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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159889
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】液体噴射器
(51)【国際特許分類】
   B05B 9/03 20060101AFI20241031BHJP
   B05B 15/00 20180101ALI20241031BHJP
   A01M 7/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B05B9/03
B05B15/00
A01M7/00 Y
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024139806
(22)【出願日】2024-08-21
(62)【分割の表示】P 2020144655の分割
【原出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000112853
【氏名又は名称】フマキラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉丸 勝郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕治
(72)【発明者】
【氏名】若槻 健
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅
(57)【要約】
【課題】使用者が把持する把持部に折り畳み可能な管を設けて液体噴射器を構成する場合に、管を折り畳んだ状態での収納性を向上させるとともに、使用し易くする。
【解決手段】液体噴射器1は、管30を伸長状態と折り畳み状態とに切替可能にする折り畳み機構40を備えている。ハウジング部材11には、折り畳み状態にある管30の長手方向中間部を収容する管収容部13が設けられている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が把持する把持部と、先端から液体を噴射する管とを備えた液体噴射器において、
前記管は、伸長状態にある当該管の長手方向に並ぶように配置される第1外管部材と、第2外管部材とを有し、
前記管を、前記先端が前記把持部から離れるように前記管を伸長させた伸長状態と、前記先端が前記伸長状態にあるときよりも前記把持部に接近するように前記管を折り畳んだ折り畳み状態とに切替可能にする折り畳み機構を備え、
前記把持部には、前記折り畳み状態にある前記第1外管部材の長手方向中間部と前記第2外管部材の長手方向中間部とを収容する管収容部が設けられ、
前記管収容部は、前記把持部の外周面に開口していることを特徴とする液体噴射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種液体を噴射する液体噴射器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種液体を噴射する液体噴射器として使用者が手に持って使用可能なハンディタイプのものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の液体噴射器は、液体を送るポンプ、ポンプを駆動するモータ、これらを収容するハウジングを備えている。ハウジングは、使用者が手で握って持つことができるように細長い形状とされており、その外周面には、押動操作が可能なトリガーボタンが設けられている。さらに、ハウジングの先端部には、硬質樹脂等からなる細長い管が折り畳み可能に連結されており、その管の先端部にノズルが設けられている。使用時には、管を伸ばした状態にした後、使用者がトリガーボタンを押すとモータが回転してポンプが作動し、これにより液体が管の内部に送られてノズルから噴射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/118949号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の液体噴射器では、管を折り畳み可能にしているので、使用時に管を伸ばして遠方へ液体を噴射可能にしながら、不使用時には管を折り畳んで格納状態にしておくことで、液体噴射器の長さを短くしておくことができるという利点がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1の管を折り畳むと、管がハウジングの外周面に沿うように配置されるので、管の全体がハウジングから飛び出した状態になる。このようにハウジングの外に管の全体が配置されてしまうので管が邪魔になっていた。このことは液体噴射器を収納しておくときの収納性の悪化を招くだけでなく、以下のような場合にも問題となり得る。
