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特開2024-159665電源装置、磁気コアトランスおよび印刷回路基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159665
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電源装置、磁気コアトランスおよび印刷回路基板
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/10 20060101AFI20241031BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20241031BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20241031BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20241031BHJP
   H01F 27/255 20060101ALI20241031BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01F30/10 D
H01F30/10 A
H01F30/10 M
H01F17/00 B
H01F17/04 A
H01F17/04 F
H01F27/28 K
H01F27/28 104
H01F27/255
H01F27/24 W
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024071884
(22)【出願日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】10-2023-0054624
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522261075
【氏名又は名称】ヨンインエース カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワディム オシポフ
(72)【発明者】
【氏名】金 殷 ド
(72)【発明者】
【氏名】姜 星 遠
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA08
5E043BA01
5E070AA11
5E070AB01
5E070BA08
5E070CB03
5E070CB06
(57)【要約】
【課題】変圧器係数を維持しながら、小型変圧器および小型変圧器を含む電源装置を提供する。
【解決手段】RF電源と、RF電源の出力を昇圧する第1変圧部および第2変圧部を含む磁気コアトランスと、第1変圧部および第2変圧部のそれぞれの出力端子のうち第1端子と接地との間に連結される直流デカップリングキャパシタと、第1変圧部および第2変圧部のそれぞれの出力端子のうち第2端子と接地との間に連結される可変キャパシタと、第1端子に直流電圧を供給する直流電源と、直流電圧と昇圧されたRF電圧を出力する出力端子と、を備え、第1変圧部および第2変圧部のそれぞれは、入力コイル、磁気コアおよび出力コイルを含み、入力コイルは外側巻線および内側巻線を含むが、外側巻線と内側巻線は単一の巻線を構成し、外側巻線と内側巻線は直列に連結される電源装置を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF電源と、
前記RF電源の出力を昇圧する第1変圧部および第2変圧部を含む磁気コアトランスと、
前記第1変圧部および前記第2変圧部のそれぞれの出力端子のうち、第1端子と接地との間に連結される直流デカップリングキャパシタと、
前記第1変圧部および前記第2変圧部のそれぞれの出力端子のうち、第2端子と接地との間に連結される可変キャパシタと、
前記第1端子に直流電圧を供給する直流電源と、
前記直流電圧と昇圧されたRF電圧を出力する出力端子と、を備え、
前記第1変圧部および前記第2変圧部のそれぞれは、入力コイル、磁気コアおよび出力コイルを含み、
前記入力コイルは、外側巻線および内側巻線を含み、前記外側巻線と前記内側巻線は単一の巻線を構成し、前記外側巻線と前記内側巻線は直列に連結される、ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第1変圧部の前記磁気コアおよび前記第2変圧部の前記磁気コアはエアギャップを形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1変圧部および前記第2変圧部の入力コイルの両端に並列に連結されるマッチングキャパシタと、をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記マッチングキャパシタのそれぞれの大きさは、前記第1変圧部および前記第2変圧部の入力コイルのそれぞれの漏れインピーダンスとマッチングするように決定される、ことを特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記直流デカップリングキャパシタのそれぞれの大きさは、前記第1変圧部および前記第2変圧部のそれぞれの出力コイル、前記可変キャパシタのそれぞれと共振を起こすように調節される、ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項6】
