(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159670
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】オンボードコンジュゲーション
(51)【国際特許分類】
G01N 33/532 20060101AFI20241031BHJP
G01N 33/533 20060101ALI20241031BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01N33/532 A
G01N33/533
G01N33/53 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024072005
(22)【出願日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】23170762.1
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン-ゲリット ホーヘンダイク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】試料中の分析物を標識するための方法、試薬、装置およびシステム。
【解決手段】本発明は、試料中の分析物を標識するための方法であって、(a)分析物に結合する検出薬を提供し、前記検出薬を指示薬とコンジュゲートさせてコンジュゲーション生成物を生成することと、(b)前記試料を工程(a)の前記コンジュゲーション生成物と接触させることとを含み、前記工程(b)が、工程(a)の完了後直ちに実行され、工程(a)および工程(b)が同じ標識装置によって実行される方法、ならびに標識装置、システムおよびそれらに関連する使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の分析物を標識するための方法であって、前記方法が、
(a)前記分析物に結合する検出薬を提供し、前記検出薬を指示薬とコンジュゲートさせてコンジュゲーション生成物を生成することと、
(b)前記試料を工程(a)の前記コンジュゲーション生成物と接触させることと、を含み、
工程(b)が、工程(a)の完了後直ちに実行され、工程(a)および工程(b)が、同じ標識装置によって実行される、方法。
【請求項2】
直ちに実行することが、工程(a)の完了後、最大で1日、一実施形態では最大で12時間、更なる実施形態では最大で6時間、更なる実施形態では最大で3時間、更なる実施形態では最大で1時間で、工程(b)を実行することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コンジュゲートさせる工程(a)が、第1の反応容器内で実行され、直ちに実行することが、工程(a)からの前記コンジュゲートを第2の反応容器内の前記試料と接触させることを含み、工程(a)からの前記コンジュゲートを、工程(b)の前にいかなる更なる容器にも接触させない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出薬が、抗体またはその断片である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ここで前記試料が生物学的試料であり、一実施形態では、細胞を含む試料である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記検出薬と前記指示薬との間のカップリングが、非共有結合性であり、一実施形態では親和性対を介する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、追加の分析物に結合する追加の検出薬を提供する追加の工程(a1)と、前記追加の検出薬を追加の指示薬とコンジュゲートさせて追加のコンジュゲーション生成物を生成する追加の工程とを含み、工程(b)が、前記試料を工程(a)の前記コンジュゲーション生成物および工程(a1)の前記追加のコンジュゲーション生成物と接触させることを含み、工程(b)が、前記提供する工程および前記コンジュゲートさせる工程の少なくとも1つの完了後直ちに実行される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、前記指示薬および追加の指示薬、ならびに必要に応じて任意の更なる指示薬を、前記指示薬間の干渉が低減されるように選択することを含み、一実施形態では、前記干渉は、蛍光スピルオーバー、吸収スペクトルの重なり、交差励起からなるリストから選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記標識装置が、請求項10~13のいずれか一項に記載の標識装置である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
標識装置であって、
(A)反応ユニットに動作可能に接続された、検出薬を含む第1の容器と、
(B)前記反応ユニットに動作可能に接続された、指示薬を含む第2の容器と、
(C)標識ユニットと、を備え、
前記反応ユニットが、前記検出薬を前記指示薬とコンジュゲートさせてコンジュゲーション生成物を生成するように構成されており、前記標識ユニットが、試料を前記コンジュゲーション生成物と接触させるように構成されており、
前記標識装置が、プロセッサと、前記プロセッサ上で実行されると、前記標識装置に請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実行させる、実体的に具現化された命令とを更に備える、標識装置。
【請求項11】
検出器を備える分析ユニットを更に備える、請求項10に記載の標識装置。
【請求項12】
前記検出器が、FACSユニットまたはデジタル撮像ユニットを備える、請求項11に記載の標識装置。
【請求項13】
検出薬とのコンジュゲーションのための指示薬を選択するために実体的に具現化されたアルゴリズムを含むセレクタユニットを更に備える、請求項10~12のいずれか一項に記載の標識装置。
【請求項14】
システムであって、動作可能に接続された
(i)請求項10~13のいずれか一項に記載の標識装置と、
(ii)検出装置および/またはセレクタ装置と
を備える、システム。
【請求項15】
分析ユニットおよび検出器を備える装置上で同一でない指示薬を含む少なくとも2つの検出薬を生成するためのオンボードコンジュゲーションの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中の分析物を標識するための方法であって、当該方法は、(a)分析物に結合する検出薬を提供し、当該検出薬を指示薬とコンジュゲートさせてコンジュゲーション生成物を生成することと、(b)当該試料を工程(a)の当該コンジュゲーション生成物と接触させることと、を含み、当該工程(b)が、工程(a)の完了後直ちに実行され、工程(a)および工程(b)は同じ標識装置によって実行される、方法に関し、本発明はまた、標識装置、システム、およびそれらに関連する使用に関する。
【背景技術】
【0002】
標識抗体は、特に臨床および診断用途だけでなく、ライフサイエンス研究においても多種多様な用途を有する。多くの用途では、1つの標識抗体のみが必要であるが、例えば細胞集団の多色FACS分析においては、2つ以上の分析物を検出する必要がある、より要求の厳しい用途もある。多色標識は、標識間の干渉によって妨害されることが多く、例えば、蛍光用途、蛍光スピルオーバー、吸収スペクトルの重なり、および交差励起は、周知の干渉現象である。
【0003】
多色標識の例としては、例えば、Barnett et al.(2009),Nat Rev Microbiol 6(11 Suppl):S7およびBioLegend製の6色TBNKパネルに概説されているように、HIV免疫表現型検査に使用される3~6色パネルが挙げられるが、例えば急性骨髄性白血病(Ouyang et al.(2019),J Int Med Res 47(4):1483)の分析では、より複雑なパネルも使用された。
【0004】
標識された抗体は、通常、製造業者によって提供され、これは、各抗体/標識の組み合わせを入手し、貯蔵しなければならないことを意味し、貯蔵コストおよび輸送コストを増大させる。この努力は、使用され得る抗体および標識の数が増加するにつれて指数関数的に増加する。また、多数の抗体/標識コンジュゲートをストックしておくと、特にまれに使用される組み合わせが、例えばオンボード不安定性、オープンバイアル不安定性および/またはクローズドバイアル不安定性によって、すなわち使用期限に達するために使用不可能になることがある。
【発明の概要】
【0005】
したがって、上記の欠点を回避して、検出薬/標識コンジュゲートの提供および貯蔵のための改善された手段および方法が当技術分野において必要とされている。本発明の根底にある技術的な課題は、上述のニーズに対応するための手段および方法の提供と見なすことができる。この技術的な課題は、以下の特許請求の範囲および本明細書において特徴付けられる実施形態によって、解決される。
【0006】
したがって、本発明は、試料中の分析物を標識するための方法に関し、当該方法は、
(a)分析物に結合する検出薬を提供し、当該検出薬を指示薬とコンジュゲートさせてコンジュゲーション生成物を生成することと、
(b)当該試料を工程(a)の当該コンジュゲーション生成物と接触させることと、を含み、
当該工程(b)が、工程(a)の完了後直ちに実行される。
【0007】
概して、本明細書で使用される用語は、当業者に通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、別途指示がない限り、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。以下で使用される「有する(have)」、「含む(comprise)」、もしくは「含む(include)」という用語、またはそれらの任意の文法上の変形は、非排他的に使用される。よって、これらの用語は、これらの用語によって導入された特徴に加えて、この文脈で説明されている存在物に更なる特徴が存在しない状況と、1つまたは複数の追加の特徴が存在する状況との両方を指す場合がある。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、および「AはBを含む」という表現は、両方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独かつ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、または更なる要素等の1つまたは複数の更なる要素がエンティティAに存在する状況を指してもよい。また、当業者によって理解されるように、一実施形態では、「を含む(comprising a)」および「を含む(comprising an)」という表現は、「1つまたは複数を含む(comprising one or more)」を指し、すなわち「少なくとも1つを含む(comprising at least one)」と等価である。したがって、複数のうちの1つの項目に関する表現は、別段の指示がない限り、一実施形態では、少なくとも1つのそのような項目に関し、更なる実施形態では、その複数、したがって、例えば、「細胞」を同定することは、少なくとも1つの細胞を同定することに関し、一実施形態では、多数の細胞を同定することに関する。また、「多数」という用語は、1つを超える数、すなわち一実施形態では少なくとも2つ、更なる実施形態では少なくとも3つ、更なる実施形態では少なくとも4つ、更なる実施形態では少なくとも5つに関すると当業者に理解され、したがって、多数は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、または100であってもよい。
