(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159651
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】発光素子の転写装置およびそれを用いた転写方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20241031BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20241031BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20241031BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20241031BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20241031BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20241031BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20241031BHJP
【FI】
G09F9/00 338
H05K13/04 B
H01L21/68 N
H01L21/60 311T
H01L33/48
G09F9/33
H01L33/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024071426
(22)【出願日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】10-2023-0055373
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ジョン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】オ ウォン ヒ
【テーマコード(参考)】
5C094
5E353
5F044
5F131
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA43
5C094BA23
5C094FB12
5C094FB14
5C094GB10
5E353BB08
5E353HH08
5E353JJ19
5F044KK01
5F044PP15
5F044PP16
5F044RR12
5F131AA03
5F131DA03
5F131DA33
5F131EA07
5F131EB81
5F131EC62
5F131EC63
5F131EC64
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB14
5F142CB23
5F142CD16
5F142CD17
5F142CD24
5F142CD43
5F142CD44
5F142DB24
5F142FA32
5F142GA02
5G435AA17
5G435BB04
5G435HH12
5G435HH13
5G435KK05
5G435KK10
(57)【要約】
【課題】一実施形態において、発光素子の転写装置・転写方法において、転写時の吸着不良や汚染などを防止できるものを提供する。
【解決手段】(1)粘着性または接着性を有するスタンプ層、前記スタンプ層の一面に配置されるベース層を含む転写部材、(2)前記スタンプ層の他面に配置される保護フィルム、(3)前記転写部材の上下左右を反転させる反転部材、(4)前記ベース層に吸着するヘッドチャックを有し、上下左右に移動可能な移送ヘッド、および、(5)脱着が可能な第1クランプを含む折曲部材を含み、前記保護フィルムは、前記保護フィルムを貫通する切込みを含み、前記転写部材は平面上にて、前記切込みを境界として、中心側に配置される転写部と、周縁側に配置される折曲部とを含み、前記反転部材は、前記転写部と重なる前記保護フィルムを吸着可能な支持チャックと、前記折曲部と重なる前記保護フィルムを吸着可能なサイドチャックとを含み得る。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着性または接着性を有するスタンプ層、及び、前記スタンプ層の一面に配置されるベース層を含む転写部材;
前記スタンプ層の他面に配置される保護フィルム;
前記転写部材の上下左右を反転させる反転部材;
前記ベース層に吸着するヘッドチャックを有し、上下左右に移動可能な移送ヘッド;および
脱着が可能な第1クランプを含む折曲部材
を含み、
前記保護フィルムは、前記保護フィルムを貫通する切込みを含み、
前記転写部材は、平面上にて、前記切込みを境界として中心側に配置される転写部と、周縁側に配置される折曲部を含み、
前記反転部材は、前記転写部と重なる前記保護フィルムを吸着可能な支持チャックと、前記折曲部と重なる前記保護フィルムを吸着可能なサイドチャックをさらに含む、発光素子の転写装置。
【請求項2】
前記折曲部材は、
前記転写部材の転写部が据え付けられる第1穴を含むクランプ支持部;および
前記第1穴の周囲に配置されるクランプ固定部をさらに含み、
前記第1クランプは、前記クランプ固定部に着脱可能に配置され、折り曲げられた折曲部を固定可能である、請求項1に記載の発光素子の転写装置。
【請求項3】
前記第1クランプは、複数に分けられたユニットで形成され、複数のユニットのそれぞれが第1穴の側へと傾き、前記第1クランプは下方にいくほどより狭くなる構造で形成され、前記転写部材を前記第1穴にガイドする、請求項2に記載の発光素子の転写装置。
【請求項4】
前記移送ヘッドは、
ボディ部;
前記ボディ部の中央に位置し、前記転写部材の転写部に吸着するヘッドチャック;および
前記ボディ部のエッジと前記ヘッドチャックとの間で移動可能な第2クランプを含む、請求項2に記載の発光素子の転写装置。
【請求項5】
前記第2クランプは、前記折り曲げられた折曲部を固定する第1クランプを固定する、請求項3に記載の発光素子の転写装置。
【請求項6】
粘着性または接着性を有するスタンプ層、及び、前記スタンプ層の一面に配置されるベース層を含む転写部材;
前記スタンプ層の他面に配置される保護フィルム;
前記転写部材の上下左右を反転させる反転部材;
前記ベース層に吸着するヘッドチャックを有し、上下左右に移動可能な移送ヘッドを含み、
前記保護フィルム、は前記保護フィルムを貫通する切込みを含み、
前記転写部材は平面上にて、前記切込みを境界として、中心側に配置される転写部と、周縁に配置される折曲部とを含み、
前記反転部材は、前記転写部と重なる前記保護フィルムを吸着可能な支持チャックと、前記支持チャックに隣り合って配置され、上下移動が可能な上下移動部と、前記上下移動部の上部に配置され、前記折曲部と重なる保護フィルムを吸着するサイドチャックとを含む、発光素子の転写装置。
【請求項7】
前記折曲部は、前記上下移動部の上昇駆動により、前記切込みを軸として折り曲げ可能である、請求項6に記載の発光素子の転写装置。
【請求項8】
前記移送ヘッドは、
ボディ部;
前記ボディ部の中央に位置し、前記転写部材の転写部に吸着するヘッドチャック;および
前記ボディ部のエッジと前記ヘッドチャックとの間で移動可能であり、折り曲げられた折曲部を固定可能なクランプを含む、請求項7に記載の発光素子の転写装置。
【請求項9】
前記反転部材は、複数の関節を有する多関節ロボットの本体の先端に付着する、請求項6に記載の発光素子の転写装置。
【請求項10】
粘着または接着性を有するスタンプ層、及び、前記スタンプ層の一面に配置されるベース層を含む転写部材;
前記スタンプ層の他面に配置される保護フィルム;
前記転写部材の上下左右を反転させる反転部材;
前記ベース層に吸着されるヘッドチャックを有し、上下左右に移動可能な移送ヘッド;および
前記転写部材の保護フィルムに吸着する複数のチャックを有するロード部材
を含み、
前記保護フィルムは、前記保護フィルムを貫通する切込みを含み、
前記転写部材は、平面上にて、前記切込みを境界として、中心側に配置される転写部と、周縁側に配置される折曲部を含み、
前記ロード部材は、前記転写部と重なる前記保護フィルムに吸着可能な支持チャックと、前記支持チャックに隣り合って配置され、上下移動が可能な上下移動部と、前記上下移動部の上部に配置され、前記折曲部と重なる保護フィルムを吸着するサイドチャックを含む、発光素子の転写装置。
【請求項11】
転写部材の切込みを形成するための切削部材をさらに含み、
前記切削部材は、
保護フィルムが付着した転写部材のマザーガラスから任意の大きさに転写部材を切削する第1カッタ、
前記保護フィルムを貫通する切込みを形成するための第2カッタ、および
切削された転写部材を吸着させるチャックを含む、請求項10に記載の発光素子の転写装置。
【請求項12】
前記折曲部は、前記上下移動部の上昇駆動により、前記切込みを軸として折り曲げ可能である、請求項11に記載の発光素子の転写装置。
【請求項13】
前記移送ヘッドは、
ボディ部;
前記ボディ部の中央に位置し、前記転写部材の転写部に吸着するヘッドチャック;および
前記ボディ部のエッジと前記ヘッドチャックとの間で移動可能であり、折り曲げられた折曲部を固定可能なクランプを含む、請求項12に記載の発光素子の転写装置。
【請求項14】
前記発光素子は、n型半導体、活性層、p型半導体、第1コンタクト電極、及び、第2コンタクト電極を含む、請求項10に記載の発光素子の転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子の転写装置およびそれを用いた転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、マルチメディアの発達に伴いその重要性が増大している。それに応じて、有機発光表示装置(Organic Light Emitting Display,OLED)、液晶表示装置(Liquid Crystal Display,LCD)などのような多様な種類の表示装置が使われている。
【0003】
表示装置における画像を表示する装置としては、発光表示パネルや液晶表示パネルなどのような表示パネルを含む。その中でも、発光表示パネルは、発光ダイオード(Light Emitting Diode,LED)を含み得るが、発光ダイオードとしては、有機物を蛍光物質として用いる有機発光ダイオード、または無機物を蛍光物質として用いる無機発光ダイオードなどを含む。
【0004】
無機発光ダイオードを発光ダイオードとして用いる表示パネルを製造する際には、マイクロLED(Micro LED)を表示パネルの基板上に配置させるための製造装置および方法が開発されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-098289 (JP2022-098289A)
【特許文献2】特開2021-123620 (JP2021-123620A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、折曲部に付着した保護フィルムを除去した後に、折曲部を折り上げる発光素子の転写装置を提供することにある。
【0007】
本発明の課題は以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための一実施形態による発光素子の転写装置は、(1)粘着性または接着性を有するスタンプ層、及び、前記スタンプ層の一面に配置されるベース層を含む転写部材、(2)前記スタンプ層の他面に配置される保護フィルム、(3)前記転写部材の上下左右を反転させる反転部材、(4)前記ベース層に吸着するヘッドチャックを有し、上下左右に移動可能な移送ヘッド、および、(5)脱着が可能な第1クランプを含む折曲部材を含み、前記保護フィルムは、前記保護フィルムを貫通する切込みを含み、前記転写部材は、平面上にて、前記切込みを境界として、中心側に配置される転写部と、周縁側に配置される折曲部とを含み、前記反転部材は、前記転写部と重なる前記保護フィルムを吸着可能な支持チャックと、前記折曲部と重なる前記保護フィルムを吸着可能なサイドチャックをさらに含み得る。
