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特開2024-159904提示装置、提示方法および提示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159904
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】提示装置、提示方法および提示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20241031BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024140135
(22)【出願日】2024-08-21
(62)【分割の表示】P 2023081117の分割
【原出願日】2015-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003889
【氏名又は名称】弁理士法人酒井総合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻野 晃一
(57)【要約】
【課題】イベントの種類を考慮した案内経路を提示できること。
【解決手段】イベントの種類と、イベントの開催範囲および開催時間帯を含むイベント情報を取得する取得部101と、イベント情報に含まれるイベントの種類に応じて、イベントの開催時間帯に少なくとも開催範囲を回避する経路を案内経路として提示するか、開催時間帯にイベント情報を考慮せずに探索した経路を案内経路として提示するか、を決定する経路決定部102と、決定された案内経路を提示する提示部103と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントの種類と、当該イベントの開催範囲および開催時間帯を含むイベント情報を取得する取得手段と、
前記イベント情報に含まれる前記イベントの種類に応じて、前記イベントの開催時間帯に少なくとも前記開催範囲を回避する経路を案内経路として提示するか、前記開催時間帯に前記イベント情報を考慮せずに探索した経路を案内経路として提示するか、を決定する経路決定手段と、
決定された案内経路を提示する提示手段と、
を備えることを特徴とする提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、イベント開催時の経路を提示する提示装置、提示方法および提示プログラムに関する。ただし、この発明の利用は、提示装置、提示方法および提示プログラムに限らない。
【背景技術】
【0002】
従来、イベントの開催時期においてイベントの開催エリアを回避する経路を探索する回避エリア生成の技術が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-113709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イベントの種類として、例えばスポーツイベントのような場合は、試合が開催されている間は車通りが少なくなってイベントの影響エリア内であっても車は通りやすくなる。しかし、上記の先行技術ではイベントの種類によらず、イベントの開催期間内であればイベントの開催範囲を回避するため、実際はイベントの影響エリア内を混雑なく通れるにもかかわらず、この範囲を回避するような遠回りの経路をユーザに提示してしまう、という問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる提示装置は、イベントの種類と、当該イベントの開催範囲および開催時間帯を含むイベント情報を取得する取得手段と、前記イベント情報に含まれる前記イベントの種類に応じて、前記イベントの開催時間帯に少なくとも前記開催範囲を回避する経路を案内経路として提示するか、前記開催時間帯に前記イベント情報を考慮せずに探索した経路を案内経路として提示するか、を決定する経路決定手段と、決定された案内経路を提示する提示手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項5の発明にかかる提示方法は、提示装置が実施する提示方法において、イベントの種類と、当該イベントの開催範囲および開催時間帯を含むイベント情報を取得する取得工程と、前記イベント情報に含まれる前記イベントの種類に応じて、前記イベントの開催時間帯に少なくとも前記開催範囲を回避する経路を案内経路として提示するか、前記開催時間帯に前記イベント情報を考慮せずに探索した経路を案内経路として提示するか、を決定する経路決定工程と、決定された案内経路を提示する提示工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、請求項6の発明にかかる提示プログラムは、請求項5に記載の提示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態にかかる提示装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態にかかる提示装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、実施例のナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施例のサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、実施例のサーバが保持する参加者行動予測情報の一例を示す図表である。
