IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マン・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイーの特許一覧

特開2024-159654内燃機関の燃料噴射器および内燃機関
<>
  • 特開-内燃機関の燃料噴射器および内燃機関 図1
  • 特開-内燃機関の燃料噴射器および内燃機関 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159654
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】内燃機関の燃料噴射器および内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02M 61/18 20060101AFI20241031BHJP
   F02M 61/08 20060101ALI20241031BHJP
   F02M 61/10 20060101ALI20241031BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F02M61/18 320Z
F02M61/08 B
F02M61/08 E
F02M61/10 T
F02M37/00 341Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024071502
(22)【出願日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】10 2023 110 724.0
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
【住所又は居所原語表記】Stadtbachstr.1 86153 Augsburg,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・ディルムダム
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・クラウア
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066AB02
3G066AB06
3G066BA14
3G066CC10
3G066CC13
(57)【要約】
【課題】内燃機関の新しいタイプの燃料噴射器、およびこのような燃料噴射器を有する内燃機関を提供すること。
【解決手段】内燃機関のシリンダの燃焼室に燃料を供給するために設計された内燃機関の燃料噴射器であって、主本体と、第1のニードルガイド内で移動可能にガイドされる第1のニードル弁と、第1の液体燃料に対して第1のニードル弁と相互作用し、第1のチャネルを介してシリンダの燃焼室に結合できる第1のニードル燃料室と、第2のニードルガイド内で移動可能にガイドされる第2のニードル弁と、第2の液体燃料に対して第2のニードル弁(19)と相互作用し、第2のチャネル(22)を介してシリンダの燃焼室(2)に結合できる第2のニードル燃料室と、を有し、第1の内側開口部は、第1の円形輪郭上に配置され、かつ第2の内側開口部は、第1の円形輪郭周りで同心に延びる第2の円形輪郭上に配置される、燃料噴射器。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダ(1)の燃焼室(2)に燃料を供給するために設計された前記内燃機関の燃料噴射器(11)であって、
主本体(12)と、
第1のニードルガイド(13)内で移動可能にガイドされる第1のニードル弁(14)と、
第1の液体燃料に対して前記第1のニードル弁(14)と相互作用し、第1のチャネル(17)を介して前記シリンダの前記燃焼室(2)に結合できる第1のニードル燃料室(15)であって、前記第1のチャネル(17)は、第1の内側開口部(16i)を介して前記第1のニードル燃料室(15)に接続される、第1のニードル燃料室(15)と、
第2のニードルガイド(18)内で移動可能にガイドされる第2のニードル弁(19)と、
第2の液体燃料に対して前記第2のニードル弁(19)と相互作用し、第2のチャネル(22)を介して前記シリンダの前記燃焼室(2)に結合できる第2のニードル燃料室(20)であって、前記第2のチャネル(22)は、第2の内側開口部(21i)を介して前記第2のニードル燃料室(20)に接続される、第2のニードル燃料室(20)と、
