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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159823
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ロードポート
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024137788
(22)【出願日】2024-08-19
(62)【分割の表示】P 2020022072の分割
【原出願日】2020-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】森鼻 俊光
(57)【要約】
【課題】装置全体の大型化を招来することなく、平面形状が矩形状で大型の搬送対象物であっても格納容器内における搬送対象物の収容状態を精度良く且つ正確に検出可能なロードポート、及びロードポートにおけるマッピング処理方法を提供する。
【解決手段】格納容器3内の各段のスロット34において両サイド部分と幅方向中央部分をそれぞれ対応するスロットに支持された搬送対象物Wの有無を含む収容状態に関する情報をマッピングするマッピング機構Mとして、マッピングアームM4によって支持されて撮影及び画像処理を伴わずに搬送対象物Wの端面Waを検知可能な3つ以上のマッピングセンサM1,M2,M3と、これら3つ以上のマッピングセンサM1,M2,M3によるセンシング情報に基づいて搬送対象物Wの収容状態の良否を判別する判別部M5とを有するものを適用した。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立姿勢で配置され且つ搬送対象物が略水平姿勢で通過可能な開口部を有する平板状のフレームと、
複数の前記搬送対象物を多段状に収容可能なスロットを有する格納容器のうち前記搬送対象物の搬出入口を開閉可能な容器ドアと係合可能であり且つ前記フレームの前記開口部を開閉可能なロードポートドアと、
開状態にある前記開口部及び前記搬出入口を通じて前記格納容器内の前記各段のスロットにおける前記搬送対象物の有無を含む収容状態に関する情報をマッピングするマッピング機構とを備え、
前記各段のスロットは、前記搬送対象物の両サイド部分をそれぞれ同じ高さ位置で支持する2つのスロットと、当該2つのスロットと同じ高さ位置において前記搬送対象物の幅方向中央部分を支持するスロットを有するものとし、
前記マッピング機構は、
前記開口部を開閉する際の前記ロードポートドアの昇降移動と一体または独立に昇降移動するマッピングアームと、
前記マッピングアームによって支持されて撮影及び画像処理を伴わずに前記搬送対象物の端面を検知可能な3つ以上のマッピングセンサと、
これら3つ以上のマッピングセンサによるセンシング情報に基づいて前記搬送対象物の収容状態の良否を判別する判別部とを有していることを特徴とするロードポート。
【請求項2】
前記3つ以上のマッピングセンサのうち第1のマッピングセンサによる検知対象領域を前記格納容器のうち前記搬出入口の一端近傍部分に設定し、第2のマッピングセンサによる検知対象領域を前記搬出入口の他端近傍部分に設定し、第3のマッピングセンサによる検知対象領域を前記搬出入口の幅方向中央部分に設定し、前記第1のマッピングセンサ及び前記第2のマッピングセンサによるセンサ光が前記搬送対象物の両サイド部分を支持する前記2つの各スロットを照射しないように前記検知対象領域を設定するとともに、前記第3のマッピングセンサによるセンサ光が前記前記搬送対象物の幅方向中央部を支持する前記スロットを照射しないように前記検知対象領域を設定している請求項1に記載のロードポート。
【請求項3】
前記各マッピングセンサを、前記搬送対象物の端面に対して直交する方向に前記各センサ光を照射するように設定している請求項2に記載のロードポート。
【請求項4】
前記3つ以上のマッピングセンサのうち予め設定した1つのメインマッピングセンサの前記センシング情報と、前記マッピングアームを昇降動作させるステッピングモータのパルス数とに基づいて前記搬送対象物の端面の有無及び厚みを検知可能に設定し、前記サブマッピングセンサによって前記搬送対象物の端面の有無を検知可能に設定するとともに、
前記メインマッピングセンサによるセンシング処理と同じタイミングで、前記3つ以上のマッピングセンサのうち前記メインマッピングセンサ以外のマッピングセンサであるサブマッピングセンサによるセンシング処理を行う請求項2又は3の何れかに記載のロードポート。
【請求項5】
前記搬送対象物は角型基板であり、
前記各マッピングセンサを、前記搬送対象物の前記端面の延伸方向に対して平行または略平行となる方向に設定し、
前記マッピング機構は、所定の前記検知対象領域を有する前記各マッピングセンサが前記搬送対象物の端面を検知することで前記搬送対象物の収容状態の良否を判別するものである請求項2乃至4の何れかに記載のロードポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程において、多段式スロットに複数枚のウェーハ等の搬送対象物を収納可能な格納容器であるFOUPとの間で搬送対象物を受け渡しするために用いられるロードポート、特に、FOUPの各スロットにおける搬送対象物の有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構を備えたロードポート、及びロードポートにおけるマッピング処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体の製造工程においては、歩留まりや品質の向上のため、クリーンルーム内でのウェーハの処理がなされている。近年では、ウェーハの周囲の局所的な空間についてのみ清浄度をより向上させる「ミニエンバイロメント方式」を取り入れ、ウェーハの搬送その他の処理を行う手段が採用されている。ミニエンバイロメント方式では、筐体の内部で略閉止されたウェーハ搬送室(以下、搬送室)の壁面の一部を構成するとともに、高清浄な内部空間にウェーハ等の搬送対象物が収納された格納容器であるFOUP(Front-Opening Unified Pod)を載置し、FOUPのドアに密着した状態で当該FOUPドアを開閉させる機能を有するロードポートが搬送室に隣接して設けられている。以下では、FOUPドアに係合可能であってFOUPドアを開閉させるロードポートのドアを「ロードポートドア」とする。
【0003】
このようなロードポートは、搬送室との間で搬送対象物の出し入れを行うための装置であり、搬送室とFOUPの間におけるインターフェース部として機能する。そして、FOUPドアに対してロードポートドアを密着させた状態でこれらFOUPドア及びロードポートドアが同時に開けられると、搬送室内に配置された搬送ロボットによって、FOUP内の搬送対象物を搬送室内に取り出したり、搬送対象物を搬送室内からFOUP内に収納できるように構成されている。
【0004】
ロードポートには、FOUP内に設けた多段式スロットにおける搬送対象物の有無や収納姿勢を検出可能なマッピング機構が備えられている。従来のマッピング機構では、搬送対象物が円形であることを前提に、搬送対象物のうち当該搬送対象物の奥行き方向中央よりもFOUPドアに寄った先端部分(円形をなす外縁(円周)の一部)を横切るラインをセンシングライン(透受光ライン)とする透過型光センサを使用してマッピング処理を行い、各スロットにおける搬送対象物の有無を検知していた。
【0005】
マッピング機構の一例として、先端部にマッピングセンサを備えたマッパーを、ロードポートのフレームよりも搬送室側に後退させマッピング不能位置と、フレームの開口部を通じてマッピング不能位置よりもFOUP内に近付けたマッピング可能位置との間で移動可能に構成したものを挙げることができる。また、マッピング機構は、マッパーを支持するマッピング移動部(マッピングアーム)を備え、マッパーをマッピング可能位置に維持したままマッピングアームを高さ方向に移動させることで、多段式スロットを構成する各スロットに搬送対象物が収容されているか否かを検知(有無検知)可能に構成されている。また、搬送対象物が異なる高さ位置のスロットに支持されているクロス異常搭載の検知(クロス検知)や、同じスロットに2枚の搬送対象物が重なって支持されている二重搭載の検知(二重検知)も有無検知と同時に行われていた。なお、マッピングアームの昇降移動は、ロードポートドアの昇降移動と一体または独立に行われる。
