(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159652
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】遊技テーブルシステム及びシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 3/00 20060101AFI20241031BHJP
A63F 11/00 20060101ALI20241031BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20241031BHJP
G06K 19/04 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A63F3/00 515Z
A63F11/00 A
G06K7/10 264
G06K7/10 240
G06K19/04 070
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024071476
(22)【出願日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2023075292
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
(57)【要約】
【課題】 RFIDタグの読取り及び画像認識を用い、両者の利点を有効活用して遊技テーブル上のゲーミングチップを読み取るための遊技テーブルシステムを提供する。
【解決手段】 遊技テーブルシステム100は、遊技テーブル10に置かれたチップスタックを撮影して画像を生成するカメラ40と、画像を分析することで、チップスタックの位置及びゲーミングチップ70の種類及び枚数を認識する画像認識部81と、ゲーミングチップ70のRFIDタグを読み取るための複数のアンテナANT1~ANT9と、複数のアンテナANT1~ANT9のそれぞれによるRFIDタグ72の読取結果と、画像認識部81によるチップスタックの認識結果とを対応付けるチップ判定部82とを備えている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグを内蔵したゲーミングチップを遊技テーブル上で読み取る遊技テーブルシステムであって、
前記遊技テーブル上には、互いに近接又は接するように配置された複数のベット対象エリアを含むベットエリアが配置されており、
前記遊技テーブルシステムは、
前記遊技テーブルの複数の個所に設けられ、読取範囲内の前記ゲーミングチップの前記RFIDタグを読み取るための複数のアンテナを含む読取手段と、ここで、前記複数のアンテナのうちの互いに隣り合うアンテナの読取範囲は、互いにオーバラップしており、それによって前記複数のアンテナの読取範囲は前記複数のベット対象エリアをカバーしており、
前記遊技テーブルの互いに近接又は接するように配置された前記複数のベット対象エリアを含む前記ベットエリアを撮影することで、前記ベットエリアに置かれた1又は複数のゲーミングチップからなるチップスタックを含む画像を生成する撮像手段と、
前記画像を分析することで、前記チップスタックの前記遊技テーブル上の位置及び前記チップスタックを構成する前記ゲーミングチップの種類及び枚数を認識する画像認識手段と、
前記読取手段の前記複数のアンテナのそれぞれによる前記RFIDタグの読取結果に基づいて、前記ゲーミングチップが置かれている前記ベットエリア内の前記複数のアンテナのうちのどのアンテナの読取範囲に対応する領域であって、当該対応するアンテナの読取範囲内のどのあたりの領域に置かれているかを推定可能であり、前記推定の結果と、前記画像認識手段による前記チップスタックの認識結果とに基づいて、前記画像認識手段により認識された前記チップスタックと前記読取手段による前記RFIDタグの読取結果とを対応付けるチップ判定手段と、
を備えた遊技テーブルシステム。
【請求項2】
互いに隣り合う前記アンテナの読取範囲が互いにオーバラップしていることに起因して、前記ベットエリアは、そこに置かれた前記ゲーミングチップのRFIDタグが複数のアンテナによって読み取られる一又は複数の領域を含み、
前記チップ判定手段は、前記複数のアンテナの読取結果の組合せに基づいて、前記複数のアンテナの読取範囲より小さい領域を、前記ゲーミングチップが置かれている領域として推定する、請求項1に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項3】
前記読取手段は、前記複数のアンテナを用いて繰り返し読取りを行い、
前記撮像手段は、繰り返し撮影を行って連続する画像を生成し、
前記チップ判定手段は、前記ベットエリアに新たに前記チップスタックが置かれたタイミングの前記読取結果と前記認識結果とに基づいて、前記画像認識手段により認識された前記チップスタックと前記読取手段による前記RFIDタグの読取結果とを対応付ける、請求項1に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項4】
前記読取手段は、前記複数のアンテナを用いて繰り返し読取りを行い、
前記チップ判定手段は、同一のアンテナによって同じタイミングで前記RFIDタグが読み取られた複数の前記ゲーミングチップを1つのチップスタックとして認識し、同一の前記アンテナによって別のタイミングで前記RFIDタグが読み取られた複数のゲーミングチップを前記1つのチップスタックとは別のチップスタックとして認識する、請求項1に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項5】
前記読取手段による前記ゲーミングチップの前記RFIDタグの読取結果に基づいて、当該ゲーミングチップの所持者を特定する所持者特定手段をさらに備え、
前記チップ判定手段は、推定された同じ領域に置かれている複数の前記ゲーミングチップのうちの、前記所持者特定手段により同一の所持者により所持されていると特定された複数の前記ゲーミングチップを1つのチップスタックとして認識する、請求項1に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項6】
前記ゲーミングチップに内蔵された前記RFIDタグに記憶された内容は、当該ゲーミングチップをユニークに特定するためのチップ識別情報を含み、
前記チップ判定手段は、前記チップスタックに含まれる前記ゲーミングチップのチップ識別情報を前記画像認識手段により認識された前記チップスタックと対応付ける、請求項1に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項7】
前記ゲーミングチップを用いたゲームの結果、ゲームに勝った前記ゲーミングチップに対してディーラから支払われるゲーミングチップの所持者情報を、当該ゲームに勝ったゲーミングチップの所持者情報に書き換える所持者更新手段をさらに備えた、請求項5に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項8】
前記ベットエリアに置かれた1又は複数のゲーミングチップからなるチップスタックは、ゲームに対してベットされたチップスタックであり、
前記チップ判定手段は、前記ベットされたチップスタックについて、前記画像認識手段により認識された前記チップスタックと前記読取手段による前記RFIDタグの読取結果とを対応付ける、請求項1に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項9】
前記ベットエリアに置かれた1又は複数のゲーミングチップからなるチップスタックは、ゲームにベットされ、かつ、前記ゲームに勝ったチップスタックに対してディーラから支払われたチップスタックであり、
前記チップ判定手段は、前記支払われたチップスタックについて、前記画像認識手段により認識された前記チップスタックと前記読取手段による前記RFIDタグの読取結果とを対応付ける、請求項1に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項10】
前記複数のアンテナの読取範囲は前記遊技テーブル上の前記ベットエリアの全体をカバーしている、請求項1に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項11】
前記チップ判定手段は、前記RFIDタグの読取結果に基づいて置かれている領域が推定された前記ゲーミングチップの枚数が、前記画像認識手段により当該領域内に置かれていると認識された前記ゲーミングチップの枚数より少ない場合に、当該領域内において、当該チップスタックに前記RFIDタグに不正がある不正ゲーミングチップが含まれると判定する、請求項1に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項12】
前記チップ判定手段は、前記RFIDタグの読取結果に基づいて置かれている領域が推定された前記ゲーミングチップの枚数が、前記画像認識手段により当該領域内に置かれていると認識された前記ゲーミングチップの枚数より多い場合に、当該領域内に、前記撮像手段の死角にあって前記画像認識手段で認識されないゲーミングチップが含まれると判定する、請求項1に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項13】
前記ゲーミングチップに内蔵された前記RFIDタグには、当該ゲーミングチップの種類を特定するための種類特定情報が記憶され、
前記チップ判定手段は、前記画像認識手段により認識された前記チップスタックについて、前記RFIDタグの読取結果が示す前記ゲーミングチップの種類及び枚数が前記画像認識手段により認識された前記チップスタックの前記ゲーミングチップの種類及び枚数と異なる場合に、当該チップスタックに不正ゲーミングチップが含まれると判定する、請求項1に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項14】
前記ゲーミングチップに内蔵された前記RFIDタグには、当該ゲーミングチップの種類を特定するための種類特定情報が記憶され、
前記チップ判定手段は、さらに、前記RFIDタグの読取結果が示す前記ゲーミングチップの種類及び枚数と、前記画像認識手段により認識された前記ゲーミングチップの種類及び枚数とに基づいて、前記画像認識手段により認識された前記チップスタックのうちの前記不正ゲーミングチップが含まれる前記チップスタックを特定する、請求項11に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項15】
前記チップ判定手段は、前記不正ゲーミングチップを含む前記チップスタックを1つに特定できない場合に、不正ゲーミングチップが含まれる可能性が所定の基準値以上である複数のチップスタックを、不正ゲーミングチップが含まれるチップスタックと判定する、請求項11又は12に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項16】
前記ゲーミングチップに内蔵された前記RFIDタグには、当該ゲーミングチップの種類を特定するための種類特定情報が記憶され、
前記ゲーミングチップの種類は当該ゲーミングチップの額に対応しており、
前記チップ判定手段は、前記種類特定情報に基づいて前記チップスタックの額を判定する、請求項1に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項17】
前記遊技テーブルでゲームをプレイするプレイヤを特定するプレイヤ特定手段をさらに備え、
前記チップ判定手段は、さらに、前記画像認識手段により認識された前記チップスタックに対応するプレイヤを特定する、請求項1に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項18】
