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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159729
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】トランス
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/10 20060101AFI20241031BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01F30/10 A
H01F27/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024072681
(22)【出願日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】202310472982.3
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】513144855
【氏名又は名称】厦門ティーディーケイ有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】李 戈
(72)【発明者】
【氏名】劉 振生
(72)【発明者】
【氏名】郭 雪松
(57)【要約】
【課題】製造コストの増大を伴うことなく、小型かつ低損失のトランスを提供すること。
【解決手段】トランス1は、コア2aと、コア2aが配置される金属製のシールド6とを有する。コア2aは、底板部20と、底板部20から突出する中脚部30と、X軸に沿って互いに反対側に位置し、中脚部30の両側で底板部20から突出する第1外脚部40aおよび第2外脚部40bとを有する。第1外脚部40aは、シールド6と対向する第1外端面41mと、第1外端面41mに直交する方向に関して第1外端面41mとは反対側に位置する第2外端面42mとを有する。第2外脚部40bは、シールド6と対向する第3外端面41nと、第3外端面41nに直交する方向に関して第3外端面41nとは反対側に位置する第4外端面42nとを有する。第1外端面41mと第3外端面41nとの間に形成された第1開放部51のX軸に沿った幅は、第2外端面42mと第4外端面42nとの間に形成された第2開放部52のX軸に沿った幅よりも小さい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部と、前記底板部から突出する中脚部と、第1軸に沿って互いに反対側に位置し、前記中脚部の両側で前記底板部から突出する第1外脚部および第2外脚部とを有するコアと、
前記コアが配置される金属製のシールドと、を有し、
前記第1外脚部は、前記シールドと対向する第1外端面と、前記第1外端面に直交する方向に関して前記第1外端面とは反対側に位置する第2外端面とを有し、
前記第2外脚部は、前記シールドと対向する第3外端面と、前記第3外端面に直交する方向に関して前記第3外端面とは反対側に位置する第4外端面とを有し、
前記第1外端面と前記第3外端面との間に形成された第1開放部の前記第1軸に沿った幅は、前記第2外端面と前記第4外端面との間に形成された第2開放部の前記第1軸に沿った幅よりも小さいトランス。
【請求項2】
前記第1開放部の前記第1軸に沿った幅は、前記中脚部の前記第1軸に沿った幅よりも小さい請求項1に記載のトランス。
【請求項3】
前記中脚部は、前記第1開放部よりも、前記第2開放部に近接している請求項1または2に記載のトランス。
【請求項4】
前記第1外脚部は、前記中脚部の外周面に沿って延在する第1内側面と、前記第1外端面および前記第2外端面と交差する第1外側面とを有し、
前記第1外端面と前記第1内側面との間の厚みは、前記第1外側面と前記第1内側面との間の厚みよりも大きい請求項1または2に記載のトランス。
【請求項5】
前記第1外脚部は、前記中脚部の外周面に沿って湾曲する第1内側面と、前記第1外端面および前記第2外端面と交差する第1外側面とを有し、
前記第1内側面と前記第1外側面との間の厚みは、前記第2開放部に向かうにしたがって、大きくなっていく請求項1または2に記載のトランス。
【請求項6】
前記第1外脚部は、前記第1外端面および前記第2外端面と交差する第1外側面を有し、
前記第1外端面と前記第1外側面との間の稜線部は、面取りされている請求項1または2に記載のトランス。
【請求項7】
前記底板部の外縁には、少なくとも前記第1外端面と前記第3外端面との間で、前記第1軸に沿って延在する底端面が形成されており、
前記底端面は、平坦面である請求項1または2に記載のトランス。
【請求項8】
前記第1外端面と前記底端面との間には段差が形成されておらず、
前記第3外端面と前記底端面との間には段差が形成されていない請求項7に記載のトランス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示されるように、従来から、リーケージトランス等として用いられるトランスに関し、各種の技術が提案されている。トランスは、例えば、コイル(一次コイルおよび二次コイル)と、コアと、これらを収容する金属製のケースとを備えている。この種のトランスでは、ケースを介して、コイルまたはコアの熱を外部に放熱することが可能である。特に、コアとケースとの間の距離を近づけるほど、これらの間の熱抵抗が小さくなり、トランスの放熱性を高めることができる。他方、コアとケースとの間の距離を近づけるほど、漏れ磁束がケースに鎖交しやすくなり、ケースに渦電流が発生しやすくなる。その結果、トランスの損失が増大し、トランスの効率が低下するという問題が発生する。
【0003】
そこで、トランスの損失を低減するための技術として、従来から以下の2つの技術が知られている。第一の技術は、コアとケースとの間の距離を大きくするという技術である。第二の技術は、コアとケースと間に、漏れ磁束を遮蔽するための磁性体を配置するという技術である。第一の技術および第二の技術のいずれにおいても、漏れ磁束がケースに鎖交しにくくなり、トランスの損失を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-345724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、第一の技術には、コアとケースとの間の距離に応じて、トランスの寸法が大きくなり、小型化の要求に応えることができないという問題がある。また、第二の技術には、トランスの構成部品に磁性体が加わることにより、製造コストが増大するだけでなく、磁性体の固定が困難であるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、製造コストの増大を伴うことなく、小型かつ低損失のトランスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るトランスは、
底板部と、前記底板部から突出する中脚部と、第1軸に沿って互いに反対側に位置し、前記中脚部の両側で前記底板部から突出する第1外脚部および第2外脚部とを有するコアと、
前記コアが配置される金属製のシールドと、を有し、
前記第1外脚部は、前記シールドと対向する第1外端面と、前記第1外端面に直交する方向に関して前記第1外端面とは反対側に位置する第2外端面とを有し、
前記第2外脚部は、前記シールドと対向する第3外端面と、前記第3外端面に直交する方向に関して前記第3外端面とは反対側に位置する第4外端面とを有し、