【0008】
さらに、以下で使用される場合、「好ましくは(preferably)、「より好ましくは(more preferably)」、「最も好ましくは(most preferably)」、「特に(particularly)」、「より特には(more particularly)、「具体的には(specifically)」、「より具体的には(more specifically)」という用語、または同様の用語は、更なる可能性を制限することなく、任意の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語により導入される特徴は、任意の特徴であり、特許請求の範囲を、いかなる方法によっても制約することを意図されていない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用して実施されてもよい。同様に、「一実施形態では」または同様の表現によって導入された特徴は、本発明の更なる実施形態に関するいかなる制限もなく、本発明の範囲に関するいかなる制限もなく、およびそのように導入された特徴を他の任意または非任意の特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限もなく、任意の特徴であることが意図されている。
【0009】
以下に特定される方法は、インビトロ法である。方法工程は、原則として、当業者によって適切であると考えられる任意の順序で実行されてもよいが、一実施形態では、指定の順序で実行され、また、当該工程の1つまたは複数、一実施形態では全てが、自動化された機器によって支援または実行されてもよい。さらに、本方法は、明示的に上述された工程以外の工程も含み得る。
【0010】
本明細書において使用される場合、「標準条件」という用語は、別途明記されない場合、IUPAC標準の周囲温度および圧力(SATP)条件、すなわち、好ましくは、25℃の温度および100kPaの絶対圧力に関し、やはり好ましくは、標準条件は、7というpHを含む。さらに、別段の指示がない限り、「約」という用語は、関連分野で一般に認められている技術的精度を有する指示値に関し、一実施形態では、指示値±20%に関し、更なる実施形態では±10%に関し、更なる実施形態では±5%に関する。さらに、「本質的に」という用語は、示された結果または使用に影響を及ぼす偏差が存在しない、すなわち、潜在的な偏差が、示された結果を更なる実施形態では±20%、更なる実施形態では±10%、更なる実施形態では±5%を超えて偏差させないことを示す。したがって、「から本質的になる」とは、特定された構成要素を含むが、不純物として存在する材料、構成要素を提供するために使用されるプロセスの結果として存在する不可避の材料、および本発明の技術的効果を達成すること以外の目的のために添加される構成要素を除く他の構成要素を除外することを意味する。例えば、「から本質的になる」という語句を使用して定義される組成物は、任意の既知の許容される添加剤、添加物、希釈剤、担体等を包含する。一実施形態では、一組の構成要素から本質的になる組成物は、5重量%未満、更なる実施形態では3重量%未満、更なる実施形態では1重量%未満、更なる実施形態では0.1重量%未満の特定されていない構成要素(複数可)を含む。
【0011】
生物学的高分子の「断片」という用語は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの一実施形態では、本明細書では、示された配列、構造および/または機能を含むそれぞれの生物学的高分子の任意のサブ部分、一実施形態ではサブドメインに関する広い意味で使用される。したがって、この用語は、生物学的高分子の実際の断片化によって生成された下位部分だけでなく、それぞれの生物学的高分子から抽象的に、例えばin silicoで誘導された下位部分も含む。したがって、本明細書において使用される場合、FcまたはFab断片は、免疫グロブリンの断片と呼ばれ得る。「誘導体」という用語は、誘導体が由来する化合物と同一ではないが本質的に同じ活性を有する構造を有する化合物に関すると当業者によって理解される。したがって、抗体の誘導体は、特に、ヒト化抗体、二重特異性抗体、一本鎖抗体またはナノボディであり得、これらは全て、原則として当業者に公知である。
【0012】
「標識」という用語は、本明細書の文脈において、特に分析物を本明細書で以下に指定される指示薬と会合させることによって、分析物を検出可能にする任意の活性および/または進行に関すると当業者によって理解される。一実施形態では、標識は特異的標識化であり、「特異的標識化」という用語は、分析物分子と非分析物分子との区別を可能にする標識に関する。当業者によって理解されるように、特異的標識化は、必ずしも分析物と任意の非分析物分子との間の区別を可能にする必要はなく、典型的には、試料は、特に試料が分析物について濃縮されている場合、非分析物化合物クラス、例えばポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを除去するために処置される場合、またはマトリックスの複雑さを低減するために前処理される場合、限られた数の非分析物化合物を含む。したがって、本明細書において使用される場合、特異的標識化は、一実施形態では、特定の試料タイプおよび/または試料前処置との関連で特異的である。一実施形態では、特異的標識化は、試料に含まれる任意の非分析物と比較して、少なくとも5倍、更なる実施形態では少なくとも10倍、更なる実施形態では少なくとも25倍、更なる実施形態では少なくとも100倍の強い分析物の標識である。標識することは、典型的には、本明細書に以下に指定されるコンジュゲートを分析物に結合させることによって達成され、その結果、コンジュゲート中の検出薬にコンジュゲート化された指示薬が、非共有結合性または共有結合性に、一実施形態では非共有結合性に、分析物と会合するようになる。したがって、指示薬の分析物への結合は、特に間接的であり得る、すなわち検出薬を介し得る。一実施形態では、本明細書で以下により詳細に指定されるように、分析物は、多数の化学化合物、特に真核細胞等の細胞を含むより大きな構造に含まれ、この場合、分析物は「マーカー」または「表面マーカー」と呼ばれることもある。そのような場合、理解されるように、細胞内および/または細胞表面上に存在する分析物分子が標識され、細胞も標識される。一実施形態では、多数の分析物が同じ細胞の試料中で標識される場合、そのような分析物は、例えば細胞の二重標識の場合、例えばCD3およびCD19標識の場合、同じ細胞に含まれてもよく、または例えばCD4+T細胞およびCD8+T細胞等の2つの異なる細胞型を標識する場合、異なる細胞型に存在してもよい。当業者によって理解されるように、例えば、1つの分析物が細胞群上に存在し、第2の分析物がそのサブグループ上にのみ存在する場合、または第1のマーカーが第1の細胞群に存在し、第2のマーカーが第2の細胞群に存在するが、第1および第2の分析物の両方が更なる第3の細胞群に存在し得る場合、混合型標識も可能である。
【0013】
本明細書において使用される場合、「分析物」という用語は、一実施形態では、分析物/検出薬複合体の検出を可能にするのに十分な親和性で検出薬に結合する化学分子、有機分子に関する。一実施形態では、分析物/検出薬複合体の解離定数(Kd)は、最大10-7mol/L、更なる実施形態では最大10-8mol/l、更なる実施形態では最大10-9mol/Lである。一実施形態では、分析物は生物学的分子であり、更なる実施形態では、分析物は生物学的高分子である。更なる実施形態では、分析物はポリペプチドである。分析物が細胞に含まれる場合、そのような分析物は、「マーカー」または「バイオマーカー」と呼ばれることもある。
【0014】
一実施形態では、分析物がポリペプチドである場合、ポリペプチドは、感染因子、例えばウイルス、細菌もしくは原生動物によって産生される抗原であるか、または、分析物は、感染因子、例えばウイルス、細菌または厳正動物によって産生される抗原に対して対象によって産生される抗体である。しかしながら、分析物はまた、一実施形態では診断対象である対象によって産生される非抗体ポリペプチド、例えば、葉酸結合タンパク質または内因性因子であってもよい。更なる実施形態では、分析物は、宿主細胞に含まれる、特に宿主細胞表面に露出したポリペプチドである。したがって、分析物は、一実施形態では、細胞表面マーカーである。適切な細胞表面マーカーは当技術分野で公知であり、本明細書の他の箇所に記載されている。一実施形態では、分析物は、白血球およびまたは血小板およびまたは赤血球の分化、例えばTBNKの分化において使用される、CD4免疫表現型検査、例えばHIV感染対象において使用されるマーカーであるか、または急性白血病、特に急性骨髄性白血病の分化において使用されるマーカーである。したがって、分析物は、例えばTBNK分化で使用される場合、CD3、CD4、CD8、CD45、CD56、CD16、および/もしくはCD19であり得、ならびに/または、例えば急性白血病分化において使用される場合、CD13、CD15、CD33、CD61および/もしくはCD9であり得、ならびに/または例えばHIV白血球分析で使用される場合、CD3、CD4、CD8、CD19および/もしくはCD20であり得る。しかしながら、分析物は、特に、例えばBLASTパネルとして、CD3、CD4、CD8、CD10、CD19および/もしくはCD33;例えばAPL(急性前骨髄球性白血病)スクリーニングにおけるCD11b、CD34および/もしくはHLA-DR(=ヒト白血球抗原-DRアイソタイプ);例えばCD20薬物モニタリングにおけるCD4、CD5、CD8、CD19および/もしくはCD20;例えばPLT-機能試験および処置におけるCD41、CD61、CD62pおよび/またはPS(ホスファチジルセリン);ならびに/または例えば冠動脈疾患/アテローム性動脈硬化診断におけるCD14、CD41、CD42a、CD61、CD62pおよび/もしくはPSを含む、当業者によって適切であると考えられる任意の他の細胞マーカーであってもよい。
【0015】
