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特開2024-159643電気HV接続用コンタクトアセンブリ
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  • 特開-電気HV接続用コンタクトアセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159643
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電気HV接続用コンタクトアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20241031BHJP
   H01R 13/44 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01R13/42 H
H01R13/44 T
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024071140
(22)【出願日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】10 2023 111 126.4
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ユングニッケル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ マイローザー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ルディ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ラープ
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087FF07
5E087GG17
5E087QQ03
5E087RR17
5E087RR25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タッチ保護部を有し、それにもかかわらず装着が容易なコンタクトアセンブリを提供する。
【解決手段】電気HV接続用コンタクトアセンブリ1であって、タッチ保護部80を含むハウジング2であり、第1のハウジング端部10から、軸方向8に沿って離間した第2のハウジング端部12へ延びる貫通開口部6を有し、第2のハウジング端部には、少なくとも1つの半径方向内方に突出するタッチ保護要素54を有し、貫通開口部には、周方向28に延び、かつ第2のハウジング端部側を向く面法線78を有する少なくとも1つのラッチ面46を有するハウジングと、軸方向の周りの任意の所望の角度位置で、第1のハウジング端部から貫通開口部内に第2のハウジング端部に向かって挿入可能なコンタクト要素とを有し、コンタクト要素が挿入されると、少なくとも1つのラッチ突出部72が、所望の角度位置のそれぞれにおいて少なくとも1つのラッチ面にラッチ係合する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気HV接続用コンタクトアセンブリ(1)であって、
タッチ保護部(80)を含むハウジング(2)であり、前記ハウジング(2)は、前記ハウジング(2)の第1のハウジング端部(10)から、軸方向(8)に沿って前記第1のハウジング端部(10)から離間した前記ハウジング(2)の第2のハウジング端部(12)へ延びる貫通開口部(6)を有し、
前記ハウジング(2)は、前記第2のハウジング端部(12)には、少なくとも1つの半径方向内方に突出するタッチ保護要素(54)を有し、前記貫通開口部(6)には、前記軸方向(8)の周りで周方向(28)に延び、かつ前記第2のハウジング端部(12)側を向く面法線(78)を有する少なくとも1つのラッチ面(46)を有する、ハウジング(2)と、
前記軸方向(8)の周りの任意の所望の角度位置(160)で、前記第1のハウジング端部(10)から前記貫通開口部(6)内に前記第2のハウジング端部(12)に向かって挿入可能なコンタクト要素(4)とを有し、
前記コンタクト要素(4)が前記貫通開口部(6)に挿入されると、前記コンタクト要素(4)の少なくとも1つのラッチ突出部(72)が、前記所望の角度位置(160)のそれぞれにおいて前記少なくとも1つのラッチ面(46)にラッチ係合する、コンタクトアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記貫通開口部(6)は、前記周方向(28)に互いに離間した複数のラッチ面(46)を有し、前記コンタクト要素(4)は、前記周方向(28)に互いに隣接して配置された複数のラッチ突出部(72)を有し、前記コンタクト要素(4)が前記ハウジング(2)にラッチ係合されると、少なくとも1つのラッチ突出部(72)が、前記ハウジング(2)に対する前記コンタクト要素(4)のそれぞれの角度位置(160)で、前記周方向(28)に延びる幅(140)全体にわたってラッチ面(46)に当接する、請求項1に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記ラッチ面(46)と前記ラッチ突出部(72)とは、以下の差異、すなわち、
-前記複数のラッチ面(46)のうちの少なくとも一部の前記周方向(28)の幅(66)が、前記複数のラッチ突出部(72)のうちの少なくとも一部の前記周方向(28)の幅(140)とは異なること、
-ラッチ面(46)の数がラッチ突出部(72)の数とは異なること、
-前記複数のラッチ突出部(72)のうちの、前記周方向(28)に隣接する少なくとも一部のラッチ突出部(72)間の前記周方向(28)の距離が、前記周方向(28)に隣接する少なくとも一部のタッチ保護要素(54)間の前記周方向(28)の距離(114)とは異なること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項2に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記複数のタッチ保護要素(54)のうちの前記周方向(28)に隣接するタッチ保護要素(54)が、間隙(112)によって互いに分離され、前記複数のラッチ面(46)のうちの少なくとも一部が、それぞれ少なくとも1つの間隙(112)の延長部に前記軸方向(8)に配置されている、請求項2または3に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記周方向(28)におけるラッチ面(46)の幅(66)は、最大でも前記周方向(28)における前記間隙(112)の幅(116)と同じである、請求項4に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記コンタクト要素(4)が前記ハウジング(2)に挿入されると、前記複数のラッチ突出部(72)のうちの少なくとも1つのラッチ突出部(72)が、少なくとも2つのラッチ面(46)にラッチ係合する、請求項2から5のいずれか一項に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項7】
