(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159950
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】物品収納箱
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20241031BHJP
B65D 5/72 20060101ALI20241031BHJP
B65D 85/671 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D83/08 B
B65D5/72 A
B65D85/671
【審査請求】有
【請求項の数】46
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024148464
(22)【出願日】2024-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】314000800
【氏名又は名称】株式会社無有
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
(57)【要約】
【課題】戻り力が働くにもかかわらず、物品を円滑に取り出すことができる物品収納箱を提供する。
【解決手段】物品収納箱1は、物品を収納する物品収納箱であって、箱状の本体10を備えている。本体10は、物品の取出口が形成される取出口形成部20を有している。取出口形成部20は、折曲片22、折曲片24、折り筋32、及び折り筋34を含んでいる。折曲片22及び折曲片24は、内面どうしが対向するように斜め上方に折り曲げられる。折曲片22の先端辺22aは、折曲片24に向かって突出する凸部26を有している。折曲片24の先端辺24aは、折曲片22に向かって突出する凸部28を有している。凸部26及び凸部28は、互いに離間するとともに対向している。折り筋32は、折曲片22を折り曲げるための折り筋である。折り筋34は、折曲片24を折り曲げるための折り筋である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する物品収納箱であって、
前記物品の取出口が形成される取出口形成部を有する箱状の本体を備え、
前記取出口形成部は、
内面どうしが対向するように斜め上方に折り曲げられる第1及び第2の折曲片と、
前記第1の折曲片を折り曲げるための曲線状の第1の折り筋と、
前記第2の折曲片を折り曲げるための曲線状の第2の折り筋と、を含み、
前記第1の折曲片の先端辺である第1の先端辺は、前記第2の折曲片に向かって突出する第1の凸部を有し、
前記第2の折曲片の先端辺である第2の先端辺は、前記第1の折曲片に向かって突出する第2の凸部を有し、
前記第1の凸部と前記第2の凸部とは、互いに離間するとともに対向していることを特徴とする物品収納箱。
【請求項2】
請求項1に記載の物品収納箱において、
前記第1の凸部と前記第2の凸部との間隔は、0.5mm以上3mm以下である物品収納箱。
【請求項3】
請求項1に記載の物品収納箱において、
前記第1の凸部の幅と前記第2の凸部の幅とは、互いに等しい物品収納箱。
【請求項4】
請求項1に記載の物品収納箱において、
前記第1及び第2の凸部の幅は、15mm以上50mm以下である物品収納箱。
【請求項5】
請求項1に記載の物品収納箱において、
前記第1の凸部の長さと前記第2の凸部の長さとは、互いに等しい物品収納箱。
【請求項6】
請求項1に記載の物品収納箱において、
前記第1の凸部の長さと前記第2の凸部の長さとは、相異なる物品収納箱。
【請求項7】
請求項1に記載の物品収納箱において、
前記第1及び第2の凸部の長さは、3mm以上7mm以下である物品収納箱。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第1の先端辺は、複数の前記第1の凸部を有し、
前記第2の先端辺は、複数の前記第2の凸部を有する物品収納箱。
【請求項9】
請求項8に記載の物品収納箱において、
前記複数の第1の凸部は、相互に合同な形状をしている物品収納箱。
【請求項10】
請求項8に記載の物品収納箱において、
前記複数の第1の凸部は、相互に合同でない形状をしている物品収納箱。
【請求項11】
請求項8に記載の物品収納箱において、
前記複数の第2の凸部は、相互に合同な形状をしている物品収納箱。
【請求項12】
請求項8に記載の物品収納箱において、
前記複数の第2の凸部は、相互に合同でない形状をしている物品収納箱。
【請求項13】
請求項8に記載の物品収納箱において、
前記取出口形成部の中央部における前記第1の先端辺と前記第2の先端辺との間隔は、前記取出口形成部の残部における前記第1の先端辺と前記第2の先端辺との間隔よりも大きい物品収納箱。
【請求項14】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第1の先端辺は、角を有しない形状をしている物品収納箱。
【請求項15】
請求項14に記載の物品収納箱において、
前記第2の先端辺は、角を有しない形状をしている物品収納箱。
【請求項16】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記取出口形成部は、切込線で囲まれ、当該取出口形成部から切り取られる切取部を含み、
前記切取部は、前記第1の折曲片と前記第2の折曲片との間に1つだけ存在する物品収納箱。
【請求項17】
請求項16に記載の物品収納箱において、
前記切取部は、前記取出口形成部の左右方向の端部に達している物品収納箱。
【請求項18】
請求項16に記載の物品収納箱において、
前記切取部は、前記取出口形成部の左右方向の端部に達していない物品収納箱。
【請求項19】
請求項18に記載の物品収納箱において、
前記取出口形成部は、
前記端部を構成する端部切込線と、
前記切取部から前記端部切込線まで延在し、前記第1の折曲片と前記第2の折曲片との境界を構成する境界切込線と、を含む物品収納箱。
【請求項20】
請求項19に記載の物品収納箱において、
前記端部切込線は、曲線を描きながら前記境界切込線に接続されている物品収納箱。
【請求項21】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第1の折り筋は、前記第1の折曲片の外側に膨らんだ曲線状をしている物品収納箱。
【請求項22】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第1の折り筋は、前記第1の折曲片の内側に膨らんだ曲線状をしている物品収納箱。
【請求項23】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第1の折り筋は、円弧又は楕円弧を描いている物品収納箱。
