IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テイ・エス テック株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159876
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/22 20060101AFI20241031BHJP
   B60N 2/75 20180101ALI20241031BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20241031BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20241031BHJP
   B60N 2/56 20060101ALI20241031BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B60H1/22 611B
B60N2/75
B60N3/00 C
A47C7/74 B
B60N2/56
B60H1/32 621G
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024139495
(22)【出願日】2024-08-21
(62)【分割の表示】P 2023517554の分割
【原出願日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】63/180,806
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/182,055
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芳田 元
(72)【発明者】
【氏名】三好 晃
(72)【発明者】
【氏名】栗本 智行
(72)【発明者】
【氏名】志田 隼人
(72)【発明者】
【氏名】水野 恵輔
(72)【発明者】
【氏名】冨田 佳弘
(57)【要約】
【課題】シートに着座した使用者を効率良く温度調節することができる温度調節システムを提供する。
【解決手段】温度調節システム20は、乗物1の内部に設けられ、形態及び乗物に対する位置の少なくとも1つを変更可能なシート21と、乗物の内部に設けられ、シートに着座した使用者を加熱又は冷却する温度調節装置22とを有し、温度調節装置は、シートの形態、及び乗物に対する位置の少なくとも1つに基づいて出力を調節する。温度調節装置は、乗物に設けられた複数の温度調節部37と、複数の温度調節部を制御する制御装置(38)とを有し、制御装置は、シートから近い位置に配置された温度調節部の出力をシートから遠い位置に配置された温度調節部の出力よりも増加させてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調節システムであって、
乗物の内部に設けられ、形態及び前記乗物に対する位置の少なくとも1つを変更可能なシートと、
前記シートの側方に設けられたセンターコンソールと、
前記乗物の内部に設けられ、前記シートに着座した使用者を加熱又は冷却する温度調節装置とを有し、
前記センターコンソールは、前記センターコンソールの側壁の上部に前後に延びる軸線を中心として回動可能に設けられた可動プレートを有し、
前記温度調節装置は、前記可動プレートに設けられ、
前記温度調節装置は、前記シートの形態、及び前記乗物に対する位置の少なくとも1つに基づいて出力を調節する温度調節システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに着座した使用者のための温度調節システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自動車のドアトリムのアームレストに設けられたヒータを開示している。ヒータは電熱線によって形成され、アームレストに接触した使用者の前腕を温める。特許文献2は、車室内のテーブルに設けられたヒータを開示している。ヒータは、使用者の大腿部や前腕を温める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-38321号公報
【特許文献2】特開2018-129188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートがフロアに対して移動した場合や、シートがリクライニングした場合には、ドアトリムに設けられたヒータ及びテーブルに設けられたヒータと、シートに着座した使用者との位置関係が変化する。そのため、ヒータは効率的に使用者を温めることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、シートに着座した使用者を効率良く温度調節することができる温度調節システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、ある態様は、温度調節システム(20)であって、乗物(1)の内部に設けられ、形態及び前記乗物に対する位置の少なくとも1つを変更可能なシート(21)と、前記乗物の内部に設けられ、前記シートに着座した使用者を加熱又は冷却する温度調節装置(22)とを有し、前記温度調節装置は、前記シートの形態、及び前記乗物に対する位置の少なくとも1つに基づいて出力を調節する。
【0007】
この態様によれば、温度調節装置は、シートの形態、及び乗物に対する位置の少なくとも1つに基づいて出力を調節するため、効率良くシートに着座した使用者を温度調節することができる。また、温度調節装置に必要なエネルギー使用量を低減することができる。
【0008】
上記の態様において、前記温度調節装置は、前記乗物に設けられた複数の温度調節部(37)と、複数の前記温度調節部を制御する制御装置(38)とを有し、前記制御装置は、前記シートから近い位置に配置された前記温度調節部の出力を前記シートから遠い位置に配置された前記温度調節部の出力よりも増加させてもよい。
【0009】
この態様によれば、シートに着座した使用者から近い温度調節部の出力が、使用者から遠い温度調節部の出力よりも高くなるため、効率良く使用者を温度調節することができる。
【0010】
上記の態様において、前記シートは、前記使用者の臀部を下方から支持するシートクッション(25)と、前記シートクッションを前記乗物に対して前後方向に移動可能に支持する移動装置(28)とを有し、前記乗物は、前記シートに側方に配置された側方部材(11、35、4)を有し、前記温度調節装置が、前記側方部材に前後方向に配列された複数の温度調節部と、複数の温度調節部を制御する制御装置とを有し、前記制御装置は、前記シートの前後位置に応じて前記温度調節部のそれぞれの出力を制御してもよい。
【0011】
この態様によれば、シートの前後位置に応じて各温度調節部の出力が調節される。これにより、エネルギー効率良く、シートに着座した使用者を温度調節することができる。
【0012】
上記の態様において、前記制御装置は、前記シートが所定の後位置より後方に位置するときに、複数の前記温度調節部の内で後側に配置された前記温度調節部の出力を前側に配置された前記温度調節部の出力よりも増加させてもよい。
【0013】
この態様によれば、シートの前後位置に応じて各温度調節部の出力が調節される。これにより、エネルギー効率良く、シートに着座した使用者を温度調節することができる。
【0014】
上記の態様において、前記制御装置は、前記シートが所定の後位置より後方に位置するときに、複数の前記温度調節部の内で前側に配置された前記温度調節部の出力をオフにし、前記シートが所定の前位置より前方に位置するときに、複数の前記温度調節部の内で後側に配置された前記温度調節部の出力をオフにしてもよい。
【0015】
この態様によれば、シートの前後位置に応じて各温度調節部の出力が調節される。これにより、エネルギー効率良く、シートに着座した使用者を温度調節することができる。
【0016】
上記の態様において、前記シートは、前記使用者の臀部を下方から支持するシートクッション(25)と、前記シートクッションの後部に回動可能に支持されたシートバック(26)と、前記シートクッションの前部に回動可能に支持されたオットマン(32)とを有し、前記温度調節装置は、前記乗物に設けられた複数の温度調節部(37)と、複数の前記温度調節部を制御する制御装置(38)とを有し、前記制御装置は、前記シートバックの前記シートクッションに対する角度、及び前記オットマンの前記シートクッションに対する角度の少なくとも1つに基づいて前記温度調節部のそれぞれの出力を調節してもよい。
【0017】
この態様によれば、シートの形態に応じて各温度調節部の出力が調節される。これにより、エネルギー効率良く、シートに着座した使用者を温度調節することができる。
【0018】
上記の態様において、複数の前記温度調節部は、前記乗物の前記シートより後方に設けられた後部温度調節部(37D)を含み、前記制御装置は、前記シートバックの前記シートクッションに対する角度に基づいて前記後部温度調節部の出力を調節してもよい。
【0019】
この態様によれば、シートに着座した使用者を後方から温度調節することができる。
【0020】
上記の態様において、複数の前記温度調節部は、前記乗物に電力を供給するバッテリ(62)を熱源として使用するヒータ(37B)を含んでもよい。
【0021】
この態様によれば、バッテリの廃熱を利用して使用者を温度調節することができ、エネルギー使用量を低減することができる。
【0022】
上記の態様において、前記シートの側方にはセンターコンソール(35)が設けられ、前記バッテリは前記センターコンソールの下方に配置され、前記ヒータは前記センターコンソールに設けられてもよい。
【0023】
この態様によれば、バッテリが発生した熱をセンターコンソールに設けられたヒータに効率良く伝達することができる。
【0024】
上記の態様において、前記乗物は、前記バッテリの周囲の空気を外部に排出する放熱部(111)を有してもよい。
【0025】
この態様によれば、暖房が必要ない場合に、バッテリの熱を外部に放出することができる。
【発明の効果】
【0026】
ある態様は、温度調節システム(20)であって、乗物(1)の内部に設けられ、形態及び前記乗物に対する位置の少なくとも1つを変更可能なシート(21)と、前記乗物の内部に設けられ、前記シートに着座した使用者を加熱又は冷却する温度調節装置(22)とを有し、前記温度調節装置は、前記シートの形態、及び前記乗物に対する位置の少なくとも1つに基づいて出力を調節する。
【0027】
この態様によれば、温度調節装置は、シートの形態、及び乗物に対する位置の少なくとも1つに基づいて出力を調節するため、効率良くシートに着座した使用者を温度調節することができる。また、温度調節装置に必要なエネルギー使用量を低減することができる。
【0028】
上記の態様において、前記温度調節装置は、前記乗物に設けられた複数の温度調節部(37)と、複数の前記温度調節部を制御する制御装置(38)とを有し、前記制御装置は、前記シートから近い位置に配置された前記温度調節部の出力を前記シートから遠い位置に配置された前記温度調節部の出力よりも増加させてもよい。
【0029】
この態様によれば、シートに着座した使用者から近い温度調節部の出力が、使用者から遠い温度調節部の出力よりも高くなるため、効率良く使用者を温度調節することができる。
【0030】
上記の態様において、前記シートは、前記使用者の臀部を下方から支持するシートクッション(25)と、前記シートクッションを前記乗物に対して前後方向に移動可能に支持する移動装置(28)とを有し、前記乗物は、前記シートに側方に配置された側方部材(11、35、4)を有し、前記温度調節装置が、前記側方部材に前後方向に配列された複数の温度調節部と、複数の温度調節部を制御する制御装置とを有し、前記制御装置は、前記シートの前後位置に応じて前記温度調節部のそれぞれの出力を制御してもよい。
【0031】
この態様によれば、シートの前後位置に応じて各温度調節部の出力が調節される。これにより、エネルギー効率良く、シートに着座した使用者を温度調節することができる。
【0032】
上記の態様において、前記制御装置は、前記シートが所定の後位置より後方に位置するときに、複数の前記温度調節部の内で後側に配置された前記温度調節部の出力を前側に配置された前記温度調節部の出力よりも増加させてもよい。
【0033】
この態様によれば、シートの前後位置に応じて各温度調節部の出力が調節される。これにより、エネルギー効率良く、シートに着座した使用者を温度調節することができる。
【0034】
上記の態様において、前記制御装置は、前記シートが所定の後位置より後方に位置するときに、複数の前記温度調節部の内で前側に配置された前記温度調節部の出力をオフにし、前記シートが所定の前位置より前方に位置するときに、複数の前記温度調節部の内で後側に配置された前記温度調節部の出力をオフにしてもよい。
【0035】
この態様によれば、シートの前後位置に応じて各温度調節部の出力が調節される。これにより、エネルギー効率良く、シートに着座した使用者を温度調節することができる。
【0036】
上記の態様において、前記シートは、前記使用者の臀部を下方から支持するシートクッション(25)と、前記シートクッションの後部に回動可能に支持されたシートバック(26)と、前記シートクッションの前部に回動可能に支持されたオットマン(32)とを有し、前記温度調節装置は、前記乗物に設けられた複数の温度調節部(37)と、複数の前記温度調節部を制御する制御装置(38)とを有し、前記制御装置は、前記シートバックの前記シートクッションに対する角度、及び前記オットマンの前記シートクッションに対する角度の少なくとも1つに基づいて前記温度調節部のそれぞれの出力を調節してもよい。
【0037】
この態様によれば、シートの形態に応じて各温度調節部の出力が調節される。これにより、エネルギー効率良く、シートに着座した使用者を温度調節することができる。
【0038】
上記の態様において、複数の前記温度調節部は、前記乗物の前記シートより後方に設けられた後部温度調節部(37D)を含み、前記制御装置は、前記シートバックの前記シートクッションに対する角度に基づいて前記後部温度調節部の出力を調節してもよい。
【0039】
この態様によれば、シートに着座した使用者を後方から温度調節することができる。
【0040】
上記の態様において、前記温度調節装置は、前記乗物に電力を供給するバッテリ(62)を熱源として使用するヒータ(37B)を含んでもよい。
【0041】
この態様によれば、バッテリの廃熱を利用して使用者を温度調節することができ、エネルギー使用量を低減することができる。
【0042】
上記の態様において、前記シートの側方にはセンターコンソール(35)が設けられ、前記バッテリは前記センターコンソールの下方に配置され、前記ヒータは前記センターコンソールに設けられてもよい。
【0043】
この態様によれば、バッテリが発生した熱をセンターコンソールに設けられたヒータに効率良く伝達することができる。
