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特開2024-159636身体的フレイル予防及び/又は改善用組成物、筋肉量維持及び/又は増加用組成物、筋力維持及び/又は向上用組成物、抗疲労用組成物、体重維持用組成物、基礎代謝向上用組成物
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  • 特開-身体的フレイル予防及び/又は改善用組成物、筋肉量維持及び/又は増加用組成物、筋力維持及び/又は向上用組成物、抗疲労用組成物、体重維持用組成物、基礎代謝向上用組成物 図1
  • 特開-身体的フレイル予防及び/又は改善用組成物、筋肉量維持及び/又は増加用組成物、筋力維持及び/又は向上用組成物、抗疲労用組成物、体重維持用組成物、基礎代謝向上用組成物 図2
  • 特開-身体的フレイル予防及び/又は改善用組成物、筋肉量維持及び/又は増加用組成物、筋力維持及び/又は向上用組成物、抗疲労用組成物、体重維持用組成物、基礎代謝向上用組成物 図3
  • 特開-身体的フレイル予防及び/又は改善用組成物、筋肉量維持及び/又は増加用組成物、筋力維持及び/又は向上用組成物、抗疲労用組成物、体重維持用組成物、基礎代謝向上用組成物 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159636
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】身体的フレイル予防及び/又は改善用組成物、筋肉量維持及び/又は増加用組成物、筋力維持及び/又は向上用組成物、抗疲労用組成物、体重維持用組成物、基礎代謝向上用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/122 20060101AFI20241031BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20241031BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20241031BHJP
【FI】
A61K31/122
A61P21/00
A61P3/00
A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024070888
(22)【出願日】2024-04-24
(31)【優先権主張番号】P 2023072221
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】野村道康
(72)【発明者】
【氏名】本岡香奈
(72)【発明者】
【氏名】松岡夏希
(72)【発明者】
【氏名】中島千絵
(72)【発明者】
【氏名】上野栞
(72)【発明者】
【氏名】友澤寛
(72)【発明者】
【氏名】尾上貴俊
(72)【発明者】
【氏名】高嶋慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】神谷智康
【テーマコード(参考)】
4B018
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LE01
4B018LE02
4B018MD04
4B018MD05
4B018MD07
4B018MD10
4B018MD14
4B018MD29
4B018MD35
4B018MD58
4B018MD71
4B018MD76
4B018MD81
4B018ME14
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB27
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA42
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA72
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA94
4C206ZC21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】身体的フレイル予防及び/又は改善作用、筋肉量維持及び/又は増加作用、筋力維持及び/又は向上作用、抗疲労作用、体重維持作用、基礎代謝向上作用に優れた組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする身体的フレイル予防及び/又は改善用組成物、筋肉量維持及び/又は増加用組成物、筋力維持及び/又は向上用組成物、抗疲労用組成物、体重維持用組成物、基礎代謝向上用組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする身体的フレイル予防及び/又は改善用組成物。
【請求項2】
チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする筋肉量維持及び/又は増加用組成物。
