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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159830
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
   A01D 90/10 20060101AFI20241031BHJP
   A01F 15/08 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A01D90/10
A01F15/08 R
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024138418
(22)【出願日】2024-08-20
(62)【分割の表示】P 2020185927の分割
【原出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】000198330
【氏名又は名称】株式会社IHIアグリテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】廣川 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】横内 博史
(72)【発明者】
【氏名】宮西 広樹
(57)【要約】
【課題】作動機構の作業性の改善を図ること
【解決手段】本発明は、再現部と作動機構を備え、前記再現部は、学習済み情報と前記作動機構の動作再現部を有しており、前記学習済み情報は、各種条件と前記作動機構の成功動作制御情報を紐づけた情報であり、前記各種条件は収穫物に関する条件、前記収穫物の処理に関する条件、圃場に関する条件、処理した前記収穫物を放出する条件の内、少なくとも一つの条件であり、前記作動機構は、収穫物の放出に関する作動機構であり、前記動作再現部は、作業時に前記各種条件を入力されることで、入力された前記各種条件と前記学習済み情報に含まれる前記各種条件とを比較し、前記学習済み情報の中から前記入力された前記各種条件に近い前記各種条件を有する紐付けられた前記成功動作制御情報を選択し、前記選択された成功動作制御情報により前記作動機構を制御することを特徴とする農作業機とすることで課題を解決した。
【選択図】 図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再現部と作動機構を備え、
前記再現部は、学習済み情報と前記作動機構の動作再現部を有しており、
前記学習済み情報は、各種条件と前記作動機構の成功動作制御情報を紐づけた情報であり、
前記各種条件は収穫物に関する条件、前記収穫物の処理に関する条件、圃場に関する条件、処理した前記収穫物を放出する条件の内、少なくとも一つの条件であり、
前記作動機構は、収穫物の放出に関する作動機構であり、
前記動作再現部は、作業時に前記各種条件を入力されることで、入力された前記各種条件と前記学習済み情報に含まれる前記各種条件とを比較し、前記学習済み情報の中から前記入力された前記各種条件に近い前記各種条件を有する紐付けられた前記成功動作制御情報を選択し、前記選択された前記成功動作制御情報により前記作動機構を制御することを特徴とする農作業機。

【請求項2】
前記再現部は、ティーチング部を備え、
前記ティーチング部は、前記各種条件と前記成功動作制御情報を紐づけて前記学習済み情報として取り込み、前記学習済み情報を更新することを特徴とする請求項1に記載の農作業機。
【請求項3】
前記再現部に入力される前記各種条件は、自動的に入力されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
農作業装置は様々あるが、例えば、ラッピングしたロールベールを縦置きさせて圃場に降ろすラッピング装置は特許文献1~特許文献3に記載のように知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4036645号公報
【特許文献2】特開平2003-304732号公報
【特許文献3】特開平6-70631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ラッピング装置においてラッピングしたロールベールを縦置きするためには、様々な作動機構を調整しないとうまく縦置きできず、作業性が悪くなお改善すべき余地があった。
また、ラッピング装置以外の農作業機においても、収穫物を取り込み、処理し、放出するといった作業を行う際、農作業機に搭載された様々な作動機構の調整や操作が必要であり、作業性を改善すべき余地があった。
【0005】
