(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159656
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】端子ラックアセンブリ、電気機械のステータ、および端子ラックアセンブリを製造する方法
(51)【国際特許分類】
H02K 3/50 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H02K3/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024071599
(22)【出願日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】10 2023 110 782.8
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2024 110 495.3
(32)【優先日】2024-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】517175611
【氏名又は名称】ジーケーエヌ オートモーティブ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト ペーニャ ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ガルシア ウルビエタ
(72)【発明者】
【氏名】オスカー バオンサ
(72)【発明者】
【氏名】アイトル テハド
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA00
5H604BB01
5H604BB03
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604DB01
5H604QB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンパクトな端子ラックアセンブリを提供する。
【解決手段】絶縁体と、ステータのヘアピン巻線導体に接続されるように配置された接続パッド4を有する複数の電気導体とを備えており、複数の電気導体は、少なくとも1つの中性導体と複数の相導体とを形成しており、相導体は、ステータの電流供給部に接続されるように配置された接続部材を有している、電気機械のステータ用の端子ラックアセンブリ1、ヘアピン巻線導体と端子ラックアセンブリとを備える電気機械のステータ、および端子ラックアセンブリを製造する方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械のステータ用の端子ラックアセンブリ(1)であって、当該端子ラックアセンブリは、
絶縁体(2)と、
ステータのヘアピン巻線導体(5)に接続されるように配置された接続パッド(4)を有する複数の電気導体(3)と
を備えており、
該複数の電気導体(3)は、少なくとも1つの中性導体(6)と複数の相導体(7)とを形成しており、該相導体はそれぞれ、前記ステータの電流供給部に接続されるように配置された接続部材(8)を有しており、該接続部材は、各前記相導体と一体に設計されており、
前記複数の電気導体(3)は、前記絶縁体(2)により支持されており、
前記複数の電気導体(3)は、周方向の第1の延在部と軸線方向の第2の延在部とを有しており、かつ
前記少なくとも1つの中性導体(6)と前記相導体(7)とは、半径方向において重なり合うように配置されている、
端子ラックアセンブリ(1)。
【請求項2】
各前記接続部材(8)を備えた前記相導体(7)は、金属薄板から製造された打抜き曲げ加工部品として設計されている、請求項1記載の端子ラックアセンブリ。
【請求項3】
前記相導体(7)は相導体アーム(9)を有しており、前記少なくとも1つの中性導体(6)は少なくとも1つの中性導体アーム(10)を有しており、前記相導体アームと前記少なくとも1つの中性導体アームとは、同一の軸線方向位置に配置されており、軸線方向において同一の延在長さを有している、請求項1記載の端子ラックアセンブリ。
【請求項4】
前記相導体アーム(9)は、各前記接続部材(8)から2つの互いに反対の周方向に延びており、前記相導体アーム(9)の2つの遠位端部はそれぞれ、前記接続パッド(4)のうちの1つを支持している、請求項3記載の端子ラックアセンブリ。
【請求項5】
前記接続部材(8)は突起(16)を有しており、該突起は前記相導体アーム(9)に対して特に約90°だけ曲げられている、請求項3記載の端子ラックアセンブリ。
【請求項6】
突起(16)は、前記軸線方向に対して垂直な平面内に延びている、請求項1記載の端子ラックアセンブリ。