【請求項3】
チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする筋力維持及び/又は向上用組成物。
【請求項4】
チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする抗疲労用組成物。
【請求項5】
チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする体重維持用組成物。
【請求項6】
チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする基礎代謝向上用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする身体的フレイル予防及び/又は改善用組成物、筋肉量維持及び/又は増加用組成物、筋力維持及び/又は向上用組成物、抗疲労用組成物、体重維持用組成物、基礎代謝向上用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢が進むと、身体の老化により、筋力の低下、老眼など、身体へ様々な影響が生じる。特に、加齢による体重の減少、疲れやすさ、歩行速度の低下、握力の低下、身体活動量の低下といった症状はフレイルと呼ばれる。また、加齢による口腔機能の低下はオーラルフレイル、視覚機能の低下はアイフレイルと呼ばれる。
【0003】
フレイルは対策を講じることにより健常な状態に戻ることも知られている。例えば、アガロオリゴ糖を有効成分とするフレイル予防剤が知られている(特許文献1)。しかしながら、フレイルに効果がある成分はまだ少なく、新たな開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7236712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者らは、身体的フレイル予防及び/又は改善する組成物を探索することを課題として、種々の検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その結果、本発明者らは、モキノン及び/又はチモヒドロキノンが、優れた身体的フレイル予防及び/又は改善効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
<1>チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする身体的フレイル予防及び/又は改善用組成物。
<2>チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする筋肉量維持及び/又は増加用組成物。
<3>チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする筋力維持及び/又は向上用組成物。
<4>チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする抗疲労用組成物。
<5>チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする体重維持用組成物。
<6>チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする基礎代謝向上用組成物。
<7>チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする健康寿命延長用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することにより、IGF-1遺伝子発現促進、ミトコンドリア活性化、握力向上及び/又は体重維持の効果を奏することから、身体的フレイル予防及び/又は改善用組成物、筋肉量維持及び/又は増加用組成物、筋力維持及び/又は向上用組成物、抗疲労用組成物、体重維持用組成物、基礎代謝向上用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】IGF-1遺伝子発現量の測定結果(相対値)を示す。
図2】活性化ミトコンドリア量の測定結果(相対値)を示す。
図3】マウスの握力値の測定結果を示す。
図4】マウスの体重の測定結果(変化値)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の組成物について詳細を説明する。なお、本明細書において、本発明の組成物とは、身体的フレイル予防及び/又は改善用組成物、筋肉量維持及び/又は増加用組成物、筋力維持及び/又は向上用組成物、抗疲労用組成物、体重維持用組成物、基礎代謝向上用組成物のすべてを包含する概念である。また、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0011】
<チモキノン及び/又はチモヒドロキノン>