前記第1変圧部および前記第2変圧部のそれぞれは基板をさらに含み、
前記入力コイルは前記基板の第1面に形成され、前記出力コイルは前記基板の前記第1面の反対面である第2面に形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項7】
前記第1変圧部の基板と前記第2変圧部の基板は、前記出力コイルと向き合うように付着される、ことを特徴とする請求項6に記載の電源装置。
【請求項8】
前記第1変圧部および前記第2変圧部のそれぞれのコアは、E形状のフェライトコアである、ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項9】
基板と、
前記基板の一面に配置された第1導電性ラインと、
前記基板の前記一面とは反対側の面に配置された第2導電性ラインと、を備え、
前記第1導電性ラインは内側巻線および外側巻線を含み、前記内側巻線と前記外側巻線は単一の巻線を構成し、前記外側巻線と前記内側巻線は直列に連結される、ことを特徴とする印刷回路基板。
【請求項10】
前記第2導電性ラインはスパイラル形状に配置された、ことを特徴とする請求項9に記載の印刷回路基板。
【請求項11】
第1磁気コアおよび第2磁気コアと、
一面に第1導電性ラインが配置され、前記一面の反対面に第2導電性ラインが配置された第1印刷回路基板および第2印刷回路基板と、を備え、
前記第1導電性ラインは内側巻線および外側巻線を含み、前記内側巻線と前記外側巻線は単一の巻線を構成し、前記外側巻線と前記内側巻線は直列に連結される、ことを特徴とする磁気コアトランス。
【請求項12】
前記第1印刷回路基板と前記第2印刷回路基板は、互いに絶縁接着剤によって付着され合う、ことを特徴とする請求項11に記載の磁気コアトランス。
【請求項13】
前記第1印刷回路基板および前記第2印刷回路基板は、前記第2導電性ラインと向き合うように付着される、ことを特徴とする請求項12に記載の磁気コアトランス。
【請求項14】
前記第1印刷回路基板および前記第2印刷回路基板のそれぞれの前記第2導電性ラインは、スパイラル形状で配置される、ことを特徴とする請求項11に記載の磁気コアトランス。
【請求項15】
前記第1印刷回路基板および前記第2印刷回路基板のそれぞれの中央に孔が形成され、
前記第1磁気コアは前記第1印刷回路基板の前記孔を通過し、前記第2磁気コアは前記第2印刷回路基板の前記孔を通過する、ことを特徴とする請求項11に記載の磁気コアトランス。
【請求項16】
前記第1磁気コアおよび前記第2磁気コアはエアギャップを形成する、ことを特徴とする請求項15に記載の磁気コアトランス。
【請求項17】
前記エアギャップは、動作周波数で共振を起こすように調節される、ことを特徴とする請求項16に記載の磁気コアトランス。
【請求項18】
前記第1磁気コアおよび前記第2磁気コアはE形状である、ことを特徴とする請求項11に記載の磁気コアトランス。
【請求項19】
前記第1磁気コアおよび前記第2磁気コアはフェライトコアである、ことを特徴とする請求項11に記載の磁気コアトランス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に係り、より詳細には質量分析計に使用される電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析計は、質量分析により化学物質などを識別または分析する機器である。このような質量分析計は、物質の質量を質量電荷比(mass-to-charge ratio)で測定して試料の構成成分を分析することができる。質量分析計内で多様な方法を使用して試料をイオン化することができる。イオン化された試料は、電場および/または磁場を通過しながら加速される。すなわち、イオン化された試料の一部または全部は、電場および/または磁場などによって経路が曲がる。検出器はイオン化された試料を検出できる。
【0003】
四重極子質量分析法(quadrupole mass spectrometry)では、四重極子には直流電圧とRF電圧を印加することができる。電源装置は、RF電源の出力を変圧器を介して増幅して四重極子に印加することができる。RF電源の出力を増幅する変圧器として、空芯変圧器(air core transformer)が用いられる。このとき、変圧比に対応する変圧器係数を維持しながら大きさを減らすことができる方策が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-126049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の技術的課題は、変圧器係数を維持しながら、小型変圧器および小型変圧器を含む電源装置を提供することにある。