【0009】
前記折曲部材は、前記転写部材の転写部が据え付けられる第1穴を含むクランプ支持部および前記第1穴の周囲に配置されるクランプ固定部をさらに含み、前記第1クランプは、前記クランプ固定部に着脱可能に配置され、折り曲げられた折曲部を固定し得る。
【0010】
前記第1クランプは複数に分けられたユニットで形成され、複数のユニットのそれぞれが第1穴の側へと傾き、前記第1クランプは、下方にいくほどより狭くなる構造で形成され、前記転写部材を前記第1穴にガイドし得る。
【0011】
前記移送ヘッドは、ボディ部、前記ボディ部の中央に位置し、前記転写部材の転写部に吸着するヘッドチャック、および、前記ボディ部のエッジと前記ヘッドチャックとの間で移動可能な第2クランプを含み得る。
【0012】
前記第2クランプは、前記折り曲げられた折曲部を固定する第1クランプを固定し得る。
【0013】
前記課題を解決するための他の実施形態による発光素子の転写装置は、粘着性または接着性を有するスタンプ層、前記スタンプ層の一面に配置されるベース層を含む転写部材、前記スタンプ層の他面に配置される保護フィルム、前記転写部材の上下左右を反転させる反転部材、前記ベース層に吸着するヘッドチャックを有し、上下左右に移動可能な移送ヘッドを含み、前記保護フィルムは前記保護フィルムを貫通する切込みを含み、前記転写部材は平面上で前記切込みを境界として中心側に配置される転写部と縁に配置される折曲部を含み、前記反転部材は前記転写部と重なる前記保護フィルムを吸着可能な支持チャックと、前記支持チャックに隣り合って配置され、上下移動が可能な上下移動部と、前記上下移動部の上部に配置され、前記折曲部と重なる保護フィルムを吸着するサイドチャックを含み得る。
【0014】
前記折曲部は前記上下移動部の上昇駆動により前記切込みを軸として折り曲げられ得る。
【0015】
前記移送ヘッドは、ボディ部、前記ボディ部の中央に位置し、前記転写部材の転写部に吸着するヘッドチャックおよび前記ボディ部のエッジと前記ヘッドチャックの間で移動可能であり、折り曲げられた折曲部を固定可能なクランプを含み得る。
【0016】
前記反転部材は複数の関節を有する多関節ロボットの本体の先端に付着し得る。
【0017】
前記課題を解決するための他の実施形態による発光素子の転写装置は、(1)粘着性または接着性を有するスタンプ層、及び、前記スタンプ層の一面に配置されるベース層を含む転写部材、(2)前記スタンプ層の他面に配置される保護フィルム、(3)前記転写部材の上下左右を反転させる反転部材、(4)前記ベース層に吸着するヘッドチャックを有し、上下左右に移動可能な移送ヘッド、および、(5)前記転写部材の保護フィルムに吸着する複数のチャックを有するロード部材を含み、前記保護フィルムは前記保護フィルムを貫通する切込みを含み、前記転写部材は、平面上にて、前記切込みを境界として、中心側に配置される転写部と、周縁側に配置される折曲部とを含み、前記ロード部材は、前記転写部と重なる前記保護フィルムに吸着可能な支持チャックと、前記支持チャックに隣り合って配置され、上下移動が可能な上下移動部と、前記上下移動部の上部に配置され、前記折曲部と重なる保護フィルムを吸着するサイドチャックとを含み得る。
【0018】
前記発光素子の転写装置は、転写部材の切込みを形成するための切削部材をさらに含み、前記切削部材は、保護フィルムが貼り付けられ(付着され)た転写部材のマザーガラスから、任意の大きさに転写部材を切削する第1カッタ、前記保護フィルムを貫通する切込みを形成するための第2カッタ、および切削された転写部材を吸着させるチャックを含み得る。
【0019】
前記折曲部は、前記上下移動部の上昇駆動により前記切込みを軸として折り曲げられ得る。
【0020】
前記移送ヘッドは、ボディ部、前記ボディ部の中央に位置し、前記転写部材の転写部に吸着するヘッドチャック、および、前記ボディ部のエッジと前記ヘッドチャックとの間で移動可能であり、折り曲げられた折曲部を固定可能なクランプを含み得る。
【0021】
前記発光素子は、n型半導体、活性層、p型半導体、第1コンタクト電極、及び第2コンタクト電極を含み得る。
【発明の効果】
【0022】
一実施形態によれば、転写部材の保護フィルムを除去した後に折り曲げることによって、保護フィルムが折り曲がる際に所望しない除去やズレが生じる現象を防止することができる。
【0023】
実施形態による効果は、以上で例示した内容によって制限されず、より多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一実施形態による表示装置を示すレイアウト図である。
【
図3】
図1の画素のまた他の例を示す例示図である。
【
図4】
図2のA-A’に沿って切断した表示パネルの一例を示す断面図である。
【
図5】一実施形態による発光素子の転写装置の構成を説明するための図である。
【
図6】前述した発光素子の転写装置を用いて行われる発光素子の転写方法を示す流れ図である。
【
図7】転写部材のマザーガラスをロールトゥロール方式で提供する方法を説明するための斜視図である。
【
図8】転写部材のマザーガラスをシート型方式で提供する方法を説明するための斜視図である。
【
図9】発光素子の転写装置の動作を説明する概略図である。
【
図10】発光素子の転写装置の動作を説明する概略図である。
【
図11】発光素子の転写装置の動作を説明する概略図である。
【
図12】発光素子の転写装置の動作を説明する概略図である。
【
図13】発光素子の転写装置の動作を説明する概略図である。
【
図14】発光素子の転写装置の動作を説明する概略図である。
【
図15】発光素子の転写装置の動作を説明する概略図である。
【
図16】発光素子の転写装置の動作を説明する概略図である。
【
図17】発光素子の転写装置の動作を説明する概略図である。
【
図18】発光素子の転写装置の動作を説明する概略図である。
【
図19】発光素子の転写装置の動作を説明する概略図である。
【
図20】発光素子の転写装置の動作を説明する概略図である。
【
図21】発光素子の転写装置の動作を説明する概略図である。
【
図22】発光素子の転写装置の動作を説明する概略図である。
【
図23】発光素子の転写装置の動作を説明する概略図である。
【
図24】発光素子のボンディングを説明する概略図である。
【
図26】発光素子が配置された回路基板を説明する概略図である。
【
図28】他の実施形態による発光素子の転写装置の構成を説明するための図である。
【
図29】
図28の発光素子の転写装置を用いて行われる発光素子の転写方法を示す流れ図である。
【
図30】
図28の発光素子の転写装置の動作を説明するための図である。
【
図31】
図28の発光素子の転写装置の動作を説明するための図である。
【
図32】
図28の発光素子の転写装置の動作を説明するための図である。
【
図33】
図28の発光素子の転写装置の動作を説明するための図である。
【
図34】
図28の発光素子の転写装置の動作を説明するための図である。
【
図35】また他の実施形態による発光素子の転写装置の構成を説明するための図である。
【
図36】また他の実施形態による発光素子の転写装置の構成を説明するための図である。
【
図37】また他の実施形態による発光素子の転写装置の構成を説明するための図である。
【
図38】また他の実施形態による発光素子の転写装置の構成を説明するための図である。
【
図39】また他の実施形態による発光素子の転写装置の構成を説明するための図である。
【
図40】また他の実施形態による発光素子の転写装置の構成を説明するための図である。
【
図41】他の実施形態による発光素子の転写装置の構成を示す図である。
【
図42】
図41の発光素子の転写装置の動作を説明するための流れ図である。
【
図43】発光素子の転写装置の動作を説明するための図である。
【
図44】発光素子の転写装置の動作を説明するための図である。
【
図45】発光素子の転写装置の動作を説明するための図である。
【
図46】発光素子の転写装置の動作を説明するための図である。
【
図47】発光素子の転写装置の動作を説明するための図である。
【
図48】発光素子の転写装置の動作を説明するための図である。
【
図49】発光素子の転写装置の動作を説明するための図である。
【
図50】発光素子の転写装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は添付する図面と共に詳細に後述する実施形態を参照すると明確になる。しかし、本発明は、以下で開示する実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現することができ、本実施形態は、単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に、発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は、請求項の範疇によってのみ定義される。
【0026】
素子(element)または層が他の素子または層の「上(on)」と称される場合は、他の素子のすぐ上または中間に他の層または他の素子が介在する場合をすべて含む。明細書全体にわたって、同一の参照符号は、同一の構成要素を指すものとする。実施形態を説明するための図面に開示された、形状、大きさ、比率、角度、個数などは例示的なものであるから、本発明は、図示された内容に限定されるものではない。
【0027】
以下、添付する図面を参照して具体的な実施形態について説明する。
【0028】
図1は一実施形態による表示装置を示すレイアウト図である。
図2は
図1の画素の一例を示す例示図である。
図3は
図1の画素のまた他の例を示す例示図である。
【0029】
図1ないし
図3を参照すると、表示装置DDは動画や静止映像を表示する装置であって、モバイルフォン(mobile phone)、スマートフォン(smart phone)、タブレットPC(tablet personal computer)、およびスマートウォッチ(smart watch)、ウォッチフォン(watch phone)、移動通信端末機、電子手帳、電子ブック、PMP(portable multimedia player)、ナビゲーション、UMPC(Ultra Mobile PC)などのような携帯用電子機器だけでなく、テレビ、ノートパソコン、モニタ、広告板、モノのインターネット(internet of things,IOT)などの多様な製品の表示画面として使用することができる。
【0030】
表示パネル100は、第1方向DR1の長辺と、第1方向DR1と交差する第2方向DR2の短辺とを有する長方形形状の平面で形成されうる。第1方向DR1の長辺と第2方向DR2の短辺とが交わるコーナー(corner)は、所定の曲率を有するように丸く形成されるか、直角に形成されうる。表示パネル100の平面形状は四角形(特には長方形や正方形)に限定されず、その他の多角形(例えば角取りした長方形・正方形など)、円形または楕円形に形成されうる。表示パネル100は平坦に形成されうるが、これに限られない。例えば、表示パネル100は、左右側の終端に形成されて、一定の曲率を有するか変化する曲率を有する曲面部を含み得る。また、表示パネル100は、湾曲されたり、反ったり、ベンディングされたり、折り曲げられたり、丸められるように、柔軟に形成されうる。
【0031】
表示パネル100は、画像を表示するために画素PX、第1方向DR1に延びるスキャン配線、第2方向DR2に延びるデータ配線をさらに含み得る。画素PXは、第1方向DR1と第2方向DR2とのマトリックス状に配列されうる。
【0032】
画素PXのそれぞれは、
図2および
図3のように、複数のサブ画素RP,GP,BPを含み得る。
図2と
図3では、画素PXのそれぞれが、3個のサブ画素RP,GP,BP、すなわち、第1サブ画素RP、第2サブ画素GP、および第3サブ画素BPを含む場合を例示したが、本明細書の実施形態はこれに限られない。
