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特開2024-159722型彫り放電加工の最適化のための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159722
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】型彫り放電加工の最適化のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B23H 1/04 20060101AFI20241031BHJP
   G05B 19/4093 20060101ALI20241031BHJP
   B23H 1/00 20060101ALI20241031BHJP
   B23H 11/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B23H1/04 Z
G05B19/4093 D
B23H1/00 A
B23H1/00 Z
B23H11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024072272
(22)【出願日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】23170517
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519198557
【氏名又は名称】ジー・エフ マシーニング ソリューションズ アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】GF Machining Solutions AG
【住所又は居所原語表記】Roger-Federer-Allee 7,2504 Biel,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ルイス ペレイラ
【テーマコード(参考)】
3C059
3C269
【Fターム(参考)】
3C059AA01
3C059AB01
3C059CB15
3C059DD03
3C269AB08
3C269BB08
3C269EF02
3C269EF18
3C269EF56
3C269EF57
3C269EF71
3C269QB02
3C269QC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】放電加工プロセスを最適化するための方法を提供する。
【解決手段】ワークピース上に複数のキャビティを形成するために複数の電極が必要とされる、放電加工機械に取り付けられた電極によってワークピースを浸食するための放電加工プロセスを最適化するため、a.加工優先度に関する目標を定義するステップと、b.キャビティの幾何形状およびキャビティの数を定義するキャビティ仕様データを取得するステップと、c.キャビティを加工するために適用される加工パラメータを含む少なくとも1つの加工設定を取得するステップと、d.複数のキャビティを加工する順番を記述する少なくとも1つの加工順序を定義するステップと、e.キャビティを加工することによって引き起こされる電極の累積摩耗量を計算するステップと、f.電極の累積摩耗量に基づいて、複数のキャビティを加工するために必要な電極の数を決定するステップを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース上に複数のキャビティを形成するために複数の電極が必要とされる、放電加工機械に取り付けられた電極(1)によって前記ワークピースを浸食するための放電加工プロセスを最適化するための方法であって、該方法は以下のステップ:
a.加工優先度に関する目標を定義するステップであって、特に、前記加工優先度は、加工品質および加工時間のうちの少なくとも1つを含むグループから選択されるステップと、
b.処理ユニットにより、前記キャビティを形成するために前記ワークピースから除去されるべき材料体積を計算するために、キャビティの幾何形状およびキャビティの数を定義するキャビティ仕様データを取得するステップと、
c.前記処理ユニットにより、前記キャビティを加工するために適用される加工パラメータを含む少なくとも1つの加工設定を取得するステップと、
d.前記複数のキャビティを加工する順番を記述する少なくとも1つの加工順序を定義するステップと、
e.取得された前記キャビティ仕様データ、取得された前記加工設定、および前記処理ユニットによって定義された前記加工順序に基づいて、前記キャビティを加工することによって引き起こされる電極の累積摩耗量を計算するステップと、
f.前記処理ユニットにより、目標に到達するために計算された前記電極の累積摩耗量に基づいて、前記複数のキャビティを加工するために必要な電極の数を決定するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記各キャビティの累積摩耗量を決定するステップは、以下のステップ:
a.1つのキャビティを加工することによって引き起こされる電極の線形摩耗量を計算するステップと、
