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特開2024-159626可燃性冷媒漏れ応答システムを備える製氷機、ならびに製氷機における可燃性冷媒漏れへの応答方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159626
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】可燃性冷媒漏れ応答システムを備える製氷機、ならびに製氷機における可燃性冷媒漏れへの応答方法
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/00 20060101AFI20241031BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20241031BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20241031BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F25C1/00 Z
F25D23/00 301P
F25D23/00 302M
F25B49/02 520M
F25B49/02 B
F25B1/00 341U
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024070030
(22)【出願日】2024-04-23
(31)【優先権主張番号】63/498,981
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/631,462
(32)【優先日】2024-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522044777
【氏名又は名称】トゥルー マニュファクチャリング カンパニー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】True Manufacturing Company, Inc.
【住所又は居所原語表記】2001 E Terra Lane, O’Fallon, MO 63366 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナット, ケヴィン ディー
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA25
3L345AA26
3L345GG23
3L345HH12
3L345HH28
3L345HH34
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製氷機における可燃性冷媒漏れに応答するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】製氷機は、可燃性冷媒が充填され、氷生成装置を冷却する圧縮駆動冷凍システムと、氷生成装置に水を供給する水システムとを用いる。制御システムは、冷凍システムで氷生成装置を冷却して、水システムによって氷生成装置に供給される水を氷にするように、水システムおよび冷凍システムを動作させる。天然ガスセンサは、天然ガス182を検出し、天然ガスの検出を示す検出信号を出力する。制御器160は、天然ガスセンサに接続され、検出信号を受ける。制御器は、検出信号を受けると、応答信号を出力する。応答信号はガス漏れ応答動作を開始するように機能する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部および外部を有するキャビネットと、
前記キャビネットに収容される氷生成装置と、
前記キャビネットに少なくとも一部が収容され、前記氷生成装置を冷却するための冷凍システムであって、可燃性冷媒が充填された圧縮駆動冷凍システムを有する冷凍システムと、
前記キャビネットに少なくとも一部が収容され、前記氷生成装置に水を供給するための水システムと、
前記冷凍システムによって前記氷生成装置を冷却することで前記水システムによって前記氷生成装置に供給された水を氷にするように、前記水システムおよび前記冷凍システムを動作させるための制御システムと、
を備え、
前記制御システムは、
前記キャビネット内に設けられ、天然ガスを検出し、天然ガスの検出を示す検出信号を出力するように構成された天然ガスセンサと、
前記天然ガスセンサに接続され、前記検出信号を受けるための制御器と、
を有し、
前記制御器は、前記検出信号を受けると、ガス漏れ応答動作を開始するための応答信号を出力するように構成される、製氷機。
【請求項2】
前記ガス漏れ応答動作は、警告表示を生成することを含む、請求項1に記載の製氷機。
【請求項3】
ネットワーク通信装置をさらに備え、
前記制御器は、前記ネットワーク通信装置を用いて、遠隔ユーザに前記警告通知を送るように構成される、請求項2に記載の製氷機。
【請求項4】
前記制御器は、前記冷凍装置において局地的に前記警告表示を生成するように構成される、請求項2に記載の製氷機。
【請求項5】
前記ガス漏れ応答動作は、前記冷凍装置の1つ以上の構成要素を停止することを含む、請求項1に記載の製氷機。
【請求項6】
前記キャビネット内に設けられたオゾン消毒装置をさらに備え、
前記ガス漏れ応答動作は、前記オゾン消毒装置を停止することを含む、請求項1に記載の製氷機。
【請求項7】
前記冷凍システムは、凝縮器ファンを有し、
前記ガス漏れ応答動作は、前記凝縮器ファンを動作させて前記キャビネットを排気することを含む、請求項1に記載の製氷機。
【請求項8】
前記凝縮器ファンは、耐スパーク性を有する、請求項7に記載の製氷機。
【請求項9】
前記冷凍システムは、圧縮機を有し、
前記ガス漏れ応答動作は、前記圧縮機を停止することを含む、請求項1に記載の製氷機。
【請求項10】
前記ガス漏れ応答動作は、前記冷凍装置を、通常動作モードから安全動作モードに切り替えることを含む、請求項1に記載の製氷機。
【請求項11】
前記ガス漏れ応答動作は、前記冷凍装置を停止することを含む、請求項1に記載の製氷機。
【請求項12】
前記冷凍システムの全体が、前記キャビネットの前記内部において、前記キャビネットの前記外部から密閉された密閉空間には配置されていない、請求項1に記載の製氷機。
【請求項13】