【請求項7】
前記中性導体(6)は、少なくとも2つの電気的に別個の中性導体アーム(10)を備えている、請求項2記載の端子ラックアセンブリ。
【請求項8】
前記中性導体(6)は、ブリッジ区間(11)において電気的に接続された少なくとも2つの中性導体アーム(10)を備えている、請求項2記載の端子ラックアセンブリ。
【請求項9】
前記ブリッジ区間(11)は、前記軸線方向において相導体アーム(9)のうちの1つを架橋している、請求項8記載の端子ラックアセンブリ。
【請求項10】
前記接続パッド(4)は全て、同一の軸線方向位置に配置されている、請求項1記載の端子ラックアセンブリ。
【請求項11】
前記複数の電気導体(3)は、周方向に120°未満の角度にわたり、好適には110°未満の角度にわたり、より好適には約106°の角度にわたり延在している、請求項1記載の端子ラックアセンブリ。
【請求項12】
前記絶縁体(2)は、前記電気導体(3)を少なくとも部分的に包囲し、前記接続パッド(4)および前記接続部材(8)に対して開口を備えたプラスチック成形品である、請求項1記載の端子ラックアセンブリ。
【請求項13】
電気機械のステータであって、ヘアピン巻線導体(5)と請求項1記載の端子ラックアセンブリ(1)とを備えており、前記ヘアピン巻線導体(5)は、複数の接続ピン(12)を有しており、該接続ピン(12)は、前記接続パッド(4)に接続されている、ステータ。
【請求項14】
前記ヘアピン巻線導体(5)は、相毎に少なくとも2つの平行な分岐部を形成しており、各分岐部は、それぞれの遠位端部に中性コネクタピンと相コネクタピンとを有しており、前記中性導体(6)は、少なくとも2つの電気的に別個の中性導体アーム(10)を備えており、各相の少なくとも2つの前記中性コネクタピンは、それぞれ別個の前記中性導体アーム(10)に分散されて接続されている、請求項13記載のステータ。
【請求項15】
請求項1から12までのいずれか1項記載の端子ラックアセンブリ(1)を製造する方法であって、
-金属薄板の打抜きおよび曲げにより、前記複数の電気導体(3)を形成するステップであって、前記相導体(7)をそれぞれ、前記ステータの電流供給部に接続するための接続部材(8)と一体に形成する、ステップと、
-前記少なくとも1つの中性導体(6)と前記相導体(7)とを、半径方向において重なり合うように配置するステップと、
-前記電気導体(3)を、プラスチック成形により前記絶縁体(2)内で少なくとも部分的に包囲するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、絶縁体と、ステータのヘアピン巻線導体に接続されるように配置された接続パッドを有する複数の電気導体とを備える、電気機械のステータ用の端子ラックアセンブリ、ヘアピン巻線導体と端子ラックアセンブリとを備える電気機械のステータ、および端子ラックアセンブリを製造する方法に関する。
【0002】
米国特許出願公開第2021/359568号明細書には、ロータおよびステータを含む回転電気機械が開示されている。ステータは、コイルエンドを有している。コイルエンドは、複数の導線を有している。複数の導線は、半径方向に関して内側の導線と、半径方向に関して内側の導線の外側の外側導線とを含み、この場合、同一相巻線の内側導線と外側導線とは、ステータコアの同一径線上に配置されている。回転電気機械は、複数の板状の接続部材を含む。内側導線および外側導線は、複数の接続部材に電気的に接続されかつ機械的に結合されている。複数の接続部材は、内側導線からの伝熱経路を提供する。
【0003】
欧州特許第3567703号明細書には、電気機械用のステータが開示されており、このステータは、複数のヘアピン型の導体を備えており、ヘアピン型の導体は、3つのステータ巻線を形成するように互いに接続されている。ステータは、送電用の複数の送電部材を備えており、各送電部材は1つのステータ巻線に割り当てられている。ステータは、1つの回路を形成するために複数のステータ巻線を接続するための接続部材を備えており、この場合、ステータは複数の絶縁部材を有しており、少なくとも1つの絶縁部材により、ステータの軸線方向の両側で接続部材が絶縁されており、この場合、少なくとも1つの第1の絶縁部材は、送電部材に対して絶縁するために、接続部材の第1の軸線方向端部に形成されており、少なくとも1つの第2の絶縁部材は、ヘアピン型の導体の端部領域に対して絶縁するために、接続部材の第2の軸線方向端部に形成されている。
【0004】
