(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159756
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】自己調整ステープル高さの外科用ステープラ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024117506
(22)【出願日】2024-07-23
(62)【分割の表示】P 2023040999の分割
【原出願日】2015-09-15
(31)【優先権主張番号】62/050,513
(32)【優先日】2014-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ベセラ マシュー
(72)【発明者】
【氏名】デッカー スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ホプキンズ ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】パテル アタール
(72)【発明者】
【氏名】ジャセミアン ババク
(57)【要約】
【課題】従来の問題を解決するステープラを提供すること。
【解決手段】ステープルカートリッジおよび/またはステープル成形をあるサイズ範囲内で自動的に調整するばね押しリフトを有する外科用ステープラが提供される。リフトは、ステープル発射機構体が発射シーケンスのその前方並進を開始すると自動的に解除される。自動的一方向調整はまた、ステープルカートリッジを調整する一方で、カートリッジをアンビルに平行に維持して一貫したステープル成形を提供する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用のステープラであって、
アンビルを含む第1のジョーを有し、
複数のステープルを収容したカートリッジを含む第2のジョーを有し、前記第1のジョーは、前記第2のジョーに近づいたり該第2のジョーから遠ざかったりすることができ、
前記第2のジョーと前記カートリッジとの間に設けられたカートリッジリフトを有し、前記リフトは、前記リフトが長手方向に動いている間、前記カートリッジを前記第1のジョーに向かって動かすよう配置されている、ステープラ。
【請求項2】
前記リフトは、近位側の方向にのみ動く、請求項1記載のステープラ。
【請求項3】
前記カートリッジは、前記第1のジョーに向かう方向にのみ動く、請求項1又は2記載のステープラ。
【請求項4】
前記カートリッジは、前記ステープルの発射に先立って動く、請求項1乃至3の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項5】
前記カートリッジリフトに連結されたばねを更に有する、請求項1乃至4の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項6】
前記ばねは、拘束されている、請求項1乃至5の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項7】
前記第1および前記第2のジョーに連結された細長いシャフトを更に有し、前記第1のジョーと前記第2のジョーは、互いに回動可能に連結され、アクチュエータが前記細長いシャフトに取り外し可能に連結され、前記アクチュエータは、前記ジョーを開閉し、前記ステープルを発射し、ブレードを並進させるとともに前記ばねを解除するよう構成されている、請求項1乃至6の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項8】
前記カートリッジリフトは、リテーナに向いている下面を備えた傾斜突起を有し、前記リテーナは、前記カートリッジリフトに向いている上面を備えた傾斜突起を有し、前記リテーナの前記傾斜突起の前記上面は、前記カートリッジリフトの前記傾斜突起の前記下面と相補するよう形作られるとともに位置決めされている、請求項1乃至7の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項9】
前記カートリッジリフトの運動を制止するリフトロックを更に有する、請求項1乃至8の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項10】
前記リテーナおよび前記アンビルは、前記カートリッジが垂直に動いているとき、静止状態のままである、請求項1乃至9の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項11】
前記カートリッジリフトは、前記カートリッジリフトばねが前記カートリッジリフトを近位側の方向に引くことによって付勢される、請求項1乃至10の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項12】
前記ばねは、当初ロックされ、前記カートリッジリフトは、最も下の垂直位置に位置したままである、請求項1乃至11の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項13】
前記ばねは、発射操作がいったん始まると、ロック解除される、請求項1乃至12の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項14】
前記ばねをロックし直すことができない、請求項1乃至13の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項15】
前記カートリッジリフトは、積極的な垂直力を前記カートリッジに及ぼす、請求項1乃至14の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項16】
外科用のステープラであって、
アンビルを含む第1のジョーを有し、
複数のステープルを備えたカートリッジを含むとともに近位端から遠位端まで延びる第2のジョーを有し、前記第1のジョーは、前記第2のジョーに近づいたり該第2のジョーから遠ざかったりすることができ、
前記第2のジョーと前記カートリッジとの間に設けられた状態で前記第2のジョーの前記遠位端から遠ざかる近位側への長手方向に付勢されるカートリッジリフトを有する、ステープラ。
【請求項17】
前記カートリッジは、前記カートリッジリフトが動く単一の方向に対して横の単一の方向にしか動くことができない、請求項16記載のステープラ。
【請求項18】
前記アンビルは、動くことができない、請求項16又は17記載のステープラ。
【請求項19】
前記アンビルは、静止している、請求項16乃至18の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項20】
前記可動リフトは、リフトばねによって付勢される、請求項16乃至19の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項21】
前記リフトばねが動くのを阻止するリフトロックを更に有し、前記リフトロックは、発射操作がいったん始まると、ロック解除されて前記リフトばねを解除する、請求項16乃至20の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項22】
前記リフトロックをロックし直すことができない、請求項16乃至21の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項23】
前記リフトロックは、ユーザから接近可能ではない、請求項16乃至22の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項24】
外科用のステープラであって、
アンビルを含む第1のジョーを有し、
カートリッジを含む第2のジョーを有し、前記第1のジョーは、前記第2のジョーに向かって動くことができ、
上側アームおよび下側アームを有するとともに前記上側アームと前記下側アームとの間に距離を定める作動ビームを有し、前記距離は、調節可能である、ステープラ。
【請求項25】
前記作動ビームの前記上側アームと前記下側アームとの間に設けられていて、前記上側アームと前記下側アームとの間の前記調節可能な距離を制限するウェブを更に有する、請求項24記載のステープラ。
【請求項26】
前記作動ビームの前記上側アームから延びるとともに複数の突出部を含む垂直延長タブおよび、前記作動ビームの前記下側アームから延びる垂直延長タブとを更に有し、該垂直延長タブは、前記作動ビームを前記上側アームの前記垂直延長タブの前記複数の突出部と相互作用するよう配置された複数の突出部を有する、請求項24又は25記載のステープラ。
【請求項27】
前記作動ビームの前記上側アームから横方向に延びる上側タブおよび、前記作動ビームの前記下側アームから横方向に延びる下側タブを更に有し、前記上側タブは、前記作動ビームの前記上側アームと前記下側アームとの間の前記調節可能な距離を制限するために前記下側タブと相互作用するよう位置決めされている、請求項24乃至26の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項28】
外科用のステープラであって、
アンビルを含む上側ジョーを有し、
カートリッジを含む下側ジョーを有し、前記下側ジョーは、前記上側ジョーに向かって動くことができ、前記上側ジョーと前記下側ジョーとの間の距離は、調節可能であり、前記ジョーの最も近位側の部分は、前記上側ジョーと前記下側ジョーとの間にほぼゼロの隙間を有する、ステープラ。
【請求項29】
前記第1のジョーは、該ジョーの近位部分と該ジョーの遠位部分との間にトグルジョーリンクを有する、請求項28記載のステープラ。
【請求項30】
前記下側ジョーは、前記上側ジョーに向かって傾けられており、前記下側ジョーは、前記下側ジョーの近位端から遠位端まで漸増する勾配を備えた傾斜面を有する、請求項28又は29記載のステープラ。
【請求項31】
前記カートリッジは、前記下側ジョーに対して長手方向運動が拘束されるとともに前記下側ジョーに対して垂直運動が拘束されない状態で浮動状態にある、請求項28乃至30の何れか1項に記載のステープラ。
【請求項32】
前記上側ジョーは、摺動ピボットに連結されている、請求項28乃至31の何れか1項に記載のステープラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、外科用ステープラ、特に自己調整ステープル高さ機構体、システムおよび/またはプロセスを備えた外科用ステープラに関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2014年9月15日に出願された米国特許出願第62/050,513号の権益主張出願であり、この米国特許出願を参照により引用し、この記載内容全体があたかも本明細書に記載されているかのごとく本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
外科用ステープラの中には、調節可能なジョー隙間および成形されるステープルサイズを提供する機構体を有するものがある。しかしながら、かかるステープラは、ユーザ入力を必要とし、組織の評価または測定を必要とし、かかる評価または測定を行うための機構体又はプロセスをなんら提供しておらず、しかも加えられている圧力に対する十分なユーザフィードバックを提供していない。かかるステープラはまた、腹腔鏡下手術と関連した制限、例えばスペースおよびサイズに関する制約を考慮に入れていない。
【0004】
非腹腔鏡下ステープラの例では、ユーザが閉じ状態のステープルの高さを1.0mmから2.5mmの範囲で手動調整することができるダイアルまたはノブが器具の後部に設けられている。器具はまた、予想「隙間設定値」をユーザに表示しまたは予想ステープル高さを表示する観察窓を有する。他のステープラは、ユーザが閉じステープル高さを1.5mm、1.8mm、または2.0mmに手動で選択することができる三位置トグルスイッチを有する。
【0005】
かくして、かかるステープラは、固定されたジョー隙間高さで発射され、かかるステープラは、ステープラのジョーの中に収まっている組織を全てその特定の高さに圧縮する。幾つかの場合、ユーザは、ユーザの技術、過去のステープル発射の経験、および発射対象の組織の知覚に基づいて用いられるべき特定の高さを備えた特定のステープル再装填量を選択することが求められる。加うるに、本来的にはヒトの臓器の解剖学的構造は、一定のまたは一貫した壁厚を有しておらず、しかも患者によって様々である。疾患のあるまたは炎症のある組織と比較した場合の健常な組織もまた、サイズおよび厚さのばらつきが大きい。したがって、使用のためにどのサイズのステープルを再装填するかの決定は、難しい決定である。また、種々のジョー隙間高さおよびステープルサイズで提供される広汎なステープル再装填量が存在するが、ステープラは、組織厚さについての順応性を提供してはいない。
【0006】
幾つかのステープラに関し、ステープルサイズは、外科医の組織厚さの知覚(測定器具が提供されておらず、用いられておらず、または想定されていない)に基づき、あるいは同様な組織に関する過去の経験を通じて使用前にユーザによって選択される。しかしながら、患者の体内の特定の臓器の厚さは、他の患者の同様な解剖学的構造に劣らず様々である場合がある。したがって、所与の組織について正確なステープルサイズを選択することは困難であり、所与の組織が所与のステープルについて特定されまたは意図された4つまたは5つの有限サイズのうちの1つの中に収まっているかどうかを判定することは、困難な場合が多い。かかるステープラに関する使用についての取扱説明書は、正確に寸法決めされたステープルを特定の組織厚さ範囲について使用することができるということを示唆している。しかしながら、ユーザには、組織を正確にまたは効率的に測定するための機構またはプロセスが提供されていない。かくして、ステープルサイズの多数の選択が適正なステープルサイズ、組織厚さ、および/または力を特定するための順列組み合わせを増大させるという点で事態が一層複雑になる。
【0007】
また、ステープラは1つの固定された高さで発射されるので、ステープラは、常時、例えば成形高さが1.5mmであるステープルを送り出すことになる。これは、ユーザが器具の意図した範囲、多くの場合0.5mm窓に制限される範囲の外側に位置する組織上にステープラを発射するのを選択する場合に問題となる場合がある。したがって、成形ステープルは、組織を捕捉せずまたは組織中に形をなさず、かくして成形ステープルによる組織の意図した封止または閉鎖を提供することはない。それゆえ、成形ステープルは、所与の組織にとっては大きすぎる。加うるに、ステープラの発射に先立つ組織厚さの測定は、役に立たず、しかもかかる測定の有効精度を得るのが困難な場合がある。
【0008】
したがって、特定の組織厚さについて不正確なステープル高さを有する不正確なステープルサイズを用いると、その結果として、ステープルが正確に成形されず、しかも/あるいはステープルを成形する際に潜在的に他の合併症をもたらす場合のある過剰な圧迫または血流の制限が生じる場合がある。
【発明の概要】
【0009】
ジョー内に配置された組織のサイズに合わせて自動的に調整を行う自己調整高さ再装填ステープラが提供される。したがって、外科用ステープラは、組織厚さを考慮に入れており、そしてユーザの推量または評価に基づかないで実際の組織厚さに基づいて自動的に調整を行う。かくして、このステープラは、虚血および/または組織損傷を生じさせるほど強くクランプすることなくまたは圧迫することなく、切断線のところにシールおよび止血を提供するのに十分な組織圧迫を提供する。
【0010】
ステープラは、ユーザが例えステープル留めされるべき組織にとって大きすぎるステープルサイズまたはカートリッジを選択してもジョー隙間補正を可能にする。それゆえ、ステープラは、単一のあらかじめ定められた有限高さで発射するのではなく、最大ジョー隙間高さ(例えば、0.037インチ/0.038インチ(0.944mm/0.965mm))と最小ジョー隙間高さ(例えば、0.017インチ/0.018インチ(0.432mm/0.475mm))との間で任意の組織に適合する能力を備える。
【0011】
ステープラは、ステープルを組織厚さに基づいて特定の組織について特定のステープル高さで成形する。ステープラは、ジョー内で圧縮されている組織からの圧力‐力フィードバックを用いて適正なステープル高さ(成形後におけるステープルの高さ)を調整するとともに設定する。組織と接触状態にあるステープラのジョーは、組織厚さを検出してこれに応動し、そしてそれに応じてステープル高さを調整して器具によって捕捉された各組織について器具の各発射のための理想的な閉じステープル高さを提供することができる。
