(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015991
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】高電圧アーク消去システムおよび高電圧アーク消去システムを備える電気スイッチングデバイス
(51)【国際特許分類】
H01H 9/44 20060101AFI20240130BHJP
H01H 9/36 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H01H9/44 A
H01H9/36
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023117921
(22)【出願日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】22398016.0
(32)【優先日】2022-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516028495
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス コンポーネンテス エレクトロメカニコス エリデーアー
(71)【出願人】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】チアゴ テイシェイラ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューゴ フォンテス
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ゴレー
【テーマコード(参考)】
5G027
【Fターム(参考)】
5G027AA03
5G027BA07
5G027BB03
5G027BC03
5G027BC18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、電気スイッチングデバイスの少なくとも1つのコンタクト対間のアークを抑制するためのアーク消去システムを提供する。
【解決手段】アーク消去システムは、コンタクト対で発生したアーク放電を専用のアークシュートに向けて磁気的に吹くことによって、スイッチングデバイスの動作の優先的な極性に直接相関してアーク抑制を強化する。アークシュートは、アーク放電の1つの所与の方向について発生したローレンツ力の方向に相対的に配置される。その結果、磁気的に支援されたアーク消去によってもたらされる利点に加えて、各コンタクト対で発生したアーク放電を受けて消滅させるのに、コンタクト対ごとに1つのアークシュートのみが必要であるため、スイッチングデバイスに設けられるアークシュートの数を最小にすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気スイッチングデバイスの少なくとも1つのコンタクト対間のアークを抑制するためのアーク消去システムであって、各コンタクト対は、静止コンタクトおよび可動コンタクトを有し、前記可動コンタクトは、前記可動コンタクトが前記静止コンタクトに接触する閉状態と、前記可動コンタクトが前記静止コンタクトから前記可動コンタクトと前記静止コンタクトとの相対移動の方向に間隙によって離隔される開状態との間で、前記静止コンタクトに対して可動であり、前記アーク消去システムは、
少なくとも1つのアーク消滅ユニットであって、1つのアーク消滅ユニットが前記少なくとも1つのコンタクト対のそれぞれに設けられて、対応するコンタクト対の前記閉状態から前記開状態へのスイッチング動作時に発生するアーク放電を消滅させる、アーク消滅ユニットと、
それぞれの所定の磁場方向に沿った、各コンタクト対の間隙領域を横切る磁力線を有する磁場を生じさせるように構成されている少なくとも1つのアークブロー磁気ユニットと
を備え、
前記少なくとも1つのアークブロー磁気ユニットは、それぞれの前記コンタクト対の前記静止コンタクトの好ましい電気極性と関連するアーク消滅ユニットの位置とに基づいて予め定められた向きの前記磁力線を生じさせて、前記それぞれのコンタクト対の前記間隙領域で発生したアーク放電を前記コンタクト対に関連する前記アーク消滅ユニットに向けて磁気的に吹くように構成されている、
アーク消去システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコンタクト対は、前記相対移動の方向に対して横方向である長手方向に沿って互いに隣接して配置された、第1のコンタクト対と第2のコンタクト対とを含み、
前記少なくとも1つのアークブロー磁気ユニットは、前記所定の磁場方向に沿った、前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対の前記間隙領域を横切る磁力線を有する前記磁場を生じさせるように構成されている1つのアークブロー磁気ユニットを含み、
前記アークブロー磁気ユニットは、前記所定の磁場方向が前記長手方向に平行であるように、前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対に対して配置されるように構成され、かつ/または、
前記少なくとも1つのアーク消滅ユニットは、前記第1のコンタクト対に対向して位置するように構成されている第1のアーク消滅ユニットと、前記第2のコンタクト対に対向して位置するように構成されている第2のアーク消滅ユニットとを含み、前記第1のアーク消滅は、前記相対移動の方向に沿って前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対を横切る、前記長手方向に平行な対称面の一側に配置される、
請求項1に記載のアーク消去システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコンタクト対は、前記相対移動の方向に対して横方向である長手方向に沿って互いに隣接して配置された、第1のコンタクト対と第2のコンタクト対とを含み、
前記少なくとも1つのアークブロー磁気ユニットは、
前記第1のコンタクト対の間隙の領域内で第1の所定の磁場方向に沿った磁力線を有する第1の磁場を生じさせるように構成されている第1のアークブロー磁気ユニットと、
前記第2のコンタクト対の間隙の領域内で第2の所定の磁場方向に沿った磁力線を有する第2の磁場を生じさせるように構成されている第2のアークブロー磁気ユニットと
を含み、
前記第2のアークブロー磁気ユニットは前記第1のアークブロー磁気ユニットから離れ、かつ/または、
前記少なくとも1つのアーク消滅ユニットは、前記第1のコンタクト対に対向して位置するように構成されている第1のアーク消滅ユニットと、前記第2のコンタクト対に対向して位置するように構成されている第2のアーク消滅ユニットとを含み、前記第1のアーク消滅は、前記相対移動の方向に沿った、前記長手方向に対して横方向である、前記第1のコンタクト対と前記第2のコンタクト対との間の対称面の一側に配置される、
請求項1に記載のアーク消去システム。
【請求項4】
前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対の前記静止コンタクトは、相反する極性を有し、
前記第2のコンタクト対に関連する前記第2のアーク消滅ユニットは、前記第1のコンタクト対に関連する前記第1のアーク消滅ユニットが位置する側とは反対の対称面の側に位置する、
請求項2または3に記載のアーク消去システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアーク消滅ユニットのそれぞれは、互いに平行に配置された、前記アーク放電の電圧を前記アーク消滅ユニットにわたって分割するように構成されている複数の分割ブレードを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のアーク消去システム。
【請求項6】
前記複数の分割ブレードは、複数のL字形の板であり、前記L字の短い脚部が関連するコンタクト対の前記間隙領域に向かって突出する向きになるように配置され、
前記複数の分割ブレードはさらに、前記相対移動の方向に対して横方向に配置されている、
請求項5に記載のアーク消去システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアーク消滅ユニットのそれぞれは、分割ブレードと前記それぞれのコンタクト対の前記静止コンタクトが取り付けられる前記スイッチングデバイスの端子との直接の電気接続を行うように構成されている電気コンタクト要素を含み、かつ/または、
各アーク消滅ユニットは、前記それぞれのコンタクト対の前記間隙領域に対向して位置する、
請求項5または6に記載のアーク消去システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアークブロー磁気ユニットのそれぞれは、第1の永久磁石と第2の永久磁石とを含み、
前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石は、前面が互いに対向する状態で配置されて、前記関連するコンタクト対の前記間隙領域内の磁束線が、前記所定の磁場方向に沿って前記第1の永久磁石の前記前面から前記第2の永久磁石の前記前面に向かって流れるようになっている、
請求項1から7のいずれか一項に記載のアーク消去システム。
【請求項9】
前記アークブロー磁気ユニットは、前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石が取り付けられる磁束フレームをさらに含み、
前記磁束フレームは、前記第2の永久磁石の後面から前記第1の永久磁石の後面に流れる磁力線の磁束経路を提供するように構成されている、
請求項8に記載のアーク消去システム。
【請求項10】
前記磁束フレームは、中央板と前記中央板の左側および右側からそれぞれ延びる2つの伸長アームとによって画定されたU字形を有する板であり、
前記中央板は、前記磁束フレームを前記スイッチングデバイスのシャーシに取り付けるように構成され、
前記磁束フレームが前記スイッチングデバイスの前記シャーシに取り付けられたときに、前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石はそれぞれ、前記磁束フレームの前記伸長アームに、前記中央板から、前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石を前記それぞれのコンタクト対の前記間隙領域に位置合わせして配置するように適合されている距離をおいて配置されている、
