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特開2024-159735ビークル用空調ベントのトグル構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159735
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ビークル用空調ベントのトグル構造体
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B60H1/34 611Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024073048
(22)【出願日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】202310484941.6
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】2024104794278
(32)【優先日】2024-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】シー ヤオシエン
(72)【発明者】
【氏名】ユイ チエ
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA57
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】ビークル用空調ベント組立体の提供。
【解決手段】本開示は、ビークル部品の技術分野に関し、特にビークル用空調ベントのトグル構造体に関する。トグル構造体は、第1のベーン部及び第2のベーン部を備える吹出口前ブレードと、トグルブラケット及びトグルを含むトグル組立体とを含み、トグルブラケットは、第1のベーン部と第2のベーン部との間の空洞に取り付けられるように構成され、トグルボタンは、第1のベーン部と第2のベーン部との接合部から延出する。本開示のトグル構造体は、より長く、より厚い吹出口ブレードに好適であり得て、吊り下げられた視覚効果を有するため、ベントの外観がより魅力的になる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークル用空調ベント組立体(100)であって、
第1のベーン部(102)と第2のベーン部(103)とを備える吹出口前ブレード(101)と、
トグルブラケット(107)とトグル(106)とを備えるトグル組立体(104)であって、前記トグルブラケット(107)は、前記第1のベーン部(102)と前記第2のベーン部(103)との間の空洞内に取り付けられるように構成され、前記トグル(106)は、前記第1のベーン部(102)と前記第2のベーン部(103)との接合部から延出している、トグル組立体(104)と、
を備える、ビークル用空調ベント組立体(100)。
【請求項2】
前記トグル組立体(104)は、トグルブレード(109)を更に備え、前記トグルブレード(109)の2つの端部のそれぞれにスナップイン部(113)が設けられ、前記スナップイン部(113)は、前記トグルブレード(109)を前記吹出口前ブレード(101)に固定的に取り付けるように、前記第1のベーン部(102)及び前記第2のベーン部(103)のうちの一方に配置された受け部(207)にスナップイン嵌合するように構成されている、請求項1に記載のビークル用空調ベント組立体(100)。
【請求項3】
前記スナップイン部(113)は複数の突起を備え、前記受け部(207)は複数の孔を備える、請求項2に記載のビークル用空調ベント組立体(100)。
【請求項4】
前記トグルブラケット(107)は、本体部(701)と、前記本体部(701)の一端から角度をなして延びる延長部(702)とを備える、請求項2に記載のビークル用空調ベント組立体(100)。
【請求項5】
前記トグルブラケット(107)の前記本体部(701)にトラックスロット(703)が設けられ、前記延長部(702)に挿入スロット(704)が設けられ、前記トグルブレード(109)は前記トラックスロット(703)に挿入されるように構成され、それにより、前記トグルブラケット(107)が、前記トグルブレード(109)を介して前記空洞内に取り付けられると共に、前記トグルブレード(109)に沿って前記吹出口前ブレード(101)に対し摺動可能である、請求項4に記載のビークル用空調ベント組立体(100)。