【0006】
すなわち、例えば液体を近くに噴射したい場合があり、この場合には長い管が不要であるため、上述したように折り畳んだ状態にして使用したい。ところが、特許文献1の液体噴射器では折り畳んだ管の全体がハウジングの外に位置しているので、この状態でハウジングを握ろうとしたときには、管とハウジングとを一緒に握らなければならない。管とハウジングとは別体であることから、手で握ろうとすると、相対的な位置ずれが起こり易く、そのため、液体噴射器が持ちにくくなる。特に、手が小さな使用者の場合、管とハウジングを一緒に握ること自体が困難であり、結果的に管を折り畳んだ状態で使用することは無理であったし、そもそも、特許文献1の液体噴射器は管を折り畳んだ状態で使用することは想定されていない。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、使用者が把持する把持部に折り畳み可能な管を設けて液体噴射器を構成する場合に、管を折り畳んだ状態での収納性を向上させるとともに、使用し易くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、折り畳んだ管の長手方向中間部を把持部に収容できるようにした。
【0009】
第1の発明は、使用者が把持する把持部と、先端から液体を噴射する管とを備えた液体噴射器において、前記先端が前記把持部から離れるように前記管を伸長させた伸長状態と、前記先端が前記伸長状態にあるときよりも前記把持部に接近するように前記管を折り畳んだ折り畳み状態とに切替可能にする折り畳み機構を備え、前記把持部には、前記折り畳み状態にある前記管の長手方向中間部を収容する管収容部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、管を伸長状態にして管の先端を把持部から離すことで液体を遠方へ噴射することが可能になる。一方、管を折り畳み状態にすることで液体噴射器の全長が短くなるので、液体噴射器を収納し易くなる。また、管を折り畳み状態にすることで管の先端が把持部に接近するので、液体を近くに噴射することが可能になる。さらに、折り畳み状態にある管の長手方向中間部が把持部に収容されるので、管の全体が把持部の外に飛び出している場合に比べて液体噴射器の収納時に収納し易くなるとともに、管の折り畳み状態で液体噴射器を使用するときに把持部を把持し易くなる。
【0011】
第2の発明は、外部から液体を吸引して前記管に吐出する液体送給部を備え、前記把持部は、前記液体送給部を収容するハウジング部材で構成され、前記管収容部は、前記ハウジング部材の外周面に開口していることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、管を折り畳む際、ハウジング部材の管収容部が当該ハウジング部材の外周面に開口しているので、当該管の長手方向中間部を管収容部に容易に収容することができる。
【0013】
第3の発明は、前記液体送給部は、液体を圧送するポンプと、前記ポンプを駆動するモータと、前記モータに電力を供給する電池とを備え、前記ハウジング部材は、前記ポンプの回転中心線方向に前記モータが並び、前記モータの回転中心線方向に前記電池が並んで収容されるように所定方向に長い形状とされていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、液体送給部を構成するポンプ、モータ及び電池を並べてハウジング部材に収容することができるので、ハウジング部材の外径を拡大させることなく、所定方向に長い形状にすることができる。これにより、使用者がハウジング部材を容易に握って持つことができる。
【0015】
第4の発明は、前記ハウジング部材は、前記電池を収容する電池収容部を備え、前記管収容部と、前記電池収容部とは、前記ハウジング部材の長手方向と直交する方向に並ぶように配置されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、管収容部と電池収容部とを設ける場合に、ハウジング部材の長手方向の寸法拡大を抑制することができ、使用時には使用者が管収容部と電池収容部とを一緒に握って持つことができる。
【0017】
第5の発明は、前記ハウジング部材は、前記ポンプ及び前記モータを収容する機構収容部を備え、前記管収容部と、前記機構収容部とは、前記ハウジング部材の長手方向と直交する方向に並ぶように配置されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、管収容部と機構収容部とを設ける場合に、ハウジング部材の長手方向の寸法拡大を抑制することができる。
【0019】
