(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159723
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】上質紙
(51)【国際特許分類】
D21H 11/04 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
D21H11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024072277
(22)【出願日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2023074070
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023171553
(32)【優先日】2023-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 霞
(72)【発明者】
【氏名】有松 洋志
(72)【発明者】
【氏名】齋 勝吾
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 記之
(72)【発明者】
【氏名】山口 英世
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AA02
4L055AA03
4L055AC06
4L055AG08
4L055AG12
4L055AG40
4L055AG47
4L055AH03
4L055AH10
4L055AH16
4L055AH50
4L055EA04
4L055EA12
4L055EA13
4L055EA34
4L055FA12
4L055FA30
4L055GA17
(57)【要約】
【課題】機械パルプを使用せずに中質紙ライクな風合いを有する上質紙を提供する。
【解決手段】原紙のパルプ100重量部に対してクラフトパルプを90重量部以上含有し、メカニカルパルプを含有しない上質紙であって、ISO8791-4:1992に準拠して求められるPPS平滑度(ソフトバッキング、2000kPa)とPPS平滑度(ソフトバッキング、500kPa)の差が1.1μm以上である。本発明の上質紙は、書籍用紙や文庫用紙、コミック用紙に好適である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙のパルプ100重量部に対してクラフトパルプを90重量部以上含有し、メカニカルパルプを含有しない上質紙であって、
ISO8791-4:1992に準拠して求められるPPS平滑度(ソフトバッキング、2000kPa)とPPS平滑度(ソフトバッキング、500kPa)の差が1.1μm以上である上質紙。
【請求項2】
前記原紙が嵩高剤を含有する請求項1記載の上質紙。
【請求項3】
PPS平滑度(ソフトバッキング、500kPa)とPPS平滑度(ソフトバッキング、2000kPa)の差が1.5μm以上である請求項1または2記載の上質紙。
【請求項4】
PPS平滑度(ソフトバッキング、500kPa)が3.0μm以上7.0μm以下である請求項1または2記載の上質紙。
【請求項5】
TAPPI T425(ISO 9426)に規定される式に基づいて算出した比散乱係数が55m2/kg以上である請求項1または2記載の上質紙。
【請求項6】
ISO白色度が50%以上70%以下である請求項1または2記載の上質紙。
【請求項7】
紙中灰分が20重量%以下である請求項1または2記載の上質紙。
【請求項8】
紙中灰分が5重量%以上である請求項1または2記載の上質紙。
【請求項9】
前記原紙が黒色色材および/または色相の異なる2種以上の色材を含有する請求項1または2記載の上質紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械パルプを使用せずに中質紙ライクな風合いを有する上質紙に関する。より具体的には、クッション性が良好で、活版及びオフセット印刷に適した上質紙に関する。
【背景技術】
【0002】
中質紙はその風合いや色味、作業性等の観点から、これまでコミック用紙や文庫用紙として好まれて使用されてきていた。中質紙には一般的に機械パルプが使用されており、機械パルプは、剛直で低白色度という特性をもつため、機械パルプを含有する中質紙は、剛度が高い、白色度が低い、嵩がでやすいという特徴を有する。
【0003】
