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特開2024-159818抗インテグリン抗体及びそれらの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159818
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】抗インテグリン抗体及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/705 20060101AFI20241031BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20241031BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241031BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20241031BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20241031BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241031BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241031BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20241031BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C07K14/705 ZNA
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 N
A61K39/395 L
A61K47/68
A61P1/16
A61P13/12
A61P11/00
A61P9/00
A61P19/02
A61P17/00
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P7/02
A61P27/02
C07K14/705
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024137633
(22)【出願日】2024-08-19
(62)【分割の表示】P 2021559433の分割
【原出願日】2020-04-08
(31)【優先権主張番号】62/830,961
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514198367
【氏名又は名称】バイオジェン・エムエイ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Biogen MA Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】クリスティリン グラフ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーナ パーマー
(72)【発明者】
【氏名】ブレット ブレイクリー
(72)【発明者】
【氏名】トレイシー ミューレン
(72)【発明者】
【氏名】アグネス ガーデット
(57)【要約】
【課題】抗インテグリン抗体及びそれらの使用の提供。
【解決手段】抗インテグリン抗体が開示される。線維性疾患、がん、眼科障害、及びNAFLD等の障害を治療または予防するための抗体の使用方法もまた開示される。αvβ1に特異的に結合するか、またはαvβ1及びαvβ6に結合するか、またはインテグリンのRGDサブファミリーの1つ以上のメンバーに結合する抗体を選択する方法がさらに開示される。一態様において、本開示は、αvβ1インテグリンに特異的に結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体を特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月8日に出願された米国仮出願第62/830,961号の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、抗インテグリン抗体(例えば、インテグリンのRGDサブファミリーの1つ以上のメンバーに結合する抗体)及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
インテグリンは、発生過程及び病理学的過程において重要な役割を果たす細胞接着受容体である。インテグリンは広く発現し、体内のすべての有核細胞は特定のインテグリンサインを有する。これらの受容体は、細胞特異性及び接着特異性が異なる種々のヘテロ二量体タンパク質を得るために組み合わされる、非共有結合的に会合したアルファ(α)及びベータ(β)鎖から構成される。インテグリンファミリーは、細胞の細胞外マトリックス(ECM)への付着を媒介するが、特殊な細胞-細胞相互作用にも関与する24個のαβヘテロ二量体メンバーから構成される。α及びβサブユニットは、互いに相同性を示さないが、異なるαサブユニットは、それらの間に類似性を有し、異なるインテグリンβサブユニットに保存領域がある。インテグリンのサブセット(24個中8個)は、天然リガンド中のRGD配列(アルギニン(R)、グリシン(G)、及びアスパラギン酸(D))を認識し、αvβ1、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3インテグリンを含むRGD結合インテグリンとも呼ばれる。インテグリンは、細胞接着、遊走、侵入、分化、増殖、アポトーシス、及び遺伝子発現を含む様々な細胞プロセスの調節に関与している。したがって、線維性疾患、眼科疾患、及びがん等のインテグリン経路に関与する疾患の治療に有用な抗インテグリン抗体を開発する必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本開示は、αvβ1インテグリンに特異的に結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体を特徴とする。いくつかの実施形態では、抗体は、他のαvまたはβ1含有インテグリンヘテロ二量体には結合しない。いくつかの実施形態では、抗αvβ1抗体は、他のRGDインテグリン(例えば、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3インテグリン)には結合しない。いくつかの実施形態では、抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む参照抗αvβ1インテグリン抗体と同じエピトープと競合及び/またはそれに結合し、参照抗体のVH及びVLは、(i)それぞれ、配列番号11に示されるアミノ酸配列及び配列番号12に示されるアミノ酸配列、(ii)それぞれ、配列番号21に示されるアミノ酸配列及び配列番号22に示されるアミノ酸配列、(iii)それぞれ、配列番号27に示されるアミノ酸配列及び配列番号28に示されるアミノ酸配列、(iv)それぞれ、配列番号30に示されるアミノ酸配列及び配列番号12に示されるアミノ酸配列、(v)それぞれ、配列番号35に示されるアミノ酸配列及び配列番号22に示されるアミノ酸配列、(vi)それぞれ、配列番号44に示されるアミノ酸配列及び配列番号45に示されるアミノ酸配列、(vii)それぞれ、配列番号49に示されるアミノ酸配列及び配列番号50に示されるアミノ酸配列、(viii)それぞれ、配列番号57に示されるアミノ酸配列及び配列番号58に示されるアミノ酸配列、(ix)それぞれ、配列番号61に示されるアミノ酸配列及び配列番号58に示されるアミノ酸配列、または(x)それぞれ、配列番号64に示されるアミノ酸配列及び配列番号58に示されるアミノ酸配列を含む。
【0005】
別の態様において、本開示は、αvβ1及びαvβ6インテグリンの両方に特異的に結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体を特徴とする。いくつかの実施形態において、抗体は、他のαv、β1、またはβ6含有インテグリンヘテロ二量体には結合しない。いくつかの事例では、抗体は、αvβ1及びαvβ6インテグリン以外のRGD結合インテグリン(例えば、αvβ3、αvβ5、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3)には結合しない。いくつかの実施形態では、抗体は、αvβ1及びαvβ6インテグリンの両方に結合し、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む参照抗体と同じエピトープと競合及び/またはそれに結合し、参照抗体のVH及びVLは、(i)それぞれ、配列番号44に示されるアミノ酸配列及び配列番号68に示されるアミノ酸配列、(ii)それぞれ、配列番号44に示されるアミノ酸配列及び配列番号70に示されるアミノ酸配列、(iii)それぞれ、配列番号49に示されるアミノ酸配列及び配列番号72に示されるアミノ酸配列、または(iv)それぞれ、配列番号76に示されるアミノ酸配列及び配列番号77に示されるアミノ酸配列を含む。
【0006】
別の態様において、本開示は、αvβ1と、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に特異的に結合する抗体を特徴とする。いくつかの実施形態では、抗体は、αvβ1及びαvβ8に結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、αvβ1及びαvβ3に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、αvβ1、αvβ3、αvβ5、αvβ6、及びαvβ8に結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、RGD結合インテグリンのうちの1つ以上以外のインテグリンには結合しない。いくつかの実施形態では、抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む参照抗体と同じエピトープと競合及び/またはそれに結合し、参照抗体のVH及びVLは、(i)それぞれ、配列番号82に示されるアミノ酸配列及び配列番号83に示されるアミノ酸配列、(ii)それぞれ、配列番号92に示されるアミノ酸配列及び配列番号93に示されるアミノ酸配列、(iii)それぞれ、配列番号92に示されるアミノ酸配列及び配列番号95に示されるアミノ酸配列、(iv)それぞれ、配列番号100に示されるアミノ酸配列及び配列番号28に示されるアミノ酸配列、(v)それぞれ、配列番号21に示されるアミノ酸配列及び配列番号104に示されるアミノ酸配列、または(vi)それぞれ、配列番号49に示されるアミノ酸配列及び配列番号107に示されるアミノ酸配列を含む。
【0007】
別の態様では、本開示は、ヒトαvβ1に特異的に結合し、(i)ヒトαvβ1に対してKD≦20nMの高い親和性(二価親和性)で結合する、(ii)そのリガンド(例えば、LAP及びフィブロネクチン)とのαvβ1相互作用を遮断する、(iii)ヒトαvβ1への結合に関してカチオン依存性(例えば、カルシウム及びマグネシウム、またはマンガン)であるか、またはカチオン非依存性である、(iv)線維芽細胞上のαvβ1に結合する、及び(v)(例えば、LPA誘導PAI-1アッセイによって評価されるように)線維芽細胞TGFβ応答を阻害するという特性のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)を有する抗体を特徴とする。いくつかの実施形態において、抗体は、内在化される。いくつかの実施形態において、抗体は、カニクイザル、マウス、及びラットαvβ1に結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、例示的抗体1~10のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、例示的抗体1~10のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、例示的抗体1~10のVH及びVLを含む参照抗αvβ1インテグリン抗体と同じエピトープと競合及び/またはそれに結合する。
【0008】
別の態様では、本開示は、ヒトαvβ1及びヒトαvβ6の両方に特異的に結合し、(i)ヒトαvβ1に対してKD≦20nMの高い親和性(二価親和性)で、かつヒトαvβ6に対して100nMの親和性(二価親和性)で結合する、(ii)そのリガンド(例えば、LAP及びフィブロネクチン)とのαvβ1及び/またはαvβ6相互作用を遮断する、(iii)ヒトαvβ1及び/またはαvβ6への結合に関してカチオン依存性(例えば、カルシウム及びマグネシウム、またはマンガン)である、(iv)線維芽細胞上のαvβ1に結合する、及び(v)(例えば、LPA誘導PAI-1アッセイによって評価されるように)線維芽細胞TGFβ応答を阻害するという特性のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)を有する抗体を特徴とする。いくつかの実施形態では、抗体は、例示的抗体11~14のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、例示的抗体11~14のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、αvβ1及びαvβ6インテグリンの両方に結合し、かつ例示的抗体11~14のVH及びVLを含む参照抗体と同じエピトープと競合及び/またはそれに結合する。
【0009】
別の態様では、本開示は、ヒトαvβ1及び他のRGD結合インテグリンのうちの1つ以上の両方に特異的に結合し、(i)ヒトαvβ1に対してKD≦20nMの高い親和性(二価親和性)で、かつ他のRGD結合インテグリンに対して100nMの親和性(二価親和性)で結合する、(ii)そのリガンド(例えばLAP及びフィブロネクチン)とのαvβ1及び/またはRGDファミリーインテグリン相互作用を遮断する、(iii)ヒトαvβ1及び/またはRGD結合インテグリンへの結合に関してカチオン依存性(例えばカルシウム及びマグネシウム、またはマンガン)であるか、またはカチオン非依存性である、(iv)線維芽細胞上のαvβ1及び/またはRGD結合インテグリンに結合する、及び(v)(例えば、LPA誘導PAI-1アッセイによって評価されるように)線維芽細胞TGFβ応答を阻害するという特性のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)を有する抗体を特徴とする。いくつかの実施形態において、抗体は、内在化される。いくつかの実施形態において、抗体は、カニクイザル、マウス、及びラットαvβ1に結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、例示的抗体15~20のVH
CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、抗体は、例示的抗体15~20のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、例示的抗体15~20のVH及びVLを含む参照抗体と同じエピトープと競合及び/またはそれに結合する。
【0011】
別の態様において、本開示は、ヒトαvβ1及び/または他のRGD結合インテグリンのうちの1つ以上の両方に特異的に結合し、(i)ヒトαvβ1に対してKD≦20nMの高い親和性(二価親和性)で結合し、かつ(他のRGDファミリーインテグリンにも結合する場合)他のRGD結合インテグリンに対して100nMの親和性(二価親和性)で結合する、(ii)そのリガンド(例えば、LAP及びフィブロネクチン)とのαvβ1及び/またはRGDファミリーインテグリン相互作用を遮断する、(iii)ヒトαvβ1及び/またはRGD結合インテグリンへの結合に関してカチオン依存性(例えば、カルシウム及びマグネシウム、またはマンガン)であるか、またはカチオン非依存性である、(iv)線維芽細胞上のαvβ1及び/またはRGD結合インテグリンに結合する、(v)(例えば、LPA誘導PAI-1アッセイによって評価されるように)線維芽細胞TGFβ応答を阻害する、(vi)内在化される、(vii)カニクイザル、マウス、及びラットαvβ1に結合するという特性のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つ)を有する抗体を特徴とする。
【0012】
別の態様において、本開示は、αvβ1インテグリンに結合するが、他のインテグリン(例えば、他のRGDファミリーインテグリン)には結合しない抗体を特徴とする。抗体は、VHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3を含むVH、ならびにVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3を含むVLを含み、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3は、(i)それぞれ、配列番号4、6、7、8、9、及び10、(ii)それぞれ、配列番号14、16、17、18、19、及び20、(iii)それぞれ、配列番号4、6、23、24、25、及び26、(iv)それぞれ、配列番号29、6、7、8、9、及び10、(v)それぞれ、配列番号32、34、17、18、19、及び20、(vi)それぞれ、配列番号37、39、40、41、42、及び43、(vii)それぞれ、配列番号37、39、46、18、47、及び48、(viii)それぞれ、配列番号52、54、55、18、19、及び56、(ix)それぞれ、配列番号60、39、55、18、19、及び56、または(x)それぞれ、配列番号63、54、55、18、19、及び56を含む。
【0013】
上記態様のいくつかの実施形態では、抗αvβ1抗体は、(i)配列番号11に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(ii)配列番号21に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号22に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(iii)配列番号27に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号28に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(iv)配列番号30に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(v)配列番号35に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号22に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(vi)配列番号44に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号45に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(vii)配列番号49に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号50に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(viii)配列番号57に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号58に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(ix)配列番号61に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号58に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(x)配列番号64に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号58に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVLを含む。
【0014】
上記態様のいくつかの実施形態では、抗αvβ1抗体は、(i)配列番号11に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(ii)配列番号21に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号22に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(iii)配列番号27に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号28に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(iv)配列番号30に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(v)配列番号35に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号22に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(vi)配列番号44に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号45に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(vii)配列番号49に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号50に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(viii)配列番号57に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号58に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(ix)配列番号61に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号58に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(x)配列番号64に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号58に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVLを含む。
【0015】
別の態様では、本開示は、αvβ1及びαvβ6インテグリンの両方に結合するが、他のインテグリン(例えば、他のRGDファミリーインテグリン)には結合しない抗体であって、VHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3を含むVHと、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3を含むVLと、を含み、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3が、(i)それぞれ、配列番号37、39、40、65、66、及び67、(ii)それぞれ、配列番号37、39、40、65、66、及び69、(iii)それぞれ、配列番号37、39、46、18、47、及び71、または(iv)それぞれ、配列番号37、39、73、74、42、及び75を含む、抗体を特徴とする。
【0016】
上記態様のいくつかの実施形態では、αvβ1及びαvβ6インテグリンの両方に結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体は、(i)配列番号44に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号68に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(ii)配列番号44に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号70に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(iii)配列番号49に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号72に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(iv)配列番号76に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号77に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVLを含む。
【0017】
上記態様のいくつかの実施形態では、αvβ1及びαvβ6インテグリンの両方に結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体は、(i)配列番号44に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号68に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(ii)配列番号44に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号70に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(iii)配列番号49に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号72に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(iv)配列番号76に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号77に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVLを含む。
【0018】
別の態様において、本開示は、αvβ1と、αvβ6、αvβ3、αvβ5、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体であって、VHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3を含むVHと、VLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3を含むVLとを含み、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3が、(i)それぞれ、配列番号4、6、78、79、80、及び81、(ii)それぞれ、配列番号85、87、88、89、90、及び91、(iii)それぞれ、配列番号85、87、88、89、90、及び94、(iv)それぞれ、配列番号97、99、23、24、25、及び26、(v)それぞれ、配列番号14、16、17、101、102、及び103、または(vi)それぞれ、配列番号37、39、46、105、80、及び106を含む、抗体を特徴とする。
【0019】
上記態様のいくつかの実施形態では、αvβ1と、αvβ6、αvβ3、αvβ5、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体は、(i)配列番号82に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号83に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(ii)配列番号92に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号93に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(iii)配列番号92に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号95に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(iv)配列番号100に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号28に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(v)配列番号21に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号104に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL、(vi)配列番号49に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH、及び配列番号107に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVLを含む。
【0020】
上記態様のいくつかの実施形態では、αvβ1と、αvβ6、αvβ3、αvβ5、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体は、(i)配列番号82に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号83に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(ii)配列番号92に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号93に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(iii)配列番号92に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号95に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(iv)配列番号100に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号28に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(v)配列番号21に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号104に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVL、(vi)配列番号49に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVH、及び配列番号107に示されるアミノ酸配列における20以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)の置換、挿入または欠失を含むVLを含む。
【0021】
上記態様のいくつかの実施形態において、抗体は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4重鎖定常領域を含む。上記態様のいくつかの実施形態において、抗体は、エフェクター機能を低下させるか、または排除するように修飾される。上記態様のいくつかの実施形態において、抗体は、非グリコシル化ヒト定常領域を含む。上記態様のいくつかの実施形態では、抗体は、hIgG1agly Fc、hIgG2 SAA Fc、hIgG4(S228P) Fc、またはhIgG4(S228P)/G1 agly Fcを含む。上記態様のいくつかの実施形態では、抗体は、ヒトカッパまたはヒトラムダ軽鎖定常領域を含む。上記態様のいくつかの実施形態では、抗体は、全抗体、単一ドメイン抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、Fv、scFv、scFv-Fc、scFv-CH3、sc(Fv)2、sc(Fv)2-Fc、sc(Fv)2-CH3、ダイアボディ、ナノボディ、Fab、及びF(ab’)2である。上記態様のいくつかの実施形態において、抗体は、半減期延長部分をさらに含む。上記態様のいくつかの実施形態において、抗体は、検出可能な標識(例えば、蛍光標識)をさらに含む。上記態様のいくつかの実施形態において、抗体は、治療剤をさらに含む。上記態様のいくつかの実施形態において、抗体は、放射線療法剤をさらに含む。上記態様のいくつかの実施形態において、抗体は、化学療法剤をさらに含む。
【0022】
別の態様では、上記態様のうちのいずれか1つの抗体を含む薬学的組成物が本明細書において提供される。別の態様では、上記態様のうちのいずれか1つの抗体をコードする1つ以上のポリヌクレオチドが本明細書において提供される。ポリヌクレオチドは、そのRGDファミリーインテグリン(例えば、αvβ1、αvβ6、αvβ1+他のRGDファミリーインテグリン)に結合する抗体をコードし、例示的抗体1~20のうちのいずれかの3つのVH CDRまたはVHをコードする核酸を含み得る。他の場合において、ポリヌクレオチドは、そのRGDファミリーインテグリン(例えば、αvβ1、αvβ6、αvβ1+他のRGDファミリーインテグリン)に結合する抗体をコードし、例示的抗体1~20のうちのいずれかの3つのVL CDRまたはVLをコードする核酸を含み得る。いくつかの事例では、ポリヌクレオチドは、そのRGDファミリーインテグリン(例えば、αvβ1、αvβ6、αvβ1+他のRGDファミリーインテグリン)に結合する抗体をコードし、例示的抗体1~20のうちのいずれかの3つのVH CDR及び3つのVL
CDRをコードする核酸を含み得る。さらに他の事例において、ポリヌクレオチドは、そのRGDファミリーインテグリン(例えば、αvβ1、αvβ6、αvβ1+他のRGDファミリーインテグリン)に結合する抗体をコードし、例示的抗体1~20のうちのいずれかのVH及びVLをコードする核酸を含み得る。別の態様では、上記態様の1つ以上のポリヌクレオチドを含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター(複数可))が、本明細書において提供される。さらなる態様では、上記態様の1つ以上のポリヌクレオチド、または上記態様の1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター(複数可))を含む宿主細胞が、本明細書において提供される。
【0023】
別の態様では、抗インテグリン抗体を作製する方法であって、(a)当該抗体の発現を可能にする条件下で宿主細胞を培養することと、(b)当該抗体を単離することと、を含む、方法が、本明細書において提供される。上記態様のいくつかの実施形態において、当該方法は、ヒトへの投与に好適な滅菌製剤として当該抗体を製剤化することをさらに含む。
【0024】
別の態様では、線維症の治療または予防を必要とするヒト対象において線維症を治療または予防する方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の抗インテグリン抗体(例えば、例示的抗体1~20)をヒト対象に投与することを含む、方法が、本明細書において提供される。上記態様のいくつかの実施形態において、線維症は、肝線維症、肺線維症、腎線維症、心線維症、関節線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、腎性全身性線維症、ペロニー病、進行性塊状線維症、小気道線維症、慢性閉塞性肺疾患に関連する線維症、及び後腹膜線維症からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、線維症は、肝線維症である。いくつかの実施形態では、線維症は、特発性肺線維症である。いくつかの実施形態では、線維症は、強皮症/全身性硬化症である。
【0025】
別の態様では、がんの治療または予防を必要とするヒト対象においてがんを治療または予防する方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の抗インテグリン抗体(例えば、例示的抗体1~20)をヒト対象に投与することを含む、方法が、本明細書において提供される。上記態様のいくつかの実施形態では、がんは上皮由来であり、任意選択的に、当該上皮由来のがんは、扁平上皮癌、腺癌、移行上皮癌、または基底細胞癌である。いくつかの実施形態において、がんは、膵臓癌、乳癌、黒色腫、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、脳及び中枢神経系腫瘍、ならびに膠芽腫からなる群から選択される。
【0026】
別の態様では、血小板凝集の阻害を必要とするヒト対象において血小板凝集を阻害する方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の抗インテグリン抗体(例えば、例示的抗体1~20)をヒト対象に投与することを含む、方法が、本明細書において提供される。上記態様のいくつかの実施形態において、阻害は、急性冠症候群の治療のためである。
【0027】
別の態様では、眼科疾患または障害の治療または予防を必要とするヒト対象において眼科疾患または障害を治療または予防する方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の抗インテグリン抗体(例えば、例示的抗体1~20)をヒト対象に投与することを含む、方法が、本明細書において提供される。上記態様のいくつかの実施形態では、眼科疾患または障害は、加齢黄斑変性(AMD)、滲出型AMD、黄斑浮腫、及び糖尿病性網膜症からなる群から選択される。
【0028】
別の態様において、急性腎傷害、急性肺傷害、または急性肝傷害の治療または予防を必要とするヒト対象において急性腎傷害、急性肺傷害、または急性肝傷害を治療または予防する方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の抗インテグリン抗体(例えば、例示的抗体1~20)をヒト対象に投与することを含む、方法が、本明細書において提供される。
【0029】