前記ゲーミングチップに内蔵された前記RFIDタグには、当該ゲーミングチップをユニークに特定するためのチップ識別情報が記憶され、
前記ベットエリアは複数のプレイヤごとに設けられたベットエリアを含み、
前記チップ識別情報とプレイヤを識別するためのプレイヤ識別情報とを関連付けて記憶したデータベースと、
前記複数のプレイヤポジションでプレイするプレイヤの前記プレイヤ識別情報を特定するプレイヤ特定手段と、
前記プレイヤ特定手段で特定された前記プレイヤ識別情報が、前記データベースにおいて、当該プレイヤがプレイする前記プレイヤポジションにあると特定された前記ゲーミングチップの前記チップ識別情報と関連付けられていない場合にアラートを出力するアラート手段と、
をさらに備えた、請求項1に記載の遊技テーブルシステム。
【請求項19】
RFIDタグを内蔵した物品を所定の場所で読み取るシステムであって、
前記所定の場所には、互いに近接又は接するように配置された複数の区分エリアが配置されており、
前記システムは、
前記所定の場所の複数の個所に設けられ、読取範囲内の前記物品の前記RFIDタグを読み取るための複数のアンテナを含む読取手段と、ここで、前記複数のアンテナのうちの互いに隣り合うアンテナの読取範囲は、互いにオーバラップしており、それによって前記複数のアンテナの読取範囲は前記複数の区分エリアをカバーしており、
前記所定の場所の互いに近接又は接するように配置された前記複数の区分エリアを撮影することで、前記所定の場所に置かれた1又は複数の物品からなる物品群を含む画像を生成する撮像手段と、
前記画像を分析することで、前記物品群の前記所定の場所における位置及び前記物品群を構成する前記物品の種類及び個数を認識する画像認識手段と、
前記読取手段の前記複数のアンテナのそれぞれによる前記RFIDタグの読取結果に基づいて、前記物品が置かれている前記所定の場所における前記複数のアンテナのうちのどのアンテナの読取範囲に対応する領域であって、当該対応するアンテナの読取範囲内のどのあたりの領域に置かれているかを推定可能であり、前記推定の結果と、前記画像認識手段による前記物品群の認識結果とに基づいて、前記画像認識手段により認識された前記物品群と前記読取手段による前記RFIDタグの読取結果とを対応付ける判定手段と、
を備えたシステム。
【請求項20】
RFIDタグを内蔵したゲーミングチップを遊技テーブル上で読み取る遊技テーブルシステムであって、
前記遊技テーブル上には、互いに近接又は接するように配置された複数のベット対象エリアを含むベットエリアが配置されており、
前記遊技テーブルシステムは、
前記遊技テーブルの複数の個所に設けられ、読取範囲内の前記ゲーミングチップの前記RFIDタグを読み取るための複数のアンテナを含む読取手段と、
前記読取手段の前記複数のアンテナのそれぞれによる前記RFIDタグの読取結果に基づいて、前記ゲーミングチップが置かれている位置を推定するチップ判定手段と、
を備え、
前記読取手段の前記複数のアンテナのうちの互いに隣り合うアンテナの読取範囲は、互いにオーバラップしており、それによって前記複数のアンテナの読取範囲は前記遊技テーブル上の前記ベットエリアの前記複数のベット対象エリアをカバーしており、
前記チップ判定手段は、前記複数のアンテナの読取結果の組合せに基づいて、前記複数のアンテナの読取範囲より小さい解像度で、前記ゲーミングチップが置かれている領域を推定する、遊技テーブルシステム。
【請求項21】
RFIDタグを内蔵したゲーミングチップを遊技テーブル上で読み取る遊技テーブルシステムであって、
前記遊技テーブル上には、互いに近接又は接するように配置された複数のベット対象エリアを含むベットエリアが配置されており、
前記遊技テーブルシステムは、
前記遊技テーブルの複数の個所に設けられ、読取範囲内の前記ゲーミングチップの前記RFIDタグを読み取るための複数のアンテナを含む読取手段と、
前記読取手段の前記複数のアンテナのそれぞれによる前記RFIDタグの読取結果に基づいて、前記ゲーミングチップが置かれている位置を推定するチップ判定手段と、
を備え、
前記読取手段は、前記複数のアンテナを用いて繰り返し読取を行い、
前記チップ判定手段は、同一の前記アンテナによって同じタイミングで前記RFIDタグが読み取られた複数の前記ゲーミングチップを1つのグループをなすゲーミングチップとして認識し、同一の前記アンテナによって別のタイミングで前記RFIDタグが読み取られた複数のゲーミングチップを前記1つのグループとは別のグループのゲーミングチップとして認識する、遊技テーブルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグを内蔵したゲーミングチップを遊技テーブル上で読み取る遊技テーブルシステム及びRFIDタグを内蔵した物品を所定の場所で読み取るシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゲーミングチップを用いたゲームが行われる遊技テーブル上において、ゲームに用いられるゲーミングチップを撮影して画像を生成し、画像に対して画像認識処理を行うことで、ゲームに用いられているゲーミングチップを読み取るカメラシステムが知られている。ゲーミングチップは、その外観からその種類(価値)を特定可能であるため、画像認識処理によって、ゲームに用いられているゲーミングチップの種類を特定することができる。また、遊技テーブルには、ゲームのルールに基づく各種のエリアが定義されており、画像認識処理によって、ゲーミングチップがどのエリアに置かれているかも認識できる。
【0003】
遊技テーブルに定義されたエリアには、例えば、プレイヤがゲームにベットするゲーミングチップを置くためのベットエリアが含まれる。カメラシステムは、ベットエリアにベットされたゲーミングチップ(ベットチップ)、特にベットエリアに複数のゲーミングチップが積み上げられて形成されるチップスタック(ベットチップスタック)を認識することで、どのベットエリアにいくらのゲーミングチップがベットされているかを把握することができる。
【0004】
一方で、ゲーミングチップにRFIDタグを内蔵させ、RFIDタグにゲーミングチップの種類(価値)、チップ識別情報等を記憶させるとともに、遊技テーブルにゲーミングチップ内のRFIDタグと無線通信を行うためのアンテナと、アンテナを用いてRFIDタグに記憶された情報を読み出すためのリーダとを設けることで、遊技テーブル上に置かれたゲーミングチップを認識するRFIDシステムも知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カメラシステムでは、画像からどの種類のゲーミングチップがどのエリア(位置)に何枚置かれているのかを読み取ることができるが、各ゲーミングチップについてのそれ以上の詳細な情報を読み取ることは困難である。例えば、ゲーミングチップの外周側面にチップ識別情報を表記して、これをカメラで読み取ることも考えられるが、そのようなチップ識別情報の表記は、小さな表記とならざるを得ず、正確な読取りは容易でない。
【0006】
一方、RFIDシステムは、RFIDタグを読み取ることで各ゲーミングチップの情報を読み取るので、このRFIDタグに様々な情報を記憶させておくことで、ゲーミングチップに関する詳細な情報を取得できる。しかしながら、RFIDシステムでは、電磁波を利用してRFIDタグの読取りを行うことから、エリアごとに設けられた複数のアンテナで読み分けを行おうとしても、各アンテナの読取範囲を厳密に設定することは困難であり、あるエリアを読み取るためのアンテナが隣のエリアのゲーミングチップのRFIDタグも読んでしまうこともあり、各アンテナでRFIDタグを読み取ったゲーミングチップがどのエリアにあるのかを正確に認識することは容易でない。
【0007】
また、RFIDシステムでは、RFIDタグが壊れた、あるいは、RFIDタグを有しないゲーミングチップがあったとしても、そのようなRFID不正のゲーミングチップを検知することはできない。
【0008】
そこで、本願発明は、カメラシステムを補助するためにゲーミングチップに内蔵されたRFIDタグを用い、両者の利点を有効活用して、遊技テーブル上のゲーミングチップを読み取るための遊技テーブルシステムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の遊技テーブルシステムは、RFIDタグを内蔵したゲーミングチップを遊技テーブル上で読み取る遊技テーブルシステムである。ここで、前記遊技テーブル上には、互いに近接又は接するように配置された複数のベット対象エリアを含むベットエリアが配置されている。前記遊技テーブルシステムは、前記遊技テーブルの複数の個所に設けられ、読取範囲内の前記ゲーミングチップの前記RFIDタグを読み取るための複数のアンテナを含む読取手段と、ここで、前記複数のアンテナのうちの互いに隣り合うアンテナの読取範囲は、互いにオーバラップしており、それによって前記複数のアンテナの読取範囲は前記複数のベット対象エリアをカバーしており、前記遊技テーブルの互いに近接又は接するように配置された前記複数のベット対象エリアを含む前記ベットエリアを撮影することで、前記ベットエリアに置かれた1又は複数のゲーミングチップからなるチップスタックを含む画像を生成する撮像手段と、前記画像を分析することで、前記チップスタックの前記遊技テーブル上の位置及び前記チップスタックを構成する前記ゲーミングチップの種類及び枚数を認識する画像認識手段と、前記読取手段の前記複数のアンテナのそれぞれによる前記RFIDタグの読取結果に基づいて、前記ゲーミングチップが置かれている前記ベットエリア内の前記複数のアンテナのうちのどのアンテナの読取範囲に対応する領域であって、当該対応するアンテナの読取範囲内のどのあたりの領域に置かれているかを推定可能であり、前記推定の結果と、前記画像認識手段による前記チップスタックの認識結果とに基づいて、前記画像認識手段により認識された前記チップスタックと前記読取手段による前記RFIDタグの読取結果とを対応付けるチップ判定手段とを備えた構成を有している。
【0010】
この構成により、画像認識により認識されたチップスタックと当該チップスタックのゲーミングチップに内蔵されたRFIDタグの読取結果とを対応付けることができる。
【0011】
上記の遊技テーブルシステムにおいて、互いに隣り合う前記アンテナの読取範囲が互いにオーバラップしていることに起因して、前記ベットエリアは、そこに置かれた前記ゲーミングチップのRFIDタグが複数のアンテナによって読み取られる一又は複数の領域を含んでいてよく、前記チップ判定手段は、前記複数のアンテナの読取結果の組合せに基づいて、前記複数のアンテナの読取範囲より小さい領域を、前記ゲーミングチップが置かれている領域として推定してよい。
【0012】
この構成により、アンテナの読取範囲より小さい領域を、ゲーミングチップが置かれている領域として推定できる。
【0013】
上記の遊技テーブルシステムにおいて、前記読取手段は、前記複数のアンテナを用いて繰り返し読取りを行ってよく、前記撮像手段は、繰り返し撮影を行って連続する画像を生成してよく、前記チップ判定手段は、前記ベットエリアに新たに前記スタックが置かれたタイミングの前記読取結果と前記認識結果とに基づいて、前記画像認識手段により認識された前記チップスタックと前記読取手段による前記RFIDタグの読取結果とを対応付けてよい。
【0014】
この構成により、チップスタックのベット段階において、画像認識手段により認識されたチップスタックと読取手段によるRFIDタグの読取結果との対応付けを繰り返し行うことができる。
【0015】
