(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015983
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20240130BHJP
B65H 31/32 20060101ALI20240130BHJP
B65H 31/34 20060101ALI20240130BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B65H37/04 D
B65H31/32
B65H31/34
G03G15/00 432
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113319
(22)【出願日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】P 2022117884
(32)【優先日】2022-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 守
(72)【発明者】
【氏名】勝亦 淑介
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】三井 雄介
(72)【発明者】
【氏名】神田 浩司
【テーマコード(参考)】
2H072
3F054
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA08
2H072JA02
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA02
3F054BA04
3F054BH05
3F054BH13
3F054BH14
3F054BH25
3F054BJ04
3F054BJ13
3F054DA01
3F108GA01
3F108GA10
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA34
3F108HA36
3F108HA39
(57)【要約】
【課題】コンパクトな構成でシートの角部に対して斜め綴じが可能な構成を提供する。
【解決手段】ステープルユニット400が斜め綴じを行う第2姿勢によりシートの幅方向のR側の角部に綴じ処理を行う場合に、まず、シートを掻き込みパドルによって第2搬送方向β2に搬送して該シートの第2搬送方向β2の下流端縁を後端規制部材290に突き当てる突き当て動作、及び、該シートを整合部270Aにより幅方向のF側に移動させるシフト動作を行う。その後、移動回動部がステープルユニットを第1姿勢から第2姿勢に回動させ、第2姿勢のステープルユニット400により綴じ処理を行う。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを第1搬送方向に搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを載置する載置部と、
前記第1搬送部によって搬送された前記載置部上のシートを前記第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、
前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送されたシートの前記第2搬送方向の下流端縁が突き当てられる突き当て部と、
前記載置部に載置されたシートの前記第1搬送方向に沿う端縁に当接した状態で前記第1搬送方向と交差するシートの幅方向に移動することで、前記第1搬送部によって搬送されたシートを前記幅方向に移動させるシフト部と、
前記第2搬送方向の下流端縁が前記突き当て部に突き当てられ、且つ前記シフト部で前記幅方向に移動されたシートに綴じ処理を行う綴じ部と、
前記綴じ部を前記幅方向に移動させ、さらに前記綴じ部を第1姿勢と、前記第1姿勢に対して傾斜した第2姿勢とに回動させる移動回動部と、を備え、
前記綴じ部は、第1部分と、前記第1部分と対向して配置されて前記第1部分との間でシートを挟持することでシートに前記綴じ処理を行う第2部分と、前記綴じ部が第1姿勢である場合に前記第1部分と前記第2部分とでシートに対して前記綴じ処理が行われる位置よりも前記第2搬送方向下流側に配置された奥側面とを有し、
前記第1姿勢は、前記綴じ部がシートの前記第2搬送方向の下流端部に対し、前記幅方向に沿った方向に綴じ処理を行う姿勢であり、
前記第2姿勢は、前記綴じ部がシートの前記第2搬送方向の下流端部の前記幅方向の一端側の角部に対し、前記幅方向に対して傾斜した方向に綴じ処理を行う姿勢であり、
前記綴じ部が前記第2姿勢でシートの前記幅方向の一端側の角部に綴じ処理を行う場合に、シートを前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送して該シートの前記第2搬送方向の下流端縁を前記突き当て部に突き当てる突き当て動作、及び、前記第1搬送部によって前記載置部に搬送されたシートの位置に対して、該シートを前記シフト部により前記幅方向の他端側で且つ前記綴じ部が前記第2姿勢になった場合に該シートが前記奥側面に接触しない位置まで移動させるシフト動作を行ってから、前記移動回動部が前記綴じ部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に回動させ、前記第2姿勢の前記綴じ部により綴じ処理を行う
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記綴じ部が前記第2姿勢でシートの前記角部に綴じ処理を行う場合に、前記突き当て動作を行った後に前記シフト動作を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記綴じ部が前記第1姿勢でシートの前記第2搬送方向の下流端部に綴じ処理を行う場合に、前記シフト動作を行わずに、前記突き当て動作によって前記第2搬送方向の下流端縁が前記突き当て部に突き当てられた状態のシートに対して、前記第1姿勢の前記綴じ部により綴じ処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項4】
シートを第1搬送方向に搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを載置する載置部と、
前記第1搬送部によって搬送された前記載置部上のシートを前記第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、
前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送されたシートの前記第2搬送方向の下流端縁が突き当てられる突き当て部と、
前記載置部に載置されたシートの前記第1搬送方向に沿う端縁に当接した状態で前記第1搬送方向と交差するシートの幅方向に移動することで前記第1搬送部によって搬送されたシートを前記幅方向に移動させるシフト部と、
前記第2搬送方向の下流端縁が前記突き当て部に突き当てられ、且つ前記シフト部で前記幅方向に移動されたシートに綴じ処理を行う綴じ部と、
前記綴じ部を前記幅方向に移動させ、さらに前記綴じ部を第1姿勢と、前記第1姿勢に対して傾斜した第2姿勢とに回動させる移動回動部と、を備え、
前記綴じ部は、第1部分と、前記第1部分と対向して配置されて前記第1部分との間でシートを挟持することでシートに前記綴じ処理を行う第2部分と、前記綴じ部が第1姿勢である場合に前記第1部分と前記第2部分とでシートに対して前記綴じ処理が行われる位置よりも前記第2搬送方向下流側に配置された奥側面とを有し、
前記第1姿勢は、前記綴じ部がシートの前記第2搬送方向の下流端部に対し、前記幅方向に沿った方向に綴じ処理を行う姿勢であり、
前記第2姿勢は、前記綴じ部がシートの前記第2搬送方向の下流端部の前記幅方向の一端側の角部に対し、前記幅方向に対して傾斜した方向に綴じ処理を行う姿勢であり、
前記綴じ部が前記第2姿勢でシートの前記幅方向の一端側の角部に綴じ処理を行う場合に、前記第1搬送部によって前記載置部に搬送されたシートの位置に対して、該シートを前記シフト部により前記幅方向の他端側で且つ前記綴じ部が前記第2姿勢になった場合に該シートが前記奥側面に接触しない位置まで移動させるシフト動作及び前記移動回動部により前記綴じ部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に回動させる回動動作を行い、その後、前記第2搬送部によって前記第2搬送方向にシートを搬送して、該シートの前記第2搬送方向の下流端縁を前記突き当て部に突き当てる突き当て動作を行ってから、前記第2姿勢の前記綴じ部により綴じ処理を行う
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項5】
前記綴じ部が前記第1姿勢でシートの前記第2搬送方向の下流端部に綴じ処理を行う場合に、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向の下流側に搬送されたシートに対して、前記シフト動作を行わずに前記突き当て動作を行い、前記第2搬送方向の下流端縁が前記突き当て部に突き当てられた状態のシートに対して、前記第1姿勢の前記綴じ部により綴じ処理を行う
ことを特徴とする請求項4に記載のシート処理装置。
【請求項6】
シートに画像を形成する画像形成部を有する画像形成装置と、
前記画像形成部により画像が形成されたシートに対して綴じ処理を施す請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシート処理装置と、を備えた画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに綴じ処理を行うシート処理装置、及び、シート処理装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート処理装置では、シートに綴じ処理を行うステープルユニットなどの綴じ部を有し、載置部に載置されたシートに対してステープルユニットを移動させることで、シートの所定位置に綴じ処理を行う。特許文献1には、シートの幅方向に沿った方向に綴じ処理を行う平綴じをシートの所定位置に移動して行う場合に、シートをステープルユニットの移動方向とは逆方向に移動させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステープルユニットは、ステープル針が突出可能なステープルヘッド(第1部分)と、ステープルヘッドと対向して配置されてステープルヘッドとの間でシートを挟持することでシートに綴じ処理を行うアンビル部材(第2部分)とを有する。このようなステープルユニットは、ステープルヘッドとアンビル部材とで綴じ処理を行う位置よりも奥側に、例えば、ステープルユニットのフレームを構成する面やステープル針を保持するカートリッジの一部の面などの奥側面があり、ステープルユニットを側方から見た場合にステープルヘッド、アンビル部材及び奥側面で略コの字形状を形成している。
【0005】
ここで、上述のステープルユニットを用いてシートの角部に対し、シートの幅方向に対し傾斜した方向に綴じ処理を行う斜め綴じをする場合がある。この場合、ステープルユニットの姿勢は、平綴じにおける第1姿勢に対して傾斜した第2姿勢となる。近年、装置のコンパクト化が望まれている。特に画像形成装置の胴内空間に設置されるシート処理装置(所謂、胴内フィニッシャ)においては、設置スペースが限られている。このため、最大サイズのシートに対してステープルユニットで斜め綴じを行う際に、綴じ処理を行う位置に搬送されるシートが第2姿勢となったステープルユニットの奥側面の一部に接触してシートの角部に対して斜め綴じが行えなくなってしまう虞がある。
【0006】