別の態様において、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療または予防を必要とするヒト対象において非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を治療または予防する方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の抗インテグリン抗体(例えば、例示的抗体1~20のうちのいずれか1つ以上)の抗体をヒト対象に投与することを含む、方法が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、NAFLDは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。
【0030】
別の態様では、抗体集団から、αvβ1インテグリンに特異的に結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体を特定する方法であって、本明細書に記載のいずれかの抗インテグリン抗体である誘導抗体(例えば、例示的抗体1~20)を用いた誘導選択を使用して抗体を選択することを含む、方法が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、誘導抗体は、例示的抗体5、11、及び12のうちのいずれか1つの6つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、誘導抗体は、例示的抗体5、11、及び12のうちのいずれか1つのVH及び/またはVLを含む。いくつかの実施形態において、抗体集団は、原核細胞の表面上に発現される抗体ライブラリを含む。いくつかの実施形態において、抗体集団は、真核細胞の表面上に発現される抗体ライブラリを含む。いくつかの実施形態において、抗体集団は、酵母細胞の表面上に発現される抗体ライブラリを含む。いくつかの実施形態では、当該方法は、αv及びβ1の細胞外ドメインを含む1つ以上のポリペプチドに結合する抗体を選択するステップを含み、任意選択的に、当該ステップは、カチオンの不在下、カルシウム及びマグネシウムの存在下、またはマンガンの存在下で実行され、また任意選択的に、当該選択は、MACS及び/またはFACSによって実行される。いくつかの実施形態において、当該方法は、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、及びα4β1からなる群から選択される1つ以上のインテグリンに結合する抗体を枯渇させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、当該方法は、αvβ1インテグリンに結合する抗体を選択することによって、αvβ1インテグリンに特異的に結合する抗体を濃縮することをさらに含む。当該選択は、1つ以上のラウンド(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのラウンド)で行うことができる。いくつかの実施形態では、当該方法は、選択された抗体を親和性成熟させることをさらに含む。
【0031】
さらなる態様では、抗体集団から抗体を特定する方法であって、当該抗体が、αvβ1及びαvβ6インテグリンの両方に特異的に結合し、本明細書に記載の抗インテグリン抗体である誘導抗体(例えば、例示的抗体1~20のうちの1つ以上)を用いた誘導選択を使用して当該抗体を選択することを含む、方法が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、誘導抗体は、例示的抗体5、11、及び12のうちのいずれか1つの6つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、誘導抗体は、例示的抗体5、11、及び12のうちのいずれか1つのVH及び/またはVLを含む。いくつかの実施形態において、抗体集団は、原核細胞の表面上に発現される抗体ライブラリを含む。いくつかの実施形態において、抗体集団は、真核細胞の表面上に発現される抗体ライブラリを含む。いくつかの実施形態において、抗体集団は、酵母細胞の表面上に発現される抗体ライブラリを含む。いくつかの実施形態では、当該方法は、αv及びβ1の細胞外ドメイン及び/またはαv及びβ6の細胞外ドメインを含む1つ以上のポリペプチドに結合する抗体を選択するステップを含み、任意選択的に、当該ステップは、カチオンの不在下、カルシウム及びマグネシウムの存在下、またはマンガンの存在下で実行され、また任意選択的に、当該選択は、MACS及び/またはFACSによって実行される。いくつかの実施形態において、当該方法は、αvβ3、αvβ5、αvβ8、α5β1、α8β1、及びα4β1からなる群から選択される1つ以上のインテグリンに結合する抗体を枯渇させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、当該方法は、αvβ1及びαvβ6インテグリンに結合する抗体を選択することによって、αvβ1及びαvβ6インテグリンに特異的に結合する抗体を濃縮することをさらに含む。当該選択は、1つ以上のラウンド(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのラウンド)で行うことができる。いくつかの実施形態では、当該方法は、選択された抗体を親和性成熟させることをさらに含む。
【0032】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または等価の方法及び材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、例示的な方法及び材料を以下に記載する。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含む本出願が優先される。材料、方法、及び実施例は、例示にすぎず、限定することを意図したものではない。
【0033】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】αvβ1特異的抗体、αvβ1/αvβ6特異的抗体、及びαvβ1+1つ以上のインテグリンに特異的な抗体のトリアージについての一般的な概要を示す。
図2A】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図2B】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図2C】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図2D】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図2E】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図2F】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図2G】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図2H】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図2I】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図2J】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図2K】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図3A】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図3B】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図3C】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図3D】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図3E】αvβ1特異的抗体、非特異的抗体、及び部分選択的抗体の観察された結合動態の例を示す。
図4A】組換えαvβ1に対する一価の結合親和性を示す。
図4B】組換えαvβ1に対する一価の結合親和性を示す。
図4C】組換えαvβ1に対する一価の結合親和性を示す。
図4D】組換えαvβ1に対する一価の結合親和性を示す。
図4E】組換えαvβ1に対する一価の結合親和性を示す。
図4F】組換えαvβ1に対する一価の結合親和性を示す。
図4G】組換えαvβ1に対する一価の結合親和性を示す。
図4H】組換えαvβ1に対する一価の結合親和性を示す。
図4I】組換えαvβ1に対する一価の結合親和性を示す。
図4J】組換えαvβ1に対する一価の結合親和性を示す。
図5A】αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を示す。
図5B】αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を示す。
図5C】αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を示す。
図5D】αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を示す。
図5E】αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を示す。
図6A】αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を示す。
図6B】αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を示す。
図6C】αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を示す。
図6D】αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を示す。
図6E】αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を示す。
図6F】αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を示す。
図6G】αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を示す。
図6H】αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を示す。
図6I】αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を示す。
図6J】αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を示す。
図7】A~Eは、αvβ1 LAPの接着阻害の例を示す。
図8】α4β1 VCAMの接着阻害の例を示す。
図9】A~Dは、MRC9(ヒト線維芽細胞)及びBLO-11(マウス線維芽細胞)への観察された結合の例を提供する。
図10】A~Cは、PAI-1阻害の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示は、RGD結合インテグリン等のインテグリンに結合する抗体を特徴とする。αvβ1インテグリンに特異的に結合する抗体が提供される。いくつかの事例では、本明細書において提供されるのは、αvβ1インテグリンに結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体である(例えば、これらの抗体は、他のRGD結合インテグリン、または他のαvもしくはβ1含有インテグリンヘテロ二量体には結合しない)。また、本明細書において提供されるのは、αvβ1及びαvβ6インテグリンの両方に結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体である(例えば、これらの抗体は、他のRGD結合インテグリン、または他のαv、β1、もしくはβ6含有インテグリンヘテロ二量体には結合しない)。いくつかの事例では、本明細書において提供されるのは、αvβ1と、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する、抗体である。本明細書に記載の抗体は、任意の線維性疾患または状態、がん(例えば、上皮癌)、及び眼疾患等の障害の治療または予防において有用である。
【0036】
インテグリン
αvインテグリン(αvβ1、αvβ3、αvβ5、αvβ6、及びαvβ8)は、線維化促進性(pro-fibrotic)サイトカイントランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)に結合し、それを活性化する能力を有し、様々な線維性疾患及びがんに関与している。αvインテグリンを遮断することで、TGFβシグナル伝達の下流効果を潜在的に低減することができる。αvβ1インテグリンは、活性化された線維芽細胞上で高度に発現され、TGFβ1の潜在関連ペプチド(LAP)に直接結合し、TGFβ1活性化を媒介するので、αvβ1インテグリンに対する抗体を生成することが望ましい。しかしながら、αv及びβ1サブユニットが多数のインテグリン二量体対で個別に存在するという事実のため、αvβ1インテグリンに対するヘテロ二量体特異的抗体を生成することは非常に困難である(例えば、Reed et al.,Science Translational Medicine,7(288):288ra79(2015);Wilkinson et al.,Eur.J Pharmacol.,842(2019)239-247を参照されたい)。実際、当該技術分野において、そのような抗αvβ1インテグリン特異的抗体は説明されていない。
【0037】
αvβ6インテグリンは、RGD結合インテグリンのメンバーである。αサブユニットは、様々なβサブユニット(β1、β3、β5、β6、及びβ8)とヘテロ二量体を形成することができるが、β6サブユニットは、αvサブユニットとのヘテロ二量体としてしか発現することができない。β6サブユニットの細胞外ドメイン及び細胞質ドメインは、異なる細胞活性を媒介する。細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインは、TGF-β活性化及び接着を媒介することが示されているが、β6サブユニットの細胞質ドメインは、αvβ6調節細胞増殖、MMP産生、遊走を媒介する上で重要であり、かつ生存を促進する独自の11アミノ酸配列を含む。
【0038】
インテグリンαvサブユニットは、ITGAV、CD51、MSK8、VNRA、VTNR、ビトロネクチン受容体、またはインテグリンサブユニットαVとしても知られている。ヒトインテグリンαvタンパク質のアミノ酸配列(Uniprot受託番号P06756-1)を以下に示す。
MAFPPRRRLRLGPRGLPLLLSGLLLPLCRAFNLDVDSPAEYSGPEGSYFGFAVDFFVPSASSRMFLLVGAPKANTTQPGIVEGGQVLKCDWSSTRRCQPIEFDATGNRDYAKDDPLEFKSHQWFGASVRSKQDKILACAPLYHWRTEMKQEREPVGTCFLQDGTKTVEYAPCRSQDIDADGQGFCQGGFSIDFTKADRVLLGGPGSFYWQGQLISDQVAEIVSKYDPNVYSIKYNNQLATRTAQAIFDDSYLGYSVAVGDFNGDGIDDFVSGVPRAARTLGMVYIYDGKNMSSLYNFTGEQMAAYFGFSVAATDINGDDYADVFIGAPLFMDRGSDGKLQEVGQVSVSLQRASGDFQTTKLNGFEVFARFGSAIAPLGDLDQDGFNDIAIAAPYGGEDKKGIVYIFNGRSTGLNAVPSQILEGQWAARSMPPSFGYSMKGATDIDKNGYPDLIVGAFGVDRAILYRARPVITVNAGLEVYPSILNQDNKTCSLPGTALKVSCFNVRFCLKADGKGVLPRKLNFQVELLLDKLKQKGAIRRALFLYSRSPSHSKNMTISRGGLMQCEELIAYLRDESEFRDKLTPITIFMEYRLDYRTAADTTGLQPILNQFTPANISRQAHILLDCGEDNVCKPKLEVSVDSDQKKIYIGDDNPLTLIVKAQNQGEGAYEAELIVSIPLQADFIGVVRNNEALARLSCAFKTENQTRQVVCDLGNPMKAGTQLLAGLRFSVHQQSEMDTSVKFDLQIQSSNLFDKVSPVVSHKVDLAVLAAVEIRGVSSPDHVFLPIPNWEHKENPETEEDVGPVVQHIYELRNNGPSSFSKAMLHLQWPYKYNNNTLLYILHYDIDGPMNCTSDMEINPLRIKISSLQTTEKNDTVAGQGERDHLITKRDLALSEGDIHTLGCGVAQCLKIVCQVGRLDRGKSAILYVKSLLWTETFMNKENQNHSYSLKSSASFNVIEFPYKNLPIEDITNSTLVTTNVTWGIQPAPMPVPVWVIILAVLAGLLLLAVLVFVMYRMGFFKRVRPPQEEQEREQLQPHENGEGNSET(配列番号1)
【0039】
インテグリンβ1サブユニットは、ITGB1、CD29、FNRB、GPIIA、MDF2、MSK12、VLA-BETA、VLAB、またはインテグリンサブユニットβ1としても知られている。ヒトインテグリンβ1タンパク質のアミノ酸配列(Uniprot受託番号P05556-1)を以下に示す。
MNLQPIFWIGLISSVCCVFAQTDENRCLKANAKSCGECIQAGPNCGWCTNSTFLQEGMPTSARCDDLEALKKKGCPPDDIENPRGSKDIKKNKNVTNRSKGTAEKLKPEDITQIQPQQLVLRLRSGEPQTFTLKFKRAEDYPIDLYYLMDLSYSMKDDLENVKSLGTDLMNEMRRITSDFRIGFGSFVEKTVMPYISTTPAKLRNPCTSEQNCTSPFSYKNVLSLTNKGEVFNELVGKQRISGNLDSPEGGFDAIMQVAVCGSLIGWRNVTRLLVFSTDAGFHFAGDGKLGGIVLPNDGQCHLENNMYTMSHYYDYPSIAHLVQKLSENNIQTIFAVTEEFQPVYKELKNLIPKSAVGTLSANSSNVIQLIIDAYNSLSSEVILENGKLSEGVTISYKSYCKNGVNGTGENGRKCSNISIGDEVQFEISITSNKCPKKDSDSFKIRPLGFTEEVEVILQYICECECQSEGIPESPKCHEGNGTFECGACRCNEGRVGRHCECSTDEVNSEDMDAYCRKENSSEICSNNGECVCGQCVCRKRDNTNEIYSGKFCECDNFNCDRSNGLICGGNGVCKCRVCECNPNYTGSACDCSLDTSTCEASNGQICNGRGICECGVCKCTDPKFQGQTCEMCQTCLGVCAEHKECVQCRAFNKGEKKDTCTQECSYFNITKVESRDKLPQPVQPDPVSHCKEKDVDDCWFYFTYSVNGNNEVMVHVVENPECPTGPDIIPIVAGVVAGIVLIGLALLLIWKLLMIIHDRREFAKFEKEKMNAKWDTGEN PIYKSAVTTVVNPKYEGK(配列番号2)
【0040】
インテグリンβ6サブユニットは、ITGB6、Al1H、またはインテグリンサブユニットβ6としても知られている。ヒトインテグリンβ6タンパク質のアミノ酸配列(Genbank(登録商標)受託番号NP_000879.2)を以下に示す。
【化1】
【0041】
ヒトインテグリンβ3タンパク質の例示的なアミノ酸配列は、Genbank(登録商標)受託番号NP_000203.2に見出すことができる。ヒトインテグリンβ5タンパク質の例示的なアミノ酸配列は、Genbank(登録商標)受託番号NP_002204.2に見出すことができる。ヒトインテグリンβ8タンパク質の例示的なアミノ酸配列は、Genbank(登録商標)受託番号NP_002205.1に見出すことができる。ヒトインテグリンα5タンパク質の例示的なアミノ酸配列は、Genbank(登録商標)受託番号NP_002196.4に見出すことができる。ヒトインテグリンα8タンパク質の例示的なアミノ酸配列は、Genbank(登録商標)受託番号NP_001278423.1に見出すことができる。ヒトインテグリンαIIBタンパク質の例示的なアミノ酸配列は、Genbank(登録商標)受託番号NP_000410.2に見出すことができる。
【0042】
インテグリンサブユニットαVの細胞外領域は、配列番号1のアミノ酸31~993に対応する。インテグリンサブユニットβ1の細胞外領域は、配列番号2のアミノ酸21~728に対応する。
【0043】
抗インテグリン抗体
本開示の抗インテグリン抗体はすべて、αvβ1に結合する。いくつかの事例では、抗体は、αvβ1に特異的であり、他のインテグリンには結合しない。いくつかの事例では、抗体は、αvβ6にも結合するが、他のインテグリンには結合しない。さらに他の事例では、抗体は、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のRGD結合インテグリンに結合する。
【0044】
いくつかの事例では、本開示の抗体は、抗体が結合するインテグリンの、そのリガンドとの相互作用を遮断する。例えば、抗インテグリン抗体は、そのリガンド(例えば、LAP及びフィブロネクチン)とのαvβ1相互作用を遮断する。ある特定の場合において、抗インテグリン抗体は、そのリガンド(例えば、LAP及びフィブロネクチン)とのαvβ6相互作用を遮断する。いくつかの事例では、本開示の抗体は、その標的(例えば、カルシウム及びマグネシウム、またはマンガン)への結合に関してカチオン依存性である。かかる抗体の例は、例示的抗体1、2、4~14、16、17、19、及び20である。いくつかの事例では、本開示の抗体は、その標的への結合に関してカチオン依存性ではない。そのような抗体の例は、例示的抗体3、15、及び18である。
【0045】
いくつかの事例では、本開示の抗体は、線維芽細胞上のその標的インテグリン(例えば、αvβ1、αvβ6)に結合する。線維芽細胞は、線維性疾患における細胞外マトリックスの沈着を担う細胞型である。
【0046】
いくつかの事例では、本開示の抗体は、線維芽細胞TGFβ応答を阻害する。
【0047】
いくつかの事例では、本開示の抗体のうちの1つ以上が内在化される。かかる抗体の例は、例示的抗体4、5、17、及び19である。内在化される抗体を使用して、細胞に送達する必要がある薬剤(例えば、小分子または細胞内抗体)を送達することができる。
【0048】
いくつかの事例では、本開示の抗体のうちの1つ以上は、カニクイザル、マウス、またはラットαvβ1に結合する。かかる抗体の例は、例示的抗体4、5、17、及び19である。
【0049】
ある特定の事例では、本開示は、ヒトαvβ1に特異的に結合し、(i)ヒトαvβ1に対してKD≦20nMの高い親和性(二価親和性)で結合する、(ii)そのリガンド(例えば、LAP及びフィブロネクチン)とのαvβ1相互作用を遮断する、(iii)ヒトαvβ1への結合に関してカチオン依存性(例えば、カルシウム及びマグネシウム、またはマンガン)であるか、またはカチオン非依存性である、(iv)線維芽細胞上のαvβ1に結合する、及び(v)(例えば、LPA誘導PAI-1アッセイによって評価されるように)線維芽細胞TGFβ応答を阻害するという特性のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)を有する抗体を特徴とする。
【0050】
いくつかの事例では、本開示は、ヒトαvβ1及びヒトαvβ6の両方に特異的に結合し、(i)ヒトαvβ1に対してKD≦20nMの高い親和性(二価親和性)で、かつヒトαvβ6に対して100nMの親和性(二価親和性)で結合する、(ii)そのリガンド(例えば、LAP及びフィブロネクチン)とのαvβ1及び/またはαvβ6相互作用を遮断する、(iii)ヒトαvβ1及び/またはαvβ6への結合に関してカチオン依存性(例えば、カルシウム及びマグネシウム、またはマンガン)である、(iv)線維芽細胞上のαvβ1に結合する、及び(v)(例えば、LPA誘導PAI-1アッセイによって評価されるように)線維芽細胞TGFβ応答を阻害するという特性のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)を有する抗体を特徴とする。
【0051】
ある特定の事例では、本開示は、ヒトαvβ1及び他のRGD結合インテグリンのうちの1つ以上の両方に特異的に結合し、(i)ヒトαvβ1に対してKD≦20nMの高い親和性(二価親和性)で、かつ他のRGD結合インテグリンに対して100nMの親和性(二価親和性)で結合する、(ii)そのリガンド(例えばLAP及びフィブロネクチン)とのαvβ1及び/またはRGDファミリーインテグリン相互作用を遮断する、(iii)ヒトαvβ1及び/またはRGD結合インテグリンへの結合に関してカチオン依存性(例えばカルシウム及びマグネシウム、またはマンガン)であるか、またはカチオン非依存性である、(iv)線維芽細胞上のαvβ1及び/またはRGD結合インテグリンに結合する、及び(v)(例えば、LPA誘導PAI-1アッセイによって評価されるように)線維芽細胞TGFβ応答を阻害するという特性のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)を有する抗体を特徴とする。
【0052】
本開示における「抗体」という用語の使用は、(ミニボディ、ナノボディ、または抗体断片とは違って)全抗体、二重特異性抗体、四価抗体、多重特異性抗体、ミニボディ、ナノボディ、及び抗体断片を包含することを意味する。いくつかの事例では、本開示の抗インテグリン抗体は、全抗体である。特定の例では、抗インテグリン抗体の重鎖定常領域は、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、またはヒトIgG4定常領域である。いくつかの事例では、光定常領域は、ヒトカッパ定常領域である。他の事例では、光定常領域は、ヒトラムダ定常領域である。いくつかの事例では、本開示の抗体は、低いエフェクター機能性を有するように設計される(例えば、N297Q、T299A等のFc修飾によって、Wang,X.,Mathieu,M.&Brezski,R.J.Protein Cell(2018)9:63.doi.org/10.1007/s13238-017-0473-8(参照により本明細書に組み込まれる)も参照されたい)。場合により、抗体のFc部分は、hIgG1 Fc、hIgG2 Fc、hIgG3 Fc、hIgG4 Fc、hIgG1agly Fc、hIgG2 SAA Fc、hIgG4(S228P) Fc、またはhIgG4(S228P)/G1 agly Fc(この形式では、エフェクター機能を最小限に抑え、CH1及びCH2ドメインは、「固定」ヒンジ(S228P)を有するIgG4であり、非グリコシル化される。CH3ドメインは、hIgG1、またはhIgG4(S228P) agly Fcである)である。一例では、抗体は、エフェクター機能が低下した以下の3つの足場のうちの1つを有する:hIgG1 agly(N297Q)、hIgG2 SAA(Vafa et al.Methods,65(1):114-26(2014)を参照されたい)、及びhIgG4P/G1 agly(US2012/0100140(A1)を参照されたい)。
【0053】
説明を容易にするために、本明細書において特徴付けられる抗インテグリン抗体は、3つの群、すなわち、グループI~IIIに分けられる。
【0054】
グループI抗体は、αvβ1インテグリンに結合するが、他のインテグリン(例えば、他のαv含有もしくはβ1含有またはRGDファミリーインテグリン)には結合しない抗体である。グループII抗体は、αvβ1及びαvβ6インテグリンに結合するが、他のインテグリンには結合しないものである。最後に、グループIII抗体は、αvβ1と、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する。これら3つの抗体群を以下に詳述する。
【0055】
A.グループI(抗αvβ1インテグリン特異的抗体)
多くの出版物は、αvβ1インテグリンに特異的な抗体を生成することに関連する課題を示唆している。これは、αv及びβ1サブユニットが多数のインテグリン二量体対において個別に存在しているという事実に部分的に起因する(Reed et al.,Sci Transl Med.,7:288(2015))。本発明者らは、かかる抗αvβ1インテグリン特異的抗体の生成に成功している。
【0056】
したがって、本開示は、αvβ1インテグリンに特異的に結合し、他のインテグリンには結合しない抗体を提供する。いくつかの事例では、抗体は、他のαvまたはβ1含有インテグリンヘテロ二量体には結合しない。いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、他のRGDインテグリン(例えば、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3インテグリン)には結合しない。これらの抗体はすべて、ヒトαvβ1インテグリンに結合する。かかる抗体には、ヒトαvβ1に対してKD≦20nMの高い親和性(二価親和性)で結合する例示的抗体1~10が含まれる。
【0057】
例示的抗体1
例示的抗体1は、ヒトαvβ1に特異的に結合する。例示的抗体1の相補性決定領域(CDR)ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列を以下に提供する。
【表3】
重鎖可変領域(VH):
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYYMHWVRQAPGQGLEWMGIINPSGGSTSYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARQQRHRRDYDYYYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号11)
軽鎖可変領域(VL):
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSDYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASRRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQAYSLPPTFGGGTKVEIK(配列番号12)
【0058】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、例示的抗体1の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。これらのCDRは、例えば、AbYsisデータベース(www.bioinf.org.uk/abysis/sequence_input/key_annotation/key_annotation.cgi)を使用して決定することができる。
【0059】
1つの事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号10に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号10に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0060】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号11に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号12に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号11に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号12に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号11に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号12に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号11に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号12に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0061】
ある特定の事例では、αvβ1に結合する本開示の抗体は、配列番号11に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0062】
例示的抗体2
例示的抗体2は、ヒトαvβ1に特異的に結合する。例示的抗体2のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表4】
VH:
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARGGPTRGDGTRVYYYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号21)
VL:
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYSASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYYHHPFTFGGGTKVEIK(配列番号22)
【0063】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、例示的抗体2の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。これらのCDRは、例えば、AbYsisデータベースを使用して決定することができる。
【0064】
1つの事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号17に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号20に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号13に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号17に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号20に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0065】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号22に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号22に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号22に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号22に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0066】
ある特定の事例では、αvβ1に結合する本開示の抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号22に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0067】
例示的抗体3
例示的抗体3は、ヒトαvβ1に特異的に結合する。抗体は、その標的へのカチオン非依存的結合を示す。例示的抗体3のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表5】
VH:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYYMHWVRQAPGQGLEWMGIINPSGGSTSYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARETNYYRGGPAFDIWGQGTMVTVSS(配列番号27)
VL:
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHSNGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQVLGTPPWTFGGGTKVEIK(配列番号28)
【0068】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、例示的抗体3の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。これらのCDRは、例えば、AbYsisデータベースを使用して決定することができる。
【0069】
1つの事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号24に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号25に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号24に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号25に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0070】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号27に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号28に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号27に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号28に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号27に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号28に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号27に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号28に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0071】
