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特開2024-159707椎弓形成術用インプラントおよび使用方法
<図1>
  • 特開-椎弓形成術用インプラントおよび使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159707
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】椎弓形成術用インプラントおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/82 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61B17/82
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024072172
(22)【出願日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】18/308,067
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524161508
【氏名又は名称】アーサー エル ジェンキンス ザ サード
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】アーサー エル ジェンキンス ザ サード
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL33
4C160LL34
(57)【要約】
【課題】椎弓形成術手技中に椎骨の外側(がいそく)塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントが提供される。
【解決手段】インプラント(10)は、外側塊状体(120)に係合するよう構成された第1の部分(20)を有する。第1の部分は、これを外側塊状体に固定する締結具(36)を受け入れる横方向開口部(34)を有する。インプラントは、骨端(160)に係合するよう構成された第2の部分(60)を有する。第2の部分は、第2の部分が第1の部分に対して回転軸線回りに回転可能であるよう第1の部分に連結されている。第2の部分は、締結具を受け入れる横方向開口部を有する。インプラントは、第1の部分を外側塊状体からの椎弓板の分離に先立って外側塊状体に固定することができるよう構成されている。
【選択図】図6D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントであって、前記インプラントは、
前記外側塊状体に係合するよう構成された第1の部分を有し、前記第1の部分は、前記外側塊状体とインターフェースする表面を備え、前記第1の部分は、前記第1の部分を前記外側塊状体に固定するための締結具を受け入れる横方向開口部を備え、
前記椎弓形成術手技中に前記外側塊状体から分離した前記椎弓板の前記骨端に係合するよう構成された第2の部分を有し、前記第2の部分は、近位端と遠位端との間に延び、前記第2の部分の前記近位端は、前記第2の部分が前記第1の部分に対して回転軸線回りに回転可能であるように前記第1の部分に連結され、
前記第2の部分は、前記第2の部分を前記椎弓板に固定するための締結具を受け入れる横方向開口部を備えている、インプラント。
【請求項2】
前記第2の部分は、前記分離した椎弓板の前記骨端を受け入れるよう構成された受け入れ部を有する、請求項1記載のインプラント。
【請求項3】
前記受け入れ部は、前記第2の部分の前記遠位端のところに位置している、請求項2記載のインプラント。
【請求項4】
前記受け入れ部は、
前記第2の部分から遠位側へ延びる外部材と、
前記第2の部分から遠位側へ延びる内部材とを有し、
前記受け入れ部は、前記外部材と前記内部材との間に空間を形成する、請求項3記載のインプラント。
【請求項5】
前記受け入れ部は、前記外部材と前記内部材との間に前記外側塊状体の前記骨端を受け入れるよう構成されている、請求項4記載のインプラント。
【請求項6】
前記第2の部分を前記椎弓板に固定するための締結具を受け入れる前記横方向開口部は、前記外部材を貫通している、請求項4記載のインプラント。
【請求項7】
前記受け入れ部は、前記外部材と前記内部材との間に位置する移行部を備え、前記移行部は、前記第1の部分が前記外側塊状体に固定されると、脊柱に平行な軸線に沿って延びる、請求項6記載のインプラント。
【請求項8】
前記外部材と前記内部材との間の距離は、前記椎弓板の前記骨端のところで測定された前記椎弓板の幅よりも大きい、請求項6記載のインプラント。
【請求項9】
前記椎弓板の前記骨端が前記受け入れ部内に受け入れられると、前記内部材が前記椎弓板の内面に当接するよう構成され、しかも前記外部材が前記椎弓板の外面に当接するよう構成されている、請求項8記載のインプラント。
【請求項10】
前記外部材と前記内部材は、前記椎弓板の前記骨端を受け入れるためにU字形を呈する、請求項9記載のインプラント。
【請求項11】