【請求項24】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第1の折り筋のカーブ率は、2.3%以上11.6%以下である物品収納箱。
【請求項25】
請求項24に記載の物品収納箱において、
前記第1の折り筋のカーブ率は、2.3%以上5.8%以下である物品収納箱。
【請求項26】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第2の折り筋は、前記第2の折曲片の外側に膨らんだ曲線状をしている物品収納箱。
【請求項27】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第2の折り筋は、前記第2の折曲片の内側に膨らんだ曲線状をしている物品収納箱。
【請求項28】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第2の折り筋は、円弧又は楕円弧を描いている物品収納箱。
【請求項29】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第2の折り筋のカーブ率は、2.3%以上11.6%以下である物品収納箱。
【請求項30】
請求項29に記載の物品収納箱において、
前記第2の折り筋のカーブ率は、2.3%以上5.8%以下である物品収納箱。
【請求項31】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第1及び第2の折り筋は、それぞれ前記第1及び第2の折曲片の外側に膨らんだ曲線状をしている物品収納箱。
【請求項32】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記第1の折り筋は、前記第1の折曲片の外側に膨らんだ曲線状をしており、
前記第2の折り筋は、前記第2の折曲片の内側に膨らんだ曲線状をしている物品収納箱。
【請求項33】
請求項32に記載の物品収納箱において、
前記第2の折り筋のカーブ率は、前記第1の折り筋のカーブ率よりも小さい物品収納箱。
【請求項34】
請求項33に記載の物品収納箱において、
前記第2の折り筋のカーブ率は、前記第1の折り筋のカーブ率の1/4以上3/4以下である物品収納箱。
【請求項35】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記物品は、ロール状の衛生用紙である物品収納箱。
【請求項36】
請求項35に記載の物品収納箱において、
前記本体は、前記取出口から引き出された前記衛生用紙を切断するための切断刃を有する物品収納箱。
【請求項37】
請求項36に記載の物品収納箱において、
前記切断刃は、前記取出口形成部から離間した位置に設けられている物品収納箱。
【請求項38】
請求項36に記載の物品収納箱において、
前記本体は、前記切断刃を含めて全体が同一の材料からなる物品収納箱。
【請求項39】
請求項35に記載の物品収納箱において、
前記本体は、前記衛生用紙の中心部の隙間に挿通される挿通部を有する物品収納箱。
【請求項40】
請求項39に記載の物品収納箱において、
前記挿通部は、前記本体の側面の一部からなる物品収納箱。
【請求項41】
請求項40に記載の物品収納箱において、
前記挿通部の外形は、正n角形(nは5以上の整数)である物品収納箱。
【請求項42】
請求項39に記載の物品収納箱において、
前記本体は、前記挿通部を含めて全体が同一の材料からなる物品収納箱。
【請求項43】
請求項35に記載の物品収納箱において、
前記本体は、複数の前記衛生用紙を収納する物品収納箱。
【請求項44】
請求項43に記載の物品収納箱において、
前記本体には、前記複数の衛生用紙に対応するように、複数の前記取出口形成部が設けられている物品収納箱。
【請求項45】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記本体は、前記物品を詰め替えられるように構成されている物品収納箱。
【請求項46】
請求項1乃至7の何れかに記載の物品収納箱において、
前記本体の外面には、塗り絵用の線画が印刷されている物品収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納する物品収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物品収納箱としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された物品収納箱は、物品の取出口が形成される取出口形成部を上面部に有する箱状の本体を備えている。取出口形成部は、内面どうしが対向するように上面部の斜め上方に折り曲げられる一対の折曲片、及び各折曲片を折り曲げるための折り筋を有している。折り筋は、折曲片の外側に膨らんだ曲線状をしている。折り筋に沿って折曲片を折り曲げることにより、物品の取出口を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の物品収納箱においては、曲線状の折り筋に沿って折曲片が折り曲げられる。この場合、折曲片には、元の状態(折り曲げられていない状態)に戻ろうとする力(戻り力)が働く。このため、折曲片の折曲げ角度が大きくなりすぎないようにすることができる。しかしながら、戻り力が働くと、一対の折曲片が物品を挟み込む力が強くなるため、取出口から物品を取り出しにくくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、戻り力が働くにもかかわらず、物品を円滑に取り出すことができる物品収納箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による物品収納箱は、物品を収納する物品収納箱であって、上記物品の取出口が形成される取出口形成部を有する箱状の本体を備え、上記取出口形成部は、内面どうしが対向するように斜め上方に折り曲げられる第1及び第2の折曲片と、上記第1の折曲片を折り曲げるための曲線状の第1の折り筋と、上記第2の折曲片を折り曲げるための曲線状の第2の折り筋と、を含み、上記第1の折曲片の先端辺である第1の先端辺は、上記第2の折曲片に向かって突出する第1の凸部を有し、上記第2の折曲片の先端辺である第2の先端辺は、上記第1の折曲片に向かって突出する第2の凸部を有し、上記第1の凸部と上記第2の凸部とは、互いに離間するとともに対向していることを特徴とする。
【0007】
この物品収納箱においては、第1の折曲片の先端辺(第1の先端辺)に設けられた凸部(第1の凸部)と、第2の折曲片の先端辺(第2の先端辺)に設けられた凸部(第2の凸部)とが、互いに離間するとともに対向している。このように第1の凸部と第2の凸部との間に隙間を設けることにより、第1及び第2の折曲片で物品を挟み込む力が強くなりすぎないようにすることができる。これにより、取出口から物品を円滑に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、戻り力が働くにもかかわらず、物品を円滑に取り出すことができる物品収納箱が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による物品収納箱の第1実施形態を示す平面図である。