請求項9に記載のアーク消去システム。
【請求項11】
前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石の磁気分極は、生じた磁力線が前記それぞれのコンタクト対の前記間隙領域内で前記第1の永久磁石から前記第2の永久磁石に向けられるように、前記それぞれの静止コンタクトの前記好ましい電気極性について設定された向きに従って選択される、
請求項8から10のいずれか一項に記載のアーク消去システム。
【請求項12】
電気スイッチングデバイスであって、
前記電気スイッチングデバイスの長手方向に沿って互いに隣接して配置された第1のコンタクト対および第2のコンタクト対を備え、
前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対のそれぞれは、静止コンタクトおよび可動コンタクトを含み、前記可動コンタクトは、前記可動コンタクトが前記静止コンタクトに接触する閉状態と、前記可動コンタクトが前記静止コンタクトから前記可動コンタクトと前記静止コンタクトとの相対移動の方向に間隙によって離隔される開状態との間で、前記静止コンタクトに対して可動であり、
前記電気スイッチングデバイスは、
請求項1から11のいずれか一項に記載のアーク消去システムを備え、
前記アーク消去システムは、前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対に位置合わせして配置されて、前記少なくとも1つのアークブロー磁気ユニットが、前記それぞれの所定の磁場方向に沿った、各コンタクト対の前記間隙領域を横切る磁力線を有する前記磁場を生じさせ、
各アーク消滅ユニットが、前記それぞれのコンタクト対に対向して位置する、
電気スイッチングデバイス。
【請求項13】
前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対の前記静止コンタクトにそれぞれ接続された第1の端子と第2の端子とをさらに備え、
前記第1の端子および前記第2の端子は、前記スイッチングデバイスの動作の好ましい極性に従って、前記スイッチングデバイスを外部電位または負荷回路に電気的に接続するように構成されている、
請求項12に記載の電気スイッチングデバイス。
【請求項14】
前記スイッチングデバイスは、コンタクタまたは高電圧リレーである、請求項12または13に記載の電気スイッチングデバイス。
【請求項15】
前記電気スイッチングデバイスおよび前記アーク消去システムには、前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対間のアーク放電を前記関連するアーク消滅ユニットに向けて直接案内するためのガイドランナがない、
請求項12から14のいずれか一項に記載の電気スイッチングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーク抑制の分野に関し、より詳細には、コンタクタおよび高電圧リレーなどの、高負荷下で動作するように設計されているスイッチングデバイスのコンタクト間のアークを抑制するためのアーク消去システム(arc quenching system)、およびアーク消去システムを備えるスイッチングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクタおよび高電圧リレーなどの電気スイッチングデバイスは、車両、電力バッテリを充電するための機器、工業設備などの、高電力を負荷回路に安全に供給することが必要な広範囲の用途において広く使用されている。
【0003】
一般的な構成のコンタクタまたはリレーは、通常、可動コンタクトと、それぞれの静止コンタクトとを含み、これらのコンタクトは、負荷回路への電力供給経路を閉じることによって、通常の電力供給動作中に互いに直接接触したままになる。可動コンタクトが静止コンタクトから離れると、コンタクタまたはリレーが開くことにより、電力供給経路を遮断する。しかしながら、可動コンタクトおよび静止コンタクトを流れるまたは流れる予定の高電流により、コンタクタもしくは高電圧リレーを開くかつ/または閉じるときに、可動コンタクトと静止コンタクトとの間の分離間隙にわたって、高電流放電(またはアーク電流)が依然として発生することがある。
このために、アーク電流を抑制(または消去)し、スイッチングデバイスおよび負荷回路をアーク放電の悪影響から保護するための安全機構を、そのようなスイッチングデバイスに含むことが一般的である。例えば、アークを遮断するためのアークシュートが、アークをアークシュートに直接案内して送るガイドランナと組み合わせて広く使用されている。
【0004】
アーク抑制のための安全なシステムの効率および信頼性の重要なパラメータは、接触距離(すなわち、開状態における可動コンタクトとそれぞれの静止コンタクトとの間の距離)および予想電圧降下である。例えば、800Vの電圧負荷で動作する高電圧コンタクタは、低電圧で動作するリレーよりも、アークを遮断するための大きい接触距離を必要とし得る。しかしながら、接触距離の増加は、リレーの全体的なサイズが大きくなることだけでなく、可動コンタクトを開状態から閉状態に戻すためのより大きい接触距離をカバーするために、可動コンタクトの移動を担うアクチュエータがより頑丈でなければならないことも意味する。例えば、電磁リレーの場合、大きい接触距離のリレーを閉じるために十分に頑丈なコイル誘起磁気アクチュエータを実装することは、実現不可能であり得る。
【0005】
したがって、増加する高電圧負荷下で動作可能であり、同時にサイズがコンパクトである安全な機器が常に必要であることを考慮して、可動コンタクトと静止コンタクトとの間の物理的分離を増加させることのみに依拠する他の要因によりアーク抑制を強化するために、いくつかの手法が試みられている。例えば、接触電圧を2つに分割するブリッジ手法が使用されている。しかしながら、コンタクトごとのアーク放電は、一般的なコンタクトおよびリレーで使用される接触距離で遮断するには依然として十分に強力であるか、または難しい。さらに、この解決策は、依然として、リレーが広範囲の高電圧のアークを小さい接触距離で遮断できないという問題を有する。
【0006】
別の手法は、磁気アーク抑制を使用して、短縮された接触距離を補償し、小さい接触距離を使用しながら、同じまたは強化されたアーク抑制の実現を助けることに依拠している。この手法は、アーク電流を伸長アーク長(extended arc length)に沿って変位させるのに十分に強力な磁場を、可動コンタクトと静止コンタクトとの間の領域に生じさせることのできる磁石を追加することによって、アークがコンタクト間で移動しなければならない経路を延長することに基づく。それにより、この延長経路が、その経路を乗り越えるために使用可能なエネルギーよりも大きい場合に、アーク抑制の強化を実現することができる。しかしながら、この手法にはいくつかの制限がある。例えば、アーク抑制に対する必要な強化された効果を実現するために必要とされる磁石のサイズは、コンタクタまたは高電圧リレーのコンパクト性に悪影響を与え得る。安価に入手可能な磁石は、必要なアーク抑制を実現するために必要とされる強度を有していないことがある。
【0007】
したがって、ますます高くなる電圧で動作する電気機器を常に開発することを考慮して、スイッチングデバイスのコンパクト性および全体的なコストについて妥協することなく、電気スイッチングデバイスに強化された高電圧アーク抑制を提供することのできる解決策が依然として必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術の短所および欠点を考慮してなされたものであり、その目的は、サイズのコンパクト性および全体的なコストについて妥協することなく、強化された高電圧アーク抑制を提供することのできる、アーク消去システムおよび電気スイッチングデバイスを提供することである。本発明のさらなる目的は、所与の高電圧負荷について効果的なアーク抑制を提供するために、間隙領域の幅を過度に変化させる必要なく、アーク放電経路を延長し、アーク放電経路をスイッチングデバイスのコンタクト間の間隙領域から逸らすことのできる構造を有するアーク消去システム、およびアーク消去システムを備えるスイッチングデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、添付の独立請求項の主題によって解決される。本発明の有利な実施形態は、添付の従属請求項の主題である。
【0010】
本発明の基礎となる概念は、アークを放電ゾーンからコンタクト対の近くに位置するアークシュートに向けて磁気的に吹いて(すなわち逸らして)アークを遮断することのできる磁気機構を追加することによって、電気スイッチングデバイスの可動コンタクトと静止コンタクトとの間に発生するアークを効率的に抑制することのできる、高電圧アーク消去の解決策を提供することに基づく。
【0011】
本発明によれば、電気スイッチングデバイスの少なくとも1つのコンタクト対間のアーク(少なくとも1つのコンタクト対を横切る(またぐ)アーク、arc across at least one contact pair)を抑制するためのアーク消去システムであって、各コンタクト対は、静止コンタクトおよび可動コンタクトを有し、可動コンタクトは、可動コンタクトが静止コンタクトに接触する閉状態と、可動コンタクトが静止コンタクトから可動コンタクトと静止コンタクトとの相対移動の方向に間隙によって離隔される開状態との間で、静止コンタクトに対して可動であり、アーク消去システムは、少なくとも1つのアーク消滅ユニットであって、1つのアーク消滅ユニットが少なくとも1つのコンタクト対のそれぞれに設けられて、対応するコンタクト対の閉状態から開状態へのスイッチング動作時に発生するアーク放電を消滅させる、アーク消滅ユニットと、それぞれの所定の磁場方向に沿った、各コンタクト対の間隙領域を横切る磁力線を有する磁場を生じさせるように構成されている少なくとも1つのアークブロー磁気ユニット(arc-blowing magnetic unit)とを備え、少なくとも1つのアークブロー磁気ユニットは、それぞれのコンタクト対の静止コンタクトの好ましい電気極性と関連するアーク消滅ユニットの位置とに基づいて予め定められた向きの前記磁力線を生じさせて、それぞれのコンタクト対の間隙領域で発生したアーク放電を前記コンタクト対に関連するアーク消滅ユニットに向けて磁気的に吹く(磁気で吹き飛ばす、magnetically blow)ように構成されている、アーク消去システムが提供される。
