(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159802
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】生検の際に使用する組織標本収集装置
(51)【国際特許分類】
A61B 10/06 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61B10/06
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024135773
(22)【出願日】2024-08-15
(62)【分割の表示】P 2021533273の分割
【原出願日】2019-12-03
(31)【優先権主張番号】1851593-2
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(71)【出願人】
【識別番号】521251475
【氏名又は名称】マルチフォー メディカル アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ブラキヤ,ロニー
(72)【発明者】
【氏名】ウルべガード,ハネス
(72)【発明者】
【氏名】アクセルソン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】アルトゲルデ,ノーミ
(72)【発明者】
【氏名】メリー ハンナ,マイデン
(57)【要約】
【課題】生検処理中に組織標本を収集するように構成された組織標本収集装置(8;132)を提供する。
【解決手段】生検処理中に組織標本を収集するように構成された組織標本収集装置(8;132)は、主収集装置ハウジング(58;133)と、主収集装置ハウジング(58;133)の内部に長手方向に変位可能に配置された収集装置ラック(59;138)とを有するマルチチャンバ収集装置である。収集装置ラック(59;138)は、組織標本を収容するための一連の隣接するチャンバ(60;143)を有し、主収集装置ハウジング(58;133)は、疑わしい組織から切除された順に、隣接する深刻なチャンバの連続する各チャンバに組織標本を受け入れるために、組織標本の供給源に接続するように構成された収集装置ポート(71a;167)を有している。
【選択図】
図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生検処理の間に組織標本を収集するように構成された組織標本収集装置(8;132)であって、前記組織標本収集装置(8;132)は、
マルチチャンバ収集装置であって、
長手方向軸線に沿って延びる主収集装置ハウジング(58;133)と、
組織標本の供給源に接続するように構成される収集装置ポート(71a;167)と、
を有する、マルチチャンバ収集装置を備え、前記マルチチャンバ収集装置は、
組織標本を収容するための一連の隣接するチャンバ(60;143)を有する収集装置ラック(59;138)であって、同収集装置ラック(59;138)は、前記収集装置ポート(71a;167)と流体連通するように前記チャンバ(60;143)を次々と配置するために、前記収集装置ラック(59;138)を前記主収集装置ハウジング(58;133)の長手方向軸線に沿って長手方向に移動させるための作動手段によって、前記主収集装置ハウジング(58;133)の内部で並進移動するように、前記主収集装置ハウジング(58;133)の内部に長手方向に並進移動可能に配置されている、収集装置ラック(59;138)を有し、前記主収集装置ハウジング(58;133)が、前記組織標本の各々を閉鎖された環境に保持するように構成されることを特徴とする組織標本収集装置(8;132)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生検の際に組織標本を収集するための組織標本収集装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
組織標本収集装置は、膀胱鏡などの内視鏡を介して挿入され、膀胱から組織標本を採取するように構成された内視鏡下手術用生検装置と組み合わせて使用することが特に望ましい。
【0003】
膀胱癌は、スウェーデンでも国際的にも、最も高額な癌の形態の1つである。米国では、新たに診断された人1人当たりの推定費用は約14万ドルである。スウェーデンでは毎年、新たに約2,400人が膀胱癌と診断されている。この20年間で患者数は合計35%増加しており、泌尿器系の癌は男性が女性の3倍の頻度で発症している。膀胱および尿路系の癌は、スウェーデンでは男性の癌の中で3番目に多い癌の形態である。
【0004】
約70%の患者は、粘膜に限局した表在性の膀胱癌の形態をしている。つまり、これらの患者は治る可能性があるのであるが、残念ながら再発および残存腫瘍のリスクがある。約3分の2の患者が新しい手術を必要としている。1人の同じ患者が数回の手術を受けることは珍しくなく、場合によっては最初の手術から数ヶ月後に手術を受けることもある。癌が大きくならないように再発を早期に発見するために、何度も定期的に泌尿器科を受診することになる。
【0005】
膀胱鏡検査は、膀胱癌の診断のための主要な診断手段である。通常の膀胱鏡は、膀胱内を観察するための光学ポート、および様々な装置を挿入するための処置具ポートの2つのポートを有する。本発明による内視鏡下手術用生検装置は、内視鏡の処置具ポートから挿入するタイプのものである。
【0006】
膀胱鏡検査では、膀胱に癌の疑いがある場合、泌尿器科医は一般的にパンチ生検鉗子を用いて膀胱内の様々な部位から複数の膀胱組織標本を採取し、診断確定を支援し、潜在的な腫瘍の範囲を決定する。一般的に組織標本は、異常な外観を持つ尿路上皮のあらゆる部位、および腫瘍が疑われる部位から採取されるが、一般的には三半規管、膀胱穹窿部、左右前後の膀胱壁から採取される。処置の際、膀胱は流体で洗浄される。可撓性を備えた膀胱鏡を用いた経尿道的膀胱生検では、組織を採取する前に、標本部位に局所麻酔をかけるか、膀胱内に麻酔薬を注入して局所麻酔を行う。組織採取後、生検部位を焼灼して止血し、その手順を繰り返す。従来の膀胱鏡には、手術に必要な様々な装置を収納するための作業用チャネルが1つしかなかったため、膀胱から組織標本を採取するたびに、様々な装置を作業用チャネルに出し入れしていた。現在の生検は、標本ごとに装置を取り出して採取するため、標本の汚染のリスクは見過ごせない。標本の取り違えや間違ったラベル表示は、一連の事態を引き起こす可能性がある。しかしながら、問題は各組織標本がそれぞれのバイアルに移されることで、目的とする組織での位置および配向に関する貴重な知識が失われてしまうことにある。
【0007】
組織標本の厚み、組織標本の配向、固定までの時間、その後の操作ステップ、標本間の相互汚染の可能性、環境からの汚染、固定プロセス自体など、分析者が組織標本で可能な限りの組織形態学的診断を行うために必要なすべてのパラメータを評価するとともに標準化することができない。
【0008】
疑わしい臓器が膀胱の場合、生検の手順では、腫瘤および/または組織に対して合計7回の生検を行うことが推奨されている。組織標本は、生検処置の前に適切にラベル付けされた個別のバイアルに次々と移される。ラベルに記載されている情報には、患者の識別情報、並びに任意で関連する組織標本の由来および正確な生検部位、またはバイアルと組織標本の特定の由来を結びつけるその他の識別情報が含まれる。
【0009】
特許文献1は、ハウジング内で摺動する個別の予備のポリープ収集装置のための保管容器を開示している。ポリープ収集装置は、収集空間に入るための使用準備が整うまで保管される。収集装置は個別の容器であり、共通ラックには配置されない。充填されたポリープ収集装置は、収納容器の軸線を長手方向ではなく横方向に移動する摺動部を操作することでボトルに放出される。摺動部は、標本採取機器から標本を含むポリープ収集装置への流路を閉じ、ボトルへの流路を開くことで、充填されたポリープ収集装置を前記ボトルに落下させることができる。この手順は、各ポリープ収集装置に対して繰り返される。
【0010】
特許文献2は、2つの標本ウェルを有するトレイからなる単純な装置を開示しており、これは、スリーブの内外を往復するように配置されている。第1の標本ウェルは、スリーブの内部空洞内で吸引経路内に配置され、第2の標本ウェルは、スリーブの内部空洞の外側で吸引経路から外れて配置される。第1の標本ウェルに第1の標本が採取されると、トレイが移動して第2のウェルが吸引経路に配置され、第1のウェルが空洞の外側で吸引経路の外に配置される。第1の標本をウェルから取り出し、第2の標本を第2のウェルに採取する。この動作は繰り返し行うことができ、ウェルは再利用され、手動移送中に汚染にさらされる。
【0011】
特許文献3は、U字型の支持体の中を摺動する組織スライスの捕捉体を開示している。捕捉体は、捕捉部を有するストリップである。組織片は、貫通スリットで捕捉体から切断される。捕捉部が組織片を保持している場合、手動でストリップから切断し、組織片を組織固定剤が入った標本ボトルに直接入れて、これにより、組織固定剤に浸す。この手順は、組織摺動ごとに繰り返す必要があるため、組織スライスは手作業での移動中に汚染にさらされる。
【0012】
特許文献4は、切断前に組織を捕捉するための受承ポートを備えた穿刺針を有する自動生検装置に関するものである。組織標本カセットは、標本を保存する他、標本が採取された場所をコード化したり、デコードしたりする手段となる。脱出した組織標本は、中空の外側穿刺針の中で、軸線に沿ってカニューレ状の内側カッターを前進させ、組織受承ポートを通過させることで、主な組織塊から切断される。組織標本は、カニューレ内側カッターに対して前進し、その中で静止することにより、カニューレ内側カッターに詰め込まれる。次に、カニューレ内側カッターに組織標本を保持したまま、カニューレの内壁部との摩擦および真空源による吸引によって、カニューレ内側カッターは引き抜かれ、管状のノックアウトピンによって搬送される。管状ノックアウトピンの遠位端が組織収容チャンバの近位端の近傍に来るように、管状ノックアウトピンをカニューレ内側カッターおよび中空外側穿刺針の中に同軸に配置することにより、組織標本は組織標本カセットに堆積される。カニューレ内側カッターが組織収容チャンバを通って引き出されると、組織標本は管状ノックアウトピンの遠位端によって組織収容チャンバ内で止められる。管状ノックアウトピンから組織収容チャンバへの組織標本の最終的な放出は、真空源をオフにすることによって、管状ノックアウトピンの遠位端から組織標本を放出し、組織標本が組織標本カセットのチャンバ内に堆積することによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2018/088892号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/160169号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/068291号明細書
【特許文献4】米国特許第5,526,822号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
この周知の装置は、組織コンパートメントに前記組織標本を配置するために、ノックアウトピンおよびカニューレのカッターなどの剛性を備えた器具と組織標本との接触に依存しており、この接触は標本の品質に悪影響を及ぼし、さらには標本を破壊することもある。さらに、新しい組織標本をそれぞれ組織標本カセットの後続のチャンバに押し込むために、同じ剛性を備えた器具が使用されるため、剛性を備えた器具に付着した細胞は、標本採取と標本採取との間に剛性を備えた器具が洗浄されないため、後続の個別の標本を汚染する可能性がある。
【0015】
当技術分野では、組織標本の採取、特に可撓性を備えた内視鏡などの内視鏡を用いた内視鏡下手術用生検装置による組織標本の採取を改善する必要性が高まっていることがわかっている。可撓性を備えた内視鏡が膀胱鏡で、臓器が膀胱の場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の主な態様では、冒頭で述べた種類の組織標本収集装置が提供される。
【0017】
本発明のさらなる態様では、内視鏡を介して内視鏡下手術用生検装置と組み合わせて使用するための、冒頭に述べた種類の組織標本収集装置が提供される。内視鏡下手術用生検装置は、内視鏡の作業チャネルに挿入されたままであり、これにより、内視鏡下手術用生検装置を作業チャネルから何度も出し入れする必要がなく、必要な数の生検を非破壊的かつ安全な方法で行うことができる。
【0018】
本発明のさらなる一態様では、操作機能が改善された冒頭に述べた種類の組織標本収集装置が提供される。
【0019】
本発明のさらなる別の態様では、冒頭で述べた種類の組織標本収集装置と、標本採取と次の採取との間の汚染なしに連続的に組織標本を採取するための多機能内視鏡下手術用生検装置が提供される。
【0020】
本発明のさらなる別の態様では、複数の組織標本を採取および収集するための多機能内視鏡下手術用生検装置であって、特に膀胱から組織標本を採取するための装置であり、冒頭で述べた種類の組織標本収集装置に組織標本を直接移送するように構成された装置が提供される。
【0021】
本発明によれば、これらの態様および他の態様が達成される新規かつユニークな態様では、組織標本収集装置は、生検処置中に組織標本を収集するように構成されており、組織標本収集装置は、
主収集装置ハウジングであって、
近位側管状ハウジング端部および遠位側管状ハウジング端部の形態をした少なくとも2つの長手方向延在部と、
組織標本の供給源に接続するように構成されるとともに標本ポートの下に配置された収集装置ポートと、を有する主収集装置ハウジングと、
組織標本を収容するための一連の隣接したチャンバを有する収集装置ラックであって、この収集装置ラックは、収集装置ポートと流体連通するようにチャンバを次々と配置するために、収集装置ラックを主収集装置ハウジングの長手方向軸線に沿って長手方向に移動させるための作動手段によって、主収集装置ハウジングの内部で並進移動可能に配置されている収集装置ラックと、を有するマルチチャンバ収集装置である。
【0022】
組織標本収集装置は、切除された後に採取された組織標本を、組織標本の採取に使用された装置から標本ポートを出たときなどに、主収集装置ハウジングの入口にある専用チャンバに直接採取するマルチチャンバ収集装置である。このような装置は、例えば、以下に説明する内視鏡下手術用生検装置であり、例えば、組織標本を採取する器官が膀胱の場合は可撓性を備えた膀胱鏡である内視鏡の作業チャネルを介して操作することができる。
【0023】
新規の組織標本収集装置は、効果的には、組織標本を切除された順に受け入れて収容し、好ましくは、組織標本が採取される対象部位での配向を考慮して、専用チャンバ内で周知の配向で組織標本を収集する。本発明の範囲内では、「専用チャンバ」という用語は、各チャンバが組織標本を収集する一連の組織標本収集シリーズを意味する。続いて、一連の特定の組織標本を収集するためのチャンバが割り当てられる。本明細書では、「チャンバ」および「専用チャンバ」という用語は、収集装置ラックの文脈で相互に交換可能に使用されている。
【0024】