本発明の課題は、作動機構の作業性の改善を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、再現部と作動機構を備え、前記再現部は、学習済み情報と前記作動機構の動作再現部を有しており、前記学習済み情報は、各種条件と前記作動機構の成功動作制御情報を紐づけた情報であり、前記各種条件は収穫物に関する条件、前記収穫物の処理に関する条件、圃場に関する条件、処理した前記収穫物を放出する条件の内、少なくとも一つの条件であり、前記作動機構は、収穫物の放出に関する作動機構であり、前記動作再現部は、作業時に前記各種条件を入力されることで、入力された前記各種条件と前記学習済み情報に含まれる前記各種条件とを比較し、前記学習済み情報の中から前記入力された前記各種条件に近い前記各種条件を有する紐付けられた前記成功動作制御情報を選択し、前記選択された成功動作制御情報により前記作動機構を制御することを特徴とする農作業機とすることで課題を解決した。
【発明の効果】
【0007】
作動機構の調整負担を減らすことができた。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の前提となるラッピング装置1の(A)斜視図(B)側面図(C)背面図
図2】ロールベール積み降ろし開始時の縦置きアームの位置を示すラッピング装置1の背面図
図3】ロールベール支承部機台を立てた状態のラッピング装置の斜視図
図4】本発明の前提となるラッピング装置1のロールベールの積み込み開始時の背面図(A)積み込み開始前の背面図(B)積み込み開始時の背面図
図5】本発明の前提となるラッピング装置1のロールベールの積み込み完了時の側面図
図6】本発明の前提となるラッピング装置1のロールベールの積み下ろし工程の説明図(A)積み下ろし開始時の側面図(B)積み下ろし途中時の側面図(C)圃場にロールベールを下ろした時の側面図
図7】縦置きアームの説明図(A) 斜視図(B) 背面図(C) 縦置きアームの断面図
図8】ロールベールが左右いずれの側に縦置きされるかにつき説明する図(A-a)縦置きアームをロールベールの中間線より右に寄せて傾け、ロールベールを接地したときのラッピング装置の背面図 (A-b)縦置きアームをロールベールの中間線より右に寄せて傾けたときに、接地面からみた縦置きアームの位置を示す説明図(A-c)縦置きアームをロールベールの中間線より右に寄せて傾けたときのロールベールの斜視図(B-a)縦置きアームをロールベールの中間線より左に寄せて傾け、ロールベールを接地したときのラッピング装置の背面図 (B-b)縦置きアームをロールベールの中間線より左に寄せて傾けたときに、接地面からみた縦置きアームの位置を示す説明図(B-c)縦置きアームをロールベールの中間線より左に寄せて傾けたときのロールベールの斜視図
図9図8(A-c)の場合の縦置き位置および図8(B-c)の場合の縦置き位置を示す斜視図
図10】傾斜地における縦置きアームの角度の関係を示す説明図
図11】再現部に搭載されたティーチング部の説明図
図12】再現部に搭載された動作再現部説明図
図13】縦置きアーム変形例の説明図(A)背面図(B)斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
農作業機として、ラッピングマシンを例に挙げて説明するが、本発明は、ラッピングマシンに限らず広く農作業機に適用可能な技術である。
本発明でいうロールベールRは、作物をロールベーラなどのロールベール成形装置によって、円柱状に圧縮成型したものであり、フィルムでラッピング(巻回)された状態のものである。「ラッピング前のロールベールR」などと特に断りのない限り、単に「ロールベールR」というときは、フィルムがラッピング(巻回)された状態のものをいう。
【0010】
ここで、作物とは、ソルガム、デントコーンや牧草などの飼料作物などである。
【0011】
ロールベールRは、本発明のラッピング装置1によって縦置きした状態で圃場に置かれる。ここで、ロールベールRが倒れた状態とは、ロールベールRの軸線が圃場面と平行である状態であり、円柱状のロールベールRの円柱の周面が接地するように倒れた状態である。他方、ロールベールRを縦置きした状態とは、ロールベールRの軸線が圃場面に対して鉛直である状態であり、円柱状のロールベールRの円形の底面を接地させて立てた状態である。
【0012】
本発明でいうラッピング装置1とはラッピングマシンに搭載されたラッピングに関する装置部分をいう。したがって、自走型のラッピングマシンにおいては、駆動機構や走行機構などの走行に関する装置は含まれない。
【0013】
本発明でいうラッピング装置1のラッピング方式は、実施例に限定されるものではなく、いかなるラッピング方式でも適用できる。
【0014】
本発明でいう再現部9、ティーチング部99などの制御に関する部材は、どこに設けてもよく、牽引車(トラクタなど)によって牽引される場合は、牽引車側に設けてもよい。また、1つの制御部で縦置き制御とラッピング装置1の他の制御を行ってもよく、例えば、独立した制御部である必要はないし、複数の制御部に分散されていてもよい。いずれにせよ、制御に関する部材の位置は、以下の実施例に限定されるものではない。また、ソフトウエア上のモジュールとして存在してもよい。
【0015】
本発明でいう各種駆動部は、油圧、電動などどのようなものでもよく実施例に限定されるものではない。
【0016】
(実施例1)
先ず、本発明の前提となるラッピング装置1の構造などについて説明する。前提となるラッピング装置1は、ロールベールRの底面は円柱状のロールベールRの周面と比べ、ラップフィルムの重なりが多重で厚いため、ロールベールRを縦置き、残幹などの突起物が刺さりラップフィルムに穴が開く確率を低くすることを主眼としている。