【0012】
さらなる発展において、少なくとも1つのコンタクト対は、相対移動の方向に対して横方向である長手方向に沿って互いに隣接して配置された、第1のコンタクト対と第2のコンタクト対とを含み、少なくとも1つのアークブロー磁気ユニットは、前記所定の磁場方向に沿った、第1のコンタクト対および第2のコンタクト対の間隙領域を横切る磁力線を有する前記磁場を生じさせるように構成されている1つのアークブロー磁気ユニットを含み、アークブロー磁気ユニットは、所定の磁場方向が長手方向に平行であるように、第1のコンタクト対および第2のコンタクト対に対して配置されるように構成され、かつ/または、少なくとも1つのアーク消滅ユニットは、第1のコンタクト対に対向して位置するように構成されている第1のアーク消滅ユニットと、第2のコンタクト対に対向して位置するように構成されている第2のアーク消滅ユニットとを含み、第1のアーク消滅は、相対移動の方向に沿って第1のコンタクト対および第2のコンタクト対を横切る、前記長手方向に平行な対称面の一側に配置される。
【0013】
さらなる発展において、少なくとも1つのコンタクト対は、相対移動の方向に対して横方向である長手方向に沿って互いに隣接して配置された、第1のコンタクト対と第2のコンタクト対とを含み、少なくとも1つのアークブロー磁気ユニットは、第1のコンタクト対の間隙の領域内で第1の所定の磁場方向に沿った磁力線を有する第1の磁場を生じさせるように構成されている第1のアークブロー磁気ユニットと、第2のコンタクト対の間隙の領域内で第2の所定の磁場方向に沿った磁力線を有する第2の磁場を生じさせるように構成されている第2のアークブロー磁気ユニットとを含み、第2のアークブロー磁気ユニットは第1のアークブロー磁気ユニットから離れ、かつ/または、少なくとも1つのアーク消滅ユニットは、第1のコンタクト対に対向して位置するように構成されている第1のアーク消滅ユニットと、第2のコンタクト対に対向して位置するように構成されている第2のアーク消滅ユニットとを含み、第1のアーク消滅は、相対移動の方向に沿った、前記長手方向に対して横方向である、第1のコンタクト対と第2のコンタクト対との間の対称面の一側に配置される。
【0014】
さらなる発展において、第1のコンタクト対および第2のコンタクト対の静止コンタクトは、相反する極性を有し、第2のコンタクト対に関連する第2のアーク消滅ユニットは、第1のコンタクト対に関連する第1のアーク消滅ユニットが位置する側とは反対の対称面の側に位置する。
【0015】
さらなる発展において、少なくとも1つのアーク消滅ユニットのそれぞれは、互いに平行に配置された、アーク放電の電圧をアーク消滅ユニットにわたって分割するように構成されている複数の分割ブレードを含む。
【0016】
さらなる発展において、複数の分割ブレードは、複数のL字形の板であり、L字の短い脚部が関連するコンタクト対の間隙領域に向かって突出する向きになるように配置され、複数の分割ブレードはさらに、相対移動の方向に対して横方向に配置されている。
【0017】
さらなる発展において、少なくとも1つのアーク消滅ユニットのそれぞれは、分割ブレードとそれぞれのコンタクト対の静止コンタクトが取り付けられるスイッチングデバイスの端子との直接の電気接続を行うように構成されている電気コンタクト要素を含み、かつ/または、各アーク消滅ユニットは、それぞれのコンタクト対の間隙領域に対向して位置する。
【0018】
さらなる発展において、少なくとも1つのアークブロー磁気ユニットのそれぞれは、第1の永久磁石と第2の永久磁石とを含み、第1の永久磁石および第2の永久磁石は、前面が互いに対向する状態で配置されて、関連するコンタクト対の間隙領域内の磁束線が、前記所定の磁場方向に沿って第1の永久磁石の前面から第2の永久磁石の前面に向かって流れるようになっている。
【0019】
さらなる発展において、アークブロー磁気ユニットは、第1の永久磁石および第2の永久磁石が取り付けられる磁束フレームをさらに含み、磁束フレームは、第2の永久磁石の後面から第1の永久磁石の後面に流れる磁力線の磁束経路を提供するように構成されている。
【0020】
さらなる発展において、磁束フレームは、中央板と中央板の左側および右側からそれぞれ延びる2つの伸長アームとによって画定されたU字形を有する板であり、中央板は、磁束フレームをスイッチングデバイスのシャーシに取り付けるように構成され、磁束フレームがスイッチングデバイスのシャーシに取り付けられたときに、第1の永久磁石および第2の永久磁石はそれぞれ、磁束フレームの伸長アームに、中央板から、第1の永久磁石および第2の永久磁石をそれぞれのコンタクト対の間隙領域に位置合わせして(一直線上に、in alignment with)配置するように適合されている距離をおいて配置されている。
【0021】
さらなる発展において、第1の永久磁石および第2の永久磁石の磁気分極は、生じた磁力線がそれぞれのコンタクト対の間隙領域内で第1の永久磁石から第2の永久磁石に向けられるように、それぞれの静止コンタクトの好ましい電気極性について設定された向きに従って選択される。
【0022】
本発明によれば、電気スイッチングデバイスであって、電気スイッチングデバイスの長手方向に沿って互いに隣接して配置された第1のコンタクト対および第2のコンタクト対を備え、第1のコンタクト対および第2のコンタクト対のそれぞれは、静止コンタクトおよび可動コンタクトを含み、可動コンタクトは、可動コンタクトが静止コンタクトに接触する閉状態と、可動コンタクトが静止コンタクトから可動コンタクトと静止コンタクトとの相対移動の方向に間隙によって離隔される開状態との間で、静止コンタクトに対して可動であり、電気スイッチングデバイスは、請求項1から11のいずれか一項に記載のアーク消去システムを備え、アーク消去システムは、第1のコンタクト対および第2のコンタクト対に位置合わせして配置されて、少なくとも1つのアークブロー磁気ユニットが、それぞれの所定の磁場方向に沿った、各コンタクト対の間隙領域を横切る磁力線を有する前記磁場を生じさせ、各アーク消滅ユニットが、それぞれのコンタクト対に対向して位置する、電気スイッチングデバイスがさらに提供される。
【0023】
さらなる発展において、電気スイッチングデバイスは、第1のコンタクト対および第2のコンタクト対の静止コンタクトにそれぞれ接続された第1の端子と第2の端子とをさらに備え、第1の端子および第2の端子は、スイッチングデバイスの動作の好ましい極性に従って、スイッチングデバイスを外部電位または負荷回路に電気的に接続するように構成されている。
【0024】
さらなる発展において、スイッチングデバイスは、コンタクタまたは高電圧リレーである。
【0025】
さらなる発展において、電気スイッチングデバイスおよびアーク消去システムには、第1のコンタクト対および第2のコンタクト対間のアーク放電を関連するアーク消滅ユニットに向けて直接案内するためのガイドランナがない。
【0026】
したがって、本発明は、アークをアークシュートに直接送る代わりに、ローレンツ力の原理に基づく磁気吹き効果を使用することによって、従来のスイッチングデバイスで一般的に使用されているような、アークをアークシュートに向けて案内するためのガイドランナの使用を不要にする。さらに、磁気吹き効果が、コンタクト対の可動コンタクトおよび静止コンタクト間のアーク経路を効果的に延長するため、同じ接触距離について、アーク抑制が強化される。アーク抑制の磁気的な強化に加えて、特許請求される本発明の追加の有利な効果は、実装するのに必要な空間が小さくなり、コンタクトの寿命が長くなり、接触電圧が増加し、さらには接触距離が短くなり得ることである。
【0027】
本発明を、アーク電圧耐性を高める必要のある任意の用途に使用することができる。特に、特許請求される本発明を、低抵抗コンタクタおよびリレー、バッテリ放電に対する保護機器、工業設備および電気自動車などの車両の電力機器において有利に使用することができる。
【0028】
添付図面は、本明細書に組み込まれ、本発明のいくつかの実施形態を示すために本明細書の一部を形成する。これらの図面は、明細書と共に、本発明の原理を説明する働きをする。図面は、本発明を製造および使用可能な好ましい例および代替例を示すことを目的とするものに過ぎず、本発明を図示し説明する実施形態のみに限定するものと解釈されるべきではない。さらに、実施形態のいくつかの態様は、個々にまたは異なる組合せで、本発明による解決策を形成することができる。したがって、以下に説明する実施形態を、単独でまたは任意の組合せで考慮することができる。
【0029】
添付図面に示す本発明の様々な実施形態の以下のより詳細な説明から、さらなる特徴および利点が明らかになろう。図中、同一の参照符号は同一の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態によるアーク消去システムおよびスイッチングデバイスの斜視図である。
【
図2】
図1に示す交線AA’に沿った(正のY方向に見た)
図1のスイッチングデバイスを通る断面を示す側断面図である。
【
図3】本発明の実施形態によるアーク消去システムのアークブロー磁気ユニットの斜視図である。
【
図4】
図3のアークブロー磁気ユニットによって可動コンタクトおよび静止コンタクトが配置される中間領域内で生じる磁場(B
mag)の磁力線の向き、スイッチングデバイスの2つのコンタクト対間でコンタクトブリッジに沿って流れる電流によって生じる磁場(B
Bridge)の方向、および各コンタクト対で発生するアーク柱によって生じる磁場(B
arc)の方向を概略的に示す図であり、各アーク柱に働く合成ローレンツ力(F)(resultant Lorenz force (F))は、各コンタクト対で発生したアーク放電に関連する電流の相反する方向に起因して、相反する方向を有する。
【
図5】本発明のさらなる実施形態によるアーク消去システムおよびスイッチングデバイスの斜視図である。
【
図6】
図5に示す線BB’に沿った(正のY方向に見た)
図5のスイッチングデバイスを通る断面の概略断面図である。
【
図7】本発明の実施形態による、コンタクト対の一対の静止コンタクトおよび可動コンタクトと、導電要素によって静止コンタクトの端子に直接接続されたアークシュートとを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下で、本発明の例示的な実施形態を示す図面を参照しながら、本発明についてより十分に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものになるように、かつ当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。
