(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015973
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】計量装置に連続供給するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01F 13/00 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
G01F13/00 301Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023098767
(22)【出願日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】10 2022 115 177.8
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】514297888
【氏名又は名称】マルコ システマナリセ ウント エントヴィックルング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロイター,マルティン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】計量装置に連続供給するための方法および装置を提供する。構成要素の洗浄または交換を必要とすることなく、あるいは計量パラメータの完全な再調整を行うことなく、異なるバッチを計量装置に連続供給できること。
【解決手段】同一の液体媒体の異なるバッチA、Bを計量装置10に連続供給するための方法であって、第1の前記バッチAの計量後に新しい前記バッチBが前記計量装置10に供給され、このようなバッチ交換中に、制御部50の助けを借りて、前記新しいバッチBの媒体が前記第1のバッチAの媒体に漸進的に添加される、方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の液体媒体の異なるバッチ(A、B)を計量装置(10)に連続供給するための方法であって、第1の前記バッチ(A)の計量後に新しい前記バッチ(B)が前記計量装置(10)に供給され、このようなバッチ交換中に、制御部(50)の助けを借りて、前記新しいバッチ(B)の媒体が前記第1のバッチ(A)の媒体に漸進的に添加される、方法。
【請求項2】
前記第1のバッチおよび前記新しいバッチの媒体は、ライン(20)内で混合されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
単位時間当たりに添加される前記媒体の量は、前記制御部(50)によって予め設定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のバッチ(A)の媒体は、第1の容器(12)から供給され、前記第2のバッチ(B)の媒体は、第2の容器(14)から供給され、前記計量装置(10)に前記第1の容器(12)からの前記媒体(A)が供給されている間に、前記第2の容器(14)内の媒体が調整されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の容器(14)内の媒体は、脱気されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記計量装置(10)は、計量される前記媒体の粘度が変化した際に計量パラメータの適合が行われるように用いられることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法を実施するための装置であって、第1の容器(12)および第2の容器(14)と、第1のポンプ(16)および第2のポンプ(18)と、を有し、前記ポンプにより、共通のライン(20)を介して媒体が計量装置(10)に供給可能になり、前記第2の容器(14)からの媒体が前記第1の容器(12)の媒体に漸進的に添加されるように2つの前記ポンプ(16、18)を制御するように構成および適合された制御部(50)を有する、装置。
【請求項8】
前記容器(12、14)の両方には、充填レベルセンサ(52、54)が設けられ、前記制御部(50)は、前記充填レベルセンサ(52、54)の信号に応じて2つの前記ポンプ(16、18)の制御を行うことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記容器(12、14)の両方には、撹拌ユニット(60、62)および/または温度制御装置が設けられることを特徴とする、請求項7または8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一の液体媒体の異なるバッチを計量装置に連続供給するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業生産において、例えば接着剤または鋳造材料などの液体の異なるバッチが、その特性に関して著しく異なるという問題がしばしば発生する。しかしながら、計量バルブの開弁時間、媒体圧力、または温度などの計量パラメータを変化させて補正を行うことで、例えば粘度などの媒体パラメータが変化しても同じ計量結果を得ることができる。計量結果が計量中に制御される場合、軽微でゆっくりと生じる変化は、計量パラメータを適合させることで補正することができる。しかしながら、計量パラメータの再調整だけでは一貫した計量結果を得ることができないほど、計量される媒体の特性がバッチ交換中に大きく変化する場合もある。