米国特許出願公開第2019/315031号明細書には、第1の樹脂部と、第1の樹脂部により被覆された金属部とを備えた成形体が開示されており、この場合、金属部は、外部電源と回転電気機械のコイルとを電気的に接続するように構成されたバスバーである。第1の樹脂部は、第1の樹脂部の第1の端部から突出する突出部を有しており、第2の樹脂部は、突出部の延在方向において第1の端部に対して突出部とは反対の側に配置され、かつ第1の樹脂部が延在方向に突出した状態で第1の樹脂部を被覆する第2の端部を有している。第1の端部と第2の端部との間に位置する第1の樹脂部の一部は、平坦面に形成されている。第1の樹脂部は、複数の金属部をそれぞれ個別に被覆しており、第2の樹脂部は、第1の樹脂部をまとめて被覆している。第1の樹脂部は、金属部に装着されている。
【0005】
国際公開第2021/191524号には、絶縁支持体と、ステータ巻線導体およびステータの電力供給バスに対する接続パッドを有する4つの電気導体から成るアセンブリとを備え、絶縁支持体により支持された、外部ステータ用のコネクタが開示されている。複数の導体から成るアセンブリは、ステータの軸線に対して平行に向けられた少なくとも1つの中性導体と、ステータの軸線に対して垂直に向けられた少なくとも1つの導体とを有している。
【0006】
米国特許出願公開第2020/287447号明細書には、少なくとも2つの同心円上に配置された複数のピンと、2つの導電性の脚部に接続され、脚部により支持された少なくとも1つのコンタクト面を有するインタフェースとを備えた、電気機械用のステータが開示されており、この場合、脚部は、異なる同心円上の少なくとも1つのピンに接続されている。インタフェースの両側の脚部により、コンタクト面はステータに支持されており、ひいてはインバータから相導体を接続するための取付け点を提供することができるようになっている。ピンは、ステータの内側領域内の同心円上と、ステータの外側領域内の同心円上とに配置されている。インタフェースは、単に外側および内側の同心円上のピンに接続されているに過ぎないため、同心円上のピンは、その間をインタフェースによりつながれている。脚部は、脚部の安定性を損なうことなく脚部と他のピンとの間の絶縁距離を保つために、ピンとコンタクト面との間にねじれを有している。
【0007】
国際公開第2021/025179号は、ステータアセンブリと、このアセンブリを備えたモータとに関する。ステータアセンブリは、導線、導線バスバーおよび中性線バスバーを含む接続リングを有しており、この場合、導線バスバーおよび中性線バスバーをステータコイルに接続し、かつ接続リングを支持するために支持構造が設けられており、支持構造は、前記導線バスバーおよび前記中性線バスバーのそれぞれに接続された複数のバスバー接続部と、複数の線を接続するための結線バスバーとを備えており、前記結線バスバーは、前記複数のバスバー接続部のそれぞれに接続されており、かつ互いに異なる層に配置された複数の導体セグメントを接続している。
【0008】
ターミナルラックアセンブリは、多数の異なる部品を含む場合が多く、このことは、組立てプロセスを複雑にする。さらに、長い中性バスバーは、その他の巻線よりも高い温度に加熱される傾向があり、適用可能な電流を制限する。また、結果として電流の不平衡が生じる恐れがある。
【0009】
目的は、電気機械のステータ用の、よりコンパクトな端子ラックアセンブリを提供することにある。
【0010】
1つの態様では、電気機械のステータ用の端子ラックアセンブリは、絶縁体と、ステータのヘアピン巻線導体に接続されるように配置された接続パッドを有する複数の電気導体とを備えている。接続部材は、各相導体と一体に設計されている。複数の電気導体が、少なくとも1つの中性導体と複数の相導体とを形成しており、相導体は、ステータの電流供給部に接続されるように配置された接続部材を有している。複数の電気導体は、絶縁体に支持されており、周方向の第1の延在部と軸線方向の第2の延在部とを有しており、この場合、少なくとも1つの中性導体と複数の相導体とは、半径方向において重なり合うように配置されている。
【0011】
半径方向において重なり合うために、少なくとも1つの中性導体と相導体とは少なくとも部分的に、軸線方向と周方向とにおいて一致する位置に配置されている。これらの部品が、軸線方向と周方向とにおいて同じ位置にある場合、これらの部品は必然的に、それぞれ半径方向において互いに所定の間隔をあけて、互いに隣接して配置されるはずである。ステータは一般に、端子ラックアセンブリに関して軸線方向、半径方向および周方向を規定する円筒形を有している。ステータの長手方向軸線上の1つの点から半径方向に見ると、中性導体の一部は、相導体の前または後ろに位置している。少なくとも1つの中性導体と相導体とが重なり合った配置ならびに一体的に接続される接続部材の、相導体への直接的な配置は、有利には端子ラックアセンブリのコンパクトな設計をもたらす。
【0012】