【
図3】凸部26の幅w1について説明するための図である。
【
図4】凸部26の長さd1について説明するための図である。
【
図5】凸部28の幅w2について説明するための図である。
【
図6】凸部28の長さd2について説明するための図である。
【
図7】凸部26と凸部28との間隔d3について説明するための図である。
【
図9】物品収納箱1の使用時の様子を示す斜視図である。
【
図10】
図9のA-A線に沿った端面の構造を説明するための図である。
【
図11】本発明による物品収納箱の第2実施形態を示す斜視図である。
【
図16】物品収納箱2の使用方法の一例を説明するための図である。
【
図17】物品収納箱2の使用方法の一例を説明するための図である。
【
図18】物品収納箱2の使用方法の一例を説明するための図である。
【
図19】物品収納箱2の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図20】物品収納箱2の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図21】切断刃62の変形例を説明するための側面図である。
【
図22】本体10の変形例を説明するための平面図である。
【
図23】
図22のC-C線に沿った端面の構造を説明するための図である。
【
図24】取出口形成部20の一変形例を説明するための平面図である。
【
図25】先端辺22aの変形例を説明するための平面図である。
【
図26】先端辺24aの変形例を説明するための平面図である。
【
図27】取出口形成部20の他の変形例を説明するための平面図である。
【
図28】取出口形成部20の他の変形例を説明するための平面図である。
【
図29】折り筋32及び折り筋34の変形例を説明するための平面図である。
【
図30】
図29の変形例の効果を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0011】
図1は、本発明による物品収納箱の第1実施形態を示す平面図である。物品収納箱1は、物品を収納する物品収納箱であって、本体10を備えている。物品としては、例えば、衛生用紙(ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル、キッチンペーパー等)、手袋、又はマスクが挙げられる。本実施形態において物品収納箱1(本体10)には、複数の物品が積み重ねられた状態で収納されている。
【0012】
本体10は、箱状をしている。具体的には、本体10は、直方体状をしている。本体10は、主面12を有している。主面12は、平面視で長方形状をしている。本実施形態において主面12は、本体10の上面部に等しい。ただし、物品収納箱1は、主面12を上向きにして使用されてもよいし、主面12を横向きにして使用されてもよい。
【0013】
本体10は、物品を詰め替えられるように構成されていることが好ましい。かかる構成は、例えば、主面12又はその他の面を開閉可能にすることにより実現することができる。本体10は、可撓性を有している。本体10の材料としては、例えば、厚紙等の紙を用いることができる。物品収納箱1は、紙のみからなることが好ましい。
【0014】
本体10は、取出口形成部20を有している。取出口形成部20は、本体10の主面12に設けられている。取出口形成部20には、物品の取出口が形成される。取出口形成部20は、横長の形状をしている。すなわち、主面12の長辺方向(
図1の左右方向)についての取出口形成部20の寸法の方が、主面12の短辺方向(
図1の上下方向)についての取出口形成部20の寸法よりも大きい。
【0015】
取出口形成部20は、折曲片22(第1の折曲片)、折曲片24(第2の折曲片)、折り筋32(第1の折り筋)、及び折り筋34(第2の折り筋)を含んでいる。折曲片22及び折曲片24は、内面どうしが対向するように主面12の斜め上方に折り曲げられる。つまり、折曲片22及び折曲片24は、観音開き構造を有している。
図1は、折曲片22及び折曲片24が折り曲げられていない状態を示している。
【0016】
図2は、取出口形成部20を示す平面図である。折曲片22の先端辺22a(第1の先端辺)は、凸部26(第1の凸部)を有している。先端辺22aは、折曲片22の周縁のうち、取出口に面する部分である。凸部26は、折曲片24に向かって突出している。先端辺22aは、複数の凸部26を有している。複数の凸部26は、相互に合同な形状をしている。各凸部26の幅w1(
図3参照)は、15mm以上50mm以下であることが好ましい。幅w1は、凹部27(隣り合う2つの凸部26の間の部分)の頂点27aどうしの間隔に等しい。頂点27aは、主面12の長辺12a(折り筋32側の長辺)に最も近い点である。具体的には、幅w1は、各凸部26の一端に位置する頂点27aを通り主面12の短辺方向に平行な直線L1と、当該凸部26の他端に位置する頂点27aを通り主面12の短辺方向に平行な直線L2との間隔に等しい。
【0017】
各凸部26の長さd1(
図4参照)は、3mm以上7mm以下であることが好ましい。長さd1は、主面12の短辺方向についての、頂点27aから各凸部26の頂点26aまでの距離に等しい。頂点26aは、主面12の長辺12aから最も遠い点である。具体的には、長さd1は、各凸部26の端部に位置する頂点27aを通り主面12の長辺方向に平行な直線L3と、当該凸部26の頂点26aを通り主面12の長辺方向に平行な直線L4との間隔に等しい。なお、凸部26の一端に位置する頂点27aから長辺12aまでの距離と当該凸部26の他端に位置する頂点27aから長辺12aまでの距離とが相異なる場合は、直線L3として、長辺12aにより近い方の頂点27aを通る直線を採用するものとする。
【0018】
折曲片24の先端辺24a(第2の先端辺)は、凸部28(第2の凸部)を有している。先端辺24aは、折曲片24の周縁のうち、取出口に面する部分である。凸部28は、折曲片22に向かって突出している。先端辺24aは、複数の凸部28を有している。複数の凸部28は、相互に合同な形状をしている。各凸部28の幅w2(
図5参照)は、15mm以上50mm以下であることが好ましい。幅w2は、凹部29(隣り合う2つの凸部28の間の部分)の頂点29aどうしの間隔に等しい。頂点29aは、主面12の長辺12b(折り筋34側の長辺)に最も近い点である。具体的には、幅w2は、各凸部28の一端に位置する頂点29aを通り主面12の短辺方向に平行な直線L5と、当該凸部28の他端に位置する頂点29aを通り主面12の短辺方向に平行な直線L6との間隔に等しい。本実施形態において凸部26の幅w1と凸部28の幅w2とは、互いに等しい。
【0019】
各凸部28の長さd2(
