(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159650
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】不織積層体
(51)【国際特許分類】
D04H 1/55 20120101AFI20241031BHJP
B29C 70/30 20060101ALI20241031BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20241031BHJP
B62D 25/18 20060101ALI20241031BHJP
B60R 13/08 20060101ALI20241031BHJP
B32B 5/26 20060101ALI20241031BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20241031BHJP
D04H 1/435 20120101ALI20241031BHJP
D04H 3/011 20120101ALI20241031BHJP
D04H 1/46 20120101ALI20241031BHJP
D04H 1/559 20120101ALI20241031BHJP
【FI】
D04H1/55
B29C70/30
B62D25/20 N
B62D25/18 F
B60R13/08
B32B5/26
D04H3/16
D04H1/435
D04H3/011
D04H1/46
D04H1/559
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024071399
(22)【出願日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】23170730
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501479868
【氏名又は名称】カール・フロイデンベルク・カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Carl Freudenberg KG
【住所又は居所原語表記】Hoehnerweg 2-4, D-69469 Weinheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アルン プラサド ヴェヌゴパル
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヨヴァノヴィッチ
【テーマコード(参考)】
3D023
3D203
4F100
4F205
4L047
【Fターム(参考)】
3D023BA02
3D023BB16
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3D023BD21
3D023BD25
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3D203BB03
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3D203CA73
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3D203CB25
4F100AK41A
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4L047AA21
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4L047AB03
4L047AB04
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4L047BA09
4L047BB06
4L047BB09
4L047CA19
4L047CC14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】成形用途に好適な不織積層体を提供する。
【解決手段】不織積層体であって、(A)~(C):-ポリエチレンテレフタレート(PET)およびコポリエステルを含む繊維を含む、スパンボンド不織層(A);-ポリエチレンテレフタレート(PET)およびコポリエステルを含む繊維を含む、任意のスパンボンド不織層(B)であって、不織層(B)は、不織層(A)よりも高いコポリエステル含有量を有するものとする、不織層(B);-ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)であって、以下:・単成分ポリエチレンテレフタレート(PET)ステープル繊維(c1)、および・多成分ステープル繊維(c2)であって、少なくともポリエチレンテレフタレート(PET)成分およびコポリエステル成分を含む、多成分ステープル繊維(c2)を含む、不織層(C)の順に構成されており、ここで、全ての層が、互いに溶融接着されている、不織積層体である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織積層体であって、前記不織積層体は、(A)~(C):
- ポリエチレンテレフタレート(PET)およびコポリエステルを含む繊維を含む、スパンボンド不織層(A);
- ポリエチレンテレフタレート(PET)およびコポリエステルを含む繊維を含む、任意のスパンボンド不織層(B)であって、前記不織層(B)は、前記不織層(A)よりも高いコポリエステル含有量を有するものとする、不織層(B);
- ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)であって、以下:
・単成分ポリエチレンテレフタレート(PET)ステープル繊維(c1)、および
・多成分ステープル繊維(c2)であって、少なくともポリエチレンテレフタレート(PET)成分およびコポリエステル成分を含む、多成分ステープル繊維(c2)
を含む、不織層(C)
の順に構成されており、
ここで、全ての層が、互いに溶融接着されている、不織積層体。
【請求項2】
層(A)、(B)および(C)が互いに機械的に結合されていない、請求項1記載の不織積層体。
【請求項3】
前記ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)が熱収縮されている、請求項1または2記載の不織積層体。
【請求項4】
ポリオレフィン、特にポリプロピレンを含まない、請求項1から3までのいずれか1項記載の不織積層体。
【請求項5】
全ての層のコポリエステルがポリエチレンテレフタレートのコポリマーであり、前記コポリマーが、DIN ISO 11357-3:2013に準拠して測定された≦240℃の融点を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の不織積層体。
【請求項6】
層(A)が、10%~70%のコポリエステル、特に少なくとも30%のコポリエステルを含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の不織積層体。
【請求項7】
ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)が、10~90%の単成分ステープル繊維(c1)および10~90%の多成分ステープル繊維(c2)から構成される、請求項1から6までのいずれか1項記載の不織積層体。
【請求項8】
前記ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)が、DIN EN 29073-1:1992-08に準拠して測定された600~1500g/m2の目付を有し、かつ/または前記スパンボンド不織層(A)が、DIN EN 29073-1:1992-08に準拠して測定された20~200g/m2の目付を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の不織積層体。