前記制御器は、前記応答信号に基づいて、前記キャビネット内の可燃性ガス濃度が第1閾値を超えるタイミングを判定し、第1ガス漏れ応答動作を開始するための第1応答信号を出力するように構成され、
前記第1ガス漏れ応答動作の開始後、前記制御器は、前記応答信号に基づいて、前記キャビネット内の可燃性ガス濃度が第2閾値を超えるタイミングを判定し、第2ガス漏れ応答動作を開始するための第2応答信号を出力するように構成される、請求項1に記載の製氷機。
【請求項14】
前記第1ガス漏れ応答動作は、前記製氷機のオペレータに通知を出すことを含む、請求項13に記載の製氷機。
【請求項15】
前記第2ガス漏れ応答動作は、(i)前記製氷機の1つ以上のスパーク要素を停止すること、(ii)前記製氷機を排気すること、および(iii)前記製氷機を安全モードに切り替えること、の少なくとも1つを含む、請求項14に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2023年4月28日に出願した、米国特許仮出願第63/498,981号の利益を主張するものであり、この米国特許仮出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、氷生成装置と直接的に熱接触する圧縮駆動冷凍システムを備えるタイプの製氷装置に関する。より具体的に、本開示は、プロパンなどの可燃性冷媒が冷凍システムに充填されたそのような製氷機に関する。
【背景技術】
【0003】
歴史的に、製氷機を含む冷凍装置は、ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒、例えばフロンが充填されてきた。しかし、HFCは、高い地球温暖化指数(GWP)を有することが知られており、産業界は、長年にわたり、プロパン(r290)などのより環境に優しい自然冷媒への切替えに関心を寄せてきた。いくつかの自然冷媒、例えばプロパンは、高い可燃性を有する。規制当局は、火事や爆発を軽減するために厳しい充填制限を課している。近年、いくつかの規制当局は、可燃性冷媒の充填制限の緩和を検討し始めた。
【発明の概要】
【0004】
ある局面において、製氷機は、内部および外部を有するキャビネットを備える。氷生成装置は、キャビネットに収容される。冷凍システムは、キャビネットに少なくとも一部が収容され、氷生成装置を冷却する。冷凍システムは、可燃性冷媒が充填された圧縮駆動冷凍システムを有する。水システムは、キャビネットに少なくとも一部が収容され、氷生成装置に水を供給する。制御システムは、冷凍システムによって氷生成装置を冷却することで水システムによって氷生成装置に供給された水を氷にするように、水システムおよび冷凍システムを動作させる。制御システムは、キャビネット内に設けられ、天然ガスを検出し、天然ガスの検出を示す検出信号を出力するように構成された天然ガスセンサを有する。制御器は、天然ガスセンサに接続され、検出信号を受ける。制御器は、検出信号を受けると、応答信号を出力するように構成される。応答信号は、ガス漏れ応答動作を開始するように機能する。
【0005】
その他の局面および特徴は、以下において明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本開示に係る製氷機の斜視図である。
図2図2は、製氷機の概略平面図である。
図3図3は、製氷機の冷凍システムおよび水システム、ならびにその制御システムの特定の構成要素の概略図である。
図5図5は、本開示に係る冷媒漏れに応答するための例示的な方法の工程および判定点を示すフローチャートである。
図6図6は、冷媒漏れに応答するための例示的な方法の工程および判定点を示す別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
各図を通して、同様の要素には同様の参照符号を付す。
【0008】
図1図3を参照すると、例示的な実施形態に係る製氷機が、参照番号103で示されている。本開示に包含される製氷機は、内部に製氷設備が保持されたキャビネット104を備える独立型の製氷装置である。好適には、製氷機キャビネットの内部は、(例えば、グリル106を介して)キャビネットの外部に少なくとも部分的に開放している。冷却装置を収容する密閉された内部空間がないことが、冷蔵庫や冷凍庫などの他のタイプの冷凍装置から製氷機103を区別する。図示の実施形態では、キャビネット104は、別個の氷ビンの頂部に設置可能なタイプの製氷ヘッド用である。本開示に包含される製氷機の別の実施形態では、氷ビンは、キャビネットに組み込まれる。
【0009】
本開示に包含される製氷機は、広くは、水から氷片を形成し得る氷生成装置と、氷生成装置に水を導くための水システムと、氷生成装置に存在する液体の水の少なくとも一部が凍って氷になる温度まで氷生成装置を直接的に冷却するように構成された冷凍システムとを備える。氷生成装置と、水システムおよび冷凍システムの少なくとも特定の部分とは、キャビネット104に収容されている。本開示に包含される製氷機は、r290プロパンなどの可燃性冷媒が充填される。詳しくは後述するように、製氷機103は、冷媒漏れを検出して当該漏れに自動的に対処し、それにより火事や爆発を軽減するように構成された冷媒漏れ応答システムを備える。漏れ応答システムによると、より多くの可燃性冷媒(例えば、200g~500gの包括的範囲のr290など、150g超のr290)を冷凍システムに充填することが可能となる。本開示では、冷媒漏れ応答システムについて詳しく説明する前に、まず製氷機103の概要を提示する。
【0010】
図示の実施形態では、製氷機は、氷生成装置を構成する概ね縦向きの冷凍プレート110を備えるタイプのバッチ製氷機である。ナゲット製氷機や縦型スプレー製氷機などの他のタイプの製氷機も、本開示の範囲に含まれる。ナゲット製氷機において典型的な氷生成装置は、シリンダに沿って氷を動かすオーガに連結された冷却シリンダであり、縦型スプレー製氷機において典型的な氷生成装置は、縦向きに噴霧された水を受けるための下方に開口する製氷型を有しかつ当該型内で水が氷になる横向きの冷凍プレートである。
【0011】
製氷機103の冷凍システムは、圧縮機112と、凝縮器114(広くは、排熱用熱交換器)と、冷媒の温度および圧力を下げるための冷媒膨張装置118と、冷凍プレート110の背面に沿う蒸発器120と、ホットガス弁124とを備える。圧縮機112は、定速圧縮機または広範囲の動作制御性を提供する可変速圧縮機であってもよい。圧縮機112は、冷媒ラインを介して、凝縮器114、膨張装置118、蒸発器120、およびホットガス弁124に可燃性冷媒(例えば、r290プロパン)を循環させる。