図6図6は、実施例のサーバとナビゲーション装置からなるシステムによる案内情報の提示の処理を説明する図である。
図7図7は、実施例のサーバが実行する案内情報の提示処理例を示すフローチャートである。
図8図8は、実施例による案内情報の提示例を示す図である。
図9図9は、実施例による案内情報の他の提示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる提示装置、提示方法および提示プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、実施の形態にかかる提示装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。実施の形態にかかる提示装置100は、取得部101と、経路決定部102と、提示部103と、を含む。実施の形態では、単一のサーバがこれらの各機能を有する。後述するが、図1の各機能別に分散された複数のサーバを用いたり、サーバを用いずに単一のクライアント(端末)が提示装置100の機能を有する構成としてもよい。
【0011】
取得部101は、イベントの種類およびイベントの開催範囲(経路探索決定に影響する影響範囲)および開催時間帯を含むイベント情報を取得する。イベントの種類は、例えば、花火大会、サッカーの国際試合開催などがある。イベントの開催範囲は、例えば緯度経度、行政区域などで設定され、道路交通の規制等のために、予めイベントの主催者等がイベント場所を中心として範囲設定し事前に告知するようになっている。イベントの開催時間帯は、日時および時間帯であり、例えば年月日と時間帯(例えば、16:00~18:00等)からなる。
【0012】
取得部101は、このイベント情報をインターネット等のネットワークを介して取得する。イベント情報は、例えば、VICS(Vehicle Information and Communication System:登録商標)が配信したものを取得部101が取得する。
【0013】
経路決定部102は、案内経路を生成する経路探索の機能を有する。例えば、ユーザの端末から経路探索の要求時に入力されるユーザの現在地、目的地等の情報に基づき、地図情報(地図データベース)を参照して、現在地から目的地に至る経路(道路)を経路探索する。この際、移動時間あるいは移動距離等のコストに基づき、例えば、探索コストが低い(短い時間あるいは距離で到達できる)経路を経路探索する。この際、探索コスト順に複数の経路が候補として出力可能である。
【0014】
そして、経路決定部102は、経路探索した経路の一部がイベントの開催日時(開催時間帯)内で開催範囲内の道路(評価対象道路)を通過する場合、イベントの種類に応じて案内経路の内容を変更する。例えば、あるイベントの種類の場合には、イベントの開催時間帯に少なくとも開催範囲を評価対象道路のコストを高くした上で探索した経路を案内経路として決定する。また、他のあるイベントの種類の場合には、開催時間帯にイベント情報を考慮せずに探索した経路を案内経路として決定する。
【0015】
経路決定部102は、取得部101によって取得したイベント情報に、各イベント情報別の開催範囲内の道路(評価対象道路)の混雑状況を関連付けた参加者行動予測情報を記憶保持する。参加者行動予測情報は、例えば、イベント毎に開催時間帯内や開催時間帯外における開催範囲内の道路(評価対象道路)の混雑状況を一覧化したものである。
【0016】
経路決定部102は、イベント情報を含む参加者行動予測情報(詳細は後述する)に基づき、イベントの開催時間帯内外でそれぞれ開催範囲内の道路(評価対象道路)を通過する場合の案内経路の内容を変更する。
【0017】
ここで、イベント種類が異なることによって、開催時間帯内外で開催範囲で混雑状態が異なることについて説明する。
【0018】
まず、イベント種類によって、開催時間帯内であっても開催範囲を混雑なく通過できる場合とできない場合について説明する。例えば、イベント種類が花火大会の場合、開催時間帯内では参加者が花火を鑑賞中であり、開催範囲内での参加者(車)の移動は少なく開催範囲内での混雑は少ない(参加者行動予測情報に相当)ため、経路決定部102は、開催時間帯にイベント情報を考慮せずに探索した経路を案内経路として決定する。
【0019】
一方、開催時間帯外(開始時間前の所定期間と終了時間後の所定期間を指す)では開催範囲に入る、あるいは開催範囲から出る参加者(車)の移動が多い(参加者行動予測情報)ため、経路決定部102は、この開催時間帯外に少なくとも開催範囲を回避する経路を案内経路として決定する。
【0020】
同様に、イベント種類がサッカーの国際試合の場合も、開催時間帯内では参加者がスタジアム内で観戦中であり、開催範囲内での参加者(車)の移動は少なく開催範囲内での混雑は少ない(参加者行動予測情報)ため、経路決定部102は、開催時間帯にイベント情報を考慮せずに探索した経路を案内経路として決定する。
【0021】
一方、開催時間帯外(開始時間前の所定期間と終了時間後の所定期間)では開催範囲に入る、あるいは開催範囲から出る参加者(車)の移動が多い(参加者行動予測情報)ため、経路決定部102は、開催時間帯に少なくとも開催範囲を回避する経路を案内経路として決定する。
【0022】
また、イベント種類がスポーツチームの優勝パレードの場合は、開催時間帯内および開催時間帯外(開始時間前の所定期間と終了時間後の所定期間)のいずれも開催範囲に入る、あるいは開催範囲から出る参加者(車)の移動が多い(参加者行動予測情報)ため、経路決定部102は、開催時間帯および開催時間帯外のいずれも開催範囲を回避する経路を案内経路として決定する。