【請求項6】
前記トグル(106)は、U字形のスナップインスロット(601)と、前記U字形のスナップインスロット(601)の一端から外向きに延びるプラグイン部(602)とを備え、前記プラグイン部(602)は、前記トグルブラケット(107)の前記挿入スロット(704)内に挿入される、請求項5に記載のビークル用空調ベント組立体(100)。
【請求項7】
前記トグル(106)の前記プラグイン部(602)が前記トグルブラケット(107)の前記挿入スロット(704)内に挿入されると、前記第1のベーン部(102)及び前記第2のベーン部(103)のうちの一方の前端部が前記トグル(106)の前記U字形のスナップインスロット(601)内にスナップ止めされる、請求項6に記載のビークル用空調ベント組立体(100)。
【請求項8】
前記トグルブラケット(107)の前記トラックスロット(703)は中空であり、前記トラックスロット(703)の両端部の開口は前記トグルブレード(109)の断面にフィットする形状に形成され、前記トグルブラケット(107)の前記挿入スロット(704)は前記トグル(106)の前記プラグイン部(602)にフィットする形状に形成される、請求項6に記載のビークル用空調ベント組立体(100)。
【請求項9】
前記トグル組立体(104)は、トグルダンパー(108)を更に備え、前記トグルダンパー(108)は、前記トグルブラケット(107)と前記トグルブレード(109)との間に設けられる、請求項2に記載のビークル用空調ベント組立体(100)。
【請求項10】
前記トグル組立体(104)は、フォークブラケット(111)を更に備え、前記フォークブラケット(111)は、前記フォークブラケット(111)上に配置されたスナップイン構造を介して前記トグルブラケット(107)に固定されるように構成されている、請求項1に記載のビークル用空調ベント組立体(100)。
【請求項11】
前記トグル組立体(104)は、フォーク(112)を更に備え、前記フォーク(112)の一端は前記フォークブラケット(111)に固定され、前記フォーク(112)の他端は後ブレード組立体に接続され、それにより、前記トグル(106)が、前記吹出口前ブレード(101)に対して相対的に摺動するときに、前記後ブレード組立体を左右に回転駆動する、請求項10に記載のビークル用空調ベント組立体(100)。
【請求項12】
前記トグル(106)は、前記吹出口前ブレード(101)を上下に回転駆動するように、上下に切り換えられるように構成されている、請求項1に記載のビークル用空調ベント組立体(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ビークル部品の技術分野に関し、特にビークル用空調ベントのトグル構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ビークルの内部温度を調整するために、空調ベントは一般的にビークルのダッシュボード又は補助ダッシュボードに配置される。空調ベントは、単に空気を吹き出すだけでなく、送風方向及び送風量を調整したり、送風ダクトを開閉したりできることが望ましい。一般的に、ベントには前ブレードと後ブレードが含まれている。前ブレードは上下方向の送風方向の調整に使用され、後ブレードは左右方向の送風方向の調整に使用される。前ブレードの外側には、一般的にトグル構造体が配置されている。トグル構造体を上下に切り替えることで、前ブレードを上下に回転駆動し、ベントの送風方向を上下方向に調整することができ、また、左右に切り替えることで、後ブレードを左右に回転駆動し、ベントの送風方向を左右方向に調整することができる。
【発明の概要】
【0003】
近年、インテリアスタイリングの簡素化に伴い、ベントの開口部をより細く見せる要求が徐々に広まり、その結果、吹出口の前ブレードの長さ及び厚みが増している。この場合、トグル構造体を前ブレードに巻き付けることが難しくなり、調整の難易度が増す。トグルがブレードに巻き付くため、構造体の露出が多くなり、外観上見栄えが悪くなる。前ブレードはトグルの内側に取り付けられているため、前ブレードが長くなると、ブレード剛性の要求を満たすために、ブレードを厚くする必要があり、トグルの外側輪郭も大きくする必要があるため、トグルの構造が脆くなり、動きが停滞する。したがって、インテリアスタイリングの要求を満たすベントのトグル構造体を革新する必要がある。本開示のトグル構造体はより長く厚い吹出口ブレードに適し、吊り下げられたような視覚効果を有するため、ベントの外観がより魅力的になる。
