(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159764
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】一体に形成した切れ刃を有するフライス・ヘッド及び回転フライス工具
(51)【国際特許分類】
B23C 5/00 20060101AFI20241031BHJP
B23C 5/06 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B23C5/00 A
B23C5/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024128705
(22)【出願日】2024-08-05
(62)【分割の表示】P 2021531675の分割
【原出願日】2019-12-30
(31)【優先権主張番号】62/789,690
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘクト,ギル
(57)【要約】
【課題】一体に形成した切れ刃を有するフライス・ヘッド等を提供する。
【解決手段】回転フライス工具は、工具ホルダと、フライス・ヘッドと、を有する。フライス・ヘッドは、角度を付けて離間し外周に配設される複数の切れ刃を有し、切れ刃は、有効切れ刃を形成する。フライス・ヘッドは、ヘッド前面及びヘッド後面に開口するヘッド貫通凹部を有する。凹部は、調心領域と被駆動領域とを含み、被駆動領域は、調心領域の軸方向前方であり、調心領域とは同一ではない。被駆動領域は、回転方向の反対に面する被駆動面を備える。調心領域は、径方向内向き径方向調心面を備え、径方向内向き径方向調心面は、被駆動面の軸方向後方に位置し、被駆動面から径方向外側にある。有効切れ刃の2つの対向する末端は、2つの平行な平面をそれぞれ画定し、平面の間に、被駆動面及び径方向調心面の両方が配設される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反対の前方向(DF)及び後方向(DR)を画定するヘッド中心軸(B)を有するフライス・ヘッド(24)であって、前記フライス・ヘッド(24)は、前記ヘッド中心軸(B)回りに回転方向(R)で回転可能であり、前記フライス・ヘッド(24)は、
対向するヘッド前面(26)及びヘッド後面(28)、並びに前記ヘッド前面(26)と前記ヘッド後面(28)との間に延在し、前記ヘッド中心軸(B)回りに円周方向に延在するヘッド外周面(30)と、
角度を付けて離間し、外周に配設される複数の切れ刃(32)であって、前記ヘッド中心軸(B)を含むヘッド軸方向半平面における前記切れ刃(32)の回転軌跡は、有効切れ刃(38)を画定し、前記有効切れ刃(38)は、軸方向に離間し対向する切れ刃先端(38a、38b)を有し、前記切れ刃先端(38a、38b)は、軸方向で測定される有効切れ刃長さ(L)を画定し、各前記切れ刃(32)は、前方回転するすくい面(34)と後方回転する逃げ面(36)との交線に形成され、前記フライス・ヘッド(24)と一体に形成され、前記フライス・ヘッド(24)と単一の一体化構造を有する、切れ刃(32)と、
前記ヘッド中心軸(B)に沿って延在し、前記ヘッド前面(26)及び前記ヘッド後面(28)に開口するヘッド貫通凹部(44)と、を備え、
前記ヘッド貫通凹部(44)は、凹部外周面(46)によって画定され、調心領域(52)と被駆動領域(54)とを備え、
前記被駆動領域(54)は、前記調心領域(52)の軸方向前方であり、前記調心領域(52)とは同一ではなく、
前記凹部外周面(46)は、前記被駆動領域(54)において、前記回転方向(R)の反対側に面する少なくとも1つの被駆動面(58)を備え、
前記凹部外周面(46)は、前記調心領域(52)において、少なくとも1つの径方向内向き径方向調心面(62)を備え、
前記少なくとも1つの径方向内向き径方向調心面(62)は、前記少なくとも1つの被駆動面(58)の軸方向後方に位置し、前記少なくとも1つの被駆動面(58)から径方向外側にあり、
前記有効切れ刃(38)の前記2つの対向する末端(38a、38b)は、2つの平行なヘッド前平面(PF)及びヘッド後平面(PR)のそれぞれを画定し、前記ヘッド前平面(PF)及び前記ヘッド後平面(PR)は、前記ヘッド中心軸(B)に直交して向けられ、前記有効切れ刃長さ(L)だけ離間し、
前記少なくとも1つの被駆動面(58)及び前記少なくとも1つの径方向調心面(62)の両方は、前記ヘッド前平面(PF)と前記ヘッド後平面(PR)との間に配設される、フライス・ヘッド(24)。
【請求項2】
前記フライス・ヘッド(24)は、
角度を付けて離間し径方向外側に延在する複数の切削部分(40)であって、各前記切れ刃(32)は、それぞれの切削部分(40)に位置する、複数の切削部分(40)と、
角度を付けて離間する複数のチップ溝(42)であって、前記ヘッド外周面(30)に沿って前記複数の切削部分(40)と円周方向に交互である複数のチップ溝(42)と、を備え、
各前記チップ溝(42)は、前記ヘッド前面(26)及び前記ヘッド後面(28)の少なくとも1つに開口する、請求項1に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項3】
各前記チップ溝(42)は、前記ヘッド前面(26)及び前記ヘッド後面(28)の両方に開口する、請求項2に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項4】
各前記切れ刃(32)は、前記ヘッド前面(26)から前記ヘッド後面(28)まで前記ヘッド外周面(30)にわたり延在する、請求項1~3の何れか一項に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項5】
各前記切れ刃(32)は、前記ヘッド外周面(30)にわたり連続的に延在する、請求項1~4の何れか一項に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項6】
前記調心領域(52)は、前記ヘッド後面(28)に隣接する、請求項1~5の何れか一項に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの径方向調心面(62)は、前記ヘッド中心軸(B)と整合する軸を有する仮想調心円筒体(CC)の内面にある、請求項1~6の何れか一項に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項8】
前記凹部外周面(46)は、前記調心領域(52)において、前記凹部外周面(46)の円周方向範囲全体に沿って延在する厳密に1つの径方向調心面(62)を備える、請求項1~7の何れか一項に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項9】
前記凹部外周面(46)は、前記少なくとも1つの被駆動面(58)と前記少なくとも1つの径方向調心面(62)との間で軸方向に位置する少なくとも1つの後向き軸方向支承面(64)を備える、請求項1~8の何れか一項に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの軸方向支承面(64)は、前記少なくとも1つの被駆動面(58)と前記少なくとも1つの径方向調心面(62)との間で径方向に位置する、請求項9に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの軸方向支承面(64)は、平坦であり、前記ヘッド中心軸(B)に直交して向けられる、請求項9又は10に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項12】