第6の発明は、前記管は、硬質樹脂材からなる外管部材と、前記外管部材の内部に設けられる柔軟性を持ったチューブとを備え、前記ポンプにより前記チューブに液体が送給され、前記折り畳み機構は、前記外管部材の基端側を前記ハウジング部材の長手方向の端部近傍に対して回動自在に連結する基端側連結軸を備えるとともに、前記外管部材を前記基端側連結軸により回動させて前記伸長状態と前記折り畳み状態とに切り替えるように構成されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、外管部材を基端側連結軸により回動可能にすることで、管を伸長状態と折り畳み状態とに容易に切り替えることができる。この場合に、外管部材の内部に液体が流通する柔軟性を持ったチューブを設けているので、外管部材の回動動作を阻害することなく、液体を管の先端まで送ることができる。
【0021】
第7の発明は、前記外管部材は、前記伸長状態にある前記管の長手方向に並ぶように配置される第1外管部材と、第2外管部材とを備え、前記基端側連結軸は、前記第1外管部材を前記ハウジング部材の長手方向の端部近傍に対して回動自在に連結し、前記折り畳み機構は、前記基端側連結軸と同方向に延び、前記第1外管部材の先端部を前記第2外管部材の基端部に回動自在に連結する中間連結軸を備えるとともに、前記第2外管部材を前記第1外管部材に対して前記中間連結軸により回動させて前記伸長状態と前記折り畳み状態とに切り替えるように構成されていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、第1外管部材と第2外管部材とを折り畳んだ状態にすることができるので、管が長い場合であってもその管の途中で折り畳むことにより、液体噴射器の収納時には短くすることができる。
【0023】
第8の発明は、前記折り畳み状態にある前記第1外管部材の長手方向中間部と前記第2外管部材の長手方向中間部とが前記管収容部に収容されることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、第1外管部材及び第2外管部材を管収容部に収容することができるので、管が長い場合であっても管が邪魔にならないようにすることができる。
【0025】
第9の発明は、前記管の先端にはノズルが設けられ、前記ノズルは、前記管が前記折り畳み状態にあるときに前記管収容部から外部へ突出するように配置されることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、管を折り畳んだときにノズルが管収容部から外部へ突出しているので、管を折り畳んだ状態で液体を所望の方向へ噴射させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、折り畳み状態にある管の長手方向中間部を把持部に収容することができるので、管を折り畳んだ状態での液体噴射器の収納性を向上させることができるとともに、管を折り畳んだ状態で把持部を容易に把持して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る液体噴射器の管を伸長させた場合を示す上方から見た斜視図である。
図2】上記液体噴射器の管を折り畳んだ場合を示す図1相当図である。
図3】上記液体噴射器の管を伸長させた場合を示す下方から見た斜視図である。
図4】上記液体噴射器の管を折り畳んだ場合を示す図3相当図である。
図5】上記液体噴射器の管を伸長させた場合を示す側面図である。
図6】上記液体噴射器の管を折り畳んだ場合を示す図5相当図である。
図7】上記液体噴射器の管を伸長させた場合を示す長手方向に沿った断面図である。
図8】上記液体噴射器の管を折り畳んだ場合を示す図7相当図である。
図9図6におけるIX-IX線断面図である。
図10図6におけるX-X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係る液体噴射器1の管30を伸長させた場合を示す斜視図であり、図2は、液体噴射器1の管30を折り畳んだ場合を示す斜視図である。液体噴射器1は、本体部10と、折り畳み可能な管30とを備えており、例えば外部の容器100に収容されている液体を配管101によって本体部10に吸い込み、本体部10に吸い込んだ液体を管30の先端から噴射するように構成されている。容器100は、どのようなものであってもよく、液体噴射器1の使用者が運ぶことが可能な可搬型容器であってもよいし、固定された固定型容器であってもよい。容器100に収容されている液体は、例えば除草剤や殺虫剤、害虫忌避剤、消毒剤、除菌剤等の薬品であってもよいし、水であってもよく、特に限定されるものではない。複数種の液体を混合した液体を液体噴射器1で噴射することもできる。また、液体は、液体噴射器1によって例えば、草、木、農作物、地面、床面、壁、天井、空間、室内、家具等に噴射することができるが、これらに限定されるものではない。また、配管101の長さは適宜設定することができる。配管101は、柔軟性を有する部材で構成されている。液体噴射器1には、容器100及び配管101が含まれていてもよいし、容器100及び配管101が含まれていなくてもよい。容器100は液体噴射器1と一体化されていてもよく、この場合、タンクを備えた液体噴射器1とすることができる。