【0044】
上記の態様において、前記乗物は、前記バッテリの周囲の空気を外部に排出する放熱部(111)を有してもよい。
【0045】
この態様によれば、暖房が必要ない場合に、バッテリの熱を外部に放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】実施形態に係る温度調節システムを有する車両の説明図
図2】ドアの側面図
図3】シートの斜視図
図4】ドアの側面図
図5】車室を前方から見た正面図
図6】センターコンソールを左方から見た側面図
図7】変形例に係る車室を前方から見た正面図
図8】変形例に係る車室を前方から見た正面図
図9】変形例に係る車室を前方から見た正面図
図10】インストルメントパネルを左方から見た側面図
図11】インストルメントパネルを上方から見た側面図
図12】変形例に係るインストルメントパネルを左方から見た側面図
図13】温度調節システムの構成を示すブロック図
図14】車室の前部を模式的に示す説明図
図15】変形例に係る温度調節システムを有する車両の説明図
図16】変形例に係るシートの斜視図
図17】変形例に係るシートの側面図
図18】変形例に係るシートの平面
図19】変形例に係るセンターコンソールを左方から見た側面図
図20】他の実施形態に係るシートの斜視図
図21】シートの断面図
図22】右側の前支持部の側面図
図23】シートの平面図
図24】シートの前部右側を拡大して示す平面図
図25】シートの正面図
図26】リンク連結部材の斜視図
図27】右側の前支持部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照して、本発明に係る温度調節システムの実施形態について説明する。実施形態に係る温度調節システムは、乗物に使用される。乗物は、例えば、自動車や、鉄道車両、飛行機、船舶等であってよい。以下の実施形態では、温度調節システムを4輪自動車に適用した例について説明する。
【0048】
図1に示すように、4輪自動車である車両1は、使用者が搭乗する車室2を有する。車室2は、前壁3、左右の側壁4、後壁5、フロア6、ルーフ(不図示)によって画定されている。左右の側壁4のそれぞれには、複数の乗降口7が形成されている。左右の側壁4のそれぞれに、2つの乗降口7が形成されているとよい。各乗降口7にはドア11が設けられている。ドア11は、車体に対して回動可能又はスライド移動可能に支持されているとよい。
【0049】
前壁3の車室2側には、インストルメントパネル15が設けられている。インストルメントパネル15には、複数のインジケータ、ディスプレイ、操作スイッチ、グローブボックス等が設けられている。図2に示すように、各ドア11の車室2側には、ドアトリム16が設けられている。ドアトリム16は、金属製のドアパネルの車内側の側面に設けられる。
【0050】
図1に示すように、車両1には、温度調節システム20が設けられている。温度調節システム20は、車両1の内部に設けられ、形態及び車両1に対する位置の少なくとも1つを変更可能なシート21と、車両1の内部に設けられ、シート21に着座した使用者を加熱又は冷却する温度調節装置22とを有する。
【0051】
本実施形態では、シート21は、車室2の前部左側に設けられた前左シート21A、車室2の前部右側に設けられた前右シート21B、車室2の後部左側に設けられた後左シート21C、及び車室2の後部右側に設けられた後右シート21Dを含む。
【0052】
図3に示すように、各シート21は、シートクッション25と、シートクッション25の後部に回動可能に支持されたシートバック26とを有する。シートクッション25は使用者の臀部を下方から支持し、シートバック26は使用者の背部を後方から支持する。シートバック26の上端にはヘッドレスト27が設けられている。
【0053】
各シートクッション25は、移動装置28を介してフロア6に前後方向に移動可能に支持されている。移動装置28は、シート21をフロア6に対して前後方向に移動可能に支持する。移動装置28は、例えば前後方向に延び、かつフロア6に結合された左右のロアレールと、ロアレールのそれぞれに前後方向に移動可能に支持され、かつシートクッション25に結合された左右のアッパレールとを有するスライド装置であるとよい。スライド装置によって、シートクッション25は前位置と後位置との間で前後に移動する。
【0054】
シートバック26は、リクライニング装置29を介してシートクッション25に支持されている。リクライニング装置29によって、シートバック26はシートクッション25に対して任意の角度に維持される。シートバック26が傾倒することによって、シート21全体の形態が変化する。
【0055】
複数のシート21の少なくとも1つには、アームレスト31が設けられている。本実施形態では、図1に示すように、後左シート21C及び後右シート21Dのシートバック26にアームレスト31が設けられている。後左シート21Cのアームレスト31は、シートバック26の右側部に設けられている。後右シート21Dのアームレスト31は、シートバック26の左側部に設けられている。
【0056】
図3に示すように、複数のシート21の少なくとも1つは、オットマン32を有してもよい。オットマン32は、シートクッション25の前部に回動可能に支持されているとよい。オットマン32は、角度調節機構を介してシートクッション25に接続され、シートクッション25に対する角度を任意に変更することができるとよい。
【0057】
図1に示すように、前左シート21Aと前右シート21Bとの間には、センターコンソール35が設けられている。センターコンソール35はフロア6の上面に結合され、フロア6から上方に突出すると共に、フロア6に沿って前後に延びている。センターコンソール35の前端はインストルメントパネル15に接続していてもよい。
【0058】
温度調節装置22は、車両1に設けられた複数の温度調節部37と、複数の温度調節部37を制御する制御装置38とを有する。温度調節部37は、加熱装置及び冷却装置の少なくとも一方を含む。加熱装置は、例えば電熱線がシート状に配置されたシート状ヒータを含むとよい。冷却装置は、例えばペルチェ素子を含むとよい。また、加熱装置及び冷却装置は、空調装置であってもよい。本実施形態では、温度調節部37は、電熱線を含み、電力供給を受けて発熱するシート状のヒータである。
【0059】
温度調節部37は、各ドア11のドアトリム16に設けられた第1温度調節部37Aと、センターコンソール35に設けられた左右の第2温度調節部37Bと、インストルメントパネル15に設けられた左右の第3温度調節部37Cと、後壁5に設けられた左右の第4温度調節部37Dとを有する。第1温度調節部37Aは、更に、左右の側壁4に配置されてもよい。
【0060】
左右の側壁4、各ドア11、センターコンソール35は、各シート21の側方に配置された側方部材である。図2に示すように、各第1温度調節部37Aは、前後方向に配列された複数の部分41を有する。第1温度調節部37Aの各部分は、互いに独立して電力供給を受け、互いに独立して温度が設定される。第1温度調節部37Aは、例えば3つの部分に分割され、前部分41Aと、中央部分41Bと、後部分41Cとを有するとよい。また、第1温度調節部37Aは、例えば2つの部分に分割され、前部分と、後部分とを有するとよい。
【0061】
第1温度調節部37Aの各部分41は、各ドア11の前後方向に延びるドアアームレスト43に設けられるとよい。ドアアームレスト43は、ドアトリム16の本体部に対して車内側に突出しているとよい。また、図4に示すように、第1温度調節部37Aの各部分41の少なくとも一部は、各ドア11のドアハンドル44に設けられてもよい。ドアハンドル44は、前後に延びているとよい。また、ドアハンドル44は、後方に向けて下方に傾斜してもよい。ドアハンドル44の後端は、ドアアームレスト43に接続しているとよい。ドアハンドル44に設けられた第1温度調節部37Aは、ドアハンドル44を周方向に囲むように設けられてもよい。
【0062】
図5に示すように、センターコンソール35は、左右の側面を形成するコンソール側壁35Aと、上面を形成するコンソール上壁35Bとを有する。前左シート21A及び前右シート21Bが後位置にあるときに、センターコンソール35の後端は前左シート21A及び前右シート21Bのシートクッション25の後端よりも後方に配置されている。前左シート21A及び前右シート21Bが前位置にあるときに、センターコンソール35の前端は前左シート21A及び前右シート21Bのシートクッション25の前端よりも前方に配置されている。コンソール上壁35Bは、前左シート21A及び前右シート21Bのシートクッション25の上端よりも上方に配置されている。
【0063】
左右のコンソール側壁35Aは、上下方向に互いに平行に延びているとよい。左右の第2温度調節部37Bは、左右のコンソール側壁35Aに設けられているとよい。また、左右の第2温度調節部37Bは、コンソール上壁35Bに設けられてもよい。
【0064】
図6に示すように、左右の第2温度調節部37Bは、前後方向に配列された複数の部分47A、47Bを有する。第2温度調節部37Bの各部分は、互いに独立して電力供給を受け、互いに独立して温度が設定される。第2温度調節部37Bは、例えば2つの部分に分割され、前部分47Aと、後部分47Bとを有するとよい。また、第2温度調節部37Bは、例えば3つの部分に分割され、前部分と、中央部分と、後部分とを有するとよい。
【0065】
コンソール上壁35Bに開閉可能なリッド35Cが設けられてもよい。第2温度調節部37Bの一部はリッド35Cに設けられてもよい。コンソール上壁35Bに、カップホルダとして機能するカップ受容凹部35Dが設けられてもよい。第2温度調節部37Bの一部は、コンソール上壁35Bにおいて、カップ受容凹部35Dの周囲に設けられてもよい。
【0066】
図7に示すように、左右のコンソール側壁35Aは、上方に向けて互いに離れる方向に傾斜してもよい。すなわち、センターコンソール35の上端部の左右幅は、下端部の左右幅よりも大きく形成されてもよい。センターコンソール35の上端部の左右幅は、前左シート21Aのシートクッション25と前右シート21Bのシートクッション25の距離よりも大きいとよい。センターコンソール35の上部の左端部は、前左シート21Aのシートクッション25の上方に突出しているとよい。センターコンソール35の上部の右端部は、前右シート21Bのシートクッション25の上方に突出しているとよい。左右のコンソール側壁35Aは、シートクッション25の上方にオーバーハングしている。
【0067】
左右の第2温度調節部37Bは、左右のコンソール側壁35Aの上部に配置されている。上方から見て、左右の第2温度調節部37Bは、前左シート21A及び前右シート21Bのシートクッション25と重なりを有する位置に配置されている。これにより、第2温度調節部37Bを前左シート21A及び前右シート21Bに着座した使用者に近づけることができる。
【0068】
図8に示すように、左右のコンソール側壁35Aの上部には凹面49が設けられてもよい。凹面49は、前後方向に延びているとよい。凹面49は、前左シート21A及び前右シート21Bに着座した使用者の大腿部に沿う形状に形成されているとよい。すなわち、前後方向から見て、凹面49は、前左シート21A及び前右シート21Bに着座した使用者の大腿部を中心とした弧状に形成されているとよい。凹面49によって、使用者との干渉を避けつつ、左右のコンソール側壁35Aを前左シート21A及び前右シート21Bに着座した使用者に近づけることができる。
【0069】
図9に示すように、センターコンソール35は、左右の可動プレート51を有してもよい。左側の可動プレート51は、左側のコンソール側壁35Aの上部に前後に延びる軸線を中心として回動可能に設けられている。左側の可動プレート51は、左側のコンソール側壁35Aに沿う収納位置と、センターコンソール35から左方に水平に延びた使用位置との間で回動する。可動プレート51が使用位置にあるときに、可動プレート51は前左シート21Aのシートクッション25の上方に配置される。
【0070】
可動プレート51が使用位置にあるときに、可動プレート51は前左シート21Aのシートクッション25の左右方向における中央よりも右側に配置される。可動プレート51が収納位置にあるときに、可動プレート51の下端は前左シート21Aの上端よりも上方に配置されている。これにより、可動プレート51はシートクッション25と干渉することなく、収納位置から使用位置に回動することができる。右側の可動プレート51は、左側の可動プレート51と左右対称の構成を有するとよい。
【0071】
左右の第2温度調節部37Bは、左右の可動プレート51に設けられているとよい。可動プレート51は、第1面51Aと第2面51Bとを有する。可動プレート51が使用位置にあるときに、第1面51Aは下方を向き、第2面51Bは上方を向く。第2温度調節部37Bは、第1面51A及び第2面51Bの少なくとも一方に設けられているとよい。
【0072】
他の実施形態では、左右の可動プレート51は、センターコンソール35に対して左右方向に進退可能に支持されてもよい。また、他の実施形態では、可動プレート51がドアトリム16に設けられ、第1温度調節部37Aがドアトリム16の可動プレート51に設けられてもよい。
【0073】
左側の第3温度調節部37Cは前左シート21Aの前方に配置され、右側の第3温度調節部37Cは前右シート21Bの前方に配置されているとよい。図10及び図11に示すように、インストルメントパネル15の上部には、前左シート21A及び前右シート21B側、すなわち後方に向けて膨出した膨出部15Aを有する。膨出部15Aの左右の下部には、下方かつ後方を向く左右の下部面15Bが形成されている。膨出部15Aの下部にグローブボックスが設けられ、下部面15Bはグローブボックスの外面によって形成されてもよい。左右の第3温度調節部37Cは、左右の下部面15Bに設けられているとよい。
【0074】
各下部面15Bは、左右方向における中央部が前方に凹んだ凹面に形成されてもよい。また、各下部面15Bは、上下方向における中央部が前方に凹んだ凹面に形成されてもよい。第3温度調節部37Cは、凹面に形成された下部面15Bに沿って湾曲しているとよい。左右の下部面15Bは、前左シート21A及び前右シート21Bに着座した使用者の下肢側を向く。下部面15Bの左右幅は、シートクッション25の左右幅より小さいとよい。また、下部面15Bの左右幅は、シートクッション25の左右幅より大きくてもよい。
【0075】
図12に示すように、インストルメントパネル15は、可動パネル55を有してもよい。可動パネル55は、下面部に左右に延びる軸線を中心として回動可能に設けられている。可動パネル55は、前左シート21Aの前方に配置されているとよい。可動パネル55は、下面部に沿う収納位置と、インストルメントパネル15から後方に延びた使用位置との間で回動する。可動パネル55に第3温度調節部37Cが設けられてもよい。可動パネル55が収納位置から使用位置に移動することによって、第3温度調節部37Cと前左シート21Aに着座した使用者の下肢との距離が短くなる。