【0012】
種々の実施形態では、ステープルカートリッジおよび/またはステープル成形をあるサイズ範囲(例えば、ジョー隙間および/または閉じステープル高さ)内で自動的に調整する一方向ばね押しリフトを有するステープラが提供される。リフトは、ステープル発射機構体が発射シーケンスのその前方並進を始めると自動的に解除される。自動的一方向調整はまた、ステープルカートリッジを調整する一方で、カートリッジをアンビルに平行に維持して一貫したステープル成形を提供する。種々の実施形態では、外科用ステープラは、自動垂直調整式ステープルカートリッジを有する。
【0013】
種々の実施形態では、外科用ステープラは、アンビルを含む第1のジョーと、複数のステープルを収容したカートリッジを含む第2のジョーとを有し、第1のジョーは、第2のジョーに近づいたりこの第2のジョーから遠ざかったりすることができる。外科用ステープラは、第2のジョーとカートリッジとの間に設けられたカートリッジリフトを更に有し、リフトは、リフトが長手方向に動いている間、カートリッジを第1のジョーに向かって動かすよう配置されている。
【0014】
種々の実施形態では、外科用ステープラは、アンビルを含む第1のジョーと、複数のステープルを収容するカートリッジを含むとともに近位端から遠位端まで延びる第2のジョーとを有し、第1のジョーは、第2のジョーに近づいたりこの第2のジョーから遠ざかったりすることができる。外科用ステープラは、第2のジョーとカートリッジとの間に設けられた状態で第2のジョーの遠位端から遠ざかる近位側への長手方向に付勢されるカートリッジリフトを有する。
【0015】
種々の実施形態では、外科用ステープラは、アンビルを含む第1のジョーと、カートリッジを含む第2のジョーとを有し、第1のジョーは、第2のジョーに向かって動くことができる。外科用ステープラは、上側アームおよび下側アームを有するとともに上側アームと下側アームとの間に距離を定める作動ビームを更に有し、距離は、調節可能である。
【0016】
種々の実施形態では、外科用ステープラは、アンビルを含む上側ジョーと、カートリッジを含む下側ジョーとを有する。下側ジョーは、上側ジョーに向かって動くことができ、上側ジョーと下側ジョーとの間の距離は、調節可能である。ジョーの最も近位側の部分は、上側ジョーと下側ジョーとの間にほぼゼロの隙間を有する、ステープラ。
【0017】
本発明のこれらの特徴および他の特徴は、関連の図面を参照して行われる実施形態の説明により明らかになろう。
【0018】
本発明は、添付の図面と関連して行われる以下の説明を参照すると理解でき、添付の図面のうちの図全体を通じて、同一の参照符号は、同一の部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタ(横切器)レセプタクル。
【
図1B】本発明の実施形態による外科用ステープラのアクチュエータの側面図である。
【
図2A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの斜視図である。
【
図2B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面図である。
【
図3A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの斜視図である。
【
図3B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面図である。
【
図4】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの分解組立て図である。
【
図5】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの分解組立て図である。
【
図6】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの分解組立て図である。
【
図7A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの分解組立て図である。
【
図7B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの分解組立て図である。
【
図8A】本発明の種々の実施形態によるステープルプッシャの平面図である。
【
図8B】本発明の種々の実施形態によるステープルプッシャの斜視図である。
【
図8C】本発明の種々の実施形態によるステープルプッシャの斜視図である。
【
図9A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの斜視図である。
【
図9B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの斜視図である。
【
図10A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの斜視図である。
【
図10B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの斜視図である。
【
図11A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの正面図である。
【
図11B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面断面図である。
【
図12A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの正面図である。
【
図12B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面断面図である。
【
図13A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面断面図である。
【
図13B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面断面図である。
【
図14A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面断面図である。
【
図14B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面断面図である。
【
図15A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の斜視図である。
【
図15B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面断面図である。
【
図16A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の斜視図である。
【
図16B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面断面図である。
【
図17A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの遠位端部の斜視図である。
【
図17B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの近位端部の斜視図である。
【
図17C】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの遠位端部の斜視図である。
【
図17D】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの近位端部の斜視図である。
【
図18】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの斜視図である。
【
図19】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図20】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図21】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの斜視図である。
【
図22】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図23】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図24】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの斜視図である。
【
図25】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図26】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図27】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの斜視図である。
【
図28】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図29】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図30】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの斜視図である。
【
図31】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図32】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図33】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの斜視図である。
【
図34】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図35】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図36】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの斜視図である。
【
図37】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図38】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図39】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの斜視図である。
【
図40】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図41】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図42】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのアクチュエータの斜視図である。
【
図43】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのアクチュエータの側面図である。
【
図44】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのアクチュエータの側面図である。
【
図45A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの斜視図である。
【
図45B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのアクチュエータの斜視図である。
【
図45C】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの斜視図である。
【
図45D】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのアクチュエータの斜視図である。
【
図46】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのアクチュエータの斜視図である。
【
図47】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのアクチュエータの斜視図である。
【
図48】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのアクチュエータの分解組立て図である。
【
図49】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのアクチュエータの側面図である。
【
図50A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面断面図である。
【
図50B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面断面図である。
【
図51A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面断面図である。
【
図51B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面断面図である。
【
図51C】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面断面図である。
【
図52A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面断面図である。
【
図52B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面断面図である。
【
図53A】本発明の種々の実施形態としてのステープルの側面図である。
【
図53B】本発明の種々の実施形態としてのステープルの側面図である。
【
図54】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の正面断面図である。
【
図55A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図55B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルのアクチュエータの側面図である。
【
図56A】本発明の種々の実施形態としてのステープルの側面図である。
【
図56B】本発明の種々の実施形態としてのステープルの側面図である。
【
図56C】本発明の種々の実施形態としてのステープルの側面図である。
【
図57A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の斜視図である。
【
図57B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の斜視図である。
【
図58A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の斜視図である。
【
図58B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の斜視図である。
【
図59A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の正面断面図である。
【
図59B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の正面断面図である。
【
図60】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の分解組立て図である。
【
図61A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面断面図である。
【
図61B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面図である。
【
図62A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの下から見た斜視図である。
【