【0031】
尚、この実施形態の説明では、各図に示すように、液体噴射器1の本体部10の基端側及び先端側を定義する。また、本体部10の上側及び下側も各図に示すように定義する。さらに、使用時に使用者から見て左になる側を左とし、右になる側を右と定義する。これは、説明の便宜を図るために定義するだけであり、実際の使用時や格納時の姿勢を限定するものではない。使用時には、上下が反転することや左右が反転することもあり得る。使用時の液体噴射器1の姿勢は使用者が任意に決定し得る。
【0032】
(本体部10の構成)
図7及び図8に示すように、本体部10は、使用者が把持する把持部となるハウジング部材11と、ハウジング部材11に収容される液体送給部20とを備えている。ハウジング部材11は、所定方向に長い筒状をなしており、例えば硬質樹脂材等で形成されている。ハウジング部材11を複数の部材で構成することができ、一部の部材を着脱することにより、例えば内部の電池23を交換することができる。
【0033】
図1図5に示すように、ハウジング部材11の長手方向中央部近傍から基端部近傍の部分は、長手方向中央部近傍から先端部近傍の部分に比べて小径な小径部11aとされている。小径部11aは、通常の使用時に使用者が把持する部分である。図10に示すように、小径部11aは上下方向に長い断面形状とされている。また、図1図5に示すように、ハウジング部材11の長手方向中央部近傍から先端部近傍の部分は、大径部11bとされている。この大径部11bは、使用者が把持しない部分としてもよいが、使用者は大径部11bを把持して使用してもよい。また、使用者が小径部11aを握ったとき、親指が大径部11bにかかるようにすることができる。図9に示すように、大径部11bは上下方向に長い断面形状とされている。
【0034】
図1図5に示すように、小径部11aの大径部11bとの境界部分には、ハウジング部材11の径方向外方(上方)へ膨出するように形成された膨出部11cが設けられている。使用者が小径部11aを握ったときに親指を膨出部11cにかけることもできる。また、膨出部11cの形成により、小径部11aを持った手が大径部11b側へ滑らないようになっている。
【0035】
大径部11bの外周面の上側部分には、後述する操作スイッチ24が設けられるスイッチ配設部11dが設けられている。スイッチ配設部11dは、膨出部11cの近傍に配置されている。これにより、使用者が小径部11aを握った状態で、例えば親指の先端部分をスイッチ配設部11dに配置することが可能になる。言い換えると、小径部11aを握った手の親指が届くようにスイッチ配設部11dの位置が設定されている。
【0036】
図7及び図8に示すように、ハウジング部材11には、液体送給部20が収容されている。液体送給部20は、ポンプ21と、ポンプ21を駆動するモータ22と、モータ22に電力を供給する電池23と、操作スイッチ24と、吸込チューブ25とを備えている。ポンプ21は、液体を圧送するように構成されたものであり、モータ22によって駆動されることで、液体を所定の圧力で圧送することができる。モータ22は、電池23から供給される電力によって回転する。モータ22の出力軸(図示せず)はポンプ21に連結されている。
【0037】
モータ22と電池23と操作スイッチ24とを含む電気回路が構成されている。操作スイッチ24をON操作することによって電気回路を閉じると、モータ22に電力が供給され、操作スイッチ24をOFF操作することによって電気回路を開くと、モータ22に電力が供給されなくなる。この電気回路は一例であり、どのような回路構成であってもよい。
【0038】
ポンプ21及びモータ22の外径は、電池23の外径よりも大きい。また、複数の電池23が長手方向に並んで直列に接続されており、接続された複数の電池23の長さ方向の寸法は、ポンプ21及びモータ22の長さ方向の寸法よりも長くなっている。この実施形態では、2本の電池23を使用しており、一方の+極と他方の-極とを直接接続している。
【0039】
ハウジング部材11の内部の上側部分には、ポンプ21及びモータ22を収容する収容空間で構成された機構収容部R1と、電池23を収容する収容空間で構成された電池収容部R2とが設けられている。機構収容部R1は、ハウジング部材11の大径部11bの内部に区画形成されており、電池収容部R2よりも先端側に位置付けられている。一方、電池収容部R2は、ハウジング部材11の小径部11aの内部から膨出部11cに対応する部分に亘って区画形成されており、機構収容部R1よりも基端側に位置付けられている。機構収容部R1と電池収容部R2とは連通しており、両収容部R1、R2の間には区画壁のような部材は存在しない。