【請求項9】
- 前記不織積層体が、層(A)および(C)から構成され、
- 前記層(A)および(C)の前記コポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートのコポリマーであり、前記コポリマーは、100~240℃の融点を有し;かつ
- ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)が、40~60%の単成分ステープル繊維(c1)および40~60%の多成分ステープル繊維(c2)から構成される、請求項1から8までのいずれか1項記載の不織積層体。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の不織積層体を含む、成形物品。
【請求項11】
請求項1から9までのいずれか1項記載の不織積層体が冷間成形または熱間成形することにより得られる、請求項10記載の成形物品。
【請求項12】
請求項10または11記載の成形物品を含む車両用構造部品であって、前記構造部品が、好ましくはアンダーボディシールド、ホイールアーチライナーまたはエンジンシールドである、車両用構造部品。
【請求項13】
請求項10から12までのいずれか1項記載の成形物品および/または構造部品を含む、車両。
【請求項14】
車両用構造部品としての請求項10または11記載の成形物品の使用であって、前記構造部品が、好ましくはアンダーボディシールド、ホイールアーチライナーまたはエンジンシールドである、使用。
【請求項15】
前記成形物品が、層(C)が外部に露出するように配置される、請求項14記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織積層体および該不織積層体を含む成形物品に関する。
【背景技術】
【0002】
不織積層体を成形することにより、様々な用途の成形物品を得ることができる。このような物品は、アンダーボディシールドのような、高い安定性と耐久性を有する軽量部品が必要とされる自動車用途に適している。
【0003】
欧州特許出願公開第3769954号明細書には、不織積層体、およびそれから製造された、自動車のアンダーボディシールドとして使用可能な成形物品が開示されている。不織積層体は、互いに溶融接着された3~5層の不織布を含む。その構造は、ニードル加工されたステープル繊維不織層が外側の2つのスパンボンド不織層の間に囲まれていることを特徴とする。これらの層は基本的に、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維および溶融接着用のコポリエステル繊維から形成される。このような不織積層体を成形することによって製造された成形物品は、高い機械的安定性を有し、かつ音響的遮蔽を提供する。
【0004】
米国特許出願公開第2016/0288451号明細書には、成形可能であり、かつ車両のアンダーボディの製造に使用可能である不織複合材が開示されている。この不織複合材は、ニードル加工によって互いに機械的に結合された、ニードル加工されたポリエステルステープル繊維層およびスパンボンドポリエステル繊維層を含む。
【0005】
米国特許出願公開第2018/0251924号明細書には、様々な用途に使用可能な不織複合材に関する。この複合材は、特定の疎水性PET繊維およびポリアルキルシロキサン系または過フッ素化添加剤を特徴とする。
【0006】
しかし、このような不織複合材およびそれから得られた成形物品は、なおも改良の余地がある。自動車産業で使用するためには、機械的安定性と耐久性に関して厳しい社内基準を満たさなければならない。それによって、製品が劣化や有利な特性の損失なしに長期間の使用に適していることが保証される。アンダーボディシールド、ホイールアーチライナー、エンジンシールドなどの自動車構造部品は、長期間にわたって機械的応力やひずみに曝される。これらは、厳しい条件下での長期間の使用後であっても、その完全性と特性を維持しなければならない。また、車両用構造部品は、標準的な使用中に継続的に発生して高い機械的ひずみを引き起こすストーンチッピングに対する耐性も有していなければならない。
【0007】
発明の基礎をなす課題
本発明の課題は、当該技術分野で遭遇する欠点を少なくとも部分的に克服した新規の材料を提供することである。構造部品、特に車両用構造部品に適した改良製品が提供されることが望ましい。該製品は、高い機械的安定性を有し、長期間の使用に適していることが望ましい。好ましくは、材料は、良好な音響特性、リサイクル性、軽量性、および低熱収縮性を有することが望ましく、またエレファントスキン効果の低減を示す。
【0008】
特定の課題の1つは、不織複合材や成形物品など、耐ストーンチッピング性の高い各材料を提供することである。したがって、該不織複合材や成形物品は、ストーンチッピングが問題となる、アンダーボディシールド、ホイールアーチライナー、エンジンシールドなどの外装用途の構造部品に非常に適していることが望ましい。
【0009】
さらなる課題は、該材料が、容易かつ便利な方法で製造および成形可能であることである。該材料は、低コストで、標準的な加工方法によって入手可能であることが望ましい。
【0010】
発明の開示
驚くべきことに、本発明の基礎をなす課題は、特許請求の範囲に記載の不織積層体および成形物品によって解決されることが見出された。さらなる実施形態については、本明細書全体を通して概説する。
【0011】
本発明の主題は、不織積層体であって、該不織積層体は、(A)~(C):
- ポリエチレンテレフタレート(PET)およびコポリエステルを含む繊維を含む、スパンボンド不織層(A);
- ポリエチレンテレフタレート(PET)およびコポリエステルを含む繊維を含む、任意のスパンボンド不織層(B)であって、不織層(B)は、不織層(A)よりも高いコポリエステル含有量を有するものとする、不織層(B);
- ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)であって、以下:
・単成分ポリエチレンテレフタレート(PET)ステープル繊維(c1)、および
・多成分ステープル繊維(c2)であって、少なくともポリエチレンテレフタレート(PET)成分およびコポリエステル成分を含む、多成分ステープル繊維(c2)
を含む、不織層(C)
の順に構成されており、
ここで、全ての層が、互いに溶融接着されている、不織積層体である。
【0012】
本明細書において、不織という用語は、不織布を指す。これは、織成、編成または製紙を除く物理的および/または化学的手段によって結合された繊維の層である。総じて、不織布は、DIN EN ISO 9092:2018に定義されている。
【0013】
スパンボンドとは、総じて、溶融繊維原料から引き出される理論的に無限の繊維を含む布地を指す。スパンボンド不織層(A)および(B)はそれぞれ、シートの形態で一緒にカレンダー加工された連続フィラメントでできていることが好ましい。本明細書に記載される全ての実施形態において、層(B)は、特に明示しない限り任意である。
【0014】
ステープル繊維とは、総じて、ばらばらの長さの繊維を指す。ステープル繊維の群は、群内の繊維の平均長を有し、これはステープル長と呼ばれる。
【0015】
ニードル加工された不織層とは、総じて、ニードルで交絡および結合された複数の繊維から構成された層を指す。
【0016】
ポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸とエタン-1,2-ジオール(エチレングリコールともいう)との共重合体である。