前記凹部外周面(46)は、前記凹部外周面(46)の円周方向範囲全体に沿って延在する厳密に1つの軸方向支承面(64)を備える、請求項9~11の何れか一項に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項13】
前記後方向(DR)において、前記ヘッド後平面(PR)を越えて延在する前記フライス・ヘッド(24)の部分はない、請求項1~12の何れか一項に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項14】
前記前方向(DF)において、前記ヘッド前平面(PF)を越えて延在する前記フライス・ヘッド(24)の部分はない、請求項1~13の何れか一項に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項15】
前記凹部外周面(46)は、前記被駆動領域(54)において、径方向内側に突出する少なくとも1つの被駆動歯(60)を備え、
前記少なくとも1つの被駆動面(58)のそれぞれは、それぞれの被駆動歯(60)上に位置する、請求項1~14の何れか一項に記載の切削ヘッド(24)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの被駆動歯(60)は、全ての被駆動歯軸方向半平面(HP1)回りに鏡面非対称であり、
前記被駆動歯軸方向半平面(HP1)は、前記ヘッド中心軸(B)を含み、前記少なくとも1つの被駆動歯(60)に交差する、請求項15に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項17】
前記凹部外周面(46)は、前記被駆動領域(54)において、前記ヘッド中心軸(B)回りに角度を付けて配設される複数の被駆動歯(60)を備える、請求項15又は16に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項18】
前記凹部外周面(46)は、前記被駆動領域(54)において、整数N個の被駆動歯(60)を備え、
前記フライス・ヘッド(24)は、前記ヘッド中心軸(B)回りにN回の回転対称を呈する、請求項1~17の何れか一項に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項19】
前記凹部外周面(46)は、前記少なくとも1つの被駆動面(58)の軸方向前方に位置する少なくとも1つの前向き締付け面(66)を備える、請求項1~18の何れか一項に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項20】
前記締付け面(66)は、前記少なくとも1つの被駆動面(58)から径方向外側に位置する、請求項19に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項21】
前記ヘッド貫通凹部(44)は、締結ヘッド受入れ領域(56)を備え、
前記締結ヘッド受入れ領域(56)は、前記被駆動領域(54)の軸方向前方であり、前記被駆動領域(54)と同一ではない、請求項1~20の何れか一項に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項22】
前記締結ヘッド受入れ領域(56)は、前記ヘッド前面(26)に隣接する、請求項21に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項23】
前記フライス・ヘッド(24)の軸方向図において、前記フライス・ヘッド(24)は、前記複数の切れ刃(32)によって画定されるヘッド外接円(CCC)と、前記凹部外周面(46)の径方向最内部分によって画定されるヘッド内接円(IC)と、を有し、
前記ヘッド外接円(CCC)は、ヘッド外接円直径(CCD)を有し、前記ヘッド内接円(IC)は、ヘッド内接円直径(ICD)を有し、
前記ヘッド内接円直径(ICD)は、前記ヘッド外接円直径(CCD)の3分の1よりも大きい、請求項1~22の何れか一項に記載のフライス・ヘッド(24)。
【請求項24】
請求項1~23の何れか一項に記載のフライス・ヘッド(24)と、
ホルダ中心軸(C)を有する工具ホルダ(22、122)と、を備え、
前記ホルダ中心軸(C)は、反対の前方向(DF)及び後方向(DR)を画定し、
前記工具ホルダ(22、122)は、回転方向(R)で回転可能であり、
前記工具ホルダ(22、122)は、
前記ホルダ中心軸(C)回りで円周方向に延在するシャンク外周面(72)を備えるシャンク部分(70)と、
前記シャンク部分(70)の前端に配設された結合部分(74)と、を備え、
前記結合部分(74)は、
前記ホルダ中心軸(C)回りで円周方向に延在する整合外周面(80)に境界を接する前向き整合前面(78)を備える整合部分(76)と、
駆動部分(84)と、を備え、
前記駆動部分(84)は、前記整合前面(78)から前方に突出し、前記ホルダ中心軸(C)回りで円周方向に延在する駆動外周面(88)に境界を接する前向き駆動前面(86)を備え、
前記駆動外周面(88)は、前記回転方向(R)に面する少なくとも1つの駆動面(90)を備え、
前記整合外周面(80)は、少なくとも1つの径方向外向き径方向整合面(94)を備え、
前記少なくとも1つの径方向外向き径方向整合面(94)は、前記少なくとも1つの駆動面(90)の軸方向後方に位置し、前記少なくとも1つの駆動面(90)から径方向外側にあり、
前記フライス・ヘッド(24)は、前記工具ホルダ(22、122)に解放可能に取り付けられる、
回転フライス工具(20)。
【請求項25】
前記フライス・ヘッド(24)の前記少なくとも1つの被駆動面(58)は、前記結合部分(74)の少なくとも1つの駆動面(90)に当接し、
前記フライス・ヘッド(24)の前記少なくとも1つの径方向調心面(62)は、前記結合部分(74)の少なくとも1つの径方向整合面(94)に当接する、請求項24に記載の回転フライス工具(20)。
【請求項26】
前記フライス・ヘッド(24)上に、前記凹部外周面(46)は、前記少なくとも1つの被駆動面(58)と前記少なくとも1つの径方向調心面(62)との間で軸方向に位置する少なくとも1つの後向き軸方向支承面(64)を備え、
前記結合部分(74)上に、前記整合前面(78)は、前記少なくとも1つの駆動面(90)と前記少なくとも1つの径方向整合面(94)との間で軸方向に位置する少なくとも1つの前向き軸方向支持面(96)を備え、
前記少なくとも1つの軸方向支承面(64)は、前記少なくとも1つの軸方向支持面(96)に当接する、請求項25に記載の回転フライス工具(20)。
【請求項27】
前記工具ホルダ(22、122)は、穴出口開口(98a)において前記駆動前面(86)に開口する雌ねじ穴(98)を備え、
前記フライス・ヘッド(24)は、締結部材(68)によって前記工具ホルダ(22、122)に解放可能に締め付けられ、
前記締結部材(68)は、前記ヘッド貫通凹部(44)内に配置され、前記雌ねじ穴(98)と係合する、請求項24~26の何れか一項に記載の回転フライス工具(20)。
【請求項28】
前記凹部外周面(46)は、前記少なくとも1つの被駆動面(58)の軸方向前方に位置する少なくとも1つの前向き締付け面(66)を備え、
前記締結部材(68)は、締結ヘッド(100)を備え、
前記締結ヘッド(100)は、前記少なくとも1つの締付け面(66)において前記フライス・ヘッド(24)を締め付け当接する、請求項27に記載の回転フライス工具(20)。
【請求項29】
前記締結部材(68)は、単一の一体化構造を有する、一体に形成された保持ねじ(108)である、請求項27又は28に記載の回転フライス工具(20)。
【請求項30】
前記締結部材(68)は、前記前方向(DF)において前記ヘッド前平面(PF)を越えて延在しない、請求項27~29の何れか一項に記載の回転フライス工具(20)。
【請求項31】