【0006】
しかしながら、上述のマッピング機構によるマッピング処理は、搬送対象物が円形であればスムーズ且つ適切に行うことができるものの、搬送対象物が円形以外の形状、例えば矩形状のパネルやウェーハについては実施できない。
【0007】
つまり、従来のマッピング機構では、マッピング処理時にマッピングセンサを備えたマッパー(例えば光照射部及び受光部を備えた透過型光センサ)をFOUP内に進入させ、光照射部及び受光部を、搬送対象物の外周縁部を略水平方向から確実に挟み込む位置に配置させる必要がある。搬送対象物が円形状であれば、搬送対象物の外周面とFOUPの内面との間のスペースをFOUPドア側で確保することが可能であるが、搬送対象物が、例えば正方形状、長方形状等のいわゆる角型のガラス基板等の場合には、FOUP内における搬送対象物の占有面積が円形の場合よりも増加するため、搬送対象物の外周面とFOUPの内面との間に、マッピング機構のセンサを十分に進入させるためのスペースを確保することが不可能、または極めて困難である。
【0008】
一方、特許文献1には、搬送対象物に向けて撮像用の光を照射する発光部と、発光部からの照射光によって照明された照明領域内を撮像して撮像画像を取得する撮像部とを有するマッピング機構を備えたロードポートが提案されている。具体的には、照明領域内に搬送対象物が1枚のみ含まれるように光を照射する1つの発光部に対して1つの撮像部が対応付けて設けられ、発光部が搬送対象物に向けて撮像用の光を照射すると共に、撮像部が発光部によって照明された照明領域内の撮像を行って撮像画像を取得し、撮像画像に基づいて角形の搬送対象物であってもその収容状態を把握することが可能な構成が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2019-102753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、照明領域内に搬送対象物が1枚のみ含まれるように光を照射する上述のマッピング機構であれば、角形の搬送対象物の大型化に伴い、搬送対象物全体に占める照明領域が小さくなり、1つの搬送対象物に対する1枚の撮影画像だけでは正確なクロス検知を行うことができない場合がある。例えば、FOUP内で大型の搬送対象物を支持する構成として、FOUP内における左右と中央の3箇所に設けられたスロット等の支持部によって搬送対象物を支持する構成が採用されている場合に、i)右と中央が同一高さ位置の支持部に支持され、左だけ右及び中央と同一高さ位置の支持部に支持されていない(右及び中央と異なる高さ位置の支持部に支持されているか、何れの支持部にも支持されていない)状態で搭載されているクロス異常搭載、ii)左と中央が同一高さ位置の支持部に支持され、右だけ左及び中央と同一高さ位置の支持部に支持されていない(左及び中央と異なる高さ位置の支持部に支持されているか、何れの支持部にも支持されていない)状態で搭載されているクロス異常搭載、iii)左右が同一高さ位置の支持部に支持され、中央だけ左右と同一高さ位置の支持部に支持されていない(左右と異なる高さ位置の支持部に支持されているか、何れの支持部にも支持されていない)状態で搭載されているクロス異常搭載、以上の3パターンのクロス異常搭載については、1枚の撮像画像だけで正確に検知することができない場合がある。特に、搬送対象物が大型で薄いものであれば、搬送対象物の自重に加えてその薄さにも起因して撓んだ状態で収容される事態も予想される。このような搬送対象物が撓んだ状態で収容される撓み搭載は、クロス異常搭載の一態様であると捉えることができる。
【0011】
また、特許文献1記載のマッピング機構であれば、発光部からの照射光によって照明された照明領域内を撮像して撮像画像を取得する処理と、その取得した撮像画像に基づいて搬送対象物の収容状態を特定する処理とを要し、受光状態または遮光状態を検知することで搬送対象物の収容状態を特定可能なマッピング機構と比較して、高度な処理が求められ、タクトタイムも長くなる。
【0012】
なお、特許文献1には、マッピングセンサを2つ設け、各マッピングセンサで搬送対象物の異なる視野を撮像するように構成し、一方のマッピングセンサで取得された撮像画像に基づいた収容状態の判断と、他方のマッピングセンサで取得された撮像画像に基づいた収容状態の判断とを行う態様が開示されている。この場合、2つの撮像画像に基づいた収容状態の判断が何れも「良」の場合に、搬送対象物の収容状態が「良」であると判断し、何れか一方の撮像画像に基づいた収容状態の判断が「不良」の場合に、搬送対象物の収容状態が「不良」であると判断することが可能であるものの、撮像画像が増えることで画像処理判定に多くの時間が必要になり、発光部及び撮像部の数も増加することで機器コストが非常に高価になる。
【0013】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、装置全体の大型化を招来することなく、平面形状が矩形状で大型の搬送対象物であっても格納容器内における収容状態を精度良く且つ正確に検出可能なロードポート、及びロードポートにおけるマッピング処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
すなわち本発明は、起立姿勢で配置され且つ搬送対象物が略水平姿勢で通過可能な開口部を有する平板状のフレームと、複数の搬送対象物を多段状に収容可能なスロットを有する格納容器のうち搬送対象物の搬出入口を開閉可能な容器ドアと係合可能であり且つフレームの開口部を開閉可能なロードポートドアと、開状態にある開口部及び搬出入口を通じて格納容器内の各段のスロットにおける搬送対象物の有無を含む収容状態に関する情報をマッピングするマッピング機構とを備え、各段のスロットを、搬送対象物の両サイド部分をそれぞれ同じ高さ位置で支持する2つのスロットと、この2つのスロットと同じ高さ位置において搬送対象物の幅方向中央部分を支持するスロットを有するものとして、マッピング機構として、開口部を開閉する際のロードポートドアの昇降移動と一体または独立に昇降移動するマッピングアームと、マッピングアームによって支持されて撮影及び画像処理を伴わずに搬送対象物の端面を検知可能な3つ以上のマッピングセンサと、これら3つ以上のマッピングセンサによるセンシング情報に基づいて搬送対象物の収容状態の良否を判別する判別部とを有することを特徴としているロードポートである。
【0015】
このような本発明に係るロードポートによれば、マッピング機構によって格納容器内の各段のスロットにおいて両サイド部分と幅方向中央部分を支持される搬送対象物の有無を含む収容状態に関する情報をマッピングすることが可能であり、特に、3つ以上のマッピングセンサを共通のマッピングアームに並べて配置しているため、例えば3つ以上全てのマッピングセンサが搬送対象物の端面を検知した場合には、判別部においてこれら3つ以上のマッピングセンサによるセンシング情報に基づいて搬送対象物が水平姿勢で収容されていることを特定することができ、例えば1つのマッピングセンサが搬送対象物の端面を検知し、他の2つのマッピングセンサのうち少なくとも1つのマッピングセンサが搬送対象物の端面を検知しない場合には、判別部においてこれら3つ以上のマッピングセンサによるセンシング情報に基づいて搬送対象物が水平姿勢で収容されず、斜めの姿勢で収容されていること(クロス異常搭載)を特定することができる。したがって、本発明に係るロードポートであれば、平面形状が矩形状であって格納容器の搬出入口における開口幅の略全域に亘るような直線状の端面を有する大型で薄型の搬送対象物であっても上述の3つ以上のマッピングセンサによって、搬送対象物のうち搬出入口に臨む端面の両端近傍部分及び中央部分をそれぞれ検知することで、格納容器内における搬送対象物の収容状態を精度良く且つ正確に検出することが可能である。しかも、本発明に係るロードポートであれば、マッピング機構によって格納容器内の各スロットにおける搬送対象物の有無を含む収容状態に関する情報を撮影及び画像処理を伴わずにマッピングすることが可能であり、カメラ等を使用した画像処理システムと比較して、搬送対象物を検知する処理の高速化を図ることができ、システムに掛かる費用も安価に抑えることが可能である。ここで、本発明において、格納容器内の各スロットにおける搬送対象物の有無を含む収容状態に関する情報を「撮影及び画像処理を伴わずにマッピングする」構成の好適な一例は、上述した所定の検知対象領域を有する各マッピングセンサが搬送対象物の端面を検知することでマッピングする(搬送対象物の収容状態の良否を判別する)」構成を挙げることができる。
