(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159857
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両制御システム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20241031BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20241031BHJP
B60W 50/10 20120101ALI20241031BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20241031BHJP
B60Q 1/26 20060101ALI20241031BHJP
G08G 1/16 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W60/00
B60W50/10
B60W40/02
B60Q1/26 Z
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024139111
(22)【出願日】2024-08-20
(62)【分割の表示】P 2021527689の分割
【原出願日】2020-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2019121131
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019121132
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019121133
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】綿野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】多々良 直久
(57)【要約】
【課題】自動運転車両の車寄せを車両外部から容易に行えるようにする。
【解決手段】自動運転車両302にセンサ321を搭載し、車両周辺のユーザUのジェスチャーを検出する。車両302の制御部311に、ジェスチャーを車両移動用の指示として認識する認識部313と、移動指示に基づいて車両2を駆動する車両駆動機構331を設ける。制御部311は、移動指示に基づいて制御信号(パルス)を生成し、制御信号を入力した車両駆動機構331は、単位パルス毎に車両を移動させる。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転の車両に搭載されたセンサと、前記センサからの入力に基づいて車両を制御する制御手段と、前記制御手段から入力した制御信号に基づいて車両を駆動する車両駆動手段と、を備え、
前記センサが、車両周辺の人物のジェスチャーを検出し、
前記制御手段が、前記ジェスチャーを車両移動用の指示として認識する認識手段を含み、
前記車両駆動手段は、前記指示に基づいて車両を移動させることを特徴とする車両制御システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記指示に基づいて前記車両駆動手段に制御信号を出力し、
前記車両駆動手段は、制御信号の単位パルス毎に、最小移動単位を移動させる請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
車両周辺の路面に画像を投影する描画灯を備え、
前記描画灯は、前記車両の移動限界位置を示す画像を路面に投影する請求項1または2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
前記センサが、車両周辺の人物からの音声を検出し、
前記制御手段が、検出した音声を前記指示として認識する音声認識手段を含む請求項1~3の何れか一項に記載の車両制御システム。
【請求項5】
前記センサが、車両周辺の人物の口唇の動きを検出し、
前記制御手段が、検出した口唇の動きを前記指示として認識する読唇手段を含む請求項請求項1~4の何れか一項に記載の車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無人の自動運転車両を外部から操作し、駐車場や配車位置など所望の位置まで移動させる技術の開発が進められている。例えば、特許文献1(特に、明細書段落0114~0115、図面の
図8)には、モバイル機器から自動駐車指示信号を受信して、該自動駐車指示信号の駐車場所情報に基づいて自動駐車を実行する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/073632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、人の目から見て車寄せするスペースがあっても、自動運転システムによって車両間隔が大きく設定され、駐車空間を節約できないという問題があった。その他、モバイル機器の設定方法や操作方法を参照したり、習得したりする手間がかかるという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、車両の外部から、容易に、かつ所望の位置に車寄せできる自動運転車両の車両制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両制御システムは、自動運転車両に搭載されたセンサと、センサからの入力に基づいて車両を制御する制御手段と、制御手段から入力した制御信号に基づいて車両を駆動する車両駆動手段と、を備え、センサが、車両周辺の人物のジェスチャーを検出し、制御手段が、ジェスチャーを車両移動用の指示として認識する認識手段を含み、車両駆動手段は、指示に基づいて車両を移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両制御システムによれば、センサで車両周辺の人物のジェスチャーを検出し、ジェスチャーに基づいて自動運転車両を移動させることとしたため、ユーザ各自の感覚に基づいて、所望の位置まで車寄せできるという効果を有する。また、従来のドライバーに対する指示と同じようなジェスチャーで車寄せできるため、改めて機器の設定操作を習得する必要がないという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1の車両用情報表示システムの概略図である。