本発明は、コンパクトな構成でシートの角部に対して斜め綴じが可能なシート処理装置および画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシート処理装置は、シートを第1搬送方向に搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを載置する載置部と、前記第1搬送部によって搬送された前記載置部上のシートを前記第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送されたシートの前記第2搬送方向の下流端縁が突き当てられる突き当て部と、前記載置部に載置されたシートの前記第1搬送方向に沿う端縁に当接した状態で前記第1搬送方向と交差するシートの幅方向に移動することで、前記第1搬送部によって搬送されたシートを前記幅方向に移動させるシフト部と、前記第2搬送方向の下流端縁が前記突き当て部に突き当てられ、且つ前記シフト部で前記幅方向に移動されたシートに綴じ処理を行う綴じ部と、前記綴じ部を前記幅方向に移動させ、さらに前記綴じ部を第1姿勢と、前記第1姿勢に対して傾斜した第2姿勢とに回動させる移動回動部と、を備え、前記綴じ部は、第1部分と、前記第1部分と対向して配置されて前記第1部分との間でシートを挟持することでシートに前記綴じ処理を行う第2部分と、前記綴じ部が第1姿勢である場合に前記第1部分と前記第2部分とでシートに対して前記綴じ処理が行われる位置よりも前記第2搬送方向下流側に配置された奥側面とを有し、前記第1姿勢は、前記綴じ部がシートの前記第2搬送方向の下流端部に対し、前記幅方向に沿った方向に綴じ処理を行う姿勢であり、前記第2姿勢は、前記綴じ部がシートの前記第2搬送方向の下流端部の前記幅方向の一端側の角部に対し、前記幅方向に対して傾斜した方向に綴じ処理を行う姿勢であり、前記綴じ部が前記第2姿勢でシートの前記幅方向の一端側の角部に綴じ処理を行う場合に、シートを前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送して該シートの前記第2搬送方向の下流端縁を前記突き当て部に突き当てる突き当て動作、及び、前記第1搬送部によって前記載置部に搬送されたシートの位置に対して、該シートを前記シフト部により前記幅方向の他端側で且つ前記綴じ部が前記第2姿勢になった場合に該シートが前記奥側面に接触しない位置まで移動させるシフト動作を行ってから、前記移動回動部が前記綴じ部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に回動させ、前記第2姿勢の前記綴じ部により綴じ処理を行うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明のシート処理装置は、シートを第1搬送方向に搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを載置する載置部と、前記第1搬送部によって搬送された前記載置部上のシートを前記第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送されたシートの前記第2搬送方向の下流端縁が突き当てられる突き当て部と、前記載置部に載置されたシートの前記第1搬送方向に沿う端縁に当接した状態で前記第1搬送方向と交差するシートの幅方向に移動することで前記第1搬送部によって搬送されたシートを前記幅方向に移動させるシフト部と、前記第2搬送方向の下流端縁が前記突き当て部に突き当てられ、且つ前記シフト部で前記幅方向に移動されたシートに綴じ処理を行う綴じ部と、前記綴じ部を前記幅方向に移動させ、さらに前記綴じ部を第1姿勢と、前記第1姿勢に対して傾斜した第2姿勢とに回動させる移動回動部と、を備え、前記綴じ部は、第1部分と、前記第1部分と対向して配置されて前記第1部分との間でシートを挟持することでシートに前記綴じ処理を行う第2部分と、前記綴じ部が第1姿勢である場合に前記第1部分と前記第2部分とでシートに対して前記綴じ処理が行われる位置よりも前記第2搬送方向下流側に配置された奥側面とを有し、前記第1姿勢は、前記綴じ部がシートの前記第2搬送方向の下流端部に対し、前記幅方向に沿った方向に綴じ処理を行う姿勢であり、前記第2姿勢は、前記綴じ部がシートの前記第2搬送方向の下流端部の前記幅方向の一端側の角部に対し、前記幅方向に対して傾斜した方向に綴じ処理を行う姿勢であり、前記綴じ部が前記第2姿勢でシートの前記幅方向の一端側の角部に綴じ処理を行う場合に、前記第1搬送部によって前記載置部に搬送されたシートの位置に対して、該シートを前記シフト部により前記幅方向の他端側で且つ前記綴じ部が前記第2姿勢になった場合に該シートが前記奥側面に接触しない位置まで移動させるシフト動作及び前記移動回動部により前記綴じ部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に回動させる回動動作を行い、その後、前記第2搬送部によって前記第2搬送方向にシートを搬送して、該シートの前記第2搬送方向の下流端縁を前記突き当て部に突き当てる突き当て動作を行ってから、前記第2姿勢の前記綴じ部により綴じ処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コンパクトな構成でシートの角部に対して斜め綴じが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る画像形成システムの概略構成断面図。
【
図2】実施形態に係るシート処理装置の概略構成断面図。
【
図3】実施形態に係るシート処理装置の制御構成の要部を示すブロック図。
【
図5】実施形態に係るシート綴じ装置の概略構成斜視図。
【
図6】実施形態に係るシート綴じ装置のベース部の分解斜視図。
【
図7】実施形態に係るシート綴じ装置のステープラ移動ユニットの分解斜視図。
【
図8】実施形態に係るカム溝とステープラ保持ユニットとの関係を示す斜視図。
【
図9】(a)実施形態に係るステープラ保持ユニットの斜視図、(b)実施形態に係るステープラ移動ユニットの断面図。
【
図10】実施形態に係るステープラ移動ユニットの斜視図。
【
図12】実施形態に係るカム溝と移動部との関係を示す斜視図。
【
図14】ホームポジションにおける(a)カム溝とステープラ移動ユニットとの関係を示す平面図、(b)カム溝と移動部との関係を示す平面図。
【
図15】フロント側の斜め綴じ位置における(a)カム溝とステープラ移動ユニットとの関係を示す平面図、(b)カム溝と移動部との関係を示す平面図。
【
図16】リア側の斜め綴じ位置における(a)カム溝とステープラ移動ユニットとの関係を示す平面図、(b)カム溝と移動部との関係を示す平面図。
【
図17】比較例に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、(a)サイズが大きいシートの受け入れ状態を示す図、(b)サイズが小さいシートの受け入れ状態を示す図。
【
図18】実施形態に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、ステープルユニットがホームポジションにある状態を示す図。
【
図19】実施形態に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、1枚目のシートの受け入れ時の状態を示す図。
【
図20】実施形態に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、1枚目のシートの整合時の状態を示す図。
【
図21】実施形態に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、2枚目のシートの受け入れ時の状態を示す図。
【
図22】実施形態に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、2枚目のシートの整合時の状態を示す図。
【
図23】実施形態に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、シート束のシフト時の状態を示す図。
【
図24】実施形態に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、シート束の角部に斜め綴じを行っている状態を示す図。
【
図25】実施形態に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、シート束の排出時の状態を示す図。
【
図26】実施形態の別例に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、1枚目のシートの受け入れ時の状態を示す図。
【
図27】実施形態の別例に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、1枚目のシートのシフト時の状態を示す図。
【
図28】実施形態の別例に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、1枚目のシートを後端規制部材に突き当てた状態を示す図。
【
図29】実施形態の別例に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、1枚目のシートの整合時の状態を示す図。
【
図30】実施形態の別例に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、2枚目のシートの受け入れ時の状態を示す図。
【
図31】実施形態の別例に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、2枚目のシートのシフト時の状態を示す図。
【
図32】実施形態の別例に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、2枚目のシートを後端規制部材に突き当てた状態を示す図。
【
図33】実施形態の別例に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、2枚目のシートの整合時の状態を示す図。
【
図34】実施形態の別例に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、シート束の角部に斜め綴じを行っている状態を示す図。
【
図35】実施形態の別例に係る処理トレイ周辺の主要構成を示す平面図で、シート束の排出時の状態を示す図。
【
図36】実施形態に係るステープラユニットの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態について、
図1ないし
図25、
図36を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成システムの概略構成について、
図1を用いて説明する。なお、以下の説明でフロント側(F側)とは、ユーザが装置を操作する側、即ち、装置の手前側であり、例えば、画像形成システムを操作するためのボタン或いは操作パネルなどの操作部がある側である。また、リア側(R側)とは、後述するシートの幅方向に関してフロント側とは反対側、即ち、装置の奥側である。
【0012】
[画像形成システム]
図1は、本実施形態の画像形成システムの概略構成を示す断面図である。画像形成システム1000Aは、画像形成装置100、パンチユニット150、シート処理装置200Aを有する。画像形成装置100は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機などであり、用紙やプラスチックシートなどのシートに画像を形成するものである。本実施形態では、電子写真方式のプリンタとしており、トナー像が形成されたシートが、第1排出部101又は第2排出部102から排出される。なお、画像形成装置100は、インクジェット方式の画像形成装置であっても良い。
【0013】
本実施形態の画像形成装置では、詳しい図示は省略するが、画像形成部103においてシートにトナー像を形成する。簡単に説明すると、感光ドラムの表面を帯電し、その表面を露光することで、感光ドラム上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像を現像装置により現像剤で現像してトナー像とする。感光ドラムに形成されたトナー像は、シートに転写され、更に、定着装置で加熱、加圧されることでシートに定着される。トナー像が定着されたシートは、搬送パス104を通り、第1排出部101又は第2排出部102に送られる。
【0014】
また、本実施形態の画像形成装置100は、画像形成部103、搬送パス104、第1排出部101及び第2排出部102を備えた画像形成装置本体110と、画像形成装置本体110の上方に配置された画像読取部120を備える。画像読取部120は、原稿上の画像を読み取り、読み取った画像信号を画像形成装置本体110に送る。画像形成装置本体110は、画像形成部103が配置された第1筐体部111と、搬送パス104の一部、第1排出部101及び第2排出部102が配置された第2筐体部112とを有し、第2筐体部112は第1筐体部111の上方に設けられている。画像読取部120は、第2筐体部112の上方に設けられている。また、第2筐体部には不図示のオペレーションパネルが設けられており、画像形成装置100、パンチユニット150やシート処理装置200Aに対するユーザからの指示(印刷条件やモード設定等)を入力できるようになっている。
【0015】
本実施形態では、このように構成することで、第1筐体部111、第2筐体部112及び画像読取部120により囲まれた胴内空間130を有する。そして、第1排出部101又は第2排出部102から胴内空間130にシートを排出する構成としている。また、この胴内空間130には、パンチユニット150やシート処理装置200Aなどを着脱可能としている。本実施形態では、パンチユニット150及びシート処理装置200Aを装着して画像形成システム1000Aを構成しているが、何れか一方、或いは、他のシート処理を行う装置を装着するようにしても良い。
【0016】
パンチユニット150は、第1排出部101に接続され、第1排出部101から排出されたシートを受け入れて、該シートに対してパンチ処理を行うことが可能である。シート処理装置200Aは、パンチユニット150のシート排出部に接続され、パンチユニット150から排出されたシートを受け入れる。そして、詳しくは後述するが、該シートに対してステープルなどの所定の処理を施すことが可能である。なお、パンチユニット150でパンチ処理を行わずにシート処理装置200Aにシートを受け渡すことが可能であり、シート処理装置200Aにおいても所定の処理を施さずにシートを排出することが可能である。なお、第2排出部102から排出されたシートは、パンチユニット150及びシート処理装置200Aの上方のシート載置面160に排出される。
【0017】
胴内空間130には、
図1の左右方向に沿ってレール131が配置されており、レール131に沿って矢印α1、α2方向にパンチユニット150及びシート処理装置200Aを着脱可能となっている。なお、パンチユニット150を省略してシート処理装置200Aを直接、第1排出部101に接続することもできる。また、このようにパンチユニット150及びシート処理装置200Aを着脱可能とすることで、シートのジャム処理を可能としている。
【0018】
