(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159639
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電気化学エネルギー貯蔵素子
(51)【国際特許分類】
H01M 50/566 20210101AFI20241031BHJP
H01M 50/152 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/545 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/179 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20241031BHJP
【FI】
H01M50/566
H01M50/152
H01M50/184 D
H01M50/545
H01M50/533
H01M50/179
H01M50/588
H01M50/593
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024071003
(22)【出願日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】23170134
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】502350250
【氏名又は名称】ヴァルタ マイクロバッテリー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェレーナ ドレーヴス
(72)【発明者】
【氏名】マルティン エルマー
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011CC06
5H011DD13
5H011EE04
5H011FF02
5H043AA05
5H043CA03
5H043CA12
5H043DA03
5H043DA09
5H043GA23
5H043GA26
5H043HA11D
5H043HA11E
5H043JA01E
5H043JA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単純なアセンブリ及び低コスト部品により特徴付けられる可能な限り小さな無駄容積を有する電気化学エネルギー貯蔵素子を提供する。
【解決手段】電気化学エネルギー貯蔵素子は電極分離器アセンブリと同アセンブリを囲む筐体とを含む。筐体は、第1の側11a、対向する第2の側11b及び開口11cを有する第1のシートメタル部11と、コンタクトセグメント12a、固定セグメント12b及び管状フィードスルー12cを有する第2のシートメタル部12とを含む密閉アセンブリ10を有する。コンタクトセグメント12aは第1の側11aで延伸しそして固定セグメント12bは第1のシートメタル部11の第2の側11bで延伸し、管状フィードスルー12cは開口11cを介し2つのセグメント12a及び12bを接続する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-電極分離器アセンブリ20及び
-前記電極分離器アセンブリ20を囲む筐体30
を含む電気化学エネルギー貯蔵素子100であって、以下の特徴により特徴付けられるエネルギー貯蔵素子:
a.前記筐体30は密閉アセンブリ10を含み、
b.前記密閉アセンブリ10は、第1の側11a、対向する第2の側11b及び開口11cを有する第1のシートメタル部11を含み;
c.前記密閉アセンブリ10は、コンタクトセグメント12a、固定セグメント12b及び管状フィードスルー12cを有する第2のシートメタル部12を含み、前記コンタクトセグメント12aは前記第1の側11aで延伸し、前記固定セグメント12bは前記第1のシートメタル部11の前記第2の側11bで延伸し前記管状フィードスルー12cは前記開口11cを介し前記2つのセグメント12a及び12bを接続し;
d.前記密閉アセンブリ10は、前記第1のシートメタル部11と前記第2のシートメタル部12との間に配置され前記第1のシートメタル部11と前記第2のシートメタル部12とを互いに電気的に絶縁する電気的絶縁シール13を含み、
e.前記固定セグメント12bの第1の部分は、前記第2の側11bで前記管状フィードスルー12cを閉じる底部12baとして形成され、前記底部12baは、前記フィードスルー12cの方向に向けられた内側12baa及び反対方向に向けられた外側12babを有し;
f.前記固定セグメント12bの第2の部分は、前記開口11c内の前記管状フィードスルー12cの形態フィット固定を保証する突起12bbとして形成され;
g.前記第1の金属シート部分11の前記第1の側11a及び前記コンタクトセグメント12aは第1の間隙14を画定し;
h.前記第1の金属シート11の前記第2の側11b及び前記突起12bbは第2の間隙15を画定し;
i.前記シール13は、前記第1の間隙14及び前記第2の間隙15を、前記第1の側11aが前記第2の側11bから気密的及び/又は液密的やり方で分離されるようなやり方で埋め;
j.前記電極分離器アセンブリ20は、前記第2の側11bの前記管状フィードスルー12cを閉じる前記底部12baの前記外側12babへ溶接される。
【請求項2】
以下の追加特徴のうちのいずれかの特徴を有する請求項1に記載の電気化学エネルギー貯蔵素子:
a.前記電極分離器アセンブリ20は、前記第2の側11bの前記管状フィードスルー12cを閉じる前記底部12baの前記外側12babへ直接溶接された電流コレクタ112又は電流コレクタ114を含み;
b.前記電極分離器アセンブリ20は、前記第2の側の前記管状フィードスルーを閉じる前記底部の外側へ直接溶接される電流導体へ溶接される電流コレクタを含む。
【請求項3】
以下の追加特徴を有する請求項1又は請求項2に記載の電気化学エネルギー貯蔵素子:
a.前記筐体30は、筐体底部41、周囲側壁42又はいくつかの側壁、及び端子開口を含む金属筐体部40を含み;
b.前記密閉アセンブリ10は前記金属筐体部40の端子開口を閉じる。
【請求項4】
以下の追加特徴を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の電気化学エネルギー貯蔵素子:
a.前記電極分離器アセンブリ20は第1の端子端面103a及び第2の端子端面を103c含み、
b.前記電極分離器アセンブリ20は、第1の縁112aとそれに対し並列な第2の縁を有するアノード電流コレクタ112を有するアノード111を含み、
