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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159657
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】エアロゾル吸引カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20241031BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20241031BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20241031BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/10
A24F40/465
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024071648
(22)【出願日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2023073691
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(72)【発明者】
【氏名】劉 凱鵬
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB14
4B162AB17
4B162AB23
4B162AC06
4B162AC17
4B162AC18
4B162AC22
4B162AC41
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】
【課題】 誘導加熱式においても安定してエアロゾルを発生できるエアロゾル吸引カートリッジを提供することを目的とする。
【解決手段】 エアロゾル吸引カートリッジ1は、加熱によりエアロゾルを発生するエアロゾル源Sと、エアロゾル源Sを含浸または収容する貯蔵部材11と、外部の交番磁界に反応して熱を発生させる誘導加熱部材13と、発生したエアロゾルを吸引するための移送経路と、マウスピース14と、を備え、マウスピース14は、移送経路の一部をなす貫通孔141を有し、エアロゾル源Sは、液状またはゲル状である、ことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱によりエアロゾルを発生するエアロゾル源と、
前記エアロゾル源を含浸または収容する貯蔵部材と、
外部の交番磁界に反応して熱を発生させる誘導加熱部材と、
発生したエアロゾルを吸引するための移送経路と、
マウスピースと、を備え、
前記マウスピースは、前記移送経路の一部をなす貫通孔を有し、
前記エアロゾル源は、液状、ゲル状である、
ことを特徴とする、エアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項2】
前記貯蔵部材は、他の要素から着脱自在である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項3】
前記貯蔵部材は容器状の形状をなし、前記エアロゾル源は前記貯蔵部材に収容されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項4】
前記貯蔵部材は多孔質状または繊維状の素材からなり、前記エアロゾル源は前記貯蔵部材に含浸されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項5】
前記誘導加熱部材はその一部または全部が前記エアロゾル源と接触している、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の、エアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項6】
前記誘導加熱部材を複数個有する、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項7】
多孔質状または繊維状の素材からなる吸液部材を備え、
前記吸液部材は前記貯蔵部材から前記エアロゾル源を吸収する、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の、エアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項8】
前記誘導加熱部材はその一部または全部が前記吸液部材と接触している、
ことを特徴とする、請求項7に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項9】
前記移送経路は、前記吸液部材と前記誘導加熱部材により形成された空間を含む、
ことを特徴とする、請求項7または8のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項10】
前記誘導加熱部材は環状または円筒形状であり、前記吸液部材を包囲する状態で使用される、
ことを特徴とする、請求項8に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項11】
前記エアロゾル源が複数個の粒状または球形状のゲル状であり、前記誘導加熱部材が複数個の粒状または球形状である、ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項12】
前記エアロゾル源がゲル状であり、前記誘導加熱部材は、1以上の開口を有する容器状であり、前記エアロゾル源は前記誘導加熱部材を前記貯蔵部材としてその中に収容されている、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項13】
前記エアロゾル源は液状であり、
前記誘導加熱部材は、1以上の開口を有する容器状であり、前記貯蔵部材は、前記誘導加熱部材に収容されている、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項14】
前記貯蔵部材の素材は、表面自由エネルギーが前記エアロゾル源の表面自由エネルギーより低い、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項15】
前記貯蔵部材は、直径10μm~2mmの球殻体であり、前記球殻体は、球殻に複数の貫通孔を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル吸引カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むタバコカートリッジを加熱して、気化したタバコ成分を吸引する方式のタバコ製品が広く知られている。また、嗜好の多様化から、タバコ成分を含まない植物の芳香や味わいを、タバコ同様に火炎を用いずに楽しむためのカートリッジ製品を使用したエアロゾル吸引カートリッジも知られ始めている。
【0003】
このようなエアロゾル吸引カートリッジは、充填物が集積されたエアロゾル形成部材を加熱することで、エアロゾルを発生させる。エアロゾル形成部材の加熱方法として、充填物の内部に予め強磁性体を主成分とした部品である誘導加熱部材を配設し、誘導加熱装置で発生させた交番磁界により、誘導加熱部材内部にヒステリシス損及びジュール熱を発生させて加熱(誘導加熱)することで、充填物を加熱する方式(誘導加熱式)が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