前記第1外端面と前記第3外端面との間に形成された第1開放部の前記第1軸に沿った幅は、前記第2外端面と前記第4外端面との間に形成された第2開放部の前記第1軸に沿った幅よりも小さい。
【0008】
本発明に係るトランスでは、第1外脚部がシールドと対向する第1外端面を有し、第2外脚部がシールドと対向する第3外端面を有する。そのため、第1外端面と第3外端面との間に形成された第1開放部は、必然的に、シールドに向けて開放されることになる。このように、第1開放部がシールドに向けて開放されることにより、第1開放部が放熱経路として機能する。これにより、コアまたはコイルの熱が、シールドに向けて放熱されやすくなり、トランスの放熱性を高めることができる。また、例えば、シールドをケースで構成し、ケースの内部に放熱性樹脂を充填する場合、第1開放部を介して、放熱性樹脂がケースの底に向けて流出する。そのため、放熱性樹脂がケースの隅々に行き渡りやすくなり、トランスの放熱性をさらに高めることができる。
【0009】
また、本発明に係るトランスでは、第1外端面と第3外端面との間に形成された第1開放部の第1軸に沿った幅が、第2外端面と第4外端面との間に形成された第2開放部の第1軸に沿った幅よりも小さい。第1開放部の第1軸に沿った幅を第2開放部の第1軸に沿った幅よりも小さくすることにより、第1開放部を介して、漏れ磁束がシールドに向けて流出しにくくなる。そのため、漏れ磁束がシールドに鎖交しにくくなり、シールドに渦電流が発生することを防止することができる。これにより、トランスの損失を低減し、トランスの効率を増大させることができる。
【0010】
このように、本発明に係るトランスでは、トランスの損失を低減するにあたり、従来の第一の技術とは異なり、コアとシールドとの間の距離を大きくする必要がなく、トランスの小型化を図ることができる。また、従来の第二の技術とは異なり、コアとシールドと間に、漏れ磁束を遮蔽するための磁性体を設置する必要がなく、製造コストが増大することがない。よって、本発明によれば、製造コストの増大を伴うことなく、小型かつ低損失のトランスを提供することができる。
【0011】
前記第1開放部の前記第1軸に沿った幅は、前記中脚部の前記第1軸に沿った幅よりも小さくてもよい。第1開放部の第1軸に沿った幅を中脚部の第1軸に沿った幅よりも小さくすることにより、第1開放部を介して、漏れ磁束がシールドに向けて流出しにくくなる。そのため、漏れ磁束がシールドに鎖交しにくくなり、シールドに渦電流が発生することを有効に防止することができる。また、例えば、中脚部の周囲にコイルを配置したときに、コイルの外周面が第1開放部の外側(すなわち、シールド側)に露出しにくくなる。そのため、この点においても、漏れ磁束がシールドに鎖交しにくくなり、シールドに渦電流が発生することを有効に防止することができる。
【0012】
前記中脚部は、前記第1開放部よりも、前記第2開放部に近接していてもよい。この場合、例えば、中脚部の周囲にコイルを配置したとき、コイルは、第1開放部よりも、第2開放部に近接して配置される。このように、コイルが第2開放部側に偏在することにより、コイルの外周面が第1開放部の外側(すなわち、シールド側)に露出しにくくなる。そのため、漏れ磁束がシールドに鎖交しにくくなり、シールドに渦電流が発生することを有効に防止することができる。
【0013】
前記第1外脚部は、前記中脚部の外周面に沿って延在する第1内側面と、前記第1外端面および前記第2外端面と交差する第1外側面とを有し、前記第1外端面と前記第1内側面との間の厚みは、前記第1外側面と前記第1内側面との間の厚みよりも大きくてもよい。この場合、第1外脚部によって形成される磁路の断面積を確保することが可能となり、トランスの磁気特性を向上させることができる。また、例えば、中脚部の周囲にコイルを配置したとき、第1外端面と第1内側面との間の厚みに応じて、コイルの外周面が第1開放部から第2開放部側に離間した位置に配置される。そのため、コイルの外周面が第1開放部の外側(すなわち、シールド側)に露出しにくくなる。その結果、漏れ磁束がシールドに鎖交しにくくなり、シールドに渦電流が発生することを有効に防止することができる。
【0014】
前記第1外脚部は、前記中脚部の外周面に沿って湾曲する第1内側面と、前記第1外端面および前記第2外端面と交差する第1外側面とを有し、前記第1内側面と前記第1外側面との間の厚みは、前記第2開放部に向かうにしたがって、大きくなっていてもよい。この場合、第1外脚部は、第2開放部側において、中脚部の外周面に沿って、底板部の中央に向かうように湾曲する。そのため、第2開放部の第1軸に沿った幅が狭められ、第1外脚部および第2外脚部によって形成される磁路が閉磁路に近くなる。これにより、より多くの磁束が第1外脚部および第2外脚部を通過するようになり、トランスの磁気特性を向上させることができる。
【0015】
前記第1外脚部は、前記第1外端面および前記第2外端面と交差する第1外側面を有し、前記第1外端面と前記第1外側面との間の稜線部は、面取りされていてもよい。この場合、第1外端面と第1外側面との間の稜線部に割れや欠けが生じることを防止することが可能である。これにより、第1外脚部によって形成される磁路の断面積が変動することを防止することが可能となり、トランスの磁気特性のばらつきを防止することができる。
【0016】
前記底板部の外縁には、少なくとも前記第1外端面と前記第3外端面との間で、前記第1軸に沿って延在する底端面が形成されており、前記底端面は、平坦面でもよい。底端面を平坦面とした場合、底端面を凹面とした場合に比べて、底端面とシールドとの間に隙間が形成されにくくなる。そのため、漏れ磁束が、当該隙間を介して、底板部の外側に流出しにくくなる。これにより、漏れ磁束がシールドに鎖交しにくくなり、シールドに渦電流が発生することを有効に防止することができる。
【0017】
前記第1外端面と前記底端面との間には段差が形成されておらず、前記第3外端面と前記底端面との間には段差が形成されていなくてもよい。この場合も、底端面とシールドとの間に隙間が形成されにくくなり、漏れ磁束が、当該隙間を介して、底板部の外側に流出しにくくなる。そのため、漏れ磁束がシールドに鎖交しにくくなり、シールドに渦電流が発生することを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本発明の一実施形態に係るトランスの斜視図である。
図2図2図1に示すトランスの一部分解斜視図である。
図3A図3A図2に示すボビンの斜視図である。
図3B図3B図3Aに示すボビンの側面図である。
図4図4図1に示すIV-IV線に沿う断面図である。
図5図5図2に示すコアをY軸に沿って見た側面図である。
図6図6図5に示すコアの変形例の側面図である。
図7図7図5に示すコアの他の変形例の斜視図である。
図8図8図6に示すコアの変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図示する内容は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1に示す本発明の一実施形態に係るトランス1は、例えばリーケージトランスとして機能し、車載用充電器や各種電気機器の電源回路等に用いられる。トランス1は、一例として、コア2aと、コア2bと、ケース6と、第1ワイヤ7と、第2ワイヤ8と、ボビン9と、端子10a~10dとを有する。トランス1の構成は、図1に示す構成に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0021】
図1において、X軸およびY軸は、それぞれ、ケース6の底部60の直交する二辺に平行な軸である。Z軸は、X軸およびY軸に垂直な軸である。以下の説明では、X軸、Y軸およびZ軸の各々について、トランス1の中心に向かう方向を内側と呼び、トランス1の中心から離れる方向を外側と呼ぶ。