また、縦置き作業を手動で行うこともできるが、慎重な作業が必要であり、作業効率を落としていた。また、詳しくは後述するが、縦置きに成功しても、ロールベールRを縦置く作業に使われる縦置きアーム5でロールベールRの側面に穴が開くことがあり、好ましからざる事態が起きることもあった。
【0017】
実施例のラッピング装置1において「成功動作」とは、ロールベールRを縦置くこと(ロールベールRを覆うフィルムに穴が開かないことを含んでもよい)である。
また、実施例のラッピング装置1において「作動機構」とは、ロールベールRを縦置くことに寄与する、
(1)ロールベール支承部機台2、
(2)リフトアーム4
(3)縦置きアーム5
およびそれらの駆動機構である。
【0018】
また、実施例のラッピング装置1において「各種条件991」とは、
(1)収穫物に関する条件:デントコーン、ソルゴー、牧草など。また、乾燥の程度が含まれていてもよい。
(2)収穫物の処理に関する条件(ロールベールRに関する条件):梱包圧、ラッピング後のロールベールRの重量、サイズ(直径)、形状(円柱、太鼓型など)、密度など。
(3)圃場に関する条件:積み下ろし方向に対する圃場の勾配角度と積み下ろし方向に対する勾配方向などが含まれる。
(4)処理した収穫物を放出する条件:ロールベールRを進行方向右に縦置くか、または、進行方向左に縦置くか。
である。
【0019】
図1は、前提となるラッピング装置1の全体を示す(A)斜視図、(B)側面図、(C)背面図である。
ラッピング装置1の側方には、ラップフィルムへ張力を付加するストレッチローラ71とラップフィルムを支承し固定するラップフィルム載置台72の構成からなるラップフィルム巻き付け装置7が設けられている。
【0020】
図1(A)に示されるように、縦置きアーム5は、ロールベール支承部21を備えたロールベール支承部機台2の後端25に設けられている。そして、ロールベール支承部機台2の後端25の(ロールベールRを積み込み積み下ろす側)端面24に沿って収まるように、縦置きアーム5が取り付けられている(図1(A)の点線で示した縦置きアーム5参照)。端面24は、一点鎖線で示されているように仮想面である。
縦置きアーム5には、図1(A)に矢印で示すように端面24に沿った状態(鎖線で図示)からロールベール支承部機台2に対して立ち上がる方向に、縦置きアーム回動軸52を中心に回動自在に駆動させる、縦置きアーム駆動部51が設けられている。
縦置きアーム5は、ロールベールRの積み下ろし時には、実線で図示されているように、ロールベール支承部機台2に対して立ち上がる方向に縦置きアーム駆動部51により回動する。
【0021】
ラッピング前のロールベールRの積み込み時、ラッピング後のロールベールRの積み下ろし時にロールベールRの周面を把持するリフトアーム4が設けられている。リフトアーム4は、図1(B)から理解されるように、ロールベール支承部機台2に設けられている。リフトアーム4は、油圧シリンダーからなるリフトアーム駆動部41によりロールベール支承部機台2に対して回動自在に駆動するように構成されている。また、リフトアーム4は、ラップフィルム巻き付け時には、巻き付けに支障が無い位置まで退避するようになっている。
【0022】
図1(B)および図1(C)から理解されるように、ラッピング装置機枠11上に、ロールベール支承部機台2が設けられ、さらにラップフィルム巻き付け時にラッピング前のロールベールRを載置するロールベール支承部21が、ロールベール支承部機台2の上に設けられている。
【0023】
図1(B)に示されるように、ロールベール支承部機台2は、ラッピング装置機枠11に設けられた傾動軸22を有する。ロールベールRの積み込み時および積み下ろし時に、傾動軸22を中心に前記ロールベール支承部機台2を傾動させる傾動駆動部23(ダンプシリンダ)が設けられている。
【0024】
(縦置きアーム駆動)
図2はロールベールRの積み降ろし開始時の縦置きアーム5の位置を示すラッピング装置1の背面図である。ロールベール支承機台2の後端25のやや進行方向右側に寄せて縦置きアーム基部56が取り付けられている。縦置きアーム5は、縦置きアーム駆動部51によりロールベール支承機台2に対して、立ち上がるように回動している。実施例のラッピング装置1では、縦置きアーム駆動部51により、作業者の指示するとおりの角度となるように縦置きアーム5が立ち上がるようになっている。
【0025】
(ロールベール積み込み工程)
前述したように図1(B)に示された傾動軸22を中心にロールベール支承部機台2は、後方に傾動するように構成されている。
図3は、ロールベール支承部機台2を立てた状態のラッピング装置1の斜視図であり、圃場に倒れた状態で置かれるラッピング前のロールベールRの周面をロールベール支承部21に当接するようにラッピング装置1を運転する。
また、背面からみてロールベール支承部機台2の端部には、ローラ211が設けてあり、ラッピング前のロールベールRを積み込むときの補助として役立つ。また、積み下ろし時にロールベールRのラップフィルムが破損することを防ぐのに役立つ。