ここで、誘導加熱式では、誘導加熱部材13のキュリー温度、透磁率等の物性、充填物内部の位置や大きさ形状といった諸般の個別的事情により、発熱能力が大きく変動する一方、充填物が固体である場合には、エアロゾルの発生には200~300℃程度まで加熱する必要があり、従来のエアロゾル吸引カートリッジでは十分な加熱ができず、エアロゾルの発生が不十分な場合が頻発するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-175399号公報
【特許文献2】特開2023-17695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、誘導加熱式においても安定してエアロゾルを発生できるエアロゾル吸引カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、加熱によりエアロゾルを発生するエアロゾル源と、前記エアロゾル源を含浸または収容する貯蔵部材と、外部の交番磁界に反応して熱を発生させる誘導加熱部材と、発生したエアロゾルを吸引するための移送経路と、マウスピースと、を備え、前記マウスピースは、前記移送経路の一部をなす貫通孔を有し、前記エアロゾル源は、液状またはゲル状である、ことを特徴とする、エアロゾル吸引カートリッジ。
請求項2に記載の発明は、前記貯蔵部材は、他の要素から着脱自在である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
請求項3に記載の発明は、前記貯蔵部材は容器状の形状をなし、前記エアロゾル源は前記貯蔵部材に収容されている、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
請求項4に記載の発明は、前記貯蔵部材は多孔質状または繊維状の素材からなり、前記エアロゾル源は前記貯蔵部材に含浸されている、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
請求項5に記載の発明は、前記誘導加熱部材はその一部または全部が前記エアロゾル源と接触している、ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の、エアロゾル吸引カートリッジ。
請求項6に記載の発明は、前記誘導加熱部材を複数個有する、ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
請求項7に記載の発明は、多孔質状または繊維状の素材からなる吸液部材を備え、前記吸液部材は前記貯蔵部材から前記エアロゾル源を吸収する、ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の、エアロゾル吸引カートリッジ。
請求項8に記載の発明は、前記誘導加熱部材はその一部または全部が前記吸液部材と接触している、ことを特徴とする、請求項7に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
請求項9に記載の発明は、前記移送経路は、前記吸液部材と前記誘導加熱部材により形成された空間を含む、ことを特徴とする、請求項7または8のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
請求項10に記載の発明は、前記誘導加熱部材は環状または円筒形状であり、前記吸液部材を包囲する状態で使用される、ことを特徴とする、請求項8に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
請求項11に記載の発明は、前記エアロゾル源が粒状または球形状のゲル状であり、前記誘導加熱部材が複数個の粒状または球形状である、ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
請求項12に記載の発明は、前記エアロゾル源がゲル状であり、前記誘導加熱部材は、1以上の開口を有する容器状であり、前記エアロゾル源は前記誘導加熱部材を前記貯蔵部材としてその中に収容されている、ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
請求項13に記載の発明は、前記エアロゾル源は液状であり、前記誘導加熱部材は、1以上の開口を有する容器状であり、前記貯蔵部材は、前記誘導加熱部材に収容されている、ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
請求項14に記載の発明は、前記貯蔵部材の素材は、表面自由エネルギーが前記エアロゾル源の表面自由エネルギーより低い、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
請求項15に記載の発明は、前記貯蔵部材は、直径10μm~2mmの球殻体であり、前記球殻体は、球殻に複数の貫通孔を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、エアロゾル源が液状またはゲル状であるので、従来よりも低い温度でエアロゾルを発生させることができ、誘導加熱式においてもエアロゾルの発生量を安定させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】発明の実施の形態1に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
図2】発明の実施の形態1に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の斜視図である。
図3】発明の実施の形態2に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
図4】発明の実施の形態2に係るエアロゾル吸引カートリッジの貯蔵部と吸液部材と誘導加熱部材の概略の斜視図である。
図5】発明の実施の形態3に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
図6】発明の実施の形態4に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図(a)と正面断面図(X-X)(b)と底面図(c)である。
図7】発明の実施の形態5に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図(a)と正面断面図(X-X)(b)と底面図(c)である。
図8】発明の実施の形態6に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
図9】発明の実施の形態6に係る円管とその内部の概略の平面図と斜視図である。
図10】発明の実施の形態6に係る円管とその内部の概略の斜視図である。
図11】発明の実施の形態7に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
図12】発明の実施の形態8に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図(a)と正面断面図(X-X)(b)である。
図13】発明の実施の形態8に係る円管とその内部の概略の斜視図である。
図14】発明の実施の形態9に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面において、図面中の各部の構成の大きさ、間隔、数、その他詳細は、視認と理解の助けのために 、実際の物に比べて大幅に簡略化して表現している。
【0011】
実施の形態1