図6参照)は、3mm以上7mm以下であることが好ましい。長さd2は、主面12の短辺方向についての、頂点29aから各凸部28の頂点28aまでの距離に等しい。頂点28aは、主面12の長辺12bから最も遠い点である。具体的には、長さd2は、各凸部28の端部に位置する頂点29aを通り主面12の長辺方向に平行な直線L7と、当該凸部28の頂点28aを通り主面12の長辺方向に平行な直線L8との間隔に等しい。なお、凸部28の一端に位置する頂点29aから長辺12bまでの距離と当該凸部28の他端に位置する頂点29aから長辺12bまでの距離とが相異なる場合は、直線L7として、長辺12bにより近い方の頂点29aを通る直線を採用するものとする。本実施形態において凸部26の長さd1と凸部28の長さd2とは、互いに等しい。
【0020】
凸部26及び凸部28は、互いに離間している。すなわち、折曲片22及び折曲片24が折り曲げられていない状態で、凸部26及び凸部28は、互いに離間している。凸部26と凸部28との間隔d3(
図7参照)は、0.5mm以上3mm以下であることが好ましい。間隔d3は、凸部26の頂点26aと凸部28の頂点28aとの間隔に等しい。具体的には、間隔d3は、頂点26aを通り主面12の長辺方向に平行な直線L9と頂点28aを通り主面12の長辺方向に平行な直線L10との間隔に等しい。
【0021】
凸部26及び凸部28は、互いに対向している。主面12の長辺方向についての、凸部26の頂点26aから、当該凸部26に対向する凸部28の頂点28aまでの距離は、幅w1又は幅w2の1/4以下であることが好ましい。上記距離は、頂点26aを通り主面12の短辺方向に平行な直線と頂点28aを通り主面12の短辺方向に平行な直線との間隔に等しい。本実施形態において各凸部26の頂点26aと当該凸部26に対向する凸部28の頂点28aとは、主面12の短辺方向に平行な同一の直線上に位置する。すなわち、上記距離は0である。
【0022】
図1に戻って、取出口形成部20は、切取部20aを含んでいる。切取部20aは、切込線で囲まれ、取出口形成部20から切り取られる部分である。切取部20aは、その周囲全体が切込線で構成されている。切取部20aの周囲を構成する切込線は、折曲片22の先端辺22aに一致する切込線42、折曲片24の先端辺24aに一致する切込線44、後述する切込線46の一部、及び後述する切込線48の一部からなる。切込線42,44,46,48は、ミシン目である。切取部20aは、折曲片22と折曲片24との間に1つだけ存在している。切取部20aは、取出口形成部20の左右方向(主面12の長辺方向に等しい。)の端部に達している。
【0023】
折り筋32は、折曲片22を折り曲げるための折り筋である。すなわち、折曲片22は、折り筋32に沿って折り曲げられる。折り筋32は、折曲片22の後端辺(折曲片22の周縁のうち、折曲片22が折り曲げられた後も主面12から切り離されない部分)に一致する。折り筋32は、曲線状をしている。具体的には、折り筋32は、折曲片22の外側に膨らんだ曲線状をしている。折り筋32の頂点32aは、主面12を長辺方向に二等分する中心線C1上に存在している。頂点32aは、主面12の長辺12aに最も近い点である。折り筋32は、中心線C1を対称軸として線対称である。折り筋32は、円弧又は楕円弧を描いていることが好ましい。
【0024】
図8は、折り筋32を示す平面図である。折り筋32のカーブ率は、2.3%以上11.6%以下であることが好ましく、2.3%以上5.8%以下であることがより好ましい。ここで、カーブ率は、カーブの大きさを反映した数値であり、長さd4を長さd5で除した値として定義される。長さd4は、折り筋32全体を内包することが可能な最小の矩形R1の短辺の長さに等しい。長さd4は、例えば2mm以上20mm以下である。また、長さd5は、矩形R1の長辺の長さに等しい。矩形R1の短辺及び長辺は、それぞれ主面12の短辺及び長辺に平行である。長さd5は、例えば120mm以上200mm以下である。
【0025】
折り筋34は、折曲片24を折り曲げるための折り筋である。すなわち、折曲片24は、折り筋34に沿って折り曲げられる。折り筋34は、折曲片24の後端辺(折曲片24の周縁のうち、折曲片24が折り曲げられた後も主面12から切り離されない部分)に一致する。折り筋34は、曲線状をしている。具体的には、折り筋34は、折曲片24の外側に膨らんだ曲線状をしている。折り筋34の頂点34aは、中心線C1上に存在している。頂点34aは、主面12の長辺12bに最も近い点である。折り筋34は、中心線C1を対称軸として線対称である。折り筋34は、円弧又は楕円弧を描いていることが好ましい。
【0026】
本実施形態において折り筋34は、折り筋32と合同な形状をしている。また、折り筋34は、主面12を短辺方向に二等分する中心線C2を対称軸として折り筋32と線対称に配置されている。主面12においては、折曲片22の全体が中心線C2と長辺12aとの間の領域に存在するとともに、折曲片24の全体が中心線C2と長辺12bとの間の領域に存在している。また、折曲片22及び折曲片24は、中心線C2を対称軸として互いに線対称である。折り筋34のカーブ率は、2.3%以上11.6%以下であることが好ましく、2.3%以上5.8%以下であることがより好ましい。折り筋34のカーブ率の定義は、折り筋32のカーブ率の定義と同様である。
【0027】
取出口形成部20は、切込線46、及び切込線48を含んでいる。切込線46及び切込線48は、取出口形成部20の左右方向の端部を構成する端部切込線である。切込線46は、折り筋32の一端と折り筋34の一端とを連結している。切込線46は、折曲片22の側端辺(折曲片22の周縁のうち、先端辺22a又は後端辺以外の部分)、及び折曲片24の側端辺(折曲片24の周縁のうち、先端辺24a又は後端辺以外の部分)に一致する。切込線46は、主面12の短辺方向に平行な一直線状をしている。切込線48は、折り筋32の他端と折り筋34の他端とを連結している。切込線48は、折曲片22及び折曲片24の側端辺に一致する。切込線48は、主面12の短辺方向に平行な一直線状をしている。切込線48は、中心線C1を対称軸として切込線46と線対称に配置されている。
【0028】
図9は、物品収納箱1の使用時の様子を示す斜視図である。また、
図10は、
図9のA-A線に沿った端面の構造を説明するための図である。
図9においては、物品の図示を省略している。物品収納箱1を使用するには、まず、切込線42、切込線44、切込線46及び切込線48に沿って取出口形成部20に切目を入れる。これにより、切取部20aが取出口形成部20から切り取られる。次に、折曲片22及び折曲片24をそれぞれ折り筋32及び折り筋34に沿って斜め上方に折り曲げる。これにより、折曲片22と折曲片24との間に、取出口50が形成される。取出口50を通過した物品90を引っ張ることにより、本体10から物品90を取り出すことができる。なお、一般的なティッシュペーパー収納箱と異なり、物品収納箱1においては取出口50にプラスチックフィルムが設けられていない。