b.同じ電極によって加工された複数のキャビティを加工することによって引き起こされる計算された前記電極の線形摩耗量を合計することによって前記累積摩耗量を計算するステップとを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記累積摩耗量を限界値と比較し、前記累積摩耗量が前記限界値を超えた場合に前記電極の数を増加させるステップをさらに含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記限界値は、前記加工優先度に関する目標に基づいて決定される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記限界値は、下限値と上限値とを含む、請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
1つのキャビティの累積摩耗量が前記上限値を超えた場合、次のキャビティの摩耗量を計算する前に前記電極の数が増加される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記累積摩耗量に基づいて加工時間を決定するステップ、特に、各電極を使用する開始点と終了点とが決定されるステップをさらに含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
決定された前記電極の数は、必要な電極を準備するために加工プロセスに転送される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
各加工段階について、定義されたタイプの電極が適用され、このタイプの電極の数が決定される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
EDMにより部品を加工するための方法であって、該方法は以下のステップ:
a.第1の処理ユニットにより、CADを使用してキャビティと電極とを設計するステップと、
b.第2の処理ユニットにより、請求項1から8までのいずれか1項に従って電極の数を計算するステップと、
c.第3の処理ユニットにより、計算された前記電極の数を受信するステップと、
d.第1の工作機械、特にフライス盤により前記電極を加工するステップと、
e.第2の工作機械、特にEDM加工機械により前記電極を適用することによって前記部品を加工するステップとを含む、方法。
【請求項11】
EDMにより部品を加工するためのシステムであって、該システムは以下のもの:
a.CADを使用してキャビティと電極とを設計するように構成された第1の処理ユニットと、
b.請求項1から9までのいずれか1項に従って電極の数を計算するように構成された第2の処理ユニットと、
c.計算された前記電極の数を受信するように構成された第3の処理ユニットと、
d.前記電極を加工するように構成された第1の工作機械と、
e.前記電極を適用することによって前記部品を加工するように構成された第2の工作機械とを含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、加工のために必要な電極の数を予め計算することによる、型彫り放電加工の最適化のための方法に関する。さらに、本発明は、この電極の数に関する加工順序を最適化するための方法に関する。
【0002】
発明の背景
型彫り放電加工は、硬い材料の機械加工に適用可能なプロセスである。型彫り放電加工機械は、従来の加工プロセスでは加工が非常に困難な金型、複雑な形状のキャビティの製造および用途のために広く公知である。
【0003】
しかしながら、そのようなプロセスの欠点は、型彫りプロセスが比較的遅いことである。生産効率を高めるためには、自動化が重要な役割を果たす。したがって、他の多くのタイプの工作機械と同様に、放電加工機械は、典型的にはプロセスを最適化するためのいくつかの自動化アルゴリズムを備えている。
【0004】
典型的には、1つの部品を製造するためには複数の成形電極が所望のキャビティを得ることが必要とされる。付加的に、1つの部品を製造するための加工プロセスは、高い表面品質を達成するために、荒加工、中仕上げ加工、仕上げ加工などの異なる加工段階を含んでいる。通常、異なる加工段階のために、異なる電極カテゴリが使用される。付加的に、ほとんどの用途では、1つの加工段階に対して1つの電極では不十分である。したがって、同じ形状を有する複数の電極が、1つの加工段階のために必要とされてよい。
【0005】
米国特許第6521856号明細書には、複数の同一もしくは異なる電極を備えた型彫り侵食機械における複数の加工プロセスを制御するための方法および装置が開示されている。加工プロセスの加工順序は、ユーザーによって入力された予め定義された基準に基づいて自動的に決定される。この方法では、使用される電極の数が予め定義され、加工順序は、工具電極の予め定義された数に基づいて最適化される。
【0006】
