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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159671
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】分光器用の調節可能光学システム
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/18 20060101AFI20241031BHJP
   G01J 3/02 20060101ALI20241031BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20241031BHJP
【FI】
G01J3/18
G01J3/02 C
G02B7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024072034
(22)【出願日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】18/309,390
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509027021
【氏名又は名称】サーモ エレクトロン サイエンティフィック インストルメンツ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン アーウィン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ピーター ウォン
【テーマコード(参考)】
2G020
2H043
【Fターム(参考)】
2G020CB04
2G020CC01
2G020CC02
2G020CC55
2G020CC63
2G020CD04
2G020CD22
2G020CD24
2G020CD33
2G020CD37
2H043AA03
2H043AA08
2H043AA21
2H043AB04
2H043AB05
2H043AB08
2H043AB10
2H043AB18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】分光器用の調節可能光学システムの提供。
【解決手段】分光器は、基部と、基部に対して取り付けられた第1の光学部品と、基部に対して取り付けられた第2の光学部品と、基部に対して取り付けられた第3の光学部品と、を含む。第1の光学部品と第2の光学部品との間の第1の相対位置は、第1のピボット軸を中心として調節可能である。第2の光学部品と第3の光学部品との間の第2の相対位置は、第1の光学部品と第2の光学部品との間の相対位置の調節可能性とは独立して第2のピボット軸を中心として調節可能である。第2のピボット軸は、第1のピボット軸と実質的に一致し、第3の光学部品と第2の光学部品との間の距離は、第2の相対位置の調節中に固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光器であって、
基部と、
前記基部に対して取り付けられた第1の光学部品と、
前記基部に対して取り付けられた第2の光学部品と、
前記基部に対して取り付けられた第3の光学部品と、を備え、
前記第1の光学部品と前記第2の光学部品との間の第1の相対位置は、第1のピボット軸を中心として調節可能であり、
前記第2の光学部品と前記第3の光学部品との間の第2の相対位置は、前記第1の光学部品と前記第2の光学部品との間の前記相対位置の調節可能性とは独立して第2のピボット軸を中心として調節可能であり、前記第2のピボット軸は、前記第1のピボット軸と実質的に一致し、前記第3の光学部品と前記第2の光学部品との間の距離は、前記第2の相対位置の調節中に固定される、分光器。
【請求項2】
前記第2の光学部品は、それに垂直な中心軸を画定し、前記第2の光学部品は、前記中心軸を中心として回転可能であるように構成され、前記中心軸は前記基部に平行であり、前記第1のピボット軸及び前記第2のピボット軸は、前記中心軸に直角である、請求項1に記載の分光器。
【請求項3】
前記中心軸は、第1の軸及び/又は第2の軸と交差する、請求項2に記載の分光器。
【請求項4】
電磁放射が、前記第1の光学部品、前記第2の光学部品、及び前記第3の光学部品を順次通過する、請求項1に記載の分光器。
【請求項5】
前記基部に対して移動可能であり、前記第1の光学部品と前記第2の光学部品との間の前記相対位置の前記調節可能性を提供するように構成される、第1の調節可能マウントと、
前記基部に対して移動可能である第2の調節可能マウントであって、前記第2の調節可能マウントは、前記第1の調節可能マウントとは独立して移動可能であり、前記第2の光学部品と前記第3の光学部品との間の前記相対位置の前記調節可能性を提供するように構成される、第2の調節可能マウントと、を更に備える、請求項1に記載の分光器。
【請求項6】
前記第2の調節可能マウントは、長さ及び幅によって画定される細長い形状を有するプレートであり、前記第3の光学部品は、前記長さに沿って前記第2の調節可能マウントの一端に取り付けられ、前記長さに沿って前記第2の調節可能マウントの反対端は、前記第2のピボット軸において基部プレートに旋回可能に取り付けられる、請求項5に記載の分光器。
【請求項7】
分光器であって、
基部と、
前記基部に対して取り付けられたコリメート光学部品と、
前記基部に対して取り付けられた分散型光学部品と、
前記基部に対して取り付けられた集束光学部品と、を備え、
前記コリメート光学部品と前記分散型光学部品との間の相対位置は、前記基部に対して移動可能であるように構成された第1の調節可能マウントによって第1のピボット軸を中心として調節可能であり、
前記分散型光学部品と前記集束光学部品との間の相対位置は、前記第1の調節可能マウントから独立して前記基部に対して移動可能であるように構成された第2の調節可能マウントによって第2のピボット軸を中心として調節可能であり、前記第2のピボット軸は前記第1のピボット軸と実質的に一致し、第3の光学部品と第2の光学部品との間の距離は、第2の相対位置の調節中に固定される、分光器。
【請求項8】
前記分散型光学部品は、それに垂直な中心軸を画定し、前記分散型光学部品は、前記第1の調節可能マウント及び前記第2の調節可能マウントとは独立して前記基部に対して移動可能であるように構成された第3の調節可能マウントによって前記中心軸を中心として回転可能であるように構成される、請求項7に記載の分光器。
【請求項9】
前記基部は基部プレートを含み、前記第1のピボット軸及び前記第2のピボット軸は前記基部プレートに直角である、請求項7に記載の分光器。
【請求項10】
前記コリメート光学部品と前記分散型光学部品との間の前記相対位置は、ピボット軸を中心として調節可能であり、前記分散型光学部品と前記集束光学部品との間の前記相対位置もまた、前記ピボット軸を中心として調節可能である、請求項7に記載の分光器。