【0026】
図4は、前提となるラッピング装置1の背面図であり、ラッピング前のロールベールRの積み込み開始時を表している。図4(A)は積み込み開始前の背面図、図4(B)積み込み開始時の背面図である。
図4(A)のように、圃場に倒れた状態で置かれたラッピング前のロールベールRが、ロールベール支承部21(ロールベールRの背面にあり図示されていない)に近づくか当接すると、図4(B)に示すように、リフトアーム4が下方に駆動し、ラッピング前のロールベールRをしっかりと保持する。
【0027】
図5は、前提となるラッピング装置1が、ラッピング前のロールベールRを積み込み完了したときの側面図である。
ロールベール支承部機台2は、前記ラッピング装置機枠11に設けられた傾動軸22を有し、ラッピング装置機枠11上に収まるように傾動自在に構成されている。ロールベール支承部機台2が、ラッピング装置機枠11上に収まるように回動することで、ロールベール支承部21とリフトアーム4に挟まれて保持されているラッピング前のロールベールRは、ラッピング装置1上に積み込まれる。
ラッピング装置1の積み込み動作中、縦置きアーム5は、ロールベール支承部機台2の端面24に沿った状態で倒れている((図1(A)の点線で示される縦置きアーム5の位置を参照されたい。)。
【0028】
ロールベール支承部機台2には、各種センサ部88の一つであるロードセルなどから成る計量部(図示せず)が設けられており、ラッピング前のロールベールRの重量が測定されるようになっている。また、各種センサ部88の一つであるイメージセンサ(図示せず)が、ラップフィルム巻き付け装置7の上に設けられており、ラッピング前のロールベールRのサイズや形状を測定する。
【0029】
以上の各種センサ部88から得られるラッピング前や後のロールベールRに関する条件として、次の情報が取得され、再現部9へ送られる。
ラッピング前や後のロールベールRに関する条件(収穫物に関する条件):ラッピング前や後のロールベールRの重量、サイズ(直径)、形状(円柱、太鼓型など)などが含まれる。また、ロールベールRに関する条件(収穫物に関する条件)には、重量、サイズ、形状を総合して、密度を計算したものも包含される。
さらに、ロールベールRに関する条件(収穫物に関する条件)には、作業者が入力する作物の種類が含まれてもよい。
【0030】
また、ラッピング装置1の傾斜角度や傾斜方向に関する情報が、各種センサ部88の一つである傾斜センサによって取得される。
圃場に関する条件:積み下ろし方向に対する圃場の勾配角度と積み下ろし方向に対する勾配方向などが含まれる。
これらの条件は、再現部9へと送られ、圃場に関する条件として活用される。
【0031】
(ラッピング工程)
ロールベール支承部21及びラップフィルム巻き付け装置7に関する構成および動作については周知であるので、概略の説明に留める。
ロールベール支承部21は、ラッピング時にロールベール支承部機台2上で水平回転する。ラッピング前のロールベールRは、その周面が、ロールベール支承部21に設けられたベルトに包まれるように載置され、少しずつ周面回りに回動され、ラップフィルム巻き付け装置7とロールベールRとの間に張架されたラップフィルムによりその全面がラッピングされる。
ロールベールRがラップフィルムで梱包されると、ラッピング前のロールベールRよりサイズが縮む。ラップフィルム巻き付け装置7の上に設けた各種センサ部88の一つであるイメージセンサ(図示せず)が、ラッピング前のロールベールRのサイズや形状を測定し、再現部9へ送る。
ロールベールRに関する条件(収穫物の処理に関する条件)について総合すると、
ロールベールRに関する条件(収穫物の処理に関する条件):ラッピング前や後のロールベールRの重量、サイズ(直径)、形状(円柱、太鼓型など)、密度、などが含まれてもよい。
【0032】
(ロールベールの積み下ろし工程)
ロールベールRの積み下ろし時には、図1(A)に示すように、縦置きアーム駆動部51は、点線で示されたロールベール支承部機台2の後端25の端面24沿って収められている縦置きアーム5を、ロールベール支承部機台2に対して立ち上がる方向に回動させる。
図6は、前提となるラッピング装置1のロールベールRの積み下ろし工程として典型的な場合の積み下ろし工程を示す側面図であり、図6(A)は積み下ろし開始時の側面図、図6(B)は積み下ろし途中時の側面図、図6(C)は圃場にロールベールRを下ろした時の側面図である。
【0033】
積み下ろし開始時、図6(A)に示すように、リフトアーム4がロールベールRを保持する。そして、縦置きアーム5は、縦置きアーム制御部84によりロールベール支承部機台2に対して立ち上がる方向に回動する。
【0034】
図6(B)に示すように、ロールベール支承部機台2は、傾動軸22を中心に徐々に傾動し、ラッピング装置機枠11上から離れて行く。最終的に図6(C)に示すように、円柱状のロールベールRが圃場に倒れた状態で接地するまで、ロールベール支承部機台2の傾動が制御される。最終的にロールベール支承部機台2の後端25に取り付けられた縦置きアーム5は、接地するまでロールベール支承部機台2の傾動とともに動く。