雄ねじ部(104)は、前記雄ねじ部(104)が非連続的であるように、前記雄ねじ部(104)の両端から延在する少なくとも1つの非ねじ切り部分(106)を備え、
前記雌ねじ穴(98)は、穴後方入口開口(98b)を有する貫通穴であり、
前記穴後方入口開口(98b)は、前記少なくとも1つの非ねじ切り部分(106)を介して前記穴出口開口(98a)と流体連通する、請求項27~30の何れか一項に記載の回転フライス工具(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、複数の外周に配設した切れ刃と共に一体に形成したフライス・ヘッドを有する回転フライス工具に関し、より詳細には、そのようなフライス・ヘッドに関し、フライス・ヘッドは、工具ホルダからトルクを伝達する少なくとも1つの被駆動面と、フライス・ヘッドと前記工具ホルダとを径方向で整合する少なくとも1つの径方向調心面と、を有する。
【背景技術】
【0002】
回転フライス工具は、締結部材、例えば保持ねじによって、工具ホルダに解放可能に締め付けられるフライス・ヘッドを含むことができる。フライス・ヘッドは、外周に配設される複数の切れ刃を有することができる。切れ刃は、フライス・ヘッドと一体に形成することができる。組立て中、フライス・ヘッドは、工具ホルダ及びフライス・ヘッドのそれぞれに位置する径方向整合面及び調心面を介して、工具ホルダ上で径方向に調心することができる(即ち、フライス・ヘッド及び工具ホルダは同軸となる)。更に、切削動作中、トルクは、工具ホルダ及びフライス・ヘッドのそれぞれに位置する駆動面及び被駆動面を介して、工具ホルダからフライス・ヘッドに伝達される。
【0003】
様々なそのような切削工具及びフライス・ヘッドは、米国特許第6,431,799号明細書、米国特許第6,571,451号明細書、米国特許第8,468,918号明細書、米国特許第9,751,138号明細書、米国特許出願公開第2007/0081873号明細書、米国特許出願公開第2018/0318941号明細書及び国際公開第2010/021487号に開示されている。
【発明の概要】
【0004】
本出願の主題の第1の態様によれば、反対の前方向及び後方向を画定するヘッド中心軸を有するフライス・ヘッドを提供し、フライス・ヘッドは、ある回転方向でヘッド中心軸回りに回転可能であり、
フライス・ヘッドは、
対向するヘッド前面及びヘッド後面、並びにヘッド前面とヘッド後面との間に延在し、ヘッド中心軸回りに円周方向に延在するヘッド外周面と、
角度を付けて離間し、外周に配設される複数の切れ刃であって、ヘッド中心軸を含む軸方向半平面における切れ刃の回転軌跡は、ヘッド中心軸回りに有効切れ刃を画定し、有効切れ刃は、軸方向に離間し対向する切れ刃先端を有し、切れ刃先端は、軸方向で測定される有効切れ刃長さを画定し、各切れ刃は、前方回転するすくい面と後方回転する逃げ面との交線に形成され、フライス・ヘッドと一体に形成され、フライス・ヘッドと単一の一体化構造を有する、切れ刃と、
ヘッド中心軸に沿って延在し、ヘッド前面及びヘッド後面に開口するヘッド貫通凹部と、を備え、
ヘッド貫通凹部は、凹部外周面によって画定され、調心領域と被駆動領域とを備え、
被駆動領域は、調心領域の軸方向前方であり、調心領域とは同一ではなく、
凹部外周面は、被駆動領域において、回転方向の反対に面する少なくとも1つの被駆動面を備え、
凹部外周面は、調心領域において、少なくとも1つの径方向内向き径方向調心面を備え、
少なくとも1つの径方向内向き径方向調心面は、少なくとも1つの被駆動面の軸方向後方に位置し、少なくとも1つの被駆動面から径方向外側にあり、
有効切れ刃の2つの対向する末端は、2つの平行なヘッド前平面及びヘッド後平面のそれぞれを画定し、
ヘッド前平面及びヘッド後平面は、ヘッド中心軸に直交して向けられ、有効切れ刃長さだけ離間し、
少なくとも1つの被駆動面及び少なくとも1つの径方向調心面の両方は、ヘッド前平面とヘッド後平面との間に配設される。
【0005】
本出願の主題の第2の態様によれば、回転フライス工具を提供し、
回転フライス工具は、
上記した種類のフライス・ヘッドと、
ホルダ中心軸を有する工具ホルダと、を備え、
ホルダ中心軸は、反対の前方向及び後方向を画定し、
工具ホルダは、ホルダ中心軸回りに回転方向で回転可能であり、
工具ホルダは、
ホルダ中心軸回りで円周方向に延在するシャンク外周面を備えるシャンク部分と、
シャンク部分の前端に配設された結合部分と、を備え、
結合部分は、
ホルダ中心軸回りで円周方向に延在する整合外周面に境界を接する前向き整合前面を備える整合部分と、
駆動部分と、を備え、
駆動部分は、整合前面から前方に突出し、ホルダ中心軸回りで円周方向に延在する駆動外周面に境界を接する前向き駆動前面を備え、
駆動外周面は、回転方向に面する少なくとも1つの駆動面を備え、
整合外周面は、少なくとも1つの径方向外向き径方向整合面を備え、
少なくとも1つの径方向外向き径方向整合面は、少なくとも1つの駆動面の軸方向後方に位置し、少なくとも1つの駆動面から径方向外側にあり、
フライス・ヘッドは、工具ホルダに解放可能に取り付けられる。
【0006】
上記は概要であり、以下で説明する特徴は、あらゆる組合せで本出願の主題に適用可能であり、例えば、以下の特徴のいずれかは、フライス・ヘッド及び回転フライス工具に適用可能であり得ることを理解されたい。
【0007】
フライス・ヘッドは、
角度を付けて離間し、径方向外側に延在する複数の切削部分であって、各切れ刃は、それぞれの切削部分に位置する、複数の切削部分と、
角度を付けて離間し、ヘッド外周面に沿って複数の切削部分と円周方向に交互である複数のチップ溝と、を備え、
各チップ溝は、ヘッド前面及びヘッド後面の少なくとも1つに開口する。
【0008】
各チップ溝は、ヘッド前面及びヘッド後面の両方に開口することができる。
【0009】
各切れ刃は、ヘッド前面からヘッド後面までヘッド外周面にわたり延在することができる。
【0010】
各切れ刃は、ヘッド外周面にわたり連続的に延在することができる。
【0011】
調心領域は、ヘッド後面に隣接することができる。
【0012】
少なくとも1つの径方向調心面は、ヘッド中心軸と整合する軸を有する仮想調心円筒体の内面にあることができる。
【0013】
凹部外周面は、調心領域において、厳密に1つの径方向調心面を含むことができ、径方向調心面は、凹部外周面の円周方向範囲全体に沿って延在する。
【0014】
凹部外周面は、少なくとも1つの被駆動面と少なくとも1つの径方向調心面との間で軸方向に位置する少なくとも1つの後向き軸方向支承面を備えることができる。
【0015】
少なくとも1つの軸方向支承面は、少なくとも1つの被駆動面と少なくとも1つの径方向調心面との間で径方向に位置することができる。
【0016】
少なくとも1つの軸方向支承面は、平坦であり、ヘッド中心軸に直交して向けることができる。
【0017】
凹部外周面は、厳密に1つの軸方向支承面を備えることができ、軸方向支承面は、凹部外周面の円周方向範囲全体に沿って延在する。
【0018】
後方向において、ヘッド後平面を越えて延在するフライス・ヘッドの部分はない。
【0019】
前方向において、ヘッド前平面を越えて延在するフライス・ヘッドの部分はない。
【0020】
凹部外周面は、被駆動領域において、径方向内側に突出する少なくとも1つの被駆動歯を備えることができる。少なくとも1つの被駆動面のそれぞれは、それぞれの被駆動歯上に位置することができる。
【0021】
少なくとも1つの被駆動歯は、全ての被駆動歯軸方向半平面回りに鏡面非対称とすることができ、被駆動歯軸方向半平面は、ヘッド中心軸を含み、前記少なくとも1つの被駆動歯に交差する。
【0022】
凹部外周面は、被駆動領域において、ヘッド中心軸回りに角度を付けて配設される複数の被駆動歯を備えることができる。
【0023】
凹部外周面は、被駆動領域において、N個の被駆動歯を備えることができ、Nは正の整数である。フライス・ヘッドは、ヘッド中心軸回りにN回の回転対称を呈することができる。