【0032】
図1は、本発明の実施形態による、スイッチングデバイス100およびスイッチングデバイス100のコンタクトアセンブリを保護するためのアーク消去システムの概略斜視図である。スイッチングデバイス100は、コンタクタ、高電圧リレーなどであってよい。スイッチングデバイスのコンタクトアセンブリを動作させるための電磁駆動機構、ハウジングなどのスイッチングデバイスの部品は、本発明によるアーク消去システムの機構の図示、およびその動作原理の説明を容易にするために、
図1では省かれている。参照を容易にするために、「コンタクタ」という用語は、以下の説明において、本発明の原理によるスイッチングデバイスを指すときに使用される。しかしながら、本開示は、高電圧リレーなどの他のタイプのスイッチングデバイスにも適用可能であることを理解されたい。
【0033】
図1に示すように、コンタクタ100は、コンタクタ100を外部電源および/または負荷回路(図示せず)のラインに接続し、接続を切るために、閉状態と開状態との間で切り替わるように動作可能なコンタクトのアセンブリを含む。詳細には、コンタクトアセンブリは、コンタクタ100の長手方向L(すなわち
図1のY方向)に沿って互いに隣接して配置された複数の静止コンタクト、例えば、図示の構成では2つの静止コンタクト102、104を含む。静止コンタクト102、104のそれぞれは、それぞれの端子106、108に配置され、これらの端子を通して、コンタクタ100は、電源機器および/または負荷(図示せず)の端子などの外部電位に接続される。コンタクト102、104は、コンタクタシャーシ130などのコンタクタ100の他の固定部分に対して移動しないという意味で、静止している。
【0034】
コンタクトアセンブリは、長手方向Lに沿って互いに隣接して配置された複数の可動コンタクト112、114(静止コンタクト102、112と同数であることが好ましい)をさらに含む。可動コンタクト112、114は、シャーシ130および静止コンタクト102、104に対して、静止コンタクト102、104および可動コンタクト112、114が配置される長手方向Lに直交する相対移動の方向Tに沿って、コンタクタ100の閉状態と開状態との間で移動することができる。可動コンタクト112、114のそれぞれは、静止コンタクト102、104のそれぞれに対向して配置され、位置合わせされることにより、それぞれのコンタクト対を形成する。
したがって、可動コンタクト112および静止コンタクト102の対などの各コンタクト対は、可動コンタクト102および静止コンタクト112が互いに直接接触したとき(閉状態)に電気経路を確立し、この電気経路は、可動コンタクト112を静止コンタクト102から相対移動の方向Tに離す動作時(開状態)に遮断される。開状態で、可動コンタクト112、114は、静止コンタクト102、104から相対移動の方向Tに所与の接触距離の間隙によって離隔される。
【0035】
可動コンタクト112、114は、長手方向Lに平行に延びるコンタクトブリッジ120に取り付けられることが好ましく、コンタクトブリッジ120は、可動コンタクト112、114をそれぞれの静止コンタクト102、104に直接接触させてコンタクト対を閉じ、または可動コンタクトと静止コンタクト102、104とを離してコンタクト対を開くスイッチング動作時に、駆動機構、例えば電磁ドライバ(図示せず)のアーマチュアの作動下で、静止コンタクト102、104に向かって、かつ静止コンタクト102、104から離れるように、相対移動の方向Tに沿って移動することができる。コンタクトブリッジ120は、可動コンタクト112、114を互いに電気的に接続するために導電性材料から形成されることが好ましい。
それにより、可動コンタクト112、114がそれぞれの静止コンタクト102、104に直接接触するとき、またはそれぞれの静止コンタクト102、104から分離されるときに、端子106から端子108へ、かつコンタクタ100にわたる電流経路を確立または遮断することができる。
図2に示すように、コンタクトブリッジ120を、ばね124を介してコンタクタ100のシャーシ130に固定することができ、これにより、コンタクトブリッジ120を相対移動の方向Tに開状態と閉状態との間で変位させることができる。
【0036】
前述したように、スイッチングデバイス100を開くスイッチング動作時に、各コンタクト対(例えば、
図1に示す対のコンタクト102、112および対のコンタクト104、114)の静止コンタクトおよび可動コンタクトの間の間隙にわたってアークが発生する。開状態で、各可動コンタクト112、114は、それぞれの静止コンタクト102、104から相対移動の方向Tに間隙によって分離される。接触距離とも呼ばれる方向Tの間隙の幅は、スイッチングデバイス100によって担持されるコンタクトアセンブリおよび高電圧負荷を取り囲む絶縁媒体などの、スイッチングデバイス100の特性および特定の用途に応じて決まる。絶縁媒体のみによりコンタクト間隙にわたってアークを抑制する能力は、接触距離が短くなり高電圧負荷が増加するとともに低下する。
したがって、アークを効果的に消滅させ、所与の接触距離および高電圧負荷についてスイッチングデバイス100に損傷を与えることを避けることのできるアーク消去システムを提供することが有利である。
【0037】
本発明は、アーク放電をコンタクトの間隙領域から、間隙領域に近接しているがコンタクト102、104、112、114が配置されるチャンバの外側に配置されたアーク消滅機構に向けて逸らして、アークを安全に消滅させるまたは消去するアーク消去システムを提供することによって、スイッチングデバイス100に損傷を与えるアーク放電を防ぐ。より詳細には、以下の実施形態で説明するように、アーク消去システムは、各コンタクト対の間隙領域に永久磁場を生じさせ、アーク経路を延長させることができるアークブロー磁気ユニットを設け、アーク経路に沿って、逸らされたアークを消滅させるためにコンタクトアセンブリ102、112、104、114の領域の外側に配置された専用のアーク消滅ユニットに向けて、アークを消滅させるという概念に基づく。
【0038】
図1を参照すると、コンタクタ100は、複数のアークブロー磁気ユニット140、150を含むアーク消去システムを有し、各アークブロー磁気ユニット140、150は、コンタクト対の静止コンタクトおよび可動コンタクト間で発生したアーク放電を磁気的に吹くために、それぞれのコンタクト対に対応している。詳細には、アーク消去システムは、第1の対のコンタクト102、112間の間隙にわたって発生したアーク放電を、それぞれの接触間隙から離れるように磁気的に吹くための第1のアークブロー磁気ユニット140と、第2の対のコンタクト104、114間の間隙にわたって発生したアーク放電を、それぞれの接触間隙から離れるように磁気的に吹くための第2のアークブロー磁気ユニット150とを有する。言い換えると、この構成では、アーク消去システムは、アーク放電から保護すべきコンタクト対の数に対応するいくつかのアークブロー磁気ユニットを備える。
【0039】
アークブロー磁気ユニット140、150は、コンタクタシャーシ130に固定され、コンタクトアセンブリの長手方向Lに沿って離隔されて配置され、それぞれ関連するコンタクト対の位置に位置合わせされる。複数のアークブロー磁気ユニット140、150のそれぞれは、対応するコンタクト対の間隙領域に永久磁場を生じさせるように構成され、間隙領域の磁力線は長手方向Lおよび横方向Tの両方に直交する方向に沿って略向けられる。
【0040】
詳細には、第1のアークブロー磁気ユニット140は、コンタクト対102、112およびコンタクトアセンブリ102、112、104、114の一側(すなわち、
図1のスイッチングデバイスの後側)に配置された第1の磁石142と、
図1に示す線AA’に平行な対称面に関して、第1の磁石142と反対に配置され、コンタクト対102、112およびコンタクトアセンブリ102、112、104、114の反対側(すなわち、
図1のスイッチングデバイスの前側)に配置された第2の磁石144とを含む。第1のアークブロー磁気ユニット140は、第1のコンタクト対102、112に位置合わせして配置されて(すなわち、第2のコンタクト対104、114に重ならない)、第1のコンタクト対102、112の間隙の領域内で所定の磁場方向に沿った(すなわち、所定の磁場方向に平行な)磁力線を有する第1の磁場を生じさせる。
【0041】
第1の磁石142および第2の磁石144は、永久磁石であることが好ましい。しかしながら、用途に応じて、軟磁性材料から形成された磁石などの他のタイプの磁石を使用してもよい。
【0042】
第1の永久磁石142および第2の永久磁石144は、前面が互いに対向する状態で配置されて、間隙領域内の磁束線が第1の永久磁石142の前面から第2の永久磁石144の前面に所定の磁場方向に沿って流れるようになっている。加えて、第1の永久磁石142および第2の永久磁石144は、シャーシ130から略同じ距離をおいて配置され、逆の分極を有して互いに平行に向けられ、これらの分極は、静止コンタクト102および可動コンタクト112の間の間隙の周りの領域で、長手方向Lおよび相対移動の方向Tの両方に対して横の方向に沿って略位置合わせされた磁力線を有する磁場を生じさせるように選択される。加えて、第1の永久磁石142および第2の永久磁石144の寸法は、それぞれのコンタクト対102、112の間隙領域にわたって略均一の磁場を生じさせるように選択されることが好ましい。
第1の永久磁石142および第2の永久磁石144の磁気強度は、所望のアークブロー磁気効果の強さ、したがって、コンタクタ100の特定の用途および特性に応じて決まる。
【0043】
関連するコンタクト対が、同様の接触距離およびアーク放電の強さなどの同様の特性を有する場合、第2のアークブロー磁気ユニット150は、第1のアークブロー磁気ユニット140について前述したものと同様の構造機構および磁気機構を備えて、略同じ強さの平行な磁場を生じさせる。しかしながら、第1のアークブロー磁気ユニット140および第2のアークブロー磁気ユニット150は、それぞれの磁場を生じさせる機構を互いに共有しないという意味で、別個の独立したユニットである。特に、第2のアークブロー磁気ユニット150は、コンタクト対104、114およびコンタクトアセンブリ102、112、104、114の一側(すなわち、