【0029】
物品収納箱1の効果を説明する。物品収納箱1においては、折曲片22の先端辺22aに設けられた凸部26と、折曲片24の先端辺24aに設けられた凸部28とが、互いに離間するとともに対向している。このように凸部26と凸部28との間に隙間を設けることにより、折曲片22及び折曲片24で物品90を挟み込む力(挟持力)が強くなりすぎないようにすることができる。これにより、取出口50から物品90を円滑に取り出すことができる。したがって、戻り力が働くにもかかわらず、物品90を円滑に取り出すことができる物品収納箱1が実現されている。
【0030】
物品収納箱1においては、このように挟持力が強くなりすぎないため、物品90を損傷するリスクや、取出口50に指を挟んで怪我をするリスクを低減させることができる。
【0031】
また、凸部26及び凸部28が互いに対向しているため、物品90を凸部26及び凸部28で挟んで保持することができる。これにより、取出口50から引き出された物品90が本体10内に落ち込みにくくなる。このことは、複数の物品90を物品収納箱1から連続的に取り出すのに有利である。
【0032】
さらに、凸部26及び凸部28を互いに対向させることにより、凸部26及び凸部28がそれぞれ凹部29及び凹部27に入り込まないようにすることができる。凸部26が凹部29に入り込むと、凸部26によって物品90が凹部29に押し込まれるため、取出口50から物品90を取り出しにくくなるという問題がある。同様に、凸部28が凹部27に入り込むと、凸部28によって物品90が凹部27に押し込まれるため、取出口50から物品90を取り出しにくくなるという問題がある。本実施形態によれば、これらの問題を解消することができる。
【0033】
長さd1及び長さd2を小さくすることにより、凹部27及び凹部29の深さも小さくすることができる。凹部27及び凹部29の深さが小さい方が、物品90が凹部27及び凹部29に押し込まれたときに生じる上記問題を小さく抑えるのに有利である。かかる観点から、長さd1及び長さd2は、7mm以下であることが好ましい。他方、長さd1及び長さd2が小さすぎると、凸部26及び凸部28の物品90に対する保持力が不充分になりかねない。かかる観点から、長さd1及び長さd2は、3mm以上であることが好ましい。
【0034】
凸部26の長さd1と凸部28の長さd2とは、互いに等しい。この場合、折曲片22及び折曲片24を互いに合同な形状にすることが可能となる。そうすることにより、取出口形成部20ひいては物品収納箱1の美観を向上させることができる。
【0035】
凸部26と凸部28との間隔d3を大きくした方が、物品90を円滑に取り出すのに有利である。かかる観点から、間隔d3は、0.5mm以上であることが好ましい。他方、間隔d3が大きすぎると、取出口50を通じて本体10内に塵埃が侵入しやすくなってしまう。かかる観点から、間隔d3は、3mm以下であることが好ましい。
【0036】
凸部26の幅w1と凸部28の幅w2とは、互いに等しい。これにより、凸部26の全体と凸部28の全体とを互いに対向させることが可能となる。
【0037】
幅w1及び幅w2を小さくすることにより、凸部26及び凸部28の個数を増やすことができる。凸部26及び凸部28の個数が多い方が、凸部26及び凸部28の物品90に対する保持力を強化するのに有利である。かかる観点から、幅w1及び幅w2は、50mm以下であることが好ましい。他方、幅w1及び幅w2が小さすぎると、凸部26及び凸部28の先端が細くなるため、物品90が折曲片22及び折曲片24に引っ掛かりやすくなってしまう。かかる観点から、幅w1及び幅w2は、15mm以上であることが好ましい。
【0038】
先端辺22aは複数の凸部26を有し、先端辺24aは複数の凸部28を有している。この場合、先端辺22a及び先端辺24aがそれぞれ凸部26及び凸部28を1つだけしか有しない場合に比して、凸部26及び凸部28の物品90に対する保持力を強化することができる。
【0039】
先端辺22aに設けられた複数の凸部26は、相互に合同な形状をしている。これにより、折曲片22ひいては物品収納箱1の美観を向上させることができる。同様に、先端辺24aに設けられた複数の凸部28は、相互に合同な形状をしている。これにより、折曲片24ひいては物品収納箱1の美観を向上させることができる。
【0040】
切取部20aは、折曲片22と折曲片24との間に1つだけ存在している。この場合、複数の切取部が存在する場合に比して、取出口形成部20に取出口50を形成する作業が容易になる。また、その際に発生する廃棄物(切取部20a)の数を減らすことができる。
【0041】
切取部20aは、取出口形成部20の左右方向の端部に達している。この場合、凸部26と凸部28との隙間を取出口形成部20の左右方向の全体に設けることができる。このことも、物品90を円滑に取り出すのに有利となる。
【0042】
折り筋32は、折曲片22の外側に膨らんだ曲線状をしている。この場合、直線状の折り筋に沿って折り曲げられる場合と異なり、折り筋32に沿って折り曲げられた折曲片22には、戻り力が働く。このため、折曲片22の折曲げ角度が大きくなりすぎないようにすることができる。これにより、取出口50を通じて本体10内に塵埃が侵入しにくくなるという利点がある。
【0043】
しかも、本実施形態においては折り筋34も、折曲片24の外側に膨らんだ曲線状をしている。この場合、折り筋34に沿って折り曲げられた折曲片24にも、戻り力が働く。このため、折曲片24の折曲げ角度が大きくなりすぎないようにすることができる。
【0044】
折り筋32が円弧又は楕円弧を描いている場合、取出口形成部20ひいては物品収納箱1の美観の向上に資する。同様に、折り筋34が円弧又は楕円弧を描いている場合、取出口形成部20ひいては物品収納箱1の美観の向上に資する。
【0045】
折り筋32のカーブ率を大きくした方が、折曲片22に働く戻り力を強くするのに有利である。かかる観点から、折り筋32のカーブ率は、2.3%以上であることが好ましい。他方、折り筋32のカーブ率が大きすぎると、戻り力が過度に強くなりかねない。かかる観点から、折り筋32のカーブ率は、11.6%以下であることが好ましく、5.8%以下であることがより好ましい。
【0046】
折り筋34のカーブ率を大きくした方が、折曲片24に働く戻り力を強くするのに有利である。かかる観点から、折り筋34のカーブ率は、2.3%以上であることが好ましい。他方、折り筋34のカーブ率が大きすぎると、戻り力が過度に強くなりかねない。かかる観点から、折り筋34のカーブ率は、11.6%以下であることが好ましく、5.8%以下であることがより好ましい。
【0047】
戻り力を強くすることには、折曲片22及び折曲片24が反り返ってしまう事態を起こりにくくすることができるという利点がある。物品収納箱1においては、このように戻り力を強くしても、上述のとおり、物品90の円滑な取出しを担保することができる。
【0048】