【0023】
経路決定部102は、上記の開催時間帯外(開始時間前の所定期間と終了時間後の所定期間)において開催範囲を通過、あるいは回避する経路を案内経路として決定する際、開始時間帯に対して開始前および開始後を複数段階の時間帯(外時間帯と称す)に分け、イベント種類別の外時間帯の段階別の混雑(参加者行動予測情報)に基づいて、開催範囲内の道路(評価対象道路)を通過する場合の案内経路の内容を変更することができる。
【0024】
例えば、経路決定部102は、開始前の外時間帯1(開始前1時間未満)の混雑大、外時間帯2(開始前1時間以上2時間未満)の混雑小、外時間帯3(開始前2時間以上)の混雑なし(順調)、との情報(参加者行動予測情報)に基づき、各外時間帯に開催範囲内の道路(評価対象道路)を通過する場合の案内経路の内容を変更する。
【0025】
また、経路決定部102は、開催範囲内の道路(評価対象道路)について、全て均一に通過コスト(通りやすさの度合い)を増加させる設定(参加者行動予測情報)を用いる他、イベントの種類によっては、開催範囲の中心部と周辺部の通過コストの増加量を異なる設定としてもよい。例えば、花火大会の場合、開催範囲の中心部ほど参加者が密集しているため通りにくく増加させる通過コストを大きくし、周辺部ほど通過しやすいため増加させる通過コストを低くする。
【0026】
また、経路決定部102は、イベントの種類に応じてイベントの開催範囲の大きさを変更することもできる。例えば、花火大会の場合、開催時間帯内では参加者が花火を鑑賞中であり、開催範囲内での参加者(車)の移動は少なく開催範囲内での混雑は少ない(参加者行動予測情報)ことにより、開催時間帯の期間中は、開催範囲の大きさ変更を行わない。
【0027】
一方、開催時間帯外(開始時間前の所定期間と終了時間後の所定期間)では開催範囲に入る、あるいは開催範囲から出る参加者(車)の移動が多いため、開催時間帯外の所定期間は、開催範囲を(例えば、外方に所定ブロックずつ)広げる変更(影響範囲と称す)を行う。経路決定部102は、開催範囲に変更があれば、変更後の開催範囲(影響範囲)を考慮し、影響範囲に対する通過の有無を案内経路として決定する。
【0028】
この影響範囲は、開催範囲を基準としてエリア(範囲)を増減させるに限らず、開催範囲につながる特定の幹線道路や高速道路へ続く道路(リンク)を含めることとしてもよい。
【0029】
また、経路決定部102は、案内経路が変更したイベントの開催時間帯に基づき、時間帯別に開催範囲へ出入りの方向別の進入コスト(出入りのしやすさの度合い)を設定してもよい。例えば、イベントの開催時間帯の開始時間前の所定期間は、開催範囲に入りづらいため、入る方向の進入コストを高くし、開催範囲からは出やすいため、出る方向の進入コストを低くする(参加者行動予測情報)。イベントの開催時間帯の終了時後の所定期間は、開始時間前と逆のコストとする。
【0030】
なお、経路決定部102による案内経路の決定は、上述のように、はじめに経路探索で探索された複数の経路の候補のなかから開催範囲や各種コスト(参加者行動予測情報)を考慮(評価対象道路の通過を含むあるいは除外)して決定するに限らず、開催範囲や各種コストを考慮した状態で経路探索することとしてもよい。
【0031】
提示部103は、経路決定部102で決定された案内経路を提示する。例えば、案内経路を表示や音声でユーザに提示できる。また、経路探索の要求に基づき経路決定部102が決定した結果(案内経路)をインターネット等のネットワーク等を介してユーザの端末に送信し、端末が案内経路を表示や音声等でユーザに提示することができる。
【0032】
上記構成例では、提示装置100をサーバにより構成し、ユーザに案内経路を送信する構成としたが、提示装置100の各構成をユーザの端末が有する構成としてもよい。
【0033】
図2は、実施の形態にかかる提示装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。ユーザの端末から経路探索が要求された場合に提示装置100が実行する処理例を示している。
【0034】
はじめに、提示装置100は、イベントの種類およびイベントの開催範囲および開催時間帯を含むイベント情報を取得する(ステップS201)。
【0035】
つぎに、提示装置100は、ユーザの端末から経路探索の要求時に入力されるユーザの現在地、目的地等の情報に基づき、地図情報(地図データベース)を参照して、現在地から目的地に至る経路(道路)を経路探索する。
【0036】
そして、提示装置100は、経路探索した経路の一部がイベントの開催時間帯内で開催範囲内の道路(評価対象道路)を通過する場合、イベントの種類に応じて案内経路の内容を変更する(ステップS202)。Case1は、イベントの開催時間帯内で開催範囲内の道路(評価対象道路)を通過する場合に混雑が小さい場合である。この場合(ステップS202:Case1)、提示装置100は、イベント情報を考慮せずに探索した経路を案内経路として決定する(ステップS203)。
【0037】
Case2は、イベントの開催時間帯内で開催範囲内の道路(評価対象道路)を通過する場合に混雑する場合である。この場合(ステップS202:Case2)、提示装置100は、開催範囲を回避する経路を案内経路として決定する(ステップS204)。
【0038】
この後、提示装置100は、ステップS203またはステップS204で決定された案内経路を表示等でユーザに提示する(ステップS205)。
【0039】