1つの実施形態では、相導体は相導体アームを有しており、少なくとも1つの中性導体は少なくとも1つの中性導体アームを有しており、相導体アームと少なくとも1つの中性導体アームとは、同一の軸線方向位置に配置されており、軸線方向において同一の延在長さを有している。相導体アームは、各接続部材から2つの互いに反対の周方向に延びていてよく、相導体アームの2つの遠位端部はそれぞれ、複数の接続パッドの1つを支持している。
【0013】
相導体は、各接続部材を備えて、金属薄板から製造された打抜き曲げ加工部品として設計され得る。接続部材は突起を有していてよく、この場合、突起は相導体アームに対して特に約90°だけ曲げられている。よって突起は、軸線方向に対して垂直な平面内に延びていてよい。
【0014】
1つの別の実施形態では、中性導体は、少なくとも2つの電気的に別個の中性導体アームを備えている。追加的または択一的に、中性導体は、ブリッジ区間において電気的に接続された少なくとも2つの中性導体アームを備えている。ブリッジ区間および/または別個の中性導体アームは、有利には、少なくとも1つの中性導体と相導体とが半径方向において重なり合うように配置されることを可能にする。ブリッジ区間は、有利には軸線方向において相導体アームのうちの1つを架橋することができる。
【0015】
少なくとも1つの中性導体と相導体とが半径方向において重なり合う配置は、有利には、接続パッドが全て同一の軸線方向位置に配置されることを可能にし、これにより、ステータのヘアピン巻線導体に対する、溶接による接続確立プロセスが向上している。
【0016】
1つの別の実施形態では、複数の電気導体は、周方向に120°未満の角度にわたり、好適には110°未満の角度にわたり、より好適には約106°の角度にわたり延在している。周方向における分散の低減はさらに、ステータのヘアピン巻線導体に対する、溶接による接続確立プロセスを向上させる。
【0017】
1つの別の実施形態では、絶縁体は、電気導体を少なくとも部分的に包囲し、接続パッドに対する導体アーム上と接続部材上とに開口を備えたプラスチック成形品である。絶縁体は、少なくとも1つの中性導体と相導体とを互いに絶縁し、かつこれらの相対位置を維持するラック支持体を形成している。
【0018】
1つの別の態様では、電気機械のステータは、上述したヘアピン巻線導体と端子ラックアセンブリとを備えており、ヘアピン巻線導体は複数の接続ピンを有しており、接続ピンは接続パッドに接続されている。溶接によりこれらの接続を確立するプロセスは、有利には、端子ラックアセンブリのコンパクトな設計により向上させられる。それというのも、溶接機が全ての溶接スポットに到達するために軸線方向と周方向とに移動する距離が少なくて済むからである。
【0019】
1つの別の実施形態では、コネクタピンは全て、軸線方向に同じ距離だけ延びている。全てが同一の軸線方向位置に配置された接続部により、溶接機が溶接スポットの間で軸線方向に移動する必要は全くない。
【0020】
1つの別の実施形態では、ヘアピン巻線導体は、ステータの複数のスロット内に配置されており、コネクタピンは、周方向において3分の1未満のスロットにまたがる区間にわたり分散されている。周方向において120°未満の角度にわたって延びる複数の電気導体により、溶接機は、全ての溶接スポットに到達するために、周方向において120°未満をカバーすれば済む。
【0021】
1つの別の実施形態では、ヘアピン巻線導体は、複数の相を形成しており、相毎に1つの相導体が提供されている。相毎に相導体が1つだけ設けられていることにより、複数の電気導体のそれぞれ異なる部品の数が、有利には減少させられる。例えば3つの相には、3つの異なる相導体と、少なくとも1つの中性導体とが必要である。ヘアピン巻線導体が、相毎に少なくとも2つの平行な分岐部を形成しており、各分岐部が、それぞれの遠位端部に中性コネクタピンと相コネクタピンとを有している場合、中性導体は、少なくとも2つの電気的に別個の中性導体アームを備えていてよく、各相の少なくとも2つの中性コネクタピンは、それぞれ別個の中性導体アームに分散されて接続される。
【0022】
1つの別の態様では、上述のような端子ラックアセンブリを製造する方法は、
-金属薄板の打抜きおよび曲げにより、複数の電気導体を形成するステップであって、相導体をそれぞれ、ステータの電流供給部に接続するための接続部材と一体に形成する、ステップと、
-少なくとも1つの中性導体と相導体とを、半径方向において重なり合うように配置するステップと、
-電気導体を、プラスチック成形により絶縁体内で少なくとも部分的に包囲するステップと
を含む。
【0023】
以下に本発明による、電気機械のステータ、端子ラックアセンブリ、および端子ラックアセンブリを製造する方法を、添付の図面に示された例示的な実施形態を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1~
