(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159642
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】波形シールリップを備えたコネクタシール
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01R13/52 301B
H01R13/52 301G
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024071129
(22)【出願日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】10 2023 111 060.8
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル フレサー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ウェーバー
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン ヘルム
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087LL02
5E087LL13
5E087RR12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コネクタシールが設けられた第1のコネクタと第2のコネクタとのプラグ接続を容易にするコネクタシールを提供する。
【解決手段】コネクタシール1は、軸方向Aに互いに反対側に位置する2つの面13、15を備え、コネクタシール1は、径方向Rに中央開口部9の方を向く内側側面17と、径方向Rに中央開口部9の反対側を向く外側側面19とを備え、内側側面17および外側側面19のうちの他方が、プラグ接続部がプラグ接続されている状態における、特に封止状態での当接のためのコンタクト側面23である、コネクタシール1に関する。2つのコネクタ3、5をプラグ接続するのに必要とされる差込み力を軽減するために、コンタクト側面23は、少なくとも1つのシールリップ31を備え、少なくとも1つのシールリップ31は、周方向Uに沿って延在し、その位置が、軸方向Aにおいて波形に変化するものとなっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ接続されている状態においてプラグ接続部の第1のコネクタ(3)と第2のコネクタ(5)との間の間隙(7)を封止するためのコネクタシール(1)であって、
前記コネクタシール(1)は、中央開口部(9)の周りに周方向(U)に沿って自己完結式に延在し、前記コネクタシール(1)は、軸方向(A)に互いに反対側に位置する2つの面(13、15)を備え、前記コネクタシール(1)は、径方向(R)に前記中央開口部(9)の方を向く内側側面(17)と、前記径方向(R)に前記中央開口部(9)の反対側を向く外側側面(19)とを備え、
前記内側側面(17)および前記外側側面(19)のうちの一方が、前記第1のコネクタ(3)に対する当接のための当接側面(21)であり、前記内側側面(17)および前記外側側面(19)のうちの他方が、前記プラグ接続部がプラグ接続されている前記状態における、前記第2のコネクタ(5)に対する、特に封止状態での当接のためのコンタクト側面(23)である、コネクタシール(1)において、
前記コンタクト側面(23)は、少なくとも1つのシールリップ(31)を備え、前記少なくとも1つのシールリップ(31)は、前記周方向(U)に沿って延在し、その位置が前記軸方向(A)において波形に変化することを特徴とする、コネクタシール(1)。
【請求項2】
前記外側側面(19)は、前記コンタクト側面(23)であることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタシール(1)。
【請求項3】
前記当接側面(21)には、少なくとも1つのシールリップ(43)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のコネクタシール(1)。
【請求項4】
前記当接側面(21)の前記少なくとも1つのシールリップ(43)は、同様に波形を有することを特徴とする、請求項3に記載のコネクタシール(1)。
【請求項5】
前記コンタクト側面(23)は、前記軸方向(A)において互いに重ねて配置された2つ以上のシールリップ(31)を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のコネクタシール(1)。
【請求項6】
前記シールリップ(31)のうちの少なくとも2つが、前記周方向(U)に沿って互いから等間隔に延在することを特徴とする、請求項5に記載のコネクタシール(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのシールリップ(31)の前記波形は、前記中央開口部(9)を挟んで互いに対極となるように配置された少なくとも2つの最高位部(39)を備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のコネクタシール(1)。