【0024】
凹部外周面は、少なくとも1つの被駆動面の軸方向前方に位置する少なくとも1つの前向き締付け面を備えることができる。
【0025】
締付け面は、少なくとも1つの被駆動面から径方向外側に位置することができる。
【0026】
ヘッド貫通凹部は、締結ヘッド受入れ領域を備えることができ、締結ヘッド受入れ領域は、被駆動領域の軸方向前方であり、被駆動領域とは同一ではない。
【0027】
締結ヘッド受入れ領域は、ヘッド前面に隣接することができる。
【0028】
フライス・ヘッドの軸方向図において、フライス・ヘッドは、複数の切れ刃によって画定されるヘッド外接円と、凹部外周面の径方向最内部分によって画定されるヘッド内接円と、を有する。ヘッド外接円は、ヘッド外接円直径を有し、ヘッド内接円は、ヘッド内接円直径を有する。ヘッド内接円直径は、ヘッド外接円直径の3分の1より大きくてよい。
【0029】
整合前面は、少なくとも1つの駆動面と少なくとも1つの径方向整合面との間で軸方向に位置する少なくとも1つの前向き軸方向支持面を備えることができる。
【0030】
工具ホルダは、穴出口開口において駆動前面に開口する雌ねじ穴を備えることができる。
【0031】
フライス・ヘッドの少なくとも1つの被駆動面は、結合部分の少なくとも1つの駆動面に当接することができる。フライス・ヘッドの少なくとも1つの径方向調心面は、結合部分の少なくとも1つの径方向整合面に当接することができる。
【0032】
フライス・ヘッド上に、凹部外周面は、少なくとも1つの被駆動面と少なくとも1つの径方向調心面との間で軸方向に位置する少なくとも1つの後向き軸方向支承面を備えることができる。結合部分上に、整合前面は、少なくとも1つの駆動面と少なくとも1つの径方向整合面との間で軸方向に位置する少なくとも1つの前向き軸方向支持面を備えることができる。少なくとも1つの軸方向支承面は、少なくとも1つの軸方向支持面に当接することができる。
【0033】
フライス・ヘッドは、締結部材によって工具ホルダに解放可能に締め付けることができ、締結部材は、ヘッド貫通凹部内に配置され、雌ねじ穴と係合する。
【0034】
締結部材は、締結ヘッドを備えることができる。締結ヘッドは、少なくとも1つの締付け面においてフライス・ヘッドを締め付け当接することができる。
【0035】
締結部材は、前方向において、ヘッド前平面を越えて延在することがない。
【0036】
締結部材は、単一の一体化構造を有する、一体に形成された保持ねじとすることができる。
【0037】
雄ねじ部は、雄ねじ部が非連続的であるように、雄ねじ部の両端から延在する少なくとも1つの非ねじ切り部分を備えることができる。雌ねじ穴は、穴後方入口開口を有する貫通穴とすることができる。穴後方入口開口は、少なくとも1つの非ねじ切り部分を介して穴出口開口と流体連通することができる。
【0038】
本出願をより良好に理解し、本出願を実際にどのように実行し得るかを示すため、次に、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本出願による回転フライス工具の斜視図である。
【
図2】
図1に示す回転フライス工具の分解斜視図である。
【
図3】
図1に示すフライス・ヘッドの斜視図である。
【
図4】
図3に示すフライス・ヘッドの後方端面図である。
【
図5】
図3に示すフライス・ヘッドの前方端面図である。
【
図6】
図5の線VI-VIに沿って取った
図3のフライス・ヘッドの軸方向断面図である。
【
図8a】ヘッド軸方向半平面で取った概念図であり、有効切れ刃を示す。
【
図8b】ヘッド軸方向半平面で取った概念図であり、有効切れ刃を示す。
【
図8c】ヘッド軸方向半平面で取った概念図であり、有効切れ刃を示す。
【
図9】
図1に示す工具ホルダの結合部分の前方端面図である。
【
図10】
図9の線X-Xに沿って取った
図9の結合部分の軸方向断面図である。
【
図11】本出願による別の工具ホルダの斜視図である。
【
図14】
図1に示す回転フライス工具の前方端面図であり、締結部材を伴わない。
【
図15】
図1に示す回転フライス工具の軸方向断面図である。
【
図16】本出願による、
図11及び
図12に示す工具ホルダを有する別の回転フライス工具の分解斜視図である。
【
図17】
図16に示す、組み立てた回転フライス工具の軸方向断面図である。
【
図18】本発明によらない、回転フライス・ヘッドを有する別の回転フライス工具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
例示を簡単、明確にするため、図示する要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを了解されたい。例えば、要素の一部の寸法は、明確にするため、他の要素と比較して誇張されていることがある、又はいくつかの物理的構成要素は、一機能ブロック若しくは要素内に含まれることがある。更に、適切とみなされる場合、参照数字は、対応又は類似する要素を示すために図面の中で繰り返すことがある。
【0041】
以下の説明において、本出願の主題の様々な態様を説明する。説明のため、特定の設定及び詳細は、本出願の主題に対し完全な理解をもたらすように十分詳細に示す。しかし、本明細書に提示する具体的な構成及び詳細を伴わずに本出願の主題を実行し得ることも当業者には明らかであろう。
【0042】
本出願の一態様を示す回転フライス工具20を示す
図1及び
図2にまず注意を向けられたい。図示のこの非限定的な例では、回転フライス工具20は、溝削り作業に適した溝削り工具を形成することができる。例えば、回転フライス工具20は、「T」溝及び/又は内溝フライス及び/又は溝削りに適することができる。回転フライス工具20は、工具中心軸Aを有する。回転フライス工具20は、典型的には鉄鋼から作製し得る工具ホルダ22、122を有する。回転フライス工具20は、典型的には超硬合金から作製し得るフライス・ヘッド24を有する。フライス・ヘッド24は、工具ホルダ22、122に解放可能に取り付けられる。
【0043】
本明細書で使用する用語「溝削り工具」は、そのような切削工具のために金属切削分野において適用可能な他の用語、例えば、「溝フライス(slotting cutter、slot mill cutter)」、「溝削りカッタ」、「溝突カッタ」、「溝切削工具」、「側切削工具」、「ディスク切削工具」等と取り替え得ることに留意されたい。
【0044】
次に、フライス・ヘッド24に関連する、本出願の主題の別の態様を示す
図3~
図8を参照されたい。フライス・ヘッド24は、ヘッド中心軸Bを有する。ヘッド中心軸Bは、反対の前方向D
F及び後方向D
Rを画定する。ヘッド中心軸Bは、回転軸を形成し、フライス・ヘッド24は、回転方向Rで回転軸B回りに回転可能である。
【0045】
フライス・ヘッド24に対する以下の説明において、用語「前」及び「後」の使用は、明細書及び特許請求の範囲全体にわたって、
図6におけるヘッド中心軸Bの方向に対する下方(又は後方向D
R)及び上方(又は前方向D
F)というそれぞれの相対的な位置を指すことを了解されたい。更に、用語「軸方向」及び「径方向」は、別段に規定されていない限り、ヘッド中心軸Bに対するものである。
【0046】
図3~
図5に示すように、フライス・ヘッド24は、対向するヘッド前面26及びヘッド後面28と、ヘッド前面26とヘッド後面28との間に延在するヘッド外周面30と、を含む。ヘッド前面26は、ヘッド後面28の軸方向前方である。ヘッド外周面30は、ヘッド中心軸B回りに円周方向に延在する。概して、ヘッド外周面30は、径方向外側に面する。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、
図6に示すように、フライス・ヘッド24は、軸方向が、径方向より短くてよい。フライス・ヘッド24は、ヘッド前面26及びヘッド後面28並びにヘッド外周面30によって画定される円板状基本形状を有することができる。