本発明の組成物はチモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することを特徴とする。チモキノンとは、1,4-ベンゾキノンの誘導体であり、六員環の2位にイソプロピル基、5位にメチル基が結合した有機化合物であり、2-イソプロピル-5-メチル-1,4-ベンゾキノンとも呼ばれる。チモヒドロキノンとは、チモキノンの1位と4位の酸素が還元された化合物であり、2-イソプロピル-5-メチル-1,4-ベンゼンジオールとも呼ばれる。チモキノンとチモヒドロキノンはともに量依存的な抗がん作用を示すことが知られており、チモキノンとチモヒドロキノンは効果が共通することが期待できる。
【0012】
本発明で使用するチモキノン及び/又はチモヒドロキノンとしては、飲食品の分野において通常使用されているものであれば特に限定されず、例えば、チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを豊富に含む植物の抽出物や植物からの精製物、試薬といった化学的合成品などを使用することができる。チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを豊富に含む植物としては、例えば、ブラッククミン、フジバカマ、ケナシサルトリイバラ 、ホースミント、タイム、オレガノ、ウィンターセーボリー、ヒヨドリバナ、ヨツバヒヨドリ、クルマバヒヨドリ、マリーゴールド、バレリアナ、モナルダ、アヤパナが挙げられる。また、使用できる植物の部位としては、茎葉部、花、種子あるいは全草の粉砕物、抽出物、圧搾油又は精油、又はこれらの精製物が挙げられる。チモキノン及び/又はチモヒドロキノンの抽出方法、抽出条件、精製方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、抽出物、圧搾油、精油を得る方法としては、例えば、各種溶媒による抽出、超臨界炭酸ガス抽出、水蒸留、水蒸気蒸留、マイクロウエーブ抽出法、圧搾法(コールドプレス法)などが挙げられ、これらの方法は適宜組み合わせても良い。抽出に用いる溶媒は、極性溶媒、非極性溶媒のいずれでもよく、水、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、n-ヘキサン等およびそれらの混合液を用いることができるが、より好ましくはメタノール、含水メタノール、エタノール、含水エタノール、アセトン、酢酸エチルが使用される。また上記抽出溶媒に有機および無機の酸を添加した酸性溶媒や有機および無機の塩基を添加した塩基性溶媒も使用することができる。また、抽出物、圧搾油、精油は溶媒を除去、又は賦形剤を添加するなどして、粉末とすることもできる。
【0013】
本発明の組成物におけるチモキノン及び/又はチモヒドロキノンの含有量は特に制限はなく、例えば、固形分中、0.005質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上であり、身体的フレイル予防及び/又は改善作用、筋肉量維持及び/又は増加作用、筋力維持及び/又は向上作用、抗疲労作用、体重維持作用、基礎代謝向上作用の観点から特に好ましくは0.2質量%以上である。また、その上限についても特に制限はないが、10質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましく、8質量%以下が特に好ましい。なお、チモキノン及び/又はチモヒドロキノンの含有量の含有量とは、チモキノンとチモヒドロキノンの両方を含有する場合はその総量である。
【0014】
本発明の組成物におけるチモキノン及び/又はチモヒドロキノンの含有量は、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって定量することができる。
【0015】
<その他成分>
本発明の組成物には、上記成分以外に、必要に応じてその他の成分を配合することができる。その他の成分としては、例えば、賦形剤、滑沢剤、水溶性食物繊維や不溶性食物繊維等の食物繊維、タンパク質、各種ビタミン類やミネラル類、藻類、酵母等の微生物等を配合することができる。更に、必要に応じて、通常食品分野で用いられる、甘味料、酸味料、栄養補助剤、安定剤、結合剤、光沢剤、増粘剤、着色料、希釈剤、乳化剤、食品添加物、調味料等を挙げることができる。これらその他の成分の含有量は、本発明の組成物の形態等に応じて適宜選択することができる。
【0016】
<身体的フレイル予防及び/又は改善用組成物、筋肉量維持及び/又は増加用組成物、筋力維持及び/又は向上用組成物、抗疲労用組成物、体重維持用組成物、基礎代謝向上用組成物>
本発明の組成物は、IGF-1遺伝子発現促進、ミトコンドリア活性化、握力向上及び/又は体重維持の効果を奏することから、身体的フレイル予防及び/又は改善用組成物、筋肉量維持及び/又は増加用組成物、筋力維持及び/又は向上用組成物、抗疲労用組成物、体重維持用組成物、基礎代謝向上用組成物として優れた効果を発揮しうる。