【請求項8】
前記シールリップ(31)の前記波形は、前記周方向(U)において互いから同じ距離に配置された3つ以上の最高位部(39)を備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のコネクタシール(1)。
【請求項9】
軸方向の前記面(13、15)のうちの一方がフランジ部分(27)を備え、前記フランジ部分(27)において、前記コネクタシール(1)の断面が拡大していることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のコネクタシール(1)。
【請求項10】
波形の前記シールリップ(31)の少なくとも1つの最高位部(39)が、前記フランジ部分(39)の反対側に位置する前記面(13、15)まで延在することを特徴とする、請求項9に記載のコネクタシール(1)。
【請求項11】
波形の前記シールリップ(31)の少なくとも1つの最低位部(37)が、前記フランジ部分(27)まで延在することを特徴とする、請求項9または10に記載のコネクタシール(1)。
【請求項12】
前記コネクタシール(1)は、前記軸方向(A)から見て、矩形の形状を有し、波形の前記シールリップ(31)の少なくとも1つの最高位部(39)が、前記矩形の角部(41)に配置されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のコネクタシール(1)。
【請求項13】
中央開口部(9)の周りに前記コネクタ(3)の周方向(U)に沿って延在するハウジング壁(22)と、前記ハウジング壁(22)にその当接側面(21)が当接する、請求項1から12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのコネクタシール(1)とを備える、コネクタ(3)。
【請求項14】
第1のコネクタ(3)、第2のコネクタ(5)、および請求項1から12のいずれか一項に記載のコネクタシール(1)を備えたプラグ接続部であって、前記コネクタシール(1)は、2つの前記コネクタ(3、5)がプラグ接続されている状態において、前記2つのコネクタ(3、5)間の間隙(7)に封止状態で配置されている、プラグ接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグ接続されている状態においてプラグ接続部の第1のコネクタと第2のコネクタとの間の間隙を封止するためのコネクタシールに関し、コネクタシールは、中央開口部の周りに周方向に沿って自己完結式に(in a self-contained manner)延在し、コネクタシールは、軸方向に互いに反対側に位置する2つの面を備え、コネクタシールは、径方向に中央開口部の方を向く内側側面と、径方向に中央開口部の反対側を向く外側側面とを備え、内側側面および外側側面のうちの一方が、第1のコネクタに対する当接、特に永久的な当接のための当接側面であり、内側側面および外側側面のうちの他方が、プラグ接続部がプラグ接続されている状態における、第2のコネクタに対する、特に封止状態での当接のためのコンタクト側面である。
【背景技術】
【0002】
コネクタシールは、封止されたプラグ接続部を形成するために使用される。コネクタシールは、例えば、第1のコネクタのハウジング壁の外側側面に取り付けることができる。プラグ接続されると、第2のコネクタは、特にハウジング壁がコネクタシールに当接することができ、2つのコネクタ間には、外側に向かって封止された接続部が形成される。この接続部は、周方向全体にわたって延在し得る。代替として、コネクタシールは、周方向全体にわたって延在する第1のコネクタのハウジング壁の内側側面に取り付けることができる。プラグ接続部が、プラグ接続されている状態において、第2のコネクタのハウジング壁の外側側面は、コネクタシールに当接し、したがって、封止された接続を確立することができる。
【0003】
一方にコネクタシールが設けられた2つのコネクタをプラグ接続しようとする場合、特定の状況下において、強い差込み力が必要となり得る。これは、初めてコネクタをプラグ接続する場合に特に当てはまり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、コネクタシールが設けられた第1のコネクタと第2のコネクタとのプラグ接続を容易にするコネクタシールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、コンタクト側面が、少なくとも1つのシールリップを備えることにより満たされ、少なくとも1つのシールリップは、周方向に沿って延在し、その位置が、軸方向に波形に変化する。
【0006】
波形により、少なくとも1つのシールリップは、周方向に対して正確に平行に延在することはない。そうではなく、最高位部(maximum)または山と呼ばれ得るシールリップの領域が、最低位部(minimum)または谷と呼ばれ得る他の領域よりも軸方向にさらに延在する。本発明によるコネクタシールが設けられたコネクタが第2のコネクタとプラグ接続されるとき、最高位部を有する領域が、第2のコネクタと最初に接触し、最高位部から軸方向に離間されたシールリップの領域が、プラグ接続過程の後半に初めて第2のコネクタと接触する。コネクタ同士を接続する際に、最初からシールリップ全体が第2のコネクタと接触することがないため、2つのコネクタをプラグ接続するのに必要される差込み力が軽減され得る。