前記外部材は、前記第2の部分から前記内部材よりも遠くに延びる、請求項9記載のインプラント。
【請求項12】
前記横方向開口部は、前記横方向開口部を挿通して前記椎弓板中に受け入れられた前記締結具が前記第1の突起に当たることがないよう前記外部材に位置決めされている、請求項11記載のインプラント。
【請求項13】
前記外部材は、前記脊柱の前記方向に延びる可撓性部分を有し、前記可撓性部分は、前記第2の部分の前記横方向開口部と前記第2の部分の前記近位端との間に位置している、請求項6記載のインプラント。
【請求項14】
骨とインターフェースする前記インプラントの1つ以上の表面上に設けられた骨融合材料をさらに有し、前記骨融合材料は、前記骨と前記骨融合材料との骨同化を促進するよう選択されている、請求項6記載のインプラント。
【請求項15】
前記第1の部分は、前記インターフェース表面から延びる複数の位置決めピンを有し、前記位置決めピンは、前記締結具が取り付けられている間、前記外側塊状体に対する前記第1の部分の運動を阻止するために前記骨に係合するよう構成されている、請求項6記載のインプラント。
【請求項16】
前記第1の部分および前記回転軸線は、前記外側塊状体に隣接したところで前記椎弓板を切断する前に前記第1の部分を前記外側塊状体に固定することができるよう構成されている、請求項6記載のインプラント。
【請求項17】
前記回転軸線は、前記第1の部分が前記外側塊状体に固定されると、脊柱に平行な軸線に沿って延びる、請求項6記載のインプラント。
【請求項18】
前記インプラントは、前記第1の部分と前記第2の部分との間に設けられていて前記第1の部分と前記第2の部分の回転を容易にするヒンジを有する、請求項6記載のインプラント。
【請求項19】
前記受け入れ部は、U字形である、請求項6記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、外科用インプラントに関する。特に、本発明は、椎弓形成術用インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
ある幾つかの病理学的所見では、患者の椎骨を貫通している脊柱管は、狭くなりすぎており、または狭くなりすぎるようになり、これを貫通している脊髄を狭窄する。狭窄化は、先天性の場合があり、潜在的に、どんな年齢であっても患者に悪影響を及ぼす。狭窄化はまた、他の原因、例えば老化、椎骨板状組織の外傷または切除のせいである。
【0003】
老化と関連した病状は、例えば、椎間板の水分が減少してその密度が小さくなる脊椎症である。椎間板の近くで生じるこれら変性的変化により、骨の過形成が生じることがあり、脊髄を圧迫する場合のある「骨棘」と呼ばれる骨の棘突起が生じる。脊柱中の脊髄の狭窄化は、例えば、疼痛、虚弱、または手足の感覚の喪失を招く場合が多い。脊髄の狭窄化の他の原因としては椎間板の萎縮が挙げられ、これにより、椎間板腔が狭くなるとともに、その輪が膨出してキノコ状に広がり、その結果、圧力が脊髄に加わる。椎間関節の変性関節炎により、関節が拡大し、または椎骨が互いに滑る場合があり、これによっても脊髄が圧迫される。例えば靱帯の伸展または肥厚により生じる椎骨間の不安定性によっても、脊髄や神経根に加わる圧力が生じることがある。
【0004】
脊髄症、つまり脊髄の機能障害は、脊髄の圧迫に起因して生じる。棘状突起が脊髄に当たって擦れることもまた、この症状の一因となる場合があり、脊髄圧迫は、最終的には、脊髄に血液を供給する血管を損なうことがあり、脊髄症がさらに悪化する。
【0005】
脊髄への圧迫を除くための伝統的な手技としては、椎弓切除術が挙げられ、この術式では、椎弓板や椎骨突起を除去して脊髄を覆っている硬膜を露出させる。もう1つの既知の手技は、椎弓形成術であり、この術式では、椎弓板を持ち上げて硬膜から離すが、完全に除去するわけではない。典型的には、椎弓板の一方の側を切断するが、他方の側には部分的な切れ目を入れ、椎弓板をヒンジ式に動かして脊髄から遠ざけ、それにより脊柱管のサイズを大きくする。次に、椎弓形成術用プレートを関節面にねじ止めするとともに、ヒンジ式に開いた椎弓板にねじ止めする。適当なサイズのプレートを所望の形状に合わせて選択して曲げるが、このプレートは、好ましくは、複数のねじ穴を有する。支柱としての骨を椎弓板および関節面内の開口部分の中に配置して椎弓板の開口位置の保持を助ける。手術に先立って、外科医は、植え込みに必要なプレートのサイズを決めるために椎骨を測定する必要がある。その時点で、適当な寸法形状を備えたプレートを選択するのがよく、そして当該部位に植え込むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
好ましくは均一のサイズを有し、患者の解剖学的構造、切断位置、および他の要因に合わせて必要に応じ、椎弓板の椎骨外側(がいそく)塊状体に対する開口度を変えることができるようにする椎弓形成術用インプラントが要望されている。
【0007】
好ましくはカニューレなどを介する手術部位への導入を可能にするために折り畳めるよう構成されているのがよい椎弓形成術用インプラントが要望されている。