ある特定の事例では、αvβ1に結合する本開示の抗体は、配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0072】
例示的抗体4
例示的抗体4は、ヒトαvβ1に特異的に結合し、カニクイザル、マウス、及びラットαvβ1にも結合する。例示的抗体4は、内在化される。例示的抗体4のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表6-1】
【表6-2】
VH:
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFTSYYMHWVRQAPGQGLEWMGIINPSGGSTSYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARQQRHRRDYDYYYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号30)
VL:
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSDYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASRRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQAYSLPPTFGGGTKVEIK(配列番号12)
【0073】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、例示的抗体4の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。これらのCDRは、例えば、AbYsisデータベースを使用して決定することができる。
【0074】
1つの事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号29に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号10に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号10に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0075】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号30に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号12に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号30に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号12に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号30に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号12に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号30に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号12に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0076】
ある特定の事例では、αvβ1に結合する本開示の抗体は、配列番号30に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0077】
例示的抗体5
例示的抗体5は、ヒトαvβ1に特異的に結合し、カニクイザル、マウス、及びラットαvβ1にも結合する。例示的抗体5は、内在化される。例示的抗体5のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表7】
VH:
EVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFKYYGMHWVRQAPGKGLEWVASIWYDGSNKKYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARGGPTRGDGTRVYYYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号35)
VL:
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYSASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYYHHPFTFGGGTKVEIK(配列番号22)
【0078】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、例示的抗体5の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。これらのCDRは、例えば、AbYsisデータベースを使用して決定することができる。
【0079】
1つの事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号32に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号34に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号17に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号20に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号31に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号33に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号17に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号20に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0080】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号35に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号22に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号35に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号22に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号35に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号22に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号35に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号22に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0081】
ある特定の事例では、αvβ1に結合する本開示の抗体は、配列番号35に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号22に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0082】
例示的抗体6
例示的抗体6は、ヒトαvβ1に特異的に結合する。例示的抗体6のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表8-1】
【表8-2】
VH:
QVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSDYYMSWIRQAPGKGLEWVSYISSSGSTIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARGGRNRGDSSLSGIDVWGQGTTVTVSS(配列番号44)
VL:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSINSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQQYSDITFGGGTKVEIK(配列番号45)
【0083】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、例示的抗体6の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。これらのCDRは、例えば、AbYsisデータベースを使用して決定することができる。
【0084】
1つの事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号37に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号39に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号40に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号41に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号42に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号43に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号36に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号40に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号41に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号42に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号43に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0085】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号45に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号45に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号45に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号45に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0086】
ある特定の事例では、αvβ1に結合する本開示の抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号45に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0087】
例示的抗体7
例示的抗体7は、ヒトαvβ1に特異的に結合する。例示的抗体7のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表9】
VH:
QVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSDYYMSWIRQAPGKGLEWVSYISSSGSTIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARGGPSRGDALAEYFQHWGQGTTVTVSS(配列番号49)
VL:
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQLVNYPPITFGGGTKVEIK(配列番号50)
【0088】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、例示的抗体7の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。これらのCDRは、例えば、AbYsisデータベースを使用して決定することができる。
【0089】
1つの事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号37に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号39に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号46に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号47に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号48に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号36に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号46に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号47に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号48に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0090】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号50に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号50に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号50に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号50に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0091】
ある特定の事例では、αvβ1に結合する本開示の抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号50に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0092】
例示的抗体8
例示的抗体8は、ヒトαvβ1に特異的に結合する。例示的抗体8のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表10】
VH:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFYDYSMNWVRQAPGKGLEWVSYISSSSSTIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARGLWSTEVRYYYMDVWGKGTTVTVSS(配列番号57)
VL:
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYSASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQSNAWPFTFGGGTKVEIK(配列番号58)
【0093】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、例示的抗体8の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。これらのCDRは、例えば、AbYsisデータベースを使用して決定することができる。
【0094】
1つの事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号52に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号54に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号55に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号56に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号51に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号53に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号55に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号56に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0095】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号57に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号58に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号57に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号58に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号57に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号58に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号57に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号58に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0096】
ある特定の事例では、αvβ1に結合する本開示の抗体は、配列番号57に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号58に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0097】
例示的抗体9
例示的抗体9は、ヒトαvβ1に特異的に結合する。例示的抗体9のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表11】
VH:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYSMHWVRQAPGKGLEWVSYISSSGSTIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARGLWSTEVRYYYMDVWGKGTTVTVSS(配列番号61)
VL:
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYSASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQSNAWPFTFGGGTKVEIK(配列番号58)
【0098】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、例示的抗体9の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。これらのCDRは、例えば、AbYsisデータベースを使用して決定することができる。
【0099】
1つの事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号60に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号39に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号55に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号56に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号59に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号55に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号56に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0100】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号61に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号58に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号61に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号58に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号61に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号58に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号61に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号58に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0101】
ある特定の事例では、αvβ1に結合する本開示の抗体は、配列番号61に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号58に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0102】
例示的抗体10
例示的抗体10は、ヒトαvβ1に特異的に結合する。例示的抗体10のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表12】
VH:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFGEYSMFWVRQAPGKGLEWVSYISSSSSTIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARGLWSTEVRYYYMDVWGKGTTVTVSS(配列番号64)
VL:
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYSASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQSNAWPFTFGGGTKVEIK(配列番号58)
【0103】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、例示的抗体10の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。これらのCDRは、例えば、AbYsisデータベースを使用して決定することができる。
【0104】
1つの事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号63に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号54に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号55に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号56に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、本開示の抗αvβ1抗体は、(i)配列番号62に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号53に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号55に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号56に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0105】
いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号64に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号58に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号64に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号58に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号64に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号58に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、抗αvβ1抗体は、配列番号64に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号58に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0106】
ある特定の事例では、αvβ1に結合する本開示の抗体は、配列番号64に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号58に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0107】
B.グループII(αvβ1及びαvβ6インテグリンの両方に結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体)
本開示は、αvβ1及びαvβ6インテグリンの両方に結合する抗体をさらに提供する。いくつかの事例では、抗体は、他のインテグリンには結合しない。いくつかの事例では、抗体は、αvβ1及びαvβ6インテグリン以外のRGD結合インテグリン(例えば、αvβ3、αvβ5、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3)には結合しない。グループIIの抗体はすべて、ヒトαvβ1及びヒトαvβ6インテグリンに結合する。かかる抗体は、ヒトαvβ1に対してKD≦20nMの高い親和性(二価親和性)で、かつヒトαvβ6に対して100nMの親和性(二価親和性)で結合する、例示的抗体11~14の配列を含む。
【0108】
例示的抗体11
例示的抗体11は、ヒトαvβ1及びαvβ6に特異的に結合するが、他のインテグリン(例えば、インテグリンの他のRGDファミリー)には結合しない。例示的抗体11のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表13-1】
【表13-2】
VH:
QVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSDYYMSWIRQAPGKGLEWVSYISSSGSTIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARGGRNRGDSSLSGIDVWGQGTTVTVSS(配列番号44)
VL:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYGASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQQYDDITFGGGTKVEIK(配列番号68)
【0109】
いくつかの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、例示的抗体11の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。これらのCDRは、例えば、AbYsisデータベースを使用して決定することができる。
【0110】
1つの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、(i)配列番号37に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号39に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号40に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号65に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号66に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号67に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、(i)配列番号36に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号40に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号65に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号66に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2及び配列番号67に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0111】
いくつかの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号68に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号68に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号68に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号68に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0112】
ある特定の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号68に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0113】
例示的抗体12
例示的抗体12は、ヒトαvβ1及びαvβ6に特異的に結合するが、他のインテグリン(例えば、インテグリンの他のRGDファミリー)には結合しない。例示的抗体12のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表14】
VH:
QVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSDYYMSWIRQAPGKGLEWVSYISSSGSTIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARGGRNRGDSSLSGIDVWGQGTTVTVSS(配列番号44)
VL:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYGASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQQYIDITFGGGTKVEIK(配列番号70)
【0114】
いくつかの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、例示的抗体12の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。
【0115】
1つの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、(i)配列番号37に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号39に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号40に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号65に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号66に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号69に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、(i)配列番号36に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号40に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号65に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号66に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2及び配列番号69に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0116】
いくつかの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号70に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号70に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号70に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号70に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0117】
ある特定の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0118】
例示的抗体13
例示的抗体13は、ヒトαvβ1及びαvβ6に特異的に結合するが、他のインテグリン(例えば、インテグリンの他のRGDファミリー)には結合しない。例示的抗体13のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表15】
VH:
QVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSDYYMSWIRQAPGKGLEWVSYISSSGSTIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARGGPSRGDALAEYFQHWGQGTTVTVSS(配列番号49)
VL:
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQLTNHPPIAFGGGTKVEIK(配列番号72)
【0119】
いくつかの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、例示的抗体13の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。
【0120】
1つの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、(i)配列番号37に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号39に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号46に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号47に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号71に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、(i)配列番号36に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号46に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号47に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2及び配列番号71に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0121】
いくつかの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号72に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号72に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号72に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号72に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0122】