【0007】
少なくとも1つのシールリップの波形の少なくとも1つの最高位部は、好ましくは、差込み方向を向き、このシールリップの差込み方向は、好ましくは、軸方向と平行に延びており、好ましくはコネクタシールが設けられたコネクタの差込み方向と一致する。
【0008】
コネクタシールは、好ましくは、実質的にリング状であるが、この「リング状」という用語は、円形に限定されない。コネクタシールは、特に、全体的に矩形の形、特に、丸みを帯びた矩形、楕円形、正方形または別の多角形の形状を備え得る。
【0009】
コネクタシールのプロファイルが、周方向を規定する。周方向が及ぶ平面は、コネクタシールの径方向に平行、かつコネクタシールの軸方向に垂直に延在する。
【0010】
本発明はまた、コネクタ、特にプラグまたはソケットに関する。このコネクタは、中央開口部の周囲にコネクタの周方向に沿って延在するハウジング壁と、ハウジング壁にその当接側面が当接する少なくとも1つのコネクタシールとを備える。コネクタシールがコネクタに取り付けられている状態において、コネクタの中央開口部は、コネクタシールの中央開口部と一致し得る。コネクタのコンタクト要素、プラグ面、および/または他の部品は、中央開口部に配置することができる。
【0011】
コネクタシールは、例えば、ハウジング壁のうち、コネクタの中央開口部の反対側を向く側面に配置することができる。この場合、コネクタシールの当接側面は、コネクタシールの内側側面に配置される。コネクタシールは、例えば、ハウジング壁の周りに伸張され、例えば、弾性復元力によりハウジング壁に保持される。代替または追加として、コネクタシールは、特に、接着剤を用いて、またはコネクタシールをコネクタに噴霧することによって、ハウジング壁に永久的に取り付けることもできる。
【0012】
ハウジング壁の外側側面に対する当接の代わりに、コネクタシールは、ハウジング壁のうち、コネクタの中央開口部の方を向く側面に配置することができる。この場合、コネクタシールの当接側面は、コネクタシールの外側側面に配置される。コネクタにコネクタシールを保持するために、特に、コネクタのハウジング壁にコネクタシールを接着するか、またはコネクタのハウジング壁にコネクタシールを噴霧することができる。
【0013】
本発明はまた、第1のコネクタ、第2のコネクタ、および本発明によるコネクタシールを備えたプラグ接続部に関する。コネクタシールは、2つのコネクタがプラグ接続されている状態において、2つのコネクタ間の間隙に封止状態で配置される。プラグ接続部の第1のコネクタは、好ましくは、本発明によるコネクタである。
【0014】
本発明による解決策は、それら自体単独で有利であり、任意選択で組み合わせることができる各種構成によってさらに改善され得る。これらの構成およびこれらに関連する利点について、以下で説明する。
【0015】
コネクタシールの第1の有利な実施形態によれば、少なくとも1つのシールリップは、周方向全体にわたって延在することができる。
【0016】
少なくとも1つのシールリップの波形は、特に、正弦波とすることができる。但し、波形は異なる形に構成することもできる。シールリップは、好ましくは、複数の最高位部を備え、最低位部が、最高位部のうちの少なくとも2つの間に位置する。代替として、特に周方向に平行なシールリップの直線的プロファイルが、少なくとも部分的に2つの波の山の間に存在してもよい。少なくとも1つのシールリップが、複数の最高位部を備えている場合、特に、2つのコネクタをプラグ接続する際に、コネクタを互いに対して傾けてしまうことが防止され得る。
【0017】
コネクタシールのさらなる有利な実施形態によれば、外側側面は、コンタクト側面とすることができる。これにより、コネクタシールを第1のコネクタの外側側面の周りに配置することができる。代替として、内側側面がコンタクト側面であってもよい。
【0018】
当接側面に、少なくとも1つのシールリップを設けることもできる。当接側面の少なくとも1つのシールリップは、同様に、波形を有し得る。
【0019】
シールリップの有利な実施形態および構成について、以下で説明する。これらの実施形態および構成が、コンタクト側面との関連で説明される場合でも、当接側面が1つまたは複数のシールリップを備えているのであれば、シールリップの構成は、当接側面のシールリップにも使用することができる。
【0020】
コネクタシールを用いて良好な封止を実現するために、コンタクト側面および/または当接側面は、軸方向において互いに重ねて(互いに上下に、one above the other)配置された2つ以上のシールリップを備えることができる。
【0021】
