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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159993
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1368 20060101AFI20241031BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G02F1/1368
G09F9/30 338
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024150919
(22)【出願日】2024-09-02
(62)【分割の表示】P 2023126008の分割
【原出願日】2012-10-30
(31)【優先権主張番号】P 2011247360
(32)【優先日】2011-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2011247367
(32)【優先日】2011-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】小山 潤
(57)【要約】
【課題】トランジスタを有する表示装置の作製工程に用いるフォトマスクの枚数を増やさ
ず、トランジスタの信頼性を向上させる。
【解決手段】島状の半導体層を形成するためのフォトリソグラフィ工程及びエッチング工
程を省略して、フォトマスクの枚数を増やすことなく作製する。具体的に液晶表示装置で
いえば、ゲート電極を形成する工程、エッチング工程等によるダメージを低減するための
保護層を形成する工程、ソース電極及びドレイン電極を形成する工程、コンタクトホール
を形成する工程、画素電極を形成する工程、の5つのフォトリソグラフィ工程で作製する
。そして本発明の一態様の液晶表示装置は、コンタクトホールを形成する工程と同時に形
成される、半導体層を分断するための溝部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極と、半導体層と、保護層と、第1電極と、第2電極と、を有するトランジスタと、
前記ゲート電極に電気的に接続する第1の配線と、
前記第1電極に電気的に接続する第2の配線と、
前記第2電極に電気的に接続する画素電極と、
容量配線と、
溝部と、を有し、
前記半導体層上には前記保護層が接して設けられており、
前記半導体層及び前記保護層は、前記第1の配線と、前記第2の配線と、前記画素電極と、前記容量配線と、に重畳するように設けられており、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記保護層に形成された開口部で前記半導体層に電気的に接続しており、
前記溝部は、前記第1の配線上に、前記第1の配線の線幅方向に横切って設けられ、
前記溝部は、前記容量配線上に、前記容量配線の線幅方向に横切って設けられ、
前記溝部は、前記第2の配線が延在する方向と平行な方向において、前記画素電極の端部を越えて設けられている、液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、液晶表示装置、EL表示装置、及びその作製方法に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指し、トランジスタ、半導体回路、記憶装置、撮像装置、表示装置、電気光学装置
及び電子機器などは全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
トランジスタを用いた、アクティブマトリクス型の液晶表示装置やEL(Electro
luminescence)表示装置等の表示装置が実用化されている。トランジスタは
、表示装置に限らず、IC(Integrated Circuit)を始めとした電子
デバイスに広く応用されている。
【0004】
近年、表示装置に対して、画面サイズの大面積化、高精細化及び高開口率化の要求が高ま
っている。また、表示装置には、高い信頼性と、生産コストの低減とが求められる。
【0005】
液晶表示装置やEL表示装置では、トランジスタを、スイッチング素子または駆動トラン
ジスタ等に用いている。そのため、表示装置が高い信頼性を確保するためには、トランジ
スタの信頼性を向上させることが重要である。また、生産コストを低減することを目的と
して、表示装置の作製工程を簡略化するためには、トランジスタの作製工程の簡略化を図
ることが有効である。
【0006】
トランジスタの信頼性の向上を図る手段として、半導体層の劣化を低減する技術が有効で
ある。半導体層の劣化は、フォトリソグラフィ工程におけるエッチング工程によるダメー
ジや、他の層から半導体層への不純物元素の拡散によって引き起こされる。そのため、半
導体層の劣化を低減するには、フォトリソグラフィ工程等の作製工程によるダメージを低
減する層を設けることや、他の層から半導体層への不純物元素の拡散を防ぐためのブロッ
キング層を設けるといった技術が有効である。
【0007】
また、トランジスタの作製工程の簡略化には、フォトリソグラフィ工程を削減または簡略