【0008】
もう1つの要望は、低侵襲技術を用いて外科的に植え込み可能な椎弓形成術用インプラントの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記載した要望ならびに更なる要望および他の要望や更なる利点および他の利点は、以下に説明する解決策および利点を説明する本発明の教示によって満たされまたは提供される。
【0010】
本発明の要旨は、1つの観点では、椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントにある。インプラントは、外側塊状体に係合するよう構成された第1の部分を有する。第1の部分は、外側塊状体とインターフェースする表面を備える。第1の部分は、第1の部分を外側塊状体に固定するための締結具を受け入れる横方向開口部を備える。インプラントは、椎弓形成術手技中に外側塊状体から分離した椎弓板の骨端に係合するよう構成された第2の部分を有する。第2の部分は、近位端と遠位端との間に延びる。第2の部分の近位端は、第2の部分が第1の部分に対して回転軸線回りに回転可能であるように第1の部分に連結される。第2の部分は、第2の部分を椎弓板に固定するための締結具を受け入れる横方向開口部を備える。
【0011】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、第2の部分は、分離した椎弓板の骨端を受け入れるよう構成された受け入れ部を有する。
【0012】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、受け入れ部は、第2の部分の遠位端のところに位置している。
【0013】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、受け入れ部は、第2の部分から遠位側へ延びる外部材を有する。受け入れ部は、第2の部分から遠位側へ延びる内部材をさらに有する。受け入れ部は、外部材と内部材との間に空間を形成する。
【0014】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、受け入れ部は、外部材と内部材との間に外側塊状体の骨端を受け入れるよう構成されている。
【0015】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、第2の部分を椎弓板に固定するための締結具を受け入れる横方向開口部は、外部材を貫通している。
【0016】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、受け入れ部は、外部材と内部材との間に位置する移行部を備え、移行部は、第1の部分が外側塊状体に固定されると、脊柱に平行な軸線に沿って延びる。
【0017】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、外部材と内部材との間の距離は、椎弓板の骨端のところで測定された椎弓板の幅よりも大きい。
【0018】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、椎弓板の骨端が受け入れ部内に受け入れられると、内部材が椎弓板の内面に当接するよう構成され、しかも外部材が椎弓板の外面に当接するよう構成されている。
【0019】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、外部材と内部材は、椎弓板の骨端を受け入れるためにU字形を呈する。
【0020】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、外部材は、第2の部分から内部材よりも遠くに延びる。
【0021】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、横方向開口部は、横方向開口部を挿通して椎弓板中に受け入れられた締結具が第1の突起に当たることがないよう外部材に位置決めされている。
【0022】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、外部材は、脊柱の方向に延びる可撓性部分を有する。可撓性部分は、第2の部分の横方向開口部と第2の部分の近位端との間に位置している。
【0023】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、インプラントは、骨とインターフェースするインプラントの1つ以上の表面上に設けられた骨融合材料をさらに有する。骨融合材料は、骨と骨融合材料との骨同化を促進するよう選択されている。
【0024】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、第1の部分は、インターフェース表面から延びる複数の位置決めピンを有する。位置決めピンは、締結具が取り付けられている間、外側塊状体に対する第1の部分の運動を阻止するために骨に係合するよう構成されている。