【0022】
図2に示すように、第1ワイヤ7は、第1巻回部70と、第1巻回部70から引き出された第1引出部71aおよび71bとを有する。第1巻回部70は、第1ワイヤ7がボビン9の外周面に螺旋状に巻回されることにより形成されている。第1引出部71aは、第1巻回部70と第1ワイヤ7の一端との間に位置する。第1引出部71bは、第1巻回部70と第1ワイヤ7の他端との間に位置する。
【0023】
第2ワイヤ8は、第2巻回部80と、第2巻回部80から引き出された第2引出部81aおよび81bとを有する。第2巻回部80は、第2ワイヤ8がボビン9の外周面に螺旋状に巻回されることにより形成されている。第2引出部81aは、第2巻回部80と第2ワイヤ8の一端との間に位置する。第2引出部81bは、第2巻回部80と第2ワイヤ8の他端との間に位置する。
【0024】
第1巻回部70および第2巻回部80の一方は一次側コイルであり、他方は二次側コイルである。第1ワイヤ7および第2ワイヤ8は、例えば銅などで構成される丸線、平角線、撚り線、リッツ線、編組線などの導電性芯線を有する。第1ワイヤ7および第2ワイヤ8は、これらの導電性芯線を絶縁性の被膜で被覆した絶縁被覆ワイヤでもよい。第1ワイヤ7および第2ワイヤ8の各々の線径(直径)は、特に限定されないが、例えば1.0~3.0mmである。第1ワイヤ7および第2ワイヤ8の線径は、それぞれ等しくてもよく、あるいは異なっていてもよい。たとえば、第1ワイヤ7および第2ワイヤ8のうち、より大きな電流が流れるワイヤの線径を他方のワイヤの線径よりも大きくしてもよい。
【0025】
図3Aに示すボビン9は、PPS、PET、PBT、LCP等のプラスチック、あるいはその他の絶縁部材(例えば、耐熱性を有する材料)で構成されている。ボビン9は、一例として、筒部90と、鍔部93a~93cと、脚部95aおよび95cと、凸部96と、幅広凸部97と、端子台98aおよび98bとを有する。
【0026】
筒部90は、無底筒状の筒体であり、貫通孔91を有する。筒部90の軸方向は、Y軸方向に対応しており、ケース6(図1)の底部60に対して平行である。筒部90の横断面形状は、円形であるが、楕円形あるいは多角形でもよい。ただし、筒部90の外周面に第1ワイヤ7および第2ワイヤ8を高密度に巻回する(占積率を上げる)観点では、筒部90の横断面形状は円形が好ましい。図4に示すように、貫通孔91の内部には、コア2aおよび2bの各々の一部(中脚部30)が挿入される。筒部90の外周面には、第1ワイヤ7が巻回されることにより、第1巻回部70が形成されている。また、筒部90の外周面には、第2ワイヤ8が巻回されることにより、第2巻回部80が形成されている。第1巻回部70と第2巻回部80とは、Y軸に沿って、隣接して配置されている。
【0027】
図3Aに示すように、筒部90の外周面には、複数の流通孔92が形成されている。図1に示すケース6の内部には、放熱性樹脂が充填される。図3Aに示す流通孔92は、放熱性樹脂を筒部90の内外に流出入させるために設けられた孔である。流通孔92が形成された位置は、筒部90の頂部(筒部90のZ軸正方向側の部位)、筒部90の底部(筒部90のZ軸負方向側の部位)、そして筒部90の中間部(頂部と底部の間に位置する部位)である。
【0028】
鍔部93aは、筒部90の軸方向の一端に形成されており、鍔部93cは、筒部90の軸方向の他端に形成されている。鍔部93bは、鍔部93aと鍔部93cとの間に位置する。鍔部93bは、鍔部93cよりも、鍔部93aに近接している。ただし、鍔部93bは、筒部90の軸方向の中央部に位置していてもよく、あるいは、鍔部93aよりも、鍔部93cに近接していてもよい。
【0029】
鍔部93a~93cは、筒部90の外周面から、その径方向の外側に向かって突出している。また、鍔部93a~93cは、筒部90の周方向に沿って延在している。図2に示すように、鍔部93aと鍔部93bとの間には第2巻回部80が配置され、鍔部93bと鍔部93cとの間には第1巻回部70が配置されている。鍔部93a~93cの径方向の外側への突出長は、特に限定されないが、第1ワイヤ7または第2ワイヤ8の線径の2倍以上である。
【0030】
図3Aに示すように、鍔部93bには、連通部94が形成されている。連通部94は、鍔部93bの延在方向(周方向)の一端と他端との間に形成されている。連通部94は、鍔部93bよりもY軸方向の一方側と他方側とを連通するための通路である。例えば、連通部94を介して、第1ワイヤ7または第2ワイヤ8を鍔部93bよりもY軸方向の一方側から他方側へ挿通させてもよい。
【0031】
脚部95aは、鍔部93aの底部に形成されており、脚部95cは、鍔部93cの底部に形成されている。脚部95aおよび95cは、ボビン9を支持するための構成であり、ケース6(図1)の底部60に設置される。
【0032】
筒部90の外周面には、複数の凸部96と、1つの幅広凸部97とが形成されている。図3bに示すように、凸部96の数は、4つであるが、1~3つ、あるいは5つ以上でもよい。また、幅広凸部97の数は、1つであるが、複数でもよい。鍔部93bと幅広凸部97との間には、3つの凸部96が、筒部90の軸方向に沿って配置されている。鍔部93cと幅広凸部97との間には、1つの凸部96が配置されている。幅広凸部97は、そのY軸方向の一方側の凸部96と、そのY軸方向の他方側の凸部96とによって、挟まれるように配置されている。
【0033】
鍔部93bと鍔部93cとの間において、複数の凸部96と幅広凸部97とは、Y軸に沿って、等間隔に配置されている。ただし、複数の凸部96および幅広凸部97の設置間隔は、均等でなくてもよい。隣接する凸部96の間隔は、第1ワイヤ7または第2ワイヤ8の線径よりも大きい。そのため、隣接する一方の凸部96と他方の凸部96との間に、第1ワイヤ7または第2ワイヤ8を配置することができる。なお、凸部96と鍔部93bとの間隔、凸部96と鍔部93cとの間隔、さらには幅広凸部97と凸部96との間隔についても同様であり、第1ワイヤ7または第2ワイヤ8の線径よりも大きくなっている。
【0034】
図3Aに示すように、凸部96は、筒部90の径方向の外側に突出しつつ、筒部90の周方向に沿って延在している。凸部96の径方向の外側への突出長は、特に限定されないが、例えば第1ワイヤ7または第2ワイヤ8の線径と同等、あるいは第1ワイヤ7または第2ワイヤ8の線径よりも大きくてもよい。
【0035】
凸部96のY軸に沿った幅は、特に限定されないが、例えば第1ワイヤ7または第2ワイヤ8の線径の1/2倍以上2倍以下である。凸部96は、径方向の外側に向かって先細となる先細形状を有する。隣接する一方の凸部96と他方の凸部96との間に、第1ワイヤ7を入り込ませやすくするためである。
【0036】
凸部96の延在方向(周方向)の一端と他端との間には、切り欠き部99が形成されている。切り欠き部99を介して、凸部96よりもY軸方向の一方側から他方側へ、第1ワイヤ7を挿通(移行)させることが可能となっている。
【0037】
幅広凸部97は、筒部90の径方向の外側に突出しつつ、筒部90の周方向に沿って延在している。幅広凸部97の径方向の外側への突出長は、特に限定されないが、例えば第1ワイヤ7または第2ワイヤ8の線径の同等、あるいは第1ワイヤ7または第2ワイヤ8の線径よりも大きくてもよい。幅広凸部97の径方向の外側への突出長は、凸部96の径方向の外側への突出長と等しくなっているが、これよりも大きくてもよく、あるいはこれよりも小さくてもよい。
【0038】
