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特開2024-159738複合積層体ヒータおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159738
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】複合積層体ヒータおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/20 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H05B3/20 316
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024073871
(22)【出願日】2024-04-30
(31)【優先権主張番号】P 2023075089
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】511041857
【氏名又は名称】ART&TECH株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 泰
(72)【発明者】
【氏名】城野 秀治
【テーマコード(参考)】
3K034
【Fターム(参考)】
3K034AA02
3K034AA04
3K034AA05
3K034AA06
3K034AA09
3K034AA15
3K034AA25
3K034BA08
3K034BA10
3K034BA13
3K034BB08
3K034BB10
3K034BB13
3K034BB16
3K034CA32
3K034FA29
3K034FA32
3K034FA33
3K034HA04
3K034HA10
3K034JA01
(57)【要約】
【課題】積層された層同士が一体化することで、形状安定性に優れた複合積層体ヒータおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】シート状のテキスタイルの網目構造内にポリプロピレンが浸潤し固着されて形成された複数の複合層111~114と、シート状の発熱繊維、発熱繊維に接続された一対の電極132および発熱繊維の網目構造内に浸潤し固着されたポリプロピレンを有し、複数の複合層において隣り合うテキスタイルの間に設けられた面状発熱層130と、を備え、複数の複合層111~114および発熱繊維が積層し、複数の複合層111~114および発熱繊維内のポリプロピレンは網目構造内に充填され一体化している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状のテキスタイルの網目構造内にポリプロピレンが浸潤し固着されて形成された複数の複合層と、
シート状の発熱繊維、前記発熱繊維に接続された一対の電極および前記発熱繊維の網目構造内に浸潤し固着されたポリプロピレンを有し、前記複数の複合層において隣り合う前記テキスタイルの間に設けられた面状発熱層と、を備え、
前記複数の複合層および前記面状発熱層が積層し、前記複数の複合層および前記面状発熱層内のポリプロピレンは網目構造内に充填され一体化していることを特徴とする複合積層体ヒータ。
【請求項2】
ポリプロピレンで形成されたフィルム層と、
シート状のテキスタイルおよび前記テキスタイルの網目内に浸潤し、固着されたポリプロピレンを有する複合層と、
シート状の発熱繊維、前記発熱繊維に接続された一対の電極および前記発熱繊維の網目構造内に浸潤し固着されたポリプロピレンを有し、前記フィルム層と前記複合層との間に設けられた面状発熱層と、を備え、
前記フィルム層および前記複合層が積層し、前記フィルム層および前記複合層に含まれるポリプロピレンは一体化していることを特徴とする複合積層体ヒータ。
【請求項3】
前記一対の電極は、前記発熱繊維の対向する縁に接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の複合積層体ヒータ。
【請求項4】
前記複数の複合層の一方の主面側に設けられたアルミニウム層をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の複合積層体ヒータ。
【請求項5】
前記アルミニウム層は、複数のアルミニウム箔が積層されて形成され、前記複数のアルミニウム箔の間には、空隙を有することを特徴とする請求項4記載の複合積層体ヒータ。
【請求項6】
前記複数のアルミニウム箔の間には、互いに重ならない孔を有する樹脂層が形成されていることを特徴とする請求項5記載の複合積層体ヒータ。
【請求項7】
前記フィルム層および前記複合層の積層体の一方の主面側に設けられたアルミニウム層をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の複合積層体ヒータ。
【請求項8】
前記アルミニウム層は、複数のアルミニウム箔が積層されて形成され、前記複数のアルミニウム箔の間には、空隙を有することを特徴とする請求項7記載の複合積層体ヒータ。
【請求項9】
前記複数のアルミニウム箔の間には、互いに重ならない孔を有する樹脂層が形成されていることを特徴とする請求項8記載の複合積層体ヒータ。
【請求項10】
ポリプロピレンで形成され、前記複合層を覆う被覆層をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の複合積層体ヒータ。
【請求項11】
不織布および前記不織布に含浸されたポリプロピレンを有する複数のプリプレグシートを準備する工程と、
シート状の発熱繊維、前記発熱繊維に接続された一対の電極を挟んで、前記プリプレグシートを重ね、第1の重畳体を形成する工程と、
前記第1の重畳体を所定の温度以上かつ所定の圧力以上で熱プレスする工程と、を含むことを特徴とする複合積層体ヒータの製造方法。
【請求項12】
織布および前記織布に含浸されたポリプロピレンを有する複数のプリプレグシートとシート状のテキスタイルを準備する工程と、
シート状の発熱繊維、前記発熱繊維に接続された一対の電極を挟んで、前記プリプレグシートと前記テキスタイルとを交互に重ね、第2の重畳体を形成する工程と、
前記第2の重畳体を所定の温度以上かつ所定の圧力以上で熱プレスする工程と、を含むことを特徴とする複合積層体ヒータの製造方法。
【請求項13】
ポリプロピレンフィルムとテキスタイルとの間に、シート状の発熱繊維、前記発熱繊維に接続された一対の電極を挟み、前記ポリプロピレンフィルムと前記テキスタイルとを交互に重ね、重畳体を形成する工程と、