【0040】
電池23の外径がポンプ21及びモータ22の外径よりも小さいので、電池収容部R2の上下方向の寸法は、機構収容部R1の上下方向の寸法よりも短く設定されている。この上下方向の寸法差を利用して、電池収容部R2を小径部11aに対応するように配置し、機構収容部R1を大径部11bに対応するように配置しているので、互いに周長の異なる小径部11aと大径部11bとをハウジング部材11に形成することができる。尚、小径部11aと大径部11bとは、径の差があることで周長が相違しており、この周長差に起因して小径部11aが手で握りやすくなっている。つまり、握りやすい形状の小径部11aを設けるために、電池収容部R2を適切な箇所に配置している。ポンプ21及びモータ22の外径が小さい場合には、小径部11aにポンプ21及びモータ22を収容してもよい。
【0041】
ポンプ21は、その内部に配設されているインペラ等(図示せず)の回転中心線がハウジング部材11の長手方向に沿う姿勢とされて機構収容部R1の先端側に配設されている。モータ22は、その回転中心線がポンプ21の回転中心線と同方向に延びる姿勢とされてポンプ21の回転中心線方向に並んでおり、機構収容部R1の基端側に配設されている。ポンプ21とモータ22とは一体化することができ、この場合、ポンプモジュールを用いることもできる。電池23は、モータ22の回転中心線方向に並んでいる。このように、ポンプ21、モータ22及び電池23が直列に並んだ状態で収容可能となるように、ハウジング部材11が所定方向に長い形状となっている。尚、ポンプ21とモータ22とは並びが逆になっていてもよい。
【0042】
操作スイッチ24は、ハウジング部材11のスイッチ配設部11dに設けられている。スイッチ配設部11dがハウジング部材11の上側部分に位置しているので、操作スイッチ24はハウジング部材11の上側部分に設けられることになる。操作スイッチ24は、例えば指で押下することでON状態になり、指を離すと自動的にOFF状態となるように構成されたスイッチや、1回押下すると指を離してもON状態が継続され、再び押下するとOFF状態となるように構成されたスイッチ等を用いることができる。図9に示すように、ハウジング部材11の内部には、機構収容部R1の上方にスイッチ支持板部11eが設けられている。操作スイッチ24は、スイッチ支持板部11eの上面に固定されている。尚、図示しないが、操作スイッチ24は、ハウジング部材11の左側面や右側面に設けられていてもよい。また、操作スイッチ24は、ハウジング部材11の基端側に設けられていてもよい。
【0043】
図1に示すように、吸込チューブ25の上流側は、ハウジング部材11の基端側から外部へ延びている。この吸込チューブ25の上流側には、配管101の下流側が接続されている。尚、吸込チューブ25と配管101とは同じ部材で構成されていてもよい。吸込チューブ25は、図9図10にも示すように、ハウジング部材11の内部の上側部分を先端側へ向けて延びるように配設されている。図9に示すように、吸込チューブ25は操作スイッチ24の側方を通っている。図10に示すように、吸込チューブ25は電池23の側方を通っている。吸込チューブ25の下流端は、ポンプ21の吸込孔(図示せず)に接続されている。
【0044】
図9及び図10に示すように、ハウジング部材11の下側部分には、折り畳み状態にある管30の長手方向中間部を収容する管収容部13が設けられている。管収容部13は、機構収容部R1及び電池収容部R2の下側に位置しており、従って、管収容部13と、機構収容部R1及び電池収容部R2とは、ハウジング部材11の長手方向と直交する方向(上下方向)に並ぶように配置されることになる。
【0045】
管収容部13と、機構収容部R1及び電池収容部R2との間には、区画壁部14が設けられている。区画壁部14は、ハウジング部材11に一体成形することができ、管収容部13の上壁部を構成するものである。管収容部13は、左側壁部13aと右側壁部13bとを有している。左側壁部13aは、区画壁部14の左端部から下方へ向けて延びるとともに、ハウジング部材11の基端部から先端部まで連続して延びている。この左側壁部13aは、下へ行くほど右に位置するように形成されている。また、右側壁部13bは、区画壁部14の右端部から下方へ向けて延びるとともに、ハウジング部材11の基端部から先端部まで連続して延びている。この右側壁部13bは、下へ行くほど左に位置するように形成されている。左側壁部13aの下端部と右側壁部13bの下端部とは左右方向に離れており、左側壁部13aの下端部と右側壁部13bの下端部との間には、ハウジング部材11の長手方向に沿って延びるスリット13cが形成されている。このスリット13cの形成により、管収容部13は、ハウジング部材11の外周面における下側部分に開口することになる。また、例えば図3に示すように、スリット13cがハウジング部材11の先端部まで延びているので、管収容部13は、ハウジング部材11の先端面においても開口することになる。さらに、スリット13cがハウジング部材11の基端部まで延びているので、管収容部13は、ハウジング部材11の基端面においても開口することになる。