図1は、実施の形態1に係るエアロゾル吸引カートリッジ1の概略の側面断面図であり、図2は、その概略の斜視図である。ここで、エアロゾル吸引カートリッジ1は、マウスピース14と、エアロゾル源Sの貯蔵部材11と、マウスピース14の反対側の端に配置されるシール部材16とが直線的に配列され、円筒状の外装部材15に収納されて細長い円柱形状に形成されている。ここで、「細長い」とは、立体形状において、一方向が他の方向より長いことを意味する。例えば本実施の形態において、「細長い円柱形状(円筒形状)」とは、円柱(円筒)の底面である円の直径より、円柱(円筒)の長手方向である高さ(すなわち底面に垂直な成分)の方が長いことを意味する。以降の実施の形態においても同様である。
【0012】
実施の形態1におけるエアロゾル吸引カートリッジ1は、直径が4.0mm~7.5mm、より好ましくは5.0mm~7.0mm、(円柱の長手方向の)長さが40mm~80mmに形成される。エアロゾル吸引カートリッジ1の外径を6.5~7.5mmの範囲に設定すれば、誘導加熱装置に設けられたエアロゾル吸引カートリッジ1を差し込む挿入部と適度な力で嵌合するため、エアロゾル吸引カートリッジ1を誘導加熱装置に好適に保持させることを可能にしつつ、エアロゾル吸引カートリッジ1の着脱を容易にすることができる。エアロゾル吸引カートリッジ1の長さを40mm以上に設定すれば、誘導加熱装置に設けられたエアロゾル吸引カートリッジ1を受け入れる挿入部の長さよりも長くなるので、エアロゾル吸引カートリッジ1を誘導加熱装置に差し込んでも、吸口を誘導加熱装置から露出させることができ、使用者がエアロゾルを吸引するのに必要な長さを確保可能となる。
【0013】
貯蔵部材11は、エアロゾル源Sを含浸または収納する部材である。実施の形態1においては、液体状のエアロゾル源Sを収納するために、中空の円柱状の容器である。貯蔵部材11の素材は、液体状のエアロゾル源Sと誘導加熱部材13を内部に収納するような場合には、プラスチックの様な合成樹脂や金属が好ましい。ここで、プラスチックの場合は、誘導加熱部材13の加熱により変形や溶解がしないように、融点が100℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがさらに好ましい。
【0014】
また、貯蔵部材11の素材は、撥液性の高い多孔質素材を使用することで、エアロゾル源Sの漏れを防止しつつ、通気性を向上させることができるのが好ましい。すなわち、素材の表面自由エネルギーが、後述するエアロゾル源Sの溶媒のそれよりも十分に低いとき、エアロゾル源Sは貯蔵部材11の内壁にはじかれ、微細孔を通りにくくなるので好ましい。
ここで、PTFEの表面自由エネルギーは18.5dyne/cm、シリコーンゴムは20dyne/cmである一方、水は73dyne/cm、エタノールは22dyne/cmなので、例えば、PTFEの様なフッ素樹脂やシリコーンゴムの使用や、貯蔵部材11の内側の素材の表面にフッ素コーティングのような撥液コーティングをしてもよい。
【0015】
貯蔵部材11のマウスピース14と対向する側には、蒸発したエアロゾルが流通できるように開口が1個以上形成されている。開口のサイズや形状や特に制限はないが、エアロゾル源Sが漏れないように、通気性を損なわない程度でできるだけ小さいことが好ましい。具体的には一辺または直径が0.5mm以下であることが好ましい。一方で、通気性を十分確保するために、図1の様に、気体は流通させるが液体は通しづらい封止部材12で開口を閉塞することも好ましい。ここで封止部材12はスポンジのような多孔質体または繊維状の物体であることが好ましく、開口に無理なく嵌合するように柔らかい素材であることが好ましい。具体的には素材はポリウレタン、ポリエチレン、ポリエステルといった合成樹脂や、活性炭、セルロース、パルプ、乾燥ヘチマ、綿、麻などの天然素材、さらに金属も含まれる。
【0016】
エアロゾル源Sは、原材料から抽出されたエキスを、溶媒に溶解して、風味を追加する添加剤、保存料、界面活性剤、増粘剤等で混合して、液状またはゲル状にしたものであり、誘導加熱部材13で加熱することで、溶解・蒸発をしてエアロゾルを発生させる。実施の形態1では、液状のエアロゾル源Sを用いる。
【0017】
エアロゾル源Sとして用いられる原料の具体例について説明する。エアロゾル源Sは、以下に示す原料のうち任意の1つまたは複数の組み合わせで構成される。一方、これに限られず、エアロゾル源Sとしては、公知であるところの電子たばこ用リキッドを広く用いることができる(例えば特許文献2参照)。
【0018】
エアロゾル源Sは、タバコ植物または非タバコ植物を原料とする。タバコ植物としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコ、均質化タバコ等が挙げられる。非タバコ植物としては、タバコ植物以外の植物が挙げられる。非タバコ植物の好ましい部位としては、葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、雄蕊、雌蕊等)、幹、枝等が挙げられる。
【0019】
なお、本明細書でいう「植物」とは動物に対する一群を意味し、草および木等のように、根があって場所が固定されて生きているような生物以外に、微細藻類および海藻等のような藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0020】
また、非タバコ植物が原材料である場合は、茶葉を使用できる。茶葉は茶になる植物が異なるだけでなく、同じ植物であっても加工法によって異なる茶葉になる。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、ウーロン茶等が挙げられる。
【0021】
さらに、必要に応じエアロゾル源Sとして風味を追加する風味添加剤も用いられる。風味添加剤としては、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。保存料としては食品に使用されるものが好ましく、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0022】
溶媒としては、水のような無機溶剤、アルコールといった有機溶剤を用いることができる。ここで、有機溶剤としては、エタノールや酢酸エチルのような食品に使用できるものが好ましい。
【0023】
また、消泡剤として界面活性剤を添加してもよい。その種類としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルといった食品用のものが好ましい。
【0024】
また、増粘剤を添加して適当な粘度を与えてもよい。増粘剤としては、グアーガム等のゴム、ヒドロキシプロピルセルレロースなどのセルロース結合剤、デンプンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0025】
誘導加熱部材13は、通常はその一部または全体がエアロゾル源Sに浸漬している状態である。形状は、実施の形態1では平板状の素材を加工したものである。この平板は、厚さが0.05~0.5mmが好ましく、さらに好ましい厚さは0.1~0.3mmであるが、必ずしも平板状である必要はなく、多角形状、棒状、柱状、筒状、粒子状、球形状、短冊状、多孔質状、V字状、L字状、シート状、メッシュ状、その他多彩な形状とその組み合わせの形状とすることも可能である。また、図1ではエアロゾル吸引カートリッジ1の長手方向に沿って設置されているが、特にこれに限られず、傾斜して貯蔵部材11の内壁に寄りかかる態様で収納されていてもよい。
【0026】