図62B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの斜視図である。
【
図63A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面断面図である。
【
図63B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面断面図である。
【
図64A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの斜視図である。
【
図64B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの斜視図である。
【
図65A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの一部分の斜視図である。
【
図65B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの一部分の斜視図である。
【
図66A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの一部分の側面図である。
【
図66B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの一部分の側面図である。
【
図67A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの一部分の側面図である。
【
図67B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの一部分の側面図である。
【
図68A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面断面図である。
【
図68B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの下から見た斜視図である。
【
図69A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の下から見た斜視図である。
【
図69B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の下から見た斜視図である。
【
図70A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面断面図である。
【
図70B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面断面図である。
【
図71】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面断面図である。
【
図72A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面図である。
【
図72B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面図である。
【
図73】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面図である。
【
図74】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面図である。
【
図75A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の正面図である。
【
図75B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面図である。
【
図75C】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の正面図である。
【
図75D】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの幾つかの部分の側面図である。
【
図76】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの正面断面図である。
【
図77A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面図である。
【
図77B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面図である。
【
図78A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面図である。
【
図78B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面図である。
【
図79A】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの平面図である。
【
図79B】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面図である。
【
図79C】本発明の種々の実施形態としての外科用ステープラのステープル・トランセクタレセプタクルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
種々の実施形態によれば、外科用ステープラが提供される。このステープラは、種々の実施形態において一方向垂直調整可能ステープルカートリッジを有する。ステープラは、ステープルカートリッジを保持する第1のジョーおよびアンビルを保持する第2のジョーを有する。これらのジョーおよびシャフトは、多くても12mmの内径を定めるカニューレ中に嵌まるよう寸法決めされている。シャフトは、ジョーとアクチュエータとの間に位置決めされている。アクチュエータにより、ユーザ、例えば外科医は、ハンドル、レバー、スイッチまたは他の作動的に接近可能なアクチュエータを操作してジョーを開閉し、それにより組織を把持し、ジョーを端から端まで関節運動させ、ステープルをステープルカートリッジから発射して把持状態の組織中に留めるとともにジョー相互間の組織を切断する。垂直調整式ステープルカートリッジは、自動的であってユーザとの連係を利用せず、ジョーを閉じた後、垂直の一様な圧縮力を組織に向かって及ぼしてこれに加えてアンビルに押し付ける。一実施形態では、垂直調整式機構体は、ジョーが閉じられた後にだけ作動され、発射しないまたは発射を停止させる機能なしで発射機構体がイネーブルにされるとともに発射が開始される。これは、望ましくない組織圧迫または外傷を阻止する。
【0021】
垂直調整式機構体は、ステープルカートリッジを側‐側ではなくアンビルに向かって垂直方向にのみ駆動しまたはウォブリングが許容される。加うるに、種々の実施形態では、ステープルカートリッジは、組織またはアンビルから遠ざかるのではなく組織およびアンビルに向かってのみ動くことができる。したがって、垂直調整式機構体がいったん作動されると、ステープルカートリッジは、一方向にのみ動くことができる。
【0022】
図1~
図79を参照すると、種々の実施形態によれば、外科用ステープラが提供される。種々の図示の実施形態では、外科用ステープラは、ステープル・トランセクタレセプタクル(STR)10に取り外し可能に連結されたアクチュエータ2を有する。STRは、細長いシャフト14の遠位端のところに位置する上側可動ジョー11および下側静止ジョー12を有する。上側ジョー11は、アンビル9を有するよう構成され、下側ジョーは、ステープルカートリッジ5を有するよう構成されている。細長いシャフト14の近位端部のところには、アクチュエータインターフェース15が設けられている。アクチュエータインターフェースは、STR10をアクチュエータ2に連結したりこれから連結解除したりする。アクチュエータ2は、ユーザによって回されると、細長いシャフト14およびかくしてジョー11,12を回転させるローテータ16を有する。アクチュエータ2は、静止ハンドルまたはハンドルベースまたは基部22に連結されたトリガまたは可動ハンドル21を更に有する。一実施形態では、ハンドルベースは、ハンドルベース22を形成するよう互いに結合する2つの半部を有する。トリガ21は、以下に詳細に説明する特定の条件下において、ユーザによって操作されると、ジョー11,12の開閉、ステープルの発射、ブレードの並進およびステープルカートリッジの垂直調整をもたらす。一実施形態では、上側ジョーと下側ジョーの両方は、互いに対して動き、一実施形態では、下側ジョーは、動き、他方上側ジョーは、静止状態のままである。
【0023】
上側ジョー11は、ステープルカートリッジ5から順次突き出された複数のステープル6を成形するためのアンビル9を有する。上側ジョー11は、上側の外側カバー91に回動可能に結合されており、この上側の外側カバーは、下側の外側カバー92に連結されている。上側ジョー11は、上側ジョーを開きまたは離隔状態に付勢するジョーばね93を有する。下側の外側カバー92は、リテーナ121に連結されている。リテーナ121は、リテーナに取り付けられるとともに複数の傾斜突起81を有する傾斜路80を保持する。リテーナ121はまた、複数の傾斜突起83を備えた可動カートリッジプラットホームまたはリフト82を収容し、傾斜突起83は、傾斜路80の複数の斜面81と対応関係をなして結合する。ステープルカートリッジ5は、カートリッジリフト82の上に載る。カートリッジリフト82を長手方向かつ近位側に動かすと(例えば、矢印Hで示されているように)、カートリッジリフト82の傾斜突起83は、傾斜路80の傾斜突起81上で摺動し、それによりカートリッジ5を垂直に(例えば、矢印Vで示されているように)動かしまたはSTR10の長手方向軸線1に対して横の(例えば、これに垂直な)方向に動かす。
【0024】
ステープルカートリッジ5は、複数のステープルポケット内に位置する複数のステープル6およびこれに対応した1組のステープルプッシャ7を有する。スライダ17に設けられた1組のフィン171とステープルプッシャの相互作用により、ステープルは、ステープルカートリッジ5から発射されまたは突き出される。カートリッジ5内のステープルは、かくして、カートリッジのステープルポケット内のステープルプッシャと相互作用するスライダの長手方向運動により発射される。発射されたステープルは、ジョー11,12相互間にクランプされた組織を穿通してアンビル9に設けられているアンビルポケットに当たって成形される。スライダ17は、作動ビーム18に作動的に連結されている。作動ビーム18は、ブレード19を有し、この作動ビームは、作動スライダ180に連結されている。一実施形態では、作動スライダ180は、近位作動スライダ181が遠位作動スライダ182に結合されたものである。遠位作動スライダ182は、近位作動スライダ181に垂直であり、両方のスライダは、STR10の長手方向軸線1に平行に延びている。図示の実施形態では、近位作動スライダと遠位作動スライダの交線は、断面で見て、十字形を形成する。
【0025】
作動ビーム18は、上側ジョー11に設けられた長手方向スロットまたはチャネル内で動くよう構成された上側案内またはルーフ183および下側ジョー12に設けられた長手方向スロットまたはチャネル内で動くよう構成された下側案内またはフロア184を有する。同様に、ステープルカートリッジ5、カートリッジリフト82およびリテーナ121は、下側案内184を挿通させる長手方向チャネルを有する。作動ビームの上側および下側案内は、ジョー11,12の閉じの互いに平行なジョー整列および圧縮を保証する。
【0026】
作動スライダ181,182は、作動カバー管185によって包囲され、この作動カバー管185は、開口部186を有し、STR再使用ロックアウト41が作動カバー管185の開口部186を通って板ばね42によって付勢される。作動カバー管は、作動スライダ181,182の整列および並進運動を保証するためのスロットまたは案内を有する。
【0027】
外側管94が作動カバー管185を包囲しており、この外側管は、アクチュエータインターフェース15にこのインターフェースの互いに反対側の側部に設けられた1対の互いに反対側の突出部により結合され、それによりSTRカプラ151への取り外し可能な連結が可能になっている。カプラばね152がロータを遠位側の方向に付勢するようロータとSTRカプラとの間に位置決めされており、その結果、近位側の方向におけるロータの運動によりばねが圧縮されてカプラ151およびアクチュエータインターフェース15への取り外し可能な連結を可能にするカプラへの連結部が露出されるようになっている。作動カバー管185および作動スライダ181,182に平行に延びた状態で関節運動ビーム51が設けられている。関節運動ビーム51は、上側および下側の外側カバー91,92に連結されていて、一実施形態では、作動カバー管185のスロット内に嵌まり込んでこの中で浮かんで動く近位端部を有する。
【0028】
アクチュエータ2は、取り外し可能に結合されたSTR10に作動可能に連結され、このアクチュエータは、ジョー11,12を開閉形態から一方向の自動的な自己調整ステープル留めに作動させ、または作動ビーム18の前方または後方(遠位側または近位側)への駆動または操作により前方形態から逆形態に作動させる。
図17~
図46は、特に、種々の実施形態に従って種々の作動状態で内側の仕組みが取り付けられているアクチュエータ2を示している。例えば、
図17Aおよび
図17Bは、ステープラをそのジョーが開きまたは初期形態にある状態で示し、
図17Cおよび
図17Dは、ステープラをそのジョーが閉じられているが、未発射のまたは非発射形態にある状態で示している。
【0029】
ステープラの初期位置では、作動ビーム18は、その最も近位側の移動位置に位置決めされ、ジョー11,12は、開き形態または位置にある。作動ビームは、細長いシャフト14の長手方向軸線1に沿う作動ビームの遠位側への並進時に上側ジョー11に係合する。作動ビームを初期位置から第1の規定の長手方向距離(例えば、0.225インチ(5.715mm))遠位側に並進させると、ジョーを開き位置から閉じ位置に作動させることができる。ジョーが閉じ形態にある状態で、ジョーばねがジョーを開き状態に付勢し、同じ第1の距離を移動してジョーを開き位置に戻すことによって影響を受けて作動ビームを近位側に戻すことができる。アクチュエータ2のトリガ21は、トリガを絞ると、ジョーが閉じ、トリガを押し開きまたは一実施形態では解除すると、ジョーが開くよう作動ビームに作動的に結合されている。一実施形態では、トリガ21は、作動ビーム18に作動的に連結された作動ロッド62に設けられている溝または切欠き71と係合可能な頂部または歯を備えた前方遠位ピボット爪25に連結されている。前方遠位ピボット爪と作動ロッドの溝71との係合は、トリガをハンドルベースに向かって回動させたときに作動ロッドを遠位側の方向に動かすのを助ける。遠位側の方向への作動ロッドのかかる運動により、作動ビーム18が遠位側の方向に動かされ、それによりジョーが閉じる。
【0030】
同様に、一実施形態では、トリガ21は、作動ビーム18に作動的に連結された作動ロッド62に設けられている溝または切欠き72と係合可能な先端部または歯を備えた前方近位ピボット爪28に連結されている。前方近位ピボット爪と作動ロッドの溝72の係合は、トリガを回動させてハンドルベースから遠ざけまたは解除しているときに作動ロッドを近位側の方向に動かすのを助ける。近位側の方向への作動ロッドのかかる運動により、ジョーが開くことができる。トリガ21は、ばねによって付勢され、それによりトリガは、トリガが回動されてハンドルベースから遠ざけられた状態で、付勢されて初期又は開き位置に戻される。前方遠位ピボット爪25および前方近位ピボット爪28は、トリガ21に回動可能に連結され、一実施形態では、“V”を形成しまたはこれに似た形をとり、遠位ピボット爪25は、近位ピボット爪28の方向とは逆の方向に延びる。遠位ピボット爪25と作動的に係合可能な溝または切欠き71は、作動ロッドの遠位端部の近くに位置しかつ近位ピボット爪28と作動的に係合可能な溝72から見て遠くに位置する。ユーザによって所望されるままに開閉操作を多数回にわたって繰り返すことができ、それにより例えば所与の外科的処置の場合、組織を把持しまたは切開することができる。
【0031】