【0016】
また、本発明に係るロードポートにおいて、開口部を開閉する際のロードポートドアの昇降移動と一体にマッピングアームが昇降移動する構成であれば、マッピングアームを独立して昇降移動させる機構が不要でありながら、開口部を開閉する処理と同じタイミングでマッピング機構によるマッピング処理を実行することが可能であり、例えば半導体製造における稼働率向上を図ることができる。なお、本発明に係るロードポートは、開口部を開閉する際のロードポートドアの昇降移動とは独立してマッピングアームが昇降移動する構成も包含する。この場合、開口部を開閉する処理と同じタイミングまたは異なるタイミングでマッピング機構によるマッピング処理を実行することが可能である。
【0017】
本発明において、3つ以上のマッピングセンサのうち第1のマッピングセンサによる検知対象領域を前記格納容器のうち搬出入口の一端近傍部分に設定し、第2のマッピングセンサによる検知対象領域を搬出入口の他端近傍部分に設定し、第3のマッピングセンサによる検知対象領域を搬出入口の幅方向中央部分に設定し、第1のマッピングセンサ及び第2のマッピングセンサによるセンサ光が搬送対象物の両サイド部分を支持する2つの各スロットを照射しないように検知対象領域を設定するとともに、第3のマッピングセンサによるセンサ光が搬送対象物の幅方向中央部を支持するスロットを照射しないように検知対象領域を設定するとよい。
【0018】
この場合、3つ以上のマッピングセンサのうち予め設定したメインマッピングセンサのセンシング情報と、マッピングアームを昇降動作させるステッピングモータのパルス数に基づいて搬送対象物の端面の有無及び搬送対象物の端面の厚みを検知可能に設定し、サブマッピングセンサによって搬送対象物の端面の有無を検知可能に設定し、メインマッピングセンサによるセンシング処理と同じタイミングで、残り2つのマッピングセンサ(3つ以上のマッピングセンサのうちメインマッピングセンサ以外のマッピングセンサ)であるサブマッピングセンサによるセンシング処理を行うようにすれば、3つ以上のマッピングセンサによるセンシング情報に基づいて搬送対象物の収容状態の良否を判別部で判別する処理時間の短縮化を図ることができ、最も簡易な構成でセンシング処理時点における検知対象物である搬送対象物の有無検知及びクロス異常搭載検知に加えて、搬送対象物が複数枚重なっている多重搭載(ダブル異常搭載)の状態で収容されているか否かも迅速且つ確実に行うことができる。なお、搬出入口の幅方向中央部分を検知対象領域とする第3のマッピングセンサをメインマッピングセンサに設定し、搬出入口の両端近傍部分を検知対象領域とする第1のマッピングセンサ及び第2のマッピングセンサをサブマッピングセンサに設定することが好適である。
【0019】
また、本発明において、搬送対象物は角型基板とすることができ、その場合、各マッピングセンサを、搬送対象物の端面の延伸方向に対して平行または略平行となる方向に設定し、マッピング機構を、所定の検知対象領域を有する各マッピングセンサが搬送対象物の端面を検知することで搬送対象物の収容状態の良否を判別するものとすることができる。
【0020】
このようなロードポートであれば、格納容器内における搬送対象物が大型で角型のものであってもその収容状態を精度良く且つ正確に検出することが可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、共通のマッピングアームに3つ以上のマッピングセンサを水平方向に相互に離間して設け、これら3つ以上のマッピングセンサによって撮影及び画像処理を伴わずに搬送対象物の端面における異なる3箇所を検知するという斬新な技術的思想を採用し、マッピング機構の高価格化及び構造の複雑化を回避して、装置全体の大型化を招来することなく、平面形状が矩形状で大型の薄い搬送対象物であっても格納容器内における収容状態を精度良く且つ正確に検出可能なロードポート、及びロードポートにおけるマッピング処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るロードポートを備えたEFEMとその周辺装置の相対位置関係を示す模式的に示す側面図。
図2図1に示す相対位置関係を簡略化した平面図。
図3】格納容器内のスロットに収容した搬送対象物とマッピング機構の相対位置関係を模式的に示す図。
図4】同実施形態に係るロードポートを一部省略して示す正面図。
図5】本実施形態におけるマッピングセンサの検知対象領域を模式的に示す図。
図6】本実施形態におけるロードポートの動作手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
本実施形態に係るロードポート1は、例えば半導体の製造工程において用いられ、図1及び図2に示すように、クリーンルーム内において、搬送室2の壁面の一部を構成し、搬送室2とFOUP等の格納容器3との間で搬送対象物Wの出し入れを行うためのものである。搬送対象物Wの材質としては、ガラス、樹脂、SUS等が適用される。ロードポート1は、EFEM(Equipment Front End Module)の一部を構成し、格納容器3と搬送室2のインターフェース部分として機能するものである。本実施形態では、矩形状(角型)をなす比較的大型の薄い搬送対象物W(例えば平面サイズが600mm×600mm、515mm×510mmであり、厚さが0.2mmから2mmのガラス基板)を適用している。
【0025】
本実施形態では、図2に示すように、搬送室2の前面(前壁面)2Fにロードポート1を複数(例えば3台)並べて配置している。EFEMの作動は、ロードポート1のコントローラ(図1に示す制御部1C)や、EFEM全体のコントローラ(図1に示す制御部2C)によって制御される。
【0026】
搬送室2の内部空間2Sには、ガラス基板等の搬送対象物をロードポート1上の格納容器3と処理室Rとの間で搬送可能な搬送ロボット21が設けられている。搬送ロボット21は、図1及び図2に示すように、例えば複数のリンク要素を相互に水平旋回可能に連結し、先端部に搬送対象物把持部211(ハンド)を設けたアーム212と、アーム212の基端部を構成するアームベースを旋回可能に支持し且つ搬送室2の幅方向(ロードポート1の並列方向)に走行する走行部とを備えたものである。搬送ロボット21は、アーム長が最小になる折畳状態と、アーム長が折畳状態時よりも長くなる伸長状態との間で形状が変わるリンク構造(多関節構造)を有する。アーム212の先端に、個別に制御可能な複数のハンド211を高さ方向に多段状に設けた搬送ロボット21を適用することができる。また、走行部を備えず、設置位置が固定された搬送ロボットを適用したり、ソテーショナリロボットを搬送ロボットとして用いることもできる。
【0027】
搬送室2は、ロードポート1及び処理室Rが接続されることによって、内部空間2Sが略密閉された状態となるように構成している。搬送室2の内部空間2Sには、上方から下方に向かう気流であるダウンフローを形成している。したがって、搬送室2の内部空間2Sに搬送対象物Wの表面を汚染するパーティクルが存在した場合であっても、ダウンフローによってパーティクルを下方に押し下げ、搬送中の搬送対象物Wの表面へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。図1には、ダウンフローを形成している搬送室2内の気体の流れを矢印で模式的に示している。搬送室2の側面や搬送室2の内部空間2Sにバッファステーション、アライナ等の適宜のステーションを配置したEFEMを構成することも可能である。
【0028】
搬送室2の内部空間2S及び各ロードポート1上に載置される格納容器3の内部空間3Sは高清浄度に維持される。一方、ロードポート1を配置した空間、換言すれば処理室外、EFEM外は比較的低清浄度となる。なお、図1及び図2は、ロードポート1及び搬送室2の相対位置関係、及びこれらロードポート1及び搬送室2を備えたEFEMと処理室Rとの相対位置関係を模式的に示した図である。
【0029】