上記の遊技テーブルシステムにおいて、前記読取手段は、前記複数のアンテナを用いて繰り返し読取りを行ってよく、前記チップ判定手段は、同一のアンテナによって同じタイミングで前記RFIDタグが読み取られた複数の前記ゲーミングチップを1つのチップスタックとして認識し、同一の前記アンテナによって別のタイミングで前記RFIDタグが読み取られた複数のゲーミングチップを前記1つのチップスタックとは別のチップスタックとして認識してよい。
【0016】
この構成により、読取手段による読取りのタイミングに基づいて、チップスタックごとの読み分けを行うことができる。
【0017】
上記の遊技テーブルシステムは、前記読取手段による前記ゲーミングチップの前記RFIDタグの読取結果に基づいて、当該ゲーミングチップの所持者を特定する所持者特定手段をさらに備えていてよく、前記チップ判定手段は、推定された同じ領域に置かれている複数の前記ゲーミングチップのうちの、前記所持者特定手段により同一の所持者により所持されていると特定された複数の前記ゲーミングチップを1つのチップスタックとして認識してよい。
【0018】
この構成により、RFIDタグの読取りに基づく所持者の特定によってチップスタックを認識できる。
【0019】
上記の遊技テーブルシステムにおいて、前記ゲーミングチップに内蔵された前記RFIDタグに記憶された内容は、当該ゲーミングチップをユニークに特定するためのチップ識別情報を含んでよく、前記チップ判定手段は、前記チップスタックに含まれる前記ゲーミングチップのチップ識別情報を前記画像認識手段により認識された前記チップスタックと対応付けてよい。
【0020】
この構成により、RFIDタグから読み取ったチップ識別情報と、画像認識によって認識されたチップスタックとを関連付けることができる。
【0021】
前記所持者特定手段を備える上記の遊技テーブルシステムは、前記ゲーミングチップを用いたゲームの結果、ゲームに勝った前記ゲーミングチップに対してディーラから支払われるゲーミングチップの所持者情報を、当該ゲームに勝ったゲーミングチップの所持者情報に書き換える所持者更新手段をさらに備えてよい。
【0022】
この構成により、ディーラから支払いされたゲーミングチップの所持者情報を、ベットチップの所持者情報に書き換えることができる。
【0023】
上記の遊技テーブルシステムにおいて、前記ベットエリアに置かれた1又は複数のゲーミングチップからなるチップスタックは、ゲームに対してベットされたチップスタックであってよい。前記チップ判定手段は、前記ベットされたチップスタックについて、前記画像認識手段により認識された前記チップスタックと前記読取手段による前記RFIDタグの読取結果とを対応付けてよい。
【0024】
この構成により、ベットされたチップスタックについて、画像認識結果とRFIDタグの読取結果とを対応付けることができる。
【0025】
上記の遊技テーブルシステムにおいて、前記ベットエリアに置かれた1又は複数のゲーミングチップからなるチップスタックは、ゲームにベットされ、かつ、前記ゲームに勝ったチップスタックに対してディーラから支払われたチップスタックであってよい。前記チップ判定手段は、前記支払われたチップスタックについて、前記画像認識手段により認識された前記チップスタックと前記読取手段による前記RFIDタグの読取結果とを対応付けてよい。
【0026】
この構成により、支払われたチップスタックについて、画像認識結果とRFIDタグの読取結果とを対応付けることができる。
【0027】
上記の遊技テーブルシステムにおいて、前記複数のアンテナの読取範囲は前記遊技テーブル上の前記ベットエリアの全体をカバーしてよい。
【0028】
この構成により、ベットエリアの全体においてチップスタックを読み取ることができる。
【0029】
上記の遊技テーブルシステムにおいて、前記チップ判定手段は、前記RFIDタグの読取結果に基づいて置かれている領域が推定された前記ゲーミングチップの枚数が、前記画像認識手段により当該領域内に置かれていると認識された前記ゲーミングチップの枚数より少ない場合に、当該領域内において、当該チップスタックに前記RFIDタグに不正がある不正ゲーミングチップが含まれると判定してよい。
【0030】
この構成により、RFIDタグが読み取れない、不正なゲーミングチップを含むと判定できる。
【0031】
上記の遊技テーブルシステムにおいて、前記チップ判定手段は、前記RFIDタグの読取結果に基づいて置かれている領域が推定された前記ゲーミングチップの枚数が、前記画像認識手段により当該領域内に置かれていると認識された前記ゲーミングチップの枚数より多い場合に、当該領域内に、前記撮像手段の死角にあって前記画像認識手段で認識されないゲーミングチップが含まれると判定してよい。
【0032】
この構成により、撮像手段の死角にあって画像認識されないゲーミングチップが含まれる領域を判定できる。
【0033】
上記の遊技テーブルシステムにおいて、前記ゲーミングチップに内蔵された前記RFIDタグには、当該ゲーミングチップの種類を特定するための種類特定情報が記憶されてよく、前記チップ判定手段は、前記画像認識手段により認識された前記チップスタックについて、前記RFIDタグの読取結果が示すゲーミングチップの種類及び枚数が前記画像認識手段により認識された前記チップスタックの前記ゲーミングチップの種類及び枚数と異なる場合に、当該チップスタックに不正ゲーミングチップが含まれると判定してよい。
【0034】
この構成により、RFIDタグの読取結果と画像認識結果とが、ゲーミングチップの種類及び枚数について整合しない場合に、不正ゲーミングチップがあると判定できる。
【0035】
上記の遊技テーブルシステムにおいて、前記ゲーミングチップに内蔵された前記RFIDタグには、当該ゲーミングチップの種類を特定するための種類特定情報が記憶されていてよく、前記チップ判定手段は、さらに、前記RFIDタグの読取結果が示す前記ゲーミングチップの種類及び枚数と、前記画像認識手段により認識された前記ゲーミングチップの種類及び枚数とに基づいて、前記画像認識手段により認識された前記チップスタックのうちの前記不正ゲーミングチップが含まれる前記チップスタックを特定してよい。
【0036】
この構成により、RFIDタグの読取結果及び画像認識結果がそれぞれ示すゲーミングチップの種類及び枚数の情報を用いて、不正ゲーミングチップを含むチップスタックを特定できる。
【0037】
上記の遊技テーブルシステムにおいて、前記チップ判定手段は、前記不正ゲーミングチップを含む前記チップスタックを1つに特定できない場合に、不正ゲーミングチップが含まれる可能性が所定の基準値以上である複数のチップスタックを、不正ゲーミングチップが含まれるチップスタックと判定してよい。
【0038】
この構成により、不正ゲーミングチップを含むチップスタックを1つに特定できない場合にも、その可能性があるチップスタックを判定できる。
【0039】
上記の遊技テーブルシステムにおいて、前記ゲーミングチップに内蔵された前記RFIDタグには、当該ゲーミングチップの種類を特定するための種類特定情報が記憶されていてよく、前記ゲーミングチップの種類は当該ゲーミングチップの額に対応していてよく、前記チップ判定手段は、前記種類特定情報に基づいて前記チップスタックの額を判定してよい。
【0040】
この構成により、RFIDタグの読取結果に基づいてチップスタックの額を判定できる。
【0041】
上記の遊技テーブルシステムは、前記遊技テーブルでゲームをプレイするプレイヤを特定するプレイヤ特定手段をさらに備えてよく、前記チップ判定手段は、さらに、前記画像認識手段により認識された前記チップスタックに対応するプレイヤを特定してよい。
【0042】
この構成により、遊技テーブルに置かれたチップスタックに対応するプレイヤを特定できる。
【0043】
上記の遊技テーブルシステムにおいて、前記ゲーミングチップに内蔵された前記RFIDタグには、当該ゲーミングチップをユニークに特定するためのチップ識別情報が記憶されていてよく、前記ベットエリアは複数のプレイヤごとに設けられたベットエリアを含んでいてよく、上記の遊技テーブルシステムは、さらに、前記チップ識別情報とプレイヤを識別するためのプレイヤ識別情報とを関連付けて記憶したデータベースと、前記複数のプレイヤポジションでプレイするプレイヤの前記プレイヤ識別情報を特定するプレイヤ特定手段と、前記プレイヤ特定手段で特定された前記プレイヤ識別情報が、前記データベースにおいて、当該プレイヤがプレイする前記プレイヤポジションにあると特定された前記ゲーミングチップの前記チップ識別情報と関連付けられていない場合にアラートを出力するアラート手段とを備えた構成を有していてよい。
【0044】
この構成により、所持しているべきプレイヤとは異なるプレイヤがゲーミングチップを所持して遊技テーブルで使用した場合に、アラートを出力できる。
【0045】
本発明の一態様のシステムは、RFIDタグを内蔵した物品を所定の場所で読み取るシステムである。前記所定の場所には、互いに近接又は接するように配置された複数の区分エリアが配置されている。前記システムは、前記所定の場所の複数の個所に設けられ、読取範囲内の前記物品の前記RFIDタグを読み取るための複数のアンテナを含む読取手段と、ここで、前記複数のアンテナのうちの互いに隣り合うアンテナの読取範囲は、互いにオーバラップしており、それによって前記複数のアンテナの読取範囲は前記複数の区分エリアをカバーしている、前記所定の場所の互いに近接又は接するように配置された前記複数の区分エリアを撮影することで、前記所定の場所に置かれた1又は複数の物品からなる物品群を含む画像を生成する撮像手段と、前記画像を分析することで、前記物品群の前記所定の場所における位置及び前記物品群を構成する前記物品の種類及び個数を認識する画像認識手段と、前記読取手段の前記複数のアンテナのそれぞれによる前記RFIDタグの読取結果に基づいて、前記物品が置かれている前記所定の場所における前記複数のアンテナのうちのどのアンテナの読取範囲に対応する領域であって、当該対応するアンテナの読取範囲内のどのあたりの領域に置かれているかを推定可能であり、前記推定の結果と、前記画像認識手段による前記物品群の認識結果とに基づいて、前記画像認識手段により認識された前記物品群と前記読取手段による前記RFIDタグの読取結果とを対応付ける判定手段とを備えた構成を有している。
【0046】
この構成により、画像認識により認識された物品群とそれらの物品群の物品に内蔵されたRFIDタグの読取結果とを対応付けることができる。
【0047】
本発明の一態様の遊技テーブルシステムは、RFIDタグを内蔵したゲーミングチップを遊技テーブル上で読み取る遊技テーブルシステムである。前記遊技テーブルシステムにおいて、前記遊技テーブル上には、互いに近接又は接するように配置された複数のベット対象エリアを含むベットエリアが配置されている。前記遊技テーブルシステムは、前記遊技テーブルの複数の個所に設けられ、読取範囲内の前記ゲーミングチップの前記RFIDタグを読み取るための複数のアンテナを含む読取手段と、前記読取手段の前記複数のアンテナのそれぞれによる前記RFIDタグの読取結果に基づいて前記ゲーミングチップが置かれている位置を推定するチップ判定手段と、を備えた構成を有している。前記読取手段の前記複数のアンテナのうちの互いに隣り合うアンテナの読取範囲は、互いにオーバラップしており、それによって前記複数のアンテナの読取範囲は前記遊技テーブル上の前記ベットエリアの前記複数のベット対象エリアをカバーしている。前記チップ判定手段は、前記複数のアンテナの読取結果の組合せに基づいて、前記複数のアンテナの読取範囲より小さい解像度で、前記ゲーミングチップが置かれている領域を推定する。
【0048】
この構成により、読取範囲が互いにオーバラップした複数のアンテナの読取結果を組み合わせることで、それらのアンテナの読取範囲より小さい解像度でゲーミングチップが置かれている領域を推定できる。
【0049】