種々の実施形態では、STR認識筒31がSTR10をアクチュエータ2に取り付けていない場合には発射操作の作動または動きを阻止する。しかしながら、アクチュエータ2のトリガ21の動きまたは関節運動は、阻止されない。アクチュエータの動きを可能にすることにより、アクチュエータの包装および試験を助けることができる。加うるに、これにより、ステープルを発射するための機能または使用の有無を問わず、把持および/または関節運動を必要とする場合のある他の前側端部作動ユニットの取り付けを可能にし、それによりアクチュエータ2の融通性を高めることができる。種々の実施形態では、STRの取り付けにより認識筒31が近位側に動き、それにより認識ばねに結合されているSTR認識ばね32を圧縮する。ばね32は、認識筒を遠位側に付勢し、一実施形態では、このばねは、作動筒55の外面およびばね32を包囲した認識筒の内面に結合されるとともにこれらの間に捕捉されている。認識筒、ばねおよび関節運動筒を同軸に整列させる。認識筒の運動により、筒に連結されている第1のコネクタアーム33が動かされる。一実施形態では、コネクタアーム33は、認識筒の近位端部に取り付けられた遠位端部を有し、コネクタアーム33の遠位端部に設けられた切欠きが認識筒の近位端部の周りに設けられた周囲フランジと係合する。コネクタアーム33の近位端部は、アーミング(発射準備)ハブ61にこのアーミングハブに設けられている切欠きまたはスロットを介して摺動可能に結合されたフランジを有する。コネクタアーム33のフランジがアーミングハブ61のスロット内に配置された状態では、アーミングハブ61の回転運動が阻止される。以下に詳細に説明するように、アーミングハブ61の回転運動により作動ロッド62が回転し、それによりロッドとトリガの相互作用がステープルを発射しまたはジョーを開閉することができる。
【0032】
アーミングハブ61はまた、発射ボタン60に連結され、この発射ボタンにより、ユーザは、ステープラを発射モードまたは逆モードに設定することができ、発射ボタンの作動の度に、ロッドが回転して対応の操作のためのそれぞれの操作位置に至る。したがって、アーミングハブ61のスロット内に設けられたコネクタアーム33は、アーミングアームの回転運動を阻止し、それによっても発射ボタンの作動を阻止し、かくしてステープラの操作の切り替えを阻止する。STRがアクチュエータに取り付けられているので、ハンドル組立体の操作全体が回復されまたは進むようにされる。一実施形態では、二股状作動ロッド、例えば近位作動ロッド63および遠位作動ロッド64は、ステープラの作動を行わないでローテータ16を介してユーザによる回転運動を可能にする。
【0033】
作動ロッド62の遠位端部は、STRの作動スライダに取り外し可能に結合されている。一実施形態では、作動ロッドの遠位端部は、スロット形態を有し、このスロット形態は、作動スライダに設けられている対応の番い関係をなすフランジを受け入れてこれをねじって作動スライダ180への作動ロッドの取り外し可能な番い関係をなす連結状態にロックするよう構成されている。したがって、作動ロッドの並進運動により、これまた作動スライダが並進する。
【0034】
トリガを絞ることによってジョー11,12をいったん完全に閉じると、ユーザは、アクチュエータの前方または発射ボタン60を押してハンドルのモードを発射および自己調整機構体が作動される前方形態に変更することができる。
【0035】
上述したように、一実施形態では、発射ボタン60を作動させるには必ずSTRが取り付けられなければならない。一実施形態では、発射ボタン60もまた、作動ロッドが規定の第1の距離遠位側に移動するまで作動させることができない。種々の実施形態によれば、例えば
図27~
図29に示されているように、STRが取り付けられるとともにジョーが完全に閉じられた状態でトリガ21をいったん解除すると、ステープルが発射されるまではジョーを再び開くことができない。
【0036】
いったん第1の作動形態に位置すると、トリガの作動により作動ビームが遠位側に(すなわち、一方向にのみ)駆動される。一実施形態では、トリガの最初の絞りはまた、自己調整高さ機構体を作動させてジョー相互間の隙間をサイズ変更する。一実施形態では、下側ジョー12のカートリッジリフト82が作動し、それによりカートリッジが持ち上がるようにし、または垂直方向にのみ動いてジョー内の組織に合わせて自己調整する。一実施形態では、この時点で、STR再使用ロック41もまた作動されることになる。このSTR再使用ロック41は、ユーザが不注意により先に使用したSTRを発射させようとするのを阻止するためにSTRが発射モードに一度しか配置されないようにする。STRがいったん開閉または初期位置に戻ると、STR再使用ロック41は、STRが再び発射するのを阻止する。トリガをそれ以上作動させると、作動ビームが更に前方に駆動されてステープルを順次突き出すとともに閉じ状態のジョー相互間に把持された組織を横切する。
【0037】
一実施形態では、スライダ17は、2つ以上の傾斜フィン171を有し、このスライダは、ステープルプッシャ7に順次接触してステープルカートリッジ5内のステープル6を突き出すよう長手方向に動くことができる。長手方向に動くことができる作動ビーム18がスライダを遠位側にかつ長手方向に動かす。スライダは、一実施形態では、連結されず、このスライダは、作動ビームへの取り付けのためのキー、フックまたはキャビティを備えていない。したがって、スライダは、長手方向遠位側にのみ動くことができ、このスライダは、作動ビームの運動によってはこの近位または初期位置に後退することができずまたは戻ることができずまたはこれに向かって動くことができない。しかしながら、作動ビーム18は、その近位または初期位置に戻ることができまたはこれに向かって動くことができる。したがって、一実施形態では、これにより、プッシャ7は、スライダの長手方向運動により垂直に部分的に突き出されまたは動かされた後、ステープルカートリッジ内に落ちて戻ることができる。カートリッジ中へのこの戻り運動により、組織に対する潜在的な外傷、ステープルまたは組織への潜在的なくっつきが軽減し、かくして、ジョー相互間からの組織の取り出しを可能にするためのステープルカートリッジの全体として滑らかな表面が得られる。
【0038】
加うるに、作動ビームがその近位または初期位置に戻りまたはこれに向かって動き、次に戻ることが同時に許容されまたは制約がなくなることにより、切断ブレード19が作動ビーム18に組み込まれまたは取り付けられている実施形態では、所望ならばまたは必要ならば組織を更に切断しまたは組織を切断するようにする。作動ビームは、直立縁部を有し、頂部および底部の垂直縁部は、上側案内183および下側案内184を形成しまたは備える。直立縁部は、ステープルカートリッジを貫通してステープルとステープルプッシャとの間に延びる長手方向スロットまたはチャネル内で移動する。切断ブレードは、ジョー相互間の組織を切断するよう作動ビームの直立縁部に組み込まれまたは取り付けられている。かくして、作動ビームのブレードおよび直立縁部は、一実施形態では、ステープルカートリッジ、アンビルまたはこれら両方に設けられている長手方向チャネルを通って移動する。頂部および底部垂直縁部は、ジョーの外面に沿って乗っかって固定された隙間高さ、すなわち頂部縁部と底部縁部との間の距離を保証し、局所化された圧縮力を組織に及ぼす。頂部垂直縁部または上側案内は、アンビルと組織をステープルカートリッジおよび他のジョーに向かって垂直方向下方に押してこれらに押し付け、底部垂直縁部または下側アームは、ステープルカートリッジおよび組織をアンビルおよび対向したジョーに向かって垂直方向上方に押してこれらに押し付ける。圧縮力は、作動ビームの作動または発射ストローク中、縁部がジョーの外面上に位置決めされる場所に局所化される。
【0039】
発射ボタン60を例えば
図30~
図32に示されているように押すと、アーミングハブ61は、このボタンが長手方向軸線1に垂直な方向に並進しているときに回転する。アーミングハブ61は、一実施形態では、このボタンが直線方向に並進しているときに一方向、例えば反時計回りの方向に回転し、このボタンが逆の直線方向に並進しているときには反対側の方向、例えば時計回りの方向に回転する。アーミングハブ61に連結されている作動ロッド62(および/または図示のように近位作動ロッド63)もまた、アーミングハブが回転しているときに時計回りの方向に回転する。同様に、作動ロッドは、アーミングハブが同じ方向に回転しているときに反時計回りの方向に回転する。
【0040】
アーミングハブ61は、形状が円形であり、作動ロッドを挿通させる中心開口部を備えている。アーミングハブの外側部分は、連結アームに作動的に結合するスロットまたは溝を有する。外側部分の別の部分に沿って一連の歯が設けられており、これらの歯は、発射ボタン60の同様な一連の歯に作動的に結合しまたはこれらと噛み合う。アーミングハブの内側部分は、中心開口部に向かって延びていて作動ロッドに設けられた長手方向スロットと結合する突出部またはこぶ状突起を有する。
【0041】
発射または前方ボタンが押された状態でかつ作動ロッドが回転した状態で、近位ピボット爪28および遠位ピボット爪25の頂部または歯は、今や、作動ロッド62(および/または図示のように近位作動ロッド63)に沿って長手方向に設けられた一連の歯73と作動的に係合する。トリガ21を回動させると、近位ピボット爪28および遠位ピボット爪25は、作動ロッドに沿ってまたはこれに対して遠位側に並進する。近位ピボット爪28が作動ロッド内にまたはこの上に設けられた歯73のうちの1つの歯にいったん係合すると、作動ロッドは、トリガが回動し続けているときに遠位側に動きまたは並進する。トリガを解除しまたはこれをハンドルベース22から遠ざけることによって、近位ピボット爪28および遠位ピボット爪25は、作動ロッドに沿ってまたはこれに対して近位側に戻る。しかしながら、近位ピボット爪28および遠位ピボット爪25の頂部または歯は、今や、作動ロッド62に沿って長手方向に設けられた一連の歯73のより近位側の部分に作動的に係合する。一連の歯73のうちの1つの歯に係合している遠位ピボット爪25は、作動ロッド、作動スライダの近位側への運動を阻止するとともにジョーの開きを阻止する。一連の歯73のうちの1つの歯に係合している近位ピボット爪は、作動ロッド、作動スライダ、作動ビームのそれ以上の遠位側への運動を可能にするとともにステープルの発射の続行およびジョー相互間の組織の切断を可能にする。したがって、トリガの多数回のストロークまたは絞り解除を実施すると、近位および遠位ピボット爪を十分に動かしてステープルを完全に突き出してジョー相互間の組織を切断することができる。一実施形態では、ステープルを突き出したジョー相互間の組織を切断するにはたった1回のストロークが利用される。アクチュエータは、その移動の終わりにある状態でまたはステープルの完全発射を行った状態で、例えば
図33~
図35および
図45C~
図45Dに示されている。
【0042】
種々の実施形態によれば、トリガ21は、中間アクション歯車23およびトリガアクション歯車24に結合されている。トリガアクション歯車24は、図示の実施形態では、可動ハンドルのピボット突出部を挿通させる中心開口部を有する。トリガアクション歯車は、中間アクション歯車の歯の2つの組のうちの一方の組に噛み合わされまたは連結された一連の歯を有する。トリガ21を回動させることにより、トリガアクション歯車が回転し、これに対応して中間アクション歯車23が回転する。特に、トリガ21を絞ることにより、トリガアクション歯車24は、一方向に、例えば反時計回りの方向に回転し、それにより、中間アクション歯車23は、逆の方向に、例えば時計回りの方向に回転する。中間アクション歯車の歯の2つの組のうちの他方の組は、可動ラック27の歯と噛み合い、それによりこのラックを近位側に動かす。可動ラックは、一実施形態では、作動ロッドに平行に位置決めされる。また、ラックを近位側に動かすことにより、逆進爪26が近位側に動きまたは並進する。発射形態では、ステープルの発射中、逆進爪の先端部は、作動ロッド62(および/または図示のように近位作動ロッド63)内にまたはこの上に設けられた外面またはスロットに乗るとともにこれに当たった状態で摺動する。したがって、ラックは、トリガの作動または回動に基づいて遠位側にそして近位側に動くことができる。
【0043】
一実施形態では、逆進爪26の先端部が近位または最も近位側の位置まで動くと、この先端部は、作動ロッドのスロット内の壁または作動ロッド62に沿う歯に係合する。作動ロッド62の壁または歯は、作動ロッドのそれ以上の遠位側への運動を阻止するハードストップまたは追加のストップとして働く。
【0044】
ラック27は、ハンドルベース22に設けられたスロットまたはチャネル内に配置され、一実施形態では、ラック27は、近位または最も近位側の位置に動かされると、スロットの壁または近位端部に係合し、それによりラック27のそれ以上の近位側への運動を阻止し、かくして、中間アクション歯車23のそれ以上の回転に抵抗し、それによりトリガアクション歯車24のそれ以上の回転に抵抗し、それによりトリガ21のそれ以上の絞りまたは閉じを阻止する。同様に、一実施形態では、ラック27は、遠位または最も遠位側の位置に動かされると、スロットの壁または遠位端部に係合し、それによりラック27のそれ以上の遠位側への運動を阻止し、かくして、中間アクション歯車23のそれ以上の回転に抵抗し、それによりトリガアクション歯車24のそれ以上の回転に抵抗し、それによりトリガ21のそれ以上の開きまたはハンドルベースから遠ざかるトリガの動きを阻止する。
【0045】
したがって、ハンドルベース22に向かうトリガの作動により、中間アクション歯車23が一方向に、例えば時計回りの方向に回転し、それによりラック27が近位側に並進し、ハンドルベースから遠ざかるトリガの作動により、中間アクション歯車が逆方向に、例えば反時計回りの方向に回転し、それによりラックが遠位側に並進する。可動ラック27の遠位端部に回動可能に連結された逆進爪26は、ラックが近位側に並進したり遠位側に移動したりしているときに近位側に摺動したり遠位側に摺動したりする。
【0046】
種々の実施形態によれば、外科用ステープラは、ステープルカートリッジ5の一方向の自動的な垂直調整をもたらす。カートリッジ5は、下側ジョー12内で垂直に動かされ、一実施形態では、カートリッジは、下側ジョー12のリテーナ121に対して垂直に動くことができる。下側ジョー内のカートリッジは、カートリッジリフト82の底面に設けられた傾斜突起83と傾斜路80上の傾斜突起81の相互作用によりアンビルに向かって垂直に(例えば、矢印Vによって示されているように)動くことができる。カートリッジは、カートリッジリスト82の上面上に載る。カートリッジリフト82の上面は、全体として平坦であるとともに/あるいはこれには傾斜突起が全くない。一実施形態では、カートリッジリフトは、カートリッジリフトの上面上のカートリッジの適正な着座または組付けを保証するようカートリッジリフトの側部に沿って設けられた案内または隆起部を有する。カートリッジリフトは、一実施形態では、これを貫通したチャネルまたはスロットを更に有し、かかるチャネルまたはスロットは、これを通って長手方向に動くことができる作動ビームのブレードおよび/または直立縁部を受け入れる。カートリッジは、図示の実施形態では、一方向にのみ、すなわち垂直に(例えば、矢印Vで示されているように)動くよう構成されている。カートリッジリフトはまた、カートリッジと傾斜路との間に位置決めされている。傾斜路は、静止状態のままであり、この傾斜路は、動くことができず、他方、カートリッジは、一方向に、すなわち垂直方向にそして傾斜路から遠ざかって動くことができる。カートリッジリフトが長手方向かつ近位側に動かされると(例えば、矢印Hによって示されているように)、カートリッジリフトの傾斜突起83は、下側ジョー12内で固定状態のままである傾斜路80の傾斜突起81に沿って摺動し、それにより、カートリッジ5を垂直に持ち上げる。したがって、外科用ステープラは、一連の傾斜突起を有し、これら傾斜突起は、カートリッジを垂直に持ち上げて上側および下側ステープル高さおよび隙間限度相互間の複数の中間箇所へのかつ傾斜突起の勾配に沿う成形ステープル高さの調節を許容する。
【0047】
カートリッジリフト82もまた、一実施形態では、近位側の長手方向に付勢されている。かかる付勢は、一実施形態では、いったん高さ調整機構体を作動させまたは発射操作を開始させて、例えば作動スライダが第1の規定の距離を越えて移動した場合にのみ起こる。特定の一実施形態では、カートリッジリフト82は、カートリッジリフトを長手方向軸線に沿うまたはこれと整列した近位側の方向に引くカートリッジリフトばね87によって付勢されまたは張力が加えられる。付勢されたリフトは、有効垂直力をカートリッジ5に加え、それによりカートリッジ5がジョー11,12相互間に保持された組織に押し付けられる。