本実施形態における格納容器3は、図1に模式的に示すように、搬出入口31を通じて内部空間3Sを後方にのみ開放可能な容器本体32と、搬出入口31を開閉可能な容器ドア33を備えている。格納容器3は、図3に示すように、内部に多段式スロットを構成するスロット34を設け、各スロット34に搬送対象物Wを収容可能に構成され、搬出入口31を介してこれら搬送対象物Wを出し入れ可能に構成されたものである。本実施形態では、格納容器3内において、図5(a)に示すように、搬送対象物Wの両サイド部分をそれぞれ同じ高さ位置にあるスロット34a,34bで支持し、搬送対象物Wの幅方向中央部分をスロット34a,34bと同じ高さ位置にある34cで支持している。容器本体32の上向面には、格納容器3を自動で搬送する装置(例えばOHT:Over Head Transport)等に把持されるフランジ部35を設けている(図1参照)。
【0030】
本実施形態に係るロードポート1は、図1等に示すように、搬送室2の壁面の一部を構成し、且つ搬送室2の内部空間2Sを開放するための開口部41が形成された板状をなすフレーム4と、フレーム4に対して前方に突出させた略水平姿勢で設けた載置テーブル5と、外部から搬送されてきた格納容器3を載置テーブル5上に保持する着座保持機構6と、載置テーブル5上で格納容器3を着座位置と搬送対象物受渡位置との間で前後方向Dに移動させる牽引機構7と、フレーム4の開口部41を開閉するロードポートドア8と、ロードポートドア8を搬送室2側に後退したドア開放位置に移動させることによりフレーム4の開口部41を開状態にするドア開閉機構9と、ドア開閉機構9によってフレーム4の開口部41を開状態にした状態において、搬送対象物受渡位置にある格納容器3内の各スロット34(34a,34b,34c)における搬送対象物Wの有無を含む収容状態に関する情報をマッピングするマッピング機構Mとを備えている。
【0031】
フレーム4は、起立姿勢で配置され、載置テーブル5上に載置した格納容器3の搬出入口と連通し得る大きさの開口部41を有する略矩形板状のものである。図1にフレーム4の開口部41を模式的に示している。本実施形態のロードポート1は、フレーム4によって搬送室2の壁面の一部を構成している。フレーム4の下端には、キャスタ及び設置脚を有する脚部42を設けている。
【0032】
載置テーブル5は、フレーム4のうち高さ方向中央よりもやや上方寄りの位置に略水平姿勢で配置される水平基台50(支持台)の上部に設けられ、容器本体32がフレーム4に対向する向きで格納容器3を載置可能なものである。図4に示すように、載置テーブル5には、上向きに突出させた複数の突起51を設け、これらの突起51を格納容器3の底面に形成された穴(図示省略)に係合させることで、載置テーブル5上における格納容器3の位置決めを図っている。
【0033】
着座保持機構6は、載置テーブル5に設けたロック爪61(図4参照)を、格納容器3の底面に設けた被ロック部(図示省略)に引っ掛けて固定したロック状態にすることで、格納容器3を載置テーブル5上に保持するものである。また、本実施形態のロードポート1では、被ロック部に対するロック爪61のロック状態を解除することで、格納容器3を載置テーブル5から離間可能な状態にすることができる。
【0034】
牽引機構7は、載置テーブル5上で格納容器3を、容器本体32がロードポートドア8から所定距離離間した位置である着座位置と、容器本体32をロードポートドア8に密着させる位置である搬送対象物受渡位置との間で前後方向Dに移動させるものである。牽引機構7は、載置テーブル5を前後移動させる図示しないスライドレール等を用いて構成されている。着座保持機構6及び牽引機構7は、載置テーブル5が備える機構として捉えることもできる。
【0035】
なお、図1では、載置テーブル5上における格納容器3の載置状態として、載置テーブル5の上面に格納容器3の底面が接触している状態として簡略化して示している。しかしながら、実際には、載置テーブル5の上面よりも上方に突出している複数の突起51が、格納容器3の底面に形成された有底の穴に係合することで格納容器3を支持しており、載置テーブル5の上面と格納容器3の底面は相互に接触せず、載置テーブル5の上面と格納容器3の底面の間に所定の隙間が形成されるように規定されている。
【0036】
本発明及び本実施形態では、載置テーブル5に載置した格納容器3とフレーム4が並ぶ前後方向D(図1等参照)において、格納容器3側を前方と定義し、フレーム4側を後方と定義する。
【0037】
ロードポートドア8は、フレーム4の開口部41を密閉する全閉位置と、全閉位置よりも搬送室2側に後退したドア開放位置と、開口部41の開口スペースを後方に全開放させる全開位置との間で移動可能なものである。なお、図1では、ロードポートドア8及び後述のマッピング機構Mの外観を模式的に表すために、ロードポートドア8をドア開放位置に位置付けた状態を示しているが、実際の運用では、格納容器3を搬送対象物受渡位置(容器本体32をロードポートドア8に密着させる位置)に移動させた状態であって且つ容器ドア33を係合保持した状態でロードポートドア8はドア開放位置に位置付けられる。すなわち、EFEM内及び搬送室2内が、外空間に開放されてしまうことのない運用が肝要である。ロードポートドア8は、格納容器3の容器ドア33を吸着して保持可能な係合部81を備え(図4参照)、容器ドア33との係合状態を維持したまま容器ドア33と一体的に全閉位置、ドア開放位置及び全開位置の間で移動可能に構成されている。そして、全閉位置と全開位置との間におけるロードポートドア8の移動経路は、全閉位置にあるロードポートドア8をその高さ位置を維持したままドア開放位置まで搬送室2側へ移動させた経路(水平経路)と、ドア開放位置にあるロードポートドア8をその前後位置を維持したまま全開位置まで下方へ移動させた経路(鉛直経路)とからなる。ドア開放位置に位置付けたロードポートドア8が鉛直方向及び水平方向の何れにも移動できるように、ドア開放位置に位置付けたロードポートドア8に保持される容器ドア33は、ロードポートドア8と共にフレーム4よりも後方の位置(容器本体32から完全に離間し、搬送室2の内部空間2Sに配置される位置)に位置付けられる。
【0038】
このようなロードポートドア8の移動は、ロードポート1に設けたドア開閉機構9によって実現している。ドア開閉機構9は、ロードポートドア8をドア開放位置や全開位置に移動させることによって、開状態にしたフレーム4の開口を介して格納容器3の内部空間3Sを搬送室2に連通させるものである。ドア開閉機構9は、例えばロードポートドア8を支持する支持フレーム80を前後方向Dに移動可能に支持する可動ブロック(図示省略)や、可動ブロックを上下方向Hに移動可能に支持するスライドレール(図示省略)を用いて構成され、アクチュエータ等の駆動源(図示省略)を作動させて、ロードポートドア8を前後方向D及び上下方向Hに移動させるものである。なお、前後移動用のアクチュエータと、上下移動用のアクチュエータとを別々に備えた態様であってもよいが、部品点数の削減という点では、共通のアクチュエータを駆動源としてロードポートドア8の前後移動及び上下移動を行う態様が優れている。
【0039】
本実施形態のロードポートドア8は、容器ドア33と容器本体32との係合状態(ラッチ状態)を解除して容器ドア33を容器本体32から取り外し可能な状態(アンラッチ状態)にする連結切替機構82を備えている(図4参照)。また、本実施形態のロードポート1は、載置テーブル5に設けられ格納容器3の底面側から当該格納容器3内に窒素ガスや不活性ガス又はドライエア等の適宜選択された気体である環境ガス(パージガスとも称され、本実施形態では主に窒素ガスやドライエアを用いている)を注入し、格納容器3内の気体雰囲気を環境ガスに置換可能なボトムパージ部を備えることができる。ボトムパージ部は、載置テーブル5上の所定箇所に複数設けた図示しないノズルを主体としてなり、複数のノズルを、所定の環境ガスを注入するボトムパージ注入用ノズルや、格納容器3内の気体雰囲気を排出するボトムパージ排出用ノズルとして機能させている。これら複数のノズルは、格納容器3の底部に設けた注入口及び排出口(ともに図示省略)に嵌合した状態で連結可能なものである。注入口を介してボトムパージ注入用ノズルから格納容器3の内部空間3Sに環境ガスを供給し、排出口を介してボトムパージ排出用ノズルから格納容器3の内部空間3Sの気体雰囲気(この気体雰囲気は、パージ処理実行開始から所定時間までは空気や空気以外の清浄度が低い環境ガスであり、当該所定時間経過後は格納容器3の内部空間3Sに充填された清浄度の高い環境ガスである)を排出することで、パージ処理を行うことが可能である。
【0040】