【0076】
図1に示すように、各シート21には、シート温度調節部60が設けられている。シート温度調節部60は、加熱装置及び冷却装置の少なくとも一方を含む。加熱装置は、例えば電熱線がシート状に配置されたシート状ヒータを含むとよい。冷却装置は、例えばペルチェ素子を含むとよい。また、加熱装置及び冷却装置は、空調装置であってもよい。本実施形態では、シート温度調節部60は、不織布等のシート状部材と、シート状部材に結合された電熱線を含み、電力供給を受けて発熱するシート状のヒータである。シート温度調節部60は、各シート21のシートクッション25、シートバック26、アームレスト31、オットマン32に設けられている。
【0077】
左右の第4温度調節部37Dは、後左シート21C及び後右シート21Dのシートバック26の上部と同じ高さに配置されている。左右の第4温度調節部37Dは、後左シート21C及び後右シート21Dに着座した使用者の肩部から首部の温度を調節する。
【0078】
制御装置38は、マイクロプロセッサ(MPU)、メモリ、インターフェースを含む電子制御装置である。図13に示すように、制御装置38は、バッテリ62、第1~第4温度調節部37A~37D、第1~第4シート位置センサ63A~63D、第1~第4シートリクライニングセンサ64A~64D、操作スイッチ66と接続されている。制御装置38は、単一のモジュールとして構成されてもよく、複数のモジュールとして構成されてもよい。制御装置38は、第1~第4シート位置センサ63A~63D、第1~第4シートリクライニングセンサ64A~64D、操作スイッチ66からの信号に基づいて、第1~第4温度調節部37A~37Dに供給する電力を制御する。また、制御装置38は、各シート21のシート温度調節部60と接続されている。制御装置38は、操作スイッチ66からの信号に基づいて、シート温度調節部60に供給する電力を制御する。
【0079】
図1に示すように、制御装置38は、ハーネス68によって、第1~第4温度調節部37A~37D及び各シート21のシート温度調節部60と接続されている。ハーネス68は、前壁3、左右の側壁4、後壁5、及びフロア6の少なくとも1つに沿って配置されるとよい。また、ハーネス68は、各ドア11の内部、インストルメントパネル15の内部、センターコンソール35の内部の少なくとも1つに配置されるとよい。
【0080】
図14に示すように、フロア6の左右方向における中央部には、上方に膨出し、前後に延びるフロアトンネル71が形成されている。制御装置38は、フロアトンネル71の前端部の上面に支持されてもよい。左右の第3温度調節部37Cは、インストルメントパネル15の上下方向における中間部に配置されている。制御装置38と、左側の第1温度調節部37Aとを接続するハーネス68は、左側の第3温度調節部37Cの前方を通過して左方に延び、前列左側のドア11の前端部に延びてもよい。また、制御装置38と、左側の第1温度調節部37Aとを接続するハーネス68は、左側の第3温度調節部37Cの上方を通過して左方に延び、前列左側のドア11の前端部に延びてもよい。また、制御装置38と、左側の第1温度調節部37Aとを接続するハーネス68は、左側の第3温度調節部37Cの下方を通過して左方に延び、前列左側のドア11の前端部に延びてもよい。
【0081】
図15に示すように、制御装置38は、車両1の前部に設けられた前側制御装置38Aと、車両1の後部に設けられた後側制御装置38Bとを有してもよい。前側制御装置38Aは前壁3に設けられてもよい。後側制御装置38Bは後壁5に設けられてもよい。前側制御装置38Aは、ハーネス73によって、左右の前側のドア11に設けられた第1温度調節部37Aと、左右の第2温度調節部37Bと、左右の第3温度調節部37Cと、前左シート21A及び前右シート21Bのシート温度調節部60とに接続されている。後側制御装置38Bは、ハーネス74によって、左右の後側のドア11に設けられた第1温度調節部37Aと、左右の第4温度調節部37Dと、後左シート21C及び後右シート21Dのシート温度調節部60とに接続されている。
【0082】
温度調節装置22は、各シート21の形態、及び車両1に対する位置の少なくとも1つに基づいて出力を調節する。制御装置38は、各シート21の形態、及び車両1に対する位置の少なくとも1つに基づいて第1~第4温度調節部37A~37Dの出力を調節する。制御装置38は、各シート21から近い位置に配置された温度調節部37の出力を各シート21から遠い位置に配置された温度調節部37の出力よりも増加させる。制御装置38は、各シート21の前後位置に応じて温度調節部37のそれぞれの出力を制御するとよい。
【0083】
制御装置38は、各シート21が所定の後位置より後方に位置するときに、複数の温度調節部37の内で後側に配置された温度調節部37の出力を前側に配置された温度調節部37の出力よりも増加させるとよい。
【0084】
例として、制御装置38は、前左シート21Aの位置を検出する第1シート位置センサからの信号に基づいて前左シート21Aの前後位置を取得する。そして、制御装置38は、前左シート21Aの前後位置に基づいて前列左側のドア11に設けられた第1温度調節部37Aの前部分41A、中央部分41B、後部分41Cの出力を調節するとよい。例えば、制御装置38は、前左シート21Aが所定の後位置より後方に位置すると判定したときに、後部分41Cの出力を前部分41Aの出力よりも増加させるとよい。また、制御装置38は、前左シート21Aが所定の後位置より後方に位置すると判定したときに、前部分41Aの出力をオフにしてもよい。これにより、前左シート21Aに着座した使用者に近い部分41A~41Cを使用して温度調節を行うことができ、エネルギー使用量を削減することができる。
【0085】
同様に、制御装置38は、前左シート21Aが所定の前位置より前方に位置すると判定したときに、前部分41Aの出力を後部分41Cの出力よりも増加させるとよい。また、制御装置38は、前左シート21Aが所定の前位置より前方に位置すると判定したときに、後部分41Cの出力をオフにしてもよい。
【0086】
制御装置38は、前左シート21Aの前後位置に基づいてセンターコンソール35に設けられた左側の第2温度調節部37Bの前部分47A、後部分47Bの出力を調節するとよい。制御装置38は、例えば、前左シート21Aが所定の後位置より後方に位置すると判定したときに、後部分47Bの出力を前部分47Aの出力よりも増加させるとよい。また、制御装置38は、前左シート21Aが所定の後位置より後方に位置すると判定したときに、前部分47Aの出力をオフにしてもよい。
【0087】
制御装置38は、シートバック26のシートクッション25に対する角度、及びオットマン32のシートクッション25に対する角度の少なくとも1つに基づいて温度調節部37のそれぞれの出力を調節してもよい。
【0088】
制御装置38は、シートリクライニングセンサ64からの信号に基づいてシートバック26のシートクッション25に対する角度をリクライニング角度として取得する。リクライニング角度は、鉛直方向に対する角度を0度とし、後方に傾斜するほど値が大きくなるものとする。制御装置38は、前左シート21Aのリクライニング角度が所定の第1判定値より大きいと判定したときに、後部分41Cの出力を前部分41Aの出力よりも増加させるとよい。また、制御装置38は、前左シート21Aのリクライニング角度が第1判定値より大きいと判定したときに、前部分41Aの出力をオフにしてもよい。これにより、前左シート21Aに着座した使用者に近い部分41A~41Cを使用して温度調節を行うことができ、エネルギー使用量を削減することができる。
【0089】
制御装置38は、オットマン角度センサ65からの信号に基づいてオットマン32のシートクッション25に対する角度をオットマン角度として取得する。オットマン角度は、鉛直方向に対する角度を0度とし、水平方向に近づくほど値が大きくなるものとする。制御装置38は、前左シート21Aのオットマン角度が所定の第2判定値より大きいと判定したときに、左側の第3温度調節部37Cをオンにしてもよい。又は、制御装置38は、前左シート21Aのオットマン角度が所定の第2判定値より大きいと判定したときに、左側の第3温度調節部37Cをオフにしてもよい。
【0090】
図16に示すように、シートクッション25及びシートバック26に設けられるシート温度調節部60は、複数の領域80A、80Bに分割されてもよい。シート温度調節部60はシートクッション25の上面において前後方向に複数の領域80A、80Bに分割されてもよい。領域80A及び領域80Bは、前後方向に交互に配置されている。また、シート温度調節部60はシートクッション25の上面において前後方向に複数の領域80A、80Bに分割されてもよい。領域80A及び領域80Bは、上下方向に交互に配置されている。
【0091】
複数の領域80Aは互いに接続され、制御装置38に接続されている。複数の領域80Aは互いに直列に接続されてもよい。複数の領域80Bは互いに接続され、制御装置38に接続されている。複数の領域80Bは互いに直列に接続されてもよい。制御装置38は、複数の領域80Aと複数の領域80Bとに互いに独立して電力を供給することができる。
【0092】
制御装置38は、環境温度TE及びシート21の表面温度TSに基づいて、複数の領域80A及び複数の領域80Bに供給する電流値を制御する。環境温度TEは、シート21の表面温度TS、車室2の温度、シート温度調節部60の表面温度のいずれかであるとよい。制御装置38は、環境温度TEが所定の第1温度閾値T1より高い場合に、複数の領域80Aに標準電流(I0)を供給し、複数の領域80Bに標準電流(I0)を供給するとよい。すなわち、制御装置38は、環境温度TEが所定の第1温度閾値T1より高い場合に、複数の領域80Aと複数の領域80Bとに等しい電流を供給するとよい。第1温度閾値T1は、例えば0℃であるとよい。制御装置38は、環境温度TEが所定の第1温度閾値T1より高い場合に、複数の領域80Aに標準電圧(V0)を供給し、複数の領域80Bに標準電圧(V0)を供給してもよい。
【0093】
制御装置38は、環境温度TEが第1温度閾値T1より低く、かつシート21の表面温度TSが所定の第2温度閾値T2より低い場合に、複数の領域80Aに標準電流(I0)の2倍の電流を供給し、複数の領域80Bに供給する電流を0にしてもよい。第2温度閾値T2は、第1温度閾値T1より高い温度に設定され、例えば10℃であるとよい。制御装置38は、環境温度TEが第1温度閾値T1より低く、かつシート21の表面温度TSが所定の第2温度閾値T2より低い場合に、複数の領域80Aに標準電圧(V0)の2倍の電圧を供給し、複数の領域80Bに供給する電圧を0にしてもよい。この態様によれば、環境温度TE及びシート21の表面温度TSが低い場合に、複数の領域80Aに2倍の電流が供給されるため、複数の領域80Aの温度が迅速に上昇する。これにより、使用者を迅速に温めることができる。なお、電力使用量は、標準時と変化がないため、効率良く使用者を温めることができる。
【0094】
図17に示すように、前左シート21A及び前右シート21Bのシートバック26の背面には、板状のテーブル101が設けられてもよい。テーブル101は、シートバック26に回動可能に支持されているとよい。テーブル101には、第5温度調節部37Eが設けられている。第5温度調節部37Eの構成は、第1温度調節部37Aと同様である。第5温度調節部37Eは、テーブル101の下面及び上面の少なくとも一方に設けられるとよい。テーブル101の下面に設けられた第5温度調節部37Eは、後左シート21C及び後右シート21Dに着座した使用者の脚を温度調節する。また、シートバック26の背面の下部に第6温度調節部37Fが設けられてもよい。
【0095】
図18に示すように、テーブル101の後部の左右幅は、前部の左右幅よりも大きく設定されてもよい。すなわち、テーブル101は台形状に形成されてもよい。テーブル101の後部の左右幅は、シートバック26の左右幅よりも大きくてもよい。第5温度調節部37Eの形状は、テーブル101の形状と同様に設定されるとよい。第5温度調節部37Eの後部の左右幅は、シートバック26の左右幅よりも大きくてもよい。この態様によれば、第5温度調節部37Eの面積が広くなるため、使用者を適切に温度調節することができる。
【0096】
テーブル101は、上方から見て長方形に形成されてもよい。テーブル101の左右幅はシートバック26の左右幅よりも大きくてもよい。この態様によれば、第5温度調節部37Eの面積が広くなるため、使用者を適切に温度調節することができる。
【0097】
また、テーブル101の後部の左右幅は、前部の左右幅よりも小さく設定されてもよい。この態様によれば、テーブル101が小さくなるため、後左シート21C及び後右シート21Dに着座した使用者のためのスペースを大きくすることができる。
【0098】
図19に示すように、センターコンソール35の下方にバッテリ62が配置されてもよい。バッテリ62は、車両1の駆動用モータに電力を供給してもよい。第2温度調節部37Bは、バッテリ62を熱源として使用するヒータであってもよい。第2温度調節部37Bは、バッテリ62を収容するケース110の内部に存在する加熱された空気を車室2に供給するダクトであるとよい。また、第2温度調節部37Bは、バッテリ62と熱交換し、車室2に向けて放熱するヒートパイプ等の熱交換器であってもよい。この態様によれば、バッテリ62の廃熱を利用いて使用者を温度調節することができ、エネルギー使用量を低減することができる。また、バッテリ62がセンターコンソール35の下方に配置されているため、バッテリ62で発生した熱をセンターコンソール35に設けられた第2温度調節部37Bに効率良く伝達することができる。
【0099】
ケース110の下部には、バッテリ62の周囲の空気を外部に排出する放熱部111が設けられているとよい。放熱部111は、ケース110に形成された排気口であるとよい。排気口には、排気を促進するための排気ファンが設けられているとよい。この態様によれば、暖房が必要ない場合に、バッテリ62の熱を外部に放出することができる。
【0100】
図20図27を参照して、他の実施形態に係る車両用のシート300について説明する。シート300は、車両の後列に使用されるとよい。本実施形態では、シート300は、車両の後列左席と、後列中央席を構成する。シート300は、使用形態と収納形態との間で変化することができる。
【0101】
図20及び図21に示すように、シート300は、フロア301に回動可能に支持されたシートバック302と、後端部においてシートバック302に回動可能に支持されたシートクッション303と、シートクッション303の前端部とフロア301とを接続する左右のリンク304とを有する。
【0102】
フロア301には、左右の前支持部307と、左右の後支持部308とが設けられている。左側の前支持部307と左側の後支持部308とは、前後に延びる左連結部材311によって連結されている。右側の前支持部307と右側の後支持部308とは、前後に延びる右連結部材312によって連結されている。左右の後支持部308は、左右に延びる後連結部材313によって結合されている。左連結部材311、右連結部材312、及び後連結部材313は、パイプ材によって形成されているとよい。