【0025】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、第1の部分および回転軸線は、外側塊状体に隣接したところで椎弓板を切断する前に第1の部分を外側塊状体に固定することができるよう構成されている。
【0026】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、回転軸線は、第1の部分が外側塊状体に固定されると、脊柱に平行な軸線に沿って延びる。
【0027】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、インプラントは、第1の部分と第2の部分との間に設けられたヒンジを有する。ヒンジは、第1の部分と第2の部分の回転を容易にする。
【0028】
椎弓形成術手技中に椎骨の外側塊状体から分離した骨端のある椎弓板を連結するためのインプラントのさらに別の実施形態では、受け入れ部は、U字形である。
【0029】
本発明のこれらの観点および他の観点は、以下に提供される図面の簡単な説明および詳細な説明に照らして明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の1つの実施形態としてのインプラントの正面側の斜視図である。
図2図1に示すインプラントの背面側の斜視図である。
図3図1に示すインプラントの底面側の斜視図である。
図4図1に示すインプラントの底面側の斜視図である。
図5図1に示すインプラントの斜視図であり、インプラントを固定するための締結具をさらに示す図である。
図6A】椎骨の断面を示す図である。
図6B】椎骨の断面を示す図であり、骨端を備えた椎弓板が椎弓形成術手技中に椎骨から分離されている状態を示す図である。
図6C】椎骨の断面を示す図であり、骨端を備えた椎弓板が椎弓形成術手技中に椎骨から分離されている状態、およびインプラントの第1の部分が外側塊状体に固定されている状態を示す図である。
図6D図6Aおよび図6Bに示すインプラントの図である。
図6E図6Aおよび図6Bに示すインプラントの図であり、第2の部分が椎弓板に固定され、椎弓板の骨端が受け入れ部内に受け入れられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示内容は、図面に示された例示の実施形態を参照して本発明の諸観点を説明するものであるが、本発明の諸観点は、図面に示された例示の実施形態には限定されない。当業者には明らかなように、本発明の諸観点は、より多くの実施形態を含む。したがって、本発明の諸観点は、図面に示されている例示の実施形態に照らして限定されるべきではない。また、当業者には明らかなように、本発明の真の範囲から逸脱することなく、変形や改造を行うことができる。例えば、幾つかの場合、1つの実施形態と関連して開示する1つ以上の特徴を単独で、あるいは1つ以上の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせて使用できる。
【0032】
図1図4を参照すると、椎弓形成術手技中に椎骨140の外側塊状体120から分離した骨端160のある椎弓板130を連結するためのインプラント10が示されている。インプラント10は、外側塊状体120(図1図4には示さず)に係合するよう構成された第1の部分20を有する。インプラント10は、椎弓形成術手技中に外側塊状体120から分離した椎弓板の骨端160に係合するよう構成された第2の部分60を有する。
【0033】
図1に開示された実施形態では、第1の部分20は、第1の端30と第2の端40との間において平面内で延びている。第1の部分20は、頂面32および底面42を有する。底面42は、インプラント10、特に第1の部分20が外側塊状体120に対して位置決めされたときに外側塊状体120とインターフェースするよう構成されている。第1の部分20は、頂面32と底面42との間で第1の部分20の周囲に沿って延びる縁22を備えている。図1図4に開示した実施形態では、第1の部分20の縁22は、四辺形を定め、ただし、本発明は、この点に関して制限されるものではない。当該技術分野において本開示内容に精通している当業者は、第1の部分の形状が様々であってよいことを理解している。第1の部分の底面42は、外側塊状体120とインターフェースするよう構成されていることが好ましい。
【0034】
第1の部分20は、頂面32と底面42との間に延びる穴34を有する。穴34は、固定器具、例えば骨スクリュー36(図5に示す)を受け入れるよう構成されている。図示の実施形態は、第1の部分20に設けられた1つの穴34を有するが、本発明は、この点に関して制限されることはない。当業者は、第1の部分20が骨固定器具を受け入れる2つ以上の貫通穴を有することができるということを理解するであろう。図示の実施形態では、第1の部分20は、頂面32と底面42との間に延びる第2の穴44を有する。第2の穴44は、インプラント10の外科的導入中にインプラント10を操作するための外科用器械を受け入れるよう構成されている。理解されるべきこととして、第2の穴44は、本発明を実施する上で必要ではない。例えば、第2の穴44は、インプラント10から省かれてもよい。