図1のスイッチングデバイスの後側)に配置される第1の磁石152と、
図1に示す線AA’に平行な対称面に関して、第1の磁石152と反対に配置され、コンタクト対104、114およびコンタクトアセンブリ102、112、104、114の反対側(すなわち、
図1のスイッチングデバイスの前側)に配置された第2の磁石154とを含む。
それにより、第2のアークブロー磁気ユニット150は、第2のコンタクト対104、114に位置合わせして配置されて(かつ、第1のコンタクト対102、112に重ならない)、第2のコンタクト対104、114の間隙の領域内で所定の磁場方向に沿った(すなわち、所定の磁場方向に平行な)磁力線を有する第2の磁場を生じさせる。
【0044】
加えて、第1のアークブロー磁気ユニット140は磁束フレーム146を含み、この磁束フレーム146に、第1の永久磁石142および第2の永久磁石144が取り付けられ、磁束フレーム146は、第1の永久磁石142および第2の永久磁石144をコンタクタシャーシ130に配置するための支持体としても機能する。
【0045】
同様に、第2のアークブロー磁気ユニット150も磁束フレーム156を含み、この磁束フレーム156は、第1の永久磁石152および第2の永久磁石154を担持し、コンタクタシャーシ130に取り付けられる。磁束フレーム146、156のそれぞれは、それぞれの第2の永久磁石144、154の後面からそれぞれの第1の永久磁石142、152の後面に流れる磁力線のためのそれぞれの磁束経路を提供する。磁束フレーム146、156はU字形の板であり、中央の平坦領域が、アークブロー磁気ユニット140、150をコンタクタシャーシ130に容易に取り付けるように構成され、左アームおよび右アームが、中央板から直角に(すなわち、シャーシ130から離れて端子106、108に向かって)延びて、第1の永久磁石142および第2の永久磁石146が、互いに対して平行な向きで、相対横方向移動Tの方向に平行に取り付けられるようになっていることが好ましい。
U字形磁束フレーム146、156の左アームおよび右アームは、磁束フレームがシャーシ130に取り付けられたときに、それぞれの第1の永久磁石および第2の永久磁石を、それぞれのコンタクト対102、112および104、114の間隙領域に位置合わせして配置するのに適した長さを有する。後述するように、第1の永久磁石142および第2の永久磁石144の磁気分極は、生じた磁力線が、間隙領域内で第1の永久磁石142から第2の永久磁石144に向けられ、静止コンタクト102の好ましい電気極性(端子106の電気極性に対応する)について決定される向きに従うように選択される。
【0046】
図1に示すように、アーク消去システムは、複数の、すなわちコンタクト対と同数のアーク消滅ユニット160、170をさらに含む。アーク消滅ユニット160、170のそれぞれは、関連するコンタクト対の静止コンタクトおよび可動コンタクトの間に発生し、かつアークブロー磁気ユニット140、150により独立して逸らされたアーク放電を受けて消滅させるために、それぞれのコンタクト対、すなわち対102、112および104、114に対応して配置される。より詳細には、第1のアーク消滅ユニット160は、コンタクトアセンブリ102、104、112、114の側面に、第1のコンタクト対102、112および第1のアークブロー磁気ユニット140に対応して配置される。
第2のコンタクト対104、114に関連する第2のアーク消滅ユニット170は、コンタクトアセンブリ102、104、112、114の反対側の側面に、第2のコンタクト対104、114および第2のアークブロー磁気ユニット150に対応して配置される。両方のアーク消滅ユニット160、170がコンタクトアセンブリ102、104、112、114の側面(すなわち、コンタクトアセンブリ102、104、112、114が配置される領域の外側)に設けられるため、アーク消滅ユニットをそれぞれのコンタクト対に近接して収容するためにスイッチングデバイス端子間の間隔、コンタクトブリッジの寸法などを修正する必要がないので、アーク消去システムを既存のスイッチングデバイスに容易に組み込むことができる。
【0047】
コンタクト対、例えばコンタクト対102、112で発生したアーク放電をそれぞれ配置されたアーク消滅ユニット、例えばアーク消滅ユニット160に向けるために、それぞれのアークブロー磁気ユニット140の第1の永久磁石142および第2の永久磁石144の相対分極は、コンタクト102、112の開動作中に発生したアーク放電をアーク消滅ユニット160に向けて逸らす、発生した磁気吹き効果の好ましい方向を設定するように、コンタクタ端子106、108の電気極性に対応して選択される。より詳細には、コンタクタ端子106、108の電気極性は、閉状態でコンタクタ100および対のコンタクト102、112にわたって流れる電流の方向を決定し、これは、コンタクタ100を開くためのスイッチング動作時にコンタクト対102、112にわたって発生するアーク放電と同じ方向である。
アーク放電の方向と第1の永久磁石142および第2の永久磁石144によって間隙領域にわたって生じる磁力線の向きとが、アーク電流の電荷に加わるローレンツ力の方向を決定する。それのため、単一のアーク消滅ユニットをコンタクト対ごとにコンタクト対に近接して、発生したローレンツ力の方向に位置するように設けることで十分である。したがって、第1の永久磁石142および第2の永久磁石144の分極を電気極性に従って相関させて、コンタクタ100の対応する静止コンタクト102(または端子106)に優先的に接続することによって、アークブロー磁気ユニット140により発生する磁気吹き効果が、特に磁気吹きの方向に配置されたそれぞれのアーク消滅ユニット150に向かってアーク経路を延長して逸らすことが保証される。
【0048】
図1を参照すると、端子106、108が正電位および負電位のそれぞれに接続するように設定される場合、コンタクト対102、112のアーク電流の方向は、一般に上向きである。したがって、第1のアークブロー磁気ユニット140の第1の永久磁石142および第2の永久磁石144の分極は、磁力線が、コンタクト102、112間の間隙領域にわたって第1の永久磁石142から第2の永久磁石144に向けられるように選択される。その結果、コンタクタ100を開くためのスイッチング動作時に間隙領域内で発生したアーク放電は、発生したローレンツ力によってアーク消去ユニット160に向かって逸らされる。
【0049】
負端子108に接続されたコンタクト対104、114に関し、コンタクタ100を開くためのスイッチング動作時に発生したアーク電流は、下方およびコンタクト対104、114の左側に配置されたアーク消去ユニット170に向けられる。この場合、第2のアークブロー磁気ユニット150の第1の永久磁石152および第2の永久磁石154の分極は、磁力線がコンタクト104、114間の間隙領域にわたって第1の永久磁石152から第2の永久磁石154に向けられるように、すなわちアークブロー磁気ユニット140と同じ相対分極を有するように選択される。例えば、第1の永久磁石142は、その前面がN極に一致するように第2の永久磁石144に対して向けられてよく、第2の永久磁石144の前面はS極に一致する。その結果、コンタクト対104、114の間隙領域内で発生したアーク放電は、発生したローレンツ力によって左に、すなわちアーク消去ユニット170に向かって逸らされる。
【0050】
したがって、本発明の原理によるアーク消去システムは、スイッチングデバイスの動作の優先的なモード(すなわち、静止コンタクトの好ましい電気極性)に直接相関してアーク抑制を強化する。これは、特定のコンタクト対で発生したアーク放電が、専用のアークシュートに向けて磁気的に吹かれるからであり、アークシュートは、コンタクトアセンブリの外側の領域に配置され、アーク放電の1つの特定の方向について発生したローレンツ力の方向に相対的に配置されて、磁気的に吹かれたアークを捕捉する。その結果、磁気的に支援されたアーク消去によってもたらされる利点に加えて、各コンタクト対で発生したアーク放電を受けて消滅させるのに、コンタクト対ごとに1つのアークシュートのみが必要であるため、スイッチングデバイスに設けられるアークシュートの数を最小にすることができる。したがって、アーク消去システムにより、スイッチングデバイス端子に加わる極性に関する妥協を小さくして、スイッチングデバイスの部品数、全体的なサイズ、および関連する製造コストを抑えることができる。
【0051】
第1のアーク消滅ユニット160および第2のアーク消滅ユニット170は、平坦な分割ブレードまたはフィンなどの複数のアーク消滅要素をそれぞれ有するアークシュートであってよく、アーク消滅要素は、アークシュートに捕捉されるアークの電圧を分割するために、互いに平行に近距離に配置される。
図1に示すように、第1のアーク消滅ユニット160および第2のアーク消滅ユニット170のそれぞれは、相対移動の方向Tに対して横方向を向く平行な分割ブレードを有するように配置されてよい。
【0052】
加えて、
図7に示すように、第1のアーク消滅ユニット160の分割ブレードのうちの1つは、コンタクタ100の端子106に電気的に接続されて、同じ電位に留まることが好ましい。コンタクト端子106は、負荷180を介して高電圧電位V2に接続されることが好ましい。例えば、225Vの高電圧電位V2および0.2Ωの負荷を使用することができ、コンタクトブリッジ120は0Vの電位V1で維持される。しかしながら、これらは例示的な値に過ぎず、本発明を限定するものとみなすべきではない。同様に、第2のアーク消滅ユニット170の分割ブレードのうちの1つは、コンタクタ100の端子108に電気的に接続される。
アーク消滅ユニット160、170の下部の分割ブレードを対応する端子106、108のそれぞれと同じ電位に電気接続することにより、開動作時に静止コンタクト102、104および可動コンタクト112、114間に発生するアーク放電が増大することを、第1のアーク消滅ユニット160および第2のアーク消滅ユニット170の分割ブレードによって、これらの分割ブレードがそれぞれのコンタクト対102、112および104、114に近接して配置されることに起因して防ぐことができる。
【0053】
第1のアーク消滅ユニット160および第2のアーク消滅ユニット170の分割ブレードとコンタクタ端子106、108との電気接続を、導電性材料から形成されたストライプ164、174またはワイヤなどの導電性要素を介して実施することができる。この導電性要素164、174は、それぞれの分割ブレードを、分割ブレードが接続される端子と同じ電位に維持するために設けられ、したがって、アーク放電をアークシュートに直接案内し送るための従来のアークシュートで使用されるガイドランナとは異なる。