【0012】
図示の実施形態では、排熱用熱交換器114は、圧縮機112から吐出された圧縮状態の可燃性冷媒蒸気を凝縮させるための凝縮器である。別の実施形態では、排熱用熱交換器は、冷媒を凝縮させることなく、冷媒から熱を取り除くことができる。図2では、凝縮器114は、2つの対向するヘッダ管および当該ヘッダ管の間を延びるマイクロチャネル要素の列を備えるタイプのマイクロチャネル熱交換器として概略的に示されている。しかしながら、任意の適当なタイプの凝縮器が、本開示の範囲を逸脱することなく使用可能であることを理解されたい。
【0013】
図示の実施形態では、凝縮器114は、空冷されるように構成される。凝縮器114は、キャビネット104のグリル106と、キャビネットの後壁107の開口との間に配置される。キャビネット104の後壁の開口は、凝縮器114への入口を構成する。1つ以上の実施形態において、開口は、フィルタ(図示せず)で覆われる。別の実施形態では、凝縮器114は、サイドグリルとキャビネットの後壁の開口との間に、または凝縮器114と外気との間の熱交換を可能とする任意のその他の位置に配置されてもよい。図示の実施形態では、冷凍システムは、凝縮器114とグリル106との間に配置された凝縮器ファン115を備える。冷凍中に駆動されると、凝縮器ファン115は、順方向に動作し、凝縮器114を介して外気を引き込む。凝縮器114は、可燃性冷媒から外気流れへ熱を排出し、温かい空気がグリル106を介してキャビネット104から放出される。例示的な実施形態では、凝縮器ファン115は、ノンスパークファンモータを有するノンスパークファンであり、高濃度の可燃性天然ガスがキャビネット104内に存在するときでも動作可能である。特定の実施形態では、凝縮器ファン115は、少なくとも通常速度および高速度を含む複数の速度設定を有する可変速ファンである。特定の実施形態では、凝縮器ファンは、塵埃やごみを凝縮器から吹き飛ばし、より効率的に動作するよう凝縮器を清掃するために、定期的に逆転動作されてもよい。
【0014】
ホットガス弁124は、圧縮機112からの圧縮状態の冷媒が凝縮器114をバイパスすると共に、当該温かい冷媒が蒸発器120に直接的に導かれるように、選択的に開かれるように構成される。当業者に公知のように、ホットガス弁124は、回収サイクル中に、冷凍プレート110を温めて、それが有する氷を溶かして冷凍プレートから氷ビン(図示せず)へ落とすために使用される。
【0015】
冷媒膨張装置118は、キャピラリチューブ、サーモスタット膨張弁、または電子膨張弁など、任意の適当なタイプのものであってもよい。特定の実施形態では、冷媒膨張装置118がサーモスタット弁または電子膨張弁で構成され、製氷機110は、冷媒膨張装置118を制御するために蒸発器120の出口に配置された温度センサ126を備えてもよい。別の実施形態では、冷媒膨張装置118が電子膨張弁で構成され、製氷機110は、当該分野で公知の態様で冷媒膨張装置118を制御するために蒸発器120の出口に配置された圧力変換器(図示せず)を備えてもよい。
【0016】
図示の製氷機10の水システムは、サンプ130と、水ポンプ132と、水ライン134(広くは、流路)と、水位センサ136とを備える。水ポンプ132は、定速ポンプまたは広範囲の制御性を提供する可変速ポンプであってもよい。製氷機103の水システムは、さらに、水源(例えば、都市用水設備)からの水でサンプ130を満たすための給水ライン138および入水弁140を備える。図示の水システムは、さらに、サンプ130から水を排出するための排水ライン142(排水流路または排出ラインともいう。)と、これに設けられ、サンプ130から水を排出するための排水弁144(例えば、パージ弁、排水弁、広くはパージ装置)とを備える。サンプ130は、冷凍プレートから落ちる水を捕捉するために冷凍プレート110の下方に配置されてもよく、これにより冷凍プレートから落ちる比較的冷たい水が水ポンプ132によって再循環され得る。水ライン134は、冷凍プレートの上の水分配器146に水ポンプ132を流体的に接続する。氷バッチ生成サイクル中、ポンプ132は、水ライン134および分配器146を介して水を汲み上げるように構成される。分配器は、冷凍プレート110の表面に均一に分配するように構成され、水は、冷凍プレートに沿って下方に流れ、液体として凍るか、あるいは冷凍プレートの底部からサンプ130へ落ちる。図示の実施形態では、水システムは、さらに、氷を作るために製氷機103に与えられる水を濾過するように構成された水フィルタ147を備える。
【0017】
例示的な実施形態では、水位センサ136は、遠隔気圧変換器148を備える。しかしながら、フロートセンサ、音響センサ、または電気導通センサを非限定的に含む任意のタイプの水位センサが製氷機103において使用されてもよいことを理解されたい。図示の水位センサ136は、当該センサをサンプ130に結合するように構成された継ぎ手150を備える。継ぎ手150は、気送管152に流体的に接続される。気送管152は、継ぎ手150と気圧変換器148とを流体的に接続する。サンプ130内の水は、継ぎ手150内の空気を捕捉し、サンプ内の水位に伴って変化する量によって当該空気を圧縮する。よって、サンプ130内の水位は、気圧変換器148が検出する圧力を用いて求めることができる。遠隔気圧変換器を備える水位センサの例示的な実施形態のさらなる詳細については、米国特許出願公開第2016/0054043号明細書に開示されており、当該明細書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0018】
図1に示すタイプの例示的な製氷機は、2021年1月13日に出願され、製氷機と題された米国特許出願第17/147,965号により詳しく記載されており、この米国特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0019】