【請求項11】
前記第1の調節可能マウントは、第1の光学部品上の電磁放射の入射角度が調節されるように調節される、請求項7に記載の分光器。
【請求項12】
前記第1のピボット軸は前記分散型光学部品に沿って延在する、請求項7に記載の分光器。
【請求項13】
前記第1の調節可能マウントを移動させるように構成された少なくとも1つの第1のアクチュエータと、前記第2の調節可能マウントを移動させるように構成された少なくとも1つの第2のアクチュエータとを更に備え、前記少なくとも1つの第1のアクチュエータ及び前記少なくとも1つの第2のアクチュエータは、電子コントローラによって自動的又は半自動的に作動可能である、請求項7に記載の分光器。
【請求項14】
前記集束光学部品に対して固定されるように取り付けられた検出器を更に備え、前記集束光学部品は、光の少なくとも一部を前記検出器上に集束させるように構成される、請求項7に記載の分光器。
【請求項15】
請求項7から14のいずれか一項に記載の分光器における光学部品のアライメントを調節する方法であって、前記方法は、
前記第1の調節可能マウントを使用して、前記分散型光学部品と前記コリメート光学部品との間の第1の相対位置を調節することと、
前記第2の調節可能マウントを使用して、前記集束光学部品と前記分散型光学部品との間の第2の相対位置を調節することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記分光器を通して検出器上に所定のスペクトルの光を通過させることと、
検出されたスペクトルに基づいて、前記第1の相対位置及び前記第2の相対位置を較正することとを更に含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、分光器などの科学機器用の光学部品の配置、及び光学部品を位置合わせするための方法に関する。分光器は、電磁放射を受け取るための科学機器である。
【発明の概要】
【0002】
一実装形態では、本開示は、分光器であって、基部と、基部に対して取り付けられた第1の光学部品と、基部に対して取り付けられた第2の光学部品と、基部に対して取り付けられた第3の光学部品と、を含む、分光器を提供する。第1の光学部品と第2の光学部品との間の第1の相対位置は、第1のピボット軸を中心として調節可能である。第2の光学部品と第3の光学部品との間の第2の相対位置は、第1の光学部品と第2の光学部品との間の相対位置の調節可能性とは独立して第2のピボット軸を中心として調節可能である。第2のピボット軸は、第1のピボット軸と実質的に一致し、第3の光学部品と第2の光学部品との間の距離は、第2の相対位置の調節中に固定される。
【0003】
別の実装形態では、本開示は分光器を提供する。分光器は、基部と、基部によって支持されるコリメート光学部品と、基部によって支持される分散型光学部品と、基部によって支持される集束光学部品とを含む。コリメート光学部品と分散型光学部品との間の相対位置は、基部に対して移動可能であるように構成された第1の調節可能マウントによって調節可能である。分散型光学部品と集束光学部品との間の相対位置は、第1の調節可能マウントから独立して基部に対して移動可能であるように構成された第2の調節可能マウントによって調節可能である。
【0004】
本開示の他の態様は、詳細な説明及び添付の図面を考慮することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】調節可能光学システムを有する分光器を示す斜視図である。
図2図1の分光器の平面図である。
図3図1~2に示された調節可能光学システムの一部である格子取り付けシステムの背面図である。
図4図3に示した格子取り付けシステムの正面図である。
図5図3に示した格子取り付けシステムの背面斜視分解図である。
図6図1に示される調節可能光学システム用の制御システムの概略図である。
図7】本開示による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
透過型分光器では、回折格子上の刻線の角度は、ラインセンサの軸に対して直角であることが望ましい。格子入射角度は、格子効率を最適化するように微調整されてもよい。更に、回折格子の下流のレンズ及びカメラ/検出器は、回折格子によって分散された対象波長に位置合わせされて、対象波長がレンズ及びカメラ/検出器の中心にくるようにすることが望ましい。これらの調節の各々は、微細な角度制御及び小さな角度範囲を含むことが好ましい。
【0007】
調節可能光学システム及びシステムを位置合わせするための方法が本明細書に開示される。調節可能光学システムは分光器を含む。分光器は、ラマン分光システムなどの分光システムの一部であってもよい。分光器は、サンプルから電磁放射を受け取り、分光データを生成することができる。分光データは、サンプル組成を分析するために使用されることができる。光学システムは、基部に対して取り付けられた第1の光学部品、第2の光学部品、及び第3の光学部品を含む。基部は、基部プレートを含んでもよい。第1の光学部品は、コリメートされたビームを第2の光学部品に向けるためのコリメート光学部品であってもよい。第2の光学部品は、波長に基づいてコリメートされたビームを拡散するための、回折格子などの分散型光学部品であってもよい。第3の光学部品は、検出器、又は検出器に関連付けられたレンズであってもよい。第2の光学部品からの分散ビームの対象波長は、第3の光学部品の中心にくる。第1及び第3の光学部品は、1つ以上の光学要素を含んでもよい。電磁放射(サンプルからの光など)は、第1の光学部品を介して分光器に入ることができ、その後、第2の光学部品及び第3の光学部品を順次通過する。
【0008】
一例では、第1、第2、及び第3の光学部品は全て、基部に対して取り付けられる。第1、第2、及び第3の光学部品は、基部によって直接又は間接的に支持されてもよい。一例では、第2及び第3の光学部品は、基部によって支持される。一例では、第2の光学部品は、第1の調節可能マウント及び第3の調節可能マウントを介して基部に取り付けられ、第3の調節可能マウントは、第2の調節可能マウントを介して基部に取り付けられる。第3の光学部品は、第2の調節可能マウントを介して基部に取り付けられる。一例では、第1の光学部品は、基部に直接取り付けられない。いくつかの例では、分光システムの他の光学部品も基部に取り付けることができる。いくつかの例では、分光器の基部は、分光システムの基部に取り付けられてもよい。
【0009】
一例では、第2の光学部品は、第1の調節可能マウントを介して基部に旋回可能に取り付けられ、第2の光学部品は、基部に垂直な第1のピボット軸を中心として回転可能である。分散型光学部品は、それに垂直な中心軸を画定する。光学部品の中心軸は、光学部品の平面に垂直であり、そのほぼ中心を通る軸であってもよい。第1のピボット軸は、第2の光学部品の中心軸と交差する。ピボット軸は平行であり、分散型光学部品に沿って延在してもよい。第3の光学部品は、第2の調節可能マウントを介して基部に旋回可能に取り付けられる。第3の光学部品は、第3の光学部品と第2の光学部品との間の距離を維持しながら、第2のピボット軸を中心として回転可能である。第2のピボット軸は、第3の光学部品と交差しない。第1のピボット軸は、第2のピボット軸と実質的に一致してもよい。一例では、第1のピボット軸及び第2のピボット軸は同じである。