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、以上で言及した課題に限定されず、言及されていないもう1つの課題は、以下の記載から当該する技術分野における通常の知識を有する者にとって明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による電源装置は、RF電源と、前記RF電源の出力を昇圧する第1変圧部および第2変圧部を含む磁気コアトランスと、前記第1変圧部および前記第2変圧部のそれぞれの出力端子のうち第1端子と接地との間に連結される直流デカップリングキャパシタと、前記第1変圧部および前記第2変圧部のそれぞれの出力端子のうち第2端子と接地との間に連結される可変キャパシタと、前記第1端子に直流電圧を供給する直流電源と、前記直流電圧と昇圧されたRF電圧を出力する出力端子と、を備える。前記第1変圧部および前記第2変圧部のそれぞれは、入力コイル、磁気コアおよび出力コイルを含む。前記入力コイルは外側巻線および内側巻線を含むが、前記外側巻線と前記内側巻線は単一の巻線を構成し、前記外側巻線と前記内側巻線は直列に連結される。
【0008】
本発明の別の実施形態による印刷回路基板は、基板と、前記基板の一方の面に配置された第1導電性ラインと、前記基板の一方の面とは反対側の他方の面に配置された第2導電性ラインと、を備える。前記第1導電性ラインは内側巻線および外側巻線を含むが、前記内側巻線および前記外側巻線は単一の巻線を構成し、前記外側巻線と前記内側巻線は直列に連結される。
【0009】
本発明のもう1つの実施形態による磁気コアトランスは、第1磁気コアおよび第2磁気コアと、一方の面に第1導電性ラインが配置され、前記一方の面とは反対側の他方の面に第2導電性ラインが配置された第1印刷回路基板および第2印刷回路基板と、を備える。前記第1導電性ラインは内側巻線および外側巻線を含むが、前記内側巻線および前記外側巻線は単一の巻線を構成し、前記外側巻線と前記内側巻線は直列に連結される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態による電源装置、磁気コアトランスおよび印刷回路基板は、入力コイルの構造を介して入力コイルと出力コイルの巻線比を超える変圧器係数を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】質量分析計の電源装置を示す回路図である。
図2】本発明の実施形態による質量分析計の電源装置を示す回路図である。
図3図2の磁気コアトランスの垂直断面を示す図である。
図4図3の磁気コアトランスの磁気コアと印刷回路基板を示す図である。
図5A】本発明の実施形態による磁気コアトランスに含まれた印刷回路基板の第1導電性ラインおよび第2導電性ラインのコイルに対する平面図である。
図5B】本発明の実施形態による磁気コアトランスに含まれた印刷回路基板の第1導電性ラインおよび第2導電性ラインのコイルに対する平面図である。
図6A図3の磁気コアトランスの分解図および結合図である。
図6B図3の磁気コアトランスの分解図および結合図である。
図7図3の磁気コアトランスの入力コイルおよび出力コイルによって形成された磁場を示す図である。
図8図2の電源装置のRF等価回路である。
図9A図8のRF等価回路の特性を示すグラフである。
図9B図8のRF等価回路の特性を示すグラフである。
図9C図8のRF等価回路の特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の構成および効果を十分に理解するために、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0013】
本発明は、以下で開示する実施形態に限定されるものではなく、多様な形態で実施され、多様な修正および変更を加えることができる。ただ、本実施形態の説明を通じて本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。添付の図面では、構成要素は、説明の便宜のためにその大きさが実際よりも拡大して示されており、各構成要素の割合は誇張または縮小されてもよい。
【0014】
本明細書で使用される用語は実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。なお、本明細書で使用する用語は、別の意味で定義されていない限り、該当する技術分野における通常の知識を有する者に通常知られている意味と解釈され得る。
【0015】
本開示において、単数形には、文脈で特に言及されていない限り、複数形も含まれる。本明細書で使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、構成要素、段階、動作および/または素子の存在を指定するが、1つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在もしくは追加を排除しない。
【0016】
本開示において、ある層が他の層「上に」あると言及される場合、それは他の層の上面に直接形成されるか、またはそれらの間に第3層が介在されることも有り得る。
【0017】
本開示において、第1、第2などの用語が、多様な領域、層などを記述するために使用されているが、これらの領域、層がこれらの用語によって限定されてはならない。これらの用語は、単にある所定の領域または層を他の領域または層と区別するために使用されただけである。したがって、ある1つの実施形態では第1部分と言及された部分が、他の実施形態では第2部分と言及されることもある。本明細書に記載および例示される実施形態は、それの相補的な実施形態も含む。明細書全体にわたって同じ参照番号で示される部分は、同じ構成要素を表す。