【0033】
第1サブ画素RP、第2サブ画素GP、および第3サブ画素BPは、データ配線のうちいずれか一つのデータ配線、およびスキャン配線のうち少なくとも一つのスキャン配線に連結され得る。
【0034】
第1サブ画素RP、第2サブ画素GP、および第3サブ画素BPのそれぞれは、長方形、正方形または菱形の平面形状を有することができる。例えば、第1サブ画素RP、第2サブ画素GP、および第3サブ画素BPそれぞれは、
図2のように第1方向DR1の短辺と第2方向DR2の長辺を有する長方形の平面形状を有することができる。または、第1サブ画素RP、第2サブ画素GP、および第3サブ画素BPのそれぞれは、
図3のように第1方向DR1と第2方向DR2とで同じ長さを有する辺を含む、正方形または菱形の平面形状を有することができる。
【0035】
図2のように、第1サブ画素RP、第2サブ画素GP、および第3サブ画素BPは第1方向DR1に配列できる。または、第2サブ画素GPと第3サブ画素BPのうちのいずれか一つと、第1サブ画素RPとは第1方向DR1に配列され、残りの一つと第1サブ画素RPとは第2方向DR2に配列されうる。例えば、
図3のように、第1サブ画素RPと第2サブ画素GPは第1方向DR1に配列され、第1サブ画素RPと第3サブ画素BPは第2方向DR2に配列されうる。
【0036】
または、第1サブ画素RPと第3サブ画素BPのうちのいずれか一つと、第2サブ画素GPとは第1方向DR1に配列され、残りの一つと第2サブ画素GPとは第2方向DR2に配列されうる。または、第1サブ画素RPと第2サブ画素GPとのうちのいずれか一つと、第3サブ画素BPとは第1方向DR1に配列され、残りの一つと第3サブ画素BPとは第2方向DR2に配列されうる。
【0037】
第1サブ画素RPは第1光を発光する第1発光素子を含み、第2サブ画素GPは第2光を発光する第2発光素子を含み、第3サブ画素BPは第3光を発光する第3発光素子を含み得る。ここで、第1光は赤色波長帯域の光であり、第2光は緑色波長帯域の光でり、第3光は青色波長帯域の光であり得る。赤色波長帯域は概ね600nm~750nmの波長帯域であり、緑色波長帯域は概ね480nm~560nmの波長帯域であり、青色波長帯域は概ね370nm~460nmの波長帯域であり得るが、本明細書の実施形態はこれに限られない。
【0038】
第1サブ画素RP、第2サブ画素GP、および第3サブ画素BPそれぞれは光を発光する発光素子として無機半導体を有する無機発光素子を含むことができる。例えば、無機発光素子はフリップチップ(flip chip)タイプのマイクロLED(Light Emitting Diode)であり得るが、本明細書の実施形態はこれに限られない。
【0039】
図2および
図3のように第1サブ画素RPの面積、第2サブ画素GPの面積、および第3サブ画素BPの面積は実質的に同一であり得るが、本明細書の実施形態はこれに限られない。第1サブ画素RPの面積、第2サブ画素GPの面積、および第3サブ画素BPの面積のうち少なくともいずれか一つはまた他の一つと異なってもよい。または、第1サブ画素RPの面積、第2サブ画素GPの面積、および第3サブ画素BPの面積のうちいずれか二つは実質的に同一であり、残りの一つは前記二つと異なってもよい。または、第1サブ画素RPの面積、第2サブ画素GPの面積、および第3サブ画素BPの面積は互いに異なってもよい。
【0040】
図4は
図2のA-A’に沿って切断した表示パネルの一例を示す断面図である。
【0041】
図4を参照すると、表示パネル100は基板SUB上に配置される薄膜トランジスタ層TFTLと発光素子LEを含み得る。薄膜トランジスタ層TFTLは薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor,TFT)が形成される層であり得る。
【0042】
薄膜トランジスタ層TFTLはアクティブ層ACT、第1ゲート層GTL1、第2ゲート層GTL2、第1データ金属層DTL1、第2データ金属層DTL2、第3データ金属層DTL3、および第4データ金属層DTL4を含む。また、薄膜トランジスタ層TFTLはバッファ膜BF、ゲート絶縁膜130、第1層間絶縁膜141、第2層間絶縁膜142、第1平坦化膜160、第1絶縁膜161、第2平坦化膜180、および第2絶縁膜181を含む。
【0043】
基板SUBは表示装置を支持するためのベース基板またはベース部材であり得る。基板SUBはガラス材質のリジッド(rigid)基板であり得るが、本明細書の実施形態はこれに限られない。基板SUBはベンディング(Bending)、フォールディング(folding)、ローリング(Rolling)などが可能なフレキシブル(Flexible)基板であり得る。この場合、基板SUBはポリイミド(PI)のような高分子樹脂などの絶縁物質を含むことができる。
【0044】
基板SUBの一面上にはバッファ膜BFが配置される。バッファ膜BFは空気または水分の浸透を防止するための膜であり得る。バッファ膜BFは交互に積層された複数の無機膜からなる。例えば、バッファ膜BFはシリコンナイトライド層、シリコンオキシナイトライド層、シリコンオキシド層、チタンオキシド層、およびアルミニウムオキシド層のうち一つ以上の無機膜が交互に積層された多重膜で形成できる。バッファ膜BFは省略できる。
【0045】
バッファ膜BF上にはアクティブ層ACTが配置される。アクティブ層ACTは多結晶シリコン、単結晶シリコン、低温多結晶シリコン、および非晶質シリコンのようなシリコン半導体を含むか、酸化物半導体を含むことができる。
【0046】
アクティブ層ACTは薄膜トランジスタTFTのチャネルTCH、第1電極TS、および第2電極TDを含み得る。薄膜トランジスタTFTのチャネルTCHは基板SUBの厚さ方向である第3方向DR3で薄膜トランジスタTFTのゲート電極TGと重なる領域であり得る。薄膜トランジスタTFTの第1電極TSはチャネルTCHの一側に配置され、第2電極TDはチャネルTCHの他側に配置され得る。薄膜トランジスタTFTの第1電極TSと第2電極TDは第3方向DR3でゲート電極TGと重ならない領域であり得る。薄膜トランジスタTFTの第1電極TSと第2電極TDはシリコン半導体または酸化物半導体にイオンがドープされて導電性を有する領域であり得る。
【0047】
アクティブ層ACT上にはゲート絶縁膜130が配置される。ゲート絶縁膜130は無機膜、例えばシリコンナイトライド層、シリコンオキシナイトライド層、シリコンオキシド層、チタンオキシド層、またはアルミニウムオキシド層で形成されることができる。
【0048】
ゲート絶縁膜130上には第1ゲート層GTL1が配置される。第1ゲート層GTL1は薄膜トランジスタTFTのゲート電極TGと第1キャパシタ電極CAE1を含み得る。第1ゲート層GTL1はモリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のいずれか一つまたはこれらの合金からなる単一層または多重層で形成されることができる。
【0049】
第1ゲート層GTL1上には第1層間絶縁膜141が配置される。第1層間絶縁膜141は無機膜、例えばシリコンナイトライド層、シリコンオキシナイトライド層、シリコンオキシド層、チタンオキシド層、またはアルミニウムオキシド層で形成されることができる。
【0050】
第1層間絶縁膜141上には第2ゲート層GTL2が配置される。第2ゲート層GTL2は第2キャパシタ電極CAE2を含み得る。第2ゲート層GTL2はモリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のいずれか一つまたはこれらの合金からなる単一層または多重層で形成されることができる。
【0051】
第2ゲート層GTL2上には第2層間絶縁膜142が配置される。第2層間絶縁膜142は無機膜、例えばシリコンナイトライド層、シリコンオキシナイトライド層、シリコンオキシド層、チタンオキシド層、またはアルミニウムオキシド層で形成されることができる。
【0052】
第2層間絶縁膜142上には第1連結電極CE1、第1サブパッドSPD1、およびデータ配線DLを含む第1データ金属層DTL1が配置され得る。データ配線DLは第1サブパッドSPD1と一体に形成されるが、本明細書の実施形態はこれに限られない。第1データ金属層DTL1はモリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のいずれか一つまたはこれらの合金からなる単一層または多重層で形成されうる。
【0053】
第1連結電極CE1は第1層間絶縁膜141と第2層間絶縁膜142を貫通する第1コンタクトホールCT1を介して薄膜トランジスタTFTの第1電極TSまたは第2電極TDに連結され得る。
【0054】
第1データ金属層DTL1上にはアクティブ層ACT、第1ゲート層GTL1、第2ゲート層GTL2、および第1データ金属層DTL1による段差を平坦にするための第1平坦化膜160が配置され得る。第1平坦化膜160はアクリル樹脂(acryl resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、ポリイミド樹脂(polyimide resin)などの有機膜で形成されうる。
【0055】
第1平坦化膜160上には第2データ金属層DTL2が配置される。第2データ金属層DTL2は第2連結電極CE2と第2サブパッドSPD2を含み得る。第2連結電極CE2は第1絶縁膜161と第1平坦化膜160を貫通する第2コンタクトホールCT2を介して第1連結電極CE1に連結され得る。第2データ金属層DTL2はモリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のいずれか一つまたはこれらの合金からなる単一層または多重層で形成されうる。
【0056】
第2データ金属層DTL2上には第2平坦化膜180が配置される。第2平坦化膜180は、アクリル樹脂(acryl resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、ポリイミド樹脂(polyimide resin)などの有機膜で形成されうる。
【0057】
第2平坦化膜180上には、第3データ金属層DTL3が配置される。第3データ金属層DTL3は、第3連結電極CE3と第3サブパッドSPD3を含み得る。第3連結電極CE3は、第2絶縁膜181と、第2平坦化膜180を貫通する第3コンタクトホールCT3を介して、第2連結電極CE2に連結され得る。第3データ金属層DTL3は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のいずれか一つまたはこれらの合金からなる単一層または多重層で形成されうる。
【0058】
第3データ金属層DTL3上には、第3平坦化膜190が配置される。第3平坦化膜190は、アクリル樹脂(acryl resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、ポリイミド樹脂(polyimide resin)などの有機膜で形成されうる。
【0059】
第3平坦化膜190上には、第4データ金属層DTL4が配置される。第4データ金属層DTL4は、アノードパッド電極APD、カソードパッド電極CPD、および第4サブパッドSPD4を含み得る。アノードパッド電極APDは第3絶縁膜191と第3平坦化膜190を貫通する第4コンタクトホールCT4を介して第3連結電極CE3に連結され得る。カソードパッド電極CPDは、低電位電圧である第1電源電圧の供給を受け得る。第4データ金属層DTL4は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のいずれか一つまたはこれらの合金からなる単一層または多重層で形成されうる。
【0060】
アノードパッド電極APDとカソードパッド電極CPDとのそれぞれの上には、発光素子LEの第1コンタクト電極CTE1および第2コンタクト電極CTE2と接着力を高めるための透明導電層TCOが配置される。透明導電層TCOと第5サブパッドSPD5は、ITO(Indium Tin Oxide)およびIZO(Indium Zinc Oxide)のような透明な導電酸化物(transparent conductive oxide)で形成されうる。