【0017】
身体的フレイル予防及び/又は改善作用としては、具体的には、加齢に伴い低下する筋肉量を維持する、加齢に伴い低下する筋力、筋持久力を維持する、加齢に伴い低下する脚の筋力を維持し、歩行能力を向上する、加齢に伴い低下する太ももの筋力を維持し、歩行ピッチおよび歩行速度を向上する、筋肥大(筋タンパク質合成)を促進し、加齢に伴い低下する筋肉量、筋力、筋持久力を維持する、筋肉のタンパク質、アミノ酸の分解を抑制し、加齢に伴い低下する筋肉量、筋力、筋持久力を維持する、加齢に伴い低下する腕の筋力を維持することで握力を維持する、中高齢者の日常生活の一時的な身体的疲労感を軽減する、加齢に伴い低下する体重を維持する、加齢に伴い低下する基礎代謝の向上をサポートする、健康寿命を延ばす、などが挙げられる。筋肉量維持及び/又は増加作用としては、具体的には、筋肉量を維持する、筋肉量を増やす、筋肉量の低下を抑制する、などが挙げられる。筋力維持及び/又は向上作用としては、例えば、筋力を維持する、筋力を向上する、筋力の低下を抑制する、筋持久力を維持する、筋持久力を向上する、筋持久力の低下を抑制する、などが挙げられる。抗疲労作用としては、例えば、疲労を軽減する、疲れにくくする、等が挙げられる。体重維持作用としては、例えば、低下する体重を維持する、が挙げられる。基礎代謝向上作用としては、例えば、基礎代謝を良くする、基礎代謝の向上をサポートする、基礎代謝の低下を抑制する、等が挙げられる。
【0018】
本発明の組成物においては、例えば、「加齢に伴い低下する筋肉量を維持する」、「加齢に伴い低下する筋力、筋持久力を維持する」、「加齢に伴い低下する脚の筋力を維持し、歩行能力を向上する」、「加齢に伴い低下する太ももの筋力を維持し、歩行ピッチおよび歩行速度を向上する」、「筋肥大(筋タンパク質合成)を促進し、加齢に伴い低下する筋肉量、筋力、筋持久力を維持する」、「筋肉のタンパク質、アミノ酸の分解を抑制し、加齢に伴い低下する筋肉量、筋力、筋持久力を維持する」、「加齢に伴い低下する腕の筋力を維持することで握力を維持する」、「中高齢者の日常生活の一時的な身体的疲労感を軽減する、加齢に伴い低下する体重を維持する」、「加齢に伴い低下する基礎代謝の向上をサポートする」、「健康寿命を延ばす」、「加齢に伴い低下する口腔機能を維持する」、「加齢に伴い低下する視覚機能を維持する」「筋肉量を維持する」、「筋肉量を増やす」、「筋肉量の低下を抑制する」、「筋力を維持する」、「筋力を向上する」、「筋力の低下を抑制する」、「筋持久力を維持する」、「筋持久力を向上する」、「筋持久力の低下を抑制する」、「疲労を軽減する」、「疲れにくくする」、「低下する体重を維持する」、「基礎代謝を良くする」、「基礎代謝の向上をサポートする」、「基礎代謝の低下を抑制する」等の文言による広告・宣伝が可能であり、これらの広告・宣伝は本発明の実施とみなすことができる。
【0019】
本発明の組成物は、経口的な使用に適した形態であれば特に限定されないが、摂取のしやすさの観点から、液状、シロップ状、ペースト状、ゲル状、ゼリー状、クリーム状、エマルション状、スプレー状、ムース状、ローション状等の流動状であってもよい。固体状としては、粉末状、顆粒状、粒状、タブレット状、チュアブル状、カプセル状、ソフトカプセル状、などが挙げられる。
【0020】
本発明の組成物の1日の使用量は特に限定されず、使用態様や使用者の使用内容などに応じて適宜設定できる。例えば、本発明の組成物の1日の使用量は、使用者の体重を基準として、固形分換算で、好ましくは0.001~1000mg/kgであり、より好ましくは0.01~200mg/kgであり、本願発明の組成物の効果を発揮する観点から、さらに好ましくは0.1~100mg/kg である。
【0021】
本発明の組成物の1回の使用量についても同様に特に限定されない。例えば、本発明の組成物の1回の使用量は、使用者の体重を基準として、固形分換算で、好ましくは0.0001~1000mg/kgであり、より好ましくは0.001~200mg/kgであり、本願発明の組成物の効果を発揮する観点から、さらに好ましくは0.01~100mg/kg である。
【0022】
また、本発明の組成物の1日の使用量は特に限定されず、例えば、固形分換算で、好ましくは0.1~50000mg、より好ましくは1~10000mg、本願発明の組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは10~5000mg とすることができる。
【0023】
本発明の組成物の1回の使用量は特に限定されず、例えば、固形分換算で、好ましくは0.01~50000mg、より好ましくは0.1~10000mg、本願発明の組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは1~5000mg とすることができる。
【0024】