幅広凸部97のY軸に沿った幅は、特に限定されないが、例えば第1ワイヤ7または第2ワイヤ8の線径の2倍以上5倍以下である。幅広凸部97は、その径方向の外側に向かって先細となる先細形状を有する(図3B参照)。幅広凸部97と凸部96との間に、第1ワイヤ7を入り込ませやすくするためである。
【0039】
幅広凸部97の延在方向(周方向)の一端と他端との間には、切り欠き部99が形成されている。切り欠き部99を介して、幅広凸部97よりもY軸方向の一方側から他方側へ、第1ワイヤ7を挿通(移行)させることが可能となっている。
【0040】
端子台98aは、鍔部93aの頂部(Z軸正方向側の部位)に形成されており、Y軸に沿って、鍔部93aの外側に向かって突出している。端子台98bは、鍔部93cの頂部に形成されており、Y軸に沿って、鍔部93cの外側に向かって突出している。端子台98aと端子台98bとは、同一の構成を有するが、これらの構成は異なっていてもよい。端子台98aおよび98bは、それぞれ、一例として、台座980と、端子固定部981mおよび981nと、仕切部982と、案内溝983mおよび983nとを有する。
【0041】
台座980は、平面視において長方形状を有する扁平な板体である。端子固定部981mは、台座980のX軸方向の一方側に形成されており、台座980からZ軸に沿って突出している。端子固定部981nは、台座980のX軸方向の他方側に形成されており、台座980からZ軸に沿って突出している。仕切部982は、端子固定部981mと端子固定部981nとの間に位置し、台座980からZ軸に沿って突出している。また、仕切部982の一部は、台座980からY軸に沿って外側に突出している。
【0042】
案内溝983mは、仕切部982と端子固定部981mとの間に形成された溝であり、Y軸に沿って延在している。案内溝983nは、仕切部982と端子固定部981nとの間に形成された溝であり、Y軸に沿って延在している。
【0043】
図2および図3Aに示すように、引出部71aは、第1巻回部70から引き出され、端子台98bの案内溝983mへ案内される。また、引出部71bは、第1巻回部70から引き出され、端子台98bの案内溝983nへ案内される。また、引出部81aは、第2巻回部80から引き出され、端子台98aの案内溝983mへ案内される。また、引出部81bは、第2巻回部80から引き出され、端子台98aの案内溝983nへ案内される。
【0044】
図2に示すように、端子台98bの端子固定部981mには、端子10aが一体的に固定されている。また、端子台98bの端子固定部981nには、端子10bが一体的に固定されている。また、端子台98aの端子固定部981mには、端子10cが一体的に固定されている。また、端子台98aの端子固定部981nには、端子10dが一体的に固定されている。端子10a~10dは、端子固定部981mまたは981nに一体成形されているが、端子固定部981mまたは981nに対して後付可能に構成されていてもよい。
【0045】
端子10a~10dは、それぞれ同一の形状を有し、一例として、継線部11a~11dと、実装部12a~12dと、中間部13a~13dとを有する。継線部11a~11dは、かしめ部を有する。継線部11aには、引出部71aがかしめられつつ接続されている。継線部11bには、引出部71bがかしめられつつ接続されている。継線部11cには、引出部81aがかしめられつつ接続されている。継線部11dには、引出部81bがかしめられつつ接続されている。
【0046】
引出部71a、71b、81aおよび81bは、継線部11a~11dに対してレーザ溶接される。ただし、引出部71a、71b、81aおよび81bは、継線部11a~11dに対して、例えばハンダ、導電性接着剤、熱圧着、超音波接合、抵抗ろう付け、紫外線硬化樹脂接合等によって接続されてもよい。
【0047】
実装部12a~12dは、実装基板(図示略)に接続される部分である。実装部12aは、端子台98bの端子固定部981mからZ軸に沿って外側に突出している。実装部12bは、端子台98bの端子固定部981nからZ軸に沿って外側に突出している。実装部12cは、端子台98aの端子固定部981mからZ軸に沿って外側に突出している。実装部12dは、端子台98aの端子固定部981nからZ軸に沿って外側に突出している。
【0048】
中間部13a~13dは、継線部11a~11dと実装部12a~12dとの間に位置する部分である。中間部13aの一部は、端子台98bの端子固定部981mに埋設されている。中間部13bの一部は、端子台98bの端子固定部981nに埋設されている。中間部13cの一部は、端子台98aの端子固定部981mに埋設されている。中間部13dの一部は、端子台98aの端子固定部981nに埋設されている。
【0049】
図4に示すように、第1巻回部70は、鍔部93bと鍔部93cとの間に形成されている。第1巻回部70の径方向に沿った層数は、2層であるが、1層あるいは3層以上でもよい。第1巻回部70の1層目のいくつかのターンは、隣接する一方の凸部96と他方の凸部96との間に配置されている。また、第1巻回部70の1層目のいつくかのターンは、凸部96と鍔部93bの間、または凸部96と鍔部93cの間に配置されている。また、第1巻回部70の1層目のいつくかのターンは、幅広凸部97と凸部96との間に配置されている。
【0050】
第1巻回部70の2層目のいつくかのターンは、第1巻回部70の1層目のターンの上に配置されている。なお、第1巻回部70の2層目のいくつかのターンは、第1巻回部70の1層目のターンと凸部96とに跨るように配置されていてもよい。あるいは、第1巻回部70の2層目のいくつかのターンは、第1巻回部70の1層目のターンと幅広凸部97とに跨るように配置されていてもよい。
【0051】
第1巻回部70の1層目において、隣接する一方のターンと他方のターンとの間に凸部96が介在することにより、一方のターンと他方のターンとがY軸に沿って離間する。これにより、第1巻回部70と第2巻回部80との間の漏れ磁束を調整することができる。なお、隣接する一方の凸部96と他方の凸部96との間には、2つ以上のターンが、Y軸に沿って並んで配置されていてもよい。あるいは、隣接する一方の凸部96と他方の凸部96との間には、2つ以上のターンが、凸部96の突出方向に沿って積層されていてもよい。凸部96と幅広凸部97との間、凸部96と鍔部93bとの間、凸部96と鍔部93cとの間についても、同様である。
【0052】
一方のターンと他方のターンとが凸部96(あるいは、幅広凸部97、鍔部93b、鍔部93c)に当接することにより、これらのターンの巻位置が固定され、第1巻回部70の巻形状や巻位置のばらつきを防止することができる。これにより、第1巻回部70と第2巻回部80との間の漏れ磁束の調整が容易になる。なお、一方のターンおよび/または他方のターンは、凸部96等に対して、離間していてもよい。
【0053】
第2巻回部80は、鍔部93aと鍔部93bとの間に形成されている。第2巻回部80の径方向に沿った層数は、3層であるが、1層、2層あるいは4層以上でもよい。第2巻回部80の径方向に沿った層数は、第1巻回部70の径方向に沿った層数よりも多いが、これと同等、あるいはこれよりも少なくてもよい。第2巻回部80のY軸に沿った層数は、第1巻回部70のY軸に沿った層数よりも少ないが、これと同等、あるいはこれよりも多くてもよい。
【0054】
図1に示すケース(シールド)6は、アルミ、銅、銀等の冷却性に優れた金属等で構成されている。ケース6には、コア2aおよび2bと、ボビン9と、第1巻回部70および第2巻回部80とを収容するための開口部が形成されている。ケース6の内部には、ケース6の開口部を介して、放熱性樹脂を充填することが可能となっている。放熱性樹脂は、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等で構成される。放熱性樹脂は、ケース6の開口部付近、例えばケース6の側部61の高さの70~90%程度まで充填される。