【0017】
コポリエステルは、第1の二酸モノマーと、第1のジオールモノマーと、少なくとも1つの第2の異なる二酸モノマーおよび少なくとも1つの第2の異なるジオールモノマーのうちの一方または双方との共重合体である。ここで、二酸モノマーとは、好ましくはジカルボン酸モノマーを指す。
【0018】
溶融接着(サーマルボンド)とは、総じて、少なくとも一方の材料が部分的に溶融または軟化するような熱を加え、これらの材料を密接に接触させ、次いで冷却することによって、高分子量の、通常は熱可塑性の材料を接合する技術を指す。
【0019】
本発明の不織積層体では、層(A)と(C)が、そして存在する場合には中間層(B)も互いに溶融接着されている。これは、層のスタックを形成し、このスタックを溶融接着させることにより達成することができる。全ての層を互いに溶融接着させることにより、不織積層体の熱収縮特性の高い均一性を得ることができる。熱収縮特性の高い均一性により、成形時のエレファントスキンの形成を低減することができる。エレファントスキンの形成の低減により、不織積層体は、魅力的な美観を有することができ、また成形後のより高い曲げ強さを有することができる。また、層同士の溶融接着により、加熱および成形時の不織積層体に高い寸法安定性を付与することもできる。
【0020】
いずれの層も、ポリエチレンテレフタレートを含む。ポリエチレンテレフタレートは、本明細書では「PET」とも呼ばれる。ポリエチレンテレフタレートは、バージンポリエチレンテレフタレート(再生されていないもの)であっても、再生ポリエチレンテレフタレート(「r-PET」とも呼ばれる)であっても、バージンポリエチレンテレフタレートと再生ポリエチレンテレフタレートとの混合物であってもよい。バージンポリエチレンテレフタレートは、不織積層体の機械的特性をより正確に設定することができる。再生ポリエチレンテレフタレートは、不織積層体のコストを削減することができる。
【0021】
ポリエチレンテレフタレートは、不織積層体の機械的特性の高い均一性を付与することができる。それにより、不織積層体の伸度および引張強さの均一性を高めることができる。それにより、不織積層体を容易に加熱および成形して所望の構成を提供することができる。それにより、不織積層体は、加熱および成形時に寸法的に安定であり得る。ポリエチレンテレフタレートは、層および積層体全体にそれぞれ比較的低い目付を提供することができる。
【0022】
ポリエチレンテレフタレートは、約260℃という比較的高い融点を有する。それにより、不織積層体は、高い耐熱性および不燃性を有することができる。本明細書において、融点とは、好ましくは、DIN ISO 11357-3:2013に準拠して決定される融点である。
【0023】
全ての層に含まれるポリエチレンテレフタレートは比較的安価であり、これにより、不織積層体を含む物品のコストの削減を提供することができる。
【0024】
いずれの層も、コポリエステルを含む。コポリエステルは、非晶質コポリエステルであっても、結晶質コポリエステルであっても、非晶質コポリエステルと結晶質コポリエステルとの混合物であってもよい。存在する場合、任意の層(B)は、層(A)よりも高いコポリエステル含有量を有する。それぞれ比較的高いコポリエステル含有量によって、層(A)と層(C)との結合を強化することができる。したがって、それぞれ比較的高いコポリエステル含有量によって、層(A)の剥離強度を高めることができる。
【0025】
不織積層体は、層(A)、(B)、(C)から構成されていてもよいし、特に好ましくは層(A)および(C)のみから構成されていてもよい。
【0026】
層(A)および(C)から構成された不織積層体が好ましい。2層積層体は、製造の簡略化およびコスト効率の観点から有利である。このような積層体の製造には、層(B)用の追加の供給装置は不要である。驚くべきことに、層(A)および(C)のみから構成された不織積層体および/またはそれから得られた成形物品は、自動車用途の構造部品の要件を満たすことができることが見出された。
【0027】
任意に、接着層として機能する層(B)を含めることができる。層(B)により、外層(A)と外層(C)との間の結合強度を高めることができる。このような積層体において、層(A)と層(C)との剥離を有利に低減することができる。剥離強度を高める観点から、層(A)、(B)および(C)を含む不織積層体が好ましい場合がある。
【0028】
好ましくは、層(A)、(B)、(C)のいずれも、不織積層体中の他の層と機械的に結合されていない。層(A)、(B)、(C)のいずれも他の層にニードル加工で結合されていないことが特に好ましい。換言すれば、層(A)、(B)、(C)のうちのいずれの2つの層間にも交絡がない。特に、ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)に含まれる繊維のいずれも、層(A)および(B)のいずれにも延在していない。より好ましくは、ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)の繊維のいずれも、層(A)および(B)のいずれをも貫通していない。機械的結合がないことにより、加熱時の望ましくないエレファントスキンの形成を最小限に抑えることができ、それにより魅力的な美観を達成することができる。さらに、機械的結合のない不織積層体から製造された成形物品は、有利なことに平坦であり、特に、しわ、波状構造などを有しない。さらに、その曲げ強さを高めることができる。
【0029】
ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)は、層(A)と組み合わせる前に熱収縮させることが好ましい。好ましくは、ニードル加工された繊維は、熱に曝されると、縦方向および横方向のどちらにも収縮する。熱収縮層(C)により、望ましくないさらなる収縮を避けることができる。これにより、その後の成形工程における望ましくないエレファントスキンの形成を回避することができる。
【0030】
不織積層体に含まれる全繊維のうちPETでもコポリエステルでもないものが、20%未満、より好ましくは10%未満であることが好ましい。最も好ましくは、不織積層体に含まれる全ての繊維が、PET、コポリエステルまたはそれらの混合物から構成される。不織積層体に含まれる全ての繊維が、主に、好ましくは独占的に、PET、コポリエステルまたはそれらの混合物から構成され場合、不織積層体は、比較的低コストで比較的軽量であることができ、かつ比較的高い剥離強度を有することができる。
【0031】
不織積層体は、ポリオレフィン、特にポリプロピレンを含まないことが好ましい。それにより、不織積層体をより容易にリサイクルすることができる。それにより、不織積層体の耐熱性および不燃性を向上させることができる。不織積層体の機械的特性、特に伸度や引張強さの均一性を高めることができる。これにより、不織積層体を含む製品の特性をより容易に調整することができる。
【0032】
不織積層体は、ケイ素および/またはフッ素を含まないことが好ましい。したがって、不織積層体は、ケイ素化合物および/またはフッ素化合物を含まない。米国特許出願公開第2018/0251924号明細書の複合材に含まれるポリアルキルシロキサンや過フッ素化合物のような添加剤なしで有利な特性を達成できることが見出された。これは、便利な加工、低コストおよびリサイクルに有利である。
【0033】
不織積層体は、無機補強材、特にガラス繊維を含まないことが好ましい。無機補強材、特にガラス繊維を含まないことにより、加工性を容易にすることができる。無機補強材、特にガラス繊維を含まないことにより、不織積層体を含む物品のコストを削減することができる。
【0034】