【0054】
図1に示すスイッチングデバイス100の構成で、アーク消去システムは、コンタクト対ごとに1つのアークブロー磁気ユニット(すなわち、コンタクト対102、112に関連する第1のアークブロー磁気ユニット140およびコンタクト対104、114に関連する第2のアークブロー磁気ユニット150)を備え、アーク消滅ユニット160、170の配置を、第1のコンタクト対102、112と第2のコンタクト対104、114との間の中間領域を相対移動の方向Tに沿って長手方向Lに対して横方向に横切る対称面(図示せず)に関して、コンタクトアセンブリ102、104、112、114の左側と右側、すなわち対応するスイッチングデバイス100の左側と右側に分割する。したがって、
図1に示すように、アーク消滅ユニット160、170は、長手方向Lに離隔されて、電気スイッチングデバイス100の両側に配置される。
【0055】
代替構成では、磁気吹き効果を、単一のアークブロー磁気ユニットを使用して実現することができ、このアークブロー磁気ユニットは、
図1を参照して説明したものと同様のいくつかの機構を有するが、スイッチングデバイスのコンタクトアセンブリを形成するコンタクト対のうちのすべてまたは少なくとも2つの間隙領域に働く磁場を生じさせるように設計され向けられる。それにより、以下で
図3および
図4を参照して説明するように、所望の磁気吹き効果を、同じ磁場を使用してすべてのアーク柱に生じさせることができる。
【0056】
図3および
図4は、別の実施形態によるスイッチングデバイス200のアーク消滅システムのアークブロー磁気ユニット210を示す。
図1および
図2を参照して前述したスイッチングデバイス100の端子106、108、静止コンタクト102、104、可動コンタクト112、114、および導電ブリッジ120の構造、動作、および相対位置は、本実施形態のスイッチングデバイス200についても同じであるため、スイッチングデバイス200のこれらの機構の説明はここでは繰り返さない。
【0057】
図3を参照すると、アークブロー磁気ユニット210は、第1のコンタクト対102、112および第2のコンタクト対104、114によって形成されたコンタクトアセンブリの側面である第1のコンタクト対102、112の一側(すなわち、
図3に示すコンタクトアセンブリ102、112、104、114の前側に関して左側)に配置された第1の永久磁石212と、第1の永久磁石212と長手方向Lに正反対に、コンタクトアセンブリ102、112、104、114の反対側の側面(すなわち、
図3に示すY軸の正方向に一致する、コンタクトアセンブリ102、112、104、114の前側に関して右側)に配置された第2の永久磁石214とを含む。
第1の永久磁石212および第2の永久磁石214は、スイッチングデバイスのシャーシ(図示せず)から略同じ距離をおいて配置され、逆の分極を有して互いに平行に向けられて、少なくとも静止コンタクト102、104および可動コンタクト112、114の間の間隙の周りの領域で、コンタクト対102、112および104、114間の領域にわたって延び、したがって長手方向Lに平行かつ相対移動の方向Tに対して横の方向に沿って略位置合わせされた磁力線を有する磁場を生じさせる。第1の永久磁石212および第2の永久磁石214の寸法および磁気強度は、第1のコンタクト対102、112および第2のコンタクト対104、114の両方の間隙領域にわたって略均一の磁場を生じさせるように選択される。
さらに、第1の永久磁石212および第2の永久磁石214の磁気強度も、所望のアークブロー磁気効果の強さならびにコンタクト対102、112および104、114の間の距離、したがって、スイッチングデバイス200の特定の用途および特性に基づいて選択される。
【0058】
前の実施形態と同様に、アークブロー磁気ユニット210は磁束フレーム230を含み、この磁束フレーム230に、第1の永久磁石214および第2の永久磁石214が取り付けられ、磁束フレーム230は、第1の永久磁石212および第2の永久磁石214をコンタクタシャーシ130に配置するための支持体としても機能する。磁束フレーム230はU字形の板であり、中央の平坦領域が、長手方向Lに延びるように設計され、第1の対の静止コンタクト102および可動コンタクト112と第2の対の静止コンタクト104および可動コンタクト114とを覆うのに適した長さを有し、したがって、コンタクトアセンブリ102、112、104、114の各側面に第1の永久磁石212および第2の永久磁石214を配置することが好ましい。
磁束フレーム230は、コンタクトアセンブリ102、112、104、114の前側に向かって(すなわち、
図3のX軸の正方向に向かって)延びる左アーム232および右アーム234をさらに含み、第1の永久磁石212および第2の永久磁石214がそれぞれ、互いに対して平行な向きで左アーム232および右アーム234に取り付けられ、この向きはまた、相対横方向移動の方向Tに平行であり、長手方向Lに対して横方向である。U字形の磁束フレーム230の左アーム232および右アーム234は、第1の対の静止コンタクト102および可動コンタクト112と第2の対の静止コンタクト104および可動コンタクト114との両方の間隙領域に位置合わせされた永久磁石212、214を配置するのに適した長さを有する。
【0059】
図4に示すように、第1の永久磁石212および第2の永久磁石214は、相対分極を有するように選択されて、生じた磁力線(B
mag)が、コンタクトアセンブリ102、112、104、114が配置された領域に沿って、第1の永久磁石212から第2の永久磁石214に向けられるようにする。アークブロー磁気ユニット210により生じた磁場は、コンタクト対の静止コンタクトおよび可動コンタクトを通って流れる電流により生じた磁場と共に、各コンタクト対の間隙の中央から離れる方向に略向けられる総電磁力Fを生じさせる。合成電磁力Fは、コンタクト間で発生したアークの電荷に働くことにより、アーク柱を合成電磁力Fの方向に延長および変形させる。
図1および
図2の構成を参照して前述したように、合成磁気吹き効果の向き、すなわち、
図3の構成のように、アーク柱がコンタクトアセンブリ102、112、104、114の前側に向かって逸れるか後側に向かって逸れるかは、依然としてアーク放電電流の向きに相関し、したがって、端子106、108の電気極性(静止コンタクト102、104の電気極性に対応する)に相関する。例えば、端子106、108が正電位および負電位にそれぞれ接続するように設定される場合、アーク電流の方向は、
図4に示すように、第1のコンタクト対102、112間で上向きであり、第2のコンタクト対104、114間で下向きである。
【0060】
したがって、磁力線が、第1のコンタクト対の静止コンタクト102および可動コンタクト112の間の間隙領域にわたって、かつ第2のコンタクト対の静止コンタクト104および可動コンタクト114の間の間隙領域にわたって、第1の永久磁石212から第2の永久磁石214に向けられるように、アークブロー磁気ユニット210の第1の永久磁石212および第2の永久磁石214の間の相対分極を選択することができる。その結果、コンタクト対102、112および104、114で発生したアーク柱は、対称的に相反するローレンツ力の働きにより、相反する方向に延長され逸らされる(磁気的に吹かれる)。
【0061】
図5および
図6に示す実施形態を参照して説明するように、アークブロー磁気ユニット210によって磁気的に吹かれたアーク柱を、各コンタクト対に関連する、それぞれのコンタクト対および端子極性に対応して配置されたそれぞれのアーク消滅ユニットに閉じ込めて消去することができる。
【0062】
図5は、アーク消滅システムがアークブロー磁気ユニット210を含む実施形態による、アーク消去システムおよびスイッチングデバイス200を示す斜視図である。加えて、アーク消去システムは、端子106、108のそれぞれと関連するコンタクト対102、112および104、114とにそれぞれ対応する複数のアーク消滅ユニット240、250を備える。第1のアーク消滅ユニット240および第2のアーク消滅ユニット250は、それぞれのコンタクト対102、112および104、114に近接して、コンタクト対102、112および104、114のそれぞれの間隙領域でアークブロー磁気ユニット210によって生じる磁気吹きの方向に配置され、磁気吹きの方向は、それぞれの端子106、108の電気極性によって決定される。
【0063】
したがって、
図3および
図4を参照して説明したような、端子106が端子108の極性に関して正である極性構成と、第1の磁石212から第2の磁石214に向けられる磁力線を生じさせるように磁気的に分極された第1の磁石212および第2の磁石214とについて、アーク消滅システムは、静止コンタクト102および可動コンタクト112の第1のコンタクト対に関連した第1のアーク消滅ユニット240を備え、第1のアーク消滅ユニット240は、コンタクトアセンブリ102、104、112、114の前側に(すなわち、
図6に示すX軸の正方向に)、静止コンタクト102および可動コンタクト112の間の間隙領域に対応して配置されて、開動作時に第1のコンタクト対102、112の間隙にわたって発生するアーク放電を受けて消去する。このアーク放電は、アークブロー磁気ユニット210により発生した合成ローレンツ力によって、コンタクトの間隙領域から第1のアーク消滅ユニット240に向けて吹かれる。
【0064】
加えて、アーク消滅システムは、第2の対の静止コンタクト104および可動コンタクト114に関連する第2のアーク消滅ユニット250を備え、第2のアーク消滅ユニット250は、静止コンタクト104および可動コンタクト114の間の間隙領域に対応して、開動作中に第2のコンタクト対104、114の間隙領域にわたって発生するアーク電流の方向に配置される。したがって、第2のコンタクト対104、114間のアーク放電に働くローレンツ力の方向が、第1のコンタクト対102、112の間隙領域にわたって発生したローレンツ力に対して反転し(アーク電流の方向が、第2の端子108の反対の極性に起因して逆になる)、第2のアーク消滅ユニット250は、コンタクトアセンブリ102、104、112、114およびコンタクト対104、114の後側(すなわち、第1のアーク消滅ユニット240が配置される側とは反対側)に配置されて、開動作時に第2のコンタクト対104、114のこの間隙領域にわたって発生するアーク放電を受け、このアーク放電は、アークブロー磁気ユニット210によって、コンタクトアセンブリ102、104、112、114の後側に向かって磁気的に吹かれる。