一実施形態では、分析物は、細菌抗原、例えば、梅毒トレポネーマ抗原、ボレリア抗原、ブルセラ抗原、クラミジア抗原、マイコプラズマ抗原、リステリア抗原、または一実施形態ではクルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)抗原等の単細胞生物に由来する抗原である。一実施形態では、分析物は、細菌抗原に対する抗体、更なる実施形態では、細菌ポリペプチドに対する抗体である。一実施形態では、抗体は、抗梅毒トレポネーマ抗体、抗ボレリア抗体、抗ブルセラ抗体、抗クラミジア抗体、抗マイコプラズマ抗体、または抗リステリア抗体である。更に別の実施形態では、分析物は、単細胞生物に対する抗体、一実施形態では抗クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)抗体である。更なる実施形態では、分析物は、抗自己抗体、すなわち対象自体によって産生された抗原を認識する抗体、一実施形態では疾患、一実施形態では自己免疫疾患の診断および/または予後診断用の抗自己抗体である。診断用および予後診断用の抗自己抗体は当技術分野で公知であり、例えば、全身性エリテマトーデスまたは多発性筋炎を示す抗核抗体、橋本甲状腺炎またはグレーブス病を示す抗甲状腺抗体、貧血を示す抗内因性因子抗体、およびセリアック病またはグルテン過敏症を示す抗組織トランスグルタミナーゼ抗体が挙げられる。
【0016】
一実施形態では、分析物はウイルス抗原、例えばウイルスの抗原であり、一実施形態では、肝炎ウイルス、アルボウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ムンプスウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ポリオウイルス、コロナウイルス、およびエンテロウイルスからなるリストから選択されるウイルスの抗原である。一実施形態では、分析物は、ウイルス抗原に対する、更なる実施形態では、ウイルスポリペプチドに対する、または更なる実施形態では、ウイルスカプシドポリペプチドに対する、一実施形態では医学的に関連するウイルスの、一実施形態では本明細書で上記に指定されるリストから選択される抗体である。一実施形態では、ウイルスは、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスである。一実施形態では、ウイルスカプシドポリペプチドは、肝炎ウイルスカプシドポリペプチド、一実施形態ではA型肝炎(HA)ウイルスカプシドポリペプチドである。したがって、分析物は、一実施形態では、肝炎ウイルスカプシドポリペプチドに対する、例えばA型肝炎ウイルスカプシドポリペプチドに対する抗体である。
【0017】
一実施形態では、分析物は、例えばトキソプラズマ、一実施形態ではT.ゴンディ(T.gondii)由来の原虫抗原である。一実施形態では、分析物は、原虫抗原に対する抗体、更なる実施形態では、原虫ポリペプチドに対する抗体である。一実施形態では、分析物は、T.ゴンディ(T.gondii)p30ポリペプチド(Genbank悪セッション番号S85174.1)に対する抗体である。
【0018】
しかしながら、分析物が、検出薬、特に抗体またはその断片との複合体形成によって決定可能な低分子量化合物であることも想定される。一実施形態では、分析物は、少なくとも100(100原子質量単位に対応し、100Daに対応する;1.66×10-27kgに相当する1Da)、更なる実施形態では少なくとも250、更なる実施形態では少なくとも500、または更なる実施形態では少なくとも1000の分子質量を有する。一実施形態では、分析物は、チロキシン(T4)、トリヨードチロニン(T3)、葉酸、またはビタミンB12である。
【0019】
本明細書において使用される場合、「試料」という用語は、少なくとも1つの分析物を含むことが知られているまたは疑われる任意の試料に関する。試料は、少なくとも1つの分析物を含むかまたは含むと疑われる液体、半固体、固体または気体試料、一実施形態では液体、半固体または固体試料であり得る。一実施形態では、試料は、生物学的試料である。したがって、試料は、例えば、細胞を含む試料、一実施形態では、本明細書で以下に明記される宿主細胞であり得、そのため、試料は、細胞培養培地または採取された培養細胞であり得る。一実施形態では、試料は、体液、組織もしくは器官からの試料、または洗浄液/リンス液もしくは体外もしくは体内表面から得られたスワブもしくはスメアの試料等の対象の試料である。一実施形態では、試料は、血液、血漿、血清、尿、唾液または涙液試料である。試料は、ブラシ、(綿)綿棒、スパチュラ、リンス/洗浄液、パンチ生検装置、針もしくはランセットによる体腔の穿刺の使用、または外科用器具によって得ることができる。しかしながら、一実施形態では、泌尿生殖路、肛門周囲領域、肛門管、口腔、上部気道消化管および表皮からの擦過物、スワブまたは生検を含む他の周知の技術によって得られた試料も、本発明の試料として含まれる。一実施形態では、試料は、対象の細胞を含む試料であるが、細胞を含まない流体もまた、前述の体液、組織または器官から、溶解技術(例えば、均質化等)によって、および/または分離技術(例えば、濾過または遠心分離等)によって取得され得る。一実施形態では、試料は、1つまたは複数の分析物(複数可)を含むことが知られているまたは疑われる体液から得られる。一実施形態では、試料は、容易にアクセス可能な試料、一実施形態では血液、血漿、血清、唾液等、またはそれに由来する試料、例えば、血球、特に白血球、一実施形態では末梢血単球(PBMC)の試料である。この方法を実施するために、試料を更に処理してもよいことを理解されたい。特に、細胞または特定の細胞型は、当該分野で公知の方法および手段によって試料から取得され得るかまたは除去され得る。さらに、少なくとも1つの分析物は、当技術分野で公知の方法および手段によって試料から抽出および/または精製され得る。当業者によって理解されるように、試料前処理の具体的な方法(複数可)は、例えば、試料の種類に依存し、例えば、気体試料は、更なる使用の前に分析物の液体媒体への抽出を必要とし得る。したがって、試料という用語は、試料から希釈、濃縮、精製および/または抽出された少なくとも1つの分析物を含むかまたは含むと疑われる調製物にも関連し得る。
【0020】
本明細書において使用される場合、「宿主細胞」という用語は、一実施形態では、少なくとも1つの分析物を含むことが知られているまたは疑われる真核細胞を指す。一実施形態では、宿主細胞は脊椎動物細胞、更なる実施形態では哺乳動物細胞、更なる実施形態ではヒト細胞である。
【0021】
本明細書において使用される場合、「検出薬」という用語は、分析物に直接または間接的に結合する、一実施形態では分析物に特異的に結合する、構造を含む化合物に関する。一実施形態では、検出薬および任意の追加の検出薬、ならびに必要に応じて任意の更なる検出薬が、互いに同一ではない。
【0022】
検出薬は、間接的な検出化合物、すなわち、分析物に直接接触しないが、それ自体が分析物に結合する更なる化合物を用いる検出薬であってもよく、したがって、検出薬は、例えば、抗分析物抗体に結合する抗抗体抗体であり得る。一実施形態では、検出薬は直接検出薬であり、すなわち分析物に直接結合する薬剤である。一実施形態では、検出薬は抗体またはその分析物結合断片もしくは誘導体であり、一実施形態ではIgGまたはその断片である。一実施形態では、検出薬はモノクローナル抗体である。
【0023】
一実施形態では、検出薬は少なくとも1つの親和性ドメインを含み、「親和性ドメイン」という用語は、検出薬の部分構造に関するものであり、分析物に対する検出薬の親和性を媒介する。したがって、親和性ドメインは、検出薬/分析物複合体中の分析物と接触する原子を含む検出薬の部分構造である。親和性ドメインは、例えば一実施形態では、例えば親和性ドメインがIgGである場合、2つ以上の親和性ドメイン、さらなる実施形態では、例えば、親和性ドメインがIgMである場合、10個の同一の親和性ドメイン、さらなる実施形態では、親和性ドメインがダイアボディである場合、2つの異なる親和性ドメインを含み得る。更なる実施形態では、親和性ドメインがポリエピトープ抗原である場合、親和性ドメインは、多数、すなわち任意の数の、少なくとも2つの同一または同一でない親和性ドメインを含み得る。検出薬は、例えば、ポリペプチドである場合、更なるドメイン、例えば、分析物の結合に関連しない構造ドメイン、例えば、抗体のFcドメインを含み得る。一実施形態では、第1の検出薬の親和性ドメインは、第2の検出薬の親和性ドメインと同一ではない。したがって、一実施形態では、第1および第2の検出薬は、一実施形態では異なる分析物または同じ分析物の異なるエピトープを認識する異なるモノクローナル抗体であり得る。
【0024】
一実施形態では、検出薬は、1つまたは複数の連結基(複数可)を更に含み、「連結基」という用語は、検出薬と指示薬とのカップリングを可能にする任意の化学基に関する。したがって、連結基は、一実施形態では、反応パートナーへの新たな化学結合の形成を可能にする少なくとも1つの反応性または活性化可能な化学基を含む。適切な化学基および関連する化学は当技術分野で公知であり、当業者は、特に検出薬および指示薬の化学的性質に応じて適切な基および化学を選択する。当業者によって理解されるように、連結基は、ポリペプチド中のアミノ基またはスルフヒドリル基等、検出薬中に既に存在する化学基であり得る。連結基は、リンカー、すなわち、一実施形態では検出薬とそのカップリングパートナー、一実施形態では指示薬との間の距離および/または柔軟性を増加させる一方向に伸長した化学基を更に含み得る。
【0025】
一実施形態では、検出薬と指示薬との間のカップリングは非共有結合性であるため、一実施形態では検出薬は、親和性対の一方のパートナーを含む。「親和性対」という用語は、当業者によって理解される。一実施形態では、この用語は、一実施形態では標準条件下で水溶液中で複合体を形成する一対の化合物、一実施形態ではポリペプチドに関する。一実施形態では、親和性対の構成要素間の複合体は、最大で10-9mol/l、一実施形態では最大で10-10mol/l、更なる実施形態では最大で10-11mol/l、更なる実施形態では最大で10-12mol/l、更なる実施形態では最大で10-13mol/l、更なる実施形態では最大で10-14mol/lの解離定数を有する。一実施形態では、親和性対は、更なる実施形態では、本明細書の他の箇所で特定される第1の親和性パートナーおよび第2の親和性パートナーを含む。親和性対は原則として当技術分野で公知であり、特にビオチン-ストレプトアビジン親和性対およびそれに由来する親和性対、例えばstrep-tagおよびstreptactin誘導体、ジゴキシゲニンと抗ジゴキシゲニン(すなわち、ジゴキシゲニンに対する抗体)の対、コリシン免疫の対等が挙げられる。しかしながら、原則として、例えば、myc-タグ-抗体およびflag-タグ-抗体の対を含む、十分な親和性および特異性を有する任意の対の化合物を使用してもよい。
【0026】
本明細書で言及される場合、「親和性対の第1のパートナー」および「第1の親和性パートナー」、「親和性対の第2のパートナー」および「第2の親和性パートナー」、「一方の親和性パートナー」および「他方の親和性パートナー」という用語は、本明細書では、親和性対の2つのパートナーを区別するためにのみ使用され、したがって、「第1のパートナー」という表現は、他の化合物とのいかなる時間的なまたは空間的な関係にも関連せず、親和性対の「第2のパートナー」と区別する目的でのみ使用される。第1の親和性パートナーおよび第2の親和性パートナーならびに一方の親和性パートナーおよび他方の親和性パートナーは、一緒になって、本明細書で上記に指定される親和性対をそれぞれ構成する。前述は、「検出薬」および「追加の検出薬」という用語、「指示薬薬」および「追加の指示薬」という用語、ならびに「第1反応容器」、「第2反応容器」、および「第3反応容器」という用語、ならびに同様の表現に準用される。