を有し、
前記第1の内側開口部(16i)は、第1の円形輪郭上に配置され、かつ前記第2の内側開口部(21i)は、前記第1の円形輪郭周りで同心に延びる第2の円形輪郭上に配置される、燃料噴射器(11)。
【請求項2】
前記第2のニードル燃料室(20)は、少なくとも部分的に前記第1のニードル燃料室(15)周りに同心に配置される、請求項1に記載の燃料噴射器。
【請求項3】
前記第1のチャネル(17)の長手方向中心軸は、前記第2のチャネル(22)の前記長手方向中心軸に対して平行に延びる、請求項1または2に記載の燃料噴射器。
【請求項4】
前記第1のチャネル(17)の長手方向中心軸、および前記第2のチャネル(22)の長手方向中心軸は、その流れ方向で見て分岐している、請求項1または2に記載の燃料噴射器。
【請求項5】
前記第1のチャネル(17)の長手方向中心軸、および前記第2のチャネル(22)の長手方向中心軸は、その流れ方向で見て集束している、請求項1または2に記載の燃料噴射器。
【請求項6】
前記第1の円形輪郭の直径(d1)と、前記第2の円形輪郭の直径(d2)と、の間の比(d1/d2)は、0.1から0.5の間、または0.2から0.3の間である、請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料噴射器。
【請求項7】
前記主本体(12)は、第1の挿入部(24)が配置される第1の凹部(23)を備え、前記第1の挿入部(24)は、前記第1のニードル弁(14)に対する前記第1のニードルガイド(13)、前記第1のニードル燃料室(15)、および前記第1のチャネル(17)を提供する、請求項1から6のいずれか一項に記載の燃料噴射器。
【請求項8】
前記主本体(12)は、前記第2のニードル燃料室(20)、および前記第2のチャネル(22)を提供する、請求項7に記載の燃料噴射器。
【請求項9】
前記主本体(12)は、第2の挿入部(26)が配置される第2の凹部(25)を備え、前記第2の挿入部(26)は、前記第2のニードル弁(19)に対する前記第2のニードルガイド(18)を提供する、請求項7または8に記載の燃料噴射器。
【請求項10】
前記第1の燃料は、第2の燃料を着火するように作用する、請求項1から9のいずれか一項に記載の燃料噴射器。
【請求項11】
内燃機関であって、
シリンダ(1)内において燃焼させるために、第2の燃料を、第1の燃料の支援を得て着火させるように装備された前記シリンダ(1)を有し、
各シリンダ(1)は、請求項1から10のいずれか一項に記載の燃料噴射器(11)を備える、内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃料噴射器に関する。さらに、本発明は内燃機関に関する。
【0002】
本発明は、特に、いわゆる大型エンジンまたは大型の内燃機関の分野に関し、そのシリンダは、少なくとも140mm、特に少なくとも175mmのピストン直径を有する。このような大型の内燃機関は、例えば、舶用機関である。
【背景技術】
【0003】
2系統燃料内燃機関は、すでに舶用機関として知られている。実務から知られている2系統燃料内燃機関は、第1の燃料を、特に比較的着火性のよい第1の液体を燃焼させる第1の動作モードで動作させ、また第2の燃料を、特にガス状の燃料である第2の燃料を、または比較的着火性の低い燃料である第2の液体燃料を燃焼させる第2の動作モードで動作させることができる。
【0004】
第1の動作モードで燃焼する、比較的着火性のよい燃料である第1の液体は、例えば、ディーゼル燃料とすることができる。第2の動作モードで燃焼する、比較的着火性の低い燃料である第2の液体は、例えば、メタノール、エタノール、またはアンモニアとすることができる。第2の動作モードでは、それ自体で比較的着火性の低いメタノール、エタノール、またはアンモニアは、第1の動作モードで利用される比較的着火性のよい第1の液体燃料、すなわち、ディーゼル燃料を介して着火させることができる。
【0005】