【0004】
本開示の1つの態様によれば、第1のベーン部と第2のベーン部とを備える、吹出口前ブレードと、トグル組立体であって、該トグル組立体は、トグルブラケットと、トグルとを備え、前記トグルブラケットは、前記第1のベーン部と前記第2のベーン部との間の空洞に取り付けられるように構成され、前記トグルボタンは、前記第1のベーン部と前記第2のベーン部との接合部から延出している、トグル組立体とを備える、ビークル用空調ベント組立体が提供される。
【0005】
本開示の1つの態様によれば、前記トグル組立体は、トグルブレードを更に備え、前記トグルブレードの2つの端部には、それぞれスナップイン部が設けられ、前記スナップイン部は、前記トグルブレードを前記吹出口前ブレードに固定的に取り付けるように、前記第1のベーン部及び前記第2のベーン部の一方に配置された受け部とスナップイン嵌合するように構成されている。
【0006】
本開示の1つの態様によれば、前記スナップイン部は複数の突起を含み、前記受け部は複数の孔を含む。
【0007】
本開示の1つの態様によれば、前記トグルブラケットは、本体部と、前記本体部の一端から角度をなして延びる延長部とを備える。
【0008】
本開示の1つの態様によれば、前記トグルブラケットの前記本体部には、トラックスロットが設けられ、前記延長部には、挿入スロットが設けられ、前記トグルブレードが前記トラックスロットに挿入されるように構成されることで、前記トグルブラケットが、前記トグルブレードを介して前記空洞内に取り付けられると共に、前記トグルブレードに沿って前記吹出口前ブレードに対して摺動可能である。
【0009】
本開示の1つの態様によれば、前記トグルは、U字形のスナップインスロットと、前記U字形のスナップインスロットの一端から外向きに延びるプラグイン部とを備え、前記プラグイン部は、前記トグルブラケットの前記挿入スロットに挿入される。
【0010】
本開示の1つの態様によれば、前記トグルの前記プラグイン部が前記トグルブラケットの前記挿入スロットに挿入されると、前記第1のベーン部及び前記第2のベーン部の一方の前端部が前記トグルの前記U字形のスナップインスロットにスナップ止めされる。
【0011】
本開示の1つの態様によれば、前記トグルブラケットの前記トラックスロットは中空であり、前記トラックスロットの両端部の開口は前記トグルブレードの断面にフィットする形状であり、前記トグルブラケットの前記挿入スロットは前記トグルの前記プラグイン部にフィットする形状である。
【0012】
本開示の1つの態様によれば、前記トグル組立体は、前記トグルブラケットと前記トグルブレードとの間に設けられるトグルダンパーを更に備える。
【0013】
本開示の1つの態様によれば、前記トグル組立体は、上に配置されたスナップイン構造を介して前記トグルブラケットに固定されるように構成されたフォークブラケットを更に備える。
【0014】
本開示の1つの態様によれば、前記トグル組立体は、フォークを更に備え、前記フォークの一端は前記フォークブラケットに固定され、他端は後ブレード組立体に接続されることで、前記トグルが、前記吹出口前ブレードに対して相対的に摺動するときに前記後ブレード組立体を左右に回転駆動する。
【0015】
本開示の1つの態様によれば、前記トグルは、前記吹出口前ブレードを上下に回転駆動するように、上下に切り換えられるように構成されている。
【0016】
本開示の追加の態様及び利点の一部は、以下の説明において記載され、一部は以下の説明から明らかになるか、又は本開示の実施によって学ばれるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の一実施形態によるビークル用空調ベント組立体100の構造概略図である。
図2図1に示すビークル用空調ベント組立体100の分解概略図である。
図3図2に示す組み立てられたトグル組立体104の構造概略図である。
図4図3に示すトグル組立体104の構造分解概略図である。
図5A図4に示すトグルブラケット107の構造概略側面図である。
図5B図4に示すトグルブラケット107の構造概略背面図である。
図6A図4に示すトグル106の正面図である。