【0027】
本明細書において使用される場合、「指示薬」という用語は、当該指示薬を含む分子または複合体の存在を検出可能にするように適合された化合物に関する。典型的には、インジケータは、検出可能な特性、一実施形態では、検出可能な物理的および/または化学的特性を有する。一実施形態では、本方法で使用される指示薬および任意の更なる指示薬(複数可)は、互いに同一ではない。
【0028】
本明細書において使用される場合、「物性」という用語は、物理的手段によって検出可能な任意の特性に関し、特に光学的特性、電気化学的特性、および放射線の放出を含む。本明細書において使用される場合、「光学特性」という用語は、光学機器によって検出することができる任意の特性に関する。具体的には、光学的に検出可能な特性は、反射特性、透過特性、発光特性、散乱特性、蛍光特性、蛍光特性、回折特性、および偏光特性からなる群より選択される少なくとも1つの特性であり得るかまたはそれらを含み得る。したがって、本発明によって想定される光学特性は、例えば、色、蛍光、発光、または屈折である。一実施形態では、本明細書で言及される光学的に決定可能な特性は、光吸収、発光、光寛解、またはそれらに関連する特性等、光学的に検出することができる化合物の特性を指す。本明細書において使用される光学的に決定可能な特性の検出は、以前は検出できなかった特性の存在の検出、以前に検出された特性がないことの検出、および特性の定量的変化の検出、すなわち、少なくとも1つの光学特性の変化の程度に相関するシグナル強度の変化の検出を包含することが理解されよう。したがって、指示薬は、一実施形態では、DAPI、フルオレセイン、ローダミン、エオシン、CF4055(商標)、Brilliant Violet 510(商標)、CF488A(商標)、APC-Vio770(商標)、またはStarBright Violet 610(商標)からなるリストから選択されるフルオロフォアであるか、またはそれを含む。「光学的に決定可能な特性」という用語は、一実施形態では、電気発生化学ルミネセンスとしても知られている電気化学発光にも関連していることが理解される。
【0029】
本明細書において使用される場合、「化学的性質」という用語は、一実施形態では、共基質および/または触媒が提供される場合、少なくとも1つの化学反応、例えば化学化合物を生成する活性によって検出可能な全ての特徴に関し、本明細書で言及されるように、化学的特性は、触媒である活性、例えば酵素的特性であり得る。本明細書において使用される場合、「酵素特性」という用語は、生物学的触媒作用によって基質から検出可能な生成物を生成する指示薬の特性に関する。したがって、酵素特性は、典型的には、当該指示薬中の当該酵素特性を有するポリペプチドの存在によって付与される。典型的には、酵素特性は、ホスファターゼ活性(例えば、アルカリホスファターゼにおける)、ペルオキシダーゼ活性(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼにおける)、およびグリコシダーゼ活性(例えば、ベータ-ガラクトシダーゼにおける)からなる群から選択される。酵素活性のための典型的な基質は当技術分野で周知である。典型的には、当該酵素活性は、本明細書で上記に指定される決定可能な光学特性を有する生成物を生成し、または/および当該酵素活性は、電気機器によって決定可能な生成物を生成する。
【0030】
「コンジュゲートする」という用語は、当業者によって理解される。本明細書において使用される場合、この用語は、一実施形態では、コンジュゲートを提供するための化学分子間の共有結合または非共有結合の形成および/または提供に関する。当該結合は、一実施形態では、コンジュゲートが、一実施形態では、指示薬の検出可能な特性によって検出されることを可能にするように安定である。したがって、一実施形態では、コンジュゲートは、一実施形態では、両方とも本明細書で上記に指定される親和性対について記載される範囲内において、分析物-結合剤複合体についての解離定数よりも低い解離定数を有する。更なる実施形態では、コンジュゲートすることは、化学分子間に少なくとも1つの共有結合を形成してコンジュゲートを提供することである。一実施形態では、コンジュゲートすることは、検出薬と指示薬との間のコンジュゲートを形成および/または提供することである。
【0031】
上記によれば、「コンジュゲート」とも呼ばれる場合がある「コンジュゲーション生成物」という用語は、一実施形態ではコンジュゲーションによって形成される、一実施形態では全て本明細書で上記に指定される通りである、少なくとも1つの結合剤および少なくとも1つの指示薬を含む任意の化学分子または化学分子の複合体に関する。したがって、コンジュゲートは、特に、色素標識結合剤、例えば色素標識抗体またはその断片であり得る。コンジュゲートは、例えば、非コンジュゲート化結合剤および/または指示薬を除去するために精製されてもよく、コンジュゲートはまた、使用前に、例えば、使用前に任意の未反応の連結基または他の反応性基を保護および/または中和するために前処理されてもよいが、一実施形態では、コンジュゲートは、本発明の方法において、コンジュゲーション工程で得られる調製物として、すなわち、一実施形態では精製工程および/または前処理工程を介在させずに使用される。
【0032】
本明細書で指定された方法との関連で使用される場合、「接触させる」という用語は、当業者によって理解される。一実施形態では、この用語は、少なくとも1つの化合物、特にコンジュゲートを試料および/または更なる化合物と物理的に接触させ、それによって、例えば試料と化合物とを相互作用させることに関する。
【0033】
本明細書の説明を考慮して当業者が理解するように、「直接」という用語は、時宜を得た空間的/順序に関連する構成要素を有する。したがって、「工程(a)の完了後に直接工程(b)を実行する工程」という表現は、一実施形態では、(i)工程(a)の完了後に直接適時に工程(b)を実行すること、(ii)工程(a)の完了後に直接方法の工程の順序で工程(b)を実行すること、(iii)工程(a)が実行される同じ装置上で工程(b)を実行すること、または(i)~(iii)の任意の組み合わせ、特に前述の全てに関する。本明細書において使用される場合、「適時に」という用語は、広義に使用され、工程(a)の完了後、最大で1日、一実施形態では最大で12時間、更なる実施形態では最大で6時間、更なる実施形態では最大で3時間、更なる実施形態では最大で1時間、更なる実施形態では最大で0.5時間、更なる実施形態では最大で0.25時間の時間枠に関する。更なる実施形態では、適時という用語は、技術的に可能な限り短い時間枠に直接関連する。当業者によって理解されるように、技術的に可能な限り短い時間枠は、一実施形態では、工程(a)の完了後に試料にコンジュゲートを添加するためにオペレータまたは装置が必要とする期間であり、誤解を避けるために、本明細書で言及される「工程(a)の完了後」という用語は、工程(a)が完了したことが検出または決定されたときに開始する時間枠に関する。「工程順に直接」という用語は、当業者によって理解される。一実施形態では、この用語は、工程(a)の完了後の次の工程が工程(b)である、すなわち、一実施形態では、工程(a)および(b)の間にいかなる工程も介在しないという事実に関する。本明細書で言及されるように、工程の順序を決定する際の関連する工程は、検出薬、指示薬、および/または試料の取り扱いに関するものである。したがって、本明細書で言及される方法では、任意の補助的または非関連の工程もまた、順序が直接に決定されるように、工程(a)と工程(b)との間で実行されてもよく、そのような補助的または非関連の工程は、例えば、余剰の試薬(複数可)を廃棄物に廃棄すること、または試料を反応容器、例えば本明細書で上記に指定される第2の反応容器に移送することであり得る。上記によれば、一実施形態では、工程(a)は第1の反応容器で行われ、直ちに実行することは、工程(a)からのコンジュゲートを第2の反応容器内で試料と接触させることを含み、工程(a)からのコンジュゲートは、工程(b)の前にいかなる更なる容器にも接触させない。そのような場合、工程(a)のコンジュゲーション生成物を、第1の反応容器から第2の反応容器に移送することができ、一実施形態では、コンジュゲートは、工程(a)および(b)の間、第1の反応容器、ピペット操作の手段、ならびに第2の反応容器および試料と排他的に接触する。一実施形態では、工程(a)の完了直後に工程(b)を実行することは、本明細書において上に示される時間枠の1つ以内にコンジュゲートを試料と接触させることを含み、工程(b)は、工程(a)の完了後に介在する工程を伴わずに実施される。したがって、特に、コンジュゲートは、一実施形態では、長期間保存されず、特に保存は1日以内である。更なる実施形態では、コンジュゲートは、少なくともコンジュゲートによって検出された分析物が全ての検出反応に共通である検出反応または一連の検出反応のために特に調製される。「工程(a)が実行されるのと同じ装置上で、」という用語は当業者によって理解され、一実施形態では、両方の工程(a)および(b)が同じ装置上で実行されるという事実に関する。一実施形態では、当該装置は、本明細書で以下に指定される標識装置である。
【0034】
分析物に結合する検出薬を提供することと、当該検出薬を指示薬とコンジュゲートさせてコンジュゲーション生成物を生成することとを含み、続いて本明細書で指定されるコンジュゲーション生成物を直接使用することを含む本発明の方法は、本明細書では「オンボードコンジュゲーション」とも呼ばれ得る。
【0035】
本明細書において使用される場合、「対象」という用語は、脊椎動物、一実施形態では哺乳動物の対象に関する。一実施形態では、対象は、家畜、コンパニオンアニマル、または実験動物、例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネコ、イヌ、モルモット、マウス、またはラットである。一実施形態では、対象はヒトである。更なる実施形態では、対象は、本明細書で指定される分析物を含むと疑われるヒトである。
【0036】
本明細書に記載の試料中の分析物を標識するための方法は、工程(a)分析物に結合する検出薬を提供し、当該検出薬を指示薬とコンジュゲートさせてコンジュゲーション生成物を生成することを含む。
【0037】
「検出薬を提供する」という用語は、更なる使用に利用可能にすることに関するものとして当業者によって理解される。一実施形態では、提供することは、検出薬を物理的に利用可能にすることである。検出薬は、一実施形態では、分析物に結合することが知られている検出薬であり、したがって、一実施形態では検出薬を提供することは、例えばスクリーニング方法において検出薬を同定することを含まない。典型的には、検出薬を提供することは、特に、市販の検出薬を注文して受け取ること、または分析物に結合することが知られている検出薬を製造することであり得る。
【0038】
検出薬と指示薬とをコンジュゲートすることは、本明細書において上に記載されている。当該コンジュゲートすることの生成物、すなわちコンジュゲートは、コンジュゲートする工程で得られるように工程(b)で使用されてもよく、または本明細書で上記のように精製および/もしくは前処理されてもよい。一実施形態では、コンジュゲートは、コンジュゲートする工程で得られるように工程(b)で使用される。