【0047】
フライス・ヘッド24は、複数の切れ刃32を含む。複数の切れ刃32は、フライス・ヘッド24と一体に形成され、フライス・ヘッド24と単一の一体化構造を有する。したがって、フライス・ヘッド124の外周には、取替え可能切削インサートがない。複数の切れ刃32は、ヘッド中心軸B回りに角度を付けて離間する。複数の切れ刃32は、ヘッド外周面30に位置する。即ち、複数の切れ刃32は、外周に配設される。
図3を参照すると、各切れ刃32は、前方回転するすくい面34と後方回転する逃げ面36との交線に形成される。図示するこの非限定的な例では、概して、各切れ刃32は、軸方向で延在することができる。しかし、各切れ刃32は、凸状とすることができる。特に、各切れ刃32は、2つの副切れ刃を含むことができ、副切れ刃は、一緒に集束して基本「V」字形状を(すくい面の正面で)形成する。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、各切れ刃32は、軸方向でヘッド外周面30にわたり連続的に延在することができる。各切れ刃32は、ヘッド外周面30の軸方向範囲全体にわたり(即ち、ヘッド前面26からヘッド後面28まで)延在することができる。
【0048】
当技術分野で公知であるように、複数の切れ刃32は、軸方向で整合することができる(米国特許出願公開第2018/0318941号明細書で開示されている。例えば
図4を参照)。代替的に、同様に当技術分野で公知であるように、複数の切れ刃32は、軸方向でずらすことができる(例えば、米国特許第6,431,799号明細書及び米国特許第8,468,918号明細書で開示されている。円周方向に交互である切れ刃32は、2セットの軸方向にずれた切れ刃32を形成する)。複数の切れ刃32のそれぞれは、ヘッド中心軸B回りに回転軌跡を形成する。複数の切れ刃32の回転軌跡は、互いに部分的又は完全に一致することができる。複数の切れ刃32の回転軌跡は、互いに交差することができる。複数の切れ刃32の回転軌跡は、回転フライス工具20がヘッド中心軸B回りに360°回転する際に回転体の対応する外側包絡線を生成する。上記を例示するため、3つの非限定的な例を示す
図8a~
図8cを参照されたい。例は、本発明による、ヘッド中心軸Bを含むヘッド軸方向半平面における第1の切れ刃32a及び第2の切れ刃32bの回転軌跡を示す。
図8aでは、回転軌跡は、完全に一致する。
図8bでは、回転軌跡は、互いに交差する。
図8cでは、回転軌跡は、部分的に一致する。本発明による切削ヘッド24は、2つの切れ刃に限定されないことに留意されたい。ヘッド軸方向半平面において、複数の切れ刃32の回転軌跡は、有効切れ刃38を画定する。有効切れ刃38は、軸方向で測定される有効切れ刃長さLを有する。溝削り工具の場合、有効切れ刃38は、フライス・ヘッド24の外周の軸方向範囲全体にわたり連続的に延在する。有効切れ刃長さLは、フライス・ヘッド24が回転方向Rで回転し加工物に進入した際の加工物内に切削される溝の幅を画定する。
【0049】
有効切れ刃38は、2つの軸方向に離間し対向する末端38a、38bを含み、有効切れ刃38は、末端38aと38bとの間に延在する。2つの対向する末端38a、38bは、有効切れ刃長さLを画定する。有効切れ刃38の2つの対向する末端38a、38bは、平行なヘッド前平面PF及びヘッド後平面PRのそれぞれを画定する。ヘッド前平面PF及びヘッド後平面PRは、ヘッド中心軸Bに直交して向けられ、有効切れ刃長さLによって離間する。フライス・ヘッド24は、ヘッド正中面Mを有し、ヘッド正中面Mは、ヘッド前平面PF及びヘッド後平面PRに平行であり、ヘッド前平面PFとヘッド後平面PRとの間の中間に位置する。
【0050】
図4及び
図5を参照すると、フライス・ヘッド24は、複数の角度を付けて離間する切削部分40を含み、切削部分40は、径方向外側に延在する。各切れ刃32は、それぞれの切削部分40に位置する。フライス・ヘッド24は、チップを排出させるための、複数の角度を付けて離間するチップ溝42を含む。複数のチップ溝42は、ヘッド外周面30に沿って複数の切削部分40と円周方向に交互である。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、各チップ溝42は、ヘッド前面26及びヘッド後面28の少なくとも1つに開口することができる。各チップ溝42は、ヘッド前面26及びヘッド後面28の両方に開口することができる。
【0051】
フライス・ヘッド24は、ヘッド前面26及びヘッド後面28に開口するヘッド貫通凹部44を含む。ヘッド貫通凹部44は、ヘッド中心軸Bに沿って延在する。別の言い方をすれば、ヘッド中心軸Bは、ヘッド貫通凹部44を通過する。したがって、フライス・ヘッド24は、冠状とすることができる。ヘッド貫通凹部44は、凹部外周面46によって画定される。凹部外周面46は、ヘッド中心軸B回りに円周方向に延在する。概して、凹部外周面46は、径方向内側に面する。
図4を参照すると、フライス・ヘッド24の軸方向図において、フライス・ヘッド24は、複数の切れ刃32によって画定されるヘッド外接円CCCを有する(ヘッド外接円CCCは、ヘッド中心軸Bを中心とする)。ヘッド外接円CCCは、ヘッド外接円直径CCDを有する。フライス・ヘッド24は、凹部外周面46の径方向最内部分によって画定されるヘッド内接円ICを有する(ヘッド内接円ICは、ヘッド中心軸Bを中心とする)。ヘッド内接円ICは、ヘッド内接円直径ICDを有する。ヘッド内接円直径ICDは、ヘッド外接円直径CCDの3分の1より大きくてよい。有利には、このことにより、フライス・ヘッド24の製造に必要な材料の量を低減する。
【0052】
特に、被駆動面58を通るフライス・ヘッド24の軸方向断面図を示す
図6、及び、
図6の詳細を示す
図7を参照する。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、ヘッド前面26は、ヘッド前方中心面48を含むことができ、ヘッド前方中心面48は、ヘッド貫通凹部44を囲み、ヘッド貫通凹部44に隣接する。ヘッド前方中心面48は、平坦であり、ヘッド中心軸Bに直交することができる。ヘッド後面28は、ヘッド後方中心面50を含むことができ、ヘッド後方中心面50は、ヘッド貫通凹部44を囲み、ヘッド貫通凹部44に隣接する。ヘッド後方中心面50は、平坦であり、ヘッド中心軸Bに直交することができる。ヘッド前方中心面48及びヘッド後方中心面50は、互いに平行とすることができる。
図7に示すように、ヘッド前方中心面48及びヘッド後方中心面50は、ヘッド前平面PF及びヘッド後平面PR内に位置することができる。切削部分40及びチップ溝42は、ヘッド前方中心面48及びヘッド後方中心面50まで内側に延在することができる。
【0053】
図6及び
図7に示すように、ヘッド貫通凹部44は、ヘッド中心軸Bに沿って均一に延在しない。ヘッド貫通凹部44は、2つの軸方向にずれた領域、即ち、調心領域52と被駆動領域54とを含む。被駆動領域54は、調心領域52の軸方向前方にある。凹部外周面46は、被駆動領域54において、凹部外周面46によって調心領域52で画定される境界とは異なる境界を画定する。したがって、調心領域52及び被駆動領域54は同一ではない。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、調心領域52は、径方向平面内にヘッド中心軸Bに沿って一定の断面を有することができる。被駆動領域54は、径方向平面内にヘッド中心軸Bに沿って、調心領域52の断面とは異なる一定の断面を有することができる。
【0054】