前記重畳体を所定の温度以上かつ所定の圧力以上で熱プレスする工程と、を含むことを特徴とする複合積層体ヒータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合積層体ヒータおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂の加飾成形技術として、樹脂を繊維内に浸潤させて部材を作製する方法が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、突板の裏面と樹脂フィルムとの間に、樹脂フィルムの融点よりも高い温度での形状維持が可能な繊維を主体とした不織布を介装させ、樹脂フィルムをあたかもFRPのように構成した突板シートとその応用製品が開示されている。そして、不織布の例としてPET繊維、樹脂フィルムの例としてプロピレンのフィルムが挙げられている。特許文献1記載の突板シートでは、不織布と基材樹脂との間でアンカー効果を発揮させることで両者を強固に接合させている。
【0003】
特許文献2には、連続炭素繊維の両側端にそれぞれ電極を形成した炭素繊維シートにマトリックス樹脂を含浸させた面状発熱体が開示されている。特許文献2には、ポリオレフィン樹脂が言及されており、具体的にはマトリックス樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いた実施例が紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】再表2013-190839号公報
【特許文献2】特開2021-12814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリプロピレンは、低コストで調達できるだけでなく、耐薬品性にも優れており、様々な用途への応用の可能性を有している。本発明の発明者らは、不織布の繊維内に浸潤させる樹脂としてポリプロピレンのみを用い、一体化した積層体の作製に取り組んできた。しかし、ポリプロピレンで形成された複数のシートを重ねて熱圧着しても、生成物からシート由来の層が剥がれ、ポリプロピレンのみの部材として全体を強固に一体化できないというのが成形分野では常識である。
【0006】
特許文献1には、樹脂フィルムの例としてプロピレンのフィルムが挙げられている。しかし、不織布に樹脂を含浸させるのは、突板シートを突板に固着するためであり、固着のための単層が形成されるにすぎない。そのため、上記のような従来技術を用いても、電流により発熱可能な繊維にポリプロピレンを含浸させて一体化させるのは容易ではない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、積層された層同士が一体化することで、形状安定性に優れた複合積層体ヒータおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の複合積層体ヒータは、シート状のテキスタイルの網目構造内にポリプロピレンが浸潤し固着されて形成された複数の複合層と、シート状の発熱繊維、前記発熱繊維に接続された一対の電極および前記発熱繊維の網目構造内に浸潤し固着されたポリプロピレンを有し、前記複数の複合層において隣り合う前記テキスタイルの間に設けられた面状発熱層と、を備え、前記複数の複合層および前記面状発熱層が積層し、前記複数の複合層および前記面状発熱層内のポリプロピレンは網目構造内に充填され一体化していることを特徴としている。このように積層された層同士が一体化することで、形状安定性に優れた複合積層体ヒータが得られる。
【0009】
(2)また、本発明の複合積層体ヒータは、ポリプロピレンで形成されたフィルム層と、シート状のテキスタイルおよび前記テキスタイルの網目内に浸潤し、固着されたポリプロピレンを有する複合層と、シート状の発熱繊維、前記発熱繊維に接続された一対の電極および前記発熱繊維の網目構造内に浸潤し固着されたポリプロピレンを有し、前記フィルム層と前記複合層との間に設けられた面状発熱層と、を備え、前記フィルム層および前記複合層が積層し、前記フィルム層および前記複合層に含まれるポリプロピレンは一体化していることを特徴としている。このように積層された層同士が一体化することで、形状安定性に優れた複合積層体ヒータが得られる。
【0010】
(3)また、上記(1)または(2)記載の複合積層体ヒータにおいて、前記一対の電極は、前記発熱繊維の対向する縁に接続されていることを特徴としている。これにより、複合積層体ヒータの全面で一様な加熱が可能になる。また、電極が埋設されることで電圧を印加する端子との接続等の取り回しが容易になる。
【0011】
(4)また、上記(1)記載の複合積層体ヒータにおいて、前記複数の複合層の一方の主面側に設けられたアルミニウム層をさらに備えることを特徴としている。これにより、発熱繊維からの輻射線を反射し、他方側の加熱を増幅することができる。
【0012】
(5)また、上記(4)記載の複合積層体ヒータにおいて、前記アルミニウム層は、複数のアルミニウム箔が積層されて形成され、前記複数のアルミニウム箔の間には、空隙を有することを特徴としている。複数のアルミニウム箔の間に生じる空隙により、輻射線の反射率を高めることができる。
【0013】
(6)また、上記(5)記載の複合積層体ヒータにおいて、前記複数のアルミニウム箔の間には互いに重ならない孔を有する樹脂層が形成されていることを特徴としている。互いに重ならない孔によりアルミニウム箔の間に空隙を確保できる。
【0014】
(7)また、上記(2)記載の複合積層体ヒータにおいて、前記フィルム層および前記複合層の積層体の一方の主面側に設けられたアルミニウム層をさらに備えることを特徴としている。これにより、発熱繊維からの輻射線を反射し、他方側の加熱を増幅することができる。
【0015】
(8)また、上記(7)記載の複合積層体ヒータにおいて、前記アルミニウム層は、複数のアルミニウム箔が積層されて形成され、前記複数のアルミニウム箔の間には、空隙を有することを特徴としている。複数のアルミニウム箔の間に生じる空隙により、輻射線の反射率を高めることができる。
【0016】
(9)また、上記(8)記載の複合積層体ヒータにおいて、前記複数のアルミニウム箔の間には互いに重ならない孔を有する樹脂層が形成されていることを特徴としている。互いに重ならない孔によりアルミニウム箔の間に空隙を確保できる。
【0017】
(10)また、上記(1)または(2)記載の複合積層体ヒータにおいて、ポリプロピレンで形成され、前記複合層を覆う被覆層をさらに備えることを特徴としている。これにより、塩酸などの洗浄剤に対する耐腐食性を向上できる。
【0018】
(11)また、本発明の複合積層体ヒータの製造方法は、不織布および前記不織布に含浸されたポリプロピレンを有する複数のプリプレグシートを準備する工程と、シート状の発熱繊維、前記発熱繊維に接続された一対の電極を挟んで、前記プリプレグシートを重ね、第1の重畳体を形成する工程と、前記第1の重畳体を所定の温度以上かつ所定の圧力以上で熱プレスする工程と、を含むことを特徴としている。これにより、積層された層同士が一体化することで、形状安定性に優れた高強度の複合積層体ヒータが得られる。
【0019】
(12)また、本発明の複合積層体ヒータの製造方法は、織布および前記織布に含浸されたポリプロピレンを有する複数のプリプレグシートとシート状のテキスタイルを準備する工程と、シート状の発熱繊維、前記発熱繊維に接続された一対の電極を挟んで、前記プリプレグシートと前記テキスタイルとを交互に重ね、第2の重畳体を形成する工程と、前記第2の重畳体を所定の温度以上かつ所定の圧力以上で熱プレスする工程と、を含むことを特徴としている。これにより、積層された層同士が一体化することで、形状安定性に優れた高強度の複合積層体ヒータが得られる。