【0003】
この問題を解決するために、バッチ交換中に、媒体を誘導するすべての構成要素を洗浄または交換することが提案されている。しかしながらこの場合、後続のバッチの特性に合わせて計量システムを再調整する必要がある。その一方で、バッチ交換が洗浄なしで行われた場合、媒体の特性が急激に変化するので、その間の計量パラメータの自動再調整が不可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、計量装置に連続供給するための方法および装置を提供することである。この方法および装置によって、構成要素の洗浄または交換を必要とすることなく、あるいは計量パラメータの完全な再調整を行うことなく、異なるバッチを計量装置に連続供給することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項に記載の特徴によって達成される。
【0006】
この目的を達成するために、第1の態様によれば、同一の液体媒体の異なるバッチを計量装置に連続供給するための方法が提供される。該方法において、第1のバッチの計量後に新しいバッチが計量装置に供給される。これに関して、このようなバッチ交換中に、制御部の助けを借りて、新しいバッチの媒体が第1のバッチの媒体に漸進的に添加される。古いバッチの媒体への新しいバッチの媒体の漸進的添加、すなわち徐々に増加する添加により、2つのバッチ間の移行が滑らかになり、計量装置の制御部が、計量パラメータを適合させることで2つの媒体の特性への連続的な適合を実施することができる。計量装置の制御により、添加された媒体のパラメータのわずかな変化を補正することができ、中断のない生産が可能になる。新しいバッチの添加は制御部によって制御されるので、2つの媒体間の移行は、所望するように制御することができ、特に、計量装置に供給される媒体の材料パラメータに急激な変化が起こることなくわずかな変化のみが生じるように制御することができる。
【0007】
本発明の有利な実施形態は、本明細書、添付の図面、および従属請求項に記載されている。
【0008】
第1の有利な実施形態によれば、第1のバッチおよび新しいバッチの媒体は、計量装置に供給される前にライン内で混合され得る。古いバッチの媒体と新しいバッチの媒体とが特定の混合比で添加されるこのような共通の供給ラインにより、例えばスタティックミキサーなどの混合部品をこの目的のために追加することなく、ライン内で混合を行うことができる。
【0009】
さらに有利な実施形態によれば、単位時間当たりに添加される媒体の量は、制御部によって予め設定され得る。したがって、例えば、新しいバッチの媒体がまず少量だけ古いバッチの媒体に添加され、時間と共に量が増加するように、制御部で予め設定され得る。これにより、2つの媒体の混合後に計量装置に添加される媒体にわずかな変化のみが生じる。
【0010】
さらに有利な実施形態によれば、第1のバッチの媒体は、第1の容器から供給され、第2のバッチの媒体は、第2の容器から供給され得る。ここで、計量装置に第1の容器からの媒体が供給されている間に、第2の容器内の媒体が調整される。これにより、連続動作を維持する際に、新しいバッチの事前調整、例えば混合、温度制御、および/または脱気が可能になるという利点が得られる。
【0011】
さらに有利な実施形態によれば、計量装置は、計量される媒体の粘度が変化した際に計量パラメータの自動適合が行われるように用いられ得る。この場合、計量される媒体の材料特性のわずかな変化のみで、この目的のために動作を中断することなく、一定の計量結果を達成することができる。
【0012】
さらに有利な実施形態によれば、上述した種類の方法を実施するための装置が提供され得る。該装置は、第1および第2の容器と、第1および第2のポンプと、を有し、このポンプにより、共通のラインを介して媒体が計量装置に供給され得る。さらに、第2の容器からの媒体が第1の容器からの媒体に漸進的に添加されるように2つのポンプを制御するように構成および適合された制御部が提供され得る。各ポンプによって共通のラインに供給される量は、2つのポンプを適切に制御することで予め定義および設定され得る。ここで、特に、単位時間当たりに2つのポンプによって供給ラインに供給される量の比率も予め設定され得る。
【0013】
例えば、ピストンポンプが使用される場合、単位時間当たりのピストンストロークの数および/またはそれぞれのピストンストロークの長さは、制御部の助けを借りて予め設定され得る。新しいバッチの媒体を古いバッチの媒体に漸進的に混合する場合、例えば、一方のポンプがまず9回ポンプストロークを行い、他方のポンプが単位時間当たり1回ポンプストロークを行う。その後、この比率を所定の期間にわたって漸進的に変化させることで、移行段階の終了時に新しいバッチのポンプのみが動作し、古いバッチのポンプがオフに切り替えられる。これに関して、入力が2つのポンプに接続され、出力が計量装置に接続された共通のラインで古いバッチと新しいバッチの2つの媒体の混合を有利に行うことができる。
【0014】