また、図2の処理例には記載していないが、提示装置100は、イベントの種類に応じてイベントの開催範囲の大きさを変更する処理を併せて行う。例えば観戦・鑑賞のイベントで開催時間内の場合、開催範囲を変更した影響範囲内での参加者(車)の移動が少なく影響範囲内での混雑が少ないため、開催時間帯の期間中は、影響範囲の大きさ変更を行わない。一方、開催時間帯外(開始時間前の所定期間と終了時間後の所定期間)では影響範囲に入る、あるいは影響範囲から出る参加者(車)の移動が多いため、開催時間帯外の所定期間は、影響範囲を(例えば、外方に所定ブロックずつ)広げる変更を行う。
【0040】
以上の実施の形態によれば、ユーザ要求の経路探索で得られた経路の一部がイベントの開催時間帯の期間中に開催範囲内の道路を通過する場合、イベントの種類に応じて開催範囲内の道路を通過する経路を提示するか、あるいは開催範囲内の道路を回避する経路を提示する。また、開催時間帯内に限らず開催時間帯外(開始時間前の所定期間と終了時間後の所定期間)においても、イベントの種類に応じて開催範囲内の道路を通過する経路を提示するか、あるいは開催範囲内の道路を回避する経路を提示することができる。これにより、イベント種類に応じた経路探索を行うことができ、イベント開催時の開催範囲内の道路の混雑状況に即した経路をユーザに提示できるようになる。
【0041】
例えば、開催期間中の開催範囲内の道路が通過しやすい状態のイベント種類であれば、開催範囲内を通過する案内経路を提示でき、開催範囲を回避する経路を提示しないため、ユーザは、探索された経路にしたがうだけで目的地まで時間や距離を短縮して到達できるようになる。これにより、探索した経路の信頼性を向上してユーザに提示できるようになる。
【0042】
また、イベントの種類と開催時間帯に応じて開催範囲の大きさを変更することができ、イベント種類別に開催時間帯内(外)で異なる開催範囲内を考慮した経路を提示できるようになる。さらには、イベントの種類に応じて開催範囲内での開催範囲の中心部と周辺部の通りやすさの度合いを考慮した経路を提示できるようになる。イベントの種類と開催時間帯に応じて開催範囲への出入りの方向別の出入りのしやすさの度合いを考慮した経路を提示できるようになる。これらにより、探索した経路の信頼性をさらに向上できるようになる。
【実施例0043】
つぎに、本発明の実施例について説明する。実施例では、ユーザの車両にナビゲーション装置300が搭載され、ナビゲーション装置300が上記の提示装置100の機能を有するサーバ400に対して経路探索を要求し、この経路探索の応答として、サーバ400がナビゲーション装置300に上記案内経路を提示する処理例について説明する。
【0044】
(ナビゲーション装置300のハードウェア構成)
図3は、実施例のナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301、ROM302、RAM303、磁気ディスクドライブ304、磁気ディスク305、光ディスクドライブ306、光ディスク307、音声I/F(インターフェース)308、マイク309、スピーカ310、入力デバイス311、映像I/F312、ディスプレイ313、通信I/F314、GPSユニット315、各種センサ316、カメラ317、を備えている。各構成部301~317は、バス320によってそれぞれ接続されている。
【0045】
CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、提示プログラムを記録している。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU301は、RAM303をワークエリアとして使用しながら、ROM302に記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。
【0046】
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、例えば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0047】
また、光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。着脱可能な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどを用いることができる。
【0048】
磁気ディスク305および光ディスク307に記録される情報の一例としては、地図データ、車両情報、道路情報、走行履歴などが挙げられる。地図データは、カーナビゲーションシステムにおいて経路探索するときに用いられ、建物、河川、地表面、エネルギー補給施設などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データ、道路の形状をリンクやノードなどであらわす道路形状データなどを含むベクタデータである。
【0049】
音声I/F308は、音声入力用のマイク309および音声出力用のスピーカ310に接続される。マイク309に受音された音声は、音声I/F308内でA/D変換される。マイク309は、例えば、車両のダッシュボード部などに設置され、その数は単数でも複数でもよい。スピーカ310からは、所定の音声信号を音声I/F308内でD/A変換した音声が出力される。
【0050】
入力デバイス311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス311は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか一つの形態によって実現されてもよいが、複数の形態によって実現することも可能である。
【0051】