【0020】
(13)また、本発明の複合積層体ヒータの製造方法は、ポリプロピレンフィルムとテキスタイルとの間に、シート状の発熱繊維、前記発熱繊維に接続された一対の電極を挟み、前記ポリプロピレンフィルムと前記テキスタイルとを交互に重ね、重畳体を形成する工程と、前記重畳体を所定の温度以上かつ所定の圧力以上で熱プレスする工程と、を含むことを特徴としている。これにより、積層された層同士が一体化することで、形状安定性に優れた高強度の複合積層体ヒータが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】PP-FRPヒータを示す断面図である。
図2】(a)~(c)それぞれプリプレグ作製の工程を示す断面図である。
図3】プリプレグを重ねて熱圧着する工程を示す斜視図である。
図4】(a)~(d)それぞれ成形およびトリミングの工程を示す断面図である。
図5】プリプレグとテキスタイルとを重ねて熱圧着する工程を示す斜視図である。
図6】(a)、(b)それぞれアルミニウム層と断熱層およびアルミニウム層を備えるPP-FRPヒータを示す断面図である。
図7】接着前のPP-FRPヒータおよびアルミニウム箔を示す斜視図である。
図8】第4実施形態の複合積層体ヒータを示す断面図である。
図9】(a)、(b)射出成形の工程を示す断面図である。
図10】(a)、(b)それぞれアルミニウム層と断熱層およびアルミニウム層を備えるPP-FRP部材を示す断面図である。
図11】埋設型ヒータの構成を示す断面図である。
図12】(a)、(b)は、それぞれ埋設型ヒータの製造工程の一場面を示す側断面図および平断面図である。
図13】切断面の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
[第1実施形態]
[複合積層体ヒータ(PP-FRPヒータ)の構成]
図1は、PP-FRPヒータ100を示す断面図である。図1に示す形態は一例であり、PP-FRPヒータ100は、複合層111~114および面状発熱層130で構成されている。PP-FRP(Fiber Reinforced Plastics)は、複合積層体の一種であり、特に形状安定性に優れている。面状発熱層130は、発熱繊維層131および一対の電極132で構成されている。複合層111~114および面状発熱層130は積層されており、複合層111~114のそれぞれは、テキスタイルおよびテキスタイルの網目内に浸潤し固着されたポリプロピレンで形成されている。ポリプロピレンは、熱圧着の温度に応じて例えば融点95℃、120℃、150℃のものをそれぞれ用いることができる。特にホットメルトに用いるのは非結晶系の材料が好ましい。
【0024】
複合層111~114および発熱繊維層131では、ポリプロピレンが層を超えて連続的に存在しており、テキスタイルおよび発熱繊維の網目内に浸潤している。浸潤したポリプロピレンのアンカー効果により、複合層111~114および発熱繊維層131のそれぞれが隣り合う層と強固に接合している。このようにして強固に一体化された板状のヒータが構成される。
【0025】
ポリプロピレンは、5wt%以上30wt%以下のタッキファイヤを含むことが好ましい。タッキファイヤは、粘着付与樹脂であり、例えば石油系が用いられる。これにより、ホットメルトによりプリプレグの準備が容易になる。
【0026】
ポリプロピレンとしては、高融点のものを用いることができる。このような高融点ポリプロピレンは、高収縮タイプの材料であり、高弾性率を要する製品向けの材料に用いることができる。高融点ポリプロピレンとしては、例えば、融点150℃以上のものが好ましい。このような高融点ポリプロピレンは、85wt%以上95wt%以下のポリプロピレンと5wt%以上15wt%以下のタッキファイヤで構成されることが好ましい。
【0027】
また、ポリプロピレンとして低融点のものも用いることができる。このような低融点ポリプロピレンは低収縮タイプであり、高融点ポリプロピレンより若干柔らかい。ポリエチレン強化繊維等の耐熱温度の低い合成繊維織物への含浸に用いることができる。低融点ポリプロピレンとしては、例えば、融点100℃以下のものが好ましい。このような低融点ポリプロピレンは、70wt%以上85wt%以下のポリプロピレンと15wt%以上30wt%以下のタッキファイヤで構成されることが好ましい。
【0028】
ポリプロピレンの融点は少なくとも160℃以下であることが好ましい。これにより、低い温度での加工が可能になり、融点の異なる部材との接合が可能になる。例えば融点の高いポリプロピレンで表層加飾した部材を形成し、その部材とPP-FRPヒータとを接合できる。
【0029】
複合層111~114のそれぞれに含まれるテキスタイルは、すべて不織布であるか不織布と織布とが交互に重なっていることが好ましい。不織布は、スパンボンド系不織布が好ましく、特にポリエステルを含むスパンボンド系不織布が好ましい。不織布は、ポリエステルを含む抄紙系不織布またはフェルトであってもよい。織布には、ポリエチレン強化繊維織布を用いることもできる。ポリエステル不織布を用いる場合の坪数は、30g/m2以上250g/m2以下であることが好ましい。これにより、軟化したポリプロピレンが含浸しやすくなる。
【0030】
面状発熱層130は、発熱繊維層131および一対の電極132で構成されている。発熱繊維層131は、発熱繊維およびポリプロピレンを有している。ポリプロピレンは、発熱繊維の網目構造内に浸潤し固着されている。ポリプロピレンの発熱繊維への浸潤領域は、表層からわずかな深さまででも十分に一体化の効果が得られる。一対の電極は、発熱繊維の両端部に接続されている。発熱繊維は、矩形のシート状に形成され、その対向する両縁に一対の電極のそれぞれが接続されていることが好ましい。これにより、PP-FRPヒータの全面で一様な加熱が可能になる。また、電極が埋設されることで電圧を印加する端子との接続等の取り回しが容易になる。
【0031】
発熱繊維は、有機繊維および炭素繊維が混合されて形成されている。有機繊維は、例えばセルロースまたはセルロースおよびポリエステルの混合物である。炭素繊維は、長さの代表値が3mm以上6mm以下のものであることが好ましい。また、有機繊維に対し、炭素繊維は、10wt%以上20wt%以下含まれていることが好ましい。一対の電極132は、導電性を有する薄膜である。一対の電極132は、金属を含有するテープであることが好ましく、例えばアルミテープまたは銅テープである。
【0032】
なお、PP-FRPヒータ100では、複合層111~114が4層構造を有しているが、その他の数の積層であってもよい。4層構造以上とすることで特にPP-FRPヒータ100の強度を向上し形状を安定させることができる。一方で、4層構造未満であれば成形が容易になる。
【0033】
[複合積層体ヒータ(PP-FRPヒータ)の製造方法]