誘導加熱部材13の素材は、強磁性体を含む金属材料で形成される。強磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁性を強く帯び、特に磁石に吸着する性質を持つ素材であり、例えば、強磁性体の材料である鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系やマルテンサイト系ステンレス(例えばSUS430、SUS410)の様な磁性を有するステンレス鋼、ニッケル、ニッケル鉄合金(例えば42アロイ、36インバー)、あるいはコバルト等が挙げられる。強磁性体の比透磁率は、1よりも極めて大きく、例えば、鉄であれば5000程度であり、ニッケルであれば600程度であり、コバルトであれば250程度であり、フェライト系ステンレスであれば1000~1800程度である。
【0027】
磁性体のうち常磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁気を弱く帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば、アルミニウム、白金およびマンガン等が挙げられる。常磁性体の比透磁率は1よりもわずかに大きく、例えば、アルミニウムであれば1.000021程度であり、白金であれば1.000265程度であり、マンガンであれば1.000830程度である。
【0028】
また、磁性体のうち反磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と反対方向の磁気を帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば銅、グラファイト、ビスマス等が挙げられる。反磁性体の比透磁率は、1よりもわずかに小さく、例えば、銅であれば0.999990程度であり、グラファイトであれば0.99980程度であり、ビスマスであれば0.999834程度である。
【0029】
強磁性体は、向きや大きさが時間と共に変化する磁界(交番磁界)内部に置いたとき、電磁誘導により流れる渦電流によるジュール熱が発生するだけでなく、強磁性体内部の磁化の向きが変化するときに発生するエネルギー損失(ヒステリシス損)に起因する熱が発生するため、常磁性体や反磁性体に比べて容易に誘導加熱ができ、エアロゾル源Sを十分に加熱できる。
【0030】
また、強磁性体がその磁気秩序を失い、常磁性体に転移する温度であるキュリー温度は、例えば、ニッケルであれば358℃程度である。そのため、エアロゾル源Sを例えば200℃の高温で加熱する際にも、加熱温度がキュリー温度に達することはなく、強磁性体としての性質を維持でき、エアロゾル源Sを安定して加熱できる。
【0031】
誘導加熱部材13の素材は、強磁性体の材料である、鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系ステンレス、強磁性鋼、ステンレス鋼、ニッケル、コバルト、またはこれらを組み合わせた金属材料を採用してもよい。例えば、フェライト系ステンレスとニッケルを組み合わせたもの等が挙げられ、より好ましくは、鉄、クロム、アルミを組合せた合金(鉄クロムアルミ合金)である。
【0032】
ここで、鉄及びクロムの温度と磁性の関係性について説明する。鉄は、キュリー温度が約770℃、クロムは、反強磁性体から常磁性体に変わる温度であるネール温度が約35℃である。
【0033】
また、誘導加熱部材13は、強磁性体を主成分として含む金属材料によって構成されてもよく、例えば強磁性体を、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上含む合金である強磁性合金を採用してもよい。例えば、ニッケル合金あるいはニッケル鉄合金等が挙げられる。この場合でも、強磁性体が誘導加熱されることで、エアロゾル源Sを十分に加熱できる。なお、強磁性体の代わりに、常磁性体および反磁性体を含む金属材料を用いてもよい。この場合でも誘導加熱自体は可能である。ただし、加熱時間の短縮化や消費電力の低減の観点から強磁性体を含む金属材料を用いる方が好ましい。
【0034】
マウスピース14は、使用者がエアロゾルを吸引するための部材であり、後述する移送経路の一部をなす貫通孔141が形成された円筒形状をしている。貫通孔141の直径は、エアロゾルの流量と吸引抵抗が適正になるように調整される。具体的には直径1.0~3.0mmが好ましい。また、マウスピース14は、貯蔵部材11が外装部材15の円筒の内部から脱離しないように支持する役割も有している。
【0035】
シール部材16は、マウスピース14と同様に貯蔵部材11が外装部材15の円筒の内部から脱離しないように支持する役割を担う部材である。従って、マウスピース14とシール部材16は、貯蔵部材11が接着などの手段で外装部材15に固定されている場合には必ずしも必要ではない。
【0036】
マウスピース14とシール部材16は、円柱状に形成され、例えば直径が4.0mm~7.5mm、高さ方向の長さが3.0~30mmに設定されることが好ましい。素材は、例えば紙からなるシート状の部材を巻いて円管状に形成したり、渦巻状に巻いたもの、折りたたんだものまたは捲縮させたものを用いてもよいし、シリコーンやプラスチック等の合成樹脂、金属を素材としても良い。
【0037】
外装部材15は、シート状の素材を円柱形状に巻くことで形成されている。外装部材15の素材は、柔軟な素材で形成されているが、円筒形状に形成した場合には、その形状を保持できる程度の硬さを有することが好ましい。例えば紙、プラスチック類、合成紙などが好ましい。
【0038】
外装部材15の外周には、円筒の内部に気体を流入させるための通気口151が1個以上形成されていることが好ましい。通気口151の場所は、エアロゾル吸引カートリッジ1を構成したときに、貯蔵部材11とマウスピース14の境界近傍に位置するように形成されることが好ましい。この場合、貯蔵部材11とマウスピース14の間に隙間を設けることで、通気口151からマウスピース14の貫通孔141に連通した気体のチャネルが形成される。一方、境界付近ではなく、マウスピース14がある領域に形成してもよいが、この場合はマウスピース14の側面から貫通孔141にも通気用の開口を形成することが好ましい。また、通気口151の大きさと数は、吸引抵抗やエアロゾルの濃さを考慮し適宜設定される。
【0039】
実施の形態1のエアロゾル吸引カートリッジ1を誘導加熱装置で使用した場合、印可された交番磁界により誘導加熱部材13が発熱し、これにより液体状のエアロゾル源Sが蒸発して気体であるエアロゾルになり、封止部材12を通って、通気口151から侵入した空気と合流して貫通孔141から吸引される。ここでは、貯蔵部材11内部のエアロゾル源Sに占められていない空間と、封止部材12内部と、貯蔵部材11とマウスピース14の間の隙間と、貫通孔141で移送経路を構成する。誘導加熱部材13は貯蔵部材11の中にエアロゾル源Sがあるときは、エアロゾル源Sの気化に熱を奪われるのでキュリー温度以上の高温になる可能性は低いが、エアロゾル源Sがなくなると温度が急激に上昇するので、誘導加熱装置の温度センサーにより検知され、発熱が停止する。
【0040】
実施の形態2
図3は、実施の形態2に係るエアロゾル吸引カートリッジ2の概略の側面断面図であり、図4は貯蔵部材21と誘導加熱部材23の概略の斜視図である。ここで、実施の形態1と共通の構成については、適宜説明を省略する。
【0041】
実施の形態2では、貯蔵部材21は図3、4の様に凸形状をしており、この凸部分がマウスピース14の貫通孔141に嵌合して貯蔵部材21を固定するように設計されている。そのため、この凸部分は、マウスピース14の貫通孔141に嵌合するような位置、形状と大きさに形成されることが好ましい。このような形態をとることで、貯蔵部材21をアタッチメント式にして、エアロゾル吸引カートリッジ2から着脱可能となり、エアロゾル源Sの補充や貯蔵部材21を交換により、エアロゾル吸引カートリッジ2を再利用することができる。貯蔵部材21の凸部には、後述する吸液部材22を挿通する開口が形成されている。