映像I/F312は、ディスプレイ313に接続される。映像I/F312は、具体的には、例えば、ディスプレイ313全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ313を制御する制御ICなどによって構成される。
【0052】
ディスプレイ313には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ313としては、例えば、TFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
【0053】
カメラ317は、車両外部の道路を含む映像を撮影する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよく、例えば、カメラ317によって車両外部を撮影し、撮影した画像をCPU301において画像解析したり、映像I/F312を介して磁気ディスク305や光ディスク307などの記録媒体に出力したりする。
【0054】
通信I/F314は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300およびCPU301のインターフェースとして機能する。ネットワークとして機能する通信網には、CANやLIN(Local Interconnect Network)などの車内通信網や、公衆回線網や携帯電話網、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、LAN、WANなどがある。通信I/F314は、例えば、公衆回線用接続モジュールやETC(ノンストップ自動料金支払いシステム、登録商標)ユニット、FMチューナー、VICS/ビーコンレシーバなどである。
【0055】
GPSユニット315は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在位置を示す情報を出力する。GPSユニット315の出力情報は、後述する各種センサ316の出力値とともに、CPU301による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、例えば、緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0056】
各種センサ316は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサ、傾斜センサなどの、車両の位置や挙動を判断するための情報を出力する。各種センサ316の出力値は、CPU301による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の算出に用いられる。
【0057】
図3に記載のROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行することによって、ナビゲーション装置の動作に必要な機能を実現する。また、図3のスピーカ310、ディスプレイ313、通信I/F314を用いて、図1の提示部103の機能の一部(サーバから受信した案内経路をユーザに提示する機能)を実現できる。
【0058】
(サーバ400のハードウェア構成)
図4は、実施例のサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。提示装置100としてサーバ400を用いる構成とした場合、サーバ400は、図3とほぼ同様の構成を有する。この場合、サーバは、図3に記載のGPSユニット315、各種センサ316、カメラ317等は不要である。
【0059】
図4に記載のROM402、RAM403、磁気ディスク405、光ディスク407などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU401が所定のプログラムを実行することによって、図1の取得部101、経路決定部102の機能を実現する。また、図4の通信I/F414を用いて、図1の提示部103の機能の一部(案内経路をユーザのナビゲーション装置300に送信する機能)を実現できる。
【0060】
図4に記載のサーバ400が案内経路を図3のナビゲーション装置300に送信する構成の場合、例えば、ナビゲーション装置300は、経路探索機能を有さず、サーバ400に対して経路探索に必要な現在地や目的地等の経路探索要求を送信する機能と、サーバ400から受信する上記イベント対応の案内経路を表示(提示)する機能だけを有する簡易機能としてもよい。また、ナビゲーション装置300が通常の経路探索にかかる処理を実行する構成の場合でも、特にハードウェア等の追加等を行わずに上記イベント対応の案内経路を受信し表示(提示)することができる。
【0061】
(提示装置の提示処理例)
つぎに、提示装置100としてサーバ400を用い、サーバ400が上述した案内経路をユーザ(ナビゲーション装置300)に送信する処理例について説明する。
【0062】
図5は、実施例のサーバが保持する参加者行動予測情報の一例を示す図表である。経路決定部102は、経路探索時に、図5に記載した参加者行動予測情報500を参照して上述した案内経路を決定する。例えば、現在地と目的地に基づく経路を探索するが、この探索した経路上をイベントの開催時期に開催範囲を通過する経路がある場合、この経路を案内するか否かを参加者行動予測情報500を参照して決定する。
【0063】
経路決定部102が記憶保持する参加者行動予測情報500は、VICS等から取得したイベント情報であるイベント種別501と、付随情報502とを含む。付随情報502は、開催日時および時間帯と、開催範囲の道路規制情報(通行止め等)である。