ある特定の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号72に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0123】
例示的抗体14
例示的抗体14は、ヒトαvβ1及びαvβ6に特異的に結合するが、他のインテグリン(例えば、インテグリンの他のRGDファミリー)には結合しない。例示的抗体14のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表16-1】
【表16-2】
VH:
QVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSDYYMSWIRQAPGKGLEWVSYISSSGSTIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARERGNRGDTPRYYYMDVWGKGTTVTVSS(配列番号76)
VL:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISRYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSLVTPFTFGGGTKVEIK(配列番号77)
【0124】
いくつかの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、例示的抗体14の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。
【0125】
1つの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、(i)配列番号37に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号39に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号73に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号74に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号42に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号75に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、(i)配列番号36に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号73に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号74に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号42に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2及び配列番号75に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0126】
いくつかの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号77に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号77に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号77に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号77に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0127】
ある特定の事例では、ヒトαvβ1及びαvβ6の両方に結合する抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号77に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0128】
C.グループIII(αvβ1インテグリンと、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3インテグリンからなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体)
本開示は、αvβ1インテグリンと、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体をさらに特徴とする。いくつかの事例では、抗体は、RGD結合インテグリン以外のインテグリンには結合しない。かかる抗体は、ヒトαvβ1に対してKD≦20nMの高い親和性(二価親和性)で、かつ他のRGD結合インテグリンに対して100nMの親和性(二価親和性)で結合する、例示的抗体15~20の配列を含む。
【0129】
例示的抗体15
例示的抗体15は、ヒトαvβ1と、少なくとも1つの(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つの)他のRGDファミリーインテグリン(例えば、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3)と、に特異的に結合する。抗体は、その標的へのカチオン非依存的結合を示す。例示的抗体15のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表17-1】
【表17-2】
VH:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYYMHWVRQAPGQGLEWMGIINPSGGSTSYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARDRSGIAGRRWVYYYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号82)
VL:
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNLPYTFGGGTKVEIK(配列番号83)
【0130】
いくつかの事例では、グループIIIの抗体(すなわち、αvβ1インテグリンと、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体)は、例示的抗体15の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。
【0131】
1つの事例では、グループIIIの抗体は、(i)配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号78に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号79に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号80に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号81に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、グループIIIの抗体は、(i)配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号78に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号79に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号80に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号81に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0132】
いくつかの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号82に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号83に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号82に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号83に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号82に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号83に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号82に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号83に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0133】
ある特定の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号82に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号83に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0134】
例示的抗体16
例示的抗体16は、ヒトαvβ1と、少なくとも1つの(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つの)他のRGDファミリーインテグリン(例えば、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3)と、に特異的に結合する。例示的抗体16のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表18】
VH:
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGIIYPGDSDTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARGPRSRGDGPSNYYYMDVWGQGTLVTVSS(配列番号92)
VL:
DIQMTQSPSTLSASVGDRVTITCRASQSISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYKASSLESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQYHSFSFTFGGGTKVEIK(配列番号93)
【0135】
いくつかの事例では、グループIIIの抗体(すなわち、αvβ1インテグリンと、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体)は、例示的抗体16の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。
【0136】
1つの事例では、グループIIIの抗体は、(i)配列番号85に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号87に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号88に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号89に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号90に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号91に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、グループIIIの抗体は、(i)配列番号84に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号86に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号88に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号89に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号90に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号91に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0137】
いくつかの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号92に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号93に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号92に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号93に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号92に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号93に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号92に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号93に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0138】
ある特定の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号92に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号93に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0139】
例示的抗体17
例示的抗体17は、ヒトαvβ1と、少なくとも1つの(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つの)他のRGDファミリーインテグリン(例えば、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3)と、に特異的に結合する。例示的抗体17は、カニクイザル、マウス、及びラットαvβ1にも結合する。例示的抗体17は、内在化される。いくつかの事例では、この抗体は、αvβ1及びαvβ3に特異的に結合する。例示的抗体17のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表19-1】
【表19-2】
VH:
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGIIYPGDSDTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARGPRSRGDGPSNYYYMDVWGQGTLVTVSS(配列番号92)
VL:
DIQMTQSPSTLSASVGDRVTITCRASQSISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYKASSLESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQYRPLPPTFGGGTKVEIK(配列番号95)
【0140】
いくつかの事例では、グループIIIの抗体(すなわち、αvβ1インテグリンと、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体)は、例示的抗体17の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。
【0141】
1つの事例では、グループIIIの抗体は、(i)配列番号85に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号87に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号88に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号89に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号90に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号94に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、グループIIIの抗体は、(i)配列番号84に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号86に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号88に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号89に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号90に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号94に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0142】
いくつかの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号92に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号95に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号92に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号95に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号92に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号95に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号92に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号95に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0143】
ある特定の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号92に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号95に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0144】
例示的抗体18
例示的抗体18は、ヒトαvβ1と、少なくとも1つの(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つの)他のRGDファミリーインテグリン(例えば、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3)と、に特異的に結合する。いくつかの事例では、この抗体は、αvβ1、αvβ3、αvβ5、αvβ6、及びαvβ8に特異的に結合する。抗体は、その標的へのカチオン非依存的結合を示す。例示的抗体18のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表20】
VH:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFRSFYMHWVRQAPGQGLEWMGVINPSLGSTGYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARETNYYRGGPAFDIWGQGTMVTVSS(配列番号100)
VL:
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHSNGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQVLGTPPWTFGGGTKVEIK(配列番号28)
【0145】
いくつかの事例では、グループIIIの抗体(すなわち、αvβ1インテグリンと、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体)は、例示的抗体18の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。
【0146】
1つの事例では、グループIIIの抗体は、(i)配列番号97に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号99に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号24に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号25に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、グループIIIの抗体は、(i)配列番号96に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号98に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号24に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号25に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0147】
いくつかの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号100に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号28に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号100に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号28に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号100に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号28に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号100に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号28に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0148】
ある特定の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号100に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0149】
例示的抗体19
例示的抗体19は、ヒトαvβ1と、少なくとも1つの(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つの)他のRGDファミリーインテグリン(例えば、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3)に特異的に結合する。例示的抗体19は、カニクイザル、マウス、及びラットαvβ1にも結合する。例示的抗体19は、内在化される。いくつかの事例では、この抗体は、αvβ1及びαvβ8に特異的に結合する。例示的抗体19のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表21】
VH:
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARGGPTRGDGTRVYYYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号21)
VL:
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQSVLYSSNNKNYLAWYQQKPGQPPKLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYVAFPRTFGGGTKVEIK(配列番号104)
【0150】
いくつかの事例では、グループIIIの抗体(すなわち、αvβ1インテグリンと、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体)は、例示的抗体19の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。
【0151】
1つの事例では、グループIIIの抗体は、(i)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号17に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号101に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号102に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号103に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、グループIIIの抗体は、(i)配列番号13に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号17に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号101に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号102に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号103に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0152】
いくつかの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号104に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号104に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号104に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号104に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0153】
ある特定の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号104に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0154】
例示的抗体20
例示的抗体20は、ヒトαvβ1と、少なくとも1つの(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つの)他のRGDファミリーインテグリン(例えば、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3)と、に特異的に結合する。例示的抗体20のCDRのアミノ酸配列、ならびに成熟重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を以下に提供する。
【表22】
VH:
QVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSDYYMSWIRQAPGKGLEWVSYISSSGSTIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARGGPSRGDALAEYFQHWGQGTTVTVSS(配列番号49)
VL:
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSRYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQLSLHPPYTFGGGTKVEIK(配列番号107)
【0155】
いくつかの事例では、グループIIIの抗体(すなわち、αvβ1インテグリンと、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体)は、例示的抗体20の3つのVH CDRを含むVHと、3つのVL CDRを含むVLと、を含む。この6つのCDRは、限定されないが、Kabat、Chothia、増強Chothia、contact、IMGT、またはHonegger定義等の当該技術分野で既知の任意の定義に基づくことができる。
【0156】
1つの事例では、グループIIIの抗体は、(i)配列番号37に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号39に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号46に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号105に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号80に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号106に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。別の事例では、グループIIIの抗体は、(i)配列番号36に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR2及び配列番号46に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR3を含むVHと、(ii)配列番号105に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、配列番号80に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR2、及び配列番号106に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR3を含むVLと、を含む。
【0157】
いくつかの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHを含む。いくつかの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号107に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVLを含む。1つの事例では、グループIIIの抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVHと、配列番号107に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるVLと、を含む。別の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVHと、配列番号107に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるVLと、を含む。さらに別の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列と同一であるVHと、配列番号107に示されるアミノ酸配列と同一であるVLと、を含む。
【0158】
ある特定の事例では、グループIIIの抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有するVHと、配列番号107に示されるアミノ酸配列を有するVLと、を有する参照抗体と同じエピトープと競合またはそれに結合する抗体である。
【0159】
抗体断片
抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Facb、及びFv)は、完全な抗体のタンパク質分解消化によって調製してもよい。例えば、抗体断片は、パパイン、ペプシン、またはプラスミン等の酵素で全抗体を処理することによって得ることができる。全抗体のパパイン消化により、F(ab)またはFab断片が産生され、全抗体のペプシン消化により、F(ab’)またはFab’が産生され、全抗体のプラスミン消化により、Facb断片が産生される。
【0160】
あるいは、抗体断片は、組換え的に産生され得る。例えば、目的の抗体断片をコードする核酸を構築し、発現ベクターに導入し、好適な宿主細胞内で発現させることができる。例えば、Co,M.S.et al.,J.Immunol.,152:2968-2976(1994)、Better,M.and Horwitz,A.H.,Methods in Enzymology,178:476-496(1989)、Pluckthun,A.and Skerra,A.,Methods in Enzymology,178:476-496(1989)、Lamoyi,E.,Methods in Enzymology,121:652-663(1989)、Rousseaux,J.et al.,Methods in Enzymology,(1989)121:663-669(1989)、及びBird,R.E.et al.,TIBTECH,9:132-137(1991)を参照されたい。抗体断片は、E.coliにおいて発現及びE.coliから分泌できるため、大量のこれらの断片を容易に産生することを可能にする。抗体断片は、抗体ファージライブラリから単離することができる。あるいは、Fab’-SH断片をE.coliから直接的に回収し、化学的に結合してF(ab)断片を形成することができる(Carter et al.,Bio/Technology,10:163-167(1992)を参照されたい)。別のアプローチによれば、F(ab’)断片は、組換え宿主細胞培養から直接的に単離することができる。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含むインビボ半減期が増加したFab及びF(ab’)断片は、米国特許第5,869,046号に記載されている。
【0161】
ミニボディ
本明細書に記載される抗体のうちのいずれかのミニボディとしては、ダイアボディ、一本鎖(scFv)、及び一本鎖(Fv)(sc(Fv))が挙げられる。いくつかの事例では、ミニボディは、ヒトFcまたはヒトFcのCH3ドメインに融合される。例えば、αvβ1またはαvβ1及びαvβ6に結合するscFvまたはsc(Fv)は、ヒトIgG1 FcまたはヒトIgG1 CH3ドメインに融合してもよい。これらのドメインは、エフェクター機能を低下させるように修飾され得る。これらのドメインは、翻訳後修飾(例えば、グリコシル化)を低減または防止するように修飾されてもよい。
【0162】
「ダイアボディ」は、遺伝子融合によって構築される二価のミニボディである(例えば、Holliger,P.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,90:6444-6448(1993);EP404,097;WO93/11161を参照されたい)。ダイアボディは、2つのポリペプチド鎖で構成された二量体である。ダイアボディの各ポリペプチド鎖のVL及びVHドメインは、リンカーによって結合される。リンカーを構成するアミノ酸残基の数は、2~12個の残基(例えば、3~10個の残基または5個もしくは約5個の残基)であり得る。ダイアボディ中のポリペプチドのリンカーは、典型的には、短すぎるため、VL及びVHは互いに結合することができない。したがって、同じポリペプチド鎖においてコードされるVL及びVHは、一本鎖可変領域断片を形成することはできないが、代わりに、異なる一本鎖可変領域断片を有する二量体を形成する。結果として、ダイアボディは2つの抗原結合部位を有する。
【0163】
scFvは、VH及びVLをリンカーと連結させることによって得られる一本鎖ポリペプチド抗体である(例えば、Huston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,85:5879-5883(1988)、及びPluckthun,“The Pharmacology of Monoclonal Antibodies”Vol.113,Ed Resenburg and Moore,Springer Verlag,New York,pp.269-315,(1994)を参照されたい)。連結されるVH及びVLの順序は特に限定されず、任意の順序で配置されてもよい。配置の例としては、[VH]リンカー[VL]、または[VL]リンカー[VH]が挙げられる。scFvにおけるH鎖V領域及びL鎖V領域は、本明細書に記載される任意の抗インテグリン抗体(例えば、例示的抗体1~20)に由来し得る。
【0164】
sc(Fv)は、2つのVH及び2つのVLがリンカーによって連結されて、単鎖を形成するミニボディである(Hudson,et al.,J.Immunol.Methods,(1999)231:177-189(1999))。sc(Fv)は、例えば、scFvをリンカーと接続することによって調製することができる。本発明のsc(Fv)は、好ましくは、2つのVH及び2つのVLが、一本鎖ポリペプチドのN末端からVH、VL、VH、及びVL([VH]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VL])の順序で配置される抗体を含むが、2つのVH及び2つのVLの順序は上記の配置に限定されず、それらは任意の順序で配置され得る。配置の例を以下に列挙する:
[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]リンカー[VL]
[VH]リンカー[VL]リンカー[VL]リンカー[VH]
[VH]リンカー[VH]リンカー[VL]リンカー[VL]
[VL]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]
[VL]リンカー[VH]リンカー[VL]リンカー[VH]。
【0165】
通常、4つの抗体可変領域が連結されている場合には3つのリンカーが必要であり、使用されるリンカーは同一であっても異なっていてもよい。ミニボディのVH及びVL領域を連結するリンカーには、特に制限はない。いくつかの実施形態において、リンカーは、ペプチドリンカーである。約3~25個の残基(例えば、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個)を含むいずれかの任意の一本鎖ペプチドを、リンカーとして使用することができる。かかるペプチドリンカーの例としては、Ser;Gly Ser;Gly Gly Ser;Ser
Gly Gly;Gly Gly Gly Ser(配列番号108);Ser Gly Gly Gly(配列番号109);Gly Gly Gly Gly Ser(配列番号110);Ser Gly Gly Gly Gly(配列番号111);Gly
Gly Gly Gly Gly Ser(配列番号112);Ser Gly Gly Gly Gly Gly(配列番号113);Gly Gly Gly Gly Gly Gly Ser(配列番号114);Ser Gly Gly Gly Gly Gly Gly(配列番号115);(Gly Gly Gly Gly Ser)(配列番号110)(nは、1つ以上の整数である);及び(Ser Gly Gly Gly Gly)(配列番号111)(nは、1つ以上の整数である)が挙げられる。
【0166】
ある特定の実施形態では、リンカーは、合成化合物リンカー(化学架橋剤)である。市販されている架橋剤の例としては、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ジスクシンイミジルスベラート(DSS)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベラート(BS3)、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオン酸塩)(DSP)、ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオン酸塩)(DTSSP)、エチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシン酸塩)(EGS)、エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルスクシン酸塩)(スルホ-EGS)、ジスクシンイミジル酒石酸塩(DST)、ジスルホスクシンイミジル酒石酸塩(スルホ-DST)、ビス[2-(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(BSOCOES)、及びビス[2-(スルホスクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(スルホ-BSOCOES)が挙げられる。
【0167】
ミニボディにおけるVHまたはVLのアミノ酸配列は、置換、欠失、付加、及び/または挿入等の修飾を含み得る。例えば、修飾は、本明細書に記載の抗体(例えば、例示的抗体1~20)のフレームワーク領域のうちの1つ以上にあり得る。ある特定の実施形態において、修飾は、ミニボディのVH及び/またはVLドメインの1つ以上のフレームワーク領域における1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個のアミノ酸置換を伴う。そのような置換は、ミニボディの結合及び/または機能活性を改善するために行われる。他の実施形態において、本明細書に記載される抗体のFRの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個のアミノ酸は、VHとVLが会合しているときに、αvβ1(及びαvβ6への結合、またはαvβ6、αvβ3、αvβ5、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3のうちの1つ以上への結合)の結合及び/または機能活性がある限り、欠失または付加され得る。
【0168】
二重特異性または多重特異性抗体
多重特異性抗体は、2つ以上の異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。二重特異性抗体は、1つの抗原または2つの異なる抗原の2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体は、αvβ1タンパク質の2つの異なるエピトープに結合し得る。他のかかる抗体は、αvβ1結合部位を別のタンパク質(例えば、αvβ6、αvβ3、αvβ5、αvβ8、α5β1、α8β1、αIIBβ3)結合部位と組み合わせてもよい。いくつかの事例では、二重特異性抗体は、αvβ1に特異的に結合する第1のVH及び第1のVLと、αvβ6に特異的に結合する第2のVH及び第2のVLと、を含む。他の事例では、二重特異性抗体は、αvβ1に特異的に結合する第1のVH及び第1のVLと、αvβ1及びαvβ6の両方に特異的に結合する第2のVH及び第2のVLと、を含む。いくつかの事例では、二重特異性抗体は、αvβ1に特異的に結合する第1のVH及び第1のVLと、αvβ6、αvβ3、αvβ5、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3のうちの1つ以上に特異的に結合する第2のVH及び第2のVLと、を含む。さらに他の事例において、二重特異性抗体は、αvβ1及びαvβ6の両方に特異的に結合する第1のVH及び第1のVLと、αvβ6、αvβ3、αvβ5、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3のうちの1つ以上に特異的に結合する第2のVH及び第2のVLと、を含む。二重特異性抗体は、全長抗体またはその低分子量形態(例えば、F(ab’)二重特異性抗体、scFv二重特異性抗体、sc(Fv)二重特異性抗体、ダイアボディ型二重特異性抗体)として調製することができる。
【0169】
全長二重特異性抗体の従来の産生は、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づいており、2つの鎖は異なる特異性を有する(Millstein et al.,Nature,305:537-539(1983))。別のアプローチでは、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメインが、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。免疫グロブリン重鎖融合物をコードするDNA、及び所望により免疫グロブリン軽鎖を別々の発現ベクターに挿入し、好適な宿主細胞に共トランスフェクトする。これは、3つのポリペプチド断片の割合を調整する際の柔軟性がより大きくなる。しかしながら、少なくとも2つのポリペプチド鎖の等しい比率での発現が高収率をもたらす場合、2つまたは3つすべてのポリペプチド鎖のコード配列を単一の発現ベクターに挿入することが可能である。
【0170】
米国特許第5,731,168号に記載される別のアプローチによれば、一対の抗体分子間の界面を操作して、組換え細胞培養から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大化することができる。好ましい界面は、CH3ドメインの少なくとも一部分を含む。本方法では、第1の抗体分子の界面からの1つ以上の小さなアミノ酸側鎖を、より大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置き換える。大きな側鎖(複数可)と同一または類似のサイズの補償的な「空洞」は、大きなアミノ酸側鎖をより小さいアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはトレオニン)と置き換えることによって、第2の抗体分子の界面上に作製される。これは、ホモ二量体等の他の望ましくない最終生成物よりもヘテロ二量体の収率を増加させるための機構を提供する。
【0171】
二重特異性抗体を作製する方法は、当技術分野で周知である。例えば、Spasevska I,Duong MN,Klein C,Dumontet C(2015)Advances in Bispecific Antibodies Engineering:Novel Concepts for Immunotherapies.J
Blood Disord Transfus 6:243.Doi:10.4172/2155-9864.1000243、及びHusain,B.& Ellerman,D.BioDrugs(2018)32:441.doi.org/10.1007/s40259-018-0299-9を参照されたい。
【0172】
二重特異性抗体としては、架橋または「ヘテロコンジュゲート」抗体が挙げられる。例えば、ヘテロコンジュゲート中の抗体のうちの1つは、アビジンに連結され、もう1つはビオチンに連結され得る。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の好都合な架橋方法を使用して作製され得る。
【0173】
「ダイアボディ」技術は、二重特異性抗体断片を作製するための代替のメカニズムを提供する。この断片は、同じ鎖上の2つのドメイン間での対合を可能にするには短すぎるリンカーによってVLに接続されたVHを含む。したがって、1つの断片のVH及びVLドメインは、別の断片の相補的なVL及びVHドメインと対合させられ、それによって2つの抗原結合部位を形成する。
【0174】
多価抗体
多価抗体は、抗体が結合する抗原(例えば、αvβ1、αvβ1、及びαvβ6)を発現する細胞によって、二価抗体よりも速く内在化(及び/または異化)され得る。本明細書に記載される抗体のうちのいずれかは、3つ以上の抗原結合部位を有する多価抗体(例えば、四価抗体)であってもよく、これは、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現によって容易に産生され得る。本明細書に記載の抗体は、二量体化ドメイン及び3つ以上の抗原結合部位を含むことができる。例示的な二量体化ドメインは、Fc領域またはヒンジ領域を含む(またはそれからなる)。本明細書に記載の抗体は、3個~約8個(例えば、4個)の抗原結合部位を含む(またはそれらからなる)ことができる。多価抗体は、任意選択的に、少なくとも1つのポリペプチド鎖(例えば、少なくとも2つのポリペプチド鎖)を含み、当該ポリペプチド鎖(複数可)は、2つ以上の可変ドメインを含む。例えば、ポリペプチド鎖(複数可)は、VD1-(X1)-VD2-(X2)-Fcを含んでもよく、VD1は第1の可変ドメインであり、VD2は第2の可変ドメインであり、FcはFc領域のポリペプチド鎖であり、X1及びX2はアミノ酸またはペプチドスペーサーを表し、nは0または1である。
【0175】
コンジュゲート抗体
本明細書に開示される抗体は、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGで修飾されたポリエチレンイミン(PEI)(PEI-PEG)、ポリグルタミン酸(PGA)(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)コポリマー)、ヒアルロン酸、放射性物質(例えば、90Y、131I)、蛍光物質、発光物質、ハプテン、酵素、金属キレート、及び薬物等の巨大分子物質を含む様々な分子に結合されるコンジュゲート抗体であり得る。
【0176】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、例えば、血液、血清、または他の組織において、例えば、少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、または50倍、循環におけるその安定化及び/または保持を改善する部分で修飾される。例えば、本明細書に記載の抗体は、ポリマー、例えば、ポリアルキレンオキシドまたはポリエチレンオキシド等の実質的に非抗原性のポリマーと会合(例えば、コンジュゲート)され得る。好適なポリマーは、重量によって実質的に変化する。約200~約35,000ダルトン(または約1,000~約15,000、及び2,000~約12,500)の範囲の分子数平均重量を有するポリマーを使用することができる。例えば、本明細書に記載の抗体は、水溶性ポリマー、例えば、親水性ポリビニルポリマー、例えば、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンにコンジュゲートされ得る。かかるポリマーの例としては、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール等のポリアルキレンオキシドホモポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール、それらのコポリマー及びそれらのブロックコポリマーが挙げられるが、ただしブロックコポリマーの水溶性が維持されることを条件とする。さらなる有用なポリマーとしては、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、及びポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックコポリマー等)、ポリメタクリレート、カルボマー、及び分枝または非分枝の多糖類が挙げられる。
【0177】
上述のコンジュゲート抗体は、本明細書に記載の抗体またはそれらの低分子量形態に対して化学修飾を行うことによって調製することができる。抗体を修飾するための方法は、当該技術分野で周知である(例えば、US5,057,313及びUS5,156,840)。
【0178】
エフェクター機能が低下した抗体
抗体及び抗体-抗原複合体と免疫系細胞との相互作用は、本明細書においてエフェクター機能と称される様々な応答を誘発する。免疫介在性エフェクター機能には、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)という2つの主要なメカニズムが含まれる。これらの両方には、免疫グロブリンタンパク質の定常領域が介在する。したがって、抗体Fcドメインは、免疫エフェクターメカニズムとの相互作用を定義する部分である。
【0179】
IgG抗体は、細胞表面Fcγ受容体のファミリーのメンバー及び補体系のC1qに結合することによって免疫系のエフェクター経路を活性化させる。クラスター化抗体によるエフェクタータンパク質のライゲーションは、炎症性サイトカインの放出、抗原産生の調節、エンドサイトーシス、及び細胞殺傷を含む、様々な応答を誘発する。これらの応答は、炎症及び抗原保有細胞の排除等の望ましくない副作用を引き起こす可能性がある。したがって、本発明はさらに、エフェクター機能が低下した抗体(例えば、抗αvβ1、抗αvβ1及びαvβ6抗体)を含む抗インテグリン結合タンパク質に関する。
【0180】
本発明の抗体のエフェクター機能は、多くの既知のアッセイのうちの1つを使用して決定し得る。抗体のエフェクター機能は、第2の抗体と比較して低下し得る。対象となる抗体がエフェクター機能を低下させるように修飾されているいくつかの実施形態において、第2の抗体は、抗体の未修飾または親バージョン(例えば、野生型Fc領域を有する例示的抗体1~20(例えば、IgG1、IgG2、IgG3))であってもよい。
【0181】
エフェクター機能としては、抗体が細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞またはマクロファージ上のFc受容体に結合して細胞死をもたらすADCC、及び補体カスケードの活性化により誘導される細胞死であるCDC(Daeron,Annu.Rev.Immunol.,15:203-234(1997)、Ward and Ghetie,Therapeutic Immunol.,2:77-94(1995)、及びRavetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)で概説されている)が挙げられる。このようなエフェクター機能は、一般に、Fc領域を結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わせる必要があり、当該技術分野で既知の標準アッセイを使用して評価することができる(例えば、WO05/018572、WO05/003175、及びUS6,242,195を参照されたい)。
【0182】
Fcドメインを欠く抗体断片、例えばFab、Fab’2、または単鎖Fvを使用することにより、エフェクター機能を回避することができる。代替は、FcγRIには結合するが、C1qならびにFcγRII及びRIIIには十分に結合しないIgG4サブタイプ抗体を使用することである。しかしながら、IgG4抗体は、IgG1抗体と比較して低pHでの安定性が悪いため、凝集体を形成し得る。IgG4抗体の安定性は、(Kabat et al.,Sequences of proteins of immunological interest,1991,5th ed.によって提案されたEUインデックスによる)409位のアルギニンを、リジン、メチオニン、トレオニン、ロイシン、バリン、グルタミン酸、アスパラギン、フェニルアラニン、トリプトファン、またはチロシンのうちのいずれか1つで置換することによって改善することができる。あるいは、及び/または加えて、IgG4抗体のCH3ドメインをIgG1抗体のCH3ドメインで置換することによって、またはIgG4のCH2及びCH3ドメインをIgG1のCH2及びCH3ドメインで置換することによって、IgG4抗体の安定性を改善することができる。したがって、IgG4アイソタイプである本発明の抗インテグリン抗体は、エフェクター機能を低下させつつ抗体の安定性を増加させるために、409位での修飾、及び/またはCH2及び/またはCH3ドメインの、IgG1ドメインによる置き換えを含み得る。IgG2サブタイプはまた、Fc受容体への結合も減少しているが、FcγRIIaのH131アロタイプ及びC1qへの有意な結合を保持する。したがって、すべてのFc受容体及びC1qへの結合を排除するために、Fc配列のさらなる変化が必要とされ得る。
【0183】
ADCCを含むいくつかの抗体エフェクター機能には、抗体のFc領域に結合するFc受容体(FcR)が介在する。特定のFcRに対する抗体の親和性、ひいては抗体が介在するエフェクター活性は、抗体のFc及び/または定常領域のアミノ酸配列及び/または翻訳後修飾を改変することによって調節され得る。
【0184】
FcRは、免疫グロブリンアイソタイプに対するそれらの特異性によって定義される。IgG抗体のFc受容体はFcγRと称され、IgEのFc受容体はFcεRと称され、IgAのFc受容体はFcαRと称される等である。FcγRの3つのサブクラスが特定されている:FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、及びFcγRIII(CD16)。FcγRII及びFcγRIIIはいずれも、以下の2つのタイプがある:FcγRIIa(CD32a)及びFcγRIIB(CD32b)、ならびにFcγRIIIA(CD16a)及びFcγRIIIB(CD16b)。各FcγRサブクラスは、2つまたは3つの遺伝子によってコードされ、代替的なRNAスプライシングは、複数の転写産物をもたらすため、FcγRアイソフォームにおける幅広い多様性が存在する。例えば、FcγRII(CD32)は、アイソフォームIIa、IIb1、IIb2、IIb3、及びIIcを含む。
【0185】
FcγRについてのヒト及びマウス抗体上の結合部位は、以前に、残基G233~S239(Kabat et al.,Sequences of Proteins of
Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991),Woof et al.,Molec.Immunol.23:319-330(1986);Duncan et al.,Nature 332:563(1988);Canfield and Morrison,J.Exp.Med.173:1483-1491(1991);Chappel et al.,Proc.Natl.Acad.Sci USA 88:9036-9040(1991)におけるようなEUインデックス番号付け)からなる、いわゆる「下部ヒンジ領域」にマッピングされている。残基G233~S239のうち、P238及びS239は、結合に関与している可能性があるものとして挙げられている。FcγRへの結合に関与する他の残基は、G316~K338(Woof et al.,Mol.Immunol.,23:319-330(1986))、K274~R301(Sarmay et al.,Molec.Immunol.21:43-51(1984))、Y407~R416(Gergely et al.,Biochem.Soc.Trans.12:739-743(1984)及びShields et al.,J Biol Chem 276:6591-6604(2001),Lazar GA et al.,Proc Natl Acad Sci 103:4005-4010(2006))、N297、T299、E318、L234~S239、N265~E269、N297~T299、ならびにA327~I332である。FcR結合に関与するアミノ酸残基のこれら及び他の伸長または領域は、Ig-FcR複合体の結晶構造の調査から当業者に明らかであり得る(例えば、Sondermann et al.2000 Nature 406(6793):267-73及びSondermann et al.2002 Biochem Soc Trans.30(4):481-6を参照されたい)。したがって、本発明の抗インテグリン抗体は、必要に応じてエフェクター機能を低下させるための上述の残基のうちの1つ以上の修飾を含む。
【0186】
モノクローナル抗体のエフェクター機能を改変するための別のアプローチとしては、エフェクター結合相互作用に関与するモノクローナル抗体の表面上のアミノ酸を変異させることが挙げられる(Lund,J.,et al.(1991)J.Immunol.147(8):2657-62;Shields,R.L.et al.(2001)J.Biol.Chem.276(9):6591-604)。
【0187】
エフェクター機能を低下させるために、異なるサブタイプ配列セグメントの組み合わせ(例えば、IgG2及びIgG4の組み合わせ)を使用して、いずれかのサブタイプ単独よりも大幅にFcγ受容体への結合を低減させることができる(Armour et al.,Eur.J.Immunol.,29:2613-1624(1999);Mol.Immunol.,40:585-593(2003))。いくつかのまたはすべてのFc受容体サブタイプに対する(したがって、エフェクター機能に対する)親和性が改変された及び/または低下された多数のFcバリアントが、当該技術分野で既知である。例えば、US2007/0224188、US2007/0148171、US2007/0048300、US2007/0041966、US2007/0009523、US2007/0036799、US2006/0275283、US2006/0235208、US2006/0193856、US2006/0160996、US2006/0134105、US2006/0024298、US2005/0244403、US2005/0233382、US2005/0215768、US2005/0118174、US2005/0054832、US2004/0228856、US2004/132101、US2003/158389を参照されたい。また、US7,183,387、6,737,056、6,538,124、6,528,624、6,194,551、5,624,821、5,648,260、及びWang,X.,Mathieu,M. & Brezski,R.J.,Protein Cell,(2018)9:63.doi.org/10.1007/s13238-017-0473-8も参照されたい。ある特定の実施形態において、232、234、235、236、237、239、264、265、267、269、270、299、325、328、329、及び330位のアミノ酸(EU番号付けに従って番号付けされる)を置換して、エフェクター機能を低下させる。エフェクター機能を低下させる置換の非限定的な例としては、K322A、L234A/L235A、G236T、G236R、G236Q、H268A、H268Q、V309L、A330S、P331S、V234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S、E233P/L234V/L235A/G236Q+A327G/A330S/P331S、及びL235E+E318A/K320A/K322Aのうちの1つ以上が挙げられる。
【0188】
エフェクター機能が低下した本発明の抗体は、親または非バリアント抗体と比較して1つ以上のFc受容体(FcR)に対する結合親和性が減少した抗体を含む。したがって、FcR結合親和性が減少した本明細書に記載の抗体は、親または非バリアント抗体と比較して、1つ以上のFc受容体に対する結合親和性が1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、または25倍以上減少している抗体を含む。いくつかの実施形態において、エフェクター機能が低下した本明細書に記載の抗体のうちのいずれかの抗体は、親抗体または非バリアント抗体と比較して約10倍低い親和性でFcRに結合する。他の実施形態では、エフェクター機能が低下した本明細書に記載の抗体のうちのいずれかの抗体は、親抗体または非バリアント抗体と比較して、約15倍低い親和性または約20倍低い親和性でFcRに結合する。FcR受容体は、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、及びFcγRIII、ならびにそれらのアイソフォーム、ならびにFcεR、FcμR、FcδR、及び/またはFcαRのうちの1つ以上であってもよい。特定の実施形態では、エフェクター機能が低下した本明細書に記載の抗体のうちのいずれかの抗体は、FcγRIIaに対する結合親和性が1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、または5倍以上減少している。
【0189】
CDCにおいて、抗体-抗原複合体は補体に結合し、補体カスケードの活性化及び膜攻撃複合体の生成をもたらす。古典的な補体経路の活性化は、補体系(C1q)の第1の成分が、同族抗原に結合している(適切なサブクラスの)抗体に結合することによって開始され、したがって、補体カスケードの活性化は、部分的に、免疫グロブリンのC1qタンパク質への結合親和性によって調節される。補体カスケードを活性化するためには、C1qが抗原標的に結合したIgG1、IgG2、またはIgG3の少なくとも2つの分子に結合するが、IgMの1つの分子のみに結合する必要がある(Ward and Ghetie,Therapeutic Immunology 2:77-94(1995)p.80)。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods,202:163(1996)に記載されるようなCDCアッセイを行ってもよい。
【0190】
CH2ドメイン上のGlu318、Lys320及びLys322残基、同じβ鎖に近接してターンに位置するアミノ酸残基331、下部ヒンジ領域に位置するLys235及びGly237残基、ならびにCH2ドメインのN末端領域に位置する残基231~238を含む、IgG分子の様々な残基が、C1qへの結合に関与していることが提案されている(例えば、Xu et al.,J.Immunol.150:152A(Abstract)(1993),WO94/29351;Tao et al,J.Exp.Med.,178:661-667(1993);Brekke et al.,Eur.J.lmmunol.,24:2542-47(1994);Burton et al;Nature,288:338-344(1980);Duncan and Winter,Nature 332:738-40(1988);Idusogie et al J Immunol 164:4178-4184(2000;US5,648,260及びUS5,624,821を参照されたい)。
【0191】
C1q結合が減少した本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG Fc領域のアミノ酸位置270、322、329、及び331のうちの1つ、2つ、3つ、または4つにアミノ酸置換を含むことができ、IgG Fc領域内の残基の番号付けは、Kabatと同様にEUインデックスのものである。IgG1における例として、ヒトIgG1-K322A及びP329A-のCH2ドメインのCOOH末端領域内の2つの変異は、CDC経路を活性化せず、C1q結合の100倍を超える減少をもたらすことが示された(US6,242,195)。
【0192】
したがって、ある特定の実施形態では、本発明の抗体は、第2の抗体(野生型Fc領域を有する例示的抗体1~20(例えば、IgG1、IgG2、IgG3等))と比較して、補体タンパク質への結合が減少している。ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、第2の抗体と比較して、C1qへの結合が約1.5倍以上、約2倍以上、約3倍以上、約4倍以上、約5倍以上、約6倍以上、約7倍以上、約8倍以上、約9倍以上、約10倍以上、または約15倍以上減少している。
【0193】
したがって、本発明のある特定の実施形態において、これらの残基のうちの1つ以上を修飾、置換、もしくは除去するか、または1つ以上のアミノ酸残基を挿入することにより、本明細書において提供される抗体のCDC活性を低下させてもよい。
【0194】
ある特定の他の実施形態において、本発明は、1つ以上のFcR受容体への結合が減少しているが、補体に結合する(例えば、天然抗体、非バリアント抗体、もしくは親抗体と同様の程度、またはいくつかの実施形態では、それより低い程度で)その能力を維持する抗体を提供する。したがって、本発明の抗体は、例えば、FcγRIIa(例えば、血小板上に発現したFcγRIIa)等のFcRへの結合が減少しつつも、補体に結合し、それを活性化し得る。FcγRIIa(例えば、血小板上に発現するFcγRIIa等)への結合が減少しているか、または結合していないが、C1qに結合し、かつ補体カスケードを少なくともある程度活性化することができるこのような抗体は、おそらく所望のエフェクター機能を維持しながら、血栓塞栓事象のリスクを低減する。代替的な実施形態では、本発明の抗体は、1つ以上のFcRへの結合が減少しているが、1つ以上の他のFcRに結合する能力を維持する。例えば、FcRI、FcRII、及び/またはFcRIIIへの結合が減少した抗体を生成する様々なアミノ酸修飾、ならびに1つのFcRへの結合の増加をもたらすが、別のFcRへの結合の減少をもたらすアミノ酸置換について記載するUS2007-0009523、2006-0194290、2005-0233382、2004-0228856、及び2004-0191244を参照されたい。
【0195】
したがって、本明細書に記載される抗体の定常領域を伴うエフェクター機能は、定常領域、特にFc領域の特性を改変することによって調節され得る。ある特定の実施形態において、エフェクター機能が低下した抗体は、エフェクター機能を有する第2の抗体と比較され、第2の抗体は、エフェクター機能を媒介する天然定常領域またはFc領域を含む非バリアント抗体、天然抗体、または親抗体であり得る。いくつかの事例では、抗体が、エフェクター機能を低下させる修飾Fcを有する抗インテグリン(例えば、抗αvβ1 Ab、抗αvβ1及び抗αvβ6 Ab、抗αvβ1及び別のRGD結合インテグリンAb)ヒトIgG1抗体である場合、第2の抗体は、野生型ヒトIgG1抗体である。
【0196】
天然定常領域は、天然に見出される定常鎖領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。好ましくは、相対的エフェクター機能を評価するために使用される対照分子は、試験またはバリアント抗体と同じタイプ/サブタイプのFc領域を含む。バリアントまたは改変されたFcまたは定常領域は、少なくとも1つのアミノ酸修飾(例えば、翻訳後修飾、アミノ酸置換、挿入、または欠失等)によって、天然配列重鎖領域のものとは異なるアミノ酸配列を含む。したがって、バリアント定常領域は、例えば、改変されたグリコシル化パターンを含む、改変された翻訳後修飾をもたらす1つ以上のアミノ酸置換、欠失、または挿入を含有してもよい。バリアント定常領域は、低下したエフェクター機能を有することができる。
【0197】
エフェクター機能(複数可)が低下した抗体は、バリアント定常領域、Fc領域、または重鎖領域を有する抗体を操作または産生することによって生成され得る。組換えDNA技術及び/または細胞培養及び発現条件を使用して、機能及び/または活性が改変された抗体を産生することができる。例えば、組換えDNA技術を使用して、エフェクター機能を含む抗体機能に影響を与える領域(例えば、Fcまたは定常領域等)における1つ以上のアミノ酸置換、欠失、または挿入を操作してもよい。あるいは、例えばグリコシル化パターン等の翻訳後修飾の変化は、抗体が産生される宿主細胞及び細胞培養ならびに発現条件を操作することによって達成され得る。
【0198】
本発明の特定の実施形態は、例示的抗体1~20の3つの重鎖可変領域及び3つの軽鎖可変領域CDR配列(増強Chothia、Kabat、または任意の他のCDR定義)を含むかまたはそれらからなり、天然または親Fc領域と比較して低減されたエフェクター機能を付与するFc領域(例えば、IgG4のFc領域)をさらに含む抗体に関する。
【0199】
アミノ酸置換を含む前述の抗体バリアントのうちのいずれかを生成する方法は、当技術分野で周知である。これらの方法には、抗体または少なくとも抗体の定常領域をコードする調製されたDNA分子の部位特異的(またはオリゴヌクレオチド介在性)変異誘発、PCR変異誘発、及びカセット変異誘発による調製が含まれるが、これらに限定されない。部位特異的変異誘発は、当該技術分野で周知である(例えば、Carter et al.,Nucleic Acids Res.,13:4431-4443(1985)及びKunkel et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:488(1987)を参照されたい)。PCR変異誘発はまた、開始ポリペプチドのアミノ酸配列バリアントの作製に好適である。Higuchi,in PCR Protocols,pp.177-183(Academic Press,1990)、及びVallette et al.,Nuc.Acids Res.17:723-733(1989)を参照されたい。配列バリアントを調製するための別の方法であるカセット変異誘発は、Wells et al.,Gene,34:315-323(1985)によって記載されている技術に基づく。
【0200】
グリコシル化が改変された抗体
異なる糖形態は、薬物動態、薬力学、受容体相互作用、及び組織特異的標的化を含む、治療薬の特性に著しく影響を与えることができる(Graddis et al.,2002,Curr Pharm Biotechnol.3:285-297)。特に、抗体について、オリゴ糖構造は、抗体のエフェクター機能(例えば、CDCを誘導する補体複合体C1への結合、及びADCC経路の調節を担うFcγR受容体への結合)に加えて、プロテアーゼ耐性、FcRn受容体が介在する抗体の血清半減期、食作用、及び抗体フィードバックに関連する特性に影響を及ぼし得る(Nose and Wigzell,1983;Leatherbarrow and Dwek,1983;Leatherbarrow et al.,1985;Walker et al.,1989;Carter et al.,1992,PNAS,89:4285-4289)。
【0201】
したがって、抗体のエフェクター機能を調節する別の手段は、抗体定常領域のグリコシル化を改変することを含む。グリコシル化の改変としては、例えば、グリコシル化残基数の減少または増加、グリコシル化残基のパターンまたは位置の変化、及び糖構造(複数可)の変化が挙げられる。ヒトIgGに見られるオリゴ糖は、それらのエフェクター機能の程度に影響を及ぼす(Raju,T.S.BioProcess International April 2003.44-53)。ヒトIgGオリゴ糖の微小な不均一性は、CDC及びADCC、様々なFc受容体への結合、ならびにClqタンパク質への結合等の生物学的機能に影響を及ぼし得る(Wright A. & Morrison SL.TIBTECH 1997,15 26-32;Shields et al.J Biol Chem.2001 276(9):6591-604;Shields et al.J Biol Chem.2002;277(30):26733-40;Shinkawa et al.J Biol Chem.2003 278(5):3466-73;Umana et al.Nat Biotechnol.1999 Feb;17(2):176-80)。例えば、C1qに結合し、補体カスケードを活性化するIgGの能力は、(通常Asn297に固定されている)2つのCH2ドメインの間に位置する炭水化物部分の存在、不在、または修飾に依存し得る(Ward and Ghetie,Therapeutic Immunology 2:77-94(1995))。
【0202】
Fc含有ポリペプチド、例えばIgG抗体等の抗体内のグリコシル化部位は、標準的な技術によって特定され得る。グリコシル化部位の特定は、実験的であり得るか、または配列分析もしくはモデリングデータに基づくことができる。コンセンサスモチーフ、すなわち、種々のグリコシルトランスフェラーゼによって認識されるアミノ酸配列が記載されている。例えば、N結合グリコシル化モチーフのコンセンサスモチーフは、頻繁に、NXTまたはNXSであり、Xは、プロリンを除く任意のアミノ酸であってもよい。潜在型グリコシル化モチーフを位置付けるためのいくつかのアルゴリズムも記載されている。したがって、抗体またはFc含有断片内の潜在型グリコシル化部位を特定するために、例えば、生物学的配列分析センターによって提供されるウェブサイト等の公的に利用可能なデータベースを使用して、抗体の配列を調べる(N結合グリコシル化部位を予測するためのNetNGlycサービス及びO結合グリコシル化部位を予測するためのNetOGlycサービスを参照されたい)。