マッピング機構Mは、図3に示すように、格納容器3内に設けた各スロット(多段式スロット)34により高さ方向Hに多段状に収納された搬送対象物Wの有無を検知可能な3つのマッピングセンサM1,M2,M3と、3つのマッピングセンサM1,M2,M3を同じ高さ位置で支持するマッピングアームM4と、3つのマッピングセンサM1,M2,M3によるセンシング情報に基づいて搬送対象物Wの収容状態の良否を判別する判別部M5とを備え、格納容器3内における搬送対象物Wの有無や収納姿勢を検出可能なものである。
【0041】
マッピングセンサM1,M2,M3は、搬送対象物Wの端面Waを検知可能な端面検知部として機能するものであり、本実施形態では、マッピングセンサM1,M2,M3として、可視光線または赤外線等の光を投光部から照射し、検出物体である搬送対象物Wによって反射する光や遮光される光量の変化を受光部で検出して出力信号(センシング情報)を取得可能な光電センサを適用している。特に、本実施形態では、ビーム(線光)を発する送信器(発光センサ、発光素子)と、発光素子から発して搬送対象物Wの端面Waで反射したビームを受信する受信器(受光センサ、受光素子)とを1つのセンサアンプ内に内蔵した反射型の光電センサ(反射型センサ)を適用している。
【0042】
マッピング機構Mが有する3つのマッピングセンサM1,M2,M3は、図3及び図5(a)に示すように、格納容器3の搬出入口31の一方の端部31a近傍箇所を検知対象領域TAとする第1のマッピングセンサM1と、搬出入口31の他方の端部31b近傍箇所を検知対象領域TBとする第2のマッピングセンサM2と、搬出入口31のうち第1のマッピングセンサM1による検知対象領域TAと第2のマッピングセンサM2による検知対象領域TBとの間の所定領域を検知対象領域TCとする第3のマッピングセンサM3とに区別することができる。これら各マッピングセンサM1,M2,M3の検知対象領域TA,TB,TCは、図5(a)に示すように、円形で示すセンサ光の照射領域であり、特に検知対象である搬送対象物W1枚分の厚さと同程度の直径の照射領域である。同図から把握できるように、これら3つの検知対象領域TA,TB,TCは、同じ高さ位置である。なお、搬送対象物Wの厚みに応じて、マッピングセンサの検知対象領域を適宜変更することが可能である。また、マッピングセンサの位置(センサ位置)を左右幅方向に調整可能に構成することもできる。
【0043】
第1のマッピングセンサM1の検知対象領域TAは、図3に示すように、格納容器3の搬出入口31の一方の端部31a近傍部分であり、具体的には、格納容器3のうち容器本体32の一方の側壁に設けたスロット34aよりも所定距離だけ搬出入口31の幅方向中央側に寄った領域である。また、第2のマッピングセンサM2の検知対象領域TBは、格納容器3の搬出入口31の他方の端部31b近傍部分であり、具体的には、格納容器3のうち容器本体32の他方の側壁に設けたスロット34bよりも所定距離だけ搬出入口31の幅方向中央側に寄った領域である。すなわち、搬送対象物Wの有無を検知するためのセンサ光がスロット34(34a,34b)を照射しないように、第1のマッピングセンサM1及び第2のマッピングセンサM2の検知対象領域TA,TBを設定している。
【0044】
第3のマッピングセンサM3の検知対象領域TCは、第1のマッピングセンサM1による検知対象領域TAと第2のマッピングセンサM2による検知対象領域TBとの中間地点(搬出入口31の幅方向中央)であることが好ましいが、本実施形態では、搬出入口31の幅方向中央よりも所定距離だけ第1のマッピングセンサM1による検知対象領域TA側に寄った領域である。これは、本実施形態に係るロードポート1において、飛び出しセンサ(図示省略)と第3のマッピングセンサM3との干渉を回避する措置である。つまり、マッピング処理時に格納容器3に収容されている搬送対象物Wが正規位置よりも格納容器3から飛び出した位置にあると、マッピングセンサM1が搬送対象物Wと衝突する恐れがあり、この事態を回避すべく、飛び出した搬送対象物Wを検出する飛び出しセンサ(例えば検出波の照射軸を高さ方向に向けた飛び出しセンサ、図示省略)を搬出入口31の幅方向中央に設けた態様を採用した場合に、飛び出しセンサと第3のマッピングセンサM3との干渉を回避する必要がある。なお、本実施形態における第3のマッピングセンサM3による検知対象領域TCは、搬出入口31の幅方向中央ではないものの、搬出入口31の幅方向中央部分に含まれる領域である。また、第3のマッピングセンサM3の検知対象領域TCを搬出入口31の幅方向中央よりも所定距離だけ第1のマッピングセンサM1による検知対象領域TA側に寄った領域に設定することで、搬送対象物Wの幅方向中央部分を支持するスロット34cを避けた位置に第3のマッピングセンサM3の検知対象領域TCを設定することができる。すなわち、第3のマッピングセンサM3の検知対象領域TCについても、第1のマッピングセンサM1及び第2のマッピングセンサM2の検知対象領域TA,TBと同様に、搬送対象物Wの有無を検知するためのセンサ光がスロット34cを照射しないようにその検知対象領域TCを設定している。
【0045】
マッピングアームM4は、図3に示すように、少なくとも水平方向に延伸する長尺のアーム本体M41を備えたものであり、アーム本体M41に3つのマッピングセンサM1,M2,M3を水平方向に相互に離間させた所定の位置に固定した状態で支持するものである。各マッピングセンサM1,M2,M3は、その先端がそれぞれ前方を向いてマッピングアームM4よりも前方に突出した姿勢で支持されている。本実施形態では、図3に示すように、3つのマッピングセンサM1,M2,M3が並ぶ方向(同図において2点鎖線で示すマッピングセンサ並列方向ML)を、搬送対象物Wのうち搬出入口31に臨む端面Waの延伸方向に対して平行または略平行となる方向に設定している。また、マッピングセンサM1,M2,M3の各先端と搬送対象物Wの端面Waとの間に所定の隙間(例えば56mm)が形成されるように、マッピングアームM4に対するマッピングセンサM1,M2,M3の取付固定位置を設定している。なお、格納容器3内で搬送対象物Wを正規の位置に対して±数mm程度ズレた(外れた)位置に置くことが許容される場合がある。このような場合には、そのズレに対応できるように、マッピングセンサM1,M2,M3の位置を変更可能に構成することで、マッピングセンサM1,M2,M3の各先端と搬送対象物Wの端面Waとの間の適切な離間距離を確保することが可能である。本実施形態のロードポート1は、ドア開閉機構9を構成するパーツにマッピングアームM4を取り付けている(図1参照)。したがって、ドア開閉機構9によるロードポートドア8の昇降作動に伴ってマッピングアームM4も一体に作動する。その結果、マッピング機構M全体がロードポートドア8と一体に同じ方向に昇降移動する。なお、ロードポートドア8の上端部にマッピングアームM4を直接または他のパーツを介して取り付ける構成を採用することもできる。このような構成であってもマッピング機構M全体がロードポートドア8と一体に同じ方向に昇降移動する。
【0046】
なお、マッピング機構Mとして、図示しないステッピングモータによってマッピングアームM4の昇降移動を制御し、ステッピングモータのパルス数に基づいてマッピングセンサM1,M2,M3の高さ位置を特定可能なものを適用することができる。この場合、マッピングアームM4は、ロードポートドア8の昇降移動とは独立に昇降移動する。すなわち、マッピング機構MのマッピングセンサM1,M2,M3がロードポートドア8と昇降機構を共有するか否かを適宜選択できる。
【0047】
判別部M5は、3つのマッピングセンサM1,M2,M3によるセンシング情報に基づいて搬送対象物Wの収容状態の良否を判別するものである。ここで、各マッピングセンサM1,M2,M3は、信号であるビーム(線光)を発して、その信号を受信するか否かで検知対象領域TA,TB,TCにおける搬送対象物Wの有無を検知するものであり、ビームの軌跡(線光ライン)を検出ラインと捉えることができる。すなわち、マッピング処理時の検出ラインは、図3において直線の矢印で示すように、搬送室2の内部空間2S側から搬送対象物Wの端面Waに向かって延伸する信号送信時の直線ラインと、搬送対象物Wの端面Waから搬送室2の内部空間2S側に向かって延伸する信号受信時の直線ラインとからなる。マッピング処理時において、各マッピングセンサM1,M2,M3の送信器から前方に向かって信号(ビーム)を発すると、送信器の前方に搬送対象物Wの端面Waが存在している場合には、搬送対象物Wの端面Waで反射した信号が各マッピングセンサM1,M2,M3の受信器に達する一方、送信器の前方に搬送対象物Wの端面Waが存在していない場合には、搬送対象物Wの端面Waで反射することがないため信号は受信器に達しない。このような信号の受信有無に基づいて、各マッピングセンサM1,M2,M3による検知対象領域TA,TB,TCに搬送対象物Wの端面Waが有るか否かを順次検出することができる。