本体10が紙からなる場合、本体10の外面をお絵描きのキャンバスとして利用することができる。また、本体10の外面に予め線画を印刷しておけば、ユーザが塗り絵を楽しむこともできる。すなわち、本体10の外面には、塗り絵用の線画が印刷されていてもよい。このため、物品収納箱1は、子供の玩具としても適している。
【0049】
本体10が物品90を詰め替えられるように構成されている場合、物品90を使い切った後も新しい物品90を補充することにより、本体10を繰り返し利用することができ、経済的である。また、このことは、廃棄物(不要になった本体10)の削減につながるため、環境負荷の低減に資する。
【0050】
物品収納箱1においては、取出口50にプラスチックフィルムが設けられていない。このことは廃プラスチックの削減に資するため、物品収納箱1には環境に優しいという利点もある。
(第2実施形態)
【0051】
図11は、本発明による物品収納箱の第2実施形態を示す斜視図である。
図12及び
図13は、それぞれ
図11の物品収納箱を示す平面図及び背面図である。また、
図14及び
図15は、
図11の物品収納箱を示す側面図である。物品収納箱2は、物品を収納する物品収納箱であって、本体10を備えている。本実施形態において物品は、ロール状の衛生用紙92である。衛生用紙92としては、例えば、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル、キッチンペーパー等が挙げられる。ここで、ロール状の衛生用紙92とは、帯状の衛生用紙92がその短手方向に平行な軸周りに巻回されたものをいう。衛生用紙92の中心部には、円筒状の芯が設けられていてもよいし、かかる芯が設けられていなくてもよい。
【0052】
本体10は、主面12、側面14、及び側面16を有している。主面12には、取出口形成部20が設けられている。取出口形成部20の構成は、第1実施形態で説明したとおりである。ただし、本実施形態においては、取出口形成部20の詳細な図示を省略する。側面14及び側面16は、衛生用紙92の中心軸に垂直な一対の側面である。ここで、衛生用紙92の中心軸とは、ロール状の衛生用紙92を円柱又は円筒と見た場合における当該円柱又は円筒の中心軸に相当する仮想的な軸をいう。
【0053】
本実施形態において本体10は、さらに、切断刃62、並びに、挿通部64及び挿通部66を有している。切断刃62は、取出口から引き出された衛生用紙92を切断するための部分である。切断刃62は、取出口形成部20から離間した位置に設けられている。具体的には、切断刃62は、主面12の周縁に設けられている。切断刃62は、本体10の側面18と一体に形成されている(
図13参照)。側面18は、側面14及び側面16に直交する側面である。切断刃62は、主面12の上方に突出している(
図14及び
図15参照)。
【0054】
挿通部64は、衛生用紙92の中心部の隙間に挿通される部分である。挿通部64は、
図14に示すように、本体10の側面14に設けられている。挿通部64の外形は、多角形である。挿通部64の外形は、正n角形(nは5以上の整数)であることが好ましい。本実施形態においては、n=8の場合の例を示している。挿通部64は、切込線64aを有している。切込線64aは、挿通部64の中心と各頂点とを結ぶ複数の線分からなる。切込線64aは、ミシン目である。切込線64aに沿って側面14に切目を入れた後、挿通部64の周縁(多角形の各辺)に沿って舌片(当該各辺を底辺とする三角形の部分)を本体10の内側に折り曲げることにより、衛生用紙92の中心部に挿通部64(複数の舌片)を挿通することができる。このように、挿通部64は、側面14の一部からなっている。
【0055】
挿通部66は、衛生用紙92の中心部の隙間に挿通される部分である。挿通部66は、
図15に示すように、本体10の側面16に設けられている。挿通部66の外形は、多角形である。挿通部66の外形は、挿通部64の外形と同様、正n角形であることが好ましい。挿通部66は、切込線66aを有している。切込線66aは、挿通部66の中心と各頂点とを結ぶ複数の線分からなる。切込線66aは、ミシン目である。切込線66aに沿って側面16に切目を入れた後、挿通部66の周縁に沿って舌片を本体10の内側に折り曲げることにより、衛生用紙92の中心部に挿通部66を挿通することができる。このように、挿通部66は、側面16の一部からなっている。なお、挿通部64及び挿通部66は、側面14及び側面16に垂直な方向から見たときに互いに完全に重なる位置に配設されている。本体10は、切断刃62、挿通部64及び挿通部66を含めて全体が同一の材料からなっている。物品収納箱2のその他の構成は、物品収納箱1と同様である。
【0056】
図16乃至
図18を参照しつつ、物品収納箱2の使用方法の一例を説明する。
図16は、物品収納箱2の使用時の様子を示す斜視図である。また、
図17は、
図16のB-B線に沿った端面の構造を説明するための図である。
図16においては、衛生用紙92の図示を省略している。物品収納箱2を使用するには、まず、切込線42、切込線44、切込線46及び切込線48に沿って取出口形成部20に切目を入れる。これにより、切取部20aが取出口形成部20から切り取られる。次に、折曲片22及び折曲片24をそれぞれ折り筋32及び折り筋34に沿って斜め上方に折り曲げる。これにより、折曲片22と折曲片24との間に、取出口50が形成される。また、挿通部64の切込線64aに沿って側面14に切目を入れるとともに、挿通部66の切込線66aに沿って側面16に切目を入れる。その後、挿通部64及び挿通部66を本体10の内側に折り曲げて衛生用紙92の中心部に挿通する。
【0057】
次に、
図17に示すように、衛生用紙92の一端を引っ張ることにより、衛生用紙92を本体10から引き出す。続いて、
図18に示すように、引き出した衛生用紙92を切断刃62の先端に押し当てるようにして切断する。これにより、所望の長さの衛生用紙92の切断片を得ることができる。
【0058】
図19及び
図20を参照しつつ、物品収納箱2の製造方法の一例を説明する。まず、充分な大きさのシート70を準備し、シート70を
図19に示す形に切断する。本例においてシート70は、1枚の厚紙からなる。切断されたシート70は、主面12となる部分12p、本体10の底面(主面12と反対側の面)となる部分13p、側面14となる部分14p、側面16となる部分16p、側面18となる部分18p、及び本体10の残りの側面(側面14,16,18以外の側面)となる部分19pを含んでいる。部分12pには、取出口形成部20が形成されている。部分12pの3辺には、差込部72が接続されている。部分14pには、挿通部64が形成されている。部分14pの2辺には、糊代部74が接続されている。部分16pには、挿通部66が形成されている。部分16pの2辺には、糊代部76が接続されている。部分18pには、切断刃62が接続されている。なお、
図19は、各部分12p,13p,14p,16p,18p,19pの内面(本体10の内側の面)を示している。