書籍やコミック用紙は、オフセット印刷方式や活版印刷方式で印刷されることが多く、オフセット印刷適性と活版印刷適性を共に有することが求められる。活版印刷は活字を組み合わせて作った版、すなわち活字組版を使った印刷方法であり、凹凸のある版(画線部:凸、非画線部:凹)の凸部分にインキをつけ、用紙に圧力をかけて転写する印刷方式である。オフセット印刷においては、版と圧胴の押し付け圧を変えることが容易であるため、クッション性の低い紙でも印圧を調整することで着肉の程度を変えることができるが、活版印刷においては、作業負担などの観点から、印圧調整は一般的に行われず、用紙自体がクッション性を有していることが求められる。さらに、精細な印刷物を得るためには、適度な平滑性を有した紙である必要がある。
【0004】
また、書籍用紙は紙の両面に印刷が施されることから、裏抜け(印刷された文字や図柄が裏側に透過してみえること)しにくい紙であること、またページを手でめくりやすいようにこわさも求められる。このような中質系の書籍用紙としては、特許文献1の技術が知られている。
【0005】
また、機械パルプを使用せずに、中質紙のような嵩高な紙を得ることを目的として、嵩高剤やサイズ剤、炭酸カルシウムを内添する特許文献2の技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-026985号公報
【特許文献2】特開2006-052482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の発明は、機械パルプを使用することを前提とした技術であるが、近年の世界的な温室効果ガス削減の流れから、石油燃料を使用する機械パルプの使用量を削減することが急務となっており、機械パルプを使用しない書籍用紙が求められている。また、これまでに書籍用紙の活版印刷適性に関する検討はされてこなかった。
【0008】
このような状況に鑑み、本発明は、機械パルプを使用せずに、高い不透明度と良好なクッション性を有する中質紙ライクな風合いをもつ上質紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらに限定されるものではないが、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]原紙のパルプ100重量部に対してクラフトパルプを90重量部以上含有し、メカニカルパルプを含有しない上質紙であって、ISO8791-4:1992に準拠して求められるPPS平滑度(ソフトバッキング、2000kPa)とPPS平滑度(ソフトバッキング、500kPa)の差が1.1μm以上である上質紙。
[2]前記原紙が嵩高剤を含有する[1]記載の上質紙。
[3]PPS平滑度(ソフトバッキング、500kPa)とPPS平滑度(ソフトバッキング、2000kPa)の差が1.5μm以上である[1]または[2]記載の上質紙。
[4]PPS平滑度(ソフトバッキング、500kPa)が3.0μm以上7.0μm以下である[1]または[2]記載の上質紙。
[5]TAPPI T425(ISO 9426)に規定される式に基づいて算出した比散乱係数が55m2/kg以上である[1]または[2]記載の上質紙。
[6]ISO白色度が50%以上70%以下である[1]または[2]記載の上質紙。
[7]紙中灰分が20重量%以下である[1]または[2]記載の上質紙。
[8]紙中灰分が5重量%以上である[1]または[2]記載の上質紙。
[9]前記原紙が黒色色材および/または色相の異なる2種以上の色材を含有する[1]または[2]記載の上質紙。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機械パルプを使用せずに高い不透明度と良好なクッション性を有する中質紙ライクな風合いをもつ上質紙を提供することができる。特に、本発明の上質紙は、活版印刷及びオフセット印刷で印刷される書籍用紙や文庫用紙、コミック用紙に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上質紙
本発明に用いる紙料は、機械パルプ(メカニカルパルプ)を含有せず、全パルプ100重量部の内、少なくとも90重量部以上のクラフトパルプ、好ましくは晒クラフトパルプを含有する。晒クラフトパルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、または針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を少なくとも使用し、晒クラフトパルプ以外の原料としては、広葉樹または針葉樹の未晒クラフトパルプ(UKP)、サルファイトパルプ、古紙パルプ、リンターパルプ、麻、バガス、ケナフ、エスパルト草、ワラなどの非木材パルプ、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなどの合成繊維などを任意の割合で混合して使用することができる。また、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)などの機械パルプは含有せず、機械パルプを含む可能性のある脱墨パルプは含有しないことが好ましい。本発明の上質紙は、晒クラフトパルプを主な原料として使用するため、色材を添加した際の発色性に優れ、機械パルプが含有する樹木中のリグニンなどの着色成分に起因する紙面の夾雑物が少ない紙を得ることができる。