【0010】
分散型光学部品は、調節可能マウント(例えば、第1の調節可能マウント)を介して基部にそれぞれ取り付けられる。調節可能マウントは、基部に垂直なピボット軸を中心として回転されてもよい。ピボット軸は、分散型光学部品の表面に平行であってもよい。第3の光学部品(検出器又は検出器に関連付けられたレンズ)は、別の調節可能マウント(例えば、第2の調節可能マウント)を介して基部にそれぞれ取り付けられる。第2の調節可能マウントは、長さ及び幅によって画定される細長い形状を有するプレートであってもよい。第3の光学部品は、長さに沿って第2の調節可能マウントの一端に取り付けられ、長さに沿った第2の調節可能マウントの他端は、第1の調節可能マウントによって画定される実質的に同じピボット軸において、基部プレートに旋回可能に取り付けられる。したがって、第3の光学部品と第2の光学部品との間の相対角度(すなわち、第3の光学部品の中心軸と第2の光学部品の中心軸との間の角度)は、ピボット軸に対して第2の調節可能マウントを回転させることによって調節されることができる。相対角度は、第2の光学部品と第3の光学部品との間の距離を維持しながら調節される。
【0011】
いくつかの例では、第2の光学部品は更に、第2の光学部品をその中心軸の周りで回転させるための第3の調節可能マウントによって支持される。第2の光学部品は、第3の調節可能マウントを介して、第2の調節可能マウントに取り付けられてもよい。例えば、第2の光学部品の格子方向は、第2の光学部品によって画定される格子方向が検出器のラインセンサの軸に対して直角になるように、第3の調節可能マウントを介して調節することができる。
【0012】
一例では、分光器は、第2の光学部品に向かう光の入射角度を調節することによって位置合わせされ得る。入射角度は、ピボット軸に対して第1の調節可能マウントを回転させることによって調節されてもよい。したがって、第2の光学部品は、ピボット軸に対して回転される。いくつかの例では、入射角度は、第1の光学部品を調節することによって調節され得る。入射角度を調節した後、第2の調節可能マウントの第1の端部を、第2の調節可能マウントの長さに沿って反対側の第2の端部に対して旋回させることによって、第2の光学部品に対する第3の光学部品の角度位置を調節することができ、第3の光学部品は第1の端部に取り付けられ、ピボット軸は第2の端部上にある。
【0013】
透過型格子を有する分光器が図に示されているが、本明細書に開示される分光器及び分光器を位置合わせする方法は、反射型格子を有する反射型分光器にも使用され得る。
【0014】
本開示の任意の実装形態が詳細に説明される前に、本開示は、その適用において、以下の説明に記載されるか又は以下の図面に示される構成の詳細及び構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実装形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行されることが可能である。
【0015】
図1図2は、調節可能光学システム12を有する分光器などの科学機器10の実装形態を示す。調節可能光学システム12は、サンプルからスペクトルデータを取得するように構成されてもよい。調節可能光学システム12は、光学装置16を支持する取り付けシステム14を含む。取り付けシステム14は、例えば、光学装置16の構成要素を互いに対して位置合わせするために、光学装置16の構成要素(又は構成要素のグループ)間の相対移動を可能にする。
【0016】
光学装置16は、光Lを制御するように、より具体的には、出口開口18及び/又は検出器20にわたって、光Lの成分波長を順序付けられた帯域に協働して集束させるように構成される。「光」は電磁放射を指し、電磁スペクトルの特定の範囲に限定されない。例えば、「光」は、電波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、及びガンマ線を含み得る。
【0017】
いくつかの実装形態では、調節可能光学システム12は、他のタイプの光学アセンブリ及び/又は他のタイプの科学機器に有用であり得る。光学装置16は、ミラー、反射器、レンズ、分散型光学部品、格子、プリズム、誘電体ミラー、検出器、フィルタ、ガルバノメータ、望遠鏡、ファイバ、シャッタ、及び/又は光Lを制御するための任意の他のタイプの光学構成要素のうちの1つ以上の任意の数及び組合せを含むことができる。調節可能光学システム12を使用することができる他のタイプの科学機器は、他の光学装置を有する他のタイプの分光計、望遠鏡、顕微鏡、光度計、他の光学機器、音響機器、任意の波(可視光だけではない)の経路を制御するための任意の機器などを含むことができる。
【0018】
したがって、調節可能光学システム12の多くの用途を説明する目的で、本明細書に示される光学装置16の構成要素は、第1の光学部品22、第2の光学部品24、及び第3の光学部品26として簡略化され得る。第1の光学部品22、第2の光学部品24、及び第3の光学部品26の各々は、本明細書に記載される光学構成要素及び他の光学構成要素のいずれかとして、又は本明細書に記載される光学構成要素及び他の光学構成要素の任意の組合せ(すなわち、サブアセンブリ)として具現化され得ることを理解されたい。
【0019】
分光器の図示された実装形態では、一例として、第1の光学部品22はコリメート光学部品を含むことができ、第2の光学部品24は分散型光学部品を含むことができ、第3の光学部品26は集束光学部品を含むことができる。第1の光学部品22は、例えば、コリメートレンズ、又は任意の他の好適なコリメータ(コリメートミラー等)を含んでもよく、単一の光学部品又は複数の光学部品の配置を用いて達成されてもよい。第2の光学部品24は、例えば、回折格子(格子とも称され得る)、又は任意の他の好適な分散型光学部品を含んでもよく、単一の光学部品又は複数の光学部品の配置を用いて達成されてもよい。第3の光学部品26は、例えば、集束レンズ、又は任意の他の好適な集束光学部品(集束ミラー等)を含んでもよく、単一の光学部品又は複数の光学部品の配置を用いて達成されてもよい。いくつかの例では、第3の光学部品は、集束レンズを含むことができる検出器20などの検出器/カメラを含むことができる。光学装置16は、入口開口30、出口開口18、及び/又は検出器20を更に含むことができる。光学装置16は、透過型光学部品、反射型光学部品、又は両方の組合せを有することができる。図1に示す光学装置16では、分散型光学部品(すなわち、第2の光学部品24)は透過モードで使用される。いくつかの例では、分散型光学部品(すなわち、第2の光学部品24)は、反射モードで使用されてもよい。例えば、反射型光学部品を使用する分光器において使用するためのモノクロメータは、2008年3月18日に発行された米国特許第7,345,760号に開示されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