不織積層体は、ロフト剤を含まないことが好ましい。ロフト剤を含まないことにより、不織積層体の加熱および成形時の不織積層体の寸法安定性を向上させることができる。ロフト剤を含まないことにより、不織積層体を含む物品のコストを削減することができる。
【0035】
驚くべきことに、2つの層(A)および(C)のみから構成された不織積層体、およびそれから得られた成形物品は、自動車用途の構造部品に適していることが判明した。機械的安定性だけでなく吸音性も、相手先商標製品製造(OEM)向けに規定された自動車部品の標準試験を満たすことができる。このような規格は、技術分野において、他の製造業者が使用するために提供される部品や装置に対して用いられる。
【0036】
全ての層のコポリエステルがポリエチレンテレフタレートのコポリマーであることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートのコポリマーは、モノマーであるテレフタル酸、エタン-1,2-ジオール、および少なくとも1つのさらなる異なるジカルボン酸モノマーならびに/または少なくとも1つのさらなる異なるジオールモノマーを含む。好ましいさらなるジカルボン酸モノマーは、アジピン酸である。別の好ましいさらなるジカルボン酸モノマーは、イソフタル酸である。好ましいさらなるジオールモノマーは、シクロヘキサンジメタノールである。ポリエチレンテレフタレートのコポリマーにより、不織積層体のリサイクル性を容易にすることができる。ポリエチレンテレフタレートのコポリマーにより、不織積層体内の剥離強度を高めることができる。ポリエチレンテレフタレートのコポリマーにより、不織積層体の原料コストを削減することができる。
【0037】
全ての層のコポリエステルが≦240℃の融点を有することが好ましい。コポリエステルが≦220℃、さらに好ましくは≦210℃、さらにより好ましくは≦200℃、なおもより好ましくは≦190℃、特に=180℃の融点を有することがより好ましい。≦240℃の融点を有するコポリエステルによって、層同士の溶融接着に必要なエネルギーを削減することができる。≦240℃の融点を有するコポリエステルによって、スパンボンド層(A)、(B)の製造に必要なエネルギーを削減することができる。このエネルギーの削減量は、融点がそれぞれ≦220℃、≦210℃、≦200℃、≦190℃および=180℃と低くなるにつれて連続的に増大し得る。
【0038】
層(A)のコポリエステルは、層(C)のコポリエステルの融点よりも高い、より好ましくは≧20℃高い、なおもより好ましくは≧30℃高い、その上さらに好ましくは≧35℃高い融点を有することが好ましい。このようにすることで、溶融接着後の不織積層体の層間のより強固な結合を達成することができる。
【0039】
層(B)が存在しない場合が特に好ましく、この場合、層(A)のコポリエステルが、205~240℃、その上より好ましくは210~230℃、なおもより好ましくは210~225℃の融点を有することが好ましい。この場合、層(C)のコポリエステルは、好ましくは160~200℃、その上より好ましくは170~190℃、なおもより好ましくは175~185℃の融点を有する。これにより、層(A)と層(C)との剥離を回避することができる。
【0040】
全ての層のコポリエステルが≧100℃の融点を有することが好ましい。コポリエステルが≧110℃、その上より好ましくは≧140℃、なおもより好ましくは≧160℃の融点を有することがより好ましい。≧100℃の融点を有するコポリエステルにより、溶融接着後の層間の結合強度を高めることができる。
【0041】
全ての層のコポリエステルが100~240℃の範囲、より好ましくは110~240℃の範囲、その上より好ましくは140~230℃の範囲、なおもより好ましくは160~225℃の範囲の融点を有することが好ましい。これらの範囲内の融点を有するコポリエステルにより、層同士の溶融接着に必要なエネルギーを削減することができ、スパンボンド層(A)、(B)の製造に必要なエネルギーを削減することができ、かつ溶融接着後の層間の結合強度を高めることができる。
【0042】
層(A)、(B)、特に層(A)のコポリエステルは、基本的に中性であり、すなわち、6.5~7.5、より好ましくは6.8~7.2、なおもより好ましくは7.0のpH値を有することが好ましい。これにより、不織積層体の表面と環境との望ましくない化学的相互作用を回避することができる。
【0043】
層(A)、(B)、特に層(A)のコポリエステルは、1.1~1.6g/cm3、より好ましくは1.2~1.5g/cm3、なおもより好ましくは1.3~1.4g/cm3の密度を有することが好ましい。密度は、DIN EN ISO 1183-1:2019-09に準拠して測定される。このような密度により、過剰なコストを回避しつつ、適切な強度を有する積層体を得ることができる。
【0044】
全ての層のコポリエステルがポリエチレンテレフタレートのコポリマーであり、このコポリマーが同時に≦240℃の融点を有することがより好ましい。これにより、剥離強度の向上、コストの削減、ならびに各層の溶融接着およびスパンボンド層の製造に必要なエネルギーの削減を同時にもたらすことができる。
【0045】
層(B)が存在する場合、層(A)が、2%~30%のコポリエステル、より好ましくは5%~25%のコポリエステルを含むことが好ましい。層(B)が存在しない場合、層(A)が、少なくとも30%のコポリエステル、より好ましくは30~70%のコポリエステル、特に好ましくは少なくとも40%のコポリエステル、少なくとも50%のコポリエステル、少なくとも60%のコポリエステル、または少なくとも70%のコポリエステルを含むことが好ましい。このようなコポリエステル含有量により、積層体の波状構造を回避することができる。このようなコポリエステル含有量により、積層体の曲げ強さの向上をさらに達成することができる。ここで、%は、特に断りのない限り、重量%を意味する。
【0046】
層(B)が存在し、層(A)が2%~30%のコポリエステルを含む場合、層(A)を層(B)または層(C)に溶融接着させることが容易になり得る。層(A)が2%~30%のコポリエステルを含む場合、層(A)の剥離強度を高めることができる。層(A)が5%~25%のコポリエステルを含む場合、層(A)の溶融接着の容易さおよび剥離強度をさらに高めることができる。
【0047】
層(A)が少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%のコポリエステルを含む場合、層(B)のない積層体により、剥離強度を高めることができる。それにより、積層体の製造を簡略化することができる。層(B)が好ましいことに存在しない場合には、層(A)のコポリエステルが205~240℃、その上より好ましくは210~230℃、なおもより好ましくは210~225℃の融点を有することが特に好ましい。この場合、層(C)のコポリエステルは、好ましくは160~200℃、その上より好ましくは170~190℃、なおもより好ましくは175~185℃の融点を有する。これにより特に、層(A)と層(C)との剥離を回避することができる。
【0048】
ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)は、10~90%の単成分ステープル繊維(c1)および10~90%の多成分ステープル繊維(c2)から構成されることが好ましい。層(C)が、20~80%の単成分ステープル繊維(c1)および20~80%の多成分ステープル繊維(c2)、その上より好ましくは30~70%の単成分ステープル繊維(c1)および30~70%の多成分ステープル繊維(c2)、なおもより好ましくは40~60%の単成分ステープル繊維(c1)および40~60%の多成分ステープル繊維(c2)、最も好ましくは50%の単成分ステープル繊維(c1)および50%の多成分ステープル繊維(c2)から構成されることがより好ましい。層(C)が10~90%の単成分ステープル繊維(c1)および10~90%の多成分ステープル繊維(c2)から構成される場合、これを、ニードル加工された層としてより容易に製造することができる。層(C)が、10~90%の単成分ステープル繊維(c1)および10~90%の多成分ステープル繊維(c2)から構成される場合、これはポリエチレンテレフタレートを主成分とする。これにより、不織積層体の重量を削減することができ、不織積層体の耐熱性および不燃性を向上させることができ、不織積層体のコストを削減することができる。これらの効果は、(c1)/(c2)の比が1の値に近づくほど大きくなり、すなわち、これらの効果は、20~80%(c1)/20~80%(c2)、30~70%(c1)/30~70%(c2)、40~60%(c1)/40~60%(c2)、50%(c1)/50%(c2)の順に大きくなる。
【0049】
ステープル繊維(c1)は、単成分繊維、すなわちポリエチレンテレフタレートから構成される。ステープル繊維(c2)は多成分繊維であり、すなわち2つ以上の成分から構成される。ステープル繊維(c2)の第1の成分は、ポリエチレンテレフタレートである。ステープル繊維(c2)の第2の成分は、コポリエステルである。ステープル繊維(c2)の1つ以上の追加の成分が存在してもよい。ステープル繊維(c2)が二成分繊維であること、すなわち、ポリエチレンテレフタレートおよびコポリエステルから構成されることが好ましい。二成分繊維は、海島型フィラメント構造、パイセグメント型フィラメント構造、芯鞘型フィラメント構造またはサイドバイサイド型フィラメント構造、より好ましくは芯鞘型フィラメント構造を有することが好ましい。コポリエステル成分は、総じて、このような二成分繊維の表面に存在する。
【0050】
ステープル繊維(c2)は、以下の特性のうちの少なくとも1つ、より好ましくは2つ以上、最も好ましくは全てを有することが好ましい:
- DIN EN ISO 1973:2020-05に準拠して測定された、1~10dtex、より好ましくは3~6dtex、なおもより好ましくは4~6dtexの繊度;
- 30~100mm、より好ましくは40~60mm、なおもより好ましくは45~55mmの繊維長;
- DIN EN 13844:2003-04に準拠して測定された、1~6g/de、より好ましくは2~5g/de、なおもより好ましくは3~4g/deの強度;
- DIN EN ISO 5079:2020-01に準拠して測定された、20~60%、より好ましくは30~50%、なおもより好ましくは35~55%の伸度;
- JIS L-1074に準拠して測定された、4~10EA/インチ、より好ましくは5~9EA/インチ、なおもより好ましくは6~8EA/インチの捲縮数;
- DIN EN 13844:2003-04に準拠して測定された、3~7%、より好ましくは4~6%、なおもより好ましくは3.5~4.5%の、75℃×15分間での熱収縮率;および
- 160~200℃、より好ましくは170~190℃、なおもより好ましくは175~185℃の融点。
【0051】
ステープル繊維(c2)が上記の特性を少なくとも1つ、より好ましくは2つ以上、最も好ましくは全て有する場合、ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)は、不織積層体に強度、柔軟性および成形性を同時に付与することができる。
【0052】
層(C)は、DIN EN 29073-1:1992-08による≦2900g/m2、より好ましくは400~2500g/m2の目付を有することが好ましい。標準的な乗用車の用途では、層(C)が600~1500g/m2、より好ましくは700~1200g/m2、最も好ましくは800~1000g/m2の目付を有することが好ましい。
【0053】
層(C)は、10~90%の単成分ステープル繊維(c1)および10~90%の多成分ステープル繊維(c2)から構成され、同時に、DIN EN 29073-1:1992-08による≦2900g/m2、より好ましくは600~1500g/m2の目付を有することがより好ましい。このようにして、不織層(C)は、ニードル加工された層としてより容易に製造することができ、不織積層体は、特に車両用構造部品としての汎用が可能である。
【0054】
スパンボンド不織層(A)は、DIN EN 29073-1:1992-08による20~200g/m2、より好ましくは30~80g/m2の目付を有することが好ましい。このような比較的軽量のスパンボンド層が含まれると、全体的な特性が特に有利になり得る。
【0055】
不織積層体全体は、DIN EN 29073-1:1992-08による650~1600g/m2の目付を有することが好ましい。好ましくは、不織積層体は、2~8mmの厚さを有する。
【0056】
追加のスパンボンド層(B)が含まれる場合、不織層(B)の繊維がコポリエステルから構成されることが好ましく、なぜならば、その場合、全ての層を互いに溶融接着させることがより容易になるためである。スパンボンド不織層(B)により、層(A)の剥離強度を高めることができる。スパンボンド不織層(B)は、DIN EN 29073-1:1992-08による1~100g/m2、好ましくは5~50g/m2、より好ましくは10~20g/m2の目付を有することが好ましい。それにより、積層体の軽量性と積層体の高い耐摩耗性との良好なバランスを達成することができる。
【0057】
好ましい実施形態において、積層体は、
- スパンボンド不織層(B)を含まず、
- 層(A)、(C)のコポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートのコポリマーであり、前記コポリマーは、100~240℃の融点を有し;かつ
- ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)は、40~60%の単成分ステープル繊維(c1)および40~60%の多成分ステープル繊維(c2)から構成される。
【0058】
このような好ましい不織積層体は、容易に加熱および成形して所望の構成を提供することができる。このような不織積層体は、加熱および成形時に寸法的に安定であり得る。このような不織積層体は特に、構造部品、特に外装用途の構造部品、好ましくは車両用構造部品に適している。層(B)が存在しないため、コストを削減することができ、製造を簡略化することができる。
【0059】
さらなる実施形態において
- 層(A)、(B)、(C)のコポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートのコポリマーであり、前記コポリマーは、100~240℃の融点を有し;
- スパンボンド不織層(B)は、コポリエステルから構成され、DIN EN 29073-1:1992-08による10~20g/m2の目付を有し;かつ
- ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)は、40~60%の単成分ステープル繊維(c1)および40~60%の多成分ステープル繊維(c2)から構成される。
【0060】
このような不織積層体は、容易に加熱および成形して所望の構成を提供することができる。このような不織積層体は、加熱および成形時に寸法的に安定であり得る。このような不織積層体は、構造部品、特に車両用構造部品に適している。層(B)の存在により、剥離強度および耐熱性を高くすることができる。
【0061】