本発明の組成物の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック;ストリップ包装;ヒートシール;アルミパウチ;プラスチックや合成樹脂などを用いるフィルム包装;バイアルなどのガラス容器;アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。
【実施例0025】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、種々の態様をとることができる。
【0026】
1.IGF-1遺伝子発現量の評価
インスリン様成長因子-1(IGF-1)は、骨格筋の同化および異化経路の両方を制御する重要な成長因子であり、IGF-1は、PI3K/Akt/mTORおよびPI3K/Akt/GSK3β経路を介して骨格筋タンパク質合成を増加させることが知られている。よって、IGF-1遺伝子の発現促進作用を確認することで、骨格筋タンパク質の合成促進作用による筋肉量維持及び/又は
増加作用や筋肉量維持による身体的フレイル予防及び/又は改善作用を確認することができる。
[被験物質]
被験物質として、以下の物質を使用した。
・市販されているNigella sativaの種子から抽出した、チモキノンを含有する粉末状の抽出物を用いた。
・レスベラトロール:ポジティブコントロールとして市販品を用いた。
【0027】
[被験物質の調製]
各被験物質は、以下のように調製した。
各被験物質をDMSOで溶解し、DMSOの濃度が0.5%となるように分化誘導培地で希釈した。分化誘導培地には2%HS(ウマ血清)-DMEMを用いた。下記試験に用いた被験物質の含有量は表1のとおりである。
【0028】
【表1】
【0029】
[IGF-1遺伝子発現量の測定]
(1)マウス筋芽細胞(C2C12)をコラーゲンコートした24ウェルプレートに5.0×10cells/wellとなるように播種し、37℃、5%COインキュベーター内で、24時間培養した。
(2)培地を除去後、DMEMで2回洗浄したのち、分化誘導培地(2%HS-DMEM)を1mL/well 添加し、37℃、5% COインキュベーター内で7日間培養した(筋管への分化を誘導した)。培地は2~3日ごとに交換した。
(3)7日間培養後、培地を除去し、被験物質含有分化誘導培地を500μL/well 添加した。(4)37℃、5%COインキュベーター内で1時間培養後、デキサメタゾン含有分化誘導培地を50μL/well添加した(デキサメタゾン終濃度50μM)。デキサメタゾンはDMSOで溶解し、DMSOの濃度が0.5%となるように分化誘導培地で希釈した。
(5)37℃、5%COインキュベーター内で24時間培養後、RNeasy Mini Kit(QIAGEN製)を用いてRNAを回収した。
(6)得られたRNAより、One Step TB Green(登録商標) PrimeScripTM RT-PCR Kit II (Perfect Real Time) (TaKaRa製)を用いてリアルタイムPCRを実施し、IGF-1のプライマー(ユーロフィンジェノミクス製)を用いて、IGF-1の遺伝子発現量を測定した。また内在性コントロールとして、Rn18Sのプライマー(QIAGEN製)を用いて、Rn18Sの遺伝子発現量を測定した。IGF-1の遺伝子発現量について、被験物質を添加しないコントロールの値を1としたときの相対値を算出した。結果を図1に示す。
【0030】
図1より、チモキノンを含有する実施例1は、コントロールと比べてIGF-1遺伝子発現量が1.33倍に増加することがわかる。また、IGF-1遺伝子発現促進作用が知られているレスベラトロールを含有した比較例1と比べて、その含有量が10分の1未満であるにもかかわらず、実施例1はより優れたIGF-1遺伝子発現促進作用を示すことがわかる。以上より、本発明の経口組成物は、優れたIGF-1遺伝子発現促進作用を有することから、筋肉量維持及び/又は増加効果や身体的フレイル予防及び/又は改善効果を有するものであることがわかる。
【0031】
2.ミトコンドリア活性化能の評価
疲労のメカニズムとしてミトコンドリアでのエネルギー産生の低下が指摘されており、オーバーワークやストレス等で過剰に産生された活性酸素による酸化ストレスの影響で、ミトコンドリアの電子伝達系が阻害されエネルギー産生が低下し、細胞機能や神経機能が低下した結果、疲労した状態(パフォーマンス低下、疲労感)に陥ると考えられている。よって、ミトコンドリア活性化作用を確認することで、基礎代謝向上作用、抗疲労作用や身体的フレイル予防及び/又は改善作用を確認することができる。
[被験物質]
被験物質として、以下の物質を使用した。
・市販されているNigella sativaの種子から抽出した、チモキノンを含有する粉末状の抽出物を用いた。
・レスベラトロール:ポジティブコントロールとして市販品を用いた。
【0032】
[被験物質の調製]
各被験物質は、以下のように調製した。