図6B図4に示すトグル106の側面図である。
図7図3に示すトグル組立体104を、吹出口前ブレード101の第1のベーン部102の内側に取り付けた状態を示す概略図である。
図8図1に示すビークル用空調ベント組立体100の断面A-Aに沿った概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の様々な特定の実施態様を、本開示の一部を構成する添付図面を参照して以下に説明するが、本開示の範囲を限定するものではない。本開示において、方向を示す「前(フロント)」、「後(リア)」、「上」、「下」、「左」、「右」等の用語が、本開示における様々な例示的な構造部品及び要素の向きを説明するために使用されるが、本開示で使用される用語は、単に説明を容易にするために使用され、添付図面に示される例示的な向きに基づいて決定されることを理解されたい。本開示において開示される実施形態は、異なる方向で提供することができるため、方向を示す用語は、単なる例示であり、限定とみなされるべきではない。更に、本開示において使用される用語「第1の」、「第2の」等は、これらの対象間に特定の順序関係があることを示すのではなく、単に異なる対象を区別するために使用される。用語「備える/含む」及びその派生語は、制限なく含めることを意味する。別段の指定及び限定がない限り、「取り付ける(搭載する)」、「接続する」及び「接続」という用語は、広義に理解されるべきである。例えば、機械的若しくは電気的な接続、2つの要素間の内部の連通、又は直接的な接続若しくは中間媒体を介した間接的な接続等である。当業者にとって、上記の用語の具体的な意味は、特定の場合に応じて理解することができる。可能であれば、本開示において使用される同一又は類似の参照符号は、同一の構成要素を指す。
【0019】
図1は、本開示の一実施形態によるビークル(車両、乗り物、輸送体)用空調ベント(通気口)組立体100の構造概略図である。
【0020】
図1に示すように、ビークル用空調ベント組立体100は、吹出口(空気出口)前ブレード101と、トグル(ボタン)組立体104とを含む。吹出口前ブレード101は、第1のベーン部102と第2のベーン部103とを含む。第1のベーン部102と第2のベーン部103は、組み合わされて吹出口前ブレード101を形成する。図1に示すように、トグル組立体104は、前ブレード101に巻き付け式に取り付けられる代わりに、「吊り下げ式」に前ブレード101に取り付けられる。トグル組立体104を上下に切り替えることにより、トグル組立体104は、前ブレード101を上下方向に共に回転駆動することができ、その結果、ベントの送風方向を上下方向に調整することができる。トグル組立体104を左右に切り替えることにより、トグル組立体104は、前ブレード101に対して或る程度左右に摺動することができ、同時に、吹出口前ブレード101の後部接合部から延びるトグル組立体のフォーク(詳細は後述する)が吹出口後ブレード(図示せず)を左右方向に回転駆動することができ、ベントの送風方向を左右方向に調整することができる。
【0021】
図2は、図1に示すビークル用空調ベント組立体100の分解概略図である。
【0022】
図2に示すように、トグル組立体104の一部は、吹出口前ブレード101の第1のベーン部102と第2のベーン部103との間に形成された空洞内に配置され、トグル組立体104のトグルは、吹出口前ブレード101の前部接合部から部分的に延び、前部接合部でスナップ止めされるため、視覚的に「吊り下げ」効果が得られ、トグル組立体104のフォークは、吹出口前ブレード101の後部接合部から延びる。図2に示すように、複数のバックル201は、第1のベーン部102の後端部の縁部の外側に配置され、第1のベーン部102の前端部は円弧状であり、複数の位置決め凹部203は、第1のベーン部102の前端部の縁部の内側に配置され、複数の制限突出部205は、複数の位置決め凹部203の間に配置される。これに対応して、第2のベーン部103の後端部の縁部の外側には複数のスナップイン突出部301が配置され、第2のベーン部103の前端部の縁部には複数の位置決め隆起部303が配置されている。第1のベーン部102と第2のベーン部103とを組み合わせるプロセスでは、まず、第2のベーン部103の前端部の縁部における複数の位置決め隆起部303が、第1のベーン部102の前端部の縁部の内側における対応する位置決め凹部203に挿入され、これにより、第2のベーン部103の前端部は、第1のベーン部102の複数の制限突出部205と第1のベーン部102の円弧状の前端部の縁部との間にスナップ止めされ、第1のベーン部102と第2のベーン部103の前端部同士が係合する。