【0103】
シートバック302は、シートバックフレーム315と、シートバックフレーム315に支持されたパッドと、パッドに被せられた表皮材とを有する。シートバックフレーム315は、上下に延びる左右のシートバックサイドメンバ316と、左右に延び、左右のシートバックサイドメンバ316の上端に結合されたアッパメンバ317と、左右に延び、左右のシートバックサイドメンバ316の下部に結合されたロアメンバ318とを有する。また、シートバックフレーム315は、上下に延び、アッパメンバ317とロアメンバ318とに結合されたセンターメンバ321と、面が前後を向き、左右に延び、左右のシートバックサイドメンバ316及びロアメンバ318に結合されたロアプレート322とを有してもよい。ロアプレート322は、左右のシートバックサイドメンバ316の後縁に結合されているとよい。
【0104】
左右のシートバックサイドメンバ316の下端は、左右において対応する後支持部308に回動可能に支持されている。左右のシートバックサイドメンバ316は、左右において対応する後支持部308を介してフロア301に回動可能に支持されている。シートバックサイドメンバ316と後支持部308との間には、後支持部308に対するシートバックサイドメンバ316の角度を選択的に固定するためのロック装置324が設けられている。ロック装置324は、シートバックサイドメンバ316が後支持部308から上方に延びる使用位置と、シートバックサイドメンバ316が後支持部308から前方に延びる収納位置とに、シートバック302を保持するとよい。
【0105】
ロアプレート322には、複数のチャイルドシートアンカー325が設けられている。各チャイルドシートアンカー325は、金属棒を折曲して形成されている。各チャイルドシートアンカー325は、ISOFIXに対応した形状を有するとよい。各チャイルドシートアンカー325は、ロアプレート322の後面に結合され、ロアプレート322の下端から前方に突出している。図23に示すように、チャイルドシートアンカー325の前端は、右連結部材312の後端よりも前方に配置されているとよい。
【0106】
図20に示すように、シートクッション303は、シートクッションフレーム331と、シートクッションフレーム331に支持されたパッドと、パッドに被せられた表皮材とを有する。シートクッションフレーム331は、前後に延びる左右のシートクッションサイドメンバ332と、左右に延び、左右のシートクッションサイドメンバ332の前端に結合されたフロントメンバ333と、左右に延び、左右のシートクッションサイドメンバ332の前後方向における中間部に結合されたミドルメンバ334とを有する。
【0107】
左右のシートクッションサイドメンバ332の後端は、左右において対応するシートバックサイドメンバ316に回動可能に支持されている。本実施形態では、ロアメンバ318の左右の端部が左右のシートバックサイドメンバ316を貫通して左右外方に突出している。左右のシートクッションサイドメンバ332の後端は、ロアメンバ318の左右の端部に回動可能に支持されている。
【0108】
図23に示すように、各シートクッションサイドメンバ332の前部は後部に対して左右外方にオフセットして配置されている。各シートクッションサイドメンバ332の前後方向における中央部は、前方に向けて左右外方に傾斜している。各シートクッションサイドメンバ332の後部は、各シートクッションサイドメンバ332の中央部から後方かつ上方に延びている。フロントメンバ333は、前後に幅を有するパンフレームであるとよい。
【0109】
ミドルメンバ334の左右方向における中間部は、左右の両端に対して後方に配置されている。前方から見て、ミドルメンバ334の左端は、ミドルメンバ334の右端よりも上方に配置されている。フロントメンバ333とミドルメンバ334との間には、左右の受圧部材336が架け渡されている。各受圧部材336は、使用者の臀部を下方から支持する。各受圧部材336は、織布、鋼板、S字ばね、樹脂プレート等から形成されるとよい。各受圧部材336は、可撓性を有し、使用者から受ける荷重に対して変形するとよい。また、ミドルメンバ334が、可撓性を有し、使用者から受ける荷重に対して変形してもよい。
【0110】
図27に示すように、フロントメンバ333の左右の端部には、下方に突出する左右のリンク接続部材338が設けられている。各リンク接続部材338は、板金部材を折曲して形成され、フロントメンバ333に結合されているとよい。左右のリンク304の上端は、左右において対応するリンク接続部材338に回動可能に結合されている。左右のリンク304の上端の回動軸は、左右方向に延び、互いに一致している。
【0111】
左右のリンク304の下端は、左右において対応する前支持部307に回動可能に結合されている。左右のリンク304の下端の回動軸は、左右方向に延び、互いに一致している。
【0112】
以下に、左右の前支持部307及び左右の後支持部308の詳細な構造について説明する。図20図22に示すように、右側の前支持部307は、フロア301に結合された前右フット341と、前右フット341に結合されたリンク連結部材342とを有する。前右フット341は、フロア301に沿って前後に延びる板状部材である。前右フット341の左右方向における中央部には、下方に向けて膨出した膨出部341Aが形成されている。膨出部341Aは前後方向に延びている。膨出部341Aの後部の上面に右連結部材312の前端が結合される。
【0113】
図26に示すように、リンク連結部材342は、板金部材によって形成されている。リンク連結部材342は、第1底壁部342Aと、第1底壁部342Aの左右の側縁から上方に延びる左右の第1縦壁部342Bと、左右の第1縦壁部342Bの上端から互いに離れる方向に延びる左右の第2底壁部342Cと、左右の第2底壁部342Cの左右外縁から上方に延びる左右の第2縦壁部342Dとを有する。第1底壁部342A及び左右の第2底壁部342Cは、上下を向く平面に形成されている。左右の第1縦壁部342B及び左右の第2縦壁部342Dは左右を向く平面に形成されている。
【0114】
第1底壁部342Aと左右の第2底壁部342Cとは、互いに平行に配置されている。左右の第2底壁部342Cは、同一平面上に配置されている。左右の第1縦壁部342Bと左右の第2縦壁部342Dとは、互いに平行に配置されている。左右の第1縦壁部342B及び左右の第2縦壁部342Dは、第1底壁部342A及び左右の第2底壁部342Cに対して直交している。
【0115】
左右の第2底壁部342Cと左右において対応する第2縦壁部342Dとの境界には、第2底壁部342Cから第2縦壁部342Dに延びる複数のビード342Eが形成されている。ビード342Eは、前後方向から見て三角形状に形成されている。各ビード342Eは、第2底壁部342Cと第2縦壁部342Dとの境界から左右内方かつ上方に突出している。
【0116】
左右の第2縦壁部342Dの前縁及び後縁には、左右方向において第1側壁側に延びる複数のフランジ部342Fが形成されている。複数のフランジ部342Fは、リンク304の下端の回動中心と同じ高さに配置されている。ビード342E及びフランジ部342Fは、リンク連結部材342の剛性を向上させる。
【0117】
第1底壁部342A及び左右の第1縦壁部342Bは、上方に向けて開口した受容凹部342Gを形成する。図27に示すように、受容凹部342Gに、前右フット341の後部の膨出部341Aが嵌合する。前右フット341の左右の側縁部は、左右の第2底壁部342Cの上面に下方から支持される。リンク304結合部材は、溶接によって前右フット341に結合されているとよい。前右フット341がフロア301に締結されることによって、リンク連結部材342の第1底壁部342Aは前右フット341とフロア301とに挟持される。
【0118】
右側のリンク304の下端は、左側の第2縦壁部342Dの左側の側面に回動可能に結合されている。右側の第2縦壁部342Dには、シート300と同様に、後部右席を構成するシートのリンクが回動可能に結合されるとよい。すなわち、右側の前支持部307は、隣り合う左右のシート300のそれぞれのリンク304を支持することができる。
【0119】
図20に示すように、左側の前支持部307は、フロア301に結合された前左フット351を有する。前左フット351は、フロア301に沿って前後に延びる板状の底壁部351Aと、本体部の右縁から上方に延びる縦壁部351Bとを有する。前左フット351は、底壁部351Aにおいてフロア301に締結されている。左側のリンク304の下端は、縦壁部351Bに回動可能に結合されている。前左フット351の後部には、左連結部材311の前端が結合されている。
【0120】
図21及び図27に示すように、右側の後支持部308は、フロア301に結合された後右フット355と、後右フット355に結合された第1下ブラケット356と、第1下ブラケット356に結合された第1上ブラケット357とを有する。後右フット355は、フロア301に沿って前後に延びる底壁部355Aと、底壁部355Aの左右の側縁から上方に延びる左右の縁壁部355Bとを有する。左右の縁壁部355Bは、底壁部355Aに沿って前後に延びている。
【0121】
第1下ブラケット356は、それぞれ面が左右を向く左右の側板部356Aと、面が上下を向き、左右の側板部356Aの前部の下縁に結合した連結部356Bと、左右の側板部356Aの後部の下縁から下方に延びた左右の後部延出部356Cとを有する。第1下ブラケット356は、板金部材によって形成されている。連結部356Bは、後右フット355の中央部の上面に当接している。左右の側板部356Aの互いに相反する外側面は、左右において対向する縁壁部355Bの内側面に当接し、溶接されているとよい。連結部356Bの上面には、右連結部材312の後端が結合されている。
【0122】
図21に示すように、左右の後部延出部356Cは、互いに離れる方向に屈曲した後に下方に延びている。左右の後部延出部356Cの下端は、左右において対応する縁壁の外側面に当接し、溶接されている。左右の側板部356Aの前後方向における中央部には、左右方向に貫通し、かつ側板部356Aの下縁に到達した挿通孔356Dが形成されている。左右の挿通孔356Dの下部は、左右において対応する縁壁部355Bの上縁によって閉じられている。
【0123】
第1上ブラケット357は、左右を向く板状に形成されている。第1上ブラケット357の下部は、第1下ブラケット356の左側の側板部356Aの上部に少なくとも1つの締結部材358によって締結されている。締結部材358は、例えばボルト及びナットであるとよい。締結部材358は、挿通孔356Dの前方及び後方の2か所に配置されているとよい。第1上ブラケット357の上部に、右側のシートバックサイドメンバ316の下端が回動可能に結合されている。
【0124】
第1下ブラケット356の右側の側板部356Aの上部にも、第1上ブラケット357と同様のブラケットが結合されてもよい。このブラケットには、後部右席を構成するシート300の左側のバックサイドメンバが回動可能に支持されるとよい。すなわち、右側の後支持部308は、後部右席のシートバックも支持することができる。
【0125】
図20に示すように、左側の後支持部308は、フロア301に結合された後左フット361と、後左フット361に結合された第2下ブラケット362と、第2下ブラケット362に結合された第2上ブラケット363とを有する。後左フット361は、フロア301に沿って前後に延びる底壁部361Aと、底壁部361Aの左右の側縁から上方に延びる左右の縁壁部361Bとを有する。左右の縁壁部361Bは、底壁部361Aに沿って前後に延びている。
【0126】
第2下ブラケット362の下端部は、後左フット361の上面に結合されている。第2下ブラケット362は、主面が左右を向いている。第2下ブラケット362には左右方向に貫通する挿通孔362Aが形成されている。第2下ブラケット362の縁部には主面と直交する方向に延びる縁壁部361Bが設けられているとよい。第2下ブラケット362の前端部には、左連結部材311の後端部が結合されている。
【0127】
第2上ブラケット363の下端部は、第2下ブラケット362の上端部に締結部材364によって締結されている。第2上ブラケット363の上部には、左側のシートバックサイドメンバ316の下端が回動可能に支持されている。
【0128】
第1下ブラケット356の挿通孔356D及び第2下ブラケット362の挿通孔362Aには、左右に延びる後連結部材313が挿通され、溶接されている。後連結部材313の右端は更に右方に延び、後部右席の右側の後支持部308に結合されてもよい。
【0129】
図23及び図24に示すように、上方から見て、リンク連結部材342の一部は、フロントメンバ333と重ならない位置に配置されている。これにより、シート300の製造時において、作業者はフロントメンバ333の上方からリンク連結部材342を目視することができ、リンク304とリンク連結部材342との接続作業が容易になる。
【0130】
リンク連結部材342は、前右フット341の下方を通過して左右に延びている。また、リンク連結部材342は、前右フット341とフロア301との間に挟持されている。これにより、右側の前支持部307の剛性が向上する。シート300に前後荷重が加わったときに、リンク連結部材342がフロア301から剥離することが防止される。
【0131】
リンク連結部材342の第1底壁部342Aは、フロア301と当接している。これにより、リンク連結部材342は、リンク304から加わる下向きの荷重を安定性良く受けることができる。
【0132】
リンク連結部材342は、第2底壁部342Cと第2縦壁部342Dとの境界に複数のビード342Eを有する。ビード342Eによって、リンク連結部材342の剛性が向上する。
【0133】
左側の前支持部307と左側の後支持部308とが左連結部材311によって連結されている。また、右側の前支持部307と右側の後支持部308とが右連結部材312によって連結されている。また、左右の後支持部308が後連結部材313によって連結されている。左連結部材311、右連結部材312、及び後連結部材313によって、左右の前支持部307及び左右の後支持部308の剛性が向上する。左連結部材311、右連結部材312、及び後連結部材313は、閉断面構造のパイプ材であるため、剛性が高く、かつ構造が簡素である。
【0134】
図23に示すように、上方から見て、左側のシートクッションサイドメンバ332は左連結部材311に対して左右方向にオフセットして配置されている。これにより、シート300が収納形態になるときに、左側のシートクッションサイドメンバ332と左連結部材311との干渉が避けられる。また、上方から見て、右側のシートクッションサイドメンバ332は右連結部材312に対して左右方向にオフセットして配置されている。これにより、シート300が収納形態になるときに、右側のシートクッションサイドメンバ332と右連結部材312との干渉が避けられる。