各被験物質をDMSOで溶解し、DMSOの濃度が0.5%となるように分化誘導培地で希釈した。分化誘導培地には2%HS(ウマ血清)-DMEMを用いた。下記試験に用いた被験物質の含有量は表2のとおりである。
【0033】
【表2】
【0034】
[ミトコンドリア膜電位の測定]
(1)マウス筋芽細胞(C2C12)をコラーゲンコートした96ウェルブラックプレートに8.0×10cells/wellとなるように播種し、37℃、5%CO2インキュベーター内で、24時間培養した。
(2)培地を除去後、DMEMで2回洗浄したのち、分化誘導培地(2%HS-DMEM)を200μL/well 添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内で7日間培養した(筋管への分化を誘導した)。培地は2~3日ごとに交換した。
(3)7日間培養後、培地を除去し、被験物質含有分化誘導培地を200μL/well 添加した。
(4)37℃、5%CO2インキュベーター内で1時間培養後、デキサメタゾン含有分化誘導培地を20μL/well 添加した(デキサメタゾン終濃度100μM)。デキサメタゾンはDMSOで溶解し、DMSOの濃度が0.5%となるように分化誘導培地で希釈した。
(7)37℃、5%CO2インキュベーター内で24時間培養後、DMEMで3回洗浄し、10μM Rhodamine123を50μL/well添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内で30分間染色した。
(8)PBSで2回洗浄した。
(9)PBSを添加し、励起波長507nm、蛍光波長529nmにおける蛍光強度を測定し、被験物質を添加しないコントロールを基準(100)として相対値を算出した。結果を図2に示す。
【0035】
図2より、チモキノンを含有する実施例2は、コントロールと比べてミトコンドリア活性化作用が12.2%増加することがわかる。また、ミトコンドリア活性化作用が知られているレスベラトロールを含有した比較例2と比べて、その含有量が10分の1未満であるにもかかわらず、実施例2はより優れたミトコンドリア活性化作用を示すことがわかる。以上より、本発明の経口組成物は、優れたミトコンドリア活性化作用を有することから、基礎代謝向上効果、抗疲労効果や身体的フレイル予防及び/又は改善効果を有するものであることがわかる。
【0036】
3.マウスの握力値の評価
[被験物質]
被験物質として、以下の物質を使用した。
・市販されているNigella sativaの種子から抽出した、チモキノンを含有する粉末状の抽出物を用いた。
【0037】
[被験物質の調製]
各被験物質は、以下のように調製した。
各被験物質を0.1%トリポリりん酸ナトリウム溶液を用いて懸濁し、被験物質濃度がチモキノンとして8.34mg/mLとなるように調製した。下記試験に用いた被験物質の投与量は表3のとおりである。
【0038】
【表3】
【0039】
[握力値の測定]
(1)実験動物及び飼育方法
7週齢の雄性C57BL/6J系マウスを馴化後、8週齢で体重値に基づいて群分けした。馴化期間から試験終了まで、MF固形飼料と水を自由摂取させた。
(2)被験物質の投与方法
0.1%トリポリりん酸ナトリウム溶液を用いて各サンプルの懸濁液を調製し、チモキノンを10日間、1日1回マウスに強制経口投与した。投与液量は10mL/kgとした。
チモキノンを含まない(0mg/kg)0.1%トリポリりん酸ナトリウム溶液のみを投与した群をコントロールとした。
また、チモキノン投与開始4日目から7日間、1日1回デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(20mg/kg)を各群に腹腔内投与し、体重(筋肉)低下を誘発した。
(3)試験開始10日目の投与後に、測定用金網を取り付けたデジタルフォースゲージ(株式会社イマダ製)を用いてマウスの握力を測定した。具体的には、マウスを測定網に乗せ測定網を掴ませて尾部を引っ張ることで、四肢の握力を計測した。結果は図3に示す。
【0040】
図3より、チモキノンを投与した実施例3は、コントロール群と比べて四肢の握力が増強することがわかる。以上より、本発明の経口組成物は、優れた筋力の維持及び/又は向上効果や身体的フレイル予防及び/又は改善効果を有するものであることがわかる。
【0041】
4.マウスの体重の評価
[被験物質]
被験物質として、以下の物質を使用した。
・市販されているNigella sativaの種子から抽出した、チモキノンを含有する粉末状の抽出物を用いた。
【0042】
[被験物質の調製]
各被験物質は、以下のように調製した。
各被験物質を0.1%トリポリりん酸ナトリウム溶液を用いて懸濁し、被験物質濃度がチモキノンとして8.34mg/mLとなるように調製した。下記試験に用いた被験物質の含有量は表4のとおりである。
【0043】
【表4】
【0044】
[体重の測定]
(1)実験動物及び飼育方法
7週齢の雄性C57BL/6J系マウスを馴化後、8週齢で体重値に基づいて群分けした。馴化期間から試験終了まで、MF固形飼料と水を自由摂取させた。