図3および図4を参照すると、製氷機103は、制御器160を含む制御システムを備える。制御器160は、製氷機103の動作を制御するための、例えば冷凍システムおよび水システムの少なくとも一方を制御するための少なくとも1つの演算装置162を備える。制御器160の演算装置162は、当該演算装置に処理を実行させるための命令を示すコードを記憶する非一時的な演算装置読み取り可能媒体を備えてもよい。演算装置162は、例えば、1つ以上の特定機能を実現するように、または1つ以上の特定の装置やアプリを使用可能にするように設計された、市販のマイクロプロセッサ、エーシック(ASIC)、または組合せASICであってもよい。特定の実施形態では、制御器160は、アナログもしくはデジタル回路、または複数回路の組合せであってもよい。また、制御器160は、制御器が読み出し可能な形式でデータを記憶する1つ以上のメモリ要素164を備えてもよい。制御器160は、1つ以上のメモリ要素164にデータを格納し、またはこれからデータを読み出してもよい。
【0020】
図示の実施形態では、制御システムは、表示部(および/または、光パネルやスピーカなどの別の指示器)を含むユーザインタフェース装置220をさらに備える。例えば、1つ以上の実施形態において、ユーザインタフェース装置220は、製氷機103の外面に取り付けられたローカルのタッチスクリーン表示部を有する。制御器160は、ユーザインタフェース装置220に接続されていて、当該インタフェース装置へのユーザ入力を受けると共に、1つ以上の表示スクリーンを表示部に表示するようにユーザインタフェース装置を制御する。
【0021】
装置制御システムは、さらに、装置103を、遠隔資産管理システム105と通信するためのネットワーク107(例えば、インターネットまたはインターネット外のセルラーサブネット)に接続するように構成されたネットワークインタフェース170を備える。換言すると、ネットワークインタフェース170は、装置103のローカル制御器160と遠隔資産管理システム105との間の通信を提供するように構成される。装置のための資産管理システムにおいて使用される通信アーキテクチャの例示的な実施形態は、米国特許第9,863,694号により詳しく記載されており、この米国特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。製氷機102のような装置のための資産管理システムにおいて使用される通信アーキテクチャの別の例示的な実施形態は、米国特許仮出願第63/393,092号に記載されており、この米国特許仮出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。通信アーキテクチャに関する追加的な情報は、国際出願第PCT/US23/29025号に記載されており、この国際出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。図示のネットワークインタフェース170は、セルラー式データ送受信装置またはWi-Fi送受信装置などのワイヤレス送受信装置を備える。特定の実施形態では、ネットワークインタフェース170は、米国特許第11,537,631に記載されるタイプのモジュール上データシステム(DSOM)を備えてもよい。別タイプのネットワークインタフェース(例えば、有線のインターネットポートなど)も、本開示の範囲を逸脱することなく使用可能である。ネットワークインタフェース170は、広くは、装置103から資産管理システム105へ動作データ(広くは、データ対象物)を渡すと共に、資産管理システムから装置へ命令(広くは、データ対象物)を渡すように構成される。メンテナンス遵守作業を実行するための例示的な資産管理システムは、2022年3月4日に出願され、冷凍装置を監視するためのシステムおよび方法と題された米国特許出願第17/686,986号により詳しく記載されており、この米国特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0022】
システム105は、クラウドアプリケーションをホストするためのクラウドサーバシステムを備えてもよい。したがって、1つ以上の実施形態では、資産管理ソフトウェアは、クラウドベースのソフトウェアプラットフォームである。とりわけ、クラウドベースソフトウェアは、資産管理システム105に接続された各製氷機103に対応するプッシュ通知連絡情報(例えば、携帯電話番号および/またはeメールアドレス)のデータベースを維持してもよい。特定の実施形態では、クラウドソフトウェアは、記憶されるプッシュ通知連絡情報を用いて、オペレータに対して特定の通知を自動的に送るように構成される。
【0023】
製氷機制御システムは、さらに、衛生および安全サブシステムを備える。図示の実施形態では、これらのサブシステムは、製氷機消毒装置180を含む。様々な製氷機消毒装置が、当業者に知られている。例えば、いくつかの製氷機消毒装置180は、低温酸素プラズマまたはUVフォトプラズマを生成する高エネルギーの紫外線を放射する1つ以上のUV-Cおよび/またはUV-Vランプを備えており、それにより製氷機内面の微生物や細菌が低減される。別の製氷機消毒装置は、オゾンを生成する高電圧放電を行うためのコロナ放電電極を用いてもよく、それもまた有機物と反応して製氷機内面の微生物や細菌を低減する。制御器160は、製氷機消毒装置180に機能的に接続され、指令にしたがって消毒装置を作動および停止する。
【0024】
図示の実施形態では、製氷機安全サブシステムは、キャビネット104内に配置され、可燃性天然ガスを検出すると共に、天然ガス検出を示す検出信号を出力するように構成された天然ガスセンサ182を備える。好適には、ガスセンサ182は、製氷機の冷凍システムに充填されるタイプの可燃性冷媒を検出するために特別に較正された専用のガスセンサであってもよい。汎用のハイドロカーボン可燃性ガスセンサも、本開示の範囲を逸脱することなく使用可能である。ガスセンサ182は、制御器に検出信号を送るために制御器160に機能的に接続される。1つ以上の実施形態では、ガスセンサ182は、キャビネット104内における可燃性冷媒ガスの危険濃度(例えば、それを下回ると燃焼が生じない爆発(可燃)下限界濃度(「LEL/LFL」)の50%を超える量の可燃性ガス。プロパンのLEL/LFLは2.1体積%または21,000ppm)を検出した場合にのみ制御器160に信号を送る。このタイプのガスセンサ182は、安全スイッチと呼ばれ得る。別の実施形態では、ガスセンサ182は、キャビネット104内で検出される可燃性冷媒量の測定値について、連続的または定期的に制御器160へ信号を送る。
【0025】