【0061】
アノードパッド電極APD、カソードパッド電極CPD、および第1パッドPD1の上には、保護膜PVXが配置される。保護膜PVXは、アノードパッド電極APD、カソードパッド電極CPD、および第1パッドPD1の周縁を覆うように配置され得る。保護膜PVXは、無機膜、例えばシリコンナイトライド層、シリコンオキシナイトライド層、シリコンオキシド層、チタンオキシド層、またはアルミニウムオキシド層で形成されうる。他の実施形態では保護膜PVXは省略されうる。
【0062】
発光素子LEは、第1コンタクト電極CTE1と第2コンタクト電極CTE2がアノードパッド電極APDおよびカソードパッド電極CPDと対向するように配置されるフリップチップタイプのマイクロLEDである場合を例示したが、これに限定するものではない。発光素子LEは、GaNのような無機物質からなる無機発光素子であり得る。発光素子LEは、第1方向DR1の長さ、第2方向DR2の長さ、および第3方向DR3の長さが、それぞれ数μmないし数百μmであり得る。例えば、発光素子LEは、第1方向DR1の長さ、第2方向DR2の長さ、および第3方向DR3の長さが、それぞれ概ね100μm以下であり得る。
【0063】
発光素子LEは、シリコンウエハのような半導体基板で成長して形成されうる。発光素子LEのそれぞれは、シリコンウエハからすぐに、基板SUBのアノードパッド電極APDとカソードパッド電極CPDの上に移されうる。この場合、第1コンタクト電極CTE1とアノードパッド電極APDとは、接合工程により互いに接着され得る。また、第2コンタクト電極CTE2とカソードパッド電極CPDとは、接合工程により互いに接着され得る。第1コンタクト電極CTE1とアノードパッド電極APDとは、接合電極23を介して互いに電気的に接続され得る。また、第2コンタクト電極CTE2とカソードパッド電極CPDとは、接合電極23を介して互いに電気的に接続され得る。
【0064】
一例として発光素子LEの一面には、接合電極23が配置される。接合電極23はレーザを用いる加圧溶融接合の接合物であり得る。ここで、加圧溶融接合は、接合電極23が熱を受けて溶融し、発光素子LEと、アノードパッド電極APDおよびカソードパッド電極CPDとが溶融混合され、レーザの供給が終了することにより冷却されて固化した状態をいう。溶融混合された状態で冷却されて固化しても、発光素子LEと、アノードパッド電極APDおよびカソードパッド電極CPDとによる導電性は維持されるので、アノードパッド電極APDおよびカソードパッド電極CPDと、発光素子LEのそれぞれとを、電気的に接続して物理的に連結することができる。したがって、接合電極23は、発光素子LEの第1コンタクト電極CTE1及び第2コンタクト電極CTE2の上に配置されうる。
【0065】
接合電極23は、例えば、Au、AuSn、PdIn、InSn、NiSn、Au-Au、AgIn、AgSn、Al、Agまたはカーボンナノチューブ(CNT)などを含むのでありうる。これらは、それぞれ単独で、または2つ以上を組み合わせて用いることができる。接合電極23は、接合電極23の種類に応じて、パッド電極上に蒸着されて形成されるか、スクリーンプリントなどの多様な方法によりパッド電極上に形成されることができる。
【0066】
または、発光素子LEのそれぞれは、転写部材を用いて、基板SUBのアノードパッド電極APDとカソードパッド電極CPDの上に移されうる。これについて、
図5ないし
図50を参照して後述する。
【0067】
発光素子LEのそれぞれは、ベース基板SSUB、n型半導体NSEM、活性層MQW、p型半導体PSEM、第1コンタクト電極CTE1、及び、第2コンタクト電極CTE2を含む発光構造物であり得る。
【0068】
ベース基板SSUBはサファイア基板であり得るが、本明細書の実施形態はこれに限られない。
【0069】
n型半導体NSEMはベース基板SSUBの一面上に配置される。例えば、n型半導体NSEMはベース基板SSUBの下面上に配置される。n型半導体NSEMは、Si、Ge、Snなどといったn型導電型ドーパントがドープされたGaNから形成されうる。
【0070】
活性層MQWは、n型半導体NSEMの一面の一部の上に配置されうる。活性層MQWは、単一または多重の量子井戸構造の物質を含むことができる。活性層MQWが多重量子井戸構造の物質を含む場合、複数の井戸層(well layer)とバリア層(barrier layer)とが、互いに交互に積層された構造であり得る。ここで、井戸層はInGaNで形成され、バリア層はGaNまたはAlGaNで形成されるが、これに限られない。または、活性層MQWは、バンドギャップ(Band gap)エネルギが大きい種類の半導体物質と、バンドギャップエネルギが小さい半導体物質とが、互いに交互に積層された構造であり得るのであって、発光する光の波長帯に応じて異なる3族~5族半導体物質を含むこともできる。
【0071】
以下、
図5ないし
図27を参照して、一実施形態による発光素子の転写装置およびその動作方法について説明する。
【0072】
図5は一実施形態による発光素子の転写装置の構成を説明するための図である。
【0073】
図5を参照すると、一実施形態による発光素子の転写装置TDは、転写部材20、保護フィルム30、反転部材90、移送ヘッド40および折曲部材60を含み得る。
【0074】
転写部材20は、粘着または接着性を有するスタンプ層220、前記スタンプ層の一面に配置されるベース層210を含む。
【0075】
ベース層210は、例えば、ガラスやプラスチックを含んで形成されうる。保護フィルム30は厚さが薄いガラスを含む場合、ガラスは超薄型強化ガラス(Ultra-thin glass)であり得る。または、ベース層210は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン(PU)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスルホン(PSF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)などから形成されうる。
【0076】
スタンプ層220は、ベース層210の一面に配置される。スタンプ層220は、発光素子LEと粘着または接着され得る。スタンプ層220は、接着性または粘着性を有する物質から形成されうるのであって、接着性を有する物質は、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)、PSA(Pressure Sensitive Adhesive)などがあり、粘着性を有する物質は、例えば、アクリル系、ウレタン系、シリコン系粘着物質を含んで形成されうる。スタンプ層220は、ベース層210の厚さよりも薄い厚さで形成されうる。
【0077】
転写部材20は、平面上にて転写部20-1と折曲部20-2とを含み得る。転写部20-1は、切込み20hを境界として中心側に形成されるのであって、折曲部20-2は、切込み20hを境界として縁に形成されうる。
【0078】
転写部材20の一面に保護フィルム30が貼り付けられ、転写部材20の他面に移送ヘッド40が吸着され得る。転写部材20のスタンプ層220の一面に保護フィルム30が貼り付けられることで、スタンプ層220に汚染物が付着することを防止することができる。
【0079】
保護フィルム30は、転写部材20のスタンプ層220の他面に配置されて、スタンプ層220の汚染を防止する。保護フィルム30は、例えば、ガラスやプラスチックを含んで形成されうる。保護フィルム30が、厚さが薄いガラスを含む場合、ガラスは超薄型強化ガラス(Ultra-thin glass)であり得る。
【0080】
反転部材90は、転写部材20の上下左右を反転させる。
【0081】
反転部材90は、ステージ91、回転軸92、および、ステージ91と回転軸92とをつなぐ連結部93を含み得る。回転軸92を中心にステージ91を180度回転させることができる。ステージ91は複数のチャックを含み得る。複数のチャックは、静電チャック、粘着チャック、真空チャック、及び多孔性真空チャックのうちのいずれか一つであり得る。ステージ91は、複数のチャックを用いて、保護フィルム30の一面を吸着させることができる。
【0082】
反転部材90は、チャックを用いて、転写部材20の折曲部20-2の保護フィルム30を、吸着及び吸着解除(脱着)させる。
【0083】
移送ヘッド40は、転写部材20のベース層210に吸着するヘッドチャック43を有し、上下左右に移動可能である。
【0084】
移送ヘッド40は、ボディ部41、第1クランプ42、およびヘッドチャック43を含み得る。
【0085】
ヘッドチャック43は、ボディ部41の一面の中央部に配置される。ヘッドチャック43は、チャック機能により転写部材22を脱付着し得る。例えば、ヘッドチャック43は、静電チャック、粘着チャック、真空チャック、及び、多孔性真空チャックのうちのいずれか一つのチャックを含み得る。
【0086】
ヘッドチャック43は、中央部43-1と傾斜部43-2を含み得る。中央部43-1はヘッドチャック43の中央に位置し、傾斜部43-2は中央部43-1の周囲に位置する。傾斜部43-2は、中央部43-1に対して、任意の傾斜度を有することができる。後述するように、ヘッドチャック43の傾斜部43-2の傾斜に沿って、転写部材20の折曲部20-2が折り曲げられ得る。
【0087】
転写部材20が、ヘッドチャック43に吸着される場合、転写部材20の転写部20-1は中央部43-1に吸着され、折曲部20-2は傾斜部43-2に吸着される。
【0088】
第1クランプ42は、ボディ部41の一面に、ヘッドチャック43と隣接して配置され、水平方向に移動可能に配置される。第1クランプ42は、水平方向にて、ヘッドチャック43に近づくか遠ざかるように移動しうる。第1クランプ42はヘッドチャック43の外周面の少なくとも一部を囲むように配置され、左右対称に配置されうる。第1クランプ42の移動のために、移送ヘッド40は、例えば、第1クランプ42を水平方向に移動案内するガイドレールを備えることができるが、これに限定するものではない。
【0089】
折曲部材60は、ヘッドチャック43に吸着された転写部材20における折曲部20-2を折り曲げる。ヘッドチャック43に吸着された転写部材20における折曲部20-2部が折り曲げられる場合、折曲部20-2は、ヘッドチャック43の傾斜部43-2に接触し得る。
【0090】
折曲部材60は、取付け及び取り外し(脱着)が可能な第2クランプ62を含む。
【0091】
折曲部材60は、クランプ支持部61、クランプ固定部63、および、クランプ固定部63に脱着可能な第2クランプ62を含み得る。
【0092】
クランプ支持部61は、中央に第1穴61-h、第1穴61-hに隣接する領域に第2穴63-hを含み得る。第2穴63-h上にクランプ固定部63が配置される。クランプ固定部63は、中央の穴である第1穴61-hの周囲に配置される。第2クランプ62がクランプ固定部63上に配置される。第2クランプ62は、クランプ固定部63に脱着可能に形成される。例えば、クランプ固定部63は、一面にチャックを有することができる。チャックは、静電チャック、粘着チャック、真空チャック、及び多孔性真空チャックのうちのいずれか一つであり得る。クランプ固定部63は、チャックの吸着機能により第2クランプ62を脱着可能にすることができる。他の例では、クランプ固定部63と第2クランプ62とは、磁石を含むことで脱着可能にすることができる。
【0093】
第2クランプ62は、転写部材20の折曲部20-2に大きさと形状が対応するように形成される。第2クランプ62は、複数に分けられたユニットで形成されうる。複数のユニットは、それぞれが平面上にて移動可能に形成されることができる。
【0094】