上記のように構成されたPP-FRPヒータ100の製造方法を説明する。PP-FRPヒータ100は、プリプレグ作製、熱圧着、プレフォーム成形およびトリミングの工程で製造される。図2(a)~(c)は、それぞれプリプレグ作製の工程を示す断面図である。
【0034】
まず、プリプレグを作製する。例えば図2(a)に示すように、表面を水平にした状態でシート状の不織布10を置き、その上から軟化点を超える温度に加熱し軟化したポリプロピレン20を塗布し浸潤、固着させることでプリプレグ30を作製できる。不織布10としては、厚さ50μm以上500μm以下のものを用いるのが好ましい。
【0035】
塗布には、ホットメルトによる塗布機としてメルターと呼ばれる装置を用いることができる。図2(a)に示す装置例は、枚葉塗布機であり、不織布10を固定し、噴霧式のノズル部M1を不織布10の全体にわたって移動させることでポリプロピレン20を不織布10に塗布しプリプレグ30を作製できる。
【0036】
図2(b)に示す装置例は、ロール・トゥ・ロールの連続含浸装置である。噴霧式のノズル部M2を固定し、不織布10をロールR1からロールR2に移動させることで不織布10の全体にポリプロピレン20を塗布しプリプレグ30を作製できる。以上のような塗布機では、塗布の際には、塗布機側または不織布側の一方を他方に対して一定速度で移動させることが好ましい。
【0037】
図2(c)に示す装置例も、ロールを用いた連続含浸装置である。吐出式のノズル部M3を固定し、ロールR3、R4間の位置にポリプロピレン20を供給する。ロールR3、R4間に挟まれて送り出される不織布10には、ポリプロピレン20が浸潤する。このような連続含浸装置を用いてプリプレグ30の生産効率を向上させることができる。
【0038】
加熱し軟化したポリプロピレンを容器に溜め、容器内にシート状のテキスタイルを浸漬してもよい(いわゆる「どぶ漬け」)。このようにしてテキスタイルに浸潤したポリプロピレンを冷却して硬化させることでプリプレグを形成する。この場合、ローラー等の回転によりテキスタイルを一定速度で連続的に移動させてポリプロピレン内をくぐらせることが好ましい。
【0039】
このようにして得られたシート状のプリプレグは、厚さ100μm以上1500μm以下であることが好ましく、厚さ100μm以上500μm以下であることがさらに好ましい。
【0040】
得られた複数のシート状のプリプレグ30は、発熱材37をいずれかの間に挟みつつ、所定の設計通りに重ねて配置し、重畳体(第1の重畳体)を形成する。そして、配置された重畳体を加熱した上でプレスして熱圧着する。発熱材37は、発熱繊維38およびその両端に接続された一対の電極132を備えている。図3は、プリプレグを重ねて熱圧着する工程を示す斜視図である。図3に示す例では、発熱材37を挟んで4枚のプリプレグ31~34を重ねた重畳体40aを上下から加熱しつつプレスしている。その結果、シート状の積層体が形成される。
【0041】
なお、発熱材37は、内側(加熱側)に近い方がその効果が大きいため、例えば内側から1枚目のプリプレグ31と2枚目のプリプレグ32の間に配置することができる。また、発熱繊維38は積層体内に埋設され、電極132はその端部が積層体から露出していることが好ましい。これにより、露出した端部を電源の端子に接続することができる。
【0042】
発熱繊維は、有機繊維および炭素繊維が混合されて形成されている。有機繊維は、例えばセルロースまたはセルロースおよびポリエステルの混合物である。炭素繊維は、長さの代表値が3mm以上6mm以下のものであることが好ましい。また、有機繊維に対し、炭素繊維は、10重量%以上20重量%以下含まれていることが好ましい。例えば裁断した炭素繊維を抄紙に混合したものや、裁断したPETを抄紙に混合したものを用いることができる。また、天然繊維のセルロースを炭素繊維と混合し、それを抄いて抄紙にしたものでもよい。また、炭素繊維のみで発熱繊維を構成してもよい。また、発熱繊維は不織布だけでなく織布でもよい。例えば、発熱繊維は、ヒータ線による織布であってもよく、ヒータ線は導電線そのものであってもよいし、絶縁線および絶縁線に巻き回されている1または複数の導電線からなる合線であってもよい。合線には、絶縁線の周囲に導電線が設けられて形成されるカバリング線や、絶縁線および導電線が絡み合って形成される撚り線が含まれる。織布は、ヒータ線を縦線と横線にして織られたものだけでなく、横線のみにして織られたものであってもよい。一対の電極132は、導電性を有する薄膜である。一対の電極132は、金属を含有するテープであることが好ましく、例えばアルミテープまたは銅テープである。導電性を有するテープのような電極は、導電性の接着剤または粘着剤を用いて発熱繊維に接続することが可能である。
【0043】
熱圧着は、油圧熱プレス機または多段プレス機を用いて、所定の温度以上かつ所定の圧力以上で熱プレスするのが好ましい。所定の温度は、ポリプロピレンの融点以下軟化点以上の温度である。例えば、140℃以上160℃以下に加熱することが好ましい。所定の圧力は、1.5MPa以上2.5MPa以下であることが好ましい。これにより、ポリプロピレンがテキスタイル内の網目に浸潤し、固着することでアンカー効果が生じ、ヒータを強固に一体化できる。
【0044】
このように、ポリプロピレンの軟化点より高く融点より低い温度でプリプレグが熱圧着されることで、網目内に浸潤したポリプロピレンが連続的に一体化し、アンカー効果により強固に網目構造内に固着する。その結果、浸潤により行き渡ったポリプロピレンにより複数の不織布が堅固に接合された積層シートとしてPP-FRPヒータ100のシートが生成される。
【0045】
PP-FRPヒータ100は、形状安定性に優れており、100℃以上150℃以下の温度および2.5MPa以下の圧力で熱プレスしたとき、プレス前後の長さの変化率の絶対値が1%以下である。このようにPP-FRPヒータは、プレスの前後で寸法に変化が生じにくい。そのため、設計通りにPP-FRPヒータを形成でき、応用も容易になる。
【0046】
PP-FRPヒータ100は、熱圧着による積層化の後、自然冷却により形状の安定化が可能である。したがって、多段プレス機を用いて同時に大量生産することも可能である。多段プレスは、上下の熱板の他に、中間にも熱板を配置し、材料を挟む段として開口部を複数設けた熱プレス機である。複数段に材料を挟み、加熱しながらプレスで加圧して同時に複数のPP-FRPヒータを形成できる。PP-FRPヒータは、ポリプロピレンがテキスタイル内に浸潤して固着された複合層の構造を有しているため、高強度を有している。
【0047】
上記の工程で得られたPP-FRPヒータ100のシートは、成形およびトリミングがなされる。図4(a)~(d)は、成形およびトリミングの工程を示す断面図である。まず、積層体41を加熱により軟化させる。そして、図4(a)に示すように、オス金型D1とメス金型D2との間に、積層体41を配置する。
【0048】