【0012】
平滑性及びクッション性
本発明の上質紙は適度な平滑性とクッション性を有するため、ソフトバッキング/クランプ圧500kPaの条件で測定したパーカープリントサーフ平滑度(以下、PPS平滑度(ソフト/500kPa)ともいう)が、7.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは6.5μm以下である。下限としては3.0μm以上が好ましく、より好ましくは5.0μm以上である。またソフトバッキング/クランプ圧2000kPaの条件で測定したパーカープリントサーフ平滑度(以下、PPS平滑度(ソフト/2000kPa)ともいう)が、5.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは4.5μm以下である。下限としては2.5μm以上が好ましく、より好ましくは3.0μm以上である。PPS平滑度(ソフト/500kPa)及びPPS平滑度(ソフト/2000kPa)が前記範囲である場合、本発明の上質紙は適度な平滑性を有するため印刷時の着肉性に優れる。
【0013】
また、クッション性は、[PPS平滑度(ソフト/500kPa)]-[PPS平滑度(ソフト/2000kPa)]の値を指標とすることができる。[PPS平滑度(ソフト/500kPa)]-[PPS平滑度(ソフト/2000kPa)]は、1.0μm以上であることが好ましく、1.1μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることがさらに好ましい。上限としては特に限定されないが、5.0μm以下、より好ましくは3.0μm以下程度である。クランプ圧の異なるPPS平滑度の差が5.0μm超である場合、クランプ圧500kPaで測定したときのPPS平滑度の値が高くなりすぎ、平滑性に劣る上質紙となってしまう恐れがある。
【0014】
PPS平滑度は、ISO8791-4:1992「Paper and board-Determination of roughness/smoothness(air leak methods)」に準拠して求められる値である。ISO8791-4:1992「Paper and board-Determination of roughness/smoothness(air leak methods)」に準拠するPPS平滑度の測定は、例えば、Messmer社製パーカープリントサーフラフネステスターを用いて行うことができる。ここで、PPS平滑度は数値が小さいほど紙の凹凸が小さいことを示す。
【0015】
パーカープリントサーフの測定原理は、幅の狭いリング状の測定面と試料の表面との間を漏れる圧縮空気量を計って計算され、測定中は試料は圧盤により測定面に押しつけられる。従って、測定値は試料の圧縮性が加味される。測定面と試料表面との間隔をGとすると下記の式より平均立体間隔の三乗根として計算し、μm単位で表示する。
G=(12ηbQ/w△P)1/3
η:室温での空気の粘度
b:測定リングの幅
Q:単位時間に流れる空気量
w:測定リングの有効長さ
△P:測定リング間の圧力差
【0016】
上記の測定原理から、PPS平滑度は紙表面の凹凸性を示す。さらに、異なるクランプ圧で測定されたパーカープリントサーフ平滑度の差は、軽く圧力をかけた時の紙表面の凹凸と、強く圧力をかけた時の紙表面の凹凸の差であり、紙のクッション性を示す。差が大きいほど紙のクッション性が優れることを示す。本発明の上質紙はクッション性に優れるため、紙にクッション性が求められる活版印刷方式での印刷に適した紙を得ることができる。
【0017】
嵩高剤
本発明の上質紙は、機械パルプを使用せずに、機械パルプを含有する中質紙のような剛度や手肉感、クッション性を出すために、嵩高剤を含有することが好ましい。嵩高剤の含有量は、パルプ100重量%に対し1.0重量%以下であり、好ましくは0.9重量%以下であり、さらに好ましくは0.8重量%以下であり、より好ましくは0.7重量%未満である。嵩高剤の含有量が1.0重量%以下であると、機械パルプなどの嵩の出やすいパルプを使用しなくても比較的嵩の高い上質紙を得ることができ、さらに、クッション性や書籍として使用した時の手肉感、こわさに優れるため、活版印刷方式での印刷に適した上質紙を得ることができる。さらに、紙を嵩高にすることで、より不透明性の高い紙を得ることができる。嵩高剤の含有量が1.0重量%より多いと、繊維の疎水化が進行して繊維間結合が進まないため、製造時の湿紙強度や製品の層間剥離強度の低下など、強度が低下する恐れがある。下限としては、十分な嵩高効果を得るために0.1重量%以上であることが好ましい。