組織標本を専用チャンバに次々と収集するために、組織標本収集装置は、収集装置ポートと流体連通するように専用チャンバを次々と配置するために、収集装置ラックを主収集装置ハウジングの長手方向に沿って長手方向に移動させる駆動手段により、主収集装置ハウジング内で並進移動するように構成された収集装置ラックを有し、収集装置ポートは、内視鏡下手術用生検装置からの適切な開口部、排出口、または同様の排出手段などの標本ポートの下方に整列されている。
【0025】
このようにして、組織標本収集装置は、組織標本の取得手順中に使用される内視鏡から内視鏡下手術用生検装置を取り外すことなく、複数の組織標本を連続した順序で次々と収集するように構成されている。
【0026】
内視鏡下手術用生検装置の標本ポートと収集装置ラックの連続したチャンバとを収集装置ポートに整列させることで、組織標本の切除および採取の順番を、専用チャンバが上記組み合わせられるとともに整列されたポートの下に配置された順番に対応させる簡単な方法が構成されている。一旦専用チャンバが組織標本で満たされると、新たな専用チャンバを移動させて、整列した収集装置ポートと標本ポートとに液密に連通させ、これにより、次の組織標本を受け入れる準備をする。この手順は、すべての組織標本のサンプリングマップが完成するまで続けられ、その場合、すべての、あるいは意図された数の専用チャンバが組織標本を受け取ったことになる。収集装置ラックは追加のチャネルを有してもよい。膀胱生検の場合、収集装置ラックは典型的に7つ以上の専用チャンバを有してもよい。
【0027】
専用チャンバは、組織標本が到着してチャンバに収容されると、組織標本が移動できないようなサイズおよび寸法に形成されてもよい。組織標本は、閉じた生検カップから出て、狭小なチューブチャネル内を移動する間に配向を変える機会がほとんどないため、外科医の助手がエンドエフェクタから組織標本を次々と回収し、組織標本が自由に流れるラベル付きの個別のバイアルに手作業で落とす従来の技術に比べて、組織標本の配向が変わるリスクは大幅に低減する。
【0028】
本発明による組織標本収集装置を使用すると、1つの処置からのすべての組織標本が単一のマルチチャンバカセットまたはカートリッジ、すなわち収集装置ラックに収集されるという点で、1回のラベリング動作のみが必要とされる。このラベリング動作は、例えば、患者ID、番号、または専用チャンバ内の組織標本を生検処置マップ上の部位に割り当てる他の情報を有することによって、生検部位を本質的に知らせる。収集装置ラック全体を直接組織分析に送り、診断を確定することができる。
【0029】
収集装置ポートは、効果的に、主収集装置ハウジングから突出した結合片内に延在し、標本ポートなどの内視鏡下手術用生検装置の出口に容易にスナップオン、またはその他の方法で接続することができ、これにより、組織標本は、切除されてから収集されるまで、閉鎖環境に留まることができる。そのような観点から、結合片は、内視鏡下手術用生検装置の標本ポートに流体結合するように構成されてもよい。
【0030】
鉗子などのエンドエフェクタの間で組織標本を主収集装置ハウジングの方向に移動させる1つの方法は、内視鏡の作業チャネルに挿入された内視鏡装置の部分であるチューブに沿って、生理的に許容される液体、例えば生理食塩水やグリシンで洗浄するか、または吸引することであり、これにより、組織標本は、生検部位からの組織標本を予め用意された各容器、すなわち収集装置ラックのチャンバに押し流す、吸う、吸引するといった外科医によって駆動される相互作用以外の人間の外部の余分な相互作用なしに収集することができる。
【0031】
エンドエフェクタからの組織標本を組織標本に押し流すことのさらなる効果は、標本間汚染のリスクがなくなるか、少なくとも実質的に低減することにある。
【0032】
組織標本を内視鏡機器から移動させる手順が、チューブの洗浄または吸引である場合には、主収集装置ハウジングは、組織標本収集装置に入る組織標本に付随する液体を排出するための液体排出口を有してもよい。このような液体排出口は、洗浄液を回収するためのタンクにつながる導管に接続されていてもよい。洗浄ではなく吸引の場合は、次の生検を行う前に圧力を均等にするために、主収集装置のハウジングにベントやバルブを設けることもできる。
【0033】
主収集装置ハウジングの長手方向軸線に沿って収集装置ラックを長手方向に移動させるための手段は、第1の実施形態による組織標本収集装置では、単に外側にねじ山を有するねじ棒であってもよく、このねじ棒は、収集装置ラックのねじ穴またはボアの内部に深くねじ込まれるようになっており、またはその逆になっており、それによって収集装置ラックを一体的に輸送するようになっている。ねじ棒は、収集装置ラックと反対側を向いた自由端にノブが付いていて、そのノブを回転させることで、棒を穴やボアにねじ込んだり出したりすることができる。
【0034】
また、内視鏡下手術用生検装置の標本ポートの下方に収集装置ラックの専用チャンバの位置を段階的に、順に固定するための他の配置は、例えば、収集装置ラック上に設けられた少なくとも1つの線形ラックと、線形ラックに段階的に係合して収集装置ラックを主収集装置ハウジングに対して変位させるばね付勢爪などの爪とで構成されるラチェット機構であってもよい。
【0035】
主収集装置ハウジングは、単一のハウジングであってもよいし、少なくとも2つのハウジング部から構成されていてもよい。この少なくとも2つのハウジング部は、効果的に、組織標本の分析のために収集装置ラック、ひいては採取した組織標本を持ち出すことができるように、取り外し可能に組み立てることができる。2つのハウジング部をシールやガスケットを使って端から端まで接合することで、組み立てられた主収集装置ハウジングは、圧力を失うことなく洗浄および吸引のうちの少なくともいずれか一方に耐久することができる防漏性および気密性を備えることができる。
【0036】
内視鏡下手術用生検装置の標本ポートの下にある収集装置ラックの専用チャンバの位置を段階的かつ連続的に固定するためのさらなる別の実施形態による配置は、ラチェット機構の代わりに、収集装置ラックおよび主収集装置ハウジングに沿った適切な距離に、反対側の雄/雌の段階的な係合/脱係合要素を配置することができるが、この距離は、例えば、隣接するチャンバ間の距離に対応するか、またはその倍数である。
【0037】
収集装置ラックは、例えば、チャンバの内部から収集装置ラックの外部に延びる複数の貫通孔または水路、および/または、隣接するチャンバの共通壁および/または収集装置ラックの外壁を通って延びる貫通開口部を有することによって、液体が通過できるように構成されていてもよい。別の実施形態では、収集装置ラックは、濾過材料で形成可能であるか、多孔質であり得るか、または液体が主収集装置ハウジングに入り、主収集装置ハウジングの液体排出口から出て、例えばタンクに回収されるような間隙を有することができる。
【0038】
本発明による組織標本収集装置と組み合わせた使用に特に適した好適な内視鏡下手術用生検装置は、
エンドエフェクタに液体を供給するための第1の長手方向延在チャネルと、エンドエフェクタからまたはエンドエフェクタで物質を除去するための第2の長手方向延在チャネルと、エンドエフェクタに接続されてジアテルミーを行うための電流を流す電線を収容するための第3の長手方向延在チャネルとを少なくとも有するチューブを備えた内視鏡下手術用生検装置であってもよい。
【0039】
エンドエフェクタは、チューブの遠位側チューブ端に設けられており、
上述した組織標本収集装置が、チューブの近位側チューブ端と流体連通するように設けられている。
【0040】
本発明の文脈で「ジアテルミー」という用語を使用することは、本発明の組織標本収集装置と組み合わせた使用に適した内視鏡下手術用生検装置のエンドエフェクタ、例えば対向する顎部を有する鉗子が、高周波電磁電流によって臓器組織に熱を発生させるように構成されていることを意味する。高周波電磁電流が組織を通過し、メスの刃のように正確に手術の切開を行い、これによって、手術用ジアテルミーにより、微細かつ正確な切開および組織標本が得られる。
【0041】
組織標本収集装置と組み合わせて使用するのに適した内視鏡下手術用生検装置は、
少なくともチューブの遠位側チューブ端でチューブを包囲し、少なくともチューブの遠位側チューブ端で往復するように構成されたエフェクタスリーブと、摺動レール組立体からなる装置作動部とを備え、この摺動レール組立体は、エンドエフェクタ摺動部および接合摺動部を収容する主摺動ガイド体を少なくとも備え、
主摺動ガイド体は、近位側ガイド端および反対側の遠位側ガイド端を有するとともにチューブを受け入れるガイドウェイを有しており、
エンドエフェクタ摺動部は、遠位側ガイド端でガイドウェイ内を往復摺動するように構成されており、エンドエフェクタに対してエフェクタスリーブを操作するためにエフェクタスリーブに接続されており、
接合摺動部は、近位側ガイド端とエンドエフェクタ摺動部との間のガイドウェイ内を往復摺動するように構成され、この接合摺動部は、少なくともチューブの第1の長手方向延在チャネル、第2の長手方向延在チャネル、および第3の長手方向延在チャネルがエンドエフェクタと連通するようにチューブに接続されている。
【0042】
エンドエフェクタ摺動部は、ガイドウェイ内を摺動して、チューブの外側にあるコイル部材などのチューブの周囲にある往復可能な接続手段、またはチューブの内側にある往復可能な接続手段、例えば、長手方向延在チャネルの1つの内側にあるエフェクタワイヤを介してエフェクタスリーブに接続されることによって、エンドエフェクタに対してエフェクタスリーブを操作するように構成されてもよい。
【0043】
接合摺動部は、ガイドウェイに対して摺動可能に配置されており、遠位側チューブ端にあるエンドエフェクタを作業チャネルから移動させて、目的の組織に遭遇させる。
【0044】
接合摺動部は、
第1の長手方向延在チャネルと流体連通し、エンドエフェクタで、かつ/またはエンドエフェクタに洗浄液を供給するための入口ポート、
第3の長手方向延在チャネルと連通するジアテルミーポート、および/または
第2の長手方向延在チャネルと連通し、組織標本収集装置と液体連通する標本ポートのうちの少なくとも1つを有していてもよい。
【0045】
本発明の文脈では、「近位側」という用語は何かに最も近いことを意味し、「遠位側」という用語は何かから最も遠いことを意味する。一例として、近位側チューブ端は、使用時に内視鏡の操作端の最も近傍の端部であり、遠位側チューブ端は、内視鏡の作動部の先端の最も近傍の端部である。このように、本明細書では一貫して、「近位側」という用語は、構造的要素が内視鏡下手術用生検装置の操作部および内視鏡の操作部の最も近傍にあることを示すために使用されている。「遠位側」という用語は、「近位側」の反対側を意味する。
【0046】
チューブは、その遠位側チューブ端にエフェクタスリーブを有してもよく、このエフェクタスリーブは、エンドエフェクタの対向する顎部を開閉するなど、エンドエフェクタの構成を変更するために、チューブの長手部分に沿って往復するように構成されている。エフェクタスリーブは、エンドエフェクタから接合摺動部までの全長を電気的に絶縁されたスリーブの形態で一体的に設けられ得る。また、エフェクタスリーブは、電気的に絶縁されたチューブで包囲されたコイル部材などの別の管状部材を介して、エンドエフェクタ摺動部に動作可能に接続することができる。
【0047】
エフェクタスリーブがどのように構成され、エンドエフェクタ摺動部に接続されているかにかかわらず、エンドエフェクタ摺動部を摺動させてエフェクタスリーブをチューブに沿って移動させることで、長手方向に変位させることができる。このようにして、エンドエフェクタを、エンドエフェクタがエフェクタスリーブから少なくとも部分的に露出している標本採取位置と、エンドエフェクタがエフェクタスリーブ内に少なくとも部分的に位置している閉じ込め位置とに交互に配置することができる。
【0048】
接合摺動部は、エフェクタスリーブで包囲されたエンドエフェクタで、チューブを内視鏡の遠位側開口部から移動させ、エンドエフェクタを目的の部位に望ましい位置に移動させる役割を果たす。エンドエフェクタ摺動部を近位側ガイド端に向けて引くと、エフェクタスリーブが後退してエンドエフェクタが露出し、顎部が開く。エンドエフェクタ摺動部を再び遠位側ガイド端に向けて前進させると、エフェクタスリーブが前進し、顎部が組織標本の周囲に閉じられる。
【0049】
したがって、エンドエフェクタが、対向する顎部を有する鉗子型である場合、エンドエフェクタ摺動部を操作することにより、例えば、エンドエフェクタとエンドエフェクタ摺動部との間に延びるエフェクタワイヤを用いて、あるいは、チューブの周囲に補強コイルを用いて、エフェクタスリーブを張引したり押圧したりすることにより、対向する顎部を離すことができる。補強コイルは、エフェクタスリーブとエンドエフェクタ摺動部とにそれぞれ反対側の端部で固定することができる。
【0050】
エンドエフェクタがエフェクタスリーブから外れた位置では、ジアテルミーを適用して顎部が組織標本を把持し、切断することができる。顎部を再び閉じる際には、エンドエフェクタ摺動部を操作して、エンドエフェクタをエフェクタスリーブ内に戻す。組織標本は閉じた顎部の間に閉じ込められる。
【0051】
エフェクタスリーブを往復させることに代えて、エンドエフェクタをエフェクタスリーブ内外に往復させることも可能である。
【0052】
エンドエフェクタがエフェクタスリーブ内に完全に、または実質的に完全に入っているとき、鉗子の形態のエンドエフェクタの顎部は閉じて、閉じた生検カップを形成する。エフェクタスリーブは、エンドエフェクタの閉じた顎部の周囲の隙間を効果的にシールする。
【0053】
エフェクタスリーブは、例えば、スチール製スリーブやポリマ製スリーブであってもよく、また、わずかに弾性を備えてもよいが、顎部を一体的に保持することができる以上の弾性はない。内視鏡下手術用生検装置は、エフェクタスリーブの内面とチューブの外面との間がしっかりと適合し、液体が面の間の隙間に沿って摺動レール組立体に向かってチューブの外部に流れるのを防ぐことが好ましい場合がある。これに代えて、ガスケットをチューブの前記表面に対するシールとして使用することもできる。このような適合やシールは、エフェクタスリーブがチューブに沿って往復することを可能にする種類のものである。通常、エンドエフェクタと接合摺動部とを動作可能な状態で結合するために使用されるエンドエフェクタおよび/またはさらなる管状部材は、摺動接触している。
【0054】
効果的に、エフェクタスリーブとエンドエフェクタ摺動部とを接続するコイル部材などの管状部材は、管の補強部材としても機能し、内視鏡の作業チャネルに沿ってコイルやキンクなしに案内されるように、必要な剛性および構造を内視鏡下手術用生検装置に与えることができる。エフェクタスリーブは、例えば、屈曲可能なチューブや管状部材の屈曲特性を奪わない材料で形成されたり、断熱性を有する管状部材であったりする。エンドエフェクタから接合摺動部まで長く延びるエフェクタスリーブを有する実施形態では、補強部材がエフェクタスリーブとして機能してもよい。その後、補強部材、あるいはコイル状の部材や螺旋状の部材などの他のチューブを、効果的にチューブの周囲に使用して、チューブに内視鏡の作業チャネルに出し入れするのに十分な剛性を持たせつつ、屈曲したり操舵したりすることができる。例えば、補強用の螺旋状の部材やコイル状の部材を使用してチューブを支持する場合は、この部材を外部の熱収縮チューブやシースで効果的に包囲してもよい。熱収縮チューブは、効果的に、その長手部分に沿って内視鏡下手術用生検装置をシールして絶縁し、例えば、洗浄液が漏れないようにするだけでなく、摩擦が少ないために内視鏡下手術用生検装置を作業チャネルに通しやすくし、また、チューブが作業チャネルと電気的に接触しないようにする。