【0055】
コア2aおよび2bと、ボビン9と、第1巻回部70および第2巻回部80は、ケース6の内部に充填された放熱性樹脂で覆われる。ただし、ボビン9の端子台98aおよび98bは、ケース6の開口部から突出しており、ケース6の内部の放熱性樹脂から露出する。
【0056】
本実施形態では、ケース6さらには放熱性樹脂を介して、第1巻回部70、第2巻回部80、コア2aおよび2b、ボビン9等の熱を外部に効率よく放熱し、トランス1の放熱性あるいは冷却効率を高めることが可能となっている。
【0057】
ケース6は、一例として、底部60と、側部61と、突出部62aおよび62bとを有する。底部60は、平面視において長方形状を有するが、底部60の形状は、円形、楕円形、正方形、その他の多角形でもよい。底部60には、コア2aおよび2bが配置される。コア2aおよび2bは、底部60に対して接触するように配置されるが、コア2aおよび2bと底部60との間には、絶縁性または導電性の部材が介在していてもよい。
【0058】
側部61は、底部60の外縁に沿って延在されており、底部60からZ軸に沿って突出している。側部61は、第1面61aと、第1面61aに対してY軸に沿って対向する第2面61bと、第1面61aと直交する第3面61cと、第3面61cに対してX軸に沿って対向する第4面61dとを有する。
【0059】
突出部62aは、側部61の第1面61aから、Y軸に沿って外側に向けて突出している。突出部62bは、側部61の第1面61bから、Y軸に沿って外側に向けて突出している。
【0060】
図2に示すように、コア2aおよび2bは、E型コアであり、同一形状を有する。コア2aおよび2bの材質は、例えば金属あるいはフェライト等の磁性材料である。コア2aは、ボビン9の筒部90に対して、Y軸方向の一方側から取り付けられる。コア2bは、筒部90に対して、Y軸方向の他方側から取り付けられる。したがって、コア2aとコア2bとは、筒部90の軸方向に沿って、相互に対向するように配置される。
【0061】
コア2aは、底板部20と、中脚部30と、外脚部40aおよび40bとを有する。底板部20は、扁平な直方体形状を有する板体である。図5に示すように、底板部20のX軸に沿った長さL1は、底板部20のZ軸に沿った長さL2よりも長くなっている。ただし、L1=L2でもよく、あるいはL1<L2でもよい。図2に示すように、底板部20は、第1主面21と、第2主面22と、底端面23と、頂端面24と、側端面25および26と、面取り部27とを有する。
【0062】
第1主面21は、底板部20の一方の主面(幅の広い面)であり、第2主面22は、底板部20の他方の主面である。第1主面21と第2主面22とは、相互に平行な平坦面であり、Y軸に沿って対向している。コア2aの第2主面22は、ケース6(図1)の側部61の第2面61bにY軸に沿って対向する。コア2bの第2主面22は、ケース6(図1)の側部61の第1面61aにY軸に沿って対向する。
【0063】
底端面23と、頂端面24と、側端面25および26とは、底板部20の外縁に沿って形成されており、底板部20の外端面(幅の狭い面)を構成している。底板部20の外端面は、第1主面21および第2主面22に対して直交する面である。
【0064】
底端面23と頂端面24とは、相互に平行な平坦面であり、Z軸に沿って対向している。底端面23は、ケース6(図1)の底部60と対向する。コア2aおよび2bの底端面23は、底部60と接触するが、底端面23と底部60との間には、導電性または絶縁性の部材が配置されていてもよい。頂端面24は、ケース6(図1)の開口部を向く面である。コア2aの頂端面24は、ボビン9の端子台98aにZ軸に沿って対向する。コア2bの頂端面24は、ボビン9の端子台98bにZ軸に沿って対向する。
【0065】
側端面25と側端面26とは、相互に平行な平坦面であり、X軸に沿って対向している。コア2aの側端面25は、ケース6(図1)の側部61の第4面61dに対向するように配置され、コア2bの側端面25は、側部61の第3面61cに対向するように配置される。コア2aの側端面26は、側部61の第3面61cに対向するように配置され、コア2bの側端面26は、側部61の第4面61dに対向するように配置される。側端面25および26は、ケース6の側部61に対して離間して配置されるが、側部61に接触していてもよい。
【0066】
側端面25と底端面23との間の稜線部(側端面25と底端面23との交差部)には、面取り部27が形成されている。同様に、側端面26と底端面23との間の稜線部(側端面26と底端面23との交差部)には、面取り部27が形成されている。面取り部27は、底端面23(あるいは、側端面25および26)に対して斜めに延在している。底端面23のX軸方向の両側には面取り部27が形成されているため、底板部20は底端面23側に向けて先細となるような形状を有する。
【0067】
中脚部30は、底板部20の第1主面21から、Y軸に沿って内側(ボビン9側)に向けて突出している。中脚部30は、一対の外脚部40aおよび40bの間に位置する。中脚部30は、底板部20のX軸方向の中央部に位置するが、底板部20の中央に対して位置ずれしていてもよい。中脚部30の横断面形状(中脚部30の軸方向に垂直な断面形状)は、ボビン9の筒部90の横断面形状に対応しており、円形である。ただし、中脚部30の横断面形状は、楕円形あるいは多角形でもよい。
【0068】
コア2aの中脚部30の先端部32と、コア2bの中脚部30の先端部32とは、Y軸に沿って、接触するように付き合わされる。ただし、コア2aの中脚部30の先端部32と、コア2bの中脚部30の先端部32との間には、Y軸に沿って、ギャップが形成されていてもよい。
【0069】
外脚部40aと外脚部40bとは、X軸に沿って互いに反対側に位置している。外脚部40aと外脚部40bとは、中脚部30の両側で、底板部20の第1主面21からY軸に沿って突出している。外脚部40aおよび40bの各々のY軸に沿った長さは、中脚部30のY軸に沿った長さと同一であるが、これよりも長くてもよく、あるはこれよりも短くてもよい。
【0070】
図5に示すように、外脚部40aは、外端面(第1外端面)41mと、外端面(第2外端面)42mと、内側面43mと、外側面44mと、面取り部45mと、第1ギャップ形成面46mと、第2ギャップ形成面47mとを有する。外脚部40bは、外脚部40aと同一の形状を有し、外端面(第3外端面)41nと、外端面(第4外端面)42nと、内側面43nと、外側面44nと、面取り部45nと、第1ギャップ形成面46nと、第2ギャップ形成面47nとを有する。
【0071】
外脚部40aにおいて、外端面(第1外端面)41mと、外端面(第2外端面)42mと、外側面44mとは、外脚部40aの外縁を構成している。外端面41mと外端面42mとは、相互に平行な平坦面である。外端面41mは、ケース6(図1)の底部60と対向する。外端面41mは、底部60と接触するように配置されるが、外端面41mと底部60との間には、導電性または絶縁性の部材が配置されていてもよい。外端面42mは、外端面41mに直交する方向(すなわち、Z軸方向)に関して、外端面41mとは反対側に位置する。
【0072】