好ましくは、ガスセンサ182は、常時オンの装置である。したがって、1つ以上の実施形態では、製氷機103は、ガスセンサ182、制御器160、および、詳しくは後述するようにガス漏れに対処するために使用される1つ以上の出力要素(例えば、表示部220および/または凝縮器ファン115)を含む安全サブシステムに電力供給するためのバッテリーバックアップ電源システムを備えてもよい。そのため、主電源が失われた場合、安全サブシステムは、冷媒ガス漏れを検出して動作するように機能し続けることができる。
【0026】
任意の適当なタイプの天然ガスセンサ182が、本開示の範囲を逸脱することなく使用可能である。1つ以上の実施形態では、センサ182は、赤外線ガス検出器を備えてもよい。赤外線ガス検出器は、赤外線ライトと、適切な波長の光を選択する光学フィルタと、赤外線ライトから離間した赤外線受信機とを有する。赤外線ライトと受信機との間の空間の気体は、赤外線エネルギーの一部を吸収する。r290冷媒などの可燃性天然ガスは、外気よりも多くの赤外線エネルギーを吸収する。よって、受信機は、自身が受け取ったエネルギーの低下として可燃性ガスの存在を検出し、キャビネット104内に可燃性冷媒が存在することを示す信号を制御器160に出力することができる。
【0027】
別の実施形態では、ガスセンサ182は、半導体ガス検出器を備えてもよい。半導体ガス検出器は、可燃性冷媒ガスと反応する材料の薄い層を利用し、それによりセンサの導電性に変化が生じる。導電性の変化が生じると、ガス検出器は、キャビネット104内に可燃性冷媒が存在することを示す信号を制御器160に送ってもよい。
【0028】
別の実施形態では、ガスセンサ182は、1つ以上の爆発下限界濃度(「LEL」)ガスセンサを備える。LELガスセンサは、可燃性ガスの存在下で熱を放出する触媒材料で被覆された検出素子を使用する。この放熱を測定するために、センサは、検出素子から放出された熱でその抵抗値が変化するホイートストンブリッジ回路を有する。LELセンサは、通常、ガス濃度の範囲にわたって解像度が低い。そのため、ガス濃度によって変化する測定出力信号を提供する代わりに、それらは、通常は可燃性ガスのLELの分数パーセンテージ、例えば25%LELの、特定の閾値濃度のガスが存在するときに信号を出力するように較正された安全スイッチとして構成される。
【0029】
さらに別の実施形態では、ガスセンサ182は、光イオン化検出器を備えてもよい。光イオン化検出器(PID)は、紫外光を用いてサンプル内のガス分子をイオン化するガス検出装置である。イオン化プロセスによってイオン(例えば、電子)が生じ、それが装置のセンサによって検出される。生じたイオンの数は、サンプル内の可燃性ガスの濃度に直接的に比例し、ガス濃度レベルの精確な測定が可能であり、実質的な測定範囲にわたりガス濃度によって変化する出力信号が提供される。
【0030】
次に、本開示は、製氷機103が通常使用時、氷を作って回収するためにどのように使用されるかについて、冷媒漏れに応答して火事や爆発を軽減するための工程を説明する前に、その概要を提示する。通常の使用において、制御器160は、概して、連続した氷バッチ生成サイクルを実行するように構成される。各氷バッチ生成サイクルは、氷を固めるステップ(凍結ステップ)と、氷を回収するステップ(回収ステップ)と、サンプ130を充填するステップ(充填ステップ)とを備える。少なくとも一部の氷バッチ生成サイクルは、1回分の氷が形成された後でサンプが再充填される前にサンプ130から硬水を除去するステップ(除去ステップ)を備える。
【0031】
ここで、例示的な実施形態に係る典型的な氷バッチ生成サイクルについて簡潔に説明する。凍結ステップにおいて、冷凍システムは、冷凍プレート110を冷却するように動作される。同時に、ポンプ132は、サンプ130から水ライン134および分配器146を介して水を循環させる。分配器146は、冷凍プレート110の頂部に沿って水を分配する。冷凍プレート110の表面を水が流れ落ちる際、いくらかの水が凍って氷になり、冷凍プレート上に氷片が形成されて徐々に分厚くなっていく。凍らなかった水は、冷凍プレート110から流れ落ちてサンプ130内に戻る。
【0032】
氷が回収に適した厚みに達すると、制御器160は、凍結ステップから氷回収ステップに切り替わる。ポンプ132はオフ状態にされ、高温の冷媒ガスを蒸発器120に流すためにホットガス弁124が開かれる。ホットガスにより冷凍プレート110が加熱され、氷が溶ける。溶けかけの氷は冷凍プレートから落ちて下方の氷ビン(図示せず)に入る。ホットガス弁124は、回収センサ166が示すように、冷凍プレートから氷が落ちた後に閉じられる。
【0033】
さらなる氷バッチ生成サイクルが始まる前に、サンプ130を再充填する必要がある。サンプは、製氷機が各氷バッチ生成サイクルを開始する製氷水位よりも低い循環終了水位を有する。よって、続く凍結ステップを開始する前に、制御器160は、入水弁140を開いて新しい給水をサンプ130内へ導く。水フィルタ147は、サンプ内に導かれる水を濾過する。制御器160は、水位センサ136から制御器に対してサンプ130内の水位が製氷水位に達したことが伝えられると、入水弁140を閉じる。詳しくは後述するように、図示の実施形態では、制御器160は、サンプ130を製氷水位まで満たすために入水弁140が開いていた時間量を監視するように構成される。
【0034】
少なくとも定期的に、新しい氷生成サイクルを開始する前に、サンプ130から一部の水を除去することが有益である。このことは、凍結ステップにおいて、冷凍プレート110の表面を水が流れ落ちる際、より純度の高い水が凍るため、カルシウムやその他のミネラルなどの水中不純物が液状の水に残るために有利である。よって、各凍結ステップにおいて、水中の不純物濃度が上昇する。過剰な不純物濃度は、製氷機の性能を早期に低下させ、ひいては製氷機を動作不能にし得る。よって、定期的に、制御器160は、充填ステップの前に、排水弁144を開くことで、循環終了水位から除去閾値水位になるまで、サンプ130から残された水の一部を除去する除去ステップを実行する。排水弁144は、ある適当なタイプの除去機構であるが、他のタイプの除去機構(例えば、能動的な排水ポンプ)も、本開示の範囲を逸脱することなく、上述の除去ステップを実行するために使用可能である。例示的な実施形態では、ユーザインタフェース装置220により、ユーザは、除去サイクルの頻度を選択的に設定することや、製氷機103の除去閾値水位を設定することができる。