ラッチ面(46)は、前記第1のハウジング端部(10)から前記第2のハウジング端部(12)へ前記軸方向(8)に延びるベース(26)の、前記第2のハウジング端部(12)に面した端部(138)を形成する、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記ベース(26)は、周方向(28)に隣接する2つのタッチ保護要素(54)間の間隙(112)と、軸方向(8)において同一平面上にある、請求項7および4から6のいずれか一項に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記ハウジング(2)は複数のベース(26)を含み、前記周方向(28)に互いに隣接するベース(26)が、凹部(30)によって互いに分離されている、請求項7または8に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項10】
環状窪み(124)が、前記ベース(26)と前記第2のハウジング端部(12)との間に配置されている、請求項7から9のいずれか一項に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項11】
前記ラッチ面(64)は、前記第1のハウジング端部(10)側を向く跳返り部(50)の端部(48)によって形成されており、前記跳返り部(50)は、前記ラッチ面(46)から2つの隣接するタッチ保護要素(54)間に前記軸方向(8)に延びる、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項12】
前記周方向(28)に隣接する跳返り部(50)が、突出部(58)によって互いに分離されており、前記突出部(58)は、ラッチ面(46)からタッチ保護要素(54)へ前記軸方向(8)に延びる、請求項11に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項13】
前記周方向(28)における前記ラッチ突出部(72)の幅(140)は、前記周方向(28)における前記ラッチ面(46)の幅(66)よりも小さい、請求項11または12に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項14】
前記ハウジング(2)は射出成形によって形成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気HV接続用コンタクトアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトアセンブリは、特に電気工学の分野において、高電圧(HV)範囲の電気接続を行うために使用されている。そのようなコンタクトアセンブリは、例えば電気プラグコネクタの一部であってよい。
【0003】
通常、コンタクトアセンブリは、(通常は電気的に絶縁された)ハウジングに挿入され、ハウジングにラッチ係合され得るコンタクト要素を備えている。高電圧または高電流接続用コンタクトアセンブリは、通常、人の指がハウジングに挿入されてコンタクトアセンブリの通電部品に接触することを防止するタッチ保護部を有する。そのようなタッチ保護部により、装着プロセスがより困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、タッチ保護部を有し、それにもかかわらず装着が容易なコンタクトアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、これは、電気HV接続用コンタクトアセンブリであって、
-タッチ保護部を含むハウジングであり、ハウジングは、ハウジングの第1のハウジング端部から、軸方向に沿って第1のハウジング端部から離間したハウジングの第2のハウジング端部へ延びる貫通開口部を有し、
ハウジングは、第2のハウジング端部には、少なくとも1つの半径方向内方に突出するタッチ保護要素を有し、
貫通開口部には、軸方向の周りで周方向に延び、かつ第2のハウジング端部側を向く面法線を有する少なくとも1つのラッチ面を有する、ハウジングと、
-軸方向の周りの任意の所望の角度位置で、第1のハウジング端部から貫通開口部内に第2のハウジング端部に向かって挿入可能なコンタクト要素とを有し、
コンタクト要素が貫通開口部に挿入されると、コンタクト要素の少なくとも1つのラッチ突出部が、所望の角度位置のそれぞれにおいて少なくとも1つのラッチ面にラッチ係合する、コンタクトアセンブリによって実現される。
【0006】
タッチ保護部は、コンタクトアセンブリに属さない、人の指または他の物体が、タッチ保護部が挿入方向に沿って配置される半径方向平面を通ることを防止する。これは、タッチ保護部の少なくとも1つの半径方向内方に突出するタッチ保護要素が、半径方向平面の箇所における貫通開口部を縮小すること、すなわち、貫通開口部の直径を小さくすることによって実現される。タッチ保護要素は、半径方向平面の箇所における貫通開口部の直径を、人の指が軸方向に通ることができない程度まで小さくするように構成されている。
したがって、直径が、ハウジングの貫通開口部に挿入されるのに十分に小さいが、タッチ保護部を軸方向に通るには大きすぎる人の指または物体が、通電部品に到達することが防止される。コンタクトアセンブリの一部ではない人の指または別の物体が、安全上の理由でいかなる状況下でも接触してはならない通電部品が、例えば第2のハウジング端部を越えて配置されることがある。タッチ保護部は、これを防止し、したがって、コンタクトアセンブリの使用の安全性を高める。
【0007】
特に、タッチ保護部は、ISO20653規格の仕様に従うことができる。ユーザの人の指による通電部品との接触を防止することができ、人の指は、例えば、試験指の長さ80mmおよび直径12mmを規定する通常の規格、例えばDIN EN60529:2000に従う試験指によってシミュレートされる。他の関連する規格は、VDE0470 Part2、IEC/EN61032、VDE0470 Part、またはIEC/EN60529、IEC/EN60950、IEC61010、IEC/EN60335、IEC/EN60745-1、IEC/EN60034-5、およびIEC/EN60065であり得る。
【0008】
ハウジングの少なくとも1つのラッチ面とコンタクト要素の少なくとも1つのラッチ突出部とを設けることにより、ラッチ面とラッチ突出部との間の形状嵌合接続のための構造上の前提条件が形成される。このようにして、貫通開口部に挿入されたコンタクト要素を、ハウジングに形状嵌合でラッチ止めし、そこに固定することができる。これは、コンタクト要素とハウジングとの間の軸方向の相対移動を防止するまたは少なくとも制限することができる。特に、このようなラッチは、挿入方向とは反対方向へのコンタクト要素の移動を防止または制限する。このようにして、コンタクトアセンブリの意図しない緩みが防止され、より安定した電気接続が得られる。