図7に示すように、軸方向で測定すると、調心領域44は、調心領域高さHCを有し、被駆動領域54は、被駆動領域高さHDを有する。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、被駆動領域高さHDは、調心領域高さHCに等しくてよい。調心領域52は、ヘッド後面28に隣接することができる。ヘッド貫通凹部44は、軸方向にずれた第3の領域、即ち、締結ヘッド受入れ領域56を含むことができる。締結ヘッド受入れ領域56は、被駆動領域54の軸方向前方にある。締結ヘッド受入れ領域56は、被駆動領域54と同一でなくてよい。締結ヘッド受入れ領域56は、調心領域52と同一でなくてよい。したがって、フライス・ヘッド24は、ヘッド正中面M回りに鏡面非対称とすることができる。締結ヘッド受入れ領域56は、径方向で被駆動領域54よりも幅広とすることができる。
図7に示すように、軸方向で測定すると、締結ヘッド受入れ領域56は、締結ヘッド受入れ領域高さHFを有する。締結ヘッド受入れ領域高さHFは、被駆動領域高さHDと等しくすることができる。締結ヘッド受入れ領域56は、ヘッド前面26に隣接することができる。フライス・ヘッド24の端面図において、貫通凹部44の中が見える部分は、存在する場合、調心領域52でも締結ヘッド受入れ領域56でもなく、被駆動領域54によって形成されることに留意されたい。
【0055】
凹部外周面46は、被駆動領域54において、回転方向Rの反対に面する少なくとも1つの被駆動面58を含む。少なくとも1つの被駆動面58は、対応する表面からトルクを工具ホルダ22、122上に伝達するように構成される。少なくとも1つの被駆動面58は、ヘッド前平面PFとヘッド後平面PRとの間に配設される。少なくとも1つの被駆動面58は、平坦であり、ヘッド中心軸Bを含むフライス・ヘッド24の軸方向平面で延在することができる。
【0056】
図7を参照されたい。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、凹部外周面46は、被駆動領域54において、径方向内側に突出する少なくとも1つの被駆動歯60を含むことができる。少なくとも1つの被駆動歯60は、少なくとも1つの被駆動歯60を軸方向で画定する、2つの対向する前方被駆動歯側壁61aと後方被駆動歯側壁61bとのそれぞれを含む。締結ヘッド受入れ領域56及び被駆動領域54は、上側平面UPによって境界を定められ、上側平面UPは、前方被駆動歯側壁61aによって画定される。調心領域52及び被駆動領域54は、下側平面によって境界を定められ、下側平面は、後方被駆動歯側壁61bによって画定される。被駆動領域54は、全ての径方向において調心領域52よりも径方向内側とすることができる。少なくとも1つの被駆動面58のそれぞれは、それぞれの被駆動歯60上に位置することができる。
図4を参照すると、少なくとも1つの被駆動歯60は、全ての被駆動歯軸方向半平面HP1回りに鏡面非対称とすることができ、被駆動歯軸方向半平面HP1は、ヘッド中心軸Bを含み、前記少なくとも1つの被駆動歯60に交差する。そのような構成は、フライス・ヘッド24が意図せずに逆転しないようにすることができる(即ち、フライス・ヘッド24は、被駆動歯軸方向半平面HP1内に含まれるヘッド中心軸Bに直交する軸回りに180°ひっくり返すと、工具ホルダ22、122に取り付けることができない)。凹部外周面46は、被駆動領域54において、ヘッド中心軸B回りに角度を付けて配設される複数の被駆動歯60を含むことができる。凹部外周面46は、被駆動領域54において、N個の被駆動歯60を含むことができ、Nは正の整数である。フライス・ヘッド24は、ヘッド中心軸B回りにN回の回転対称を呈することができる。
【0057】
凹部外周面46は、調心領域52において、径方向内側に面する少なくとも1つの径方向調心面62を含む。少なくとも1つの径方向調心面62は、少なくとも1つの被駆動面58の軸方向後方に位置する。少なくとも1つの径方向調心面62は、少なくとも1つの被駆動面58から径方向外側に位置する。少なくとも1つの径方向調心面62は、ヘッド前平面PFとヘッド後平面PRとの間に配設される。
【0058】
図10及び
図13を参照すると、本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの径方向調心面62は、ヘッド中心軸Bと整合する軸を有する仮想調心円筒体の内面にあり得る。凹部外周面46は、調心領域52において、厳密に1つの径方向調心面62を含むことができ、径方向調心面62は、凹部外周面46の円周方向範囲全体に沿って延在する。
【0059】
本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、凹部外周面46は、少なくとも1つの後向き軸方向支承面64を含むことができる。少なくとも1つの軸方向支承面64は、工具ホルダ22、122に対して、フライス・ヘッド24を所定の軸方向位置に定めるように設計される。少なくとも1つの軸方向支承面64は、被駆動領域54に隣接する調心領域52において、凹部外周面46上に形成することができる。少なくとも1つの軸方向支承面64は、少なくとも1つの被駆動面58と少なくとも1つの径方向調心面62との間で軸方向に位置することができる。少なくとも1つの軸方向支承面64は、貫通凹部内に形成され、(例えば特開2006-281371で開示されるような)フライス・ヘッド24の(非凹)側面には形成されないことに留意されたい。少なくとも1つの軸方向支承面64は、ヘッド前平面PFとヘッド後平面PRとの間に位置することができる。少なくとも1つの軸方向支承面64は、少なくとも1つの被駆動面58と少なくとも1つの径方向調心面62との間で径方向に位置することができる。少なくとも1つの軸方向支承面64は、平坦であり、ヘッド中心軸Bに直交して向けることができる。
図7を参照すると、少なくとも1つの軸方向支承面64は、円形支承突出部65上に形成することができ、円形支承突出部65は、後方被駆動歯側壁61bから後方に突出する。凹部外周面46は、厳密に1つの軸方向支承面64を含むことができ、軸方向支承面64は、凹部外周面46の円周方向範囲全体に沿って延在する。
【0060】
本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、凹部外周面46は、少なくとも1つの前向き締付け面66を含み、本明細書の以下で説明するように、締結部材68と締め付け当接することができる。少なくとも1つの締付け面66は、被駆動領域54に隣接する締結ヘッド受入れ領域56において、凹部外周面46上に形成することができる。締付け面66は、少なくとも1つの被駆動面58の軸方向前方に位置することができる。締付け面66は、少なくとも1つの被駆動面58から径方向外側に位置することができる。
【0061】
本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、後方向DRにおいて、ヘッド後平面PRを越えて延在するフライス・ヘッド24の部分はない。したがって、フライス・ヘッド24は、例えば米国特許第8,708,611号明細書に開示するようなヘッド後平面PRから後方に突出する突出部が一切ない。同様に、前方向DFにおいて、ヘッド前平面PFを越えて延在するフライス・ヘッド24の部分はない(したがって、有効切れ刃長さLは、軸方向で測定されるフライス・ヘッド24の最大軸方向寸法を画定することができる)。有利には、このことにより、フライス・ヘッド24の製造に必要な材料の量を低減する。このことは、大型フライス・ヘッドで特に重要である。
【0062】
したがって、図面に示すように、ヘッド凹部44は、円周方向に離間し径方向内側に突出し被駆動面58を伴う複数の鏡面非対称被駆動歯60を備える歯付きハブ44と、ハブ44の後向き側上に径方向内向き調心面62及び後向き凹形軸方向支承面64を備える段付き構成と、ハブ44の前向き側上に凹形前向き締付け面66と、を備える。
【0063】
次に、工具ホルダ22、122を示す
図9~
図13を参照されたい。工具ホルダ22、122は、ホルダ中心軸Cを有する。ホルダ中心軸Cは、前方向D