例えば、転写部20-1が四角形(特には長方形または正方形)に形成され、折曲部20-2が転写部20-1の周囲に配置される4個の長方形ユニットでもって形成されうる。このような場合、第2クランプ62も、折曲部20-2に対応して4個の互いに分離されたユニットでもって形成されうる。他の変形例では、転写部20-1が円形に形成され、折曲部20-2が転写部20-1を囲むドーナツ状に形成されうる。このような場合、第2クランプ62もドーナツ状に形成され、互いに分離された複数のユニットでもって形成されうる。
【0095】
第2クランプ62は、クランプ固定部63に取り付けられて、転写部材20を前記第1穴61-hにガイドし得る。第2クランプ62は、転写部材20を前記第1穴61-hにガイドするために、複数のユニットのそれぞれが第1穴61-hの側へと傾いていて、第2クランプ62は、下方にいくほど、より狭くなる構造に形成されうる。
【0096】
第2クランプ62は複数に分けられたユニットで形成される場合、第2クランプ62は移動ガイドをさらに含むことができる。複数のユニットは、それぞれ移動ガイドにより移動可能に形成されうる。移動ガイドGには、例えば、ガイドレール(図示せず)が嵌め込まれて、複数のユニットがスライディングできるように実現することができる。
【0097】
第2クランプ62は、転写部材20の折曲部20-2を固定して折り曲げ(folding)状態を維持するようにする。
【0098】
発光素子の転写装置TDのそれぞれの細部構成要素と、発光素子の転写装置TDの動作方法について、以下の図面を参照して詳細に説明する。
【0099】
図6は、前述した発光素子の転写装置を用いて行われる発光素子の転写方法を示す流れ図である。
図7は転写部材のマザーガラスをロールトゥロール方式で提供する方法を説明するための斜視図であり、
図8は転写部材のマザーガラスをシート型の方式で提供する方法を説明するための斜視図である。
図9ないし
図23は、発光素子の転写装置の動作を説明する概略図であり、
図24は発光素子のボンディングを説明する概略図であり、
図25は転写部材の除去を説明する概略図であり、
図26は発光素子が配置された回路基板を説明する概略図である。
図27は
図26のA領域の拡大図である。
【0100】
以下、
図6のフローチャートを
図7ないし
図27の図面と共に参照して説明する。
【0101】
先に、
図6および
図9を参照すると、保護フィルムが貼り付けられた転写部材のマザーガラスを、転写単位の大きさに切断し、保護フィルム上に切込み20hを形成する(
図6の段階S110)。
【0102】
保護フィルムが貼り付けられた転写部材のマザーガラスは、支え部材Sta上に配置される(
図7~8)。
【0103】
ここで、支え部材Staは、複数の転写部材20を支持する役割をする。支え部材Sta上に、複数の転写部材20を整列して配置することができる。
【0104】
図7のように、転写部材のマザーガラス20-Bは、ロール状に巻かれたリールツーリール(reel to reel)型であり得る。転写部材のマザーガラス20-Bがリールツーリール方式で提供される場合、転写部材のマザーガラス20-Bを所望の幅だけ切断して使用できる。転写部材のマザーガラス20-Bは、ベース層210、および、ベース層210の一面に配置されるスタンプ層220を含み、スタンプ層220の一面に配置される、保護フィルム30-Bのマザーガラスをさらに含み得る。
【0105】
また、
図8のように、転写部材のマザーガラス20-Bおよび保護フィルム30-Bは、シートタイプであり得る。シートタイプは、支え部材Sta上に配置される前に、あらかじめ定められた幅に切断された提供される点で、リールツーリール提供方式と異なる。
【0106】
図9を参照すると、保護フィルムのマザーガラス30-Bが貼り付けられた、転写部材のマザーガラス20-Bは、支え部材Staから、ベース層210、スタンプ層220および保護フィルム30-Bが順次に積層されて配置される。ベース層210は、一面が支え部材Sta上に接触し、他面がスタンプ層220に接触し、スタンプ層220は一面がベース層210と接触し、他面が保護フィルム30-Bと接触する。
【0107】
図10を参照すると、前記保護フィルム30-Bが貼り付けられた転写部材のマザーガラス20-Bは、前記支え部材Sta上で転写単位の大きさに切断され、それぞれの転写単位で切断された保護フィルム30上に切込み20hを形成する。この際、切断および切開は、機械的方式またはレーザ方式といった、従来より知られている切断方法を用いることができる。転写単位の大きさは、回路基板に1回で転写する大きさを意味する。
【0108】
切込み20hは、保護フィルム30からベース層210の側の方向へと形成される。そして、切込み20hは、少なくとも保護フィルム30の厚さと同一であるかより深い深さを有する。例えば、切込み20hは、保護フィルム30とスタンプ層220とを貫通するように形成されうる。または、切込み20hは、保護フィルム30を貫通するように形成されうる。スタンプ層220およびベース層210には、切込み20hが形成されなくてもよい。または、切込み20hは、保護フィルム30を貫通し、スタンプ層220の一部にまで形成されうる。ベース層210には切込み20hが形成されなくてもよい。または、切込み20hは、保護フィルム30とスタンプ層220とを貫通し、ベース層210の一部にまで形成されうる。
【0109】
このように、切込み20hは、少なくとも保護フィルム30を貫通するように形成され、転写部材20の一部に形成されるが、転写部材20の全体を貫通するようには形成されない。
【0110】
転写部材20は、切込み20hを境界として、転写部20-1と折曲部20-2とを含み得る。
【0111】
次に、反転部材90を用いて、一つ以上の転写部材20をピックアップして、上下左右を反転させる(
図6の段階S120)。
【0112】
一例として
図11を参照すると、反転部材90は、支え部材Staに整列して配置された一つ以上の転写部材20に貼り付けられた保護フィルム30の一面を吸着させることができる。
【0113】
図12を参照すると、反転部材90は、保護フィルム30の一面を吸着した状態で、180度回転して、保護フィルム30が貼り付けられた転写部材20を上下左右に反転させることができる。これにより、転写部材20は、反転部材90から保護フィルム30、スタンプ層220、ベース層210が、この順に配置されうる。
【0114】
次に、段階を説明する前に
図14を参照して、発光素子の転写装置である反転部材90のステージ91について説明する。
【0115】
ステージ91は、支持チャック95、およびサイドチャック97を含み得る。ステージ91は転写部材20を支持し、ステージ91は複数の穴91-h1,91-h2を有することができ、複数の穴91-h1,91-h2内に、支持チャック95、およびサイドチャック97が埋め込まれて配置されうる。
【0116】
ステージ91の中央部に形成された第1穴91-h1に支持チャック95が配置され、第1穴91-h1に隣り合って配置された第2穴91-h2にサイドチャック97が配置される。反転部材90は、一つ以上の転写部材20をピックアップして上下左右を反転させる際、支持チャック95とサイドチャック97により保護フィルム30を吸着することができる。
【0117】
次に、
図13および
図14を参照すると、反転部材90のサイドチャック97により、折曲部20-2に貼り付けられた保護フィルム30を剥離させる(
図6の段階S130)。
【0118】
移送ヘッド40のヘッドチャック43は、転写部材20の転写部20-1に重なり、折曲部20-2に重ならないように配置される。ヘッドチャック43はチャックの吸着機能を用いて転写部材20のベース層210の一面を吸着する。次に、反転部材90のサイドチャック97は吸着機能を維持した状態で、支持チャック95は吸着機能を解除する。その後、移送ヘッド40が第3方向に上昇すると、転写部材20は移送ヘッド40に吸着して移送ヘッド40とともに上昇する。ただし、サイドチャック97の吸着機能が維持されているので、サイドチャック97の吸着力によって、折曲部20-2の保護フィルム30が転写部材20から剥離される。このために、サイドチャック97は、折曲部20-2のスタンプ層220と保護フィルム30との間の接着力よりも、より優れた吸着力でもって保護フィルム30を吸着しなければならず、移送ヘッド40のヘッドチャック43は、サイドチャック97の吸着力よりも、より優れた吸着力でもって転写部材20を吸着しなければならない。
【0119】
次に、
図15ないし
図16のように、転写部材の折曲部20-2を折り曲げて第1クランプ42および第2クランプ62でもって固定させる(
図6の段階S140)。
【0120】
移送ヘッド40が、転写部材20を吸着した状態で上下左右に移動して、折曲部材60上に転写部材20を位置させる。移送ヘッド40が上下左右に移動して、折曲部材60の第1穴61-hの中央ホール上に転写部材20の転写部20-1が重なるように位置させる。
【0121】
移送ヘッド40を下方に移動して第1穴61-hに転写部材20の転写部20-1が据え付けられるようにする。
図15および
図16を参照すると分かるように、第2クランプ62はクランプ固定部63に固定されている場合、内側が傾斜した形状を有する。第2クランプ62は転写部材20が第1穴61-hに据え付けられると、折曲部20-2が折り曲げられるように下方がより狭くなる構造で形成される。したがって、第2クランプ62は転写部材20の転写部20-1が第1穴61-hに据え付けられるようにガイドする役割をすることができる。
【0122】
したがって、転写部材20の転写部20-1が第1穴61-hに据え付けられると、折曲部20-2は、第2クランプ62により、切込み20hを軸として折り曲げられる。これにより、転写部材20がヘッドチャック43の少なくとも3面を囲むようになる。
【0123】
第1クランプ42が第2クランプ62側に移動して第2クランプ62の外側を圧迫する。これにより、第2クランプ62が転写部材20を間に挟んでヘッドチャック43に堅固に固定されう。
【0124】
図18のように、転写部材20の転写部20-1の保護フィルム30を剥離する(
図6の段階S150)。
【0125】
その後、クランプ固定部63が第2クランプ62を脱着(吸着解除)させ、移送ヘッド40は第2クランプ62とともに上昇移動する。
【0126】
転写部材20と保護フィルム30との間の接着力または粘着力よりも、移送ヘッド40のヘッドチャック43と転写部材20との間の吸着力が、より優れるので、保護フィルム30を容易に除去することができる。
【0127】
図19を参照すると、移送ヘッド40がピックアップされた転写部材20を用いて、ドナー基板DSから発光素子LEをピックアップする(
図6の段階S160)。
【0128】
先に複数の発光素子LEが整列して配置されたドナー基板DSを準備する。ドナー基板DSには、粘着性のある物質が塗布され得る。粘着性のある物質によって、ドナー基板DSと複数の発光素子LEとは互いに粘着されうる。
【0129】
発光素子LEは、
図4で説明したように、ベース基板SSUB、n型半導体NSEM、活性層MQW、p型半導体PSEM、第1コンタクト電極CTE1、及び、第2コンタクト電極CTE2を含み得る。また、発光素子LEは、接合電極23をさらに含み得る。接合電極23の接合については、
図25を参照して詳細に説明する。
【0130】
次に、移送ヘッド40がピックアップされた転写部材20を、ドナー基板DSに移送して、転写部材20の一面に発光素子LEを接着させる。転写部材20の転写部20-1のスタンプ層220に発光素子LEが接着される。
【0131】
その後、移送ヘッド40を第3方向(Z方向)に上昇させて、ドナー基板DSから発光素子LEを分離させる。
【0132】