本発明の一態様の遊技テーブルシステムは、RFIDタグを内蔵したゲーミングチップを遊技テーブル上で読み取る遊技テーブルシステムである。前記遊技テーブルシステムにおいて、前記遊技テーブル上には、互いに近接又は接するように配置された複数のベット対象エリアを含むベットエリアが配置されている。前記遊技テーブルシステムは、前記遊技テーブルの複数の個所に設けられ、読取範囲内の前記ゲーミングチップの前記RFIDタグを読み取るための複数のアンテナを含む読取手段と、前記読取手段の前記複数のアンテナのそれぞれによる前記RFIDタグの読取結果に基づいて、前記ゲーミングチップが置かれている位置を推定するチップ判定手段と、を備えた構成を有している。前記遊技テーブルシステムにおいて、前記読取手段は、前記複数のアンテナを用いて繰り返し読取を行い、前記チップ判定手段は、同一の前記アンテナによって同じタイミングで前記RFIDタグが読み取られた複数の前記ゲーミングチップを1つのグループをなすゲーミングチップとして認識し、同一の前記アンテナによって別のタイミングで前記RFIDタグが読み取られた複数のゲーミングチップを前記1つのグループとは別のグループのゲーミングチップとして認識する。
【0050】
この構成により、読取手段による読取りのタイミングに基づいて、同じ読取範囲内に置かれた複数のゲーミングチップをグループ分けできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態の遊技テーブルシステムで用いられるゲーミングチップの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態の遊技テーブルシステムが組み込まれた遊技テーブルを示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態のカメラによって撮影された画像の例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態のカメラによって撮影された画像の例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態の遊技テーブルシステムにおけるアンテナの配置を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態の1つのアンテナが形成する電磁波の強度分布を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態の遊技テーブルシステムの構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態の遊技テーブルにおけるアンテナとゲーミングチップとの関係を示す図である。
【
図9】
図9は、
図8の場合のRFIDタグの読取結果を示す表である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態の画像認識部により認識されたベットチップスタックの例を示す表である。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態のチップ判定部による判定の結果を示す表である。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態の遊技テーブルシステムにおけるアンテナの配置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0053】
図1は、本発明の実施の形態の遊技テーブルシステムで用いられるゲーミングチップの斜視図である。ゲーミングチップ70は、円盤形状を有する。表裏の平坦面には、当該ゲーミングチップ70の種類(価額)を示す数字が表記されている。側面には、種類に応じて色が異なる中心線71が現れている。ゲーミングチップ70が積み重ねられて側面しか観察できない場合にも、この中心線71によって当該ゲーミングチップ70の種類を認識できる。
【0054】
なお、ゲーミングチップ70は側面に中心線を有していなくてもよい。この場合には、側面の色を種類によって異なるものとすることで、側面の色によってゲーミングチップ70の種類を認識できる。
【0055】
ゲーミングチップ70には、RFIDタグ72が内蔵されている。RFIDタグ72は、アンテナとICチップとからなる。RFIDタグ72は、パッシブ方式で後述するアンテナと無線通信を行う。RFIDタグ72は、それを保護するためのカプセルに内包されて、カプセルがゲーミングチップ70に内蔵されてよい。なお、ゲーミングチップは長方形の板形状のものであってもよい。
【0056】
RFIDタグ72には、当該ゲーミングチップ70をユニークに特定するためのチップ識別情報(チップID)、種類(価額)、製造年月日、使用が予定されるカジノ等を特定するための情報が記憶されている。
【0057】
図2は、本発明の実施の形態の遊技テーブルシステムが組み込まれた遊技テーブルを示す図である。遊技テーブルシステム100は、カジノに設置される複数の遊技テーブル10の各々に設置されて、遊技テーブル10上のゲーミングチップ70を読み取る。遊技テーブル10は概ね楕円形である。遊技テーブル10の一方側にはディーラが位置し、ディーラが位置する側と反対側には、複数のプレイヤのための複数のプレイヤポジションが設けられる。本実施の形態の遊技テーブル10は、バカラをプレイするためのテーブルである。
【0058】
遊技テーブル10のディーラ側には、ディーラのゲーミングチップ70を保管するためのチップトレイ30が設けられている。また、遊技テーブル10上には、プレイングカードをそこからドローするために複数デッキのプレイングカードを収容したカードシュー50が置かれている。カードシュー50に収容されてゲームに用いられるプレイングカードには、そのランクを示すコードが表記されている。コードは、ブラックライトで可視化されるインクで、プレイングカードのおもて面に印刷されている。カードシュー50は、ドローされるカードのコードを読み取るためのブラックライト及びセンサを備えている。さらに、遊技テーブル10のディーラ側には、ディスプレイ60が埋め込まれている。
【0059】
各プレイヤポジションには、プレイヤ別ベットエリア201~205が設けられる。複数のプレイヤのための複数のプレイヤ別ベットエリア201~205は横に並んでおり、全体としてベットエリア21を構成している。各プレイヤ別ベットエリア201~205には、ベット対象エリアとして、プレイヤウィンに賭けるためのプレイヤエリア「P」、バンカウィンに賭けるためのバンカエリア「B」、タイに賭けるためのタイエリア「T」、プレイヤペアに賭けるためのプレイヤペアエリア「PP」、及びバンカペアに賭けるためのバンカペアエリア「BP」が設けられている。これらのベット対象エリアは互いに近接又は接するように配置されている。タイ、プレイヤペア、バンカペアは、サイドベットと呼ばれ、それらのベット対象エリアはサイドベットエリアと呼ばれる。ベットエリア21には、複数のアンテナが埋め込まれている。アンテナについては、後述する。
【0060】
なお、各プレイヤ別ベットエリア201~205には、さらに、例えば、バンカーが6で勝利することに賭ける「ラッキー6」や「スーパー6」と呼ばれるサイドベットのためのベット対象エリアが設けられていてもよい。また、サイドベットエリアは、各プレイヤ別ベットエリア201~205に設けられずに、遊技テーブル10の中央部分に、複数のプレイヤポジションのためのベットエリアがサイドベットの種類ごとにまとめて配置されてもよい。また、遊技テーブル10上には、プレイヤハンドとなるプレイングカードを配置するためのプレイヤハンドエリア22、バンカハンドとなるプレイングカードを配置するためのバンカハンドエリア23がレイアウトされている。
【0061】
プレイヤは、プレイヤ別ベットエリア201~205のいずれかのベット対象エリアに自らのゲーミングチップ70を置くことでゲームに参加する(ベットする)。ゲームに負けたプレイヤのベットチップはディーラによってチップトレイ30に回収される。ゲームに勝ったプレイヤのベットチップに対しては、ディーラによってチップトレイ30からゲーミングチップ70が支払われる。
【0062】
遊技テーブル10のディーラ側の両側には、それぞれ支柱が立設されており、各支柱にはカメラ40、41が取り付けられている。同じ支柱に設けられた2つのカメラ40とカメラ41とは、互いに画角及び撮影方向が異なる。カメラ40は、ベットエリア21に置かれたゲーミングチップ70(ベットチップ)を撮影するために用いられ、カメラ41は、ベットチップとプレイヤとを撮影するために用いられる。本実施の形態では、カメラ41の画角はカメラ40の画角より大きい。
【0063】
カメラ40、41は、撮影をして画像を生成する。右側のカメラ40と左側のカメラ40は、いずれも複数のベット対象エリアを含むベットエリア21の全体が撮影範囲に含まれるように撮影を行う。その結果、カメラ40は、ベットエリア21に、積み上げられた複数のゲーミングチップ70からなるチップスタック(ベットチップスタック)が映った画像を生成する。右側のカメラ41と左側のカメラ41は、いずれもベットエリア21全体及びプレイヤポジションに位置するプレイヤの上半身が撮影範囲に含まれるように撮影を行う。その結果、カメラ41は、ベットエリア21にゲーミングチップ70をベットするプレイヤ及びベットされるゲーミングチップ70が映った画像を生成する。
【0064】
図2に示すように、複数のプレイヤ別ベットエリア201~205は、遊技テーブル10の長手方向に並んでおり、各プレイヤ別ベットエリア201~205では、複数のベット対象エリアがプレイヤからディーラに向かう方向に並んで配置されている。すなわち、複数のベット対象エリアは、遊技テーブル10上で2次元方向に配置されている。カメラ40、41は、2次元方向にベット対象エリアが配置されたベットエリア21を斜め上方から撮影する。これにより、カメラ40、41が生成する画像には、斜め上方から撮影されたベットチップスタックが映ることになる。
【0065】
カメラ40、41が斜め上方からベットチップスタックを撮影することで、画像にはベットチップスタックの位置の情報、ベットチップスタックに含まれるベットチップの側面(価額)の情報、及びベットチップの枚数の情報が含まれることになる。よって、この画像を分析することで、ベットチップスタックの位置、そこに含まれるベットチップの種類及び枚数を認識することができる。すなわち、仮にベットチップスタックを真横から撮影するとすれば、価額及び枚数の情報は得られるが、そのベットチップスタックが2次元方向に配置されたベット対象エリアのいずれにあるかは不明となる。また、仮にベットチップスタックを真上から撮影するとすれば、ベットチップスタックの位置は明確に把握できるが、ベットチップスタックの最上位のベットチップしかその種類を認識できず、そのベットチップスタックにどの種類のベットチップが何枚あるかは不明となる。
【0066】
図3は、本発明の実施の形態のカメラによって撮影された画像の例を示す図である。カメラ40は、遊技テーブル10のベットエリア21に置かれた(ベットされた)1又は複数のゲーミングチップ70からなるベットチップスタックを撮影して画像を生成する。左側のカメラ40の撮影範囲と右側のカメラ40の撮影範囲とは互いに少なくとも一部で重複しており、ベットエリア21に置かれたゲーミングチップ70は、左側のカメラ40と右側のカメラ40とによって異なる方向から撮影される。
【0067】
図4は、本発明の実施の形態のカメラによって撮影された画像の例を示す図である。カメラ41は、遊技テーブル10でプレイするプレイヤとベットチップとが含まれるように撮影をして画像を生成する。左側のカメラ41の撮影範囲と右側のカメラ41の撮影範囲とは互いに少なくとも一部で重複しており、遊技テーブル10でプレイするプレイヤ及びベットエリア21に置かれたゲーミングチップ70は、左側のカメラ41と右側のカメラ41とによって異なる方向から撮影される。なお、カメラ41は、プレイヤポジションの席に座らずに、立ったまま後ろからベットするバックベッターも撮影する。