【0035】
図5を参照すると、冷媒漏れに応答するための例示的な方法が、参照番号500で示されている。初期ステップ502において、制御器160は、ガスセンサ182からの出力を監視する。判定点504において、制御器160は、ガスセンサ182からの出力が、キャビネット内の可燃性冷媒の危険量を示しているか否かを判定する。示されていなければ(No)、制御器は、ガスセンサ182からの出力を監視し続ける(ステップ502)。示されていれば(Yes)、ステップ506において、制御器160は、ガス漏れ応答動作を開始するように機能する応答信号を出力する。上述のように、ガスセンサ182は、可燃性冷媒の危険量が検出された場合にのみ制御器に信号を送るように構成されてもよく、またはキャビネット内で検出される可燃性ガスの量の測定値を連続的または定期的に制御器に送るように構成されてもよい。後者の場合、判定点504において、制御器160は、可燃性冷媒の測定量が所定の安全閾値(例えば、LEL/LFLの1%~50%の包括的範囲内の閾値)を超えているか否かを判定し、可燃性冷媒の測定量が安全閾値を超えた場合にステップ506に進む。(安全閾値などの制御パラメータは、好適には、制御器メモリ164のレジスタに格納される。)
【0036】
図示の実施形態では、ステップ506における制御器の出力は、複数のガス漏れ応答動作を並行して開始させる。一態様に係る応答は、警告および通知サブルーチン507を備え、それには、製氷機103において制御器160がローカル警告表示を生成するステップ508が含まれる。このローカル警告表示は、好適には、表示部220に表示されてもよいし、および/またはブザーもしくはその他のスピーカ装置を介して聴覚的に生成されてもよい。並行して、ステップ510において、制御器160は、ネットワークインタフェース170を用いて、遠隔資産管理システム105に、潜在的に危険な冷媒漏れが検出された旨の信号を送る。それに応じて、ステップ512において、資産管理システム105は、製氷機オペレータが潜在的に危険な状況にリアルタイムで気づくよう、製氷機オペレータに通知を出す。
【0037】
警告および通知サブルーチンと並行して、制御器は、停止および排気サブルーチン520を実行する。このサブルーチンでは、制御器160は、可燃性冷媒が発火しないように製氷機103のスパーク要素(sparking components)を自動的に停止する。例えば、ステップ522において、制御器160は、圧縮機122を停止し、ステップ524において、制御器は、消毒装置180を停止し、ステップ525において、制御器は、水ポンプ132を停止する。圧縮機112の停止は、発火の抑制に加えて、第2の目的に貢献する。冷凍システムにおける冷媒の圧縮が止まり、それにより漏れの速度が低下し得る。
【0038】
停止および排気サブルーチン520は、さらに、凝縮器ファン115を作動させ、グリル106を介してキャビネット104を排気するステップ526を備える。500gオーダーの可燃性冷媒の高充填を伴っても、システム内の可燃性冷媒の総量は、製氷機103が設置される典型的な部屋の空気全体に希釈された場合、可燃性リスクをもたらさない。よって、キャビネット104を排気することで、漏れている可燃性ガスが安全な濃度まで希釈される。1つ以上の実施形態では、ステップ526において、制御器160は、少なくとも、ガスセンサ182が可燃性冷媒ガスの危険濃度を検出しなくなるまで、キャビネット104を連続的に排気するように凝縮器ファン115を動作させる。特定の実施形態では、ステップ526は、ガスセンサ182が可燃性冷媒ガスの危険濃度を検出しなくなるまで凝縮器ファン115を動作させることと、その後、所定の時間長(例えば、5分間以上)にわたってキャビネット104を排気するように凝縮器ファン115を動作させ続けることとを含む。
【0039】
密閉された内部空間を有する冷蔵庫や冷凍庫と違って、製氷機キャビネット104の内部は、周囲環境と連通している。したがって、製氷機103に、追加的な排気ファンや閉鎖可能な排気ダクトを設ける必要はない。発明者は、凝縮器ファン115が、補助的な排気システムなしでキャビネット104を適切に排気できると信じるが、追加的な補助排気ファンを設けることも、本開示の範囲を逸脱することなく可能である。発明者は、補助的な排気ファンが、停止および排気サブルーチン520において、凝縮器ファン115と並行して動作され得ると考える。しかし、場合によっては(例えば、凝縮器ファン115がノンスパークではなく、補助排気ファンがノンスパークである場合)、凝縮器ファンの代わりに補助排気ファンを動作させることが望ましいかも知れない。図2を参照すると、補助排気ファンが設けられる場合、グリル106のすぐ後ろの位置SEFL1、および/または凝縮器ファン115から離れたキャビネット壁部の開口内の別の位置SEFL2に補助排気ファンを配置することが有益であり得る。
【0040】
停止および排気サブルーチン520は、さらに、製氷機103を「安全モード」に切り替えるステップ528を備える。1つ以上の実施形態では、安全モード動作において、制御器160は、資格をもったユーザ(例えば、認定された装置サービス技術者)から、冷凍システムが使用するのに安全である旨の入力を受けるまで、圧縮機112を通常動作させないようにする。判定点530を参照されたい。例えば、1つ以上の実施形態では、資格をもったユーザは、通常の製氷機動作を再開するのに安全であることを確かめて製氷機が通常動作に戻るのを許可するために、ユーザインタフェース装置220にパスワードを入力しなければならない。
【0041】
図6を参照すると、冷媒漏れに応答するための別の例示的な方法が、参照番号600で示されている。方法600は、可燃性ガスの漏れの検出に対して二段階の応答を行う点を除いて、方法500と同様である。すなわち、方法600では、制御器は、まず、製氷機キャビネット104内の可燃性冷媒濃度が第1閾値を超えるタイミングを判定して第1応答動作を行い、次に、製氷機キャビネット内の可燃性冷媒濃度がより大きい第2閾値を超えるタイミングを判定して第2応答動作を行う。二段階応答を容易にするため、ガスセンサ182は、キャビネット104内の可燃性冷媒ガスの測定濃度に伴って変化する信号を出力する装置を備えてもよい。あるいは、ガスセンサは、第1および第2安全スイッチを備えてもよく、ここで、第1安全スイッチは、キャビネット104内の可燃性ガス濃度が第1閾値を超えた場合に制御器160に検出信号を出力するように較正され、第2安全スイッチは、キャビネット104内の可燃性ガス濃度がより大きい第2閾値を超えた場合に制御器に検出信号を出力するように較正される。