【0018】
以下では、図面を参照して本発明による電源装置の実施形態に対して詳細に説明する。
【0019】
図1は、質量分析計の電源装置を示す回路図である。図1を参照すると、質量分析計の電源装置100は、RF電源110、変圧器120、DC電源130、出力端子141、142および四重極子質量フィルタ150を含む。
【0020】
RF電源110は、高周波であり電力電源100の出力に比して相対的小さな大きさのRF電圧を生成する。RF電源110で生成されたRF電圧は、変圧器120を介して相対的に大きなサイズのRF電圧に昇圧されてもよい。
【0021】
変圧器120は、入力コイル121および出力コイル122を含む。 入力コイルにはRF電源から生成されたRF電圧が印加される。入力コイルに印加されたRF電圧は磁束を形成し、出力コイル122に磁束による誘導起電力が印加される。出力コイル122は、分割インダクタで差動RF電圧を生成する。
【0022】
DC電源130は、出力コイル122を通した出力電圧に直流成分を追加する。このとき、DC電源を介して生成された直流電圧成分と、出力コイル122を介して伝達されるRF成分とは、出力端子141、142を介して四重極子質量フィルタ150に印加される。
【0023】
出力端子141、142には差動RF電圧および直流電圧を印加する。出力端子141、142を介したRF出力の周波数は数メガヘルツ(MHz)に達することができ、RF出力の電圧の振幅は数キロボルト(KV)に達し得る。出力端子141、142を介したDC出力の電圧は、数百ボルト(V)に達することができる。出力端子141、142は、四重極子質量フィルタ150に差動RFおよび直流電圧を伝達する。
【0024】
四重極子質量フィルタ150は、平行に配置される4つの円筒形棒を含む。対角に配置される棒に同じ電源が印加され、隣接して配置される棒に差動RFおよび直流電圧が印加される。四重極子質量フィルタ150には電磁気場が形成され、多様な質量を有するイオンが同じエネルギーで棒の間に噴射される。四重極子質量フィルタ150内でのイオンを質量に応じて分離することができる。これを通じてイオンの質量を分析できる。
【0025】
変圧器120は、以下の3つの要件を満たさなければならない。第1に、変圧器120の出力コイル122は、動作周波数で他の容量性素子との共振を提供しなければならない。第2に、出力コイル122は高電圧に耐えることができなければならない。第3に、入力コイル121と出力コイル122との間の誘導結合は、比較的に低い電圧を生成するRF電源110とマッチングするように十分に小さくなければならない。変圧器120における誘導結合は、入力コイル121と出力コイル122との間で磁場または磁束を共有することによって生じる電気的相互作用であり、0と1の間の値の結合係数として表される。変圧器係数は、入力コイル121と出力コイル122の巻線数と感度によって決定され、変圧器係数が高いほど入力コイル121で発生する磁場が出力コイル122に伝達され、変圧器120の出力電圧が増幅される。入力コイル121と出力コイル122の誘導結合を十分に小さくしなければならないことは、変圧器係数が十分に大きくなければならないことを意味する。
【0026】
変圧器120に適用される空芯変圧器(air core transformer)は、抵抗による損失に関連する品質係数(quality factor)であるQ値が大きいという利点があるものの、他の種類の変圧器に比してその大きさが相対的に大きいという欠点がある。変圧器120の大きさを減らすと同時にQ値を維持するために、変圧器120に磁気コア(magnetic core)が適用され得る。一例として、変圧器120には、シリコン鋼板コアまたはフェライトコア(ferrite core)などの多様な種類の磁気コアを適用することができる。フェライトコアは、鉄粉末素材を圧着した素材で構成されたコアであり、シリコン鋼板コアに比して高周波の電源で渦電流損失が少ないという利点がある。
【0027】
磁気コアが変圧器120に適用される場合も、また前述した3つの要件を満たさなければならない。このとき、出力コイル122が動作周波数で他の容量性素子との共振を提供しなければならないということは、磁気コアのエアギャップ(air gap)、および入力コイル121と出力コイル122の巻線比を決定して満たされてもよい。
【0028】
磁気コアトランスの出力コイル122は、高電圧に耐えることができるということは、出力コイル122の隣接する巻線の間の沿面距離を選択し、磁気コアのエアギャップを調節して満たされ得る。
【0029】
入力コイル121と出力コイル122との間の誘導結合がRF電源110とマッチングするのに十分に小さくなければならないことは、変圧器係数を高めることによって満たされる。 このとき、変圧器の係数を高めるために、次の2つの方法が考えられる。
【0030】