しかしながら、多数個取り加工プロセスについては、加工プロセスで使用される電極の数も、生産品質とコストとを考慮する上で重要な役割を果たす。型彫りEDMにおける多数個取り加工は、要求される幾何形状だけでなく、表面品質も達成するために使用される電極の数の選択やこれらの電極の順序についても、専門家のノウハウをたよりにするという点で課題がある。放電加工(EDM)は、ワークピースから材料を除去するために放電を使用する。その結果として、いくらかの材料も工具電極から除去され、これは「電極摩耗量」と称される。これは、EDMプロセスの欠点である。部品品質への悪影響を低減するために、加工によって引き起こされる摩耗量が多くなった電極は新しい電極によって交換することができる。しかしながら、このことは、電極交換のための加工時間だけでなく、加工コストも増加させる。したがって、このパラメータ、すなわち部品を加工するために必要な工具電極の数をさらに最適化することが求められている。
【0007】
これまでは、操作者が、特に自身の経験に基づいて主に工具電極の数を決定していた。したがって、このパラメータを決定するステップは、操作者の専門知識と実験的テストとに大きく依存するが、そのようなシステムではオプションの数が多くなるため、最適化の可能性は限定的にしか提供されない。その上さらに、加工された部品の品質を保証するために、通常は安全マージンが追加される。これにより、場合によっては工具電極が無駄になり、その結果、必要以上のコストを引き起こすことになる。
【0008】
発明の概要
本発明の目的は、生産性の向上を伴った、放電加工プロセスを最適化するための方法を提供することにある。さらに、本発明の目的は、放電加工プロセスの電極の数を計算するための最適化された方法を提供することにある。特に、生産コストの低減を伴った、放電加工プロセスを最適化するための方法を提供することが目的である。その上さらに、本発明の目的は、放電加工プロセスの生産性を向上させるために適用される装置を提供することにある。
【0009】
本発明によれば、これらの目的は、独立請求項の特徴によって達成される。付加的に、さらなる好適な実施形態は、従属請求項および明細書に続けられる。
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、ワークピース上に複数のキャビティを形成するために複数の電極が必要とされる、放電加工機械に取り付けられた電極によってワークピースを浸食するための放電加工プロセスを最適化するための方法が提供され、該方法は次のステップ:加工優先度に関する目標を定義するステップであって、特に、加工優先度は、加工品質、加工時間および加工コストを含むグループから選択されるステップと、処理ユニットにより、キャビティを形成するためにワークピースから除去されるべき材料体積を計算するために、キャビティの幾何形状およびキャビティの数を定義するキャビティ仕様データを取得するステップと、処理ユニットにより、キャビティを加工するために適用される加工パラメータを含む少なくとも1つの加工設定を取得するステップと、複数のキャビティを加工する順番を記述する少なくとも1つの加工順序を定義するステップと、取得されたキャビティ仕様データ、加工順序、および処理ユニットによる加工設定に基づいて、キャビティを加工することによって引き起こされる電極の累積摩耗量を計算するステップと、処理ユニットにより、目標に到達するために計算された電極の累積摩耗量に基づいて、複数のキャビティを加工するために必要な電極の数を決定するステップとを含む。
【0011】
典型的には、EDM加工プロセスでは、合理的な品質を達成するために、荒加工と仕上げ加工とを含む少なくとも2つの加工段階が必要である。複数回の加工が必要な形状の場合、すなわち多数個取りキャビティの場合は、荒加工、中仕上げ加工、および仕上げ加工を含む少なくとも3つの加工段階が必要である。完成させるために、現下のシステムは、荒加工、3段階の中仕上げ加工および仕上げ加工を含めて最大で5つの加工段階を管理できる。電極の幾何形状は、キャビティの幾何形状から定義される。したがって、異なる加工段階で使用されるすべての電極は、非常に類似した幾何形状を有するが、アンダーサイズの仕様が異なるため、厳密に同じ幾何形状ではない。しかしながら、電極のタイプは、異なる目標を達成するために、異なる加工段階において、キャビティを加工するために変更することができる。同じ加工段階内では、同じ幾何形状を有する電極が適用されるが、電極の数は決定されるべきである。その上さらに、異なる加工段階に対する電極の数も同様に変更可能である。例えば、荒加工では、最大体積の材料が除去されるが、高い表面粗さが要求され、それに対して、仕上げ加工では、最小体積の材料が除去されるが、低い表面粗さが要求される。そのため、必要な電極の数を手作業で推定することは困難である。処理ユニットによってこの数を計算するための方法は、最適な結果を提供することができる。このことは、加工効率を向上させ、コストを抑えることができる。
【0012】
好適には、各加工段階について必要な電極の数が決定される。荒加工では、第1のタイプの電極が適用される。したがって、第1のタイプの電極の数が決定される。中仕上げ加工では、第2のタイプの電極が適用される。したがって、第2のタイプの電極の数が決定される。仕上げ加工では、第3のタイプの電極が適用される。したがって、第3のタイプの電極の数が決定される。
【0013】