次に、図4(b)に示すようにオス金型D1とメス金型D2とを型締めする。その結果、積層体41が賦形される。型締め後、図4(c)に示すように、オス金型D1とメス金型D2とを型開きし、得られた成形体42を離型する。そして、図4(d)に示すように、不要な部分をトリミングにより除去し、成形体43を得る。このような成形の加工を経ても、積層体41から成形体43への長さの変化率は1%以内であり、PP-FRPヒータ100は形状安定性に優れている。得られたPP-FRPヒータ100は、適宜、用途に応じてさらに切削加工される。PP-FRPヒータ100は、ポリプロピレンを表層材とする様々な製品に応用できる。例えば、PVBシートを不織布のようなシート状のテキスタイルで両面から挟み130℃以上で圧着して一体化させたものを110℃でPP-FRPヒータ100に圧着することができる。この場合、ポリプロピレンの表面への染み出しを防止し、熱圧着の温度選択の幅を広げることができる。
【0049】
[第2実施形態]
上記の実施形態では、プリプレグのみを重ねて熱圧着しているが、プリプレグとテキスタイルとを交互に重ねてそれらを熱圧着してもよい。図5は、プリプレグとテキスタイルとを熱圧着する工程を示す斜視図である。プリプレグと交互に重ねるテキスタイルは、織布または不織布である。
【0050】
図5に示す例では、発熱材をいずれかの間に挟みつつ、2枚のプリプレグ35~36と2枚のテキスタイル51~52とを交互に重ねた重畳体40b(第2の重畳体)を形成し、その重畳体40bの熱圧着を行っている。その結果、シート状の積層体が形成される。この場合の熱圧着も、第1実施形態と同様の機器を用いて同様の温度条件で行うことができる。
【0051】
この場合も、ポリプロピレンの軟化点より高く融点より低い温度でプリプレグとテキスタイルとが熱圧着されることで、プリプレグ内のポリプロピレンがテキスタイルの網目内にも浸潤し、アンカー効果により強固に網目に固着する。その結果、浸潤により連続的に行き渡ったポリプロピレンによりプリプレグとテキスタイルとが接合された積層シートとしてPP-FRPヒータ100のシートが生成される。
【0052】
[第3実施形態]
上記の実施形態では、面状発熱層が埋設されたシートのみでPP-FRPヒータが形成されているが、さらに外側(加熱側とは反対側)に断熱機能を有する層を備えていてもよい。図6(a)、(b)は、それぞれアルミニウム層と断熱層およびアルミニウム層を備えるPP-FRPヒータ200a、200bを示す断面図である。
【0053】
PP-FRPヒータ200aは、PP-FRPヒータ100の外側にアルミニウム層250が接着されている。すなわち、複数の複合層の一方の主面側にアルミニウム層250が設けられている。これにより、発熱繊維からの輻射を反射し、他方側の加熱を増幅することができる。
【0054】
アルミニウム層250は、アルミニウム箔で構成されることが好ましく、複数枚のアルミニウム箔を有することが好ましい。複数のアルミニウム箔を用いる場合には、アルミニウム箔の間に空隙が生じ、発熱繊維から生じる輻射の反射率を高めることができる。
【0055】
複数のアルミニウム箔が積層されてアルミニウム層を形成する場合、複数のアルミニウム箔の間には、互いに重ならない複数の孔を有する樹脂層が形成されていることが好ましい。これにより、複数のアルミニウム箔の間に生じる空隙により、輻射線の反射率を高め、断熱効果を高めることができる。樹脂層は、例えばPET等の樹脂フィルムを用いることができ、空気層を作るための支持体として機能する。なお、樹脂層は、PP-FRPシートを重ねて形成してもよい。
【0056】
孔の形状は、円が好ましいが四角等の多角形であってもよい。孔径は、2mm以上18mm以下が好ましい。2mm未満の孔径では、アルミニウム箔の接着が不十分となる。また、18mmより大きい穴径では、アルミニウム箔間に接着剤が入り込み空隙が無くなる。なお、アルミニウム箔として、1μm以上1mm以下の厚さを有するものを用いることができる。1μmより薄いと十分な反射が得られず、1mmより厚いと費用対効果が低くなる。アルミニウム箔は、シート状のものを接着してもよいし、蒸着により形成してもよい。
【0057】
アルミニウム層250と複合層114とは、接着剤で接着することができる。接着剤としては熱硬化性樹脂を用いることができる。例えばHM30(パナック社製)のようなホットメルトかつ加熱硬化の機能を有する接着剤が好ましい。この場合、100℃以上150℃以下で接着剤を硬化させることができる。
【0058】
PP-FRPヒータ200bは、PP-FRPヒータ100の外側に断熱層260およびアルミニウム層250が接着されている。断熱層260には、シート状に形成された熱伝導率の低い材料が用いられる。例えば抄紙のような空隙を含む繊維材料が好ましい。抄紙に熱伝導率の低い無機粒子が混合されたものであってもよい。
【0059】
PP-FRPヒータ200aは、PP-FRPヒータ100の外側にアルミニウム層250を接着することで構成できる。図7は、接着前のPP-FRPヒータ100、アルミニウム箔251および樹脂シート252を示す斜視図である。
【0060】
図7に示すように2枚のアルミニウム箔251をPP-FRPヒータ100に接着する場合には、アルミニウム箔251の間に互い違いの孔が開いた樹脂シート252を重ねて配置することができる。樹脂シート252は、ポリエチレンナフタレートのシートまたはPP-FRPシートを用いることができる。それぞれの孔が互い違いの配列になるように配置し、アルミニウム箔の間に空隙を生じさせる。その空隙により輻射線の反射率を高められる。形状安定性が高いPP-FRPの複合層が用いられる場合には、100℃以上の高温で加工しても孔の位置ずれを防止できる。なお、PP-FRPヒータ200bも、PP-FRPヒータ200aと同様に接着剤を用いて各層を複合層に接着することで形成できる。
【0061】
なお、上記のPP-FRPヒータの厚さは、60μm以上1mm以下が好ましい。また、上記の例では、アルミニウム層や断熱層を複合層に接着しているが、複合層の層数を多くして、上記のアルミニウム層や断熱層を複合層の層間に埋設してもよい。また、上記のPP-FRPヒータの外側(加熱側とは反対側)にポリプロピレン等の樹脂を射出成形してもよい。また、PP-FRPヒータの内側または外側にPVBを有する接合層を介して、熱可塑性樹脂で形成されている被接合層または木材、スエードまたはメタルメッシュの一つで形成されている加飾層を接合してもよい。
【0062】
[第4実施形態]
[複合積層体ヒータの構成]
上記の実施形態では、複合積層体ヒータは複合層および面状発熱層で構成されているが、複合積層体ヒータはフィルム層、複合層、基盤樹脂層および面状発熱層で構成されていてもよい。
【0063】
図8は、複合積層体ヒータ300を示す断面図である。複合積層体ヒータ300は、本体層340、基盤樹脂層320を備えている。本体層340は、フィルム層311、313、複合層312、314および面状発熱層130で構成されている。面状発熱層130は、フィルム層311と複合層312との間に設けられている。フィルム層311、313および複合層312、314は、互い違いに積層されている。
【0064】