【0035】
インプラント10は、近位端70および遠位端80から延びる第2の部分60を有する。第2の部分60は、頂面72および底面82を有する。第2の部分60は、頂面72と底面82との間で第2の部分60の周囲に沿って延びる縁62を備える。図1図4に開示する実施形態では、第2の部分60の縁22は、四辺形を定め、ただし、本発明は、この点に関して制限されることはない。当該技術分野において本発明に精通している当業者は、第2の部分60の形状が様々であってよいことは理解するであろう。
【0036】
第1の部分20は、第1の部分20が回転軸線59回りに第2の部分60に対して回転可能であるよう第2の部分60に連結されている。図1に示す実施形態では、第1の部分20の第1の端30は、第2の部分60の近位端70に連結されている。このように、第1の部分20は、回転軸線59回りに第2の部分60に対して回転することができる。図示の実施形態では、第1の部分20は、ヒンジ50を介して第2の部分60に連結されている。開示した実施形態では、ヒンジ50の一部分は、第1の部分20と一体であり、ヒンジの一部分は、第2の部分60と一体である。第1の部分20は、ボア54を備えたナックル52を有する。ナックル52は、第1の部分20の第1の端22から延びている。第2の部分60は、2本のピン56を有する。ピン56は、ナックル52のボア54に設けられた互いに反対側の開口部58内に受け入れられるよう構成されている。このように、ヒンジ50は、回転軸線59回りにおける第2の部分60に対する第1の部分20の回転を容易にする。この実施形態では、ピン56およびボア58は、ヒンジ50が組み立てられたときに回転軸線59と同軸である。この形態では、ヒンジ50は、ピン56をボア56中にスナップ嵌めすることによって外科チームによって組み立てられるのがよい。変形例として、ヒンジは、製造業者によって組み立てられてもよい。
【0037】
理解されるべきこととして、ヒンジの1つの実施形態が図示されているが、本発明は、この点に関して制限されることはなく、多くの互いに異なる技術を用いて第2の部分60に対する第1の部分20の回転を実施できる。例えば、本発明の1つの実施形態では、第1の部分20と第2の部分は、第1の部分20の第1の端30と第2の部分60の近位端70との間に延びる可撓性材料によって連結されるのがよい。このように、第1の部分20と第2の部分60との間に設けられる材料は、第2の部分60に対する第1の部分20の回転を可能にする。同様に、多くの互いに異なる形式のヒンジを用いて回転を達成することができる。
【0038】
第2の部分60は、頂面72と底面82との間に延びる穴74を有する。穴74は、固定器具、例えば骨スクリュー76(図5に示す)を受け入れるよう構成されている。図示の実施形態は、第2の部分60に設けられた1つの穴74を含むが、本発明は、この点に関して制限されることはない。当業者であれば、第2の部分60が骨固定器具を受け入れる2つ以上の貫通穴を有することができるということを理解するであろう。
【0039】
本発明の1つの実施形態では、第2の部分60は、分離した椎弓板の骨端160を受け入れるよう構成された受け入れ部90を有する。図1図4に開示した実施形態を参照すると、受け入れ部90は、第2の部分60の一部をなした状態で、第2の部分60の遠位端80のところに位置している。図示の実施形態では、受け入れ部90は、内部材100および外部材110を有する。内部材100は、第2の部分60から内部材の遠位端102まで遠位側に延びている。外部材は、第2の部分から外部材遠位端112まで遠位側に延びている。図示のように、受け入れ部60は、内部材100と外部材110との間に空間92を形成している。
【0040】
受け入れ部90は、外側塊状体から分離した椎弓板の骨端160を受け入れるよう構成されている。これは、例えば、図6Eに示されている。骨端160は、内部材100と外部材110との間に空間92内に受け入れられる。このように、本発明のインプラント10は、椎弓形成術手技の実施を容易にする。
【0041】
開示した実施形態では、骨スクリュー76を受け入れるための第2の部分60の穴74は、外部材110を横方向に貫通して延びている。このように、スクリュー76は、外部材110および第2の部分60を外側塊状体から分離した椎弓板の骨端160に固定することができる。
【0042】
受け入れ部90は、外部材110と内部材100との間に移行部94を備える。図示の実施形態では、移行部は、第2の部分60に垂直でありかつ近位端70から遠位端80まで延びる平面で見てU字形である。このように、移行部94は、第1の部分20が外側塊状体120に固定されると、脊柱に平行な軸線に沿って延びる。当該技術分野において本開示内容に精通した当業者には理解されるように、本発明は、この点に関して制限されることはなく、種々の形式の移行部を本発明に従って用いることができる。本発明の幾つかの実施形態では、本発明を受け入れ部なしで実施することが可能であると言える。かかる実施形態では、第1の部分60は、骨端160の近くに位置する椎弓板の外面に隣接して保持される。外科用インプラントを用いると、スクリュー76が椎弓板に固定されている間、椎弓板の下面に加わる抗力を提供することができる。