異なる液体燃料が燃焼され得る実務から知られた内燃機関は、通常、各液体燃料に対して別の燃料噴射器を有する。これには、比較的多くの取付けスペースを要するため、不利である。燃料噴射器に割り当てられるシリンダの燃焼室の中に、2つの液体燃料を導くのに適した燃料噴射器が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このことから、本発明は、内燃機関の新しいタイプの燃料噴射器、およびこのような燃料噴射器を有する内燃機関を作成する目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1による燃料噴射器により解決される。
【0008】
燃料噴射器は、主本体と、第1のニードルガイド内で移動可能にガイドされる第1のニードル弁と、第2のニードルガイド内で移動可能にガイドされる第2のニードル弁と、を備える。
【0009】
さらに、燃料噴射器は、第1の液体燃料に対して第1のニードル弁と相互作用し、かつシリンダの燃焼室に、第1のチャネルを介して結合され得る第1のニードル燃料室を備え、ここにおいて、第1のチャネルは、第1の内側開口部を介して第1のニードル燃料室に接続される。
【0010】
さらに、燃料噴射器は、第2の液体燃料に対して第2のニードル弁と相互作用し、かつシリンダの燃焼室に、第2のチャネルを介して結合され得る第2のニードル燃料室を備え、ここにおいて、第2のチャネルは、第2の内側開口部を介して第2のニードル燃料室に接続される。
【0011】
第1の内側開口部は、第1の円形輪郭上に配置され、または第2の内側開口部は、第1の円形輪郭周りで同心に延びる第2の円形輪郭上に配置される。
【0012】
本発明による燃料噴射器は、少なくとも2つのニードル弁を備えたマルチニードル噴射器であり、各ニードル弁は、各ニードルガイド内でガイドされて、各ニードル燃料室と相互作用する。各ニードル燃焼室は、チャネルを介して、シリンダの燃焼室に接続される。
【0013】
第1の内側開口部が、第1の円形輪郭上に配置され、また第2の内側開口部が、第1の円形輪郭周りで同心に延びる第2の円形輪郭上に配置される点において、燃料は、特に、液体燃料の導入が少なくとも部分的に同時に行われるとき、チャネルを介して燃焼室の中に導入されるので、特に有利であり得る。その場合、こうすることは、他の比較的着火性のある液体燃料を介して、比較的着火性の低い液体燃料を着火させることができて、特に有利である。燃料は、燃焼室内で均等に、かつ均一に広がることができ、その結果、複数の液体燃料が導入されたとき、均等な混合物の伝播を確実に行うことができる。
【0014】
第1の円形輪郭の直径と、第2の円形輪郭の直径と、の間の比は、0.1から0.5の間、特に、0.2から0.3の間であることが好ましい。こうすることは、燃焼室の中に導入される複数の液体燃料の混合物の均等な混合伝搬を確実に行うために、特に、液体燃料が少なくとも部分的に同時に燃焼室内に導入される場合に好ましい。
【0015】
第1のチャネルの長手方向の中心軸が、第2のチャネルの長手方向の中心軸に平行に延びることが好ましい。代替的に、第1のチャネルの長手方向の中心軸、および第2のチャネルの長手方向の中心軸は、その流れ方向で見て、分岐するまたは集束するように提供することができる。本発明による燃料噴射器の支援を用いる場合、シリンダの燃焼室の中に導入される液体燃料に応じて、第1のチャネルおよび第2のチャネルの長手方向中心軸の方向を選択することができる。
【0016】
好ましくは、第2のニードル燃料室は、少なくとも部分的に、第1のニードル燃料室周りに同心に配置される。こうすることは、第2のニードル燃料室から生ずる燃料を第2の開口部に供給するために特に好ましい。
【0017】
好ましくは、主本体は、第1の挿入部が配置される第1の凹部を備え、第1の挿入部は、第1のニードル弁に対する第1のニードルガイド、第1のニードル燃料室、および
第1のチャネルを提供する。好ましくは、主本体は、第2のニードル燃料室および第2のチャネルを提供する。
【0018】
好ましくは、主本体は、第2の挿入部が配置される第2の凹部を備え、第2の挿入部は、第2のニードル弁に対する第2のニードルガイドを提供する。この実施形態は、特に燃料噴射器が、複数の個々の部分から構成される場合に有利である。
【0019】
代替的に、燃料噴射器の一体構造設計も可能であり、その場合、それは、特に3D印刷によって製作される。
【0020】
本発明による内燃機関は、請求項11で定義される。
【0021】