c.前記アノード電流コレクタ112は、負電極材料の層により装填された主領域112bと、電極物質により装填されないその第1の縁112aに沿って延伸する自由縁ストリップ112cとを含み、
d.前記電極分離器アセンブリ20は、第1の縁114a及びそれに対し並列な第2の縁を有するカソード電流コレクタ114を有するカソード113を含み、
e.前記カソード電流コレクタ114は、正電極材料の層により装填された主領域114bと前記電極物質により装填されないその第1の縁114aに沿って延伸する自由縁ストリップ114cとを含み、
f.前記アノード111及び前記カソード113は、前記アノード電流コレクタ112の前記第1の縁112aが前記第1の端子端面103aから突出し、前記カソード電流コレクタ114の前記第1の縁114aが前記電極分離器アセンブリ20の前記第2の端子端面103cから突出するように、前記電極分離器アセンブリ20内に配置され、
g.前記アノード電流コレクタ112の前記第1の縁112a又は前記カソード電流コレクタ114の前記第1の縁114aは前記第2の側11bの前記管状フィードスルー12cを閉じる前記底部12baの前記外側12babへ直接溶接される。
【請求項5】
以下の追加特徴のうちの少なくとも1つを含む請求項4に記載の電気化学エネルギー貯蔵素子:
a.前記エネルギー貯蔵素子は、前記アノード電流コレクタ112の前記第1の縁112a上又は前記カソード電流コレクタ114の前記第1の縁114a上に直接据え付けられるコンタクトシートメタル部材を含み、
b.前記コンタクトシートメタル部材は、前記第2の側の前記管状ブッシングを閉じる前記底部の外側へ溶接される前記電流導体であり、
c.前記コンタクトシートメタル部材は前記底部12baである。
【請求項6】
以下の追加特徴を有する請求項4又は5のいずれか一項に記載の電気化学エネルギー貯蔵素子:
a.前記底部12baの外側12babへ溶接されない前記アノード電流コレクタ112又は前記カソード電流コレクタ114の前記第1の縁112a、114aは前記筐体底部41へ電気的に接続される。
【請求項7】
以下の追加特徴の少なくとも1つを有する請求項1~6のいずれか一項に記載の電気化学エネルギー貯蔵素子:
a.前記第2の側11bの前記管状フィードスルー12cを閉じる前記底部12baは少なくとも1つのビード16を有し、
b.前記少なくとも1つのビード16は伸ばされ、
c.前記少なくとも1つのビード16は凹みとして前記底部12baの内側に及び隆起として前記底部12baの外側に発生する。
【請求項8】
以下の追加特徴の少なくとも1つを有する請求項1~7のいずれか一項に記載の電気化学エネルギー貯蔵素子:
a.前記コンタクトセグメント12aは前記開口のまわりにリング状領域12aaを含み、
b.前記コンタクトセグメントは、曲げられ得、前記リング状領域から延伸する少なくとも1つの別の領域を含む。
【請求項9】
以下の追加特徴の少なくとも1つを有する請求項1~8のいずれか一項に記載の電気化学エネルギー貯蔵素子:
c.前記管状フィードスルーは細長い形式を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に説明される本発明は電気化学エネルギー貯蔵素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学エネルギー貯蔵素子は蓄積された化学エネルギーを酸化還元反応のおかげで電気エネルギーへ変換し得る。電気化学エネルギー貯蔵素子の最も単純な形式は電気化学的電池である。電気化学エネルギー貯蔵素子は、その間に分離器が配置される正電極及び負電極を含む。放電中、電子が、酸化プロセスの結果として負電極において解放される。これは外部電気消費器により引き出され得る電子流を生じ、電気化学的電池はエネルギー供給器として働く。同時に、電極反応に対応するイオン電流が電池内に発生する。このイオン電流は、分離器を横断し、そしてイオン伝導性電解質により可能にされる。従って分離器は電極間の直接接触を防ぐ。しかし、同時に、分離器は電極間の電荷平衡を可能にする。
【0003】
放電が可逆的であれば、すなわち、放電中に化学エネルギーの電気エネルギーへの変換を逆転しそして電池を再び充電することが可能であれば、これは二次電池であると言われる。二次電池内の負電極のアノードとしての一般的指定及び正電極のカソードとしての一般的指定は電気化学的電池の放電機能を指す。
【0004】
2次リチウムイオン電池は、高電流を提供し得そして比較的高エネルギー密度により特徴付けられるので、今日多くのアプリケーションのためのエネルギー貯蔵素子として使用される。これらは、電池の電極間をイオンの形式で行来し得るリチウムの使用に基づく。リチウムイオン電池の負電極及び正電極は、電気化学的不活性成分及び電気化学的活性成分を含む所謂コンポジット電極により一般的に形成される。
【0005】
原理的に、リチウムイオンを吸収し解放し得るすべての材料は2次リチウムイオン電池の電気化学的活性成分(活性材料)として使用され得る。例えば、黒鉛炭素などの炭素ベース粒子が負電極のために使用される。正電極の活性材料は、例えば酸化リチウムコバルト(LiCoO2)、酸化リチウムマンガン(LiMn2O4)、燐酸リチウム鉄(LiFePO4)又はこれらの派生物であり得る。電気化学的活性材料は一般的に粒子形式で電極内に含まれる。
【0006】
電気化学的不活性成分として、コンポジット電極は一般的に、それぞれの活性物質の担体として働く平坦及び/又はストリップ状電流コレクタ(例えば金属箔)を含む。負電極の電流コレクタ(アノード電流コレクタ)は例えば銅又はニッケルで作成され得、正電極の電流コレクタ(カソード電流コレクタ)はアルミニウムで作成され得る。
【0007】
更に、電極は、電気化学的不活性成分として電極結合剤(例えばポリビニリデンフルオライド(PVDF:polyvinylidene fluoride)又はカルボキシメチルセルロースのような別の高分子)、伝導性改善添加剤、及び他の添加剤を含み得る。電極結合剤は、電極の機械的安定性を保証しそしてまた電流コレクタへの活性物質の粘着性をしばしば保証する。
【0008】
電解質として、リチウムイオン電池は通常、有機溶剤(例えば炭酸のエーテル及びエステル)中にリチウム・ヘキサフルオロホスファート(LiPF6)などのリチウム塩の溶液を含む。
【0009】
コンポジット電極が一般的に、リチウムイオン電池を製造する際に電極分離器アセンブリを形成するために1又は複数の分離器と組み合わせられる。電極及び分離器は、しばしばであるが決して必ずしもではないが、恐らくまた薄層化による又は接着結合による圧力下で接続される。次に、電池の基本的機能はアセンブリに電解質を含浸させることにより確立され得る。
【0010】