第1に、入力コイル121と出力コイル122の巻線比(turns ration)を大きくすることができる。ただし、出力コイル122の巻線数が増加するほど、出力コイル122の自己インダクタンスが巻線数の二乗に比例して増加するため、容量性素子との共振を起こすのに制限となる。なお、入力コイル121の巻線数は、1より小さくなり得ない。したがって、巻線比を増加させることは制限される。
【0031】
第2に、変圧器120の入力コイル121と出力コイル122との間の結合係数を減少させ得る。変圧器120が空芯変圧器である場合、入力コイル121の面積を減らしたり、出力コイル122を入力コイルから落としたり、入力コイル121と出力コイル122との間に幾何学的軸が成す角度を変えたりすることによって結合係数を減らすことができる。ただし、変圧器120の大きさを減らすために磁気コアが適用された場合、入力コイル121によって形成される磁束はコアに集中されるため、空芯変圧器と同様に結合係数を減らすことが制限される。したがって、入力コイル121と出力コイル122との間の結合係数を減らすことができる新しい方法が必要となる。
【0032】
図2は、本発明の実施形態による質量分析計の電源装置を示す回路図である。 図2を参照すると、本発明の実施形態による電源装置は、RF電源210、マッチングキャパシタ211、212、磁気コアトランス220、直流デカップリングキャパシタ232、235、可変キャパシタ233、236、出力端子241、242および四重極子質量フィルタ250を含む。
【0033】
RF電源210は、図1のRF電源110と対応する構成で、比較的小さいサイズのRF電圧を生成する。RF電源210から生成されたRF電圧は、磁気コアトランス220を介して比較的大きなサイズのRF電圧に昇圧される。
【0034】
磁気コアトランス220は、第1変圧部221、第2変圧部224を含む。第1変圧部221は磁気コアMCの一部、第1入力コイル222および第1出力コイル223を含み、第2変圧部224は磁気コアMCの他の一部、第2入力コイル225および第2出力コイル226を含む。RF電源210で生成されたRF電圧は、第1入力コイル222および第2入力コイル225に入力されることがあり、第1入力コイル222および第2入力コイル225は、磁気コアMCに集中される磁束を形成する。第1出力コイル223および第2出力コイル226は、磁気コアMCに形成された磁束によって誘導された電圧を出力する。第1入力コイル222および第2入力コイル225は同じ形状を有し、第1出力コイル223および第2出力コイル226もまた同じ形状を有する。磁気コアMCにはエアギャップGが形成されてもよい。
【0035】
第1入力コイル222および第2入力コイル225は、内側巻線および外側巻線を含むが、内側巻線および外側巻線は、直列に連結された単一の巻線で構成されてもよい。第1入力コイル222および第2入力コイル225の構造に起因して、第1入力コイル222および第2入力コイル225のそれぞれは、漏れインダクタンス(leakage inductance)を追加することができる。漏れインダクタンスは、直列に連結された新しい自己インダクタンスとして働く。
【0036】
マッチングキャパシタ211、212のそれぞれは、第1入力コイル222および第2入力コイル225の構造によって追加された漏れインダクタンスを補償するために、第1入力コイル222および第2入力コイル225に並列に連結される。
【0037】
第1直流端子231には第1符号の直流電圧(例えば、+Vdc)を印加することができ、第2直流端子234には第1符号と異なる符号の直流電圧(例えば、 -Vdc)を印加することができる。
【0038】
直流デカップリングキャパシタ232、236は、RF電圧と直流電圧を連結する。このとき、直流デカップリングキャパシタ232、236は、直流電圧がRF電圧に影響を及ぼすのを防ぎ、分析の正確度を高める。
【0039】
可変キャパシタ233、236は、接地と出力端子241、242とのそれぞれの間に連結される。第1出力コイル223、直流デカップリングキャパシタ232および可変キャパシタ233は、第1共振タンク(1st RT)を形成し、第2出力コイル226、直流デカップリングキャパシタ235および可変キャパシタ236は、第2共振タンク(2nd RT)を形成する。 第1共振タンク(1st RT)および第2共振タンク(2nd RT)は、磁気コアトランス220の動作周波数のRF出力を出力端子241、242に効率的に伝達するようにする。可変キャパシタ233、236は、動作周波数で共振を起こすように調節される。
【0040】
出力端子241、242のそれぞれは、図1の出力端子141、142に対応する。出力端子241、242を介して四重極子質量フィルタ250に差動RF電圧および直流電圧を印加する。
【0041】
四重極子質量フィルタ250は、図1の四重極子質量フィルタ150に対応する。
【0042】
一方、本発明の実施形態による磁気コアトランス220は、第1入力コイル222および第2入力コイル225の構造を介して、変圧器の要件を満たしながら比較的小さいサイズを有する。
【0043】
図3は、図2の磁気コアトランスの垂直断面を示す図である。図3を参照すると、図2の磁気コアトランス220は、第1磁気コア(1st MC)、第2磁気コア(2nd MC)、第1印刷回路基板(1st PCB)および第2印刷回路基板を含む。
【0044】