光学装置16は、入口開口30、第1の光学部品22、第2の光学部品24、第3の光学部品26、出口開口18、及び/又は検出器20のうちの任意の1つ以上を任意の組合せで含むように定義することができ、入口開口30、第1の光学部品22、第2の光学部品24、第3の光学部品26、出口開口18、及び検出器20の全てを含む必要はない。光学装置16は、4つ以上の光学部品を含むように定義されてもよい。
【0021】
取り付けシステム14は、基部32、第1の調節可能マウント36、第2の調節可能マウント38、及び第3の調節可能マウント34を含む。「第1」、「第2」、及び「第3」という用語は、この詳細な説明において一貫して使用されるが、順序は限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。取り付けシステム14は、マウントのうちの1つのみ、マウントのうちの2つのみ、又は4つ以上のマウントを含んでもよい。基部32は、(図示されるように)平面であるプレートとして構成されてもよく、段、曲線、及び/又は傾斜等の平面からのいくらかの逸脱を有する概して平面であってもよい。基部32は、典型的には、図示されるように、使用中に重力に対して水平に配向(向き合わせ)されてもよいが、基部32は、他の実装形態又は使用において、鉛直、斜め等の他の配向を有してもよい。第1の光学部品22、第2の光学部品24、及び第3の光学部品26は各々、基部32によって支持され、基部32に対して取り付けられる。「~に対して取り付けられる」は、例えばマウントによって基部32に直接取り付けられること、又は例えば基部32とマウントとの間のブラケット、リンク、リンケージなどの1つ以上の中間部材によって基部32に間接的に取り付けられることを含むことができる。図示の実装形態では、基部32は、第1の光学部品22を固定して支持する。第1の調節可能マウント36、第2の調節可能マウント38、及び第3の調節可能マウント34は各々、基部32に対して移動可能に取り付けられ、各々、他とは独立して調節可能である(すなわち、各々、他とは異なる方法で調節可能である)。図示される実装形態では、第3の調節可能マウント34は、第2の光学部品24を支持し、第2の光学部品24が中心軸Cを中心として回転することを可能にするように構成される。中心軸Cは、第2の光学部品24を通して(例えば、第2の光学部品24によって画定される平面に垂直に、かつ第2の光学部品24の外周内に画定されるほぼ中心を通して)画定され、基部32に平行(例えば、水平)である。図示の実装形態では、第2の光学部品24は、格子を有する材料の概して平坦なディスクを取り囲む実質的に円形の外周を有するが、他の実装形態では他の形状及び構成が可能である。図示される実装形態では、第1の調節可能マウント36は、第3の調節可能マウント34を支持する。したがって、第2の光学部品24は、一方が第3の調節可能マウント34によって提供され、他方が第1の調節可能マウント36によって提供される、2つの異なる軸を中心として独立して移動可能である。第2の調節可能マウント38は、第3の光学部品26を支持する。第1の調節可能マウント36及び第2の調節可能マウント38は、ピボット軸Pとして示される一致する第1のピボット軸及び第2のピボット軸を中心として独立して旋回可能である。ピボット軸Pは、基部32に対して垂直(又は直角)であり、中心軸Cに対して直角である。ピボット軸Pはまた、第2の光学部品24と交差し、より具体的には、第2の光学部品24の中心軸Cと交差する。ピボット軸Pはまた、第2の光学部品24の平面に対して概して平行である。いくつかの実装形態では、第2及び第3の調節可能マウント36、38のそれぞれの第1及び第2のピボット軸は、実質的に一致する。「実質的に一致」は、一致及びほぼ一致(例えば、いくつかの実装形態では互いに10mm以内に、又はいくつかの実装形態では互いに5mm以内に配置される)を含む。
【0022】
図示の実装形態では、一例として、第1の光学部品22は、基部32に対して固定して取り付けられ、第2の光学部品24は、第1の調節可能マウント36及び第3の調節可能マウント34によって支持され、第3の光学部品26は、第2の調節可能マウント38によって支持される。この配置は、第1の光学部品22と第2の光学部品24との間の相対位置がどのように調節可能であるか、第2の光学部品24と第3の光学部品26との間の相対位置がどのように調節可能であるか、及び第2の光学部品24がその中心軸Cを中心として独立して回転可能であるかの一例である。しかしながら、他の実装形態では、第1の光学部品22、第2の光学部品24、及び第3の光学部品26のうちのいずれか1つは、基部32に対して固定して取り付けられてもよく、残りの2つは、同じ相対的な調節可能性を達成するために移動可能に取り付けられる。いずれの実装形態においても、固定光学部品は必要ではない。第1の光学部品22、第2の光学部品24、及び第3の光学部品26の各々は、基部32に対して移動可能に取り付けられることが可能である。例えば、調節可能光学システム12に入る光Lに対して第1の光学部品22の位置を調節することが更に望ましい場合がある。
【0023】
図示の例では、中心軸Cを中心とした第2の光学部品24の回転は、第2の光学部品24(例えば、平行な刻線/スリットを有する回折格子などの分散型光学部品)の刻線角度R(図3図4)の調節を達成する。例えば、刻線(図示せず)がラインセンサ(例えば、検出器20)の軸に直角に位置合わせされることが望ましい場合がある。刻線は、光学システム12の最適な較正のために、基部32に対して垂直(例えば、鉛直)であるように調節されてもよい。適切に位置合わせされると、第2の光学部品24の刻線(図示せず)のうちの少なくとも1つは、ピボット軸Pに平行であってもよく、又はピボット軸Pと一致してもよい。
【0024】
図示の例では、第2の光学部品24をピボット軸Pを中心として旋回させることにより、第1の光学部品22と第2の光学部品24との間の入射角度Aの調節が達成される。入射角度Aは、図2に示すように、第1の光学部品22からの中心光線W1と第2の光学部品24の表面に垂直な線(例えば、中心軸C)との間の角度である。しかしながら、上述したように、入射角度Aの調節可能性を達成するために他の配置が可能である。入射角度Aを調節することは、第2の光学部品24の効率(例えば、回折格子の効率)を最適化するのに役立ち得る。
【0025】