本発明の主題はまた、本発明の不織積層体を含む成形物品である。成形物品は、不織積層体を金型(「モールド」)で成形することにより得ることができる。典型的には、成形は、熱および/または圧力下で行われる。成形後または成形中に、不織積層体は結合される。典型的には、密度が増加し、空隙率が減少し、一方で、機械的安定性が向上する。成形物品は、所定の形態および形状に成形することができる。一般的に、成形物品は剛性があり、切断することができる。全体として、機械的に安定で比較的軽量の物品を得ることができ、これはアンダーボディシールドのような自動車用途に適している。好ましくは、成形物品は、アンダーボディシールドのような所望の自動車部品の形状を有する。
【0062】
好ましい実施形態において、成形物品は、冷間成形によって得られる。冷間成形プロセスにおいて、不織積層体は、好ましくは、目付に応じて180℃~220℃の温度範囲で1~5分間予熱される。これは、バインダーとして作用する低融点コポリエステルの活性化を目的とする。バインダーの活性化によりバインダーが溶融して、バージンPET繊維または再生PET繊維との間に一種の接着剤が形成される。これはまた、ステープル繊維不織層とスパンボンド不織層との間の接着剤としても作用する。活性化後、不織積層体は圧縮金型内に配置される。その後、圧縮金型により、不織積層体の全てまたは一部を50トン~200トンのトン数で圧縮することができる。不織積層体を、金型内に最大で60秒間留まらせる。圧縮された不織積層体を金型内または金型外で放冷することで、ステープル繊維およびスパンボンド構造のコポリエステル繊維を、それらの融点未満に放冷する。その後、不織積層体を最終形状に変換させる。例えば、材料の最終的な厚さは、意図する用途の要件に応じて2mm~6mmとすることができる。その後、不織積層体を必要に応じてトリミングするが、これは機械的切断、熱的切断またはウォータージェット切断によって達成することができる。
【0063】
本発明の成形物品は、本明細書に記載の不織積層体の利点から利益を得る。特に顕著であるのは、成形時のエレファントスキンの形成の低減効果、およびそれに関連する利点である。
【0064】
成形物品および/または不織積層体は、以下の特性のうちの少なくとも1つを有することが好ましい:
- ISO 178:2019-04による≧330MPaの曲げ強さ;
- ASTM 5034:2009による≧780Nの引張強さ;および/または
- DIN EN 29073-3:1992-08による≧110Nの引裂強さ。
【0065】
≧330MPaの曲げ強さ、≧780Nの引張強さ、および/または≧110Nの引裂強さにより、不織積層体の高い耐摩耗性が生じ得る。≧330MPaの曲げ強さ、≧780Nの引張強さ、および/または≧110Nの引裂強さにより、不織積層体の吸音性を高めることができる。
【0066】
不織積層体が、≧370MPa、その上より好ましくは≧400MPa、なおもより好ましくは≧430MPaの曲げ強さを有することがより好ましい。不織積層体が、≧850N、その上より好ましくは≧900N、なおもより好ましくは≧950Nの引張強さを有することがより好ましい。不織積層体が、≧125N、その上より好ましくは≧145N、なおもより好ましくは≧165Nの引裂強さを有することがより好ましい。曲げ強さ、引裂強さおよび引張強さは、層の厚さ、繊維の種類、バインダーコポリマーの量および結合方法などのパラメータを調整することによって適合させることができる。それにより、不織積層体の耐ストーンチッピング性や吸音性などの機械的特性をさらに向上させることができる。
【0067】
不織積層体および成形物品は、自動車産業、ひいては車両に使用することができるが、輸送手段全般、すなわち地上、海上または航空宇宙用途、例えば航空機、船舶または鉄道部品にも使用することができる。不織積層体および成形物品は、高い安定性が要求される構造部品、特に車両用構造部品に特に適している。
【0068】
不織積層体または成形物品は、外装用途、好ましくは車両用途に特に適している。好ましい外装用途は特に、アンダーボディシールド、ホイールアーチライナー、エンジンシールドなどの、高い応力やひずみを受けるものである。外装用途への使用は、本明細書に記載の不織積層体および/または成形物品の利点から利益を得る。特に顕著であるのは、機械的安定性、耐ストーンチッピング性および耐摩耗性の向上、高い耐熱性、不燃性および吸音性の効果、ならびにこれらに関連する利点である。好ましくは、外装用途において、成形物品は、層(C)が外部に向けられるように配置される。層(C)は表面層であるため、外部に露出している。したがって、成形物品は、層(A)が内部に向けられるように配置される。
【0069】
本発明の対象はまた、本発明の成形物品を含む、好ましくは車両用の、好ましくは外装用の構造部品である。外装部品は、好ましくは、アンダーボディシールド、ホイールアーチライナーまたはエンジンシールドである。本発明の主題はまた、本発明の成形物品を含む、好ましくは車両用の内装品である。内装品は、好ましくは、パネル、ケーシング、被覆材、補強材または板材である。内装品は、好ましくは、ドア、ルーフ、トランクまたはシート用である。本発明の対象はまた、本発明の成形物品および/または構造部品を含む、車両である。
【0070】
さらなる実施形態において、不織積層体および成形物品は、内装用途、特に車両の内装用途に使用することができる。好ましい内装用途は、例えばドア、ルーフ、トランクまたはシート用のパネル、ケーシング、被覆材、補強材または板材である。内装用途への使用は、本明細書に記載の不織積層体および/または成形物品の利点から利益を得る。
【0071】
本発明の不織積層体は、以下:
- ニードル加工により、ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)を製造する工程と、
- 層(A)、任意に(B)および(C)を、この順に提供する工程と、
- これらの層を互いに溶融接着させる工程と
を含む方法で製造することができる。
【0072】
不織積層体の製造方法は、不織積層体の利点から利益を得る。特に顕著であるのは、溶融接着による各層の容易な接合の効果であり、これにより、剥離強度の向上およびそれに関連する利点が生じ得る。
【0073】
好ましい実施形態において、層(c)は、以下に概説するように製造することができる。ニードル加工工程の前に、繊維(c1)および(c2)をベールから開封し、混合し、カード加工を施す。その後、繊維(c1)および(c2)にクロスラップ加工を施し、ニードリング機に通す。別の繊維調製法は、エアレイ法またはエアレイド法で行われ、この場合、開繊された繊維が吸引バンド上に集められ、ニードル加工が施される。ニードル加工された不織布は、その後の成形工程での収縮を避けるために、熱を加えることによって予備収縮させることができる。ステープル繊維(c1)および/または(c2)は、好ましくは10mm~150mm、より好ましくは40mm~100mmの範囲のステープル長を有する。
【0074】
一実施形態において、層(C)は、10~70%のバージンまたは再生PETステープル繊維(c1)と30~90%の二成分繊維(c2)との混合物を含む。二成分繊維は、鞘が芯の融点よりも低い融点を有する芯鞘型構造を有する。二成分繊維は、好ましくは、サイドバイサイド型構造、芯鞘型構造、セグメントパイ型構造または海島型構造などの様々な幾何学的構成をとる。
【0075】
一実施形態において、二成分繊維(c2)のバインダーポリマーは、その融点に基づいて選択される。好ましい芯鞘型構成では、コアは、好ましくはPETから構成され、鞘は、好ましくは<200℃の融点を有するコポリエステルから構成される。特に好ましいバインダー繊維の1つは、芯鞘型フィラメント構成を有する。芯は、>250℃、すなわち約260℃の融点を有するPETから構成され、鞘は、より低い100℃~200℃の範囲の融点を有するコポリエステルを含む。
【0076】