第1磁気コア(1st MC)および第2磁気コア(2nd MC)は、E字形状のコアである。第1磁気コア(1st MC)および第2磁気コア(2nd MC)の中央突出部は、第1印刷回路基板および第2印刷回路基板の中央に形成された孔を通過し、エアギャップGだけ離隔される。第1磁気コア(1st MC)および第2磁気コア(2nd MC)の側面突出部は、中央突出部と同様に、第1印刷回路基板および第2印刷回路基板の両側面でエアギャップGだけ離隔される。中央突出部のエアギャップと側面突出部のエアギャップGは、等しく形成されてもよく、互いに異なって形成されることもあり得る。第1磁気コア(1st MC)と第2磁気コア(2nd MC)との間に形成されるエアギャップGは、動作周波数での共振と出力コイルに印加される高電圧などを総合的に考慮して決定される。
【0045】
一方、図3において、第1磁気コア(1st MC)および第2磁気コア(2nd MC)が対称的に示されているのとは異なり、第1磁気コア(1st MC)および第2磁気コア(2nd MC)は、非対称構造で形成されることもあり得る。一例として、第1磁気コア(1st MC)の突出部と第2磁気コア(2nd MC)の突出部の長さが異なる場合があり得る。あるいは、第1磁気コア(1st MC)はE字形状のコアであり得るが、第2磁気コア(2nd MC)は突出部を含まない形状でもあり得る。
【0046】
第1印刷回路基板(1st PCB)および第2印刷回路基板(2nd PCB)は、互いに同じ印刷回路基板であり得る。
【0047】
第1印刷回路基板(1st PCB)は、基板BD、第1入力コイル222および第1出力コイル223を含む。基板BDの中央には磁気コアを挿入するための孔が形成されてもよい。第1印刷回路基板(1st PCB)の一面には、第1入力コイル222を導電性ラインとして配置でき、他面には第1出力コイル223を導電性ラインとして形成できる。すなわち、基板BDの両面には、印刷回路(printed circuit)の方式で第1入力コイル222の導電ライン、および第1出力コイル223の導電ラインを配置できる。
【0048】
第2印刷回路基板(2nd PCB)に対して、第1印刷回路基板(1st PCB)と同様に第2入力コイル225の導電性ライン、および第2出力コイル226の導電性ラインが印刷回路の方式によって基板BD上に形成される。
【0049】
磁気コアトランス220の組立体において、第1印刷回路基板(1st PCB)および第2印刷回路基板(2nd PCB)のそれぞれは、第1入力コイル222および第2入力コイル225のそれぞれが外部を向くように位置する。すなわち、第1印刷回路基板(1st PCB)の第1出力コイル223と、第2印刷回路基板(2nd PCB)の第2出力コイル226とは、向き合うように位置する。第1出力コイル223と第2出力コイル226が互いに近接して配置されることによって、出力コイル223、226間の結合が増加する。
【0050】
基板BD上に高電圧が誘起されて巻線間のショートを含む不良が発生するのを防止するために、絶縁物質を塗布する。第1印刷回路基板(1st PCB)および第2印刷回路基板(2nd PCB)は、高電圧による絶縁破壊を防止するために絶縁プラスチックを含む絶縁接着剤で付着されてもよい。
【0051】
第1印刷回路基板(1st PCB)は図2の第1変圧部221に対応し、第2印刷回路基板(2nd PCB)は図2の第2変圧部224に対応する。
【0052】
基板BDは、FR-4基板、CEM基板、メタルコア基板、ポリイミド基板、銅コア基板、セラミック基板、PTFE基板などの多様な種類の基板を用いることができる。
【0053】
入力コイル222、225および出力コイル223、226の導電ラインは、銅、金、銀、アルミニウム、鋼鉄合金などで構成される。一方、入力コイル222、225および出力コイル223、226は、1つの多層印刷回路基板で形成されることもある。第1磁気コア(1st MC)および第2磁気コア(2nd MC)は、フェライトコアであり得る。
【0054】
図4は、図3の磁気コアトランスの磁気コアおよび印刷回路基板を示す図である。図3を参照すると、印刷回路基板PCBは、基板BD、第1導電性ライン(1st CL)および第2導電性ライン(2nd CL)を含む。
【0055】
基板BDの中央には、磁気コアMCが通過するように孔が形成される。第1導電性ライン(1st CL)は、単一の巻線として外側巻線OTと内側巻線ITが直列に連結された構造を有する。このとき、隣接する内側巻線ITと外側巻線OTには同じ大きさの反対方向の電流が流れる。例として、第1導電性ライン(1st CL)に流れる電流I1とI2は、互いに大きさが等しく、方向が逆である。
【0056】
第2導電性ライン(2nd CL)は、基板BDの第1導電性ライン(1st CL)が形成された面とは反対の面に形成される。第2導電性ライン(2nd CL)は、特定の巻線数を有する単層スパイラルコイル(spiral coil)である。第2導電性ライン(2nd CL)の巻線数は、動作周波数での共振、高電圧による絶縁破壊を防止するための沿面距離、変圧器係数を総合的に考慮して決定される。
【0057】