【0135】
左右のシートクッションサイドメンバ332の後部間の距離は、前部間の距離よりも小さく設定されている。ミドルメンバ334は、左右のシートクッションサイドメンバ332の後部に結合されている。これにより、ミドルメンバ334の左右方向における距離を短くすることができる。
【0136】
シート300は、図20に示す使用形態から収納形態に変形することができる。使用形態では、シートバック302及び左右のリンク304は概ね上下に延在し、シートクッション303はフロア301から上方に離れた位置に配置される。ロック装置324が解除されることによってフロア301に対するシートバック302の回動が可能になる。使用形態からシートバック302が前方に回動することによって、シートクッション303が前方かつ下方に移動する。このとき、左右のリンク304は、下端を中心として前方に回動する。収納形態では、シートバック302がシートクッション303上に折り重なって配置される。
【符号の説明】
【0137】
1 :車両
2 :車室
6 :フロア
20 :温度調節システム
21 :シート
22 :温度調節装置
25 :シートクッション
26 :シートバック
28 :移動装置
29 :リクライニング装置
35 :センターコンソール
37 :温度調節部
37A :第1温度調節部
37B :第2温度調節部
37C :第3温度調節部
37D :第4温度調節部
38 :制御装置
41A :前部分
41B :中央部分
41C :後部分
60 :シート温度調節部
62 :バッテリ
111 :放熱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
【手続補正書】
【提出日】2024-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートであって、
フロアに左右の後支持部を介して回動可能に支持されたシートバックと、
後端部において前記シートバックに回動可能に支持されたシートクッションと、
前記シートクッションの前端部と前記フロアに設けられた左右の前支持部とを接続する 左右のリンクとを有し、
前記シートクッションは、前後に延びる左右のシートクッションサイドメンバと、左右 に延び、左右の前記シートクッションサイドメンバの前端に結合されたフロントメンバと を有し、
前記フロントメンバの左右の端部には、下方に突出し、左右において対応する前記リン クの上端が回動可能に結合された左右のリンク接続部材が設けられ、
左右の前記前支持部の一方は、左右の前記リンクの一方の下端に回動可能に結合された リンク連結部材を有し、
上方から見て、前記リンク連結部材の一部は、前記フロントメンバと重ならない位置に 配置されている車両用シート。
【請求項2】
左右の前記前支持部の一方は、前記フロアに結合され、かつ前記リンク連結部材が結合 されたフットを有し、
前記リンク連結部材は、第1底壁部と、前記第1底壁部の左右の側縁から上方に延びる 左右の縦壁部とを有し、上方に向けて開口した受容凹部を形成し、
前記受容凹部に、前記フットが嵌合し、
前記縦壁部は、前記フットよりも上方に突出し、
前記リンクの下端は、前記フットよりも上方において前記縦壁部に回動可能に結合され ている請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記第1底壁部は前記フットと前記フロアとに挟持されている請求項2に記載の車両用 シート。
【請求項4】
左右の前記縦壁部は、前記第1底壁部の左右の側縁から上方に延びる左右の第1縦壁部 と、左右の前記第1縦壁部の上端から互いに離れる方向に延びる左右の第2底壁部と、左 右の前記第2底壁部の左右外縁から上方に延びる左右の第2縦壁部とを有し、
左右の前記第2底壁部と左右において対応する前記第2縦壁部との境界には、前記第2 底壁部から前記第2縦壁部に延びる複数のビードが形成されている請求項2又は3に記載 の車両用シート。
【請求項5】
左右において対応する前記前支持部と前記後支持部とは、前後に延びる連結部材によっ て連結され、
前記連結部材は閉断面構造のパイプ材である請求項1に記載の車両用シート。
【請求項6】
前記シートクッションサイドメンバは、前記連結部材に対して左右方向にオフセットし て配置されている請求項5に記載の車両用シート。
【請求項7】
前記シートクッションは、左右に延び、左右の前記シートクッションサイドメンバの後 部に結合されたミドルメンバを有し、
前記フロントメンバと前記ミドルメンバとの間には、受圧部材が架け渡され、
左右の前記シートクッションサイドメンバの後部間の距離は、左右の前記シートクッシ ョンサイドメンバの前部間の距離よりも小さく設定されている請求項6に記載の車両用シ ート。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自動車のシートを開示している。自動車のシートには、フロアに回動可 能に支持されたシートバックと、後端部においてシートバックに回動可能に支持されたシ ートクッションと、シートクッションの前端部とフロアとを接続する左右のリンクとを有 するものがある。このようなシートは、使用形態と収納形態との間で変化することができ る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-129188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなシートにおいてリンクの接続作業を容易にしたいという課題がある
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、車両用シートにおいて、リンクの接続作業を容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、ある態様は、車両用シート(300)であって、フロア( 301)に左右の後支持部(308)を介して回動可能に支持されたシートバック(30 2)と、後端部において前記シートバックに回動可能に支持されたシートクッション(3 03)と、前記シートクッションの前端部と前記フロアに設けられた左右の前支持部(3 07)とを接続する左右のリンク(304)とを有し、前記シートクッションは、前後に 延びる左右のシートクッションサイドメンバ(332)と、左右に延び、左右の前記シー トクッションサイドメンバの前端に結合されたフロントメンバ(333)とを有し、前記 フロントメンバの左右の端部には、下方に突出し、左右において対応する前記リンクの上 端が回動可能に結合された左右のリンク接続部材(338)が設けられ、左右の前記前支 持部の一方は、左右の前記リンクの一方の下端に回動可能に結合されたリンク連結部材( 342)を有し、上方から見て、前記リンク連結部材の一部は、前記フロントメンバと重 ならない位置に配置されている。
【0007】
この態様によれば、車両用シートの製造時において、作業者はフロントメンバの上方か らリンク連結部材を目視することができ、リンクとリンク連結部材との接続作業が容易に なる。
【0008】
上記の態様において、左右の前記前支持部の一方は、前記フロアに結合され、かつ前記 リンク連結部材が結合されたフット(341)を有し、前記リンク連結部材は、第1底壁 部(342A)と、前記第1底壁部の左右の側縁から上方に延びる左右の縦壁部(342 B、342C、342D)とを有し、上方に向けて開口した受容凹部(342G)を形成 し、前記受容凹部に、前記フットが嵌合し、前記縦壁部は、前記フットよりも上方に突出 し、前記リンクの下端は、前記フットよりも上方において前記縦壁部に回動可能に結合さ れてもよい。
【0009】
この態様によれば、車両用シートに前後荷重が加わったときに、リンク連結部材がフロ アから剥離することが防止される。
【0010】
上記の態様において、前記第1底壁部は前記フットと前記フロアとに挟持されてもよい
【0011】
この態様によれば、車両用シートに前後荷重が加わったときに、リンク連結部材がフロ アから剥離することが防止される。
【0012】
上記の態様において、左右の前記縦壁部は、前記第1底壁部の左右の側縁から上方に延 びる左右の第1縦壁部(342B)と、左右の前記第1縦壁部の上端から互いに離れる方 向に延びる左右の第2底壁部(342C)と、左右の前記第2底壁部の左右外縁から上方 に延びる左右の第2縦壁部(342D)とを有し、左右の前記第2底壁部と左右において 対応する前記第2縦壁部との境界には、前記第2底壁部から前記第2縦壁部に延びる複数 のビード(342E)が形成されてもよい。
【0013】
この態様によれば、リンク連結部材の剛性が向上する。
【0014】
上記の態様において、左右において対応する前記前支持部と前記後支持部とは、前後に 延びる連結部材(307、308)によって連結され、前記連結部材は閉断面構造のパイ プ材であってもよい。
【0015】
この態様によれば、前支持部及び後支持部の剛性が向上する。
【0016】
上記の態様において、前記シートクッションサイドメンバは、前記連結部材に対して左 右方向にオフセットして配置されてもよい。
【0017】
この態様によれば、車両用シートが収納形態になるときに、シートクッションサイドメ ンバとパイプ材との干渉が避けられる。
【0018】
上記の態様において、前記シートクッションは、左右に延び、左右の前記シートクッシ ョンサイドメンバの前後方向における中間部に結合されたミドルメンバ(334)を有し 、前記フロントメンバと前記ミドルメンバとの間には、受圧部材が架け渡され、左右の前 記シートクッションサイドメンバの後部間の距離は、左右の前記シートクッションサイド メンバの前部間の距離よりも小さく設定されてもよい。
【0019】
この態様によれば、ミドルメンバの左右方向における距離を短くすることができる。
【発明の効果】
【0020】
ある態様は、車両用シート(300)であって、フロア(301)に左右の後支持部( 308)を介して回動可能に支持されたシートバック(302)と、後端部において前記 シートバックに回動可能に支持されたシートクッション(303)と、前記シートクッシ ョンの前端部と前記フロアに設けられた左右の前支持部(307)とを接続する左右のリ ンク(304)とを有し、前記シートクッションは、前後に延びる左右のシートクッショ ンサイドメンバ(332)と、左右に延び、左右の前記シートクッションサイドメンバの 前端に結合されたフロントメンバ(333)とを有し、前記フロントメンバの左右の端部 には、下方に突出し、左右において対応する前記リンクの上端が回動可能に結合された左 右のリンク接続部材(338)が設けられ、左右の前記前支持部の一方は、左右の前記リ ンクの一方の下端に回動可能に結合されたリンク連結部材(342)を有し、上方から見 て、前記リンク連結部材の一部は、前記フロントメンバと重ならない位置に配置されてい
【0021】
この態様によれば、車両用シートの製造時において、作業者はフロントメンバの上方か らリンク連結部材を目視することができ、リンクとリンク連結部材との接続作業が容易に なる。
【0022】
上記の態様において、左右の前記前支持部の一方は、前記フロアに結合され、かつ前記 リンク連結部材が結合されたフット(341)を有し、前記リンク連結部材は、第1底壁 部(342A)と、前記第1底壁部の左右の側縁から上方に延びる左右の縦壁部(342 B、342C、342D)とを有し、上方に向けて開口した受容凹部(342G)を形成 し、前記受容凹部に、前記フットが嵌合し、前記縦壁部は、前記フットよりも上方に突出 し、前記リンクの下端は、前記フットよりも上方において前記縦壁部に回動可能に結合さ れてもよい。
【0023】
この態様によれば、車両用シートに前後荷重が加わったときに、リンク連結部材がフロ アから剥離することが防止される。
【0024】
上記の態様において、前記第1底壁部は前記フットと前記フロアとに挟持されてもよい
【0025】
この態様によれば、車両用シートに前後荷重が加わったときに、リンク連結部材がフロ アから剥離することが防止される。
【0026】
上記の態様において、左右の前記縦壁部は、前記第1底壁部の左右の側縁から上方に延 びる左右の第1縦壁部(342B)と、左右の前記第1縦壁部の上端から互いに離れる方 向に延びる左右の第2底壁部(342C)と、左右の前記第2底壁部の左右外縁から上方 に延びる左右の第2縦壁部(342D)とを有し、左右の前記第2底壁部と左右において 対応する前記第2縦壁部との境界には、前記第2底壁部から前記第2縦壁部に延びる複数 のビード(342E)が形成されてもよい。
【0027】
この態様によれば、リンク連結部材の剛性が向上する。
【0028】
上記の態様において、左右において対応する前記前支持部と前記後支持部とは、前後に 延びる連結部材(307、308)によって連結され、前記連結部材は閉断面構造のパイ プ材であってもよい。
【0029】
この態様によれば、前支持部及び後支持部の剛性が向上する。
【0030】
上記の態様において、前記シートクッションサイドメンバは、前記連結部材に対して左 右方向にオフセットして配置されてもよい。
【0031】
この態様によれば、車両用シートが収納形態になるときに、シートクッションサイドメ ンバとパイプ材との干渉が避けられる。
【0032】
上記の態様において、前記シートクッションは、左右に延び、左右の前記シートクッシ ョンサイドメンバの前後方向における中間部に結合されたミドルメンバ(334)を有し 、前記フロントメンバと前記ミドルメンバとの間には、受圧部材が架け渡され、左右の前 記シートクッションサイドメンバの後部間の距離は、左右の前記シートクッションサイド メンバの前部間の距離よりも小さく設定されてもよい。
【0033】
この態様によれば、ミドルメンバの左右方向における距離を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施形態に係る温度調節システムを有する車両の説明図
図2】ドアの側面図
図3】シートの斜視図
図4】ドアの側面図
図5】車室を前方から見た正面図
図6】センターコンソールを左方から見た側面図
図7】変形例に係る車室を前方から見た正面図
図8】変形例に係る車室を前方から見た正面図
図9】変形例に係る車室を前方から見た正面図
図10】インストルメントパネルを左方から見た側面図
図11】インストルメントパネルを上方から見た側面図
図12】変形例に係るインストルメントパネルを左方から見た側面図
図13】温度調節システムの構成を示すブロック図
図14】車室の前部を模式的に示す説明図
図15】変形例に係る温度調節システムを有する車両の説明図
図16】変形例に係るシートの斜視図
図17】変形例に係るシートの側面図
図18】変形例に係るシートの平面
図19】変形例に係るセンターコンソールを左方から見た側面図
図20】他の実施形態に係るシートの斜視図
図21】シートの断面図
図22】右側の前支持部の側面図
図23】シートの平面図
図24】シートの前部右側を拡大して示す平面図
図25】シートの正面図
図26】リンク連結部材の斜視図