【0042】
初期ステップ602において、制御器160は、ガスセンサ182からの出力を監視する。判定点604において、制御器160は、ガスセンサ182からの出力が、製氷機キャビネット104内に第1(より低い)安全閾値を超える可燃性冷媒ガス濃度が存在することを示しているか否かを判定する。1つ以上の実施形態では、第1安全閾値は、冷媒に対応するLEL/LFLの約1%~約25%の包括的範囲(例えば、LEL/LFLの約10%~約25%の包括的範囲)に含まれる。例えば、一実施形態では、第1安全閾値は、可燃性冷媒ガスに対応するLEL/LFLの約10%である。別の実施形態では、LEL/LFLは、可燃性冷媒ガスに対応するLEL/LFLの約25%である。
【0043】
第1安全閾値を超える可燃性冷媒濃度が検出されない場合、制御器160は、ガスセンサ182からの出力を監視し続ける(ステップ602)。キャビネット104内の可燃性冷媒濃度が第1安全閾値を超えている旨のガスセンサ182からの指標を制御器160が受けた場合、ステップ606において、制御器160は、ネットワークインタフェース170を用いて、遠隔資産管理システム105に、潜在的に危険な冷媒漏れが検出された旨の信号を送る。それに応じて、ステップ608において、資産管理システム105は、製氷機オペレータが潜在的に危険な状況にリアルタイムで気づくよう、製氷機オペレータに通知を出す。
【0044】
続いて、ステップ610において、制御器160は、製氷機キャビネット104内の可燃性冷媒濃度がより大きい第2安全閾値を超えているか否かを判定点612で判定するために、ガスセンサ182からの出力を監視し続ける。第2安全閾値は、第1安全閾値よりも大きい。1つ以上の実施形態では、第2安全閾値は、冷媒に対応するLEL/LFLの約25%~約55%の包括的範囲(例えば、LEL/LFLの約25%~約50%の包括的範囲)に含まれる。例えば、一実施形態では、第1閾値は、LEL/LFLの約25%である。別の実施形態では、LEL/LFLは、LEL/LFLの約40%である。
【0045】
ガスセンサ182からの出力が、第2安全閾値までの可燃性冷媒濃度のさらなる増大を示さず、かつ製氷機103が正常に機能し続けている場合、第1安全閾値を超えるガスの検出は、製氷機の冷凍システムからの冷媒漏れに関係しない過渡状態によるものだったかも知れない。したがって、図示の方法600は、制御器が、(例えば、ユーザインタフェース220または遠隔資産管理システム105を介して)警告通知を却下する入力をオペレータが行ったか否かを判定する判定点614を備える。警告通知を却下する正当な入力を受けた場合、制御器160は、方法600のステップ602に戻る。
【0046】
一方、判定点612において、制御器160が、キャビネット104内の可燃性冷媒ガス濃度が第2安全閾値を超えていることを示すガスセンサ182からの信号を受けた場合、制御器160は、第2段階の冷媒漏れ応答プロセスを実行する。図示の実施形態では、第2段階の冷媒漏れ応答プロセスは、制御器160が、製氷機103においてローカル警告通知を生成するステップ621を含む。並行して、ステップ622,623,624において、制御器160は、圧縮機112、消毒装置180、および水ポンプ132を停止する。第2段階の応答プロセスのステップ625において、制御器160は、凝縮器ファン115(および/または補助排気ファン)を作動して、グリル106を介してキャビネット104を排気する。上述のように、制御器160は、ガスセンサ182が可燃性冷媒ガスの危険濃度を検出しなくなるまで当該ファンを連続的に動作させてもよく、また必要に応じて、その後、所定の時間長(例えば、5分間以上)にわたってキャビネット104を排気するために凝縮器ファン115を動作させ続けてもよい。第2段階の応答プロセスは、さらに、資格をもったユーザ(例えば、認定された装置サービス技術者)から、冷凍システムが使用するのに安全である旨の入力を受けるまで、製氷機103を安全モードに切り替えるステップ626を含む。判定点627を参照されたい。
【0047】
お分かりのように、本開示は、製氷機における可燃性冷媒漏れに応答するためのシステムおよび方法を提供する。規制による可燃性冷媒の充填制限のため、また(冷蔵庫や冷凍庫に対して)製氷機103には冷凍を収容する密閉空間がないという事実のために、これまでは、製氷機において可燃性冷媒を使用することからくる深刻な火事のリスクは存在しなかった。発明者は、上述の可燃性冷媒漏れに応答するためのシステムおよび方法が、将来製造される製氷機により多くの可燃性冷媒が充填されるとしても、火事のリスクをさらに低減し得ることを確信する。
【0048】
本開示の実施形態は、以下に詳しく説明するように、様々なコンピュータハードウェアを含む専用コンピュータを備えてもよい。
【0049】
説明の便宜上、プログラムやその他の実行可能なプログラム要素は、離散ブロックとして示されてもよい。しかしながら、そのようなプログラムや要素は、演算装置の異なる記憶要素に様々なタイミングで存在し、当該装置のデータ処理装置によって実行されることが認められる。
【0050】
例示的なコンピュータシステム環境と関連して記述されるが、本発明の各局面の実施形態は、別の専用コンピュータシステム環境または構成と共に実施可能である。コンピュータシステム環境は、本発明の各局面の使用範囲や機能を何ら制限しない。また、コンピュータシステム環境は、例示的な動作環境で示された構成要素のいかなる組合せに関しても、依存関係や要求を有するものとして解釈されるべきでない。本発明の局面における使用に適し得るコンピュータシステム、環境、および/または構成は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、携帯用もしくはラップトップ装置、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、セットトップボックス、プログラマブル家電、携帯電話、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、これらのシステムもしくは装置を任意に含む分散コンピュータ環境などを含むが、これらに限られるものではない。