例えば、シートが第1排出部101でジャムした場合には、パンチユニット150及びシート処理装置200Aを矢印α1方向に引き出して第1排出部101を露出させる。また、パンチユニット150でシートのジャムが発生した場合には、シート処理装置200Aのみを矢印α1方向に引き出してパンチユニット150を露出させる。パンチユニット150やシート処理装置200Aを画像形成装置100に装着する際には、それぞれ矢印α2方向に押し込む。このように本実施形態では、シート処理装置200Aを画像形成装置100の胴内空間130に配置するため、シート処理装置200Aを小型化することが要求される。
【0019】
[シート処理装置]
本実施形態のシート処理装置200Aの構成について、
図2を用いて説明する。シート処理装置200Aは、搬送パス210A、第1搬送部としての処理前ローラ211A、212A、載置部としての処理トレイ220、一対の排出回転体(排出部)としての上側排出ローラ(ニップ部材)230A、下側排出ローラ230B、第2搬送部としての掻き込みパドル240A、シート落とし部としての後端落とし部材250A、シフト部としての整合部270A、戻し部材280、突き当て部としての後端規制部材290、積載部としての積載トレイ300、シート押さえパドル320Aなどを有する。画像形成装置100又はパンチユニット150から受け取ったシートは、搬送パス210Aに搬送される。
【0020】
搬送パス210Aから搬送されたシートは、シートを処理するモードに応じて、積載トレイ300に直接排出されるか、処理トレイ220に載置される。なお、積載トレイ300への直接排出とは、処理トレイ220上でステープル処理を実行可能な位置まで逆搬送することなくシートを積載トレイ300に排出することである。言い換えれば、シート処理装置200Aは、ステープルユニット400によってステープル処理が施されたシートを積載トレイ300に排出するモードと、ステープルユニット400によるステープル処理を行わずにシートを積載トレイ300に排出するモードを有する。本実施形態では、処理トレイ220に載置しないで、整合部270Aによりシートの整合を可能としている。また、処理トレイ220でもシートの整合が可能であり、処理トレイ220に載置されたシートに対してステープルユニット400によりステープルを可能としている。また、処理トレイ220に載置されたシート又はシート束は、一対の排出回転体としての上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bなどにより積載トレイ300に排出可能となっている。以下、各部の構成について詳しく説明する。
【0021】
[搬送パス]
搬送パス210Aは、シートを第1搬送方向(所定方向)に搬送する経路であり、搬送されるシートの上面をガイドする上側ガイド2101と、シートの下面をガイドする下側ガイド2102とを有する。搬送パス210Aには、第1搬送部(一対の搬送回転体)としての処理前ローラ211A、212A、上流ローラ(入口ローラ)213a、213bが配置されている。これらは、それぞれシートの搬送方向(第1搬送方向、
図2の矢印β方向(左右方向))に交差するシートの幅方向(
図4の矢印γ方向)に離間するように一対配置されている。
【0022】
処理前ローラ211A、212Aは、シートを搬送する第1搬送部及び一対の搬送回転体であり、シートを挟持して少なくとも一方が回転する。上流ローラ213a、213bは、シートを挟持して少なくとも一方が回転する。上流ローラ213a、213bは、シート処理装置200Aの入口に配置されており、シート処理装置200Aの上流側から搬送されたシートを受け取って、搬送パス210Aに搬送する。そして、搬送パス210Aを通過したシートは、処理前ローラ211A、212Aに到達する。
【0023】
処理前ローラ211A、212Aは、シートを挟持搬送可能な処理前ニップ部211aを形成する。そして、処理前ニップ部211aでシートを挟持して第1搬送方向に搬送し、搬送パス210Aからシートを排出する。処理前ローラ211A、212Aは、互いに当接又は離間、或いは、ニップ圧を変更可能である。
【0024】
[処理トレイ]
載置部としての処理トレイ220は、搬送パス210Aのシート搬送方向(第1搬送方向)の下流側で、且つ、搬送パス210Aの鉛直方向下方に配置されている。また、処理トレイ220は、第1搬送方向の上流側が下流側よりも低くなるように水平面に対して傾斜している。処理トレイ220は、処理前ローラ211A、212Aによって第1搬送方向の下流側に搬送されたシートを一時的に載置する。また、処理トレイ220は、複数のシートを重ねて積載可能であり、処理トレイ220上で整合部270Aによりシートの幅方向の整合や幅方向への移動(シートのシフト)が行われる。また、処理トレイ220の第1搬送方向の上流端には、処理トレイ220に載置されたシートの第1搬送方向の上流端縁(第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向の下流端縁、シートの後端)が突き当てられる突き当て部としての後端規制部材290が配置されている。なお、処理トレイ220の一部(例えば、第1搬送方向の下流側端部)は搬送パス210Aよりも鉛直方向上方に突出していてもよい。
【0025】
また、処理トレイ220の第1搬送方向の上流側には、シートに綴じ処理を行う綴じ部としてのステープルユニット400が配置されている。ステープルユニット400は、処理トレイ220で幅方向の整合、後端の規制が行われたシート束に対して、所定の処理としてのステープル処理(綴じ処理)を行う。ステープルユニット400は、後述するようにシート綴じ装置410の一部を構成し、シート束に対するステープル位置を変更可能であり、ステープル位置に応じて移動する。なお、所定の処理は、ステープル以外に、パンチなどの他の処理であっても良い。処理トレイ220に載置されたシート又はシート束は、後述するように、上側排出ローラ230A、下側排出ローラ230Bにより積載トレイ300に排出される。
【0026】
[掻き込みパドル]
第2搬送部としての掻き込みパドル240Aは、処理トレイ220上のシートを第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向に搬送する。掻き込みパドル240Aは、回転部材としてのパドル部2401と、パドル部2401を支持する支持部としてのパドルアーム2402と、パドルアーム2402を揺動可能に支持する揺動支点2403とを有する。即ち、パドルアーム2402は、揺動支点2403を中心に上下方向に揺動可能であり、そのパドルアーム2402の先端には、パドル部2401が回転可能に設けられている。
【0027】
このような掻き込みパドル240Aは、パドル部2401が処理トレイ220上のシートの上面に当接して該シートを第2搬送方向に搬送可能な戻し位置と、パドル部2401が戻し位置よりも上方に退避した上方退避位置とに、揺動支点2403を中心に揺動可能である。揺動支点2403は、処理前ローラ211A、212Aでシートを挟持するニップ位置である処理前ニップ部211aよりも第1搬送方向の上流で、且つ、処理前ニップ部211aよりも鉛直方向上方に配置されている。そして、パドルアーム2402は、揺動支点2403から第1搬送方向下流側に延設され、その先端部にパドル部2401が設けられている。また、掻き込みパドル240Aは、後述する上側排出ローラ230Aの幅方向の両側に一対配置されている。
【0028】
[後端落とし部材]
シート落とし部としての後端落とし部材250Aは、一対の掻き込みパドル240Aの両側に一対設けられている。即ち、一対の後端落とし部材250Aは、幅方向に関して掻き込みパドル240Aの両側に配置され、後述するように掻き込みパドル240Aと連動して上下方向に移動することで、シートの第1搬送方向の上流側の上面に当接して、シートの上流端部(後端部)を処理トレイ220に向けて落とすように動作する。なお、後端落とし部材250Aは、掻き込みパドル240Aとは別駆動で動作するようにしても良い。
【0029】
このような後端落とし部材250Aは、一対の搬送ローラとしての処理前ローラ211A、212Aよりも第1搬送方向の下流側に回動中心としての回動軸2501を有する。そして、回動軸2501から第1搬送方向の上流側に延設され、回動軸2501を中心として処理前ローラ211A、212Aよりも上方の上方位置から、処理前ローラ211A、212Aよりも下方の下方位置までの間を回動可能である。後端落とし部材250Aは、上方位置から下方位置に回動することで、処理前ローラ211A、212Aにより搬送されたシートに対して上方から当接して該シートを下方の処理トレイ220に落とす。
【0030】
[戻し部材]
戻し部材280は、上述のように掻き込みパドル240Aにより後端規制部材290に向けて搬送されたシートを更に後端規制部材290に向けて搬送し、シートの後端を後端規制部材290に当接させて、シートの後端位置を規制するものである。このような戻し部材280は、ローレットベルト281により構成され、ローレットベルト281を回転駆動することで、掻き込みパドル240Aにより第1搬送方向の上流側に搬送されたシートを更に掻き込んで、後端を後端規制部材290に当接させる。戻し部材280は、シートに当接可能な当接位置と、当接位置から上方に退避した退避位置に移動可能であり、シートを後端規制部材290に向けて搬送する場合には当接位置に、処理トレイ220上のシートを積載トレイ300に向けて搬送する際には退避位置に、それぞれ移動する。
【0031】
[排出ローラ]
上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bは、一対の排出回転体及び排出部を構成し、処理前ローラ211A、212Aによって第1搬送方向の下流側に搬送されたシートを、処理トレイ220よりも第1搬送方向の下流側に搬送して排出する。具体的には、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bは、ステープルユニット400によりステープル処理が施されたシートを積載トレイ300に排出する。上側排出ローラ230Aは、下側排出ローラ230Bとの間でシートを挟持する挟持位置(接触位置)と、挟持位置から上方に退避した退避位置とに移動可能であり、挟持位置で下側排出ローラ230Bとの間でシートを挟持する。即ち、上側排出ローラ230Aは、挟持位置で下側排出ローラ230Bとの間でシートをニップするニップ部材として機能する。上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bは、それぞれシートの幅方向に離間して2つ配置されている。本実施形態では、一対の掻き込みパドル240Aの幅方向の内側に配置されている。
【0032】
上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bは、挟持位置でシート又はシート束を挟持して、例えば、下側排出ローラ230Bが回転することで、挟持したシート又はシート束を搬送する。なお、上側排出ローラ230Aは、下側排出ローラ230Bの回転に従動して回転する従動ローラであるが、駆動するようにしても良い。即ち、本実施形態では、上側排出ローラ230Aを従動回転体、下側排出ローラ230Bを駆動回転体としている。また、上側排出ローラ230Aは、挟持位置で下側排出ローラ230Bとの間でシートを挟持可能なニップ部材として機能するが、このニップ部材は、ローラに代えてベルトなどの他の回転体であっても良いし、レバー部材のように回転せずにシートと当接する当接部材であっても良い。また、下側排出ローラ230Bは、ローラ以外にベルトなどの回転体であっても良い。
【0033】
上側排出ローラ230Aは、回動軸2301を中心に挟持位置から退避位置までの間で回動可能となっている。言い換えれば、上側排出ローラ230Aは、挟持位置から退避位置までの間で昇降可能である。上側排出ローラ230Aは、支持部としての排出アーム2302の先端に設けられている。回動軸2301は、上述の揺動支点2403と同軸上に設けられ、処理前ローラ211A、212Aでシートを挟持する処理前ニップ部211aよりも第1搬送方向の上流で、且つ、処理前ニップ部211aよりも鉛直方向上方に配置されている。そして、排出アーム2302は、回動軸2301から第1搬送方向下流側に延設され、その先端部に上側排出ローラ230Aが設けられている。回動軸2301は、揺動支点2403と同軸上に配置されていなくても良いが、本実施形態では、上側排出ローラ230Aと掻き込みパドル240Aの回動軸を同軸上としている。
【0034】
回動軸2301は、挟持位置において上側排出ローラ230Aが下側排出ローラ230Bとの間でシートをニップする排出ニップ部よりも第1搬送方向の上流側に配置されている。また、上側排出ローラ230Aは、退避位置において、処理前ローラ211A、212Aとでシートをニップする処理前ニップ部211aよりも鉛直方向上方に位置し、回動軸2301は、退避位置における上側排出ローラ230Aの中心よりも鉛直方向上方に位置する。
【0035】
上側排出ローラ230Aは、回動軸2301及び処理前ニップ部211aとの位置関係を上述のように規定しているため、退避位置にある状態では、処理前ニップ部211aを通過したシートが積載トレイ300に向かうことを許容する。一方、上側排出ローラ230Aは、回動軸2301を中心に
図2の反時計方向に回動することで、退避位置から挟持位置に向けて下方に移動する。そして、上側排出ローラ230Aが挟持位置に移動することで、シートを上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとの間で挟持可能となる。
【0036】
[整合部]