【0203】
インビボ研究により、非グリコシル抗体のエフェクター機能の低下が確認されている。例えば、非グリコシル抗CD8抗体は、マウスにおけるCD8担持細胞を枯渇させることができず(Isaacs,1992 J.Immunol.148:3062)、非グリコシル抗CD3抗体は、マウスまたはヒトにおけるサイトカイン放出症候群を誘発しない(Boyd,1995 supra;Friend,1999 Transplantation 68:1632)。
【0204】
重要なことに、CH2ドメイン内のグリカンの除去は、エフェクター機能に有意な影響を及ぼすように思われるが、抗体の他の機能的特性及び物理的特性は改変されないままである。具体的には、グリカンの除去が、血清半減期及び抗原への結合にほとんどまたはまったく影響を与えなかったことが示されている(Nose,1983 supra;Tao,1989 supra;Dorai,1991 supra;Hand,1992 supra;Hobbs,1992 Mol.Immunol.29:949)。
【0205】
本発明の抗体は、第2の抗体(例えば、野生型ヒトIgG1、IgG2、IgG3 Fc領域を有する例示的抗体1~20)と比較して、エフェクター機能(複数可)の低下を誘発するように修飾または改変され得る。抗体のグリコシル化部位を改変させるための方法は、例えば、US6,350,861及びUS5,714,350、WO05/18572及びWO05/03175に記載されており、これらの方法を使用して、グリコシル化が改変された、グリコシル化が低減された、またはグリコシル化していない本発明の抗体を産生することができる。
【0206】
いくつかの事例では、本開示の抗体は、Fc領域におけるグリコシル化を低減または排除する修飾を有するFc領域(例えば、ヒトIgG1 Fc)(例えば、T299AまたはN297Q置換(EU番号付けによる番号付け))を含む。
【0207】
あるいは、本発明の抗体は、所望のグリコシル化プロファイルを提供する細胞株で産生され得る。例えば、ほとんどアフコシル化抗体を作製しない細胞、例えば、CHO細胞が、産生のために使用され得る。
【0208】
別の実施形態では、製造プロセス及び/または培地含有量または条件を操作して、ガラクトース及び/または高マンノース含有量を調節してもよい。一実施形態において、抗体のガラクトース/高マンノース含有量は、低いまたは低減される。
【0209】
親和性成熟
一実施形態において、本明細書に記載の抗インテグリン抗体は、例えば、変異誘発によって修飾され、修飾抗体のプールを提供する。次いで、修飾抗体を評価して、改変された機能特性(例えば、改善された結合、改善された安定性、低減された抗原性、または増加したインビボでの安定性)を有する1つ以上の抗体を特定する。一実施態様では、ディスプレイライブラリ技術を使用して、修飾抗体のプールを選択またはスクリーニングする。次いで、例えば、より高いストリンジェンシーまたはより競合的な結合及び洗浄条件を用いることによって、より高い親和性抗体を第2のライブラリから特定する。他のスクリーニング技法も使用されることができる。
【0210】
いくつかの実施態様では、変異誘発は、結合界面で既知であるか、またはその可能性が高い領域を標的とする。例えば、特定された結合タンパク質が抗体である場合、変異誘発は、本明細書に記載される重鎖または軽鎖のCDR領域を対象とすることができる。さらに、変異誘発は、CDRの近くまたは隣接するフレームワーク領域、例えば、特にCDR接合部の10個、5個、または3個のアミノ酸内のフレームワーク領域を対象とすることができる。抗体の場合、変異誘発はまた、例えば、段階的な改善を行うために、CDRのうちの1つまたはいくつかに限定することもできる。
【0211】
一実施形態では、変異誘発を使用して、1つ以上の生殖細胞系配列に抗体をより類似させる。1つの例示的な生殖細胞系列化(germlining)方法は、単離された抗体の配列と類似している(例えば、特定のデータベースで最も類似している)1つ以上の生殖細胞系配列を特定することを含むことができる。次いで、(アミノ酸レベルでの)変異を、単離された抗体内で、増分的に、組み合わせて、またはその両方で行うことができる。例えば、一部またはすべての可能な生殖細胞変異をコードする配列を含む核酸ライブラリを作製する。次いで、変異抗体を評価して、例えば、単離された抗体と比べて1つ以上の追加の生殖細胞系残基を有し、かつ依然として有用である(例えば、機能活性を有する)抗体を特定する。一実施形態において、可能な限り多くの生殖細胞系残基が、単離された抗体に導入される。
【0212】
一実施形態では、変異誘発を使用して、1つ以上の生殖細胞系残基を置換またはCDR領域に挿入する。例えば、生殖細胞系CDR残基は、修飾される可変領域に類似(例えば、最も類似)する生殖細胞系配列に由来し得る。変異誘発後、抗体の活性(例えば、結合または他の機能的活性)を評価して、1つ以上の生殖細胞系残基が許容されるかどうかを決定することができる。同様の変異誘発は、フレームワーク領域において実行することができる。
【0213】
生殖細胞系配列の選択は、異なる方法で実行することができる。例えば、生殖細胞系配列は、それが、ドナー非ヒト抗体と比較して、選択性または類似性、例えば、少なくとも特定の同一性パーセンテージに関する所定の基準(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%同一性)を満たす場合に選択することができる。選択は、少なくとも2個、3個、5個、または10個の生殖細胞系配列を使用して実行することができる。CDR1及びCDR2の場合、類似の生殖細胞系配列を特定することは、1つのそのような配列を選択することを含み得る。CDR3の場合、類似の生殖細胞系配列を特定することは、1つのそのような配列を選択することを含み得るが、アミノ末端部分及びカルボキシ末端部分に別々に寄与する2つの生殖細胞系配列を使用することを含んでもよい。他の実施形態では、例えば、コンセンサス配列を形成するために、2つまたは3つ以上の(more than one or two)生殖細胞系配列が使用される。
【0214】
2つの配列間の「配列同一性」の計算は、以下のように実行される。最適な比較を行うために配列をアライメントする(例えば、最適なアライメントのために第1及び第2のアミノ酸または核酸配列の一方または両方にギャップを導入でき、非相同配列は比較のために無視できる)。ギャップペナルティが12、ギャップ拡張ペナルティが4、フレームシフトギャップペナルティが5のBlossum 62スコアリングマトリックスを備えたGCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを使用して、最適なアラインメントを最良のスコアとして求める。その後、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列における位置が第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占有されている場合、それらの分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、配列が共有する同一位置の数の関数である。
【0215】
他の実施形態では、抗体は、改変されたグリコシル化パターン(すなわち、元のまたは天然のグリコシル化パターンから改変された)を有するように修飾され得る。この文脈で使用される場合、「改変された」とは、1つ以上の炭水化物部分が欠失していること、及び/または元の抗体に1つ以上のグリコシル化部位が付加されていることを意味する。本開示の抗体へのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を改変してグリコシル化部位のコンセンサス配列を含有することによって達成されてもよく、そのような技法は当該技術分野で周知である。抗体上の炭水化物部分の数を増加させる別の手段は、抗体のアミノ酸残基へのグリコシドの化学的または酵素的カップリングによるものである。これらの方法は、例えば、WO87/05330、及びAplin and Wriston(1981)CRC Crit.Rev.Biochem.,22:259-306に記載されている。抗体上に存在する任意の炭水化物部分の除去は、当該技術分野に記載されるように、化学的または酵素的に達成され得る(Hakimuddin et al.(1987)Arch.Biochem.Biophys.,259:52、Edge et al.(1981)Anal.Biochem.,118:131、及びThotakura
et al.(1987)Meth.Enzymol.,138:350)。サルベージ受容体結合エピトープを提供することによってインビボ半減期を増加させる修飾については、例えば、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
【0216】
CDRとは異なり、構造フレームワーク領域(FR)のより実質的な変化は、抗体の結合特性に悪影響を及ぼすことなく行うことができる。FRに対する変化には、非ヒト由来のフレームワークをヒト化すること、または抗原接触に重要であるか、もしくは結合部位を安定化するために重要である特定のフレームワーク残基を操作すること、例えば、定常領域のクラスもしくはサブクラスを変更すること、Fc受容体結合等のエフェクター機能を改変し得る特定のアミノ酸残基を変更すること(Lund et al.,J.Immun.,147:2657-62(1991);Morgan et al.,Immunology,86:319-24(1995))、または定常領域が由来する種を変更することが含まれるが、これらに限定されない。
【0217】
抗インテグリン抗体は、抗インテグリン抗体、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fd、dAb、scFv、及びsc(Fv)の全長(または全)抗体の形態であり得るか、またはそれらの低分子量形態(例えば、生物学的に活性な抗体断片またはミニボディ)の形態であり得る。本開示に包含される他の抗インテグリン抗体としては、VHもしくはVL等の単一の可変鎖またはその生物学的に活性な断片を含有する単一ドメイン抗体(sdAb)が挙げられる。例えば、Moller et al.,J.Biol.Chem.,285(49):38348-38361(2010);Harmsen et al.,Appl.Microbiol.Biotechnol.,77(1):13-22(2007);US2005/0079574及びDavies et
al.(1996)Protein Eng.,9(6):531-7を参照されたい。全抗体と同様に、sdAbは、特定の抗原(例えば、αvβ1、αvβ1及びαvβ6)に選択的に結合することができる。わずか12~15kDaの分子量で、sdAbは、一般的な抗体よりもはるかに小さく、Fab断片及び一本鎖可変断片よりもさらに小さい。
【0218】
ある特定の実施形態では、抗インテグリン抗体もしくはその抗原結合断片、またはその低分子量抗体は、αvβ1またはαvβ1及びαvβ6に特異的に結合し、線維症(例えば、肝線維症、肺線維症、腎線維症)、急性肺傷害、急性腎傷害のうちの1つ以上を有するヒト患者、または線維症(例えば、肝線維症、肺線維症、腎線維症)、急性肺傷害、急性腎傷害の動物モデルに投与されると、症状の重症度を低下させる。一実施形態では、抗インテグリン抗体またはその低分子量抗体は、特発性肺線維症モデルにおける疾患の発症を阻害する(Degryse et al.,Am J Med Sci.,341(6):444-9(2011))。抗インテグリン抗体またはその低分子量抗体のこれらの特徴は、当技術分野で既知である方法に従って測定することができる。
【0219】
核酸、ベクター、宿主細胞
本開示はまた、本明細書に開示の抗体をコードする核酸を特徴とする。本明細書において提供されるのは、本明細書に記載の抗インテグリン抗体(例えば、例示的抗体1~20)のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3をコードする核酸である。本明細書に記載の抗インテグリン抗体(例えば、例示的抗体1~20)のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3をコードする核酸も特徴とされる。本明細書において提供されるのは、本明細書に記載の抗インテグリン抗体(例えば、例示的抗体1~20)のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3をコードする核酸である。また、本明細書において提供されるのは、本明細書に記載の抗インテグリン抗体(例えば、例示的抗体1~20)の重鎖可変領域(VH)をコードする核酸、及び/または本明細書に記載の抗インテグリン抗体(例えば、例示的抗体1~20)の軽鎖可変領域(VL)をコードする核酸である。特定の事例では、本明細書において提供されるのは、ヒト重鎖及び/またはヒト軽鎖定常領域にそれぞれ連結された、本明細書に記載の抗インテグリン抗体(例えば、例示的抗体1~20)のVH及び/またはVLをコードする核酸である。また、本明細書に記載の抗インテグリン抗体(例えば、例示的抗体1~20)のVH及びVLの両方をコードする核酸も本明細書において提供される。いくつかの事例では、本明細書に記載の核酸は、ヒト抗体(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)のFc領域をコードする核酸を含む。特定の事例では、当該核酸は、エフェクター機能を低下させるかまたは排除するように修飾されているヒト抗体のFc領域をコードする核酸(例えば、ヒトIgG1 Fc領域におけるN297QまたはT299A置換(EU番号付けによる番号付け))を含む。場合により、核酸は、hIgG1 Fc、hIgG2 Fc、hIgG3 Fc、hIgG4 Fc、hIgG1agly Fc、hIgG2 SAA Fc、hIgG4(S228P) Fc、またはhIgG4(S228P)/G1 agly FcであるFc部分をコードする核酸を含む。
【0220】
本明細書では、上述の核酸のうちのいずれかを含有するベクター(例えば、発現ベクター)も開示される。
【0221】
さらに、本開示は、上述のベクター(複数可)または核酸(複数可)を含有する宿主細胞(例えば、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳類細胞)に関する。
【0222】
抗インテグリン抗体を産生する方法
上述の抗体等の抗体は、例えば、列挙されたアミノ酸配列をコードする合成遺伝子を調製及び発現することによって作製することができる。抗インテグリン抗体のうちのいずれかのバリアント(例えば、アミノ酸置換を含む)を生成する方法は、当該技術において周知である。これらの方法としては、抗体またはその任意の部分(例えば、フレームワーク領域、CDR、定常領域)をコードする調製されたDNA分子の部位特異的(またはオリゴヌクレオチド介在性)変異誘発、PCR変異誘発、及びカセット変異誘発による調製が挙げられるが、これらに限定されない。部位特異的変異誘発は、当該技術分野で周知である(例えば、Carter et al.,Nucleic Acids Res.,13:4431-4443(1985)及びKunkel et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:488(1987)を参照されたい)。PCR変異誘発はまた、開始ポリペプチドのアミノ酸配列バリアントの作製に好適である。Higuchi,in PCR Protocols,pp.177-183(Academic Press,1990)、及びVallette et al.,Nuc.Acids Res.17:723-733(1989)を参照されたい。配列バリアントを調製するための別の方法であるカセット変異誘発は、Wells et al.,Gene,34:315-323(1985)によって記載されている技術に基づく。
【0223】
抗体またはそれらの抗原結合断片は、細菌または真核細胞において産生され得る。いくつかの抗体、例えば、Fabは、細菌細胞、例えば、E.coli細胞において産生され得る。抗体またはそれらの抗原結合断片は、形質転換細胞株(例えば、CHO、293E、COS、Hela)等の真核細胞においても産生され得る。加えて、抗体(例えば、scFv)は、Pichia(例えば、Powers et al.,J Immunol
Methods.251:123-35(2001)を参照されたい)、Hanseula、またはSaccharomyces等の酵母細胞内で発現され得る。一実施形態では、本明細書に記載の抗体は、ジヒドロ葉酸還元酵素欠損チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株DG44で産生される。別の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、DG44i細胞株で産生される。目的の抗体またはその抗原結合断片を産生するために、抗体をコードするポリヌクレオチドを構築し、発現ベクターに導入し、次に好適な宿主細胞に発現させる。標準的な分子生物学的技術を使用して、組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞をトランスフェクトし、形質転換体を選択し、宿主細胞を培養し、抗体を回収する。
【0224】
抗体が細菌細胞(例えば、E.coli)で発現される場合、発現ベクターは、細菌細胞におけるベクターの増幅を可能にする特徴を有するべきである。さらに、JM109、DH5α、HB101、またはXL1-Blue等のE.coliを宿主として使用する場合、ベクターは、プロモーター、例えば、lacZプロモーター(Ward et al.,341:544-546(1989))、araBプロモーター(Better et al.,Science,240:1041-1043(1988))、またはE.coli内で効率的な発現を可能にすることができるT7プロモーターを有していなければならない。かかるベクターの例として、例えば、M13系列ベクター、pUC系列ベクター、pBR322、pBluescript、pCR-Script、pGEX-5X-1(Pharmacia)、「QIAexpress system」(QIAGEN)、pEGFP、及びpET(この発現ベクターを使用する場合、宿主は、好ましくはT7 RNAポリメラーゼを発現するBL21である)が挙げられる。発現ベクターは、抗体分泌のためのシグナル配列を含有し得る。E.coliのペリプラズムへの産生のために、pelBシグナル配列(Lei et al.,J.Bacteriol.,169:4379(1987))を抗体分泌のためのシグナル配列として使用してもよい。細菌の発現については、塩化カルシウム法またはエレクトロポレーション法を用いて、発現ベクターを細菌細胞に導入してもよい。
【0225】
抗体が、CHO、COS、及びNIH3T3細胞等の動物細胞において発現される場合、発現ベクターは、これらの細胞における発現に必要なプロモーター、例えば、SV40プロモーター(Mulligan et al.,Nature,277:108(1979))、MMLV-LTRプロモーター、EF1αプロモーター(Mizushima et al.,Nucleic Acids Res.,18:5322(1990))、またはCMVプロモーターを含む。免疫グロブリンまたはそのドメインをコードする核酸配列に加えて、組換え発現ベクターは、宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)及び選択可能なマーカー遺伝子等の追加の配列を担持してもよい。選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を促進する(例えば、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、及び同第5,179,017号を参照されたい)。例えば、典型的には、選択可能なマーカー遺伝子は、G418、ハイグロマイシン、またはメトトレキサート等の薬物に対する抵抗性を、ベクターが導入された宿主細胞に付与する。選択可能なマーカーを有するベクターの例としては、pMAM、pDR2、pBK-RSV、pBK-CMV、pOPRSV、及びpOP13が挙げられる。
【0226】
一実施形態において、抗体は、哺乳類細胞において産生される。抗体を発現させるための例示的な哺乳類宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(Urlaub and Chasin(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216-4220に記載されるdhfr CHO細胞を含み、例えば、Kaufman and Sharp(1982)Mol.Biol.159:601-621に記載されるように、DHFR選択マーカーとともに使用される)、ヒト胚性腎臓293細胞(例えば、293、293E、293T)、COS細胞、NIH3T3細胞、リンパ球細胞株、例えば、NS0骨髄腫細胞及びSP2細胞、ならびにトランスジェニック動物、例えば、トランスジェニック哺乳類に由来する細胞が含まれる。例えば、当該細胞は、乳腺上皮細胞である。
【0227】
抗体発現のための例示的なシステムでは、それぞれ、本明細書に記載の任意の抗体(例えば、例示的抗体1~20)の抗体重鎖及び抗体軽鎖をコードする組換え発現ベクターを、リン酸カルシウム介在性トランスフェクションによってdhfr CHO細胞に導入する。特定の実施形態では、dhfr CHO細胞は、DG44i等のDG44細胞株の細胞である(例えば、Derouaz et al.,Biochem Biophys Res Commun.340(4):1069-77(2006)を参照されたい)。組換え発現ベクター内で、抗体重鎖及び軽鎖遺伝子は、それぞれ、エンハンサー/プロモーター調節エレメント(例えば、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントまたはSV40エンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメント等のSV40、CMV、アデノウイルス等に由来する)に作動可能に連結され、遺伝子の高レベルの転写を推進する。組換え発現ベクターはまた、メトトレキサートの選択/増幅を使用してベクターでトランスフェクトされたCHO細胞の選択を可能にするDHFR遺伝子を担持する。選択された形質転換体宿主細胞を培養して、抗体重鎖及び軽鎖の発現を可能にし、抗体を培養培地から回収する。
【0228】
抗体はまた、トランスジェニック動物によって産生され得る。例えば、米国特許第5,849,992号は、トランスジェニック哺乳類の乳腺において抗体を発現する方法を記載している。目的とする抗体及び分泌のためのシグナル配列をコードする乳特異的プロモーター及び核酸を含む導入遺伝子が構築される。そのようなトランスジェニック哺乳類の雌によって産生される乳は、ここで分泌される目的の抗体を含む。抗体は、乳から精製可能であるか、または一部の用途には直接使用可能である。本明細書に記載される核酸のうちの1つ以上を含む動物も提供される。
【0229】
本開示の抗体は、宿主細胞の内部または外部(培地等)から単離し、実質的に純粋で均質な抗体として精製することができる。抗体精製に一般的に使用される単離及び精製方法は、抗体の単離及び精製に使用されてもよく、任意の特定の方法に限定されない。抗体は、例えば、カラムクロマトグラフィー、濾過、限外濾過、塩析、溶媒沈殿、溶媒抽出、蒸留、免疫沈殿、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動、透析、及び再結晶化を適切に選択及び組み合わせることによって単離及び精製され得る。クロマトグラフィーとしては、例えば、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、及び吸着クロマトグラフィーが挙げられる(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory
Course Manual.Ed Daniel R.Marshak et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1996)。クロマトグラフィーは、HPLC及びFPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて実行することができる。親和性クロマトグラフィーに使用されるカラムには、プロテインAカラム及びプロテインGカラムが含まれる。プロテインAカラムを使用するカラムの例としては、Hyper D、POROS、及びSepharose FF(GE Healthcare Biosciences)が挙げられる。本開示はまた、これらの精製方法を使用して高度に精製される抗体を含む。
【0230】
抗体の特徴付け
本明細書に記載される抗体のインテグリン結合特性は、任意の標準的な方法、例えば、以下の方法のうちの1つ以上によって測定され得る:OCTET(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)、BIACORE(商標)分析、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、EIA(酵素免疫測定法)、RIA(放射免疫測定法)、及び蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)。
【0231】
目的のタンパク質(抗インテグリン抗体)と標的(例えば、インテグリン)との結合相互作用は、OCTET(登録商標)システムを使用して分析することができる。この方法において、ForteBio社によって作製されたいくつかの器具のバリエーション(例えば、OCTET(登録商標)QK及びQK)のうちの1つを用いて、タンパク質相互作用、結合特異性、及びエピトープマッピングを決定する。OCTET(登録商標)システムは、カスタムチップを下ってセンサに戻る偏光の変化を測定することによって、リアルタイムの結合を簡単に監視できる。
【0232】
目的のタンパク質(抗インテグリン抗体)と標的(例えば、インテグリン)との結合相互作用は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して分析することができる。SPRまたは生体分子相互作用分析(BIA)は、いずれの相互作用物質も標識することなく、リアルタイムで二重特異性相互作用を検出する。BIAチップの結合表面における質量の変化(結合事象を示す)は、表面付近の光の屈折率の変化(表面プラズモン共鳴(SPR)の光学現象)をもたらす。屈折率の変化は、生体分子間のリアルタイム反応の指標として測定される検出可能な信号を生成する。SPRを使用する方法は、例えば、米国特許第5,641,640号、Raether(1988)Surface Plasmons Springer Verlag;Sjolander and Urbaniczky(1991)Anal.Chem.63:2338-2345;Szabo et al.(1995)Curr.Opin.Struct.Biol.5:699-705に記載されており、オンラインリソースは、BIAcore International AB(Uppsala,Sweden)によって提供されている。SPRからの情報は、生体分子の標的への結合に関する平衡解離定数(K)、ならびにKon及びKoffを含む動態パラメータの正確かつ定量的な測定値を提供するために使用することができる。
【0233】
エピトープはまた、BIACOREクロマトグラフィー技術を使用して、ヒトαvβ1、αvβ6、またはαvβ3、αvβ5、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のRGD結合インテグリンへの結合に関して互いに競合する異なる抗体の能力を評価することによって直接マッピングすることができる(Pharmacia BIAtechnology Handbook,“Epitope
Mapping”,Section 6.3.2,(May 1994);また、Johne et al.(1993)J.Immunol.Methods,160:191-198も参照されたい)。
【0234】
酵素免疫測定法を用いる場合、抗体、例えば、抗体産生細胞の培養上清または精製抗体を含有する試料を、抗原コーティングされたプレートに添加する。アルカリホスファターゼ等の酵素で標識した二次抗体を添加し、プレートをインキュベートし、洗浄後、p-ニトロフェニルリン酸等の酵素基質を添加し、吸光度を測定して抗原結合活性を評価する。
【0235】
抗体、例えば、ウエスタンブロット及び免疫沈降アッセイを評価するためのさらなる一般的なガイダンスは、Antibodies:A Laboratory Manual,ed.by Harlow and Lane,Cold Spring Harbor press(1988)において見出すことができる。
【0236】
適応症
A.グループI~III抗体
αvβ1インテグリンは、活性化線維芽細胞上で高度に発現され、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)を活性化し、かつ組織線維症を促進する役割を果たす(Reed et al.Sci,Transl.Med.,7:288(2015))。したがって、本明細書に記載される抗体(例えば、グループI、II及びIII抗体)のうちのいずれかは、本明細書に記載されるか、または当該技術分野で既知である任意の線維性疾患または状態の治療または予防に使用され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体は、少なくともTGFβの活性化を遮断するため、そのような疾患または状態を治療または予防するのに有用である。
【0237】
本明細書において提供される抗体を使用して、臓器線維症、軟部組織線維症、関節及び結合組織線維症、ならびに多臓器または全身性線維症を治療または予防することができる。臓器線維症の非限定的な例としては、肺線維症、腎線維症、肝(liver)/肝(hepatic)線維症、頭頸部線維症、脊髄(spinal cord)損傷/線維症、脳内の神経膠瘢痕、眼線維症、心線維症、皮膚線維症、及び骨髄(bone marrow)線維症が挙げられる。軟部組織線維症の非限定的な例としては、縦隔線維症及び後腹膜線維症が挙げられる。関節及び結合組織線維症の非限定的な例としては、関節線維症及び癒着性関節包炎が挙げられる。多臓器または全身性線維症の非限定的な例としては、サルコイドーシス、全身性硬化症、アミロイドーシス、外科的線維症、及び腎性全身性線維症が挙げられる。
【0238】
本明細書において提供される抗体を使用して、IPF(特発性肺線維症)、IPFの急性増悪、放射線誘発肺傷害/線維症、インフルエンザ誘発線維症、凝固誘発線維症、血管傷害誘発線維症、通常型間質性肺炎(UIP)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ブレオマイシン誘発線維症、喘息(例えば、慢性喘息)、珪肺症、アスベスト誘発線維症、急性肺傷害、及び急性呼吸困難(細菌性肺炎誘発、外傷誘発、ウイルス性肺炎誘発、人工呼吸器誘発、非肺敗血症誘発及び吸引誘発を含む)、肺ヒスチオサイトーシスX、ならびに進行性塊状線維症等であるが、これらに限定されない肺線維症を治療または予防することができる。
【0239】
本明細書において提供される抗体を使用して、急性腎傷害、特発性腎症候群、特発性膜性増殖性糸球体腎炎、傷害及び/または線維症に関連する慢性腎症(例えば、狼瘡、糖尿病、強皮症、糸球体腎炎、巣状分節状糸球体硬化症、IgA腎症、高血圧症、同種移植片及びアルポート病)等であるが、これらに限定されない腎線維症を治療または予防することができる。
【0240】
本明細書において提供される抗体を使用して、肝(liver)/肝(hepatic)線維症(急性肝傷害、胆管障害誘発線維症、及び肝硬変等であるが、これらに限定されない)、腸線維症(炎症性腸疾患及びクローン病等であるが、これらに限定されない)、眼線維症(角膜瘢痕、LASIX、角膜移植、及び線維柱帯切除術等であるが、これらに限定されない)、心線維症(特発性拘束性心筋症、心房線維症、心内膜線維症、及び心筋梗塞等であるが、これらに限定されない)、皮膚線維症(肥厚性瘢痕、焼灼性線維症、乾癬、及びケロイド等であるがこれらに限定されない)、ならびに骨髄線維症(bone marrow fibrosis)(骨髄線維症(myelofibrosis)等であるが、これらに限定されない)を治療または予防することができる。
【0241】
本明細書において提供される抗体を使用して、脂肪肝疾患及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)等の非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を治療または予防することができる。
【0242】
B.グループII抗体
αvβ6インテグリンは、フィブロネクチン、テネイシン、ならびに潜在関連ペプチド-1及び-3(LAP1及びLAP3)(TGF-β1の潜在型前駆体形態のN末端278アミノ酸)を含むいくつかのリガンドに結合することができる。TGF-βサイトカインは、N末端LAPが成熟活性C末端TGF-βサイトカインと非共有結合的に会合する潜在型複合体として合成される。潜在型TGF-β複合体は、その同族受容体に結合することができず、したがって、活性型に変換されるまで生物学的に活性ではない。αvβ6は、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(「RGD」)モチーフとの相互作用を通じてLAP1及びLAP3に結合し、このαvβ6のLAP1またはLAP3への結合により、TGF-βをその受容体に結合させる潜在型複合体の立体構造変化の結果として、TGF-β1及びTGF-β3の潜在型前駆体形態が活性化される。したがって、αvβ6の上方制御発現は、TGF-βの局所活性化をもたらすことができ、次いで、下流事象のカスケードを活性化することができる。
【0243】
TGF-βサイトカインは、細胞増殖、分化、及び免疫応答を調節する多面発現性増殖因子である。TGF-βは、がんにおいても役割を果たす。TGF-βは腫瘍抑制因子及び増殖抑制活性を有することが認められるが、多くの腫瘍はTGF-βの増殖抑制活性に対する耐性を進化させる。確立された腫瘍では、TGF-βの発現及び活性は、腫瘍の生存、進行、及び転移の促進に関与している。これは、免疫監視、血管新生、及び腫瘍間質圧の増加に対するTGF-βの効果を含む、局所腫瘍間質環境における自己分泌及びパラクリン作用の両方に媒介されると考えられている。いくつかの研究では、TGF-βを阻害することによる抗腫瘍作用及び抗転移作用が示されている。
【0244】
αvβ6インテグリンは、健康な組織において比較的低レベルで上皮細胞上で発現し、発生、傷害、及び創傷治癒中に有意に上方制御される。αvβ6インテグリンの発現は、結腸癌、扁平上皮癌、卵巣癌、及び乳癌を含む上皮由来のがんで上方制御される。
【0245】
αvβ1及びαvβ6インテグリンの両方に結合するが、他のインテグリンには結合しない本明細書に記載の抗体(すなわち、グループII抗体)を使用して、上皮及び/または内皮細胞傷害(例えば、肺胞上皮傷害)から保護することができる。本明細書に記載されるグループII抗体を使用して、αvβ6受容体とRGD含有リガンド、例えば、ウイルス表面上のタンパク質との相互作用を遮断し、それによってウイルス感染を低減または予防することができる。
【0246】
本明細書に記載されるグループII抗体は、上皮癌等であるが、これに限定されないがんまたはがん転移(腫瘍増殖及び浸潤を含む)の治療に使用することができる。上皮癌の非限定的な例としては、扁平上皮癌、例えば、頭頸部(経口、喉頭、咽頭、食道を含む)、乳房、肺、前立腺、子宮頸部、結腸、膵臓、皮膚(基底細胞癌)、卵巣及び腎癌(例えば、腎細胞癌)が挙げられる。また、本明細書に記載のグループII抗体は、腎移植患者の脳及び中枢神経系腫瘍(例えば、膠芽腫)、眼疾患(例えば、黄斑変性及び加齢黄斑変性)、骨粗しょう症、ならびに慢性尿細管障害、慢性腎疾患、(慢性)間質性線維症、尿細管萎縮、及び慢性同種移植片機能障害等であるが、これらに限定されない腎疾患に対して使用することもできる。
【0247】
本開示は、患者の前浸潤性病変または癌腫を特定し、浸潤性形態に進化する機会を有する前に、前浸潤性病変を排除するように患者を治療することによって、転移癌を治療または予防する方法を含む。かかる方法は、例えば、(a)がんまたは前浸潤性病変を含有すると疑われる組織試料、及びがんまたは前浸潤性病変を含有しない組織試料(好ましくは、がんまたは前浸潤性病変を含有すると疑われる組織または臓器と同じ組織または臓器から)を得ることと、(b)存在する場合はいつでも、組織中のαvβ6インテグリンへの1つ以上のαvβ6結合リガンドの結合に有利な条件下で、本明細書に記載の任意のグループII抗体等の1つ以上のαvβ6結合リガンドと組織試料を接触させることと、(c)組織へのαvβ6結合リガンド(複数可)の結合のレベルまたはパターンを検出することと、を含み、過形成(例えば、腫瘍)を取り巻く筋上皮におけるαvβ6結合リガンドの局在化結合の、過形成自体(またはその細胞)における結合と比較した増加、またはがん性もしくは前浸潤性病変を含有する組織試料におけるαvβ6結合リガンドの結合レベルの、非がん性組織試料(またはその細胞)における結合と比較した増加は、浸潤性になって転移する可能性が高い癌腫を示している。他の関連する実施形態において、本発明は、患者における転移前または前浸潤性腫瘍から転移性または浸潤性腫瘍への進行を低減または予防する方法を企図し、転移前または前浸潤性腫瘍内の1つ以上の細胞上のインテグリンαvβ6の1つ以上のサブユニットに結合する治療有効量の1つ以上のリガンドを患者に投与することを含み、リガンドのインテグリンへの結合は、原発腫瘍を取り巻く組織領域への転移前または前浸潤がんの細胞の浸潤を低減または予防する。他の実施形態において、本発明の方法は、異なるアプローチによる腫瘍の除去、治療または根絶後の、残存腫瘍細胞、例えば、残存転移性細胞の排除に好適である。例えば、かかる方法を使用して、腫瘍の外科的切除または照射、化学療法等の方法による腫瘍根絶後に患者に残存し得る残存腫瘍細胞または転移性細胞を排除することができる。そのような治療レジメンでは、本発明の方法は、腫瘍の外科的、放射線学的、及び/または化学療法的アブレーションの前、その間、及び/またはその後に、αvβ6結合抗体を患者に投与することを含み得る。
【0248】
C.グループIII抗体