【0042】
また、エアロゾル源Sは実施の形態1と同様に液体状であり、これを吸引してマウスピース14側に浸透させるために吸液部材22が備えられている。吸液部材22は、図のように細長いひも状或いは柱状の形状をしていることが好ましく、素材は、前述の封止部材12と同様に、多孔質状または繊維状の素材を用いることができ、太さは直径0.5mm~4.0mmであることが好ましい。吸液部材22は、通常その一端を含む一部がエアロゾル源Sの内部に浸漬し、貯蔵部材21の凸部の開口を経由して、他端を含む一部が貯蔵部材21から露出している。
【0043】
実施の形態2では、誘導加熱部材23は環状または円筒形状をしており、吸液部材22を中心孔に収めて包囲する状態で、マウスピース14の貫通孔141の内部に固定されている。このとき、誘導加熱部材23は、その一部または全部が吸液部材22に含浸されているエアロゾル源Sと接触していることが好ましい。環状または円筒形状の誘導加熱部材23の中心は、エアロゾル吸引カートリッジ2の中心と同軸であることが好ましい。
【0044】
また、外装部材15の外周に形成される通気口151は、マウスピース14がある領域に形成されているので、マウスピース14の側面から貫通孔141にも通気用の開口を形成されている。
【0045】
実施の形態2のエアロゾル吸引カートリッジ2を誘導加熱装置で使用した場合、貯蔵部材21から吸液部材22で吸い上げられてエアロゾル源Sが、誘導加熱部材23で加熱されて蒸発して気体であるエアロゾルになり、通気口151から侵入した空気と合流して貫通孔141から吸引される。ここでは、貯蔵部材21内部のエアロゾル源Sに占められていない空間と、吸液部材22内部と、貯蔵部材1とマウスピース14の間の隙間と、貫通孔141で移送経路を構成する。貫通孔141が移送経路を構成する。誘導加熱部材23は貯蔵部材21の中にエアロゾル源Sがあるときは、エアロゾル源Sの気化に熱を奪われるのでキュリー温度以上の高温になる可能性は低いが、エアロゾル源Sがなくなると温度が急激に上昇するので、誘導加熱装置の温度センサーにより検知され、発熱が停止する。
【0046】
実施の形態3
図5は、実施の形態3に係るエアロゾル吸引カートリッジ3の概略の側面断面図である。ここで、実施の形態1、2と共通の構成については、説明を適宜省略する。
【0047】
実施の形態3では、貯蔵部材31は図5の様に円筒形状をしており、素材は実施の形態1と同様に、プラスチックの様な合成樹脂や金属でもよく、吸液部材21のように多孔質状または繊維状のような、通気性を有する素材で形成されていても良い。
【0048】
また、実施の形態3では、誘導加熱部材33は平板状の形状をしている。板の形状は、貯蔵部材31中心孔に適合するよう、円板状であることが好ましいが、その他の形状例えば矩形状や多角形状でもよい。また、平板状の場合は面内に通気用の開口が1個または2個以上形成されていることが好ましい。
【0049】
エアロゾル源Sは、ゲル状または高粘度の流体状の形態をしている。実施の形態1、2における液状のエアロゾル源Sを主成分として、ゼラチン等を使用してこれを半固体状にしたものであり、誘導加熱部材33による加熱で溶解し、蒸発する熱的性質を有する。誘導加熱部材33が平板状であるとき、その面をエアロゾル源Sの表面に接触する形態で載置されている状態であることが好ましい。なお、高粘度の流体とは、エアロゾル源S上に載置された状態で、誘導加熱部材33が自重でエアロゾル源Sの内部に沈まない程度の粘度をいう。
【0050】
実施の形態3のエアロゾル吸引カートリッジ3を誘導加熱装置で使用した場合、誘導加熱部材33が高温になることでゲル状のエアロゾル源Sが溶解・蒸発して気体であるエアロゾルになる。ここでは、貯蔵部材31内部のエアロゾル源Sに占められていない空間と、貯蔵部材31とマウスピース14の間の隙間と、貫通孔141で移送経路を構成する。また、貫通孔141、及び貯蔵部材31が多孔質状または繊維状のような、通気性を有する素材で形成されている場合には、貯蔵部材31の素材の内部も含めて移送経路を構成する。このとき、誘導加熱部材33と貯蔵部材31の隙間や、誘導加熱部材33の面に形成された開口からエアロゾルが流出する。また、貯蔵部材31が多孔質状または繊維状の場合には、エアロゾルは貯蔵部材31の素材の内部をも通り、通気口151から侵入した空気と合流して貫通孔141から吸引される。誘導加熱部材33は貯蔵部材31の中にエアロゾル源Sがあるときは、エアロゾル源Sの気化に熱を奪われるのでキュリー温度以上の高温になる可能性は低いが、エアロゾル源Sがなくなると温度が急激に上昇するので、誘導加熱装置の温度センサーにより検知され、発熱が停止する。
【0051】
実施の形態4
図6は、実施の形態4に係るエアロゾル吸引カートリッジ4の概略の側面断面図(a)と正面断面図(X-X)(b)と底面図(c)である。ここで、実施の形態1~3と共通の構成については、説明を適宜省略する。
【0052】
実施の形態4では、貯蔵部材41は、図6の様に円筒形状をしており、素材は吸液部材21のように多孔質状または繊維状のような、吸液性を有する素材で形成されている。エアロゾル源Sは液体状であり、貯蔵部材41の素材の内部に含浸されている。ここで、エアロゾル源Sの漏れを防止するために、貯蔵部材41をプラスチックや金属の容器に収納してもよい。
【0053】
次に、貯蔵部材41の円筒の内部には、エアロゾルの移送経路の一部となる円管47が収納されている。円管47の素材は、プラスチックや金属、硬質紙、合成紙といった、円管形状を保持できる程度の硬さを有することが好ましい。円管47には、後述する吸液部材42が挿通可能な形状と大きさで、貫通孔である開口が形成されている。また、誘導加熱部材43は、細長い形状(例えば角柱状、円柱状、筒形状、短冊状)をしており、円管47の長手方向に向かって配置されている。ここで、誘導加熱部材43の長さは、任意の長さを採りうるが、吸液部材42の長さと同じであることが好ましい。配置の形態は、円管47の中心に対して対称になるように、1本または複数本配置する。
【0054】
吸液部材42は、実施の形態2の吸液部材21と同様の素材で形成されており、形状は図に示すように、細長い形状直方体形状や円柱状が含まれる。吸液部材42は、一部が貯蔵部材41に接しており、円管47の開口を挿通して、一部が誘導加熱部材43に接している。
【0055】
実施の形態4では、シール部材16には、外気を円管47の内部に取り込むために、吸気用の開口161が形成されている。開口161は、エアロゾル吸引カートリッジ4の長手方向において、誘導加熱部材43に対向する位置に形成されていることが好ましい。
【0056】
実施の形態4のエアロゾル吸引カートリッジ4を誘導加熱装置で使用した場合、貯蔵部材41に含浸されたエアロゾル源Sが吸液部材42に吸収され、円管47の開口を介して、円管47内部に載置された誘導加熱部材43に接触する。ここでは、貯蔵部材41の内部と、円管47と貫通孔141で移送経路を構成する。誘導加熱部材43が高温になることで、液体状のエアロゾル源Sが蒸発して気体であるエアロゾルになる。発生したエアロゾルは、開口161から侵入した空気と合流して貫通孔141から吸引される。
【0057】
実施の形態5
図7は、実施の形態5に係るエアロゾル吸引カートリッジ5の概略の側面断面図(a)と正面断面図(X-X)(b)と底面図(c)である。ここで、実施の形態1~4と共通の構成については、説明を適宜省略する。
【0058】
実施の形態5では、貯蔵部材51は、実施の形態4と同様に多孔質状または繊維状のような、吸液性を有する素材で形成された円筒形状をしており、素材の内部に液体状のエアロゾル源Sが含浸されており、貯蔵部材51の円筒の内部には、円管57が収納されている。円管57の素材は実施の形態4の円管41と同様であるが、側面には発生したエアロゾルを円管57内に取り入れるための貫通孔である開口571が複数形成されている。