多くの実施形態では、電極分離器アセンブリは巻線の形式で形成される又は巻線内へ処理される。第1のケースでは、例えば、リボン状正電極及びリボン状負電極並びに少なくとも1つのリボン状分離器が、巻線機へ別々に供給され、そして一連の正電極/分離器/負電極と共に巻線内へ螺旋状に巻き付けられる。第2のケースでは、リボン状正電極及びリボン状負電極並びに少なくとも1つのリボン状分離器は、例えば前述の圧力を印可することにより電極分離器アセンブリを形成するために最初に組み合わせられる。次に、別の工程において、このアセンブリは巻き上げられる。
【0011】
自動車セクターにおけるアプリケーションに関して、eバイク又は電動工具内のもののような高エネルギー要件を有する他のアプリケーションに関して、充放電中の高電流にも耐えることができる最大可能エネルギー密度を有するリチウムイオン電池が必要である。
【0012】
述べられたアプリケーションの電池はしばしば、例えば21×70(mmの直径×高さ)の形状因子を有する円筒形電池として設計される。このタイプの電池は常に巻線の形式のアセンブリを含む。この形状因子の現代のリチウムイオン電池は最大270Wh/kgのエネルギー密度を実現し得る。
【0013】
国際公開第2017/215900A1は円筒形電池を説明し、ここでは、電極分離器アセンブリ及びその電極はリボン状でありそして巻線の形式のものである。電極は各々、電極物質により装填された電流コレクタを有する。反対に分極された電極は、正電極の電流コレクタの長手側縁が巻線の片側から突出しそして負電極の電流コレクタの長手側縁が巻線の別の側から突出するように電極分離器アセンブリ内に互いにオフセットされて配置される。電流コレクタの電気的接触のために、電池は、巻線の一端面上に座すコンタクトシートメタル部材を有し、そして溶接により電流コレクタの一方のコレクタの長手側縁へ接続される。これは、電流コレクタとそして従ってその全長にわって関連電極とも電気的に接触することを可能にする。これは、説明された電池内の内部抵抗を著しく低減する。この結果、大電流の発生がはるかに良く吸収され得、そして熱も巻線からより良く消散され得る。
【0014】
国際公開第2017/215900A1内などの電極巻線を有する電気化学的電池はまた国際公開第2022/167586A1号から知られている。電流コレクタの自由縁はコンタクトシートメタル部材へ接続されるということも述べられている。このコンタクトシートメタル部材は、電池筐体内の開口を介し誘導されそして極ブッシング(pole bushing)として働く中央突部を含む。しかし、この電池の組み立ては難しい。電流コレクタをコンタクトシートメタル部材へ溶接することは事実上不可能である。
【0015】
電流がコンタクトシートメタル部材を介し電池から引き出される別の電池設計は米国特許第7364817B2から知られている。このコンタクトシートメタル部材は別個の電流導体を介しマルチパート蓋アセンブリへ接続される。しかし、別個の電流導体は必然的に電池内の無駄容積(そのエネルギー密度に対し負の影響を及ぼす)を伴う。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下に説明される発明は、単純なアセンブリ及び低コスト部品により特徴付けられる可能な限り小さな無駄容積を有する電気化学エネルギー貯蔵素子を構築するタスクに基づいた。
【0017】
この目的は請求項1に記載の特徴を有するエネルギー貯蔵素子により達成される。本発明によるエネルギー貯蔵素子の好ましい実施形態は従属請求項において定義される。
【0018】
本発明によるエネルギー貯蔵素子
本発明によるエネルギー貯蔵素子は、電極分離器アセンブリと電極分離器アセンブリを囲む筐体とを含み、そして直下の特徴a~jにより特徴付けられる:
a.筐体は密閉アセンブリを含む。
b.密閉アセンブリは、第1の側、対向する第2の側及び開口を有する第1の金属シート部材を含む;
c.密閉アセンブリは、コンタクトセグメント、固定セグメント及び管状フィードスルーを有する第2の金属シート部材を含み、コンタクトセグメントは第1の側で延伸し、固定セグメントは第1の金属シート部材の第2の側で延伸しそして管状フィードスルーは開口を介し2つのセグメントを接続する;
d.密閉アセンブリは、第1の金属シート部材と第2の金属シート部材との間に配置されそしてそれらを互いに電気的に絶縁する電気的絶縁シールを含む;
e.固定セグメントの第1の部分は第2の側の管状フィードスルーを閉じる底部として形成され、底部はフィードスルー方向へ向けられた内側及び反対方向に向けられた外側を有する;
f.固定セグメントの第2の部分は、開口内の管状フィードスルーの形態フィット固定(form-fitting fixation)を保証しそして従って第1のシートメタル部及び第2のシートメタル部が互いにしっかりと保持するということとを保証する突起として形成される;
g.第1の金属シート部分の第1の側とコンタクトセグメントとが第1の間隙を画定する;
h.第1の金属シートの第2の側とオーバーハングとが第2の間隙を画定する;
i.シールは、第1の間隙及び第2の間隙を、第1の側が第2の側から気密的及び/又は液密的やり方で分離されるようなやり方で埋める;及び、
j.電極分離器アセンブリは、第2の側の管状フィードスルーを閉じる底部の外側へ溶接される。
【0019】
コンタクトセグメントは例えば、本発明によるエネルギー貯蔵素子が他のエネルギー貯蔵素子へ電気的に結合される外部電気消費器又は電気導体に対し電気的接触を行うために使用される。例えば、電流導体は、本発明によるエネルギー貯蔵素子を他のエネルギー貯蔵素子と直列に又は並列に接続するためにコンタクトセグメント上へ溶接され得る。固定セグメントは、電極分離器アセンブリとの電気的接触を行うために、そして特に第2のシートメタル部を第1のシートメタル部の開口内に固定するために使用される。
【0020】
この設計の密閉アセンブリは、電極分離器アセンブリと密閉アセンブリとの間にほぼ無駄容積が無いということを保証する。密閉アセンブリは一体化極ブッシングを含み、ここでは、ブッシングを実現する同じ金属部品もまた電極分離器アセンブリの金属部品へ溶接され得る。
【0021】
好ましい実施形態では、本発明によるエネルギー貯蔵素子は直下の特徴a及びbのうちの1つにより特徴付けられる:
a.電極分離器アセンブリは第2の側の管状フィードスルーを閉じる底部の外側へ直接溶接される電流コレクタを含む。
b.電極分離器アセンブリは、第2の側の管状フィードスルーを閉じる底部の外側へ直接溶接される電流導体へ溶接される電流コレクタを含む。
【0022】
上の特徴aは因子エネルギー密度に関し非常に有利である。電流コレクタと固定セグメントの底部との間の直接接続は部品低減及び無駄容積の削除に寄与する。
【0023】