【0059】
次に、折目F1乃至折目F8に沿って、シート70を谷折りにする。折目F1は、部分12pと部分16pとの境界に位置する。折目F2は、部分12pと各差込部72との境界に位置する。折目F3は、部分13pと部分14pとの境界に位置する。折目F4は、部分14pと各糊代部74との境界に位置する。折目F5は、部分13pと部分16pとの境界に位置する。折目F6は、部分16pと各糊代部76との境界に位置する。折目F7は、部分13pと部分18pとの境界に位置する。また、折目F8は、部分13pと部分19pとの境界に位置する。
【0060】
続いて、糊代部74を部分18p及び部分19pの内面に糊付けするとともに、糊代部76を部分18p及び部分19pの内面に糊付けする。その後、
図20に示すように、差込部72が部分14p、部分18p及び部分19pの内面に重なるように、部分13p、部分14p、部分16p、部分18p及び部分19pで囲まれた空間に差込部72を差し込む。以上により、
図11乃至
図15に示した物品収納箱2(本体10)が得られる。このように本例において本体10は、1枚のシート70から得られる。なお、差込部72は、各部分14p,18p,19pの内面に糊付けされてもよいし、されなくてもよい。前者の場合、糊付けに先立って、上記空間に衛生用紙92を配置する必要がある。後者の場合、開閉可能な主面12を有する本体10が得られる。
【0061】
物品収納箱2の効果を説明する。本体10は、切断刃62を有している。これにより、本体10から引き出した衛生用紙92を手で切断する場合に比して、衛生用紙92を綺麗に切断しやすくなる。
【0062】
切断刃62は、取出口形成部20から離間した位置に設けられている。この場合、切断後、本体10から引き出された衛生用紙92が取出口形成部20と切断刃62との間に残ることになる。このため、次に衛生用紙92を引き出すときに、衛生用紙92を摘みやすいという利点がある。
【0063】
切断刃62は、主面12の周縁に設けられている。この場合、本体10の側面に切断刃62を連設することにより、切断刃62を有する本体10を簡易な構成で実現することができる。実際、物品収納箱2においては、切断刃62が側面18の上端に連設されている。
【0064】
本体10は、挿通部64,66を有している。これにより、衛生用紙92の中心軸がぶれにくくなる。このことは、本体10から衛生用紙92を安定的に引き出すのに有利である。
【0065】
挿通部64は、本体10の側面14の一部からなる。これにより、挿通部64を有する本体10を簡易な構成で実現することができる。同様に、挿通部66は、本体10の側面16の一部からなる。これにより、挿通部66を有する本体10を簡易な構成で実現することができる。
【0066】
各挿通部64,66の外形が正n角形(nは5以上の整数)である場合、当該外形は、円に近い形状となる。このため、中心部に挿通部64,66が挿通された状態の衛生用紙92を円滑に回転させやすくなる。
【0067】
本体10は、切断刃62、挿通部64及び挿通部66を含めて全体が同一の材料からなる。このことは、物品収納箱2の製造コストの削減に資する。物品収納箱2のその他の効果は、物品収納箱1と同様である。
【0068】
本実施形態においては、各挿通部64,66の外形がn角形(nは5以上の整数)である場合を例示した。しかし、各挿通部64,66の外形は、三角形又は四角形であってもよい。その場合、衛生用紙92が円滑に回転しにくくなる反面、衛生用紙92が逆回転しにくくなる。このため、本体10から引き出された衛生用紙92が逆戻りしにくいという利点がある。
【0069】
本実施形態においては、本体10に挿通部64及び挿通部66の双方が設けられた場合を例示した。しかし、本体10には、挿通部64又は挿通部66の何れか一方のみが設けられてもよい。あるいは、本体10には、挿通部64及び挿通部66の何れも設けられなくてもよい。
【0070】
本実施形態においては、切断刃62が主面12の上方に突出している場合を例示した。しかし、切断刃62は、例えば
図21に示すように、主面12の側方に突出してもよい。その場合、切断刃62は、主面12と一体に形成することができる。
【0071】
本実施形態においては、本体10に衛生用紙92が1つだけ収納される場合を例示した。しかし、本体10には、例えば
図22及び
図23に示すように、複数の衛生用紙92が収納されてもよい。
図23は、
図22のC-C線に沿った端面の構造を説明するための図である。本例において本体10には、2つの衛生用紙92が収納されている。本体10内には、2つの衛生用紙92を隔てる仕切部10aが設けられている。主面12は、複数の衛生用紙92に対応するように、複数の取出口形成部20を有している。すなわち、1つの取出口形成部20には一方の衛生用紙92の取出口が形成され、もう1つの取出口形成部20には他方の衛生用紙92の取出口が形成される。
【0072】
このように複数の衛生用紙92が本体10に収納される場合、ユーザにとっての利便性が向上する。例えば、種類が異なる複数の衛生用紙92を本体10に収納すれば、ユーザは、用途に応じて適切な衛生用紙92を本体10から選択的に取り出すことが可能となる。また、複数の衛生用紙92に対応するように複数の取出口形成部20を設けることにより、複数の衛生用紙92を別々の取出口から取り出すことができる。これにより、複数の衛生用紙92どうしの干渉を防いで、各衛生用紙92を円滑に取り出すことができる。
【0073】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、凸部26の長さd1と凸部28の長さd2とが互いに等しい場合を例示した。しかし、例えば
図24に示すように、長さd1と長さd2とは、相異なっていてもよい。同図においては、長さd2が長さd1よりも大きい。このように長さd1と長さd2とが相異なる場合、取出口形成部20の設計自由度を高めることができる。
【0074】
上記実施形態においては、複数の凸部26が相互に合同な形状をしている場合を例示した。しかし、複数の凸部26は、相互に合同でない形状をしていてもよい。その場合、先端辺22aに設けられた複数の凸部26のうち少なくとも2つの凸部26が互いに合同でない形状をしていれば、充分である。このように複数の凸部26が相互に合同でない形状をしている場合、取出口形成部20の設計自由度を高めることができる。
【0075】
上記実施形態においては、複数の凸部28が相互に合同な形状をしている場合を例示した。しかし、複数の凸部28は、相互に合同でない形状をしていてもよい。その場合、先端辺24aに設けられた複数の凸部28のうち少なくとも2つの凸部28が互いに合同でない形状をしていれば、充分である。このように複数の凸部28が相互に合同でない形状をしている場合、取出口形成部20の設計自由度を高めることができる。
【0076】