【0068】
図5は、本発明の実施の形態の遊技テーブルシステムにおけるアンテナの配置を示す図である。遊技テーブル10には、アンテナANT1~ANT9の9つのアンテナが配置される。9つのアンテナANT1~ANT9は、横方向に延びるベットエリア21に沿って順に横方向に並んで配置される。このとき、隣り合うアンテナ同士は、左右方向に一部でオーバラップしており、これにより隣り合うアンテナ同士の読取範囲がオーバラップしている。このような9つのアンテナANT1~ANT9の配置により、ベットエリア21の全体がカバーされて、ベットエリア21内のゲーミングチップ70のRFIDタグ72は、少なくとも1つのアンテナ(場合によっては、2つ又は3つのアンテナ)によって読み取られることになる。
【0069】
図5の例では、アンテナANT1、ANT3、ANT5、ANT7、ANT9がそれぞれプレイヤ別ベットエリア201~205に対応しており、ANT2、ANT4、ANT6、ANT8は、それぞれそれらのアンテナの中間に配置されている。各アンテナANT1~ANT9の大きさは、プレイヤ別ベットエリア201~205の大きさとほぼ同じ大きさである。しかしながら、アンテナANT1~ANT9の大きさ及び配置は、プレイヤ別ベットエリア201~205に対応していなくてもよい。
【0070】
図6は、本発明の実施の形態の1つのアンテナが形成する電磁波の強度分布を示す図である。
図6は、アンテナによって形成されるループの平面方向から見た図である。電磁波は、アンテナの線材上で強くなり、ループ内では中央に向けて若干強度が弱まり、ループの外ではアンテナから離れるにしたがって強度が弱くなる。この電磁波の強度は、アンテナによる読取能力とほぼ比例すると考えられる。
【0071】
本実施の形態では、このようなアンテナが
図5に示すように互いにオーバラップして配置されることになる。仮にこれらの複数のアンテナANT1~ANT9が同時に読取りを行う、すなわち
図6に示すような強度分布の電磁波を出力すると、電磁波が互いに干渉してしまう。したがって、本実施の形態では、アンテナANT1~ANT9は、少なくとも互いに干渉し合うアンテナについて同時に読取りを行わないように制御される。
【0072】
図7は、本発明の実施の形態の遊技テーブルシステムの構成を示すブロック図である。遊技テーブルシステム100は、複数のアンテナANT1~ANT9と、リーダ24と、複数のカメラ40、41と、カードシュー50と、ディスプレイ60と、情報処理装置80と、チップデータベース90と、プレイヤデータベース91と、を備えている。アンテナANT1~ANT9はリーダ24に接続されており、リーダ24、カメラ40、41、カードシュー50、ディスプレイ60、チップデータベース90、及びプレイヤデータベース91は、情報処理装置80に接続されている。情報処理装置80は、演算処理装置及びメモリ装置を備えたコンピュータで構成される。情報処理装置80は、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、画像認識部81、チップ判定部82、プレイヤ特定部83として機能する。
【0073】
チップデータベース90には、各ゲーミングチップ70について、チップ識別情報(チップID)、種類(価額)、製造年月日、使用が予定されるカジノ等を特定するための情報、アクティベーションステータス(有効、無効等)、所持者の履歴等の情報が記憶される。プレイヤデータベース91には、各プレイヤについて、プレイヤ識別情報(プレイヤID)プレイヤの個人情報(顔写真、氏名、国籍、連絡先等)、ベット履歴、ステータス(VIP、要注意等)の情報が記憶される。
【0074】
カードシュー50は、バカラのルールに基づくゲーム結果判定アルゴリズムを記憶しており、ドローされるプレイングカードのランクを読み取った読取結果をゲーム結果判定アルゴリズムに適用することで、ゲーム結果(プレイヤウィン、バンカウィン、タイ、プレイヤペア、バンカペア等)を判定する。カードシュー50は、図示しないディスプレイを有しており、ディスプレイに読取結果及びゲーム結果を表示する。カードシュー50には、さらに、ゲーム結果のディスプレイをキャンセルして次のゲームを開始するために操作されるゲーム開始ボタンを備えている。
【0075】
カードシュー50を用いることでゲームの進行段階を認識することもできる。すなわち、カードシュー50は、ゲーム開始ボタンが押されたことを検知すると、次のゲームのベット段階が開始したと認識できる。カードシュー50は、ゲーム開始ボタンが押された後、最初にプレイングカードが引かれたことを検知すると、ベット段階が終了してカードディール段階が開始したと認識できる。また、ドローされたプレイングカードの読取結果からゲーム結果を判定すると、カードディール段階が終了して精算段階が開始したと認識できる。さらにゲーム開始ボタンが押されたことを検知すると、清算段階が終了して次のゲームのベット段階が開始したと認識できる。カードシュー50は、認識されたこれらのゲームの進行段階を情報処理装置80に報告する。
【0076】
リーダ24は、複数のアンテナANT1~ANT9の読取りを制御する。リーダ24は、アンテナANT1~ANT9のうちの選択したアンテナに電磁波を出力させて、当該アンテナからRFIDタグ72の読取信号を受けて、読取結果を情報処理装置80に出力する。このとき、リーダ24は、アンテナANT1~ANT9を介してゲーミングチップ70のRFIDタグ72に電波を送信して、読取結果として、RFIDタグ72に記憶された情報と共に、受信信号強度(RSSI)を受信する。リーダ24が読取りを行わせるアンテナを順次切り替えることで、アンテナANT1~ANT9の読取結果が順次得られる。この複数のアンテナANT1~ANT9とリーダ24とで、遊技テーブル10上のRFIDタグ72の読取手段が構成される。
【0077】
カメラ40、41は、撮影により得られた画像を情報処理装置80に出力する。画像認識部81は、カメラ40からの画像を分析することで、ベットチップスタックの位置、ベットチップスタックに含まれるゲーミングチップ70の種類及び枚数を認識する。このために、画像認識部81は、ディープラーニング構造を有する畳み込みニューラルネットワークを用いて、カメラ40の画像からベットチップスタックを認識し、さらに、認識したベットチップスタックからゲーミングチップ70を認識する。
【0078】
左右のカメラ40でそれぞれ画像が生成されるので、画像認識部81は、それぞれの画像を分析することで、基本的には両画像から同じゲーミングチップ70が認識される。しかしながら、一方のカメラ40の画像では他のベットチップスタックに隠れてしまっているゲーミングチップ70があり、他方のカメラ40の画像で当該隠れているゲーミングチップ70が映っていることがある。このような場合には、一方のカメラ40の画像では認識されないゲーミングチップ70が他方のカメラ40の画像から認識されることがある。画像認識部81は、これらの左右のカメラ40の画像からの画像認識の結果を総合することで、最終的に遊技テーブル10にベットされているゲーミングチップ70を認識する。
【0079】
また、画像認識部81は、カメラ41からの画像を分析することでベットチップスタックを認識(検出)する。さらに、画像認識部81は、カメラ41からの画像から認識したベットチップスタックとカメラ40からの画像から認識したベットチップスタックを対応付ける。後述するように、カメラ41からの画像から認識されたベットチップスタックは、プレイヤ特定部83で特定されたプレイヤと対応付けられるため、最終的にはカメラ40からの画像から認識されたベットチップスタックとプレイヤ特定部83で特定されたプレイヤとが対応付けられ、どのプレイヤがどのようなベットをしたのかが認識される。
【0080】
プレイヤ特定部83は、カメラ41からの画像を分析することで、プレイヤの左右の肩、左右の肘、左右の手首、左右の目、左右の耳、及び鼻を認識することでプレイヤの骨格モデルを生成する。また、プレイヤ特定部83は、カメラ41からの画像からプレイヤの顔領域を抽出してこれに対して画像認識を行うことで、プレイヤをユニークに特定するプレイヤ識別情報(プレイヤID)を特定する。プレイヤが事前にその者の顔画像を登録しておくことでこのようなプレイヤの特定が可能となる。
【0081】
プレイヤ特定部83は、このような骨格モデルの生成及び顔画像によるプレイヤ特定のために、それぞれディープラーニング構造を有する畳み込みニューラルネットワークを用いる。なお、事前の登録をしていないプレイヤについては、プレイヤ特定部83は、不知プレイヤ又はゲストと判定する。
【0082】
チップ判定部82は、複数のアンテナANT1~ANT9のそれぞれによるRFIDタグ72の読取結果に基づいて、ゲーミングチップ70が置かれているベットエリア内の、複数のアンテナANT1~ANT9のうちのどのアンテナの読取範囲に対応する領域であって、当該対応するアンテナの読取範囲内のどのあたりの領域に置かれているかを推定する。さらに、チップ判定部82は、その推定の結果と、画像認識部81によるベットチップスタックの認識結果とに基づいて、画像認識部81により認識されたベットチップスタックとアンテナANT1~ANT9によるRFIDタグ72の読取結果とを対応付ける。
【0083】
上述のように、互いに隣り合うアンテナANT1~ANT9の読取範囲は互いにオーバラップしており、それに起因して、ベットエリア201~205は、そこに置かれたゲーミングチップ70のRFIDタグ72が複数のアンテナANT1~ANT9によって読み取られる領域を含む。例えば、アンテナANT1とアンテナANT2とがオーバラップしている領域に置かれたゲーミングチップ70は、アンテナANT1及びアンテナANT2によって読み取られる。また、例えば、アンテナANT1とアンテナANT3との間に置かれたゲーミングチップ70は、アンテナANT1とアンテナANT2とアンテナANT3によって読み取られる。チップ判定部82は、複数のアンテナANT1~ANT9の読取結果の組合せに基づいて、複数のアンテナANT1~ANT9の読取範囲より小さい領域を、ゲーミングチップ70が置かれている領域として推定する。
【0084】
チップ判定部82は、さらに、RFIDタグ72の読取結果と画像認識部81による画像認識結果とに基づいて、画像認識により認識されたベットチップスタックのうちの、正常なRFIDタグ72を有しない不正ゲーミングチップが含まれるベットチップスタックを判定する。RFIDタグ72を有しないゲーミングチップ70及びRFIDタグ72が故障しているゲーミングチップ70は、いずれも正常なRFIDタグ72を有しないゲーミングチップ70と判定される。チップ判定部82は、RFIDタグ72の読取結果と画像認識部81による画像認識結果との間に不整合があるときに、不正ゲーミングチップがあると判定する。より具体的には、チップ判定部82は、画像認識では認識されているがRFIDタグ72の読取結果には含まれないゲーミングチップ70があるときに、不正ゲーミングチップがあると判定する。
【0085】
具体的には、チップ判定部82は、RFIDタグ72の読取結果に基づいて置かれている領域が推定されたゲーミングチップ70の枚数が、画像認識部81により当該領域内に置かれていると認識されたゲーミングチップ70の枚数より少ない場合に、当該領域内において、当該ベットチップスタックにRFIDタグ72に不正がある不正ゲーミングチップが含まれると判定する。逆に、RFIDタグ72の読取結果に基づいて置かれている領域が推定されたゲーミングチップ70の枚数が、前記画像認識手段により当該領域内に置かれていると認識されたゲーミングチップ70の枚数より多い場合には、チップ判定部82は、当該領域内に、カメラ40の死角にあって画像認識部81で認識されないゲーミングチップ70が含まれると判定する。