【0043】
本発明者は、図示のインプラント10の実施形態に従って受け入れ部90を用いることによって、椎弓板の骨端に加わる停止力を提供することができ、それにより骨スクリューを介する椎弓板への第2の部分の固定を容易にすることが可能であることを発見した。本発明者は、この形態が低侵襲技術を用いてまたは制限された器具を用いて椎弓形成術手技を実施する場合に特に有利であることを発見した。本発明のインプラント10は、椎弓板の開口度に合わせるようにするための手術部位のところでの調節を必要としない。インプラント10は、かかる開口度についての使用範囲を備えた状態で構成されている。本発明のインプラントのそれ以上の技術的進歩は、このインプラントを外側塊状体および分離した骨端に容易に固定することができるということにある。
【0044】
外部材110と内部材100との間の距離は、これが椎弓板の骨端のところで測定される椎弓板の幅よりも大きいように選択されている。このように、椎弓板の骨端160は、受け入れ部90内に受け入れられるということが可能である。椎弓板の骨端が受け入れ部90内に受け入れられたとき、内部材100が椎弓板の内側表面162に当接するよう構成されるとともに外部材110が椎弓板骨端160の外側の表面164に当接するよう構成される。本発明の幾つかの実施形態では、内部材100、移行部94、および外部材110は、椎弓板の骨端を受け入れるためのU字の形態を定める。
【0045】
図示の実施形態を参照すると、外部材110は、内部材100から遠位側にさらに延びている。このように、外部材110を貫通して受け入れられる固定器具は、スクリューが椎弓板を貫通するまで、内部材100に当たらない。当該技術分野において本開示内容に精通した当業者は、内部材100と外部材110の遠位側への広がりが様々であってよく、そして本発明は、この点に関して制限されないことを理解するであろう。例えば、内部材の遠位側への広がりと外部材の遠位側への広がりが同一であってもよい。もう1つの実施形態では、内部材の遠位側への広がりは、外部材の遠位側への広がりよりも大きい。
【0046】
本発明の1つの実施形態では、外部材110は、脊柱の方向に延びる可撓性部分114を有する。可撓性部分144は、第2の部分60の横方向開口部74と第2の部分の近位端70との間に位置決めされている。幾つかの実施形態では、可撓性部分114は、受け入れ部90と第2の部分60の近位端70との間に設けられる。このように、可撓性部分114は、回転軸線に加えて可撓性を提供し、それにより受け入れ部が椎弓板の望ましい固定を可能にするよう椎弓板と適切にインターフェースするようにする。
【0047】
1つの実施形態では、インプラントは、チタンで作られる。もう1つの実施形態では、インプラントは、生体適合性ポリマーで作られる。変形実施形態では、インプラント10は、当業者に知られている任意適当な材料で作られる。インプラント10は、骨とインターフェースするインプラントの1つ以上の表面上に設けられた骨融合材料をさらに有するのがよい。骨融合材料は、骨と骨融合材料の骨同化を促進するよう選択される。
【0048】
図示のような本発明の幾つかの実施形態では、第1の部分20は、第1の部分のインターフェース面(底面)42から延びる複数の位置決めピン24を有する。位置決めピン24は、締結具36が取り付けられている間、外側塊状体120に対する第1の部分20の運動を阻止するために骨に係合するよう構成されている。本発明のさらに他の実施形態では、位置決めピンは、第2の部分に設けられる。当業者によって理解されるように、本発明は、この点に関して制限されることはなく、本発明は、位置決めピンなしで実施できる。
【0049】
第1の部分20および回転軸線59は、外側塊状体120に隣接して位置する椎弓板の切断前に、第1の部分20を外側塊状体120に固定することができるよう構成されている。当該技術分野において本開示内容に精通した当業者には理解されるように、本発明は、この点に関して制限されることはなく、また、椎弓板は、第1の部分の固定前に、切れて外側塊状体から分離する場合がある。しかしながら、本発明者は、椎弓板の分離に先立って第1の部分20の固定を可能にするよう構成されたインプラントを提供することによって、幾つかの利点が得られるということを発見した。第1に、インプラントは、椎弓形成術手技を単純化することができる。第2に、インプラントは、受け入れ部内への骨端160の受け入れを可能にするような仕方で椎弓板の切断を可能にするよう案内を光学的にか物理的にかのいずかで提供することができる。
【0050】
図5を参照すると、本発明のインプラント10に用いられる骨スクリュー36,76が開示されている。当該技術分野において本発明に精通した当業者には理解されるべきこととして、多種多様な形式の骨固定器具を本発明に用いることができる。本発明は、図5に示す固定器具形式または骨スクリューの形式には限定されない。
【0051】