フィルム層311、313は、熱可塑性樹脂フィルムが熱圧着されて形成された層である。厚みが均一の熱可塑性樹脂フィルムの一定割合が熱圧着により不織布の繊維内に浸潤されて形成されるため厚みが均一である。
【0065】
複合層312、314は、不織布および不織布の網目内に浸潤し固着された熱可塑性樹脂で形成されている。不織布は、スパンボンド系不織布が好ましいが、ポリエステルを含む抄紙系不織布またはフェルトであってもよい。
【0066】
複合層312、314は、フィルム層311、313に接しており、フィルム層311、313から連続する熱可塑性樹脂が、不織布の網目内に浸潤している。そのアンカー効果により、複合層312、314とフィルム層311、313とが強固に接合している。これにより、熱可塑性樹脂により強固に一体化された板状部材を構成できる。
【0067】
基盤樹脂層320は、射出成形により熱可塑性樹脂で形成され、複合層314に接している。複合層312、314は、いずれも両面から熱可塑性樹脂が不織布の網目内に浸潤し固着されている。
【0068】
複合積層体ヒータ300では、本体層340が、フィルム層311、313および複合層312、314で構成された4層構造を有することが好ましい。4層構造以上とすることで複合積層体ヒータの強度を向上し形状を安定にすることができる。一方で、4層構造以下であれば成形が容易になる。
【0069】
ただし、本体層が、フィルム層および複合層だけの2層構造であってもよいし、6層構造以上であってもよい。いずれにしても、最も表面側の層をフィルム層とし、最も基盤樹脂層に近い層を複合層とする。
【0070】
複合積層体ヒータ300の端縁は、基盤樹脂層320が本体層340を被覆して形成されていることが好ましい。これにより、本体層340の端縁310aを基盤樹脂層320で被覆でき、確実な回路の絶縁が可能になる。このようにして発熱繊維層131および電極132が露出せず全体を埋設できる。これにより、電極132の一部だけ露出させた構造、あるいは取出し電極を無くした非接触の通電構造を実現でき、水の浸透等による漏電を防止できる。
【0071】
このようにして複合積層体ヒータを形成する場合、熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを用いることが好ましい。熱可塑性樹脂としてPVB(ポリビニルブチラール)を用いてもよい。PVBは容易に軟化でき繊維の隙間に浸潤させることができる。PVBは、可塑剤等を添加し、ホットメルトPVBとして用いることが好ましい。その場合には、溶融温度を120℃にすることが好ましい。
【0072】
[複合積層体ヒータの製造方法]
上記のように構成された複合積層体ヒータ300の製造方法を説明する。複合積層体ヒータ300は、熱圧着、プレフォーム成形、トリミングおよび射出成形の工程で製造される。熱可塑性樹脂フィルムと不織布とを熱圧着する際の各材料の配置は、図5におけるプリプレグシートを熱可塑性樹脂フィルムに置き換えたものと同様になる。
【0073】
まず、熱可塑性樹脂フィルムと不織布とを所定の設計通りに重ねて配置し熱圧着する。例えば、上から熱可塑性樹脂フィルム、不織布、熱可塑性樹脂フィルム、不織布の順に重ねて重畳体を形成する。熱可塑性樹脂フィルムと不織布との間には面状発熱層を配置する。そして重畳体の上下から熱圧着を行いシート状の積層体を形成している。熱圧着は、油圧熱プレス機または多段プレス機を用いることができる。熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを用いる場合、融点以下軟化点以上の温度に加熱しつつプレスして行う。具体的には、140℃以上160℃以下の温度が好ましい。
【0074】
このように、軟化点より高く融点より低い温度で熱圧着されることで、フィルムを形成する熱可塑性樹脂が軟化し、不織布の網目内に浸潤し、アンカー効果により強固に網目に固着する。その結果、繊維を有する複合層に熱可塑性樹脂のフィルム層が堅固に接合された積層シートが生成される。
【0075】
ポリプロピレンフィルムを用いる場合、厚さ100μm以上1500μm以下のものを用いるのが好ましく、厚さ100μm以上500μm以下のものを用いるのがさらに好ましい。また、不織布としては、厚さ50μm以上500μm以下のものを用いるのが好ましい。上記の熱圧着の結果、複合積層体ヒータ300の本体層340に相当する積層シートが得られる。
【0076】
そして、プレフォーム成形およびトリミングの工程を行う。これらの工程は、図4(a)~(d)に示すように第1実施形態と同様に行う。不要な部分をトリミングにより除去することで、その後の射出成形によりトリミングによる切断面を、射出された熱可塑性樹脂で被覆できる。
【0077】
図9(a)、(b)は、射出成形の工程を示す断面図である。図9(a)に示すように、熱可塑性樹脂フィルム側を表にしてプレフォーム成形体83を射出成形用のメス金型M12内に装着した上で、メス金型M12を射出成形用のオス金型M13に向けて移動する。それと共に、射出機の射出孔M15をオス金型M13の射出成形孔M16に押し当てる。
【0078】
その上で、射出スクリューM11を時計回りに回転させてタンクT1内の基盤樹脂層の原料P1をプレフォーム成形体83と射出成形用のオス金型M13とで規定される空間に射出する。すなわち、積層シートの表面を形成する一方の主面とは反対側の不織布で形成される他方の主面に、熱可塑性樹脂を射出成型する。
【0079】
基盤樹脂層の原料P1である熱可塑性樹脂の溶融液は、射出成形機M10で加熱溶融され、プレフォーム成形体83が装着されたメス金型M12の中に射出されて、不織布層の各繊維の隙間に浸潤して固着される。このとき、熱可塑性樹脂は不織布の各繊維の隙間に浸潤し、原料P1の冷却固化時における収縮によりプレフォーム成形体83と基盤樹脂層320との固着がより強固になる。
【0080】
そして、図9(b)に示すように、射出成形された基盤樹脂層320が冷却固化した後、射出機および射出成形用のオス金型M13をメス金型M12から離間し、複合積層体ヒータ300が取り出される。得られた複合積層体ヒータ300は、適宜、用途に応じて切削加工される。得られた複合積層体ヒータ300は、熱可塑性樹脂を表層材とする様々な製品に応用できる。なお、複合積層体ヒータ300もPP-FRPヒータ100と同様にアルミニウム層または断熱層を外側の層に設けることができる。その場合、基盤樹脂層320を省いてアルミニウム層または断熱層を設けることも可能である。
【0081】
[自動車への応用]
以上のようなPP-FRPヒータを含む複合積層体ヒータは、自動車内に設置するヒータとして有効である。例えば、ハンドル部の下方(運転手の足元)に設けることで車内の暖房に利用できる。複合積層体ヒータは、発熱繊維を複合樹脂と一体化しているため、取り扱いが容易であり、ヒータの取付け工程を省くことができる。また、テキスタイルを利用して製造するため、強固で形状安定性に優れ、量産体制に組み入れやすい。また、熱効率が高く、省電力の面でも優れている。特に電気自動車(EV)向けに有用である。
【0082】
[便座への応用]