【0048】
そして、判別部M5は、全てのマッピングセンサM1,M2,M3で同時または略同時に信号を受信した場合(信号ON;反射光を受光した場合)、つまり図5(a)に示すように全てのマッピングセンサM1,M2,M3の検知対象領域TA,TB,TCに搬送対象物Wの端面Waが存在する場合には、搬送対象物Wが正常姿勢(水平な姿勢)で収容されていることを特定し、3つのマッピングセンサM1,M2,M3のうち何れか1つのマッピングセンサで信号を受信したタイミングにおいて他のマッピングセンサの全部または1つで信号を受信しない場合(信号OFF;反射光を受光しない場合)、例えば図5(b)に示すように第2のマッピングセンサM2の検知対象領域TBに搬送対象物Wの端面Waが存在しない場合には、搬送対象物Wが正常な姿勢で収容されていない(クロス異常搭載)ことを特定し、全てのマッピングセンサM1,M2,M3で信号を受信しない場合には、搬送対象物Wが収容されていないことを特定する。このように、判別部M5は、搬送対象物Wが収容されているか否かを判別するのみならず、水平方向に並べて配置された3つのマッピングセンサM1,M2,M3が同時または略同時に検知(信号ON)するか否かによって、搬送対象物Wが水平姿勢で収容されているか、水平姿勢で収容されていないクロス異常搭載であるかを判別する。特に、図5(b)に示すように、大型の搬送対象物Wが自重や薄さ等によって撓んだ状態で収容されている場合、撓みの程度が大きい場合には、3つのマッピングセンサM1,M2,M3のうち何れか1つのマッピングセンサで信号を受信したタイミングにおいて他のマッピングセンサの全部または1つで信号を受信しないことになるため、この検知情報に基づいて判別部M5は、搬送対象物Wが正常姿勢(水平な姿勢)で収容されていないことを特定する。撓み搭載は、クロス異常搭載の一態様として捉えることができる。すなわち、厚み寸法が大きく(分厚く)剛体に近い搬送対象物であれば撓むことがないため、このような搬送対象物が水平姿勢で収容されていないクロス異常搭載であると判別部M5によって特定した場合、その搬送対象物は全体的に斜めに傾いた姿勢(全体として幅方向に直線状をなす形態は維持された姿勢)で収容されていることになる。一方、図5(b)に示すように、厚みが小さい(薄い)搬送対象物Wであれば、クロス異常搭載であると判別部M5によって特定した場合、その搬送対象物Wは少なくとも一部が撓んだ姿勢で収容されていることになる。図5(b)に示すクロス異常搭載は、搬送対象物Wのうち紙面向かって左端近傍領域及び幅方向中央部分が同一高さ位置のスロット34a,34cに支持される一方で、これらのスロット34a,34cと同一高さ位置の34bには搬送対象物Wが支持されていない状態であり、スロット34bに支持されていない搬送対象物Wのうち紙面向かって右端近傍領域が宙に浮いている状態である。なお、例えば搬送対象物Wのうち紙面向かって左端近傍領域及び幅方向中央部分が同一高さ位置のスロット34a,34cに支持される一方で、搬送対象物Wのうち紙面向かって右端近傍領域がこれらのスロット34a,34cとは異なる高さ位置のスロット34bに支持されている(搬送対象物Wのうち紙面向かって右端近傍領域が宙に浮いていない)状態もクロス異常搭載の一態様である。
このように、本実施形態に係るマッピング機構Mは、所定の検知対象領域TA,TB,TCを有する各マッピングセンサM1,M2,M3が搬送対象物Wの端面Waを検知することで搬送対象物Wの収容状態の良否を判別するものである。
【0049】
また、本実施形態のマッピング機構Mでは、マッピングセンサM1,M2,M3による信号受信の継続時間(信号ON継続時間)に基づいて搬送対象物Wの厚みも算出している。なお、ステッピングモータでマッピングアームM4を昇降移動させる場合には、マッピングセンサM1,M2,M3による信号受信の継続時間(信号ON継続時間)から、ステッピングモータのパルス数に基づいて搬送対象物Wの厚みも算出している。本実施形態では、処理効率向上のため第3のマッピングセンサM3の信号ON継続時間のみを計測し、他のマッピングセンサ(第1のマッピングセンサM1、第2のマッピングセンサM2)の信号ON継続時間は計測しないように設定している。これは、搬送対象物Wが複数枚重なった状態で収容されているか否かは、収容されている搬送対象物Wの少なくとも1箇所における厚みから特定できることに着目したものである。
【0050】
本実施形態に係るロードポート1は、制御部1Cから各部、各機構に駆動指令を与えることで所定の動作を実行する。制御部1Cは、記憶部と、ROMと、RAMと、I/Oポートと、CPUと、外部の表示装置等との間でのデータの入出力を行う入出力インタフェース(IF)と、これらを相互に接続して各部の間で情報を伝達するバスとを備えた構成を有する。
【0051】
記憶部には、このロードポート1で実行される処理の種類に応じて、制御手順(動作シーケンス)が記憶されている。つまり、この記憶部には、所定の動作プログラムが格納されている。本実施形態におけるプログラムは、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体(ハードディスク等)に実行可能なプログラムとして格納されているものである。
【0052】
ROMは、ハードディスク、EEPROM、フラッシュメモリなどから構成され、CPUの動作プログラムなどを記憶する記録媒体である。RAMは、CPUのワークエリアなどとして機能する。I/Oポートは、例えば、CPUが出力する制御信号を各部、各機構へ出力したり、各種センサからの情報をCPUに供給する。
【0053】
CPUは、制御部1Cの中枢を構成し、ROMに記憶された動作プログラムを実行する。CPUは、記憶部に記憶されているプログラムに沿ってロードポート1の動作を制御する。
【0054】
次に、本実施形態に係るロードポート1の使用方法(特にマッピング処理方法)及び作用について、動作フローを示す図6等を参照しながら説明する。
【0055】
先ず、搬送室2のうちロードポート1を配置した共通の壁面2Fに沿って延伸する直線上の搬送ライン(動線)で作動するOHT等の格納容器自動搬送装置により格納容器3がロードポート1の上方まで搬送され、載置テーブル5上に載置されると、本実施形態に係るロードポート1では、制御部1Cが、着座保持機構6により載置テーブル5上に保持する着座保持処理St1を実行する(図6参照)。本実施形態における着座保持処理St1の具体的な処理は、載置テーブル5上のロック爪61を格納容器3の底面またはフレームカセットCの底面に設けた被ロック部(図示省略)に引っ掛けてロック状態にする処理である。これにより、格納容器3またはフレームカセットCを載置テーブル5上の所定の着座位置に載置して固定することができる。格納容器3が載置テーブル5上に載置された場合、載置テーブル5に設けた位置決め用突起51が格納容器3の位置決め用凹部に嵌まる。
【0056】
なお、本実施形態では、搬送室2の幅方向に3台並べて配置したロードポート1の載置テーブル5にそれぞれ格納容器3を載置することが可能であり、載置テーブル5上に格納容器3が所定の位置に載置されているか否かを検出する着座センサ(図示省略)により格納容器3が載置テーブル5上の着座位置に載置されたことを検出するように構成することもできる。
【0057】
着座保持処理St1に続いて、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、牽引機構7により載置テーブル5を着座位置から搬送対象物受渡位置までフレーム4に向かって後退させる(後方牽引処理St2)。この後方牽引処理St2により、予め全閉位置で待機させているロードポートドア8に容器ドア33を連結(ドッキング)して密着状態で保持することができる。本実施形態では、上述のロードポートドア8に設けた係合部81を用いて当該ロードポートドア8に容器ドア33を連結して密着状態で保持するように構成している。
【0058】