【0055】
外側の熱収縮チューブまたはシースは、エフェクタスリーブおよび補強部材を端から端まで組み合わせるために使用することができる。
【0056】
接合摺動部は、チューブ内の第1、第2、第3の長手方向延在チャネルと連通している。
【0057】
組織標本を採取する目的部位を洗浄するための液体は、接合摺動部の流れチャネルを介して第1の長手方向延在チャネルに供給するのが便利である。そして、第3の長手方向延在チャネル内の電線を介して、ジアテルミー生成装置からエンドエフェクタに電流を流すことにより、組織にジアテルミーを適用する。電線は、チューブの第3の長手方向延在チャネル内を延び、摺動レール組立体の接合摺動部で終わる。
【0058】
本発明による組織標本収集装置の主収集装置ハウジングが、任意に挿入された結合片によって、内視鏡下手術用生検装置の接合摺動部の標本ポートに流体的に結合するための収集装置ポートを有する実施形態では、主収集装置ハウジングは、洗浄または吸引による生検カップからの組織標本の排出中に、収集装置ポートを介して主収集装置ハウジングに入る液体を標本ポートから、ひいては第2の長手方向延在チャネルから排出するための液体排出口を有してもよい。
【0059】
収集装置ラックの専用チャンバは、収集装置ポートの下、つまり標本ポートに結合された結合片の下に容易に整列させることができ、組織標本をチャンバ内に捕捉して受け取ることができる。組織標本を第2の長手方向延在チャネルから、標本ポートを介して、結合片を経由して、収集装置ポートを介して、収集装置ラックのチャンバ内に押し出すために使用された液体の余剰分は、液体排出口を介して組織標本収集装置から流出して、任意の適切な種類のタンクまたは容器に収集され、任意に、さらなる組織学的分析、安全な寄託または安全な排出のために使用することができる。
【0060】
電線が長手方向延在チャネル内で流体と接触しないように絶縁されていれば、どの長手方向延在チャネルも電線の誘導に利用することができる。
【0061】
エフェクタスリーブまたはエンドエフェクタを操作するためにエフェクタワイヤを利用する実施形態では、このようなエフェクタワイヤは、第1または第2の長手方向延在チャネルに配置されてもよい。
【0062】
エンドエフェクタは、エンドエフェクタの長手方向の軸線から分岐するように配置された、枢動可能な対向する顎部を有していてもよく、その条件として、エンドエフェクタがエフェクタスリーブの外に少なくとも部分的に出ている状態で、顎部は大きな組織標本にかかることができるようになっている。エンドエフェクタがエフェクタスリーブ内に格納されたとき、またはエフェクタスリーブが前方に移動したときに顎部が閉じ、それによって顎部が閉じた生検カップを形成する。ジアテルミーの適用後、穏やかに切除された組織標本は、生検カップ内の顎部の間に閉じ込められ、チューブの第1の長手方向延在チャネルおよび第2の長手方向延在チャネルは、チューブの遠位端で液体連通となり、これにより、第1の長手方向延在チャネルが洗浄されると、組織標本は第2の長手方向延在チャネルに押し込まれ、組織標本収集装置に結合する接合摺動部に送られ、当該組織標本はチャンバ内に収集されることができる。
【0063】
対向する2つの分岐した顎部は、例えば約5mm開くので、大きな組織標本を得ることができ、ジアテルミーの使用により、これらの組織標本はきれいな切断面を有している。縁部の焼き付きおよび焦げ付きが低減され、さらには解消される。
【0064】
ジアテルミーを使ってクリーンかつやや大きな組織を切除することが容易になるのみならず、組織標本収集装置を備えた内視鏡下手術用生検装置を使用することのもう1つの大きな効果は、切除された組織標本の配向が周知の生検手順よりも高いレベルの制御下に保持されることにある。ジアテルミーを適用して切除した組織標本を、対象組織から採取したときと略同じ配向で、エンドエフェクタの顎部の間に閉じ込めておくことができる。組織標本は、閉じた生検カップを実質的に満たしているので、位置および配向が変わることはあり得ず、また、組織標本収集装置のチャンバは、一度受け取った組織標本がチャンバ内で回転しないように、同様の寸法および同様の形状で設計することができる。そのため、組織標本収集装置は、所定のエンドエフェクタおよび所定のチューブによって採取される組織標本のサイズおよび形状に一致するとともに相関するチャンバを備えて効果的に構成される。
【0065】
接合摺動部から第1の長手方向延在チャネルに洗浄液などを圧力をかけて注入すると、組織標本はその配向を保持したまま第2の長手方向延在チャネルに押し込まれる。そのため、組織標本がチューブの近位端に到達した時点で、その配向がわかるようになされている。組織標本は、続いて周知の配向で接合摺動部から組織標本収集装置のチャンバ内に移動することができ、それにより、組織標本の部位固有の起源および配向に関する知識を有することで、組織標本の細胞構造に関する貴重な診断情報がえら得る。この配向制御能力の向上により、高度の特異性および信頼性の高い診断が可能となり、また、課題の組織標本に関連する対象組織の臨床的および解剖的な正常および異常の特徴に関連する結果の関連性を容易に評価することができる。
【0066】
したがって、第2の長手方向延在チャネルは、単純な洗浄、好ましくは圧力下での吸引、または真空を用いた吸引によって、組織標本を穏やかに排出および移送することができ、組織標本が振り回されて配向を失うことがないような直径を有するように選択される。生検カップの寸法および第2の長手方向延在チャネルの直径を慎重に決めることで、組織標本の可能な動きを非常に高いレベルで制限したり、完全に排除したりすることができる。
【0067】
ジアテルミーを使用した市販の周知の鉗子装置では、熱で組織標本が破壊され、対向する顎部の対向する刃先の間に組織標本が挟まってしまうため、手動で組織標本を鉗子から取り出す必要がある。本発明の文脈で使用される内視鏡下手術用生検装置にジアテルミーを使用する場合、組織標本は器官および顎部から容易に離脱するため、また、任意に洗浄流体によって開始される顎部の即時冷却により、組織標本は重大な損傷を受けず、また、顎部は効果的に外部に絶縁することができる。
【0068】
好適な内視鏡下手術用生検装置の摺動レール組立体は、効果的に、近位側ガイド端の接合摺動部の前でガイドウェイ内に往復動可能に配置された針摺動部をさらに備えていてもよく、この針摺動部は、それに固定された針またはノズルを有していてもよく、この針またはノズルは、針またはノズルが格納位置にある第1の針位置と、針またはノズルがエンドエフェクタから露出する第2の針位置との間で、チューブの第4の長手方向延在チャネル内に往復動可能に配置されていてもよく、例えば、エンドエフェクタの開いた顎部の間に配置されていてもよい。
【0069】
生検処理では、針やノズルは、例えば切除により組織標本が採取される1つ以上の標的部位や局所領域に、局所麻酔薬やその他の薬剤、溶液などを適用する役割を果たす。切除されるべき組織領域に液体を注入すると、当該組織領域が拡大され、それによって、内視鏡の光ファイバの両者に組織が表示され、本発明による内視鏡装置の操作者がエンドエフェクタを使用する際に、関連する組織をアクセスしやすい標的として提供することができる。このように組織を拡張してから採取する技術は、1つの組織標本につき、内視鏡の作業用チャネルの器具を少なくとも2回は追加で挿入および収納する必要があるため、あまり普及していない。
【0070】
一実施形態によるエンドエフェクタの顎部は、閉じた構成において、針の針先端またはノズルのノズル先端を完全に包囲してもよい。そのため、生検カップを閉じたときに、ノズルや針の一部が生検カップの外に出ないようになっている。
【0071】
別の実施形態では、エンドエフェクタの対向する顎部の1つが、顎部が閉じられたときに針またはノズルを露出させるように構成された開口部を有する。生検カップが開いた後に閉じられ、針またはノズルが麻酔薬を標的に適用するために露出されると、針またはノズルは、チューブの第4の長手方向延在チャネル内を往復して戻り、開口部が針またはノズルによって閉じられ、シールされて塞がれる。
【0072】
しかしながら、本発明による内視鏡下手術用生検装置は、全身麻酔をせずに、例えば、外来患者や受け入れ病棟の患者に効果的に使用することもできる。生検中のどの段階でも、患者に迷惑をかけることなく、外科医の判断で麻酔をかけることができる。この内視鏡下手術用生検装置により、外科医は様々な選択を行い、組織標本を採取するたびに一連の異なるツールを内視鏡の作業チャネルに挿入することを繰り返すことなく、疑わしい対象部位から直接複数の組織標本を採取することができる。内視鏡下手術用生検装置を患者の体内に入れたまま、ジアテルミーを照射して癌細胞を破壊することができる。患者は、カテーテルの挿入も手術の生検処置前の絶食も必要なく、その後迅速に帰宅できる。
【0073】
接合摺動部の入口ポートには、様々な方法で洗浄液のタンクを簡単に接続することができる。1つの方法は、液体供給チューブに結合された段付きの先端ほど細くなるコネクタを入口ポートに挿入することであり、この場合、入口ポートは雌の結合部品として機能する。これに代えて、液体供給チューブを入口ポートに取り付けることができ、その場合、入口ポートは雄型の結合部品として機能する。
【0074】
電線は、近位側チューブ端の第2の長手方向延在チャネルから接合摺動部のジアテルミーポート内に延びて、ジアテルミー生成装置に電気的接触を生じさせることができる。このような電気的接触は、ジアテルミー生成装置につながるケーブルの電気プラグを挿入することで、非常に簡単に得ることができる。
【0075】
接合摺動部の標本ポートは、第2の長手方向延在チャネルと液密に連通していてもよく、これにより、切除された組織標本を生検カップから摺動レール組立体の外に出して、診断のために組織標本収集装置に搬送することができる。組織標本は、第1の長手方向延在チャネルを介して閉じた生検カップに液体を流すことにより、標本ポートから単純に洗い出され、固定された方向の組織標本を第2の長手方向延在チャネルに押し込むことができる。洗浄流体の送出チャネルとして使用されている第1の長手方向延在チャネルが、第3の長手方向延在チャネルとしても使用されている場合、電線は絶縁されている必要がある。
【0076】
第2の長手方向延在チャネルは、第1の長手方向延在チャネルよりも大きな断面を有し、洗浄による組織標本の排出を本質的にさらに促進することができる。好ましくは、第2の長手方向延在チャネルは、他の長手方向延在チャネルの寸法およびチューブの全体的な直径を考慮して、可能な限り最大の断面を有していてもよい。これにより、組織標本は、チューブから出て自由になり、組織標本収集装置のチャンバ内を移動する間にできるだけ穏やかに扱われるが、組織標本が第2の長手方向延在チャネル内で旋回して配向が変わることはないようになっている。
【0077】
組織標本は、粘膜固有層および粘膜筋板の両者を含むように十分な深さ、すなわち3乃至5mmの深さが必要である。組織標本は、第1の長手方向延在チャネルの洗浄流体の圧力によって、第2の長手方向延在チャネルのより大きな、または同じ断面に向かって自動的に押し動かされる。組織標本は、洗浄流体によって当該第2の長手方向延在チャネルに押し込まれ、それに沿って移動する。これは、第2の長手方向延在チャネルが、組織標本を内部に滑り込ませ、洗浄流体とともに標本ポートの出口から退出させることができる唯一のチャネルだからである。組織標本が洗浄流体の圧力または真空にさらされると、第2の長手方向延在チャネルの内腔にわずかに適合して、当該第2の長手方向延在チャネルに最も簡単に通過できる形状になってもよい。
【0078】
エンドエフェクタ摺動部、接合摺動部、および/または針摺動部は、好都合な実施形態では、摺動レール組立体の主摺動ガイド本体のガイドウェイに沿って往復することができる。このような構成の摺動レール組立体では、針やノズルが近位側チューブ端から接合摺動部を通って延び、針摺動部に接続することができるため、摺動レール組立体を最小のサイズで構成することができる。これに代えて、針やノズルは、接合摺動部の外側にこれに平行な第3の長手方向延在チャネル内を延びる。本発明の範囲内では、接合摺動部および針摺動部は直列ではなく並列に配置することができるが、その場合、針摺動部に固定するためには、針またはノズルの近位端を近位側チューブ端からの出口で摺動レール組立体の長手方向の軸線から離れるように屈曲する必要がある。接合摺動部と針摺動部とを平行に配置することにより、摺動レール組立体の容積が大きくなり、外科医による内視鏡および内視鏡下手術用生検装置の操作性に支障をきたす恐れがある。第3の長手方向延在チャネルは、効果的に、チューブの長手方向軸線を半径方向にずれ、同様に針とノズルとがずれて配置され、これにより、単一の針の器具を使用するときのように、チューブおよび内視鏡の作業チャネルと同軸にならない。
【0079】
摺動レール組立体は、エンドエフェクタ摺動部と接合摺動部との間に配置される第1のばね部材であって、接合摺動部に対してエンドエフェクタ摺動部をばねで往復運動させるための第1のばね部材を有していてもよい。摺動レール組立体は、接合摺動部と針摺動部との間に配置され、接合摺動部に対する針摺動部のばね付勢による往復運動のための第2のばね部材をさらに、あるいは追加的に備えていてもよい。一時的に摺動部を相互に緊張または圧縮状態に保つことができる代替的配置は、本発明の範囲内である。そのような配置としては、協働する窪みおよびビーズ、例えば摺動部の遠位端の前でガイドウェイを横断する手動式の往復動可能なピン、または摺動部に係合するピンなどが考えられる。
【0080】
保管状態時、および内視鏡の作業チャネルへの内視鏡下手術用生検装置の挿入時には、いずれのばね部材も付勢されない。一旦内視鏡の遠位端が疑わしい外観の組織の標的および内視鏡下手術用生検装置の位置関係にあり、患者が生検の準備をしたら、内視鏡の光ファイバを使用して光学的に検出された組織標本を切除することができるように、作業チャネルにチューブを挿入することによって、内視鏡下手術用生検装置を組織標本の切除のために準備することができる。接合摺動部を操作して、エンドエフェクタを内視鏡の外に出す。その後、エンドエフェクタ摺動部を操作してエフェクタスリーブを後退させることで、エンドエフェクタの対向する顎部が離れ、組織標本を把持してジアテルミーを施すことができる。内視鏡の遠位側開口部からエンドエフェクタおよびエフェクタスリーブを備えた遠位側チューブ端を露出させるために、接合摺動部は、ばね部材を圧縮することなくガイドウェイ内を移動する。生検部位に麻酔薬が必要な場合は、針摺動部を接合摺動部に向けて前進させ、これにより、針摺動部と接合摺動部との間にある第2のばね部材を圧縮して、エンドエフェクタ摺動部を操作して開いたエンドエフェクタに対して針やノズルを露出させる。
【0081】
また、第2のばね部材を圧縮することにより針摺動部をばね付勢することで、針やノズルが前方に露出している状態でエンドエフェクタがエフェクタスリーブ内に収納されるリスクを低減することができる。
【0082】
また、少なくとも第2のばね部材が圧縮されることで、露出した針の周囲を誤って閉じてしまい、臓器内で顎部が破損することを防ぐことができる。圧縮力が緩和されると、針は自動的に格納される。
【0083】