上の特徴bの実現のケースでは、国際公開第2017/215900A1又は米国特許第7364817B2に説明されるようなコンタクトシートメタル部材が電流導体として好適に使用される。
【0024】
筐体
特に好適には、エネルギー貯蔵素子は直下の特徴a及びbにより特徴付けられる:
a.筐体は、筐体底部、周囲側壁又はいくつかの側壁、及び端子開口を含む金属筐体部を含む。
b.密閉アセンブリは金属筐体部の端子開口を閉じる。
【0025】
好適には、筐体は円筒状又は角柱状である。第1のケースでは、金属筐体部は好適には円形基部を有する筐体カップである。次に、筐体カップは周囲側壁を含む。第2のケースでは、基部表面は好適には多角形(特には矩形)である。次に、金属筐体部は好適には少なくとも4つの側壁を含む。密閉アセンブリは好適には基部表面と同じ形状を有する。
【0026】
密閉アセンブリは端子開口内へ溶接され得る。個々のケースに依存して、密閉アセンブリはまた開口内で機械的に固定され得る。
【0027】
多くの実施形態では、エネルギー貯蔵素子の筐体の部品(特に、周囲側壁又は側壁を有する金属筐体部並びに蓋アセンブリの端子開口及び外部金属部品)は好適にはアルミニウム又はアルミニウム合金から成る。
【0028】
カップ状筐体部及びカバー板の好適なアルミニウム合金は、例えばタイプ1235、1050、1060、1070、3003、5052、Mg3、Mg212(3000シリーズ)及びGM55のAl合金である。AlSi、AlCuTi、AlMgSi、AlSiMg、AlSiCu、AlCuTiMg及びAlMgも好適である。これらの合金のアルミニウム含有量は好適には99.5%超である。
【0029】
他の好ましい実施形態では、エネルギー貯蔵素子の筐体部品は、銅若しくはニッケル、又は銅若しくはニッケル合金、又は鋼若しくはニッケルメッキ鋼から成る。
【0030】
好適なステンレス鋼は、例えばタイプ1.4303若しくは1.4404のステンレス鋼、又はタイプSUS304のステンレス鋼、又はニッケルメッキ鋼である。特に、少なくとも99.9%の銅含有量を有するタイプENCW-004A又はENCW-008Aの材料が銅合金として使用され得る。タイプNiFe、NiCu、CuNi、NiCr及びNiCrFeのニッケル合金が特に好適である。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、本発明によるエネルギー貯蔵素子は直下の特徴a~dのうちの少なくとも1つにより特徴付けられる:
a.金属筐体部の筐体底部は200μm~2000μmの範囲内の厚さを有する。
b.金属筐体部の側壁又は側壁群は150μmm~2000μmの範囲内の厚さを有する。
c.第1のシートメタル部は、0.1mm~1.5mmの範囲内、好適には0.2mm~0.6mmの範囲内の厚さを有する。
d.第2のシートメタル部は、0.1mm~1.5mmの範囲内、好適には0.2mm~0.6mmの範囲内の厚さを有する。
【0032】
直上の特徴a~dは組み合わせて実現されることが特に好ましい。
【0033】
シール
シールは高分子材料(例えばポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテルケトン)が好適である。
【0034】
しかし、原理的に、シールはまたガラス又はセラミック材で作られ得る。
【0035】
シールは電気的絶縁特性を有することが重要であり、そして液体電解質が使用されれば、液体電解質に対し化学的に安定していることが重要である。
【0036】
特に好適には、シールは0.1mm~1.5mmの範囲内、好適には0.2mm~0.8mmの範囲内の厚さを有する。
【0037】
電極分離器アセンブリの構造
本発明によるエネルギー貯蔵素子は直下の特徴a~gにより特徴付けられることが更に好ましい:
a.電極分離器アセンブリは第1の端子端面及び第2の端子端面を含む。
b.電極分離器アセンブリは、第1の縁とそれに並列な第2の縁とを有するアノード電流コレクタを有する少なくとも1つのアノードを含む。
c.アノード電流コレクタは、負電極材料の層により装填された主領域と、電極物質により装填されないその第1の縁に沿って延伸する自由縁ストリップとを含む。
d.電極分離器アセンブリは、第1の縁とそれに対し並列な第2の縁とを有するカソード電流コレクタを有する少なくとも1つのカソードを含む。
e.カソード電流コレクタは、正電極材料の層により装填された主領域と電極物質により装填されないその第1の縁に沿って延伸する自由縁ストリップとを含む。
f.アノード及びカソードは、アノード電流コレクタの第1の縁が第1の端子端面から突出しそしてカソード電流コレクタの第1の縁が電極分離器アセンブリの第2の端子端面から突出するようなやり方で電極分離器アセンブリ内に配置される。
g.アノード電流コレクタの第1の縁又はカソード電流コレクタの第1の縁は第2の側の管状フィードスルーを閉じる底部の外側へ直接溶接される。
【0038】
本発明によるエネルギー貯蔵素子の筐体が角柱状であれば、電極分離器アセンブリもまた通常は角柱状である。この場合、電極分離器アセンブリは、いくつかのアノード、カソード及び少なくとも1つの分離器を含む角柱状スタックであることが好適であり、ここでは、スタック内の電極分離器アセンブリは常に一連のアノード/分離器/カソードを有する。
【0039】
少なくともアノード及びカソードは好適には矩形基部表面を有し、ここでは、アノード及びカソードの電流コレクタ各々は、第1の縁とそれに対し並列な第2の縁とを有し、そして各々は、それぞれの電極物質により被覆されないその第1の縁に沿った自由縁ストリップを有する。
【0040】
アノードとカソードとの間のいくつかの分離器のケースでは、分離器がまた矩形基部エリアを有することが好適である。しかし、スタック内のいくつかのアノードとカソードとを分離するリボン状分離器を使用することも可能である。
【0041】
第1平坦端子端面及び第2の平坦端子端面は例えばスタックの2つの対向側又は隣側である。アノード電流コレクタの第1の縁はこれらの端面のうちの1つから突出し、そしてカソード電流コレクタの第1の縁は他端面から突出する。
【0042】
先に説明したように、本発明によるエネルギー貯蔵素子の一実施形態では電流コレクタへそして底部の外側へ溶接される電流導体は好適にはコンタクトシートメタル部材である。特に好ましい実施形態では、これは、アノード電流コレクタの第1の縁又はカソード電流コレクタの第1の縁上に座し、そして溶接によりこれらへ接続される。
【0043】
本発明によるエネルギー貯蔵素子が円形電池として設計されれば、リボン状電極分離器アセンブリは好適にはリボン状電極及びリボン状分離器又は2つのリボン状分離器を含み、これらの各々は第1の長手側縁及び第2の長手側縁及び2つの端を有する。電極分離器アセンブリは、一連のアノード/分離器/カソードを常に有する電極及び分離器又は分離器群を含む。