図3は、本発明による端子ラックアセンブリを備えた電気機械のステータの1つの例示的な実施形態をそれぞれ異なる視点で示す図である。
【
図2】
図1~
図3は、本発明による端子ラックアセンブリを備えた電気機械のステータの1つの例示的な実施形態をそれぞれ異なる視点で示す図である。
【
図3】
図1~
図3は、本発明による端子ラックアセンブリを備えた電気機械のステータの1つの例示的な実施形態をそれぞれ異なる視点で示す図である。
【
図4】
図1に示した端子ラックアセンブリを分解図で示す図である。
【
図6】
図6~
図8は、端子ラックアセンブリの複数の電気導体を3つの異なる視点で示す図である。
【
図7】
図6~
図8は、端子ラックアセンブリの複数の電気導体を3つの異なる視点で示す図である。
【
図8】
図6~
図8は、端子ラックアセンブリの複数の電気導体を3つの異なる視点で示す図である。
【
図9】
図9~
図13は、
図1に示した端子ラックアセンブリをそれぞれ異なる視点で示す図である。
【
図16】
図16は、溶接スポットが示された、
図1に示した電気機械のステータを示す図である。
【0025】
図1~
図3には、端子ラックアセンブリ1を備えた電気機械のステータの1つの例示的な実施形態が示されている。
図1~
図3をまとめて説明する。ステータのうち、ヘアピン巻線導体5および端子ラックアセンブリ1のみが示されている。ヘアピン巻線導体5のうち、1つのセグメント、すなわち端子ラックアセンブリ1が配置されているセグメントのみが示されている。当業者は、ヘアピン巻線導体5が一般にステータの全周に沿って配置されていることを知っている。円筒形のステータの長手方向軸線Aが、軸線方向を規定する。矢印Rは、長手方向軸線Aに対する半径方向を表している。長手方向、軸線方向および対応する周方向は、ステータまたはヘアピン巻線導体5が図示されているか否かに関係なく、端子ラックアセンブリ1に適用される。
【0026】
図4には、
図1に示した端子ラックアセンブリ1が分解斜視図で示されている。端子ラックアセンブリ1は、絶縁体2と、ステータのヘアピン巻線導体5に接続されるように配置された複数の接続パッド4を有する複数の電気導体3とを備える。図示の実施形態の複数の電気導体3は、少なくとも1つの中性導体6と、一般に相毎に1つの、3つの相導体7とを形成している。相導体7は、ステータの電流供給部(図示せず)に接続されるように配置された接続部材8を有している。相導体7は相導体アーム9を有しており、少なくとも1つの中性導体6は、少なくとも1つの中性導体アーム10を有している。相導体アーム9は、各接続部材8から2つの互いに反対の周方向に延びている。相導体アーム9の各遠位端部には、接続パッド4のうちの1つが配置されている。図示の実施形態では、中性導体6は、2つの電気的に別個の中性導体アーム10を備えている。各接続部材8を備えた相導体7は、金属薄板から製造された打抜き曲げ加工部品として設計されている。接続部材8は突起16を有しており、この場合、突起16は相導体アーム9に対して特に約90°だけ曲げられている。よって突起16は、軸線方向に対して垂直な平面内に延びている。突起16には、接続端子(図示せず)を挿入するための開口17が、軸線方向に、すなわち相導体アーム9に対して平行に延びる端子を受容するためのスリーブ18と共に設けられている。よって接続部材8のスリーブ18もそれぞれ、中性導体6および相導体7と共に、半径方向において重なり合うように配置されている。スリーブ18は、開口と共に打抜きプロセスによりカップ絞り方式で製造され得るか、または後で取り付けられてよい。
【0027】
図5に関しては、
図4の細部が示されている。
図5には斜視図で、中性導体6の一部が示されており、中性導体6は、ブリッジ区間11において電気的に接続された2つの中性導体アーム10を備えている。よって中性導体6は、3つの中性導体アーム10を備えており、これらの中性導体アーム10のうちの2つはブリッジ区間11を介して接続されており、1つは別個になっている。接続された中性導体アーム10は、相毎に1つの3つの接続パッド4を支持しており、別個の中性導体アーム10も、相毎に1つの3つの接続パッド4を支持して、浮動式の中性接続を提供している。ブリッジ区間11と、
図4に示す別個の中性導体アーム10とは、中性導体6と相導体7とが半径方向において重なり合うように配置されることを可能にする。ブリッジ区間11は、軸線方向において相導体アーム9のうちの1つを架橋しており、これについてさらに以下で説明する。
【0028】
図6~
図8には、端子ラックアセンブリ1の複数の電気導体3のみが3つの異なる視点で示されている。