さらなる安全対策として、ばね部材は、効果的に、コイルなどの圧縮ばねであり、単位長さあたりのコイル数が異なり、任意により、異なるコイル直径および異なるワイヤの太さから選択された1つまたは複数の異なるパラメータを有し、これにより、異なる圧縮の荷重となり、例えば第2のばね部材は、第1のばね部材の圧縮および荷重が解放されると、第1のばね部材よりも迅速に跳ね返る。上述したように、このばね部材の配置により、針やノズルが再び生検カップ内に引き込まれる前に、エンドエフェクタが誤って意図せずに閉じてしまうことに対する安全性が得られる。エンドエフェクタが露出した針やノズルを捕捉しないようにするための適切な構造的および機能的予防措置は、第2のばね部材を第1のばね部材よりも大きな圧縮力で構成することにより、第1のばね部材がエンドエフェクタ摺動部と接合摺動部との間の圧縮力から解放されるよりも迅速に第2のばね部材が針摺動部を後退させることで、容易に実現することができる。
【0084】
摺動レール組立体の摺動部は、外科医が手動で操作したり、把持したりすることができる。しかしながら、これは摺動レール組立体の操作としてはやや不器用であり、安全性および信頼性に欠ける場合がある。摺動レール組立体を介してエンドエフェクタを操作するための、より安全かつ実用的な方法としては、対応する摺動部および機能を操作するために割り当てられたボタンを備えた遠隔操作ハンドルを有し、対応する操作ストリングを介して摺動部に動作可能に接続された遠隔駆動組立体が挙げられる。操作用ストリングは、例えば金属線などのワイヤであるが、本発明の範囲内であれば、同じ強度を持ち、破断することなく屈曲したり可撓性を備える能力を持つあらゆる種類のストリングを使用することができる。金属線に代わるものとしては、一例として、例えば繊維強化ストリングのような丈夫な高分子ストリングが挙げられる。
【0085】
遠隔駆動組立体は、滑車組立体を含んでいてもよく、この滑車組立体は、遠隔操作ハンドルの対応するボタンを操作して操作ストリングを引くことに応答して、接合摺動部と一体的に移動するように、接合摺動部に配置することができる。操作ストリングは、滑車組立体の滑車の周囲を1回または複数回ループしてもよい。回数が多いほど、より大きな機械的効果が得られる。ボタンの小さなストロークは、そのため、摺動部のより長い変位を生じさせる。
【0086】
遠隔操作ハンドルのさらなる効果的な特徴は、遠隔操作ハンドルが、内視鏡の遠位部、例えば、内視鏡の可撓性を備えたチューブ部に変位可能かつ着脱可能に取り付けるためのスナップオン手段を有することができ、それによって、当該遠隔操作ハンドルが、生検処置の間、常に外科医の手元に容易に置かれる点にある。遠隔操作ハンドルは、外科医または操作者の好みに応じて、平行または垂直の両者で内視鏡の遠位側チューブ部にスナップオン/スナップオフでき、遠位側チューブ部に沿って摺動することができる。
【0087】
外科医が希望すれば、内視鏡の遠位部から遠隔操作ハンドルを取り外し、摺動レール組立体を自分の好きな位置で操作することができる。また、外科医は、遠隔操作ハンドルを遠位部に沿って長手方向に摺動させたり、使用しないときに遠隔操作ハンドルを一時的に収納したりして、内視鏡の近位部で邪魔にならないようにすることもできる。本発明による遠隔操作ハンドルは、外科医に人間工学的により優れた操作環境を提供し、従来の内視鏡下生検処置の際に必要とされていた一部の追加物を必要としない。
【0088】
組織標本を切除する前に、患者は生検の準備をされる。このような準備には、生理食塩水などの洗浄剤を内視鏡を通して流して、臓器や体腔を洗浄したり、任意に拡張したりすることが含まれ得る。臓器が膀胱の場合は、膀胱鏡を使用し、膀胱を生理食塩水で膨らませて膀胱壁がはっきり見えるレベルまで洗い流す。臓器や体腔は、ジアテルミーで組織を採取する前に、導電性の洗浄液やリンス液を空にしておくのが一般的である。洗浄液/リンス液は、組織分析および病理診断のために回収することができる。
【0089】
生理食塩水が代表的な灌漑用溶液である。しかしながら、生理食塩水は導電性であるため、ジアテルミーとの互換性は無い。そこで、生検前に生理食塩水を非導電性の洗浄液、例えばグリシン溶液や他の非導電性アミノ酸の溶液、あるいはマンニトール溶液などの糖溶液に置き換える。生理食塩水の代わりに1.5%のグリシン溶液を、ジアテルミーの際の洗浄液として、また、生検の準備で臓器を膨張させるために、使用することができる。
【0090】
装置操作部は、内視鏡の内視鏡流体バルブポートおよび内視鏡吸引バルブポートに取り付けられるように構成された第1の操作端部と、内視鏡の処置具ポートの位置またはその近傍で摺動レール組立体および内視鏡に結合するように構成された反対側の第2の操作端部とを有する洗浄部品をさらに含んでいてもよい。
【0091】
最初に生理食塩水、従来の手順、および内視鏡の吸引/洗浄チャネルを使用して臓器や組織の部位を洗浄する。
【0092】
これに代えて、洗浄要素は、流体バルブポート、吸引バルブポート、処置具ポートの間の内視鏡の吸引チャネルおよび液体チャネルの近位部をバイパスするシャントと同じ目的で最初に使用することもでき、これに代えて処置具ポートを経由して内視鏡の作業チャネルの遠位端から外に液体を流し、これにより作業チャネルおよびチューブを経由して目的の臓器や組織を洗浄し、後の段階で注入した液体をチューブ経由で再び排出することで、生検前に臓器を洗浄し、排出された洗浄液を回収することができる。
【0093】
反対側の第2の操作端部は、好都合に、内視鏡装置の操作部の処置具ポートに結合されたアダプタを介して、処置具ポートに結合されるように構成されてもよい。別の方法では、アダプタは第2の操作端部と一体的に設けられる。
【0094】
アダプタは、第1のアダプタ端を有する第1のアダプタ端部と、第2のアダプタ端を有する反対側の第2のアダプタ端部とを有する管状のアダプタ本体を含んでいてもよい。第1のアダプタ端部は、処置具ポートのエンドキャップを置き換える寸法であってもよく、好ましくはチューブを導入するための膜を含む。第2のアダプタ端部は、摺動レール組立体と結合して、摺動レール組立体を内視鏡と一体的に処置具ポートに保持し、摺動レール組立体につながるチューブや、液体の供給および排出を制御するように構成されていてもよい。
【0095】
第1のアダプタ端部および第2のアダプタ端部は、摺動レール組立体が内視鏡の長手方向軸線から少なくともわずかに離れる方向に向けられ、それによって外科医によるアクセス性および操作性が高くなるように、互いに対して角度をつけてもよい。第1のアダプタ端部は、本発明による内視鏡下手術用生検装置のチューブを内視鏡の作業チャネルに挿入することができる膜を備えた内視鏡の処置具ポートと同様に構成すると便利であり、液体を第1の長手方向延在チャネルに供給し、第2の長手方向延在チャネルを介して退出させることができる。
【0096】
好ましくは、アダプタは、内視鏡の処置具ポートの中心軸線を中心に、少なくとも45°など、処置具ポート内で回転することもでき、外科医や他の操作者の操作条件をさらに改善することができる。これに代えて、摺動レール組立体は、内視鏡の処置具ポートの中心軸線を中心に同様にアダプタに対して回転し、それによってエンドエフェクタも回転させることができる。
【0097】
液体タンク、排出物を収集するための容器、チューブの第1および第2の長手方向延在チャネル、並びに摺動レール組立体の接合摺動部のうちの1つ以上の間の流体連通を確立するために、これらの間にチューブが必要とされる。このように、アダプタが、少なくとも1つ以上のポンプ手段、液体タンク、排水タンク、接合摺動部の入口ポート、接合摺動部の標本ポート、標本ポートに固定された組織標本収集装置への収集装置ポート、または標本ポートに固定された組織標本収集装置からの出口からなる群から選択された1つ以上の構成要素に、1つ以上のチューブを取り付けるための結合片のためのシートを有していれば、それぞれのそのような部品の間に液体の連通および流れのチャネルを得ることができ、好都合である。
【0098】
鉗子の種類のエンドエフェクタの対向する顎部は、2つの長手方向のパイプ部分を長手方向に部分的に結合して得られ、エンドエフェクタの長手方向の軸線からずれた顎部を有することにより、エフェクタスリーブが顎部を閉じたままにしないときに顎部が離れて跳ね上がるような固有の弾力性を当該顎部に与えることができる。2017年12月22日に出願された本出願人のスウェーデン特許出願第1751639-4号および本出願人の2018年12月14日に出願された国際特許出願PCT/SE2018/051315 号に記載されたエンドエフェクタのいずれも本発明による内視鏡装置の一部とすることができる。その中に記載されているエンドエフェクタの開示内容は、参照により本願に組み込まれている。
【0099】
生検カップは、エンドエフェクタ摺動部の往復運動によって誘発されるエフェクタスリーブの往復運動によってシールされて閉じられ、閉じられた生検カップから洗浄流体が逃げて洗浄圧力が低下することを防ぎ、したがって、閉じられた生検カップから組織標本が洗い出されるときに、対向する閉じられた顎部の間の隙間および/または間隙を介して洗浄流体が臓器内に流入すること、または生検部位に流出することを実質的に防ぐことができる。
【0100】
チューブの外径は、一旦熱収縮絶縁補強コイルをチューブに巻いた後に、内視鏡の作業チャネル内に移動可能に収まるように、内視鏡下手術用生検装置に対して2mm以下とすることができる。しかしながら、他の種類の内視鏡は、より大きな作業チャネルを有してもよく、その場合、筐体付きチューブの全体的な外径は、約2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、またはさらに約5mm以上の幅にすることができる。長手方向延在チャネルの内径は、長手方向延在チャネルのルーメン間の最大距離として測定される、全体の内側チューブ直径よりも小さい。
【0101】
洗浄液の押し流し圧力または真空は、チューブの長手方向に延びる第1および第2の長手方向延在チャネルの直径と、エンドエフェクタの顎部および閉じた生検カップによって定義される組織標本のサイズとを考慮して設定され、これにより、組織標本が第2の長手方向のチャネル内に閉じ込められないようにして、当該第2の長手方向のチャネルの詰まりを回避および/または防止することができる。すべての機能を備えた全体外径2mmのチューブを実装し、膀胱鏡との併用を目的とした内視鏡下手術用生検装置の場合、第2の長手方向チャネルを介して少なくとも5バール(約500kPa)のかなり高い洗浄液供給圧力が必要となる可能性がある。しかしながら、流体輸送圧力は、10バール(約1MPa)、20バール(約2MPa)、あるいはそれ以上の高さになることもある。例えば26バール(約2.6MPa)の流体輸送圧力は、十分に効率的であることが実証されている。
【0102】
顎部のカップ状の第2の端の対向する自由縁は、例えばエフェクタワイヤを張引したりエフェクタスリーブを移動させてエンドエフェクタをエフェクタスリーブ内に閉じ込めて配置するなどして、顎部を互いに移動させたときに、ジアテルミーを適用する際に組織に接触する導電性の挟み込み面を形成する。
【0103】
ジアテルミーは、組織標本を機械的に切除するために、外科医がエンドエフェクタを広範囲に張引する必要性を改善し、組織標本の切除後に熱を加えて止血する必要性を大幅に低減し、あるいは排除さえする。外科医は、適用された熱が組織標本を自由にするのを数秒待つだけで、患者にはほとんど不快感を与えず、外科医には最小限の手順で行うことができる。一旦組織標本が解放されると、エフェクタスリーブに力が加わり、生検カップを完全に閉じることができる。これに代えて、エンドエフェクタ摺動部に連結されたエフェクタワイヤによって、顎部を積極的に閉じることもできる。一旦エンドエフェクタが閉じられると、洗浄液は、生検カップが顕著に漏れて洗浄圧が低下することなくエンドエフェクタを通過することができる。これにより、組織標本は、第2の長手方向延在チャネルから洗い流され、組織標本収集装置の専用チャンバに収集される。一旦組織標本収集装置によってすべての組織標本が収集されると、すべての組織標本は、組織標本収集装置によって構成された1つのカセットまたはカートリッジの中で、閉鎖された環境の中で病理医にもたらされることができる。組織標本を臓器から運び出して、従来の生検のようなバイアルに回収する際に、人間が汚染するようなやりとりは必要ない。組織標本の採取から手術中の汚染リスクがゼロになり、組織標本の取り違えもなくなる。
【0104】
顎部で組織標本を挟み、ジアテルミーのステップでは、顎部が組織標本を臓器から穏やかに切断し、生検部位に残された傷口を焼いたり、かつ/または焼灼したりして止血する。このようにして、組織標本は臓器から解放され、顎部に付着することはない。
【0105】
また、対向する顎部の外面が外部で電気的に絶縁され、組織標本を臓器から放出させるジアテルミー装置を構成してもよい。顎部の外面の電気的絶縁は、好ましくは、外面にコーティングを施すことによって得ることができる。このようなコーティングは、低摩擦コーティング、例えばパリレン(登録商標)コーティングやダイヤモンド様炭素(DLC)コーティングであることが好ましく、顎部の導電性表面、例えばニチノール、アルミニウム、ステンレス鋼などの金属表面に容易に蒸着することができる。パリレン(登録商標)という商品名は、化学蒸着されたポリ(p-キシリレン)ポリマを対象としており、水分や誘電体のバリアとして使用されている。本発明の範囲内では、ダイヤモンド様炭素(DLC)などの他の種類の絶縁コーティングも使用できる。
【0106】
チューブは、プラスチックチューブのような非導電性のチューブであってもよい。出血が多い場合は、局所的にジアテルミーを繰り返すことができる。ジアテルミーはモノポーラであってもよい。
【0107】
好ましくは、臓器は膀胱であるが、他の臓器も同様の原理で生検を行うことができる。例えば、臓器は、腸、胃、食道などの消化管、肺などの気道、または膣などであり得る。
【0108】
第3の長手方向延在チャネルに関連付けられる針やノズルは、麻酔以外の目的で利用することができる。例えば、臓器や組織の部位に拡張液を供給したり、局所麻酔やアドレナリンなどの薬を注入して止血したりすることができる。他の選択肢としては、第4の長手方向延在チャネルに外科用レーザーやクランプツールを使用することが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0109】
組織標本を採取するための本発明による内視鏡下手術用生検装置を用いた外科的処置のステップは、
a) 好ましくは、光ファイバなど、臓器の内部を可視化する手段を有する内視鏡である内視鏡を挿入するステップと、
b) 任意に、内視鏡の作業用チャネルまたは他のチャネルを介して供給される液体で、組織標本を切除する器官を拡張するステップと、
c) 内視鏡下手術用生検装置のチューブを挿入するステップであって、任意にステップb)で行わなかった場合に、内視鏡下手術用生検装置の長手方向延在チャネルを通して供給される非導電性の液体で、組織標本が切除されるべき器官を拡張する、チューブを挿入するステップと、
d) 針摺動部を介して内視鏡下手術用生検装置の針またはノズルを操作することにより、癌が疑われるすべての部位に任意で麻酔をかけるか、または標本採取部位の局所に任意で麻酔をかけるステップであって、組織標本の採取を容易にするために任意で膨張を誘発する、麻酔をかけるステップと、
e) エフェクタスリーブがエンドエフェクタを包囲した状態で、接合摺動部を操作して、内視鏡の作業チャネルから内視鏡下手術用生検装置のチューブの遠位端を露出させるステップと、
f) エンドエフェクタ摺動部を操作して、エンドエフェクタおよびエフェクタスリーブを相互に変位させ、それによりエンドエフェクタの顎部を開閉して組織標本を挟み込む、変位させるステップと、