【0064】
図5に示す例の参加者行動予測情報500では、イベント種別501と付随情報502とに基づいて生成された開始前予測情報511と、イベント中予測情報512と、終了後予測情報513の各情報が各イベントに関連付けられている。経路決定部102は、この参加者行動予測情報500を記憶保持する。
【0065】
参加者行動予測情報500の開始前予測情報511と、イベント中予測情報512と、終了後予測情報513は、それぞれイベント種別501と、付随情報502からなるイベント種別毎の開催日時(開催時間帯)における開催範囲内の道路(評価対象道路)の混雑状況を示す情報である。
【0066】
例えば、イベント種別501「祭り」では、開始前予測情報511の情報は、開催時間帯前(開始時間前の所定期間)における開催範囲での混雑が「順調(混雑なし)」であることを示す。また、イベント中予測情報512の情報は、開催時間帯内における開催範囲での混雑が「混雑」であることを示す。また、終了後予測情報513は、開催時間帯後(終了時間後の所定期間)における開催範囲での混雑が「混雑」であることを示す。
【0067】
これら参加者行動予測情報500の開始前予測情報511と、イベント中予測情報512と、終了後予測情報513は、それぞれイベント開催時間帯に応じた現在の混雑の状況である。経路決定部102は、イベントの開催時間帯(前後を含め)にイベントの開催範囲を走行する車両(例えば、プローブ車としてのナビゲーション装置300等)から送信された道路の混雑状況を取得して生成する。
【0068】
そして、経路決定部102は、ユーザからの経路探索の要求時に、参加者行動予測情報500に基づき、イベント情報(イベント種別501と付随情報502)と、開始前予測情報511、イベント中予測情報512、終了後予測情報513のいずれかの情報に基づいて、探索経路の一部がイベント開催時間帯中にイベントの開催範囲を通過する場合、ユーザに提示する案内経路としてイベントの開催範囲を通過するか否か(回避するか)を決
定する。
【0069】
また、経路決定部102は、過去に開催されたイベント情報を参照し、イベント種別501の属性一致(例えば、同様のイベント種別501)に基づいて、過去のイベント情報の開始前予測情報511「例えば、順調」と、イベント中予測情報512「混雑」と、終了後予測情報513「混雑」を生成してもよい。
【0070】
また、各イベント情報(イベント種別)501毎に開催範囲の大きさによってイベント開始後の渋滞時間を決定したり、イベント種別毎に開始前予測情報511および終了後予測情報513のそれぞれの期間を生成(例えば30分、あるいは1時間とする)できる。
【0071】
また、図5の参加者行動予測情報500には示していないが、この参加者行動予測情報500には、さらに上述した開始前および開始後で複数段階の時間帯(外時間帯)別の混雑の予測情報を保持してもよい。また、開催範囲内の道路(評価対象道路)について、イベントの種類別に、全て均一の通過コスト(通りやすさの度合い)とした設定(参加者行動予測情報)の情報や、開催範囲の中心部と周辺部の通過コストが異なる設定の情報を保持してもよい。さらに、イベントの種類に応じてイベントの開催範囲の大きさを変更した影響範囲の情報を保持してもよい。さらに、イベントの時間帯別に開催範囲へ出入りの方向別の進入コスト(出入りのしやすさの度合い)の情報を保持してもよい。
【0072】
(サーバによる案内情報の提示処理)
図6は、実施例のサーバとナビゲーション装置からなるシステムによる案内情報の提示の処理を説明する図である。サーバ400は、各地域A~nで行われるイベント情報を収集する。各地域A~nの大きさは、イベントの開催範囲に応じて設定され、少なくともイベントの開催範囲Saより大きな範囲で設定しておく。
【0073】
サーバ400の取得部101は、例えば、各地域A~nのイベントの開催範囲Sa~Snに位置する車両602に設けられたナビゲーション装置300から各イベントの開催時期の道路の混雑状態を各車両602から取得する。車両602は、位置と混雑状況(例えば、走行速度)を経時的にサーバ400に送信する(情報をサーバ400に送信するプローブ車両として機能する)。
【0074】
また、サーバ400の取得部101は、VICS(情報センター)601等に通信接続して、イベント情報を取得する。
【0075】
サーバ400の経路決定部102は、データベース102aを有し、各車両602から取得した各地域A~n別の混雑状況をイベント開催時期毎に収集してデータベース102aに格納する。そして、サーバ400は、イベント毎のイベント情報と、各地域A~n別の混雑状況とに基づいて、上記の参加者行動予測情報500を生成し、データベース102aに格納する。
【0076】
これにより、データベース102aには、過去に開催されたイベント毎の参加者行動予測情報500が格納保持されるとともに、現在開催されているイベントについて最新の混雑状況を反映した参加者行動予測情報500が格納されていく。
【0077】
そして、ある車両612(ナビゲーション装置300)のユーザから経路案内がサーバ400に要求されたとする。この車両612では、現在地と目的地等の位置情報をサーバ400に送信する。これによりサーバ400の経路決定部102は、車両612の経路を経路探索する。
【0078】
そして、経路決定部102による経路探索時、車両612の経路の一部があるイベント(図6の例では地域Bのイベント開催範囲Sb)を通過する場合、経路決定部102は、参加者行動予測情報500を参照して車両612に提示する案内経路Rを決定し、車両612のナビゲーション装置300に送信する。この案内経路Rは、上述したように、イベントの開催範囲を通過する経路であったり、回避する経路であったりする。