【0035】
(ロールベールの縦置き工程)
ロールベールを縦置く目的は、ロールベールRを周面で設置するように置くと、荷重がロールベールRの接地面にすべてかかり、圃場にある異物(刈り残したデントコーンなどの茎部)により、孔が空きやすいからである。底面を圃場に接するように縦置くと、ロールベールRの荷重は底面全体に分散されるし、底面側のフィルムは周面と比べて多重に巻かれており、孔が開きにくい。
ロールベール支承部機台2が十分傾動すると、ロールベールRは圃場に倒れた状態で接地する。このとき、縦置きアーム5は、圃場とロールベールRに挟まれることとなる(図6(C)参照)。図1(A)に示すように縦置きアーム5が立てられている(実線の位置)状態となっているため、ロールベールRから観ると、倒れた状態のロールベールRの一端側にずれて縦置きアーム5がロールベールRの周面に接触していることとなる。
次いで、リフトアーム4が、ロールベールRから離間するようにリフトアーム制御部83により制御される。
【0036】
(ロールベールの縦置作業の補助)
図7は縦置きアーム5の説明図であり、図7(A)は斜視図、図7(B)は背面図である。
図7(A)に示されるように、リフトアーム4は、ロールベールRがロールベール支承部機台2から離れてしまわないように、ロールベールRをロールベール支承部機台2側に押さえるように機能している。この状態の背面図が図7(B)である。図6(C)の状態から、ロールベール支承部機台2が上昇回動(傾動)を開始すると、ロールベール支承部機台2に取り付けられた縦置きアーム5もロールベール支承部機台2と一緒に持ち上がって行く。図7(B)から縦置きアーム5がわずかに上昇していることが観て取れる。これにより、ロールベールRの周面に当接している縦置きアーム5は、ロールベールRを回動支点R3を中心として持ち上げる。重心R5より進行方向右が持ち上げられることで、ロールベールRの接地点は進行方向左となり、接地点を回動支点R3として回転し始める。ロールベール支承部機台2がさらに持ち上がると、最終的に底面が接地し進行方向左に縦置きされる。
縦置き工程でロールベールRと縦置きアーム5は接触し、縦置きアーム5は、その上昇に伴いロールベールRの周面を滑るように動くため、ロールベールRに巻かれたラップフィルムを破損することがあった。そこで、縦置きアーム5は、図7(C)に図示されるように、円柱状の芯材54の周囲に円柱状の外装材55を被せた構造をしており、円筒の外装材55は自由に芯材54の周囲を自由に回るように構成されている縦置きアーム5の円筒状の外装材55が自由に回転するため、ロールベールRに巻かれたラップフィルムを破損させることが無いようになっている。
【0037】
特に、ロールベールRが縦置かれようとしている圃場が、ロールベールRを積み下ろす側が下がるように傾斜している場合がある。このような場合、リフトアーム4がロールベールRから離間すると、圃場の傾斜により転がり、ラッピング装置1からロールベールRが離れてしまう可能性がある。また、平坦な圃場であっても、ロールベールRが軽いなどの場合、やはり、リフトアーム4が離間する動作に伴いロールベールRがラッピング装置1から離れてしまう可能性がある。
このような状況に対応させるべく、リフトアーム4は、ロールベールRの縦置き工程中、ロールベールRを押さえ、縦置きに支障が無い程度にロールベールRを支えるように動くよう、リフトアーム駆動部41をリフトアーム制御部83で制御する。
【0038】
(縦置きアームの角度によるロールベールの縦置き方向の選択)
縦置きアーム5は、図1(A)に点線で示すように、ロールベール支承部機台2のロールベールRを積み下ろす側の後端25の端面24に沿って収まるように取り付けられている。図1(A)に示すように、縦置きアーム5は、縦置きアーム回動軸52を中心にロールベール支承部機台2の端面24に沿って収まっている状態から前記ロールベール支承部機台2に対して立ち上がる方向に回動する。
前述したようにロールベールRを積み下ろす工程の最終段階を示す図6(C)のように、ロールベール支承部機台2の傾動に伴い縦置きアーム5は水平になり接地する。
【0039】
以下でいう、中間線R2とは、縦置いたロールベールR(円柱状)の高さ方向の中間点において、円柱の円周の周りに描いた線をいう(図8(A-b)参照)。
図8は、ロールベールが左右いずれの側に縦置きされるかの違いを説明する図であり、図8(A-a)は縦置きアーム5をロールベールRの中間線R2より右に寄せて傾け、ロールベールRを接地したときのラッピング装置1の背面図である。また、図8(B-a)は縦置きアーム5をロールベールRの中間線R2より左に寄せて傾け、ロールベールRを接地したときのラッピング装置1の背面図である。
図8(A-a)および図8(B-a)に示した通り、は縦置きアーム5をロールベールRの中間線R2より右に寄せて傾けても、縦置きアーム5をロールベールの中間線R2より左に寄せて傾けても、縦置きアーム回動軸52が設けられている縦置きアーム基部56の位置は変わらない。