【0009】
本発明によるコンタクトアセンブリは、コンタクト要素をハウジングに無極性挿入(polarization-free insertion)することができるという利点も有する。コンタクト要素を、貫通開口部に、ハウジングに対して軸方向の周りの任意の角度位置で挿入することができる。ハウジングに対するコンタクト要素の周方向の回転は、挿入およびラッチのいずれとも無関係である。コンタクト要素をハウジングに対して周方向に位置合わせする必要はなく、コンタクト要素の長手方向軸と貫通開口部の長手方向軸とを同一平面上にすればよいだけであるため、組立てが簡単になる。
【0010】
コンタクト要素がケーブルに接続されると、ねじれおよびそれによるケーブルの潜在的な損傷を防止することができる。これは、コンタクト要素が長手方向軸の周りのケーブルの回転に従うことができ、これが有害なねじれを抑制することによる。これは、コンタクト要素が周方向に沿ってハウジングに対して自由に回転することができるため、コンタクト要素がハウジング内でラッチ係合されているときにも当てはまる。
【0011】
コンタクト要素がハウジングの貫通開口部に挿入されると、ハウジングに対するコンタクト要素の軸方向の周りの角度位置にかかわらず、少なくとも1つのラッチ突出部が少なくとも1つのラッチ面にラッチ係合する。したがって、貫通開口部に挿入されたコンタクト要素は、コンタクト要素とハウジングとの間のラッチが解放されることなく、ハウジングに対して周方向に沿って自由に回転することができる。そのような無極性のラッチ係合は、コンタクト要素がハウジングに対して周方向に移動しても、コンタクトアセンブリが動作可能なままであることを保証する。これにより、例えば、コンタクトアセンブリによって確立される電気接続の安定性および安全性が高まる。
【0012】
上記の発明を、それぞれが好ましく、希望に応じて互いに組み合わせることのできる以下の特徴によってさらに改良することができる。
【0013】
さらなる好ましい実施形態によれば、貫通開口部は、周方向に互いに離間した複数のラッチ面を有することができ、コンタクト要素は、周方向に互いに隣接して配置された複数のラッチ突出部を有することができ、コンタクト要素がハウジング内でラッチ係合された状態で、少なくとも1つのラッチ突出部が、ハウジングに対するコンタクト要素のそれぞれの角度位置で、周方向に延びる幅全体にわたってラッチ面に当接することができる。
【0014】
さらなる好ましい実施形態によれば、貫通開口部は、周方向に互いに離間した複数のラッチ面を有することができ、コンタクト要素は、周方向に互いに隣接して配置された複数のラッチ突出部を有することができ、コンタクト要素がハウジング内でラッチ係合された状態で、少なくとも1つのラッチ突出部が、ハウジングに対するコンタクト要素のそれぞれの角度位置で、周方向に延びる幅全体にわたってラッチ面に当接することができる。
【0015】
さらなる態様によれば、ラッチ面とラッチ突出部とは、以下の差異、すなわち、
-複数のラッチ面のうちの少なくとも一部の周方向の幅が、複数のラッチ突出部のうちの少なくとも一部の周方向の幅とは異なること、
-ラッチ面の数がラッチ突出部の数とは異なること、
-複数のラッチ突出部のうちの、周方向に隣接する少なくとも一部のラッチ突出部間の周方向の距離が、周方向に隣接する少なくとも一部のタッチ保護要素間の周方向の距離とは異なること、
のうちの少なくとも1つを有することができる。
【0016】
ラッチ面とラッチ突出部との間の幾何学的比率または数値的比率を、ラッチ面とラッチ突出部との間の領域の重なりをそれぞれの用途に適応させるように使用することができる。この文脈で、例えば、ある一定のラッチ力に必要な重なりを保証することができる。
【0017】
1つの構成において、少なくとも1つのタッチ保護要素は、コンタクト要素がハウジングに挿入されたとき、特にコンタクト要素がハウジングに完全に挿入されたときに当たる止め部を形成する。このようにして、挿入方向に沿ったハウジングに対するコンタクト要素の移動が制限される。コンタクト要素がハウジングに完全に挿入され、ラッチ突出部がラッチ面にラッチ係合すると、挿入方向とは逆のハウジングに対するコンタクト要素の移動も制限される。その結果、コンタクト要素は、軸方向に沿った移動に対して固定され、特にコンタクト要素の外れまたは緩い接触によるコンタクトアセンブリの電気接触の中断が防止される。そのようなコンタクトアセンブリは、電気接続の安定性を高める。
【0018】
ラッチ面の大部分が、軸方向に対して垂直に延びる共通平面に位置することができる。同様に、ラッチ突出部の大部分も、軸方向に対して垂直な共通平面に位置することができる。
【0019】
ラッチ面およびラッチ突出部の両方が、周方向に同じ幅を有することができる。複数のラッチ突出部のうちのいくつかのラッチ突出部がそれぞれ、周方向に延びる幅全体にわたってラッチ面に当接することができると好ましい。特に、ラッチ突出部はそれぞれ、異なるラッチ面に当接することができる。
【0020】
タッチ保護要素の断面積は、半径方向内方に小さくなっていてよい。タッチ保護要素は、半径方向においてハウジングの中心軸から最も遠い箇所で最大断面積を有することができる。同様に、タッチ保護要素は、半径方向においてハウジングの中心軸に最も近い箇所で最小断面積を有することができる。
【0021】
タッチ保護要素は、第1のハウジング端部から離れる方を向く端面に斜面を有することができると好ましい。特に、斜面は、軸方向に関して、第1のハウジング端部に向かって半径方向内方に傾斜していてよい。斜面は、例えば平坦であっても、例えば円筒スタブシェル面(cylinder stub shell surface)の一部として湾曲していてもよい。
【0022】
さらなる好ましい実施形態によれば、複数のタッチ保護要素のうちの周方向に互いに隣接するタッチ保護要素を、それぞれ1つの間隙によって互いに分離することができ、複数のラッチ面のうちの少なくとも一部を、それぞれ少なくとも1つの間隙の延長部に軸方向に配置することができる。いずれの場合も、少なくとも1つの間隙の延長部に、複数のラッチ面を軸方向に配置することができると好ましい。間隙とラッチ面とは、軸方向において同一平面上にあってよい。
【0023】
タッチ保護要素間に周方向に配置された間隙は、射出成形プロセスにおける製造上の利点を示す。射出成形金型の部品を、軸方向に沿って成形するようにハウジングに容易に挿入することができ、ラッチ面を形成することができる。
【0024】
さらなる好ましい実施形態によれば、周方向におけるラッチ面の幅は、最大でも周方向における間隙の幅と同じであってよい。あるいは、周方向におけるラッチ面の幅は、周方向における2つの隣接するタッチ保護要素間の距離と同じかそれより大きくてもよい。そのような構成は、例えば、射出成形プロセスの一部として容易に製造することができる。このプロセスで、間隙を介して射出成形工具をハウジングに挿入して、ラッチ面を形成することができる。本実施形態によるコンタクトアセンブリは、製造技術の点で好ましい。