シフト部としての整合部270Aは、処理前ローラ211A、212Aによって第1搬送方向の下流側に搬送されたシートの第1搬送方向に沿う端縁に当接した状態で第1搬送方向と交差するシフト方向(幅方向)に移動することでシートをシフト方向に移動させる。このような整合部270Aは、シフト方向に関して互いに対向するように配置された一対の整合板271Aを有する。
【0037】
一対の整合板271Aは、搬送パス210Aの第1搬送方向の下流端部よりも更に下流側に配置され、幅方向に移動してシートの幅方向端縁に当接することでシートの幅方向の整合を行う。本実施形態では、処理トレイ220に載置されるシートの幅方向両側にそれぞれ配置され、それぞれ幅方向に移動可能である。また、一対の整合板271Aは、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bに対して第1搬送方向の上流側から下流側に亙って延設されている。なお、一対の整合板271Aの構成は同じである。一対の整合板271Aは、駆動部としてのフロント側(F側)整合板移動モータMT16及びリア側(R側)整合板移動モータMT17(
図3参照)の駆動によりシフト方向に移動する。
【0038】
整合板271Aは、第1搬送方向の下流側における上下方向の幅が広くなるように形成されている。即ち、整合板271Aは、第1搬送方向の下流側の第1板部2701と、第1板部2701と第1搬送方向の上流側に連続するように形成された第2板部2702とを有する。第1板部2701は、搬送されたシートの先端側が上側または下側にカールしていても該シートと当接可能なように、第2板部2702よりも上下方向に広い面積を有する。一方、第2板部2702は、後端落とし部材250Aが下方位置に位置してもこの後端落とし部材250Aと干渉しないように、上下方向の高さを第1板部2701よりも低くなるように形成している。また、第2板部2702の上端縁は、第1搬送方向の上流側に向かう程低くなるように傾斜している。
【0039】
また、第1板部2701は、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bに対して第1搬送方向の上流側から下流側に跨るように形成されている。これにより、後述する第1シフト排出処理によりシートを排出した場合であっても、該シートに対して少なくとも第1板部2701が当接可能としている。また、第2板部2702は、処理トレイ220上に位置し、第1搬送方向に関して第1板部2701と連続して形成されている。これにより、後述する第2シフト排出処理により処理トレイ220上に載置されたシートに対して少なくとも第2板部2702が当接可能としている。
【0040】
[積載トレイ]
積載部としての積載トレイ300は、上述のように、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bにより排出されたシートが積載される。積載トレイ300は、処理トレイ220の第1搬送方向の下流側で、且つ、鉛直方向下方に昇降可能に設けられている。また、積載トレイ300は、第1搬送方向の上流側が下流側よりも低くなるように水平面に対して傾斜している。このような積載トレイ300は、例えば、上下方向に配置されたレールに沿って上下方向に移動可能に支持されており、昇降手段としての積載トレイ昇降モータMT20(
図3)の駆動により昇降する。
【0041】
積載トレイ300の第1搬送方向の上流端には、積載トレイ300に積載されたシート又はシート束の所定方向上流端(後端)を規制する積載側規制手段としての立ち面310aと、立ち面310aに当接したシートの後端を押さえる後端押さえ310bが設けられている。後端押さえ310bは、上方に向かう程、第1搬送方向の下流側に傾斜しており、シートの後端が上側にカールしていても、この後端押さえ310bにより押さえることが可能となっている。また、下側排出ローラ230Bの回転軸と同軸上に、シート押さえパドル320Aが設けられている。
【0042】
積載トレイ300は、積載トレイ昇降モータMT20により第1積載位置から、第1積載位置よりも下方の第2積載位置までの間で昇降可能である。第2積載位置は、シートを積載トレイ300に排出する際に下降していた積載トレイ300の動作が上昇に切り替わる位置である。シート排出時には、積載トレイ300昇降すると共に、シート押さえパドル320Aが回転し、積載トレイ300上のシート又はシート束がシート押さえパドル320Aにより押さえられる。
【0043】
[シート処理装置の制御構成]
シート処理装置200Aの制御構成について、
図3を用いて説明する。
図3は、シート処理装置200Aが有する各モータと、各センサを示すブロック図である。これら各センサの信号は、制御手段としての制御部203に入力され、各モータは制御部203により制御される。制御部203は、画像形成装置100が有する制御部と通信可能に接続されており、シート処理装置200A全体の制御を行う。
【0044】
このような制御部203は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0045】
搬送モータMT11は、上流ローラ(入口ローラ)213a、213bの何れかのローラ、処理前ローラ211A、212Aの何れかのローラ、掻き込みパドル240A、戻し部材280の駆動を行っている。処理上モータMT12は、掻き込みパドル240A、後端落とし部材250A、上側排出ローラ(ニップ部材)230Aの昇降を行っている。本実施形態では、これ以外にも、戻し部材280を昇降させるための戻し昇降モータMT13、上側排出ローラ230Aを駆動するための排出ローラモータMT14、シート押さえ(束押さえ)パドル320Aを駆動するためのシート押さえモータMT15、前側の整合板271Aを幅方向に移動(横移動)させるためのF側整合板移動モータMT16、後側の整合板271Aを幅方向に移動(横移動)させるためのR側整合板移動モータMT17、ステープル位置を変えるためにステープルユニット(STP)400を移動させるSTP移動モータMT18、ステープルユニット400を駆動してシート束にステープルするためのSTPモータMT19、積載トレイ300を昇降させる積載トレイ昇降モータMT20を備える。
【0046】
各センサについては、
図2を参照しつつ説明する。まず、入口センサSN11は、搬送パス210Aに設けられ、搬送パス210Aに搬送されたシートの先端を検知する。処理上HPセンサSN12は、掻き込みパドル240A、後端落とし部材250A、上側排出ローラ(ニップ部材)230Aのホームポジションを検知する。戻し昇降HPセンサSN13は、戻し部材280のホームポジション(処理トレイ220から退避した位置)を検知する。処理トレイシート検知センサSN14は、処理トレイ220上のシートの有無を検知する。シート押さえHPセンサSN15は、シート押さえパドル320Aのホームポジションを検知する。
【0047】
F側整合板HPセンサSN16、R側整合板HPセンサSN17は、それぞれ前側の整合板271Aと後側の整合板271Aとが処理トレイ220に載置されたシートから幅方向に離間した位置(ホームポジション)にあることを検知する。ステープラ移動HPセンサSN18は、ステープルユニット400がホームポジションにあることを検知する。シート検知センサSN19は、積載トレイ300に載置された最上位のシートを検知する。積載トレイエンコーダセンサSN20は、積載トレイ300の昇降方向の位置を検知する。積載トレイ下限位置検知センサSN21は、積載トレイ300の下限位置を検知する。制御部203は、これら各センサの信号に基づいて、後述するような各制御を行う。
【0048】
[各モードの制御について]
次に、本実施形態の各モードの制御について説明する。本実施形態では、シート処理装置200Aに送られたシートを、所定の処理を施さずにそのまま積載トレイ300に排出するストレート排出モードと、シート処理装置200Aに送られたシートを幅方向に移動(シフト動作)させて積載トレイ300に排出するシフトモードと、シート処理装置200Aに送られたシートに対して、所定の処理としてのステープルを行って積載トレイ300に排出するステープルモードとがある。これら各モードは、ユーザにより選択される。
【0049】
また、シフトモードには、シートの搬送方向(第1搬送方向)の長さが第1の長さであるシート(第1シート、スモールサイズのシート)にシフト動作を行う場合と、第1搬送方向の長さが第1の長さよりも長い第2の長さであるシート(第2シート、ラージサイズのシート)にシフト動作を行う場合とがある。スモールサイズのシートは、例えば、第1搬送方向の長さが所定長さ以下のシートであり、ラージサイズのシートは、例えば、第1搬送方向の長さが所定長さよりも長いシートである。所定長さは、例えば、A4サイズの用紙を縦方向(長手方向が搬送方向となる方向)に送る、所謂A4縦のサイズである。また、シフトモードにおいて、生産性を優先する生産性優先モードと、シートの整列性を優先する整列性優先モードとを選択して実行可能である。
【0050】
第1シフト排出処理としての生産性優先モードは、処理前ローラ211A、212Aによって第1搬送方向の下流側に搬送されたシートを、掻き込みパドル240Aによる第2搬送方向への搬送を行わずに、F側整合板移動モータMT16及びR側整合板移動モータMT17を駆動することで整合部270Aによってシフト方向にシフトし、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bによって積載トレイ300に排出するモードである。
【0051】
第2シフト排出処理としての整列性優先モードは、処理前ローラ211A、212Aによって第1搬送方向の下流側に搬送されたシートを、処理トレイ220上で掻き込みパドル240Aによって第2搬送方向に搬送し、該シートの第2搬送方向の下流端縁を後端規制部材290に突き当てた(規制した)後に、ステープルユニット400による所定の処理を施さずに、F側整合板移動モータMT16及びR側整合板移動モータMT17を駆動することで整合部270Aによってシフト方向にシフトし、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bによって積載トレイ300に排出するモードである。
【0052】
[マニュアル綴じ]
上述のように構成される本実施形態のシート処理装置200Aの外観の概略構成は、
図4に示すようになっている。本実施形態のシート処理装置200Aでは、幅方向に関してフロント側には、ユーザが外部から手動でシート又はシート束を挿入可能な手差し挿入部204が設けられている。手差し挿入部204は、ユーザが装置外からシート束にステープル処理を行うマニュアル綴じを行う場合に、シート束の角部を挿入する部分である。ユーザがシート束を手差し挿入部204に挿入して操作ボタン205を押すと、ステープルユニット400がこの位置まで移動してステープル処理を行う。なお、手差し挿入部204にシート束が挿入されたことを検知する検知部を設けて、この検知部がシート束を検知した場合にステープルユニット400を移動させてステープル処理を行うようにしても良い。この場合、操作ボタン205を省略しても良い。
【0053】
[シート綴じ装置]
次に、本実施形態のシート綴じ装置410について、
図5ないし
図16(b)を用いて説明する。まず、
図5ないし
図10を用いて、シート綴じ装置410の全体構成について説明する。なお、
図5、6では、図の右手前側が装置のフロント側(F側)で、左奥側がリア側(R側)である。
図8では、図の右手前側が装置のリア側(R側)で、左奥側がフロント側(F側)である。
【0054】
図5に示すように、シート綴じ装置410は、ベース部420、ステープラ移動ユニット450を有する。ベース部420は、
図6に示すように、基台411、案内部としてのカム溝430、駆動ユニット440などを備える。カム溝430及び駆動ユニット440は、基台411上に固定される。また、基台411上には、ステープルユニット400のホームポジション(HP)を検知するHPセンサ412(上述のステープラ移動HPセンサSN18)、突き当て部材413も固定されている。
【0055】
ステープラ移動ユニット450は、
図7に示すように、ステープルユニット400、ステープラ保持ユニット460などを有する。ステープルユニット400は、第2搬送方向の下流端縁が後端規制部材290に突き当てられ、且つ整合部270Aで幅方向に移動されたシートに綴じ処理を行う。このようなステープルユニット400は、
図9(b)、
図10及び
図36に示すように、ユニットフレーム402、針カートリッジ403、ステープルヘッド404、アンビル部材405などを有する。ユニットフレーム402は、一対の金属製の側板402a、一対の側板402aの間に配置された一対の樹脂フレーム402bなどを有する。針カートリッジ403は、ユニットフレーム402に対して着脱可能に設けられ、ステープル針を保持する。針カートリッジ403は、一対の樹脂フレーム402bの間に装着される。
【0056】
第1部分としてのステープルヘッド404は、針カートリッジ403に保持されたステープル針を綴じ処理を行う位置に供給する部分で、本実施形態では、アンビル部材405の下方に配置されている。第2部分としてのアンビル部材405は、ステープルヘッド404と対向して配置されてステープルヘッド404との間でシートを挟持することでシートに綴じ処理を行う部分である。本実施形態の場合、アンビル部材405は、ステープルヘッド404の上方に配置され、ステープル駆動機構407により駆動されることで上下動する。アンビル部材405には、ステープルヘッド404から供給されシート束を貫通したステープル針の先端を折り曲げるための折り曲げ溝405aが形成されている。ステープル駆動機構407は、STPモータMT19(