【
図3】
図1の車両用情報表示システムのブロック図である。
【
図4】手のひらに情報を投影する様子を示す説明図である。
【
図5】セキュリティモードのディスプレイに情報を投影する様子を示す説明図である。
【
図6】スクリーンに情報を投影する様子を示す説明図である。
【
図7】膝部に情報を投影する様子を示す説明図である。
【
図8】
図1の車両用情報表示システムの動作を示すフローチャートである。
【
図9】実施例2の車両用情報表示装置を搭載した車両を示す概略図である。
【
図10】実施例2の車両用情報表示装置の模式図である。
【
図11】
図9の車両用情報表示装置のブロック図である。
【
図12】手のひらに情報を投影する様子を示す説明図である。
【
図13】セキュリティモードのディスプレイに情報を投影する様子を示す説明図である。
【
図14】スクリーンに情報を投影する様子を示す説明図である。
【
図15】膝部に情報を投影する様子を示す説明図である。
【
図16】
図9の車両用情報表示装置による表示の際に実施される表示先選択動作を示すフローチャートである。
【
図17】実施例3の車両制御システムの概略図である。
【
図20】ジェスチャーによって車両を移動させる様子を示す説明図である。
【
図21】音声によって車両を移動させる様子を示す説明図である。
【
図22】路面に描画された最小移動単位を確認しつつ車両を移動させる様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、自動運転のシェアカーに搭載される車両用情報表示システム、車両用情報表示装置、車両制御システムにそれぞれ具体化した実施形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例0010】
図1に示すように、車両用情報表示システム101は、シェアカー102を利用するユーザUを認識すると、路面に「ようこそ!」などのおもてなし情報や、行き先、利用時間などの利用情報を含む画像151を描画する。
【0011】
図2に示すように、車両用情報表示システム101は、主に、車体外部に向けて情報を表示するサイドモジュール103に搭載される。サイドモジュール103の周縁部には、自動運転状態を示すADマーカ(自動運転マーカ)4が設けられている。
【0012】
図3に示すように、車両用情報表示システム101は、ユーザUに向けて所定の情報を表示する表示部114と、シェアカー102を利用するユーザUを検知するためのカメラ120と、表示部114が情報を表示する環境を計測するセンサ121と、ユーザUに提示する情報を格納する記憶部125と、ユーザUに提示する情報をクラウド通信や有線通信などにより配信する外部サーバ124と、表示部114を制御する制御部111と、表示部114の位置や向きを調整するアクチュエータ122と、外部サーバ124から配信された情報を入力するインターフェース123を備える。なお、センサ121としては、LiDAR、ミリ波レーダー、音声センサなどを採用できる。
【0013】
表示部114は、ディスプレイ116と、画像生成部112で生成した画像を描画する描画灯117と、描画灯117が画像を投影する被投影体115を含み、被投影体115は、スクリーン118、路面119、手のひらや膝などのユーザUの身体を含む。スクリーン118は、通常はサイドモジュール103に格納されており、投影時にサイドモジュール103から繰り出される(
図6参照)。描画灯117は、固定された画像を描画可能な単型や、DMD(Digital Micromirror Device)などを使用して自由な描画が可能な生成型を採用できる。
【0014】
制御部111は、記憶部125や外部サーバ124から入力した情報に基づいて表示部114で表示する画像151を生成する画像生成部112と、情報の内容に応じて該情報を表示する表示部114を選択する表示先選択部113を含む。
【0015】
表示先選択部113は、カメラ120が撮影した人物と、外部サーバ124から取得したシェアカー102の利用情報に基づいて、ユーザUの顔認証を実施する。そして、ユーザUが検知できた場合に、表示する情報の内容と、表示する環境に応じて表示先を選択する。
【0016】
表示先選択部113は、例えば、「ようこそ!」のように、表示する情報の内容にセキュリティやプライバシーに関る情報を含まない場合には、ディスプレイ116または路面119のいずれかを表示先として選択する。また、表示先選択部113は、センサ121から入力した計測結果に基づき、路面119が表示環境として適しているか否かを判断する。表示環境として路面119が適さない場合としては、例えば、路面119に段差があって描画が崩れるおそれがある場合や、路面119が雨に濡れたり、雪が積もったりして、描画した情報が読み取りにくくなる場合が想定できる。
【0017】
表示先選択部113は、路面119が被投影体115として適していると判断した場合には、描画灯117および路面119を表示先として選択する。このとき、画像生成部112では、ユーザUに向けて表示する情報に基づいて表示用の画像151を生成し、制御部111は、画像151を描画灯117に出力する。反対に路面119が被投影体115として適さないと判断した場合には、ディスプレイ116を表示先として選択する。この場合には、制御部111は、画像151を、ディスプレイ116に表示させる。
【0018】
表示先選択部113は、例えば、「〇〇様」、「行き先は〇〇です。」のように、表示する情報の内容にセキュリティやプライバシーに関る情報を含む場合には、まず、ディスプレイ116にガイダンス152を表示する。例えば、
図4に示すように、「手をかざしてください。」と表示する。ここで、表示先選択部113は、センサ121から入力した計測結果に基づき、指定した被投影体115、つまり、ユーザUの手が投影可能な位置にかざされているか否かを検知する。
【0019】