【0044】
好適には、リボン状アノード、リボン状カソード及びリボン状分離器は螺旋状に巻かれる。リボン状電極分離器アセンブリを生成するために、リボン状電極は、好適にはリボン状分離器と共に巻き上げデバイスへ供給され、そして好適には巻き上げデバイス内の巻線軸の回りに螺旋状に巻かれる。いくつかの実施形態では、電極及び分離器は、この目的のために円筒状又は中空円筒巻線コア(巻上げ心棒上に据え付けられそして巻き上げ後に巻線内に留まる)上へ巻き上げられる。アノード電流コレクタ及びカソード電流コレクタの第1の縁は、形成された巻線の端面から突出する。
【0045】
好適には、本発明による円筒形電池として形成されるエネルギー貯蔵素子の高さは50mm~150mmの範囲内であり、そしてその直径は好適には15mm~60mmの領域内である。これらの形状因子を有する円筒形電池は、動力を自動車内の電気駆動へ供給するために特に好適である。
【0046】
本発明によるエネルギー貯蔵素子が円筒形電池である実施形態では、アノード電流コレクタ、カソード電流コレクタ及び分離器又は分離器群は好適には以下の寸法を有する:
-長さは0.5m~25mの範囲内
-幅は30mm~145mmの範囲内。
【0047】
分離器の好ましい実施形態
好適には、分離器又は分離器群は電気的絶縁プラスチック膜から形成される。分離器が電解質により貫通され得るということが好適である。この目的のため、例えば、使用されるプラスチック膜は微小孔を有し得る。箔は例えばポリオレフィン又はポリエーテルケトンから成り得る。プラスチック材料又は他の電気的絶縁繊維で作られる不織布及び繊維も分離器として使用され得る。5μm~50μmの範囲内の厚さを有する分離器が好適である。
【0048】
いくつかの特に好ましい実施形態では、片側又は両側でセラミック粒子(例えばAl2O3又はSiO2)により被覆又は含浸される分離器が使用される。
【0049】
特に、エネルギー貯蔵素子の角柱状実施形態では、アセンブリの分離器又は分離器群はまた、固体電解質の1又は複数の層であり得る。
【0050】
円筒形電池としてのエネルギー貯蔵素子の上述構成の場合、分離器又は分離器群の長手側縁が、巻線として形成される電極分離器アセンブリの端面を形成することが好適である。
【0051】
エネルギー貯蔵素子の説明された角柱状構成の場合、電流コレクタの縁が突出するスタックの端面を分離器の縁が形成するとことが好適である。
【0052】
電流コレクタ
エネルギー貯蔵素子の電流コレクタは、可能な限り大きなエリアにわたってそれぞれの電極物質内に含まれる電気化学的活性成分と電気的に接触する機能を有する。好適には、電流コレクタは、金属で構成される、又は表面上に少なくとも金属化される。
【0053】
本発明によるリチウムイオン電池として説明されるエネルギー貯蔵素子の場合、アノード電流コレクタの好適な金属は例えば銅又はニッケル又は他の電気的導電材料(特に、銅及びニッケル合金、又はニッケルにより被覆された金属)である。特に、少なくとも99.9%の銅含有量を有するタイプENCW-004A又はENCW-008Aの材料が銅合金として使用され得る。タイプNiFe、NiCu、CuNi、NiCr及びNiCrFeの合金がニッケル合金として特に好適である。タイプNiFe、NiCu、CuNi、NiCr及びNiCrFeの合金がニッケル合金として特に好適である。ステンレス鋼(例えばタイプ1.4303若しくは1.4404、又はタイプSUS304)も考慮され得る。
【0054】
本発明によるリチウムイオン電池として説明されるエネルギー貯蔵素子の場合、アルミニウム又は他の電気的導電材料(アルミニウム合金を含む)がカソード電流コレクタの金属として特に好適である。
【0055】
カソード電流コレクタの好適なアルミニウム合金は、例えばタイプ1235、1050、1060、1070、3003、5052、Mg3、Mg212(3000シリーズ)及びGM55のAl合金である。また、AlSi、AlCuTi、AlMgSi、AlSiMg、AlSiCu、AlCuTiMg及びAlMgも好適である。これらの合金のアルミニウム含有量は好適には99.5%超である。
【0056】
好適には、アノード電流コレクタ及び/又はカソード電流コレクタは各々、4μm~30μmの領域内の厚さを有する金属箔であり、円筒形電池としてエネルギー貯蔵素子の説明された構成の場合、4μm~30μmの範囲内の厚さを有するリボン状金属箔である。
【0057】
しかし、箔に加えて、金属不織布又は金属化不織布、開放孔金属発泡体、又は展伸金属などの他のストリップ状基板もまた、電流コレクタとして使用され得る。
【0058】
電流コレクタは好適には両側でそれぞれの電極物質により装填される。
【0059】
巻線の端子端面又はスタックの側面から突出するアノード電流コレクタ及び/又はカソード電流コレクタの縁又は長手側縁は5000μmを越えない(好適には3500μm以下である)ことが更に好ましい。
【0060】
電気化学
本発明の別の特に好ましい実施形態では、本発明によるエネルギー貯蔵素子は直下の特徴a及びbのうちの1つにより特徴付けられる:
a.エネルギー貯蔵素子はリチウムイオン電池である。
b.エネルギー貯蔵素子はリチウムイオン電池を含む。
【0061】
特徴aは、特に円筒形電池又はボタン電池として上に説明された実施形態のエネルギー貯蔵素子を指す。この実施形態では、エネルギー貯蔵素子は好適には、単一の電気化学的電池を含む又は単一の電気化学的電池である。
【0062】
特徴bはエネルギー貯蔵素子の上記説明された角柱状実施形態を特に指す。この実施形態では、エネルギー貯蔵素子はまた2つ以上の電気化学的電池を含み得る。
【0063】
基本的に、2次リチウムイオン電池に関して知られたすべての電極物質がエネルギー貯蔵素子の電極のために使用され得る。
【0064】
リチウムを挿入することができる黒鉛炭素材料又は非黒鉛炭素材料などの炭素ベース粒子(好適には又粒子形式のもの)が負電極内の活性物質として使用され得る。代替的に又は追加的に、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)又はその派生物がまた負電極内に含まれ得る(好適にはまた粒子形式で)。更に、負電極は、活性物質として、シリコン、アルミニウム、錫、アンチモン又はこれらの材料の化合物又は合金を含むグループからの少なくとも1つの材料(リチウムを可逆的に挿入及び再堆積し得る)(例えば、酸化珪素(特に、SiOx:0<x<2))を含み得る(任意選択的に炭素ベース活性材料と組み合わせて)。錫、アルミニウム、アンチモン及びシリコンはリチウムと金属間相を形成し得る。リチウムを吸収する能力は、グラファイト又は同等な材料の能力を何倍も越える(特にシリコンの場合には)。シリコン及び炭素ベース貯蔵物質との混合物がしばしば使用される。金属リチウムで作られる薄いアノードも好適である。