g) 接合摺動部のジアテルミーワイヤを介してジアテルミーを作動させるステップであって、エンドエフェクタに電流を供給して、組織標本を生検カップ内に収容できるように自由にする、作動ステップと、
h) 接合摺動部から、非導電性の液体を高圧で第1の長手方向延在チャネルに流し、さらにエンドエフェクタの閉じた生検カップに流して、チューブの第2の長手方向延在チャネルを介してチューブから組織標本を流し、この第2の長手方向延在チャネルは接合摺動部で終わり、近位側チューブで組織標本を前記請求項のいずれかで定義された組織標本収集装置に収集するステップと、
i) 癌の疑いのある部位すべてに麻酔をかけた場合はステップe) 乃至 h) を、局所麻酔の場合は、ステップd)乃至h)を、必要な数の組織標本を採取するまで繰り返すステップと、
j) 任意で、破壊される組織に顎部を移動させることにより、燃焼機能によって癌の残りの領域を破壊するステップと、
k)内視鏡下手術用生検装置を引き出すステップと、
l) 内視鏡を引き出すステップとを含む。
【0110】
ステップj)は、生検手順のどの段階でも実施することができ、実際、内視鏡の作業チャネルに内視鏡装置を1回挿入する間に同じ内視鏡下手術用生検装置が使用されるので、作業チャネルから内視鏡下手術用生検装置を取り外すことなく、外科医の選択に従って、任意の所望のステップを実施し、繰り返すことができる。このように、手術方法に示された手順の順序は、限定的で強制的なものとして解釈されるべきではない。
【0111】
次に、本発明の例示的な一実施形態による内視鏡下手術用生検装置により、図面を参照して本発明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【
図1】
図1は、本発明の内視鏡下手術用生検装置を、膀胱鏡を用いた生検処置に使用する準備が整った手術用設定環境に置いた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の内視鏡下手術用生検装置のチューブの、
図1のII-II線に沿った拡大断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態によるエンドエフェクタを示す断片的な斜視端面図である。
【
図4】
図4は、
図1の内視鏡下手術用生検装置を膀胱鏡の近位側ハンドル部に取り付けた状態の斜視拡大図であるが、ジアテルミー発生装置への電気コードが省略され、液体供給チューブおよび排出チューブも省略されている。
【
図5】
図5は、摺動レール組立体、第1の実施形態の組織標本収集装置、およびアダプタを斜視図および部分分解図で示している。
【
図6】
図6は、組み立てられた状態の同製品を示している。
【
図7】
図7は、機器作動部のアダプタを側面から見た拡大図である。
【
図8】
図8は、洗浄要素をホルダ端部および第1の操作端部から見た図である。
【
図9】
図9は、その態様を第2の操作端部から見た図である。
【
図10】
図10および
図11は、主摺動ガイド本体の遠位側ガイド端および近位側ガイド端から見た、ばね部材、アダプタおよび洗浄部材を除いた、内視鏡下手術用生検装置の分解拡大図である。
【
図11】
図10および
図11は、主摺動ガイド本体の遠位側ガイド端および近位側ガイド端から見た、ばね部材、アダプタおよび洗浄部材を除いた、内視鏡下手術用生検装置の分解拡大図である。
【
図12】
図12は、
図15および
図16の右にある丸で囲った断片を遠位側チューブ端から見た、遠隔駆動組立体を備えた内視鏡下手術用生検装置の斜視拡大図である。
【
図13】
図13は、遠隔操作ハンドルを上から見た斜視図である。
【
図14】
図14は筐体の半部を取り除いた状態を示す図である。
【
図15】
図15は、内視鏡下手術用生検装置の開始状態を示す図である。
【
図16】
図16は、内視鏡の作業チャネルから内視鏡下手術用生検装置の作動端を露出させた状態の内視鏡下手術用生検装置を示す。
【
図17】
図17は、エンドエフェクタからエフェクタスリーブを後退させた状態の内視鏡下手術用生検装置を示す。
【
図19】
図19は、エンドエフェクタの顎部の間に針が露出している状態の内視鏡下手術装置の作動端を示す。
【
図21】
図21は、本発明の第2の実施形態による組織標本収集装置の遠位端から見た斜視図である。
【
図23】
図23は、
図21に示した第2の実施形態による組織標本収集装置を示す分解斜視図である。
【
図24】
図24は、第2の実施形態による組織標本収集装置を側面から見た図である。
【
図25】
図25は、
図23に示した第2の実施形態による収集装置ラック組立体を示す分解図である。
【
図26】
図26は、
図24の収集装置ラック組立体を、線形ラックとは反対側から斜めに見た図である。
【
図29】
図29は、押圧ロッド部分を爪先端から見た図である。
【
図30】
図30は、
図23のXXX-XXX線に沿った、近位側管状ハウジング部の内部を見た断面図である。
【
図31】
図31は、
図23のXXXI-XXXI線に沿った、遠位側管状ハウジング部の内部を見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0113】
以下では、例として、内視鏡が膀胱鏡であり、組織標本が切除される器官が膀胱であることを想定している。例は非限定的であり、本発明による内視鏡下手術用生検装置および組織標本収集装置は、他の多くの種類の内視鏡と組み合わせて使用することができ、標的組織は多くの異なる種類の組織であり得ることを理解すべきである。図面において使用される縮尺は、本発明の要素を可能な限り例示するために行われていることを強調しておく。縮尺の拡大・縮小率は、各図面間で異なる場合がある。縮尺は、本発明の構成要素を最もよく表現できるように任意に選択される。ハサミや他の鉗子などの他のエンドエフェクタも、内視鏡下手術用生検装置に使用することができる。
【0114】
図1は、本発明の内視鏡下手術用生検装置1を、膀胱鏡2の形態の内視鏡を用いた生検処置に使用する準備が整った手術用設定環境に置いた状態を示す斜視図である。生検処置には、従来の複数のジアテルミー発生装置、液体源、およびタンクを使用することができる。
図1にはこれらは示されていない。さらに、視覚的にわかりやすくするために、膀胱鏡の遠位側挿入チューブおよび光ファイバは省略している。マルチチャネルチューブ3は、内視鏡の遠位側挿入部に覆われていない状態で示されている。
【0115】
内視鏡下手術用生検装置1は、装置操作部4を有しており、この装置操作部4は、少なくとも摺動レール組立体5、遠隔駆動組立体6、洗浄要素7、および第1の実施形態による組織標本収集装置8を含む複数のサブ要素から構成されている。これらのサブ要素5、6、7、8のそれぞれについて、以下の図で個別に、および組み合わせてさらに詳しく説明するとともに、それらの動作関係を説明し、議論する。
【0116】
図2に、
図1の内視鏡下手術用生検装置1に使用されている可撓性マルチチャネルチューブ3(以下、単にチューブと呼ぶ)を拡大断面図で示す。
【0117】
チューブ3は、4つの長手方向延在チャネル、すなわちチューブ3の遠位側チューブ端13に液体を供給するための第1の長手方向延在チャネル9と、近位側チューブ端14を介してチューブ3から組織標本などの液体やその他の物質を例えば排出または吸引して外に出すための第2の長手方向延在チャネル10と、ジアテルミーワイヤ76を通すための第3の長手方向延在チャネル15と、針を往復させるための第4の長手方向延在チャネル16とを有している。長手方向延在チャネルは、内視鏡の作業チャネルを複数のサブチャネルに「分割」するものであり、これにより、内視鏡の機能性がこれまで知られていなかったほど向上し、内視鏡の作業用チャネルに異なる器具を何度も挿入および収納する必要がなくなり、生検の時間を短縮し、患者に快適さを与えることができると言える。
【0118】
図3に一実施形態によるエンドエフェクタ21を拡大して示す。
図3に示すエフェクタスリーブ17は、例えば、チューブ3の遠位側チューブ端14のエンドエフェクタ17をエフェクタスリーブ17の中に出し入れするよう往復運動させることに応じて、あるいはエフェクタスリーブ17を、エンドエフェクタ21を覆うように、および離間するように往復運動させ、これにより、一旦エフェクタスリーブに包囲されたエンドエフェクタ21が標的部位の前の生検位置に配置されると、エンドエフェクタおよびエフェクタスリーブを互いに対して往復運動させることによって、エンドエフェクタ21が当該エフェクタスリーブ17の内外に緊密に移動するように選択された内径を有する。エンドエフェクタが標的部位のこの生検位置にあるとき、エフェクタスリーブを後退させることにより、顎部19,20が開かれる。次に、エフェクタスリーブをエンドエフェクタの上方で逆方向に変位させて、対応する顎部の可撓性を備えたヒンジ部材19a,20aを撓み返させることにより、顎部19,20を閉じて組織標本を把持する。エフェクタスリーブ17は、金属製のパイプであってもよく、チューブ3は、内視鏡の作業チャネルに挿入されるのに十分な構造をチューブ3に与え、任意にエフェクタスリーブ17に対して長手方向の移動を可能にするために、コイル部材77のような外部構造補強材を有していてもよい。エンドエフェクタ17の
図3では、針22は、第3の長手方向延在チャネル16から露出している。外側の構造補強材は、エフェクタスリーブに端から端まで固定され、同時に往復することができる。
【0119】
図4は、
図1に示す内視鏡下手術用生検装置1の拡大斜視図であるが、内視鏡下手術用生検装置1をジアテルミー発生装置に接続する電線がなく、プライミングポンプ(図示しない)への洗浄チューブおよび排出チューブ23,24がなく、液体タンクおよび液体源がない状態である。プライミングポンプは、ジアテルミー発生装置に関連付けられ、摺動レール組立体5を介した第1の長手方向延在チャネル9の非導電性液体による洗浄を含め、チューブ3に結合されたチューブシステムを充填し、第2の長手方向延在チャネル10から組織標本を排出することに関連して吸引/排出された非導電性液体を回収するように構成されてもよい。
【0120】
洗浄要素7は、第1の押圧駆動バルブ25を用いて内視鏡の流体バルブポートに取り付けられ、第2の押圧駆動バルブ26を用いて膀胱鏡2の内視鏡吸引バルブポートに取り付けられるように構成された第1の操作端部18を有する。洗浄要素7の反対側の第2の操作端部27は、当該第2の操作端部27に設けられたアダプタ28によって、摺動レール組立体5と、膀胱鏡2の処置具ポートと、流体連通している。
【0121】
第2の押圧駆動バルブ26は、洗浄要素7の輸液チューブ31を介して膀胱鏡を介して液体を注入するために注入接続片38に結合された液体の供給源(図示しない)、例えばドリップバッグからの液体の供給のために開閉する。同様に、第1の押圧駆動バルブ25は、吸引チューブ32を介した内視鏡を介した吸引のために開閉し、この吸引チューブ32は、吸引接続片39を介して真空源に結合されている。
【0122】
把持部29により、外科医は、把持部29を介して膀胱鏡に手を置くだけで、内視鏡下手術用生検装置と膀胱鏡とを同時に容易に保持することができる。把持部29は、生検を行う前に、生理食塩水、水、グリシンなどの液体を、膀胱などの中空器官や他の組織表面から、チューブ3を介して膀胱鏡2の作業用チャネルを介して、あるいは上記目的のために特別に割り当てられた膀胱鏡2の液体チャネル(図示しない)を介して、それぞれ流すための内部灌流チューブを組み込んだり、外部灌流チューブ31,32を有したりしていてもよい。
【0123】
図5の斜視図、分解図および
図6の組立図は、摺動レール組立体5、第1の実施形態による組織標本収集装置8、およびアダプタ28を示すものである。アダプタ28は、第1のアダプタ端35を有する第1のアダプタ端部34を備えた管状のアダプタ本体33を有し、この第1のアダプタ端部34は、チューブ3を挿入するための膜(図示しない)を有し、また、アダプタ28は、摺動レール組立体5と結合するように構成された第2のアダプタ端37を有する反対側の第2のアダプタ端部36を有する。
【0124】
第1のアダプタ端部34および第2のアダプタ端部36は、
図7の側面図に最もよく示すように、互いに対して角度aをなしており、これにより、第2のアダプタ端部36に固定されている摺動レール組立体5は、膀胱鏡2から遠ざかるようになっている。角度CCは、管状アダプタ本体33を通る屈曲または湾曲したチャネルを形成するために、例えば、少なくとも45°である。
【0125】
把持部29に付随する灌漑チューブ31,32は、輸液チューブ31および吸引チューブ32である。吸引チューブ32は、膀胱を空にするための吸引を行う部分であり、輸液チューブ31は、生検の前に膀胱を洗浄したり、非導電性の液体を膀胱に注入したりするなど、液体を注入する部分である。
【0126】
アダプタ28は、シート41,42を備えた突出したフランジ40を有している。シート41,42は、吸引チューブ32および輸液チューブ31、並びに真空源(図示しない)および液体源(図示しない)にそれぞれ流体連通するための第1の結合片43および第2の結合片44を取り付けるように構成されている。第1の結合片43および第2の結合片44は、例えば、バーブ付きバヨネット雄型コネクタであってもよく、対応するバーブ付きの先端ほど細くなる第1の結合端部43a,44aおよび反対側の第2の結合端部43b,44bを有し、結合端部43a,44a;43b,44bの間に拡大された直径のフランジ43c,44cを備え、これにより、結合片43,44は、突出したフランジ40の対応するシート41,42に留まることが促進される。
【0127】
図8および
図9の拡大詳細図によく示されるように、洗浄要素7は、当該洗浄要素7の第1の操作端部18と第2の操作端部27との間に延びる長手方向の把持部29を有している。第2の操作端部27において、洗浄要素7は、摺動レール組立体5のためのホルダ30を有している。第1の実施形態による組織標本収集装置8に結合された摺動レール組立体5は、ホルダ30にドッキングされて、膀胱鏡2から突出した状態で保持される。このようにして、摺動レール組立体5および第1実施形態による組織標本収集装置8の両者が、膀胱鏡2の近位端の近傍に配置され、外科医の手の届く、視界に入る便利な場所に配置される。
【0128】
内視鏡下手術用生検装置1の使用時には、アダプタ28が処置具ポートに固定され、洗浄要素7の第2の操作端部27がアダプタ28に固定され、第1の実施形態による組織標本収集装置組立体8に接続された摺動レール組立体5がホルダ30に取り付けられ、針22、エンドエフェクタ21、エフェクタスリーブ17、およびジアテルミーワイヤ76を備えたチューブ3がアダプタ28の膜を介して挿入される。吸引チューブ32は、第1の結合片43のバーブ付きの先端ほど細くなる第1の結合端43aに接続されている。輸液チューブ31は、第2の結合片44の第2の結合端44bに接続されている。中間チューブ45は、第1の実施形態による組織標本収集装置8を第1の結合片43のバーブ付き結合端43aに接続して、把持部29の吸引チューブ32への液体連通を確立し、第1の実施形態による組織標本収集装置8から液体を排出するものである。
【0129】