加工を開始する前に、加工準備段階が必要である。この段階では、ワークピースの材料が選択され、ワークピース上に形成されるべきキャビティの形状が設計される。加工されるべきキャビティからは電極の形状が定義されて設計され、電極の材料が選択される。キャビティ幾何形状は、通常、コンピュータ支援設計(CAD)プログラムを使用することによって設計され、3Dモデルとして呈示される。このモデルからはキャビティ仕様データが導出可能である。好適には、このキャビティ仕様データは、処理ユニットによって自動的に導出される。この処理ユニットは、工作機械の外部に配置されたコンピュータである。代替的に、処理ユニットは、工作機械に統合されている。
【0014】
多くの加工プロセスでは、すべての要求を満たすことは困難である。したがって、目標は、加工品質および/または加工時間および/または加工コストを含むグループから優先度基準を選択することにより定義することが可能である。加工品質は、主に製造された部品の品質に関係し、加工摩耗量に依存している。加工品質には、例えば、製造された部品の粗さや加工されたキャビティの形状の精度が含まれる。通常、所望の粗さは、ユーザーによって与えることができる。加工コストには、例えば電極の材料コストが含まれ、これは電極の数に直接依存する。電極の数は、目標に到達するために決定されなければならない。優先度基準を選択することにより、システムは、加工するために適用される加工設定を生成する。例えば、加工速度が優先度として選択された場合、これは自動的により多くの電極摩耗量を示唆する。例えば、目標として選択され定義された粗さに対して、加工された部品がこの粗さに達することができるように電極の数が計算される。目標は、操作者によって処理ユニットに手動で入力される。次いで、処理ユニットは、加工プログラムを作成する。
【0015】
さらに、加工パラメータは、同じ加工段階の間であっても最適な加工条件を得るために変化する場合がある。したがって、加工パラメータを含む異なる加工設定が定義される。各加工設定には、異なる加工パラメータのセットが含まれ、1つのキャビティを加工するステップは、1つまたは複数の加工設定を必要とする場合がある。典型的には、加工するために適用される電気信号は、矩形もしくは正弦波で印加される電気パルスの列からなり、これらのパルスを定義する重要なパラメータは、各パルス間の遅延時間、パルスの持続時間、および印加電流である。これらのパラメータに加え、電極とワークピースとの間の電圧は、主に電極の摩耗に影響を与えるパラメータであるため、加工設定に含まれる。
【0016】
加工順序は、どの順番でキャビティが加工されるべきかを定義している。典型的には、キャビティは、順次連続して加工される。例えば、N個のキャビティがワークピース上に形成されるべき場合に、昇順で加工する順番では、キャビティは、キャビティ1~キャビティNまで加工される。降順で加工する順番では、キャビティは、キャビティN~キャビティ1まで加工される。しかしながら、順次連続しない順番でキャビティを加工することも可能である。例えば、キャビティは、定義された基準に基づいて順位付けすることができる。加工する順番は、キャビティの順位に従って定義される。1つの加工ステップは、1~NまでのもしくはN~1までのすべてのキャビティが加工される加工プロセスの1つのループを示す。
【0017】
準備段階では、加工プログラムが生成され、この加工プログラムには、異なる形状を有する1つまたは複数のキャビティを加工するためのすべてのデータが含まれている。それぞれ異なる形状は、複数回加工することが可能である。1つのキャビティを複数回加工するステップは、多数個取り加工として公知である。加工プログラムは、例えばCAMプログラムである。電極の数を計算するために必要なすべての所要情報は、処理ユニットによって加工プログラムから抽出することができ、これらの情報は、計算のための入力としてキャビティ仕様データ、加工順序、加工設定などを使用している。しかしながら、これは、これらの情報の全部または一部が操作者によって入力されることを排除するものではない。例えば、加工順序は、操作者によって予め定義された複数の加工順序から選択することもできる。
【0018】
ワークピースを加工することができるようにするためには、必要な電極の数と加工順序とが同様に指定されなければならない。本発明の方法は、最適な電極の数を提供するために、各加工設定によって除去される材料の体積および電極上の各加工設定の摩耗量を自動的に計算するための方法を提供する。したがって、要求される部品仕様を達成するための最大の生産性を達成することができる。付加的に、この方法には、電極に関するコスト、電極材料に関するカーボンフットプリント、およびこの製造プロセスに関連するエネルギー消費を最小化するという利点がある。
【0019】
本発明による方法に基づけば、完全に自動化されたプロセスにより、準備段階において定義された数のキャビティを加工するのに必要な工具電極の最適な数を操作者に決定可能にさせるソフトウェアツールを提供することができる。
【0020】