【0065】
正電極に関し好適な活性材料はリチウム金属酸化物化合物及びリチウム金属リン酸塩化合物(LiCoO2及びLiFePO4など)を含む。化学式LiNixMnyCozO2(ここで、x+y+zは通常1である)を有するリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)、化学式LiMn2O4を有するリチウムマンガンスピネル(LMO)、又は化学式LiNixCoyAlzO2(ここで、x+y+zは通常1である)を有するリチウムニッケルコバルト酸化アルミニウム(NCA)もまた特に好適である。これらの派生物、例えば化学式Li1.11(Ni0.40Mn0.39Co0.16Al0.05)0.89O2又はLi1+xM-O化合物及び/又は前述の材料の混合物を有するリチウムニッケルマンガンコバルト酸化アルミニウム(NMCA)もまた使用され得る。カソード活物質もまた微粒子の形式で使用されることが好適である。
【0066】
加えて、本発明によるエネルギー貯蔵素子の電極は好適には、導電性を改善するために電極結合剤及び/又は添加剤を含む。活性材料は、好適には電極結合剤のマトリクスで埋め込まれており、ここでは、マトリクス内の隣接粒子は好適には互いに直接接触状態にある。導電性剤は電極の導電性を上げる機能を有する。一般的電極結合剤は例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、(Li-)ポリアクリル酸塩、スチレン-ブタジエンゴム又はカルボキシメチルセルロース又は様々な結合剤の混合物に基づく。一般的導電性剤は、カーボンブラック、微細グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ及び金属粉末である。
【0067】
本発明によるエネルギー貯蔵素子は好適には電解質を含み、リチウムイオン電池の場合には有機溶剤中に溶解されて存在する特にリチウム・ヘキサフルオロホスファート(LiPF6)などの少なくとも1つのリチウム塩に基づく電解質(例えば有機炭酸塩又はTHF若しくはニトリルなどの環状エーテルの混合物)を含む。使用され得る他のリチウム塩は、例えばリチウム・テトラフルオロ硼酸塩(LiBF4)、リチウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウム・ビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)及びリチウム・ビス(オクサラト)ホウ酸塩(LiBOB)である。
【0068】
円筒形電池として説明された本発明によるリチウムイオンベースエネルギー貯蔵素子の名目容量は好適には最大15000mAhである。21×70の形状因子により、リチウムイオン電池としての一実施形態におけるエネルギー貯蔵素子は好適には1500mAh~7000mAhの範囲内の、特に好適には3000~5500mAhの範囲内の名目容量を有する。18×65の形状因子により、リチウムイオン電池としての一実施形態における電池は好適には1000mAh~5000mAhの範囲内の、特に好適には2000~4000mAhの範囲内の名目容量を有する。
【0069】
欧州連合では、二次電池の名目容量に関する製造者の情報が厳密に規制される。例えば、2次ニッケルカドミウム電池の名目容量に関する情報はIEC/EN61951-1及びIEC/EN60622標準規格による測定に基づかねばならない、2次ニッケル水素電池の名目容量に関する情報はIEC/EN61951-2標準規格による測定に基づかなければならなく、2次リチウム電池の名目容量に関する情報はIEC/EN61960標準規格による測定に基づかなければならなく、そして2次鉛酸電池の名目容量に関する情報はIEC/EN61056-1標準規格による測定に基づかなければならない。本出願における名目容量に関するいかなる情報も好適にはこれらの標準規格に基づく。
【0070】
ナトリウムイオンベース実施形態
別の実施形態では、本発明によるエネルギー貯蔵素子はまた、ナトリウムイオン電池、カリウムイオン電池、カルシウムイオン電池、マグネシウムイオン電池又はアルミニウムイオン電池であり得る。これらの変形形態の中でも、ナトリウムイオン電池化学によるエネルギー蓄積電池は本発明によると特に好適である。
【0071】
好適には、本発明によるナトリウムイオンベースエネルギー貯蔵素子は、以下の溶剤のうちの少なくとも1つ及び以下の導電性塩のうちの少なくとも1つを含む電解質を含む:
-有機炭酸塩、エーテル、ニトリル及びこれらの混合物は溶剤として特に好適である。
-好ましい導電性塩は、NaPF6、ナトリウム・ジフルオロ(オクサラト)ホウ酸塩(NaBOB)、NaBF4、ナトリウム・ビス(フルオロスルホニル)イミド(NaFSI)、ナトリウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾール(NaTDI)、ナトリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(NaTFSI)、NaAsF6、NaBF4、NaClO4、NaB(C2O4)2、NaP(C6H4O2)3;NaCF3SO3、ナトリウムトリフラート(NaTf)及びEt4NBF4である。
【0072】
好ましい実施形態では、添加剤が電解質へ加えられ得る。
【0073】
本発明によるナトリウムイオンに基づくエネルギー貯蔵素子の負電極材料は例えば以下の材料のうちの1つである:
-炭素、特に硬質炭素(純粋、又は窒素及び/又は燐ドープ)又は軟質炭素又は、グラフェンベース材料、カーボンナノチューブ、グラファイト
-リン又は硫黄
Na2Ti3O7、Na3Ti2(PO4)3、TiP2O7、TiNb2O7、Na-Ti-(PO4)3、Na-V-(PO4)3などのポリアニオン、
V2O5、MnO2、TiO2、Nb2O5、Fe2O3、Na2Ti3O7、NaCrTiO4、Na4Ti5O12などの遷移金属酸化物
【0074】
代替的に、Na金属アノードもアノード側に使用され得る。
【0075】
本発明によるナトリウムイオンに基づくエネルギー貯蔵素子の正電極材料は例えば以下の材料のうちの1つである:
-ポリアニオン:NaFePO4(トリフィライト型)、Na2Fe(P2O7)、Na4Fe3(PO4)2、Na2FePO4F、Na/Na2[Fe1/2Mn1/2]PO4F、Na3V2(PO4)2F3、Na3V2(PO4)3、NaCoPO4、Na2CoPO4F(P2O7)