図示の例では、第3の光学部品26をピボット軸Pを中心として旋回させることにより、第2の光学部品24に対する第3の光学部品26及び検出器20の調節が達成される。例えば、第3の光学部品26及び検出器20は、第2の光学部品24によって回折された対象波長W2に対応する回折角度D(例えば、格子透過角又は格子反射角)で位置合わせされることが望ましい場合がある。回折角度Dは、図2に示すように、対象波長W2と、第2の光学部品24の表面に垂直な線(例えば、中心軸C)との間であってもよい。対象波長W2は、対象波長の範囲内の単一波長又は中心波長であってもよく、第2の光学部品24から分散される全ての光の中心における波長である必要はない。対象波長W2は、ユーザによって決定され、ユーザが求めているサンプルに関する情報に依存する。例えば、ユーザは、特に関心のある特定の色範囲を選択することができる。同じサンプル又は異なるサンプルからの異なる対象波長を検査するために、ユーザが調節可能光学システム12を再位置合わせすることが望ましい場合がある。第2の光学部品24は、他の第2の光学部品(図示せず)と交換可能であってもよい。したがって、異なる特性を有する新しい第2の光学部品(図示せず)が挿入されるときに、ユーザが調節可能光学システム12を再位置合わせすることが望ましい場合がある。しかしながら、上述したように、対象波長W2に対するアライメントの調節可能性を達成するために、他の配置が可能である。更に、第2の光学部品24が中心軸Cを中心として回転可能であることは、刻線角度Rの微調節を達成するために新しい第2の光学部品が挿入されるときに有利である。
【0026】
第1の光学部品22と第2の光学部品24との間の相対位置(例えば、入射角度Aの)の調節は、手動、自動、又は半自動であってもよい。同様に、第2の光学部品24と第3の光学部品26との間の相対位置の調節(例えば、第2の光学部品24からの対象波長W2に対する第3の光学部品26のアライメントの調節)は、手動、自動、又は半自動であってもよい。調節は、第1の調節可能マウント36及び第2の調節可能マウント38を手動で、自動的に、又は半自動的に移動させるように構成されたアクチュエータ40a~40dを使用して達成することができる。図示の実装形態では、調節は、第1の調節可能マウント36をピボット軸Pを中心として移動させるように構成された第1及び第2のアクチュエータ40a、40bと、第2の調節可能マウント38をピボット軸Pを中心として移動させるように構成された第3及び第4のアクチュエータ40c、40dとを使用して達成される。アクチュエータ40a~40dは、線形アクチュエータ又は非線形アクチュエータであってもよく、任意の数のアクチュエータが採用されてもよい。例えば、他の実装形態では、単一の回転可能アクチュエータを用いて、第1の調節可能マウント36及び/又は第2の調節可能マウント38をピボット軸Pを中心として回転させてもよい。
【0027】
アクチュエータ40a~40dは、機械式アクチュエータ、電気機械式アクチュエータ、油圧アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、圧電アクチュエータなどであってもよい。図示の実装形態では、一例として、アクチュエータ40a~40dの各々は、基部32に対して固定されたハウジング44に対して直線的に移動するように構成された微細ピッチねじ42を含む。微細ピッチねじは、手動で(例えば、図示しない六角ねじ回し又は六角棒スパナなどの工具によって)作動可能である。アクチュエータ40a~40dの各々はまた、それぞれの可動マウント36、38に結合され、それぞれの可動マウント36、38をそれぞれのハウジング44に向かって引っ張るように構成された付勢部材46(例えば、引っ張りばね)を含む。しかしながら、他の実装形態では、ねじなし線形アクチュエータ(例えば、シャフトをねじなしで移動させるように構成された角度付き玉軸受を有する)、又は任意の他のタイプの線形若しくは非線形アクチュエータなど、他のタイプのアクチュエータが採用されてもよい。
【0028】
図3図5に示すように、第3の調節可能マウント34は、凹部48内に移動可能に(例えば、回転可能に)受容されるように構成された回転ブラケット52を含む。凹部48は、回転ブラケット52によって支持される第2の光学部品24を受容するように構成される。図示の実装形態では、凹部48は、第1の調節可能マウント36を画定する第1のピボットブラケット50に配置されるが、凹部48は、他の実装形態では別個の部品に配置されてもよい(例えば、他の実装形態では、第1の調節可能マウント36から完全に独立していてもよい)。
【0029】
第2の光学部品24は、回転ブラケット52内に受容され、回転ブラケット52を第2の光学部品24の周りに締め付けるように構成されたクランプ締結具54によって回転ブラケット52に固定される。回転ブラケット52は、クランプ締結具54による締め付け力の調節を可能にするためにC字形であってもよい。第2の光学部品24を担持する回転ブラケット52は、凹部48内に受容され、フランジ56(例えば、第1のピボットブラケット50又は他のブラケットのフランジ56)に係合する。フランジ56は、入射光Lを第2の光学部品24に透過させる開口58を内部に有する。回転ブラケット52はまた、第2の光学部品24からの透過光Lの透過を可能にするための開口60を内部に有する。第3の調節可能マウント34はまた、回転ブラケット52及び第2の光学部品24をフランジ56に対して凹部48内に保持するために、中心軸Cの方向に締め付け力を提供する1つ以上のクリップ62を含んでもよい。
【0030】
第3の調節可能マウント34はまた、付勢部材64(例えば、引っ張りばね)及びアクチュエータ66を含む。付勢部材64は、中心軸Cを中心として第1の回転方向に回転ブラケット52を付勢するように構成され、アクチュエータ66は、第1の回転方向とは反対の中心軸Cを中心とする第2の回転方向に回転ブラケット52を押すように構成される。したがって、軸Cを中心とする第2の光学部品24の回転可能な位置(すなわち、刻線角度Rの調節)は、アクチュエータ66の位置によって制御される。アクチュエータ66は、回転ブラケット52内に設置される、(図示されるような)微細ピッチ止めねじを含んでもよく、又は他の実装形態では、任意の他の好適なタイプの線形アクチュエータを含んでもよい。アクチュエータ66は、基部32に対して直線的に移動するように構成される。図示された実装形態では、アクチュエータ66は、手動で、例えば、図示されていない六角ねじ回し又は六角棒スパナなどの工具によって作動可能(例えば、回転可能)である。この機構は、例えば、微調節のために1インチ当たり約100ねじ山(+/-5)を使用して達成される、角度制御度当たり約0.02インチ(+/-0.01インチ)(約0.51mm)の速度のアクチュエータ66の線形運動で、数度の角度範囲を有する微細な角度制御、例えば4度の角度制御を与える。しかしながら、他の実装形態において他の角度制御速度を達成するために、他の1インチ当たりのねじ山が使用されてもよい。更に他の実装形態では、非線形アクチュエータが採用されてもよい。他の実装形態では、他のタイプの付勢部材64及びアクチュエータ66を使用することができる。回転ブラケット52は、他の好適な方法で回転可能に取り付けられてもよく、他の好適な機構を使用して回転制御されてもよい。刻線角度Rの調節は、手動、自動、又は半自動であってもよい。