第1導電性ライン(1st CL)の内側巻線ITによって取り囲まれた内部領域および外側巻線OTの外部領域の磁場は減少し、第2導電性ライン(2nd CL)と磁気的に結合される。内側巻線ITと外側巻線OTとの間の領域の磁場は追加されるが、第2導電性ライン(2nd CL)と磁気的に結合されない。これによって、第1導電性ライン(1st CL)と第2導電性ライン(2nd CL)との結合が小さくなり、一定の大きさの磁気エネルギーが、第2導電性ライン(2nd CL)に伝達されず、第1導電性ライン(1st CL)にのみ蓄えられる。すなわち、第1導電性ライン(1st CL)と第2導電性ライン(2nd CL)との間の相互インダクタンスが減少し、第1導電性ライン(1st CL)に漏れインダクタンスが追加される。漏れインダクタンスは、第1導電性ライン(1st CL)に直列に連結された新しい自己インダクタンスとして働く。すなわち、第1導電性ライン(1st CL)と第2導電性ライン(2nd CL)との間の結合係数を減少させることがあり、第2導電性ライン(2nd CL)の巻線数を最小化しながら変圧器係数を増加させることがある。
【0058】
図5Aおよび図5Bは、本発明の実施形態による磁気コアトランスに含まれる印刷回路基板の第1導電性ライン、および第2導電性ラインのコイルの平面図である。図5Aおよび図5Bを参照すると、第1導電性ライン(1st CL)は、直列連結されて単一の巻線を形成する外側巻線OTおよび内側巻線ITを含む。
【0059】
基板BDの中央には、磁気コアが通過する孔Hが形成される。
【0060】
第1導電性ライン(1st CL)は、基板BDの第1面SD1に配置される。第1導電性ライン(1st CL)によって磁場が形成される領域は、内側巻線ITおよび外側巻線OTに応じて第1領域A1、第2領域A2および第3領域A3に区分される。第1領域A1は内側巻線ITの内部領域であり、第2領域A2は内側巻線ITと外側巻線OTとの間の領域であり、第3領域A3は外側巻線の外部領域である。
【0061】
第2導電性ライン(2nd CL)は、基板BDの第2面SD2に配置される。第2面SD2は、第1面SD1の反対面である。第2導電性ライン(2nd CL)は、基板の中央に形成された孔Hの周囲にスパイラルコイルの形状である。
【0062】
図4で説明したように、第1導電性ライン(1st CL)のRF電圧に形成された磁場のうち、第1領域A1および第3領域A3に形成された磁場によって、第1導電性ライン(1st CL)と第2導電性ライン(2nd CL)とが磁気的に結合されるようにする。一方、第2領域A2に形成された磁場は、第2導電性ライン(2nd CL)との結合を形成せず、漏れインダクタンスを形成する。第2領域における漏れインダクタンスは、第1導電性ライン(1st CL)に直列に連結された自己インダクタンスとして取り扱われてもよい。
【0063】
単一の巻線として、内側巻線ITと外側巻線OTとが直列に連結された第1導電性ライン(1st CL)の構造によって、第1導電性ライン(1st CL)と第2導電性ライン2dCLとの間の結合係数を減少させる。第2導電性ライン(2nd CL)の巻線数を最小化しながら変圧器係数を増加させる。
【0064】
第1導電性ライン(1st CL)は、図2の磁気コアトランス220の第1入力コイル222または第2入力コイル225に対応し、第2導電性ライン(2nd CL)は、図2の磁気コアトランス220の第1出力コイル223または第2出力コイル226に対応する。
【0065】
図6Aおよび図6Bは、図3の磁気コアトランスの分解図および結合図である。図6Aおよび図6Bを参照すると、磁気コアトランス220の組立体を確認できる。磁気コアトランス220の組立体は、第1磁気コア(1st MC)、第2磁気コア(2nd MC)、第1印刷回路基板(1st PCB)および第2印刷回路基板(2nd PCB)で構成される。
【0066】
第1磁気コア(1st MC)および第2磁気コア(2nd MC)は、E形状の磁気コアであって、側面突出部と中央突出部を有する。第1磁気コア(1st MC)の中央突出部は第1印刷回路基板(1st PCB)の中央に形成された孔を通過し、側面突出部は第1印刷回路基板(1st PCB)の側面をカバーする。第1印刷回路基板(1st PCB)は、入力コイルが第1磁気コア(1st MC)側に位置するように第1磁気コア(1st MC)と組み立てられる。第2磁気コア(2nd MC)と第2印刷回路基板(2nd PCB)もまた前述したのと同様に組み立てられる。
【0067】
第1磁気コア(1st MC)と第2磁気コア(2nd MC)との間にはエアギャップGを形成する。エアギャップGは、動作周波数で出力コイルによって出力されるRF電圧が他の容量性素子と共に共振を起こすために、調節される。
【0068】
前述したように、第1印刷回路基板(1st PCB)および第2印刷回路基板(2nd PCB)は、絶縁接着剤で付着される。
【0069】
図7は、図3の磁気コアトランスの入力コイルおよび出力コイルによって形成された磁場を示す図である。図7を参照すると、入力コイル222、225および出力コイル223、226の磁気結合を確認できる。
【0070】
第1磁場MF1は、入力コイル222、225によって形成された磁場である。前述の入力コイル222、225の構造に応じて、入力コイル222、225の内側巻線と外側巻線との間の領域に磁束MFXが追加され、内側巻線の内部領域と外側巻線の外部領域での磁束MFXは減少する。