電極の数に影響を与える重要な要因の1つは、加工によって引き起こされる電極の摩耗量、特に複数のキャビティを加工することによって引き起こされる電極の累積摩耗量である。この累積摩耗量は、1つのキャビティを加工するための電極の線形摩耗量を計算するステップと、同じ電極によって加工された複数のキャビティを加工することによって引き起こされる計算された電極の線形摩耗量を合計することによって累積摩耗量を計算するステップとによって決定される。例えば、加工すべきキャビティの総数がNであり、キャビティの加工順序が昇順である、すなわち1,2…N-1およびNの順番である。第1のステップでは、1つの単一のキャビティを加工することによって引き起こされる電極の線形摩耗量が計算される。この線形摩耗量の計算は、N個のキャビティの各々について行われる。第2のステップでは、複数のキャビティを加工することによって引き起こされる電極の累積摩耗量が計算される。第1のキャビティを加工するための電極の累積摩耗量は、第1のキャビティを加工することによって引き起こされる電極の線形摩耗量に等しい。第2のキャビティを加工するための電極の累積摩耗量は、第1のキャビティを加工することによって引き起こされる電極の線形摩耗量と、第2のキャビティを加工することによって引き起こされる電極の線形摩耗量との合計である。最後のキャビティNを加工するための電極の累積摩耗量は、Nの番号を有するキャビティを加工することによって引き起こされる電極の線形摩耗量と、N-1の番号を有するキャビティを加工することによって引き起こされる電極の累積摩耗量との合計である。
【0021】
1つの変形形態では、複数の加工設定が、1つの加工段階において1つのキャビティを加工するために定義され、1つのキャビティのための電極の摩耗量は、1つまたは複数の加工設定を考慮して計算される。各加工段階は、1つまたは複数の加工ステップを含む場合がある。各加工ステップでは、1つまたは複数の加工設定が、複数のキャビティを加工するために適用されてよく、特に、すべてのキャビティが1つの加工ステップ内で同じ加工設定によって加工される。
【0022】
2以上の加工設定が加工のために適用される場合、1つのキャビティの加工は、設定毎に行われる。これは、第1のキャビティは異なる加工設定を相前後して適用することで加工し、次いで、第2のキャビティも再び加工設定を相前後して適用することで加工することを意味する。したがって、各キャビティを加工することによって引き起こされる電極の線形摩耗量は、すべての加工設定を考慮することによって計算する必要がある。
【0023】
電極の線形摩耗量WLseqは、設定毎に、除去されるべき部品の体積を考慮して計算される。この計算は、次の通りである:
WVs[mm]の設定による体積摩耗量は、次式:
WVs=Kws×VRs(Kwsは(設定による)電極摩耗率[%]であり、VRsは設定の体積除去量[mm]である)
を使用することで計算できる。
設定WLsによる線形摩耗量[mm]は、次式:
WLs=WVs/Spr(Sprは正面投影面積[mm]である)
を使用することで計算できる。
【0024】
1つの加工段階に複数の加工設定が含まれるならば、1つのキャビティの線形摩耗量は、このキャビティに対する各加工設定の線形摩耗量の合計、すなわち次式:
【数1】
となる。
【0025】
累積摩耗量(TWc)は、複数のキャビティを加工することによって引き起こされる電極の摩耗量の合計である。
【0026】
累積摩耗量は、各キャビティ上の幾何形状誤差の代表値である。累積摩耗量が設定限界値を超えた場合、それは必要なキャビティ深さが許容偏差に達していないことを意味する。したがって、すべてのキャビティが再び加工されなければならないが、先行の電極は使い切られているので、新たな電極を使用する必要がある。累積摩耗量の計算を含む計算ステップは、新たな電極を用いたすべてのキャビティのために繰り返される。1つのキャビティについての累積摩耗量が依然として限界値を超えている場合には、さらに新たな電極の適用が必要になってくるため、再び電極の数を増加させる必要がある。この繰り返しは、すべてのキャビティの累積摩耗量が限界値を下回るまで行わなければならない。
【0027】
限界値は、加工優先度に関する目標に基づいて決定することができる。速度優先度を用いて作業することを選択しているのであれば、低摩耗量の優先度を選択する場合よりも限界値を高くすることは論理的であることが認められる。なぜなら、これは同じ最終精度を求めていないことを意味するからである。
【0028】
これに関して、速度優先度は、結果として製造に必要な電極の数がより減少し、加工時間もより短縮されるため、低コストにつながる。
【0029】
この計算プロセスでは、ユーザーに好適な変形形態および/または好適な変形形態の範囲を提案するような加工優先度のすべての組み合わせに対する電極の数を計算することができる。
【0030】
1つの変形形態では、上限値と下限値とが定義される。上限値とは、電極の摩耗量が過度に重要となり、次の電極および加工ステップを用いて補償されるべき過度に多くの変形を発生させ、自身の変形を増幅させる可能性があることを意味する。上限値を超えた場合には、1つの加工ステップ内であっても、次のキャビティの加工のために新たな電極が直ちに適用される必要がある。これは、電極の数を増加させる必要があること、および次のキャビティに対する電極の累積摩耗量の計算が、新たな電極の適用を考慮して行うべきであることを意味する。
【0031】
下限値を超えただけならば、まだ現下の電極は、現下の加工ステップが終了するまで使用することができる。次の加工ステップについては、新たな電極が適用されるべきである。特に、下限値と上限値とが、ワークピースの材料、および/または加工設定、および/または加工順序に基づいて定義される。