F及び後方向D
Rに延在する。ホルダ中心軸Cは、回転軸を形成し、工具ホルダ22、122は、回転方向Rで回転軸回りに回転可能である。
【0064】
工具ホルダ22、122に対する以下の説明において、用語「前」及び「後」の使用は、明細書及び特許請求の範囲全体にわたって、
図10におけるホルダ中心軸Cの下方向及び上方向というそれぞれの相対的な位置を指すことを了解されたい。更に、用語「軸方向」及び「径方向」は、別段に規定されていない限り、ホルダ中心軸Cに対するものである。
【0065】
工具ホルダ22、122は、シャンク部分70を含む。シャンク部分70は、ホルダ中心軸C回りで円周方向に延在するシャンク外周面72を含む。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、シャンク部分70は、軸方向では、細長とすることができる。
【0066】
工具ホルダ22、122は、結合部分74も含む。結合部分74は、シャンク部分70の前端に配設される。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、シャンク部分70及び結合部分74は、工具ホルダ22がモジュール式構造を有するように互いに分離可能とすることができる(
図1及び
図2を参照)。そのような構成において、結合部分74は、結合部分貫通穴73を含み、これにより、以下で説明するように、締結部材を雌ねじ穴に通すことを可能にする。本出願の主題のいくつかの他の実施形態によれば、シャンク部分70及び結合部分74は、工具ホルダ122が単一の一体化構造を有するように一体に形成することができる(
図11及び
図12を参照)。
【0067】
図2及び
図12を参照すると、結合部分74に隣接するシャンク外周面72は、ホルダ中心軸Cと整合する軸を有する仮想シャンク円筒体SCを画定する。仮想シャンク円筒体SCは、シャンク外径OD
Sを有する。図示するこの非限定的な例では、結合部分74に隣接するシャンク外周面72は、仮想シャンク円筒体SC上に完全にあることができる。シャンク外周面72全体は、仮想シャンク円筒体SC上にあることができる。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、結合部分74は、ホルダ中心軸C回りに回転対称を呈することができる。
【0068】
結合部分74は、整合部分76を含む。整合部分76は、前向き整合前面78を含む。整合前面78は、整合外周面80に境界を接する。整合外周面80は、ホルダ中心軸C回りで円周方向に延在する。
【0069】
図10を参照すると、結合部分74は、任意で、整合部分76から後方に延在する延在部分83を含む。延在部分83は、ホルダ中心軸C回りで円周方向に延在する延在外周面83aを含む。
図1に示すように、延在部分83は、シャンク部分70と面一とすることができる。別の言い方をすれば、延在外周面83a及びシャンク外周面72は、互いに平滑、連続的に移行する。整合部分76は、延在部分83、したがってシャンク部分70と実質的に同じ径方向寸法を有する。
【0070】
代替的に、
図11~
図13に示す非限定的な例では、工具ホルダ122には、延在部分83がなくてよい。整合部分76は、シャンク部分70を越えて径方向外側に延在することができる。言い方を変えれば、工具ホルダ122は、整合部分76によって設けられるフランジ付き構成を有することができる(即ち、工具ホルダ122は「フランジが付いている」)。好ましくは、整合部分76は、シャンク部分70を越えて、シャンク部分70の円周方向範囲全体の回りに径方向外側に延在することができる。
【0071】
工具ホルダ122のフランジ付き構成において、整合部分76は、整合前面78の反対に後向き整合後面82を更に含むことができる(
図13を参照)。整合外周面80は、整合前面78と整合後面82との間に延在することができる。整合部分76は、整合前面78及び整合後面82並びに整合外周面80によって画定される円板状基本形状を有することができる。
【0072】
結合部分74は、駆動部分84も含む。駆動部分84は、整合前面78から前方に突出する。整合前面78は、整合部分76と駆動部分84との間に境界を画定する。駆動部分84は、全ての径方向において、整合部分76の径方向内側とすることができる。駆動部分84は、前向き駆動前面86を含み、前向き駆動前面86は、駆動外周面88に境界を接する。駆動外周面88は、ホルダ中心軸C回りで円周方向に延在する。
【0073】
図9及び
図11を参照すると、駆動外周面88は、回転方向Rに面する少なくとも1つの駆動面90を含む。工具ホルダ22、122がホルダ中心軸C回りに回転すると、トルクは、駆動面を介してフライス・ヘッド24に伝達される。少なくとも1つの駆動面90は、平坦であり、ホルダ中心軸Bを含む工具ホルダ22、122の軸方向平面で延在することができる。
【0074】
工具ホルダ122のフランジ付き構成において、少なくとも1つの駆動面90は、少なくとも1つの駆動面90が仮想シャンク円筒体SCの外側に配設されるように結合部分74に位置することができる(
図13を参照)。有利には、このことにより、回転軸からの距離が増大するため、(同じ力で)トルクを増大させる。更に、工具ホルダ122のフランジ付き構成は、駆動機構をもたらす領域が制限される小さなシャンク外径を有する工具ホルダに有利である。
【0075】
図9及び
図11を参照すると、本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、駆動部分84は、径方向外側に延在する少なくとも1つの駆動歯92を含むことができる。少なくとも1つの駆動面90のそれぞれは、それぞれの駆動歯92上に位置することができる。特に
図9を参照すると、少なくとも1つの駆動歯92は、全ての駆動歯軸方向半平面HP2回りに鏡面非対称とすることができ、駆動歯軸方向半平面HP2は、ホルダ中心軸Cを含み、前記少なくとも1つの被駆動歯92に交差する。駆動部分84は、ホルダ中心軸C回りに角度を付けて配設される複数の駆動歯92を含むことができる。隣接する対の駆動歯92は、駆動歯間隙93によって離間することができる。
図9及び
図11に示すように、結合部分74は、6個以上の駆動歯92を有することができるが、他の数の駆動歯92も企図される。
【0076】
図10及び
図13を参照すると、整合外周面80は、径方向外側に面する少なくとも1つの径方向整合面94を含む。少なくとも1つの径方向整合面94は、少なくとも1つの駆動面90の軸方向後方に位置する。少なくとも1つの径方向整合面94は、少なくとも1つの駆動面90から径方向外側に位置する。少なくとも1つの径方向整合面94は、ホルダ中心軸Cと整合する軸を有する仮想整合円筒体ACの外面にあることができる。整合円筒体ACは、整合外径OD
Aを有する。整合外周面80は、厳密に1つの径方向整合面94を含むことができ、径方向整合面94は、整合外周面80の円周方向範囲全体に沿って延在する。
図13を参照すると、工具ホルダ122のフランジ付き構成において、少なくとも1つの径方向整合面94は、整合後面82に隣接することができる。少なくとも1つの径方向整合面94は、少なくとも1つの径方向整合面94が仮想シャンク円筒体SCの外側に配設されるように結合部分74に位置することができる(
図13を参照)。
【0077】
フランジのない構成では、整合外径ODAは、シャンク外径ODSと実質的に等しくてよい。フランジ付き構成では、整合外径ODAは、シャンク外径ODSより大きくてよい(即ち、ODA>ODS)。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、整合外径ODAは、シャンク外径ODSの2倍より大きくてよい。
【0078】