【0059】
吸液部材52は、実施の形態4の吸液部材42と同様の素材で形成されており、形状は図に示すように、円筒形状が含まれる。吸液部材52は、円筒の外側面の一部または全部が貯蔵部材51に接しており、内側面の一部または全部が円管57に接している。また、誘導加熱部材53は、細長い形状(例えば棒状、角柱状、円柱状、筒形状、短冊状)をしており、吸液部材52の素材の内部に収納されており、その長手方向に向かって配置されている。誘導加熱部材53の長さは、任意の長さを採りうるが、吸液部材52の長さと同じであることが好ましい。配置の形態は、円筒の中心に対して対称になるように、複数本、好ましくは4本以上配置する。
【0060】
実施の形態5では、シール部材16には、外気を円管41の内部に取り込むために、吸気用の開口161が形成されている。開口161は、誘導加熱部材53に対向する位置に形成されていることが好ましい。
【0061】
実施の形態5のエアロゾル吸引カートリッジ5を誘導加熱装置で使用した場合、貯蔵部材51に含浸されたエアロゾル源Sが吸液部材52に吸収され、誘導加熱部材53に接触する。誘導加熱部材53が高温になることで、エアロゾル源Sが蒸発して気体であるエアロゾルになる。発生したエアロゾルは、円管57の開口571を通って円管の内部に入り、シール部材16の開口161から侵入した空気と合流して貫通孔141から吸引される。ここでは、吸液部材52の内部と、円管57と貫通孔141で移送経路を構成する。
【0062】
実施の形態6
図8は、実施の形態6に係るエアロゾル吸引カートリッジ6の概略の側面断面図である。ここで、実施の形態1~5と共通の構成については、説明を適宜省略する。
【0063】
貯蔵部材61は、実施の形態5と同様に多孔質状または繊維状のような、吸液性を有する素材で形成された円筒形状をしており、素材の内部に液体状のエアロゾル源Sが含浸されており、貯蔵部材61の円筒の内部には、円管67が収納されている。円管67の素材は実施の形態5の円管51と同様である。
【0064】
また、移送経路は、図8、9に示すように、円管67の内部に収容された、吸液部材62と誘導加熱部材63により形成された空間を含む。ここで、円管67は、一部に貫通孔である開口671が形成されており、貯蔵部材61に収納または含侵されたエアロゾル源Sを、吸液部材62を介して円管の内部に吸収できるように形成されていることが好ましい。
【0065】
吸液部材62は、液体を吸収できるような素材で実施の形態5の吸液部材52や貯蔵部材61と同様の素材を用いることができる。実施の形態6では、長方形状のマット状の形状をしており、これを図9のように丸めてチューブ状の形態にして円管67の内部に挿入することで固定している。このとき、吸液部材62の一部は、円管67の開口671により円管67の外部に露出しており、貯蔵部材61に接触することで、エアロゾル源Sを吸収する。
【0066】
誘導加熱部材63は開口を有するシート状、例えば網状の形状をしていることが好ましい。網状の誘導加熱部材63を円筒状に丸めた吸液部材62の中心に挿入する。ここで実施の形態6では、移送経路が円管67の内部に収容された、吸液部材62と誘導加熱部材63により形成された空間を含むとは、吸液部材62で形成したチューブ状と誘導加熱部材63で形成した円筒に囲まれた孔形状が、移送経路に含まれることを意味する。
【0067】
実施の形態6のエアロゾル吸引カートリッジ6を誘導加熱装置で使用した場合、貯蔵部材61に含浸されたエアロゾル源Sが円管67の開口671を介して吸液部材62に吸収され、誘導加熱部材63に接触する。誘導加熱部材63が高温になることで、エアロゾル源Sが蒸発して気体であるエアロゾルになる。発生したエアロゾルは、吸液部材62で形成したチューブ形状と誘導加熱部材63で形成した円筒に囲まれた孔形状を通って通気口151から侵入した空気と合流して貫通孔141から吸引される。なお、ここでは、吸液部材62で形成したチューブ形状と誘導加熱部材63で形成した円筒に囲まれた孔形状と、貯蔵部材61とマウスピース14の間の隙間と、貫通孔141で移送経路を構成する。
【0068】
実施の形態7
図11は、実施の形態7に係るエアロゾル吸引カートリッジ7の概略の側面断面図である。ここで、実施の形態1~6と共通の構成については、説明を適宜省略する。
【0069】
実施の形態7において、エアロゾル源Sはゲル状であり、その形状は粒状または球形状である。ここで、粒状とは、球形状以外の小片形状をいい、正多面体のような規則的形状だけでなく、不規則形状を含むものとする。また、複数の粒状または球形状のエアロゾル源Sが存在する場合、その形状や大きさは、それらが各々異なる場合も含まれるし、一部または全部が同じである場合も含まれる。また、エアロゾル源Sは2個以上の複数個であることが好ましい。
【0070】
一方で、誘導加熱部材73も同様に粒状または球形状であり、貯蔵部材71の内部に複数個が局所的でなく全体に均一に分散され、エアロゾル源Sと混合されていることが好ましい。
【0071】
エアロゾル源Sと誘導加熱部材73の大きさは、貯蔵部材71に収納できる限りにおいてそれぞれ異なっていても良い。具体的には、一個のエアロゾル源Sの大きさは、球形状の場合は直径(粒状の場合は最大の寸法)1.0~4.0mm、一個の誘導加熱部材73の大きさは、球形状の場合は直径(粒状の場合は最大寸法)0.1~4.0mmが好ましい。ここで、発生するエアロゾルの量を多くするためには、貯蔵部材71の内部における誘導加熱部材73の占有空間をできるだけ少なくし、エアロゾル源Sの占有空間ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、平均的な大きさの比較において、誘導加熱部材73はエアロゾル源Sより小さいことが好ましい。また、エアロゾル源Sは、溶解と蒸発がしやすいように、なるべく小さい方が好ましい。また、エアロゾル源Sと誘導加熱部材73の配置は、図11のように規則的であっても良く、一部または全部がランダムであっても良い。
【0072】
実施の形態7のエアロゾル吸引カートリッジ7を誘導加熱装置で使用した場合、貯蔵部材71に収納された粒状または球状のエアロゾル源Sは、同様に粒状または球状の誘導加熱部材73に密接している状態である。誘導加熱部材73が高温になることで、エアロゾル源Sが蒸発して気体であるエアロゾルになる。発生したエアロゾルは、実施の形態1と同様に、封止部材12を通って、通気口151から侵入した空気と合流して貫通孔141から吸引される。なお、ここでは、貯蔵部材71内部のエアロゾル源Sに占められていない空間と、封止部材12内部と、貯蔵部材71とマウスピース14の間の隙間と、貫通孔141で移送経路を構成する。
【0073】
実施の形態8
図12は、実施の形態8に係るエアロゾル吸引カートリッジ8の概略の側面断面図(a)と正面断面図(b)である。ここで、実施の形態1~7と共通の構成については、説明を適宜省略する。
【0074】
実施の形態8において、エアロゾル源Sはゲル状である。また、誘導加熱部材83は、1以上の開口を有する容器状であり、エアロゾル源Sは誘導加熱部材83を貯蔵部材81としてその中に収容されている。誘導加熱部材83の形状は、例えば図13のように、全体として中空の円筒状で、素材が網状のシートや、1以上の開口が形成された板が含まれる。また、実施の形態8では、円筒の側面に凹型状の通気路811が形成されることが好ましい。
【0075】
なお、誘導加熱部材83の形状は、図13のような円筒状に限られず、例えば長手方向の両端が丸まったソーセージ形でもよい。この場合には、円筒形状に比べて両端の表面積が大きいので、通気性の向上に有効である。