しかし、図8(A-b)および図8(B-b)に示したように、接地面からみた(地下からロールベール8を見上げた状態)縦置きアーム5の位置は、図8(A-b)のように縦置きアーム5をロールベールRの中間線R2より右に寄せて傾けたときと、図8(B-b)のように縦置きアーム5をロールベールRの中間線R2より左に寄せて傾けたときとでは異なってくる。
【0040】
ロールベールRは円柱状であり、本発明でロールベールRを積み下ろした場合、倒れた円柱状のロールベールRの中心軸が水平になるように積み下ろされる。この時、ロールベールRが接地する箇所は、接地ラインR1で示したようにライン状になる。もっとも、ロールベールRは柔らかく自重で若干押しつぶされるからライン状といっても幅のあるラインとなる。
縦置きアーム先端部53が、この接地ラインR1を越えて、かつ、縦置きアーム5と接地ラインR1の交点R4がロールベールRの中間線R2を越えておらず、中間線R2の右側にある場合が、図8(A-b)の中間線R2より右に寄せて縦置きアーム5を傾けた状態となる。
他方、縦置きアーム先端部53が、この接地ラインR1を越えて、かつ、縦置きアーム5と接地ラインR1の交点R4がロールベールRの中間線R2を越え、中間線R2の左側にある場合が、図8(B-b)の中間線R2より左に寄せて縦置きアーム5を傾けた状態となる。
斜視図でみると、それぞれ図8(A-c)および図8(B-c)のようになる。
【0041】
倒れた円柱状のロールベールRと縦置きアーム5が接触するのは、接地ラインR1との交点R4の1箇所のみであることが、図8(A-c)および図8(B-c)から分かる。
この状態で、ロールベールの縦置き工程に移ると、ロールベール支承部機台2に取り付けられた縦置きアーム5が持ち上がり始める。図8(A-b)および図8(A-c)で示すように、中間線R2より右に寄せて縦置きアーム5があると、縦置きアーム5は接地ラインR1の交点R4(中間線R2の右側にある)のみでロールベールRと接触するから、この交点R4から倒れた円柱状のロールベールRを持ち上げ始める。そして、図8(A-c)で図示される倒れた円柱状のロールベールRの左端部にある回動支点R3を支点として倒れた円柱状のロールベールRが立ち上がる。この場合、ラッピング装置1の背面からみて、左にロールベールRが縦置かれる。図9は、ラッピング装置1の背面からみた縦置き位置を表す斜視図であり、ここに示される「図8(A-c)の場合の縦置き位置」のようにラッピング装置1の背面(進行方向)左にロールベールRが縦置かれる。
【0042】
図8(A-b)や図8(B-b)において、仮に縦置きアーム先端部53が接地ラインR1を越えていない場合は、縦置きアーム5は倒れた円柱状のロールベールRと接触していない。縦置きアーム5が、ロールベール支承部機台2と共に持ち上がると、縦置きアーム先端部53が倒れた円柱状のロールベールRの円柱周面をなぞるように動くだけで、ロールベールRは持ち上がらず縦置きできない。このため、縦置きアーム5は、縦置きアーム先端部53が接地ラインR1を越え得る長さである必要がある。
【0043】
同様に、図8(B-b)および図8(B-c)で示すように、中間線R2より左に寄せて縦置きアーム5があると、縦置きアーム5は接地ラインR1の交点R4(中間線R2の左側にある)のみでロールベールRと接触するから、この交点R4から倒れた円柱状のロールベールRを持ち上げ始める。図8(B-c)で図示される倒れた円柱状のロールベールRの右端部にある回動支点R3を支点として倒れた円柱状のロールベールRが立ち上がる。図9に示される「図8(B-c)の場合の縦置き位置」のようにラッピング装置1の背面右(進行方向右)にロールベールRが縦置かれる。
以上のように、
処理した収穫物を放出する条件:ロールベールRの縦置き方向を右にするか左にするかという条件と縦置きアーム5(作動機構)の角度
は、縦置きに密接に関係することが理解されよう。
【0044】
(ラッピング装置の背面からみて左右に傾斜する傾斜地の場合)
以上の説明は、圃場が水平である場合であった。図10は傾斜地における縦置きアーム5の角度の関係を示す説明図である。
ラッピング装置1の背面からみて左または右に傾斜する傾斜地の場合、下がっている側へは縦置きがしやすいが、上がっている側には縦置きアーム5を傾けても縦置きできないことがある。
平地では、中間線R2がロールベールRの重心R5を通っていたため、倒れたロールベールRの右半分と左半分は同じ重さであり、縦置きアーム5の配置を中間線R2に対して右に寄せるか、左に寄せるかを変えることで図9のように右と左に縦置くことができた。ところが、左または右に傾斜する傾斜地では、重心R5を考慮して、縦置きアーム5を寄せる必要がある。
すなわち、ラッピング装置1の背面からみて、接地ラインR1を縦置きアーム先端部53が十分越え、かつ、重心R5から下ろした垂線と接地ラインR1との交点R4の右にあるか左にあるかにより、ロールベールRが進行方向右に縦置かれるか、進行方向左に縦置かれるかが変わる。
図8(A-c)のように、縦置きアーム先端部53が交点R4の右にある場合は、ロールベールRは左に縦置かれ、図10図8(B-c)に示したように縦置きアーム先端部53が交点R4の左にある場合は、ロールベールRは進行方向右に縦置かれる。
【0045】
(縦置き成功動作に関連する事項)