図5に示す例では、外脚部40aに面取り部45mが形成されているため、外端面41mと外端面42mとは対向してはいない。ただし、図6に示すように、外脚部40aに面取り部45mが形成されていない場合、外端面41mの少なくとも一部と外端面42mとはZ軸に沿って対向する。図5に示すように、外端面41mのX軸に沿った長さは、外端面42mのX軸に沿った長さよりも長くなっているが、これと等しくてもよく、あるいはこれよりも短くてもよい。
【0073】
内側面(内周面)43mは、中脚部30の径方向の外側において、中脚部30の外周面31に沿って延在している。内側面43mと外周面31との間の隙間には、ボビン9の筒部90(図2)と、筒部90に巻回された第1巻回部70(図2)または第2巻回部80とが配置される。内側面43mは、中脚部30の外周面31に沿って湾曲しているが、内側面43mの少なくとも一部が直線状に延在していてもよい。
【0074】
外側面44mは、X軸方向に関して内側面43mとは反対側に位置し、外端面41mおよび外端面42mと交差している。外側面44mの一部は、底板部20の側端面25(図2)に沿って延在しており、外端面42mに対して直交する方向に延在している。外側面44mは、側端面25に対して滑らかに接続されており(連続しており)、外側面44mと側端面25との間には段差が形成されていない。コア2aの外側面44m(図2)は、ケース6(図1)の側部61の第4面61dに対向し、コア2bの外側面44m(図2)は、側部61の第3面61cに対向する。
【0075】
図5に示すように、外側面44mの残りの一部には、面取り部45mが形成されており、外端面41mに対して傾斜する方向に延在している。面取り部45mは、外端面41mと外側面44mとの間の稜線部(外端面41mと外側面44mとの交差部)に形成されている。外側面44mの面取り部45mは、底板部20の面取り部27(図2)に対して滑らかに接続されており(連続しており)、面取り部45mと面取り部27との間には段差が形成されていない。
【0076】
このように、外端面41mと外側面44mとの間の稜線部に、面取り部45mを形成することにより、外端面41mと外側面44mとの間の稜線部に割れや欠けが生じることを防止することが可能となる。これにより、外脚部40aによって形成される磁路の断面積が変動することを防止することが可能となり、トランス1の磁気特性のばらつきを防止することができる。
【0077】
第1ギャップ形成面46mは、外端面41mと内側面43mとを接続するように、外端面41mに対して直交する方向に延在している。第1ギャップ形成面46mは、外端面41mに対して傾斜するように延在していてもよい。第2ギャップ形成面47mは、外端面42mと内側面43mとを接続するように、外端面42mに対して直交する方向に延在している。第2ギャップ形成面47mは、外端面42mに対して傾斜するように延在していてもよい。第1ギャップ形成面46mと第2ギャップ形成面47mとは、平行に延在しているが、非平行に延在していてもよい。
【0078】
外脚部40bにおいて、外端面(第3外端面)41nと、外端面(第4外端面)42nと、外側面44nとは、外脚部40bの外縁を構成している。外端面41nと外端面42nとは、相互に平行な平坦面である。外端面41nは、ケース6(図1)の底部60と対向する。外端面41nは、底部60と接触するように配置されるが、外端面41nと底部60との間には、導電性または絶縁性の部材が配置されていてもよい。外端面42nは、外端面41nに直交する方向(すなわち、Z軸方向)に関して、外端面41nとは反対側に位置する。
【0079】
図5に示す例では、外脚部40bに面取り部45nが形成されているため、外端面41nと外端面42nとは対向してはいない。ただし、図6に示すように、外脚部40bに面取り部45nが形成されていない場合、外端面41nの少なくとも一部と外端面42nとはZ軸に沿って対向する。図5に示すように、外端面41nのX軸に沿った長さは、外端面42nのX軸に沿った長さよりも長くなっているが、これと等しくてもよく、あるいはこれよりも短くてもよい。
【0080】
内側面(内周面)43nは、中脚部30の径方向の外側において、中脚部30の外周面31に沿って延在している。内側面43nと外周面31との間の隙間には、ボビン9の筒部90(図2)と、筒部90に巻回された第1巻回部70(図2)または第2巻回部80とが配置される。内側面43nは、中脚部30の外周面31に沿って湾曲しているが、内側面43nの少なくとも一部が直線状に延在していてもよい。
【0081】
外側面44nは、X軸方向に関して内側面43nとは反対側に位置し、外端面41nおよび外端面42nと交差している。外側面44nの一部は、底板部20の側端面26(図2)に沿って延在しており、外端面42nに対して直交する方向に延在している。外側面44nは、側端面26に対して滑らかに接続されており(連続しており)、外側面44nと側端面26との間には段差が形成されていない。コア2aの外側面44n(図2)は、ケース6(図1)の側部61の第3面61cに対向し、コア2bの外側面44nは、側部61の第4面61dに対向する。
【0082】
図5に示すように、外側面44nの残りの一部には、面取り部45nが形成されており、外端面41nに対して傾斜する方向に延在している。面取り部45nは、外端面41nと外側面44nとの間の稜線部(外端面41nと外側面44nとの交差部)に形成されている。外側面44nの面取り部45nは、底板部20の面取り部27(図2)に対して滑らかに接続されており(連続しており)、面取り部45nと面取り部27との間には段差が形成されていない。
【0083】
第1ギャップ形成面46nは、外端面41nと内側面43nとを接続するように、外端面41nに対して直交する方向に延在している。第1ギャップ形成面46nは、外端面41nに対して傾斜するように延在していてもよい。第2ギャップ形成面47nは、外端面42nと内側面43nとを接続するように、外端面42nに対して直交する方向に延在している。第2ギャップ形成面47nは、外端面42nに対して傾斜するように延在していてもよい。第1ギャップ形成面46nと第2ギャップ形成面47nとは、平行に延在しているが、非平行に延在していてもよい。
【0084】
外端面41mと外端面41nとの間には、底板部20の底端面23の一部がX軸に沿って延在している。底端面23は、外端面41mおよび外端面41nに対して連続的に(滑らかに)延在している。底端面23と外端面41mと外端面41nとは、いずれも平坦面であり、かつ、面一となっている。したがって、底端面23には、段差や凹部が形成されてはいない。
【0085】
第1ギャップ形成面46mと第1ギャップ形成面46nとは、X軸に沿って対向している。第1ギャップ形成面46mと第1ギャップ形成面46nとの間には、第1ギャップG1が形成されている。第2ギャップ形成面47mと第2ギャップ形成面47nとは、X軸に沿って対向している。第2ギャップ形成面47mと第2ギャップ形成面47nとの間には、第2ギャップG2が形成されている。
【0086】
外端面41mと外端面41nとの間には、第1開放部51が形成されている。第1開放部51は、第1ギャップG1のZ軸に沿った端部であり、ケース6(図1)の底部60に向かって開放している。外端面42mと外端面42nとの間には、第2開放部52が形成されている。第2開放部52は、第2ギャップG2のZ軸に沿った端部であり、ケース6(図1)の開口部に向かって開放している。
【0087】
図1に示すように、第1開放部51は、ケース6の底部60に沿って、Y軸に沿って延在している。図2に示すように、コア2aまたは2bにおいて、第1開放部51は、外脚部40aおよび40bの付け根(外脚部40aおよび40bと底板部20との交差部)から、外脚部40aおよび40bの先端部にかけて、Y軸に沿って延在している。コア2aおよび2bを組み合わせた状態(図1参照)において、第1開放部51は、コア2aの外脚部40aおよび40bの付け根から、コア2bの外脚部40aおよび40bの付け根まで、Y軸に沿って延在している。