図3)の駆動によりアンビル部材405を上下動させる機構である。
【0057】
ステープルユニット400は、ステープルヘッド404とアンビル部材405との間にシート束を挿入する挿入部401を有する。この挿入部401は、ステープルユニット400を幅方向に関してどちらから見ても略コの字形状を有する。即ち、ステープルユニット400は、ステープルヘッド404とアンビル部材405とでシートに対して綴じ処理が行われる位置よりも第2搬送方向下流側に、奥側面408が配置されている。綴じ処理が行われる位置とは、ステープルヘッド404からステープル針が突出する位置であり、アンビル部材405の折り曲げ溝405aが形成された位置である。
【0058】
本実施形態の場合、奥側面408は、第1端面408a、第2端面408b及び第3端面408cで構成される。第1端面408aは、ユニットフレーム402を構成する一対の金属製の側板402aのうち、挿入部401の幅方向両側に位置し、第2搬送方向上流側を向いた面である。第2端面408bは、ユニットフレーム402を構成する一対の樹脂フレーム402bのうち、挿入部401の幅方向両側に位置し、第2搬送方向上流側を向いた面である。第3端面408cは、針カートリッジ403のうち、一対の樹脂フレーム402bの間に位置して第2搬送方向上流側に露出した面である。本実施形態では、これら第1、第2、第3端面408a、408b、408cが概ね単一の平面上に位置するため、これらをまとめて奥側面408としている。
【0059】
ステープラ保持ユニット460は、移動部としてのスライドプレート461、回動保持部としての回転プレート462、係合部465を有する。係合部465は、第1突部しての第1コロ463と、第2突部としての第2コロ464とを有する。
【0060】
[ベース部]
ベース部420は、上述のようにカム溝430などが基台411上に固定されている。カム溝430は、
図8に示すように、ステープルユニット400の第1方向及び第1方向と逆方向である第2方向への移動を案内する。なお、
図8は、ステープラ移動ユニット450のうち、ステープルユニット400を省略してステープラ保持ユニット460とカム溝430との関係を示している。
【0061】
ステープルユニット400の移動方向である第1方向及び第2方向は、上述の幅方向(
図4,5、8の矢印γ方向)であり、ステープルユニット400は、カム溝430に案内されることで、幅方向に関してF側とR側との間で往復移動する。上述のHPセンサ412はカム溝430のF側の端部近傍に、突き当て部材413は、カム溝430のR側の端部近傍にそれぞれ配置されている。なお、カム溝430の詳しい構成は後述する。
【0062】
駆動部としての駆動ユニット440は、
図5及び
図6に示すように、ステープルユニット400をカム溝に沿って幅方向に往復動させるもので、駆動源としてのモータ441(上述のSTP移動モータMT18)と、ベルト442とを有する。ベルト442は、モータ441の出力軸から駆動が伝達される駆動プーリ(不図示)と、従動プーリ443とに掛け渡されている。本実施形態では、モータ441及び駆動プーリが幅方向に関してR側に、従動プーリがF側に配置されており、ベルト442は幅方向に亘って配置されている。ベルト442には、後述するようにステープラ移動ユニット450が固定されており、ベルト442が回転することでステープラ移動ユニット450がカム溝430に沿って幅方向に往復移動する。
【0063】
なお、ステープルユニット400を移動させるための駆動部は、上述のベルトによる構成以外であっても良い。例えば、ステープルユニット400側にモータとモータの出力軸から駆動が伝達されるピニオンギアを設け、基台411側に幅方向に沿ってラックギアを設ける。そして、ピニオンギアとラックギアとを係合させる。ステープルユニット400側のモータを駆動することで、ピニオンギアとラックギアとの係合によりステープルユニット400がラックギアに沿って移動する。このように、駆動部は、ステープルユニット400を自走させる構成であっても良い。
【0064】
[ステープラ移動ユニット]
ステープラ移動ユニット450は、
図7に示すように、ステープルユニット400、ケーブルホルダ451、カバー452、ベルトホルダ453、傾き規制部材454、当接部455、ステープラ保持ユニット460などを有する。ステープルユニット400は、シート束に対して綴じ処理が可能である。ケーブルホルダ451は、シート処理装置200Aの装置本体と接続されるケーブルが保持されるホルダである。カバー452はステープルユニット400とケーブルホルダ451を介して配設されたケーブルとの接続部をカバーする。ステープルユニット400は、このケーブルを介して装置本体から電力が供給されて駆動する。
【0065】
ベルトホルダ453は、上述の駆動ユニット440のベルト442が接続される。傾き規制部材454は、後述するように、ステープルユニット400の傾き角度を規制するものである。当接部455は、ステープルユニット400がR側で後述する斜め綴じを行う際に、ベース部420に設けられた突き当て部材413と当接してステープルユニット400を傾斜させるきっかけとなる部材である。
【0066】
ステープラ保持ユニット460は、
図7及び
図9(a)に示すように、スライドプレート461、回転プレート462、第1コロ463、第2コロ464を一体に組み付けたものであり、ステープルユニット400と一体でカム溝430に沿って移動する。
【0067】
スライドプレート461は、ステープルユニット400と共にカム溝430に沿って移動する。このために、スライドプレート461には、ベルトホルダ453が固定されており、ベルト442の回転によりスライドプレート461がカム溝430に沿って移動する。また、スライドプレート461は、第1コロ463及び第2コロ464が貫通し、且つ、第1コロ463及び第2コロ464がステープルユニット400の回動に伴って移動することを許容する貫通部としてのガイド孔461aを有する。
【0068】
回転プレート462は、スライドプレート461に対してステープルユニット400を回動自在に保持するもので、上面にステープルユニット400が一体に固定されている。また、回転プレート462は、スライドプレート461の上面にスライドプレート461に対して回動可能に配置されている。また、回転プレート462には、当接部455が固定されており、ステープラ移動ユニット450がR側に移動して当接部455が突き当て部材413と当接した場合に、回転プレート462及びステープルユニット400がスライドプレート461に対して回転する。更に、回転プレート462には、第1コロ463及び第2コロ464が間隔をあけて固定されている。
【0069】
第1コロ463及び第2コロ464は、ステープルユニット400と共に幅方向への移動可能、且つ、ステープルユニット400と共に回動可能に設けられ、カム溝430と係合する。また、第1コロ463及び第2コロ464のうち、少なくともカム溝430と係合する部分の外周面は、円筒状に形成されている。このような第1コロ463及び第2コロ464は、回転プレート462のステープルユニット400が固定された側とは反対側の面、即ち、下面に回転自在に固定されている。なお、第1コロ463及び第2コロ464は、回転しなくても良い。
【0070】
また、第1コロ463及び第2コロ464は、回転プレート462から下方に突出するように設けられており、互いの突出量が異なる。即ち、第1突部としての第1コロ463は、第2突部としての第2コロ464よりも回転プレート462からの突出量が大きい。これら第1コロ463及び第2コロ464は、互いに所定の間隔をあけて配置されており、回転プレート462の下方に位置するスライドプレート461に形成されたガイド孔461aを通って、スライドプレート461よりも下方に突出する。
【0071】
スライドプレート461のガイド孔461aは、ステープルユニット400の回動方向に第1コロ463及び第2コロ464を案内するように湾曲した開口であり、少なくともガイド孔461aの内周縁部が略半円状に形成されている。本実施形態では、このガイド孔461aの内周縁部が、第1コロ463の外周面と第2コロ464の外周面との距離よりも僅かに大きい長さを直径とした半円である。これにより、第1コロ463及び第2コロ464がガイド孔461aの内周縁部に沿って移動可能となっている。また、ガイド孔461aは、その幅が第1コロ463及び第2コロ464の直径よりも大きく、第1コロ463及び第2コロ464を円滑に案内できるように形成されている。なお、ガイド孔461aの外周縁部を略半円状に形成して、第1コロ463及び第2コロ464がガイド孔461aの外周縁部に沿って移動可能としても良い。
【0072】
更に、ガイド孔461aの半円の両端部を結ぶ直線は、ステープルユニット400の移動方向である幅方向と略平行である。このため、ステープルユニット400が幅方向に対して傾斜していない状態では、第1コロ463及び第2コロ464が幅方向と略平行に並ぶように位置し、且つ、ガイド孔461aの半円の両端部に位置する。そして、第1コロ463及び第2コロ464は、この位置でガイド孔461aの内側の円弧状板部461bを挟持する。
【0073】
スライドプレート461が駆動ユニット440により駆動されて幅方向に移動する際には、第1コロ463及び第2コロ464がカム溝430に係合してスライドプレート461がカム溝430に沿って移動する。この際、スライドプレート461の円弧状板部461bが第1コロ463及び第2コロ464によって挟持されることで、スライドプレート461と回転プレート462とが一体的に安定して移動することが可能となる。
【0074】
なお、上述の例では、回転プレート462がステープルユニット400とスライドプレート461との間に配置され、回転プレート462に設けられた第1コロ463及び第2コロ464がスライドプレート461を貫通するように配置されている。但し、ステープルユニット400がスライドプレート461に対して回転可能であれば、スライドプレート461と回転プレート462との位置を入れ替えても良い。例えば、ステープルユニット400と回転プレート462とをスライドプレート461をはさむように配置し、アームなどを介してステープルユニット400と回転プレート462とを固定するようにしても良い。要は、ステープラ保持ユニット460は、ステープルユニット400をカム溝430に沿って移動可能に、且つ、後述するF側とR側で斜め綴じをする位置でステープルユニット400が回転できるように構成されていればよい。
【0075】
また、ガイド孔461aは、上述のように半円状に湾曲した構成に限らない。例えば、第1コロ463の中心と第2コロ464の中心とを結ぶ直線上で、第1コロ463の外周面と第2コロ464の外周面とが最も離れた位置同士の距離よりも僅かに大きい距離を直径とする丸穴であっても良い。要は、ガイド孔461aは、第1コロ463及び第2コロ464が貫通し、且つ、ステープルユニット400と共に回転できるように第1コロ463及び第2コロ464を案内するように形成されていればよい。
【0076】
ステープラ移動ユニット450は、
図9(b)及び
図10に示すように、ステープルユニット400をステープラ保持ユニット460に組みつけることで構成される。
図9(b)に示すように、ステープルユニット400は、上述の処理トレイ220の傾斜に合わせて傾けて配置されており、綴じ処理が行われるシート束が挿入される挿入部401が斜め上方を向いている。また、ステープルユニット400の挿入部401と反対側の背面には、上述の傾き規制部材454が配置されており、傾き規制部材454が基台411に当接することで、ステープルユニット400の傾きが規制される。これにより、ステープルユニット400が幅方向に移動する際などに、ステープルユニット400が傾き過ぎることを防止できる。傾き規制部材454の上下方向の位置は調整可能である。
【0077】
[カム溝]
次に、カム溝430について、
図11ないし
図13を用いて説明する。ここで、第1方向及び第2方向は上述の幅方向に沿った方向であり、第1方向を矢印γ1,第2方向を矢印γ2で示す。本実施形態では、第1方向を幅方向に沿ってF側に向かう方向、第2方向を幅方向に沿ってR側に向かう方向とする。これら第1方向及び第2方向の関係は、装置の構成によって逆であっても良い。また、
図11ないし
図13で示す矢印β1方向が上述の第1搬送方向、矢印β2方向が上述の第2搬送方向とする。第1搬送方向β1は、上述の処理前ローラ211A、212Aによりシートを処理トレイ220に向けて搬送する方向であり、第2搬送方向β2は、上述の掻き込みパドル240Aにより処理トレイ220上のシートを後端規制部材290に向けて搬送する方向である。
【0078】
カム溝430は、第1溝部431、第2溝部432、第3溝部433、第4溝部434、第5溝部435、第6溝部436、第7溝部437を有する。本実施形態では、第2溝部432,第3溝部433、第6溝部436,第7溝部437が、第1溝部431の第1方向γ1の下流側、即ち、F側に配置されている。一方、第4溝部434及び第5溝部435が、第1溝部431の第2方向γ2の下流側、即ち、R側に配置されている。なお、各溝部は、それらの幅が第1コロ463及び第2コロ464の直径よりも僅かに大きく、第1コロ463及び第2コロ464が侵入可能で、且つ、がたつきなく案内されるように形成されている。本実施形態では、第1コロ463及び第2コロ464の外径は同じとしており、各溝の幅も同じとしている。以下、各溝部について詳しく説明する。
【0079】