移送ヘッド40が、第3方向(Z方向)に、ドナー基板DSと発光素子LEとの間の粘着力(または接着力)よりも、より大きな引張力でもって引っ張らなければならない。この際、移送ヘッド40が転写部材20を介して、ドナー基板DSから発光素子LEを脱着するためには、移送ヘッド40と転写部材20との間の吸着力が、ドナー基板DSと発光素子LEとの間の粘着力よりも大きくなければならない。一実施形態による移送ヘッド40は、第1クランプ42を用いて、ヘッドチャック43と転写部材20とを互いに固定されるようにする。したがって、移送ヘッド40が、第3方向(Z方向)にドナー基板DSと発光素子LEとの間の粘着力(または接着力)よりも、より大きな引張力を加えても、ヘッドチャック43と転写部材20とは堅固に固定されうる。
【0133】
図20および
図21のように、移送ヘッド40は折曲部材60上に移動し、折曲部材60は、折曲部20-2を加圧する第2クランプ62を脱着させる(
図6の段階S170)。
【0134】
第2クランプ62はクランプ固定部63上に配置され、クランプ固定部63が第2クランプ62を吸着させる。その後、第1クランプ42が、ボディ部41のエッジ側に移動する。次に、移送ヘッド40が第3方向(Z方向)に昇降する。これにより、第2クランプ62は移送ヘッド40から分離される。
【0135】
その後、
図22および
図23を参照すると、移送ヘッド40は、発光素子LEが付着した転写部材20を回路基板10上に整列させ、移送ヘッド40から転写部材20を脱着させる(
図6の段階S180)。
【0136】
移送ヘッド40は、発光素子LEが付着した転写部材20を、回路基板10上の所望の位置まで移送した後、ヘッドチャック43の吸着を解除することによって転写部材20を移送ヘッド40から脱着させる。
【0137】
ここで、回路基板10は、
図4の薄膜トランジスタ層TFTLを含む基板SUBであり得る。
【0138】
回路基板10には、所定の厚さのフラックス24が塗布され得る。フラックス24は、レーザを用いる加圧溶融工程で、回路基板10と接合電極23との結合が容易になるようにする物質であり得る。フラックス24は、脂溶性または水溶性である天然または合成の松脂を含むことができる。フラックス24は、液状またはゲル状であり得る。加圧溶融工程が完了した後に、フラックス24は除去される。
【0139】
フラックス24は、好ましくは発光素子LEよりも薄い厚さで塗布されるが、発光素子LEなどの配置などにより、一部の領域でフラックス24の厚さが発光素子LEの高さと同一であるか、より厚くてもよい。
【0140】
図24ないし
図27を参照すると、転写部材20に付着した発光素子LEを、回路基板10上にボンディングした後に、転写部材20を除去することができる(
図6の段階S190)。
【0141】
回路基板10上に、ボンディング対象となる発光素子LEが配置され、回路基板10に接する発光素子LEの一面には、接合電極23が配置される。発光素子LEの他面には、転写部材20が配置され、回路基板10、発光素子LE、および転写部材20が、互いに重なる。転写部材20上に、レーザ透過部材8が配置される。
【0142】
レーザ透過部材8は、レーザを透過させる材質で実現することができる。レーザ透過部材8は、すべてのビーム透過性の材質で実現することができる。
【0143】
レーザ透過部材8は、例えばクォーツ(Quartz)、サファイア(sapphire)、溶融シリカガラス(Fused Silica Glass)またはダイヤモンドのうちのいずれか一つで実現することができる。しかし、クォーツ(Quarts)材質で実現されたレーザ透過部材8の物理的特性は、サファイア(sapphire)で実現されたレーザ透過部材8の物理的特性と異なる。例えば、980nm Laserを照射する場合、クォーツ(Quarts)材質で実現されたレーザ透過部材8の透過率は85%~99%であり、サファイア(sapphire)で実現されたレーザ透過部材8の透過率は80%~90%であり得る。クォーツ(quartz)材質で実現されるレーザ透過部材8の損傷を防止し、耐久性の向上のために、クォーツ(quartz)材質で実現されるレーザ透過部材8の底面に薄膜コート層を形成することができる。レーザ透過部材8の底面に形成される薄膜コート層は、通常の光学コーティングである、誘電体コーティングまたはSiCコーティングまたは金属物質コーティングで実現することができる。
【0144】
上部加圧部材5は、レーザ透過部材8と連結され得る。上部加圧部材5は、一方向に加圧することができる。例えば、上部加圧部材5は、第3方向(Z)の一方向に圧力を加えることができる。そのため、上部加圧部材5と連結されたレーザ透過部材8が、転写部材20を、第3方向(Z)の一方向に加圧することができる。
【0145】
レーザ透過部材8でもって転写部材20を加圧する状態で、接合電極23にレーザを照射することにより、レーザLSは、レーザ透過部材8および転写部材20を透過して接合電極23に照射されうる。そのため、レーザLSが、接合電極23の溶融温度にまで接合電極23に熱を加え、回路基板10と接合電極23とを加圧溶融接合することができる。ここで、加圧溶融接合は、レーザLSの照射により、接合電極23が熱を受けて溶融して、発光素子LEと、アノードパッド電極APDおよびカソードパッド電極CPDとが溶融混合されてから、レーザの供給が終了することにより、冷却されて固化した状態をいう。溶融混合された状態で冷却されて固化しても、発光素子LEと、アノードパッド電極APDおよびカソードパッド電極CPDとによる導電性は維持されるので、アノードパッド電極APDおよびカソードパッド電極CPDと、発光素子LEのそれぞれとを、電気的に接続して物理的に連結することができる。
【0146】
上部加圧部材5およびレーザ透過部材8は、図示していない制御部により動作を制御できる。例えば、制御部は圧力感知センサ(図面図示せず)と高さセンサ(図面図示せず)から入力されるデータを用いてレーザ透過部材8の動作を制御できる。制御部は、圧力感知センサからデータの入力を受けて、圧力が目標値に到達するように上部加圧部材5を制御し、また、高さセンサからデータの入力を受けて、高さの目標値に到達するように上部加圧部材5およびレーザ透過部材8を制御することができる。
【0147】
一実施形態で、発光素子LEの一端に配置された接合電極23にレーザを照射することで、回路基板10に溶融接合する、共晶ボンディングについて説明したが、これに限定するものではなく、発光素子LEと回路基板10との間にてソルダーボールを溶融させて接合する、ソルダボンディングや、発光素子LEと回路基板10との間に異方性導電フィルムを加熱して接合するACF(anisotropic conductive film bonding)ボンディングのように、従来より知られているボンディング方法のうちのいずれか一つを採択しても良い。
【0148】
その後、移送ヘッド40が、転写部材20を回路基板10から除去されうる。
【0149】
発光素子LEが、ボンディングされた回路基板10上に配置された転写部材20を、移送ヘッド40に合着(接着または粘着)し、発光素子LEと転写部材20との間の接着力よりも大きな引力でもって、移送ヘッド40から転写部材20を第3方向(Z軸方向)に引っ張る。これにより、発光素子LEがボンディングされた回路基板10から、転写部材20を脱着する。この際、発光素子LEと回路基板10との間の接着力が最も高く、転写部材20と移送ヘッド40との合着力がその次に高く、発光素子LEと転写部材20との付着力が最も低い。したがって、回路基板10、発光素子LE、転写部材20および移送ヘッド40が、第3方向(Z方向)に重なっている状態で、第3方向(Z方向)に力を加える場合、付着力が最も低い、発光素子LEと転写部材20とが互いに脱着されうる。
【0150】
次に、
図26を参照すると、発光素子LEがボンディングされた回路基板10上のフラックス24を、フラックス洗浄剤を用いて除去する。フラックス洗浄剤は、公知のフラックス洗浄剤(好ましくは、水系のフラックス洗浄剤)を使用することができる。例えば、フラックス洗浄剤は、Kao Corporation製のCLEANTHROUGH 750HS、CLEANTHROUGH 750K、Arakawa Chemical Industries,Ltd.製のPINE ALPHA ST-100Sなどが使用できるが、これに限定されるものではない。
【0151】
回路基板10を洗浄する際の洗浄条件は特に限られない。例えば、洗浄剤の温度は30~50℃で1~5分間(好ましくは40℃で2~4分間)、回路基板10を洗浄することが好ましい。
【0152】
発光素子LEは、接合電極23を介して、回路基板10のアノードパッド電極APDおよびカソードパッド電極CPDに接触し得る。
図4を参照して説明したように、発光素子LEの第1コンタクト電極CTE1は回路基板10のアノードパッド電極APDと接触し、発光素子LEの第2コンタクト電極CTE2は、カソードパッド電極CPDに接触し得る。
【0153】
一実施形態ではフリップチップ発光素子を例示したが、これに限定するものではなく、垂直型の発光素子を使用することもできる。
【0154】
一実施形態で説明したように、転写部材20の折曲部20-2に貼り付けられた(付着した)保護フィルム30を、反転部材90により除去した後に、折り曲げを行うことによって、折り曲げ中に保護フィルム30が剥がれたり、ずれたりする現象を防止することができる。
【0155】
また、転写部材は、ボンディング過程の後に除去されるので、回路基板に塗布されたフラックスが、レーザ透過部材に直接に接触することを防止して、レーザ透過部材の汚染を防止することができる。
【0156】
図28は、他の実施形態による発光素子の転写装置の構成を説明するための図である。
【0157】
図28を参照すると、一実施形態による発光素子の転写装置TDは、転写部材20、保護フィルム30、反転部材90、および移送ヘッド40を含み得る。
【0158】
図28の発光素子の転写装置TDは、反転部材90が
図5の折曲部材60の役割をする上下移動部96を含む点で、
図5の発光素子の転写装置TDとの差異がある。したがって、同じ構成要素に係る説明は省略し、差異点を中心に説明する。
【0159】
図28を参照すると、反転部材90は、ステージ91、回転軸92、および、ステージ91と回転軸92をつなぐ連結部93を含み得る。回転軸92を中心に、ステージ91を180度回転させることができる。
【0160】
また、ステージ91は、支持チャック95、上下移動部96、および、サイドチャック97を含み得る。ステージ91は、転写部材20を支持し、ステージ91は複数の穴91-h1,91-h2を有することができるのであって、複数の穴91-h1,91-h2内に、支持チャック95、および上下移動部96が埋め込まれて配置されうる。
【0161】
ステージ91の中央部に形成された第1穴91-h1に、支持チャック95が配置され、第1穴91-h1に隣り合って配置された第2穴91-h2に、上下移動部96が配置される。上下移動部96上にサイドチャック97が配置される。
【0162】
支持チャック95とサイドチャック97とは、静電チャック、粘着チャック、真空チャック、多孔性真空チャックのうちいずれか一つであり得る。ステージ91は、複数のチャックを用いて、保護フィルム30の一面を吸着させることができる。
【0163】
反転部材90は、一つ以上の転写部材20をピックアップして、上下左右を反転させる際、支持チャック95とサイドチャック97とにより、転写部材20を吸着することができる。上下移動部96は第2穴91-h2で上下に移動可能である。
【0164】
一例として、上下移動部96を上下移動させるための上下駆動部(図示せず)をさらに含み得る。上下駆動部は、ステージ91の一領域に備えられ、油圧シリンダとリンク部を含み得る。油圧シリンダは上下移動部96の駆動力を提供できる。油圧シリンダには油圧ポンプが連結され得る。油圧ポンプは、油圧ポンプを調節するための油圧ハンドルをさらに含み得る。油圧シリンダと油圧ポンプの位置に応じて、駆動力の方向を転換させるための追加部材をさらに含み得る。上下移動部96を上下に移動させるための構成は、一例であり、これに限定されるものではなく、従来より知られている他の方法を採択しても構わない。
【0165】