【0018】
色材
本発明の上質紙は、黒色色材および/または色相の異なる2種以上の色材を含有することが好ましい。上述のような色材を含有することで、白色度の高い晒クラフトパルプを多く含有しながらも、機械パルプや古紙パルプを含有する中質紙のような落ち着いた色調の紙を得ることができ、更に不透明性が向上することから、両面に印刷部が設けられる書籍用紙として使用された場合の、印刷裏抜けを低減することができる。黒色色材としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルカーボン、サーマルブラック等のカーボンブラック顔料、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子、アニリンブラック、チタンブラック、酸化銅、酸化鉄、フタロシアニンブラック等を挙げることができる。本発明においては、染色効率の観点から、内添で色材を含有させることが好ましい。色相の異なる2種以上の色材として使用されるものとしては、染料でも顔料でもよく、例えば赤色、黄色、茶色、緑色、青色、紫色の色相を有する色材等があげられる。
【0019】
比散乱係数
本発明の上質紙の比散乱係数は、55m2/kg以上である。比散乱係数は、TAPPI T425(ISO 9426)に規定される式に基づいて算出することができる。比散乱係数は単位坪量当たりの散乱能力を表し、坪量の影響を受けずに紙の不透明性を表すことができる。そのため比散乱係数が高い紙は、裏抜けの生じにくい紙となる。比散乱係数の上限は、限定されないが、通常、90m2/kg程度であろう。灰分や、強度とのバランスから、70m2/kg以下が、より好ましい。比散乱係数は、主に用いるパルプや填料の種類や量などにより適宜調整することができる。
【0020】
不透明度
本発明の上質紙の不透明度は、JIS-P8149:2000に従って測定することができる。不透明度の上限値は、限定されないが、書籍用紙の用途に使用することを考慮すると、80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上である。である。また、本発明では、裏抜け値が85%以上であることが好ましい。ここで、裏抜け値は、X-Rite520(エックスライト社製)により印刷面の裏面の反射率を測定して、印刷裏面の反射率を未印刷の裏面の反射率で除した値である。この値が大きいほど、裏抜けが少ないことが示される。
【0021】
一般的に上質紙は、中質紙と比較して嵩がでにくく、同じ坪量の時に裏抜けが悪くなりやすいが、本発明の上質紙は、坪量、比散乱係数、密度、色材の添加率などを調整することで、不透明度が高く、裏抜けの少ない紙とすることができる。
【0022】
その他内添薬品
本発明の紙料には、本発明の効果を阻害しない範囲で、種々の内添薬品を添加してよい。内添薬品としては、これに制限されるものではないが、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、その他各種変性澱粉、スチレン-ブタジエン共重合体、ラテックス、酢酸ビニルなどの接着剤;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂などの内添紙力増強剤;ロジン系サイズ剤、AKD系サイズ剤、ASA系サイズ剤、石油系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤などの内添サイズ剤;硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、歩留向上剤、紫外線防止剤、退色防止剤、濾水性向上剤、凝結剤、pH調整剤、スライムコントロール剤を添加してもよい。本発明の上質紙は、紙力を向上させるという観点から、紙力増強剤を含有させることが好ましい。また、オフセット印刷時の湿し水の吸液性調整の観点から、適度なサイズ性を有することが好ましく、内添サイズ剤を含有することが好ましい。書籍用紙は長期間保管した場合の黄変や劣化が発生しにくい中性抄紙で抄造されることが好ましいため、使用されるサイズ剤は中性領域で効果が発現しやすいAKD系サイズ剤を使用することが好ましい。また、本発明の紙は中質紙のような落ち着いた色調の上質紙とするために、蛍光増白剤を含有しないことが好ましい。
【0023】
填料