【0065】
したがって、本構成のアーク消去システムは、相対移動の方向Tに沿ってコンタクト対102、112および104、114の両方を横切る、(図示の構成では、所定の磁場方向に略位置合わせされた)電気スイッチングデバイス200の長手方向Lに平行な対称面に関して、アーク消滅ユニット240、250の配置を、コンタクトアセンブリ102、104、112、114の前側と後側との間で、すなわち対応するスイッチングデバイス200の前側と後側との間で分割する。
【0066】
その結果、本実施形態のアーク消去システムにより、スイッチングデバイス200のコンタクト対(または端子)ごとに1つのアーク消滅ユニットのみを使用し、静止コンタクトとそれぞれの端子との間にアーク消滅機構を収容するための追加の空間を確保する必要がないため、アーク放電の抑制が強化され、しかもサイズがコンパクトなスイッチングデバイス200を提供することができる。本アーク消去システムはまた、アークブロー磁気ユニット210およびアーク消滅ユニット240、250を、それぞれのコンタクト対および端子の周りの領域に簡単に収容することができ、したがって、コンタクト対および/または端子間の空間内にアークシュートを収容するように、端子間ならびに/または静止コンタクトおよび可動コンタクト間の間隔を増加させるような、スイッチングデバイスの構造機構、コンタクトブリッジの駆動機構などの修正が不要であるため、既存のスイッチングデバイスにおいて有利に使用することができ容易に実装することができる。
第1の対のコンタクト102、112および第2の対のコンタクト104、114の両方からのアーク放電を偏向させるために単一のアークブロー磁気ユニット210を使用することは、磁気部品の数、組立てステップの数を少なくし、したがって全体的な製造コストを抑えるという利点も有する。アーク消去システムのこの構成は、それぞれの個々のコンタクト対で発生する合成ローレンツ力の方向に影響を及ぼすそれぞれのスイッチングデバイス端子の極性に応じて、それぞれのアーク消滅ユニットをコンタクト対のそれぞれに対応して、コンタクトアセンブリの同じ前側または後側に位置するように設けることにより、方向Lに沿って長手方向に配置された3つ以上の端子を有するスイッチングデバイスに容易に実装することもできる。
【0067】
図1および
図2を参照して説明した実施形態と同様に、第1のアーク消滅ユニット240および第2のアーク消滅ユニット250は、分割ブレードまたはフィンなどの複数のアーク消滅要素242、252をそれぞれ有するアークシュートであってよい。
図5は、第1のアーク消滅ユニット240および第2のアーク消滅ユニット250の分割ブレード242、252が、互いに平行に、各コンタクト対102、112および104、114の静止コンタクトおよび可動コンタクトの間の間隙の方向に一致する相対移動の方向Tに対して横方向に配置されている構成を示す。加えて、第1のアーク消滅ユニット240および第2のアーク消滅ユニット250の分割ブレード242、252は、L字形の平板として設計され、分割ブレードをそれぞれのコンタクト対に近接して配置することを可能にし、コンタクトの間隙までの距離を最小にする。
例えば、
図5および
図6に示すように、第1のアーク消滅ユニット240のL字形分割ブレード242は、L字の短い脚部がコンタクト102、112間の間隙に向かって突出するように向けられた状態で配置され、これにより、アーク磁気吹きユニット210によってアーク放電を逸らさなければならない距離を短くすることができる。L字形分割ブレード242の長い脚部は、長手方向Lに沿ってアーク消去システムの中央に向かって延びるように配置され、これにより、アーク消去システムのコンパクト性を実現することができる。その結果、間隙領域からアーク消滅ユニット240のL字形分割ブレード242までの距離を短くすることができ、
図1および
図2を参照して説明したような四角形の分割ブレードと比較して、早い段階で、磁気的に吹かれたアーク放電を閉じ込めることができる。
さらに、L字形設計により、アーク放電の大部分を、L字の長い脚部にわたって、したがって、静止コンタクト102および可動コンタクト112からさらに安全な距離をおいて、消滅させることが可能になる。分割ブレードのL字形設計および向きにより、同様の強度の永久磁石を使用する、前の実施形態のアークブロー磁気ユニット140、150などの、単一のコンタクト対に設けられるアークブロー磁気ユニットの磁石の距離と比較して、本実施形態において、アークブロー磁気ユニット210の第1の永久磁石212および第2の永久磁石214間の距離の増加によって生じる磁場強度の低下を補償することもできる。同様に、第2のアーク消滅ユニット250の分割ブレード252は、L字の短い脚部が、静止コンタクト104および可動コンタクト114の間の間隙領域に近接して配置され、間隙領域に向かって突出するように、第2のコンタクト対104、114に対して向けられる。
分割ブレード252の長い脚部は、長手方向Lに沿って、アーク消去システムの中央に向かって延びるように配置される。
図1の実施形態と同様に、第1のアーク消滅ユニット240および第2のアーク消滅ユニット250のそれぞれは、それぞれの分割ブレードをそれぞれの端子106、108の電位に維持するために、導電性材料などから形成されたストライプ244、254などの導電性要素を介してコンタクタ端子106、108にそれぞれ直接接続された1つの分割ブレードを有することができる。例えば、
図5の構成において、第1のアーク消滅ユニット240の最下部のブレード(すなわち、端子106の下側に最も近いブレード)は、端子106に電気的に接続される。同様に、第2のアーク消滅ユニット250の最下部のブレードは、端子108に電気的に接続される。
前述したように、導電性要素244、254は、それぞれのアーク消滅要素を、アーク消滅要素が電気的に接続される端子と同じ電位に維持するために設けられ、したがって、従来のアークシュートで使用されるガイドランナとして機能することはない。
【0068】
図5~
図7の実施形態に関して前述した分割ブレード242、252のL字形および向きを、
図1および
図2を参照して説明したアーク消去システムの構成において実施してもよいことに留意されたい。
【0069】
さらに、上記の実施形態で説明したアーク消滅ユニットの分割ブレードの形状、サイズ、および数、ならびに関連するコンタクト対からの距離は、電気スイッチングデバイスの特定の特性(例えば、静止コンタクトと可動コンタクトとの間の分離間隙、動作電圧など)に応じて変化してもよく、したがって、例えばシミュレーション分析および/または実験に基づいて、電気スイッチングデバイスの特定の設計および用途に合わせて有利に決定および最適化することができることに留意されたい。
【0070】
要約すると、本発明の原理によるアーク消去システムにより、スイッチングデバイス端子の極性によって加えられる磁気吹き効果の指向性を使用して、アーク消滅ユニットの数をコンタクト対(または端子)ごとに1つに減らすことができるため、アーク放電の抑制が強化され、しかもサイズがコンパクトなスイッチングデバイスを提供することができる。その結果、静止コンタクト、コンタクト対、および/またはそれぞれの端子間に、アーク消滅機構を収容するための追加の空間を確保する必要がなくなる。本発明のアーク消去システムは、スイッチングデバイスの端子間、静止コンタクトおよび可動コンタクト間の間隔などの構造機構、コンタクトブリッジの駆動機構などを修正する必要なく、アーク消去システムをそれぞれのコンタクト対および端子の周りに簡単に収容することができ、既存のスイッチングデバイスのシャーシに固定することができるため、既存のスイッチングデバイスにおいて有利に使用することができ容易に実装することができる。
さらに、
図3~
図6を参照して前述したアーク消去システムの構成は、それぞれのスイッチングデバイス端子の極性、およびそれぞれの個々のコンタクト対でアークブロー磁気ユニットにより発生する合成ローレンツ力に応じて、それぞれのアーク消滅ユニットをコンタクト対のそれぞれに対応して、コンタクトアセンブリの前側または後側に位置するように設けることにより、方向Lに沿って長手方向に配置された1つまたは3つ以上の端子を有するスイッチングデバイスに容易に実装することができ、これに適合させることができる。
【0071】
上記の例示的な実施形態のある機構について、図面を参照し、「前側」、「後側」、「左」、「右」、「上部」、「下部」などの相対的な用語を使用して説明したが、これらの用語は、それぞれの図に示す座標系を参照して定義されているものと理解すべきである。説明において別段の指定がない限り、「前側」、「右側」、および「上側」という用語は、スイッチングデバイスの他の機構に対して座標軸X、Y、Zのそれぞれの正の方向に位置する機構を説明するために使用される。それにもかかわらず、これらの用語は、それぞれの機構およびそれらが互いに対して配置され/方向付けされる様子の説明を容易にする目的のみで使用され、特許請求される本発明またはその構成要素のいずれかを特定の空間方位における装着または使用に限定するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。
さらに、本開示の文脈において、「所定の方向に沿って」などの表現は、「所定の方向」に略一致する方向または「所定の方向」に平行な方向を説明するものと理解すべきである。さらに、「向き」という用語は、磁束線の文脈において、磁力線に沿った磁束ベクトルの方向および向きを指すために使用される。最後に、本発明をコンタクタおよび高電圧リレーなどの電気スイッチングデバイスに関して説明したが、本発明の原理は、コンタクト端子の開放中にアーク放電から保護することが有利となり得る他のタイプのスイッチング機器にも有利に適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
100 スイッチングデバイス
102、104 静止コンタクト
106、108 電気端子
112、114 可動コンタクト
120 コンタクトブリッジ
124 コンタクトブリッジの支持ばね
130 シャーシ
140 第1のアークブロー磁気ユニット
142 第1の永久磁石
144 第2の永久磁石
146、156 磁束フレーム
150 第2のアークブロー磁気ユニット
152 第1の永久磁石
154 第2の永久磁石