それぞれの構成要素については、それを用いた転写方法に係る説明と共に、以下の図面を参照して詳細に説明する。
【0166】
以下、
図29は、
図28の発光素子の転写装置を用いて行われる発光素子の転写方法を示す流れ図である。
【0167】
【0168】
先に、保護フィルムが貼り付けられた(付着した)転写部材のマザーガラスを、転写単位の大きさに切断し、保護フィルム上に切込み20hを形成する(
図29の段階S110)。
【0169】
次に、反転部材90を用いて、一つ以上の転写部材20をピックアップして、上下左右を反転させる(
図29の段階S120)。
【0170】
これにより、転写部材20は、反転部材90から保護フィルム30、スタンプ層220、及び、ベース層210が、この順に配置されうる。
【0171】
前述した
図29の段階S110およびS120は、
図6の段階S110ないし段階S120と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0172】
次に、
図30および
図31を参照すると、反転部材90が、折曲部20-2に付着した保護フィルム30を剥離して、折曲部20-2を折って、まくり上げる(
図29の段階S131)。
【0173】
転写部材20が反転部材90上に配置される場合、転写部20-1は、支持チャック95と重なり、上下移動部96と重ならない。折曲部20-2は、上下移動部96と重なり、支持チャック95と重ならない。折曲部20-2の保護フィルム30が、サイドチャック97により吸着され得る。
【0174】
上下移動部96の上下移動に伴って、上下移動部96上に配置されたサイドチャック97が、共に上下移動し得る。
【0175】
転写部材20の折曲部20-2は、上下移動部96上に重なって配置されるので、上下移動部96が第3方向(z方向)に上昇する場合、折曲部20-2は、上昇方向に力を受ける。
【0176】
上下移動部96が上昇して、折曲部20-2が上昇方向に力を受ける状態でも、サイドチャック97は吸着状態を維持するので、折曲部20-2に貼り付けられた(付着した)保護フィルム30は、サイドチャック97に吸着された状態を維持する。保護フィルム30とサイドチャック97との間の吸着力は、保護フィルム30とスタンプ層220との間の接着力よりも優れる。
【0177】
反面、転写部20-1は、支持チャック95の吸着力により固定される力を受ける。したがって、上下移動部96が第3方向(z方向)に上昇する場合、転写部材20の折曲部20-2は、切込み20hを軸として折り込まれて、まくり上げられることから、折曲部20-2のベース層210は、ヘッドチャック43の傾斜部43-2に接するようになる。これにより、転写部材20が、ヘッドチャック43の少なくとも3面を囲むようになる。反面、折曲部20-2の保護フィルム30は、サイドチャック97との吸着状態が維持され、保護フィルム30とサイドチャック97との間の吸着力が、保護フィルム30とスタンプ層220との間の接着力よりも優れるので、折曲部20-2が折り曲げられる場合、保護フィルム30は、折曲部20-2から剥離される。
【0178】
次に、
図32を参照すると、転写部材20の、折り曲げられた折曲部20-2を、第1クランプ42で固定する(
図29の段階S141)。
【0179】
第1クランプ42がヘッドチャック43の側に移動して、折り曲げられた折曲部20-2を、ヘッドチャック43の傾斜部43-2に密着させて加圧する。
【0180】
その後、
図33のように、転写部材20の転写部20-1の保護フィルム30を剥離する(
図29の段階S151)。
【0181】
支持チャック95が吸着機能を維持した状態で、移送ヘッド40は、第2クランプ62とともに上昇移動する。これにより、転写部20-1の保護フィルム30が、転写部材20のスタンプ層220から剥離される。
【0182】
転写部材20と保護フィルム30との間の接着力または粘着力よりも、支持チャック95が保護フィルム30を吸着する吸着力が、より優れる。また、転写部材20と保護フィルム30との間の接着力または粘着力よりも、移送ヘッド40のヘッドチャック43と、転写部材20との間の吸着力が、より優れる。したがって、保護フィルム30を、転写部材20から容易に除去することができる。
【0183】
図34を参照すると、移送ヘッド40がピックアップされた転写部材20を用いて、ドナー基板DSから発光素子LEをピックアップする(
図29の段階S161)。
【0184】
先に複数の発光素子LEが整列して配置されたドナー基板DSを準備する。ドナー基板DSには、粘着性のある物質が塗布され得る。粘着性のある物質によって、ドナー基板DSと複数の発光素子LEとは互いに粘着されうる。
【0185】
次に、移送ヘッド40がピックアップされた転写部材20をドナー基板DSに移送して、転写部材20の一面に発光素子LEを接着させる。転写部材20の転写部20-1のスタンプ層220に、発光素子LEが接着される。
【0186】
その後、移送ヘッド40を第3方向(Z方向)に上昇させて、ドナー基板DSから発光素子LEを分離させる。
【0187】
移送ヘッド40が第3方向(Z方向)にドナー基板DSと発光素子LEの間の粘着力(または接着力)よりも大きな引張力で引っ張らなければならない。この際、移送ヘッド40が、転写部材20を介してドナー基板DSから発光素子LEを脱着させるためには、移送ヘッド40と転写部材20との間の吸着力が、ドナー基板DSと発光素子LEとの間の粘着力よりも大きくなければならない。一実施形態による移送ヘッド40は、第1クランプ42を用いて、ヘッドチャック43と転写部材20とを互いに固定する。したがって、移送ヘッド40が第3方向(Z方向)に、ドナー基板DSと発光素子LEとの間の粘着力(または接着力)よりも大きな引張力を加えても、ヘッドチャック43と転写部材20とは互いに堅固に固定されうる。
【0188】
その後、
図22および
図23を参照すると、移送ヘッド40は、発光素子LEが付着した転写部材20を回路基板10上に整列させ、移送ヘッド40から転写部材20を脱着させる(
図29の段階S180)。
【0189】
図24ないし
図27を参照すると、転写部材20に付着した発光素子LEを回路基板10上にボンディングした後に、転写部材20を除去することができる(
図29の段階S190)。
【0190】
前述された
図29の段階S180およびS190は、
図6の段階S180ないし段階S190と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0191】
前述した実施形態では、支え部材Sta上に順次に積層された、ベース層210、スタンプ層220および保護フィルム30について、反転部材90により積層順序を反転させる方法について説明した。
【0192】
図35ないし
図40は、また他の実施形態による発光素子の転写装置の構成を説明するための図である。
【0193】
図35ないし
図40を参照すると、反転部材90の代わりに、複数の関節を有する多関節ロボット(Robot)が、支え部材Sta上に順次に積層されたベース層210、スタンプ層220および保護フィルム30について、その積層順序が逆順となるように反転させる。
【0194】
より具体的には多関節ロボット(Robot)は、多関節を有する本体R-10と、本体R-10の先端に構成されて支え部材Staに収容された転写部材20を持ち上げるための吸着部R-90とを含み得る。吸着部R-90は、転写部材20を合着する合着用第1チャックR-95と、折曲部20-2を吸着する第2チャックR-97とを含む。多関節ロボットの本体R-10は、公知の技術を適用できるので、詳細な説明は省略する。多関節ロボット(Robot)は、合着用第1チャックR-95を用いて、保護フィルム30の一面を吸着した状態で180度回転させて、保護フィルム30が付着した転写部材20の上下左右を反転させることができる。これにより、保護フィルム30が付着した転写部材20は、保護フィルム30が下部に位置し、保護フィルム30上に、転写部材20が、すなわちスタンプ層220とベース層210とが順に位置することができる。
【0195】
多関節ロボット(Robot)は、第1チャックR-95、第2チャックR-97および上下移動部R-96を用いて、転写部材20を折り曲げさせて、保護フィルム30を転写部材20から剥離させることができる。
【0196】
合着用第1チャックR-95、第2チャックR-97および上下移動部R-96を含む吸着部材R-90は、
図30ないし
図33を参照して説明した反転部材90と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0197】
多関節ロボット(Robot)は、ドナー基板DSの位置まで折り曲げられた転写部材20を移送することができる。他の変形例で、支え部材Staが多関節ロボット(Robot)に移動して、保護フィルム30が付着した転写部材20を吸着させることができる。その後、
図14ないし
図21と同じ過程が行われうる。
【0198】
以下、
図41ないし
図50を参照して、他の実施形態による発光素子の転写装置および方法について説明する。
【0199】
図41は、他の実施形態による発光素子の転写装置の構成を示す図である。
【0200】
図41を参照すると、一実施形態による発光素子の転写装置TDは、転写部材20、保護フィルム30、切削部材70、反転部材90、ロード部材80、および、移送ヘッド40を含み得る。
【0201】
図41の発光素子の転写装置TDは、切削部材70およびロード部材80をさらに含む点で、
図5の発光素子の転写装置TDとの差異がある。したがって、同じ構成要素に係る説明は省略し、差異点を中心に説明する。
【0202】
切削部材70は、転写部材のマザーガラスを転写単位の大きさに切断すると同時に、切込み20hを形成するための金型であって、転写単位の大きさに切断するための第1カッタ71と、切込み20hを形成するための第2カッタ72と、第3チャック73とを含み得る。第1カッタ71は、保護フィルム30が付着した転写部材20を通過する。反面、第2カッタ72は、第1カッタ71より短く形成されて、保護フィルム30または転写部材20の一部のみを切開する。第2カッタ72と第1カッタ71との間の距離d1により、折曲部20-2の長さが決まる。第3チャック73は、転写単位に切断された転写部材20を持ち上げて所望の位置に移動させ得る。
【0203】
ロード部材80は、支持チャック85、上下移動部86およびサイドチャック87を含み得る。ロード部材80は複数の溝80-h1,80-h2を含み、複数の溝内に支持チャック85、および上下移動部86が埋め込まれて配置されることができる。
【0204】
ロード部材80の中央部に形成された第1穴80-h1に支持チャック85が配置され、第1穴80-h1に隣り合って配置された第2穴80-h2に上下移動部86が配置される。上下移動部86上にサイドチャック87が配置される。
【0205】
支持チャック85とサイドチャック87とは、静電チャック、粘着チャック、真空チャック、及び、多孔性真空チャックのうちのいずれか一つであり得る。ロード部材80は、複数のチャックを用いて保護フィルム30の一面を吸着させ得る。
【0206】
一実施形態で、上下移動部86を上下移動させるための上下駆動部(図示せず)をさらに含み得る。上下駆動部は、ロード部材80の一領域に備えられ、油圧シリンダとリンク部を含み得る。油圧シリンダは、上下移動部86の駆動力を提供できる。油圧シリンダには、油圧ポンプが連結され得る。油圧ポンプは、油圧ポンプを調節するための油圧ハンドルをさらに含み得る。油圧シリンダと油圧ポンプの位置に応じて、駆動力の方向を転換させるための追加部材をさらに含み得る。上下移動部86を上下に移動させるための構成は一例であり、これに限定されるものではなく、従来より知られている他の方法を採択しても構わない。
【0207】
それぞれの構成要素については、それを用いた転写方法に係る説明と共に、以下の図面を参照して詳細に説明する。
【0208】
図42は、
図41の発光素子の転写装置の動作を説明するための流れ図であり、