一実施形態において、層(C)は、その後の成形工程でのさらなる収縮を避けるために予備収縮される。予備収縮は、ニードル工程の後に行われる。ニードル加工されたステープル繊維は、通常は低融点コポリマーの融点を超える温度に設定されたオーブンを通して加工される。例えば、180℃の融点を有する鞘ポリマーを有する二成分繊維の場合、オーブンの設定温度は、180℃を超える温度とすることができる。
【0077】
一実施形態において、層(A)は、30~150g/m2の粗デニールのスパンボンド不織布とすることができる。スパンボンドは、1~50%の量のコポリエステルを含む円形構造を有するPETベースのフィラメントである。コポリエステルは、成形工程で溶融し、隣接する層との接着を補助する。さらに、層(A)の目付は、層(C)の目付より著しく低い。これは、最終部品の総重量を軽くし、かつコストを削減することが望まれる状況では望ましい場合がある。
【0078】
層(B)は、層(A)と層(C)との間に含まれる場合、コポリエステルベースのスパンボンド不織層とすることができる。このコポリエステルベースのスパンボンド不織層は、層(A)と層(C)との結合性を高めるために使用され、すなわち、接着層として機能する。接着層(B)は、低融点コポリエステルを含む。その重量は、好ましくは1g/m2~50g/m2の範囲である。この実施形態において、層(C)は、その後の成形工程時の収縮を避けるために予備収縮させることができる。
【0079】
全ての層のコポリエステルは、成形時に溶融して、隣接する層との結合を促進する。それにより、不織積層体の繊維、特にコポリエステルを含む繊維は、溶融接着後の積層体において、その繊維状構造を部分的にまたは完全に失う可能性がある。その結果得られる構造が、本発明の不織積層体に包含される。接着層(B)が存在しない場合、通常は、層(A)のコポリエステルの量を増加させる。
【0080】
積層体全体は、全ての層間に、機械的結合ではなく溶融接着を確立することによって形成される。その後、積層体は、特定の用途に向けた所望の形状に成形できる状態になる。積層構造は、冷間成形工程または熱間成形工程のいずれかで成形される。
【0081】
好ましくは、多成分繊維は、二成分繊維である。パイセグメント型フィラメント構造は、多成分フィラメントに特に有用である。多成分フィラメントは、多成分ステープル繊維(c2)であり、スパンボンド不織層(A)および/または(B)中に存在し得る。好ましくは、多成分フィラメントは、PETセグメントおよびコポリエステルセグメントから交互になる8つのセグメントを有する。代わりに、多成分フィラメントは、PETセグメントおよびコポリエステルセグメントから交互になる16、32または64個のセグメントを含むフィラメント構造を有することもできる。成形工程時に、低融点コポリエステルが溶融し、材料に剛性を提供する。
【0082】
鞘芯型フィラメント構造は、スパンボンド不織層(A)および/または(B)ならびに多成分ステープル繊維(c2)に有用であり得る。二成分フィラメント構造は、低融点コポリマーの鞘と、より高い融点を有するPETの芯とから構成することができる。成形工程時に、低融点コポリエステルが溶融し、材料に剛性を付与する。
【0083】
サイドバイサイド型フィラメント構造は、スパンボンド不織層(A)および/または(B)ならびに多成分ステープル繊維(c2)に有用であり得る。サイドバイサイド型フィラメント構造は、片側が低融点コポリマーから構成され、もう片側がより高い融点を有するPETから構成される。成形工程時に、低融点コポリエステルが溶融し、材料に剛性を提供する。
【0084】
好ましくは、不織積層体の単成分繊維、特に層(C)の単成分ステープル繊維は、従来の繊維であり、好ましくは丸形または実質的に丸形の断面を有する。このような繊維形態は、単純な円形または楕円形のオリフィスから繊維を紡糸することによって得ることができる。好ましくは、不織積層体は、中空繊維のような特異な形状を有する単成分繊維を含まない。標準的な繊維で有利な特性が得られることが判明し、これはコストや製造に有利である。
【0085】
成形物品および不織積層体により、本発明の基礎をなす課題が解決される。この生成物は、高い機械的安定性および良好な音響特性、リサイクル性、軽量性および低熱収縮性を有し、エレファントスキン効果の低減を示す。さらに、この材料は、高い耐ストーンチッピング性を有する。したがって、不織複合材および成形物品は、構造部品および/または外装用途、特にアンダーボディシールド、ホイールアーチライナー、エンジンシールドなどの車両用途に非常に適している。材料は低コストで入手可能であり、便利かつ容易な方法で製造および成形することができる。
【0086】
実施例
実施例1 - 2層不織積層体の製造
不織積層体の製造には以下の材料を使用した:
ステープル繊維(層(C)用):
50%単成分ステープル繊維(c1):
材料:r-PET
ステープル長:64mm
繊度:6.7dtex
目付:800~1000g/m2
50%二成分ステープル繊維(c2):
構成:芯鞘型
材料:鞘:PET、芯:融点180℃のコポリエステル
ステープル長:51mm
繊度:5dtex。
【0087】
スパンボンド(層(A)用):
材料:90%PET;10%PETのコポリエステル(CoPET)
目付:50g/m2
厚さ:0.33~0.59mm
フィラメント径:25~60μm。
【0088】
ステープル繊維を、50:50の重量比で混合した。次に、ステープル繊維にカード加工、クロスラップ加工およびニードル加工を施した。使用したニードルは、Groz-Beckert 36gg細針であり、総ニードル加工強度は350ニードル/cm2であった。ニードル加工深さを、両側とも10mmに設定した。ニードル加工された材料を、その後、10℃/分の速度で200℃まで加熱された通気式オーブンに通した。このニードル加工された材料の加熱により、二成分繊維を活性化させた。これにより、オーブンから出てきた材料が硬くなった。こうして層(C)を製造した。この層(C)を次に、一組のカレンダーロールに通し、これに層(A)を導入した。200℃の温度でカレンダー圧を両側とも25バールに設定し、これにより層(A)および層(C)が互いに溶融接着した不織積層体が製造された。これらの層は、互いに機械的に結合されていない。次いで、製造された2層積層体をシートカットした。
【0089】
実施例2 - 成形物品の製造
実施例1のシートカットされた材料を、210℃に加熱されたオーブンに3分間(通気式オーブンの場合)または1分間(赤外線式オーブンの場合)導入した。材料は、熱により柔らかくなった。その後、この材料を直ちにコールドプレスに移し、そこで高圧(50トン以上)で成形した。不織積層体を、最大60秒間金型内に滞留させた。圧縮された不織積層体を、ステープル繊維およびスパンボンド構造のコポリエステル繊維が融点未満にまで冷却されるように、金型内または金型外で冷却させる。その後、不織積層体を最終形状に変換させる。
【0090】
実施例3 - 音響特性
実施例2の成形物品のサンプルの音響特性を試験した。試験サンプルを、アルファキャビンの壁際または底面に2mmのエアギャップを空けて配置する。次に、サンプルの吸収係数を、キャビン内の一連のセンサーによって測定する。成形厚さ5mmのサンプルのアルファキャビン試験の結果を、以下の表1に示す。
【0091】
【0092】
吸音係数αsが高いほど、試験サンプルの音響性能は優れている。この結果は、2層不織積層体から得られた成形物品が高い吸音性を有することを示している。試験した波長域は、特に自動車用アンダーボディシールドに関連するものであり、車内を車体下部の騒音から遮蔽する必要がある。
【0093】
さらに、層(C)の反対側の表面に追加のスパンボンド層を有する対応する3層不織積層体から得られた欧州特許出願公開第3769954号明細書による成形物品の吸音効率がほぼ同じであることが比較例で判明した。