図27】右側の前支持部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して、本発明に係る温度調節システムの実施形態について説明する。実施形態に係る温度調節システムは、乗物に使用される。乗物は、例えば、自動車や、鉄道車両、飛行機、船舶等であってよい。以下の実施形態では、温度調節システムを4輪自動車に適用した例について説明する。
【0036】
図1に示すように、4輪自動車である車両1は、使用者が搭乗する車室2を有する。車室2は、前壁3、左右の側壁4、後壁5、フロア6、ルーフ(不図示)によって画定されている。左右の側壁4のそれぞれには、複数の乗降口7が形成されている。左右の側壁4のそれぞれに、2つの乗降口7が形成されているとよい。各乗降口7にはドア11が設けられている。ドア11は、車体に対して回動可能又はスライド移動可能に支持されているとよい。
【0037】
前壁3の車室2側には、インストルメントパネル15が設けられている。インストルメントパネル15には、複数のインジケータ、ディスプレイ、操作スイッチ、グローブボックス等が設けられている。図2に示すように、各ドア11の車室2側には、ドアトリム16が設けられている。ドアトリム16は、金属製のドアパネルの車内側の側面に設けられる。
【0038】
図1に示すように、車両1には、温度調節システム20が設けられている。温度調節システム20は、車両1の内部に設けられ、形態及び車両1に対する位置の少なくとも1つを変更可能なシート21と、車両1の内部に設けられ、シート21に着座した使用者を加熱又は冷却する温度調節装置22とを有する。
【0039】
本実施形態では、シート21は、車室2の前部左側に設けられた前左シート21A、車室2の前部右側に設けられた前右シート21B、車室2の後部左側に設けられた後左シート21C、及び車室2の後部右側に設けられた後右シート21Dを含む。
【0040】
図3に示すように、各シート21は、シートクッション25と、シートクッション25の後部に回動可能に支持されたシートバック26とを有する。シートクッション25は使用者の臀部を下方から支持し、シートバック26は使用者の背部を後方から支持する。シートバック26の上端にはヘッドレスト27が設けられている。
【0041】
各シートクッション25は、移動装置28を介してフロア6に前後方向に移動可能に支持されている。移動装置28は、シート21をフロア6に対して前後方向に移動可能に支持する。移動装置28は、例えば前後方向に延び、かつフロア6に結合された左右のロアレールと、ロアレールのそれぞれに前後方向に移動可能に支持され、かつシートクッション25に結合された左右のアッパレールとを有するスライド装置であるとよい。スライド装置によって、シートクッション25は前位置と後位置との間で前後に移動する。
【0042】
シートバック26は、リクライニング装置29を介してシートクッション25に支持されている。リクライニング装置29によって、シートバック26はシートクッション25に対して任意の角度に維持される。シートバック26が傾倒することによって、シート21全体の形態が変化する。
【0043】
複数のシート21の少なくとも1つには、アームレスト31が設けられている。本実施形態では、図1に示すように、後左シート21C及び後右シート21Dのシートバック26にアームレスト31が設けられている。後左シート21Cのアームレスト31は、シートバック26の右側部に設けられている。後右シート21Dのアームレスト31は、シートバック26の左側部に設けられている。
【0044】
図3に示すように、複数のシート21の少なくとも1つは、オットマン32を有してもよい。オットマン32は、シートクッション25の前部に回動可能に支持されているとよい。オットマン32は、角度調節機構を介してシートクッション25に接続され、シートクッション25に対する角度を任意に変更することができるとよい。
【0045】
図1に示すように、前左シート21Aと前右シート21Bとの間には、センターコンソール35が設けられている。センターコンソール35はフロア6の上面に結合され、フロア6から上方に突出すると共に、フロア6に沿って前後に延びている。センターコンソール35の前端はインストルメントパネル15に接続していてもよい。
【0046】
温度調節装置22は、車両1に設けられた複数の温度調節部37と、複数の温度調節部37を制御する制御装置38とを有する。温度調節部37は、加熱装置及び冷却装置の少なくとも一方を含む。加熱装置は、例えば電熱線がシート状に配置されたシート状ヒータを含むとよい。冷却装置は、例えばペルチェ素子を含むとよい。また、加熱装置及び冷却装置は、空調装置であってもよい。本実施形態では、温度調節部37は、電熱線を含み、電力供給を受けて発熱するシート状のヒータである。
【0047】
温度調節部37は、各ドア11のドアトリム16に設けられた第1温度調節部37Aと、センターコンソール35に設けられた左右の第2温度調節部37Bと、インストルメントパネル15に設けられた左右の第3温度調節部37Cと、後壁5に設けられた左右の第4温度調節部37Dとを有する。第1温度調節部37Aは、更に、左右の側壁4に配置されてもよい。
【0048】
左右の側壁4、各ドア11、センターコンソール35は、各シート21の側方に配置された側方部材である。図2に示すように、各第1温度調節部37Aは、前後方向に配列された複数の部分41を有する。第1温度調節部37Aの各部分は、互いに独立して電力供給を受け、互いに独立して温度が設定される。第1温度調節部37Aは、例えば3つの部分に分割され、前部分41Aと、中央部分41Bと、後部分41Cとを有するとよい。また、第1温度調節部37Aは、例えば2つの部分に分割され、前部分と、後部分とを有するとよい。
【0049】
第1温度調節部37Aの各部分41は、各ドア11の前後方向に延びるドアアームレスト43に設けられるとよい。ドアアームレスト43は、ドアトリム16の本体部に対して車内側に突出しているとよい。また、図4に示すように、第1温度調節部37Aの各部分41の少なくとも一部は、各ドア11のドアハンドル44に設けられてもよい。ドアハンドル44は、前後に延びているとよい。また、ドアハンドル44は、後方に向けて下方に傾斜してもよい。ドアハンドル44の後端は、ドアアームレスト43に接続しているとよい。ドアハンドル44に設けられた第1温度調節部37Aは、ドアハンドル44を周方向に囲むように設けられてもよい。
【0050】
図5に示すように、センターコンソール35は、左右の側面を形成するコンソール側壁35Aと、上面を形成するコンソール上壁35Bとを有する。前左シート21A及び前右シート21Bが後位置にあるときに、センターコンソール35の後端は前左シート21A及び前右シート21Bのシートクッション25の後端よりも後方に配置されている。前左シート21A及び前右シート21Bが前位置にあるときに、センターコンソール35の前端は前左シート21A及び前右シート21Bのシートクッション25の前端よりも前方に配置されている。コンソール上壁35Bは、前左シート21A及び前右シート21Bのシートクッション25の上端よりも上方に配置されている。
【0051】
左右のコンソール側壁35Aは、上下方向に互いに平行に延びているとよい。左右の第2温度調節部37Bは、左右のコンソール側壁35Aに設けられているとよい。また、左右の第2温度調節部37Bは、コンソール上壁35Bに設けられてもよい。
【0052】
図6に示すように、左右の第2温度調節部37Bは、前後方向に配列された複数の部分47A、47Bを有する。第2温度調節部37Bの各部分は、互いに独立して電力供給を受け、互いに独立して温度が設定される。第2温度調節部37Bは、例えば2つの部分に分割され、前部分47Aと、後部分47Bとを有するとよい。また、第2温度調節部37Bは、例えば3つの部分に分割され、前部分と、中央部分と、後部分とを有するとよい。
【0053】
コンソール上壁35Bに開閉可能なリッド35Cが設けられてもよい。第2温度調節部37Bの一部はリッド35Cに設けられてもよい。コンソール上壁35Bに、カップホルダとして機能するカップ受容凹部35Dが設けられてもよい。第2温度調節部37Bの一部は、コンソール上壁35Bにおいて、カップ受容凹部35Dの周囲に設けられてもよい。
【0054】
図7に示すように、左右のコンソール側壁35Aは、上方に向けて互いに離れる方向に傾斜してもよい。すなわち、センターコンソール35の上端部の左右幅は、下端部の左右幅よりも大きく形成されてもよい。センターコンソール35の上端部の左右幅は、前左シート21Aのシートクッション25と前右シート21Bのシートクッション25の距離よりも大きいとよい。センターコンソール35の上部の左端部は、前左シート21Aのシートクッション25の上方に突出しているとよい。センターコンソール35の上部の右端部は、前右シート21Bのシートクッション25の上方に突出しているとよい。左右のコンソール側壁35Aは、シートクッション25の上方にオーバーハングしている。
【0055】
左右の第2温度調節部37Bは、左右のコンソール側壁35Aの上部に配置されている。上方から見て、左右の第2温度調節部37Bは、前左シート21A及び前右シート21Bのシートクッション25と重なりを有する位置に配置されている。これにより、第2温度調節部37Bを前左シート21A及び前右シート21Bに着座した使用者に近づけることができる。
【0056】
図8に示すように、左右のコンソール側壁35Aの上部には凹面49が設けられてもよい。凹面49は、前後方向に延びているとよい。凹面49は、前左シート21A及び前右シート21Bに着座した使用者の大腿部に沿う形状に形成されているとよい。すなわち、前後方向から見て、凹面49は、前左シート21A及び前右シート21Bに着座した使用者の大腿部を中心とした弧状に形成されているとよい。凹面49によって、使用者との干渉を避けつつ、左右のコンソール側壁35Aを前左シート21A及び前右シート21Bに着座した使用者に近づけることができる。
【0057】
図9に示すように、センターコンソール35は、左右の可動プレート51を有してもよい。左側の可動プレート51は、左側のコンソール側壁35Aの上部に前後に延びる軸線を中心として回動可能に設けられている。左側の可動プレート51は、左側のコンソール側壁35Aに沿う収納位置と、センターコンソール35から左方に水平に延びた使用位置との間で回動する。可動プレート51が使用位置にあるときに、可動プレート51は前左シート21Aのシートクッション25の上方に配置される。
【0058】
可動プレート51が使用位置にあるときに、可動プレート51は前左シート21Aのシートクッション25の左右方向における中央よりも右側に配置される。可動プレート51が収納位置にあるときに、可動プレート51の下端は前左シート21Aの上端よりも上方に配置されている。これにより、可動プレート51はシートクッション25と干渉することなく、収納位置から使用位置に回動することができる。右側の可動プレート51は、左側の可動プレート51と左右対称の構成を有するとよい。
【0059】
左右の第2温度調節部37Bは、左右の可動プレート51に設けられているとよい。可動プレート51は、第1面51Aと第2面51Bとを有する。可動プレート51が使用位置にあるときに、第1面51Aは下方を向き、第2面51Bは上方を向く。第2温度調節部37Bは、第1面51A及び第2面51Bの少なくとも一方に設けられているとよい。
【0060】
他の実施形態では、左右の可動プレート51は、センターコンソール35に対して左右方向に進退可能に支持されてもよい。また、他の実施形態では、可動プレート51がドアトリム16に設けられ、第1温度調節部37Aがドアトリム16の可動プレート51に設けられてもよい。
【0061】
左側の第3温度調節部37Cは前左シート21Aの前方に配置され、右側の第3温度調節部37Cは前右シート21Bの前方に配置されているとよい。図10及び図11に示すように、インストルメントパネル15の上部には、前左シート21A及び前右シート21B側、すなわち後方に向けて膨出した膨出部15Aを有する。膨出部15Aの左右の下部には、下方かつ後方を向く左右の下部面15Bが形成されている。膨出部15Aの下部にグローブボックスが設けられ、下部面15Bはグローブボックスの外面によって形成されてもよい。左右の第3温度調節部37Cは、左右の下部面15Bに設けられているとよい。
【0062】
各下部面15Bは、左右方向における中央部が前方に凹んだ凹面に形成されてもよい。また、各下部面15Bは、上下方向における中央部が前方に凹んだ凹面に形成されてもよい。第3温度調節部37Cは、凹面に形成された下部面15Bに沿って湾曲しているとよい。左右の下部面15Bは、前左シート21A及び前右シート21Bに着座した使用者の下肢側を向く。下部面15Bの左右幅は、シートクッション25の左右幅より小さいとよい。また、下部面15Bの左右幅は、シートクッション25の左右幅より大きくてもよい。
【0063】
図12に示すように、インストルメントパネル15は、可動パネル55を有してもよい。可動パネル55は、下面部に左右に延びる軸線を中心として回動可能に設けられている。可動パネル55は、前左シート21Aの前方に配置されているとよい。可動パネル55は、下面部に沿う収納位置と、インストルメントパネル15から後方に延びた使用位置との間で回動する。可動パネル55に第3温度調節部37Cが設けられてもよい。可動パネル55が収納位置から使用位置に移動することによって、第3温度調節部37Cと前左シート21Aに着座した使用者の下肢との距離が短くなる。
【0064】
図1に示すように、各シート21には、シート温度調節部60が設けられている。シート温度調節部60は、加熱装置及び冷却装置の少なくとも一方を含む。加熱装置は、例えば電熱線がシート状に配置されたシート状ヒータを含むとよい。冷却装置は、例えばペルチェ素子を含むとよい。また、加熱装置及び冷却装置は、空調装置であってもよい。本実施形態では、シート温度調節部60は、不織布等のシート状部材と、シート状部材に結合された電熱線を含み、電力供給を受けて発熱するシート状のヒータである。シート温度調節部60は、各シート21のシートクッション25、シートバック26、アームレスト31、オットマン32に設けられている。
【0065】
左右の第4温度調節部37Dは、後左シート21C及び後右シート21Dのシートバック26の上部と同じ高さに配置されている。左右の第4温度調節部37Dは、後左シート21C及び後右シート21Dに着座した使用者の肩部から首部の温度を調節する。
【0066】
制御装置38は、マイクロプロセッサ(MPU)、メモリ、インターフェースを含む電子制御装置である。図13に示すように、制御装置38は、バッテリ62、第1~第4温度調節部37A~37D、第1~第4シート位置センサ63A~63D、第1~第4シートリクライニングセンサ64A~64D、操作スイッチ66と接続されている。制御装置38は、単一のモジュールとして構成されてもよく、複数のモジュールとして構成されてもよい。制御装置38は、第1~第4シート位置センサ63A~63D、第1~第4シートリクライニングセンサ64A~64D、操作スイッチ66からの信号に基づいて、第1~第4温度調節部37A~37Dに供給する電力を制御する。また、制御装置38は、各シート21のシート温度調節部60と接続されている。制御装置38は、操作スイッチ66からの信号に基づいて、シート温度調節部60に供給する電力を制御する。