上記実施形態においては、折曲片22の先端辺22aが角を有する形状をしている場合を例示した。すなわち、先端辺22aが凹部27の頂点27aにおいて角を有する場合を例示した。しかし、先端辺22aは、例えば
図25に示すように、角を有しない形状をしていてもよい。同図において先端辺22aは、波状をしており、連続する1本の曲線に沿って形成されている。このように先端辺22aが角を有しない形状をしている場合、物品90を損傷するリスクや、取出口50に指を挟んで怪我をするリスクを一層低減させることができる。
【0077】
上記実施形態においては、折曲片24の先端辺24aが角を有する形状をしている場合を例示した。すなわち、先端辺24aが凹部29の頂点29aにおいて角を有する場合を例示した。しかし、先端辺24aは、例えば
図26に示すように、角を有しない形状をしていてもよい。同図において先端辺24aは、波状をしており、連続する1本の曲線に沿って形成されている。このように先端辺24aが角を有しない形状をしている場合、物品90を損傷するリスクや、取出口50に指を挟んで怪我をするリスクを一層低減させることができる。
【0078】
上記実施形態においては、例えば
図27に示すように、取出口形成部20の中央部における先端辺22aと先端辺24aとの間隔d6を、取出口形成部20の残部における先端辺22aと先端辺24aとの間隔より大きくしてもよい。同図において取出口形成部20の中央部における先端辺22aと先端辺24aとの間隔d6は、その他の何れの部分における先端辺22aと先端辺24aとの間隔よりも大きい。このように取出口形成部20の中央部における間隔d6を大きくすることにより、物品90を一層円滑に取り出すことができる。
【0079】
上記実施形態においては、切取部20aが取出口形成部20の左右方向の端部に達する場合を例示した。しかし、切取部20aは、例えば
図28に示すように、取出口形成部20の左右方向の端部に達していなくてもよい。同図において取出口形成部20は、切込線49(境界切込線)を含んでいる。切込線49は、切取部20aから各切込線46,48まで延在し、折曲片22と折曲片24との境界を構成している。切込線49は、ミシン目である。各46,48は、曲線を描きながら切込線49に接続されている。
【0080】
このように切取部20aが取出口形成部20の左右方向の端部に達していない場合、凸部26と凸部28との隙間を取出口形成部20の左右方向の一部に限定することができる。これにより、取出口50を通じて本体10内に塵埃が侵入しにくくなるという利点がある。しかも、各46,48が曲線を描きながら切込線49に接続されているため、切込線49に沿って切目を入れる際に、切込線49の延長線上(取出口形成部20の外側)にまで切目が入ってしまう事態を起こりにくくすることができる。
【0081】
上記実施形態においては、折り筋32が折曲片22の外側に膨らんだ曲線状をしている場合を例示した。しかし、折り筋32は、折曲片22の内側に膨らんだ曲線状をしていてもよい。同様に、上記実施形態においては、折り筋34が折曲片24の外側に膨らんだ曲線状をしている場合を例示した。しかし、折り筋34は、折曲片24の内側に膨らんだ曲線状をしていてもよい。
【0082】
上記実施形態においては、例えば
図29に示すように、折り筋32が折曲片22の外側に膨らんだ曲線状をする一方、折り筋34が折曲片24の内側に膨らんだ曲線状をしていてもよい。同図において折り筋34のカーブ率は、折り筋32のカーブ率よりも小さい。折り筋34のカーブ率は、折り筋32のカーブ率の1/4以上3/4以下であることが好ましい。
【0083】
この場合、
図30に示すように、折り筋32の両側32b(主面12の長辺方向から見たときに折り筋32と重なる部分)には切込線46,48が存在しないのに対し、折り筋34の両側34b(主面12の長辺方向から見たときに折り筋34と重なる部分)には切込線46,48が存在する。このため、折り筋32に沿って折り曲げられる折曲片22よりも折り筋34に沿って折り曲げられる折曲片24の方が折り曲げやすい。すなわち、折曲片22の折曲げ角度よりも折曲片24の折曲げ角度の方が大きくなりやすい。そうなると、取出口50が本体10の高さ方向に広がるため、物品90を一層円滑に取り出すことができる。
【0084】
しかも、折り筋34のカーブ率は、折り筋32のカーブ率よりも小さい。このように折り筋34のカーブ率を小さくすることも、折曲片24を折り曲げやすくするのに有利である。これにより、取出口50を本体10の高さ方向に広く確保しやすくなる。かかる観点から、折り筋34のカーブ率は、折り筋32のカーブ率の3/4以下であることが好ましい。他方、折り筋34のカーブ率が小さすぎると、折曲片24の折曲げ角度が過大になりかねない。かかる観点から、折り筋34のカーブ率は、折り筋32のカーブ率の1/4以上であることが好ましい。ただし、折り筋34のカーブ率は、折り筋32のカーブ率に等しくてもよいし、折り筋32のカーブ率より大きくてもよい。
【0085】
上記実施形態においては、切込線42、切込線44、切込線46、切込線48及び切込線49がミシン目である場合を例示した。すなわち、各切込線42,44,46,48,49の両側に力を加えたときに初めて当該切込線42,44,46,48,49に沿って切目が入るように構成されている場合を例示した。しかし、各切込線42,44,46,48,49には、予め切目が入っていてもよい。各切込線64a,66aについても、同様である。
【0086】
上記実施形態においては、本体10の全体が単一の材料からなる場合を例示した。しかし、本体10は、複数の材料からなってもよい。例えば、切断刃62の材料としてプラスチック又は金属を用いる一方、本体10の残部(切断刃62以外の部分)の材料として厚紙を用いることが考えられる。あるいは、主面12の材料として厚紙を用いる一方、本体10の残部(主面12以外の部分)の材料として他の材料を用いることが考えられる。他の材料としては、例えば、段ボール、CNF(セルロースナノファイバー)、木、プラスチック、又は金属が挙げられる。
【符号の説明】
【0087】
1 物品収納箱
2 物品収納箱
10 本体
10a 仕切部
12 主面
12a 長辺
12b 長辺
14 側面
16 側面
18 側面
20 取出口形成部
20a 切取部
22 折曲片(第1の折曲片)
22a 先端辺(第1の先端辺)
24 折曲片(第2の折曲片)
24a 先端辺(第2の先端辺)
26 凸部(第1の凸部)
26a 頂点
27 凹部
27a 頂点
28 凸部(第2の凸部)
28a 頂点
29 凹部
29a 頂点
32 折り筋(第1の折り筋)
32a 頂点
32b 両側
34 折り筋(第2の折り筋)
34a 頂点
34b 両側
42 切込線
44 切込線
46 切込線(端部切込線)
48 切込線(端部切込線)
49 切込線(境界切込線)
50 取出口
62 切断刃
64 挿通部
64a 切込線
66 挿通部
66a 切込線
70 シート
72 差込部
74 糊代部
76 糊代部
90 物品
92 衛生用紙