【0048】
別の実施形態では、当初、ばね87または張力機構体は、ロックされまたは不作動状態であり、かくして、カートリッジリフトを近位側の方向に引く張力または力をなんらもたらさない。したがって、不作動時、カートリッジ5および関連のカートリッジリフト82は、その初期または最も下の垂直位置に位置したままである。
【0049】
カートリッジリフト82は、カートリッジリフトがロック解除されまたはばねが解除されると、ばね87によって近位側の方向に付勢されまたは引かれる(例えば、矢印Hによって示されているように)。いったんロック解除されると、カートリッジリフトは、近位側に引かれまたは引っ張られ、かくして、その元のまたは初期位置に戻る遠位側への運動に抵抗しまたは単に遠位側には自由には動くことができない。同様に、カートリッジ5は、その初期または最も下の位置から垂直に持ち上げられる。カートリッジが垂直方向に移動する量または距離は、ばねにより加えられる力、ジョー相互間の組織の量および閉じ状態のジョーによって組織に及ぼされるクランプまたは圧縮力に基づく。種々の実施形態によれば、カートリッジは、ばねによって加えられた力によって付勢されているときに一様な一方向の一貫した垂直力を及ぼす。カートリッジリフトおよび/またはリフトバイアスまたはばね(例えば、ばね87)は、種々の実施形態では、リフトロックによって制止され、種々の実施形態では、リフトロックは、ユーザによって接近可能ではない。リフトロックをいったん変位させると、カートリッジリフトは、引かれまたは張力が加えられ、かくして、その元のまたは初期位置への戻りに抵抗しまたはこの位置に戻ることができない。
【0050】
図示の実施形態では、カートリッジリフト82は、カートリッジリフトビーム84に連結され、カートリッジリフトビーム84は、カートリッジリフト筒85に連結されている。一実施形態では、カートリッジリフトの近位端部は、ピンを受け入れる開口部およびカートリッジリフトビーム84の遠位端部に連結されまたはこれから延びるフランジを受け入れるスロットを有する。リフトビームの近位端部は、リフト筒85の遠位端部に連結され、例えば溶接されまたはリベット留めされている。リフト筒は、中心開口部を有し、このリフト筒は、作動カバー管185の周りに設けられまたはこれを包囲している。リフト筒は、かくして、作動カバー筒185、作動スライダ180、作動ロッド82およびリフトビーム84と同軸であり、このリフト筒は、同様に、作動スライダ180および作動ロッド62に平行である。リフト筒は、カートリッジリフトばね87によって近位側の方向に付勢される(例えば、矢印Hによって示されているように)。カートリッジリフトばねはまた、作動カバー管185を包囲し、このカートリッジリフトばねは、整列状態にかつ上側および下側外側カバー91,92とリフト筒85との間に位置決めされている。図示の実施形態では、カートリッジリフトスペーサ86がばねとリフト筒との間(例えば、ばねの後/背後)にまたは一実施形態では上側および下側外側カバーとばねとの間(例えば、ばねの前/正面)に配置されており、それによりばねの組立てまたは寸法決めの際の許容誤差に順応し、かくしてばねの強さに順応し、それにより適当な圧縮力がジョー相互間に配置された所与の組織について加えられるようにする。リフト筒85は、ステープルを発射することができまたはステープラが発射形態または位置にあるまでまたはその直前において、制止状態のままでありまたは近位側に動くのが阻止される。リフト筒85は、種々の実施形態では、リフトロックによって制止され、種々の実施形態では、リフトロックは、ユーザによって接近可能ではない。種々の実施形態では、リフトロックは、再装填またはSTR再使用ロックアウトである。種々の実施形態では、STR再使用ロックアウト41は、リフト筒85と整列し、かくしてリフト筒と接触関係をなすよう付勢され、それによりリフト筒の長手方向近位側への運動を阻止する。STR再使用ロックアウトがいったん位置合わせ不良になるとまたは動かされてリフト筒から離れると、リフトばね87は、リフト筒を近位側に付勢する。種々の実施形態では、リフトロックまたはSTR再使用ロックアウトは、作動スライダと接触状態にありまたはこれに結合され、かくして、作動スライダがいったん発射操作を開始するとまたはステープルを発射することができまたはいつでも発射可能な状態にある直前において、位置合わせ不良状態になる。
【0051】
一実施形態では、リフト筒はまた、STR再使用ロックアウト上をこれに沿って摺動し、それによりSTR再使用ロックアウトとリフト筒の並列を阻止する。したがって、リフト筒がいったん作動されると、リフト筒を再びロックすることができずあるいはその初期または近位位置に戻すことができない。同様に、リフトビームによってリフト筒に連結されているカートリッジリフトは、その初期または近位位置に戻ることができない。また、カートリッジリフトは、ばねおよび筒の運動の影響を受けて、長手方向かつ近位側に動く(例えば、矢印Hによって示されているように)。カートリッジリフトが近位側に動いているときのカートリッジリフトの傾斜突起と傾斜路の傾斜突起の相互作用により、カートリッジリフトは、ステープルカートリッジ5を一様に垂直に動かす(例えば、矢印Vで示されているように)。種々の実施形態によれば、カートリッジ、リテーナまたはこれら両方に設けられている突出部または戻り止めと対応関係をなして相互作用するスロットまたはチャネルは、カートリッジの一様でありかつ単一の垂直運動を保証しまたは助ける。傾斜突起とリフト筒の付勢の相互作用はまた、ステープルカートリッジのための一体形高さロックアウトとして働き、それにより、ステープラは、調整後のステープル高さ位置で発射することができ、この場合、開き状態にまたは先の位置に戻されるということは可能ではない。
【0052】
カートリッジ高さの調整は、ジョーが一片の組織上に閉じられている間に起こり、かかる調整は、ステープラによって自動的に行われる。外科医/ユーザは、ステープル高さまたはステープルサイズを選択することはない。したがって、ステープル高さは、組織の厚さおよび組織がもたらす抵抗に基づいてステープラによって自動的に設定される。カートリッジ高さの調整はまた、頂面と底面が互いに平行である間にアンビルに対するカートリッジの運動を生じさせる。調整中、頂面と底面は、互いに平行なままであり、これら表面は、運動がいったん完了しても互いに平行なままである。
【0053】
図50Aに示されているように、STR再使用ロックアウト41の遠位端部は、当初、作動スライダ180または一実施形態では近位作動スライダ181の外側頂面上に載る。一実施形態では、STR再使用ロックアウトの近位端部は、作動カバー管185に連結されている。板ばねがSTR再使用ロックアウトの頂部上に載り、この板ばねは、カバー管に結合されている。板ばねは、STR再使用ロックアウトの遠位端部を付勢しまたは回動させて作動スライダに当てまたはこれに押し付ける。次に
図51Bもまた参照すると、ジョーを開閉しているとき、STR再使用ロックアウトの遠位端部は、作動スライダの外側頂面上に位置したままであり、スライダが動いてジョーが開閉されると、長手方向近位側に浮かんで動いたり遠位側に浮かんで動いたりする。
【0054】
ステープルの発射がいったん開始されまたは作動されると、作動スライダは、遠位側に前方に動き、それによりSTR再使用ロックアウト41の遠位端部が作動スライダに設けられているスロットまたは開口部187内に落ち込むことができる。したがって、STR再使用ロックアウトの遠位端部は、作動スライダが長手方向遠位側に移動してステープルをステープルカートリッジから突き出しているとき、
図51A~
図51Cに示されているように作動スライダのスロットの外面上に乗りまたは載る。
【0055】
STR再使用ロックアウトの遠位端部の頂面または外面は、外側カバー管、リフト筒またはこれら両方の底面の下に落ちる。同様に、STR再使用ロックアウトの遠位端部の底面または下面は、作動スライダのスロットまたは遠位下面の頂部上に乗る。したがって、STR再使用ロックアウトの遠位端部は、外側カバー管またはリフト筒と作動スライダとの間に配置されまたは捕捉される。加うるに、STR再使用ロックアウトは、作動スライダとは異なり、長手方向には動かず、回動しまたは作動スライダの長手方向に垂直にまたはこれに対して横方向に動く。
【0056】
作動スライダが戻っているとき、STR再使用ロックアウトの遠位端部は、
図52Aおよび
図52Bに示されているように作動スライダに設けられている遠位スロット内に捕捉または取り込み状態になる。したがって、STR再使用ロックアウトは、長手方向近位側の方向にも遠位側の方向にも作動スライダのそれ以上の運動を阻止する。したがって、STRは、今や、どのステープルも発射しまたは突き出すことができずまたはナイフブレードを動かすことができずまたはカートリッジリフトをリセットすることができない。種々の実施形態によれば、ステープルカートリッジが今や隆起状態にあることは、STRおよび/またはカートリッジが今や発射することができず、ステープルがなく、ステープル留めまたは切断操作が完了していることまたはこれらの任意の組み合わせが生じていることの指標として役立ちうる。
【0057】
種々の実施形態によれば、ステープルカートリッジ5は、下側ジョー12に設けられているスロットまたは開口部1211,1212と嵌合してこれらの中で摺動するよう位置決めされるとともに形作られた1つまたは2つ以上の戻り止めまたは突出部551,552を有する。突出部551,552は、ステープルカートリッジの側壁に設けられ、スロット1211,1212は、カートリッジホルダ、リテーナ121またはステープラの下側ジョー12の側壁に設けられる。突出部とスロットの嵌合により、ステープルカートリッジが垂直に動くことができるようにするが、ステープルカートリッジが垂直にしか動かず、側から側へはまたは長手方向遠位側にもしくは近位側に動くことができないようにもする。種々の実施形態では、突出部または戻り止め、例えば突出部551は、垂直以外のステープルカートリッジの運動を制限するとともにステープルの下側ジョーからのステープルカートリッジの取り出しを阻止する。種々の実施形態では、ステープルカートリッジは、垂直に動くことができるが、永続的にジョーに取り付けられ、それによりステープルカートリッジの再使用またはステープルカートリッジの放出または取り出しを制限し、一貫したステープラの操作を保証する。種々の実施形態では、たった1つの突出部または1組の突出部、例えば突出部551、突出部552、またはこれらの組み合わせがステープルカートリッジに設けられる。
【0058】
ステープルカートリッジは、種々の実施形態では、一様な力を加えて組織を圧迫するのを助ける単一の一体形構造体である。個々のステープルプッシャが個々のポケット内のステープラカートリッジ内に設けられ、個々のステープルが各ポケット内に納められる。ステープルプッシャの作動により関連のステープルがステープルポケットから突き出されてクランプ状態の組織およびステープルを成形しまたは閉じるアンビルに入り込む。
【0059】
一実施形態では、スライダ17のフィンは、長手方向にオフセットしており、したがって、ブレードに対して一方の側、例えば右側のフィンは、ブレードに対して反対側、例えば左側のフィンよりも遠位側の位置に設定される。かくして、左側のフィンは、右側のフィンよりも近位側の位置に配置される。フィンのオフセットにより、ステープルの突き出しの際に力が分配され、したがって、組織の潜在的に過剰な圧迫が軽減されるとともにステープルプッシャを介してステープルをステープルポケットから順次突き出すのに必要な力の大きさが減少する。
【0060】
ステープラは、ジョー11,12を細長いシャフトに沿って長手方向軸線に対してゼロまたは初期位置から傾斜しまたは45°の位置に切り替え、そして再びゼロまたは初期位置に戻す関節運動レバーまたはスイッチ50を有する。外科医がレバーを作動させると、レバーは、関節運動前方アーム52および関節運動後方アーム54に係合し、これらアームは、分離または位置合わせ不良位置から位置合わせかつ直線位置に動く。後方アームの一端部は、レバーに連結され、後方アームの他端部は、ハウジングベースに連結されている。前方アームの一端部は、後方アームにその中間部分に沿って連結され、前方アームの他端部は、関節運動延長アーム53に連結されている。
【0061】
関節運動延長アーム53の他端部は、関節運動筒55を包囲した状態でこれに連結された関節アームハブ57に連結されている。関節運動筒は、関節運動ビーム51に解除可能に結合するよう構成された差し込みカップリングを有し、関節運動ビーム51の遠位端部は、ジョー11,12を回動可能に連結するジョーピボットポストの近くでピボットポストに連結されている。ピボットポストは、ジョーピボットポストに垂直にかつ細長いシャフトの中心または長手方向中線からオフセットした状態で配置されている。関節運動前方アームと関節運動後方アームを互いに一線をなして配置することにより、関節運動延長アーム53が近位側に引かれまたは摺動し、それにより関節運動ハブおよび筒を近位側に摺動させて関節運動ビームを近位側に引く。ビームの近位側への運動によりピボットポストが引っ張られ、それによりジョー11,12に連結されるとともにピボットポストに連結されている上側および外側カバー91,92が近位側に引かれる。ピボットポストは、シャフトの中心からオフセットした状態で配置されているので、ジョーカバーは、ピボットポストに向かう方向に動いてジョーを傾斜位置に配置する。レバーが完全に押し下げられた状態で、前方アームと後方アームは、整列して定位置に設定され、それによりジョーを傾斜位置に保持する。レバーが解除されまたは元の位置または初期位置に戻されると、前方アームと後方アームは分離しまたは位置合わせ不良状態になり、それにより関節運動ビームを近位側に引っ張ってこれを解除し、かくして関節運動ビームは、遠位側に動くようになる。関節運動ビームを遠位側に動かすことにより、上側および下側の外側カバーおよびかくしてジョー11,12は、回動して初期またはゼロ位置に戻り、それによりジョーをステープラの長手方向軸線1に整列させる。
【0062】
一実施形態では、関節運動筒は、関節運動筒を包囲するとともに関節運動筒の外面と関節運動ハブの内面との間に位置決めされたバイアスコンポーネント、例えば関節運動筒ばね56を有する。このばねは、関節運動筒を遠位側に付勢し、この関節運動筒はまた、関節運動ビームを遠位側に付勢し、それによりジョーを初期またはゼロ位置に付勢する。
【0063】
種々の実施形態によれば、作動ロッド62が遠位側に並進している間、逆ボタン(または発射ボタンを逆方向に動かすこと)を任意の時点で押すことができる。逆ボタンを押すことにより、ステープラの操作が逆になり、それにより後方または近位側への作動ロッドの長手方向運動が可能になる。
【0064】
例えば
図36~
図38ならびに
図46および
図47に示されているように、逆ボタンを押すと(発射ボタン60を再び押すと)、ボタンが直線方向に並進しているときに、アーミングハブ61が回転してその初期位置に戻りまたは逆の方向、例えば時計回りの方向に回転する。アーミングハブに連結されている作動ロッド62(および/または図示のように近位作動ロッド63)もまた、回転してその初期位置に戻りまたは逆方向、例えば時計回りの方向に回転する。
【0065】
発射または逆ボタンが押された状態でかつ作動ロッドが回転した状態で、可動スライダまたはラック27に連結されている逆進爪26は、作動ロッド62に沿って長手方向に設けられまたは作動ロッド62内に長手方向に設けられた一連の歯74と係合状態になりまたはこれらと係合可能である。作動ロッド62が遠位または最も遠位側の位置にある状他で、歯74は、接近可能になりまたは逆進爪26に対して露出状態になる。
【0066】
トリガ21を作動させまたはこれをハンドルベース22に向かって絞ると、トリガアクション歯車24が回転し、それにより中間アクション歯車23を回転させ、この中間アクション歯車は、ラック27を近位側に並進させる。ラック27に連結されている逆進爪26もまた、近位側にかつ長手方向に動く。作動ロッド62に設けられている歯74のうちの1つの歯に係合している逆進爪26もまた、作動ロッド62を近位側にかつ長手方向に動かす。
【0067】