【0032】
キャビティの累積摩耗量が限界値を超えた場合、電極の数が増加する。
【0033】
1つのキャビティの累積摩耗量が上限値を超えた場合、次のキャビティの摩耗量を計算する前に電極の数が増加される。これは、次のキャビティについては摩耗が大きすぎるため直ちに新たな電極が適用されるべきであることを意味する。
【0034】
最後の加工段階が完了し、すべてのキャビティの累積摩耗量が限界値を下回った場合、現下の電極の数が最終結果となる。
【0035】
この計算に基づいて、電極を交換しなければならない時期や、各電極によってどこまで加工を行うことができるかを決定することができる。
【0036】
好適な変形形態では、本方法は、加工段階を定義するデータを取得するステップをさらに含み、各加工段階について必要な電極の数が決定され、ここで、加工段階は、次のもの:荒加工、中仕上げ加工、および仕上げ加工のうちの1つまたは複数である。
【0037】
好適な変形形態では、加工時間は、計算された累積摩耗量に基づいて決定される。第1のキャビティに対する計算された加工時間は、除去すべき完全な材料と新たな電極とで開始される唯一のキャビティであるため基準の加工時間である。他のすべてのキャビティについて除去すべき材料は電極の摩耗のため少なくなる。特に、加工の開始点と終了点とが決定される。これらの開始点および終了点は、加工の一時的な時点または加工経路上の位置決めされた点を指す。これにより、どの設定が摩耗や作業によって完全にまたは部分的に影響を受けたか、あるいはまったく影響を受けなかったかを知ることができる。各キャビティについて、基準に関して除去すべき材料の残量を比較し、さらに拡張によって必要な加工時間を比較することが可能になる。キャビティ毎のすべての加工時間の合計から、荒加工、中仕上げ加工、仕上げ加工についての加工時間を計算することができ、これらの時間の合計から総加工時間が得られる。
【0038】
好適には、決定された電極の数は、必要な電極を準備するための加工プロセスに転送される。概して、これらの電極は、工作機械、例えばフライス盤によって加工される。工具電極の数をフライス盤に直接転送できれば、正確な数の工具電極を製造することができる。これにより、加工の自動化がさらに向上し、材料コストを最適化することができる。
【0039】
EDMにより部品を加工するための方法は、以下のステップ:第1の処理ユニットにより、CADを使用してキャビティと電極とを設計するステップと、第2の処理ユニットにより、電極の数を計算するステップと、第3の処理ユニットにより、計算された電極の数を受信するステップと、第1の工作機械により電極を加工するステップと、第2の工作機械により電極によって部品を加工するステップとを含む。第1の工作機械は電極をフライス加工する工作機械である。第2の工作機械はEDM加工機械である。
【0040】
本発明では、EDMにより部品を加工するためのシステムが提供される。このシステムは、第1の処理ユニットと、第2の処理ユニットと、第3の処理ユニットと、第1の工作機械と、第2の工作機械とを含む。第1の処理ユニットは、CADを使用してキャビティと電極とを設計するように構成されている。第2の処理ユニットは、電極の数を計算するように構成されている。第3の処理ユニットは、計算された電極の数を受信するように構成されている。第1の工作機械は、電極を加工するように構成されている。第2の工作機械は、電極を適用することによって部品を加工するように構成されている。
【0041】
好適には、第1の処理ユニット、第2の処理ユニット、および第3の処理ユニットは、工作機械のコンピュータユニットまたは制御ユニットである。これらは、外部デバイスであっても、あるいは工作機械内に統合されていてもよい。
【0042】
好適な変形形態では、第1の工作機械はフライス盤であり、第2の工作機械はEDM加工機械である。
【0043】
以下では、本発明のより具体的な説明がさらに記述される。ここでは複数の実施形態が記述されており、それらは添付の図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】複数のキャビティを有するワークピースを示す図である。
図2】本方法のフローチャートを示す図である。
図3】加工順序の第1の例を示す概略図である。
図4a】加工順序の第1の例に対する電極の数の計算を示す図である。
図4b】加工順序の第1の例に対する電極の数の計算を示す図である。
図5】加工順序の第2の例を示す概略図である。
図6a】加工順序の第2の例に対する電極の数の計算を示す図である。
図6b】加工順序の第2の例に対する電極の数の計算を示す図である。
図7】限界値の特性曲線を示す図である。
【0045】
例示的な実施形態
図1は、符号C1~C10によって示される10個のキャビティを有する最終部品2のモデルを示す。すべてのキャビティは同じ幾何形状を有する。図1に描かれたキャビティの幾何形状は、単純化されたものにすぎず、本方法の適用性の限定として理解されるべきではない。本発明の方法は、任意の形状のキャビティを加工するために適用可能である。キャビティを形成するために必要な1つの電極1もここに示されている。モデル仕様データは、モデルから抽出することができる。