【0076】
実施の形態8のエアロゾル吸引カートリッジ8を誘導加熱装置で使用した場合、貯蔵部材81兼誘導加熱部材83に収納されたゲル状のエアロゾル源Sは、誘導加熱部材83に密接している状態である。誘導加熱部材83が高温になることで、エアロゾル源Sが蒸発して気体であるエアロゾルになる。発生したエアロゾルは、誘導加熱部材83の開口から、誘導加熱部材83の外側に形成された通気路811を経由して、通気口151から侵入した空気と合流して貫通孔141から吸引される。なお、ここでは、貯蔵部材81内部のエアロゾル源Sに占められていない空間と、通気路811と、貯蔵部材81とマウスピース14の間の隙間と、貫通孔141で移送経路を構成する。
【0077】
実施の形態9
図14は、実施の形態9に係るエアロゾル吸引カートリッジ9の概略の側面断面図である。ここで、実施の形態1~8と共通の構成については、説明を適宜省略する。
【0078】
実施の形態9では、誘導加熱部材93の形状と配置以外は実施の形態1と概略において同様であり、容器状の貯蔵部材91の内部に、液状のエアロゾル源Sが収納されている。一方、誘導加熱部材93の形状は、実施の形態8のように、1以上の開口が形成された容器状であり、全体として中空の円筒状で、素材が網状のシートや、1以上の開口が形成された板が含まれる。ここで、実施の形態9では、円筒の側面に凹型状の通気路811は必ずしも必要はないが、エアロゾルが流れ出ることができるように、貯蔵部材91の開口、すなわち封止部材12に対応する位置に少なくとも1個形成されていることが好ましい。また、貯蔵部材91の素材は、誘導加熱部材93からの加熱に耐えられるような素材が好ましい。
【0079】
実施の形態9のエアロゾル吸引カートリッジ9を誘導加熱装置で使用した場合、貯蔵部材91に収納された液状のエアロゾル源Sは、誘導加熱部材93が高温になることで、貯蔵部材91を介して熱せられ、エアロゾル源Sが蒸発して気体であるエアロゾルになる。発生したエアロゾルは、封止部材12と誘導加熱部材93の開口を通って、通気口151から侵入した空気と合流して貫通孔141から吸引される。ここでは、貯蔵部材71内部のエアロゾル源Sに占められていない空間と、封止部材12内部と、貯蔵部材71とマウスピース14の間の隙間と、貫通孔141で移送経路を構成する。
【0080】
この発明によれば、エアロゾル源Sが液状またはゲル状であるので、従来よりも低い温度でエアロゾルを発生させることができ、誘導加熱式においてもエアロゾルの発生量を安定させることが可能である。
【0081】
以上、本発明の実施の形態1~9について説明したが、本願発明の範囲は以上の実施の形態に限られるものではなく、これと同視しうる他の形態に対しても及ぶ。なお、エアロゾル吸引カートリッジ1等とはエアロゾル吸引カートリッジ1~9をいう。貯蔵部材11等、誘導加熱部材13等についても同様である。
【0082】
実施の形態4、5において、外装部材15のマウスピース14と貯蔵部材11の境界近傍に通気口151を形成し、貯蔵部材11とマウスピース14の間に隙間を設けることで、通気口151からマウスピース14の貫通孔141に連通した気体のチャネルが形成されるので、シール部材16に開口161を形成する必要はない。一方、マウスピース14がある領域に形成してもよいが、この場合はマウスピース14の側面から貫通孔141にも通気用の開口を形成することが好ましい。
【0083】
例えば、実施の形態2において、貯蔵部材11をシール部材16とマウスピース14で挟持して確りと固定すれば、貯蔵部材11に凸部を形成する必要は必ずしもない。この場合、通気口151は、マウスピース14と貯蔵部材11の境界近傍に形成されることができるので、マウスピース14の側面に通気用の開口を形成する必要はなく構成を単純化することができる。
【0084】
また、エアロゾル吸引カートリッジ1等に含まれる誘導加熱部材13等、誘導加熱部材13等は一個に限られず、複数個含まれていてもよい。これにより、エアロゾル発生効率の向上が可能となる。
【0085】
また、マウスピース14の貫通孔141の内部の一部または全部に、エアロゾル濾過及び冷却のためにフィルタを配設してもよい。フィルタ素材は、例えば紙等を用いて形成される。また、紙からなるシート状の部材を巻いて円柱状に設けられてもよいし、微粒子を取り除くセルロースアセテートフィルタ等を含んでいてもよい。また、シリコーンを含む多孔質材料で形成されてもよい。
【0086】
また、実施の形態1、2、9においては、エアロゾル源Sの突沸を防ぐため、石や多孔質物質を沸騰石としてエアロゾル源Sの液体中に加えておくことも好ましい。
【0087】
また、前述の通り、マウスピース14とシール部材16は、貯蔵部材11等が脱離したり、エアロゾル源Sが漏洩することが無い場合には、必ずしも設置する必要はない。この場合、マウスピース14やシール部材16のあった場所を空間とし(すなわち、貯蔵部材11以外の外装部材15の内部が全て空洞となっている)たりしてもよい。これにより、部品点数の削減ができるので、コスト削減に有効である。特に空間を設ける場合は、通気性の向上に有効である。また、シール部材16や支持部材14がなくなることで、貯蔵部材11等を長くすることもできるので、使用者の使用感を向上させることが可能となる。
【0088】
また、誘導加熱部材13等を多孔質形状とし、その内部に液状またはゲル状のエアロゾル源Sを含浸させても良い。
【0089】
また、全体として円柱形状を保持できるのなら、外装部材15は必ずしも必要はない。例えば、実施の形態1から3、7においては、貯蔵部材11等とマウスピース14を接合することでもエアロゾル吸引カートリッジ1等を構成しうる。この場合、外気を流入させるための通気口をマウスピース14に形成することが好ましい。また、実施の形態4においても、エアロゾル吸引カートリッジ4の全体に渡って外装部材15を設ける必要はなく、貯蔵部材41からエアロゾル源Sと、エアロゾル吸引カートリッジ4の長手方向で同じ範囲に渡って設けられていればよい(実施の形態5、6、8、9についても同様)。
【0090】
また、誘導加熱部材13等は、錆による発熱機能の低下を抑制するために、その表面の一部または全部に防錆層が形成されていることが好ましく、全部に形成されていることがさらに好ましい。
【0091】
防錆層の種類としては、例えば蝋材膜、リン酸塩皮膜、酸化鉄皮膜が考えられる。これらは誘導加熱部材13等が高温状態になった場合でも、人体に有害な物質を発生させないので、防錆層の素材として好ましい。また、そのうちの1種類に限られず、2以上の種類を組み合わせとしても良い。
【0092】
蝋材膜の場合、その素材としては、蜜蝋、ハゼ蝋、サトウキビ蝋、鯨蝋、羊毛蝋のような蝋材料が考えられ、その膜を、誘導加熱部材13等の表面に形成する。塗布の方法は、溶融した蝋材料を、例えば通常の刷毛塗したり(刷毛塗法)、誘導加熱部材13を浸漬したり(ディップコーティング法)、吹き付けたり(吹付法)することで塗布できる。膜厚は特に制限はないが、薄すぎると十分な防錆効果が得られなくなり、一方で厚すぎると、充填剤の加熱に影響があり、エアロゾルの発生を阻害する恐れがあるので、適正な厚さに設定することが好ましい。具体的には0.005mm~1mmが好ましく、0.01~0.5mmがさらに好ましい。
【0093】
リン酸塩皮膜は、リン酸鉄、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸マンガンなどのリン酸塩の溶液を用いた化学処理(リン酸塩処理)により、金属の表面に化学的に生成した皮膜であり、金属の腐食を防止する機能を有する。ここで、リン酸塩処理の標準的な工程は、被処理物に対して、(1)アルカリ脱脂、(2)水洗、(3)リン酸塩による化成処理、(4)水洗、(5)乾燥工程を有することが好ましい。リン酸塩による化成処理は、一般に処理する金属をリン酸塩溶液に浸漬して行うが、その他例えばリン酸塩溶液を吹き付けてもよい。リン酸塩皮膜の厚さは、処理時間の長さに伴い変化するが、1μm~20μmが好ましい。