本発明の上質紙には、填料を内填することができるが、内填される填料は、特に限定されるものではなく、公知の填料の中から適宜選択して使用できる。このような填料としては、例えば、タルク、カオリン、クレー、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム、二酸化チタン、シリカ、およびプラスチックピグメントなどの有機填料などを挙げることが出来るが、好ましくは炭酸カルシウムである。本発明の上質紙に炭酸カルシウムを内添填料として用いると、不透明性、印刷適性などの印刷品質を向上させる効果があるため好ましい。炭酸カルシウムの中でも特に軽質炭酸カルシウムは、比散乱係数が高く、高い不透明性が付与されるためより好ましい。上質紙に印刷を行う場合、特に書籍用紙として使用する場合には、両面印刷を行うことが多く、印刷後の裏抜けを防止するためにも、不透明性が重要な品質項目となる。
【0024】
灰分
本発明の上質紙では、紙中灰分の含有量は紙の絶乾重量に対し、5重量%以上35重量%以下が好ましく、7重量%以上30重量%以下がさらに好ましく、より好ましくは10重量%以上20重量%以下である。紙中灰分が5重量%未満では、不透明度や平滑性が不十分になる場合がある。また、紙中灰分が20重量%より高いと、紙中填料によって繊維間の結合が阻害され、紙の腰やクッション性が不足する、内添サイズ剤を添加した場合のサイズ発現性が低下するなどの恐れがある。また、紙腰の不足により、加工適性の悪化、書籍として加工した時のめくり適性の悪化、手肉感の悪化といった問題が生じる。また、中質紙ライクな不透明度と剛度、クッション性のバランスの観点から、紙中灰分が上記範囲であると、十分な不透明度を付与しながらも、灰分による剛度やクッション性の低下を抑えた、中質紙ライクな上質紙とすることができる。特に、嵩高剤を含有し、さらに炭酸カルシウムを5重量%以上含有した上質紙は、機械パルプを含んだ書籍用紙と同等の嵩と不透明性を有した上質紙とすることができる。
【0025】
抄紙工程
本発明においては、上記のように調成された紙料が適宜希釈され、必要に応じてスクリーンやクリーナーで紙料から異物を除去した後に、抄紙機のヘッドボックスから抄紙ワイヤー上に噴射される。本発明は種々の抄紙機、例えば長網式、円網式、短網式、ツインワイヤー式抄紙機などによって製造される。本発明の上質紙は、表裏に印刷などが施される書籍用紙に好適に使用することができるため、表裏差の発生しにくいツインワイヤー抄紙機で称しすることが好ましく、ツインワイヤー抄紙機としては、ギャップフォーマー、オントップフォーマーなどが挙げられる。抄紙後のプレス線圧は、後述の密度となる範囲内で適宜用いられるが、本発明の嵩高効果を得るためにはプレス線圧は低い事か好ましい。また、抄紙法は、中性抄紙でも酸性抄紙でもよいが、中性抄紙であることが好ましい。具体的には、本発明においては、抄紙時の紙料pHが5.0~9.0であることが好ましく、6.0~8.0であることがより好ましい。
【0026】
表面処理工程
本発明においては、表面強度向上や耐水性付与、印刷適性などを付与するために、前記で得られた原紙に表面処理液を塗工し、クリア塗工層を設けることが好ましい。表面処理液に使用する接着剤の種類は特に限定しないが、生澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、アセチル化したタピオカ澱粉を原料として製紙工場内で熱化学変性あるいは酵素変性によって生成される自家変性澱粉などの澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉などの変性澱粉を含むのが好ましい。カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、セルロースナノファイバーなどのセルロース誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコールなどの変性アルコール、ラテックス、スチレン-ブタジエン系共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステルなどを併用することも可能であるが、紙に剛性を付与する観点から、澱粉系の接着剤を使用することが好ましい。より好ましくは酸化澱粉である。
【0027】
また、サイズ性を高める目的で、AKD系サイズ剤、ロジン系サイズ剤、スチレン系サイズ剤、オレフィン系サイズ剤、アクリレート系サイズ剤、スチレン-アクリル系サイズ剤、カチオン性サイズ剤などの表面サイズ剤を併用することも可能である。表面サイズ剤を併用する場合、表面処理液中の固形分濃度で0.005重量%以上1重量%以下が好ましく、0.01重量%以上0.5重量%以下がさらに好ましく、より好ましくは0.015重量%以上0.1重量%以下である。表面サイズ剤は、内添サイズ剤と比較して少量で摩擦の低減やサイズ性の発現に効果的であるため、前記の添加量で十分な効果を得ることができる。断裁・印刷時の加工の観点から、使用する表面サイズ剤はスチレン-アクリル系サイズ剤であることが好ましい。