図43ないし
図50は、発光素子の転写装置の動作を説明するための図である。
【0209】
先に、
図43を参照すると、保護フィルムが貼り付けられ(付着し)た転写部材のマザーガラスを、転写単位の大きさに切断し、保護フィルム上に切込み20hを形成する(
図42の段階S112)。
【0210】
保護フィルムのマザーガラス30-Bが貼り付けられ(付着し)た、転写部材のマザーガラス20-Bは、支え部材Staからベース層210、スタンプ層220および保護フィルム30-Bが順次積層されて配置される。ベース層210は、一面が支え部材Sta上に接触し、他面がスタンプ層220に接触するのであり、スタンプ層220は、一面がベース層210と接触し、他面が保護フィルム30-Bと接触する。
【0211】
支え部材Sta上に配置された保護フィルムのマザーガラス30-Bが付着した転写部材のマザーガラス20-Bは切削部材70により転写単位の大きさに切断されると同時に保護フィルム30上に切込み20hを形成する。切込み20hは保護フィルム30からベース層210方向に形成される。そして、切込み20hは少なくとも保護フィルム30の厚さと同一であるかより深い深さを有する。切込み20hは少なくとも保護フィルム30を貫通するように形成され、転写部材20の一部に形成できるが、転写部材20全体を貫通するように形成されない。
【0212】
次に、反転部材90を用いて一つ以上の転写部材20をピックアップして上下左右を反転させる(
図42の段階S122)。
【0213】
切削部材70は、転写単位にカットされた転写部材20を、第3チャック73を用いて反転部材90の一面に配置させる。転写部材20は、反転部材90からベース層210、スタンプ層220、及び、保護フィルム30が、この順に配置されうる。
【0214】
反転部材90が、転写部材20の一面を吸着した状態で、180度回転して、保護フィルム30が付着した転写部材20を上下左右反転させることができる。その後、ロード部材80の一面に、転写部材20を配置させる。
【0215】
これにより、転写部材20は、ロード部材80から、保護フィルム30、スタンプ層220、ベース層210が、この順に配置されうる。
【0216】
ロード部材80の支持チャック85に転写部20-1が配置され、サイドチャック87に折曲部20-2が配置されうる。
【0217】
次に、
図47および
図48のように、ロード部材80が折曲部20-2に付着した保護フィルム30を剥離させて、折曲部20-2を折り込んで、まくり上げる(
図42の段階S132)。
【0218】
転写部材20がロード部材80上に配置される場合、転写部20-1は、支持チャック85と重なり、上下移動部86と重ならない。折曲部20-2は、上下移動部86と重なり、支持チャック85と重ならない。折曲部20-2の保護フィルム30が、サイドチャック87により吸着され得る。
【0219】
上下移動部86の上下移動に伴って、上下移動部86上に配置されたサイドチャック87が、共に上下移動し得る。
【0220】
転写部材20の折曲部20-2は、上下移動部86上に重なって配置されるので、上下移動部86が第3方向(z方向)に上昇する場合、折曲部20-2は上昇方向に力を受ける。
【0221】
上下移動部86が上昇して折曲部20-2が上昇方向に力を受ける状態でも、サイドチャック87は吸着状態を維持するので、折曲部20-2に付着した保護フィルム30は、サイドチャック87に吸着した状態を維持する。保護フィルム30とサイドチャック87の間の吸着力は、保護フィルム30とスタンプ層220との間の接着力よりも優れる。
【0222】
反面、転写部20-1は、支持チャック85の吸着力によって固定される力を受ける。したがって、上下移動部86が第3方向(z方向)に上昇する場合、転写部材20の折曲部20-2は、切込み20hを軸として折り込まれて、まくり上がって、折曲部20-2のベース層210は、ヘッドチャック43の傾斜部43-2に接するようになる。これにより、転写部材20がヘッドチャック43の少なくとも3面を囲むようになる。反面、折曲部20-2の保護フィルム30は、サイドチャック87との吸着状態が維持され、保護フィルム30とサイドチャック87との間の吸着力が、保護フィルム30とスタンプ層220との間の接着力よりも優れるので、折曲部20-2が折り曲げられる場合、保護フィルム30は折曲部20-2から剥離される。
【0223】
次に、
図49を参照すると、転写部材20の折り曲げられた折曲部20-2を第1クランプ42で固定する(
図42の段階S142)。
【0224】
第1クランプ42が、ヘッドチャック43側に移動して、折り曲げられた折曲部20-2を、ヘッドチャック43の傾斜部43-2に密着させて加圧する。
【0225】
その後、
図50のように、転写部材20の転写部20-1の保護フィルム30を剥離する(
図42の段階S152)。
【0226】
図42の段階S152は、
図33を参照して説明した、
図29の段階S151の説明と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0227】
図34を参照すると、移送ヘッド40がピックアップされた転写部材20を用いて、ドナー基板DSから発光素子LEをピックアップする(
図42の段階S161)。
【0228】
その後、
図22および
図23を参照すると、移送ヘッド40は、発光素子LEが付着した転写部材20を回路基板10上に整列させ、移送ヘッド40から転写部材20を脱着させる(
図42の段階S180)。
【0229】
図24ないし
図27を参照すると、転写部材20に付着した発光素子LEを、回路基板10上にボンディングした後に、転写部材20を除去することができる(
図42の段階S190)。
【0230】
前述した
図42の段階S161、段階S180およびS190は、
図29の段階S161、段階S180ないし段階S190と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0231】
前述した実施形態で説明した通り、保護フィルムが上に向くように、逆方向に配置してカットすることによって、汚染物がベース層の上部に残る転写工程の不良の問題を解決することができる。
【0232】
また、転写部材を、移送ヘッドのヘッドチャック側に折り込んで用いることによって、ヘッドチャックがフラックスなどにより汚染されることを防止することができる。
【0233】
転写部材の折曲部に付着した保護フィルムを除去した後、折り曲げを行うことによって、折り曲げ中に保護フィルムが剥がれたりずれたりする現象を防止することができる。
【0234】
クランプを用いて転写部材を固定することによって、発光素子をピックアップする際の転写部材とチャックとの間の脱着を防止することができる。究極的には、転写工程の進行中に発生する転写工程の不良問題を最小化して、生産収率が向上することができる。
【0235】
以上、添付する図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造されうるのであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せずに、他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、上記一実施形態は、すべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【0236】
好ましい一実施形態によると、下記のとおりである。
【0237】
本件の背景は下記(i)~(v)のとおりである。
【0238】
(i) 有機発光表示装置(OLED)やマクロLEDアレイなどの表示パネルを製造するにあたり、転写方式が検討されている。
【0239】
(ii) 特には、サブ画素ごとの積層体を形成したものを転写フィルム上に備えておき、表示パネルの基板(特にはフレキシブル基板)上に、画素回路及び接続電極(特には画素電極及び共通電極)を形成しておき、サブ画素ごとの積層体を、表示パネルの基板上に転写するといったことが検討されている。(特許文献1)
【0240】
(iii) この際、一つのパッチ状の転写フィルムに、複数のサブ画素の積層体が配列され、このパッチ状の転写フィルムから、表示パネルの基板上に転写することが提案されている。
【0241】
(iv) この転写のためには、パッチ状の転写フィルムを吸着する移送ヘッドを用いることができる。
【0242】
(v) また、転写フィルムには、一面に、保護フィルムが予め貼り付けられており、サブ画素の積層体が付着する前に剥がされる。
【0243】
このような中で、本件発明者らは、従来の方法であると、下記(a1)~(a2)のような問題点が生じ得ることを見出した。
【0244】
(a1) 移送ヘッドでもって、転写フィルムのパッチが、外れたり、ずれたりするおそれがある。
(a2) また、転写フィルムのパッチなどに、汚染が生じるおそれがある。
【0245】
そして、このような課題を解決すべく、具体的な実施形態において、下記A1~A4のように行う。また、好ましくは、下記A5~A9の少なくともいずれかのように行う。
【0246】
A1 移送ヘッド(40)のヘッドチャック(43)は、側面が下方の先端に向かってテーパー状をなし、この側面部も、チャック作用を行う。
【0247】
A2 転写フィルムのパッチが、ヘッドチャック(43)を包み込むように、パッチの周縁部が折り曲げられて、ヘッドチャック(43)の側面部に密着してチャッキングされるようにする。
【0248】
A3 転写フィルムのパッチが、ヘッドチャック(43)の稜線部で折り曲げられるのに備えて、この箇所にて、保護フィルムなどに、予め、切込み(slit or incision)を設けておく。
【0249】
A4 特には、ヘッドチャック(43)の下面部によって、転写フィルムのパッチがチャッキングされる前に、転写フィルムのパッチ、または大判または連続状の転写フィルムに、切込み(slit or incision)を設けておく。
【0250】
A5 特に好ましくは、転写フィルムを搭載したステージ(91)から、ヘッドチャック(43)によりピックアップされる際に、ヘッドチャック(43)の側面部に密着される部分の保護フィルムが、ステージ(91)上に残留するようにする。すなわち、ヘッドチャック(43)の下面部に吸着される箇所でのみ、保護フィルムが転写フィルムのパッチに付着されているようにする。(
図5)
【0251】
A6 パッチの周縁部が折り込まれてヘッドチャック(43)の側面部に密着されるようにするためには、ヘッドチャック(43)の側方にあって、横方向に駆動可能な第1クランプ(42)、及び、下方からあてがわれて、第1クランプ(42)と、ヘッドチャック(43)の側面との間に進入可能な第2クランプ(42)とを用いることができる。
【0252】
A7 転写フィルムのパッチの周縁部が、ヘッドチャック(43)の側面部に密着されてチャッキングされてから、ヘッドチャック(43)の下面部の箇所で、転写フィルムのパッチから、保護フィルム(30)を剥がす。(
図18)
そして、この後に、サブ画素ごとの積層体(発光素子LE)を、ヘッドチャック(43)の下面部の箇所で、転写フィルムのパッチに付着させる。(
図19)。
【0253】
A8 上記A5のためには、ステージ(91)における、転写フィルムのパッチごとの吸着部について、パッチの周縁部をチャッキングするチャック部(サイドチャック97)と、パッチの内側部をチャッキングするチャック部(支持チャック95)とが備えられうる。
【0254】
A9 上記A6のためには、第2クランプ(42)が、第2クランプ(42)を受け入れる穴、及び、これより径の小さい貫通孔を有する部材(クランプ固定部63)を用いることができる。
【符号の説明】
【0255】
100 表示パネル
10 回路基板
20 転写部材
20-1 転写部
20-2 折曲部
20h;切込み
30 保護フィルム
23 接合電極
24 フラックス
LE 発光素子
40 移送ヘッド
70 切削部材
80 ロード部材
90 反転部材