実施例でいう成功動作とは、ロールベールRのフィルムが破れることなく意図した方向にロールベールが縦置かれたことをいう。
この観点からみると、収穫物に関する条件(デントコーンや牧草など)は、作動機構の成功動作に影響を与える条件であることが分かる。デントコーンのように茎が硬く太い場合は、静かに縦置かないと茎がフィルムに突き刺さり破れる可能性がある。静かに縦置くため、縦置き動作に時間がかかる。これに対して、牧草などの場合は、デントコーンと比較してフィルムが破れる可能性が少なく、縦置き動作に時間がかからない。
【0046】
ロールベールRに関する条件(収穫物の処理に関する条件)も作動機構の成功動作に影響を与える。収穫物の処理に関する条件は、前述したように、梱包圧、ラッピング後のロールベールRの重量、サイズ(直径)、形状(円柱、太鼓型など)、密度などである。密度や梱包圧が高いとロールベールRが硬く締まっており、フィルムが破れにくい。また、形状が太鼓型であると、縦置く際に転がりやすく、特に傾斜地で縦置く際は静かに縦置かないと縦置かれた際の勢いで倒れてしまうことも起き得る。ロールベール支承部機台2(作動機構)の動きを遅くする、速くするなど、作動機構の成功動作に影響を与える。
サイズ(直径)が大きくなると、小さいものと比べてリフトアーム4(作動機構)を縦置き作業中に離すタイミングを遅くなるようにずらさないと、ロールベールRがロールベール支承部21から後方に離間し、縦置きアーム5との接触が断たれ縦置きが成功しないこともある。
【0047】
圃場に関する条件が作動機構の成功動作に影響を与えることは、これまで説明してきたように明らかである。積み下ろし方向に対する圃場の勾配角度と積み下ろし方向に対する勾配方向などによって、特に縦置きアーム5(作動機構)の位置や角度を変える必要があり、縦置き成功に大きな影響を与える。さらに、ラッピング装置1の後方に向かって下がる傾斜地の場合、リフトアーム4(作動機構)をロールベールRから離間させるタイミングを遅くしないと、ロールベールRが後方に転がり出し、縦置きに失敗する。
処理した収穫物を放出する条件(ロールベールRを進行方向右に縦置くか、または、進行方向左に縦置くか)も作動機構の成功動作に影響をあたえることは明白である。右に縦置くか左に縦置くかによって、縦置きアーム5(作動機構)の位置や角度が異なってくる。
【0048】
(再現部に搭載されたティーチング部)
図11は、再現部9に搭載されたティーチング部99の機能の説明図である。
作業者は、圃場でラッピング装置1を使用しながらロールベールRの手動で縦置き操作を行う。
この時の各種条件991、すなわち、
(1)収穫物に関する条件:デントコーン、ソルゴー、牧草など。
(2)収穫物の処理に関する条件(ロールベールRに関する条件):梱包圧、ラッピング後のロールベールRの重量、サイズ(直径)、形状(円柱、太鼓型など)、密度など。
(3)圃場に関する条件:積み下ろし方向に対する圃場の勾配角度と積み下ろし方向に対する勾配方向など。
(4)処理した収穫物を放出する条件:ロールベールRを進行方向右に縦置くか、または、進行方向左に縦置くか。
などの各種条件を入力してもよい。このような各種条件情報は、ティーチング部99へ送られる。
各種条件991は、作業者が入力しなければならない条件を除き、各種センサ部88から自動的に取り込まれることが好ましいが、手動で入力することを妨げるものではない。
【0049】
そして、縦置きが成功したときに、成功したときの作動機構(ロールベール支承部機台2、リフトアーム4、縦置きアーム5およびそれらの駆動機構)の動作を、成功動作制御情報992として紐付けける操作を行なう。作業者がボタン操作等でその縦置きが成功したことをティーチング部99に送ることが出来るようになっており、これにより、成功動作制御情報992と成功したという事実が紐付けられて、学習済み情報記憶部911へと送られる。
実施例では、紐付けを作業者が行っているが、縦置きが成功したこと何らかのセンサで感知し、自動的に紐付けを行うことも本発明に包含される。
【0050】
具体的に送られる成功動作制御情報992は、
(A)ロールベール支承部機台制御部82からは、ロールベール支承部機台2の上昇速度や上昇タイミングといった制御の時系列の制御情報、
(B)リフトアーム制御部83からは、リフトアームの作動タイミングといった時系列の制御情報
(C)縦置きアーム制御部84からは、
(C1)縦置きアーム5の角度の制御情報および
(C2)縦置きアーム5のロールベール支承部機台2の後端25に対する縦置きアーム5の移動位置の制御情報
である。
記憶された各種条件991と記憶された成功動作制御情報992は紐づけられ、1つのロールベールRを手動で縦置きさせるごとにティーチング部99から学習済み情報記憶部911へ送られる記憶される。
これを繰り返すことで、学習済み情報91の内容を充実させてもよい。
また、この時、失敗動作を別途学習済み情報91に含ませてもよい。
【0051】
(再現部の動作再現部)
図12は再現部9に搭載された動作再現部92の説明図である。実施例では、自動縦置き操作モードがあり、再現部9の動作再現部92は、自動縦置き操作モードに入ると作業者が入力しなければならない各種条件を除き、各種センサ部88から各種条件991を取り込む。作業者が入力しなければならない条件とは、処理した収穫物を放出する条件(ロールベールRを進行方向右に縦置くか、または、進行方向左に縦置くか)等である。