【0028】
さらに、本発明において表面処理を行う場合、必要に応じて分散剤、増粘剤、保水材、消泡剤、耐水化剤、着色剤、導電剤等、通常の表面処理液に配合される各種助剤を適宜使用される。本発明の上質紙は、黒色色材等の色材を含有するため、白色度が高すぎず、書籍用紙として使用した場合に目が疲れにくい。
【0029】
表面処理液の塗布量は、要求される表面強度などにより適宜決定されるので特に限定はないが、両面で1.0g/m2以上3.0g/m2以下が好ましく、1.5g/m2以上2.5g/m2以下がより好ましい。前記範囲とすることで、オフセット印刷を行うのに十分な表面強度を付与することができる。
【0030】
表面処理液を塗布する装置は特に限定はなく、2ロールサイズプレス、ポンド式サイズプレス、ゲートロールコーター、ロットメタリングサイズプレスや、ブレードコーター、スプレーコーター、カーテンコーターなどの公知の塗工機によって塗布することができるが、本発明の上質紙は、少ない塗工量で表面強度を効率よく高められる観点から、フィルム転写方式の塗工設備であるゲートロールコーター、ロットメタリングサイズプレスで塗工することが好ましい。
【0031】
得られた上質紙は、公知の仕上げ装置、例えばスーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー、高温ソフトニップカレンダーなどに通紙して製品仕上げを行ってもよいし、後述の密度の範囲とするために未処理もしくはバイパスしてもよいが、中質紙のような嵩高さやクッション性を有する紙とする観点から、カレンダー処理は行わないことが好ましい。カレンダー処理を行う場合の処理線圧は、中質紙ライクな密度となるように適宜調整される。
【0032】
本発明で得られた上質紙は、顔料塗工用原紙として使用してもよい。
【0033】
坪量
本発明の上質紙は、JIS P 8124に準じて測定した坪量が40g/m2以上150g/m2以下が好ましく、より好ましくは45g/m2以上140g/m2以下である。本発明の技術は、坪量が低くても高い剛度が得られるため、特に坪量の低い紙に好適である。
【0034】
密度
本発明の上質紙は、JIS P 8118に準じて測定した紙の密度が、0.40g/cm3以上であることが好ましく、より好ましくは0.45g/cm3以上であり、より好ましくは0.50g/cm3以上である。上限としては0.90g/cm3以下であり、より好ましくは0.80g/cm3以下であり、より好ましくは0.75g/cm3以下であり、より好ましくは0.70g/cm3以下である。密度を前記範囲とすることで、機械パルプを含有する中質紙と同様に、嵩高で手肉感があり、より不透明性の高い上質紙を得ることができる。0.40g/cm3未満の場合、表面のがさつきがめだち、オフセット印刷への適性がそこなわれる恐れがあり、0.80g/m3超の場合、中質紙ライクな風合いが損なわれる恐れがある。
【0035】
剛度
本発明の上質紙は、JIS-P8143に準じて測定した剛度(クラーク式)が、縦(MD:マシン流れ)方向の剛度が30以上であることが好ましく、より好ましくは35以上、より好ましくは40以上である。上限としては210以下が好ましく、より好ましくは200以下であり、より好ましくは190以下である。剛度が前記範囲より低い場合、文庫本としたときに紙が柔らかすぎたり、静電でページ同士が張りついてしまうため、めくりにくくなってしまう事がある。一方、剛度が前記範囲より高い場合、本の見開き時に、ページ両端の紙がそろいにくく、さらに、紙が立ちあがってしまうため読みにくい。
【0036】
色相
本発明の上質紙は、JIS P8150による紫外線を含む光源によるL*a*b*値がそれぞれ、L*80以上98以下、a*-5以上3以下、b*-3以上20以下であることが好ましく、より好ましくはL*82以上96以下、a*-4.5以上2以下、b*-2以上19以下であり、さらに好ましくは、L*83以上95以下、a*-4以上1.5以下、b*0以上18以下である。上記範囲であると、中質紙ライクな自然な風合いの上質紙を得ることができる。また、書籍用紙として利用した際に、長時間読書をしていても目が疲れにくい書籍用紙を得ることができる。
【0037】
ISO白色度
本発明の上質紙の、JIS P8148に準拠して測定したISO白色度は、中質紙の風合いを再現するために、80%以下が好ましく、70%以下がより好まく、65%以下がより好まく、さらに好ましくは60%以下である。下限値としては、印刷時の発色性の観点から50%以上である。本発明の上質紙は、中質紙ライクな風合いを持つ上質紙とするために、クラフトパルプを多く使用するパルプスラリーに黒色色材などを添加することで、上記範囲とすることができる。