αvβ1と、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する本明細書に記載の抗体(すなわち、グループIII抗体)は、固形腫瘍(例えば、膵臓癌または乳癌)等であるが、これらに限定されないがんまたはがん転移の治療に使用することができる。本明細書に記載のグループIII抗体は、骨転移の有無にかかわらず、卵巣癌、結腸直腸癌、及び前立腺癌の治療、ならびに腎細胞癌、腹膜癌、脳及び中枢神経系腫瘍、ならびに黒色腫の治療に使用することができる。本明細書に記載されるグループIII抗体は、黄斑変性、加齢黄斑変性(AMD)、滲出型加齢黄斑変性、糖尿病性黄斑浮腫、及び糖尿病性網膜症等であるが、これらに限定されない眼疾患の治療に使用することができる。本明細書に記載されるグループIII抗体はまた、急性冠症候群(ACS)、自己免疫疾患、及び骨粗しょう症の治療に使用することができる。自己免疫疾患の非限定的な例としては、関節リウマチ、乾癬、狼瘡、炎症性腸疾患、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、グレーブス病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、及び血管炎が挙げられる。本明細書に記載されるグループIII抗体は、抗血栓剤として有用であり得、例えば、経皮的冠動脈形成術(ステント留置の有無にかかわらない血管形成術)中に使用することができる。
【0249】
本発明の抗体の有効性は、様々な動物モデルにおいて評価することができる。肺線維症のマウスモデルとしては、ブレオマイシン(Pittet et al.,J.Clin.Invest.,107(12):1537-1544(2001)、及びMunger et al.,Cell,96:319-328(1999))及び放射線照射誘発性肺線維症(Franko et al.,Rad.Res.,140:347-355(1994))が挙げられる。腎線維症のマウスモデルとしては、COL4A3-/-マウス(例えば、Cosgrove et al.,Amer.J.Path.,157:1649-1659(2000)を参照されたい)、アドリアマイシン誘発傷害を有するマウス(Wang et al.,Kidney International,58:1797-1804(2000)、Deman et al.,Nephrol Dial Transplant,16:147-150(2001))、db/dbマウス(Ziyadeh et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97:8015-8020(2000))、及び片側尿管閉塞を有するマウス(Fogo et al.,Lab Investigation,81:189A(2001)、及びFogo et al.,Journal of the American Society of Nephrology,12:819 A(2001))が挙げられる。本明細書に記載のαvβ6抗体は、標準的なインビボ腫瘍増殖及び転移モデルにおける腫瘍増殖、進行、及び転移を阻害するそれらの能力について評価され得る。例えば、Rockwell et al.,J.Natl.Cancer Inst.,49:735(1972)、Guy et al.,Mol.Cell Biol.,12:954(1992)、Wyckoff et al.,Cancer Res.,60:2504(2000)、及びOft et al.,Curr.Biol.,8:1243(1998)を参照されたい。
【0250】
治療の有効性は、身体検査、血液検査、タンパク質尿測定、クレアチニンレベル及びクレアチニンクリアランス、肺機能検査、血漿血中尿素窒素(BUN)レベル、瘢痕または線維性病変の観察及びスコアリング、コラーゲン、平滑筋アクチン及びフィブロネクチン等の細胞外マトリックスの沈着、腎機能検査、超音波、磁気共鳴イメージング(MRI)、ならびにCTスキャンを含む、多数の利用可能な診断ツールによって測定され得る。
【0251】
薬学的組成物
本明細書に記載の抗インテグリン抗体は、例えば、本明細書に記載の疾患または状態を治療するために対象に投与するための薬学的組成物として製剤化することができる。典型的には、薬学的組成物は、薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、生理学的に適合性である、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、ならびに吸収遅延剤等を含む。組成物は、薬学的に許容される塩、例えば、酸付加塩または塩基付加塩を含むことができる(例えば、Berge,S.M.,et al.(1977)J.Pharm.Sci.66:1-19を参照されたい)。
【0252】
薬学的製剤は、十分に確立された技術であり、例えば、Gennaro(ed.),Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th ed.,Lippincott,Williams & Wilkins(2000)(ISBN:0683306472)、Ansel et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th Ed.,Lippincott Williams&Wilkins Publishers(1999)(ISBN:0683305727)、及びKibbe(ed.),Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association,3rd ed.(2000)(ISBN:091733096X)中でさらに説明されている。
【0253】
薬学的組成物は、様々な形態であってもよい。これらには、例えば、液体溶液(例えば、注射可能及び注入可能な溶液)、分散液または懸濁液、錠剤、丸剤、粉末、リポソーム及び坐剤等の液体、半固体及び固体剤形が含まれる。好ましい形態は、意図される投与様式及び治療用途に依存し得る。典型的には、本明細書に記載の薬剤のための組成物は、注射可能または注入可能な溶液の形態である。
【0254】
そのような組成物は、非経口様式(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内注射)によって投与され得る。一実施形態では、抗体組成物は、静脈内に投与される。別の実施形態では、当該抗体組成物は、皮下投与される。本明細書で使用される場合、「非経口投与」及び「非経口的に投与される」という語句は、通常、注射による経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、及び胸骨内注射及び注入を含むが、これらに限定されない。
【0255】
組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または高濃度での安定保管に適した他の規則構造として製剤化することができる。注射可能な滅菌溶液は、必要に応じて、必要とされる量の本明細書に記載の薬剤を、上に列挙される成分のうちの1つまたは成分の組み合わせを含む適切な溶媒に配合し、その後に濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、基本の分散媒と、上に列挙されるものからの必要とされる他の成分と、を含有する滅菌ビヒクルに本明細書に記載される薬剤を配合することによって調製される。注射可能な滅菌溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、本明細書に記載の薬剤の粉末に加えて、あらかじめ滅菌濾過されたその溶液からの任意の追加の所望成分をもたらす、真空乾燥及びフリーズドライである。
【0256】
投与
本明細書に記載の抗体は、例えば、様々な方法によって、当該抗体の投与を必要とする対象、例えば、ヒト対象に投与され得る。多くの用途において、投与経路は、静脈内注射もしくは注入(IV)、皮下注射(SC)、腹腔内注射(IP)、または筋肉内注射のうちの1つである。関節内送達を使用することも可能である。非経口投与の他の様式も使用することができる。そのような様式の例としては、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、ならびに硬膜外及び胸骨内注射が挙げられる。ある場合には、投与は経口投与であり得る。
【0257】
抗体またはその抗原結合断片の投与経路及び/または様式は、例えば、腫瘍を可視化するために、例えば断層撮影イメージングを使用して、対象を監視することによって、個々の症例に合わせて調整することもできる。
【0258】
対象が本明細書に記載の疾患または状態を発症するリスクがある場合、抗体は、疾患または状態が完全に発症する前に、例えば、予防措置として投与することができる。かかる予防処置の持続時間は、抗体の単回投与量であってもよく、または当該処置は継続してもよい(例えば、複数回投与)。例えば、疾患のリスクがある対象、または疾患の素因を有する対象は、疾患の発生または発症を防止するために、数日間、数週間、数ヶ月、または数年間にわたって抗体で処置してもよい。
【0259】
薬学的組成物は、「治療有効量」の、本明細書に記載の薬剤を含み得る。かかる有効量は、投与される薬剤の効果、または2つ以上の薬剤が使用される場合の薬剤の組み合わせ効果に基づいて決定することができる。また、薬剤の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する化合物の能力、例えば、少なくとも1つの疾患もしくは状態パラメータの緩和、または疾患もしくは状態の少なくとも1つの症状の緩和等の要因に応じて異なり得る。治療有効量はまた、治療上有益な作用が組成物のいかなる毒性または有害作用をも上回るものでもある。
【0260】
治療のためのデバイス及びキット
本明細書に記載の抗体を含む薬学的組成物は、医療デバイスを用いて投与することができる。当該デバイスは、携帯性、室温保管、及び使いやすさ等の特徴を有するように設計することができ、例えば、訓練を受けていない対象または現場の救急隊員によって、医療施設及び他の医療機器から取り外して緊急事態で使用することができる。デバイスは、例えば、抗体を含む薬学的調製物を保管するための1つ以上のハウジングを含むことができ、抗体の1つ以上の単位用量を送達するように構成することができる。デバイスは、本明細書に記載される抗体も含む単一の薬学的組成物として、または2つの別個の薬学的組成物として、第2の薬剤を投与するようにさらに構成することができる。
【0261】
薬学的組成物は、注射器を用いて投与することができる。薬学的組成物はまた、US5,399,163、5,383,851、5,312,335、5,064,413、4,941,880、4,790,824、または4,596,556に開示されているデバイス等の無針皮下注射デバイスを用いて投与することができる。周知のインプラント及びモジュールの例としては、制御された速度で薬物を分配するための移植可能な微小注入ポンプを開示するUS4,487,603、皮膚を通して薬物を投与するための治療デバイスを開示するUS4,486,194、正確な注入速度で薬物を送達するための薬物注入ポンプを開示するUS4,447,233、連続的薬物送達のための可変流量埋め込み型注入装置を開示するUS4,447,224、多チャンバ区画を有する浸透性薬物送達システムを開示するUS4,439,196、及び浸透性薬物送達システムを開示するUS4,475,196が挙げられる。他の多くのデバイス、インプラント、送達システム、及びモジュールも知られている。
【0262】
本明細書に記載の抗体は、キットで提供することができる。一実施形態では、キットは、(a)本明細書に記載の抗体を含む組成物を収容する容器、及び任意選択的に(b)情報資料を含む。情報資料は、本明細書に記載される方法及び/または治療上の利益のための薬剤の使用に関する説明的、指導的、マーケティング、または他の資料であり得る。
【0263】
一実施形態では、キットは、本明細書に記載の疾患または状態を治療するための第2の薬剤も含む。例えば、キットは、本明細書に記載の抗体を含む組成物を収容する第1の容器、及び第2の薬剤を含む第2の容器を含む。
【0264】
キットの情報資料は、その形態において限定されない。一実施形態では、情報資料は、化合物の産生、化合物の分子量、濃度、有効期限、バッチまたは産生部位情報等についての情報を含むことができる。一実施形態では、情報資料は、本明細書に記載される抗体を、例えば、好適な投与様式(例えば、本明細書に記載される投与様式)で、本明細書に記載される疾患もしくは状態を有しているか、またはそのリスクがある対象を治療するために投与する方法に関する。当該情報は、様々な形式で提供することができ、印刷されたテキスト、コンピュータ読み取り可能な資料、ビデオ録音、もしくは音声録音、または例えば、インターネット上の、実質的な資料へのリンクもしくはアドレスを提供する情報を含む。
【0265】
抗体に加えて、キットにおける組成物は、溶媒もしくは緩衝液、安定剤、または保存剤等の他の成分を含むことができる。抗体は、任意の形態、例えば、好ましくは、実質的に純粋及び/または無菌の、液体、乾燥、または凍結乾燥形態で提供することができる。薬剤が液体溶液で提供される場合、当該液体溶液は、好ましくは水溶液である。薬剤が乾燥形態として提供される場合、再構成は一般に、好適な溶媒の添加による。溶媒、例えば、無菌水または緩衝液は、任意選択的にはキットで提供することができる。
【0266】
キットは、薬剤を含有する1つ以上の組成物のための1つ以上の容器を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、組成物及び情報資料のための別個の容器、仕切り、または区画を含有する。例えば、組成物は、ボトル、バイアル、またはシリンジに収容することができ、情報資料は、プラスチックスリーブまたはパケットに収容することができる。他の実施形態では、キットの別個の要素は、単一の分割されていない容器内に収容される。例えば、組成物は、ラベルの形態で情報資料が添付されたボトル、バイアル、またはシリンジに収容される。いくつかの実施形態では、キットは、各々が薬剤の1つ以上の単位剤形(例えば、本明細書に記載される剤形)を収容する、複数(例えば、パック)の個々の容器を含む。容器は、組み合わせ単位投与量、例えば、本明細書に記載の抗体及び第2の薬剤の両方を、例えば、所望の比で含む単位を含むことができる。例えば、キットは、例えば、各々が単一の組み合わせ単位用量を収容する、複数のシリンジ、アンプル、ホイルパケット、ブリスターパック、または医療デバイスを含む。キットの容器は、気密性、防水性(例えば、水分の変化または蒸発に対して不浸透性)、及び/または光密性であり得る。キットは、任意に、組成物の投与に適したデバイス、例えば、シリンジまたは他の好適な送達デバイスを含む。デバイスは、薬剤の一方もしくは両方が予め装填されて提供され得るか、または空だが、装填に好適であり得る。
【0267】
目的の抗インテグリン抗体を選択する方法
本開示のいくつかの態様は、本明細書に記載の抗インテグリン抗体のうちのいずれかを使用して、目的の抗体を選択する、発見する、または単離する方法を提供する。目的の抗体は、αvβ1インテグリンに結合するが、他のインテグリン(例えば、他のαvもしくはβ1含有インテグリンまたはRGDファミリーインテグリン)には結合しない抗体、αvβ1及びαvβ6インテグリンに結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体、またはαvβ1と、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体であり得る。
【0268】
例として、目的の抗インテグリン抗体を選択するために、誘導抗体を使用して誘導選択プロセスを実行することができ、誘導抗体は、αvβ1インテグリンに結合するが、他のインテグリン(例えば、他のαvもしくはβ1含有インテグリン、またはRGDファミリーインテグリン)には結合しない本明細書に記載の抗体(例示的抗体1~10等)であり得る。例えば、標識された組換えまたは精製αvβ1インテグリン(例えば、αv及びβ1の細胞外ドメインを含む1つ以上のポリペプチド)及び原核または真核(例えば、酵母)抗体発現ライブラリを提供することができる。誘導抗体の添加時に標識抗原への結合が減少したことを示す抗体発現ライブラリ内のクローンを選択することができ、これらは目的の抗体について濃縮される。誘導選択プロセスのさらなる説明は、例えば、Cherf
and Cochran,Methods Mol Biol.1319:155-75,2015、Xu et al.Protein Eng Des Sel.26(10):663-70,2013、及びMann et al.ACS Chem Biol.8(3):608-16,2013に見出すことができる。いくつかの事例では、例示的抗体11~14及び15~20のうちのいずれか1つ以上を誘導抗体として使用して、目的の抗体(例えば、αvβ1インテグリンに結合するが、他のインテグリン(例えば、他のαvもしくはβ1含有インテグリン、またはRGDファミリーインテグリン)には結合しない抗体、αvβ1及びαvβ6インテグリンに結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体、またはαvβ1と、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体)を選択、発見、または単離することもできる。
【0269】
αvβ1インテグリンに結合するが、他のインテグリン(例えば、他のαvもしくはβ1含有インテグリン、またはRGDファミリーインテグリン)には結合しない抗体を選択するために、例えば、当該方法は、望ましくないインテグリン、例えば、αvもしくはβ1含有インテグリン、またはRGDファミリーインテグリン(αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、及びαIIBβ3を含む)に結合する抗体を枯渇させることをさらに含み得る。当該方法はまた、目的の標的インテグリン、αvβ1インテグリンを使用した陽性選択ステップを含み得る。αvβ1及びαvβ6インテグリンに結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体は、αvβ1及びαvβ6以外のインテグリンに結合する抗体を枯渇させることによって、及び/またはαvβ1及びαvβ6インテグリンを用いて陽性選択を実行することによって同様に選択することができる。このような原理は、αvβ1と、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体の選択にも適用される。
【0270】
また、上記のステップのうちの1つ以上を介して濃縮された抗体を親和性成熟に供して標的インテグリンに対する親和性及び特異性を増加させ、親和性を最適化するための当該技術分野で既知の方法(例えば、軽鎖シャッフルまたはH-CDR1/H-CDR-2標的変異誘発)を使用してライブラリを構築することができる。
【実施例0271】
以下の実施例は、特許請求される発明をよりよく例示するために提供され、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。特定の材料が言及される範囲では、それは単に例示のためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。当業者は、本発明の能力を行使することなく、本発明の範囲から逸脱することなく、同等の手段または反応物質を開発することができる。
【0272】
実施例1:抗体選択及び抗体産生の設計
インテグリンαvβ1は、いくつかの細胞外マトリックスタンパク質に結合することが知られている。ヘテロ二量体複合体は、アルファサブユニットαv及びベータサブユニットβ1(配列番号1及び2)の組み合わせである。αvサブユニットは、β3、β5、β6、及びβ8の4つの追加のβサブユニットとの機能的対合が可能である。β1サブユニットは、11個の追加のαサブユニット:α1、α2、α3、α4、α5、α6、α7、α8、α9、α10、α11(Hynes R O,Cell,110(6):673-87(2002))との機能的対合が可能である。
【0273】
インテグリンαvβ1は、当該技術分野で知られている方法に従って組換え発現及び精製された。さらに、インテグリンαvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α4β1、α5β1、及びα8β1を、当該技術分野で既知の方法に従って組換え発現させ、精製した。本開示には、αvβ1インテグリンに結合するが、他のインテグリンには結合しない(例えば、他のαvまたはβ1含有インテグリンには結合しない)抗体、αvβ1及びαvβ6インテグリンに結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体、ならびにαvβ1と、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体、という3つの異なる抗体群が記載されている。
【0274】
これらの抗体群を生成するために、Adimab発現ライブラリを、米国特許公開第2010/0056386号及び第2009/0181855号に開示される方法に従ってスクリーニングした。目的の抗原αvβ1(配列番号1及び2)に向けた選択圧と、望ましくない抗原αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α4β1、α5β1、及びα8β1への結合を減少させる選択圧との反復ラウンドを複数回実行した。αvβ1及びαvβ6への結合が望ましい選択において、αvβ6に対する選択圧の反復ラウンドを導入し、αvβ6への結合を減少させるラウンドを排除した。選択はまた、誘導タンパク質(すなわち、mAb、Fab、またはリガンド)を使用して目的のエピトープへと誘導するように設計できる。選択は、カルシウム、マグネシウム、及びマンガンを含むカチオンの存在下及び不在下で実行した。選択が完了した後、コロニーを配列決定して、当該技術分野で既知の技術を使用して独自のクローンを特定した。4つのキャンペーンの後、2500を超える抗体を、当該技術分野で既知の方法を使用して、酵母由来のプロテインA樹脂上で発現させ、精製した。αvβ1特異的抗体、αvβ1/αvβ6特異的抗体、及びαvβ1+1つ以上のインテグリンに結合する抗体のトリアージについての一般的な概要を図1に示す。
【0275】
また、抗体の最適化を実行して、αvβ1に対する特定の抗体の親和性を増加させるとともに、インテグリン特異性を微調整した。親和性を最適化するための当該技術分野で既知の方法(すなわち、軽鎖シャッフル及びH-CDR1/H-CDR-2標的変異誘発)を使用して、抗体ライブラリを構築した。減少濃度のαvβ1組換えタンパク質を使用して、目的の抗原に対する選択圧の反復ラウンドを複数回適用した。望ましくない抗原αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α4β1、α5β1、及びα8β1への結合を減少させる選択圧を実行した。選択が完了した後、コロニーを配列決定して、当該技術分野で既知の技術を使用して独自のクローンを特定した。抗体最適化キャンペーンの後、500を超える抗体を、当該技術分野で既知の方法を使用して、酵母由来のプロテインA樹脂上で発現させ、精製した。
【0276】
この分析により、20個の抗体を特定した。これらの抗体のCDR及び可変領域のアミノ酸配列を本明細書において提供する。
【0277】
実施例2:結合動態及びインテグリン特異性の決定
キャンペーン1~3の後、抗体を、カチオンの存在下または不在下で、αvβ1への陽性結合について最初にスクリーニングした。その後、陽性抗体を、他のαv含有及びβ1含有インテグリンへの結合についてスクリーニングした。このスクリーニングステップは、αvサブユニット及びβ1サブユニットの組み合わせを認識する抗体に特化して今後の特徴付けを行い、αvサブユニットまたはβ1サブユニットのみを認識する抗体を排除するために実行した。また、このステップにより、RGD結合インテグリン(すなわち、αvβ1、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、αIIBβ3)及び非RGD結合β1含有インテグリン(すなわち、α4β1)への結合の優先性に基づいて抗体を層別化することが可能になる。
【0278】
抗体を、バイオレイヤー干渉法(BLI)を用いて標的抗原への結合についてスクリーニングした。BLIは、標準的な手順に従って、ForteBio製Octet RED384及びOctet HTX機器上で実行した。抗体のサブセットを、追加のアッセイにおける後続のスクリーニングに対する特異性に基づいて分類した。
【0279】
αvβ1特異的、非特異的、及び部分選択的抗体に対する観察された結合動態の例を、図2A~K及び図3A~Eに示す。さらに、組換えαvβ1に対する一価結合親和性を、図4A~Jに示す。これは、元の3つのキャンペーン及びその後の親和性最適化キャンペーンからの抗体を含む。親和性成熟後の一価親和性スクリーニングにより、最適化からの親和性が最も高いクローンを選択し、さらなる特性付けを行うことが可能になった。
【0280】
αvβ1に対する特異性を示す抗体の例としては、例示的抗体1及び例示的抗体2が挙げられる。部分選択的抗体の例としては、例示的抗体15及び例示的抗体16が挙げられる。親和性成熟後に選択される親和性がより高い抗体としては、例示的抗体4及び例示的抗体5が挙げられる。
【0281】
実施例3:細胞表面結合及びインテグリン特異性の決定
αvβ1、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α4β1、α5β1、及びα8β1を発現する安定したトランスフェクト細胞を、当該技術分野で既知の方法によって作製した。
【0282】
キャンペーン1~3の後、最初に、Octet RED384及びOctet HTXによって抗体をスクリーニングした。抗体のサブセットを、トランスフェクト細胞及び未トランスフェクト細胞に対する追加の特異性スクリーニング及び親和性測定のために選択した。キャンペーン4の後、αvβ1を発現する安定的にトランスフェクトされた細胞上で抗体を直接スクリーニングした。その後、陽性抗体を、他のαv含有及びβ1含有の安定的にトランスフェクトされた細胞への結合についてスクリーニングした。このスクリーニングステップは、αvサブユニット及びβ1サブユニットの組み合わせを認識する抗体に絞りこんで今後の特徴付けを行い、αvサブユニットまたはβ1サブユニットのみを認識する抗体を排除するために実行した。また、このステップにより、RGD結合インテグリン(すなわち、αvβ1、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、αIIBβ3)及び非RGD結合β1含有インテグリン(すなわち、α4β1)への結合の優先性に基づいて抗体を層別化することが可能になる。
【0283】
1~3の濃度で初期細胞結合スクリーニングを行った後、6または11ptの滴定を、複数のαv含有及びβ1含有細胞株に対して実行した。
【0284】
細胞を採取し、生存率が90%超であることが確認された。細胞を、1500rpmで3分間ペレット化し、次いで上清を流出させることによって、適切なアッセイ緩衝液中で3回洗浄した。この実験のアッセイ緩衝液は、1mg/mLのBSAを含有するTBSであり、1mMのCa+1mMのMgまたは1mMのMnのいずれかを補充した。次いで、細胞を1.0~1.5×10個の細胞/mLの濃度のアッセイ緩衝液中に再懸濁し、50μLのアリコート中の96ウェルアッセイプレート(Corning 3799)のウェルに移した。次いで、プレートを2000RPMで3分間遠心分離して細胞をペレット化し、上清をフリックアウトした。細胞を100μLの抗体試料中に再懸濁し、氷上で45~60分間インキュベートした。抗体濃度が低くなると、より長いインキュベーション時間が必要であった。
【0285】
プレートを、2000RPMで3分間ペレット化し、次いで上清をフリックアウトすることによって、150μLのアッセイ緩衝液中で3回洗浄した。次いで、細胞を、フィコエリスリンコンジュゲートヤギ抗ヒトFab二次試薬50μL中に再懸濁し、暗所で氷上で30分間インキュベートした。プレートを、2000RPMで3分間ペレット化し、次いで上清をフリックアウトすることによって、150μLのアッセイ緩衝液中で3回洗浄した。次いで、細胞を氷上で30分間、200μLのアッセイ緩衝液+1%ポリホルムアルデヒド(PFA)中に再懸濁し、細胞を固定した。細胞をペレット化してPFAを除去し、次いで150μLのアッセイ緩衝液中に再懸濁した。
【0286】
細胞集団をBD FACSCALIBURフローサイトメータ上で分析した。
【0287】
αvβ1特異的抗体及び部分選択的抗体の観察された結合滴定の例を図5A~E及び図6A~Jに示す。これには、元の4つのキャンペーン及びその後の親和性最適化キャンペーンからの抗体が含まれる。細胞表面結合の二価親和性(すなわち、EC50)を、表1のRGD結合インテグリンのサブセットについて要約する。
【表1-1】
【表1-2】
【0288】
αvβ1に対する特異性を示す抗体の例としては、例示的抗体5、例示的抗体4、例示的抗体7、及び例示的抗体8が挙げられる。αvβ1及びαvβ6の両方に対して特異性を示す抗体の例としては、例示的抗体11、例示的抗体12、及び例示的抗体14が挙げられる。部分選択的である抗体(すなわち、αvβ1と、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する)の例としては、例示的抗体19及び例示的抗体17が挙げられる。
【0289】
実施例4:αvβ1潜在関連ペプチド接着阻害
特異的及び部分選択的抗体を決定した後、当該抗体を潜在関連ペプチド(LAP)接着アッセイにおいて試験して、機能的な生物学的活性を破壊し得る抗体に絞りこむためにインテグリン/リガンド相互作用を遮断する能力を確認した。LAPは、αvβ1ヘテロ二量体、ならびにαvβ6及びαvβ8を含む他のインテグリンヘテロ二量体のための多くのリガンドのうちの1つである。
【0290】
96ウェルマイクロタイタープレート(Costar 3369)を、50mMの炭酸水素ナトリウム(pH9.2)中で希釈した10μg/ml LAP(R&D Systems、カタログ番号246-LP)の100μl/ウェルで、4℃で一晩コーティングした。プレートをPBS(200μl/ウェル)で2回洗浄し、PBS中の1%BSA(200μl/ウェル)で1時間室温でブロックし、200μl/ウェルのアッセイ緩衝液(TBS、2mMグルコース、0.1%BSA、1mM CaCl及び1mM MgCl、pH7.4)で3回洗浄した。安定的にトランスフェクトされたヒトαvβ1細胞を細胞懸濁液から取り出し、1100rpmで5分間遠心分離した。ペレットをRPMI
1640、1%BSA緩衝液中に再懸濁し、2μMの蛍光色素(BCECF、Molecular Probes、Eugene、OR)とともに、37℃のインキュベーター中で30分間インキュベートした。標識細胞を1100rpmで5分間遠心分離することによって2回洗浄し、アッセイ緩衝液中で0.8X10細胞/mlに再懸濁した。洗浄したプレートの個々のウェルに、精製抗体50μl及びBCECFで標識したヒトαvβ1細胞50μlを加え、プレートを暗所で1時間室温でインキュベートした。プレートをアッセイ緩衝液(200μl/ウェル)で3~4回洗浄し、プレート上に接着した細胞による蛍光を485nm(励起)及び538nm(発光)波長で記録した。結合パーセントを、最終洗浄ステップ前の蛍光(すなわち、添加した全細胞)を洗浄後の蛍光(すなわち、結合した細胞)と比較することによって決定した。
【0291】
αvβ1 LAPの接着阻害の例を図7A~Eに示す。これには、汎αv市販抗体(L230)、汎β1市販抗体(mAb13)、公表されているβ6特異的抗体、及び以前にαvβ1特異的として公表されているc8小分子化合物の例が含まれる(Reed NI
et al,Sci Transl Med,7(288):288ra79(2015))。細胞ベースの接着の阻害(すなわち、IC50)を、表2のすべての抗体について概説する。
【表2】
【0292】
LAP接着を阻害する抗体の例としては、例示的抗体5、例示的抗体17、例示的抗体11、例示的抗体14、及び例示的抗体8が挙げられる。LAP接着を阻害しない抗体の例としては、例示的抗体18が挙げられる。
【0293】
実施例5:α4β1血管細胞接着タンパク質(VCAM)接着阻害
他のRGD結合インテグリンに対するαvβ1インテグリンの特異性は、安定してトランスフェクトされた細胞株への組換えタンパク質及び/または細胞表面結合に関するOctetスクリーニングによって確立された。また、抗体を、リガンドを含有するRGDには結合しないβ1含有インテグリンであるα4β1への結合について試験した。実施例3におけるα4β1への結合の不在を確認するために、抗体を細胞接着アッセイにおいて試験して、それらがα4β1/リガンド(すなわち、VCAM)相互作用を阻害するかどうかを決定した。β1含有インテグリンに対して追加の交差反応性を示すことは望ましくない。
【0294】
96ウェルマイクロタイタープレート(Costar 3369)を、50mMの炭酸水素ナトリウム(pH9.2)中で希釈した10μg/mlのVCAM-Igの100μl/ウェルで、4℃で一晩コーティングした。プレートをPBS(200μl/ウェル)で2回洗浄し、PBS中の1%BSA(200μl/ウェル)で1時間室温でブロックし、200μl/ウェルのアッセイ緩衝液(TBS、2mMグルコース、0.1%BSA、1mM CaCl及び1mM MgCl、pH7.4)で3回洗浄した。Jurkat細胞を細胞懸濁液から取り出し、1500rpmで5分間遠心分離した。ペレットをRPMI 1640、1%BSA緩衝液中に再懸濁し、2μMの蛍光色素(BCECF、Molecular Probes、Eugene、OR)とともに、37℃のインキュベーター中で30分間インキュベートした。標識細胞を1100rpmで5分間遠心分離することによって2回洗浄し、アッセイ緩衝液中で0.8X10細胞/mlに再懸濁した。洗浄したプレートの個々のウェルに、精製抗体50μl及びBCECFで標識したJurkat細胞50μlを加え、プレートを暗所で1時間室温でインキュベートした。プレートをアッセイ緩衝液(200μl/ウェル)で3~4回洗浄し、プレート上に接着した細胞による蛍光を485nm(励起)及び538nm(発光)波長で記録した。結合パーセントを、最終洗浄ステップ前の蛍光(すなわち、添加した全細胞)を洗浄後の蛍光(すなわち、結合した細胞)と比較することによって決定した。
【0295】
α4β1 VCAM接着阻害の例を図8に示す。これには、汎αv市販抗体(L230)、汎β1市販抗体(mAb13)、公表されているα4特異的抗体(ナタリズマブ)、及び以前にαvβ1特異的であるとして公表されているc8小分子化合物の例が含まれる(Reed NI et al,Sci Transl Med,7(288):288ra79(2015))。このデータにより、抗体がα4β1には結合しないか、または細胞接着を妨害しないことが確認される。例としては、例示的抗体17、例示的抗体19、例示的抗体4、及び例示的抗体5が挙げられる。予想通り、mAb13(汎β1)及びナタリズマブ(α4)抗体は接着を阻害する。c8小分子化合物は、α4β1/VCAM接着を阻害しないが、α4β1結合は、当初公表では特定されなかった。その後に発表された研究は、c8小分子化合物についての未知で望ましくないインテグリン交差反応性の可能性を強調している(Wilkinson AL et al,Eur J Pharmacol,842:239-247(2019))。α4β1 VCAM接着阻害アッセイの結果は、c8がVCAMへの結合を破壊するのに十分な親和性でα4β1に結合することを確認する。
【0296】
実施例6:線維芽細胞結合アッセイ
内因性細胞株(すなわち、遺伝子操作されていない)上のαvβ1への結合も望ましい。線維芽細胞を直接標的とするために、抗体の結合を、ヒト肺線維芽細胞株であるMRC9細胞、及びマウス骨格筋線維芽細胞株であるBLO-11上で試験した。
【0297】
MRC9細胞をSigma(#85020202)から得て、10%ウシ胎児血清(Gibco製FBS、#16000-077)を補充したEMEM(ATCC、#30-2003)中で維持した。BLO-11細胞をATCC(#CCL-198)から得て、10%FBSを補充したDMEM(ATCC、#30-2002)中で維持した。細胞を、細胞解離緩衝液(Gibco、#13150-016)を用いて37℃で10分間インキュベートすることによって採取し、次いで、CaCl及びMgCl(FACS++緩衝液、PBS+1% BSA+1mM CaCl+1mM MgCl)を含有するFACS緩衝液で洗浄した。すべての染色及び洗浄ステップを、FACS++緩衝液中で4℃で実行した。96ウェルU底プレートにおいて、ウェル当たり0.75×10個の細胞をプレーティングし、次いでスピンダウンして上清を除去した。次いで、細胞を連続希釈一次抗体中に再懸濁し、30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を2回洗浄し、次いで、α-ヒトIgG Alexa Fluor 647(Invitrogen、#A21445)二次抗体とともにさらに30分間インキュベートした。次いで、細胞を2回洗浄し、PBS中で30分間希釈した1%PFAで固定した後、最終洗浄を行った。蛍光活性化細胞選別(FACS)分析を、5レーザBD LSR-IIフローサイトメータ(BD Biosciences,San Jose,CA,USA)を使用して行い、データを、FlowJoソフトウェアv9(Treestar,Ashland,OR,USA)を使用して分析し、GraphPad Prism 7(La Jolla,CA,USA)を含む分析及びグラフィックソフトウェアに移した。
【0298】
MRC9(ヒト線維芽細胞)及びBLO-11(マウス線維芽細胞)への観察された結合の例を図9A~Dに示す。ヒト及びマウス線維芽細胞株に結合する抗体の例としては、例示的抗体17、例示的抗体5、例示的抗体19、及び例示的抗体4が挙げられる。
【0299】
実施例7:LPA誘導PAI-1アッセイ
抗体でαvβ1を遮断することがTGFβシグナル伝達を阻害するかどうかを決定するために、TGFβ受容体シグナル伝達の下流読み出しとしてプラスミノゲンアクチベータインヒビター-1(PAI-1)遺伝子発現レベルを使用して、細胞ベースのアッセイを実行した。
【0300】