本発明の好ましいさらなる展開は、下位の請求項および以下の記述から得られる。本発明の例示的な実施形態は、これに限定されることなく、図面によってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による2系統燃料内燃機関の、第1の燃料噴射器による概略的な横断面図である。
図2】本発明による2系統燃料内燃機関の、第2の燃料噴射器による概略的な横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、内燃機関のシリンダ1の領域に取り付けられた燃料噴射器11による概略的な横断面図を示しており、ここにおいて、燃料噴射器11を介して、液体燃料が、シリンダ1の燃焼室2の中に導入され得る。燃料噴射器11は、主本体12を有し、主本体12を介して、シリンダ1のシリンダヘッド3に取り付けられる。
【0024】
さらに、燃料噴射器11は、内部で移動可能にガイドされる第1のニードル弁14を備える第1のニードルガイド13を有する。第1のチャネル17を介して燃焼室2に接続される第1のニードル燃料室15は、第1のニードル弁14と相互作用する。第1のチャネル17は、第1の半径方向の内側開口部16iを介して、第1のニードル燃料室15へと導かれ、かつ第1の半径方向の外側開口部16aを介して、シリンダ1の燃焼室2の中へと導かれる。
【0025】
さらに、燃料噴射器11は、内部で移動可能にガイドされる第2のニードル弁19を備える第2のニードルガイド18を有する。第2のニードル弁19は、第2のチャネル22を介して燃焼室2に接続される第2のニードル燃焼室20と相互作用する。第2のチャネル22は、第2の半径方向の内側開口部21iを介して、第2のニードル燃料室20へと導かれ、かつ第2の半径方向の外側開口部21aを介して、シリンダ1の燃焼室2の中へと導かれる。
【0026】
第1の内側開口部16iは、第1の直径d1を有する第1の円形輪郭上に配置される。第2の内側開口部21iは、第2の直径d2を有する第2の円形輪郭上に配置され、ここにおいて、第2の円形輪郭は、第1の円形輪郭周りで同心に延びる。
【0027】
第1の外側開口部16aは、第3の直径を有する第3の円形輪郭上に配置される。第2の外側開口部21aは、第4の直径を有する第4の円形輪郭上に配置され、ここにおいて、第4の円形輪郭は、第3の円形輪郭周りで同心に延びる。
【0028】
特に、第3の円形輪郭は、第2の円形輪郭周りで同心に延びる。
【0029】
第1の液体燃料および第2の液体燃料は、このようなチャネル17、22により、各シリンダ1の燃焼室2の中に導かれるので特に有利であり得るが、特に、2つの液体燃料が少なくとも部分的に同時に燃焼室の中に導入されたとき、それは、燃料噴射器11に、各シリンダ1の燃焼室2内の2つの液体燃料の間で、均等かつ均一な混合を提供できるようにする。
【0030】
第1の内側開口部16iが配置される第1の円形輪郭の第1の直径d1と、第2の内側開口部21iが配置される第2の円形輪郭の第2の直径d2と、の間の比d1/d2は、0.4から0.9の間、特に0.5から0.8の間である構成が特に有利である。こうすることは、燃焼室12の中に少なくとも部分的に同時に導かれる液体燃料の均等な混合物の形成に対して特に好ましい。
【0031】
第1のチャネル17の支援を得てシリンダの燃焼室12の中に導かれ得る第1の液体燃料は、特に、比較的着火性のよいディーゼル燃料である。第2のチャネル22を介して、シリンダの燃焼室12の中に導かれる第2の液体燃料は、比較的着火性の低い燃料、特にメタノール、エタノール、またはさらにアンモニアである。この比較的着火性の低い第2の液体燃料は、第1の液体燃料の助けを借りて着火されるので有利であり得る。
【0032】
第2のニードル燃料室20は、少なくとも部分的に、第1のニードル燃料室15周りで同心に配置される。第2のニードル燃料室20は、特に環状の容積のものであり、それは、第1のニードル燃料室15の周りで離間されて延びる。このため、第2のニードル燃料室20から出る第2のチャネル22は、特に有利に燃料が供給され得る。
【0033】
すでに説明したように、第1のチャネル17は、第1の内側開口部16iを介して第1のニードル燃料室15に接続され、また、第2のチャネル22は、第2の内側開口部21iを介して第2のニードル燃料室20に接続される。第1および第2のチャネル17、22は、長手方向中心軸を有する。