【0039】
本明細書に記載の試料中の分析物を標識するための方法は、試料を工程(a)の当該コンジュゲーション生成物と接触させる工程(b)を更に含む。接触という用語は、本明細書において上記で特定されている。一実施形態では、この用語は、コンジュゲートと試料とを物理的に接触させることに関する。工程(b)は、選択されたアッセイ形式に応じて、前述の化合物をさらなる化合物および要素と接触させることを含み得て、例えば、固体表面への複合体の結合による非複合体化試料構成成分の除去に依存するアッセイでは、混合物を固体表面とさらに接触させ得る。また、分析物が細胞の表面内または表面上に含まれるアッセイでは、工程(b)は、細胞を例えばビーズの固体表面と接触させ、工程(a)および/または工程(b)の試料構成成分および/または試薬からの細胞の分離を可能にすることを更に含み得る。また、工程(b)は、特に緩衝液、浸透安定剤、塩、栄養素等のような更なる試薬に試料を接触させることを含み得る。本明細書に記載されるように、工程(b)は、工程(a)の完了後直ちに実行される。
【0040】
一実施形態では、本明細書に記載の試料中の分析物を標識するための方法は、追加の分析物に結合する追加の検出薬を提供する追加の工程(a1)と、当該追加の検出薬を追加の指示薬とコンジュゲートさせて追加のコンジュゲーション生成物を生成する追加の工程とを含み、工程(b)は、当該試料を工程(a)のコンジュゲーション生成物および工程(a1)の当該追加のコンジュゲーション生成物と接触させることを含み、工程(b)は、当該提供する工程およびコンジュゲートする工程の少なくとも1つの完了後直ちに実行される。また、工程(a1)は、典型的には、工程(a)とは空間的に別個に実行され、一実施形態では、別個の反応容器内で実行される。したがって、一実施形態では、コンジュゲートさせる工程(a)は、第1の反応容器で実行され、工程(a1)が第3の反応容器で実行され、直ちに実行することは、工程(a)および(a1)からのコンジュゲートを第2の反応容器中の試料と接触させることを含み、一実施形態では、工程(a)からのコンジュゲートおよび/または工程(a1)からのコンジュゲートは、工程(c)の前にいかなる更なる容器にも接触させない。したがって、一実施形態では、検出薬、少なくとも1つの追加の検出薬、および一実施形態では試料は、工程(b)において同時に接触される。しかしながら、一実施形態では、当業者によって適切であると考えられる任意の順序で、試料を検出薬および追加の検出薬と連続的に接触させることも想定される。更なる実施形態では、本方法は、更なる分析物に結合する更なる検出薬を提供する少なくとも1つの更なる工程(a2)と、当該更なる検出薬を更なる指示薬とコンジュゲートさせて更なるコンジュゲーション生成物を生成する更なる工程とを更に含み、工程(b)は、当該試料を工程(a)のコンジュゲーション生成物、工程(a1)の追加のコンジュゲーション生成物、および工程(a2)の少なくとも1つの更なるコンジュゲーション生成物と接触させることを含み、一実施形態では、工程(b)は、当該提供する工程およびコンジュゲートさせる工程の少なくとも1つの完了後直ちに実行される。任意の追加のコンジュゲートは、原則として、この用語が本明細書において使用される場合、工程(a)のコンジュゲートのみが試料と直接接触するように、例えば市販されているように、予め製造された形態で提供されてもよい。しかしながら、一実施形態では、試料と接触させた少なくとも2つ、一実施形態では全てのコンジュゲートを提供し、工程(a)について明記されるようにコンジュゲートし、一実施形態では、当該コンジュゲートの少なくとも2つ、一実施形態では全てのコンジュゲートの接触を、本明細書で上記に指定されるコンジュゲーションの完了後直ちに実行する。したがって、一実施形態では、試料中の分析物を標識するための方法では、少なくとも2つ、一実施形態では全てのコンジュゲートが接触工程の直前に生成される。したがって、一実施形態では、本方法は、一実施形態では多数の分析物を標識するために、試料を多数のコンジュゲートと接触させることに関する。追加の検出薬は、典型的には、本方法で使用される任意の追加の検出薬と同一ではなく、また、追加の指示薬は、典型的には、本方法で使用される任意の更なる指示薬と同一ではない。
【0041】
一実施形態では、指示薬、追加の指示薬、および必要に応じて任意の更なる指示薬は、当該指示薬間の干渉が低減されるように選択され、当該干渉は、一実施形態では、蛍光スピルオーバー、吸収スペクトルの重なり、および交差励起からなるリストから選択される。一実施形態における干渉の当該低減は、当該干渉の少なくとも25%、一実施形態では少なくとも50%、更なる実施形態では少なくとも75%の低減であるが、低減は、完全な低減、すなわち当該干渉の排除であってもよい。当業者が理解するように、前述の干渉の少なくとも1つが指定されたように低減されれば十分であり得る。
【0042】
本明細書で特に明記されていない限り、指定された化合物、特に分析物、検出薬、指示薬およびそれらのコンジュゲートは、より大きな構造に含まれていてもよく、例えば、更なる分子または部分構造に共有結合性にまたは非共有結合性に連結されていてもよい。特に、指定される検出薬は、例えば精製および/または検出のためのタグとして、リンカーとして機能し得る、または本明細書の他の箇所で指定される親和性対のパートナーであり得る更なるペプチドを含む融合ポリペプチドに含まれ得る。「検出可能タグ」という用語は、融合ポリペプチドに付加または導入されるアミノ酸のストレッチを指し、一実施形態では、タグは融合ポリペプチドのC末端またはN末端に付加される。当該アミノ酸のストレッチは、一実施形態は、タグを特異的に認識する抗体によるポリペプチドの検出を可能にするか、または一実施形態では、キレート剤等の機能的立体配座の形成を可能にするか、または一実施形態では、例えば蛍光タグの場合に可視化を可能にする。好ましい検出可能タグは、Mycタグ、FLAGタグ、6-Hisタグ、HAタグ、GSTタグまたは蛍光タンパク質タグ、例えばGFPタグである。これらのタグは全て当技術分野で周知である。
【0043】
有利には、本発明の基礎となる研究において、検出薬と指示薬との間のコンジュゲートを、例えば本明細書で以下に指定される標識装置に搭載して合成することができることが見出された。そのような手順は、指示薬間の干渉を低減するための指示薬の調整された選択を可能にするだけでなく、例えば改善されたより効率的な試薬管理を提供するといった、利用可能性に応じた指示薬の選択も可能にする。したがって、後者の選択肢は、使用日までに使い果たされない可能性がある予め製造されたコンジュゲートとして提供された場合に廃棄されなければならないであろう指示試薬を使い果たすことを可能にする。前者についても、本方法はまた、指示薬の好ましい組み合わせの選択を可能とし、指示薬間での検出チャネルの分離が容易になる。
【0044】
上記の定義は、必要な変更を加えて以下に適用される。以下の更なる追加の定義および説明もまた、本明細書に記載される全ての実施形態に準用される。
【0045】
本発明は更に、
(A)反応ユニットに動作可能に接続された、検出薬を含む第1の容器と、
(B)反応ユニットに動作可能に接続された、指示薬を含む第2の容器と、
(C)標識ユニットと、を備え、
反応ユニットが、当該検出薬を指示薬とコンジュゲートさせてコンジュゲーション生成物を生成するように構成されており、当該標識ユニットが、試料を記コンジュゲーション生成物と接触させるように構成される、標識装置に関する。
【0046】
本明細書において使用される場合、「標識装置」という用語は、コンジュゲートすることおよび標識することを可能にするように互いに動作可能に連結された少なくとも記載の手段を含む手段のシステムに関する。検出薬と指示薬とをコンジュゲートさせるための典型的な手段は当技術分野で公知であり、本発明の方法との関連において本明細書で上に記載されている。一実施形態では、コンジュゲートするための手段は、反応容器、例えば、本明細書で上記に指定される少なくとも第1および第2の反応容器を含む。しかしながら、試料は、コンジュゲーションが実行される容器へのコンジュゲーションの後直ちにコンジュゲートに添加されることも想定され、したがって、装置は、1つの反応容器のみを含んでもよい。更なる実施形態では、装置は、一実施形態では使い捨てである多数の反応容器を含み、したがって、反応容器は、例えば、マルチウェルプレートであってもよい。一実施形態では、標識装置は、本明細書で上記に指定される試料中の分析物を標識するための方法を含む方法を実行するように適合される。したがって、一実施形態では、標識装置は、プロセッサと、一実施形態では実体的に具現化された命令とを更に含み、命令は、プロセッサ上で実行されると、標識装置に、本明細書の他の箇所で指定される試料中の分析物を標識するための方法の工程を実行させる。
【0047】
標識装置は、反応ユニットを含む。本明細書において使用される場合、「反応ユニット」という用語は、当該検出薬を指示薬とコンジュゲートさせて第1のコンジュゲーション生成物を生成するための手段を備える装置のユニットに関し、一実施形態では、コンジュゲートすることは、第1の反応容器で実行され、検出試薬および指示薬はピペット操作機構を介して当該反応容器に移送される。当業者が本明細書の上記の説明を考慮して理解するように、反応ユニットは、一実施形態では2つ以上のコンジュゲーション、一実施形態では複数のコンジュゲーション、一実施形態では少なくとも2つ、更なる実施形態では少なくとも3つ、更なる実施形態では少なくとも4つのコンジュゲーションを実行するための手段を備える。当該コンジュゲーションは、一実施形態では、同時にまたは重複する時間枠で実行され、したがって、反応ユニットは、一実施形態では、多数の反応容器および対応するピペット操作機構を備える。
【0048】
標識装置は、標識ユニットを備え、本明細書で言及される場合、「標識ユニット」という用語は、本明細書で上記に指定されるコンジュゲートを試料と接触させるように適合された任意のユニットに関する。したがって、標識ユニットは、一実施形態では、反応容器、例えば、本明細書で上に記載される第2の反応容器と、試料および/または少なくとも1つのコンジュゲートを当該反応容器に移送することを可能にするピペット操作機構とを備える。実行される標識の種類に応じて、標識ユニットは、磁気ビーズ支援細胞選別を実行するための、または検出薬、指示薬および分析物を含む複合体を固定化するための磁石等の更なる要素を含み得る。しかしながら、この用語が本明細書で言及される場合、標識ユニットという用語は、一実施形態では分析物、検出薬および指示薬を含む複合体の形成を可能にする、本明細書で上記に指定されるコンジュゲートを試料と接触させるように適合された任意のユニットに関する。意図される標識された分析物の更なる使用に応じて、余剰の試薬および/または非分析物試料構成成分(マトリックス)の除去は任意であり得る。
【0049】