複合積層体ヒータは便座に用いることもできる。便座は、いわゆる暖房便座であり、発熱繊維に電流を流すことで表面の温度を40℃程度に維持できる。複合積層体ヒータは発熱繊維を用いているため、従来のヒータ線を用いた便座に比べ熱効率が高い。また、耐塩酸性に優れたポリプロピレンで表面を形成した暖房便座は、そのまま洗うことも可能である。表面の複合層の真下に面状発熱層を設け、表面に熱を伝導しやすくできる。表面には、起毛等の肌触りの良い加工を施した表層材をさらに設けてもよい。
【0083】
[その他]
複合積層体ヒータは、PPフィルムと不織布との複合積層体またはPMMA、PET、PC等の樹脂フィルムと不織布との複合積層体に接着して用いることもできる。その場合には、樹脂フィルムと不織布との接合にはPVB樹脂を接着剤として用いてもよい。さらには、基盤樹脂として、ABS樹脂、PP、PC、PMMAその他の樹脂を裏面に射出成形してもよい。
【0084】
[第5実施形態]
上記の実施形態では、面状発熱層130を埋設した複合層に断熱の機能を有する層を接着しているが、面状発熱層130無しの複合層すなわちPP-FRP部材のみに断熱の機能を有する層を接着してもよい。図10(a)、(b)は、それぞれアルミニウム層と断熱層およびアルミニウム層を備えるPP-FRP断熱部材400a、400bを示す断面図である。
【0085】
PP-FRP断熱部材400aでは、複合層111~114の一方側にアルミニウム層250が設けられている。アルミニウム層250は、実施形態3と同様に接着剤で複合層111~114に接着されている。アルミニウム層250は複数のアルミニウム箔で構成されることが好ましい。アルミニウム層250と複合層111~114の接着や、アルミニウム層250の構成は、実施形態3と同様である。
【0086】
PP-FRP断熱部材400bでは、複合層111~114の一方側に断熱層260およびアルミニウム層250が設けられている。複合層111~114に対し、断熱層260が接着され、さらに断熱層260に対してアルミニウム層250が接着されている。この場合も、断熱層260およびアルミニウム層250の接着および構成は、実施形態3と同様である。
【0087】
[壁材等への応用]
このようなPP-FRP断熱部材400a、400bは、平板状の建材として利用できる。例えば、住宅の内側の壁材としてPP-FRP断熱部材400a、400bを用いることで、部屋の内部を保温でき、底冷えを防止できる。その場合のPP-FRP断熱部材400a、400bの厚さは、60μm以上2mm以下が好ましく、60μm以上1mm以下であればさらに好ましい。なお、PP-FRP断熱部材400a、400bを壁材に用いるときには、例えばテキスタイルに不燃性のポリエステルの織布等、不燃性のものを用いることが好ましい。あるいは、水酸化アルミニウム、ハロゲン系または三酸化アンチモンのような無機または有機の難燃性の粒子をポリプロピレンに混ぜて用いてもよい。
【0088】
また、便座や加飾を施した部材等にも応用できる。PP-FRP断熱部材は、複合積層体のバッカーとして用いることもできる。複合積層体は、PP、PMMA、PET、PC等の樹脂フィルムと不織布とで構成できる。樹脂フィルムと不織布との接合にはPVB樹脂を接着剤として用いてもよい。基盤樹脂として、ABS樹脂、PP、PC、PMMAその他の樹脂を裏面に射出成形してもよい。
【0089】
[第6実施形態]
上記のように複合積層体ヒータには、ホットメルトによるプリプレグを用いて製造できるもの(PP-FRPヒータ)、またはPPフィルムを用いた圧着により製造できるものがあるが、これらの複合積層体ヒータを完全にポリプロピレンに埋設して埋設型ヒータを製造することも可能である。
【0090】
図11は、埋設型ヒータ500の構成を示す断面図である。図11に示すように、埋設型ヒータ500は、被覆部510とPP-FRPヒータ100とを備えている。被覆部510は、ポリプロピレンで形成されており、その内部にPP-FRPヒータ100が埋設されている。PP-FRPヒータ100は隙間なく被覆部510で覆われており、電極132のみは、被覆部510の外に取り出されている。ここから電圧を印加することでヒータの加熱が可能である。被覆部510を設けることで、塩酸などの洗浄剤に対する耐腐食性を向上できる。
【0091】
このような埋設型ヒータ500は、中空の金型M22、M23内に複合積層体ヒータを設置し、ポリプロピレン樹脂を金型M22、M23内の中空に射出し、硬化させることで生成できる。図12(a)、(b)は、それぞれ埋設型ヒータ500の製造工程の一場面を示す側断面図および平断面図である。図12(a)、(b)に示すように、まず複数の支持部M22aにより金型M22内に板状のPP-FRPヒータ100を金型の底部から浮かした状態に固定する。その際にPP-FRPヒータ100の電極132は中空内から露出させておく。なお、図12(a)に示す一点鎖線12b、図12(b)に示す一点鎖線12aは、それぞれ図12(b)および図12(A)で示す断面を示している。
【0092】
PP-FRPヒータ100には主面の表裏に連通する孔105を設けておくことが好ましい。面状ヒータを用いているため孔が開いていてもヒータの機能への影響は限定的である。支持部M22aは、突起状に形成されており、例えば4つ設けることでPP-FRPヒータ100を安定させて支持できる。
【0093】
そして、あらかじめポリプロピレンを融解させておき、射出口M23aから金型内に射出する。融解したポリプロピレンの温度は、200℃以上250℃以下の温度であり、220℃であることが好ましい。また、ポリプロピレンの種類として、融点140℃以上150℃以下のものを用いることが好ましい。ポリプロピレンの融点は、その分子鎖の長さが長いほど、そして添加される可塑剤の量やタッキファイヤの量が少ないほど高くなる。
【0094】
ポリプロピレンの射出は鉛直上方から行うことが好ましく、融解し適度な流動性を有するポリプロピレンであれば、PP-FRPヒータ100の外周や孔105を通って中空内の鉛直下方の隅々まで行き渡る。充填後のポリプロピレンを徐々に冷却することで埋設型ヒータ500を形成できる。支持部M22aを外した跡の凹部は、塞いでおくことが好ましい。
【0095】
なお、上記の例では、複合積層体ヒータとしてPP-FRPヒータ100を用いているが、PPフィルムを用いた圧着により製造できる複合積層体ヒータ300を用いてもよい。その場合に用いられる複合積層体ヒータは、複合積層体ヒータ300そのものであってもよいし、基盤樹脂層320の無いものであってもよい。また、上記の例では射出成形で複合積層体ヒータを覆うポリプロピレンの被覆層を設けているが、熱収縮型がのポリプロピレンフィルムで被覆層を設けてもよい。
【0096】
[便座への応用]
埋設型ヒータは便座に用いるのが好適である。便座は、いわゆる暖房便座であり、発熱繊維に電流を流すことで表面の温度を40℃程度に維持できる。耐塩酸性に優れたポリプロピレンの被覆部で表面を形成した暖房便座は、そのまま洗うことも可能である。表面には、起毛等の肌触りの良い加工を施した表層材をさらに設けてもよい。
【0097】