第1溝部431は、第1方向γ1に沿って形成されている。第2溝部432は、第1溝部431の第1方向γ1の下流端から第1方向γ1に対し傾斜した方向に沿って形成されている。即ち、第2溝部432は、幅方向に対して傾斜しており、傾斜方向は、第1方向γ1の下流側に向かう程、第1搬送方向β1の下流側に向かう方向である。第3溝部433は、第1溝部431の第1方向γ1の下流端から第1方向γ1に沿って形成されている。即ち、第3溝部433は、第1方向γ1に関して、第1溝部431の下流側に第1溝部431をそのまま下流側に延長したように形成されている。
【0080】
第4溝部434は、第1溝部431の第2方向γ2の下流端から第2方向γ2に対し傾斜した方向に沿って形成されている。即ち、第4溝部434は、幅方向に対して傾斜しており、傾斜方向は、第2方向γ2の下流側に向かう程、第1搬送方向β1の下流側に向かう方向である。第5溝部435は、第1溝部431の第2方向γ2の下流端から第2方向γ2に沿って形成されている。即ち、第5溝部435は、第2方向γ2に関して、第1溝部431の下流側に第1溝部431をそのまま下流側に延長したように形成されている。
【0081】
第6溝部436は、第2溝部432の第1方向γ1の下流側に、第1方向γ1に対して第2溝部432とは逆方向に傾斜した方向に沿って形成されている。即ち、第6溝部436は、幅方向に対して傾斜しており、傾斜方向は、第1方向γ1の下流側に向かう程、第1搬送方向β1の上流側、即ち、第2搬送方向β2の下流側に向かう方向である。第2溝部432と第6溝部436との間には、後述するように第1コロ463の第2コロ464に対する回転方向を切り替える切り替え溝部438が設けられている。
【0082】
第7溝部437は、第6溝部436の第1方向γ1の下流端から第1方向γ1に沿って形成されている。第7溝部437は、第1搬送方向β1に関して第1溝部431及び第3溝部433と同じ位置に位置し、後述するように第1コロ463が第7溝部437に侵入すると、ステープラ移動ユニット450の向きは、第1コロ463及び第2コロ464が第1溝部431に位置する場合と同様の向きとなる。
【0083】
[各溝部と第1コロ及び第2コロの関係]
次に、
図11ないし
図16(b)を用いて、上述の各溝部と第1コロ463及び第2コロ464の関係について説明する。本実施形態では、上述の各溝部のうち、第3溝部433が他の溝部に対して溝の深さが浅くなるように形成されている。上述したように、第1コロ463及び第2コロ464は、回転プレート462からの突出量が異なる。これにより、第1コロ463及び第2コロ464の溝部に対する侵入量を異ならせている。また、第2コロ464は、第1コロ463よりも第1方向γ1の上流側、即ち、R側に配置されている。
【0084】
なお、第1コロ463及び第2コロ464は、互いに異なる長さとすることで回転プレート462からの突出量を異ならせているが、溝部に対する侵入量が異なれば同じ長さであっても良い。例えば、回転プレート462に対する高さ方向(溝部の深さ方向)の取り付け位置を変えることで、互いに同じ長さであっても第1コロ463及び第2コロ464の溝部に対する侵入量を変更可能である。
【0085】
ここで、ステープラ移動ユニット450が第1方向γ1及び第2方向γ2に移動し、第1コロ463及び第2コロ464が上述の各溝部の何れかの溝部に位置することで、ステープルユニット400の姿勢を変更可能である。具体的には、ステープルユニット400を第1姿勢と、第1姿勢に対して傾斜した第2姿勢とに変更可能である。本実施形態では、ステープルユニット400を移動させる駆動ユニット440、ステープルユニット400を保持するステープラ保持ユニット460及びカム溝430により、ステープルユニット400を幅方向に移動させ、さらにステープルユニット400を第1姿勢と、第1姿勢に対して傾斜した第2姿勢とに回動させる移動回動部470(
図5)を構成する。なお、移動回動部470は、移動動作と回動動作を別のモータで行う構成であっても良い。
【0086】
第1姿勢は、ステープルユニット400がシートの第2搬送方向β2の下流端部に対し、幅方向に沿った方向に綴じ処理を行う姿勢、即ち、平綴じの姿勢である。第2姿勢は、ステープルユニット400がシートの第2搬送方向β2の下流端部の幅方向の一端側或いは他端側(本実施形態ではF側或いはR側)の角部に対し、幅方向に対して傾斜した方向に綴じ処理を行う姿勢、即ち、斜め綴じを行う姿勢である。なお、F側の第2姿勢とR側の第2姿勢とでは、幅方向に対する傾斜方向が逆となる。
【0087】
本実施形態のシート綴じ装置410は、ステープルユニット400が第1姿勢でシートの第2搬送方向β2の下流端部(後端部)に平綴じを行う第1綴じ処理と、ステープルユニット400が第2姿勢でシートの第2搬送方向β2の下流端部(後端部)の一端側(F側)に斜め綴じを行う第2綴じ処理と、ステープルユニット400が第2姿勢でシートの第2搬送方向β2の下流端部(後端部)の他端側(R側)に斜め綴じを行う第3綴じ処理とを実行可能である。
【0088】
図14(a)、(b)は、ステープラ移動ユニット450がホームポジション(HP)にある状態を示している。ホームポジションでは、ステープルユニット400が第1姿勢と同じ姿勢をしているが、シートに対して綴じ処理を行わない。
図15(a)、(b)は、F側における第2姿勢を、
図16(a)、(b)は、R側における第2姿勢をそれぞれ示している。
【0089】
[第1溝部及びF側の溝部]
まず、第1溝部431、及び、第1溝部431の第1方向γ1の下流側、即ち、F側の第2溝部432、第3溝部433、第6溝部436、第7溝部437と、第1コロ463及び第2コロ464の関係について説明する。第1コロ463は、第1溝部431及び第2溝部432に対して第1侵入量で侵入することで第1溝部431及び第2溝部432に係合可能である。一方、第2コロ464は、第1溝部431及び第3溝部433に対して第1侵入量よりも小さい第2侵入量で侵入することで第1溝部431及び第3溝部433に係合可能である。
【0090】
第3溝部433は、第1溝部431から第1コロ463が侵入することを規制し、第1溝部431から第2コロ464が侵入することを許容する規制部としての段差面439を有する。即ち、第1溝部431及び第2溝部432は、溝の深さが第1侵入量よりも深くなるように形成されている。一方、第3溝部433は、溝の深さが第1侵入量よりも浅く、且つ、第2侵入量よりも深くなるように形成されている。そして、第3溝部433と第1溝部431との段差面439により、第1溝部431から第1コロ463が侵入することを規制し、第1溝部431から第2コロ464が侵入することを許容するようにしている。
【0091】
したがって、ステープラ移動ユニット450が第1溝部431に沿って第3溝部433に向かって第1方向γ1の下流側に移動すると、第2コロ464よりも第1方向γ1の下流側にある第1コロ463が段差面439に当接する。段差面439は、第2溝部432の傾斜方向と平行に形成されており、第2溝部432の第1搬送方向β1の上流側、即ち、第3溝部433側の内壁面432aと同一平面上にある。したがって、第1コロ463は、段差面439に当接した状態で更にステープラ移動ユニット450が第1方向γ1の下流側に移動しようとすると、段差面439の傾斜に沿って第2溝部432に案内される。
【0092】
一方、第1コロ463よりも第1方向γ1の上流側にある第2コロ464は、ステープラ移動ユニット450が第1方向γ1の下流側への移動に伴い、第1コロ463が第2溝部432に案内された後に段差面439の位置に到達する。第2コロ464の溝部への侵入量は、第1コロ463の溝部への侵入量よりも小さく、第3溝部433は第2コロ464の溝部への侵入よりも深く形成されている。したがって、第2コロ464は、ステープラ移動ユニット450が第1方向γ1の下流側への移動により、段差面439には当接せずに第3溝部433に侵入する。
【0093】
このような動作により、第1コロ463が第2溝部432に、第2コロ464が第3溝部433にそれぞれ侵入し、第1コロ463及び第2コロ464が固定された回転プレート462がスライドプレート461に対して回転する。この際、第1コロ463がスライドプレート461に形成されたガイド孔461aに沿って、第2コロ464を中心に回動することで、第1コロ463の第2溝部432への侵入及び回転プレート462の回転が可能となる。
【0094】
そして、ステープラ移動ユニット450が更に第1方向γ1の下流側に移動すると、
図15(b)に示すように、第1コロ463が切り替え溝部438に到達する。切り替え溝部438は、第1コロ463が侵入可能であり、本実施形態では、第2溝部432と同じ深さとしている。また、切り替え溝部438は、第1溝部431と略平行に形成されている。このため、第1コロ463が切り替え溝部438に位置すると、第1搬送方向β1に関して第1コロ463の第2コロ464に対する位置が安定する。
【0095】
即ち、第1コロ463が第2溝部432にある状態では、第1コロ463の第2溝部432上の位置によって、第2コロ464との位置関係が変化し、回転プレート462に保持されたステープルユニット400の角度も変化してしまう。これに対して第1コロ463が切り替え溝部438に侵入すると、第1コロ463の切り替え溝部438上の位置に関わらず、ステープルユニット400の角度が安定する。そして、この位置において、ステープルユニット400は、上述のように、F側で斜め綴じを行うための
図15(a)に示すような第2姿勢となる。このように本実施形態では、切り替え溝部438が、ステープルユニット400をF側で第2姿勢とするための、第1コロ463の位置決め溝部として機能する。なお、第1コロ463を第2溝部432に位置させた状態で、ステープルユニット400を第2姿勢としても良い。
【0096】
なお、第1溝部431から第1コロ463が侵入することを規制し、第1溝部431から第2コロ464が侵入することを許容する規制部は、上述の段差面439に限らない。例えば、規制部は、第3溝部433の第1方向γ1の上流端に、第1侵入量よりも浅く、第2侵入量よりも深い位置に設けられた横棒のようなものであっても良い。この場合、第3溝部は、第1溝部と同じ深さであっても良い。
【0097】
次に、切り替え溝部438の第1方向γ1の下流側に切り替え溝部438と連続して形成された第6溝部436及び第7溝部437と第1コロ463及び第2コロ464の関係について説明する。第6溝部436及び第7溝部437は、第1コロ463が侵入可能な深さを有し、本実施形態では、第2溝部432と同じ深さとしている。
【0098】
上述のように、第2溝部432には第1コロ463が侵入し、ステープラ移動ユニット450が第1方向γ1の下流側に移動すると、第1コロ463が切り替え溝部438を通って第6溝部436に侵入する。この際、第1コロ463がスライドプレート461に形成されたガイド孔461aに沿って、第2コロ464を中心に回動する。この時の回転方向は、第1コロ463が第1溝部431から第2溝部432に侵入する際の回転方向と逆になる。これにより、第1コロ463の第2コロ464に対する回転方向が切り替え溝部438により切り替えられ、第6溝部436への侵入及び回転プレート462の回転が可能となる。
【0099】
次いで、ステープラ移動ユニット450が第1方向γ1の下流側に更に移動すると、
図14(b)に示すように、第1コロ463が第7溝部437に侵入する。第7溝部437は、上述のように、第1方向γ1に沿って形成されており、第1搬送方向β1に関して第1溝部431及び第3溝部433と同じ位置に位置する。したがって、第1コロ463が第7溝部437に侵入すると、第1コロ463がスライドプレート461に形成されたガイド孔461aに沿って第2コロ464を中心に回動し、回転プレート462及びこれに保持されたステープルユニット400が、
図14(a)に示すような姿勢となる。この姿勢は、第1コロ463及び第2コロ464が第1溝部431にある場合と同じ姿勢である。本実施形態では、第1コロ463が第7溝部437に位置した場合を、ステープラ移動ユニット450のホームポジション(HP)としている。
【0100】
また、本実施形態では、このホームポジション、即ち、第1コロ463が第7溝部437に侵入した位置において、上述のマニュアル綴じの動作が可能である。即ち、ステープラ移動ユニット450がホームポジションに位置したときに、ステープルユニット400の綴じ処理を行う部分は、手差し挿入部204(
図4)に位置する。したがって、この状態でユーザが手差し挿入部204にシート束を挿入すると、シート束が綴じ処理を行う部分に侵入し、綴じ処理が可能となる。
【0101】
[R側の溝部]
次に、第1溝部431の第2方向γ2の下流側、即ち、R側の第4溝部434及び第5溝部435と第1コロ463及び第2コロ464の関係について説明する。第4溝部434は、第2コロ464が侵入可能であり、第5溝部435は、第1コロ463が侵入可能である。本実施形態では、第4溝部434を第3溝部433と同じ深さとし、第5溝部435を第1溝部431と同じ深さとしている。なお、第4溝部434は、第5溝部435と同じ深さとしても良い。
【0102】
上述したように、カム溝430のR側の端部近傍には、突き当て部材413が配置されている。被当接部としての突き当て部材413は、
図12及び
図13に示すように、第1溝部431~第7溝部437の外側に配置されている。本実施形態では、第1溝部431の第2方向γ2の下流端部及び第4溝部434の第1搬送方向β1の下流側に配置されている。一方、回転プレート462には当接部455が設けられている。
【0103】