(2)被験物質の投与方法
0.1%トリポリりん酸ナトリウム溶液を用いて各サンプルの懸濁液を調製し、チモキノンを10日間、1日1回マウスに10mL/mLで強制経口投与した。
チモキノンを含まない(0mg/kg)0.1%トリポリりん酸ナトリウム溶液のみを投与した群をコントロールとした。
また、チモキノン投与開始4日目から7日間、1日1回デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(20mg/kg)を各群に腹腔内投与し、体重(筋肉)低下を誘発した。
(4)体重は特定の時間に毎日測定した。結果は体重変化値として図4に示す。
【0045】
図4より、チモキノンを投与した実施例4は、コントロール群と比べてデキサメタゾンにより誘導される筋萎縮が抑制され、体重が維持されることがわかる。以上より、本発明の経口組成物は、優れた体重維持効果や身体的フレイル予防及び/又は改善効果を有するものであることがわかる。
【0046】
<製造例1~5>
下記表1に記載の組成に従って、錠剤(350mg)を製造した。具体的には、表1に記載の成分を混合し、打錠機を用いて直接打錠により製造した。得られた組成物は、チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することから、1日1~2回、1回あたり3粒を水と共に摂取することで、優れた身体的フレイル予防及び/又は改善作用、筋肉量維持及び/又は増加作用、筋力維持及び/又は向上作用、抗疲労作用、体重維持作用、基礎代謝向上作用を享受できる。
【0047】
【表5】
【0048】
<製造例6~9>
下記表2に記載の組成に従って、ソフトカプセル剤(内容液400mg)を製造した。具体的には、表2に記載の成分を混合して内容液を製造し、得られた内容液をゼラチン皮膜で包み、製造した。得られた組成物は、チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することから、1日1~2回、1回あたり2粒を水と共に摂取することで、優れた身体的フレイル予防及び/又は改善作用、筋肉量維持及び/又は増加作用、筋力維持及び/又は向上作用、抗疲労作用、体重維持作用、基礎代謝向上作用を享受できる。
【0049】
【表6】
【0050】
<製造例10~12>
下記表3に記載の組成に従って、顆粒剤を製造した。具体的には、表3に記載の成分を混合し、流動層造粒機を用いて顆粒を製造した。得られた組成物は、チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することから、1日1~2回、1回あたり20gを水に溶かして摂取することで、優れた身体的フレイル予防及び/又は改善作用、筋肉量維持及び/又は増加作用、筋力維持及び/又は向上作用、抗疲労作用、体重維持作用、基礎代謝向上作用を享受できる。
【0051】
【表7】
【0052】
<製造例13~15>
下記表4に記載の組成に従って、ローションを製造した。得られた組成物は、チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することから、1日1~2回、適量を足や腕などに塗布することで、優れた身体的フレイル予防及び/又は改善作用、筋肉量維持及び/又は増加作用、筋力維持及び/又は向上作用、抗疲労作用、体重維持作用、基礎代謝向上作用を享受できる。
【0053】
【表8】
【0054】
<製造例16~18>
下記表5に記載の組成に従って、乳液を製造した。得られた組成物は、チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することから、1日1~2回、適量を足や腕などに塗布することで、優れた身体的フレイル予防及び/又は改善作用、筋肉量維持及び/又は増加作用、筋力維持及び/又は向上作用、抗疲労作用、体重維持作用、基礎代謝向上作用を享受できる。
【0055】
【表9】
【0056】
<製造例19~21>
下記表6に記載の組成に従って、クリームを製造した。得られた組成物は、チモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することから、1日1~2回、適量を足や腕などに塗布することで、優れた身体的フレイル予防及び/又は改善作用、筋肉量維持及び/又は増加作用、筋力維持及び/又は向上作用、抗疲労作用、体重維持作用、基礎代謝向上作用を享受できる。
【0057】
【表10】
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の組成物はチモキノン及び/又はチモヒドロキノンを含有することにより、身体的フレイル予防及び/又は改善作用、筋肉量維持及び/又は増加作用、筋力維持及び/又は向上作用、抗疲労作用、体重維持作用、基礎代謝向上作用に優れた組成物を提供することができることから、産業上の利用の可能性が高いものである。
図1
図2
図3
図4