【0025】
本発明のさらなる態様によれば、コンタクト要素がハウジングに挿入されると、複数のラッチ突出部のうちの少なくとも1つのラッチ突出部が、少なくとも2つのラッチ面にラッチ係合することができる。力がコンタクト要素に軸方向に作用する場合、少なくとも1つのラッチ突出部とラッチ面との間の機械的負荷が、少なくとも2つのラッチ面にわたって分散され、ラッチ面にかかる材料負荷(material load)を低減させる。加えて、本実施形態によれば、コンタクト要素は重複してラッチ係合される。これにより、コンタクトアセンブリの動作信頼性を向上させる。
【0026】
さらなる実施形態によれば、ラッチ面は、第1のハウジング端部から第2のハウジング端部へ軸方向に延びるベースの、第2のハウジング端部側を向く端部を形成することができる。この構成は、ラッチ突出部とラッチ面との間に発生する機械的応力が、ベース本体に均一に導入されるため、ハウジングおよびラッチ面にかかる機械的負荷を低減させる。これは、コンタクトアセンブリの耐用年数に好ましい影響を与える。
【0027】
ベースは、中空円筒セグメントの形状を有することができる。ベースの基底領域(ground area)は、軸方向および周方向に沿って延びることができ、ベースは半径方向に突出することができる。
【0028】
さらに、ベースを貫通開口部の壁によって形成することができる。そのような構成により、特に射出成形プロセスの一部としての製造が簡単になる。これにより、製造コストが削減される。
【0029】
本発明のさらなる実施形態によれば、ベースは、周方向に隣接する2つのタッチ保護要素間の間隙と、軸方向において同一平面上にあってよい。したがって、射出成形プロセス中、スライダを、第2のハウジング端部で間隙を介してハウジングに挿入して、ベースを成形することができる。これにより、製造プロセスが簡単になる。
【0030】
ベースは、周方向のいずれの箇所においても、周方向においてベースに隣接する2つのタッチ保護要素間でベースと同一平面上にある間隙よりも幅広にならないように構成されてよい。加えて、ベースは、軸方向のいずれの箇所でもタッチ保護要素に重ならないように配置されてよい。特に、第1のハウジング端部に面したベースの端部と第2のハウジング端部に面したベースの端部との間の軸方向の距離は、第1のハウジング端部に面したベースの端部と第1のハウジング端部に面したタッチ保護要素の側面との間の軸方向の距離よりも小さいかまたはそれに等しくてよい。
【0031】
さらなる態様によれば、ハウジングは複数のベースを有することができ、周方向に互いに隣接するベースを、凹部によって互いに分離することができる。凹部は、少なくともラッチ面から第1のハウジング端部へ軸方向に連続的に延びることができる。
【0032】
射出成形プロセスの一部としての製造中、タッチ保護要素まで延びるスライダを、凹部を介して軸方向に沿って挿入することができ、これにより、金型の形成がかなり簡単になる。
【0033】
別の好ましい実施形態によれば、環状窪み(annular depression)を、ベースと第2のハウジング端部との間に配置することができる。環状窪みは、コンタクト要素をハウジングに対して周方向の任意の角度位置でラッチ面にラッチ係合させることができる構造上の前提条件を形成する。ラッチ突出部は、ラッチ突出部とラッチ面とが半径方向に重なる場合のみ、ラッチ面に形状嵌合で接触することができる。コンタクト要素が挿入方向に沿って挿入されると、ラッチ突出部は、最初に、ベースによって半径方向内方に撓むまたは弾性変形する。ラッチ突出部がラッチ面に重なることができるように、ラッチ突出部は、軸方向に沿ってベースを通過した後に、スナップイン動作(snap-in movement)で、再び半径方向外方に移動することができなければならない。
これは、ベースとタッチ保護要素との間に軸方向に延びる窪みが設けられ、この窪みがラッチ突出部を収容することができる場合に可能である。設けることが好ましい環状窪みは、ラッチ突出部が、ベースを通過した後に、周方向に沿った任意の箇所で半径方向外方に移動することができるという利点を有する。加えて、環状窪みは、例えば射出成形プロセスの一部としての製造技術の点で、製造が容易であり、コスト効率が高い。
【0034】
隣接するベースの周方向の凹部は、窪みに合流することができる。特に、凹部は、急な変化なく窪みに合流することができる。この場合、凹部と窪みとの間の半径方向のずれは、凹部が窪みに合流する軸方向の箇所においてゼロであってよい。
【0035】
加えて、窪みは、タッチ保護要素間に延びることができる。この場合、半径方向のずれは、2つの隣接するタッチ保護要素間で軸方向および周方向に沿って延びる領域に窪みが合流する軸方向の箇所においてゼロであってよい。
【0036】
隣接するタッチ保護要素間の凹部、窪み、および領域の間の急な変化のない移行は、特に射出成形プロセスの一部としての製造が容易であるという利点を有する。
【0037】
さらなる好ましい実施形態によれば、ラッチ面を、第1のハウジング端部側を向く跳返り部(rebound)の端部によって形成することができ、跳返り部は、ハウジング面から2つの隣接するタッチ保護要素間に軸方向に延びる。あるいは、跳返り部は、半径方向に跳ね返ることもできる。そのような構成は、第2のハウジング端部を介して工具が跳返り部に容易にアクセスできるため、製造技術の点で好ましい。したがって、跳返り部を容易にコスト効率よく製造することができる。
【0038】
さらなる実施形態によれば、周方向に互いに隣接する跳返り部を、突出部によって互いに分離することができ、突出部は、ラッチ面からタッチ保護要素へ軸方向に延びることができる。本実施形態において、ラッチ係合状態で、コンタクト要素のラッチ突出部が隣接する突出部の側面に隣接しているため、貫通開口部にラッチ係合したコンタクト要素の周方向の移動が制限される。これにより、コンタクト要素と貫通開口部の壁との間の周方向の相対移動を防止または制限して、コンタクト要素および貫通開口部の壁の摩耗を低減させる。
【0039】
突出部は、半径方向内方に突出することができる。さらに、突出部は、突出部が終端するタッチ保護要素の後ろ(shadow)で軸方向に延びることができる。特に、第1のハウジング端部側の軸方向における跳返り部間の突出部は、ラッチ面から周方向に一体化されて、環状突出部を形成することができる。特に、環状突出部は、ラッチ面から第1のハウジング端部へ軸方向に延びることができる。
【0040】
さらなる態様において、周方向におけるラッチ突出部の幅は、周方向におけるラッチ面の幅よりも小さくてよい。ラッチ突出部の幅とラッチ面の幅との間のこのような比率は、ラッチ突出部が幅全体にわたってラッチ面に当接する可能性を高める。このようにして、ラッチ突出部にかかる材料負荷を低減させることができる。
【0041】
特に、2つのラッチ突出部間の任意選択の間隙を含む、周方向に隣接する2つのラッチ突出部の幅は、最大でもラッチ面の周方向の幅と同じであってよい。
【0042】