ステープラ移動ユニット450が第1溝部431に沿って第2方向γ2の下流側に移動し、第1溝部431の第2方向γ2の下流端部近傍に近づくと、当接部455が突き当て部材413に突き当たる。そして、更にステープラ移動ユニット450が第2方向γ2の下流側に移動すると、当接部455と突き当て部材413の当接により回転プレート462が回転する。この際、第2コロ464がスライドプレート461に形成されたガイド孔461aに沿って、第1コロ463を中心に回動する。これにより、第1溝部431の第2方向γ2の下流端から第2方向γ2に対し傾斜した方向に沿って形成された第4溝部434に第2コロ464が侵入する。これにより、回転プレート462に保持されたステープルユニット400が、上述の第1コロ463が第2溝部432に侵入する際の回転方向と逆方向に回転する。
【0104】
即ち、第2コロ464が第1溝部431から第4溝部434に侵入可能な位置にある場合に、回転プレート462に設けられた当接部455が突き当て部材413と当接する。そして、この位置からステープルユニット400が第2方向に移動する動作に伴ってステープルユニット400が回転して、第2コロ464が第4溝部434に侵入する。
【0105】
第4溝部434の第2方向γ2の下流側には、位置決め溝部434aが第4溝部434と連続するように設けられている。位置決め溝部434aは、第4溝部434と同じ深さを有し、且つ、第1溝部431と平行に形成されている。また、第1溝部431の第2方向γ2の下流側には、第1溝部431の第2方向γ2の下流端から第2方向γ2に沿って、第5溝部435が形成されている。
【0106】
上述のように第2コロ464が第4溝部434に侵入し、ステープラ移動ユニット450が更に第2方向γ2の下流側に移動すると、第2コロ464よりも第2方向γ2の上流側に位置する第1コロ463がそのまま第1溝部431を移動する。そして、
図16(b)に示すように、第2コロ464が位置決め溝部434aに、第1コロ463が第5溝部435にそれぞれ侵入する。そして、この位置において、ステープルユニット400は、上述のように、R側で斜め綴じを行うための
図16(a)に示すような第2姿勢となる。
【0107】
位置決め溝部434aは、上述の切り替え溝部438と同様に、ステープルユニット400の姿勢を安定させるものである。但し、第2コロ464が第4溝部434に位置する状態で、ステープルユニット400を第2姿勢としても良く、この場合には位置決め溝部434aを省略しても良い。また、第5溝部435は、第2コロ464を位置決め溝部434aに移動させるために、第1溝部431を延長したものであり、第5溝部435まで第1コロ463が移動してなくても、ステープルユニット400を第2姿勢にできれば、第5溝部435を省略しても良い。
【0108】
[斜め綴じにおける課題]
次に、シート束の角部に斜め綴じを行う動作の際の課題について、
図17(a)、(b)を用いて説明する。まず、
図17(a)、(b)の比較例は、シートの第2搬送方向β2の下流端部(後端部)のR側の角部に斜め綴じを行う様子を示している。比較例では、処理トレイ220に搬送され、後端規制部材290に向けて第2搬送方向β2に搬送する前に、予め、ステープルユニット400をR側の斜め綴じを行う位置(斜め綴じ位置)に移動させた場合について示している。
【0109】
なお、本実施形態及び比較例では、この斜め綴じ位置よりもR側に、針なしステープルユニット400Aを配置している。即ち、本実施形態及び比較例では、針を用いてシートに綴じ処理を行うステープルユニット(第1綴じ部)400に加えて、針を用いずにシートに綴じ処理を行う針なしステープルユニット(第2綴じ部)400Aを備えている。針なしステープルユニット400Aは、圧着により用紙の繊維を絡ませることで用紙に穴をあけることなく綴じる装置である。
【0110】
上述のように斜め綴じを行う場合、ステープルユニット400はシートの角部において、平綴じを行う際の第1姿勢に対して傾斜した第2姿勢となる。この際、シートを後端規制部材290に突き当てる前にステープルユニット400を第2姿勢とした場合、
図17(a)、(b)に示すように、シートの後端部の一部がステープルユニット400に接触する虞がある。上述したように、ステープルユニット400は、挿入部401の第2搬送方向β2の下流側に奥側面408を有する。奥側面408は、ステープルユニット400が第1姿勢の場合、綴じ処理を行う際にシートの後端部が突き当てられる後端規制部材290のシートの突き当て面(破線Lの位置)よりも第2搬送方向β2の下流側に位置する。したがって、ステープルユニット400が第1姿勢の場合には、綴じ処理を行うためにシートを挿入部401に挿入してもシートの後端部が奥側面408に接触することはない。
【0111】
一方、ステープルユニット400が第2姿勢の場合、
図17(a)、(b)に示すように、奥側面408の一部が後端規制部材290のシートの突き当て面(破線Lの位置)よりも第2搬送方向β2の上流側に位置する。ここで、装置の小型化を図るべくシート処理装置200Aの幅方向のサイズを小さくした場合、第2姿勢とするためにステープルユニット400を幅方向に移動できる量が制限される。このため、例えば、
図17(a)に示すように、サイズが大きいシートSaを第2搬送方向β2の下流側に搬送した場合に、シートSaの後端部が奥側面408の角部408dに接触する虞がある。また、
図17(b)に示すように、シートSaよりもサイズが小さいシートSbを第2搬送方向β2の下流側に搬送した場合に、シートSbの後端部が奥側面408の一部の面に接触する虞もある。
【0112】
シートの一部がこのようにステープルユニット400に接触してしまうと、シートの角部への斜め綴じが行えなかったり、シートが折れ曲がったりしてしまう虞がある。したがって、斜め綴じを行う際にステープルユニット400とシートとの干渉を防ぐべく、ステープルユニット400をシートと干渉しない位置まで移動させておくことが要求される。そして、このようなことを考慮すると装置の小型化を図りにくい。
【0113】
特に、上述のようにR側の斜め綴じ位置よりもR側に針なしステープルユニット400Aが配置されていると、ステープルユニット400が幅方向に移動できる範囲が制限され、上述の問題が発生しやすくなる。また、仮に、このような針なしステープルユニット400Aがなくても、近年の装置の小型化の要請によりステープルユニット400の幅方向の移動範囲が狭くなっているため同様の問題が生じ得る。本実施形態では、このような問題を解決すべく以下のような制御を行うようにしている。
【0114】
[実施形態の斜め綴じの制御]
図18ないし
図25を用いて、本実施形態でシートの角部に斜め綴じを行う際の制御について説明する。本実施形態では、ステープルユニット400が第2姿勢によりシートの幅方向の一端側の角部に綴じ処理を行う場合に、次のように、シートを幅方向の他端側にシフトさせてからステープルユニット400を幅方向の一端側において第2姿勢とするようにしている。
【0115】
即ち、処理トレイ220に搬送されたシートに対して突き当て動作及びシフト動作を行ってから、移動回動部470がステープルユニット400を第1姿勢から第2姿勢に回動させ、第2姿勢のステープルユニット400により綴じ処理、即ち、斜め綴じを行う。ここで、突き当て動作は、処理トレイ220上のシートを掻き込みパドル240Aによって第2搬送方向β2に搬送して該シートの第2搬送方向β2の下流端縁(後端縁)を後端規制部材290に突き当てる動作である。また、シフト動作は、該シートを整合部270Aにより処理前ローラ211A、212Aによって処理トレイ220に搬送された位置に対して幅方向に移動させる動作である。本実施形態では、幅方向に関して、シートの斜め綴じを行う側とは反対側にシートをシフトさせる。即ち、シートの幅方向の一端側の角部に斜め綴じを行う場合には、シートを幅方向の他端側に移動させる。
【0116】
このときのシートのシフト量は、次のような条件を満たす量となる。即ち、処理トレイ220に搬送されたシートの位置に対して、このシートを整合部270Aにより幅方向の他端側で、且つ、ステープルユニット400が第2姿勢になった場合にシートが奥側面408に接触しない位置まで移動させる。具体的には、第2姿勢となったステープルユニット400の奥側面408のうち、後端規制部材290のシートの突き当て面よりも第2搬送方向β2の上流側に位置する部分(
図17(a)、(b)の破線Lの位置よりも上側部分)を「部分X」とする。この場合に、シフト動作において、シートの幅方向の一端側の角部が部分Xよりも幅方向の他端側に位置するまで、シートをシフトさせる。
【0117】
なお、このような位置までシートをシフトさせることができるのは、そもそも本実施形態のシート処理装置200Aがシートをシフトして排出させるシフト排出処理を実行可能であるためである。本実施形態では、シートの整合を、シートの幅方向の中央位置を処理トレイ220の幅方向中央位置と一致させる中央基準で行っている。そして、本実施形態では、中央基準の位置からシートを幅方向の一端側と他端側に、それぞれ所定量(例えば15mm)シフトして排出することが可能である。このため、シフト動作をこの所定量の範囲で行うことで、装置を大型化することなく、上述のようにシートに斜め綴じを行うためにシートをシフトさせる構成とすることができる。
【0118】
また、突き当て動作とシフト動作を行うタイミングは、どちらが先でもよいが、本実施形態では、先に突き当て動作を行うようにしている。即ち、ステープルユニット400が第2姿勢によりシートの幅方向の角部に綴じ処理を行う場合に、突き当て動作を行った後にシフト動作を行うようにしている。
【0119】
なお、平綴じを行う場合には、このようなシフト動作を行わないようにしている。即ち、ステープルユニット400が第1姿勢によりシートの第2搬送方向β2の下流端部に綴じ処理を行う場合には、上述のシフト動作を行わずに、突き当て動作によって第2搬送方向β2の下流端縁が後端規制部材290に突き当てられた状態のシートに対して、第1姿勢のステープルユニット400により綴じ処理を行う。但し、平綴じを行う場合であっても、整合部270Aによるシートの整合動作は行う。
【0120】
以下、2枚のシートを束ねたシート束のR側の角部に斜め綴じを行う場合を例に、本実施形態の制御内容について具体的に説明する。なお、以下では、シートの後端部の幅方向一端側の角部としてR側の角部に斜め綴じを行う場合について説明するが、F側の角部に斜め綴じを行う場合は、シフト動作によりシートを移動させる方向が逆になるだけで、R側の角部に斜め綴じを行う場合と同様の動作となる。
【0121】
図18は、ステープルユニット400がホームポジションにある状態を示している。次に、
図19に示すように、1枚目のシートS1を処理トレイ220に受け入れ、掻き込みパドル240Aにより第2搬送方向β2に搬送してシートS1を後端規制部材290に突き当てる。本実施形態では、この際に、ステープルユニット400をホームポジションからR側の角部に斜め綴じを行う位置の直前まで移動させておくようにしている。具体的には、ステープラ移動ユニット450の第2コロ464がカム溝430の第4溝部434の入り口に位置するまで、言い換えれば、当接部455が突き当て部材413に突き当たるまで移動させておく。この時点では、ステープルユニット400は第1姿勢のままである。
【0122】
次に、
図20に示すように、整合部270Aの一対の整合板271AをシートSの幅方向の両端縁に当接させ、1枚目のシートS1の整合を行う。次いで、
図21に示すように、一対の整合板271Aをシートから離間させ、2枚目のシートS2を処理トレイ220に受け入れる。そして、2枚目のシートS2を掻き込みパドル240Aにより第2搬送方向β2に搬送してシートS2を後端規制部材290に突き当てて、
図22に示すように、一対の整合板271Aにより2枚目のシートS2の整合を行う。
【0123】
形成すべきシート束STの最終シート、本実施形態では2枚目のシートS2の整合が完了したら、
図23に示すように、シート束STを一対の整合板271Aにより挟持して、幅方向のF側に移動させる。即ち、一対の整合板271Aによりシート束STを、斜め綴じを行うR側とは反対側のF側に移動させるシフト動作を行う。
【0124】
シート束STを幅方向のF側に移動させたら、
図24に示すように、ステープルユニット400をシート束STの後端部のR側の角部に斜め綴じを行う位置において、第1姿勢から第2姿勢に回動させる。本実施形態では、上述のようにシート束STをF側にシフト動作したときの位置がR側の角部に対して斜め綴じを行う位置としている。したがって、シフト動作を行った後にシート束STの幅方向の位置をそのままとしてステープルユニット400を第2姿勢とする。そして、この位置で綴じ処理を行う。即ち、シート束STの後端部のR側の角部に斜め綴じが行われる。その後、
図25に示すように、斜め綴じが行われたシート束STを、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bにより積載トレイ300に排出する。
【0125】
なお、上述の説明では、シート束STに対しシフト動作を行った後にその位置でステープルユニット400を第2姿勢として斜め綴じを行った。但し、シフト動作後のシート束の位置とステープルユニット400により斜め綴じを行う位置によっては、ステープルユニット400を第2姿勢とした後、シート束を更に幅方向に移動させても良い。例えば、シート束STに対しシフト動作を行った後、ステープルユニット400を第1姿勢から第2姿勢に回動させる。その後、シート束をシフト動作を行った方向と逆方向に移動させてから、ステープルユニット400により綴じ処理を行う。何れにしても、ステープルユニット400を第1姿勢から第2姿勢に回動させる前にシートに対してシフト動作を行うようにすればよい。