一実施形態では、標識ユニットは、検出器を備える分析ユニットに動作可能に接続され、検出器は、一実施形態では、指示薬の検出可能な特性によって、コンジュゲーション生成物を検出するように適合される。適切な手段は、当技術分野で周知のものであり、特に、光度計、蛍光光度計、デジタル撮像ユニット、デジタル顕微鏡等の顕微鏡、蛍光活性化細胞選別(FACS)装置のインストリーム撮像ユニット等の光光学ユニット、および同様のユニットを含む。自動評価のためのスライドを製造するためのデジタル顕微鏡および手段は、例えば、米国特許第9,017,610号B2に記載されている。検出器は、指示薬を含む複合体を他の化合物、特にマトリックス構成成分、非標識細胞等から分離するための手段を更に含み得る。したがって、検出器は、例えば、細胞分取ユニット、一実施形態ではFACSユニットであり得る。
【0050】
一実施形態では、標識装置はセレクタユニットを更に備える。本明細書で言及される場合、「セレクタユニット」という用語は、コンジュゲーションのための検出薬および指示薬の1つまたは複数の組み合わせを選択するように適合された単位に関する。したがって、セレクタユニットは、一実施形態では、検出薬とのコンジュゲーションのための指示薬を選択するための、一実施形態では、第1の検出薬とのコンジュゲーションのための少なくとも第1の指示薬および第2の検出薬とのコンジュゲーションのための第2の指示薬を選択するための実体的に具現化されたアルゴリズムを含む。一実施形態では、選択は、本明細書で上記に指定される干渉が低減または完全に回避される者であり、したがって、セレクタユニットは、干渉する指示薬化合物および/または干渉に関するデータに割り当てられた指示薬化合物に関するデータを含むデータベースを更に含み得て、好ましくは実体的に組み込まれ得る。
【0051】
標識装置はまた、評価ユニットを備えてもよく、「評価ユニット」という用語は、分析ユニットによって生成されたデータを処理し、必要に応じて分析するように適合されたユニットに関する。したがって、装置の評価ユニットは、一実施形態では、分析ユニットから評価ユニットによって受信されたデータを評価するための、実体的に具現化された少なくとも1つのアルゴリズムを含むメモリユニットを備える。適切な評価ユニットは、例えばELISAメーター、FACS装置、自動顕微鏡スライド分析装置等のユニットとして当技術分野で公知である。
【0052】
必要に応じて存在し得る装置の更なるユニットは、意図されるコンジュゲートすることおよび標識反応の要件に関連し得る。すなわち例えば、親和性対を介してコンジュゲートさせる場合、一実施形態では、標準条件下で、親和性対の第1のパートナーに結合した検出薬と、親和性対の対応する第2のパートナーに結合した指示薬とを混合すれば十分であり得る。一方、検出薬と指示薬との間に共有結合を形成する化学反応を介したカップリングは、標準条件からの逸脱、例えば、温度の上昇および/または低下、pHの上昇および/または低下、激しい撹拌等を必要とし得る。同様に、標識は、修飾条件および/または追加の試薬を必要とし得る。したがって、一実施形態では、反応ユニットおよび/または標識ユニットは、独立して選択される、加熱ユニット、冷却ユニット、1つもしくは複数の共反応物(複数可)および/または触媒(複数可)、緩衝剤、希釈剤および/または停止剤、撹拌機、シェーカーおよび/またはピペット操作ユニットを更に備える。
【0053】
必要に応じて存在し得る装置の更なるユニットは、装置によって実行され得る更なる機能に関連し得て、そのようなユニットは、特に、分析物、検出薬および指示薬を含む複合体を試料構成成分から、複合体化していない検出薬から、および/または複合体化していない指示薬から分離するための洗浄ユニット等、装置の更なる機能および/またはユニットを制御する制御ユニット;モニタ、プリンタ、ネットワーク接続、ならびに/またはユーザおよび/まもしくは1つもしくは複数の接続されたデバイスに情報を伝達する他の手段等の出力ユニット;入力ユニット;ならびに/またはメモリ等のデータ記憶ユニット、または大容量記憶装置および/もしくは外部データ記憶装置へのデータインターフェースであり得る。
【0054】
標識装置の手段を動作様式でどのように連結するかは、標識装置に含まれる手段の種類に依存する。一実施形態では、手段は単一の装置に含まれる。しかしながら、本発明の手段は、一実施形態では別個の装置として現れてもよく、更なる実施形態ではキットとして一緒に包装されることも企図される。当業者であれば、更なる困難を伴わずに手段を連結する方法を理解するであろう。好ましい装置は、専門技術者の特別な知識なしに適用することができるものである。一実施形態では、装置は、本明細書に記載の追加の特徴を含むように適合される。
【0055】
本発明はまた、動作可能に接続された、
(i)本発明による標識装置と、
(ii)検出装置および/またはセレクタ装置と、を備えるシステムに関する。
【0056】
標識装置は、本明細書において上記で説明されている。本明細書において使用される場合、「検出装置」という用語は、個別の装置に本明細書で上記に指定される検出器を備える任意の装置に関し、特にFACS装置またはデジタル撮像装置であってもよい。同様に、本明細書において使用される場合、「セレクタ装置」という用語は、個別の装置において本明細書で上記に指定されるセレクタユニットを備える任意の装置に関する。当業者が理解するように、本明細書で指定されるシステムの一部である標識装置は、一実施形態では、検出器を備えず、および/またはセレクタユニットを備えない。
【0057】
本システムでは、装置が動作可能に接続されている。本明細書で提供される説明を考慮すると、当業者は、システムの装置を動作可能に接続する方法を知っている。一実施形態では、検出装置は、流体接続部によって当該標識装置に接続され、当該流体接続部は、任意のポンプを有する1つもしくは複数の管等の1つの装置から別の装置に流体を移送するように適合された任意の手段、または輸送ベルトもしくはロボットアーム等の1つもしくは複数の反応容器を輸送するための輸送機構であってもよい。セレクタ装置は、検出薬(複数可)と指示薬(複数可)との1つまたは複数の組み合わせに関するデータを標識に提供し得えるため、標識装置とセレクタ装置との間の動作可能な接続は、データ移送接続であってもよい。したがって、セレクタ装置は、コンジュゲーションのための検出薬および指示薬の1つまたは複数の組み合わせを選択するように適合された手段を含む任意の装置であり得る。したがって、セレクタ装置は、原則として、プロセッサと、少なくとも1つの適切なアルゴリズムと、必要に応じてデータベースとを備える任意の装置であってもよく、両方とも本明細書で上記に指定されるとおりである。したがって、装置は、例えば、データ移送接続を介して標識装置に接続された、携帯電話もしくはタブレットコンピュータ、またはデスクトップコンピュータ等の適切に適合されたモバイル装置であってもよい。
【0058】
本発明はまた、一実施形態では、2つの検出薬で2つの分析物を標識するための少なくとも2つの指示薬を選択するコンピュータ実装方法であって、
(I)利用可能な指示薬に関するデータを取得することと、
(II)分析物に関するデータを取得することと、
(III)工程(I)および(II)で得られたデータに基づいて少なくとも2つの指示薬を選択することであって、当該選択が、
-蛍光スピルオーバーの低減または防止、
-吸収スペクトルの重なりの低減または防止、
-交差励起の低減または防止、からなるリストから選択される少なくとも1つの条件を満たす、工程(I)および(II)で得られたデータに基づいて少なくとも2つの指示薬を選択することと、を含む、コンピュータ実装方法に関する。
【0059】
本発明の選択方法はインビトロ法であり、一実施形態ではインシリコ法である。さらに、本方法は、明示的に上述された工程以外の工程も含み得る。さらに、当該工程のうちの1つまたは複数は、自動化された機器によって支援または実行されてもよい。特に、本方法は、本明細書の他の箇所で指定されるように、標識装置またはセレクタ装置で実施され得る。
【0060】
「利用可能な指示試薬のデータ」という用語は、当業者によって理解される。一実施形態では、この用語は、本明細書で上記に指定される検出薬とのコンジュゲーションに利用可能な指示薬に関するデータに関する。そのようなデータは、原則として入手可能な、例えば市販の指示薬に関し得て、一実施形態では、この用語は、選択方法が実行される際にコンジュゲーションにアクセス可能な指示薬に関する。したがって、利用可能な指示薬に関するデータは、特に、特定の検査室または特定の装置で利用可能な指示薬に関するものであり得る。したがって、指示薬化合物が光学的に検出可能な特性を有する場合、指示薬について提供されるデータは、例えば、利用可能な体積、使用期限、指示薬識別子、吸収最大値もしくは複数の吸収最大値、吸収範囲、吸収スペクトル、発光最大値もしくは複数の発行最大値、および/または発光範囲であり得る。
【0061】
「分析物に関するデータ」という用語も当業者によって理解される。一実施形態では、当該データは、例えば、分析物(複数可)の予想濃度範囲、分析物(複数可)の光光学特性、指示試薬との可能な反応性等の指示薬(複数可)の選択に関連するデータである。2つ以上の指示薬を使用することが計画されている場合、そのようなデータはまた、当該分析物、例えば細胞の中またはその上の多数の同一および/または同一でないマーカーに関するデータを含み得る。
【0062】
「蛍光スピルオーバー」という用語は、第2の指示薬の検出に使用される波長範囲の第1の指示薬の発光に関することが当業者に知られている。「吸収スペクトルの重なり」という用語は、第1および第2の指示薬が重なり合う吸収スペクトルを有し得、その結果、重なり合う範囲での励起が当該指示薬(複数可)の一方または両方の励起の減少をもたらし得るという事実に関することが当業者に公知である。「交差励起」という用語は、第1の指示薬による発光が第2の指示試薬の吸収範囲内にある可能性があり、第2の指示薬の意図しない励起を引き起こす可能性があるという事実に関することが知られている。
【0063】
本明細書で言及されるように、前述の干渉を回避するための対策は、指示薬の選択に関するものであり、したがって、一実施形態では、フィルタの使用、混合の解除等の装置側の補償方法に関するものではない。したがって、前述の条件は、特に、発光範囲が少なくとも2つの間で重複しないように、一実施形態では全ての指示薬の間で重複しないように、吸収範囲が少なくとも2つの間で重複しないように、一実施形態では全ての指示薬の間で重複しないように、および/または第1のインジケータの発光範囲が第2の指示薬の励起範囲と重複しないように、指示薬の適切な選択によって満たされる。
【0064】
また、本発明は、分析ユニットおよび検出器を備える装置上で同一でない指示薬を含む少なくとも2つの検出薬を生成するためのオンボードコンジュゲーションの使用に関する。
【0065】
本発明は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に添付された実施形態のうちの1つまたは複数において本発明にかかる方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムを更に開示および提案する。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データキャリアに記憶され得る。したがって、具体的には、上述したような方法工程a)からd)の1つ、1つよりも多い、または全ては、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して、一実施形態では、コンピュータプログラムを使用して実行されてもよい。