洗浄チューブ24は、第2の結合片44のチューブ結合端44aに接続され、プライミングポンプ(図示しない)への液体連通を確立する。第2の結合片44の反対側のチューブ結合端44bは、把持部29の輸液チューブ31を介して非導電性液体の供給源に接続し、それにより、プライミングポンプ(図示しない)と非導電性液体の供給源(図示しない)との間の液体連通を確立する。非導電性液体は、このように、第1の実施形態による組織標本収集装置8への吸引の適用によって閉鎖された生検カップが排水され、プライミングポンプ(図示しない)が次の組織標本の切除のために再充填されることになった後に、洗浄要素7を介して輸液チューブ32に結合された同じかまたは別の供給源から連続的に補充することができる。
【0130】
図5および
図6に示すように、摺動レール組立体5は、エンドエフェクタ摺動部47、接合摺動部48、および針摺動部49を摺動可能に懸架する主摺動ガイド本体46を有する。主摺動ガイド本体46は、内部に対向する長手方向延在内部トラック51を備えた管状ガイドハウジング50から構成されている。この対向する内部トラック51により、エンドエフェクタ摺動部47、接合摺動部48、および針摺動部49は、主摺動ガイド本体46の近位側ガイド端52と、その反対側の遠位側ガイド端53との間を多かれ少なかれ往復することができる。そして、内部トラック51を備えた主摺動ガイド本体46は、摺動部47,48,49がこれに沿って往復するためのガイドウェイ54を形成する。
【0131】
管状ガイドハウジング50には、エンドエフェクタ摺動部47と接合摺動部48との間に第1のばね部材55が挿入され、接合摺動部48と針摺動部49との間に第2のばね部材56が挿入され、摺動部47,48,49のいずれかがガイドウェイ54の長手部分に沿って摺動する際にばね付勢するようになっている。内部トラック51に加えて、主摺動ガイド本体46の壁部57は、内部トラック51よりも短く、エンドエフェクタ摺動部47の長さも考慮して、接合摺動部48および針摺動部49の可能な最大ストローク距離を規定しつつ、エンドエフェクタ摺動部47が主摺動ガイド本体46の遠位側ガイド端53の近傍を摺動することを可能にする、長手方向に延びる開口部85をさらに有している。
【0132】
エンドエフェクタ摺動部47は、補強コイル77を介してエフェクタスリーブに接続されており、補強コイル77をチューブ3に対して移動させることにより、エフェクタスリーブ17がエンドエフェクタ17に対して長手方向に移動し、顎部19,20が開閉することになる。
【0133】
接合摺動部48は、チューブ3の近位端14に接続されており、チューブ3の第1の長手方向延在チャネル9および第2の長手方向延在チャネル10と流体連通している。また、接合摺動部48は、チューブ3の第3の長手方向延在チャネル15を通る電線76によって、エンドエフェクタ21とジアテルミー生成装置(図示しない)との間の電気的な通信を提供する。電線76は、周囲のチューブ3の壁部によって、第1および第2の長手方向延在チャネル9,10の内部を流れる液体から絶縁された状態に保たれている。電線76は、接合摺動部48を介して外部に出て、ジアテルミー生成装置(図示しない)と電気的に接触し、エンドエフェクタ21に電流を流してジアテルミーを行う。
【0134】
以下、エンドエフェクタ摺動部47、接合摺動部48、針摺動部49の構造についてさらに詳しく説明する。
【0135】
図5および
図6に部分的に分解して示す第1の実施形態による組織標本収集装置8は、主収集装置ハウジング58と、組織標本を収容するための一連の隣接するチャンバ60を備える収集装置ラック59と、収集装置ラック59を主収集装置ハウジング58の長手方向軸線に沿って長手方向に移動させるための手段61とを有し、本例示的実施形態における手段61は、収集装置ラック59のねじ穴63またはボアと係合するねじ棒62である。ねじ棒は、収集装置ラック59から離間する方に面する自由端65に回転ノブ64と、回転ノブ64を回転させることに応答して当該収集装置ラック59を変位させるために収集装置ラック59にねじ式に係合する反対側の端部66とを有している。
【0136】
主収集装置ハウジング58は、管状であり、着脱可能なキャップ69を取り付けるためにねじ付き近位側ハウジング端部67と、例えば
図4に示すように、第2の長手方向延在チャネル10が洗浄されているか、または組織標本をチューブ3から運び出すために排出されているときに、摺動レール組立体5の接合摺動部48から第1の実施形態による組織標本収集装置8に入る洗浄液を排出するために、中間チューブ45に結合される反対側の液体出口68とを有している。
【0137】
また、主収集装置ハウジング58と着脱式キャップ69との間の結合手段としては、雄および雌のスナップ結合のような他の種類のものも好適である。着脱可能なキャップ69により、生検手順の完了後に、組織標本を有する収集装置ラック59を主収集装置ハウジング58から容易に取り出すことができる。ねじ棒62の自由端65は、回転ノブ64が主収集装置ハウジング58の外側からアクセスできるように、着脱式キャップ69のキャップ穴70を通過する。好ましくは、キャップ穴70は、ねじ棒62が回転できるように、取り外し可能なキャップ69の中心にあり、このキャップ穴70は、したがって、チャンバ60の位置が容易に移動され、収集装置ラック59が主収集装置ハウジング58内での並進運動中に斜めになったり、位置がずれたりしないように、手術中にねじ棒62を実質的に中心に保つ役割も果たす。
【0138】
主収集装置ハウジング58には収集装置ポート71aが設けられており、この収集装置ポート71aは、突出した結合片71を介して、組織標本収集装置8を接合摺動部48の標本ポート72に流体的に結合しており、この標本ポート72は、主摺動ガイド本体46の管状ガイドハウジング50の長手方向延在開口部85から突出している。
【0139】
主収集装置ハウジング58は、少なくとも2つの長手方向延在部、すなわちその延長線上にある近位側管状ハウジング端部74および遠位側管状ハウジング端部75を有する。近位側管状ハウジング端部74は、ねじ棒62を収容し、また、結合片71を介して収集装置ポート71aおよび標本ポート72と連通する収集装置ラック59の一連のチャンバのうちのどのチャンバ60かに応じて、当該収集装置ラック59の長手部分を大なり小なりさらに収容している。近位側管状ハウジング端部74は、近位側ハウジング端67で終わっている。近位側ハウジング端67の反対側には、近位側管状ハウジング端部74が遠位側管状ハウジング端部75に延びており、この遠位側管状ハウジング端部75は、結合片71を介して収集装置ポート71aおよび標本ポート72と連通される収集装置ラック59の一連のチャンバのうちどのチャンバ60かに応じて、収集装置ラック59全体または収集装置ラック59の一部のみを収容する。遠位側管状ハウジング端部75の断面は、収集装置ラック59がその長手方向軸線を中心に遠位側管状ハウジング端部75の内部で回転して、チャンバ60が接合摺動部48の標本ポート72と整列できなくなることを回避するために、収集装置ラック59の断面に実質的に対応してもよい。
【0140】
図10および
図11の斜視図に摺動部47,48,49を示し、
図12に摺動レール組立体5の組み立てた状態を示す。
【0141】
また、
図10および
図11には、チューブ3およびチューブ3用の補強コイル部材77が斜視図で示されており、この補強コイル部材77は、例えば、外部の熱収縮チューブ、針22によってエフェクタスリーブ17に対して遠位側に固定されていてもよい。さらに、
図10および
図11は、ジアテルミーワイヤ76、および滑車組立体78を異なる端部から示している。摺動部47,48,49と主摺動ガイド本体46の構造的特徴をよりよく概観するために、ばね部材55,56は省略されている。
【0142】
エンドエフェクタ摺動部47は、管状の前部接続片80を備えた第1の分岐した本体79を有し、これにより、チューブ3は、前部接続片80の内腔を通過して前部接続片80が取り付けられている接合摺動部48に到達可能であり、接合摺動部は、チューブ3、補強コイル部材77、エフェクタスリーブ21、エンドエフェクタ21の全てを組み合わせて同時に摺動させることができる。
【0143】
補強コイル部材77は、エンドエフェクタ摺動部47の管状の前部接続片80に、また、対向してエフェクタスリーブ21に接続され、エフェクタスリーブ21を往復させて顎部19,20を開閉させる。
【0144】
第1のばね部材55は、第1の分岐した本体79の対向する第1の脚部81,82の間に配置されて、摺動部47,48,49のいずれかをばねで付勢するのを支援することができる。接合摺動部48は、主摺動ガイド本体46の管状ガイドハウジング50の長手方向延在開口部85内を、エンドエフェクタ摺動部47の第1の脚部81,82の間で当該主摺動ガイド本体46の遠位側ガイド端53に向かって、主摺動ガイド本体46の長手方向延在開口部85の遠位端84によって構成される端部係止部83に当たるまで移動することが可能である。
【0145】
エンドエフェクタ摺動部47の外壁部86には、主摺動ガイド本体46の管状ガイドハウジング50の内部トラック51内を摺動する対向する長手方向延在突出部87が設けられている。
【0146】
第1の操作ストリング固定アーム88は、第1の分岐した本体79の下方の平面において、管状の前部接続片80の近傍のエンドエフェクタ摺動部47から突出している。
図11および
図12を参照してさらに詳しく説明するように、第1の操作ストリング固定アーム88は、遠隔駆動組立体6の遠隔操作ハンドル120のトリガボタン125に接続された第1の操作ストリング116を固定または通過させるための第1の目または穴89を有している。
【0147】
接合摺動部47は、内部トラック51に沿って、かつガイドウェイ54に沿って、接合摺動部48の円滑な摺動を制御するとともに促進するように選択された寸法の、摺動部90および突出した第1の摺動シュー91を有する。また、接合摺動部47は、エンドエフェクタ摺動部47の第1の脚部81,82の間を摺動することができる。接合摺動部48は、第1の長手方向延在チャネル9が接合摺動部48の入口ポート94と流体連通し、第2の長手方向延在チャネル10が接合摺動部48の標本ポート72と流体連通するように、チューブ3を受け入れる貫通した軸方向に延びるボア93を有する主接合本体92をさらに備えている。なお、摺動部90は、主接合本体92の前部であってもよい。対向する第1の摺動シュー91は、主接合本体92から突出して内部トラック51内を摺動する。滑車組立体78の滑車部材73用の軸受119は、主摺動ガイド本体46の長手方向延在開口部85を介して、主接合本体92から突出している。軸受119には、遠隔駆動組立体6の滑車組立体78を取り付けるための結合穴121が設けられており、例えば、シャフトやピンを取り付けることができる。滑車部材は、軸受119に回転可能に配置されていても、固定されていてもよい。
【0148】
電気的なジアテルミーワイヤ76は、第3の長手方向延在チャネル15の内部を延び、接合摺動部47のジアテルミーポート95を介して外部に出ており、このジアテルミーポート95は、さらにジアテルミー生成装置(図示しない)の電気プラグ(図示しない)を差し込むように構成されている。
【0149】
貫通ボア93は、チューブ3の第4の長手方向延在チャネル16内の主接合本体92を長手方向に延びて、これにより、針22が通過して針摺動部49に到達できるようになっている。
【0150】
第2の操作ストリング固定アーム96は、主接合本体92の下方の面で接合摺動部48から突出している。
図12に示すように、第2の操作ストリング固定アーム96は、遠隔駆動組立体6の操作ストリングを案内するための第2の目の穴97を有している。
【0151】
また、針摺動部49は、針22への液体アクセスを有する注入口101で合流する対向する第2の脚部99,100によって構成される第2の分岐した本体98を有するという点でも分岐している。第2の脚部99,100は、接合摺動部48の標本ポート72の周囲を把持して、これにより、標本ポート72を当該第2の脚部99,100の間に摺動させることができるように構成されている。
【0152】
接合摺動部48および針摺動部49に結合するために、チューブ3をそれぞれのサブチューブに分割して、第1の長手方向延在チャネル9を接合摺動部48の入口ポート94と連通させ、第2の長手方向延在チャネル10を接合摺動部48の標本ポート72と連通させ、第3の長手方向延在チャネル15を接合摺動部48のジアテルミーポート95と連通させ、第4の長手方向延在チャネル16を、接合摺動部48を介して針摺動部49の注入ポート101内部にまたは注入ポート101に向ける。チューブ3の第4の長手方向延在チャネル16は、チューブ3の第4の長手方向延在チャネル16の内部を延びる針22の周囲をシールしてもよい。なお、針22のみ、あるいは第4の長手方向延在チャネル16および針12が、注入ポート101に続いていてもよい。注入ポート101と針22との間の液体連通を得るための他の配置は、本発明の範囲内にある。薬剤は、例えば、皮下注射針を用いて注入ポートの膜(図示しない)を貫通させることにより、注入ポート101を介して針22に注入することができる。
【0153】
針摺動部49は、主摺動ガイド本体46の管状ガイドハウジング50の外壁部の周囲に適合する、突出するとともに湾曲した可撓性を備えるクランプ102を有している。したがって、針摺動部49は、主摺動ガイド本体46に摺動可能にスナップすることができる。また、突出する湾曲した可撓性を備えるクランプ102は、第2の分岐した本体98の下方に第3の穴の目104を有し、針摺動部49を遠隔駆動組立体6と作動的に連絡させるための第3の操作ストリング118の固定アーム103としても機能し、これにより、針22をエンドエフェクタ22に出し入れすることができる。
【0154】
着脱可能なカバーまたはプラグ105は、主摺動ガイド本体46の近位側ガイド端52を開閉して、摺動部47,48,49およびばね部材55,56をガイドウェイ54に装着することができる。着脱可能なカバーまたはプラグ105は、ホルダ30のホルダ自由端108にある嵌合手段107と堅固に嵌合するための窪みまたは同様の結合部材106を有していてもよい。そのような観点から、ホルダ30のホルダ自由端108および反対側の端部109には、チューブ3を挿入し、当該チューブ3をアダプタ28を介して膀胱鏡2の処置具ポートに案内するための穴110が設けられている。
【0155】
管状ガイドハウジング50は、近位側ガイド端52に第4の目111を有し、反対側の遠位側ガイド端53に第5の目112を有している。
【0156】
滑車組立体78は、第1の滑車トラック114および第2の滑車トラック115を有する滑車部材113と、第1の操作ストリング116と、第2の操作ストリング117と、第3の操作ストリング118とを含む。滑車部材113は、接合摺動部48の軸受119に懸架され、主摺動ガイド本体46の管状ガイドハウジング50の長手方向延在開口部85を通って延び、第2の操作ストリング117を制御下に置き、第1の操作ストリング116および第3の操作ストリング118と絡まないようにしている。
【0157】
第2の操作ストリング117は、主摺動ガイド本体46の管状ガイドハウジング50の遠位側ガイド端53において、第5の目112に固定された第2の遠位側ストリング端117aを有する。次に、第2の操作ストリング117は、ボーデン導管のようなガイドチューブ122のさらに内側にある接合摺動部48の第2の目97を通って滑車組立体の滑車部材113の第1のトラック114の周囲を延び、遠隔操作ハンドル120のサムホイールやローラのようなホイールボタン125に固定される。第2の操作ストリング117は、ホイールボタン125での固定点から、滑車組立体78の滑車部材113の第2のトラック115を介してガイドチューブ122内に再び戻り、その第2の近位側ストリング端117bが、主摺動ガイド本体46の管状ガイドハウジング50の近位側ガイド端52の第4の目111に固定される。次に、第2の操作ストリング117は、接合摺動部48を往復させて、本発明による内視鏡下手術用生検装置1の操作端131、ひいては、エフェクタスリーブ17に包囲されたエンドエフェクタ21を有する遠位側チューブ端13を、膀胱鏡の作業チャネルの遠位側開口部に出入りさせて、当該操作端を目標部位に向けて位置決めすることができる。