次に、第1のベーン部102及び第2のベーン部103の後端部同士を係合させるために、第2のベーン部103の後端部の縁部の外側に配置された複数のスナップイン突出部301が、第1のベーン部102の後端部の縁部の外側に配置された複数のバックル201にスナップ止めされるまで、第2のベーン部103の後端部を第1のベーン部102の後端部に向けて移動させる。このとき、第1のベーン部102と第2のベーン部103とが互いに固定的に取り付けられることにより、吹出口前ブレード101が形成される。当業者であれば、前述した取付け工程は一例に過ぎず、他の結合方法によって第1のベーン部102と第2のベーン部103とを一緒に取り付けて吹出口前ブレード101を形成してもよいことを理解されたい。
【0023】
図3は、図2に示す組み立てられたトグル組立体104の構造概略図である。
【0024】
図3に示すように、本開示の1つの実施形態によれば、図2の第1のベーン部102と第2のベーン部103との間に形成された空洞に取り付けられたトグル組立体104は、主に、トグルブラケット107と、トグルブラケット107に固定的に取り付けられたトグル106、トグルブレード109及びフォーク112とを含む。トグルブラケット107、トグル106及びフォーク112は、トグルブレード109に沿って摺動可能である。トグルブレード109の2つの端部には、それぞれ一対の突起113が設けられており、トグルブレード109は、トグルブレードの両端部の突起113を、図2に示す第1のベーン部102の内面に配置された対応する4つの受け部207(オメガ形状の孔として図示)に取り付けることにより、第1のベーン部102と第2のベーン部103との間の空洞に固定的に取り付けられる。この場合、トグルブラケット107、トグル106及びフォーク112は、トグルブレード109に沿って、第1のベーン部102及び第2のベーン部103から構成される吹出口前ブレード101に対して相対的に摺動することができる。トグル組立体104の様々な構成要素について、以下により詳細に説明する。
【0025】
図4は、図3に示すトグル組立体104の構造分解概略図である。
【0026】
図4に示すように、本開示の1つの実施形態によれば、トグル組立体104は、トグルトリムストリップ105と、トグル106と、トグルブラケット107と、トグルダンパー108と、トグルブレード109と、ボールプランジャー110と、フォークブラケット111と、フォーク112とを含む。トグル組立体104の組立てプロセスでは、まず、トグルダンパー108をトグルブラケット107に取り付け、トグルブレード109をトグルブラケット107の側面におけるトラックスロット(詳細は後述する)に挿入し、次いで、ボールプランジャー110をトグルブレード109に取り付け、次いで、フォークブラケット111をトグルブラケット107にスナップ式に取り付け、次いで、フォーク112をフォークブラケット111に取り付けることにより、仮組立体が形成される。吹出口前ブレード101の第1のベーン部102の内面には、4つのオメガ形状の孔207が形成されており、仮組立体のトグルブレード109の両側に配置された4つの突起113を4つのオメガ形状の孔に取り付けることにより、仮組立体が第1のベーン部102に取り付けられる。当業者であれば、オメガ形状の孔は第2のベーン部103にも設けることができ、仮組立体は、孔と突起の嵌合のみに限定されることなく、他の方法で第1のベーン部102又は第2のベーン部103に取り付けることができることを理解されたい。仮組立体を取り付けた後、トグル106をトグルブラケット107に取り付け、次いで、トグルトリムストリップ105をトグル106に取り付け、最後に吹出口前ブレード101の第2のベーン部103と第1のベーン部102を一緒に取り付けることにより、図1に示す完全な前ブレード101とそれに取り付けられたトグル組立体104が形成される。この場合、トグルブラケット107は、吹出口前ブレード101の第2のベーン部103と第1のベーン部102との間に形成された空洞内に配置される。また、図4に示すように、吹出口ブレードを上下方向に調整する際の操作感を向上させるために、前ブレード101のシャフトの両側部にダンパー114をスリーブ状に設けることができ、前ブレード101を、前ブレードシャフトを介して吹出口ハウジング(図示せず)の前端部に取り付け、後ブレード組立体(図示せず)を、後ブレードブラケット(図示せず)を介して吹出口ハウジングの後端部に取り付ける。