【0086】
情報処理装置80は、ゲーム進行状態がベット段階にあるときに、リーダ24を制御して、繰り返し、ゲーミングチップ70のRFIDタグ72の読取りを行わせる。このとき、リーダ24は、上述のように、アンテナANT1~ANT9による読取りを順に行わせる。また、情報処理装置80は、ゲーム進行状態がベット段階にあるときに、カメラ40を制御して、連続的に撮影を行わせて、カメラ40から連続して画像を取得する。画像認識部81は、カメラ40から継続して送られてくる画像について逐次分析をしてゲーミングチップ70を認識する。このようにして、チップ判定部82は、ベットエリア21に新たにベットチップスタックが置かれたタイミングのRFIDタグ72の読取結果と画像認識の結果とに基づいて、画像認識部81により認識されたベットチップスタックとRFIDタグ72の読取結果とを対応付ける。すなわち、ベット段階では、リーダ24によるRFIDタグ72の読取り及び画像認識によるゲーミングチップ70の認識をリアルタイムで行う。これにより、ベット段階で不正ゲーミングチップを検知することができ、不正ゲーミングチップをカードディール段階に入る前に発見できる。
【0087】
ただし、プレイヤが遊技テーブル10にゲーミングチップ70を置いた直後には、プレイヤの手によってゲーミングチップ70が隠れており、RFIDタグ72は認識されているが画像からは対応するゲーミングチップ70が認識されていないという状況が生じ得る。例えば、
図4に示す状況では、男性がベットしているゲーミングチップ70について、画像認識ではゲーミングチップ70を検出できないが、それらのゲーミングチップ70のRFIDタグ72は読み取られることもあり得る。しかしこのような場合も、この男性はいずれはゲーミングチップ70をベットエリア21に置いて、ゲーミングチップ70から手を離すことになる。そこで、チップ判定部82は、画像認識の結果とRFIDタグ72の読取結果との不整合が発見されたら直ちに不正ゲーミングチップがあると判定するのではなく、そのような不整合が所定の時間(例えば、3秒)継続した場合に、不正ゲーミングチップがあると判定するようにしてよい。
【0088】
図8は、本発明の実施の形態の遊技テーブルにおけるアンテナとゲーミングチップとの関係を示す図である。
図9は、
図8の場合のRFIDタグの読取結果を示す表である。
図8では、各ゲーミングチップ70の種類($)及びチップ識別情報(#)を示しており、
図9には、各ゲーミングチップ70のチップ識別情報についての各アンテナANT1~ANT9の受信信号強度(RSSI)を0~100のレンジで表している。
【0089】
チップ判定部82は、アンテナANT1~ANT9の読取結果に基づいて、各ゲーミングチップ70が置かれているベットエリア21内の小領域を推定する。各アンテナANT1~ANT9の読取範囲が重複しているため、この小領域は、1つのアンテナの読取り範囲よりも狭い。各アンテナANT1~ANT9の読取範囲が重複しているため、1つのゲーミングチップ70は、複数のアンテナによって読み取られることになる。チップ判定部82は、各ゲーミングチップ70について、各アンテナANT1~ANT9の読取強度に基づいて、ゲーミングチップ70が位置する小領域を推定する。
【0090】
図9に示すように、同一の位置にある複数枚のゲーミングチップ70であっても必ずしも信号強度が同じになるとは限らない。このように、RFIDタグ72の受信信号強度は曖昧さを有している。また、
図6に示したように、各アンテナANT1~ANT9の電磁波の強度分布も複雑な形状をしている。したがって、RFIDタグ72の受信信号強度のみでは、ゲーミングチップ70がどこにあるかを確定させることは困難である。ただし、RFIDタグ72から読み出したチップ識別情報にはそのような不確定性はなく、ゲーミングチップ70が正常なRFIDタグ72を有している限り、その読取内容は正確である。
【0091】
チップ判定部82は、各ゲーミングチップ70について、各アンテナANT1~ANT9の受信信号強度に基づいて、各小領域に存在する可能性を0~100のレンジで推定する。チップ判定部82には、各アンテナANT1~ANT9の受信信号強度から各小領域に存在する可能性を求めるための演算式又はテーブルが用意されている。チップ判定部82は、この演算式又はテーブルに、各ゲーミングチップ70の実際の受信信号強度を適用することで、各小領域に存在する可能性を求める。
【0092】
チップ判定部82は、同様にして、各ゲーミングチップ70について、各アンテナANT1~ANT9の受信信号強度に基づいて、各プレイヤ別ベットエリア201~205に存在する可能性を0~100のレンジで推定する。チップ判定部82には、各アンテナANT1~ANT9の受信信号強度から各プレイヤ別ベットエリア201~205に存在する可能性を求めるための演算式又はテーブルが用意されている。チップ判定部82は、この演算式又はテーブルに、各ゲーミングチップ70の実際の受信信号強度を適用することで、各プレイヤ別ベットエリア201~205に存在する可能性を求める。
【0093】
このように、RFIDタグ72の読取結果のみでは、各ゲーミングチップ70がどの小領域ないしはプレイヤ別ベットエリア201~205に存在するかを確率をもってしか求めることができず、それらを確定することはできない。一方で、画像認識部81は、上述のように、各ベットチップスタックの位置と、そのベットチップスタックに含まれるゲーミングチップ70の種類及び枚数を認識できる。そこで、チップ判定部82は、RFIDタグ72が読み取られた各ゲーミングチップ70(読取結果における各チップ識別情報)を画像認識の結果得られたベットチップスタックに対応付ける。
【0094】
図10は、本発明の実施の形態の画像認識部により認識されたベットチップスタックの例を示す表である。画像認識部81は、認識したベットチップスタックごとにIDを割り振り、各ベットチップスタックについて、そこに含まれるゲーミングチップ70の種類(価額)及びその位置(プレイヤポジション、ベット対象エリア)を認識する。
【0095】
チップ判定部82は、
図9に示すRFIDタグ72の読取結果と、
図10に示す画像認識の結果とに基づいて、RFIDタグ72の読取結果を画像認識で得られたいずれかのベットチップスタックに割り当てる。画像認識の結果によって各ベットチップスタックが置かれているプレイヤ別ベットエリア201~205及びベット対象エリアが判定されているため、チップ判定部82は、RFIDタグ72の読取結果(チップ識別情報、種類(価額)等)をプレイヤ別ベットエリア201~205及びベット対象エリアに割り当てる。
【0096】
図11は、本発明の実施の形態のチップ判定部による判定の結果を示す表である。チップ判定部82は、RFIDタグ72の読取結果に基づく各小領域への存在可能性が所定の基準値(閾値)を下回らない範囲で、各ゲーミングチップ70がどのベットチップスタックに存在するかを判定する。このとき、チップ判定部82は、RFIDタグ72の読取結果に基づいて、閾値の範囲内で、RFIDタグ72(チップ識別情報)をベットチップスタックに割り当てた枚数と、画像認識によって認識された各ベットチップスタックに含まれるゲーミングチップ70の枚数とが一致しない場合に、そのようなベットチップスタックに不正ゲーミングチップが存在すると判定する。なお、チップ判定部82は、逆に、画像認識結果における各ベットチップスタックの枚数と整合するように各ゲーミングチップ70がどのベットチップスタックに存在するかを判定した場合に、そのような判定によってRFIDタグ72の読取結果に基づく確率が閾値より低くなってしまう場合に、そのようなRFIDタグ72の読取結果を有するベットチップスタックに不正ゲーミングチップが存在すると判定してもよい。
【0097】
なお、
図11の例では、チップ判定部82は、RFIDタグ72の読取結果に基づいて、閾値の範囲内で、RFIDタグ72(チップ識別情報)をベットチップスタックに割り当てた枚数と、画像認識によって認識された各ベットチップスタックに含まれるゲーミングチップ70の枚数とが一致しない場合に、そのようなベットチップスタックに不正ゲーミングチップが存在すると判定し、ゲーミングチップ70の種類は考慮していないが、チップ判定部82は、ゲーミングチップ70の種類も考慮して各ゲーミングチップ70がどのベットチップスタックに存在するかを判定してよい。すなわち、上述のように、ゲーミングチップ70に内蔵されたRFIDタグ72には、当該ゲーミングチップ70の種類を特定するための情報(種類特定情報)が記憶されており、かつ、ゲーミングチップ70の側面の中心線71も当該ゲーミングチップ70の種類を表しており、画像認識部81はこの中心線71に基づいてゲーミングチップ70の種類を特定する。
【0098】
そこで、チップ判定部82は、さらに、RFIDタグ72の読取結果に基づいて特定されたゲーミングチップ70の種類と、画像認識部81で認識したゲーミングチップ70の種類とに基づいて、各種類ごとに、閾値の範囲内で、RFIDタグ72(チップ識別情報)をベットチップスタックに割り当てた枚数と、画像認識によって認識された各ベットチップスタックに含まれるゲーミングチップ70の枚数とが一致するように、読み取られたRFIDタグ72(チップ識別情報)を画像認識部81により認識されたベットチップスタックのいずれかに割り当ててよい。そして、チップ判定部82は、枚数が一致しないベットチップスタックがある場合には、そのベットチップスタックを不正ゲーミングチップが含まれるベットチップスタックと判定する。すなわち、種類を考慮せずに単に枚数のみで判断した場合にはRFIDタグ72の読取結果からゲーミングチップ70が置かれているプレイヤ別ベットエリア201~205を1つに特定できない場合にも、種類を考慮することで、リーダ24によって読み取られたRFIDタグ72の情報がどのベットチップスタックに存在するかを特定できることがある。よって、チップ判定部82は、RFIDタグ72の読取結果における種類の情報と画像認識部81により認識された種類の情報とを考慮して、読み取られたRFIDタグ72(チップ識別情報)を画像認識部81により認識されたベットチップスタックのいずれかに割り当ててよい。
【0099】
なお、チップ判定部82は、上記の処理を行う前に、まず、ベットエリア21全体について、RFIDタグ72の読取結果が示すゲーミングチップ70の枚数と、画像認識部81によって認識されたゲーミングチップ70の枚数とを比較して、両者が一致しない場合に、上記のように、RFIDタグ72の読取りによって得られた情報を画像認識で認識されたベットチップスタックに対応付ける処理を行うことで、そのような不一致がどのベットチップスタックに生じているのかを特定するようにしてよい。換言すれば、チップ判定部82は、ベットエリア21全体において、RFIDタグ72の読取結果が示すゲーミングチップ70の枚数と、画像認識部81によって認識されたゲーミングチップ70の枚数とが一致する場合には、上記の処理を省略するようにしてもよい。
【0100】
また、画像認識結果とRFIDタグ72の読取結果とが整合しない場合において、そのような不整合が生じているプレイヤ別ベットエリアを1つに特定できず、2つのプレイヤ別ベットエリアにしか絞り込めないことがある。この場合には、チップ判定部82は、特定された2つのベットチップスタックについて、不正ゲーミングチップが含まれる可能性があると判定する。すなわち、チップ判定部82は、不正ゲーミングチップを含むベットチップスタックを1つに特定できない場合に、不正ゲーミングチップが含まれる可能性が閾値以上である複数のベットチップスタックを、不正ゲーミングチップが含まれるベットチップスタックと判定する。