【0158】
第2の操作ストリング117のこのような配置により、弛みおよび遊びが最小限に抑えられ、例えばボーデン導管であるガイドチューブ122の必要な寸法は、圧縮して使用する場合よりもはるかに小さくなり、それによりガイドチューブ122の座屈や、その内部を延びる操作ストリング116,117,118の閉じ込めを回避することができる。
【0159】
遠隔駆動組立体8の遠隔操作ハンドル120を側面から見た斜視図であり、同
図14の内部図では、トリガボタン126、ホイールボタン125および摺動ボタン129および操作ストリング116,117,118の配置を可視化するために、遠隔操作ハンドル120の筐体128の対向する筐体半部128a,128bが省略されている。筐体128には、遠隔操作ハンドル120を膀胱鏡2の遠位側チューブ部にスナップオンするためのスナップオン手段132が最前部に設けられている。スナップオン手段132の反対側の筐体には、チューブガイド122のための入口が設けられている。スナップオン手段132は、遠隔操作ハンドル120を、膀胱鏡2の遠位側チューブ部に、そこから直交して突出するように、着脱自在にスナップオンするのに適している。遠隔操作ハンドル120の他のスナップオン方向を容易にするために、筐体にさらに、または他のスナップオン手段を設けることもできる。
【0160】
ホイールボタン125は、その回転軸がばねで付勢されていてもよい。通常の位置では、ホイールボタン125が筐体128に係合することで、ホイールボタン125は、遠隔操作ハンドル120の筐体128に対してロックされる。ホイールボタン125をその操作開口部127に再び押し下げると、回転軸の軸線が移動し、ホイールボタン125は筐体128との係合が解除され、再び回転できるようになる。
図12にホイールボタン125の筐体128に対するロック配置を、その操作開口部127の内側および自由側から見た拡大図を示す。遠隔操作ハンドルは、
図13に示すように組み立てられた状態になっている。
【0161】
なお、いずれのばね部材55,56も、本発明による内視鏡下手術用生検装置1の操作端131を膀胱鏡2の作業チャネルから露出させることには関与していない。
【0162】
第1の操作ストリング116は、遠隔操作ハンドル120においてトリガボタン126に固定された第1の遠位側ストリング端116bを有する。第1の操作ストリング116は、ガイドチューブ122を介してその近位側ストリング固定端116aに向かって延び、エンドエフェクタ摺動部47に、例えば第1の目89に取り付けられる。トリガボタン126を作動させてエンドエフェクタ摺動部47を後方に移動させると、エンドエフェクタがエフェクタスリーブ17から解放され、第1のばね部材55が接合摺動部48に対して圧縮され、それによってエンドエフェクタ21の顎部19,20がばねで離れることができる。トリガボタン126を解放すると、第1のばね部材55のばね力がエンドエフェクタの顎部19,20を限られた力で閉じて、エンドエフェクタ21への損傷を回避し、それによって電気外科的切除シーケンスの再現可能な条件を確保することができる。
【0163】
エンドエフェクタは、2本のパイプ片に先端ほど細くなる鼻部または鈍い鼻部をつけたものを使用する。パイプ片は、個別のパイプから、例えば、レーザーで長手方向に切断して、可撓性部材19a,20a、すなわちヒンジ部材19a,20aを設けることができる。続いて、例えば、パイプ片を接合して、ばね付勢のヒンジ式顎部を備えた主管状本体を得ることで、エンドエフェクタ21を得ることができる。切断後、それぞれのヒンジ部材19a、20aは、互いに離れて湾曲するように撓むことができる。したがって、ヒンジ部材19a,20aにより、エンドエフェクタの顎部は互いに弾性および可撓性を備える。それぞれのヒンジ部材19a,20aは、エフェクタスリーブがエンドエフェクタを覆っていないときに、顎部の外向きの屈曲によって与えられた固有の性質により、それ自体で撓むことができ、したがって、エンドエフェクタは弾力的に開閉する。
【0164】
第3の操作ストリング118は、針摺動部49の第3の目104に固定された第3の近位側ストリング端118aと、対向する第3の遠位側ストリング端118bを遠隔操作ハンドル120の摺動ボタン129に固定して、対向する顎部19,20の間で針摺動部49を往復させる。摺動ボタン129を接合摺動部に向かって前進させると、第2のばね部材56が圧縮され、これにより針摺動部にばね力がかかり、一旦摺動ボタンが第2のばね部材56上の圧縮力を解除すると、針摺動部49を後退させて針22を格納することができる。
【0165】
摺動ボタン129の動作、ひいては第2のばね部材55の圧縮力の解除がいつ行われるかを制御するために、摺動ボタン129は、トリガボタン126に面したラチェット延長部130を有していてもよい。ラチェット延長部は、トリガボタン126上の嵌合ラチェットと係合して、摺動ボタン129およびトリガボタン126を連動させ、これにより、トリガボタン126は第1のばね部材55のばね力を意図せずに解放せず、針がまだ当該顎部19,20の間に露出している間に、エフェクタスリーブ17を意図せず前方に押して顎部19,20を閉じることがないようにすることができる。
【0166】
図15は、内視鏡下手術用生検装置を開始位置に置いた状態を示す。いずれのばね部材55,56も付勢されておらず、エンドエフェクタ21はエフェクタスリーブ17の内部にあり、ホイールボタン125はその操作開口部127で筐体128にロックされている。
【0167】
図16の状況では、ホイールボタン125のロックが解除され、回転して内視鏡(図示しない)の遠位端から内視鏡下手術用生検装置1の操作端を前進させている。この前進中に、接合摺動部48の滑車部材73に第2の操作ストリング117が装着されることにより、接合摺動部48が前進する。針摺動部49に接続された針22は、接合摺動部がガイドウェイ54内を移動する際に、接合摺動部48の内部またはそれに沿って摺動する。
【0168】
図17の状況では、トリガボタン126が作動してエフェクタスリーブ17からエンドエフェクタ21を露出させ、それによってエンドエフェクタ21の対向する顎部19,20が開く。トリガボタン126を押し下げると、第1の操作ストリング116が引っ張られ、第1の操作ストリング116がエンドエフェクタ摺動部47を近位側ガイド端52に向かって引っ張る。それにより、接合摺動部は、エンドエフェクタ摺動部47の対向する脚部81,82の間の少なくとも一部の位置にあり、このエンドエフェクタ摺動部47は、エフェクタスリーブが端から端まで取り付けられている補強コイルを引っ込め、それにより、エンドエフェクタ21を自由にし、対向する顎部19,20は、内視鏡下手術用生検装置1の作動端131の
図18の拡大図に示すように、本質的に開くようになっている。
【0169】
第3の操作ストリング118が摺動ボタン129および針摺動部49の両者に固定されているため、摺動ボタン129を前方に摺動させることで、針摺動部49を接合摺動部48に向かって移動させることができ、それによって、
図19および
図20に示すように、針22を開いた顎部19,20の間およびそれを越えて移動させ、注射を行うことができる。針22が露出している間に顎部が意図せずして確実に閉じないようにするために、摺動ボタン129およびトリガボタン126が注射中に係合する。
【0170】
摺動ボタンを反対方向に動かすと針が後退し、トリガボタンを離してエフェクタスリーブを前進させると、顎部が続いて組織の周囲に閉じられる。そして、組織標本を切除するために、例えばジアテルミー生成装置のフットペダルを操作することによって、ジアテルミーが適用される。
【0171】
エンドエフェクタ21に関して、当該エンドエフェクタは、可撓性を備えたヒンジ部材19a,20aにより、エンドエフェクタ21がエフェクタスリーブ17の外に少なくとも部分的に出ているときの弛緩状態において、エンドエフェクタの長手方向の軸線から発散するように配置された対向する顎部19,20を有している。
【0172】
図21および
図22は、本発明の第2の実施形態による組織標本収集装置132を反対側の端部から見た斜視図である。第2の実施形態による組織標本収集装置132の機能は、第1の実施形態による組織標本収集装置8の機能に対応している。しかしながら、ラック組立体の標本ポートの下に収集装置ラックのチャンバを配置する機構は異なるものである。
【0173】
第2の実施形態による組織標本収集装置132の主収集装置ハウジング133は、
図23の分解図に最もよく示すように、2つの着脱可能に組み立てられた管状ハウジング部、すなわち、近位側管状ハウジング部134と、遠位側管状ハウジング部135とに組み立てられており、これらのハウジング部134,135の間にシール136またはガスケットを挟んで設けられる。
【0174】
収集装置ラック組立体は、
図26乃至28の拡大斜視図および
図25の分解斜視図に詳細に示すように、ばね付勢ラチェット機構137を含んでいる。ばね付勢ラチェット機構は、線形ラック140を備えた第1の長手方向延在面139と、反対側に延びる長手方向延在面141とを有する収集装置ラック138を備え、長手方向延在面141の中に排水路142が専用チャンバ143から主収集装置ハウジング133内に液体を排出し、専用チャンバ143は、組織標本が通過しないように閉じた底部144を有する。同じ理由で、排水路142の幅は、チャンバ143の直径よりも小さく、例えば、チャンバ143の直径の半分またはそれ以下である。
【0175】
収集装置ラック138の上面145には、専用チャンバ143のそれぞれに対応した入口開口部146が設けられている。
図26乃至
図28に斜視組立図に示す、第2の実施形態による収集装置ラック組立体の収集装置ラック138では、
図25の分解斜視図において、収集装置ラック138は、10個の専用チャンバ143を有する。
図26乃至28に示す収集装置ラック138の構成では、収集装置ラック138は、その最前列のチャンバ143aを、近位側管状ハウジング部134の結合片166の下に配置しており、チャンバ143aは、その結合片166と整列している。
【0176】
収集装置ラック組立体は、線形ラック140と並んで往復動可能に配置されるとともに線形ラック140の複数の歯のうちの任意の歯149と段階的に係合する爪先端148を有する爪部材147をさらに含み、この複数の歯のうちの任意の歯は、対応する管状ハウジング部134,135内の収集装置ラック138の軸方向の位置に依存し、この収集装置ラックは、爪部材147への押圧力の印加により、遠位側管状ハウジング部135内で段階的に前方に駆動される。
【0177】
爪先端148は、ねじ付き近位側押圧ロッド部151に向かって押圧ロッド部150内に延びている。ねじ付き近位側押圧ロッド部151は、駆動ボタン152を固定する役割を果たし、この駆動ボタンは、ねじ付き近位側押圧ロッド部151上のねじと螺合する内部の駆動ボタンのねじ153を有する。第3のばね部材154は、駆動ボタン152が遠位側管状ハウジング部135に向かって押し下げられたときに第3のばね部材154が圧縮されるように、ねじ付き近位側押圧ロッド部151を包囲し、また、収集装置ラックは、収集装置ポートの下の一連のチャンバ内の次のチャンバを配置するために、収集装置ラックの長手部分に沿って1ステップ前進する。次に、第3のばね部材154に加えられていた力が緩和され、押圧ロッド部150がその開始位置に戻ることにより、爪先端148が線形ラック140の次の歯の背面に配置され、前方に移動する。
【0178】
図23に最もよく示すように、近位側管状ハウジング部134は、近位側ハウジング開口部156を備える第1の近位側ハウジング端155と、遠位側ハウジング開口部158を備える反対側の第1の遠位側ハウジング端157とを有する。遠位側管状ハウジング部135は、近位側ハウジング開口部160を備える第2の近位側ハウジング端159と、反対側の盲目である第2の遠位側ハウジング端161とを有する。
【0179】
第1の遠位側ハウジング端157は、第1の係合手段162を有し、第2の近位側ハウジング端159は、第1の係合手段162を係合させて、近位側管状ハウジング部134と遠位側管状ハウジング部135とを互いにしっかりと固定する第2の係合手段163を有する。シール136により、管状ハウジング部134,135の漏れのない、好ましくは取り外し可能な一体的な固定が確実に行われる。
【0180】
第2の実施形態による組織標本収集装置132では、第1の係合手段162は雌型であり、第2の係合手段163は雄型である。本発明の範囲内では、係合手段の配置を反対にしてもよく、これにより、雄の係合手段が第1の遠位側ハウジング端157にあり、雌の係合手段が第2の近位側ハウジング端159にあるように設けられる。
図23に示す例示的な実施形態の係合手段では、例えば、第1の係合手段162は、鳩尾状のキーの形態をした嵌合する第2の係合手段163を受け入れるための鳩尾状のトラックの形態をしており、例えば、鳩尾状のキーを鳩尾状のトラック内に摺動させて強制的に嵌め込むことによって、管状ハウジング部134,135を摩擦により一体的に保持し、互いに引っ張ることができないようにすることができる。本発明の範囲内で、係合手段の配置は、クランプ式、ねじ式など、その他の方法でもよい。
【0181】
第1の実施形態による組織標本収集装置8の近位側管状ハウジング部74および遠位側管状ハウジング部75は、それぞれ円形および正方形の異なる内部断面を有するが、第2の実施形態による組織標本収集装置138の近位側管状ハウジング部134および遠位側管状ハウジング部135は、いずれも、実質的に正方形の収集装置ラックを摺動可能に収容するために、対応する管状ボア164,165の内部断面が概ね正方形である。
【0182】
なお、必須ではないが、外科医が組織標本収集装置132内の組織標本含有流を監視し、組織標本が実際にそれぞれのチャンバ143内に次々と受け入れられていることを監視するために、少なくとも主収集装置ハウジング133が透明であることが好ましい。
【0183】
近位側管状ハウジング部134は、例えば、
図1乃至
図21に関連して見て説明した摺動レール組立体の接合摺動部48の主接合本体92の標本ポート72に結合するなど、内視鏡下手術用生検装置または器具のチューブまたは標本ポートと一体的に結合するように構成された結合片166を有する。
【0184】
結合片166は、収集装置ラック137のチャンバ143から液体を排出するために配置された液体排出口168の反対側の近位側管状ハウジング部134の収集装置ポート167から突出し、任意に、主収集装置ハウジング133内の任意の液体も排出する。
図24の側面図に最もよく示すように、液体排出口168の中心軸線Aは、隣接する2つのチャンバ143の中心間の距離dに対応する距離dだけ、収集装置ポートの中心軸線Bから長手方向に軸方向にずれている。これにより、
図27に示すように、爪部材137が線形ラック141の歯に係合して収集装置ラックが前進すると、新しいチャンバ143が収集装置ポート167の下方に移動し、同時に、最も新しい組織標本を収容するチャンバ143の排水路142が上方に移動して液体排出口168と整列し、これにより、最後に到着した組織標本を収容した少なくともチャンバ143内の液体をタンクなどの容器に直接排出することができる。