本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、整合前面78は、少なくとも1つの前向き軸方向支持面96を含むことができる。少なくとも1つの軸方向支持面96は、少なくとも1つの駆動面90と少なくとも1つの径方向整合面94との間で軸方向に位置することができる。少なくとも1つの軸方向支持面96は、少なくとも1つの駆動面90と少なくとも1つの径方向整合面94との間で径方向に位置することができる。少なくとも1つの軸方向支持面96は、平坦であり、ホルダ中心軸Cに直交して向けることができる。少なくとも1つの軸方向支持面96は、整合外周面96に隣接することができる。整合前面78は、厳密に1つの軸方向支持面96を含むことができ、軸方向支持面96は、整合前面78の円周方向範囲全体に沿って延在する。
【0079】
本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、工具ホルダ22、122は、穴出口開口98aにおいて駆動前面86に開口する雌ねじ穴98を含むことができる。雌ねじ穴98は、以下で説明するように、締結部材68を螺入するためのものである。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、雌ねじ穴98は、ホルダ中心軸Cに沿って延在する、したがって、中心に位置することができる。被駆動歯60は、穴出口開口98a回りに配置することができる。雌ねじ穴98は、穴後方入口開口98bを有する貫通穴とすることができる。
【0080】
図1、
図2及び
図16に戻ると、フライス・ヘッド24は、締結部材68によって工具ホルダ22、122に解放可能に締め付けられ、回転フライス工具20の組立て状態を形成する。
図16に示すように、締結部材68は、締結ヘッド100と、締結ヘッド100から突出する雄部材102と、を含む。雄部材102は、雄ねじ部104を含む。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、締結部材68は、単一の一体化構造を有する、一体に形成される保持ねじ108とすることができる。雄ねじ部104は、雄ねじ部104が非連続的であるように、雄ねじ部104の両端から延在する少なくとも1つの非ねじ切り部分106を含むことができる。穴後方入口開口98bは、少なくとも1つの非ねじ切り部分106を介して穴出口開口98aと流体連通することができる。したがって、冷却流体を複数の切れ刃32上に誘導することができる。
【0081】
次に、
図13、14及び16を参照されたい。回転フライス工具20の組立て状態において、締結部材68は、ヘッド貫通凹部44内に位置し、雌ねじ穴98と係合する。特に
図14及び
図15を参照すると、少なくとも1つの被駆動面58は、少なくとも1つの駆動面90に当接する。少なくとも1つの径方向調心面62は、少なくとも1つの径方向整合面94に当接する。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、被駆動歯60は、駆動歯間隙93内に位置することができる。少なくとも1つの軸方向支承面64は、少なくとも1つの軸方向支持面96に当接することができる。締結部材68は、少なくとも1つの締付け面66においてフライス・ヘッド24を締め付け当接することができる。締結部材68(特に締結ヘッド100)は、前方向D
Fにおいて、ヘッド前平面PFを越えて延在することがない。
【0082】
回転フライス工具20の組立て位置において、フライス・ヘッド24及び工具ホルダ22、122は同軸である。言い方を変えれば、ヘッド中心軸B及び工具中心軸Cは、工具中心軸Aと一致する。
【0083】
次に、フライス・ヘッド124を有する切削工具120を示す
図18を参照されたい。複数の切れ刃132は、フライス・ヘッド124に解放可能に取り付けられる個別の切削インサート110上に形成される。フライス・ヘッド124は、正面フライス切削作業に適する正面フライス切削工具120を形成することができる。切削インサート110は、単軸列内に配置することができる。フライス・ヘッド124において、有効切れ刃は、フライス・ヘッド124の外周の軸方向範囲全体にわたり連続的に延在しない。フライス・ヘッド124の有効切れ刃長さは、フライス・ヘッド124が回転方向Rで回転し加工物に進入した際の加工物内に切削される深さを画定する。そのようなフライス・ヘッド124は、上記フライス・ヘッドと同様に、フライス・ヘッド124が適切な被駆動歯を備える限り、上記(即ち、フランジ付き構成又はフランジのない構成を有する)工具ホルダ122、22と同様の工具ホルダに解放可能に取り付けできることに留意されたい。
【0084】
図16及び
図18のそれぞれに示す回転切削工具20、120、並びに回転切削工具20、120を備える工具ホルダ122(
図11~
図13に示す、即ち、フランジ付き構成を有する)は、例えば
図1及び
図2に示す(即ち、フランジのない構成を有する)工具ホルダ22とは反対の回転方向で回転することに留意されたい。
【0085】
本出願の主題は、ある程度の詳細まで説明しているが、以下で請求する本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく様々な代替形態及び修正形態を行い得ることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反対の前方向(DF)及び後方向(DR)を画定するヘッド中心軸(B)を有するフライス・ヘッド(24)であって、前記フライス・ヘッド(24)は、前記ヘッド中心軸(B)回りに回転方向(R)で回転可能であり、前記フライス・ヘッド(24)は、
対向するヘッド前面(26)及びヘッド後面(28)、並びに前記ヘッド前面(26)と前記ヘッド後面(28)との間に延在し、前記ヘッド中心軸(B)回りに円周方向に延在するヘッド外周面(30)と、
角度を付けて離間し、外周に配設される複数の切れ刃(32)であって、前記ヘッド中心軸(B)を含むヘッド軸方向半平面における前記切れ刃(32)の回転軌跡は、有効切れ刃(38)を画定し、前記有効切れ刃(38)は、軸方向に離間し対向する切れ刃先端(38a、38b)を有し、前記切れ刃先端(38a、38b)は、軸方向で測定される有効切れ刃長さ(L)を画定し、各前記切れ刃(32)は、前方回転するすくい面(34)と後方回転する逃げ面(36)との交線に形成され、前記フライス・ヘッド(24)と一体に形成され、前記フライス・ヘッド(24)と単一の一体化構造を有する、切れ刃(32)と、
前記ヘッド中心軸(B)に沿って延在し、前記ヘッド前面(26)及び前記ヘッド後面(28)に開口するヘッド貫通凹部(44)と、を備え、
前記ヘッド貫通凹部(44)は、凹部外周面(46)によって画定され、調心領域(52)と被駆動領域(54)とを備え、
前記被駆動領域(54)は、前記調心領域(52)の軸方向前方であり、前記調心領域(52)とは同一ではなく、
前記凹部外周面(46)は、前記被駆動領域(54)において、前記回転方向(R)の反対側に面する少なくとも1つの被駆動面(58)を備え、
前記凹部外周面(46)は、前記調心領域(52)において、少なくとも1つの径方向内向き径方向調心面(62)を備え、
前記少なくとも1つの径方向内向き径方向調心面(62)は、前記少なくとも1つの被駆動面(58)の軸方向後方に位置し、前記少なくとも1つの被駆動面(58)から径方向外側にあり、
前記有効切れ刃(38)の前記2つの対向する末端(38a、38b)は、2つの平行なヘッド前平面(PF)及びヘッド後平面(PR)のそれぞれを画定し、前記ヘッド前平面(PF)及び前記ヘッド後平面(PR)は、前記ヘッド中心軸(B)に直交して向けられ、前記有効切れ刃長さ(L)だけ離間し、
前記少なくとも1つの被駆動面(58)及び前記少なくとも1つの径方向調心面(62)の両方は、前記ヘッド前平面(PF)と前記ヘッド後平面(PR)との間に配設される、フライス・ヘッド(24)。
【外国語明細書】