【0071】
第2磁場MF2は、出力コイル223、226によって形成された磁場である。出力コイル223、226の場合、磁束MFXの大部分は磁気コア(1st MC、2nd MC)に集中される。全磁束MFXのうち、いくつかの磁束MFXのみが入力コイル222、225および出力コイル223、226の両方に結合される。これによって、入力コイル222、225と出力コイル223、226の結合係数は減少することが確認できる。
【0072】
図8は、図2の電源装置のRF等価回路である。図8を参照すると、図2の電源装置は、RF等価回路300で入力電圧Vin、第1キャパシタC1、第1インダクタL1、第2インダクタL2、第3インダクタL3、第4インダクタL4、第2キャパシタC2、抵抗Rおよび出力電圧Voutとして表される。このとき、図2の直流要素は無視されてもよい。
【0073】
第1インダクタL1は図2の第1入力コイル222に対応し、第2インダクタL2は第2入力コイル225に対応し、第3インダクタL3は第1出力コイル223に対応し、第4インダクタL4は第2出力コイル226に対応する。第1キャパシタC1は、図2のマッチングキャパシタ211、212に対応する。第2キャパシタC2は、図2の可変キャパシタ233、236、四重極子質量フィルタ250の静電容量および連結導線の静電容量に対応する。抵抗Rは、図2の磁気コアMCから発生する損失の抵抗に対応する。
【0074】
RF等価回路300におけるインダクタL1~L4の自己インダクタンスL11、L22、L33、L44のそれぞれは、表1の通りである。
【0075】
【表1】
【0076】
RF等価回路300におけるダクタL1~L4の相互インダクタンスL12、L13、L14、L23、L24、L34のそれぞれは、以下の表2の通りである。
【0077】
【表2】
【0078】
RF等価回路300におけるインダクタL1~L4の結合係数K12、K13、K14、K23、K24、K34のそれぞれは、以下の表3の通りである。
【0079】
【表3】
【0080】
第1キャパシタC1の容量は1.61E-8ファラット(F)で、第2キャパシタC2の容量は5.355E-11ファラット(F)で、抵抗Rの大きさは2.00E+5オーム(ohm)である。
【0081】
RF等価回路300は、バンドパスフィルタ(band pass filter)として働くことができる。RF等価回路300のバンドパスフィルタは、第1キャパシタC1、第1インダクタL1、第2インダクタL2を含む低インピーダンス共振タンクと、第2キャパシタC2、第3インダクタL3、第4インダクタL4を含む高インピーダンス共振タンクとで構成される。以下では、図9A図9CにおいてRF等価回路300の特性に対して説明する。
【0082】
図9A図9Cは、図8のRF等価回路の特性を示すグラフである。図9Aを参照すると、RF等価回路300の有効変圧器係数を確認できる。RF等価回路300において、第1インダクタL1と第3インダクタL3の巻線比は14である。すなわち、第1インダクタL1の巻線数は1であり、第3インダクタL3の巻線数は14である。ただし、前述した第1インダクタL1および第2インダクタL2の構造的特性により、第1インダクタL1と第3インダクタL3との間の結合係数、並びに第2インダクタL2と第4インダクタL4との間の結合係数K13、K24は、比較的に小さい値を有する。図9Aのグラフ上では、動作周波数は1.50メガヘルツ(MHz)であり、動作周波数における入力電圧Vin対出力電圧Voutの比は76である。従来の磁気コアトランスの場合、変圧器係数は、巻線比である14またはこれと同様の値でなければならない。一方、本発明の実施形態による入力コイルの構造により、結合係数K13、K24が減少し、有効変圧器係数が76に達することを確認できる。
【0083】
図9Bおよび図9Cのそれぞれは、入力インピーダンスの大きさおよび位相を示す。RF等価回路300の動作周波数である1.5メガヘルツ(MHz)では、入力インピーダンスの位相はゼロとなり、入力インピーダンスの大きさは最小値を有する。このとき、RF等価回路300は、バンドパスフィルタを遂行することを確認することができる。
【0084】
以上の通り、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施されることが理解できるだろう。したがって、以上で記述した実施形態は、あらゆる面で例としてのものであり、限定的なものではないと理解すべきである。
【符号の説明】
【0085】
100 電源装置
110 RF電源
120 トランス(変圧器)
130 DC電源
141、142 出力端子
150 四重極子質量フィルタ
210 RF電源
220 磁気コアトランス
221 第1変圧部
222 第1入力コイル
223 第1出力コイル
224 第2変圧部
225 第2入力コイル
226 第2出力コイル
231 第1直流電源端子
232、235 直流デカップリングキャパシタ
233、236 可変キャパシタ
234 第2直流電源端子
241、242 出力端子
250 四重極子質量フィルタ


図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C