【0094】
実施例4 - 機械的特性
2層不織積層体から得られた成形物品の曲げ強さを測定した。比較のために、対応する3層不織積層体から得られた欧州特許出願公開第3769954号明細書による成形物品(実施例3参照)についても曲げ強さを測定した。
【0095】
以下の試験条件下で、材料を2mm曲げるのに必要な圧力を測定した:
開始時の圧力:0.5N
速度:10mm/分
サンプルホルダ間の距離:64mm
プレスエレメントの半径:5mm。
【0096】
【0097】
表2から分かるように、2層不織積層体から得られた成形物品は、高い曲げ強さを有する。2層積層体から得られた成形物品の曲げ強さは、自動車用途のアンダーボディシールドに関する要件を満たしている。曲げ強さは、比較の3層積層体よりもわずかに低いだけである。
【0098】
実施例5 - 耐ストーンチッピング性
2層積層体から得られた成形物品、および前述の実施例に記載した比較3層積層体から得られた成形物品の耐ストーンチッピング性を、DIN EN ISO 20567-1:2017に基づく試験で調べた。この規格は、ペイントやワニスの試験用に提供されているが、成形物品の試験にも適用可能である。したがって、この試験は、アンダーボディシールドのような自動車部品の表面でのストーンチッピングをシミュレートするためのOEM規格として、自動車分野で適用されている。この試験法では、所定の寸法の所定の量の砥粒を、特定の過酷な条件下でプローブ表面に噴射する。性能を、標準化された比較画像で評価する。チッピングの各試験の前に、新しいチッピング材を使用し、その量を決定する。試験を0kgから8kgまで1kgステップで行い、0kgが初期位置である。OEM規格によれば、砥粒0kgから8kgまでの一連の全体を表面に向けた後に表面のフリンジングが4mm未満であれば、その材料は試験合格となる。フリンジングとは、試験片の表面から突出したルーズな糸の外観である。この分析で9個の試験片について試験した。ストーンチップ試験機(VDA、508型、Erichsen社製)を用い、以下の条件下で試験を実施した:
- 圧力:2.0バール(200kPa)
- 角度:30°
- 材料:高品位砂利 粒径5~8mm
- 材料量:1~8kg
- 試験片サイズ:100mm×100mm
- 試験フィールド:80mm×80mm
- 試験時間:500gあたり10秒。
【0099】
2層積層体から得られた本発明の成形物品を、層(C)に相当する表面にストーンチッピングが生じるように配置した。3層積層体から得られた比較成形物品は、スパンボンド不織層の2つの同一表面を含む。
【0100】
比較成形物品は、試験に不合格であった。試験片に穴は認められなかったが、フリンジングが4~8mmの範囲にあり、したがって過度に高度であった。ストーンチッピング後の目視検査では、かなりの量の繊維や繊維束が試験片の表面から突出していた。このように、繊維質の表面は、ストーンチッピングの際に崩壊した。
【0101】
2層材料から得られた成形物品では、ストーンチッピング後の材料に穴は認められなかった。さらに、フリンジングのレベルは低く、明らかに基準値である4mmを下回っていた。したがって、本発明の材料は、標準化されたストーンチッピング試験に合格した。目視検査では、表面は比較的平坦で、繊維や繊維束が表面から突出していなかった。
【0102】
この結果は、2層材料が比較の3層材料よりもストーンチッピング試験に対して著しく優れた耐性を有することを示している。本発明の材料は、自動車のアンダーボディシールド、ホイールアーチライナー、エンジンシールドなどの外装用途に適している。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織積層体であって、前記不織積層体は、(A)~(C):
- ポリエチレンテレフタレート(PET)およびコポリエステルを含む繊維を含む、スパンボンド不織層(A);
- ポリエチレンテレフタレート(PET)およびコポリエステルを含む繊維を含む、任意のスパンボンド不織層(B)であって、前記不織層(B)は、前記不織層(A)よりも高いコポリエステル含有量を有するものとする、不織層(B);
- ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)であって、以下:
・単成分ポリエチレンテレフタレート(PET)ステープル繊維(c1)、および
・多成分ステープル繊維(c2)であって、少なくともポリエチレンテレフタレート(PET)成分およびコポリエステル成分を含む、多成分ステープル繊維(c2)
を含む、不織層(C)
の順に構成されており、
ここで、全ての層が、互いに溶融接着されている、不織積層体。
【請求項2】
層(A)、(B)および(C)が互いに機械的に結合されていない、請求項1記載の不織積層体。
【請求項3】
前記ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)が熱収縮されている、請求項1または2記載の不織積層体。
【請求項4】
ポリオレフィン、特にポリプロピレンを含まない、請求項1または2記載の不織積層体。
【請求項5】
全ての層のコポリエステルがポリエチレンテレフタレートのコポリマーであり、前記コポリマーが、DIN ISO 11357-3:2013に準拠して測定された≦240℃の融点を有する、請求項1または2記載の不織積層体。
【請求項6】
層(A)が、10%~70%のコポリエステル、特に少なくとも30%のコポリエステルを含む、請求項1または2記載の不織積層体。
【請求項7】
ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)が、10~90%の単成分ステープル繊維(c1)および10~90%の多成分ステープル繊維(c2)から構成される、請求項1または2記載の不織積層体。
【請求項8】
前記ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)が、DIN EN 29073-1:1992-08に準拠して測定された600~1500g/m2の目付を有し、かつ/または前記スパンボンド不織層(A)が、DIN EN 29073-1:1992-08に準拠して測定された20~200g/m2の目付を有する、請求項1または2記載の不織積層体。
【請求項9】
- 前記不織積層体が、層(A)および(C)から構成され、
- 前記層(A)および(C)の前記コポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートのコポリマーであり、前記コポリマーは、100~240℃の融点を有し;かつ
- ニードル加工されたステープル繊維不織層(C)が、40~60%の単成分ステープル繊維(c1)および40~60%の多成分ステープル繊維(c2)から構成される、請求項1または2記載の不織積層体。
【請求項10】
請求項1または2記載の不織積層体を含む、成形物品。
【請求項11】
請求項1または2記載の不織積層体が冷間成形または熱間成形することにより得られる、請求項10記載の成形物品。
【請求項12】
請求項10記載の成形物品を含む車両用構造部品であって、前記構造部品が、好ましくはアンダーボディシールド、ホイールアーチライナーまたはエンジンシールドである、車両用構造部品。
【請求項13】
請求項10記載の成形物品および/または構造部品を含む、車両。
【請求項14】
車両用構造部品としての請求項10記載の成形物品の使用であって、前記構造部品が、好ましくはアンダーボディシールド、ホイールアーチライナーまたはエンジンシールドである、使用。
【請求項15】
前記成形物品が、層(C)が外部に露出するように配置される、請求項14記載の使用。
【外国語明細書】