【0066】
本発明は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる1つまたは複数の実施形態では、本発明にかかる方法を実行するために、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品を更に開示および提案する。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ可読データキャリアに記憶され得る。
【0067】
さらに、本発明は、例えばコンピュータまたはコンピュータネットワークの作業メモリまたは主メモリ等、コンピュータまたはコンピュータネットワークへとロードされた後に、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは複数にかかる方法を実行し得るデータ構造を記憶したデータキャリアを開示および提案する。
【0068】
本発明は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に開示された実施形態のうちの1つまたは複数にかかる方法を実行するために、機械可読キャリア上に記憶されたプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品を更に提案および開示する。本明細書において使用される場合、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、一般に、紙のフォーマット等の任意のフォーマットで、またはコンピュータ可読データキャリア上に存在する。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワーク上で配信されてもよい。
【0069】
最後に、本発明は、本明細書に開示された実施形態のうちの1つまたは複数による方法を実行するためのコンピュータシステムまたはコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含む変調データシグナルを提案および開示する。
【0070】
一実施形態では、本発明のコンピュータ実装態様を参照すると、本明細書に開示される実施形態の1つまたは複数にかかる方法のうちの1つまたは複数の方法工程または全ての方法工程は、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行され得る。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む方法工程のいずれかは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行され得る。一般に、これらの方法工程は、試料の提供および/または実際の測定を実行する特定の態様等の手作業を必要とする方法工程を通常除いて、任意の方法工程を含み得る。
【0071】
具体的には、本発明は、以下を更に開示する:
【0072】
-少なくとも1つのプロセッサを備えており、プロセッサは、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成されているコンピュータまたはコンピュータネットワーク、
-コンピュータ上で実行されているときに本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成されたコンピュータロード可能データ構造、
-プログラムがコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つによる方法を実行するように適合されたコンピュータプログラム、
-コンピュータプログラムがコンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で実行されているときに本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するためのプログラム手段を備えるコンピュータプログラム、
-先行の実施形態に記載のプログラム手段をコンピュータにとって読み取り可能な記憶媒体上に格納して備えているコンピュータプログラム、
-データ構造が記憶媒体に記憶され、データ構造がコンピュータまたはコンピュータネットワークのメインおよび/またはワーキング記憶部にロードされた後、本明細書に記載された実施形態のうちの1つによる方法を実行するように適合された、記憶媒体、
-コンピュータまたはコンピュータネットワーク上でプログラムコード手段が実行された場合に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つによる方法を実行するために、プログラムコード手段が記憶媒体上に記憶され得る、または記憶される、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品。
【0073】
本発明の知見を要約すると、以下の実施形態が特に想定される。
【0074】
実施形態1:試料中の分析物を標識するための方法であって、前記方法が、
(a)前記分析物に結合する検出薬を提供し、前記検出薬を指示薬とコンジュゲートさせてコンジュゲーション生成物を生成することと、
(b)前記試料を工程(a)の前記コンジュゲーション生成物と接触させることと、を含み、
(c)前記工程(b)が、工程(a)の完了後直ちに実行される、方法。
【0075】
実施形態2:直ちに実行することが、工程(a)の完了後、最大で1日、一実施形態では最大で12時間、更なる実施形態では最大で6時間、更なる実施形態では最大で3時間、更なる実施形態では最大で1時間後に、工程(b)を実行することを含む、実施形態1に記載の方法。
【0076】
実施形態3:前記コンジュゲートさせる工程(a)が、第1の反応容器内で実行され、直ちに実行することが、工程(a)からの前記コンジュゲートを第2の反応容器内の前記試料と接触させることを含み、工程(a)からの前記コンジュゲートを、工程(b)の前にいかなる更なる容器にも接触させない実施形態1または2に記載の方法。
【0077】
実施形態4:前記検出薬が、抗体またはその断片である、実施形態1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0078】
実施形態5:前記検出薬と前記指示薬との間のカップリングが、一実施形態では親和性対を介して非共有結合性であるか、または一実施形態ではアミドもしくはジスルフィド基を介して共有結合性である、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0079】
実施形態6:前記コンジュゲーションが、工程(a)において第1の反応容器で実行され、前記コンジュゲーション生成物が、前記第1の反応容器から第2の反応容器に移送される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
実施形態7:前記方法が、追加の分析物に結合する追加の検出薬を提供する追加の工程(a1)と、前記追加の検出薬を追加の指示薬とコンジュゲートさせて追加のコンジュゲーション生成物を生成する追加の工程とを含み、工程(b)が、前記試料を工程(a)の前記コンジュゲーション生成物および工程(a1)の前記追加のコンジュゲーション生成物と接触させることを含み、工程(b)が、前記提供する工程および前記コンジュゲートする工程の少なくとも1つの完了後直ちに実行される、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0081】
実施形態8:前記コンジュゲートさせる工程(a)が、第1の反応容器で実行され、工程(a1)が第3の反応容器で実行され、直ちに実行することが、工程(a)および(a1)からのコンジュゲートを前記第2の反応容器中の試料と接触させることを含み、工程(a)からの前記コンジュゲートおよび/または工程(a1)からの前記コンジュゲートは、工程(c)の前にいかなる更なる容器にも接触させない、工程7に記載の方法。
【0082】
実施形態9:更なる分析物に結合する更なる検出薬を提供する少なくとも1つの更なる工程(a2)と、前記更なる検出薬を更なる指示薬とコンジュゲートさせて更なるコンジュゲーション生成物を生成する更なる工程とを更に含み、工程(b)が、前記試料を工程(a)の前記コンジュゲーション生成物、工程(a1)の追加のコンジュゲーション生成物、および工程(a2)の少なくとも1つの更なるコンジュゲーション生成物と接触させることを含み、工程(b)が、前記提供する工程およびコンジュゲートさせる工程の少なくとも1つの完了後直ちに実行される、実施形態7または8に記載の方法。
【0083】
実施形態10:前記分析物が、細胞表面マーカーである、実施形態1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0084】
実施形態11:前記追加の分析物が、必要に応じて任意の更なる分析物(複数可)であり、更なる細胞表面マーカーである、実施形態7~10のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
実施形態12:前記検出薬および前記追加の検出薬、ならびに必要に応じて任意の更なる検出薬が、互いに同一でない、実施形態7~11のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
実施形態13:前記指示薬および前記追加の指示薬、ならびに必要に応じて任意の更なる指示薬が、互いに同一ではない、実施形態7~12のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
実施形態14:前記指示薬、前記追加の指示薬、および必要に応じて任意の更なる指示薬(複数可)が、同一でない染料、一実施形態では同一でないフルオロフォアである、実施形態7~13のいずれか一項に記載の方法。
【0088】
実施形態15:前記方法が、前記指示薬および追加の指示薬、ならびに必要に応じて任意の更なる指示薬を、前記指示薬間の干渉が低減されるように選択することを含み、実施形態7~14のいずれか一項に記載の方法。
【0089】
実施形態16:前記干渉が、蛍光スピルオーバー、吸収スペクトルの重なり、交差励起からなるリストから選択される、実施形態7~15のいずれか一項に記載の方法。
【0090】
実施形態17:前記試料が、生物学的試料である、実施形態1~16のいずれか一項に記載の方法。
【0091】
実施形態18:前記試料が、細胞、一実施形態ではヒト細胞を含む、実施形態1~17のいずれか一項に記載の方法。
【0092】
実施形態19:実施形態24~35のいずれか一項に記載の装置上で実施される、実施形態1~18のいずれか一項に記載の方法。
【0093】
実施形態20:前記コンジュゲートさせることが、親和性対の非共有結合性会合生成物の形成を含むか、または少なくとも1つの共有結合の形成を含む、実施形態1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
実施形態21:前記試料中の少なくとも2つの分析物を標識するための方法であって、