図6の平面図には、半径方向および周方向における中性導体アーム10および相導体アーム9の配置が示されている。ブリッジ区間11は、相導体アーム9のうちの1つと交差している。中性導体アーム10および相導体アーム9は、周方向に第1の延在部を有しており、接続部材8のうちの1つから互いに反対の周方向に、それぞれ2つの相導体アーム9が延びている。
図7および
図8に示す側面図には、軸線方向における中性導体アーム10および相導体アーム9の配置が示されている。中性導体アーム10および相導体アーム9は、軸線方向に第2の延在部を有しており、中性導体アーム10は半径方向において、相導体アーム9と重なり合っている。半径方向において重なり合うために、中性導体アーム10と相導体アーム9とは部分的に、軸線方向と周方向とにおいて一致しかつ半径方向において隣接する位置に配置されている。相導体アーム9と中性導体アーム10とは、同一の軸線方向位置に配置されており、軸線方向において同一の延在長さを有している。特に、接続パッド4は全て同一の軸線方向位置に配置されており、これにより、ステータのヘアピン巻線導体5に対する、溶接による接続確立プロセスが向上している。中性導体6と相導体7とが重なり合った配置はさらに、有利には、軸線方向延在長さが短縮された端子ラックアセンブリ1のコンパクトな設計をもたらす。
【0029】
端子ラックアセンブリ1を製造する方法に関して、複数の電気導体3は、
図4に示すように、5つの異なる形状の部品を備えており、これらの部品は、金属薄板を打ち抜いて曲げることにより形成されている。中性導体6を形成する2つの部品と、3つの相導体7を形成する3つの部品とは、
図6~
図8に示すように、半径方向において重なり合うように配置されている。次いで電気導体6,7は、プラスチック成形により絶縁体2内に少なくとも部分的に埋め込まれ、
図9~
図13に図示してさらに説明するような端子ラックアセンブリを形成する。
【0030】
まとめて説明する
図9~
図13には、端子ラックアセンブリ1がそれぞれ異なる視点で示されている。中性導体アーム10を備えた中性導体6と、接続部材8および相導体アーム9を備えた3つの相導体7とを含む複数の電気導体3は、部分的に絶縁体2により封入されて支持されている。絶縁体2は、電気導体3を部分的に包囲し、接続パッド4に対する導体アーム9,10上と接続部材8上とに開口を備えたプラスチック成形品である。絶縁体2は、中性導体6と相導体7とを互いに絶縁し、かつ半径方向における相対位置を維持する薄いウェブ部分14を備えたラック支持体を形成している。
【0031】
図14および
図15には、
図1に示したステータがそれぞれ異なる視点で示されており、端子ラックアセンブリ1の延在部が示されている。ステータのうち、ヘアピン巻線導体5および端子ラックアセンブリ1のみが示されている。ヘアピン巻線導体5のうち、1つのセグメント、すなわち端子ラックアセンブリ1が配置されているセグメントのみが示されている。当業者は、ヘアピン巻線導体5が一般にステータの全周に沿って配置されていることを知っている。複数の電気導体3が、約106°の角度Eにわたる周方向の延在長さを規定する。軸線方向における高さの延在長さHは、25mm未満、好適には20mm未満、より好適には約18mmであってよい。高さの延在長さHは、ブリッジ区間11と、ブリッジ区間11に配置された絶縁体2の材料とを足した軸線方向の延在長さにより規定される。
【0032】
図16には、
図1に示したステータが示されており、複数の溶接スポット15が示されている。ヘアピン巻線導体5は、複数のコネクタピン12を有しており、これらのコネクタピン12は、溶接により、特にレーザ溶接により接続パッド4に接続されている。コネクタピン12は全て、軸線方向に同じ距離だけ延びている。全てが同一の軸線方向位置に配置されたコネクタピン12により、溶接機(図示せず)が溶接スポット15の間で軸線方向に移動する必要は全くない。溶接によりこれらの接続を確立するプロセスは、有利には、端子ラックアセンブリ1のコンパクトな設計に基づき向上させられる。溶接機は、有利には同一の軸線方向位置に配置され、周方向において単に約106°にわたり2つの異なる半径方向位置に分散された全ての溶接スポット15に到達する。
【符号の説明】
【0033】
1 端子ラックアセンブリ
2 絶縁体
3 複数の電気導体
4 接続パッド
5 ヘアピン巻線導体
6 中性導体
7 相導体
8 接続部材
9 相導体アーム
10 中性導体アーム
11 ブリッジ区間
12 コネクタピン
14 ウェブ
15 溶接スポット
16 突起
17 開口
18 スリーブ
E 周方向における延在部の角度
H 軸線方向における高さの延在長さ
A 長手方向軸線、軸線方向
R 半径、半径方向
【外国語明細書】