【0052】
各種条件991が再現部9の動作再現部92に入力されると、学習済み記憶部911に記憶されている学習済み情報91の中から、入力された各種条件991に近い各種条件991を有する成功動作制御情報992を選択する。選択された成功動作制御情報992は、作動機構(ロールベール支承部機台制御部82・リフトアーム制御部83.縦置きアーム制御部84)に送られ、縦置き動作を再現する。
仮に、自動操作モードで縦置きに失敗した場合、作業者は手動操作でロールベールRを縦置き、ティーチング部99の機能を使って、学習済み情報91に新たな情報を追加することができる。
【0053】
また、「入力された各種条件991に近い学習済み情報91の各種条件991」でいう「近い」とは、ある種の条件に重みが付けられている、ある種の条件が優先するなどしてもよい。
例えば、作物に関する条件としてデントコーンが入力された場合、硬い茎でロールベールRのフィルムに穴が開く可能性が高くなることから、牧草など軟らかい作物で他の条件が近いものがあっても、デントコーンという条件を優先させ、作物がデントコーンであるものの中から近い条件を選ぶ等がある。
加えて、以上の説明は、学習済み情報91を作業者がティーチング部を使って作り上げるものであったが、他者が作った学習済み情報91をインストールしてもよいことは言うまでもない。
【0054】
縦置き操作が自動化されることで作業者の操縦負担が軽くなり、作業効率が向上する。
実施例では、縦置きアーム5を使用するラッピングマシンを例に挙げて説明したが、この他の縦置き機構を有するラッピングマシンにも適用できる。例えばリフトアーム4に縦置き機構が取り付けられているものでも本発明を適用できる。
さらに、ラッピングマシン以外の農作業機でも本発明を適用することができる。例えば、ロールベーラにおいてロールベールRが軽いと、ゲートを開放してもロールベールRが円滑に放出されないことがあり、ゲートを閉めるタイミングを遅くしないとロールベールRがゲートに引っかかることがある。このような場合、各種センサ部88でロールベールRの重さを各種条件として取り込み、ゲートを締めるタイミングを遅らせるなどの場合に本発明を適用できる。
【0055】
(縦置きアームの変形例)
これまで図8等を用いて、縦置きアーム5が角度を変えて立ち上がる態様を説明してきた。図13は縦置きアーム5の変形例の説明図である。図13(A)は背面図であり、ロールベール支承部機台2の後端25には、左右方向に移動レール57が設けられており、縦置きアーム基部56の位置を左右に移動できるようになっている。縦置きアーム基部56が移動した後、図示していない固定機構により縦置きアーム基部56は強固に固定される。移動のための駆動源は、油圧、電動モータなど任意である。
図13(B)の斜視図のように、移動レール57に沿って縦置きアーム5を点線で示された位置まで進行方向左に寄せることができる。縦置きアーム5を進行方向左に寄せて、図7(B)のようにロールベール支承部機台2を持ち上げると、縦置きアーム5により、進行方向左にロールベールRが縦置かれることが理解されよう。
以上のように、変形例のラッピング装置1では、移動レール57により縦置きアーム5の位置を動かすことで、ロールベールRを進行方向右に縦置くか、または、進行方向左に縦置くかを選択できるようになっている。
その他の構成については、実施例1と変わりはない。
【0056】
以上、本発明に係る実施例のラッピング装置1を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構造や構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても本発明に含まれる。
【0057】
また、前述の実施例や実施形態は、その目的および構成などに特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0058】
R ロールベール
R1 接地ライン
R2 中間線
R3 回動支点
R4 交点
R5 重心
1 ラッピング装置
11 ラッピング装置機枠
2 ロールベール支承部機台
21 ロールベール支承部
211 ローラ
22 傾動軸
23 傾動駆動部
24 端面
25 後端
4 リフトアーム
41 リフトアーム駆動部
5 縦置きアーム
51 縦置きアーム駆動部
52 縦置きアーム回動軸
53 縦置きアーム先端部
54 芯材
55 外装材
56 縦置きアーム基部
57 移動レール
7 ラップフィルム巻き付け装置
71 ストレッチローラ
72 ラップフィルム載置台
82 ロールベール支承部機台制御部
83 リフトアーム制御部
84 縦置きアーム制御部
88 各種センサ部
9 再現部
91 学習済み情報
911 学習済み情報記憶部
92 動作再現部
99 ティーチング部
991 各種条件
992 成功動作制御情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13