好ましくは、シールリップのうちの少なくとも2つが、周方向に沿って互いから等間隔に延在する。このようにして、均一な封止を実現することができる。言い換えれば、シールリップのうちの少なくとも2つが、周方向に沿ってそれらの円形に延びる部分において互いから同じ軸方向距離を維持することができる。シールリップはともに、同じ波形を有し、互いに平行に延びることができる。
【0022】
好ましくは、少なくとも1つのシールリップの波形は、中央開口部を挟んで対極に位置するように配置された少なくとも2つの最高位部を備える。これにより、第1のコネクタが第2のコネクタに差し込まれる際、2つの最高位部が第2のコネクタに最初に接触することが確実にされ得る。これにより、プラグ接続過程で一方の側に負荷がかかるのを回避し、したがって、2つのコネクタが互いに対して傾くリスクを軽減することができる。
【0023】
周方向に沿って均一に作用する差込み力を得るために、3つ以上の最高位部を含むシールリップの最高位部は、周方向において互いから同じ距離に配置され得る。
【0024】
第1のコネクタで軸方向にコネクタシールを支持できるように、軸方向面のうちの一方は、コネクタシールの断面が拡大されたフランジ部分を備え得る。特に好ましくは、コネクタシールは、実質的にL字型の断面を有し得る。L字型の垂直部分が、フランジ部分の反対側に位置する面、ならびに外側側面および内側側面を含むことができ、L字型の水平部分が、フランジ部分を形成し得る。
【0025】
フランジ部分は、好ましくは、外側側面に配置され、残りのコネクタシールに対して径方向に反対側に延在する。言い換えれば、フランジ部分は、中央開口部の周りに延在するリングディスクを形成することができる。
【0026】
軸方向に沿って均一な封止を実現するために、波形シールリップの少なくとも1つの最高位部は、フランジ部分の反対側に位置する面まで延在することができる。
【0027】
特に好ましくは、波形シールリップの少なくとも1つの最低位部が、フランジ部分まで延在する。
【0028】
2つのコネクタのプラグ接続を容易にするために、コネクタシールは、軸方向から見て、矩形、特に丸みを帯びた矩形の形状を有することができ、波形シールリップの少なくとも1つの最高位部は、矩形の角部に配置され得る。言い換えれば、波形の最高位部は、角部の中心と一致し得る。好ましくは、すべての角部に最高位部がある。
【0029】
本発明によるコネクタシールは、既存の形態のコネクタに使用されてもよい。特に、シールリップを備えたコネクタシールを用いるコネクタに使用され得る。その場合、コネクタシールは、コネクタとは別個に製造および販売され得る。
【0030】
以下では、本発明について、図面を参照し、有利な実施形態を用いて例としてより詳細に説明する。例として本実施形態に示される特徴の組合せは、特定の応用例で必要とされる本発明のコネクタシールの特性に従って、上記の説明に従うさらなる特徴によって補足され得る。上記の説明に従って、個々の特徴の効果が応用例の特定のケースに無関係である場合、説明する実施形態では、この特徴を省略することもできる。図面における同じ参照符号は、常に、同じ機能および/または同じ構造を有する要素に使用する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明による、コネクタシールの第1の有利な実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1のコネクタシールの一部を異なる視点から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下で、本発明によるコネクタシール1の有利な実施形態の構造について、
図1および
図2を参照して説明する。
【0033】
単なる例として、コネクタシール1は、第1のコネクタ3と第2のコネクタ5との間にプラグ接続を確立するために第2のコネクタ5とプラグ接続されるように構成されている、破線で示す第1のコネクタ3に位置するように示されている。
【0034】
コネクタシール1は、プラグ接続されている状態においてコネクタ3とコネクタ5との間に延在する間隙7を封止するために使用される。
【0035】
コネクタシール1は、中央開口部9の周りに周方向Uに沿って延在する。コネクタシールは、周方向Uに沿ってリング状に、すなわち、自己完結式に延在する。
【0036】
コネクタシール1の軸方向Aは、周方向Uが及ぶ仮想平面(図示せず)に対して垂直に延在する。
【0037】
径方向Rは、軸方向Aに対して垂直に延在し、軸方向Aは、好ましくは、コネクタシール1の中心軸11と一致する。
【0038】
コネクタシール1は、軸方向Aに沿って互いに反対側に配置された2つの面13および15を備える。
【0039】
また、コネクタシール1は、径方向Rにおいて中央開口部9の方を向く内側側面17と、径方向Rにおいて中央開口部の反対側を向く外側側面19とを備える。
【0040】
側面17および側面19のうちの一方は、第1のコネクタ3に対する当接のための当接側面21とすることができる。例として示すコネクタシール1の実施形態では、これは、内側側面17である。
【0041】
その場合、径方向Rにおいて当接側面21の反対側に位置する外側側面19は、プラグ接続部がプラグ接続されている状態において第2のコネクタ5に封止状態で当接するコンタクト側面23となる
【0042】