【0046】
この例では、すべてのキャビティを加工するステップには、荒加工、中仕上げ加工、および仕上げ加工を含む3つの加工段階が必要である。各加工ステップでは、加工プロセスが複数の加工ステップに分割される。各加工段階では、すべてのキャビティが、例えばキャビティ1からキャビティ10まで、あるいはキャビティ10からキャビティ1までの1つまたは複数の加工設定を適用することによって1つの電極により、選択された加工順序に基づいて順次連続して加工される。各加工ステップでは、新たな電極が適用される。電極の数は、加工ステップの数を定義する。
【0047】
加工するために、ワークピースは、図には示されていない工作機械のテーブル上にクランプされたパレット上に取り付けられる。本発明の方法は、任意の型彫りEDMに適用可能である。
【0048】
図2は、1つの加工ステップに必要な電極の数を計算するステップのフローチャートを示す。第1のステップS11では、本方法が開始される。以下のステップは、この加工ステップ内で加工されるべき各キャビティについて行われる。わかりやすくするために、これらのステップは、10個のキャビティが加工される必要があり、加工順序が昇順の順番で定義されている、すなわちキャビティ1からキャビティ10まで定義されている1つの例で説明される。ステップS12では、1つのキャビティに対する電極の線形摩耗量が、例えば第5のキャビティC5の加工設定を適用することによって計算される。ステップS13では、電極の累積摩耗量が計算され、例えば、キャビティC5に対する電極の累積摩耗量が、先行する4つのキャビティC1~C5の加工に対する電極の線形摩耗量を合計することによって計算される。ステップS15では、キャビティの累積摩耗量が上限値と比較される。キャビティの累積摩耗量が上限値より大きいか、または上限値と等しい場合、本方法はステップS16に進む。キャビティの累積摩耗量が上限値より小さい場合、本方法はステップS17に進む。ステップS16では、パラメータ「工具交換」が1に設定される。なぜなら、電極摩耗量が過度に多いため、次のキャビティを加工するために電極を交換する必要があるからである。例えば、キャビティC5の累積摩耗量が上限値よりも大きい場合、電極は、キャビティC6を加工するために交換する必要がある。パラメータ「工具交換」は、次のキャビティを加工するために工具電極を交換すべきであるという情報を一時的に記憶するために適用される。ステップS17では、決定された累積摩耗量が下限値と比較される。キャビティ、例えばキャビティC5の累積摩耗量が下限値より大きいか、または下限値と等しい場合、本方法はステップS18に進む。キャビティ、例えばC5の累積摩耗量が下限値より小さい場合、本方法はステップS19に進む。ステップS18では、パラメータ「工具追加」が1に設定される。なぜなら、この加工ステップの終了後に1つの電極が追加されるべきであり、例えば、キャビティC5の累積摩耗量が下限値より大きい場合、加工段階の最後のキャビティ、すなわちC10の加工後に新たな電極が追加されるべきであるからである。パラメータ「工具追加」は、次の加工ステップのために工具電極を交換すべきであるという情報を一時的に記憶するために適用される。ステップS19では、現下の加工ステップが完了したかどうかが確認される。例えば、現下のキャビティがC5である場合、加工ステップはまだ完了していない。現下の加工ステップが完了していない場合、本方法はステップS20に進み、パラメータ「工具交換」の値が検査される。この値が1である場合、ステップS22が行われる。この値が0である場合、ステップS23が行われる。ステップS22では、工具電極の数が1によって増加され、パラメータ「工具交換」および「工具追加」の両方が0にリセットされる。加工ステップが完了した場合、例えば、現下のキャビティが現下の加工ステップの最後のキャビティC10である場合、ステップS21が行われる。このステップでは、すべてのキャビティの累積摩耗量が上限値より小さく、かつ下限値より小さいかどうかが確認される。偽であれば、ステップS24に示すように、現下で決定されている電極の数がこの加工ステップの最終結果となる。1つのキャビティの累積摩耗量が上限値より大きい場合、すなわち、パラメータ「工具交換」が1である場合、または1つのキャビティの累積摩耗量が上限値より小さいが下限値より大きい場合、すなわち、パラメータ「工具追加」が1である場合、ステップS22が行われる。S23は、ステップS12,S13,S14,S15,S16,S17,S18,S19,S20,S21,S22を含む計算ループが次のキャビティのために行われるべきであることを示す。
【0049】