1つの可能な実施形態によれば、ハウジングを射出成形によって形成することができる。このようにして、ハウジングおよびそれによるコンタクトアセンブリを、自動生産の一部としてコスト効率よく製造することができる。
【0043】
以下で、添付図面を参照しながら、実施形態によって本発明をより詳細に説明する。この文脈で、上記の実施形態により、下記の実施形態に存在する個々の特徴に関連する技術的効果が重要でなければ、その特徴を省略することができる。逆に、上記したが下記の実施形態に存在しない特徴に関連する技術的効果が特定の用途にとって重要であれば、その特徴を実施形態に追加することができる。
【0044】
以下で、構造および/または機能に関して互いに対応する要素に、同じ参照符号が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】可能な実施形態によるコンタクトアセンブリの概略斜視図である。
図2】可能な実施形態によるハウジングの概略斜視図である。
図3】コンタクト要素が挿入される前の、可能な実施形態によるコンタクトアセンブリの概略斜視図である。
図4】ラッチ係合状態における、可能な実施形態によるコンタクトアセンブリの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下で、図1および図2を参照しながら、コンタクトアセンブリ1の構造について最初に説明する。
【0047】
コンタクトアセンブリ1は、ハウジング2とコンタクト要素4とを有する。
【0048】
ハウジング2は、略円筒形の貫通開口部6を有し、貫通開口部6は、軸方向8に沿って第1のハウジング端部10から第2のハウジング端部12へ延びる。貫通開口部6の長手方向軸14が、軸方向8に沿って延びる。
【0049】
貫通開口部6は、ハウジング2の一部である円筒形の壁16を有する。円筒形の貫通開口部6の円形端面18は、第1のハウジング端部10および第2のハウジング端部12の両方に配置されている。第1のハウジング端部10に配置された貫通開口部6の第1の端面20は、アクセス開口部22として設けられ、これを通して、コンタクト要素4を軸方向8に沿って貫通開口部6に挿入することができる。貫通開口部6へのコンタクト要素4の挿入23は、挿入方向24に沿って行うことができ、挿入方向24は、軸方向8に沿って、第1のハウジング端部10から離れて第2のハウジング端部12に向かって延びる。
【0050】
ハウジング2は、少なくとも1つのベース26をさらに設けることができ、このベース26を、貫通開口部6の壁16によって形成することができる。ハウジング2は、周方向28に互いに隣接して配置された複数のベース26を有することが好ましい。特に、周方向28に互いに隣接するベース26を、凹部30によって互いに分離することができる。この場合、2つの隣接するベース26は、周方向28に距離32だけ離間している。同時に、凹部30の周方向28の幅34は、2つの隣接するベース26間の周方向28の距離32に対応する。
【0051】
ベース26は、第1の端面36および第2の端面38を含む中空円筒セグメント形状を有する。端面36、38は、互いに平行かつ軸方向8に対して垂直に配置されている。ベース26の第1の端面36は、第1のハウジング端部10に位置する。特に、ベース26の第1の端面36の平面40は、貫通開口部6の第1の端面20の平面42に位置する。ベース26の第2の端面38は、ベース26の第1の端面36から軸方向8にベース幅44だけ離間している。ベース26の第2の端面38は、軸方向8において第1のハウジング端部10と第2のハウジング端部12との間に位置する、軸方向8の箇所に配置されている。
【0052】
コンタクトアセンブリ1は、少なくとも1つのラッチ面46を設ける。少なくとも1つのラッチ面46は、貫通開口部6に配置され、周方向28に沿って延びる。図1による実施形態において、ベース26の第2の端面36は、ラッチ面46として設けられている。したがって、ラッチ面46を、貫通開口部6の壁16によって形成することができる。
【0053】
ラッチ面46は、ベース26によって形成される必要はなく、第1のハウジング端部10側を向く跳返り部50の端部48によって形成されてもよい。これについて、図2を参照しながら以下で簡単に説明する。特に、跳返り部50は、半径方向外方52に跳ね返ることができる。跳返り部50は、ラッチ面46から2つの隣接するタッチ保護要素54間に軸方向8に延びる。この場合、跳返り部50は、2つの隣接するタッチ保護要素54間に位置する間隙56に合流する。
【0054】
周方向28に隣接する跳返り部50を、突出部58によって互いに分離することができる。特に、突出部58は、半径方向内方60に突出することができる。突出部58は、ラッチ面46からタッチ保護要素54へ軸方向8に延びる。第1のハウジング端部10とラッチ面46との間の領域62で、突出部58を周方向28に一体化して、環状突出部64を形成することができる。環状突出部64は、第1のハウジング端部10からラッチ面46へ軸方向8に沿って延びる。
【0055】
以下の説明は、図1に示す実施形態に再び言及する。
【0056】
ラッチ面46は、周方向28の幅66を有し、この幅66は、すべてのラッチ面46について同じであってよい。ラッチ面46の面法線68は、軸方向8に沿って延び、第2のハウジング端部12側を向く。特に、ラッチ面46の面法線68は、挿入方向24に沿って延びる。ラッチ面46は、第2のハウジング端部12から軸方向8に離間している。ラッチ面46は、コンタクト要素4のラッチ突出部72の相補的に構成された接触面70に接触するように設けられている。このようにして、例えば、形状嵌合接続を確立して、コンタクト要素4とハウジング2との間の軸方向8に沿った相対移動を防止することができる。
【0057】
コンタクト要素4のラッチ突出部72の接触面74とラッチ面46との両方の良好な接触を可能にするために、ラッチ面46は、特に平坦面(planar plane)74であってよい。図1に示すラッチ面46は、軸方向8に対して垂直に延びる共通のラッチ表面(latching surface plane)76に位置する。特に、ラッチ表面の法線軸78は、軸方向8および挿入方向24に沿って延びる。
【0058】
第2のハウジング端部12に、少なくとも1つのタッチ保護要素54、好ましい実施形態においては複数のタッチ保護要素54が配置され、これらのタッチ保護要素54は、互いに隣接して配置され、互いに周方向28に離間している。1つのタッチ保護要素54または複数のタッチ保護要素54は、タッチ保護部80を形成する。
【0059】
タッチ保護要素54は、傾斜した角錐台82の形状を有することができる。タッチ保護要素54は、基底領域84、上面86、2つの側面88、第1の端面90、および第2の端面92を有する。タッチ保護要素54の基底領域84は、貫通開口部6の壁16の平面に位置する。タッチ保護要素54の上面86は、タッチ保護要素54の基底領域84に平行に位置する。基底領域84は、タッチ保護要素54が貫通開口部6内へ半径方向内方60に最も遠く突出する箇所94を含む。
【0060】