コネクタシール1は、第1のコネクタ3のハウジング壁22にその当接側面21が当接する。第1のコネクタ3は、コネクタシール1の中央開口部9と一致する中央開口部24を備える。
【0043】
コネクタシール1は、好ましくは、弾性材料、例えば、エラストマーから製造される。
【0044】
コネクタシール1の差込み方向25は、軸方向Aに平行に延在するとともに、第1のコネクタ3の差込み方向を規定し得る。
【0045】
差込み方向25は、コネクタシール1の形状を考慮に入れることができる。コネクタシール1は、好ましくは、コネクタシール1のうち、差込み方向25とは反対に位置する側に配置されている面にフランジ部分27を備える。例として説明する実施形態では、これは、面15である。
【0046】
コネクタシール1が設けられた第1のコネクタ3が、第2のコネクタ5とプラグ接続されるとき、面13が第2のコネクタ5に最初に接触する。コネクタシール1の断面が拡大されたフランジ部分27は、第1のコネクタ3でコネクタシール1を確実に支持する役割を果たし得る。コネクタシール1は、フランジ部分27によって第1のコネクタ3で支持され得る。
【0047】
フランジ部分27において、コネクタシール1は、好ましくは、L字型の断面を備える。特に、フランジ部分27のコネクタシール1は、コネクタシール1の残りの部分の周りに延在するリングディスク状のフランジ29を備え得る。
【0048】
コンタクト側面23において、コネクタシール1は、周方向Uに沿って延在する少なくとも1つのシールリップ31を備える。コネクタシール1は、単に例として、3つのシールリップ31を備えるものとして示されている。
【0049】
3つのシールリップ31は、単に例として、軸方向Aに互いに重ねて(上下に)配置されるものとして示されている。また、単に例として、3つのシールリップ31のすべてが、互いから等間隔または互いに平行なものとして示されている。
【0050】
以下で、シールリップ31の形状について説明する。3つのシールリップ31の形状が同じであるため、少なくとも例として示す実施形態では、簡略化のために単一のシールリップ31のみについて説明する。
【0051】
シールリップ31は、コネクタシール1の周りの外側側面19に沿って波形に延在する。言い換えれば、シールリップ31の位置が、軸方向Aにおいて波形に変化する。シールリップ31は、好ましくは、実質的に正弦波のプロファイルを有する。但し、プロファイルは、他の形状を取ってもよい。
【0052】
波形プロファイルにより、シールリップ31は、交互の波の谷33および波の山35を備える。波形の最低位部37は、波の谷33にあり、波形の最高位部39は、波の山35にある。
【0053】
波の山35を有し、したがって最高位部39を有するシールリップ31は、好ましくは、挿入方向25を向く。
【0054】
差込み方向25から見て、上側シールリップ31の最高位部39の領域において、第1のコネクタ3が第2のコネクタ5とプラグ接続されるとき、コネクタシール1が、第2のコネクタ5に最初に接触する。
【0055】
特に最低位部37の領域における、シールリップ31の残りの領域は、まだこの時点でコネクタ5と接触していないため、差込み力を印加する必要があるが、この差込み力は、波形なしの、すなわち、例えば、周方向Uに平行となるようにコネクタシール1の周りに延在するシールリップの場合の差込み力よりも小さくなる。
【0056】
上記は、最高位部39の領域が最初に第2のコネクタ5に接触し、プラグ接続過程が進んでから初めて第2のコネクタ5と完全に接触するさらなるシールリップ31にも当てはまり得る。
【0057】
好ましくは、シールリップ31は、各々、その最高位部39のうちの2つが、中央開口部9を挟んで互いに対極に位置する。このようにして、2つのコネクタ3および5がプラグ接続されるとき、周方向Uに沿って均一な接触圧または差込み力を得ることができる。
【0058】
例として示すコネクタシール1の実施形態は、丸みを帯びた矩形の形状を有する。シールリップ31の最高位部39は、好ましくは、矩形の各角部41に位置する。
【0059】
差込み方向25における最も上側のシールリップ31は、少なくともその最高位部39が、好ましくは、面13まで延在する。
【0060】
軸方向Aにおいてこのシールリップ31の反対側に位置するシールリップ31、すなわち、最も下側のシールリップ31はそれぞれ、好ましくは、その最低位部37がフランジ部分27までまたはフランジ部分27の中へと延在する。
【0061】
当接側面21は、好ましくは、シールリップ43を備える。これらのシールリップ43は、コンタクト側面23のシールリップ31のように波形に構成することができる。但し、これは、必須ではない。
【符号の説明】
【0062】
1 コネクタシール
3 第1のコネクタ
5 第2のコネクタ
7 間隙
9 中央開口部
11 中心軸
13、15 面
17 内側側面
19 外側側面
21 当接側面
22 ハウジング壁
23 コンタクト側面
24 第1のコネクタの中央開口部
25 差込み方向
27 フランジ部分
29 フランジ
31 シールリップ
33 波の谷
35 波の山
37 最低位部
39 最高位部
41 角部