【0185】
図25および
図29に最もよく示すように、押圧ロッド部150は、遠位側押圧ロッド部169と、反対側のねじ付き近位側押圧ロッド部151とを有し、爪先端148は、遠位側押圧ロッド部169の自由端170に設けられる。
【0186】
遠位側押圧ロッド部169は、ねじ付き近位側押圧ロッド部151から、当該遠位側押圧ロッド部169から長手方向に縮小された断面で突出しており、それによって、遠位側押圧ロッド部169とねじ付き近位側押圧ロッド部151との間の移行部171に中心からずれた係止面171を露出させている。係止面171は、押圧ロッド部150が収集装置ラックに対して移動したときに、係止面171が収集装置ラック138の近位端に当たるという点で、収集装置ラック138に向けた押圧ロッド部150の最大可能ストローク長を規定する。このようにして、押圧ロッド部150の可能な最大移動量は、例えば、線形ラックの1つの歯の移動量に限定することができる。また、任意により、移動量は、押圧ロッド部150の可能な最大の窪みである。このような窪みは触覚的なものでもよく、これにより、外科医が遠位側押圧ロッド部169の自由端170と線形ラックに沿った次の歯との間の係合を感知したときに、係合が行われたこと、および標本ポートの下に新しいチャンバが整列していることを積極的に知ることができる。線形ラックの歯の長手方向の軸線方向の長さは、歯の長さによる押圧ロッド部150の移動の小さな自由を許容してもよく、好ましくは、係合を改善するために押圧ロッド部151に向かって角度をなしてもよい。係止面171は、押圧ロッド部151のストローク中の意図しない過大な押し下げを効果的に制限する。
【0187】
板ばね172は、近位側管状ハウジング部135の内側面175と遠位側押圧ロッド部169の自由端部173との間に効果的に弾力的に挿入されて、線形ラックの歯に対して遠位側押圧ロッド部169の自由端170上に半径方向の力を加えて、標本ポートの下にあるチャンバの整列の偶発的な転位を防止することができる。遠位側押圧ロッド部169の自由端部173は、板ばね172が近位側管状ハウジング部134の壁部に押し付けられた状態になったときの板ばね172の撓みを収容するために、長手方向延在凹部174を有していてもよい。
【0188】
ガイドリブ176は、
図30に示すように、少なくとも近位側管状ハウジング部134の底部178に沿って第1のハウジングトラック177内を摺動するように、
図29の断面図に示すように、凹部174と係止面171との間で長手方向にかつ遠位側押圧ロッド部169から半径方向に突出し、これにより、線形ラック138は、第1のハウジングトラック177に隣接する第2のハウジングトラック179内に閉じ込められて摺動可能である。第1のハウジングトラックは、底部178からの底部突出部179と、底部178の上から所定の距離にある実質的に直交して延びる突出部180とによって区画されており、これにより、ガイドリブ176が摺動するのに十分な狭隘な空間が得られる。第2のハウジングトラック179は、底部突出部179と、直立突出部179に対向する近位側管状ハウジング部134の内壁部からの上部突出部180とによって区画される。
【0189】
第2のハウジングトラック179は、第3のハウジングトラック181に開口しており、すべてのチャンバが対応する組織標本で満たされるまで、遠位側押圧ロッド部169の自由端170が線形ラック138の歯の上に飛び出して、線形ラックの歯と次々に係合できるようになっている。
【0190】
図31の断面図で内側に示す遠位側管状ハウジング部135は、押圧ロッド部150によって前方に移動されるときに線形ラックが遠位側管状ハウジング部125内を摺動できるように、近位側管状ハウジング部134の延長線上に同様の底部突出部179および上部突出部180を有している。いずれのハウジングトラックも、対応する摺動本体、線形ラック、ガイドリブを収容できるような寸法になっており、摺動させたときにこれらの物体が歪まないようになっているのが効果的である。
【0191】
管状ハウジング部を長手方向に分割して適切なハウジングトラックにするのに適した長手方向延在突出部以外の手段も本発明の範囲内にある。例えば、ハウジング部が雌型で、線形ラックおよび押圧ロッド部が雄型であってもよい。
【0192】
本発明による多機能内視鏡下手術用生検装置は、中空の臓器や組織の表面から生検を行う全く新しい方法を提案している。このような患者の治療には、まったく新しい条件が必要である。コストを大幅に削減でき、患者の利益も非常に高いものになる。外来患者の癌を数分で診断し、修正することが定期的にできるようになる。手術後はカテーテル治療が不要になるため、カテーテルによる尿路感染のリスクもなくなる。医師および看護師がいれば十分であり、様々な部門のスタッフが参加する必要がなくなるため、大幅なコスト削減になり、患者はより迅速に癌治療を受けることができ、手術のキャパシティも他の目的のために解放される。
【0193】
本発明による組織標本収集装置は、内視鏡を使用してもしなくても、例えば外科用針生検装置に関連して、チューブに結合することができる任意の機器または装置と組み合わせて使用することができることが強調される。組織標本を採取する臓器は膀胱以外にも、肺、胃、腸、膣などがある。
【0194】
また、本発明による組織標本収集装置の使い勝手は、チューブに接続して使用する場合に限定されるものではない。実際には、本発明による組織標本収集装置を単体で使用し、組織標本をシリンジやピンセット、鉗子などを使って手動で専用チャンバに入れることができる。後者は、汚染のリスクを低減するという要求を軽減するものであるが、カセットのコンセプトは、同一ユニット内で採取された深刻な標本を統合された識別データの下で単純に保管するために使用することができる。
【0195】
本発明の組織標本収集装置は、生検処置の際に組織標本を収集するのに好都合に構成することができる。組織標本収集装置は、主収集装置ハウジングと、主収集装置ハウジング内に長手方向に変位可能に配置された収集装置ラックとを有するマルチチャンバ収集装置であってもよく、収集装置ラックは、組織標本を収容するための一連の隣接するチャンバを有することができる。主収集装置ハウジングは、疑わしい組織から切除された順に、隣接する深刻なチャンバのうちの連続する各チャンバに組織標本を受け入れるために、組織標本の供給源に接続するように構成された収集装置ポートを好都合に有してもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生検処理の間に組織標本を収集するように構成された組織標本収集装置(8;132)であって、前記組織標本収集装置(8;132)は、
マルチチャンバ収集装置であって、
長手方向軸線に沿って延びる主収集装置ハウジング(58;133)と、
組織標本の供給源に接続するように構成される収集装置ポート(71a;167)と、
組織標本を収容するための一連の隣接するチャンバ(60;143)を有する収集装置ラック(59;138)と、
を有する、マルチチャンバ収集装置を備え、
前記収集装置ラック(59;138)が、前記収集装置ポート(71a;167)と流体連通するように前記チャンバ(60;143)を次々と配置するために、前記主収集装置ハウジング(58;133)の内部で並進移動するように、前記主収集装置ハウジング(58;133)の内部に長手方向に並進移動可能に配置されており、前記主収集装置ハウジング(58;133)が、前記組織標本の各々を閉鎖された環境に保持するように構成される、組織標本収集装置(8;132)。
【請求項2】
前記組織標本収集装置(8;132)は、前記組織標本を収集するように構成された1つのマルチチャンバカセットまたはカートリッジを形成する、請求項1に記載の組織標本収集装置(8;132)。
【請求項3】
前記収集装置ポート(71a;167)と内視鏡手術用生検装置(1)の標本ポート(72)との間を流体結合するように構成された結合片(71;166)をさらに備える、請求項1または2に記載の組織標本収集装置(8;132)。
【請求項4】
前記結合片(71;166)は、前記主収集装置ハウジング(58;133)の前記収集装置ポート(71a;167)から突出している、請求項3に記載の組織標本収集装置(8;132)。
【請求項5】
前記組織標本収集装置(8;132)に入る前記組織標本に付随する液体を排出する液体排出口(68;168)をさらに備える、請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の組織標本収集装置(8;132)。
【請求項6】
前記収集装置ラック(59)を前記主収集装置ハウジング(58)の長手方向軸線に沿って長手方向に移動させるための手段(61)が、前記収集装置ラック(59)のねじ穴(63)またはボアと係合するねじ棒(62)である、請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の組織標本収集装置(8)。
【請求項7】
前記ねじ棒(62)は、前記収集装置ラック(59)から反対側に面する自由端(65)に回転ノブ(64)を有する、請求項6に記載の組織標本収集装置(8)。
【請求項8】
前記収集装置ラック(138)を前記主収集装置ハウジング(133)の長手方向軸線に沿って長手方向に移動させる手段(137)が、前記収集装置ラック(138)上の少なくとも1つの線形ラック(140)と、前記収集装置ラック(138)の前記線形ラック(140)に段階的に係合する爪部材(147)、すなわちばね付きの爪部材とからなるラチェット機構である、請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の組織標本収集装置(132)。
【請求項9】
前記収集装置ラック(59;138)が液体を通過させるように構成される、請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の組織標本収集装置(8;132)。
【請求項10】
前記収集装置ラック(59;138)がフィルタリングユニットである、請求項9に記載の組織標本収集装置(8;132)。
【請求項11】
チャンバ(60;143)が前記主収集装置ハウジング(58;133)に排出される排水路(142)を有し、または前記収集装置ラックの壁部が1つ以上の排水チャネルを有する、請求項9に記載の組織標本収集装置(8;132)。
【請求項12】
前記主収集装置ハウジング(58;133)が、少なくとも2つのハウジング部(74、75;134、135)から取り外し可能に組み立てられている、請求項1乃至11のうちのいずれか一項に記載の組織標本収集装置(8;132)。
【請求項13】
前記少なくとも2つのハウジング部(74、75;134、135)の間にシールまたはガスケット(136)をさらに備えている、請求項12に記載の組織標本収集装置(8;132)。
【請求項14】
エンドエフェクタ(21)に液体を供給するための第1の長手方向延在チャネル(9)と、前記エンドエフェクタ(21)からまたは前記エンドエフェクタ(21)で物質を除去するための第2の長手方向延在チャネル(10)と、ジアテルミーを行うべく電流を流すために前記エンドエフェクタ(21)に接続された電線(76)を収容するための第3の長手方向延在チャネル(15)とを少なくとも有するチューブ(3)と、
前記チューブの遠位側チューブ端(13)に設けられたエンドエフェクタ(21)と、
前記チューブの近位側チューブ端(14)と流体連通して設けられている請求項1乃至13のうちのいずれか一項に記載の組織標本収集装置(8;132)と、
を備える、内視鏡下手術用生検装置(1)。
【請求項15】
少なくとも前記チューブ(3)の前記遠位側チューブ端(13)で前記チューブ(3)を包囲するとともに少なくとも前記チューブ(3)の前記遠位側チューブ端(13)で往復運動するように構成されたエフェクタスリーブ(17)をさらに備える、請求項14に記載の内視鏡下手術用生検装置(1)。
【請求項16】
摺動レール組立体(5)を含むデバイス操作部(4)であって、前記摺動レール組立体(5)は、エンドエフェクタ摺動部(47)および接合摺動部(48)を収容する少なくとも1つの主摺動ガイド本体(46)を含む、デバイス操作部(4)をさらに備える、請求項14または15に記載の内視鏡下手術用生検装置(1)。
【請求項17】
前記主摺動ガイド本体(46)は、前記チューブ(3)を受け入れる、近位側ガイド端(52)および反対側の遠位側ガイド端(53)を有するガイドウェイ(54)を有する、請求項16に記載の内視鏡下手術用生検装置(1)。
【請求項18】
前記エンドエフェクタ摺動部(47)は、前記遠位側ガイド端(53)において前記ガイドウェイ(54)内を往復摺動するように構成されるとともに前記エンドエフェクタに対して前記エフェクタスリーブ(17)を操作するために前記エフェクタスリーブ(17)に接続されている、請求項17に記載の内視鏡下手術用生検装置(1)。
【請求項19】
前記接合摺動部(48)は、前記近位側ガイド端(52)と前記エンドエフェクタ摺動部(47)との間の前記ガイドウェイ(54)内を往復摺動するように構成されており、前記接合摺動部(48)は、前記チューブ(3)に接続され、少なくとも前記チューブ(3)の前記第1の長手方向延在チャネル(9)、前記第2の長手方向延在チャネル(10)、および前記第3の長手方向延在チャネル(15)は、前記エンドエフェクタ(21)と連通する、請求項18に記載の内視鏡下手術用生検装置(1)。
【請求項20】
前記摺動レール組立体(5)が、前記近位側ガイド端(52)において前記接合摺動部(48)の前で前記ガイドウェイ(54)内に往復動可能に配置された針摺動部(49)をさらに有し、同針摺動部(49)が、これに固定された針(22)またはノズルを有し、前記針(22)またはノズルは、前記チューブ(3)の第4の長手方向延在チャネル(16)内で、前記針またはノズルが格納位置にある第1の針位置と、前記針またはノズルが前記エンドエフェクタ(21)から露出している第2の針位置との間で、往復動可能に配置されている、請求項14乃至19のうちのいずれか一項に記載の内視鏡下手術用生検装置(1)。
【請求項21】
前記接合摺動部(48)が、前記エンドエフェクタ(21)に洗浄液を供給するための、前記第1の長手方向延在チャネル(9)と流体連通する入口ポート(94)を有する、請求項16乃至19のうちのいずれか一項に記載の内視鏡下手術用生検装置(1)。
【請求項22】
前記接合摺動部(48)が、前記第3の長手方向延在チャネル(15)と連通するジアテルミーポート(95)を有する、請求項16乃至19のうちのいずれか一項に記載の内視鏡下手術用生検装置(1)。
【請求項23】
前記接合摺動部(48)が、前記組織標本収集装置(8;132)と結合するための、前記第2の長手方向延在チャネル(10)と連通する標本ポート(72)を有する、請求項16乃至19のうちのいずれか一項に記載の内視鏡下手術用生検装置(1)。
【請求項24】
前記装置操作部(4)が、内視鏡(2)の内視鏡流体バルブポートおよび内視鏡吸引バルブポートに取り付けられるように構成された第1の操作端部(18)と、前記摺動レール組立体(5)および前記内視鏡(2)の処置具ポートと流体連通するように設定されるように構成された反対側の第2の操作端部(27)とを有する洗浄要素(7)をさらに備える、請求項16乃至19のうちのいずれか一項に記載の内視鏡下手術用生検装置(1)。