン価は530mgKOH/g、粘度(25℃)は980mPa・sであった。
【0046】
<実施例8>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン7.5kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)2.5kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、200℃にて4時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を90℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、90℃下、1000Gで7.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-8)及び下層液(Z-8)を分離し回収した。
得られた上層液(Y-8)の水酸基価は90mgKOH/g、全アミン価は30mgKOH/g、粘度(25℃)は810mPa・sであった。また、下層液(Z-8)の水酸基価は1540mgKOH/g、全アミン価は520mgKOH/g、粘度(25℃)は1000mPa・sであった。
【0047】
<実施例9>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン7.5kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)2.5kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、145℃にて8時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を60℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、60℃下、1000Gで22.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-9)及び下層液(Z-9)を分離し回収した。
得られた上層液(Y-9)の水酸基価は80mgKOH/g、全アミン価は20mgKOH/g、粘度(25℃)は810mPa・sであった。また、下層液(Z-9)の水酸基価は1540mgKOH/g、全アミン価は520mgKOH/g、粘度(25℃)は1020mPa・sであった。
【0048】
<実施例10>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン7.5kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)2.5kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、145℃にて8時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を120℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、120℃下、1000Gで7.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-10)及び下層液(Z-10)を分離し回収した。
得られた上層液(Y-10)の水酸基価は80mgKOH/g、全アミン価は20mgKOH/g、粘度(25℃)は810mPa・sであった。また、下層液(Z-7)の水酸基価は1540mgKOH/g、全アミン価は520mgKOH/g、粘度(25℃)は1020mPa・sであった。
【0049】
<実施例11>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン150kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)50kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、140℃にて13時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を90℃まで冷却した後、遠心分離機(A-2)を用いて、90℃下、1000Gで7.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-11)及び下層液(Z-11)を分離し、回収した。
得られた上層液(Y-11)の水酸基価は82mgKOH/g、全アミン価は22mgKOH/g、粘度(25℃)は800mPa・sであった。また、下層液(Z-11)の水酸基価は1540mgKOH/g、全アミン価は520mgKOH/g、粘度(25℃)は1030mPa・sであった。
遠心分離機(A-2)は、容量300L、最大遠心加速度1000Gである工業用のデカンタ式遠心分離機である。
【0050】
<実施例12>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン150kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)50kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、140℃にて13時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を90℃まで冷却した後、遠心分離機(A-3)を用いて、10000Gで0.75分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-12)及び下層液(Z-12)を分離し回収した。
得られた上層液(Y-12)の水酸基価は82mgKOH/g、全アミン価は22mgKOH/g、粘度(25℃)は800mPa・sであった。また、下層液(Z-12)の水酸基価は1540mgKOH/g、全アミン価は520mgKOH/g、粘度(25℃)は1030mPa・sであった。
遠心分離機(A-3)は、最大遠心加速度10000Gの、連続式のディスク型遠心分離機である。
【0051】
<実施例13>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤として実施例1で得られた下層液(Z-1)7.5kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)2.5kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、145℃にて8時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を90℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、1000Gで7.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-13)及び下層液(Z-13)を得た。
得られた上層液(Y-13)の水酸基価は118mgKOH/g、全アミン価は54mgKOH/g、粘度(25℃)は820mPa・sであった。また、下層液(Z-13)の水酸基価は1540mgKOH/g、全アミン価は530mgKOH/g、粘度(25℃)は1040mPa・sであった。なお、実施例1と同様にして分析して算出された下層液(Z-13)に含まれるジエタノールアミンの量は50重量%であった。