【0126】
このように本実施形態では、シートの角部に対して斜め綴じを行う際に、斜め綴じを行う位置とは逆方向にシートをシフトさせてからステープルユニット400を第1姿勢から第2姿勢に回動させるようにしている。このため、ステープルユニット400の斜め綴じ位置への移動量を大きくしなくても、斜め綴じを行う際にステープルユニット400とシートとの干渉を防止できる。この結果、装置のコンパクト化を図れる。
【0127】
[実施形態の別例]
次に、本実施形態の別例について、
図26ないし
図35を用いて説明する。上述の例では、ステープルユニット400を第2姿勢に回動させる前に、シートに対してシフト動作を行う場合について説明した。但し、以下のように、ステープルユニット400を第2姿勢に回動させた後に、シートに対してシフト動作を行うようにしても良い。
【0128】
即ち、移動回動部470がステープルユニット400を第1姿勢から第2姿勢に回動させてから、処理前ローラ211A、212Aによって第1搬送方向β1の下流側に搬送されたシートに対して、該シートを掻き込みパドル240Aにより第2搬送方向β2に搬送する動作を行わずに、該シートに対してシフト動作を行う。その後、掻き込みパドル240Aによって第2搬送方向β2にシートを搬送して、該シートの後端を後端規制部材290に突き当てる突き当て動作を行ってから、第2姿勢のステープルユニット400より綴じ処理を行う。
【0129】
以下、2枚のシートを束ねたシート束のR側の角部に斜め綴じを行う場合を例に、本実施形態の別例に係る制御内容について具体的に説明する。なお、以下では、シートの後端部の幅方向一端側の角部としてR側の角部に斜め綴じを行う場合について説明するが、F側の角部に斜め綴じを行う場合は、シフト動作によりシートを移動させる方向が逆になるだけで、R側の角部に斜め綴じを行う場合と同様の動作となる。
【0130】
図26に示すように、1枚目のシートS1を処理トレイ220に受け入れる際に、ステープルユニット400を幅方向のR側において第1姿勢から第2姿勢に回動させておく。ステープルユニット400を回動させるタイミングは、シートS1が処理トレイ220に搬送される前であっても良いし、搬送中であっても良い。また、
図26に示す状態は、例えば、後端落とし部材250Aによりシートが処理トレイ220に落とされた状態であり、掻き込みパドル240Aによる第2搬送方向β2への搬送は行われていない。
【0131】
次いで、
図27に示すように、一対の整合板271Aにより1枚目のシートS1を幅方向のF側に移動させる。この状態では、シートS1の後端部が後端規制部材290に突き当てられていない。本実施形態では、上述のように、整合板271Aは、第1搬送方向の下流側の第1板部2701と、第1板部2701と第1搬送方向の上流側に連続するように形成された第2板部2702とを有する(
図2参照)。したがって、第1搬送方向β1に関して、処理トレイ220上のシートに対し広い範囲で整合板271Aが当接するため、シートの後端部が後端規制部材290に突き当たっていなくても安定してシフト動作が可能となる。
【0132】
シートS1をF側にシフト動作させたら、
図28に示すように、掻き込みパドル240Aにより第2搬送方向β2に搬送してシートS1を後端規制部材290に突き当てる。なお、この際、R側の整合板271AをシートS1から離間させておく。次いで、
図29に示すように、R側の整合板271AをシートS1に当接させ、一対の整合板271AによりシートS1を挟持する。これにより、1枚目のシートS1に対する整合を行う。
【0133】
次に、R側の整合板271AをシートS1から離間させた状態で、
図30に示すように、2枚目のシートS2を処理トレイ220に搬送する。
図30の状態も後端落とし部材250Aによりシートが処理トレイ220に落とされた状態であり、掻き込みパドル240Aによる第2搬送方向β2への搬送は行われていない。
【0134】
次いで、
図31に示すように、R側の整合板271AをシートS2の端部に当接させて、2枚目のシートS2を幅方向のF側に移動させる。この際、F側の整合板271Aは1枚目のシートS1があるため移動しない。シートS2をF側にシフト動作させたら、
図32に示すように、掻き込みパドル240Aにより第2搬送方向β2に搬送してシートS2を後端規制部材290に突き当てる。なお、この際、R側の整合板271AをシートS1から離間させておく。次いで、
図33に示すように、R側の整合板271AをシートS2に当接させ、一対の整合板271AによりシートS2を挟持する。これにより、2枚目のシートS2に対する整合を行う。
【0135】
形成すべきシート束STの最終シート、本実施形態では2枚目のシートS2の整合が完了したら、
図34に示すように、第2姿勢にある状態のステープルユニット400により、シート束STのR側の角部に斜め綴じを行う。その後、
図35に示すように、斜め綴じが行われたシート束STを、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bにより積載トレイ300に排出する。
【0136】
このように本実施形態では、シートの角部に対して斜め綴じを行う際に、ステープルユニット400を第2姿勢としている状態で、処理トレイ220上のシートを後端規制部材290に突き当てる前に、斜め綴じを行う位置とは逆方向にシートをシフトさせている。そして、シフト動作が完了してからシートを後端規制部材290に突き当てるようにしている。このため、ステープルユニット400を第2姿勢としていても、シートがステープルユニット400と干渉することを防止できる。したがって、本実施形態の場合も、ステープルユニット400の斜め綴じ位置への移動量を大きくしなくても、斜め綴じを行う際にステープルユニット400とシートとの干渉を防止できる。この結果、装置のコンパクト化を図れる。本実施形態では、移動回動部470によりステープルユニット400を回動させる回動動作を行ってからシフト動作と突き当て動作を行う態様を示した。但し、回動動作とシフト動作の順番は逆でもよいし、同時に行ってもよい。いずれにせよ突き当て動作完了前に回動動作とシフト動作が完了していればよい。
【0137】
なお、上述の実施形態では、シート処理装置200Aを画像形成装置100の胴内空間130内に配置する構成としたが、本発明のシート処理装置の構成は、例えば、画像形成装置の側面に装着される構成であっても良い。また、シート処理装置は、画像形成装置が備える制御部により制御される構成であっても良い。また、本発明は、針なしステープルユニット400Aがない構成にも適用可能である。
【0138】
また、本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
【0139】
(構成1)
シートを第1搬送方向に搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを載置する載置部と、
前記第1搬送部によって搬送された前記載置部上のシートを前記第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、
前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送されたシートの前記第2搬送方向の下流端縁が突き当てられる突き当て部と、
前記載置部に載置されたシートの前記第1搬送方向に沿う端縁に当接した状態で前記第1搬送方向と交差するシートの幅方向に移動することで、前記第1搬送部によって搬送されたシートを前記幅方向に移動させるシフト部と、
前記第2搬送方向の下流端縁が前記突き当て部に突き当てられ、且つ前記シフト部で前記幅方向に移動されたシートに綴じ処理を行う綴じ部と、
前記綴じ部を前記幅方向に移動させ、さらに前記綴じ部を第1姿勢と、前記第1姿勢に対して傾斜した第2姿勢とに回動させる移動回動部と、を備え、
前記綴じ部は、第1部分と、前記第1部分と対向して配置されて前記第1部分との間でシートを挟持することでシートに前記綴じ処理を行う第2部分と、前記綴じ部が第1姿勢である場合に前記第1部分と前記第2部分とでシートに対して前記綴じ処理が行われる位置よりも前記第2搬送方向下流側に配置された奥側面とを有し、
前記第1姿勢は、前記綴じ部がシートの前記第2搬送方向の下流端部に対し、前記幅方向に沿った方向に綴じ処理を行う姿勢であり、
前記第2姿勢は、前記綴じ部がシートの前記第2搬送方向の下流端部の前記幅方向の一端側の角部に対し、前記幅方向に対して傾斜した方向に綴じ処理を行う姿勢であり、
前記綴じ部が前記第2姿勢でシートの前記幅方向の一端側の角部に綴じ処理を行う場合に、シートを前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送して該シートの前記第2搬送方向の下流端縁を前記突き当て部に突き当てる突き当て動作、及び、前記第1搬送部によって前記載置部に搬送されたシートの位置に対して、該シートを前記シフト部により前記幅方向の他端側で且つ前記綴じ部が前記第2姿勢になった場合に該シートが前記奥側面に接触しない位置まで移動させるシフト動作を行ってから、前記移動回動部が前記綴じ部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に回動させ、前記第2姿勢の前記綴じ部により綴じ処理を行う
ことを特徴とするシート処理装置。
(構成2)
前記綴じ部が前記第2姿勢でシートの前記角部に綴じ処理を行う場合に、前記突き当て動作を行った後に前記シフト動作を行う
ことを特徴とする構成1に記載のシート処理装置。
(構成3)
前記綴じ部が前記第1姿勢でシートの前記第2搬送方向の下流端部に綴じ処理を行う場合に、前記シフト動作を行わずに、前記突き当て動作によって前記第2搬送方向の下流端縁が前記突き当て部に突き当てられた状態のシートに対して、前記第1姿勢の前記綴じ部により綴じ処理を行う
ことを特徴とする構成1又は2に記載のシート処理装置。
(構成4)
シートを第1搬送方向に搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを載置する載置部と、
前記第1搬送部によって搬送された前記載置部上のシートを前記第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、
前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送されたシートの前記第2搬送方向の下流端縁が突き当てられる突き当て部と、
前記載置部に載置されたシートの前記第1搬送方向に沿う端縁に当接した状態で前記第1搬送方向と交差するシートの幅方向に移動することで前記第1搬送部によって搬送されたシートを前記幅方向に移動させるシフト部と、
前記第2搬送方向の下流端縁が前記突き当て部に突き当てられ、且つ前記シフト部で前記幅方向に移動されたシートに綴じ処理を行う綴じ部と、
前記綴じ部を前記幅方向に移動させ、さらに前記綴じ部を第1姿勢と、前記第1姿勢に対して傾斜した第2姿勢とに回動させる移動回動部と、を備え、
前記綴じ部は、第1部分と、前記第1部分と対向して配置されて前記第1部分との間でシートを挟持することでシートに前記綴じ処理を行う第2部分と、前記綴じ部が第1姿勢である場合に前記第1部分と前記第2部分とでシートに対して前記綴じ処理が行われる位置よりも前記第2搬送方向下流側に配置された奥側面とを有し、
前記第1姿勢は、前記綴じ部がシートの前記第2搬送方向の下流端部に対し、前記幅方向に沿った方向に綴じ処理を行う姿勢であり、
前記第2姿勢は、前記綴じ部がシートの前記第2搬送方向の下流端部の前記幅方向の一端側の角部に対し、前記幅方向に対して傾斜した方向に綴じ処理を行う姿勢であり、
前記綴じ部が前記第2姿勢でシートの前記幅方向の一端側の角部に綴じ処理を行う場合に、前記第1搬送部によって前記載置部に搬送されたシートの位置に対して、該シートを前記シフト部により前記幅方向の他端側で且つ前記綴じ部が前記第2姿勢になった場合に該シートが前記奥側面に接触しない位置まで移動させるシフト動作及び前記移動回動部により前記綴じ部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に回動させる回動動作を行い、その後、前記第2搬送部によって前記第2搬送方向にシートを搬送して、該シートの前記第2搬送方向の下流端縁を前記突き当て部に突き当てる突き当て動作を行ってから、前記第2姿勢の前記綴じ部により綴じ処理を行う
ことを特徴とするシート処理装置。
(構成5)
前記綴じ部が前記第1姿勢でシートの前記第2搬送方向の下流端部に綴じ処理を行う場合に、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向の下流側に搬送されたシートに対して、前記シフト動作を行わずに前記突き当て動作を行い、前記第2搬送方向の下流端縁が前記突き当て部に突き当てられた状態のシートに対して、前記第1姿勢の前記綴じ部により綴じ処理を行う
ことを特徴とする構成4に記載のシート処理装置。
(構成6)
シートに画像を形成する画像形成部を有する画像形成装置と、
前記画像形成部により画像が形成されたシートに対して綴じ処理を施す構成1乃至5のいずれか一項に記載のシート処理装置と、を備えた画像形成システム。
【符号の説明】
【0140】
200A・・・シート処理装置
211A、212A・・・処理前ローラ
220・・・処理トレイ
240A・・・掻き込みパドル
270A・・・整合部
290・・・後端規制部材
400・・・ステープルユニット(綴じ部)
404・・・ステープルヘッド(第1部分)
405・・・アンビル部材(第2部分)
408・・・奥側面
410・・・シート綴じ装置
470・・・移動回動部