タッチ保護要素54の第1の端面90は、軸方向8に対して直角に延びる。第1の端面90の法線軸96は、軸方向8に沿って延び、第1のハウジング端部10側を向く。タッチ保護要素54の第2の端面92は、第1のハウジング端部10から離れる方を向く斜面98である。斜面98は、平坦であっても、湾曲形状、例えば円筒シェルセグメントの湾曲形状を有していてもよい。斜面98は、軸方向8および半径方向102に対して傾斜した法線軸100を有する。半径方向102は、軸方向8および周方向28に対して垂直に延びる。特に、斜面98の法線軸100は、第1のハウジング端部12から離れる方を向く。
【0061】
タッチ保護要素54はまた、基底領域84および上面86に平行な断面積104も有する。特に、断面積104は、半径方向102において基底領域84と上面86との間に位置する。断面積104は、半径方向内方60に小さくなる。その結果、タッチ保護要素54の軸方向8の幅106は、半径方向内方60に小さくなる。タッチ保護要素54の軸方向8の幅106は、タッチ保護要素54の第1の端面90と第2の端面92との間の軸方向8の距離を表す。最大断面積108は、タッチ保護要素54の基底領域85に位置し、最小断面積110は、タッチ保護要素54の上面86に位置する。
【0062】
タッチ保護要素54は、貫通開口部6の壁16に取り付けられ、半径方向内方60に突出する。特に、タッチ保護要素54を、ハウジング2または貫通開口部6と一体に形成することができる。いずれの場合も、周方向28に隣接するタッチ保護要素54間に間隙112を配置することができる。間隙112により、隣接するタッチ保護要素54は、周方向28に距離114だけ離間している。間隙112は、周方向28の幅116を有する。間隙112の長手方向軸118は、周方向28の箇所120で軸方向8に沿って延び、箇所120では、間隙112が周方向28において幅116の半分の幅を有する。
【0063】
ラッチ面46の少なくとも一部は、少なくとも1つの間隙112の延長部に配置され、したがって、間隙112とラッチ面46とは軸方向8において同一平面上にある。図1による例示的な実施形態において、ベース26の長手方向軸122と、それぞれのベース26に配置されたラッチ面46の面法線68とは、軸方向8に沿って、かつ間隙112の長手方向軸118に沿って延びる。ベース26の周方向28の幅45またはラッチ面46の周方向28の幅66は、ここでは、ベース26またはラッチ面46への軸方向延長部に配置された間隙112の周方向28の幅116に対応する。
【0064】
ハウジング2は、ベース26と第2のハウジング端部12との間に位置する環状窪み124をさらに含む。特に、環状窪み124は、ベース26の第2の端面38から、周方向28に配置されたタッチ保護要素54の第1の端面90へ、軸方向8に延びることができる。それにより、環状窪み124は、2つの隣接するタッチ保護要素54間に延びることができる。この場合、2つの隣接するタッチ保護要素54間の間隙112と環状窪み124とは、互いに、好ましくは連続的に合流する。
【0065】
加えて、環状窪み124は、2つの隣接するベース26間に延びることができる。この場合、2つの隣接するベース26間の凹部30と環状窪み124とは、互いに合流する。特に、2つの隣接するベース26間の凹部30と環状窪み124との間の移行部に急な変化がなくてよい。この場合、環状窪み124における貫通開口部6の内径126は、凹部128における貫通開口部6の内径128と同じである。
【0066】
コンタクトアセンブリ1は、コンタクト要素4をさらに備える。コンタクト要素4は、コンタクト要素4の長手方向軸130に沿って延びる略円筒形状を有する。コンタクト要素4は、コンタクト要素4をハウジング2の貫通開口部6に挿入できるように十分に小さい直径132を有する。コンタクト要素4の外面134も略円筒形状を有し、これはハウジング2の貫通開口部6の壁16に相補的であってよい。コンタクト要素4は、例えばソケットであってよい。
【0067】
軸方向一端部に、コンタクト要素4は前端面136を有する。挿入23中、コンタクト要素4は、コンタクト要素4が最初に前端面136でハウジング2の貫通開口部6に入るように向けられる。
【0068】
コンタクト要素4は、周方向28の幅140を有する少なくとも1つのラッチ突出部72を設ける。少なくとも1つのラッチ突出部72は、ハウジング2の少なくとも1つの相補的に構成されたラッチ面46に形状嵌合係合するように設けられている。コンタクト要素4は、周方向28に互いに隣接して配置された複数のラッチ突出部72を有することが好ましい。特に、周方向28に互いに隣接して配置されたラッチ突出部72は、周方向28に等間隔であってよく、周方向28に同じ幅140を有することができる。
【0069】
図1図4において、ラッチ突出部72は、例示的にラッチ指144として構成されている。しかしながら、例えばロックラッチまたはロックばねとしてのラッチ突出部の多数の他の構成が可能である。
【0070】
ラッチ突出部72は、基部(basis)146から自由端部148へ長手方向軸144に沿って延びる。未装着状態150で、ラッチ突出部72の長手方向軸144とコンタクト要素4の長手方向軸130との間に角度152が存在する。
【0071】
ラッチ突出部72の基部146は、コンタクト要素4の外面134に素材結合で(material-locking manner)接合されていることが好ましい。特に、ラッチ突出部72を、コンタクト要素4と一体に形成することができる。未装着状態150で、ラッチ突出部72の自由端部148は、コンタクト要素4の外面134から半径方向102に離間している。ラッチ突出部72は、半径方向内方60に撓むまたは弾性変形するように設けられている。ラッチ突出部72が半径方向内方60に最大限撓むと、ラッチ突出部72の長手方向軸144は、コンタクト要素4の長手方向軸130に沿って延びる。この状態で、ラッチ突出部72はトラフ状の窪み154に収まり、この窪み154は、ラッチ突出部72に相補的な形状を有し、コンタクト要素4の外面134に凹んでいる。
【0072】
ラッチ突出部72の自由端部148は、ラッチ突出部72の長手方向軸144に対して垂直に向けられた接触面70を有する。特に、ラッチ突出部72の接触面70の法線軸156は、ラッチ突出部72の長手方向軸144に沿って延びる。ラッチ突出部72が半径方向に内方60に大きく撓むほど、ラッチ突出部72の長手方向軸144とコンタクト要素4の長手方向軸130との間の角度152が小さくなる。ラッチ突出部72の接触面70は、ハウジング2のラッチ面46に接触するように構成されている。このようにして、コンタクト要素4のラッチ突出部72とハウジング2のラッチ面46との間の形状嵌合接続を実現することができる。
【0073】
以下で、図3および図4を参照しながら、ハウジング2へのコンタクト要素4の挿入23について説明する。
【0074】