【0051】
本開示の各局面の実施形態は、プログラムモジュール、1つ以上の有形の不揮発性記憶媒体に記憶され、かつ1つ以上の演算装置またはその他の装置によって実行される、データおよび/または演算処理可能な指示の一般的文脈で記述されてもよい。概して、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、およびデータ構造を含むが、これらに限られるものではない。また、本開示の局面は、通信ネットワークを介して繋がった複数の遠隔処理装置によってタスクが実行される分散コンピュータ環境で実施されてもよい。分散コンピュータ環境では、メモリ記憶装置を含むローカルおよび遠隔の両方の記憶媒体にプログラムモジュールが配置されてもよい。
【0052】
動作時には、プロセッサ、コンピュータ、および/またはサーバが、本発明の局面を実施するために本明細書で説明したようなプロセッサ実行可能な指令(例えば、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェア)を実行してもよい。
【0053】
実施形態は、プロセッサ実行可能な指令で実現されてもよい。プロセッサ実行可能な指令は、有形のプロセッサ読み取り可能な記憶媒体において、1つ以上のプロセッサ実行可能なコンポーネントまたはモジュールに編成されてもよい。また、実施形態は、任意の数のそのようなコンポーネントまたはモジュールの任意の編成により実現されてもよい。例えば、本開示の局面は、図面に示されて本明細書で説明された、特定のプロセッサ実行可能な指令あるいは特定のコンポーネントやモジュールに限定されない。別の実施形態は、図示されて本明細書で説明されたものと異なるプロセッサ実行可能な指令、あるいはそれよりも多いもしくは少ない機能を有するコンポーネントを具備してもよい。
【0054】
本明細書で図示して説明した本開示の局面に係る動作の実行または実施の順序は、特段の記載がない限り必須ではない。すなわち、特段の記載がない限り、各動作は任意の順序で実行されてもよく、各実施形態は、本明細書で開示されるよりも多くのまたは少ない動作を含んでもよい。例えば、特定の動作を、別の動作に対して前に、同時に、または後に実行または実施することが本発明の範囲に含まれることが考えられる。
【0055】
本発明またはその実施形態の要素を導入する場合、「a」、「an」、「the」、および「said」の冠詞は、当該要素が1つ以上存在することを意味する。「備える」、「含む」、および「有する」の語は、包括的であって、挙げられた要素以外の追加的な要素が存在し得ることを意味する。
【0056】
図示されるか説明された構成要素は、全てが必要な訳ではない。また、実施例または実施形態によっては、追加的な構成要素を含み得る。構成要素の配置やタイプは、本明細書に添付の特許請求の範囲の精神または範囲を逸脱することなく変更可能である。さらに、異なるまたはより少ない構成要素が設けられてもよく、構成要素が組み合わせられてもよい。それに代えてまたは加えて、1つの構成要素は、複数の構成要素で実現されてもよい。
【0057】
上記の説明は、限定的にではなく例示的に実施形態を記述するものである。この説明により、当業者が本発明の局面を製造して使用することが可能となり、本発明の局面の複数の実施形態、適用例、変形例、代替例、および使用が記述され、そこには本発明の局面を実施するためのベストモードであると現時点で信じられるものが含まれる。また、本発明の局面は、その適用において、以下の説明や図面に示された構成要素の構造や配置の細部に限定されない。本発明の局面は、その他の実施形態や様々な態様で実施または実行することが可能である。また、本明細書で使用される用語や専門語は、説明のためのものであって、限定的に解釈されるべきでないことを理解されたい。
【0058】
添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な改変や変形が可能であることは明らかであろう。本発明の範囲を逸脱することなく上述の構造や方法を様々に変更することが可能であるため、上記の説明に含まれかつ添付の図面に示された全ての事項は、限定的なものではなく説明的なものとして解釈されるべきである。
【0059】
以上より、本発明の局面の複数の利点が実現されると共に、その他の有利な結果が得られることがわかるだろう。
【0060】
要約および概要は、読者が、技術的開示の本質を素早く把握するのを助けるために設けられる。それらは、特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または限定するのに使用されないという理解の下で提出される。概要は、詳細な説明においてさらに記述される概念の選択を簡略化した形式で紹介するために設けられる。概要は、クレーム主題の主要な特徴や必須の特徴を特定することを意図したものでなく、クレーム主題を決定する際の補助として使用されることを意図したものでもない。
【0061】
本開示またはその好ましい実施形態の要素を導入する場合、「a」、「an」、「the」、および「said」の冠詞は、当該要素が1つ以上存在することを意味する。「備える」、「含む」、および「有する」の語は、包括的であって、挙げられた要素以外の追加的な要素が存在し得ることを意味する。
【0062】
以上より、本開示の複数の目的が達成されると共に、その他の有利な結果が得られることがわかるだろう。
【0063】
上述の製品および方法において、本開示の範囲を逸脱することなく様々な変更がなされ得るため、上の説明に含まれる全ての事項は、限定的な意味でなく説明的なものとして解釈されるべきであることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-06-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
図1図1は、本開示に係る製氷機の斜視図である。
図2図2は、製氷機の概略平面図である。
図3図3は、製氷機の冷凍システムおよび水システム、ならびにその制御システムの特定の構成要素の概略図である。
図4図4は、製氷機の制御システムの概略ブロック図である。
図5図5は、本開示に係る冷媒漏れに応答するための例示的な方法の工程および判定点を示すフローチャートである。
図6図6は、冷媒漏れに応答するための例示的な方法の工程および判定点を示す別のフローチャートである。
【外国語明細書】