【0027】
図5A及び図5Bは、それぞれ、図4に示すトグルブラケット107の構造概略側面図及び構造概略背面図である。
【0028】
図5A及び図5Bに示すように、本開示の1つの実施形態によれば、トグルブラケット107には、矩形の本体部701と、本体部701の前端部から角度をなして延びる延長部702とが設けられ、本体部701にはトラックスロット703が形成され、延長部702には挿入スロット704が形成されている。トラックスロット703は中空であり、トラックスロットの両端部の開口はトグルブレード109の端面にフィットする形状であり、トラックスロット703の両端部の開口の大きさはトグルブレード109の断面の大きさよりも僅かに大きく、トグルブレード109がトラックスロット703に挿入されると、トラックスロット703はトグルブラケット107をトグルブレード109に対して左右に摺動させることができるようになっている。図5A及び図5Bに示すように、挿入スロット704は、トグル106の挿入を受け入れる2つのスロットから構成される。当業者であれば、トグルブラケット107のトラックスロット703及び挿入スロット704は、トグルブレード109及びトグル106を取り付ける機能を実現できる限り、他の形状を有していてもよいことを理解されたい。図5Bに示すように、トグルブラケット107の後端部には、2対のスナップイン弾性片705、706、707、708と、2対のスナップイン弾性片の間に配置された2つの位置決めピン709、710とが設けられている。2対のスナップイン弾性片705、706、707、708及び位置決めピン709、710はそれぞれ、フォークブラケット111をトグルブラケット107に固定的に取り付けるように、図4に示すフォークブラケット111上に配置されたスナップイン構造及び位置決め構造と嵌合するために使用される。当業者であれば、フォークブラケット111とトグルブラケット107とは、他の方法で互いに連結されてもよいことを理解されたい。
【0029】
図6A及び図6Bは、それぞれ、図4に示すトグル106の正面図及び側面図である。
【0030】
図6A及び図6Bに示すように、本開示の1つの実施形態によれば、トグル106には、U字形のスナップインスロット601と、U字形のスナップインスロット601の一端から外向きに延びるプラグイン部602とが設けられる。プラグイン部602は、トグル106をトグルブラケット107に取り付けるように、図5A及び図5Bに示されるトグルブラケット107の挿入スロット704に挿入されるように構成される。トグル106が挿入スロット704に挿入されると、吹出口前ブレード101の第1のベーン部102の前端部がトグル106のU字形のスナップインスロット601にスナップ止めされ、これによりトグル106が前ブレード101に「吊り下げ」式に固定される。図6A及び図6Bに示すように、トグル106の前端部には、トグルトリムストリップ105を取り付けるための溝603が更に設けられている。トグル106の上面及び下面には、使用者がトグル106を保持する際の摩擦を増加させるための滑り止め構造604が更に設けられており、使用者はトグルを上下方向及び左右方向に便利に調整することができる。当業者であれば、トグル106の滑り止め構造604は、使用者がトグルを保持する際の摩擦を増加させる機能が実現できる限り、他の形状を有してもよいことを理解されたい。
【0031】
図7は、図3に示すトグル組立体104が吹出口前ブレード101の第1のベーン部102の内側に取り付けられた状態を示す概略図である。
【0032】
図7に示すように、本開示の1つの実施形態によれば、トグル組立体104は、トグルブレード109の両端部に配置された突起を、吹出口前ブレード101の第1のベーン部102の内側に形成された4つのオメガ形状の孔に取り付けることによって、吹出口前ブレード101の第1のベーン部102の内側に取り付けられる。この場合、トグル組立体104のトグル106は、図2に示す第2のベーン部103の前端部の中央に配置されたスロット部305から突出しているため、第1のベーン部102の前端部に「吊り下げ」式にスナップ止めされ、トグル106及びトグルブラケット107は、固定的に取り付けられたトグルブレード109に対して或る程度左右に摺動することができるため、フォーク112及びそれに連結された後ブレード組立体を駆動し一緒に左右に移動し、それによって後ブレードの左右回転が行われる。当業者であれば、特定の設計要件に従って、トグル106を第2のベーン部103の前端部に「吊り下げ」式にスナップ止めすることもできることを理解されたい。