43 シールリップ
A 軸方向
R 径方向
U 周方向
【手続補正書】
【提出日】2024-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ接続されている状態においてプラグ接続部の第1のコネクタ(3)と第2のコネクタ(5)との間の間隙(7)を封止するためのコネクタシール(1)であって、
前記コネクタシール(1)は、中央開口部(9)の周りに周方向(U)に沿って自己完結式に延在し、前記コネクタシール(1)は、軸方向(A)に互いに反対側に位置する2つの面(13、15)を備え、前記コネクタシール(1)は、径方向(R)に前記中央開口部(9)の方を向く内側側面(17)と、前記径方向(R)に前記中央開口部(9)の反対側を向く外側側面(19)とを備え、
前記内側側面(17)および前記外側側面(19)のうちの一方が、前記第1のコネクタ(3)に対する当接のための当接側面(21)であり、前記内側側面(17)および前記外側側面(19)のうちの他方が、前記プラグ接続部がプラグ接続されている前記状態における、前記第2のコネクタ(5)に対する、封止状態での当接のためのコンタクト側面(23)である、コネクタシール(1)において、
前記コンタクト側面(23)は、少なくとも1つのシールリップ(31)を備え、前記少なくとも1つのシールリップ(31)は、前記周方向(U)に沿って延在し、その位置が前記軸方向(A)において波形に変化することを特徴とする、コネクタシール(1)。
【請求項2】
前記外側側面(19)は、前記コンタクト側面(23)であることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタシール(1)。
【請求項3】
前記当接側面(21)には、少なくとも1つのシールリップ(43)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタシール(1)。
【請求項4】
前記当接側面(21)の前記少なくとも1つのシールリップ(43)は、同様に波形を有することを特徴とする、請求項3に記載のコネクタシール(1)。
【請求項5】
前記コンタクト側面(23)は、前記軸方向(A)において互いに重ねて配置された2つ以上のシールリップ(31)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタシール(1)。
【請求項6】
前記シールリップ(31)のうちの少なくとも2つが、前記周方向(U)に沿って互いから等間隔に延在することを特徴とする、請求項5に記載のコネクタシール(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのシールリップ(31)の前記波形は、前記中央開口部(9)を挟んで互いに対極となるように配置された少なくとも2つの最高位部(39)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタシール(1)。
【請求項8】
前記シールリップ(31)の前記波形は、前記周方向(U)において互いから同じ距離に配置された3つ以上の最高位部(39)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタシール(1)。
【請求項9】
軸方向の前記面(13、15)のうちの一方がフランジ部分(27)を備え、前記フランジ部分(27)において、前記コネクタシール(1)の断面が拡大していることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタシール(1)。
【請求項10】
波形の前記シールリップ(31)の少なくとも1つの最高位部(39)が、前記フランジ部分(27)の反対側に位置する前記面(13、15)まで延在することを特徴とする、請求項9に記載のコネクタシール(1)。
【請求項11】
波形の前記シールリップ(31)の少なくとも1つの最低位部(37)が、前記フランジ部分(27)まで延在することを特徴とする、請求項9に記載のコネクタシール(1)。
【請求項12】
前記コネクタシール(1)は、前記軸方向(A)から見て、矩形の形状を有し、波形の前記シールリップ(31)の少なくとも1つの最高位部(39)が、前記矩形の角部(41)に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタシール(1)。
【請求項13】
中央開口部(9)の周りに前記コネクタ(3)の周方向(U)に沿って延在するハウジング壁(22)と、前記ハウジング壁(22)にその当接側面(21)が当接する、請求項1から12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのコネクタシール(1)とを備える、コネクタ(3)。
【請求項14】
第1のコネクタ(3)、第2のコネクタ(5)、および請求項1から12のいずれか一項に記載のコネクタシール(1)を備えたプラグ接続部であって、前記コネクタシール(1)は、2つの前記コネクタ(3、5)がプラグ接続されている状態において、前記2つのコネクタ(3、5)間の間隙(7)に封止状態で配置されている、プラグ接続部。
【外国語明細書】