-ケイ酸塩:Na2MnSiO4、Na2FeSiO4
-層状酸化物:NaCoO2、NaFeO2、NaNiO2、NaCrO2、NaVO2、NaTiO2、Na(FeCo)O2、Na(NiFeCo)3O2、Na(NiFeMn)O2、及びNa(NiFeCoMn)O2、Na(NiMnCo)O2
【0076】
加えて、本発明によるナトリウムイオンに基づくエネルギー貯蔵素子の電極は好適にはまた、導電性を改善するために電極結合剤及び/又は添加剤を含む。この点に関し、リチウムイオン技術に基づく実施形態との差は基本的に無い。
【0077】
特に好適には、本発明によるナトリウムイオン技術に基づくエネルギー貯蔵素子において、アノード電流コレクタ及びカソード電流コレクタの両方はアルミニウム又はアルミニウム合金から成る。筐体及び筐体内の任意の他の電流導体もまたアルミニウム又はアルミニウム合金から成り得る。
【0078】
コンタクトシートメタル部材
本発明による電気化学エネルギー貯蔵素子は直下の特徴a及び又はa及びcにより特徴付けられるということが更に好ましい:
a.エネルギー貯蔵素子は、アノード電流コレクタの第1の縁上に又はカソード電流コレクタの第1の縁上に直接座すコンタクトシートメタル部材を含む。
b.コンタクトシートメタル部材は、第2の側の管状ブッシングを閉じる底部の外側へ溶接される電流導体である。
c.第2の側の管状フィードスルーを閉じる底部はコンタクトシートメタル部材である。
【0079】
コンタクトシートメタル部材は上に既に述べられた。コンタクトシートメタル部材は例えばアルミニウム又はニッケル又は銅又はチタン又はステンレス鋼から成る。
【0080】
直上の特徴cが特に好ましい。
【0081】
電流コレクタの底部側接触
好ましい実施形態では、本発明による電気化学エネルギー貯蔵素子は直下の特徴aにより特徴付けられる:
a.カソード電流コレクタの第1の縁又はアノード電流コレクタの第1の縁(コンタクトシートメタル部材と直接接触状態にない)は筐体底部へ電気的に接続される。
【0082】
カソード電流コレクタ又はアノード電流コレクタの第1の縁(コンタクトシートメタル部材と直接接触状態にない)は筐体底部へ溶接されることが特に好ましい。
【0083】
固定及びコンタクトセグメント並びに管状フィードスルーの設計
固定セグメントは好適には以下の特徴により特徴付けられる:
a.第2の側の管状フィードスルーを閉じる底部は少なくとも1つのビードを有する。
b.少なくとも1つのビードは延長される。
c.少なくとも1つのビードが凹みとして底部の内側にそして隆起として底部の外側に発生する。
【0084】
特に好適には、第2の側の管状フィードスルーを閉じる底部の外側へ直接溶接される電流コレクタは隆起へ溶接される。
【0085】
いくつかの実施形態では、筐体底部と電流コレクタとの間の接触が改善されるように電流コレクタの縁(隆起へ溶接される)を前処理に晒すことが有利であるということが分かった。特に、筐体底部の内側の少なくとも1つのビード又は細長い隆起に対応する少なくとも1つの凹みが縁内に作成され得る。
【0086】
電流コレクタの縁はまた、前処理により指向性形成に晒され得る。例えば、電流コレクタの縁は規定方向に曲げられ得る。
【0087】
コンタクトセグメントは好適には以下の特徴により特徴付けられる:
a.開口の周囲にリング状領域を含む。
b.曲げられ得そしてリング状領域から延伸する少なくとも1つの別の領域を含む。
【0088】
プラグコンタクトが例えば、曲げられ得そしてリング状領域において形成される別の領域を介し接続され得る。
【0089】
いくつかの実施形態では管状フィードスルーは円状断面を有し、他の実施形態では楕円状断面を有する。六角形断面などの細長く且つ角ばった断面もまた好ましいかもしれない。従って、開口のまわりの領域は必ずしも環状である必要はない。
【0090】
本発明のさらなる特徴及び利点は、特許請求の範囲から、そして添付図面と併せた本発明の好ましい例の以下の説明から明かになる。個々の特徴は個々に又は互いに組み合わせて実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【
図1】本発明によるエネルギー貯蔵素子の密閉アセンブリの概略図解である。
【
図2】
図1による密閉アセンブリの製造の概略図解である。
【
図3】本発明によるエネルギー貯蔵素子の密閉アセンブリの別の実施形態の製造の概略図解である。
【
図4】
図1に示す密閉アセンブリと共に本発明によるエネルギー貯蔵素子の可能な実施形態である。
【
図5】本発明によるエネルギー貯蔵素子の一部である電極分離器アセンブリの好ましい例及びその部品である。
【
図6】本発明によるエネルギー貯蔵素子の密閉アセンブリの別の実施形態の製造の概略図解である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
図1は本発明によるエネルギー貯蔵素子100の密閉アセンブリ10の製造を示す。下側図解は上からの上面図であり、そして上側図解は軸BBに沿った断面である。
【0093】
エネルギー貯蔵素子100は、第1の側11a、対向する第2の側11b、及び開口11cを有する第1のシートメタル部11、並びにコンタクトセグメント12a、固定セグメント12b、及び管状フィードスルー12cを有する第2のシートメタル部12を含み、コンタクトセグメント12aは第1の側11aで延伸し、固定セグメント12bは第1のシートメタル部11の第2の側11bで延伸しそして管状フィードスルー12cは開口11cを介し2のセグメント12a及び12bを接続する。更に、密閉アセンブリ10は、第1のシートメタル部11と第2のシートメタル部12との間に配置されそして第1のシートメタル部11と第2のシートメタル部12とを互いに電気的に絶縁する電気的絶縁シール13を含む。固定セグメント12bの第1の部分は、第2の側11bで管状フィードスルー12cを閉じる底部12baとして形成され、底部12baは、フィードスルー12cの方向に向けられた内側12baa及び反対方向に向けられた外側12babを有する。固定セグメント12bの第2の部分は、開口11c内の管状フィードスルー12cの形態フィット固定を保証しそして従って第1のシートメタル部11及び第2のシートメタル部12が互いにしっかりと保持するということを保証する突起12bbとして形成される。ここでは、第1のシートメタル部11の第1の側11a及びコンタクトセグメント12aは第1の間隙14を画定する一方で、第1のシートメタル部11の第2の側11b及び突起12bbは第2の間隙15を画定する。シール13は、第1の間隙14及び第2の間隙15を、第1の側11aが第2の側11bから気密的及び/又は液密的やり方で分離されるようなやり方で埋める。