【0046】
管収容部13がハウジング部材11の下側部分に位置し、操作スイッチ24がハウジング部材11の上側部分に位置しているので、管収容部13と操作スイッチ24とは、ハウジング部材11の径方向について互いに反対側に設けられることになる。これにより、操作スイッチ24からハウジング部材11の外周面の周方向に離れた部分に管収容部13が位置付けられる。
【0047】
上述した例では電池23をハウジング部材11に収容するようにしたが、これに限らず、図示しないがハウジング部材11の外部から電力を供給するように構成されていてもよい。
【0048】
(管30及びその折り畳み機構)
管30は、本体部10に内蔵されたポンプ21から送給された液体を、先端から噴射するための部材である。すなわち、図7及び図8に示すように、管30は、2重構造とされていて、硬質樹脂材からなる外管部材31と、外管部材31の内部に設けられる柔軟性を持ったチューブ32とを備えている。ポンプ21によりチューブ32に液体が送給されるようになっている。管30の長さは特に限定されるものではないが、例えば50cm以上の長さにすることができる。
【0049】
外管部材31を構成する樹脂材は、例えば通常の使用時において変形しない程度の剛性を確保できる樹脂材であればよく、これにより、ハウジング部材11を持って液体を噴射する時に外管部材31が容易に折れ曲がらないようにすることができる。外管部材31は、伸長状態にある管30の長手方向に並ぶように配置される第1外管部材33と、第2外管部材34とを備えている。第1外管部材33と第2外管部材34とは共に直管状に成形されている。第1外管部材33と第2外管部材34とは略円形断面を有する管で構成することができる。
【0050】
折り畳み機構40は、管30の先端がハウジング部材11から離れるように管30を伸長させた伸長状態と、管30の先端が伸長状態にあるときよりもハウジング部材11に接近するように管30を折り畳んだ折り畳み状態とに切替可能にする機構であり、この折り畳み機構40も液体噴射器1の一部である。
【0051】
具体的には、折り畳み機構40は、基端側連結軸41と中間連結軸42とを備えている。基端側連結軸41は、第1外管部材33の基端部、即ち外管部材31の基端部をハウジング部材11の先端部近傍に対して回動自在に連結するためのものである。基端側連結軸41は、ハウジング部材11の上下方向中間部に位置しており、左右方向に延びている。基端側連結軸41をハウジング部材11に固定して第1外管部材33の基端部を基端側連結軸41に対して回動可能にしてもよいし、基端側連結軸41を第1外管部材33の基端部に固定して基端側連結軸41をハウジング部材11に対して回動可能に支持してもよい。いずれの構成であっても、第1外管部材33の基端部をハウジング部材11に対して回動させることができる。
【0052】
第1外管部材33の回動範囲は、基端側ストッパ部16によって規制される。基端側ストッパ部16は、ハウジング部材11の先端部に設けられている。第1外管部材33の中心線がハウジング部材11の長手方向に沿う方向となるまで第1外管部材33を基端側連結軸41まわりに回動させると、第1外管部材33の外周面に対してその上方から基端側ストッパ部16が当接する。これにより、第1外管部材33の操作スイッチ24側への回動が阻止される。基端側ストッパ部16の構成は、上述した構成に限られるものではなく、ハウジング部材11の内部において第1外管部材33の回動範囲を規制するものであってもよい。
【0053】
中間連結軸42は基端側連結軸41と同方向に延びており、第1外管部材33の先端部を第2外管部材34の基端部に回動自在に連結するものである。中間連結軸42を第1外管部材33の先端部に固定して第2外管部材34の基端部を中間連結軸42まわりに回動可能にしてもよいし、中間連結軸42を第2外管部材34の基端部に固定して第1外管部材33の先端部を中間連結軸42まわりに回動可能に支持してもよい。
【0054】
図5にも示すように、中間連結軸42は、伸長状態にある第1外管部材33及び第2外管部材34の上側に偏位している。第2外管部材34の第1外管部材33に対する回動範囲は、中間ストッパ部36によって規制される。中間ストッパ部36は、第1外管部材33の先端部に設けられている。第2外管部材34の中心線が第1外管部材33の中心線に沿う方向となるまで第2外管部材34を中間連結軸42まわりに回動させると、第2外管部材34の外周面に対してその下方から中間ストッパ部36が当接する。これにより、第2外管部材34の回動が阻止される。このとき、第1外管部材33の中心線と第2外管部材34の中心線とは同一直線上に配置される。中間ストッパ部36の構成は、上述した構成に限られるものではなく、第1外管部材33と第2外管部材34とのなす角度が例えば150゜~180゜の間の任意の角度となったときに、第2外管部材34の第1外管部材33に対する回動を阻止するように構成されていればよい。