【0094】
リン酸塩処理により、誘導加熱部材13等の表面の一部または全部にリン酸塩皮膜を形成することで、誘導加熱部材13等の防錆能力の向上が可能となる。
【0095】
また、金属表面に人工的に酸化鉄皮膜を形成することで、錆の発生を防止または抑制することも可能である。ここで酸化鉄皮膜はいわゆる黒錆といわれる四酸化三鉄(Fe)が、安定した不働態膜を形成するので好ましい。四酸化三鉄の膜を形成する標準的な工程は、被処理物に対して、(1)アルカリ脱脂、(2)水洗または湯洗、(3)140~150℃のアルカリ水溶液(苛性ソーダが好ましい)、(4)水洗または湯洗、(5)乾燥工程を有することが好ましい。また、酸化被膜の厚さは概ね1~2μm程度である。
【0096】
さらに、外装部材15は、必ずしも一体的ではなく、2つ以上の外装要素を接合して用いても良い。例えば、シール部材16と、貯蔵部材11等を筒状の外装要素に収納し、ここにマウスピース14をシート状の外装要素で巻いて円柱状に形成する形態でもよい。
【0097】
なお、エアロゾル源Sの原材料である茶葉は、実施の形態に挙げたもの以外に、一般に使用されている全ての茶葉を使用できる。また、これら茶葉については飲用後の茶殻を使用しても良い。茶殻などを使用すれば高価な茶葉などを再利用して有効活用できる。
【0098】
また、上記に例示した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスや加工品も使用することができる。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。
【0099】
また、エアロゾル源Sに、酸化防止剤を添加することで、エアロゾル源Sの成分(特に植物)の酸化による変質や、誘導加熱部材13等の錆を防止又は抑制することができるので好ましい。酸化防止剤の種類としては、亜硫酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、L-アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンEなどが好ましい。さらに、前述したカテキンも酸化防止効果を有するので好ましい。カテキンは緑茶の茶葉特有の成分であり、緑茶の茶葉にはエピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレートが含まれる。すなわち、カテキンを含む茶葉(例えば緑茶)をエアロゾル源Sの成分として使用する場合には、さらにカテキンを添加することで、さらなる酸化防止効果を得ることが可能である。例えば、緑茶の場合、その成分の約80%がカテキン由来であると考えられるので、エアロゾル源Sに含まれる緑茶の茶葉の重量の80%以上に相当する重量のカテキンをエアロゾル源S中に含有させることで、さらなる酸化防止効果を得ることが可能となる。また、緑茶に含まれるカテキンのうち、エピガロカテキンガレートが約60%、エピガロカテキンが約20%、エピカテキンガレートが約13%、エピカテキンが約7%とされる。ここで特に酸化防止機能が高いエピガロカテキンガレートを増量させることが、酸化防止機能の向上にさらに効果的である。エアロゾル源Sにカテキンを含まない植物を使用する場合には、エアロゾル源S中のカテキン特にエピガロカテキンガレートを添加することが効果的である。この場合、エアロゾル源Sに含まれる植物原料の重量の80%以上の重量のカテキン(特にエピガロカテキンガレート)を添加することで、緑茶を使用した場合と同等以上の酸化防止機能を得ることが可能となる。
【0100】
また、風味添加剤として、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリビニルポリピロリドン)を含有させても良い。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物でも良い。また、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを使用しても良い。
【0101】
また、風味添加剤は、例えば、フィルタ壁部に含浸させることによってフィルタに設けられても良い。風味添加剤がフィルタに設けられている態様は、このような態様に限られず、例えば、当該風味添加剤が封入されているカプセルをフィルタ壁部に埋設することによって、フィルタに風味添加剤が設けられているようにしても良い。または、マウスピース14と貯蔵部材11等との間に風味添加剤が封入されたカプセルが配置されるようにしても良い。風味添加剤がカプセルに封入されている場合、使用者は、カプセルを指で押圧することにより、カプセルを破壊することができ、所望のタイミングで風味添加剤の芳香成分を揮発させることが可能となる。
【0102】
また、風味添加剤は、例えば、マイクロカプセルに封入されている場合、封入されているマイクロカプセルをフィルタに設けても良い。
【0103】
また、エアロゾル源Sの原料としての増粘剤としては、実施の形態に挙げたものの他、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、または、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラナギン、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0104】
また、貯蔵部材11等をマイクロカプセルとし、その中にエアロゾル源Sを収納して外装部材15に複数個収納してもよい。ここでマイクロカプセルは、直径10μm~2mmの球殻体である。この球殻体は、球殻に複数の貫通孔を有し、誘導加熱部材13等により加熱されたエアロゾル源Sは、貫通孔を介してマイクロカプセルの外に放出され、吸引される。なお、マイクロカプセルは徐放性とすることが好ましい。また、この場合誘導加熱部材13等は、どのような形状でもよいが、特に実施の形態1の誘導加熱部材11の様に平板を加工したものや、実施の形態7の誘導加熱部材73の様に粒状または球状や、実施の形態8、9の誘導加熱部材83、93の様に容器状であることが好ましい。
【0105】
マイクロカプセルを形成する物質としては、例えばエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルギン酸、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、キトサン、ワックス、ロウ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウムなどが用いられる。
【0106】
この形態では、使用時に、マイクロカプセルが外径を保ちながら内包したエアロゾル源Sのみを放出するが、マイクロカプセル同士に隙間が生じるので、通気性の確保に効果がある。
【符号の説明】
【0107】
1、2、3、4、5、6、7、8、9 エアロゾル吸引カートリッジ
11、21、31、41、51、61、71、81、91 貯蔵部材
13、23、33、43、53、63、73、83、93 誘導加熱部材
14 マウスピース
141 貫通孔
15 外装部材
16 シール部材
21、42、52、62 吸液部材
47、57、67 円管
S エアロゾル源

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