さらに有利な実施形態によれば、容器の両方には、充填レベルセンサが設けられ得る。ここで、制御部は、充填レベルセンサの信号に応じて2つのポンプの制御を行う。本実施形態において、容器内のバッチの媒体が少なくなったときに、充填レベルセンサの助けを借りて連続動作を行うかどうかを判断することができるので、自動で連続動作を実行することができる。その後、新しいバッチの媒体を供給するポンプを作動させて、漸進的な混合によって2つのバッチ間の滑らかな移行を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下、本発明の有利な実施形態と添付の図面を参照して、純粋に一例として本発明を説明する。
【
図1】連続的に媒体を供給するための装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、同一の液体媒体の異なるバッチAおよびBを計量装置10に連続供給するための装置を示す。計量装置10は、模式的に示されているだけであり、少なくとも1つの計量バルブ、例えばジェットバルブを備え、このバルブを用いて媒体を少量ずつ供給することができる。さらに、計量装置は、既知の制御部を有する。制御部を用いて、計量される媒体の材料特性のわずかな変化を、計量バルブの開弁時間、媒体圧力、または温度などの計量パラメータを適合させることで補正することができる。これにより、一貫した計量結果を得ることができる。
【0017】
さらに、
図1に示す装置は、実質的に同一の2つの容器12および14を有する。ここで、第1のバッチAの媒体が容器12に充填され、第2のバッチBの媒体が容器14に充填される。両方の媒体は、同じ液体媒体、例えば接着剤または鋳造材料であるが、異なるバッチであることで、異なる材料パラメータを有する場合がある。媒体を供給するために、容器12はポンプ16と連通し、容器14はポンプ18と連通する。2つのポンプ16および18により、容器内の媒体は、供給ライン22および24を介して、容器12および14から、2つのポンプ16および18に接続された共通のライン20にそれぞれ送られ得る。このようにして、2つの容器12および14内の内容物を、共通のライン20を介して計量装置10に供給することができる。
【0018】
図に示す実施形態において、2つのポンプ16および18は、ピストンポンプとして設計されており、磁気的にマークされたピストン26および28をそれぞれ有する。ピストンの位置は、磁気測定システム、例えばホール素子30および32を介して読み取ることができる。ポンプ16の領域における2つのチェックバルブ34および36、ならびにポンプ18の領域における2つのチェックバルブ38および40は、容器12または容器14から共通のライン20に媒体を交互に供給する役割を果たす。
【0019】
図に示す実施形態において、2つのピストンポンプ16および18の制御は、既知の方法で圧力供給Pと圧力戻り手段Rに接続された2つの空気圧バルブによってそれぞれ行われる。
【0020】
さらに、図に示す実施形態において、一方の容器からの媒体が他方の容器からの媒体に漸進的に添加されるように、2つのポンプ16および18を制御する役割を果たす制御部50が設けられる。
【0021】
このようなバッチ交換を自動的に認識するために、容器12および14の両方には、フロート56および58によって容器12および14内のそれぞれの充填レベルを検出する充填レベルセンサ52および54がそれぞれ設けられる。例えば容器12内のバッチAの媒体が、
図1に示すように残量に達した場合、ポンプ16の全ストロークの後にポンプ18の小さいストロークをトリガーすることができるので、少量の新しいバッチBだけが供給ライン24を介して共通のライン20内に加えられる。これに関して、制御部50は、容器12から搬送される量が連続的に減少し、容器14から搬送される量が連続的に増加するようにプログラムされている。これにより、2つのバッチAおよびBの媒体間の漸進的な移行が行われる。これに関して、2つの媒体の均一な混合が、2つのバッチの媒体を計量装置10に供給する共通のライン20内で有利に行われる。ライン20内の層流により、
図2に示すように2つのバッチの混合が行われる。
図2は、ライン20内で、2つの連続した媒体がフローフロントによって分配されて混合される様子を示している。
【0022】
図3は、容器12から供給されるバッチAの媒体の量の減少と、それと同時に起きる容器14から供給される媒体Bの量の増加を示している。図に示すように、計量装置10またはライン20に供給されるバッチAの単位時間当たりの量は減少し、同様に供給されるバッチBの単位時間当たりの量は、バッチBの媒体のみが供給されるまで増加する。
【0023】
最後に、
図1は、容器12および14に撹拌ユニット60および62がそれぞれ設けられ得ることを示している。撹拌ユニットは、一方の容器からの媒体が計量装置10に供給されている間、他方の容器内の媒体を調整する。また、容器に温度制御装置および/または脱気装置を設けるとこもできる。
【0024】
上述した実施形態は、純粋に例示的なものであることに留意されたい。例えば、ポンプ16および18を他のポンプに置き換えることもできる。供給される媒体の量の制御は、単位時間当たりにポンプによって搬送されるポンプ量を予め設定することで達成することができる。
【外国語明細書】