トリガを解除しまたはトリガをハンドルベース22から遠ざけることにより、逆進爪26およびラックは、トリガと中間アクション歯車の相互作用および協働によって遠位側に戻る。しかしながら、逆進爪26の先端部または歯は、作動ロッド62に沿って長手方向に設けられた一連の歯74のより遠位側の部分に作動的に係合状態となる。加うるに、逆進爪と歯74の係合により、作動ロッド62の遠位側への運動が阻止されまたは妨げられる。したがって、トリガの多数回のストロークまたは絞りおよび解除を実施すると、作動ロッド62をその初期または最も近位側の位置に完全に戻しまたはほぼ戻すことができ、それによりジョーを完全に開くことができる。かかるストロークは、一実施形態では、ジョーを小刻みに開き、かくしてステープル留めされた組織からのステープラの離脱を可能にする。一実施形態では、1回のストロークを利用してジョーを完全に開く。種々の実施形態では、作動(例えば、ジョーの閉じ/開きおよび/またはステープルの発射)またはステープラの関節運動は、1つまたは2つ以上のモータによって支援される。
【0068】
前方近位および遠位爪28,25は、トリガを絞って解除しているときおよびラックが近位側に動いたり遠位側に動いたりしているときに、作動ロッド62の外面上で遠位側に摺動したり近位側に摺動したりする。したがって、トリガの多数回のストロークまたは絞りおよび解除を実施すると、作動ロッド62をその初期または最も近位側の位置に完全に戻しまたはほぼ戻すことができ、そして前方近位および遠位爪28,25を作動ロッド62に対してこれらの初期位置に戻しまたは位置決めしまたはほぼ戻すことができる(例えば、前方近位爪28は、切欠き72に係合し、前方遠位爪25は、切欠き71に係合する)。アクチュエータは、その逆移動の終わりの状態で例えば
図39~
図44に示されている。一実施形態では、逆形態にある間にトリガを最終的に絞ると、STRがロックアウトされ、アクチュエータ2が例えば
図42~
図44に示されているように初期または開/閉モードにリセットされる。
【0069】
種々の実施形態によれば、閉じられた時のジョー11,12および細長いシャフトは、少なくとも、トロカールカニューレの内径以下の外径を定める。代表的な外科的処置は、患者の体の上およびこれを貫通して配置された単一部位外科的アクセス器具または多数のトロカールカニューレを含むのが良い。特定の一実施形態では、トロカールカニューレの内径は、12mmに一致し、ジョーの組成またはコンポーネントは、上側および下側ジョー、プッシャ、ステープル、カートリッジ、およびジョー隙間高さを含む。カートリッジは、プッシャおよびステープルのためのネスト(nest)であり、一実施形態では、カートリッジは、下側ジョー内に固定される。プッシャは、ステープルの下に位置し、そしてプッシャがスライダによる作用を受けると、ステープルをカートリッジ内のカートリッジポケットから完全に押し出す。ステープルがカートリッジから押し出されると、ステープルは、組織を通らざるを得なくなり、そして上側ジョーのアンビル内のこれらに対応したアンビルポケット内に入って接触することにより変形する。作動ビームは、これがヒンジ留めされた上側ジョーとの間で組織を圧迫しながらヒンジ留めされた上側ジョーを閉じ、プッシャを展開してステープルを発射し、そして組織をジョーの中心のところで切断する作業を行うので、大応力コンポーネントである。
【0070】
種々の実施形態によれば、3.5mmステープラSTRに関し、ステープルは、約0.140インチ(3.556mm)の高さを有し、プッシャは、ステープルをカートリッジから押し出して完全に展開するためにステープル高さの約2/3である。かかるステープルに関し、上側ジョーと下側ジョーとの間のジョー隙間高さは、約0.036インチ(0.914mm)である。
図53Aおよび
図53Bは、種々の実施形態に従って成形された3.5mmステープル6および未成形状態にある3.5mmステープル6を示している。未成形状態では、ステープル6は、約3.5mmの高さおよび約3.0mmの幅を有し、成形状態では、ステープルは、約1.5mmの高さを有する。成形高さは、組織厚さおよびステープル成形に影響を及ぼす他の条件に基づいて様々であって良い。
図56A~
図56Cは、未成形の例示のステープル6、最小高さで成形された例示のステープル6および最大高さで成形された例示のステープル6を示している。
【0071】
図示の実施形態では、下側ジョーは、ジョーが組織にクランプされているときに剛性のままであるようにするために0.030インチ(0.762mm)の厚さを有する。下側ジョーは、側壁がカートリッジの側部の周りにかつこの上方に曲がるとともに包んでいるので、垂直方向に増大した強度を有する。上側ジョーは、一般的に言って、組織にクランプされたときに曲げの影響を受けやすい平べったい金属片であり、かくして、厚い。
【0072】
全体的に、STRの遠位部分の断面内のコンポーネントの全ての寸法を僅かに変更することができるが、通常は、僅かであるに過ぎない。かくして、これらのスペース上の制約下で働くとともに機能性/信頼性を維持しながら追加の機能性をSTRの遠位部分に与えることは、相当な難問である。
【0073】
図54は、制限されたスペース上の要件または限度を示しており、かかる要件または限度内において腹腔鏡的外科用ステープラは、これらの寸法に適合しなければならない。もしそうでなければ、切開創サイズの増大により、回復時間が長くなるとともに望ましくない患者の外傷が生じる。特定の実施形態では、ステープラの外径541は、約0.5mmである。したがって、アンビル9およびビーム18の上側案内183を含む上側ジョー11は、このスペースの約1/3を占める。ジョー11,12相互間の隙間は、組織を把持することができるようにするとともにステープル6を発射してステープルを発射するためにカートリッジから部分的に突き出されたステープルプッシャ7と一緒に成形することができるように維持される。この隙間は、種々の実施形態によれば、約0.036インチ(0.914mm)であるのが良い。ビーム18の下側案内184およびカートリッジ5を含む下側ジョー12は、残りの空間を占める。カートリッジ5によって占められる高さまたは空間は、ステープル6およびステープルを突き出すために用いられるプッシャ7の高さによって更に制限される。下側ジョー12およびビーム18の下側案内184の寸法もまた、スペース上の制約および適正なステープル発射を保証するための所望の強度および耐久性に起因して制約される。同様に、上側ジョー11およびビーム18の上側案内183の寸法もまた、スペース上の制約およびアンビル9のアンビルポケット99の深さおよび形状ならびに適正なステープル成形を保証するのに必要な強度及び耐久性に起因して制限される。
【0074】
図55Aおよび
図55Bは、最大ジョー隙間高さ554(例えば、0.038インチ(0.965mm))および最小ジョー隙間高さ553(例えば、0.018インチ(0.457mm))を提供する種々の実施形態としてのステープラのジョーを示している。最大ジョー隙間高さまたは初期条件では、カートリッジは、その最も低い高さ位置にあり、カートリッジ5の突出部551,552は、カートリッジの最も低い位置では下側ジョー12のスロット1211,1212内にしっかりと嵌め込まれている。最小ジョー隙間高さまたは非拘束状態では、カートリッジ5は、その最も高い高さ位置にあり、カートリッジの突出部は、これらの最も高い位置では、下側ジョー12のスロット1211,1212内にある。種々の実施形態によれば、突出部、例えば突出部551とスロット、例えばスロット1211の相互作用により、最大ジョー隙間高さと最小ジョー隙間高さとの間の範囲が更に制限されまたは調節される。
【0075】
一般的に言って、腹腔鏡的直線切断外科用ステープラは、ステープルカートリッジを一様に持ち上げてこれを定位置にロックするために小さい角度で一連の互いに反対側に位置する傾斜突起を有する。1組の傾斜突起は、静止状態のままであり、第2の組は、静止状態の組をなす傾斜突起に対して長手方向に動かされ、それにより傾斜突起の表面を駆動してこれらが互いに対して摺動するようにする。一連の傾斜突起は、カートリッジの長さに沿って配置され、傾斜突起の相互作用により、カートリッジは、一様に持ち上がる。カートリッジは、ステープル、プッシャおよびスライダを収容している。
【0076】
初期またはデフォルト位置では、例えば、輸送されたままの状態では、カートリッジは、その最も低い高さ位置にあり、かくして、ジョー相互間の隙間距離が最も長い。この初期形態では、ステープラのジョーは、組織に対しては穏やかな状態でこれらジョー相互間で組織を把持するよう自由に開閉することができる。かくして、ジョーはまた、組織上に穏やかに位置決め可能であり、組織は、所望の発射位置または場所に位置決めされる。ユーザが所望の発射場所をいったん見出すと、カートリッジリフトを稼働させまたは作動させる。一実施形態では、カートリッジリフトは、初期発射ストローク中、自動的に稼働されてステープルをカートリッジから発射しまたは突き出す。カートリッジリフトを稼働させることによって、カートリッジリフトは、長手方向に動かされ、カートリッジリフトに設けられている傾斜突起と傾斜路またはリテーナと付勢状態のリフトの相互作用により、垂直持上げ力がカートリッジに加えられ、それによりカートリッジをアンビルに向かって垂直に動かして所定の圧力をジョー相互間の組織に及ぼす。
【0077】
ジョーとカートリッジと傾斜突起との間のクランプ力は、ステープラの長手方向軸線に垂直な方向に差し向けられる。この力はまた、2つの組をなす傾斜突起を互いに押し合う。互いに対する傾斜突起表面の角度が小さいことおよび更に力に垂直な傾斜の度合いが大きいことに起因して、クランプ力もしくは反力または圧力は、傾斜突起およびかくしてリフトをその初期位置に長手方向に駆動して戻すことができない。種々の実施形態によれば、大きな力の追加がこれまた同一の垂直方向であるステープル発射/成形中に遭遇した場合であってもまたは予想外に高い圧力であっても、傾斜突起および他のコンポーネントは、長手方向に戻らないで変形することになる。カートリッジリフトは、かくして、カートリッジを設定された小刻みな箇所ではなく最も低い箇所と最も高い箇所との間の無限数の中間高さまで持ち上げることができ、それと同時に、カートリッジをロックしまたはカートリッジが下方に戻るのを阻止する。これもまた、例えばユーザの対話なしに自動的に行われて特定の高さを設定しまたは決定することができるとともにステープルをその決定された高さに合わせて調整しまたは設定することができる。
【0078】
種々の実施形態によれば、カートリッジリフトの傾斜突起および傾斜路は、同一の寸法形状を有する。種々の実施形態では、傾斜突起は、互いに異なる寸法または形状を有し、傾斜突起の勾配は、ジョー11,12相互間に把持されている組織に加えられる圧縮力を定めまたは計算に入れている。種々の実施形態によれば、傾斜路80は、例えば
図69および
図70に示されているようにリテーナまたは下側ジョー12中に実現されまたは組み込まれている。また、図示のように、傾斜突起81は、近位側に延びる勾配が漸増する傾斜突起であり、カートリッジリフト82に設けられている傾斜突起83は、カートリッジリフトを近位側に動かしているときにカートリッジを垂直に動かすよう互いに結合しまたは相互作用するよう近位側に傾斜しまたは延びる漸減傾斜突起として構成されている。
【0079】
可動組をなす傾斜突起は、いったん解除されまたは稼動されると所望の長手方向力を加えるよう設計された予荷重ばねに連結されている。ばねはまた、荷重を傾斜突起に加え、それによりカートリッジを垂直に動かして組織に加わる所望の所定かつ最適な圧力を達成し、それにより組織および周りの組織に対する過剰圧力または外傷を最小限にした状態で所望のステープル成形を生じさせるよう設けられている。
【0080】
付勢部材またはばねをシャフト内に配置しまたはジョーから遠位側に遠ざけて配置することにより、大きな付勢部材(例えば、ステープラの1つまたは複数のジョーによって課されるスペース上の制約のないばね)が考慮に入れられ、容易な製造が提供され、ジョーのところのスペース上の制約が少なくなり、単一の力を広げてジョーのところに一様に加えることができる。ジョー内のかかる付勢部材は、組織をアンビルに押し付けるために一様な力をカートリッジに効果的に加えることができないので、実用的ではなくまたは作用しない場合が多い。組織の適正な圧縮および適正なジョー隙間高さは、適正なステープル成形を保証する。適正なステープル成形は、漏れをなくすとともに組織に対する外傷を減少させる。
【0081】
種々の実施形態によれば、外科用ステープラは、圧縮力を3つの互いに異なる間隔で加える。第1の圧縮は、ジョーを組織上に閉じた場合に起こるのが良い。第2の圧縮は、垂直調整駆動装置を作動させたときに起こり、第3の圧縮は、発射機構体が圧力を両方のジョーに加えたときに起こる。圧縮間隔を広げまたは順序づけることによって、組織は、更に圧縮されるとともに圧縮に対する抵抗が小さくなり、それにより最適なステープル成形を提供するとともに組織外傷を減少させる。
【0082】
可動ウェッジは、圧力センサによって駆動されるケーブルまたはモータによって付勢されるのが良い。ステープラは、1回使用使い捨て器具であり、したがって、リフト機構体は、いったん始動されると、リセットが不可能であり、かくしてリフト機構体を関連のカートリッジと一緒に再使用することができない。種々の実施形態によれば、リフト機構体は、カートリッジの側部に沿ってカートリッジの底部上に設けられた傾斜突起またはウェッジ、下側ジョーまたはカートリッジに組み付けられまたは組み込まれた別個のインサートとしての傾斜突起、および/またはウェッジに代えてまたはウェッジに加えて設けられる傾斜したスロットまたはチャネルを用いて提供されるのが良い。種々の実施形態によれば、カートリッジリフトは、近位側ではなく遠位側に付勢されてカートリッジを持ち上げるのが良く、かくして、傾斜突起の方向または勾配もまた逆になる。種々の実施形態によれば、別個のロックアウトまたはリフト制限手段、例えばカートリッジリフトに設けられる歯またはラチェット状機構体、カートリッジ、リフト筒、リフトビームまたはカートリッジリフトもしくはステープルカートリッジの一方向近位側または遠位側の長手方向かつ小刻みな運動だけを提供する他の手段が提供される。
【0083】
種々の実施形態では、リテーナが長手方向かつ近位側に動くことができ、そしてカートリッジを垂直に持ち上げるカートリッジリフトと相互作用する複数の傾斜突起を有する。カートリッジリフトは、種々の実施形態では、滑らかで平坦な上面及び下面付きの傾斜突起を備えていないが、本明細書全体を通じて説明している傾斜突起または突出部状の形態および相互作用手段に取り付けられる。種々の実施形態では、例えば、
図60~
図65に示されているように、カートリッジリフト8211は、カートリッジリフト遠位側に(矢印D)、例えばアクチュエータから遠ざけて動かすことによりカートリッジ5が垂直に持ち上がるように複数の傾斜突起8212を有している。カートリッジリフトの傾斜突起は、近位側に低くなりまたは下方に傾斜し、リテーナの傾斜突起は、遠位側に上方に傾斜している。図示のように、リテーナは、組み込まれまたは下側ジョー12によって置き換えられ、この場合、下側ジョー12は、対応の傾斜突起1221を有する。ステープルカートリッジ5は、カートリッジリフト上に載り、カートリッジリフトを遠位側に動かすと、カートリッジリフトの傾斜突起は、下側ジョーの傾斜突起上で摺動し、それによりカートリッジを垂直に動かす。加うるに、例えば
図62Aおよび
図62Bに示されているように、ジョーがジョーの開閉なしに長手方向軸線から遠ざかって回動しまたは傾けられまたは長手方向軸線との整列状態から外れることができるような関節運動が提供される。カートリッジリフトは、種々の実施形態では、遠位側の方向に付勢される。種々の実施形態によれば、ばね871がカートリッジリフトを遠位側に付勢する。カートリッジリフトの近位端部は、垂直に延びまたは延長されたベース8213を有する。延長ベースは、ばね871と作動ビーム18との間に位置決めされる。ばねは、力を遠位側の方向で延長ベースに加える。しかしながら、作動ビームの位置は、カートリッジリフトの延長ベースの遠位側への運動およびかくしてばね871の解除を制約しまたは制限する。
【0084】
発射作動形態では、作動ビームは、遠位側に動かされ、かくして、延長ベースの運動およびばねの解除を可能にしてばね力をカートリッジリフトに加える。したがって、ばねは、カートリッジリフトを遠位側に動かしてカートリッジが上方に持ち上がりまたは垂直方向にのみ動き、そしてジョー内の組織に対して自己調整を行う。
【0085】
種々の実施形態では、例えば
図68Aおよび