【0031】
第1の調節可能マウント36は、任意の好適な様式でピボット軸Pを中心として旋回可能に取り付けられた第1のピボットブラケット50を含む。例えば、第1のピボットブラケット50は、基部32によって支持され、例えばダウエルピン(dowel pin:位置決めピン)70(図5)によって基部32に旋回可能に取り付けられてもよい。第1のピボットブラケット50は、第2の光学部品24の有効口径を著しく減少させないように十分に薄い。第1の調節可能マウント36は、第1及び第2のアクチュエータ40a、40bによって制御され得る。第1のアクチュエータ40aは、第1のピボットブラケット50をピボット軸Pを中心として第1の方向に旋回させるように構成され、第2のアクチュエータ40bは、第1のピボットブラケット50をピボット軸Pを中心として第1の方向とは反対の第2の方向に旋回させるように構成される。第1のピボットブラケット50は、例えば、回転ブラケット52によって第2の光学部品24を支持する。第1の光学部品22と第2の光学部品24との間の距離は、第1の光学部品22と第2の光学部品24との間の相対位置の調節中に固定される。
【0032】
第1の調節可能マウント36は、例えば、微調節のために1インチ当たり約100ねじ山(+/-5)を使用して達成される、角度制御度当たり約0.02インチ(+/-0.01インチ)(約0.51mm)の速度のアクチュエータ40a、40bの各々におけるねじ42の線形運動で、例えば4度の角度制御など、微調節可能であってもよい。しかしながら、他の実装形態において他の角度制御速度を達成するために、他の1インチ当たりのねじ山が使用されてもよい。
【0033】
第2の調節可能マウント38は、任意の好適な様式でピボット軸Pを中心として旋回可能に取り付けられた第2のピボットブラケット68を含む。例えば、第2のピボットブラケット68は、基部32によって支持され、例えば、ダウエルピン70によって基部32に旋回可能に取り付けられてもよく、ダウエルピン70は、第1のピボットブラケット50を取り付けるために使用されるのと同じダウエルピン70、又は異なるダウエルピンであってもよい。第2のピボットブラケット68は、概して平坦なプレート又は任意の他の好適な形状若しくは構成を含むことができる。第2のピボットブラケット68は、ピボット軸Pの概ね反対側の長手方向端部において、第3の光学部品26、検出器20、及び出口開口18を支持する。第3の光学部品26と第2の光学部品24との間の距離は、第2の光学部品24と第3の光学部品26との間の相対位置の調節中に固定される。
【0034】
第2の調節可能マウント38は、第3及び第4のアクチュエータ40c、40dによって制御され得る。第3のアクチュエータ40cは、第2のピボットブラケット68をピボット軸Pを中心として第1の方向に旋回させるように構成され、第4のアクチュエータ40dは、第2のピボットブラケット68をピボット軸Pを中心として第1の方向とは反対の第2の方向に旋回させるように構成される。第2の調節可能マウント38は、例えば、微調節のために1インチ当たり約100ねじ山(+/-5)を使用して達成される、角度制御度当たり0.1~0.2インチ(約2.5~5.1ミリメートル)の速度のアクチュエータ40c、40dの各々におけるねじ42の線形移動で、例えば4度の角度制御など、微調節可能であってもよい。
【0035】
いくつかの実装形態では、アクチュエータ40a~40d及びアクチュエータ66は、例えばサーボモータ、他のタイプのモータなどによって自動的に又は半自動的に制御され得る。したがって、アクチュエータ40a~40d及びアクチュエータ66は、電子的に制御可能であってもよい。例えば、図6に示すように、調節可能光学アセンブリ12は、上述の調節を実行するように構成されたコントローラ80を有する制御システム78を含むことができる。コントローラ80は、科学機器10の一部であってもよく、又は科学機器10から遠隔にあってもよい。コントローラは、ラマン分光システムなどの分光システム用のコントローラと一体化されていてもよいし、分離されていてもよい。
【0036】
一例として、コントローラ80は、第3の調節可能マウント34、第1の調節可能マウント36、及び第2の調節可能マウント38の位置を自動的又は半自動的に調節するように構成されてもよい。コントローラ80は、プログラマブルプロセッサ82(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は別の好適なプログラム可能デバイス)と、非一時的メモリ等のメモリ84とを含んでもよい。メモリ84は、例えば、プログラム記憶領域86及びデータ記憶領域88を含んでもよい。プログラム記憶領域86及びデータ記憶領域88は、読み出し専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)(例えば、ダイナミックRAM[「DRAM」]、シンクロナスDRAM[「SDRAM」]など)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(「EEPROM」)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SDカード、又は他の好適な磁気、光学、物理、電子メモリデバイス、又は他のデータ構造など、異なるタイプのメモリの組合せを含むことができる。制御システム78は、更に又は代替的に、本明細書に記載される機能を実行するために、集積回路及び/又はアナログデバイス、例えば、トランジスタ、比較器、演算増幅器等を含んでもよい。
【0037】
いくつかの実装形態では、コントローラ80は、図6に示すように、様々な構成要素への、及び様々な構成要素からの1つ以上の入力90及び出力92を含むことができる。コントローラ80は、出力92に制御信号を提供し、入力90からデータ及び/又は信号(例えば、センサデータ、ユーザ入力信号など)を受信するように構成されてもよい。1つ以上の入力90は、アクチュエータ94、検出器20、並びに第3の調節可能マウント34、第1の調節可能マウント36、及び第2の調節可能マウント38の位置を監視するように構成された位置センサなどの1つ以上のセンサ96を含むことができるが、これらに限定されない。1つ以上の出力92は、アクチュエータ40a~40d(個別に制御可能)及びアクチュエータ66などの各々を含むことができるが、これらに限定されず、他の構成要素を含むことができる。したがって、コントローラ80は、第1のマウント34、第2のマウント36、及び第3のマウント38の位置を自動的又は半自動的に制御するようにプログラムされてもよい。例えば、コントローラ80は、刻線角度R、入射角度A、及び対象波長W2に対するアライメントを自動的又は半自動的に調節するようにプログラムされてもよい。コントローラ80は、ユーザがアクチュエータ94を作動させることに応答して、刻線角度R、入射角度A、及び対象波長に対するアライメントを調節するようにプログラムされてもよい。例えば、科学機器10は、制御システム78に調節可能光学システム12を自動的又は半自動的に調節させるためにユーザが作動させることができるボタンなどのアクチュエータ94を含んでもよい。