図6A図6Eを参照すると、インプラント10を本発明に従って取り付ける方法が示されている。図6Aは、椎弓板130の断面を示している。椎弓形成術手技の間、椎弓板130は、脊椎の頸部の腔を拡大するよう再位置決めされ、それにより、この腔内に位置する脊髄神経に加わる圧力および応力を減少させる。外科用ツールを用いて椎弓板の第1の側部132を完全に切断する。椎弓板の反対側の側部を部分的に切断するのがよく、それにより図6Bに示すように椎弓板130の開口を容易にする。
【0052】
図6Cを参照すると、インプラントの第1の部分20を外側塊状体120に固定する。第1の部分20の底面42は、外側塊状体の外面とインターフェースする。スクリュー76を第1の部分20に挿通させて第1の部分が外側塊状体120に固定されるようにする。図示の実施形態では、椎弓板を第1の側部132のところで分離して広げ、それにより椎弓板の骨端160を形成する。これは、回転後の位置にある。椎弓板130の第1の側部132を第1の部分20の固定前にまたは第1の部分の固定後に切断することができる。
【0053】
図6Dを参照すると、第2の部分60を回転軸線59回りに回転させて受け入れ部90が椎弓板の骨端160に密接して動かされるようにする。骨端160と受け入れ部の両方を回転させて骨端が内部材100と外部材110との間で受け入れ部90内に受け入れられるようにする。受け入れ部90、および互いに反対側に位置する内部材100と外部材110は、固定器具76が椎弓板中に挿入されている間、骨端160の位置をこれらの中に保持し、それにより第2の部分60を椎弓板の骨端に対して固定するのに役立つ。このように、本発明者は、椎弓形成術を他の既知の方法およびシステムと比較して、より容易にかつより効率的に実施することができるということを発見した。
【0054】
当業者には理解されるように、インプラント10の特定の実施形態が図示されているが、本発明は、本明細書に開示した個々のコンポーネントの特定の寸法または相対的な寸法には限定されない。当業者であれば、インプラントの寸法が解剖学的構造および手技の形式に基づいて様々であってよいことを理解するであろう。さらに、本願において提供されている図は、本発明を開示することを意図している。
【0055】
本発明者はさらに、本発明の別の利点として、第1の部分を第2の部分に対して回転させることができ、その結果、インプラントを完全に折り畳むことができるということを発見した。このように、インプラントは、コンパクトであり、そして低侵襲外科用器具により手術部位に挿入することができる。
【0056】
ある用語法を参照目的で本明細書で用いているに過ぎず、かくしてこの用語法は、本発明を限定するものではない。例えば、「上」、「下」、「上方」や「下方」のような用語は、参照する図面中における方向を指している。例えば、「正面」、「背面」、「底部」や「側部」のような用語は、本文や説明対象のコンポーネントを記載した関連の図面を参照することによって明らかにされる一貫しているものの恣意的な基準系内におけるコンポーネントの部分の向きを指している。かかる用語法は、具体的に上述した言葉、その派生語、および同じような意味の言葉を含むばあいがある。同様に、構造を指す「第1」、「第2」および他のかかる数的用語は、文脈上明示の指定がなければ順序または順番を意味するものではない。
【0057】
本発明および例示の実施形態の構成要素または特徴を説明に導入する際、原文明細書における冠詞“a”、“an”、“the”および“said”(訳文では「前記」)は、かかる構成要素また特徴のうちの1つ以上が存在することを意味するものである。用語“comprising”、“including”および“having”は、包括的用語であり、具体的に挙げた構成要素または特徴以外の追加の構成要素または特徴が存在する場合があることを意味している。さらに、理解されるべきこととして、本明細書において記載した方法ステップ、プロセス、および操作は、説明しまたは図示した特定の順番でのこれらの動作を必ず必要とするものと見なされるべきではなく、ただし、動作の順番として特段の指定がなければ、そうではない。また、追加のまたは代替的なステップを採用してもよいことは理解されるべきである。
【0058】
本発明は本明細書に含まれる実施形態や例示には限定されず、特許請求の範囲の記載は、実施形態の部分を含む当該実施形態の改造例および以下の特許請求の範囲に記載された発明の範囲に属する種々の実施形態の構成要素の組み合わせを含むものとして理解されるべきである。明細書において説明する先行技術文献(特許文献および非特許文献を含む)の全てを参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【符号の説明】
【0059】
10 インプラント
20 第1の部分
32 頂面
60 第2の部分
80 遠位端
90 受け入れ部
100 内部材
110 外部材
120 外側(がいそく)塊状体
130 椎弓板
140 椎骨
160 骨端
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
【外国語明細書】