図68Bに示されているように、カートリッジリフト824は、カートリッジプラットホーム501に設けられている複数の傾斜突起503を挿通させるアパーチュア825を有している。カートリッジリフトを近位側に動かすことにより、カートリッジプラットホームまたはフレームが垂直に持ち上がる。特に、カートリッジリフトを近位側に動かすと、アパーチュアの最も遠位側の端または壁が近位側に下方に傾斜したカートリッジプラットホームの傾斜突起と相互作用する。その結果、カートリッジプラットホームは、カートリッジリフトが長手方向に、例えば近位側に動かされると、垂直に動かされる。種々の実施形態では、カートリッジは、カートリッジプラットホーム上に載せられ、したがって、カートリッジおよびカートリッジプラットホームは、垂直にまたはカートリッジリフトの長手方向運動に対して横の方向にのみ動く。種々の実施形態では、カートリッジおよびカートリッジプラットホームは、一体形構造体を形成するよう一体化される。
【0086】
種々の実施形態では、例えば
図71に示されているように、カートリッジプラットホーム505は、複数の突出部507(例えば、こぶ状突起)を有し、カートリッジリフト826は、複数の傾斜突起828を有し、したがって、カートリッジリフト826を近位側に動かすと、カートリッジリフトの傾斜突起は、カートリッジプラットホームをこぶ状突起と相互作用してカートリッジ5を垂直に持ち上げる。
【0087】
種々の実施形態では、カートリッジリフトは、柔軟性引きケーブル、例えばケーブル714に連結されている。柔軟性引きケーブルは、引っ張りばね716に結合された保持/解除ブロック715を有する。引きケーブルの柔軟性は、細長いシャフトに対するジョーの撓みまたは関節運動(例えば、湾曲線701によって観念的に示された撓み箇所または継手のところでの)を助ける。引っ張りばねは、カートリッジリフトを近位側に付勢する。保持/解除ブロックは、引きケーブルおよび同様にカートリッジリフトの運動を制限しまたは制約する。いったん作動されると、保持/解除ブロックは、解除され、それにより引きケーブルおよびカートリッジリフトを近位側に引くことができる。カートリッジリフトを近位側に動かすと、カートリッジは、上側ジョー11に向かって垂直に動く。種々の実施形態では、カートリッジは、カートリッジプラットホーム上に載せられ、したがって、カートリッジおよびカートリッジプラットホームは、垂直にまたはカートリッジリフトの長手方向運動に対して横の方向にのみ動く。種々の実施形態では、カートリッジおよびカートリッジプラットホームは、一体形構造体を形成するよう一体化される。
【0088】
種々の実施形態では、例えば、
図66および
図67に示されているように、作動ロックまたはリンク661が作動ロッドまたはスライダに回動可能に連結されており、この場合、1つの位置では、作動リンクは、作動ロッドまたはスライダを制約し、ステープルの発射およびジョー相互間の組織の切断を阻止する。作動ロッドまたはスライダは、種々の実施形態では上述したように作用する。当初、作動リンク661は、作動ロッドに連結されている作動ピン663に引っかかる。作動スライダは、トリガに連結されており、トリガを操作すると、作動スライダもまた動くが、逆方向に動くことになる。かくして、トリガを近位側に絞ると、作動スライダは、遠位側に動いて最終的にはジョーを閉じて例えば
図66Aおよび
図66Bに示されているようにステープルを突き出す。作動スライダを金側に戻すことにより、ジョーが開く。
図66Bに示されているように、作動スライダを戻すと、作動リンクが回動されまたは上方に回されてリンクを作動ピン663から切り離しまたは外す。この切り離しにより、作動スライダとステープラの遠位作動部分との連結が実施不能になり、例えばステープルの発射またはジョーの運動ができなくなる。図示のように、
図67Aおよび
図67Bでは、作動ピン663は、自由に近位側に動いたり遠位側に動いたりすることができるが、もはや作動リンクには連結されない。かくして、作動ピンが動いてもステープラの遠位作動部分は動かず、かくしてトリガが動いてもステープラの遠位作動部分は動かない。種々の実施形態では、ステープルを発射する能力だけが作動リンクと作動ピンの相互作用によって切り離されるが、ジョーの開閉は、依然として許容される。したがって、ステープルを発射する任意の動きまたはコンポーネントが働いていない間、トリガを動かすとジョーを開閉することができる。
【0089】
種々の実施形態では、例えば
図57~
図59に示されているように、傾斜突起またはスロット821がカートリッジリフト820の側部に沿って追加的に設けられ、対応の突出部または戻り止め501がリフトおよびジョーのそれぞれの底面および上面に沿ってではなく、カートリッジリテーナまたはカートリッジ5から延びている。カートリッジリフト820は、種々の実施形態では、同様に、例えば近位側の方向(矢印H)に付勢され、いったん作動されると、カートリッジの突出部とリフト820のスロットの相互作用によりカートリッジを垂直に(矢印V)持ち上げる。種々の実施形態では、突出部は、リフトに設けられ、スロットは、カートリッジに設けられ、あるいは種々の実施形態では、突出部とスロットの種々の組み合わせが設けられ、幾つかはカートリッジに設けられ、幾つかはカートリッジリフトに設けられ、例えば、カートリッジは、近位突出部および遠位スロットを有し、カートリッジリフトは、これに対応して近位スロットおよび遠位突出部を有する。突出部は、カートリッジから延びてステープルのためのカートリッジ内のスペースを最大にするとともにステープルの突き出しを最大にするために突出部がカートリッジから延びることが望ましい場合がある。下側ジョー12およびカートリッジ5の幾つかの部分は、実施形態の説明を容易にするために図示の実施形態から省かれている。加うるに、別々に図示されているが、カートリッジリフトは、種々の実施形態では、シャフトまたはアクチュエータ内に近位側が連結され、それにより単一の一体形構造体を形成してリフトの一様な運動を更に保証している。
【0090】
種々の実施形態によれば、作動ビームが閉じ中、圧縮中に機能的な互いに平行なジョーを提供するとともにステープル発射/成形の大きな力をもたらす。したがって、作動ビームは、ジョーを閉じてジョーの長さに沿って一貫した互いに平行な閉じを維持し、種々の実施形態では、作動ビームは、所定の高さ(作動ビームが製造された高さ)で相当大きな発射/閉じ力に耐えるよう構成されている。かくして、作動ビーム構造部材は、例えば高級ステンレス鋼で作られ、かくして、強固でありかつ剛性である。調整可能な作動ビームを製作しまたは提供することにより、作動ビームの固有の強度および剛性を犠牲にしまたは減少させることができる。
【0091】
種々の実施形態では、調整可能な作動ビームが調整可能なジョー隙間および/または小さいまたは減少した全体的外径または本体直径を提供することができる。種々の実施形態では、かかる調整可能な作動ビームは、幅に関する制約、複雑な構造、例えば作動ビームまたはジョー機構体をもたらすことができるとともに/あるいは作動ビーム強度を減少させることができる。
【0092】
種々の実施形態では、作動ビームは、作動ビームを前進させたときに頂部ジョーを底部ジョーに対して閉じ動作を行わせる。作動ビームは、固定された高さまたはジョー隙間でジョーを互いに閉じる。作動ビームが高さ調整可能である場合、ユーザは、ジョー隙間の使用を続けるために所望の組織にとって適当にジョー隙間を調整することができる。種々の実施形態によれば、調整可能な作動ビーム1800が例えば
図72~
図74に示されており、この場合、作動ビームは、遠位端部のところが分割されまたはフォーク状になっており、上側アーム188および下側アーム189を提供しており、これら2つ相互間のスペースおよび/または中間部分が省かれている。例えば、
図72Aおよび
図72Bでは、作動ビーム1800は、作動ビームの上側案内と下側案内との間に位置する調整可能または延伸可能な材料またはウェブ1802を有し、一実施形態では、この材料は、これら案内を互いに付勢し、または案内を互いに絞り、それによりステープル高さまたはジョー隙間を減少させるとともに/あるいは圧縮力をジョー相互間の組織に加えようとするために延伸可能でありまたは本来的に付勢される。種々の実施形態によれば、
図73では、ラチェット1803、例えば歯またはラックが作動ビーム185の上側アームと下側アームのうちのいずれか一方またはこれら両方から延びている。種々の実施形態では、垂直延長タブが作動ビームの上側アームから延びており、この延長タブは、複数の突出部を有し、垂直な延長タブが作動ビームの下側アームから延びており、この延長タブは、作動ビームの上側アームの垂直延長タブの複数の突出部と相互作用するよう配置された複数の突出部を有する。かかるラチェットまたは突出部の相互作用は、アームを互いに保持しまたは付勢し、かかるラチェットまたは突出部の相互作用を利用すると、ビームの全体高さまたはアーム相互間の間隔を小刻みに調整することができる。
図74では、種々の実施形態によれば、カバー管または別の作動管またはカバー1805がビームを管中に押し込みまたは管をビームのアームに嵌めているときに作動ビームの上側アームと下側アームを互いに押し合いまたは付勢するよう設けられている。これら上側および下側案内もまた、これらの間に設けられていて案内を結合する際に一様かつ一貫した閉鎖または圧力を提供するのを一段と助ける材料またはラチェットを含むのが良い。加うるに、かかる力または付勢材料もしくは機構体は、種々の実施形態では、一方向であるのが良く、例えば、案内を互いに閉じるよう動き、かくして、開きまたは解除することができず、かつ/あるいは一方向であり、例えば、互いに向かいまたは上側または下側案内に向かって動き、それにより案内相互の平行な関係および案内と長手方向軸線の平行な関係を維持する。別個の解除または離脱コンポーネントがステープル留めされた組織を解除するのに十分アームを互いに離すために用いられる。
【0093】
しかしながら、かかる調整可能な作動ビームは、依然として、特にジョー相互間の組織が厚い場合、ジョーを閉じるためには十分に大きな強度を提供する必要がある場合がある。調整可能な作動ビームは、カートリッジ内に多数の列をなすステープルのためのスペースを残すよう非常に薄いのが良い。ジョーはまた、発射中、カートリッジに平行なままである必要がある場合がある。したがって、ジョーのうちの一方または両方が隙間を再位置決めして調整可能な作動ビームにマッチさせることができるようにする機構体が必要な場合がある。作動ビームはまた、高さを調整するために別個の付勢コンポーネントまたは機構体の作用を受ける必要がある場合がある。追加の付勢コンポーネントまたは機構体もまた、関節運動しなければならない場合がある。頂部ジョーと底部ジョーとの間のピボット継手はまた、それに応じて調整を行って作動ビームをマッチさせて互いに平行なジョーを維持しなければならない場合がある。
【0094】
種々の実施形態にしたがって上述した傾斜突起形態は、調整可能な作動ビームの実施形態と比較して、部品数が少ないと言える。傾斜突起は、例えば、薄くかつ単純でまたは真っ直ぐな作動ビームを備えた単一場所のジョーピボットピンを有する。
【0095】
種々の実施形態では、例えば、
図77~
図79に示されているように、ステープラは、種々のステープル高さ位置のところに互いに平行なジョーを提供する調整可能な頂部ジョーまたは調整可能なアンビル表面を提供する。しかしながら、制限されたスペースが所与の場合、頂部ジョーは、通常十分に厚くはなく、あるいは、特に底部ジョーおよび関連のステープルのサイズに対してリフト機構体にとって十分なスペースを備えていない。
【0096】
図75Aおよび
図75Bに示されているように、隙間751が代表的なジョー111,112の最も遠位側の部分のところに存在し、種々の実施形態では、この隙間は、閉じられまたはほぼゼロの形態に減少しており、それにより代表的な失われたスペースを良好に利用すると、組織を捕捉してこれを圧迫することができる。
図75Cおよび
図75Dに示されているように、傾斜底部ジョー754は、失われたスペースのうちの幾分かを再生する。ジョーの最も遠位側の部分のところの隙間751は、ほぼゼロに減少し、他方、ジョーの近位部分のところの組織隙間は、不変のままである。ステープルの発射中、頂部ジョー111は、開かれまたは底部ジョー112から遠ざけられ、それにより、頂部ジョーが底部ジョーに対して平行な位置に位置決めされて組織の一様な圧迫およびステープル成形が保証される。
【0097】
図77Aおよび
図77Bでは、摺動頂部ジョー115は、閉じられると、オフセットしまたは固定状態の底部ジョー125よりも近位側に位置決めされる。かかる位置では、僅かな隙間またはゼロの隙間751がジョー相互間に位置し、それにより小さな外径を定めまたは構成して小径の外科用アクセスポート、例えば5mmカニューレを入れまたは出すのを容易にする。摺動頂部ジョーは、完全に開かれると、ジョー相互間に大きな隙間751を定め、それによりジョーがジョー相互間の組織の大部分を捕捉することができる能力を高める。しかしながら、摺動頂部ジョーの摺動ピボット775は、ジョーが互いに対して平行なままであり、それにより組織の一様な圧迫およびステープル成形を保証するようにする。種々の実施形態によれば、作動ビームを遠位側に動かすことにより、ジョーは、開き位置および閉じ位置から動きまたは別個のロッド、ケーブルまたは管がジョーを開き位置および閉じ位置から動かし、またはこの逆の関係に動かすために利用される。
【0098】
図78A~
図79Cに示されているように、トグル頂部ジョー116,117は、閉じられると、ジョー相互間に特定の隙間をもたらす。特定の隙間は、小径の外科用アクセスポートを通る器械の配置およびかかる小径の外科用アクセスポートからの器械の取り出しを容易にするのに十分僅かであるのが良い。トグル頂部ジョーは、完全に開かれると、ジョー相互間に大きな隙間を生じさせてジョーがジョー相互間に組織の大部分を捕捉する能力を高める。しかしながら、トグル頂部ジョーは、ジョーが互いに対して平行なままであり、それにより組織の一様な圧迫およびステープル成形を保証するようにする。種々の実施形態によれば、作動ビーム18を遠位側に動かすと、ジョーを開き位置および閉じ位置から動かすことができる。ビームの近位部分は、トグル頂部ジョーと相互作用してジョーのそれ以上の回転または回動を阻止し、それによりジョーが互いに対して平行なままであり、それにより組織の一様な圧迫およびステープル成形を保証するようにする。種々の実施形態では、トグル頂部ジョーのスロット1174は、ジョーを回転させまたは回動させるよう作動ビームと相互作用する。種々の実施形態では、トグル頂部ジョーの足部または近位端部1173は、ステープラのシャフトと相互作用してジョーのそれ以上の回転または回動を阻止する。種々の実施形態では、トグル頂部ジョーは、シャフトに回動可能に連結された頂部ジョートグル1161,1171およびトグルリンク1162,1172および/または底部ジョーまたは底部ジョー支持体を有する。トグルリンクもまた、頂部ジョートグルに回動可能に連結されている。頂部ジョートグルは、底部ジョー125に平行なままであり、この頂部ジョートグルは、アンビルを有する。頂部ジョートグルは、種々の実施形態では、ステープル成形力に耐えるとともにステープル成形を容易にするようトグルリンクよりも強固なまたは堅固な材料で作られまたはかかる材料から成る。
【0099】
作動ビーム18を備えた調整可能な頂部ジョーは、上述した実施形態とほぼ同じである。作動ビーム高さは、使用中、同一高さのままであるが、ステープル高さの差は、頂部ジョーまたは下側ジョー組立体中に存在する僅かなシューまたはスペーサによって許容される。例えば、僅かなジョー隙間が望ましい場合、スペーサが追加され、他方、大きなジョー隙間が望ましい場合、スペーサは用いられない。スペーサを追加するかどうかの決定は、ユーザに任されるのが良い。所望されるスペーサの係合は、発射または事前発射プロセスで用いられる作動ビームまたは類似の機構体によって作動されるのが良い。かかる機構体もまた、関節運動をする必要がある場合がある。頂部または底部ジョーは、ジョー強度を減少させることができるスペーサのためのスペースを提供するよう薄いものである必要がある場合がある。スペーサの強度はまた、減少したジョー強度に対応するとともにステープル成形プロセス中の圧縮力に耐えるよう高められるのが良い。使用されていないときのスペーサの保管に対応するためのスペースもまた設けられるのが良い。
【0100】
上述した種々の他の実施形態と比較して、頂部ジョーは、断面が同様に厚い。曲げを最小限に抑える強固な頂部ジョーは、適正なステープル成形にとって望ましい場合が多い。したがって、単一の一体形ジョーが望ましい場合が多い。スペーサは、有限回数の隙間高さの変化をもたらし、かかるスペーサは、自動調整可能ではない。