【0094】
本ケースでは、密閉アセンブリ10は非対称幾何学的形状を有する。第1のシートメタル部11は円盤として設計される。しかし、開口11cは円盤の中心に配置されなく円盤の縁方向へオフセットされる。他方で、コンタクトセグメント12aは、管状フィードスルー12c及び周辺シール13の形式で極フィードスルー(pole feedthrough)が円盤の異なるエリア内に配置されたとしても電流がそこから引き出され得るように円盤の中心全体にわたって延伸する。これはいくつかのアプリケーションにおいて非常に有利であり得る。
【0095】
シートメタル部11、12及びシール13がそれに応じて適応化されれば、開口11c又はフィードスルー12cを密閉アセンブリ10の中心に置くことは容易に可能である。
【0096】
示された実施形態における密閉アセンブリは好適には、
図5に示すように電極分離器アセンブリ20のアノード電流コレクタ112の第1の縁112a又はカソード電流コレクタ114の第1の縁114a上に直接座しそして溶接により好適にこの縁へ接続されるコンタクトシートメタル部材と組み合わせて使用される。これらのケースでは、コンタクトシートメタル部材は溶接により底部12baへ接続されることが好適である。
【0097】
例えば、
図2に示す半製品が
図1に示す密閉アセンブリを製造するために使用され得る。ここでもまた、下側図解は上からの上面図であり、上側図解は軸AAに沿った断面である。
【0098】
第1のシートメタル部11はその最終形状を既に有する一方で、第2のシートメタル部12は依然として形成される必要がある。この形成は例えば、下から底部12baに対し押圧されるパンチにより実行され得る。次に、
図1に示す突起12bbだけでなく間隙14及び間隙15も形成される。同時に、シール13は間隙14及び間隙15内のサブ領域内で少なくとも圧縮される。
【0099】
図3に示す手順はまた、シートメタル部11、シートメタル部12及びシール13で構成される半製品(工程I)から開始する。シートメタル部12は内側へ湾曲された底部12baを含む。シートメタル部12はシール13と共に正面において底部12baと共に開口11c内へ挿入される。この工程後、形成工程(工程II)が続き、ここでは、突起12bbだけでなく間隙14及び間隙15も形成される。同時に、シール13は間隙14及び間隙15内で圧縮される。最後に、3つの細長いビーズ16が底部12ba内へエンボス加工される。これらのビーズ16は、本発明によるエネルギー貯蔵素子100の電極分離器アセンブリ20と電気的接触させるように働く。
【0100】
以下の図解は各々下からの垂直上面図である。最上部図解は蓋アセンブリの下側の透視図である。中央の図解は軸AA、BB及びCCに沿った断面である。
【0101】
図4において断面で示される本発明によるエネルギー貯蔵素子100は、電極分離器アセンブリ20と電極分離器アセンブリ20を囲む筐体30とを含む。筐体30は実質的に密閉アセンブリ10及び金属カップ40から成り、密閉アセンブリは
図3のものに対応する。電極分離器アセンブリ20は、第2の側11bの管状フィードスルー12cを閉じる底部12baの外側12babへ直接溶接された電流コレクタ112を含む。電流コレクタ112は、密閉部品10の底部12baへ溶接される縁領域内以外は負電極材料(
図5を参照)により被覆される。第2の電流コレクタ114(いくつかのエリア内で正電極材料により被覆される)は金属カップ40の筐体底部41へ溶接される。金属カップ40は好適にはアルミニウムから成る。
【0102】
図4に詳細無しに示される電極分離器アセンブリ20の好ましい構造が
図5に示される。リボン状電極分離器アセンブリ20は、リボン状アノード電流コレクタ112を有するリボン状アノード111と、リボン状カソード電流コレクタ114を有するリボン状カソード113とを含む。アノード電流コレクタ112は好適には銅又はニッケルで作られる箔である。カソード電流コレクタ114には好適にはアルミ箔である。アノード電流コレクタ112及びカソード電流コレクタ114の両方は、第1の長手側縁112a、114a、及び第2の長手側縁、主領域112b、114b及び自由縁ストリップ112c、114cを含む。主領域112b及び114bは電極物質の層により装填され、アノード111の場合には負電極材料により装填され、カソード113の場合には正電極材料により装填される。自由縁ストリップ112c、114cは、それぞれの第1の長手側縁112a、114aに沿って延伸しそして電極物質により装填されない。両電極は巻かれていない状態で個々に示される。巻かれた電極分離器アセンブリ103内で、アノード111及びカソード113は、カソード電流コレクタ114の第1の長手側縁114aが電極分離器アセンブリ103の第1の端子端面103aから突出するように互いにオフセットされる。アノード電流コレクタ112の第1の長手側縁112aは電極分離器アセンブリの第2の端子端面103cから突出する。これは、底部右側において図解内に明確に見られ得る。千鳥配置が底部左側の図解内に見られ得る。電極111及び113を巻線内で互いに分離する2つのリボン状分離器115a及び115bもここに示される。電極分離器アセンブリ103の巻線シェル103bは通常はプラスチック膜により形成される。
【0103】
図6に示す手順は、第1の円形シートメタル部11、第2のシートメタル部12及びシール13から成る半製品55から開始する。左側図では、半製品は、シートメタル部11の第1の側11aの平面視で示され、そして右側図ではシートメタル部11の第2の側11bの平面視で示される。
【0104】
第2のシートメタル部12はコンタクトセグメント12a及び管状フィードスルー12cを含む。コンタクトセグメント12aは、第1のシートメタル部11の第1の側11aで延伸しており、電流導体が溶接され得る2つの対称的接触エリア12d及び12eにより特徴付けられる。管状フィードスルー12cは伸ばされる。
【0105】
シートメタル部12は、シール13と共に底部12ba(内側へ曲げられ、そして半製品の図解では可視ではない)と共にシートメタル部11内の開口中へ挿入される。開口は伸ばされ、シートメタル部11の中心を貫通する。その長さはシートメタル部11の直径の3分の2超である。管状フィードスルー12cの形状はこの長さに適合化される。
【0106】
密閉アセンブリ10の形成に至る形成プロセスは、突起12bbを形成するために開口を介し外方へ誘導されるシートメタル部12の一部を曲げることに関与する。これは、半製品55内の内方向へ曲がられる底部12baを暴露する。例えば、電流コレクタの縁は底部12aへ溶接され得る。
【外国語明細書】