【0034】
第1の構成において、第1のチャネル17の長手方向中心軸、および第2のチャネル22の長手方向中心軸が、互いに対して平行に延びるように提供される。代替的に、第1のチャネル17の長手方向中心軸および第2のチャネル22の長手方向中心軸は、その流れ方向で見て、すなわち、シリンダ1の燃焼室2の方向に分岐するように、あるいは集束するように提供される。
【0035】
チャネル17、22の長手方向中心軸の方向付けに応じて、燃焼室12の中に導かれる液体燃料の混合物の形成は、影響され得る、または調整され得る。
【0036】
流れ方向に収束する第1のチャネル17および第2のチャネル22の長手方向中心軸は、第1の液体燃料と共に着火される第2の液体燃料が、特に比較的低い蒸発エンタルピーを有する場合に使用されると有利である。したがって、パワーを増加し、放出を低減するために、比較的着火性の低い第2の液体燃料に対する比較的着火性のよい第1の液体燃料の距離は、液体燃料の噴射中に最小化することができる。
【0037】
流れ方向に分岐する第1のチャネル17および第2のチャネル22の長手方向中心軸は、特に、第1の液体燃料と共に着火される第2の液体燃料が比較的高い蒸発エンタルピーを有する場合に使用されると有利である。したがって、確実な着火を行うために、第1の液体燃料の領域における過度の冷却を回避することができる。
【0038】
図1の例示的な実施形態では、ニードルガイド13、18の両方、かつニードル燃料室15、20の両方は、主本体12の一体部分である。この場合、主本体12は、2つのニードルガイド13、18と、2つのニードル燃料室15、20と、を提供する。この場合、燃料噴射器11は、3D印刷により製作されることが好ましく、その後に機械的な手直しを行い、かつ/または熱処理を行うことが好ましい。
【0039】
これと比較すると、図2は、複数の個々の部品から構成された燃料噴射器11の例示的な実施形態を概略的に示す。図2では、主本体12は、第1の挿入部24が配置される凹部23を備える。第1の挿入部24は、第1のニードル弁14に対する第1のニードルガイド13、第1のニードル燃料室15、第1のチャネル17、および第1の開口部16i、16aを提供する。
【0040】
主本体12は、第2のニードル燃料室20、第2のチャネル22、および第2の開口部21i、21aを提供し、ここにおいて、第1の挿入部13は、半径方向内側に、第2のニードル燃料室20の範囲を定める、または封止する。
【0041】
主本体12は、第2の挿入部26が配置される第2の凹部25を備えることが好ましい。第2の挿入部26は、第2のニードル弁19に対する第2のニードルガイド18を提供する。
【0042】
図1には示されていない燃料孔27、28を介して、各燃料を、各ニードル弁14、19の方向に導くことができる。
【0043】
図2の実施形態では、特に、ニードル弁14、19と相互作用する挿入部24、26を主本体12とは異なる金属材料から製作するように提供される。
【0044】
さらに、本発明はシリンダ1を備える内燃機関に関し、各シリンダ1は、本発明による燃料噴射器11を備える。すでに説明したように、特に、内燃機関のシリンダ1において、例えば、メタノール、エタノール、またはアンモニアなどの比較的着火性の低い燃料が、ディーゼル燃料などの比較的着火性のよい液体燃料と共に燃焼され、着火される場合に、均一な、または均等な混合物の伝播を、各シリンダ1の燃焼室2において確実に行うことができるが、それは、ディーゼルエンジンの燃焼原理による燃焼法に対して特に有利である。しかし、本発明による燃料噴射器11はまた、スパーク点火燃焼法を用いて使用することもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 シリンダ
2 燃焼室
3 シリンダヘッド
11 燃料噴射器
12 主本体
13 ニードルガイド
14 ニードル弁
15 ニードル燃料室
16a 外側開口部
16i 内側開口部
17 チャネル
18 ニードルガイド
19 ニードル弁
20 ニードル燃料室
21a 外側開口部
21i 内側開口部
22 チャネル
23 凹部
24 挿入部
25 凹部
26 挿入部
27 燃料孔
28 燃料孔
図1
図2
【外国語明細書】