【0038】
図7は、分光器内の光学装置16のアライメントを調節する方法100を示す。本方法は、本開示から明らかな他の追加及び中間ステップの中でも、ステップ101~103のいずれか1つ以上を任意の組合せで含むことができる。ステップ101において、方法100は、第3の調節可能マウントを介して第2の光学部品24の刻線角度Rを調節することを含む。一例では、刻線角度Rは、第2の光学部品24をその中心軸Cを中心として回転させることによって調節される(これは、本明細書に開示される任意の方法で達成することができる)。ステップ101は、刻線角度Rの所望の位置を決定することを含むことができる。一例では、刻線角度Rの所望の位置を決定することは、刻線角度Rを調節しながら、所定のスペクトルの光を第2の光学部品24(及び光学装置16全体)に通し、検出器20を観察することを含む。例えば、所定のスペクトルの光は、単色光又は白色光を含むことができる。ステップ101はまた、検出器20を使用して、刻線角度Rが所望の位置に到達したときを決定することを含むことができる。例えば、所望の刻線角度Rを見つけるために、光の所定のスペクトルが検出器20(例えば、ラインセンサなどの2次元検出器)上で見られ、光の所定のスペクトルが検出器20の長手方向軸に平行な検出器20に沿ってストライプを投射するときに、決定が行われ得る(コントローラ80によって自動的に、ユーザによって手動で、又は半自動的に)。ストライプが平行であるとき、所望の(又は最適な)刻線角度Rに達しており、調節を停止することができる。別の例では、ステップ101は、追加的に又は代替的に、第3の光学部品26及び検出器20を取り外し(例えば、第2の調節可能マウント38を取り外すことによって)、0次及び1次の回折次数の相対高さを測定することを含んでもよい。高さが等しくなると、刻線角度Rは所望の位置に達し、調節を停止することができる。刻線角度Rを較正する他の方法も可能である。他の実装形態では、ステップ101は、追加又は代替として、位置センサ96のうちの1つ以上を使用することを含むことができる。
【0039】
ステップ102において、方法100は、入射角度Aを調節することを含む。入射角度Aは、第1の光学部品22と第2の光学部品24との間の相対位置を調節することによって調節され得る(これは、本明細書に開示される任意の方法で達成され得る)。ステップ102はまた、所定のスペクトルの光を第2の光学部品24(及び光学装置16全体)に通過させ、相対位置を調節しながら検出器20を観察することによって、所望の入射角度Aを決定することを含んでもよい。コントローラ80によって自動的に、ユーザによって手動で、又は半自動的に、1次回折ピークの強度を検出器20上で観察することができ、強度が最大になると、所望の入射角度A(例えば、最適化された入射角度A)が決定され、調節を停止することができる。入射角度Aを較正するための他の方法も可能である。他の実装形態では、ステップ102は、追加又は代替として、位置センサ96のうちの1つ以上を使用することを含むことができる。
【0040】
ステップ103において、方法100は、第2の光学部品24と第3の光学部品26との間の相対位置を調節することによって、出口開口18及び/又は検出器20を対象波長に位置合わせすることを含む(これは、本明細書に開示される任意の方法で達成することができる)。(図示の実装形態では、第3の光学部品26は出口開口18及び検出器20に対して所定の位置に固定されているので、第2の光学部品24と第3の光学部品26との間の相対位置は、第2の光学部品24と出口開口18との間の相対位置及び/又は第2の光学部品24と検出器20との間の相対位置と呼ぶこともできる)。ステップ103はまた、所定のスペクトルの光を第2の光学部品24(及び光学装置16全体)に通過させ、相対位置を調節しながら検出器20を観察することを含んでもよい。出口開口18及び/又は検出器20を第2の光学部品24に対して位置合わせすることにより、異なる波長の光が検出器20上のどこに当たるかが決定され、したがって、位置合わせにより、ユーザ(又はコントローラ80)は、対象波長W2を検出器20の所定のピクセルに配置することができる。例えば、特定の色又は他の所望の範囲の波長をラインセンサ(すなわち、検出器20)の中心に置くことが望ましい場合がある。コントローラ80によって自動的に、ユーザによって手動で、又は半自動的に、アライメントは、検出器20の所定のピクセルに対象波長W2を配置するように較正される。対象波長W2へのアライメントを較正する他の方法も可能である。他の実装形態では、ステップ103は、追加又は代替として、位置センサ96のうちの1つ以上を使用することを含むことができる。
【0041】
したがって、方法100は、一般に、所定のスペクトルの光を科学機器10を通して検出器20上に通過させることと、検出されたスペクトルに基づいて、第2の光学部品24の回転位置、第2の光学部品24と第1の光学部品22との間の第1の相対位置、及び第2の光学部品24と第3の光学部品26との間の第2の相対位置を較正することとを含む。
【0042】
ステップ101~103は、任意の順序で実行され得る。コントローラ80は、開ループ又は閉ループ制御方式で方法100の各ステップを実行するようにプログラムすることができる。本明細書で使用される「自動」は、ユーザの介入を必要とせず、コントローラ80によって完全に制御される制御方式を指すことができる。本明細書で使用される「半自動」は、コントローラ80内にプログラムされ、出力92と通信するが、検出器20への入射光がいつ最適化されるか、所望されるか、又は正確に表示されるか(例えば、上記の方法100で説明した様々な方法で)の決定など、何らかのユーザ入力(例えば、入力90の1つとして)を受け入れることができる制御方式を指すことができる。
【0043】
方法100における後続又は中間の更なる方法ステップは、上記の開示及び以下の動作の説明から明らかであり得る。動作中、現場のユーザは、第2の光学部品24を取り外し、異なる特性を有する異なる第2の光学部品(図示せず)を挿入することができる。第2の光学部品24を交換するために、ユーザは、1)クリップ62を回転ブラケット52から移動させ、2)回転ブラケット52及び第2の光学部品24を第1のピボットブラケット50の凹部48から取り外し、3)クランプ締結具54を緩め、4)第2の光学部品24を回転ブラケット52から取り外し、5)新しい第2の光学部品(図示せず)を回転ブラケット52に配置し、6)クランプ締結具54を締め付け、7)回転ブラケット52及び新しい第2の光学部品を凹部48に挿入し、8)クリップ62を移動させて回転ブラケット52を凹部48内に保持し、9)新しい第2の光学部品の刻線角度Rを調節することができる。異なる回折格子は、例えば、対象波長に対して異なる入射角度A及び回折角度Dを有し得る。例えば、ユーザは、スペクトルの異なる領域を見るために、又は異なる励起レーザを使用するために、異なる第2の光学部品24を必要とし得る。