【0101】
上述のように、画像認識部81は、各ゲーミングチップ70について、その種類を認識する。よって、チップ判定部82は、小領域ごとに、RFIDタグ72の読取結果が示すゲーミングチップ70の種類及び枚数が画像認識部81により認識されたベットチップスタックのゲーミングチップ70の種類及び枚数と異なる場合に、そのようなベットチップスタックに不正ゲーミングチップが含まれると判定してよい。
【0102】
チップ判定部82は、不正ゲーミングチップがあると判定された場合に、プレイヤ特定部83で特定されたプレイヤの情報を用いて、当該不正ゲーミングチップをベットしたプレイヤを特定する。このために、チップ判定部82は、カメラ41にて撮影されたベットチップスタックとプレイヤ特定部83で特定されたプレイヤとを関連付ける。すなわち、チップ判定部82は、ベットエリア21にベットチップスタックを置いたプレイヤを特定する。
【0103】
このために、画像認識部81は、ベット段階が終了したとき(すなわち、ベットが確定したとき)にカメラ41にて撮影された画像からゲーミングチップ70のスタック(ベットチップスタック)を抽出する。そして、チップ判定部82は、カメラ41がベット段階に連続して撮影することで得られた連続する複数の画像(フレーム)における、ベットチップスタックの抽出位置に初めて当該ベットチップスタックが認識された画像(フレーム)を特定する。チップ判定部82は、この画像(フレーム)において、当該ベットチップスタックに手首が最も近くあるプレイヤを、当該ベットチップスタックをベットしたプレイヤであると特定する。
【0104】
仮に、ベット段階においてゲーミングチップ70が認識されるごとにそのゲーミングチップ70に最も近い手首を有するプレイヤと当該ゲーミングチップ70とを関連付けると仮定すると、ベット段階において常にゲーミングチップ70とプレイヤとの関連付けの処理を行わなければならず処理負荷が増大するだけでなく、プレイヤがベット段階においていったんベットした内容を変更した場合(これ自体は合法である)、混乱が生じることになる。これに対して、本実施の形態の手法によれば、最終的なベットチップスタックとプレイヤとの関連付けを行うことができ、ベット段階においてベットチップとプレイヤとの関連付けを常に行う必要がなく、処理負荷を軽減できる。
【0105】
このように、チップ判定部82は、ベットチップスタックとそのベットチップスタックをベットしたプレイヤとを関連付ける、すなわち、ベットチップスタックをベットしたプレイヤを特定するので、ベットチップスタックに不正ゲーミングチップが含まれる場合には、そのような不正ゲーミングチップを含むベットチップスタックをベットしたプレイヤを特定できる。
【0106】
また、カメラ40からの画像からはベットチップスタックの位置及びそのベットチップスタックに含まれるゲーミングチップ70の種類及び枚数が認識されるので、チップ判定部82によって、プレイヤと、そのプレイヤがベットしたベットチップスタックの位置及びそのベットチップスタックに含まれるゲーミングチップ70の種類及び枚数が認識される。上述のように、ゲーミングチップ70の種類は、その価額に対応しているため、チップ判定部82は、さらに、各ベットチップスタックについて、そこに含まれるゲーミングチップ70の種類及び枚数に基づいて、ベットチップスタックの額を算出する。そして、情報処理装置80は、このベットチップスタックの額を当該プレイヤのベット額として、プレイヤデータベース91に記録し、又は、プレイヤデータベース91の記録を更新する。
【0107】
また、上述のように、ゲーミングチップ70はその外観から種類を特定することができるが、当該ゲーミングチップ70をユニークに特定する情報は外観からは得られない。すなわち、ゲーミングチップ70を撮影して得られた画像を分析してもゲーミングチップ70のチップ識別情報は得られない。一方で、上述のように、RFIDタグ72には、チップ識別情報が記憶されている。そこで、チップ判定部82は、RFIDタグ72の読取結果と画像認識の結果とを対応付けることで、画像中のどのベットチップスタックにどのチップ識別情報のゲーミングチップ70が含まれるかを判定する。情報処理装置80は、各ベットチップスタックについて、そこに含まれるゲーミングチップ70のチップ識別情報を判定すると、そのチップ識別情報を用いて、チップデータベース90に問い合わせをして、当該ゲーミングチップ70の情報をチップデータベース90から取得する。そして、例えば、情報処理装置80は、問い合わせたチップ識別情報について、チップデータベース90において、アクティベーション情報が有効であるか否かを判断する。
【0108】
ディスプレイ60は、情報処理装置80による情報処理の各種の結果を表示する。特に、ディスプレイ60は、
図10に示す、画像認識に基づく各プレイヤ別ベットエリア201~205のゲーミングチップ70の枚数と、チップ判定部82がRFIDタグ72の読取結果を考慮して最終的に決定した各プレイヤ別ベットエリア201~205のゲーミングチップ70の枚数とを比較可能な方法で表示してよく、仮に不正ゲーミングチップを含むベットチップスタックがある場合には、そのベットチップスタックが置かれているプレイヤ別ベットエリア201~205についてエラー表示をする。このエラー表示は、ディーラに対するアラートとして機能し、このときディスプレイ60は、アラート装置として機能する。
【0109】
また、情報処理装置80は、RFIDタグ72から読み取ったチップ識別情報について、チップデータベース90に問い合わせた結果、問題があれば(例えば、アクティベーション情報が「無効」であれば)、その問題に応じてディスプレイ60にエラー表示を行わせる。
【0110】
また、ディスプレイ60は、上記と合わせて、各プレイヤ別ベットエリア201~205ごとに、そこにゲーミングチップ70をベットしたプレイヤを特定する情報(例えば、プレイヤの名前)を表示してよい。
【0111】
以上のように、本実施の形態の遊技テーブルシステム100によれば、カメラ40による撮影によって得られた画像からゲーミングチップ70を認識し、その認識結果にRFIDタグ72の読取結果を割り当てる(マッピングする)ことで、正常なRFIDタグ72を有しない不正ゲーミングチップを含むベットチップスタックを判定できる。
【0112】
(変形例1)
上記の実施の形態では正常なRFIDタグ72を有しないゲーミングチップ70を不正ゲーミングチップと定義して、不正ゲーミングチップを含むベットチップスタックを特定した。不正ゲーミングチップはこれに限られず、遊技テーブルシステム100は、不正ベットに係るゲーミングチップ70を不正ゲーミングチップとして、そのような不正ゲーミングチップの存在を判定するようにしてよい。具体的には、チップ判定部82は、カードディール段階が始まった後に、勝ちが確定した又は勝ちそうなベットチップを追加するキャッピング(レイトベッティング)、又はカードディール段階が始まった後に、負けが確定した又は負けそうなベットチップを取り除くピンチングに係るゲーミングチップ70を不正ゲーミングチップとして、そのような不正ゲーミングチップを含むベットチップスタックを判定してもよい。
【0113】
このような不正ゲーミングチップを検出するために、画像認識部81は、第1のタイミング、及びその後の第2のタイミングにおいて、それぞれ撮影をして得られた画像について、ゲーミングチップ70のベットチップスタックの位置、及びそのベットチップスタックに含まれるゲーミングチップ70の種類及び枚数を認識する。また、情報処理装置80は、リーダ24による第1のタイミング、及び第2のタイミングにおける、複数のアンテナANT1~ANT9のそれぞれによるRFIDタグ72の読取結果を取得する。
【0114】
そして、チップ判定部82は、第1及び第2のタイミングのそれぞれにおけるRFIDタグ72の読取結果と、第1及び第2のタイミングのそれぞれの画像に対する画像認識部81によるベットチップスタックの認識結果とに基づいて、画像認識部81により認識されたベットチップスタックのうちの不正ゲーミングチップが含まれるベットチップスタックを判定する。具体的には、チップ判定部82は、第1のタイミングのRFIDタグ72の読取結果と第1のタイミングの画像認識結果とに基づいて、各プレイヤ別ベットエリア201~205のベットチップスタックに含まれるゲーミングチップ70の種類及び枚数を判定し、第2のタイミングのRFIDタグ72の読取結果と第2のタイミングの画像認識結果とに基づいて、各プレイヤ別ベットエリア201~205のベットチップスタックに含まれるゲーミングチップ70の種類及び枚数を判定し、それらの判定された種類及び枚数に不整合があるときに、不正ゲーミングチップが存在すると判定する。
【0115】
さらに具体的には、チップ判定部82は、第1のタイミングよりも第2のタイミングの方がゲーミングチップ70が多いベットチップスタックについて、キャッピングの不正に係る不正ゲーミングチップが含まれると判定し、第1のタイミングよりも第2のタイミングの方がゲーミングチップ70が少ないベットチップスタックについて、ピンチングの不正に係る不正ゲーミングチップが含まれると判定する。
【0116】
特に、第1のタイミングをベット段階の終了(すなわち、カードディール段階の開始)とし、第2のタイミングをカードディール段階の終了(すなわち、清算段階の開始)とすると、プレイヤがベットチップを増減させることを許されていないカードディール段階において、ベットチップを増減させる不正を発見することができる。なお、第1のタイミング及び第2のタイミングは、この例に限られず、ベットチップを増減させることが禁止されている任意の期間の開始及び終了を第1のタイミング及び第2のタイミングとしてよい。
【0117】
(変形例2)
上述のように、遊技テーブルシステム100は、不正ゲーミングチップを含むベットチップスタックを特定して、そのようなベットチップスタックをベットしたプレイヤを特定するために、チップ判定部82は、画像認識部81で認識されたベットチップスタックに含まれるゲーミングチップ70とプレイヤ特定部83で特定されたプレイヤとを対応付ける。また、チップ判定部82は、各ベットチップスタックのゲーミングチップ70の種類と枚数から、ベットチップの額(ベット額)を求める。情報処理装置80は、プレイヤのベット額をプレイヤデータベース91に記憶し、あるいは、プレイヤのベット額に基づいてプレイヤデータベース91におけるプレイヤの累積ベット額を更新する。
【0118】
上述のように、情報処理装置80は、RFIDタグ72から読み取った情報を各ベットチップスタック及びそのベットチップスタックがベットされたプレイヤ別ベットエリア201~205及びベット対象エリアに対応付ける。遊技テーブルシステム100は、さらに、カードシュー50からのゲーム結果の情報を用いることで、各プレイヤについて、勝ち額及び負け額を判定して、ベット額と共にプレイヤ識別情報に関連付けてプレイヤデータベース91に記憶するようにしてもよい。
【0119】
さらに、上述のように、ゲーミングチップ70のRFIDタグ72には、当該ゲーミングチップ70をユニークに特定するチップ識別情報が記憶されているので、このチップ識別情報をプレイヤ識別情報に対応付けることも可能である。チップ識別情報をプレイヤ識別情報に対応付けてチップデータベース90に記憶することで、情報処理装置80は、各プレイヤがどのゲーミングチップ70を所持しているかを把握できる。
【0120】