【0052】
<実施例14>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤として実施例13で得られた下層液(Z-13)7.5kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)2.5kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、145℃にて16時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を90℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、90℃下、1000Gで7.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-14)及び下層液(Z-14)を得た。
得られた上層液(Y-14)の水酸基価は162mgKOH/g、全アミン価は96mgKOH/g、粘度(25℃)は830mPa・sであった。また、下層液(Z-14)の水酸基価は1530mgKOH/g、全アミン価は530mgKOH/g、粘度(25℃)は1090mPa・sであった。なお、実施例1と同様にして分析して算出された下層液(Z-14)に含まれるジエタノールアミンの量は20重量%であった。
【0053】
<実施例15>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤として実施例14で得られた下層液(Z-14)7.5kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)2.5kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、145℃にて32時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を90℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、90℃下、1000Gで7.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-15)及び下層液(Z-15)を得た。
得られた上層液(Y-15)の水酸基価は203mgKOH/g、全アミン価は150mgKOH/g、粘度(25℃)は900mPa・sであった。また、下層液(Z-15)の水酸基価は1530mgKOH/g、全アミン価は530mgKOH/g、粘度(25℃)は1090mPa・sであった。なお、実施例1と同様にして分析して算出された下層液(Z-15)に含まれるジエタノールアミンの量は10重量%であった。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
<比較例1>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン7.5kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)2.5kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、80℃にて48時間加熱して分解工程を行ったが、ウレタンフォームが分解せず液状分解物は得られなかった。
【0057】
<比較例2>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン3.33kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)6.67kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、145℃にて48時間加熱して分解工程を行ったが、ウレタンフォームが完全には分解せず、液状分解物は得られなかった。
【0058】
<比較例3>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤として実施例15で得られた下層液(Z-15)7.5kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)2.5kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、145℃にて48時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を25℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、25℃下、1000Gで60分間遠心分離を行ったが、液状分解物は上層液と下層液に分離できなかった。
【0059】
<比較例4>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン7.5kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)2.5kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、145℃にて8時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を25℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、25℃下、1000Gで60分間、遠心分離を行ったが液状分解物は上層液と下層液に分離できなかった。
【0060】
<比較例5>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン7.5kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)2.5kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、145℃にて8時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を160℃まで昇温した後、遠心分離機(A-1)を用いて、160℃下、1000Gで7.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-16)及び下層液(Z-16)を分離し、回収した。
得られた上層液(Y-16)の水酸基価は80mgKOH/g、全アミン価は20mgKOH/g、粘度(25℃)は810mPa・sで、黒色液状であり、再生軟質ウレタンフォームに再利用することはできなかった。また、下層液(Z-16)の水酸基価は1540mgKOH/g、全アミン価は520mgKOH/g、粘度(25℃)は1020mPa・sで、黒色液状であり、ウレタンフォーム分解剤としての再利用することも、再生アミン系ポリオールの製造に用いることもできなかった。
【0061】
<比較例6>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン7.5kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)2.5kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、250℃にて4時間加熱して分解工程を行い液状分解物を得た。液状分解物を90℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、90℃下、1000Gで7.5分間、遠心分離を行い、ポリウレタンフォーム(X-1)の液状分解物の上層液(Y-17)及び下層液(Z-17)を分離し回収した。