(aa)第1の分析物に結合する第1の検出薬を提供し、前記第1の検出薬を第1の指示薬とコンジュゲートさせて第1のコンジュゲーション生成物を生成することと、
(bb)第2の分析物に結合する第2の検出薬を提供し、前記第2の検出薬を第2の指示薬とコンジュゲートさせて第2のコンジュゲーション生成物を生成することと、
(cc)前記試料を、工程(aa)の前記第1のコンジュゲーション生成物および工程(bb)の前記第2のコンジュゲーション生成物と接触させることと、を含み、
前記工程(cc)が、工程(bb)の完了後直ちに実行される、方法。
【0095】
実施形態22:前記試料中の少なくとも2つの分析物を標識するための方法であって、
(aaa)第1の分析物に結合する第1の検出薬を提供し、前記第1の検出薬を第1の指示薬とコンジュゲートさせて、第1のコンジュゲーション生成物を生成すること、および/または所定の指示薬にコンジュゲートされた所定の検出薬である所定のコンジュゲート生成物を提供することと、
(bbb)第2の分析物に結合する第2の検出薬を提供し、前記第2の検出薬を第2の指示薬とコンジュゲートさせて第2のコンジュゲーション生成物を生成することと、
(ccc)前記試料を工程(aaa)の前記第1のコンジュゲーション生成物および/または前記所定のコンジュゲーション生成物、ならびに工程(bbb)の前記第2のコンジュゲーション生成物と接触させることと、を含み、
前記工程(ccc)が、工程(bbb)の完了後直ちに実行される、方法。
【0096】
実施形態23:実施形態1~20のいずれか一項に記載の特徴を更に有する、実施形態21または22に記載の方法。
【0097】
実施形態24:標識装置であって、
(A)反応ユニットに動作可能に接続された、検出薬を含む第1の容器と、
(B)前記反応ユニットに動作可能に接続された、指示薬を含む第2の容器と、
(C)標識ユニットと、を備え、
前記反応ユニットが、前記検出薬を前記指示薬とコンジュゲートさせてコンジュゲーション生成物を生成するように構成されており、前記標識ユニットが、試料を前記コンジュゲーション生成物と接触させるように構成される、標識装置。
【0098】
実施形態25:前記反応ユニットが、第1の反応容器および必要に応じて第2の容器を備える、実施形態24に記載の標識装置。
【0099】
実施形態26:前記反応ユニットが、独立して選択される、加熱ユニット、冷却ユニット、1つまたは複数の共反応物(複数可)および/または触媒(複数可)、緩衝剤、希釈剤および/または停止剤、撹拌機、シェーカーおよび/またはピペット操作ユニットを更に備える、実施形態24または25に記載の標識装置。
【0100】
実施形態27:前記標識ユニットが、加熱ユニット、冷却ユニット、1つまたは複数の共反応物(複数可)および/または触媒(複数可)、緩衝剤、希釈剤および/または停止剤、撹拌機、シェーカー、ピペット操作ユニットを更に含む、実施形態24~26のいずれか一項に記載の標識装置。
【0101】
実施形態28:前記標識ユニットが、検出器を備える分析ユニットに動作可能に接続されている、実施形態24~27のいずれか一項に記載の標識装置。
【0102】
実施形態29:前記検出器が、コンジュゲーション生成物を検出するために適合されている、実施形態28に記載の標識装置。
【0103】
実施形態30:前記検出器が、FACSユニットまたはデジタル撮像ユニットを備える、実施形態24~29のいずれか一項に記載の標識装置。
【0104】
実施形態31:セレクタユニットを更に備える、実施形態24~30のいずれか一項に記載の標識装置。
【0105】
実施形態32:前記セレクタユニットが、検出薬とのコンジュゲーションのための指示薬を選択するための、一実施形態では、第1の検出薬とのコンジュゲーションのための少なくとも第1の指示薬および第2の検出薬とのコンジュゲーションのための第2の指示薬を選択するための、実体的に具現化されたアルゴリズムを含む、実施形態24~24のいずれか一項に記載の標識装置。
【0106】
実施形態33:前記セレクタユニットが、干渉する指示薬化合物および/または干渉に関するデータに割り当てられた指示薬化合物に関するデータを含む、一実施形態では実体的に具現化された、データベースを更に含む、実施形態24から32のいずれか一つに記載の標識装置。
【0107】
実施形態34:実施形態1~23のいずれか一項に記載の方法を実行するように適合された、実施形態24~33のいずれか一項に記載の標識装置。
【0108】
実施形態35:プロセッサと、前記プロセッサ上で実行されると、前記装置に実施形態1~23のいずれか一項に記載の方法を実行させる、一実施形態では実体的に具現化された、命令とを更に備える、実施形態24~34のいずれか一項に記載の標識装置。
【0109】
実施形態36:システムであって、動作可能に接続された
(i)実施形態24~35のいずれか一項に記載の標識装置と、
(ii)検出装置および/またはセレクタ装置と
を備える、システム。
【0110】
実施形態37:前記検出装置が、実施形態28~30のいずれか一項に記載の検出器を備える、実施形態36に記載のシステム。
【0111】
実施形態38:前記検出装置が、FACS装置またはデジタル撮像装置である、実施形態36または37に記載のシステム。
【0112】
実施形態39:前記検出装置が、流体接続によって前記標識装置に接続されている、実施形態36~38のいずれか一項に記載のシステム。
【0113】
実施形態40:前記セレクタ装置が、実施形態31~33のいずれか一項に記載のセレクタユニットを備える、実施形態36~38のいずれか一項に記載のシステム。
【0114】
実施形態41:2つの検出薬で2つの分析物を標識するための少なくとも2つの指示薬を選択するコンピュータ実装方法であって、
(a)利用可能な指示薬に関するデータを取得することと、
(b)1つまたは複数の分析物に関するデータを得ることと、
(c)工程(I)および(II)で得られた前記データに基づいて少なくとも2つの指示薬を選択することであって、前記選択が、
-蛍光スピルオーバーの低減または防止、
-吸収スペクトルの重なりの低減または防止、および
-交差励起の低減または防止、からなるリストからされる少なくとも1つの条件を満たす、工程(I)および(II)で得られた前記データに基づいて少なくとも2つの指示薬を選択することと、を含む、コンピュータ実装方法。
【0115】
実施形態42:分析ユニットおよび検出器を備える装置上で同一でない指示薬を含む少なくとも2つの検出薬を生成するためのオンボードコンジュゲーションの使用。
【0116】
実施形態43:前記分析ユニットが、実施形態28または29で指定される分析ユニットである、実施形態42に記載の使用。
【0117】
実施形態44:前記検出器が、実施形態28~30のいずれか一項に記載の検出器である、実施形態42または43に記載の使用。
【0118】
実施形態45:前記装置が、FACSユニットを含む、実施形態42~44のいずれか一項に記載の使用。
【0119】
本明細書において言及された全ての参考文献は、それらの全開示内容および本明細書において具体的に言及された開示内容に関して、ここに参照によって援用される。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【発明を実施するための形態】
【0121】
以下の実施例は、単に本発明を例示するものにすぎない。それらは、いかなる場合であっても、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0122】
図1を参照すると、本発明の標識装置100は、
図1に示すように、第1の検出薬リザーバ102および第2の検出薬リザーバ112と、第1、第2および第3の指示薬リザーバ104、114、124と、第1、第2および第3の反応容器106、116および150と、流体接続部130によって接続された試料容器140とを備え得る。当業者が理解するように、液体接続部は配管として具体化されてもよいが、ピペット操作装置によって提供される流体接続部としても具体化されてもよく、すなわち流体接続部130は恒久的である必要はない。
【0123】
実施例1:単一指示薬使用の柔軟性
使用時には、第1の検出薬をその容器102から第1の反応容器106に移送することができ、第1の指示薬をその容器104から当該第1の反応容器106に移送することができ、検出薬および指示薬とはコンジュゲートされており、コンジュゲーションの完了後、コンジュゲートは第2の反応容器150に移送され、第2の反応容器には更に、その容器140から試料が添加される。
【0124】
例えば、第1の指示薬が使い果たされたか、または使用期限に達したためにもはや利用できない場合、本方法は上記のように実行され得るが、第2の指示薬をその容器114から第1の反応容器106に移送し、このようにして置換コンジュゲートを提供する。
【0125】
実施例2:干渉回避
再び
図1を参照すると、二重標識は、第1の検出薬をその容器102から第1の反応容器106に移送し、第1の指示薬をその容器104から当該第1の反応容器106に移送することによって達成され得て、第1の検出薬と第1の指示薬はコンジュゲートされており、コンジュゲーションの完了後、得られた第1のコンジュゲートを第2の反応容器150に移送する。さらに、第2の検出薬がその容器112から第3の反応容器116に移送され、第2の指示薬がその容器114から当該第3の反応容器116に移送され、第2の検出薬と第2の指示薬はコンジュゲートされており、コンジュゲーションの完了後、得られた第2のコンジュゲートは、第2の反応容器150に移送され、さらに、その容器140から試料が加えられ、したがって二重標識が達成される。
【0126】
第1の指示薬と第2の指示薬との組み合わせが干渉をもたらすことが認識された場合、例えば、第2の指示薬は、その容器124からの第3指示薬によって置き換えられてもよく、標識が改善される。
【0127】
実施例3:柔軟性
当業者に知られているように、例えばTBNK分析(T細胞、B細胞およびNK細胞の分析)では、マーカーCD3、CD4、CD8、CD45、CD56、CD16、および/またはCD19を決定し得るため、当該マーカーのそれぞれについて少なくとも1つの検出薬が必要である(表1)。また、一般的に使用される指示薬を、例えば表2に示す。
【表1】
【表2】
【0128】
表1および表2からの検出薬と指示薬との任意の可能な組み合わせをストックするためには、7×9=63の検出薬/指示薬コンジュゲートを、関連する労力およびコストで別々にストックする必要がある。特許請求される主題によれば、必要な組み合わせをオンボードでコンジュゲートすることができるため、7つの検出薬および9つの指示薬をストックするだけでよい。
【0129】
文献
Barnett et al.(2009),Nat Rev Microbiol 6(11 Suppl):S7
Ouyang et al.(2019),J Int Med Res 47(4):1483
米国特許第9,017,610号B2
【符号の説明】
【0130】
100 標識装置
102 第1検出薬リザーバ
104 第1指示薬リザーバ
106 第1反応容器
112 第2検出薬リザーバ
114 第2指示薬リザーバ
116 第3反応容器
124 第3指示薬リザーバ
130 流体接続部、例えばチューブ
140 試料容器
150 第2反応容器
【外国語明細書】