本実施形態のロードポート1では、載置テーブル5上の着座位置に格納容器3が載置された時点で、制御部1Cが、載置テーブル5に設けた例えば加圧センサを格納容器3の底面部が押圧したことを検出し、これをきっかけに、制御部1Cが、載置テーブル5に設けたボトムパージ注入用ノズル及びボトムパージ排出用ノズルを載置テーブル5の上面よりも上方へ進出させる駆動命令(信号)を与える。その結果、これら各ノズル(ボトムパージ注入用ノズル、ボトムパージ排出用ノズル)を格納容器3の注入口と排出口にそれぞれ連結し、パージ処理を実行可能な状態になる。
【0059】
そして、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが駆動命令を発して、格納容器3の内部空間3Sに対してパージ処理St3を実行する。このパージ処理St3は、注入口を介してボトムパージ注入用ノズルから格納容器3の内部空間3Sに所定の環境ガスを供給し、それまで格納容器3の内部空間3Sに滞留していた気体を、排出口を介してボトムパージ排出用ノズルから排出する処理である。このパージ処理St3によって、格納容器3の内部空間3Sを環境ガスで満たして、格納容器3内の水分濃度及び酸素濃度をそれぞれ所定値以下にまで短時間で低下させて格納容器3内における搬送対象物Wの周囲環境を低湿度環境及び低酸素環境にすることができる。
【0060】
なお、載置テーブル5上に載置されるよりも前の時点で予めパージ処理が施されている格納容器3を適用することが可能であり、このような格納容器3に対してパージ処理St3を実行してもよいし、パージ処理St3を実行しないという選択も可能である。
【0061】
引き続いて、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、連結切替機構82により、容器ドア33と容器本体32との係合状態を解除して容器ドア33を容器本体32から取り外し可能なアンラッチ状態にする処理(アンラッチ処理St4)を行う。
【0062】
アンラッチ処理St4に続いて、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、ドア開閉機構9によりロードポートドア8を全閉位置からドア開放位置まで後方へ移動させて、フレーム4の開口部41を開状態にする処理(ドア開放処理St5)を実行する。具体的には、制御部1Cが、ドア開閉機構9によりロードポートドア8を全閉位置からドア開放位置まで上述の水平経路に沿って所定距離移動させる。この際、ロードポートドア8は、係合部81によって容器ドア33を一体的に保持したまま移動する。したがって、ドア開放処理St5により、格納容器3の搬出入口31もフレーム4の開口部41と同様に開状態になる。
【0063】
次いで、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、マッピング機構Mによりマッピング処理St6を行う。マッピング処理St6は、マッピングアームM4を高さ方向に一定速度で移動させながらマッピングセンサM1,M2,M3によって格納容器3内の搬送対象物Wに関する情報をスロット34ごとに取得する処理である。本実施形態では、ドア開放処理St5直後におけるマッピングセンサM1,M2,M3の高さ位置を、格納容器3内における最上段のスロット34よりも少し上側の位置に設定している。このマッピングセンサM1,M2,M3の高さ位置をマッピング開始高さ位置とする。このような本実施形態のロードポート1によれば、ドア開放処理St5直後にマッピング処理St6を行うことが可能である。なお、本実施形態のロードポート1は、マッピング処理St6を実行するよりも前の時点でドア開放処理St5を実行しているため、フレーム4の開口部41及び格納容器3の搬出入口31は開状態にある。
【0064】
そして、本実施形態のロードポート1では、ドア開閉機構9によりロードポートドア8をドア開放位置から全開位置に向かって下方へ移動させると、マッピング機構M全体も下方へ移動する。これにより、3つのマッピングセンサM1,M2,M3は、マッピング処理St6を実行可能な適切な位置に維持されたままマッピング開始高さ位置から最下段のスロット34よりも低い位置(マッピング終了高さ位置)まで移動する。制御部1Cは、以上の手順を経て、マッピングセンサM1,M2,M3ごとの信号受信の有無を検出するセンシング処理を行う。本実施形態では、3つのマッピングセンサM1,M2,M3のうち予め設定した1つのマッピングセンサ(本実施形態では第3のマッピングセンサM3)によるセンシング処理と同じタイミングで、残りの2つのマッピングセンサ(第1のマッピングセンサM1,第2のマッピングセンサM2)によるセンシング処理を行う。このように、本実施形態では、第3のマッピングセンサM3をメインマッピングセンサとして機能させ、第1のマッピングセンサM1及び第2のマッピングセンサM2をメインマッピングセンサに同期して作動するサブマッピングセンサとして機能させている。制御部1Cは、センシング処理に伴う検出信号に基づいて判別部M5によってスロット34ごとに搬送対象物Wの有無を含む収容状態の良否を特定するマッピング処理St6を実行する。
【0065】
判別部M5における具体的な判別方法は上述の通りであり、マッピング処理St6によって、判別対象のスロット34における搬送対象物Wの収容状態が、正常搭載、クロス異常搭載、または搭載なし(空スロット)の何れであるかを特定できる。また、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、マッピング機構Mによりマッピング処理St6において、マッピングセンサ(本実施形態ではメインマッピングセンサである第3のマッピングセンサM3)による信号受信の継続時間(信号ON継続時間)に基づいて搬送対象物Wの厚みを算出し、その算出結果によって搬送対象物Wが複数枚重なった状態で収容されているか否かを判別部M5によって特定する。つまり、信号受信の継続時間が所定の時間以上である場合には搬送対象物Wが複数枚重なった状態で収容されていること(ダブル異常搭載)を判別部M5によって特定する。
【0066】
本実施形態に係るロードポート1では、制御部1Cが、マッピング処理St6の結果に基づいて、正常姿勢で収納されている搬送対象物Wを搬送ロボット21によって順次所定の搬送先(処理室R(具体的にはロードロック室)、バッファステーション、アライナ等)へ搬送する処理を実行する。
【0067】
一方、マッピング処理St6の検知結果に基づいて正常姿勢で収納されていない搬送対象物Wが収納されていることを特定した場合(クロス異常搭載、ダブル異常搭載を特定した場合)、載置テーブル5上の格納容器3は、格納容器自動搬送装置によって載置テーブル5から他のスペースへ移載される。したがって、クロス異常搭載の状態にある搬送対象物Wを搬送ロボット21によって搬送した場合に生じる搬送対象物Wの損傷・破損という事態を回避することができる。なお、新たな格納容器3が格納容器自動搬送装置によって載置テーブル5上に載置された場合には、上述の動作シーケンスを経ることになる。
【0068】
以上に述べた本実施形態に係るロードポート1によれば、格納容器3内の各スロット34における搬送対象物Wの有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構Mを用いて、マッピング処理St6を実行することが可能であり、マッピング処理St6により格納容器3内の各スロット34における搬送対象物Wの有無を含む収容状態に関する情報をマッピングして、マッピング処理St6の検知結果に基づいて、搬送対象物Wの正常搭載、またはクロス異常搭載やダブル異常搭載を特定することが可能である。
【0069】