【0079】
車両612のナビゲーション装置300は、サーバ400から送信された案内経路Rを表示等によりユーザに提示する。これにより、ユーザは、経路探索の要求時にイベントの開催範囲や開催時期等を考慮せずとも、サーバ400から提示された案内経路Rにしたがった走行を行うことで、イベントによる渋滞の影響を受けずに目的地まで走行することができるようになる。
【0080】
図7は、実施例のサーバが実行する案内情報の提示処理例を示すフローチャートである。はじめに、ユーザの装置(例えば、ナビゲーション装置300)からサーバ400に対し、現在地と目的地を含む経路探索要求がなされると、サーバ400は経路探索処理を開始する(ステップS701)。
【0081】
経路探索時、サーバ400(経路決定部102)は、VICS(情報センター)601やイベントの開催範囲付近の車両等からイベントの開催範囲での道路の混雑状況を取得し、該当するイベントの参加者行動予測情報500を生成する。そして、サーバ400は、この参加者行動予測情報500に基づき、探索した経路を通過する際のイベントの開催範囲内の道路(評価対象道路)の混雑状況を判断する。図7の例では、サーバ400(経路決定部102)は、参加者行動予測情報500を参照して、イベントの開催範囲内の評価対象道路が混雑範囲外であるか、あるいは混雑時間帯外であるかを判断する(ステップS702)。
【0082】
なお、ユーザによる経路探索時、ユーザの車両は、実際にはイベントの開催範囲に到達していない。サーバ400は、経路探索時に、ユーザの車両がイベントの開催範囲付近を通過する際の通過時刻を求める。そして、サーバ400は、この通過時刻におけるイベントの開催範囲内の道路(評価対象道路)の混雑状況を判断する(ステップS703)。
【0083】
サーバ400(経路決定部102)は、ステップS703による判断では、通過時刻におけるイベントの開催範囲内の道路(評価対象道路)が混雑していない場合(ステップS703:Yes)、あるいは混雑している場合(ステップS703:No)のいずれかを判断する。例えば、評価対象道路が混雑範囲外であるか、または混雑時間帯外であれば混雑していない(ステップS703:Yes)と判断される。また、評価対象道路が混雑範囲内であるか、または混雑時間帯内である場合には混雑している(ステップS703:No)と判断する。
【0084】
そして、サーバ400(経路決定部102)は、ステップS703の判断結果がYesの場合、イベント開催範囲を通過する際の混雑の影響を考慮しなくて済むため、イベント開催に伴う評価対象道路のコスト変更を行わずに、経路探索する(ステップS704)。
【0085】
一方、サーバ400(経路決定部102)は、ステップS703の判断結果がNoの場合、イベント開催範囲を通過する際の混雑の影響を考慮する必要があるため、イベント開催に伴う評価対象道路に対して混雑の度合いに対応してコストを増加させ(ステップS705)、この評価対象道路に対するコスト増加の変更分を含めて、ステップS704による経路探索を実行する。
【0086】
ステップS704までの処理は、ユーザの現在地から目的地までの経路上について、道
路(リンク)毎に実行され、サーバ400(経路決定部102)は、探索した経路が目的地まで到達したか判断する(ステップS706)。
【0087】
探索した経路が目的地まで到達した場合(ステップS706:Yes)、サーバ400(経路決定部102)は、探索した経路全体のコストを評価し(ステップS708)、経路探索を終了する(ステップS709)。以上により、サーバ400(経路決定部102)は、探索した経路を案内経路Rとしてユーザに提示する。この際、サーバ400は、ユーザのナビゲーション装置300に対して通信により案内経路Rを送信し、ナビゲーション装置300は、受信した案内経路Rを表示等によりユーザに提示する。また、探索した経路が目的地まで到達していない場合(ステップS706:No)には、次の評価対象道路(リンク)を地図DBから取得し(ステップS707)、ステップS703に戻る。
【0088】
ユーザに提示する案内経路Rは、ステップS708により評価したコストに基づき、時間や距離別の複数の経路候補を含んでおり、ユーザは経路候補のなかから時間や距離別の案内経路Rを選択することができる。
【0089】
(案内経路Rの表示例)
図8は、実施例による案内情報の提示例を示す図である。図8に示す案内情報は、ユーザのナビゲーション装置300が表示するイベントの開催範囲付近の地図画面である。図示のように、地図画面上には、道路とともに、イベントの開催範囲Sbが表示され、サーバから受信した案内経路Rが表示される。また、イベントの種別等、どのようなイベントであるかの情報を文字等で表示させてもよい。
【0090】
図8に示す例では、イベントの開催期間中に開催範囲内を通過する案内経路Rとなっている。このイベント種別は、図5に示した「鑑賞/観戦」であり、イベント中予測情報512が示す混雑状況が「順調」であるため、時刻19時の時点で開催中のイベントの開催範囲Sbを通過する経路となっている。なお、開催期間内においても、図5の参加者行動予測情報500に示したように、イベント種類別に開催範期間中の開催範囲内の混雑状況は異なるため、イベント種類別に案内経路Rが異なることになる。
【0091】