【0088】
図5に示すように、第1開放部51のX軸に沿った幅L6は、第2開放部52のX軸に沿った幅L7よりも小さい。漏れ磁束が、第1開放部51を介して、コア2a(2b)の外側に流出することを防止するためである。そして、漏れ磁束がケース6(図1)の底部60に鎖交することを防止し、ひいては底部60に渦電流が発生することを防止するためである。L6とL7との比L6/L7は、特に限定されないが、例えば1/10≦L6/L7≦4/5であり、あるいは1/5≦L6/L7≦3/5であり、あるいは1/5≦L6/L7≦1/2である。なお、コア2a(2b)のX軸に沿った長さをL1としたとき、L6/L1は、特に限定されないが、例えば1/20≦L6/L1≦1/2であり、あるいは1/10≦L6/L1≦1/3である。
【0089】
第1開放部51のX軸に沿った幅L6は、中脚部30のX軸に沿った幅(本実施形態では、中脚部30の直径)L8よりも小さい。L6とL8との比L6/L8は、特に限定されないが、例えば1/10≦L6/L8≦4/5であり、あるいは1/5≦L6/L8≦3/5である。この場合、第1開放部51を介して、漏れ磁束が底部60(図1)に向けて流出しにくくなる。そのため、漏れ磁束が底部60に鎖交しにくくなり、底部60に渦電流が発生することを有効に防止することができる。また、中脚部30の周囲に配置される第1巻回部70(または、第2巻回部80)の外周面が、第1開放部51の外側(すなわち、底部60側)に露出しにくくなる。そのため、この点においても、漏れ磁束が底部60に鎖交しにくくなり、底部60に渦電流が発生することを有効に防止することができる。
【0090】
中脚部30の中心(軸心)は、底板部20の中心に対して、Z軸に沿って一方側(図1のケース6の開口部側)に位置ずれしている。そのため、中脚部30は、第1開放部51よりも、第2開放部52に近接している。この場合、中脚部30の周囲に配置される第1巻回部70(図2)または第2巻回部80は、第1開放部51よりも、第2開放部52に近接して配置される。このように、第1巻回部70等が第2開放部52側に偏在することにより、第1巻回部70等の外周面が第1開放部51の外側(すなわち、図1のケース6の底部60側)に露出しにくくなる。そのため、漏れ磁束が底部60に鎖交しにくくなり、底部60に渦電流が発生することを有効に防止することができる。
【0091】
内側面43mと外側面44mとの間のX軸に沿った厚みL4は、第2開放部52に向かうにしたがって、大きくなっている。内側面43nと外側面44nとの間のX軸に沿った厚みについても同様である。そして、外脚部40aおよび40bは、第2開放部52側において、中脚部30の外周面31に沿って、底板部20のX軸方向の中央に向かうように湾曲(突出)している。そのため、第1外脚部40aおよび第2外脚部40bによって形成される磁路が閉磁路に近くなるように、第2開放部52のX軸に沿った幅L8を狭めることができる。その結果、より多くの磁束が外脚部40aおよび40bを通過するようになり、トランス1の磁気特性を向上させることができる。
【0092】
また、内側面43mと外側面44mとの間のX軸に沿った厚みL4は、外脚部40aのZ軸方向の中央に向かうにしたがって、小さくなっている。内側面43nと外側面44nとの間のX軸に沿った厚みについても同様である。そのため、外脚部40aのZ軸方向の中央部において、外脚部40aのX軸に沿った厚みを低減することが可能となり、コア2a(2b)の小型化を図ることができる。
【0093】
外端面41mと内側面43mとの間のZ軸に沿った最小厚み(すなわち、第1ギャップ形成面46mのZ軸に沿った長さ)L3は、外側面44mと内側面43mとの間のX軸に沿った最小厚みL4よりも小さい。ただし、図6に示すように、外端面41mと内側面43mとの間のZ軸に沿った最小厚みL3は、外側面44mと内側面43mとの間のX軸に沿った最小厚みL4よりも大きくてもよい。外端面41nと内側面43nとの間のZ軸に沿った最小厚みについても同様である。図6に示すコア2a(2b)は、図5に示すコア2a(2b)に比べて、外端面41mと内側面43mとの間のZ軸に沿った厚みが厚くなるように形成されている。
【0094】
図6に示す例では、図5に示す例に比べて、外脚部40aによって形成される磁路の断面積を大きく確保することが可能となり、トランス1の磁気特性を向上させることができる。また、中脚部の周囲に第1巻回部70(図2)または第2巻回部80を配置したとき、外端面41mと内側面43mとの間の厚みL3に応じて、第1巻回部70または第2巻回部80の外周面が第1開放部51から第2開放部52側に離間した位置に配置される。そのため、第1巻回部70または第2巻回部80の外周面が第1開放部51の外側(すなわち、図1のケース6の底部60側)に露出しにくくなる。その結果、漏れ磁束が底部60に鎖交しにくくなり、底部60に渦電流が発生することを有効に防止することができる。
【0095】
図5に示すように、外端面41mと内側面43mとの間のZ軸に沿った最小厚みL3は、外端面42mと内側面43mとの間のZ軸に沿った最小厚み(すなわち、第2ギャップ形成面47mのZ軸に沿った長さ)L5よりも大きい。外端面41nと内側面43nとの間のZ軸に沿った最小厚みについても同様である。この場合も、外端面41mと内側面43mとの間の厚みL3に応じて、第1巻回部70または第2巻回部80の外周面が第1開放部51から第2開放部52側に離間した位置に配置される。そのため、第1巻回部70または第2巻回部80の外周面が第1開放部51の外側(すなわち、図1のケース6の底部60側)に露出しにくくなり、漏れ磁束が底部60に鎖交することを防止することができる。なお、L3=L5でもよく、あるいはL3<L5でもよい。
【0096】
次に、トランス1の製造方法について説明する。まず、図1および図2に示す各部材を準備する。図2に示すように、ボビン9の端子台98aには、端子10cおよび10dを一体成形しておき、ボビン9の端子台98bには、端子10aおよび10bを一体成形しておく。次に、ボビン9の鍔部93bと鍔部93cとの間において、筒部90に第1ワイヤ7を巻回し、第1巻回部70を形成する。また、ボビン9の鍔部93aと鍔部93bとの間において、筒部90に第2ワイヤ8を巻回し、第2巻回部80を形成する。
【0097】
次に、第1引出部71aを端子台98bに向けて引き出し、第1引出部71aを端子10aの継線部11aにかしめる。また、第1引出部71bを端子台98bに向けて引き出し、第1引出部71bを端子10bの継線部11bにかしめる。また、第2引出部81aを端子台98aに向けて引き出し、第2引出部81aを端子10cの継線部11cにかしめる。また、第2引出部81bを端子台98aに向けて引き出し、第2引出部81bを端子10dの継線部11dにかしめる。そして、継線部11a~11dの周囲に例えばレーザを照射し、継線部11a~11dに各引出部を一体化させる。
【0098】
次に、コア2aの中脚部30を筒部90の貫通孔の内部に挿入し、コア2aをボビン9に取り付ける。また、コア2bの中脚部30を筒部90の貫通孔の内部に挿入し、コア2bをボビン9に取り付ける。必要に応じて、コア2aの中脚部30の先端部32とコア2bの中脚部30の先端部32とを接着剤等によって接着してもよい。また、コア2aの外脚部40a(40b)の先端部とコア2bの外脚部40a(40b)の先端部とを接着剤等によって接着してもよい。
【0099】