なお、紙の白色度が高いほど印刷時の発色が良いため、写真や絵などの再現性を求められるような多色印刷時に好まれる。
【実施例0038】
以下、具体例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。なお,本明細書において、特に記載しない限り、濃度などは重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。尚、以下の記載において、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味する。
【0039】
<薬品>
実施例、比較例に用いた薬品は以下の通りである。
AKD系サイズ剤:星光PMC社製、AD-1614
酸化澱粉:日本コーンスターチ社製、SK-20
内添紙力増強剤:ハリマ化成社製、ハーマイドEX-283
嵩高剤:花王社製、KB-130
填料:奥多摩工業社製、TP-121
硫酸アルミニウム:ジェー・オー・ケミカル社製、液体バンド
ブラック(黒)染料:日本化学工業所社製、ダイレクトペーパーブラックNWSリキッド
イエロー(黄)染料:日本化学工業所社製、ダイレクトペーパーイエロー RSL
レッド(赤)染料:日本化薬社製、カヤフェクトレッド
ブルー(青)染料:東亜化成社製、TOA ベーシック ブルー BS(L)
バイオレット(紫)染料:日本化薬社製、カヤフェクトバイオレット
【0040】
(実施例1)
広葉樹晒クラフトパルプ(ろ水度390mLCSF)90重量%、針葉樹クラフトパルプ(ろ水度620mLCSF)10重量%のスラリー中に、パルプ100重量%に対して硫酸アルミニウム1.1重量%、紙力増強剤0.4重量%、カチオン化澱粉0.9重量%、AKD系サイズ剤0.05重量%、黒染料0.075重量%、黄染料0.093重量%、赤染料0.017重量%、嵩高剤0.5重量%を添加し、十分に混合して抄紙原料とした。さらに、填料としての軽質炭酸カルシウムを、紙中灰分が15重量%目標で添加した。その後、オントップフォーマーを用いて原紙を抄造した。脱水は、表1に記載のプレス線圧で行った。
得られた原紙に、ゲートロールコーターを用いて、両面の合計塗工量が1.6g/m2となるように澱粉を含む表面処理液を塗工し、原紙上にクリア塗工層を設けた。乾燥後、カレンダー処理を行わず、坪量47.6g/m2の上質紙を得た。
【0041】
(実施例2)
広葉樹晒クラフトパルプ及び針葉樹クラフトパルプの配合割合を表1の通りに変更し、さらに坪量43.5g/m2とした以外は、実施例1と同様にして上質紙を得た。
【0042】
(実施例3)
軽質炭酸カルシウムを紙中灰分17重量%目標で添加した以外は、実施例2と同様にして上質紙を得た。
【0043】
(実施例4)
広葉樹晒クラフトパルプ及び針葉樹クラフトパルプの配合割合を表1の通りに変更し、軽質炭酸カルシウムを紙中灰分17.5重量%目標で添加した以外は、黒染料0.057重量%、赤染料0.004重量%、青染料0.002重量%、黄染料0.00重量%とした以外は、実施例1と同様にして上質紙を得た。
【0044】
(比較例1)
晒サーモメカニカルパルプ65重量%、古紙パルプ(DIP)20重量%、針葉樹クラフトパルプ15重量%のスラリー中に、パルプ100重量%に対して硫酸アルミニウム1.2重量%、紙力増強剤0.1重量%、カチオン化澱粉0.5重量%、AKD系サイズ剤0.02重量%、黒染料0.044重量%を添加し、十分に混合して抄紙原料とした。さらに、填料としての軽質炭酸カルシウムを、紙中灰分10重量%目標で添加した。その後、オントップフォーマーを用いて原紙を抄造した。脱水は、表1に記載のプレス線圧で行った。
得られた原紙に、ゲートロールコーターを用いて、両面の合計塗工量が1.3g/m2となるように澱粉を含む表面処理液を塗工し、原紙上にクリア塗工層を設けた。乾燥後、カレンダー処理を行い、坪量47.0g/m2の中質紙を得た。
【0045】
(比較例2)
カレンダー処理を行った以外は、実施例1と同様にして上質紙を得た。
【0046】
(比較例3)
広葉樹晒クラフトパルプ(ろ水度340mLCSF)90重量%、針葉樹クラフトパルプ(ろ水度480mLCSF)10重量%のスラリー中に、パルプ100重量%に対して硫酸アルミニウム1.7重量%、カチオン化澱粉0.9重量%、AKD系サイズ剤0.09重量%を添加し、十分に混合して抄紙原料とした。填料としての軽質炭酸カルシウムを、紙中灰分が21重量%目標で添加した。その後、長網式を用いて原紙を抄造した。脱水は、表1に記載のプレス線圧で行った。
得られた原紙に、ポンド式サイズプレスを用いて、両面の合計塗工量が2.7g/m2となるように澱粉を含む表面処理液を塗工し、原紙上にクリア塗工層を設けた。乾燥後、カレンダー処理を行い、坪量64.7g/m2の上質紙を得た。