【0033】
図8は、図1に示すビークル用空調ベント組立体100の断面A-Aに沿った概略断面図である。
【0034】
図8に示すように、本開示の1つの実施形態によれば、吹出口前ブレード101の第1のベーン部102及び第2のベーン部103は、互いにフィットするよう形成された円弧状構造であるため、第2のベーン部103が第1のベーン部102に取り付けられると、トグルブラケット107、トグルブレード109、及びトグル組立体104の他の構成要素を収容するための空洞を第1のベーン部と第2のベーン部との間に形成することができる。図8図5A及び図5Bに示すように、トグルブラケット107の本体部701及び延長部702は、角度をなしており、すなわち、延長部702は、本体部701に対して角度をなして延びている。この角度により、トグルブラケット107の延長部702は、第1のベーン部102の対応する表面とほぼ平行になることができる。図8に示すように、トグル106は、第1のベーン部102と第2のベーン部103との接合部から延出している。トグル106のU字形のスナップインスロットのみが前ブレードの前端部と接触しており、前ブレードのほとんどの部分が他の構造物によって塞がれていないので、トグルがブレードの上方に吊り下げられているという視覚効果が生じ、ベントの美感が高まる。当業者であれば、トグル106は、トグルブラケット107と一体的に形成されていてもよく、前ブレードに取り付けることができ、かつ、吊り下げられた視覚効果を有するという機能が実現される限り、トグル106がトグルブラケット107と一体的に形成されていてもよいことを理解すべきである。
【0035】
本開示のビークル用空調ベントのトグル構造体は、以下の利点を有する。
【0036】
第1に、従来技術では、トグルは一般的に前ブレードの周囲に巻き付いており、その結果、トグル自体の構造体の露出が多くなり、外観上見栄えが悪くなる。本開示におけるトグル組立体の構造は、トグルのわずかな部分のみがフロントブレードと接触してフロントブレードに隠れており、トグル自体の構造の露出が少ないため、視覚的に吊り下げ効果があり、ベントの美観が向上する。
【0037】
第2に、従来技術では、フロントブレードがトグルの内側に取り付けられているため、フロントブレードが長くなると、ブレード剛性の要求を満たすために、ブレードを厚くする必要があり、トグルの外側輪郭も大きくする必要があり、そのためトグルの構造が脆くなり、その結果、トグルの動きが停滞する。本開示では、トグル組立体をブレードに内蔵する設計を採用し、トグル組立体がフロントブレードに巻き付く必要がないため、ブレードの厚肉化によるトグル組立体の大型化及び構造の脆弱化の問題を回避できる。
【0038】
第3に、本開示で採用されるトグル組立体は、ブレードがより長く、より厚くなった後のブレードの剛性要件を満たすことができ、トグル組立体はまた、顧客及び市場動向により合致している。
【0039】
本開示は、上記で概説した実施形態の例と併せて説明されているが、既知であるか、存在しているか、又は間もなく予想される様々な代替案、変更例、変形例、改良例、及び/又は実質的な等価物は、少なくとも通常の当業者には明らかであろう。さらに、本開示に記載された技術的効果及び/又は技術的問題は、制限的ではなく例示的なものである。したがって、本開示における開示された記載は、他の技術的問題を解決するために使用されてもよく、他の技術的効果を有し、及び/又は他の技術的問題を解決してもよい。したがって、上述した本開示の実施形態の例は、限定的ではなく例示的であることを意図している。本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。したがって、本開示は、全ての既知又は先に開発された代替物、変更、変形、改良及び/又は基本的等価物を含むことを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
【外国語明細書】