すなわち、本実施形態に係るロードポート1によれば、3つのマッピングセンサM1,M2,M3を共通のマッピングアームM4に水平方向に相互に離間して並ぶように配置し、それぞれのマッピングセンサM1,M2,M3による検知対象領域TA,TB,TCを、格納容器3のうち搬出入口31の両端31a,31b近傍部分と、搬出入口31の幅方向中央部分の計3箇所に振り分けて設定しているため、3つ全てのマッピングセンサM1,M2,M3が搬送対象物Wの端面Waを同時に検知した場合には、判別部M5においてこれら3つのマッピングセンサM1,M2,M3によるセンシング情報に基づいて搬送対象物Wが水平姿勢で収容されていることを特定することができ、1つのマッピングセンサが搬送対象物Wの端面Waを検知したタイミングで他の2つのマッピングセンサのうち少なくとも1つのマッピングセンサが搬送対象物Wの端面Waを検知しない場合には、判別部M5においてこれら3つのマッピングセンサM1,M2,M3によるセンシング情報に基づいて搬送対象物Wが水平姿勢で収容されておらず、斜めの姿勢で収容されていること(撓み搭載を含むクロス異常搭載)を特定することができる。したがって、本実施形態に係るロードポート1によれば、平面形状が矩形状で大型の薄い搬送対象物Wであっても格納容器3内における収容状態を精度良く且つ正確に検出することが可能である。しかも、本実施形態に係るロードポート1であれば、マッピング機構Mによって格納容器3内の各スロット34における搬送対象物Wの有無を含む収容状態に関する情報を撮影及び画像処理を伴わずにマッピングすることが可能であり、カメラ等を使用した画像処理システムと比較して、搬送対象物Wを検知する処理の高速化を図ることができ、システムに掛かる費用も安価に抑えることが可能である。
【0070】
加えて、本実施形態に係るロードポート1によれば、フレーム4の開口部41を開閉する際のロードポートドア8の昇降移動と一体にマッピングアームM4が昇降移動するため、マッピングアームM4を独立して昇降移動させる機構が不要でありながら、開口部41を開閉する処理と同じタイミングでマッピング機構Mによるマッピング処理St6を実行することが可能であり、半導体製造における稼働率向上を図ることができる。
【0071】
また、本実施形態に係るロードポート1では、3つのマッピングセンサM1,M2,M3のうち予め設定した1つのメインマッピングセンサ(第3のマッピングセンサM3)によるセンシング処理と同じタイミングで、残り2つのマッピングセンサ(第1のマッピングセンサM1,第2のマッピングセンサM2)であるサブマッピングセンサによるセンシング処理を行うことで、3つのマッピングセンサM1,M2,M3によるセンシング情報に基づいて搬送対象物Wの収容状態の良否を判別部M5で判別する処理時間の短縮化を図ることができる。
【0072】
さらに、本実施形態に係るロードポート1では、メインマッピングセンサ(第3のマッピングセンサM3)によって搬送対象物Wの端面Waの有無及び搬送対象物Wの端面Waの厚みを検知可能に設定し、サブマッピングセンサ(第1のマッピングセンサM1,第2のマッピングセンサM2)によって搬送対象物Wの端面Waの有無のみを検知可能に設定してるため、最も簡易な構成でありながら各マッピングセンサM1,M2,M3によるセンシング処理時点における搬送対象物Wの有無検知及びクロス異常搭載検知に加えて、搬送対象物Wが複数枚重なっている多重搭載(ダブル異常搭載)の状態で収容されているか否かも迅速且つ確実に行うことができる。
【0073】
また、本実施形態で採用したロードポート1におけるマッピング処理方法によれば、上述のロードポートが奏する種々の作用効果と同様の作用効果を奏し、半導体製造における稼働率向上を図ることができる。
【0074】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、マッピング機構が備えるマッピングセンサは3つ以上であればよく、搬送対象物の大きさや必要な検知精度に対応して4つ以上のマッピングセンサを共通のマッピングアームに支持させたマッピング機構を採用することもできる。
【0075】
また、搬出入口の端部近傍部分を検知対象領域とする第1のマッピングセンサまたは第2のマッピングセンサの何れか一方をメインマッピングセンサに設定し、残りの2つ以上のマッピングセンサをメインマッピングセンサに同期して作動するサブマッピングセンサに設定しても構わない。すなわち、3つ以上のマッピングセンサのうちどのマッピングセンサをメインマッピングセンサに設定するかは任意に決定することができる。
【0076】
本発明では、搬送対象物の大きさ等に応じてマッピングアームに対するマッピングセンサの取付位置を変更可能・調整可能に構成することも可能である。
【0077】
マッピングセンサは、光電センサに限定されず、近接センサ、またはレーザ測距センサであってもよい。
【0078】
また、本発明では、マッピング機構として、マッピングアームによってマッピングセンサを水平または略水平に旋回可能に支持し、マッピングセンサを旋回軸回りに移動させることでマッピング位置またはマッピング不能位置に切換可能に構成することもできる。或いは、マッピングアーム全体が傾動することでマッピングセンサを前方へ傾動させてマッピング位置に位置付ける構成や、マッピングアーム全体が格納容器側へスライド移動することでマッピングセンサを格納容器側へ移動させてマッピング位置に位置付ける構成を採用することもできる。
【0079】
また、搬送ロボットによって搬送対象物をロードポート上の格納容器に収容し終えた後にもマッピング処理を行うように設定してもよい。
【0080】
本発明に係るロードポートは、EFEM以外の搬送装置に適用することもできる。
【0081】
また、例えば、搬送室の壁面に本発明に係るロードポートを複数配置し、搬送室内に配置される搬送ロボットによって各ロードポートの載置テーブル上に載置した格納容器間で搬送対象物を入替可能なソータ装置の一部を構成するものとして使用することも可能である。
【0082】
搬送室の壁面に配置するロードポートは1台であってもよい。上述の実施形態では、ロードポートのフレームが搬送室の外壁の一部を構成する態様を例示したが、フレームが搬送室の外壁に沿って設けられるものであっても構わない。
【0083】
上述した実施形態で搬送対象物として例示したガラス基板は、厚みだけでなく、組成に応じても撓み方が異なるものである。このようなガラス基板、特に厚さ0.4mm未満の薄いガラス基板は撓みやすいものであるが、格納容器内で正常な姿勢で搭載されているか否かを本発明に係るロードポートのマッピング機構によって適切に判別することができる。なお、搬送対象物が、レティクル、液晶搬送対象物、カルチャープレート、培養容器、ディッシュ、或いはシャーレ等であってもよい。すなわち、本発明は、半導体、液晶、細胞培養等の各種分野での容器に収容される搬送対象物を受け渡しするロードポートに適用することができる。
【0084】
搬送対象物を収容する格納容器も搬送対象物のサイズ等に応じた適宜の格納容器であればよい。格納容器として、容器ドアを備えていないオープンタイプのものを適用することもできる。また、1枚の搬送対象物を支持するスロットの数や、格納容器内におけるスロットの位置、或いはスロットの形状も適宜選択・変更することができる。例えば、搬送対象物の両サイド部分をそれぞれ支持する位置にのみスロットを設けたり、高さ方向においてマッピングセンサの検知対象領域と重なる位置にスロットを設けることができる。スロットをマッピングセンサによって検知不能なものにしたり、スロットをマッピングセンサによって検知した場合であってもその検知情報と、搬送対象物の端面を検知した場合の検知情報とを差別化できる構成にすることも誤検知を回避する上で有効な措置である。
【0085】
上述の実施形態では、ロードポートが制御部を備え、ロードポートドアの移動等、各部の作動を制御部が司る態様を例示したが、ロードポートの上位の装置(上述の実施形態であればEFEM、あるいは処理室)の作動を司る制御部(上位コントローラである上述のEFEM全体の制御部や処理室の制御部)によって、ロードポートの作動も司るように構成することも可能である。
【0086】
また、上述の制御部は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する制御部を構成することができる。そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板(BBS)に掲示した当該プログラムをネットワーク通信によって搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
【0087】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1…ロードポート
3…格納容器
32…容器ドア
34…スロット
4…フレーム
41…開口部
8…ロードポートドア
M…マッピング機構
M1…第1のマッピングセンサ(サブマッピングセンサ)
M2…第2のマッピングセンサ(サブマッピングセンサ)
M3…第3のマッピングセンサ(メインマッピングセンサ)
M4…マッピングアーム
M5…判別部
W…搬送対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6