そして、ユーザUの手を検知できた場合に、ユーザUの手を表示先として選択し、制御部111は、描画灯117に表示する画像151を出力する。この場合には、ユーザUは、自分の手のひらを見て画像151を確認できる。一方、ユーザUの手を検知できなかった場合には、表示先選択部113は、
図5に示すように、セキュリティモードのディスプレイ116を表示先として選択する。セキュリティモードのディスプレイ116としては、例えば、ディスプレイ116正面からのみ画像151を見えるように構成したディスプレイを採用できる。
【0020】
図6に示すように、スクリーン118を表示先として選択し、ディスプレイ116に「スクリーンをご覧ください。」と表示したうえで、スクリーン118をサイドモジュール103から繰り出し、画像151を投影することも可能である。
【0021】
ところで、ユーザUによっては、手を差し出したり、スクリーン118を確認することが困難な場合もある。
図7に示すように、例えば、外部サーバ124から取得した情報に基づいて、ユーザUが車椅子を利用していることが判明した場合には、ディスプレイ116に「手前に進んでください」、「膝部に投影します。」などのガイダンス152を表示する。そして、表示先選択部113は、ユーザUの膝部を検知した場合に、ユーザUの膝部を表示先として選択し、その後、制御部111が描画灯117に画像151を出力する。このように、ユーザUの状態に合わせてガイダンス152を表示し、ユーザUの身体の一部を適宜選択して、被投影体115として利用することも可能である。
【0022】
次に、車両用情報表示システム101の動作について、
図8に従って説明する。まず、表示先選択部113は、カメラ120から入力した画像に基づいてユーザUを検知し(S101)、ユーザUに向けて表示する情報を取得する(S102)。取得した情報にセキュリティやプライバシーに関する情報が含まれていない場合には(S103:No)、センサ121から入力した計測結果に基づいて、路面119への描画が可能か否かを判断する。そして、可能であると判断した場合には(S104:Yes)、表示先選択部113は路面119を表示先として選択し、制御部111は、表示する情報に基づいて画像生成部112で生成した画像151を描画灯117に出力する(S105,S106)。反対に、描画不可能と判断した場合には、表示先選択部113はディスプレイ116を表示先として選択し、制御部111は、ディスプレイ116に画像151を表示する(S107)。
【0023】
一方、取得した情報にセキュリティやプライバシーに関する情報が含まれている場合には(S103:Yes)、処理はセキュリティモードに移行する。まず、表示先選択部113は、ディスプレイに「手をかざしてください。」などの被投影体115に関するガイダンス152を表示する(S108)。表示先選択部113は、センサ121の計測結果に基づき被投影体115を検知した場合には(S109:Yes)、指定した被投影体115を表示先として選択し、制御部111は、描画灯117に画像151を出力する(S110,S111)。被投影体115を検知できなかった場合には(S109:No)、セキュリティモードでディスプレイ116に画像151を表示する(S112)。
【0024】
以上の構成の車両用情報表示システム101によれば、ユーザUに表示する情報の内容と、表示する環境との複数の条件に基づいて表示先を選択することとしたため、ユーザUのプライバシーやセキュリティに配慮しつつ、より好適な環境の表示先に表示できるという効果を有する。
制御部211は、記憶部225や外部サーバ224から入力した情報に基づいてディスプレイ216や描画灯217から出力するための画像251を生成する画像生成部212と、情報の内容に応じて該情報を表示する表示部214を選択する表示先選択部213を含む。
表示先選択部213は、カメラ220が撮影したユーザUの画像と、外部サーバ224から取得したシェアカー2の利用情報に基づいて、ユーザUの顔認証を実施する。そして、ユーザUが検知できた場合に、表示する情報の内容と、表示する環境に応じて表示先を選択する。
表示先選択部213は、例えば、おもてなし画像「ようこそ!」のように、表示する情報の内容にセキュリティやプライバシーに関る情報を含まない場合には、ディスプレイ216または路面219のいずれかを表示先として選択する。また、表示先選択部213は、センサ221から入力した計測結果に基づき、路面219が表示環境として適しているか否かを判断する。表示環境として路面219が適さない場合としては、例えば、路面219に段差があって描画が崩れるおそれがある場合や、路面219が雨に濡れたり、雪が積もったりして、描画した情報が読み取りにくくなる場合が想定できる。
表示先選択部213は、路面219が被投影体215として適していると判断した場合には、描画灯217および路面219を表示先として選択する。このとき、画像生成部212では、ユーザUに向けて表示する情報に基づいて表示用の画像251を生成し、制御部211は、画像251を描画灯217に出力する。反対に路面219が被投影体215として適さないと判断した場合には、ディスプレイ216を表示先として選択する。この場合には、制御部211は、画像251を、ディスプレイ216に表示させる。
一方、取得した情報にセキュリティやプライバシーに関する情報が含まれている場合には(S203:Yes)、処理はセキュリティモードに移行する。まず、表示先選択部213は、ディスプレイに「手をかざしてください。」などの被投影体215に関するガイダンス252を表示する(S208)。表示先選択部213は、センサ221の計測結果に基づき被投影体215を検知した場合には(S209:Yes)、指定した被投影体215を表示先として選択し、制御部211は、描画灯217に画像251を出力する(S210,S211)。被投影体215を検知できなかった場合には(S209:No)、セキュリティモードでディスプレイ216に画像251を表示する(S212)。
以上の構成の車両用情報表示装置201によれば、センサ221が描画灯217の投影範囲Aに被投影体215としてのユーザの身体の少なくとも一部を検出した場合に、描画灯217が投影を開始するように構成したため、ユーザUは自身の身体で他人の目から隠しつつ情報を確認できる。このため、ユーザUのプライバシーやセキュリティに関する情報を他人が見難いように表示できるという効果を有する。