この場合には、遊技テーブル10においてベットされたゲーミングチップ70について、そのゲーミングチップ70をベットしたプレイヤが、チップデータベース90に当該ゲーミングチップ70の最新の所持者として記憶されているプレイヤと一致しないという状況を発見できる。また、例えば、キャッシャでプレイヤが所持しているゲーミングチップ70をキャッシュに換金する際に、それらのゲーミングチップ70の最新の所持者としてチップデータベース90に記憶されているプレイヤと当該換金を要求するプレイヤとが一致していないという状況を発見できる。遊技テーブルシステム100は、このような不整合を検知したときにアラートを出力するアラート装置を備えていてよい。遊技テーブル10においてこのような不整合を発見した場合には、ディスプレイ60をアラート装置として用いてもよい。これにより、マネーロンダリングや窃盗等の不法行為を発見できる。
【0121】
(変形例3)
なお、上記の実施の形態では、遊技テーブルシステム100がベット段階において、ベットエリア21のゲーミングチップ70のRFIDタグ72を繰り返して読み取り、かつ、カメラ40、41もベット段階において連続して撮影を行って画像を順次情報処理装置80に出力し、画像認識部81がカメラ40、41から送られてくる画像についてベットチップスタックの位置、及びそれに含まれるゲーミングチップ70の種類及び枚数を認識し、チップ判定部82がRFIDタグ72の読取結果と画像認識結果とに基づいてベットチップスタックにRFIDタグ72の読取結果を割り当て、その結果、不正がある場合には不正ゲーミングチップを含むベットチップスタックを特定した。
【0122】
すなわち、遊技テーブルシステム100は、ベット段階において、リアルタイムに、不正ゲーミングチップの検出を行い、ディスプレイ60を用いてアラートを出力した。これにより、カードディールが始まる前に正常なRFIDタグ72を有しない不正ゲーミングチップを発見でき、不正ゲーミングチップを用いたゲームが実施されることを回避できる。
【0123】
しかしながら、これに限らず、遊技テーブルシステム100は、ベット段階が終了した時点、すなわち、ベット内容が確定して(No More Bet)、カードディール段階が開始する時点で、上述の不正ゲーミングチップの検出を行ってもよい。
【0124】
さらに、上記の実施の形態では、遊技テーブルシステム100は、ベットチップについて、画像認識結果とRFIDタグ72の読取結果とに基づいて、RFIDタグ72から読み取られたチップ識別情報がどのベットチップスタックに存在するかを判定したが、同様の処理を、ゲームに勝ったプレイヤにディーラから払い出される払出ゲーミングチップについても行ってよい。これにより、上記の実施の形態同様に、払出ゲーミングチップに不正ゲーミングチップが含まれるか、払出ゲーミングチップがどのプレイヤに払われたかを判定できるだけでなく、情報処理装置80は、払出ゲーミングチップの額を把握することで、ベット額及びゲーム結果と合わせて、払出額が正しいかを判定することも可能であり、さらに、どのチップ識別情報を有するゲーミングチップ70がどのプレイヤ識別情報を有するプレイヤの所持するところとなったかを判定することも可能である。
【0125】
(変形例4)
また、上記の実施の形態では、複数のアンテナANT1~ANT9が各RFIDタグ72についての受信信号強度をリーダ24に返し、チップ判定部82は、これらの受信信号強度の情報を用いて、複数のアンテナANT1~ANT9で読み取られたゲーミングチップ70がどの小領域に位置するのかを推定したが、RFIDタグ72はリーダ24に受信信号強度を送信せず、単にRFIDタグ72に記憶された情報、又はその一部をリーダ24に送信するようにしてよい。この場合には、
図9に代えて、各アンテナANT1~ANT9の読取結果を示す値として、読み取れたか否か(1か0)を有する表が得られる。
【0126】
このような場合であっても、チップ判定部82は、各アンテナANT1~ANT9によるRFIDタグ72の読取結果に基づいて、RFIDタグ72から読み取られた情報を画像認識されたいずれかのベットチップスタックに割り当てる。
【0127】
(変形例5)
上記の実施の形態では、ベットエリア21において、プレイヤポジションが並ぶ方向(横方向)にプレイヤ別ベットエリア201~205が並んで配置され、アンテナANT1~ANT9も横方向に並べて配置された。これに加えて、又は、これに代えて、複数のアンテナをプレイヤからディーラに向かう方向(縦方向)に並べることで、そのような複数のアンテナによるRFIDタグ72の読取結果に基づいて、RFIDタグ72が読み取られたゲーミングチップ70が縦方向に分割された小領域のいずれに存在するかを推定することもできる。
【0128】
図12は、本発明の実施の形態の遊技テーブルシステムにおけるアンテナの配置の変形例を示す図である。
図12の例では、ベットエリア21において、上記の実施の形態と同様に横方向に9つのアンテナが互いにオーバラップするように配置されるとともに、縦方向にも3つのアンテナが互いにオーバラップするように配置されている。
【0129】
なお、上記の実施の形態及びこの
図12の変形例において、複数のアンテナは、隣り合うアンテナ(が作るループ)同士が互いにオーバラップするように配置されたが、アンテナが作るループが重なっていることは必須ではなく、各アンテナによる読取範囲が互いにオーバラップしていればよい。これにより、ベットエリア21内のいずれの位置に置かれたゲーミングチップ70についても、そのRFIDタグ72がいずれかのアンテナによって読み取られることが保証される。
【0130】
この場合には、チップ判定部82は、縦方向及び横方向に分別して得られたRFIDタグ72の読取結果に基づいて、RFIDタグ72から読み取った情報を画像認識で認識されたベットチップスタックに割り当てることができる。
【0131】
(変形例6)
上記の実施の形態では、情報処理装置80が画像認識部81、チップ判定部82、及びプレイヤ特定部83を備えていたが、これらの各部が別々の装置に備えられていてよい。この場合に、それぞれの装置がネットワークを介して通信可能であってもよい。例えば、画像認識部81がカジノの装置に設けられ、チップ判定部82及びプレイヤ特定部83がカジノの装置と通信可能なクラウド上の装置に設けられていてよい。
【0132】
(変形例7)
チップ判定部82は、同一のアンテナによって同じタイミングでRFIDタグ72が読み取られた複数のゲーミングチップ70を1つのチップスタックないしは1つのグループのチップスタックとして認識し、同一のアンテナによって別のタイミングでRFIDタグ72が読み取られた複数のゲーミングチップ70を上記の1つのチップスタックないしは1つのグループとは別の1つのチップスタックないしは1つのグループのゲーミングチップ70であると認識してよい。特に、ベットされたベットチップについては、同じアンテナによって同じタイミングで読み取った複数のベットチップについては同一のプレイヤによってベットされたものと認識してもよい。
【0133】
(変形例8)
遊技テーブルシステム100の情報処理装置80は、さらに、ゲーミングチップ70のRFIDタグ72の読取結果に基づいて、当該ゲーミングチップ70の所持者を特定する所持者特定部をさらに備えていてよい。この場合には、チップ判定部82は、推定された同じ領域に置かれている複数の前記ゲーミングチップ70のうちの、所持者特定部により同一の所持者により所持されていると特定された複数のゲーミングチップ70を1つのチップスタックとして認識する。所持者特定部は、ゲーミングチップ70のRFIDタグ72から読み取ったチップ識別情報(チップID)に基づいて、チップデータベース90を参照することで、当該ゲーミングチップ70の所持者を特定する。
【0134】
遊技テーブルシステム100の情報処理装置80は、さらに、ゲーミングチップ70を用いたゲームの結果、ゲームに勝ったゲーミングチップ70に対してディーラから支払われるゲーミングチップ70の所持者情報を、当該ゲームに勝ったゲーミングチップ70の所持者情報に書き換える所持者更新部をさらに備えていてよい。これにより、ディーラからプレイヤに対して支払われるゲーミングチップ70について、所持者情報が適切に更新されることになる。
【0135】
(変形例9)
上記の実施の形態では、遊技テーブル10においてゲーミングチップ70を認識する遊技テーブルシステム100を説明したが、本発明は、より広く一般的な物品についても応用可能である。すなわち、本発明は、RFIDタグを内蔵した物品を所定の場所で読み取るシステムに応用可能である。この場合に、読取りを行う所定の読取場所には、互いに近接又は接するように配置された複数の区分エリアが配置されている。このシステムは、読取場所の複数の個所に設けられ、読取範囲内の物品のRFIDタグを読み取るための複数のアンテナを含む読取手段を備えている。複数のアンテナのうちの互いに隣り合うアンテナの読取範囲は、互いにオーバラップしており、それによって前記複数のアンテナの読取範囲は前記複数の区分エリアをカバーしている。
【0136】
システムは、さらに、読取場所の互いに近接又は接するように配置された複数の区分エリアを撮影することで、読取場所に置かれた1又は複数の物品からなる物品群を含む画像を生成する撮像手段と、画像を分析することで、物品群の読取場所における位置及び物品群を構成する物品の種類及び個数を認識する画像認識手段とを備えている。システムは、判定手段を備え、判定手段は、読取手段の複数のアンテナのそれぞれによるRFIDタグの読取結果に基づいて物品が置かれている読取場所における複数のアンテナのうちのどのアンテナの読取範囲に対応する領域であって、当該対応するアンテナの読取範囲内のどのあたりの領域に置かれているかを推定可能であり、推定の結果と、画像認識手段による前記物品群の認識結果とに基づいて、画像認識手段により認識された物品群と読取手段によるRFIDタグの読取結果とを対応付ける。
【0137】
(変形例10)
上記の実施の形態及び変形例によって、以下の技術も提供される。
遊技テーブルシステムは、遊技テーブルの複数の個所に設けられ、読取範囲内の前記ゲーミングチップの前記RFIDタグを読み取るための複数のアンテナを含む読取手段と、
前記読取手段の前記複数のアンテナのそれぞれによる前記RFIDタグの読取結果に基づいて前記ゲーミングチップが置かれている位置を推定するチップ判定手段と、
を備え、
前記読取手段の前記複数のアンテナのうちの互いに隣り合うアンテナの読取範囲は、互いにオーバラップしており、それによって前記複数のアンテナの読取範囲は前記遊技テーブル上の前記ベットエリアの前記複数のベット対象エリアをカバーしており、
前記チップ判定手段は、前記複数のアンテナの読取結果の組合せに基づいて、前記複数のアンテナの読取範囲より小さい解像度で、前記ゲーミングチップが置かれている領域を推定する。
【0138】
遊技テーブルシステムは、
前記遊技テーブルの複数の個所に設けられ、読取範囲内の前記ゲーミングチップの前記RFIDタグを読み取るための複数のアンテナを含む読取手段と、
前記読取手段の前記複数のアンテナのそれぞれによる前記RFIDタグの読取結果に基づいて前記ゲーミングチップが置かれている位置を推定するチップ判定手段と、
を備え、
前記読取手段は、前記複数のアンテナを用いて繰り返し読取を行い、
前記チップ判定手段は、同一の前記アンテナによって同じタイミングで前記RFIDタグが読み取られた複数の前記ゲーミングチップを1つのグループをなすゲーミングチップとして認識し、同一の前記アンテナによって別のタイミングで前記RFIDタグが読み取られた複数のゲーミングチップを前記1つのグループとは別のグループのゲーミングチップとして認識する。
【符号の説明】
【0139】
10 遊技テーブル
21 ベットエリア
30 チップトレイ
40、41 カメラ
50 カードシュー
60 ディスプレイ
70 ゲーミングチップ
71 中心線
72 RFIDタグ
80 情報処理装置
81 画像認識部
82 チップ判定部
83 プレイヤ特定部
90 チップデータベース
91 プレイヤデータベース
100 遊技テーブルシステム
201~205 プレイヤ別ベットエリア