挿入23の開始時に、コンタクト要素4は、ハウジングの貫通開口部6の軸方向延長部に位置決めされる。コンタクト要素4の前端面136は、第1のハウジング端部10のアクセス開口部22に位置する。コンタクト要素4の長手方向軸130は、ハウジング2の中心軸158に沿って、貫通開口部6の長手方向軸14に沿って、かつ挿入方向24に沿って延びる。
【0075】
挿入23中、コンタクト要素4は、貫通開口部6に対して周方向28の任意の角度位置160を有することができる。コンタクト要素4の長手方向軸130が貫通開口部6の長手方向軸14に沿って、かつ挿入方向24に沿って延びる限り、コンタクト要素4を、周方向28の任意の所望の角度位置160でハウジング2の貫通開口部6に挿入することができる。
【0076】
挿入23のために、コンタクト要素4は、挿入方向24に沿って、アクセス開口部22を通してハウジング2の貫通開口部6に押し込まれる。このプロセスで、コンタクト要素4の前端面136は、第2のハウジング端部12の方向に移動する。コンタクト要素4が、前端面136とラッチ突出部72の基部146との間の軸方向8の距離162だけ、挿入方向24に沿ってハウジング2の貫通開口部6に挿入された後、ラッチ突出部72の基部146は、ベース26の第1の端面36に最初に接触する。ベース26の第1の端面36がラッチ突出部72に接触する箇所を、接触箇所164と呼ぶ。
【0077】
コンタクト要素を挿入方向に沿ってさらに挿入23すると、接触箇所164は、ラッチ突出部72の長手方向軸144に沿って、ラッチ突出部72の基部146からラッチ突出部72の自由端部148へ移動する。その結果、ラッチ突出部72は、半径方向内方60に撓む。これにより、ラッチ突出部72の長手方向軸144とコンタクト要素4の長手方向軸との間の角度152が小さくなり、したがって、ラッチ突出部72は、コンタクト要素4の外面134の相補形状のトラフ状の窪み154に向かって移動する。接触箇所164がラッチ突出部72の自由端部148に到達すると、ラッチ突出部72は、ベース26の第1の端面36によって、さらに半径方向内方60に撓むことができなくなる。
この状態で、ラッチ突出部72は、コンタクト要素4の外面134のトラフ状の窪み154に完全に収容される。その後、軸方向8に沿って延びる凹部領域166におけるコンタクト要素4の直径165は、前端面におけるコンタクト要素4の直径168に対応し、したがって、コンタクト要素4を貫通開口部6にさらに押し込むことができる。
【0078】
コンタクト要素が挿入方向24に沿ってベース幅44だけさらに押された後、半径方向内方60に撓んだラッチ突出部72の自由端部148は、ベース26の第2の端部138に接触する。次に、コンタクト要素4が挿入方向24に沿ってさらに押されると、半径方向内方60に撓んだラッチ突出部72は、ベース26によって、コンタクト要素4のトラフ状の窪み154にそれ以上押し込まれなくなる。したがって、弾性変形したラッチ突出部72は、その復元力により、半径方向外方52に反発する。この場合、ラッチ突出部72は、ハウジング2の壁16の環状窪み124に収容される。
【0079】
この状態で、コンタクト要素4は、ハウジング2内でラッチ係合されている。
【0080】
ラッチ係合状態170でコンタクト要素4が挿入方向24に沿ってさらに移動すると、コンタクト要素4の前端面136は、第2のハウジング端部12に配置されたタッチ保護要素54の第1の端面90に当たる。これにより、挿入方向24に沿ったコンタクト要素4のさらなる移動を制限する。
【0081】
ラッチ係合状態170でコンタクト要素4が挿入方向24とは逆に移動すると、ラッチ突出部72の自由端部148に位置する接触面70が、ハウジング2のラッチ面46に当たる。これにより、挿入方向24とは逆の移動を制限する。
【0082】
ラッチ突出部72の自由端部148とコンタクト要素4の前端面136との間の軸方向8の距離172が、環状窪み124の幅174よりも小さい場合、ハウジング2内でラッチ係合されたコンタクト要素4は、軸方向8に遊びを有する。それにもかかわらず、前述したように、ハウジング2に対するコンタクト要素4の軸方向8の移動が制限される。
【0083】
ラッチ係合状態170で、コンタクト要素4を、貫通開口部6において、希望に応じて周方向18に沿って回転させることができる。コンタクト要素4と貫通開口部6との間の周方向28のそれぞれの角度位置160で、コンタクト要素4が、軸方向8の移動に対してまだ固定されていることが保証される。特に、コンタクト要素4のそれぞれの角度位置160で、コンタクト要素4の少なくとも1つのラッチ突出部72が、ハウジング2の少なくとも1つのラッチ面46にラッチ係合することが保証される。さらに、コンタクト要素4は、周方向28のそれぞれの角度位置160に少なくとも1つのラッチ突出部72を有することができ、このラッチ突出部72は、周方向28の幅140全体にわたってラッチ面46に当接するか、またはラッチ面46にラッチ係合する。
【符号の説明】
【0084】
1 コンタクトアセンブリ
2 ハウジング
4 コンタクト要素
6 貫通開口部
8 軸方向
10 第1のハウジング端部
12 第2のハウジング端部
14 貫通開口部の長手方向軸
16 壁
18 貫通開口部の端面
20 貫通開口部の第1の端面
22 アクセス開口部
23 挿入
24 挿入方向
26 ベース
28 周方向
30 凹部
32 隣接するベース間の周方向の距離
34 凹部の周方向の幅
36 ベースの第1の端面
38 ベースの第2の端面
40 ベースの第1の端面の平面
42 貫通開口部の第1の端面の平面
44 軸方向のベース幅
45 ベースの周方向の幅
46 ラッチ面
48 跳返り部の端部
50 跳返り部
52 半径方向外方
54 タッチ保護要素
56 2つのタッチ保護要素間の間隙
58 突出部
60 半径方向内方
62 第1のハウジング端部とラッチ面との間の領域
64 環状突出部
66 ラッチ面の周方向の幅
68 ラッチ面の面法線
70 ラッチ突出部の接触面
72 ラッチ突出部
74 平坦面
76 ラッチ表面
78 ラッチ表面の法線軸
80 タッチ保護部
82 傾斜した角錐台
84 タッチ保護要素の基底領域
86 タッチ保護要素の上面
88 タッチ保護要素の側面
90 タッチ保護要素の第1の端面
92 タッチ保護要素の第2の端面
94 半径方向内方に最も遠く突出する箇所
96 タッチ保護要素の第1の端面の法線軸
98 斜面
100 斜面の法線軸
102 半径方向
104 タッチ保護要素の断面積
106 タッチ保護要素の軸方向の幅
108 タッチ保護要素の最大断面積
110 タッチ保護要素の最小断面積
112 間隙
114 隣接するタッチ保護要素間の周方向の距離
116 間隙の周方向の幅
118 間隙の長手方向軸
120 周方向の箇所
122 ベースの長手方向軸
124 環状窪み
126 環状窪みにおける貫通開口部の内径
128 凹部における貫通開口部の内径
130 コンタクト要素の長手方向軸
132 コンタクト要素の直径
134 コンタクト要素の外面
136 コンタクト要素の前端面
138 ベースの第2の端部
140 ラッチ突出部の周方向の幅
142 ラッチ指
144 ラッチ突出部の長手方向軸
146 基部
148 自由端部
150 未装着状態