【0055】
第2外管部材34の先端部には、ノズル37が取り付けられている。ノズル37の先端面には液体の噴出口37aが形成されている。ノズル37は、第2外管部材34に対して角度調整可能に取り付けることができる。使用者はノズル37を動かすことで液体の噴射方向を変更することができる。
【0056】
チューブ32は、管30の折り畳み及び伸長動作を阻害しないように、容易に屈曲させることが可能な柔軟性及び可撓性を有している。チューブ32は、蛇腹状に形成されたものであってもよい。図7及び図8に示すように、チューブ32の上流側はポンプ21の吐出孔(図示せず)に接続されている。チューブ32は、ハウジング部材11の内部において1巻以上巻かれることによってできた巻き形状部32aを有している。すなわち、ハウジング部材11の内部における先端側には、左右方向に延びる棒状部18が設けられている。チューブ32の一部がこの棒状部18に巻き付けられていて、棒状部18に巻き付けられることによって巻き形状部32aが構成される。巻き形状部32aは2巻以上であってもよい。巻き形状部32aは、チューブ32の余裕代を吸収するためのものであり、詳細は後述する。
【0057】
チューブ32は、第1外管部材33と第2外管部材34の内部を通ってノズル37に達するように配設されている。チューブ32の下流側はノズル37の噴出口37aに接続されている。噴出口37aは、液体を霧状に噴出するものであってもよいし、シャワー状に噴出するものであってもよい。ノズル37を省略し、チューブ32の下流端部から流体を直接噴射させるようにしてもよい。
【0058】
(液体噴射器1の使用要領)
図1図3図5及び図7は、管30が伸長状態にある場合を示している。管30を伸長状態から図2図4図6及び図8に示す折り畳み状態に切り替える場合には、第2外管部材34を第1外管部材33に対して中間連結軸42まわり回動させることにより、第2外管部材34と第1外管部材33とが径方向に重なるように折り畳む。そして、第1外管部材33をハウジング部材11に対して基端連結軸41まわり回動させることにより、第1外管部材33を管収容部13に収容する。このとき、管収容部13のスリット13cがハウジング部材11の下面に開口しているので、第1外管部材33をスリット13cから管収容部13に入れることができる。尚、伸長状態にある第1外管部材33をハウジング部材11に対して基端連結軸41まわり回動させた後、第2外管部材34を第1外管部材33に対して中間連結軸42まわり回動させるようにしてもよい。
【0059】
図9及び図10に示すように、管30を折り畳むと、第1外管部材33の少なくとも長手方向中間部を管収容部13に収容することができ、この実施形態では、図6等に示すように、第1外管部材33の全体を管収容部13に収容することができる。尚、図示しないが、第1外管部材33の長手方向両端部が管収容部13から突出していてもよい。
【0060】
また、図9及び図10に示すように、管30を折り畳むと、第2外管部材34の少なくとも長手方向中間部の一部を管収容部13に収容することができる。この実施形態では、図6等に示すように、第2外管部材34の下に位置する部分が管収容部13の下端部から下方へ突出しているが、この突出量は僅かなものとなっている。具体的には、第2外管部材34の径方向の半分以下の領域が管収容部13から突出している。尚、第2外管部材34の全体を管収容部13に収容してもよい。
【0061】
図8に示すように、管30を折り畳むと、チューブ32が屈曲することに伴い、チューブ32の下流側が引っ張られることになる。これにより、チューブ32の巻き形状部32aが小さくなり、チューブ32をハウジング部材11の外へ送ることができる。
【0062】
また、ノズル37は管収容部13から外部へ突出するように配置される。これにより、管30を折り畳んだ状態で液体噴射器1を使用することができる。このとき、使用者は、ハウジング部材11の小径部11aを握ることになるが、管30の長手方向中間部の大部分が管収容部13に収容されているので、手で握った状態でハウジング部材11と管30との相対的な位置ずれが起こり易く、そのため、液体噴射器1が持ち易くなる。
【0063】
また、折り畳んだ状態の管30は、操作スイッチ24側には位置しておらず、管収容部13に収容されているので、操作スイッチ24と重複しない。つまり、折り畳み機構40は、折り畳み状態にある管30を操作スイッチ24と非重複となる位置に配置するように構成されているので、管30が操作スイッチ24の邪魔になることはない。