次に、図1に示すように、コア2aおよび2b等が取り付けられたボビン9をケース6の内部に収容する。このとき、外端面41mおよび41n(図5)がケース6の底部60と対向するように、コア2aおよび2b等が取り付けられたボビン9をケース6の内部に収容する。次に、必要に応じて、ケース6の内部に放熱性樹脂を充填する。以上のようにして、図1に示すトランス1を製造することができる。
【0100】
以上で説明したように、本実施形態では、図5に示すように、外脚部40aがケース6(図1)の底部60と対向する外端面41mを有し、外脚部40bが底部60と対向する外端面41nを有する。そのため、外端面41mと外端面41nとの間に形成された第1開放部51は、必然的に、底部60に向けて開放されることになる。このように、第1開放部51が底部60に向けて開放されることにより、第1開放部51が放熱経路として機能する。これにより、コア2a、コア2b、第1巻回部70、第2巻回部80等の熱が、底部60に向けて放熱されやすくなり、トランス1の放熱性を高めることができる。また、ケース6の内部に放熱性樹脂を充填した場合、第1開放部51を介して、放熱性樹脂が底部60に向けて流出する。そのため、放熱性樹脂がケース6の隅々に行き渡りやすくなり、トランス1の放熱性をさらに高めることができる。
【0101】
また、外端面41mと外端面41nとの間に形成された第1開放部51の幅L6は、外端面42mと外端面42nとの間に形成された第2開放部52の幅L7よりも小さい。この場合、第1開放部51を介して、漏れ磁束が底部60(図1)に向けて流出しにくくなる。そのため、漏れ磁束が底部60に鎖交しにくくなり、底部60に渦電流が発生することを防止することができる。これにより、トランス1の損失を低減し、トランス1の効率を増大させることができる。
【0102】
このように、本実施形態では、トランス1の損失を低減するにあたり、コア2aおよび2bと底部60との間の距離を大きくする必要がなく、トランス1の小型化を図ることができる。また、コア2aおよび2bと底部60と間に、漏れ磁束を遮蔽するための磁性体を設置する必要がなく、製造コストが増大することがない。よって、本実施形態によれば、製造コストの増大を伴うことなく、小型かつ低損失のトランス1を提供することができる。
【0103】
また、図2に示すように、底板部20の外縁には、少なくとも外端面41m(図5)と外端面41n(図5)との間で、X軸に沿って延在する底端面23が形成されており、底端面23は、平坦面である。そのため、底端面23を凹面とした場合に比べて、底端面23とケース6(図1)の底部60との間に隙間が形成されにくくなる。そのため、漏れ磁束が、当該隙間を介して、底板部20の外側に流出しにくくなる。これにより、漏れ磁束が底部60に鎖交しにくくなり、底部60に渦電流が発生することを有効に防止することができる。
【0104】
また、図5に示すように、外端面41mと底端面23との間には段差が形成されておらず、外端面41nと底端面23との間には段差が形成されていない。この場合も、底端面23とケース6(図1)の底部60との間に隙間が形成されにくくなり、漏れ磁束が、当該隙間を介して、底板部20の外側に流出しにくくなる。そのため、漏れ磁束が底部60に鎖交しにくくなり、底部60に渦電流が発生することを有効に防止することができる。
【0105】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0106】
(1)図7に示すように、図2に示すコア2aは、コア2aを二分割した2つの分割コア2a_1および2a_2で構成されていてもよい。分割コア2a_1および2a_2は、それぞれ、底板部20Aと、中脚部30Aとを有する。底板部20Aは、図2に示すコア2aの底板部20を二分割した形状を有する。中脚部30Aは、図2に示すコア2aの中脚部30を二分割した形状を有する。そのため、中脚部30Aの横断面形状は、半円形状である。分割コア2a_1と分割コア2a_2とをX軸に沿って組み合わせることにより、図2に示すコア2aを構成することができる。このように、分割コア2a_1および2a_2を組み合わせることにより、コアロスを低減し、トランス1の効率を高めることができる。
【0107】
(2)図8に示すように、図6に示すコア2aは、コア2aを二分割した2つの分割コア2a_1および2a_2で構成されていてもよい。分割コア2a_1と分割コア2a_2とをX軸に沿って組み合わせることにより、図6に示すコア2aを構成することができる。このように、分割コア2a_1および2a_2を組み合わせることにより、コアロスを低減し、トランス1の効率を高めることができる。なお、底板部20Bの頂端面24Bは、底板部20のX軸方向の中央に向かうにしたがって、中脚部30に近づくように傾斜している。また、底板部20Bの外縁には、底端面23に対して傾斜する傾斜面28が形成されている。
【0108】
(3)上記実施形態では、コア2aおよび2bのいずれもE型コアであったが、コア2aおよび2bのいずれか一方をI型コアで構成してもよい。あるいは、コア2aおよび2bをU型コアで構成してもよい。
【0109】
(4)上記実施形態において、図2に示す底板部20の底端面23および/または頂端面24は、傾斜面でもよく、あるいは凹凸面でもよい。
【0110】
(5)上記実施形態において、図2に示すトランス1にはボビン9が具備されていたが、ボビン9をトランス1の構成から省略してもよい。この場合、コア2aおよび2bの中脚部30に第1ワイヤ7および第2ワイヤ8を直接的または間接的に巻回してもよい。
【0111】
(6)図1に示すように、上記実施形態では、トランス1には、シールドとして、底部60と、側部61と、突出部62aおよび62bとを有するケース6が具備されていた。しかしながら、シールドは、ケース状の部材に限定されず、金属製の板状部材でもよい。例えば、ケース6から、側部61と、突出部62aおよび62bとを省略し、底部60のみを有するケース6をシールドとして用いてもよい。
【0112】
(7)本発明をインダクタなどのトランス以外のコイル装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0113】
1…トランス
2a,2b,2a_1,2b_1,2a_2,2b_2…コア
20,20A,20B…底板部
21…第1主面
22…第2主面
23…底端面
24,24B…頂端面
25,26…側端面
27…面取り部
28…傾斜面
30,30A…中脚部
31…外周面
32…先端部
40a,40b…外脚部
41m,41n,42m,42n…外端面(第1外端面~第4外端面)
43m,43n…内側面
44m,44n…外側面
45m,45n…面取り部
46m,46n…第1ギャップ形成面
47m,47n…第2ギャップ形成面
51…第1開放部
52…第2開放部
6…ケース
60…底部
61…側部
61a~61d…第1面~第4面
62a,62b…突出部
7…第1ワイヤ
70…第1巻回部
71a,71b…第1引出部
8…第2ワイヤ
80…第2巻回部
81a,81b…第2引出部
9…ボビン
90…筒部
91…貫通孔
92…流通孔
93a~93c…鍔部
94…連通部
95a,95c…脚部
96…凸部
97…幅広凸部
98a,98b…端子台
980…台座
981m,981n…端子固定部
982…仕切部
983m,983n…案内溝
99…切り欠き部
10a~10d…端子
11a~11d…継線部
12a~12d…実装部
13a~13d…中間部
G1…第1ギャップ
G2…第2ギャップ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8