【0044】
調節可能光学システム12は、現場で光学装置16の微調節を提供し、それは、光学装置16の高価な高精度機械加工及び再組み立ての必要性を排除する。調節可能光学システム12はまた、単一の科学機器が、1つの用途に高度に特化されるのではなく、複数の用途に使用されることを可能にする。したがって、ユーザは、以前は複数の科学機器10が必要であった1つの科学機器10を使用することが可能であり得る。第2の光学部品24を交換した後、ユーザは、現場で光学装置16を再較正することができる。調節可能光学システム12はまた、科学機器10の初期製造プロセスの間に有用であり得、光学装置16の初期アセンブリの間の高価な高精度機械加工及び配置の必要性を排除する。
【0045】
したがって、本開示は、とりわけ、分光器などの科学機器10のための調節可能光学システム12を提供する。本開示の様々な特徴及び利点は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【0046】
一実装形態では、本開示は、分光器であって、基部と、基部に対して取り付けられた第1の光学部品と、基部に対して取り付けられた第2の光学部品と、基部に対して取り付けられた第3の光学部品と、を含む、分光器を提供する。第1の光学部品と第2の光学部品との間の第1の相対位置は、第1のピボット軸を中心として調節可能である。第2の光学部品と第3の光学部品との間の第2の相対位置は、第1の光学部品と第2の光学部品との間の相対位置の調節可能性とは独立して第2のピボット軸を中心として調節可能である。第2のピボット軸は、第1のピボット軸と実質的に一致し、第3の光学部品と第2の光学部品との間の距離は、第2の相対位置の調節中に固定される。
【0047】
追加的又は代替的に、任意の組合せにおいて、分光器は、第2の光学部品が、それに垂直な中心軸を画定し、第2の光学部品が、中心軸を中心として回転可能であるように構成され、中心軸は基部に平行であり、第1のピボット軸及び第2のピボット軸が、中心軸に直角であり、中心軸は、第1の軸及び/又は第2の軸と交差し、中心軸は、第1の軸及び第2の軸と交差し、第1の軸及び第2の軸は、第2の光学部品と交差し、基部に対して移動可能であり、第1の光学部品と第2の光学部品との間の相対位置の調節可能性を提供するように構成される、第1の調節可能マウントと、基部に対して移動可能である第2の調節可能マウントであって、第2の調節可能マウントは、第1の調節可能マウントとは独立して移動可能であり、第2の光学部品と第3の光学部品との間の相対位置の調節可能性を提供するように構成される、第2の調節可能マウントと、第1の調節可能マウントを移動させるように構成された少なくとも1つの第1のアクチュエータと、第2の調節可能マウントを移動させるように構成された少なくとも1つの第2のアクチュエータであって、少なくとも1つの第1のアクチュエータ及び少なくとも1つの第2のアクチュエータは、電子コントローラによって自動的又は半自動的に作動可能である、少なくとも1つの第1のアクチュエータ及び少なくとも1つの第2のアクチュエータと、第1及び第2の軸は一致しており、及び/又は第3の光学部品に対して固定されるように取り付けられた検出器であって、第3の光学部品は、光の少なくとも一部を検出器に集束させるように構成される、検出器とを含んでもよい。
【0048】
別の実装形態では、本開示は分光器を提供する。分光器は、基部と、基部によって支持されるコリメート光学部品と、基部によって支持される分散型光学部品と、基部によって支持される集束光学部品とを含む。コリメート光学部品と分散型光学部品との間の相対位置は、基部に対して移動可能であるように構成された第1の調節可能マウントによって調節可能である。分散型光学部品と集束光学部品との間の相対位置は、第1の調節可能マウントから独立して基部に対して移動可能であるように構成された第2の調節可能マウントによって調節可能である。
【0049】
追加的又は代替的に、任意の組合せにおいて、分光器は、分散型光学部品が、それに垂直な中心軸を画定し、分散型光学部品が、第1の調節可能マウント及び第2の調節可能マウントとは独立して基部に対して移動可能であるように構成された第3の調節可能マウントによって中心軸を中心として回転可能であるように構成され、中心軸が基部に平行であり、コリメート光学部品と分散型光学部品との間の相対位置が、中心軸に直角なピボット軸の周りで調整可能であり、分散型光学部品と集束光学部品との間の相対位置も、ピボット軸の周りで調整可能であり、コリメート光学部品と分散型光学部品との間の相対位置が、ピボット軸を中心として調節可能であり、分散型光学部品と集束光学部品との間の相対位置も、ピボット軸を中心として調節可能であり、ピボット軸が、基部に対して直角であり、ピボット軸が、分散型光学部品と交差し、第1の調節可能マウントを移動させるように構成された少なくとも1つの第1のアクチュエータと、第2の調節可能マウントを移動させるように構成された少なくとも1つの第2のアクチュエータであって、少なくとも1つの第1のアクチュエータ及び少なくとも1つの第2のアクチュエータは各々、ねじ付きねじを含む、少なくとも1つの第2のアクチュエータと、第1の調節可能マウントを移動させるように構成された少なくとも1つの第1のアクチュエータと、第2の調節可能マウントを移動させるように構成された少なくとも1つの第2のアクチュエータであって、少なくとも1つの第1のアクチュエータ及び少なくとも1つの第2のアクチュエータは、電子コントローラによって自動的又は半自動的に作動可能である、少なくとも1つの第2のアクチュエータと、及び/又は集束光学部品に対して固定されるように取り付けられた検出器であって、集束光学部品は、光の少なくとも一部を検出器上に集束させるように構成されている、検出器とを含んでもよい。
【0050】
更に別の実装形態では、本開示は、分光器内の光学部品のアライメントを調節する方法を提供する。本方法は、第1の調節可能マウントを使用して、分散型光学部品とコリメート光学部品との間の第1の相対位置を調節することと、第2の調節可能マウントを使用して、集束光学部品と分散型光学部品との間の第2の相対位置を調節することと、を含む。
【0051】
追加的又は代替的に、任意の組合せにおいて、本方法は、第1の相対位置を調節することと、第2の相対位置を調節することが、電子コントローラを使用して自動的又は半自動的に実行されることと、分光器を通して検出器上に所定のスペクトルの光を通過させることと、検出されたスペクトルに基づいて、第1の相対位置及び第2の相対位置を較正することとを含んでもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】