【0064】
そして、例えば親指で操作スイッチ24をON操作すると、モータ22が回転してポンプ21が作動する。ポンプ21が作動すると、吸込チューブ25内に負圧が発生して配管101を介して容器100内の液体が吸い込まれる。ポンプ21に吸い込まれた液体は、チューブ32を流通してノズル37の噴出口37aから噴出する。
【0065】
一方、折り畳み状態にある管30を伸長させる際には、第1外管部材33をハウジング部材11に対して基端連結軸41まわり回動させて基端側ストッパ部16に第1外管部材33を当接させる。その後、第2外管部材34を第1外管部材33に対して中間連結軸42まわり回動させて第2外管部材34の外周面に中間ストッパ部36を当接させる。尚、第2外管部材34を第1外管部材33に対して中間連結軸42まわり回動させた後、第1外管部材33をハウジング部材11に対して基端連結軸41まわり回動させてもよい。管30を伸長させることでノズル37がハウジング部材11から大きく離れるので、遠方に液体を噴出することができる。
【0066】
管30が伸長した状態では、第1外管部材33がハウジング部材11に対して回動しないように保持しておくことや、第2外管部材34が第1外管部材33に対して回動しないように保持しておくことができる。例えば、凹凸嵌合構造や爪による係合構造等により、第1外管部材33を伸長状態でハウジング部材11に保持しておくこと、第2外管部材34を伸長状態で第1外管部材33に保持しておくことができる。また、回動部分の摺動抵抗を大きくすることによっても、同様に第1外管部材33や第2外管部材34を保持してことができる。
【0067】
図7に示すように管30を伸長状態にすると、チューブ32が余ることになるが、このとき余ったチューブ32をハウジング部材11の内部に収容することができる。具体的には、チューブ32の巻き形状部32aの周長が折り畳み時に比べて長くなるように、当該巻き形状部32aが大きくなる。つまり、チューブ32の長さは管30の折り畳み状態を基準にして設定しておくのが好ましい。
【0068】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態に係る液体噴射器1によれば、管30を伸長状態にして管30の先端をハウジング部材11から離すことで液体を遠方へ噴射することが可能になる。一方、管30を折り畳み状態にすることで液体噴射器1の全長が短くなるので、液体噴射器1を収納し易くなる。また、管30を折り畳み状態にすることで管30の先端がハウジング部材11に接近するので、液体を近くに噴射することが可能になる。さらに、折り畳み状態にある管30の長手方向中間部がハウジング部材11に収容されるので、管30の全体がハウジング部材11の外に飛び出している場合に比べて液体噴射器1の収納時に収納し易くなるとともに、管30の折り畳み状態で液体噴射器1を使用するときにハウジング部材11を把持し易くなる。
【0069】
また、管30を折り畳んだとき、管30が操作スイッチ24と重複しない位置に配置されるので、管30が操作スイッチ24の操作の邪魔にならない。これにより、操作スイッチ24の操作性が良好になる。
【0070】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。上記実施形態では、管30が第1外管部材33及び第2外管部材34を備えている場合について説明したが、これに限らず、管30は1つの外管部材31とチューブ32とで構成されていてもよい。また、外管部材31は、3つ以上の外管部材、即ち第1、第2及び第3外管部材を互いに回動可能に連結することによって構成されていてもよい。
【0071】
また、管30を管収容部13に収容した状態で保持可能に構成することもできる。例えば、管収容部13のスリット13cの縁部に爪や突起を設けておき、管収容部13に収容された管30に爪や突起を引っ掛けて係合させることにより、管30を管収容部13に収容した状態で保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明に係る液体噴射器は、例えば除草剤や殺虫剤、害虫忌避剤等を散布する場合に使用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 液体噴射器
11 ハウジング部材(把持部)
13 管収容部
20 液体送給部
21 ポンプ
22 モータ
23 電池
24 操作スイッチ
30 管
31 外管部材
32 チューブ
33 第1外管部材
34 第2外管部材
37 ノズル
40 折り畳み機構
41 基端側連結軸
42 中間連結軸
R1 機構収容部
R2 電池収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10