160 第1のアーク消滅ユニット
170 第2のアーク消滅ユニット
164、174 電気コンタクトストライプ
180 負荷
V1、V2 電位
200 スイッチングデバイス
210 アークブロー磁気ユニット
212 第1の永久磁石
214 第2の永久磁石
230 磁束フレーム
232、234 U字形磁束フレームのアーム
240 第1のアーク消滅ユニット
250 第2のアーク消滅ユニット
242、252 分割ブレード
244、254 電気コンタクトストライプ
【手続補正書】
【提出日】2023-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気スイッチングデバイスのコンタクト対間のアークを抑制するためのアーク消去システムであって、前記コンタクト対は、静止コンタクトおよび可動コンタクトを有し、前記可動コンタクトは、前記可動コンタクトが前記静止コンタクトに接触する閉状態と、前記可動コンタクトが前記静止コンタクトから前記可動コンタクトと前記静止コンタクトとの相対移動の方向に間隙によって離隔される開状態との間で、前記静止コンタクトに対して可動であり、前記アーク消去システムは、
前記コンタクト対に設けられて、前記コンタクト対の前記閉状態から前記開状態へのスイッチング動作時に発生するアーク放電を消滅させる、アーク消滅ユニットと、
所定の磁場方向に沿った、前記コンタクト対の間隙領域を横切る磁力線を有する磁場を生じさせるように構成されているアークブロー磁気ユニットと
を備え、
前記アークブロー磁気ユニットは、前記コンタクト対の前記静止コンタクトの好ましい電気極性と前記アーク消滅ユニットの位置とに基づいて予め定められた向きの前記磁力線を生じさせて、前記コンタクト対の前記間隙領域で発生したアーク放電を前記コンタクト対に関連する前記アーク消滅ユニットに向けて磁気的に吹くように構成されている、
アーク消去システム。
【請求項2】
前記コンタクト対は、前記相対移動の方向に対して横方向である長手方向に沿って互いに隣接して配置された、第1のコンタクト対と第2のコンタクト対とを含み、
前記アークブロー磁気ユニットは、前記所定の磁場方向に沿った、前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対の前記間隙領域を横切る磁力線を有する前記磁場を生じさせるように構成されており、
前記アークブロー磁気ユニットは、前記所定の磁場方向が前記長手方向に平行であるように、前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対に対して配置されるように構成され、かつ/または、
前記アーク消滅ユニットは、前記第1のコンタクト対に対向して位置するように構成されている第1のアーク消滅ユニットと、前記第2のコンタクト対に対向して位置するように構成されている第2のアーク消滅ユニットとを含み、前記第1のアーク消滅ユニットは、前記相対移動の方向に沿って前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対を横切る、前記長手方向に平行な対称面の一側に配置される、
請求項1に記載のアーク消去システム。
【請求項3】
前記コンタクト対は、前記相対移動の方向に対して横方向である長手方向に沿って互いに隣接して配置された、第1のコンタクト対と第2のコンタクト対とを含み、
前記アークブロー磁気ユニットは、
前記第1のコンタクト対の間隙の領域内で第1の所定の磁場方向に沿った磁力線を有する第1の磁場を生じさせるように構成されている第1のアークブロー磁気ユニットと、
前記第2のコンタクト対の間隙の領域内で第2の所定の磁場方向に沿った磁力線を有する第2の磁場を生じさせるように構成されている第2のアークブロー磁気ユニットと
を含み、
前記第2のアークブロー磁気ユニットは前記第1のアークブロー磁気ユニットから離れ、かつ/または、
前記アーク消滅ユニットは、前記第1のコンタクト対に対向して位置するように構成されている第1のアーク消滅ユニットと、前記第2のコンタクト対に対向して位置するように構成されている第2のアーク消滅ユニットとを含み、前記第1のアーク消滅ユニットは、前記相対移動の方向に沿った、前記長手方向に対して横方向である、前記第1のコンタクト対と前記第2のコンタクト対との間の対称面の一側に配置される、
請求項1に記載のアーク消去システム。
【請求項4】
前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対の前記静止コンタクトは、相反する極性を有し、
前記第2のコンタクト対に関連する前記第2のアーク消滅ユニットは、前記第1のコンタクト対に関連する前記第1のアーク消滅ユニットが位置する側とは反対の対称面の側に位置する、
請求項2に記載のアーク消去システム。
【請求項5】
前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対の前記静止コンタクトは、相反する極性を有し、
前記第2のコンタクト対に関連する前記第2のアーク消滅ユニットは、前記第1のコンタクト対に関連する前記第1のアーク消滅ユニットが位置する側とは反対の対称面の側に位置する、
請求項3に記載のアーク消去システム。
【請求項6】
前記アーク消滅ユニットは、互いに平行に配置された、前記アーク放電の電圧を前記アーク消滅ユニットにわたって分割するように構成されている複数の分割ブレードを含む、請求項1に一項に記載のアーク消去システム。
【請求項7】
前記複数の分割ブレードは、複数のL字形の板であり、前記L字の短い脚部が関連する前記コンタクト対の前記間隙領域に向かって突出する向きになるように配置され、
前記複数の分割ブレードはさらに、前記相対移動の方向に対して横方向に配置されている、
請求項6に記載のアーク消去システム。
【請求項8】
前記アーク消滅ユニットは、分割ブレードと前記コンタクト対の前記静止コンタクトが取り付けられる前記スイッチングデバイスの端子との直接の電気接続を行うように構成されている電気コンタクト要素を含み、かつ/または、
前記アーク消滅ユニットは、前記コンタクト対の前記間隙領域に対向して位置する、
請求項6に記載のアーク消去システム。
【請求項9】
前記アークブロー磁気ユニットは、第1の永久磁石と第2の永久磁石とを含み、
前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石は、前面が互いに対向する状態で配置されて、関連する前記コンタクト対の前記間隙領域内の磁束線が、前記所定の磁場方向に沿って前記第1の永久磁石の前記前面から前記第2の永久磁石の前記前面に向かって流れるようになっている、
請求項1に記載のアーク消去システム。
【請求項10】
前記アークブロー磁気ユニットは、前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石が取り付けられる磁束フレームをさらに含み、
前記磁束フレームは、前記第2の永久磁石の後面から前記第1の永久磁石の後面に流れる磁力線の磁束経路を提供するように構成されている、
請求項9に記載のアーク消去システム。
【請求項11】
前記磁束フレームは、中央板と前記中央板の左側および右側からそれぞれ延びる2つの伸長アームとによって画定されたU字形を有する板であり、
前記中央板は、前記磁束フレームを前記スイッチングデバイスのシャーシに取り付けるように構成され、
前記磁束フレームが前記スイッチングデバイスの前記シャーシに取り付けられたときに、前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石はそれぞれ、前記磁束フレームの前記伸長アームに、前記中央板から、前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石を前記コンタクト対の前記間隙領域に位置合わせして配置するように適合されている距離をおいて配置されている、
請求項10に記載のアーク消去システム。
【請求項12】
前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石の磁気分極は、生じた磁力線が前記コンタクト対の前記間隙領域内で前記第1の永久磁石から前記第2の永久磁石に向けられるように、前記静止コンタクトの前記好ましい電気極性について設定された向きに従って選択される、
請求項9に記載のアーク消去システム。
【請求項13】
電気スイッチングデバイスであって、
前記電気スイッチングデバイスの長手方向に沿って互いに隣接して配置された第1のコンタクト対および第2のコンタクト対を備え、
前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対のそれぞれは、静止コンタクトおよび可動コンタクトを含み、前記可動コンタクトは、前記可動コンタクトが前記静止コンタクトに接触する閉状態と、前記可動コンタクトが前記静止コンタクトから前記可動コンタクトと前記静止コンタクトとの相対移動の方向に間隙によって離隔される開状態との間で、前記静止コンタクトに対して可動であり、
前記電気スイッチングデバイスは、
請求項1から12のいずれか一項に記載のアーク消去システムを備え、
前記アーク消去システムは、前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対に位置合わせして配置されて、前記アークブロー磁気ユニットが、前記所定の磁場方向に沿った、各コンタクト対の前記間隙領域を横切る磁力線を有する前記磁場を生じさせ、
前記アーク消滅ユニットが、前記各コンタクト対に対向して位置する、
電気スイッチングデバイス。
【請求項14】
前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対の前記静止コンタクトにそれぞれ接続された第1の端子と第2の端子とをさらに備え、
前記第1の端子および前記第2の端子は、前記スイッチングデバイスの動作の好ましい極性に従って、前記スイッチングデバイスを外部電位または負荷回路に電気的に接続するように構成されている、
請求項13に記載の電気スイッチングデバイス。
【請求項15】
前記スイッチングデバイスは、コンタクタまたは高電圧リレーである、請求項13に記載の電気スイッチングデバイス。
【請求項16】
前記電気スイッチングデバイスおよび前記アーク消去システムには、前記第1のコンタクト対および前記第2のコンタクト対間のアーク放電を関連する前記アーク消滅ユニットに向けて直接案内するためのガイドランナがない、
請求項13に記載の電気スイッチングデバイス。
【外国語明細書】