[実験1]
タッキファイヤを添加したホットメルトポリプロピレン(HMPP)を加熱して軟化させ、スパンボンド系のポリエステルで形成された不織布に、上記の軟化されたポリプロピレンを塗布することでプリプレグを準備した。不織布には、東レ株式会社製不織布N2070-6Sを用いた。低融点(95℃)のホットメルトポリプロピレン(PP80wt%、タッキファイヤ20wt%)を用いたプリプレグを便宜上「プリプレグ2」と呼ぶ。得られたプリプレグを用いて以下の組み合わせで材料を重ねた。
【表1】
【0098】
黒不織布は、通常の不織布より密度が高く硬い。黒不織布として、東レ株式会社製不織布G2200-BKOを用いた。粗白不織布は、通常の不織布より密度が低い。粗白不織布として東レ株式会社製不織布D5100を用いた。
【0099】
材料を重ねた試料の表面にペン先太さ0.5mmのサインペンで概ね一辺100mmの正方形を描き、各辺の長さを2回測定し、それらを平均した。長さはデジタルノギスを用いて0.01mm単位まで測定した(以下同様)。油圧熱プレス機を用いて各試料を1分間プレスすることで熱圧着を行った。積層体試料3の熱圧着時には、圧着の目的を逸脱して試料が平らになり潰れすぎることを防止するために15mmのスペーサーを噛ませた。
【0100】
熱圧着後に正方形の各辺の長さを2回測定し、それらを平均した。PP-FRP部材として得られた積層体試料1~3はいずれも正方形の長さの変化率が1%以内であった。測定結果は、以下の表に示す通りである。
【表2】
【0101】
次に、高融点(155℃)のホットメルトポリプロピレン(PP90wt%、タッキファイヤ10wt%)を用いたプリプレグと低融点(95℃)のホットメルトポリプロピレンを用いたプリプレグとを積層し、両端を不織布で挟んだ試料を熱圧着した。高融点(155℃)のホットメルトポリプロピレンを用いたプリプレグを便宜上「プリプレグ1」と呼ぶ。以下の組み合わせで材料を重ねた。
【表3】
【0102】
材料を重ねた試料の表面にサインペンで概ね一辺100mmの正方形を描き、各辺の長さを2回測定し、それらを平均した。油圧熱プレス機を用いて各試料を1分間プレスすることで熱圧着を行った。熱圧着後に正方形の各辺の長さを2回測定し、それらを平均した。PP-FRP部材として得られた積層体試料4、5はいずれも正方形の長さの変化率が1%以内であった。測定結果は、以下の表に示す通りである。
【表4】
【0103】
次に、高融点(155℃)のホットメルトポリプロピレンを用いたプリプレグと不織布とを積層した試料を熱圧着した。以下の組み合わせで材料を重ねた。
【表5】
【0104】
材料を重ねた試料の表面にサインペンで概ね一辺100mmの正方形を描き、各辺の長さを2回測定し、それらを平均した。油圧熱プレス機を用いて各試料を1分間プレスすることで熱圧着を行った。熱圧着後に正方形の各辺の長さを2回測定し、それらを平均した。PP-FRP部材として得られた積層体試料6、7はいずれも正方形の長さの変化率が1%以内であった。測定結果は、以下の表に示す通りである。
【表6】
【0105】
以上の通り、いずれの積層体試料においても熱圧着前後で長さの変化率が1%以内であり、形状安定性に極めて優れていることが示された。特に低融点のホットメルトポリプロピレンを用いたプリプレグを積層し、120℃以下の比較的に低い温度で熱圧着をする場合には、変化率が0.4%以下であった。このような結果からPP-FRP部材の製造時の形状安定性はもちろんのこと、製造後のPP-FRP部材は100℃以上150℃以下の温度および2.5MPa以下の圧力で熱プレスしたときにも変化率が1%以外であり、形状安定性に極めて優れていることも分かる。
【0106】
[実験2]
比較のため、厚さ0.5mmの100%ポリプロピレン(PP)フィルムを1分間熱処理した。熱処理は、以下の通りの温度、圧力および測定条件で行った。熱処理の前に、試料の表面にサインペンで概ね一辺100mmの正方形を描き、各辺の長さを2回測定し、それらを平均した。また、熱処理後に正方形の各辺の長さを2回測定し、それらを平均し、変化率を算出した。
【表7】
【0107】
ポリプロピレンフィルム試料4、6のように軟化点を超えた温度で2MPaの圧力を加えると形状が変化することが分かった。これらについては変化率が1%を超えており、ポリプロピレンフィルムを圧着して積層体を作製しても十分な形状安定性が得られないことが分かる。
【0108】
[実験3]
実験1で得られたPP-FRP部材を切断し、切断面を顕微鏡で観察した。図13は、切断面の顕微鏡写真である。図13に示すように、プリプレグ由来の複合層711および不織布由来の複合層712が積層したPP-FRP部材700が形成されていることが分かる。不織布711a内に浸潤したポリプロピレン711bが連続的に一体化していることが分かる。
【0109】
[実験4]
4層構造の複合層の第1層と第2層との間に面状発熱層を設け、5mmの孔を設けたPENシートをアルミニウム箔の間に挟み、この積層体を第4層に接着して複合積層体ヒータを作製した。得られた複合積層体ヒータのアルミニウム箔間の樹脂層の孔の位置にはズレは無かった。得られた複合積層体ヒータに対し、12V、4Aの電流を流したところ即座に第1層側の表面の温度が60℃まで上昇した。裏側の表面はほとんど温度の上昇が無かった。
【0110】
一方、比較例としてポリプロピレンフィルム4枚の1枚目と2枚目との間に発熱材を挟み、熱圧着し、5mmの孔を設けたPENシートをアルミニウム箔の間に挟み、この積層体を4枚目側に接着した。得られた比較例のヒータは、形状が不均一であり表面にはしわが生じた。また、アルミニウム箔間の樹脂の孔の位置が1mm以上ずれていた。比較例のヒータに対し、12V、4Aの電流を流したところ、表面の温度が上昇した。
【符号の説明】
【0111】
10 不織布
20 ポリプロピレン
30~36 プリプレグ
37 発熱材
38 発熱繊維
40a、40b 重畳体
41 積層体
42~43 成形体
51~52 テキスタイル
100 PP-FRPヒータ
105 孔
111~114 複合層
130 面状発熱層
131 発熱繊維層
132 電極
200a、200b PP-FRPヒータ
211~212 複合層
231 導線
250 アルミニウム層
251 アルミニウム箔
252 樹脂シート
260 断熱層
300 複合積層体ヒータ
400a、400b PP-FRP断熱部材
200 複合部材
340 本体層
310a 端縁
311、313 フィルム層
312、314 複合層
320 基盤樹脂層
500 埋設型ヒータ
510 被覆部
700 PP-FRP部材
711 複合層
711a 不織布
711b ポリプロピレン
712 複合層
M1~M3 ノズル部
R1~R4 ロール
M10 射出成形機
M11 射出スクリュー
M12 メス金型
M13 オス金型
M15 射出孔
M16 射出成形孔
T1 タンク
P1 原料
M22、M23 金型
M22a 支持部
M23a 射出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11
図12
図13