【0067】
図1に示すように、制御装置38は、ハーネス68によって、第1~第4温度調節部37A~37D及び各シート21のシート温度調節部60と接続されている。ハーネス68は、前壁3、左右の側壁4、後壁5、及びフロア6の少なくとも1つに沿って配置されるとよい。また、ハーネス68は、各ドア11の内部、インストルメントパネル15の内部、センターコンソール35の内部の少なくとも1つに配置されるとよい。
【0068】
図14に示すように、フロア6の左右方向における中央部には、上方に膨出し、前後に延びるフロアトンネル71が形成されている。制御装置38は、フロアトンネル71の前端部の上面に支持されてもよい。左右の第3温度調節部37Cは、インストルメントパネル15の上下方向における中間部に配置されている。制御装置38と、左側の第1温度調節部37Aとを接続するハーネス68は、左側の第3温度調節部37Cの前方を通過して左方に延び、前列左側のドア11の前端部に延びてもよい。また、制御装置38と、左側の第1温度調節部37Aとを接続するハーネス68は、左側の第3温度調節部37Cの上方を通過して左方に延び、前列左側のドア11の前端部に延びてもよい。また、制御装置38と、左側の第1温度調節部37Aとを接続するハーネス68は、左側の第3温度調節部37Cの下方を通過して左方に延び、前列左側のドア11の前端部に延びてもよい。
【0069】
図15に示すように、制御装置38は、車両1の前部に設けられた前側制御装置38Aと、車両1の後部に設けられた後側制御装置38Bとを有してもよい。前側制御装置38Aは前壁3に設けられてもよい。後側制御装置38Bは後壁5に設けられてもよい。前側制御装置38Aは、ハーネス73によって、左右の前側のドア11に設けられた第1温度調節部37Aと、左右の第2温度調節部37Bと、左右の第3温度調節部37Cと、前左シート21A及び前右シート21Bのシート温度調節部60とに接続されている。後側制御装置38Bは、ハーネス74によって、左右の後側のドア11に設けられた第1温度調節部37Aと、左右の第4温度調節部37Dと、後左シート21C及び後右シート21Dのシート温度調節部60とに接続されている。
【0070】
温度調節装置22は、各シート21の形態、及び車両1に対する位置の少なくとも1つに基づいて出力を調節する。制御装置38は、各シート21の形態、及び車両1に対する位置の少なくとも1つに基づいて第1~第4温度調節部37A~37Dの出力を調節する。制御装置38は、各シート21から近い位置に配置された温度調節部37の出力を各シート21から遠い位置に配置された温度調節部37の出力よりも増加させる。制御装置38は、各シート21の前後位置に応じて温度調節部37のそれぞれの出力を制御するとよい。
【0071】
制御装置38は、各シート21が所定の後位置より後方に位置するときに、複数の温度調節部37の内で後側に配置された温度調節部37の出力を前側に配置された温度調節部37の出力よりも増加させるとよい。
【0072】
例として、制御装置38は、前左シート21Aの位置を検出する第1シート位置センサからの信号に基づいて前左シート21Aの前後位置を取得する。そして、制御装置38は、前左シート21Aの前後位置に基づいて前列左側のドア11に設けられた第1温度調節部37Aの前部分41A、中央部分41B、後部分41Cの出力を調節するとよい。例えば、制御装置38は、前左シート21Aが所定の後位置より後方に位置すると判定したときに、後部分41Cの出力を前部分41Aの出力よりも増加させるとよい。また、制御装置38は、前左シート21Aが所定の後位置より後方に位置すると判定したときに、前部分41Aの出力をオフにしてもよい。これにより、前左シート21Aに着座した使用者に近い部分41A~41Cを使用して温度調節を行うことができ、エネルギー使用量を削減することができる。
【0073】
同様に、制御装置38は、前左シート21Aが所定の前位置より前方に位置すると判定したときに、前部分41Aの出力を後部分41Cの出力よりも増加させるとよい。また、制御装置38は、前左シート21Aが所定の前位置より前方に位置すると判定したときに、後部分41Cの出力をオフにしてもよい。
【0074】
制御装置38は、前左シート21Aの前後位置に基づいてセンターコンソール35に設けられた左側の第2温度調節部37Bの前部分47A、後部分47Bの出力を調節するとよい。制御装置38は、例えば、前左シート21Aが所定の後位置より後方に位置すると判定したときに、後部分47Bの出力を前部分47Aの出力よりも増加させるとよい。また、制御装置38は、前左シート21Aが所定の後位置より後方に位置すると判定したときに、前部分47Aの出力をオフにしてもよい。
【0075】
制御装置38は、シートバック26のシートクッション25に対する角度、及びオットマン32のシートクッション25に対する角度の少なくとも1つに基づいて温度調節部37のそれぞれの出力を調節してもよい。
【0076】
制御装置38は、シートリクライニングセンサ64からの信号に基づいてシートバック26のシートクッション25に対する角度をリクライニング角度として取得する。リクライニング角度は、鉛直方向に対する角度を0度とし、後方に傾斜するほど値が大きくなるものとする。制御装置38は、前左シート21Aのリクライニング角度が所定の第1判定値より大きいと判定したときに、後部分41Cの出力を前部分41Aの出力よりも増加させるとよい。また、制御装置38は、前左シート21Aのリクライニング角度が第1判定値より大きいと判定したときに、前部分41Aの出力をオフにしてもよい。これにより、前左シート21Aに着座した使用者に近い部分41A~41Cを使用して温度調節を行うことができ、エネルギー使用量を削減することができる。
【0077】
制御装置38は、オットマン角度センサ65からの信号に基づいてオットマン32のシートクッション25に対する角度をオットマン角度として取得する。オットマン角度は、鉛直方向に対する角度を0度とし、水平方向に近づくほど値が大きくなるものとする。制御装置38は、前左シート21Aのオットマン角度が所定の第2判定値より大きいと判定したときに、左側の第3温度調節部37Cをオンにしてもよい。又は、制御装置38は、前左シート21Aのオットマン角度が所定の第2判定値より大きいと判定したときに、左側の第3温度調節部37Cをオフにしてもよい。
【0078】
図16に示すように、シートクッション25及びシートバック26に設けられるシート温度調節部60は、複数の領域80A、80Bに分割されてもよい。シート温度調節部60はシートクッション25の上面において前後方向に複数の領域80A、80Bに分割されてもよい。領域80A及び領域80Bは、前後方向に交互に配置されている。また、シート温度調節部60はシートクッション25の上面において前後方向に複数の領域80A、80Bに分割されてもよい。領域80A及び領域80Bは、上下方向に交互に配置されている。
【0079】
複数の領域80Aは互いに接続され、制御装置38に接続されている。複数の領域80Aは互いに直列に接続されてもよい。複数の領域80Bは互いに接続され、制御装置38に接続されている。複数の領域80Bは互いに直列に接続されてもよい。制御装置38は、複数の領域80Aと複数の領域80Bとに互いに独立して電力を供給することができる。
【0080】
制御装置38は、環境温度TE及びシート21の表面温度TSに基づいて、複数の領域80A及び複数の領域80Bに供給する電流値を制御する。環境温度TEは、シート21の表面温度TS、車室2の温度、シート温度調節部60の表面温度のいずれかであるとよい。制御装置38は、環境温度TEが所定の第1温度閾値T1より高い場合に、複数の領域80Aに標準電流(I0)を供給し、複数の領域80Bに標準電流(I0)を供給するとよい。すなわち、制御装置38は、環境温度TEが所定の第1温度閾値T1より高い場合に、複数の領域80Aと複数の領域80Bとに等しい電流を供給するとよい。第1温度閾値T1は、例えば0℃であるとよい。制御装置38は、環境温度TEが所定の第1温度閾値T1より高い場合に、複数の領域80Aに標準電圧(V0)を供給し、複数の領域80Bに標準電圧(V0)を供給してもよい。
【0081】
制御装置38は、環境温度TEが第1温度閾値T1より低く、かつシート21の表面温度TSが所定の第2温度閾値T2より低い場合に、複数の領域80Aに標準電流(I0)の2倍の電流を供給し、複数の領域80Bに供給する電流を0にしてもよい。第2温度閾値T2は、第1温度閾値T1より高い温度に設定され、例えば10℃であるとよい。制御装置38は、環境温度TEが第1温度閾値T1より低く、かつシート21の表面温度TSが所定の第2温度閾値T2より低い場合に、複数の領域80Aに標準電圧(V0)の2倍の電圧を供給し、複数の領域80Bに供給する電圧を0にしてもよい。この態様によれば、環境温度TE及びシート21の表面温度TSが低い場合に、複数の領域80Aに2倍の電流が供給されるため、複数の領域80Aの温度が迅速に上昇する。これにより、使用者を迅速に温めることができる。なお、電力使用量は、標準時と変化がないため、効率良く使用者を温めることができる。
【0082】
図17に示すように、前左シート21A及び前右シート21Bのシートバック26の背面には、板状のテーブル101が設けられてもよい。テーブル101は、シートバック26に回動可能に支持されているとよい。テーブル101には、第5温度調節部37Eが設けられている。第5温度調節部37Eの構成は、第1温度調節部37Aと同様である。第5温度調節部37Eは、テーブル101の下面及び上面の少なくとも一方に設けられるとよい。テーブル101の下面に設けられた第5温度調節部37Eは、後左シート21C及び後右シート21Dに着座した使用者の脚を温度調節する。また、シートバック26の背面の下部に第6温度調節部37Fが設けられてもよい。
【0083】
図18に示すように、テーブル101の後部の左右幅は、前部の左右幅よりも大きく設定されてもよい。すなわち、テーブル101は台形状に形成されてもよい。テーブル101の後部の左右幅は、シートバック26の左右幅よりも大きくてもよい。第5温度調節部37Eの形状は、テーブル101の形状と同様に設定されるとよい。第5温度調節部37Eの後部の左右幅は、シートバック26の左右幅よりも大きくてもよい。この態様によれば、第5温度調節部37Eの面積が広くなるため、使用者を適切に温度調節することができる。
【0084】
テーブル101は、上方から見て長方形に形成されてもよい。テーブル101の左右幅はシートバック26の左右幅よりも大きくてもよい。この態様によれば、第5温度調節部37Eの面積が広くなるため、使用者を適切に温度調節することができる。
【0085】
また、テーブル101の後部の左右幅は、前部の左右幅よりも小さく設定されてもよい。この態様によれば、テーブル101が小さくなるため、後左シート21C及び後右シート21Dに着座した使用者のためのスペースを大きくすることができる。
【0086】
図19に示すように、センターコンソール35の下方にバッテリ62が配置されてもよい。バッテリ62は、車両1の駆動用モータに電力を供給してもよい。第2温度調節部37Bは、バッテリ62を熱源として使用するヒータであってもよい。第2温度調節部37Bは、バッテリ62を収容するケース110の内部に存在する加熱された空気を車室2に供給するダクトであるとよい。また、第2温度調節部37Bは、バッテリ62と熱交換し、車室2に向けて放熱するヒートパイプ等の熱交換器であってもよい。この態様によれば、バッテリ62の廃熱を利用いて使用者を温度調節することができ、エネルギー使用量を低減することができる。また、バッテリ62がセンターコンソール35の下方に配置されているため、バッテリ62で発生した熱をセンターコンソール35に設けられた第2温度調節部37Bに効率良く伝達することができる。
【0087】
ケース110の下部には、バッテリ62の周囲の空気を外部に排出する放熱部111が設けられているとよい。放熱部111は、ケース110に形成された排気口であるとよい。排気口には、排気を促進するための排気ファンが設けられているとよい。この態様によれば、暖房が必要ない場合に、バッテリ62の熱を外部に放出することができる。
【0088】
図20図27を参照して、他の実施形態に係る車両用のシート300について説明する。シート300は、車両の後列に使用されるとよい。本実施形態では、シート300は、車両の後列左席と、後列中央席を構成する。シート300は、使用形態と収納形態との間で変化することができる。
【0089】
図20及び図21に示すように、シート300は、フロア301に回動可能に支持されたシートバック302と、後端部においてシートバック302に回動可能に支持されたシートクッション303と、シートクッション303の前端部とフロア301とを接続する左右のリンク304とを有する。
【0090】
フロア301には、左右の前支持部307と、左右の後支持部308とが設けられている。左側の前支持部307と左側の後支持部308とは、前後に延びる左連結部材311によって連結されている。右側の前支持部307と右側の後支持部308とは、前後に延びる右連結部材312によって連結されている。左右の後支持部308は、左右に延びる後連結部材313によって結合されている。左連結部材311、右連結部材312、及び後連結部材313は、パイプ材によって形成されているとよい。
【0091】
シートバック302は、シートバックフレーム315と、シートバックフレーム315に支持されたパッドと、パッドに被せられた表皮材とを有する。シートバックフレーム315は、上下に延びる左右のシートバックサイドメンバ316と、左右に延び、左右のシートバックサイドメンバ316の上端に結合されたアッパメンバ317と、左右に延び、左右のシートバックサイドメンバ316の下部に結合されたロアメンバ318とを有する。また、シートバックフレーム315は、上下に延び、アッパメンバ317とロアメンバ318とに結合されたセンターメンバ321と、面が前後を向き、左右に延び、左右のシートバックサイドメンバ316及びロアメンバ318に結合されたロアプレート322とを有してもよい。ロアプレート322は、左右のシートバックサイドメンバ316の後縁に結合されているとよい。
【0092】
左右のシートバックサイドメンバ316の下端は、左右において対応する後支持部308に回動可能に支持されている。左右のシートバックサイドメンバ316は、左右において対応する後支持部308を介してフロア301に回動可能に支持されている。シートバックサイドメンバ316と後支持部308との間には、後支持部308に対するシートバックサイドメンバ316の角度を選択的に固定するためのロック装置324が設けられている。ロック装置324は、シートバックサイドメンバ316が後支持部308から上方に延びる使用位置と、シートバックサイドメンバ316が後支持部308から前方に延びる収納位置とに、シートバック302を保持するとよい。