152 角度
154 トラフ状の窪み
156 接触面の法線軸
158 ハウジングの中心軸
160 角度位置
162 ベースの第1の端面と基部との間の距離
164 接触箇所
165 凹部領域におけるコンタクト要素の直径
166 凹部領域
168 前端面におけるコンタクト要素の直径
170 ラッチ係合状態
172 自由端部と前端面との間の距離
174 環状窪みの幅
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気HV接続用コンタクトアセンブリ(1)であって、
タッチ保護部(80)を含むハウジング(2)であり、前記ハウジング(2)は、前記ハウジング(2)の第1のハウジング端部(10)から、軸方向(8)に沿って前記第1のハウジング端部(10)から離間した前記ハウジング(2)の第2のハウジング端部(12)へ延びる貫通開口部(6)を有し、
前記ハウジング(2)は、前記第2のハウジング端部(12)には、少なくとも1つの半径方向内方に突出するタッチ保護要素(54)を有し、前記貫通開口部(6)には、前記軸方向(8)の周りで周方向(28)に延び、かつ前記第2のハウジング端部(12)側を向く面法線(78)を有する少なくとも1つのラッチ面(46)を有する、ハウジング(2)と、
前記軸方向(8)の周りの任意の所望の角度位置(160)で、前記第1のハウジング端部(10)から前記貫通開口部(6)内に前記第2のハウジング端部(12)に向かって挿入可能なコンタクト要素(4)とを有し、
前記コンタクト要素(4)が前記貫通開口部(6)に挿入されると、前記コンタクト要素(4)の少なくとも1つのラッチ突出部(72)が、前記所望の角度位置(160)のそれぞれにおいて前記少なくとも1つのラッチ面(46)にラッチ係合する、コンタクトアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記貫通開口部(6)は、前記周方向(28)に互いに離間した複数のラッチ面(46)を有し、前記コンタクト要素(4)は、前記周方向(28)に互いに隣接して配置された複数のラッチ突出部(72)を有し、前記コンタクト要素(4)が前記ハウジング(2)にラッチ係合されると、少なくとも1つのラッチ突出部(72)が、前記ハウジング(2)に対する前記コンタクト要素(4)のそれぞれの角度位置(160)で、前記周方向(28)に延びる幅(140)全体にわたってラッチ面(46)に当接する、請求項1に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記ラッチ面(46)と前記ラッチ突出部(72)とは、以下の差異、すなわち、
-前記複数のラッチ面(46)のうちの少なくとも一部の前記周方向(28)の幅(66)が、前記複数のラッチ突出部(72)のうちの少なくとも一部の前記周方向(28)の幅(140)とは異なること、
-ラッチ面(46)の数がラッチ突出部(72)の数とは異なること、
-前記複数のラッチ突出部(72)のうちの、前記周方向(28)に隣接する少なくとも一部のラッチ突出部(72)間の前記周方向(28)の距離が、前記周方向(28)に隣接する少なくとも一部のタッチ保護要素(54)間の前記周方向(28)の距離(114)とは異なること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項2に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項4】
数の前記タッチ保護要素(54)のうちの前記周方向(28)に隣接するタッチ保護要素(54)が、間隙(112)によって互いに分離され、前記複数のラッチ面(46)のうちの少なくとも一部が、それぞれ少なくとも1つの間隙(112)の延長部に前記軸方向(8)に配置されている、請求項3に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記周方向(28)におけるラッチ面(46)の幅(66)は、最大でも前記周方向(28)における前記間隙(112)の幅(116)と同じである、請求項4に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記コンタクト要素(4)が前記ハウジング(2)に挿入されると、前記複数のラッチ突出部(72)のうちの少なくとも1つのラッチ突出部(72)が、少なくとも2つのラッチ面(46)にラッチ係合する、請求項2に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項7】
ラッチ面(46)は、前記第1のハウジング端部(10)から前記第2のハウジング端部(12)へ前記軸方向(8)に延びるベース(26)の、前記第2のハウジング端部(12)に面した端部(138)を形成する、請求項1に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記ベース(26)は、周方向(28)に隣接する2つのタッチ保護要素(54)間の間隙(112)と、前記軸方向(8)において同一平面上にある、請求項7に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記ハウジング(2)は複数のベース(26)を含み、前記周方向(28)に互いに隣接するベース(26)が、凹部(30)によって互いに分離されている、請求項7に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項10】
環状窪み(124)が、前記ベース(26)と前記第2のハウジング端部(12)との間に配置されている、請求項7に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項11】
前記ラッチ面(46)は、前記第1のハウジング端部(10)側を向く跳返り部(50)の端部(48)によって形成されており、前記跳返り部(50)は、前記ラッチ面(46)から2つの隣接するタッチ保護要素(54)間に前記軸方向(8)に延びる、請求項1に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項12】
前記周方向(28)に隣接する跳返り部(50)が、突出部(58)によって互いに分離されており、前記突出部(58)は、ラッチ面(46)からタッチ保護要素(54)へ前記軸方向(8)に延びる、請求項11に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項13】
前記周方向(28)における前記ラッチ突出部(72)の幅(140)は、前記周方向(28)における前記ラッチ面(46)の幅(66)よりも小さい、請求項11に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【請求項14】
前記ハウジング(2)は射出成形によって形成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載のコンタクトアセンブリ(1)。
【外国語明細書】