得られた上層液(Y-17)の水酸基価は91mgKOH/g、全アミン価は30mgKOH/g、粘度(25℃)は960mPa・sで、黒色液状であり、再生軟質ウレタンフォームに再利用することはできなかった。また、下層液(Z-17)の水酸基価は1530mgKOH/g、全アミン価は530mgKOH/g、粘度(25℃)は1160mPa・sで、黒色液状であり、ウレタンフォーム分解剤としての再利用することも、再生アミン系ポリオールの製造に用いることもできなかった。
【0062】
<比較例7>
反応器に、ウレタンフォーム分解剤としてのジエタノールアミン8.57kg及び製造例1で得られたポリウレタンフォーム(X-1)1.43kgを投入することで混合工程を行い、反応器の内部を窒素置換した後、145℃にて8時間加熱して分解工程を行い、液状分解物を得た。液状分解物を90℃まで冷却した後、遠心分離機(A-1)を用いて、90℃下、1000Gで60分間、遠心分離を行ったが液状分解物は上層液と下層液に分離できなかった。
【0063】
【表4】
【0064】
<実施例16~19>
表5に示した配合処方に従って、ポリオールに、発泡剤、触媒及び整泡剤を混合し、更に有機ポリイソシアネートを混合して混合物(H)を得た。得られた混合物(H)を前述の発泡条件により発泡して、ポリウレタンフォーム(P)を作製した。
得られたポリウレタンフォーム(P)を温度25℃、湿度50%にて24時間静置した後、それぞれのポリウレタンフォーム(P)の25%圧縮硬さ、40%圧縮硬さ、反発弾性率、引張強度、伸び、引裂き強度及び乾熱圧縮永久歪みを測定し、結果を表5に示した。
なお、有機ポリイソシアネートについては、配合処方におけるイソシアネート指数が表5に記載のイソシアネート指数となる量の有機ポリイソシアネートを用いた。
【0065】
<比較例8>
表5に示した配合処方に従って、ポリオールに、発泡剤、触媒及び整泡剤を混合し、更に有機ポリイソシアネートを混合して混合物(H)を得た。得られた混合物(H)を前述の発泡条件により発泡して、ポリウレタンフォーム(P-8)を作製した。
得られたポリウレタンフォーム(P-8)を温度25℃、湿度50%にて24時間静置した後、それぞれのポリウレタンフォーム(P-8)の25%圧縮硬さ、40%圧縮硬さ、反発弾性率、引張強度、伸び、引裂き強度及び乾熱圧縮永久歪みを測定し、結果を表5に示した。
なお、有機ポリイソシアネートについては、配合処方におけるイソシアネート指数が表1に記載のイソシアネート指数となる量の有機ポリイソシアネートを用いた。
【0066】
ポリウレタンフォームの密度、25%圧縮硬さ、40%圧縮硬さ、反発弾性率、引張強度、伸び、引裂き強度及び乾熱圧縮永久歪みは以下に記載の方法で測定した。
【0067】
<密度>
JIS K6400に準拠して密度(kg/m)を測定した。
【0068】
<圧縮硬さ>
25℃の環境で温調したポリウレタンフォームを用いてJIS K6400に準拠して25%圧縮硬さ及び40%圧縮硬さを測定した(単位はN/314cm)。
【0069】
<反発弾性率>
反発弾性率は、JIS K6400に準拠した方法で測定した。
ウレタンフォームは、反発弾性率が15%以下のものが低反発とされる。
【0070】
<引張強度>
引張強度は、JIS K6400に準拠した方法で測定した。
【0071】
<伸び>
伸びは、JIS K6400に準拠した方法で測定した。
【0072】
<引裂き強度>
引裂き強度は、JIS K6400に準拠した方法で測定した。
【0073】
<乾熱圧縮永久歪み>
乾熱圧縮永久歪みは、JIS K6400に準拠した方法で測定した。
【0074】
【表5】
【0075】
<実施例20>
オートクレーブに、実施例1で得られた下層液(Z-1)100重量部、水酸化カリウム0.4重量部を投入し、反応温度が125~135℃を保つように制御しながら、1,2-プロピレンオキサイド(以下において、POと略記することがある)285重量部を滴下した後、130℃で2時間熟成した。60℃まで冷却した後、キョーワード600(協和化学工業(株)製)を7.7重量部及び水7.7重量部を投入して90℃で1時間処理し、水酸化カリウムを吸着させ、濾過を行い、減圧脱水した。
得られた化合物は、水酸基価400mgKOH/g、全アミン価135mgKOH/gであった。得られた化合物についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行い、グリセリンPO付加物が含まれていることが分かった。
【0076】
<実施例21>
オートクレーブに、実施例1で得られた下層液(Z-1)100重量部、水酸化カリウム9重量部を投入し、反応温度が125~135℃を保つように制御しながら、1,2-プロピレンオキサイド2650重量部を滴下した後、130℃で2時間熟成した。60℃まで冷却した後、キョーワード600(協和化学工業(株)製)を55重量部及び水55重量部を投入して90℃で1時間処理し、水酸化カリウムを吸着させ、濾過を行い、減圧脱水した。
得られた化合物は、水酸基価56mgKOH/g、全アミン価20mgKOH/gであった。得られた化合物についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行い、グリセリンPO付加物が含まれていることが分かった。
【0077】
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)>
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC-8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 [東ソー(株)製]
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 10μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)
分子量の測定は、0.25重量%になるように試料をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とした。
【0078】
実施例より、本発明のウレタンフォームのリサイクル方法により、軟質ウレタンフォームを分解することが出来、得られる上層液の水酸基価や全アミン価が低く、それを用いた場合のウレタン樹脂製造時の成形性が良好で、所望の硬度を有するウレタンフォームを再形成できていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のウレタンフォームのリサイクル方法により得られる上層液は、水酸基価や全アミン価が低く、それを用いた場合のウレタン樹脂製造時の成形性が良好で、所望の硬度を有するウレタンフォームを再形成できる。本発明のウレタンフォームのリサイクル方法により得られる上層液は、炭素数2~4のアルキレンオキサイドを付加することでポリオールを得ることが出来、さらに、ウレタンフォームを再形成することが可能である。
したがって、本発明は、ウレタンフォームの廃棄物処分の負荷軽減に有効である。