【0093】
ロアプレート322には、複数のチャイルドシートアンカー325が設けられている。各チャイルドシートアンカー325は、金属棒を折曲して形成されている。各チャイルドシートアンカー325は、ISOFIXに対応した形状を有するとよい。各チャイルドシートアンカー325は、ロアプレート322の後面に結合され、ロアプレート322の下端から前方に突出している。図23に示すように、チャイルドシートアンカー325の前端は、右連結部材312の後端よりも前方に配置されているとよい。
【0094】
図20に示すように、シートクッション303は、シートクッションフレーム331と、シートクッションフレーム331に支持されたパッドと、パッドに被せられた表皮材とを有する。シートクッションフレーム331は、前後に延びる左右のシートクッションサイドメンバ332と、左右に延び、左右のシートクッションサイドメンバ332の前端に結合されたフロントメンバ333と、左右に延び、左右のシートクッションサイドメンバ332の前後方向における中間部に結合されたミドルメンバ334とを有する。
【0095】
左右のシートクッションサイドメンバ332の後端は、左右において対応するシートバックサイドメンバ316に回動可能に支持されている。本実施形態では、ロアメンバ318の左右の端部が左右のシートバックサイドメンバ316を貫通して左右外方に突出している。左右のシートクッションサイドメンバ332の後端は、ロアメンバ318の左右の端部に回動可能に支持されている。
【0096】
図23に示すように、各シートクッションサイドメンバ332の前部は後部に対して左右外方にオフセットして配置されている。各シートクッションサイドメンバ332の前後方向における中央部は、前方に向けて左右外方に傾斜している。各シートクッションサイドメンバ332の後部は、各シートクッションサイドメンバ332の中央部から後方かつ上方に延びている。フロントメンバ333は、前後に幅を有するパンフレームであるとよい。
【0097】
ミドルメンバ334の左右方向における中間部は、左右の両端に対して後方に配置されている。前方から見て、ミドルメンバ334の左端は、ミドルメンバ334の右端よりも上方に配置されている。フロントメンバ333とミドルメンバ334との間には、左右の受圧部材336が架け渡されている。各受圧部材336は、使用者の臀部を下方から支持する。各受圧部材336は、織布、鋼板、S字ばね、樹脂プレート等から形成されるとよい。各受圧部材336は、可撓性を有し、使用者から受ける荷重に対して変形するとよい。また、ミドルメンバ334が、可撓性を有し、使用者から受ける荷重に対して変形してもよい。
【0098】
図27に示すように、フロントメンバ333の左右の端部には、下方に突出する左右のリンク接続部材338が設けられている。各リンク接続部材338は、板金部材を折曲して形成され、フロントメンバ333に結合されているとよい。左右のリンク304の上端は、左右において対応するリンク接続部材338に回動可能に結合されている。左右のリンク304の上端の回動軸は、左右方向に延び、互いに一致している。
【0099】
左右のリンク304の下端は、左右において対応する前支持部307に回動可能に結合されている。左右のリンク304の下端の回動軸は、左右方向に延び、互いに一致している。
【0100】
以下に、左右の前支持部307及び左右の後支持部308の詳細な構造について説明する。図20図22に示すように、右側の前支持部307は、フロア301に結合された前右フット341と、前右フット341に結合されたリンク連結部材342とを有する。前右フット341は、フロア301に沿って前後に延びる板状部材である。前右フット341の左右方向における中央部には、下方に向けて膨出した膨出部341Aが形成されている。膨出部341Aは前後方向に延びている。膨出部341Aの後部の上面に右連結部材312の前端が結合される。
【0101】
図26に示すように、リンク連結部材342は、板金部材によって形成されている。リンク連結部材342は、第1底壁部342Aと、第1底壁部342Aの左右の側縁から上方に延びる左右の第1縦壁部342Bと、左右の第1縦壁部342Bの上端から互いに離れる方向に延びる左右の第2底壁部342Cと、左右の第2底壁部342Cの左右外縁から上方に延びる左右の第2縦壁部342Dとを有する。第1底壁部342A及び左右の第2底壁部342Cは、上下を向く平面に形成されている。左右の第1縦壁部342B及び左右の第2縦壁部342Dは左右を向く平面に形成されている。
【0102】
第1底壁部342Aと左右の第2底壁部342Cとは、互いに平行に配置されている。左右の第2底壁部342Cは、同一平面上に配置されている。左右の第1縦壁部342Bと左右の第2縦壁部342Dとは、互いに平行に配置されている。左右の第1縦壁部342B及び左右の第2縦壁部342Dは、第1底壁部342A及び左右の第2底壁部342Cに対して直交している。
【0103】
左右の第2底壁部342Cと左右において対応する第2縦壁部342Dとの境界には、第2底壁部342Cから第2縦壁部342Dに延びる複数のビード342Eが形成されている。ビード342Eは、前後方向から見て三角形状に形成されている。各ビード342Eは、第2底壁部342Cと第2縦壁部342Dとの境界から左右内方かつ上方に突出している。
【0104】
左右の第2縦壁部342Dの前縁及び後縁には、左右方向において第1側壁側に延びる複数のフランジ部342Fが形成されている。複数のフランジ部342Fは、リンク304の下端の回動中心と同じ高さに配置されている。ビード342E及びフランジ部342Fは、リンク連結部材342の剛性を向上させる。
【0105】
第1底壁部342A及び左右の第1縦壁部342Bは、上方に向けて開口した受容凹部342Gを形成する。図27に示すように、受容凹部342Gに、前右フット341の後部の膨出部341Aが嵌合する。前右フット341の左右の側縁部は、左右の第2底壁部342Cの上面に下方から支持される。リンク304結合部材は、溶接によって前右フット341に結合されているとよい。前右フット341がフロア301に締結されることによって、リンク連結部材342の第1底壁部342Aは前右フット341とフロア301とに挟持される。
【0106】
右側のリンク304の下端は、左側の第2縦壁部342Dの左側の側面に回動可能に結合されている。右側の第2縦壁部342Dには、シート300と同様に、後部右席を構成するシートのリンクが回動可能に結合されるとよい。すなわち、右側の前支持部307は、隣り合う左右のシート300のそれぞれのリンク304を支持することができる。
【0107】
図20に示すように、左側の前支持部307は、フロア301に結合された前左フット351を有する。前左フット351は、フロア301に沿って前後に延びる板状の底壁部351Aと、本体部の右縁から上方に延びる縦壁部351Bとを有する。前左フット351は、底壁部351Aにおいてフロア301に締結されている。左側のリンク304の下端は、縦壁部351Bに回動可能に結合されている。前左フット351の後部には、左連結部材311の前端が結合されている。
【0108】
図21及び図27に示すように、右側の後支持部308は、フロア301に結合された後右フット355と、後右フット355に結合された第1下ブラケット356と、第1下ブラケット356に結合された第1上ブラケット357とを有する。後右フット355は、フロア301に沿って前後に延びる底壁部355Aと、底壁部355Aの左右の側縁から上方に延びる左右の縁壁部355Bとを有する。左右の縁壁部355Bは、底壁部355Aに沿って前後に延びている。
【0109】
第1下ブラケット356は、それぞれ面が左右を向く左右の側板部356Aと、面が上下を向き、左右の側板部356Aの前部の下縁に結合した連結部356Bと、左右の側板部356Aの後部の下縁から下方に延びた左右の後部延出部356Cとを有する。第1下ブラケット356は、板金部材によって形成されている。連結部356Bは、後右フット355の中央部の上面に当接している。左右の側板部356Aの互いに相反する外側面は、左右において対向する縁壁部355Bの内側面に当接し、溶接されているとよい。連結部356Bの上面には、右連結部材312の後端が結合されている。
【0110】
図21に示すように、左右の後部延出部356Cは、互いに離れる方向に屈曲した後に下方に延びている。左右の後部延出部356Cの下端は、左右において対応する縁壁の外側面に当接し、溶接されている。左右の側板部356Aの前後方向における中央部には、左右方向に貫通し、かつ側板部356Aの下縁に到達した挿通孔356Dが形成されている。左右の挿通孔356Dの下部は、左右において対応する縁壁部355Bの上縁によって閉じられている。
【0111】
第1上ブラケット357は、左右を向く板状に形成されている。第1上ブラケット357の下部は、第1下ブラケット356の左側の側板部356Aの上部に少なくとも1つの締結部材358によって締結されている。締結部材358は、例えばボルト及びナットであるとよい。締結部材358は、挿通孔356Dの前方及び後方の2か所に配置されているとよい。第1上ブラケット357の上部に、右側のシートバックサイドメンバ316の下端が回動可能に結合されている。
【0112】
第1下ブラケット356の右側の側板部356Aの上部にも、第1上ブラケット357と同様のブラケットが結合されてもよい。このブラケットには、後部右席を構成するシート300の左側のバックサイドメンバが回動可能に支持されるとよい。すなわち、右側の後支持部308は、後部右席のシートバックも支持することができる。
【0113】
図20に示すように、左側の後支持部308は、フロア301に結合された後左フット361と、後左フット361に結合された第2下ブラケット362と、第2下ブラケット362に結合された第2上ブラケット363とを有する。後左フット361は、フロア301に沿って前後に延びる底壁部361Aと、底壁部361Aの左右の側縁から上方に延びる左右の縁壁部361Bとを有する。左右の縁壁部361Bは、底壁部361Aに沿って前後に延びている。
【0114】
第2下ブラケット362の下端部は、後左フット361の上面に結合されている。第2下ブラケット362は、主面が左右を向いている。第2下ブラケット362には左右方向に貫通する挿通孔362Aが形成されている。第2下ブラケット362の縁部には主面と直交する方向に延びる縁壁部361Bが設けられているとよい。第2下ブラケット362の前端部には、左連結部材311の後端部が結合されている。
【0115】
第2上ブラケット363の下端部は、第2下ブラケット362の上端部に締結部材364によって締結されている。第2上ブラケット363の上部には、左側のシートバックサイドメンバ316の下端が回動可能に支持されている。
【0116】
第1下ブラケット356の挿通孔356D及び第2下ブラケット362の挿通孔362Aには、左右に延びる後連結部材313が挿通され、溶接されている。後連結部材313の右端は更に右方に延び、後部右席の右側の後支持部308に結合されてもよい。
【0117】
図23及び図24に示すように、上方から見て、リンク連結部材342の一部は、フロントメンバ333と重ならない位置に配置されている。これにより、シート300の製造時において、作業者はフロントメンバ333の上方からリンク連結部材342を目視することができ、リンク304とリンク連結部材342との接続作業が容易になる。
【0118】
リンク連結部材342は、前右フット341の下方を通過して左右に延びている。また、リンク連結部材342は、前右フット341とフロア301との間に挟持されている。これにより、右側の前支持部307の剛性が向上する。シート300に前後荷重が加わったときに、リンク連結部材342がフロア301から剥離することが防止される。
【0119】
リンク連結部材342の第1底壁部342Aは、フロア301と当接している。これにより、リンク連結部材342は、リンク304から加わる下向きの荷重を安定性良く受けることができる。
【0120】
リンク連結部材342は、第2底壁部342Cと第2縦壁部342Dとの境界に複数のビード342Eを有する。ビード342Eによって、リンク連結部材342の剛性が向上する。
【0121】
左側の前支持部307と左側の後支持部308とが左連結部材311によって連結されている。また、右側の前支持部307と右側の後支持部308とが右連結部材312によって連結されている。また、左右の後支持部308が後連結部材313によって連結されている。左連結部材311、右連結部材312、及び後連結部材313によって、左右の前支持部307及び左右の後支持部308の剛性が向上する。左連結部材311、右連結部材312、及び後連結部材313は、閉断面構造のパイプ材であるため、剛性が高く、かつ構造が簡素である。
【0122】
図23に示すように、上方から見て、左側のシートクッションサイドメンバ332は左連結部材311に対して左右方向にオフセットして配置されている。これにより、シート300が収納形態になるときに、左側のシートクッションサイドメンバ332と左連結部材311との干渉が避けられる。また、上方から見て、右側のシートクッションサイドメンバ332は右連結部材312に対して左右方向にオフセットして配置されている。これにより、シート300が収納形態になるときに、右側のシートクッションサイドメンバ332と右連結部材312との干渉が避けられる。
【0123】
左右のシートクッションサイドメンバ332の後部間の距離は、前部間の距離よりも小さく設定されている。ミドルメンバ334は、左右のシートクッションサイドメンバ332の後部に結合されている。これにより、ミドルメンバ334の左右方向における距離を短くすることができる。
【0124】
シート300は、図20に示す使用形態から収納形態に変形することができる。使用形態では、シートバック302及び左右のリンク304は概ね上下に延在し、シートクッション303はフロア301から上方に離れた位置に配置される。ロック装置324が解除されることによってフロア301に対するシートバック302の回動が可能になる。使用形態からシートバック302が前方に回動することによって、シートクッション303が前方かつ下方に移動する。このとき、左右のリンク304は、下端を中心として前方に回動する。収納形態では、シートバック302がシートクッション303上に折り重なって配置される。
【符号の説明】
【0125】
1 :車両
2 :車室
6 :フロア
20 :温度調節システム
21 :シート
22 :温度調節装置
25 :シートクッション
26 :シートバック
28 :移動装置
29 :リクライニング装置
35 :センターコンソール
37 :温度調節部
37A :第1温度調節部
37B :第2温度調節部
37C :第3温度調節部
37D :第4温度調節部
38 :制御装置
41A :前部分
41B :中央部分
41C :後部分
60 :シート温度調節部
62 :バッテリ
111 :放熱部