【0101】
種々の実施形態によれば、調整可能な頂部ジョーは、調整可能でありかつ同程度のジョー隙間および全体的な小さな本体直径を提供することができる。しかしながら、調整可能な頂部ジョーはまた、ステープルライン相互間のスペースを増大させ、作動ビームまたは他のコンポーネントに対する複雑さを増大させるとともに/あるいは頂部ジョー強度を減少させることができる。
【0102】
種々の実施形態によれば、カートリッジは、ばねまたは他の類似の付勢機構体を用いて調整される。しかしながら、かかる実施形態は、最適間隔にいったん達すると、カートリッジを定位置にロックするのが困難な場合がある。例えば、カートリッジの下に位置するばねにより、カートリッジは、組織の厚さに起因して動きまたは調整を行うことができる。しかしながら、カートリッジは、この場合もまたステープル発射および成形中に遭遇する大きな力に起因して動く。したがって、カートリッジは、組織厚さに応じて自由に動くが、最適高さがいったん見出され、しかも全てが直線腹腔鏡的切断カートリッジの限定されたスペース内に納められると、しっかりと定位置にロックすることができない場合がある。
【0103】
図76を参照すると、種々の実施形態によれば、カートリッジ5は、浮動状態にありまたはステープラのジョーに直接的には結合されていない。カートリッジと組織の接触により、カートリッジは、最適組織隙間に合わせてサイズ変更する。カートリッジは、カートリッジを最適組織隙間で定位置にロックするためにジョーに設けられた対応の歯1202とインターロックする歯5002を有する。一実施形態では、底部ジョーは、カートリッジの歯と底部ジョーをインターロックするようカートリッジにクランプする。別の実施形態では、作動ビームの運動により、カートリッジが側部に摺動してカートリッジの歯と底部ジョーをインターロックする。歯は、カートリッジの両側部上に設けられ、対応のインターロック歯が底部ジョーの両側部に設けられている。
【0104】
種々の実施形態によれば、調整可能な頂部/底部ジョーが作動ビームの使用なしで提供される。ジョーを開閉する他の機構体は、閉じ中およびステープル成形中に互いに平行なジョーを提供するとともに閉じ中およびステープル成形中に遭遇する圧縮力に反作用しまたはかかる圧縮力を考慮にいれている。かくして、かかる機構体は、厚くかつ強固である場合があり、それにより、関節運動能力を減少させまたはスペースの利用性を低下させて腹腔鏡下手技におけるスペースの制約に対応することができる。
【0105】
頂部ジョーは、作動ビームが設けられていないので通常のジョーよりも非常に厚くなければならない。カートリッジは、切断ブレードを収容してこれを器具が発射されジョーが開かれた後に保護する必要がある。
【0106】
種々の実施形態によれば、1つまたは2つ以上の傾斜突起が傾斜路、リテーナまたは下側ジョーの側部に設けられている傾斜突起と相互作用するカートリッジまたはカートリッジリフトの側部に沿って配置されている。作動ビームは、ジョーを閉じ、ステープルを発射し、ジョー隙間ばねを解除し、そして組織を切断するために切断ビームが設けられている。ジョー隙間は、側部傾斜突起によって設定され、一実施形態では、カートリッジは、カートリッジリフトの作用を受けるフレームによって定位置に保持される。カートリッジリフトが作動されると、フレームとカートリッジは、組織圧迫に最適であると規定されまたはあらかじめ決定された付勢部材、例えばばねおよびそのばね定数に基づいて隙間を閉じる。ジョー隙間の変更は、自動的に行われる。
【0107】
かかる実施形態では、圧縮力が上述の種々の他の実施形態において提供されているように平坦な底面上に分配されるのではなく、カートリッジまたはカートリッジリフトの側部に伝達される。かかる側部分配は、適正なステープル成形のためのかかる力に対応する能力を減少させる場合がありまたは遭遇する力を考慮に入れるためにかかるコンポーネントの厚いまたは強固なウェッジまたは側部を必要とする場合がある。種々の実施形態によれば、側部傾斜突起は、調整可能でありかつ同等なジョー隙間および全体的に小さい本体直径を提供する。しかしながら、側部傾斜突起は、幅の制約を受ける場合がある。種々の実施形態では、ステープラは、カートリッジリフトまたはリフトロックの付勢を開始させ、ロック解除しまたは作動させる別個のユーザによって接近可能なスイッチまたはボタンを有する。種々の実施形態では、別個のスイッチは、ステープルの発射がいったん作動されまたはロック解除された場合にのみ接近可能になるのが良い。カートリッジの付勢は、種々の実施形態では、1つまたは2つ以上のばね、弾性バンド、ケーブル、磁石、水力学的技術または他の類似の付勢システムによって実施されるのが良い。カートリッジリフト、付勢システムまたはこれら両方は、種々の実施形態では、モータおよび/またはセンサによって支援されるのが良い。種々の実施形態では、リフトロックをロックし直すことができずまたは付勢システムをその初期位置にリセットすることができずまたは戻すことができない。
【0108】
加うるに、本願は、ある特定の実施形態及び実施例を開示しているが、当業者には理解されるように、本発明は、具体的に開示した実施形態を超えて他の変形実施形態および/または本発明の使用、明白な改造およびその均等例に及ぶ。さらに、これらの発明の種々の特徴を単独でまたは明示的に上述した特徴以外の本発明の他の特徴と組み合わせて利用できる。したがって、理解されるべきこととして、実施形態および特徴または種々の実施形態の観点の特定の組み合わせを明示的に説明していない場合があるが、かかる組み合わせは、本発明の範囲内で想定される。かくして、本明細書において開示された本発明の範囲は、上述の具体的に開示した実施形態によって制限されることはないことが意図されている。
1.外科用のステープラであって、
アンビルを含む第1のジョーを有し、
複数のステープルを収容したカートリッジを含む第2のジョーを有し、前記第1のジョーは、前記第2のジョーに近づいたり該第2のジョーから遠ざかったりすることができ、
前記第2のジョーと前記カートリッジとの間に設けられたカートリッジリフトを有し、前記リフトは、前記リフトが長手方向に動いている間、前記カートリッジを前記第1のジョーに向かって動かすよう配置されている、ステープラ。
2.前記リフトは、近位側の方向にのみ動く、第1項に記載のステープラ。
3.前記カートリッジは、前記第1のジョーに向かう方向にのみ動く、第1項又は第2項に記載のステープラ。
4.前記カートリッジは、前記ステープルの発射に先立って動く、第1項乃至第3項の何れかに記載のステープラ。
5.前記カートリッジリフトに連結されたばねを更に有する、第1項乃至第4項の何れかに記載のステープラ。
6.前記ばねは、拘束されている、第1項乃至第5項の何れかに記載のステープラ。
7.前記第1および前記第2のジョーに連結された細長いシャフトを更に有し、前記第1のジョーと前記第2のジョーは、互いに回動可能に連結され、アクチュエータが前記細長いシャフトに取り外し可能に連結され、前記アクチュエータは、前記ジョーを開閉し、前記ステープルを発射し、ブレードを並進させるとともに前記ばねを解除するよう構成されている、第1項乃至第6項の何れかに記載のステープラ。
8.前記カートリッジリフトは、リテーナに向いている下面を備えた傾斜突起を有し、前記リテーナは、前記カートリッジリフトに向いている上面を備えた傾斜突起を有し、前記リテーナの前記傾斜突起の前記上面は、前記カートリッジリフトの前記傾斜突起の前記下面と相補するよう形作られるとともに位置決めされている、第1項乃至第7項の何れかに記載のステープラ。
9.前記カートリッジリフトの運動を制止するリフトロックを更に有する、第1項乃至第8項の何れかに記載のステープラ。
10.前記リテーナおよび前記アンビルは、前記カートリッジが垂直に動いているとき、静止状態のままである、第1項乃至第9項の何れかに記載のステープラ。
11.前記カートリッジリフトは、前記カートリッジリフトばねが前記カートリッジリフトを近位側の方向に引くことによって付勢される、第1項乃至第10項の何れかに記載のステープラ。
12.前記ばねは、当初ロックされ、前記カートリッジリフトは、最も下の垂直位置に位置したままである、第1項乃至第11項の何れかに記載のステープラ。
13.前記ばねは、発射操作がいったん始まると、ロック解除される、第1項乃至第12項の何れかに記載のステープラ。
14.前記ばねをロックし直すことができない、第1項乃至第13項の何れかに記載のステープラ。
15.前記カートリッジリフトは、積極的な垂直力を前記カートリッジに及ぼす、第1項乃至第14項の何れかに記載のステープラ。
16.外科用のステープラであって、
アンビルを含む第1のジョーを有し、
複数のステープルを備えたカートリッジを含むとともに近位端から遠位端まで延びる第2のジョーを有し、前記第1のジョーは、前記第2のジョーに近づいたり該第2のジョーから遠ざかったりすることができ、
前記第2のジョーと前記カートリッジとの間に設けられた状態で前記第2のジョーの前記遠位端から遠ざかる近位側への長手方向に付勢されるカートリッジリフトを有する、ステープラ。
17.前記カートリッジは、前記カートリッジリフトが動く単一の方向に対して横の単一の方向にしか動くことができない、第16項に記載のステープラ。
18.前記アンビルは、動くことができない、請求項16又は17記載のステープラ。
19.前記アンビルは、静止している、第16項乃至第18項の何れかに記載のステープラ。
20.前記可動リフトは、リフトばねによって付勢される、第16項乃至第19項の何れかに記載のステープラ。
21.前記リフトばねが動くのを阻止するリフトロックを更に有し、前記リフトロックは、発射操作がいったん始まると、ロック解除されて前記リフトばねを解除する、第16項乃至第20項の何れかに記載のステープラ。
22.前記リフトロックをロックし直すことができない、第16項乃至第21項の何れかに記載のステープラ。
23.前記リフトロックは、ユーザから接近可能ではない、第16項乃至第22項の何れかに記載のステープラ。
24.外科用のステープラであって、
アンビルを含む第1のジョーを有し、
カートリッジを含む第2のジョーを有し、前記第1のジョーは、前記第2のジョーに向かって動くことができ、
上側アームおよび下側アームを有するとともに前記上側アームと前記下側アームとの間に距離を定める作動ビームを有し、前記距離は、調節可能である、ステープラ。
25.前記作動ビームの前記上側アームと前記下側アームとの間に設けられていて、前記上側アームと前記下側アームとの間の前記調節可能な距離を制限するウェブを更に有する、第24項に記載のステープラ。
26.前記作動ビームの前記上側アームから延びるとともに複数の突出部を含む垂直延長タブおよび、前記作動ビームの前記下側アームから延びる垂直延長タブとを更に有し、該垂直延長タブは、前記作動ビームを前記上側アームの前記垂直延長タブの前記複数の突出部と相互作用するよう配置された複数の突出部を有する、第24項又は第25項に記載のステープラ。
27.前記作動ビームの前記上側アームから横方向に延びる上側タブおよび、前記作動ビームの前記下側アームから横方向に延びる下側タブを更に有し、前記上側タブは、前記作動ビームの前記上側アームと前記下側アームとの間の前記調節可能な距離を制限するために前記下側タブと相互作用するよう位置決めされている、第24項乃至第26項の何れかに記載のステープラ。
28.外科用のステープラであって、
アンビルを含む上側ジョーを有し、
カートリッジを含む下側ジョーを有し、前記下側ジョーは、前記上側ジョーに向かって動くことができ、前記上側ジョーと前記下側ジョーとの間の距離は、調節可能であり、前記ジョーの最も近位側の部分は、前記上側ジョーと前記下側ジョーとの間にほぼゼロの隙間を有する、ステープラ。
29.前記第1のジョーは、該ジョーの近位部分と該ジョーの遠位部分との間にトグルジョーリンクを有する、第28項に記載のステープラ。
30.前記下側ジョーは、前記上側ジョーに向かって傾けられており、前記下側ジョーは、前記下側ジョーの近位端から遠位端まで漸増する勾配を備えた傾斜面を有する、第28項又は第29項に記載のステープラ。
31.前記カートリッジは、前記下側ジョーに対して長手方向運動が拘束されるとともに前記下側ジョーに対して垂直運動が拘束されない状態で浮動状態にある、請求項28乃至30の何れか1項に記載のステープラ。
32.前記上側ジョーは、摺動ピボットに連結されている、第28項乃至第31項の何れかに記載のステープラ。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープラであって、
アンビルを含む第1のジョーと、
複数のステープルを有しているカートリッジを含み近位端から遠位端に延びる第2のジョーであって、前記第1のジョーが、前記第2のジョーに向かうように又該第2のジョーから離れるように可動である、第2のジョーと、
前記第2のジョーと前記カートリッジとの間に配置されたカートリッジリフトであって、長手方向に付勢され前記カートリッジを前記第1のジョーに向かって引き起こすカートリッジリフトと、を備え、
前記第2のジョーが、該第2のジョーに配置された複数のスロットを有し、前記カートリッジが、前記複数のスロット内を摺動するように位置決めされ且つ形状決めされた複数の突出部を有している、
ことを特徴とする外科用ステープラ。
【請求項2】
前記スロット内での前記突出部の動きが、前記カートリッジリフトが移動する長手方向に対して横方向である単一方向への前記カートリッジの動きを制限する、
請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項3】
前記カートリッジが側壁を備え、前記複数の突出部が前記側壁に位置決めされている、
請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項4】
前記第2のジョーが、内部に前記カートリッジが位置決めされるカートリッジリテイナを有し、
前記カートリッジリテイナが、前記カートリッジの側壁に隣接して位置決めされた側壁を有し、
前記複数のスロットが、前記カートリッジリテイナの側壁に位置決めされている、
請求項3に記載の外科用ステープラ。
【請求項5】
前記カートリッジリフトが、近位側長手方向に付勢されている、
請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項6】
前記カートリッジリフトが、リフトばねによって付勢されている、
請求項5に記載の外科用ステープラ。
【請求項7】
前記第1のジョーが、開位置と閉位置との間で前記第2のジョーに向かうように又前記第2のジョーから離れるように動かされ、前記閉位置で前記カートリッジと前記第1のジョーとの間に隙間が形成される、
請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項8】
前記突出部が、前記隙間が最大高さを有する第1位置から前記隙間が最小高さを有する第2位置まで、前記スロット内を摺動可能である、
請求項7に記載の外科用ステープラ。
【請求項9】
前記カートリッジリフトを近位方向に付勢するカートリッジリフトばねと、
近位端から遠位端に延びる細長いシャフトと、を備え、
第1のジョーと第2のジョーとが前記細長いシャフトの遠位端に位置決めされ、前記カートリッジリフトばねが、前記細長いシャフト内に配置され、
前記カートリッジリフトが、前記カートリッジを上に着座させ前記カートリッジリフトが長手方向に動いたとき前記カートリッジを前記第2のジョー内でアンビルに向かって上下に動かす実質的に平坦な頂面を有している、
請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項10】
前記カートリッジに作動的に連結され、遠位作動スライダに連結された近位作動スライダを備えている作動スライダに連結された作動ビームを備え、
前記細長いシャフトが、外側カバー管と前記外側カバー管に囲まれた作動カバー管とを備え、
前記作動スライドが前記作動カバー管内を並進移動する、
請求項9に記載の外科用ステープラ。
【請求項11】
前記カートリッジリフトばねが、前記作動カバー管を囲んでいる、
請求項10に記載の外科用ステープラ。
【請求項12】
前記カートリッジリフトが、前記カートリッジリフトを貫通するチャネルを備え、前記チャネルを通って長手方向に移動する前記作動ビームを収容する、
請求項10に記載の外科用ステープラ。
【外国語明細書】