MRC9細胞をATCC(#CCL-212)から入手し、熱不活性化ウシ胎児血清(FBS、#10082、Gibcoから入手)10%を補充したEMEM(ATCC、#30-2003)中で維持した。細胞を、完全培地(10%FBSを補充したEMEM)中でウェル当たり40,000個の細胞でラミニンコーティング96ウェルプレート(Corning、#354410)に播種し、5%COで37℃で一晩インキュベートした。細胞を翌日にEMEMで洗浄し、37℃、5%COで3時間、EMEM培地中で血清飢餓状態にした。次いで、細胞をEMEMで2回洗浄し、阻害剤の有無にかかわらず、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA、Milliporeから入手、#126626)を補充したEMEM中でインキュベートした。30分間インキュベートした後、細胞を、EMEM+0.1%BSA中に以前に溶解した5μMのリソホスファチジン酸(LPA、Sigma-Aldrichから入手、#L7260)でシミュレートした。5%COで37℃で20~24時間インキュベートした後、細胞培養培地を除去し、プレートをqPCR分析まで-80℃で保存した。PAI-1(SERPINE1としても知られる)及びGAPDHの遺伝子発現レベルを、Taqman Cells-to-CTキット(Ambion、#AM1729)、ヒトTaqManプローブを有するTaqman Gene Expression Master(Ambion、#4369016)(SERPINE 1 #4351368及びApplied BiosystemsからのGAPDH #4448491)、及びQuantstudio Real-Time PCR Software上で分析が完了したApplied Biosystems Viia 7システム上で実行されるqPCRを使用して評価した。
【0301】
PAI-1阻害の例を図10A~Cに示す。これには、汎αv市販抗体(17E6)、汎β1市販抗体(mAb13)、及び陰性対照抗体の例が含まれる。例示的抗体17、例示的抗体5、及び例示的抗体19は、TGFβシグナル伝達の阻害を示す。
【0302】
実施例8:抗体選択のための方法
組換え分泌ヒトαvβ1を、当該技術分野で知られている方法(Weinreb P H,J Biol Chem.2004 Apr 23;279(17):17875-87;Chen L L,Cell Commun Adhes.2008 Nov;15(4):317-31;Zhu J,Mol Cell,2008 Dec 26;32(6),849-61)によって個々のαサブユニット及びβサブユニットの共発現によってトランスフェクトされたCHO細胞の上清から精製した。インテグリンαvβ1の3つの組換えバージョンを選択に使用した:(1)追加のタグを含まないαvβ1の完全な細胞外領域、(2)αvβ1の完全な細胞外領域と、hIgG1+Avitag(αvβ1-Fc)のヒンジ+Fc部分に融合されたβ1、ならびに(3)αvサブユニットがTEV-酸性コイルドコイル-StrepIIタグに融合されたαvβ1の完全な細胞外領域、及びTEV-塩基性コイルドコイル-6xHIS-G4S-Avitag(αvβ1-cc-AVI)に融合されたβ1サブユニット(Weinreb et al.J.Biol.Chem.279(17):17875-17887,2004、Chen et al.Cell Communication and Adhesions,15:317-331,2008、及びZhu et al.Molecular Cell 32:849-861,2008を参照されたい)。加えて、組換え分泌ヒトαvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α4β1、α5β1、及びα8β1を、同様の方法によって、組換えバージョン#3(コイルドコイルタグ付き)として作製した。すべての組換えインテグリンタンパク質を、選択のためにビオチン化した。
【0303】
選択は、精製及びビオチン化組換えαvβ1バージョン1、2、及び3を使用して、Adimab酵母発現ライブラリを用いて実行した。選択は、カチオンを含まない緩衝液、及びCaMgを含有する緩衝液、またはMnを含有する緩衝液中で実行した。最初の2ラウンドの選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)を使用して実行し、その後のすべてのラウンドは、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して実行した。FACSベースのプラットフォームの利用は、酵母または他の細胞(原核または真核)に表示される抗体ライブラリの選択の可視化を可能にする。この可視化により、選択は、誘導タンパク質(例えば、mAb、Fab、リガンド、または枯渇タンパク質)を使用して目的のエピトープへと誘導するように設計することができる(例えば、Cherf and Cochran,Methods Mol Biol.1319:155-75,2015、Xu et
al.Protein Eng Des Sel.26(10):663-70,2013、及びMann et al.ACS Chem Biol.8(3):608-16,2013を参照されたい)。ラウンド3後に堅牢な濃縮が観察された場合、その後のラウンドを、L230(汎αv市販抗体)及び/またはαv含有インテグリン(αvβ3またはαvβ5)及びβ1含有インテグリン(α5β1またはα4β1)上の枯渇を使用して、目的のエピトープへと誘導した。これらの条件を使用して、出力を、複数のRGD結合インテグリンに結合する抗体、及びαvβ1に特異的な抗体に絞りこむことができた。枯渇のストリンジェンシーに応じて、選択により、αvβ1特異的抗体(例えば、例示的抗体1、2、3)または複数のRGD結合インテグリンに結合する抗体(例えば、例示的抗体15、16)を特定した。その後に抗体の最適化を実行して、αvβ1に対する特定の抗体の親和性を増加させるとともに、インテグリン特異性を微調整した。親和性を最適化するための当該技術分野で既知の方法(すなわち、軽鎖シャッフル及びH-CDR1/H-CDR-2標的変異誘発)を使用して、抗体ライブラリを構築した。親和性成熟後、抗体は、αvβ1インテグリンに特異的であった(例えば、例示的抗体4及び5)か、または複数のRGD結合インテグリンに結合した(例えば、例示的抗体17、18、19)。
【0304】
αvβ1特異的抗体を単離した後、これらの抗体を使用して、今後の誘導選択を実行することができる。精製されビオチン化された組換えαvβ1バージョン3を使用して、Adimab酵母発現ライブラリを用いて、新たな選択を実行した。選択は、CaMgを含有する緩衝液中で実行した。最初の2ラウンドの選択は、MACSを使用して実行し、その後のすべてのラウンドは、FACSを使用して実行した。第3ラウンドの後に堅牢な濃縮が観察され、例示的抗体5を使用して、第4ラウンドにおいて、L230を使用して以前の選択で達成されたものよりも精製されたエピトープへと誘導した。その後の枯渇ラウンドを、αv含有インテグリン(αvβ3、αvβ5、またはαvβ6)及び/またはβ1含有インテグリン(α5β1またはα8β1)に対して実行し、場合によっては、続いて陽性αvβ1選択ラウンドを実行した。また、これらの選択からの出力が親和性成熟を経て、αvβ1またはαvβ1/αvβ6に対する親和性及び特異性を高め、親和性最適化のための当該技術分野で既知の方法(すなわち、軽鎖シャッフル及びH-CDR1/H-CDR-2標的変異誘発)を使用してライブラリを構築した。αvβ1を濃縮した後、αvβ8及びα5β1またはα8β1を用いて枯渇ラウンドを実行し、場合によっては、続いて陽性αvβ1選択ラウンドを実行した。枯渇のストリンジェンシーに応じて、親和性最適化選択により、αvβ1特異的抗体(すなわち、例示的抗体6、7、8、9、10)、αvβ1/αvβ6特異的抗体(すなわち、例示的抗体11、12、13、14)、または複数のRGD結合インテグリンに結合する抗体(すなわち、例示的抗体20)を特定した。
【0305】
本実施例で参照される配列:
組換えインテグリンαvβ1バージョン#1におけるヒトインテグリンαvタンパク質のアミノ酸配列を以下に示す。
FNLDVDSPAEYSGPEGSYFGFAVDFFVPSASSRMFLLVGAPKANTTQPGIVEGGQVLKCDWSSTRRCQPIEFDATGNRDYAKDDPLEFKSHQWFGASVRSKQDKILACAPLYHWRTEMKQEREPVGTCFLQDGTKTVEYAPCRSQDIDADGQGFCQGGFSIDFTKADRVLLGGPGSFYWQGQLISDQVAEIVSKYDPNVYSIKYNNQLATRTAQAIFDDSYLGYSVAVGDFNGDGIDDFVSGVPRAARTLGMVYIYDGKNMSSLYNFTGEQMAAYFGFSVAATDINGDDYADVFIGAPLFMDRGSDGKLQEVGQVSVSLQRASGDFQTTKLNGFEVFARFGSAIAPLGDLDQDGFNDIAIAAPYGGEDKKGIVYIFNGRSTGLNAVPSQILEGQWAARSMPPSFGYSMKGATDIDKNGYPDLIVGAFGVDRAILYRARPVITVNAGLEVYPSILNQDNKTCSLPGTALKVSCFNVRFCLKADGKGVLPRKLNFQVELLLDKLKQKGAIRRALFLYSRSPSHSKNMTISRGGLMQCEELIAYLRDESEFRDKLTPITIFMEYRLDYRTAADTTGLQPILNQFTPANISRQAHILLDCGEDNVCKPKLEVSVDSDQKKIYIGDDNPLTLIVKAQNQGEGAYEAELIVSIPLQADFIGVVRNNEALARLSCAFKTENQTRQVVCDLGNPMKAGTQLLAGLRFSVHQQSEMDTSVKFDLQIQSSNLFDKVSPVVSHKVDLAVLAAVEIRGVSSPDHVFLPIPNWEHKENPETEEDVGPVVQHIYELRNNGPSSFSKAMLHLQWPYKYNNNTLLYILHYDIDGPMNCTSDMEINPLRIKISSLQTTEKNDTVAGQGERDHLITKRDLALSEGDIHTLGCGVAQCLKIVCQVGRLDRGKSAILYVKSLLWTETFMNKENQNHSYSLKSSASFNVIEFPYKNLPIEDITNSTLVTTNVTWGIQPAPMPVP(配列番号117)
【0306】
組換えインテグリンαvβ1バージョン#1におけるヒトインテグリンβ1タンパク質のアミノ酸配列を以下に示す。
QTDENRCLKANAKSCGECIQAGPNCGWCTNSTFLQEGMPTSARCDDLEALKKKGCPPDDIENPRGSKDIKKNKNVTNRSKGTAEKLKPEDITQIQPQQLVLRLRSGEPQTFTLKFKRAEDYPIDLYYLMDLSYSMKDDLENVKSLGTDLMNEMRRITSDFRIGFGSFVEKTVMPYISTTPAKLRNPCTSEQNCTSPFSYKNVLSLTNKGEVFNELVGKQRISGNLDSPEGGFDAIMQVAVCGSLIGWRNVTRLLVFSTDAGFHFAGDGKLGGIVLPNDGQCHLENNMYTMSHYYDYPSIAHLVQKLSENNIQTIFAVTEEFQPVYKELKNLIPKSAVGTLSANSSNVIQLIIDAYNSLSSEVILENGKLSEGVTISYKSYCKNGVNGTGENGRKCSNISIGDEVQFEISITSNKCPKKDSDSFKIRPLGFTEEVEVILQYICECECQSEGIPESPKCHEGNGTFECGACRCNEGRVGRHCECSTDEVNSEDMDAYCRKENSSEICSNNGECVCGQCVCRKRDNTNEIYSGKFCECDNFNCDRSNGLICGGNGVCKCRVCECNPNYTGSACDCSLDTSTCEASNGQICNGRGICECGVCKCTDPKFQGQTCEMCQTCLGVCAEHKECVQCRAFNKGEKKDTCTQECSYFNITKVESRDKLPQPVQPDPVSHCKEKDVDDCWFYFTYSVNGNNEVMVHVVENPECPTGPD(配列番号118)
【0307】
組換えインテグリンαvβ1バージョン#2におけるヒトインテグリンαvタンパク質のアミノ酸配列を以下に示す。
FNLDVDSPAEYSGPEGSYFGFAVDFFVPSASSRMFLLVGAPKANTTQPGIVEGGQVLKCDWSSTRRCQPIEFDATGNRDYAKDDPLEFKSHQWFGASVRSKQDKILACAPLYHWRTEMKQEREPVGTCFLQDGTKTVEYAPCRSQDIDADGQGFCQGGFSIDFTKADRVLLGGPGSFYWQGQLISDQVAEIVSKYDPNVYSIKYNNQLATRTAQAIFDDSYLGYSVAVGDFNGDGIDDFVSGVPRAARTLGMVYIYDGKNMSSLYNFTGEQMAAYFGFSVAATDINGDDYADVFIGAPLFMDRGSDGKLQEVGQVSVSLQRASGDFQTTKLNGFEVFARFGSAIAPLGDLDQDGFNDIAIAAPYGGEDKKGIVYIFNGRSTGLNAVPSQILEGQWAARSMPPSFGYSMKGATDIDKNGYPDLIVGAFGVDRAILYRARPVITVNAGLEVYPSILNQDNKTCSLPGTALKVSCFNVRFCLKADGKGVLPRKLNFQVELLLDKLKQKGAIRRALFLYSRSPSHSKNMTISRGGLMQCEELIAYLRDESEFRDKLTPITIFMEYRLDYRTAADTTGLQPILNQFTPANISRQAHILLDCGEDNVCKPKLEVSVDSDQKKIYIGDDNPLTLIVKAQNQGEGAYEAELIVSIPLQADFIGVVRNNEALARLSCAFKTENQTRQVVCDLGNPMKAGTQLLAGLRFSVHQQSEMDTSVKFDLQIQSSNLFDKVSPVVSHKVDLAVLAAVEIRGVSSPDHVFLPIPNWEHKENPETEEDVGPVVQHIYELRNNGPSSFSKAMLHLQWPYKYNNNTLLYILHYDIDGPMNCTSDMEINPLRIKISSLQTTEKNDTVAGQGERDHLITKRDLALSEGDIHTLGCGVAQCLKIVCQVGRLDRGKSAILYVKSLLWTETFMNKENQNHSYSLKSSASFNVIEFPYKNLPIEDITNSTLVTTNVTWGIQPAPMPVP(配列番号117)
【0308】
組換えインテグリンαvβ1バージョン#2におけるヒトインテグリンβ1タンパク質のアミノ酸配列を以下に示す。下線は、ヒンジ、hIgG1 Fc領域、及びAvitagを含む配列を示す。
【化2】
【0309】
組換えインテグリンαvβ1バージョン#3におけるヒトインテグリンαvタンパク質のアミノ酸配列を以下に示す。下線は、TEV-酸性コイルドコイル-StrepIIタグを示す。
【化3】
【0310】
組換えインテグリンαvβ1バージョン#3におけるヒトインテグリンβ1タンパク質のアミノ酸配列を以下に示す。下線は、TEV塩基性コイルドコイル-6xHIS-Avitagを示す。
【化4】
【0311】
他の実施形態
本発明は、その詳細な説明とともに記載されているが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示することを意図しており、限定することを意図していない。他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内である。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
αvβ1インテグリンに特異的に結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体であって、任意選択的に、(i)ヒトαvβ1に対してKD≦20nMの高い親和性(二価親和性)で結合する、(ii)そのリガンドとのαvβ1相互作用を遮断する、(iii)ヒトαvβ1への結合に関してカチオン依存性である、(iv)ヒトαvβ1への結合に関してカチオン非依存性である、(v)線維芽細胞上のαvβ1に結合する、及び(vi)線維芽細胞TGFβ応答を阻害するという特性のうちの1つ以上を有する、前記抗体。
(項目2)
前記抗体が、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む参照抗αvβ1インテグリン抗体と同じエピトープと競合及び/またはそれに結合し、前記参照抗体の前記VH及びVLが、
(i)それぞれ、配列番号35に示されるアミノ酸配列及び配列番号22に示されるアミノ酸配列、
(ii)それぞれ、配列番号61に示されるアミノ酸配列及び配列番号58に示されるアミノ酸配列、
(iii)それぞれ、配列番号11に示されるアミノ酸配列及び配列番号12に示されるアミノ酸配列、
(iv)それぞれ、配列番号21に示されるアミノ酸配列及び配列番号22に示されるアミノ酸配列、
(v)それぞれ、配列番号27に示されるアミノ酸配列及び配列番号28に示されるアミノ酸配列、
(vi)それぞれ、配列番号30に示されるアミノ酸配列及び配列番号12に示されるアミノ酸配列、
(vii)それぞれ、配列番号44に示されるアミノ酸配列及び配列番号45に示されるアミノ酸配列、
(viii)それぞれ、配列番号49に示されるアミノ酸配列及び配列番号50に示されるアミノ酸配列、
(ix)それぞれ、配列番号57に示されるアミノ酸配列及び配列番号58に示されるアミノ酸配列、または
(x)それぞれ、配列番号64に示されるアミノ酸配列及び配列番号58に示されるアミノ酸配列を含む、項目1に記載の抗体。
(項目3)
αvβ1及びαvβ6インテグリンの両方に特異的に結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体であって、任意選択的に、(i)ヒトαvβ1に対してKD≦20nMの高い親和性(二価親和性)で、かつヒトαvβ6に対して100nMの親和性(二価親和性)で結合する、(ii)そのリガンドとのαvβ1及び/またはαvβ6相互作用を遮断する、(iii)ヒトαvβ1及び/またはαvβ6への結合に関してカチオン依存性である、(iv)線維芽細胞上のαvβ1に結合する、及び(v)線維芽細胞TGFβ応答を阻害するという特性のうちの1つ以上を有する、前記抗体。
(項目4)
前記抗体が、αvβ1及びαvβ6インテグリンの両方に結合し、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む参照抗体と同じエピトープと競合及び/またはそれに結合し、前記参照抗体の前記VH及びVLが、
(i)それぞれ、配列番号44に示されるアミノ酸配列及び配列番号68に示されるアミノ酸配列、
(ii)それぞれ、配列番号44に示されるアミノ酸配列及び配列番号70に示されるアミノ酸配列、
(iii)それぞれ、配列番号49に示されるアミノ酸配列及び配列番号72に示されるアミノ酸配列、または
(iv)それぞれ、配列番号76に示されるアミノ酸配列及び配列番号77に示されるアミノ酸配列を含む、項目3に記載の抗体。
(項目5)
αvβ1と、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に特異的に結合する抗体であって、任意選択的に、(i)ヒトαvβ1に対してKD≦20nMの高い親和性(二価親和性)で、かつ他のRGD結合インテグリンに対して100nMの親和性(二価親和性)で結合する、(ii)そのリガンドとのαvβ1及び/またはRGDファミリーインテグリン相互作用を遮断する、(iii)ヒトαvβ1及び/またはRGD結合インテグリンへの結合に関してカチオン依存性である、(iv)ヒトαvβ1及び/またはRGD結合インテグリンへの結合に関してカチオン非依存性である、(v)線維芽細胞上のαvβ1及び/またはRGD結合インテグリンに結合する、及び(vi)線維芽細胞TGFβ応答を阻害するという特性のうちの1つ以上を有する、前記抗体。
(項目6)
前記抗体が、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む参照抗体と同じエピトープと競合及び/またはそれに結合し、前記参照抗体の前記VH及びVLが、
(i)それぞれ、配列番号82に示されるアミノ酸配列及び配列番号83に示されるアミノ酸配列、
(ii)それぞれ、配列番号92に示されるアミノ酸配列及び配列番号93に示されるアミノ酸配列、
(iii)それぞれ、配列番号92に示されるアミノ酸配列及び配列番号95に示されるアミノ酸配列、
(iv)それぞれ、配列番号100に示されるアミノ酸配列及び配列番号28に示されるアミノ酸配列、
(v)それぞれ、配列番号21に示されるアミノ酸配列及び配列番号104に示されるアミノ酸配列、または
(vi)それぞれ、配列番号49に示されるアミノ酸配列及び配列番号107に示されるアミノ酸配列を含む、項目5に記載の抗体。
(項目7)
αvβ1インテグリンに結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体であって、VHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3を含むVHと、VLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3を含むVLと、を含み、前記VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3が、
(i)それぞれ、配列番号32、34、17、18、19、及び20、
(ii)それぞれ、配列番号60、39、55、18、19、及び56、
(iii)それぞれ、配列番号4、6、7、8、9、及び10、
(iv)それぞれ、配列番号14、16、17、18、19、及び20、
(v)それぞれ、配列番号4、6、23、24、25、及び26、
(vi)それぞれ、配列番号29、6、7、8、9、及び10、
(vii)それぞれ、配列番号37、39、40、41、42、及び43、
(viii)それぞれ、配列番号37、39、46、18、47、及び48、
(ix)それぞれ、配列番号52、54、55、18、19、及び56、または
(x)それぞれ、配列番号63、54、55、18、19、及び56を含む、前記抗体。
(項目8)
(i)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号35及び22に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
(ii)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号61及び58に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
(iii)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号11及び12に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
(iv)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号21及び22に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
(v)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号27及び28に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
(vi)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号30及び12に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
(vii)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号44及び45に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
(viii)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号49及び50に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
(ix)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号57及び58に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、または
(x)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号64及び58に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含む、項目7に記載の抗体。
(項目9)
αvβ1及びαvβ6インテグリンの両方に結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体であって、VHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3を含むVHと、VLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3を含むVLと、を含み、前記VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3が、
(i)それぞれ、配列番号37、39、40、65、66、及び67、
(ii)それぞれ、配列番号37、39、40、65、66、及び69、
(iii)それぞれ、配列番号37、39、46、18、47、及び71、または
(iv)それぞれ、配列番号37、39、73、74、42、及び75を含む、前記抗体。
(項目10)
(i)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号44及び68に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
(ii)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号44及び70に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
(iii)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号49及び72に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、または
(iv)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号76及び77に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含む、項目9に記載の抗体。
(項目11)
αvβ1と、αvβ6、αvβ3、αvβ5、αvβ8、α5β1、α8β1及びαIIBβ3からなる群から選択される1つ以上のインテグリンと、に結合する抗体であって、VHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3を含むVHと、VLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3を含むVLと、を含み、前記VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3が、
(i)それぞれ、配列番号4、6、78、79、80、及び81、
(ii)それぞれ、配列番号85、87、88、89、90、及び91、
(iii)それぞれ、配列番号85、87、88、89、90、及び94、
(iv)それぞれ、配列番号97、99、23、24、25、及び26、
(v)それぞれ、配列番号14、16、17、101、102、及び103、または
(vi)それぞれ、配列番号37、39、46、105、80、及び106を含む、前記抗体。
(項目12)
(i)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号82及び83に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
(ii)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号92及び93に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
(iii)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号92及び95に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
(iv)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号100及び28に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
(v)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号21及び104に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、または
(vi)前記VH及び前記VLが、それぞれ、配列番号49及び107に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含む、項目11に記載の抗体。
(項目13)
前記抗体が、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4重鎖定常領域を含む、項目1~12のいずれか1項に記載の抗体。
(項目14)
前記抗体が、非グリコシル化ヒト定常領域を含む、項目1~12のいずれか1項に記載の抗体。
(項目15)
前記抗体が、hIgG1agly Fc、hIgG2 SAA Fc、hIgG4(S228P) Fc、またはhIgG4(S228P)/G1 agly Fcを含む、項目1~12のいずれか1項に記載の抗体。
(項目16)
前記抗体が、ヒトカッパまたはヒトラムダ軽鎖定常領域を含む、項目1~15のいずれか1項に記載の抗体。
(項目17)
前記抗体が、全抗体、単一ドメイン抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、Fv、scFv、sc(Fv)2、ダイアボディ、ナノボディ、Fab、及びF(ab’)2である、項目1~12のいずれか1項に記載の抗体。
(項目18)
半減期延長部分をさらに含む、項目1~17のいずれか1項に記載の抗体。
(項目19)
検出可能な標識をさらに含む、項目1~18のいずれか1項に記載の抗体。
(項目20)
治療剤をさらに含む、項目1~19のいずれか1項に記載の抗体。
(項目21)
放射性同位体をさらに含む、項目1~17のいずれか1項に記載の抗体。
(項目22)
化学療法剤または放射線療法剤をさらに含む、項目1~17のいずれか1項に記載の抗体。
(項目23)
項目1~22のいずれか1項に記載の抗体を含む、薬学的組成物。
(項目24)
項目1~17のいずれか1項に記載の抗体をコードする、1つ以上のポリヌクレオチド。
(項目25)
項目24に記載の1つ以上のポリヌクレオチドを含む、1つ以上のベクター。
(項目26)
項目24に記載の1つ以上のポリヌクレオチド、または項目25に記載の1つ以上のベクターを含む、宿主細胞。
(項目27)
抗インテグリン抗体を作製する方法であって、
(a)項目26に記載の宿主細胞を、前記抗体の発現を可能にする条件下で培養することと、
(b)前記抗体を単離することと、を含む、前記方法。
(項目28)
前記抗体を、ヒトへの投与に好適な滅菌製剤として製剤化することをさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
線維症の治療または予防を必要とするヒト対象において線維症を治療または予防する方法であって、治療有効量の、項目1~20のいずれか1項に記載の抗体を前記ヒト対象に投与することを含む、前記方法。
(項目30)
前記線維症が、肝線維症、肺線維症、腎線維症、心線維症、関節線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、腎性全身性線維症、ペロニー病、進行性塊状線維症、小気道線維症、慢性閉塞性肺疾患に関連する線維症、及び後腹膜線維症からなる群から選択される、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記線維症が、肝線維症である、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記線維症が、特発性肺線維症である、項目29に記載の方法。
(項目33)
前記線維症が、強皮症/全身性硬化症である、項目29に記載の方法。
(項目34)
慢性腎疾患の治療または予防を必要とするヒト対象において慢性腎疾患を治療または予防する方法であって、治療有効量の、項目1~20のいずれか1項に記載の抗体を前記ヒト対象に投与することを含む、前記方法。
(項目35)
がんの治療または予防を必要とするヒト対象においてがんを治療または予防する方法であって、治療有効量の、項目1~22のいずれか1項に記載の抗体を前記ヒト対象に投与することを含む、前記方法。
(項目36)
前記がんが、上皮由来であり、任意選択的に、前記上皮由来のがんが、扁平上皮癌、腺癌、移行上皮癌、または基底細胞癌である、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記がんが、膵臓癌、乳癌、黒色腫、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、脳及び中枢神経系腫瘍、ならびに膠芽腫からなる群から選択される、項目35に記載の方法。
(項目38)
血小板凝集の阻害を必要とするヒト対象において血小板凝集を阻害する方法であって、治療有効量の、項目1~20のいずれか1項に記載の抗体を前記ヒト対象に投与することを含む、前記方法。
(項目39)
前記阻害が、急性冠症候群の治療のためである、項目38に記載の方法。
(項目40)
眼科疾患または障害の治療または予防を必要とするヒト対象において眼科疾患または障害を治療または予防する方法であって、治療有効量の、項目1~20のいずれか1項に記載の抗体を前記ヒト対象に投与することを含む、前記方法。
(項目41)
前記眼科疾患または障害が、加齢黄斑変性(AMD)、滲出型AMD、黄斑浮腫、及び糖尿病性網膜症からなる群から選択される、項目40に記載の方法。
(項目42)
急性腎傷害、急性肺傷害、または急性肝傷害の治療または予防を必要とするヒト対象において急性腎傷害、急性肺傷害、または急性肝傷害を治療または予防する方法であって、治療有効量の、項目1~20のいずれか1項に記載の抗体を前記ヒト対象に投与することを含む、前記方法。
(項目43)
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療または予防を必要とするヒト対象において非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を治療または予防する方法であって、治療有効量の、項目1~20のいずれか1項に記載の抗体を前記ヒト対象に投与することを含む、前記方法。
(項目44)
前記NAFLDが、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、項目43に記載の方法。
(項目45)
抗体集団から、αvβ1インテグリンに特異的に結合するが、他のインテグリンには結合しない抗体を特定する方法であって、項目1、2、4、または6~12に記載の抗体のうちのいずれか1つである誘導抗体を用いた誘導選択を使用して前記抗体を選択することを含む、前記方法。
(項目46)
前記抗体集団が、原核細胞の表面上に発現される抗体ライブラリを含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記抗体集団が、真核細胞の表面上に発現される抗体ライブラリを含む、項目45に記載の方法。
(項目48)
前記抗体集団が、酵母細胞の表面上に発現される抗体ライブラリを含む、項目45に記載の方法。
(項目49)
αv及びβ1の細胞外ドメインを含む1つ以上のポリペプチドに結合する抗体を選択するステップを含み、任意選択的に、前記ステップが、カチオンの不在下、カルシウム及びマグネシウムの存在下、またはマンガンの存在下で実行され、また任意選択的に、前記選択が、MACS及び/またはFACSによって実行される、項目45~48のいずれか1項に記載の方法。
(項目50)
αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α5β1、α8β1、及びα4β1からなる群から選択される1つ以上のインテグリンに結合する抗体を枯渇させることをさらに含む、項目45~49のいずれか1項に記載の方法。
(項目51)
αvβ1インテグリンに結合する抗体を選択することによって、αvβ1インテグリンに特異的に結合する抗体を濃縮することをさらに含む、項目45~50のいずれか1項に記載の方法。
(項目52)
選択された前記抗体を親和性成熟させることをさらに含む、項目45~51のいずれか1項に記載の方法。
(項目53)
抗体集団から抗体を特定する方法であって、前記抗体が、αvβ1及びαvβ6インテグリンの両方に特異的に結合し、前記方法が、項目1、2、4、または6~12に記載の抗体のうちのいずれか1つである誘導抗体を用いた誘導選択を使用して前記抗体を選択することを含む、前記方法。
(項目54)
前記抗体集団が、原核細胞の表面上に発現される抗体ライブラリを含む、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記抗体集団が、真核細胞の表面上に発現される抗体ライブラリを含む、項目53に記載の方法。
(項目56)
前記抗体集団が、酵母細胞の表面上に発現される抗体ライブラリを含む、項目53に記載の方法。
(項目57)
αv及びβ1の細胞外ドメイン、及び/またはαv及びβ6の細胞外ドメインを含む1つ以上のポリペプチドに結合する抗体を選択するステップを含み、任意選択的に、前記ステップが、カチオンの不在下、カルシウム及びマグネシウムの存在下、またはマンガンの存在下で実行され、また任意選択的に、前記選択が、MACS及び/またはFACSによって実行される、項目53~56のいずれか1項に記載の方法。
(項目58)
αvβ3、αvβ5、αvβ8、α5β1、α8β1、及びα4β1からなる群から選択される1つ以上のインテグリンに結合する抗体を枯渇させることをさらに含む、項目53~57のいずれか1項に記載の方法。
(項目59)
αvβ1及びαvβ6インテグリンに結合する抗体を選択することによって、αvβ1及びαvβ6インテグリンに特異的に結合する抗体を濃縮することをさらに含む、項目53~58のいずれか1項に記載の方法。
(項目60)
選択された前記抗体を親和性成熟させることをさらに含む、項目53~59のいずれか1項に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】