【0047】
(比較例4)
晒サーモメカニカルパルプの配合割合を45重量%に、古紙パルプ(DIP)の配合割合を40重量%にそれぞれ変更し、嵩高剤0.1重量%を用いた以外は比較例1と同様にして中質紙を得た。
【0048】
(比較例5)
晒サーモメカニカルパルプ56重量%、古紙パルプ(DIP)17重量%、針葉樹クラフトパルプ27重量%のスラリー中に、パルプ100重量%に対して硫酸アルミニウム2.0重量%、紙力増強剤0.4重量%、カチオン化澱粉1.0重量%、AKD系サイズ剤0.13重量%、を添加し、十分に混合して抄紙原料とした。填料としての軽質炭酸カルシウムを、紙中灰分20重量%目標で添加した。その後、オントップフォーマーを用いて原紙を抄造した。脱水は、表1に記載のプレス線圧で行った。
得られた原紙に、ゲートロールコーターを用いて、両面の合計塗工量が1.4/m2となるように澱粉を含む表面処理液を塗工し、原紙上にクリア塗工層を設けた。乾燥後、カレンダー処理を行い、坪量43.1g/m2の中質紙を得た。
【0049】
上記の実施例、比較例で得られた書籍用紙は、以下に記載する方法で、各種性能の測定および評価を行った。その結果を表1及び表2に示した。
【0050】
1.各種紙質測定
坪量: J I S P 8 1 2 4に準じて測定した。
紙厚、密度: J I S P 8 1 1 8に準じて測定した。
灰分: I S O 1 7 6 2 - 1 9 7 4に準じて測定した。
I S O不透明度: I S O 2 4 7 1に準じて測定した。
白色度:JIS P 8148に準じて測定した。
比散乱係数:TAPPI T425(ISO 9426)に規定される式に基づいて算出した。
P P S平滑度: I S O 8 7 9 1-4:1992に準じて、ソフトバッキング、クランプ圧500kPa及びソフトバッキング、クランプ圧2000kPaの条件でそれぞれ測定した。
【0051】
2.クッション性の評価
I S O 8 7 9 1-4:1992に準じて、ソフトバッキング、クランプ圧500kPa及びソフトバッキング、クランプ圧2000kPaの条件でそれぞれで測定したPPS平滑度の差を3段階で評価した。
〇:PPS平滑度(ソフト/500kPa)-PPS平滑度(ソフト/2000kPa)が1.5μm以上、3.0μm以下であり、十分なクッション性を有する。
△:PPS平滑度(ソフト/500kPa)-PPS平滑度(ソフト/2000kPa)が1.0μm以上、1.5μm未満であり、クッション性がある。
×:PPS平滑度(ソフト/500kPa)-PPS平滑度(ソフト/2000kPa)が1.0μm未満であり、クッション性がない。
【0052】
3.中質紙の風合いの評価
上質紙の色味と密度の観点で中質紙の風合いを以下の基準で3段階で評価した。
〇:黄色っぽい色味と十分な嵩を有し、中質紙ライクな風合いを有する。
△:黄色っぽい色味または嵩高さががあまりなく、中質紙ライクな風合いはある。
×:黄色っぽい色味も嵩高さもなく、中質紙ライクな風合いを有さない。
【0053】
4.オフセット印刷適正の評価
オフセット印刷を行う際に求められる、表面強度と平滑性を指標として、以下の基準で2段階で評価した。表面強度については、ローランド社製の枚葉印刷機R202にてA3サイズのサンプルに藍色インキを単色ベタ印刷後、表面に現れるパルプ繊維の剥離数を目視で観察し、剥離数の少ないものを表面強度に優れると判断した。
〇:適度な表面強度と平滑性を有し、オフセット印刷適正を有する。
×:表面強度または平滑性に劣り、オフセット印刷適正を有さない。
【0054】
5.活版印刷適正の評価
活版印刷を行う際に求められるクッション性と平滑性を指標として、以下の基準で3段階で評価した。PPS平滑度(ソフト/500kPa)が5.0μm以上6.5μm以下であれば良好な平滑性を、3.0μm以上5.0μm未満又は6.5μmより高ければ、適度な平滑性を有すると判断した。
〇:十分なクッション性と良好な平滑性を有し、活版印刷適正を有する。
△:クッション性または平滑性がやや劣るものの、活版印刷方式で印刷することができる。
×:クッション性または平滑性が劣り、活版印刷適正を有さない。
【0055】
6.環境への配慮の評価
機械パルプの使用有無により、環境への配慮の程度を2段階で評価した。
〇:製造時の温室効果ガス排出量の多い機械パルプを含有せず、環境に配慮されている。
×:製造時の温室効果ガス排出量の多い機械パルプを含有しており、環境に配慮されていない。
【0056】
7.裏抜けの評価
不透明度を指標として以下の基準で3段階で評価した。
〇:不透明度が90%以上であり、裏抜けしにくい。
△:不透明度が80%以上90%未満であり、やや裏抜けの恐れがある。
×:不透明度が80%未満であり、裏抜けの恐れがある。
【0057】
【0058】