これにより、イベントの開催期間中であれば、従来、イベントの開催範囲Sbを回避する経路を案内していたが、例えば、図8に示したように、イベントの開催時期と通過時刻とに基づき、イベントの開催期間中にイベントの開催範囲Sbを通過する経路を案内経路Rとしてユーザに提示することができる。この場合、ユーザは、不要な回避を行うことなく、目的地まで時間や距離などを節約して効率的に到達できるようになる。
【0092】
また、上記例に限らず、サーバ400(経路決定部102)は、参加者行動予測情報500に格納されている他の情報を用いてさらに細かく案内経路Rを決定できる。例えば、参加者行動予測情報500として、さらに、イベントの開始前の外時間帯1(開始前1時間未満)の混雑大、外時間帯2(開始前1時間以上2時間未満)の混雑小、外時間帯3(開始前2時間以上)の混雑なし(順調)、との情報があれば、これを参照して、各外時間帯に開催範囲内の道路(評価対象道路)を通過する場合の案内経路Rの内容を変更することができる。
【0093】
さらには、サーバ400(経路決定部102)は、参加者行動予測情報500に格納された他の情報として、開催範囲内の道路(評価対象道路)について、イベント種類別に全て均一の通過コストとしたり、開催範囲の中心部と周辺部とで異なる通過コストとした設定を参照して、開催範囲内の道路(評価対象道路)を通過する場合の案内経路Rの内容を変更することができる。
【0094】
図9は、実施例による案内情報の他の提示例を示す図である。上記の実施例では、図8に示したように、イベントの開催範囲については、VICS(情報センター)601等から取得した開催範囲をそのまま用いてユーザに提示する構成とした。図9に示す例では、イベントの開催範囲Sbだけではなく、イベントの開催時間毎に変化する渋滞発生予測地域である影響範囲Sbaを表示する例である。例えば、開催範囲Sbと影響範囲Sbaは、表示色が異なったり、表示の透過度を変えることで同時に表示させてもよい。
【0095】
イベントは、開催時間を基準として、開催範囲Sbに出入りする参加者により渋滞発生予測地域Sbaが変化する。図9に示す例では、イベントの開催時刻(終了時刻16時)直後の現在時刻(16:10)の場合である。このようにイベントの開催が終了した直後の時刻においては、イベントの開催範囲Sbから多数のイベントの参加者が外に向けて移動する。このような場合、サーバ400(経路決定部102)は、イベントの開催範囲Sbよりも外方に所定ブロック(例えば、1ブロック)広い範囲を渋滞発生予測地域を意味する影響範囲Sbaとする。
【0096】
サーバ400は、この影響範囲の情報を図5に示す参加者行動予測情報500のうち、該当するイベント種別「パレード」の付随情報として保持する。そして、サーバ400(経路決定部102)は、経路探索時にイベントの影響範囲Sbaを評価対象道路として経路探索する。これにより、従来は、イベントの開催範囲Sbだけを回避する経路を案内していたが、実施例によれば、イベントの開催時期と通過時刻とに基づき、図9の例に示すように、イベントの開催期間前後での影響範囲Sbaに含まれる経路を通過するか否かを決定する。
【0097】
また、イベントの開催時刻を基準として開始前には、開催範囲Sbに入る参加者が多く、終了後には開催範囲Sbから出る参加者が多い。例えば、サーバ400(経路決定部102)は、開催時刻の開始前では影響範囲Sbaに入る方向の道路(リンク)の進入コストを高くし(入りづらい)、影響範囲Sbaから出る方向の道路(リンク)の進入コストを低くし(出やすい)、経路探索する。また、サーバ400(経路決定部102)は、開催時刻の終了後では影響範囲Sbaに入る方向の道路(リンク)の進入コストを低くし(入りやすい)、影響範囲Sbaから出る方向の道路(リンク)の進入コストを高くし(出にくい)、経路探索する。これらの進入コストは、参加者行動予測情報500に含めて保持しておくことができる。
【0098】
上記によれば、イベントの開催期間内および開催期間外であるイベント開始前およびイベント終了後のイベント参加者の移動に基づきイベントの影響エリアが開催範囲より大きくなることを考慮した経路を提示することができるようになる。これにより、ユーザは、開催時刻開催前後に開催範囲付近を通過する場合でも目的地まで時間や距離などを節約して効率的に到達できるようになる。
【0099】
以上のように、この発明によれば、イベントの種類に基づいて、イベントの開催期間や開催範囲を考慮した案内経路を提示できるようになる。これにより、イベントの開催範囲を混雑なく通過できる場合には、開催範囲を回避しない経路をユーザに提示できるようになる。
【0100】
また、イベント開始前およびイベント終了後のイベント参加者の移動に基づきイベントの影響エリアが開催範囲より大きくなることを考慮した経路を提示することができるようになる。
【0101】
また、上記の実施例では、ユーザがナビゲーション装置を用いて案内情報をサーバから受信する構成としたが、他のスマートフォンなどを用いて案内情報を受信することもでき
る。また、実施例では、経路探索および案内情報の生成をサーバが行う構成としたが、サーバを設けずに、ナビゲーション装置が上述したサーバの機能を有し、ナビゲーション装置が経路探索および案内情報の生成およびユーザへの提示を行う構成としてもよい。
【0102】
なお、本実施の形態で説明した提示方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0103】
100 提示装置
101 取得部
102 経路決定部
102a データベース
103 提示部
300 ナビゲーション装置
400 サーバ
500 参加者行動予測情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9