1つのキャビティの累積摩耗量が上限値より大きく、このキャビティが現下の加工ステップの最後のキャビティでない場合、例えば、図6aに示すキャビティC7の場合、ステップS16,S19,S20およびS22が行われる。キャビティが最後のキャビティであり、このキャビティの累積摩耗量が上限値より大きい場合、ステップS16,S19,S21およびS22が行われる。1つのキャビティの累積摩耗量が上限値より小さいが下限値より大きい場合、例えば図4aに示すキャビティC10の場合、ステップS18,S19,S21およびS22が行われる。図4aおよび図4bは、電極の数の計算の一実施形態を示す。この例では、第1の加工段階、すなわち荒加工に必要な電極の数が決定される。付加的に、いわゆる「交互フル」の加工順序が選択される。これは、第1の加工ステップでは、キャビティが、キャビティC1からC10までの昇順の順番で加工されることを意味する。第2の加工ステップでは、10個のキャビティがキャビティC10からC1までの降順の順番で加工される。加工順序は、加工順序の列に示されている。列「WE」は、計算された工具電極の累積摩耗量を示し、これは限界値と比較される。この計算は、10個のキャビティを加工するために1つの電極の使用を想定して開始される。見てとれるように、最後のキャビティC10の累積摩耗量は限界値より大きい。これは、1つの電極を使用するだけでは、要求された性能を達成するのに十分ではないことを意味する。したがって、第2の電極を追加する必要がある。そこで、電極の数が1つから2つに増加された。新たな電極が適用されたとの想定に基づいて累積摩耗量の計算が繰り返される。この計算結果は図4bに示される。加工ステップ2において除去されるべき材料の残量体積は、加工ステップ1の場合とは異なる。なぜなら、材料の一部は既に加工ステップ1において除去されているからである。加工ステップ1は、完全な材料で開始される。加工ステップ1において除去されるべき材料の残量体積は、加工ステップ1において計算された累積摩耗量に依存する。すべての累積摩耗量は、第2の加工ステップの後、限界値を下回ることが見て取れる。これは、付加的な電極を必要とすることなく計算ループを停止することができることを意味する。最終的に、第1の段階、すなわち荒加工の加工に必要な電極の数は2つである。この2つの電極は、要求された性能を達成するのに十分である。
【0050】
図3は、第1の加工段階、すなわち荒加工の説明図である。上記の概要のように、決定された電極の数の最終結果が2つであるため、2つの加工段階が必要である。これらの加工段階では、符号MS1,MS2,MS3によって示される3つの加工設定が適用される。各キャビティは、設定毎に加工されるべきである。例えば、第1の加工ステップでは、第1の電極が適用される。第1のキャビティは、3つの設定を相前後して適用することにより加工される。次いで、第2のキャビティも、再び3つの設定を相前後して適用することにより加工される。この加工は、この順番で10個のすべてのキャビティが第1の電極によって加工されるまで継続する。第2の加工ステップが必要な場合、第1の加工ステップにおいてキャビティC10を仕上げた後で、第2の電極により第1の電極を交換する。加工は、3つのすべての加工設定を適用することによりキャビティC10で開始し、3つのすべての加工設定を適用することによりキャビティC9に継続する。この例では、同じ加工設定が第1の加工ステップと第2の加工ステップとに対して適用されている。しかしながら、第2の加工ステップにおける加工設定を変更することを排除するものではない。
【0051】
図6a,図6bは、上限値と下限値とが予め定義されている別の実施形態を示している。累積摩耗量が上限値を超えた場合、1つの加工ステップの終了時の代わりに、次のキャビティを加工するために直ちに新たな電極が導入される。図6aに示すように、キャビティC7に対する累積摩耗量が上限値を超えているため、次のキャビティC8の加工のために新たな電極が必要である。付加的に、第1の加工ステップの後、表面品質を確保するために、さらに新たな電極が適用される。この計算が再び繰り返される。図6bに示すように、すべてのキャビティの累積摩耗量は、両限界値を下回る。したがって、さらなる電極を追加する必要はない。計算ループは停止することができる。最終的に、この例において必要になる計算された電極の数は3つである。しかしながら、第2の加工ステップでは第2の電極を用いて加工を継続することが可能である。
【0052】
図5は、この例の加工プロセスを示す。図4a、図4b、および図3に示されているのと同じ加工順序がこの例でも適用される。第1の加工ステップでは、キャビティC1~C7を加工するために第1の電極で加工が開始される。キャビティC7の加工後、キャビティC8からC10を加工するために第2の電極が適用される。第2の加工ステップでは、第3の電極で加工が開始される。
【0053】
図7は、異なる加工段階に対する粗さに依存する下限値の複数の特性曲線を示す。通常、粗さは、加工設定において定義される。LimP1によって示される特性曲線は、荒加工のために計算された下限値である。LimP2,LimP3、およびLimP4で示される特性曲線は、異なる中仕上げ加工に対する計算された下限値である。LimP5によって示される特性曲線は、仕上げ加工に対する計算された下限値である。下限値は、要求される粗さと加工段階とに依存するだけでなく、電極の材料にも依存する。図7に示す例は、銅/鋼の電極/部品材料に対するものである。
【0054】
上限値は、下限値に加工段階に依存する係数を乗算したものである。
【符号の説明】
【0055】
1 電極
2 最終部品
3 キャビティ
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図7
【外国語明細書】