化することが有効である。例えばフォトリソグラフィ工程が1つ増加すると、レジスト塗
布、プリベーク、露光、現像、ポストベーク等の工程と、その前後の工程において、被膜
の形成及びエッチング工程、更にはレジスト剥離、洗浄及び乾燥工程等が必要になる。そ
のため、作製工程におけるフォトリソグラフィ工程が1つ増加するだけで、工程数が大幅
に増加する。
【0008】
一例として、大型の液晶表示装置のスイッチング素子に用いられる、ボトムゲート型のト
ランジスタの作製行程では、少なくとも5枚のフォトマスクによるフォトリソグラフィ工
程を経て、作製されることが一般的である。具体的に液晶表示装置の画素のトランジスタ
でいえば、ゲート電極(同一層で形成される配線を含む)を形成する工程、島状の半導体
層を形成する工程、ソース電極及びドレイン電極(同一層で形成される配線を含む)を形
成する工程、開口部(コンタクトホール)を形成する(開口部以外の絶縁層等の除去を含
む)工程、画素電極(同一層で形成される配線等を含む)を形成する工程の5つのフォト
リソグラフィ工程が必要となる。従ってトランジスタの作製工程では、1枚のフォトマス
クを削減またはフォトリソグラフィ工程を簡略化することによる工程の短縮の効果は大き
い。
【0009】
また別の一例として、大型のEL表示装置のスイッチング素子に用いられる、ボトムゲー
ト型のトランジスタの作製行程では、少なくとも6枚のフォトマスクによるフォトリソグ
ラフィ工程を経て、作製されることが一般的である。具体的にEL表示装置の画素のトラ
ンジスタでいえば、ゲート電極(同一層で形成される配線を含む)を形成する工程、島状
の半導体層を形成する工程、ソース電極及びドレイン電極(同一層で形成される配線を含
む)を形成する工程、開口部(コンタクトホール)を形成する(開口部以外の絶縁層等の
除去を含む)工程、EL素子の一方の電極(同一層で形成される配線等を含む)を形成す
る工程、EL層を色毎に塗り分けるための隔壁層を形成する工程、の6つのフォトリソグ
ラフィ工程が必要となる。従ってトランジスタの作製工程では、1枚のフォトマスクを削
減またはフォトリソグラフィ工程を簡略化することによる工程の短縮の効果は大きい。
【0010】
そのため、トランジスタの作製工程における、フォトリソグラフィ工程を削減または簡略
化するために、数多くの技術開発がなされている。例えば、フォトリソグラフィ工程を簡
略化させる技術としては、裏面露光、レジストリフロー又はリフトオフ法といった技術が
ある。また、トランジスタの作製工程における、フォトリソグラフィ工程を簡略化するた
めに、多階調マスク(ハーフトーンマスク又はグレートーンマスクと呼ばれるもの)を用
いた技術が広く知られている。多階調マスクを用いて作製工程を低減する技術として、例
えば特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003-179069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、生産コストの低減を図るためにフォトリソグラフィ工程を削減または簡略
化すると、半導体層の一部が、半導体層のエッチング工程時や、ソース電極(第1電極と
もいう)及びドレイン電極(第2電極ともいう)のエッチング工程時にエッチングガスま
たはエッチング液に曝されることになり、半導体層が劣化してしまうといった問題が生じ
る。
【0013】
また、半導体層の劣化を低減するために、エッチング工程等によるダメージを低減するた
めの保護層を設けることが考えられる。しかしながら半導体層上に保護層を設け、当該保
護層に、第1電極及び第2電極と半導体層との接続を図るための開口部を設けるためのフ
ォトマスク枚数が1枚増えてしまう。このフォトマスクマスク数の増加によって、液晶表
示装置の画素のトランジスタでボトムゲート型のトランジスタを考えると、少なくともフ
ォトマスク枚数が6枚となってしまう。またこのフォトマスクマスク数の増加によって、
EL表示装置の画素のトランジスタでボトムゲート型のトランジスタを考えると、少なく
ともフォトマスク枚数が7枚となってしまう。そのため単に、半導体層の劣化を低減する
ために、エッチング工程等によるダメージを低減するための保護層を設ける構成では、フ
ォトリソグラフィ工程及びエッチング工程が増加してしまうといった問題が生じる。
【0014】
そこで本発明の一態様は、トランジスタの作製工程におけるフォトリソグラフィ工程を増
加させず、且つ半導体層の劣化を低減することを課題の一とする。
【0015】
また本発明の一態様は、トランジスタを有する表示装置の作製工程に用いるフォトマスク
の枚数を増やさず、トランジスタの信頼性を向上させることを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様は、島状の半導体層を形成するためのフォトリソグラフィ工程及びエッチ
ング工程を省略して、フォトマスクの枚数を増やすことなく作製することのできる半導体
装置である。具体的には、ゲート電極(同一層で形成される配線を含む)を形成する工程
、エッチング工程等によるダメージを低減するための保護層を形成する工程、第1電極及
び第2電極(同一層で形成される配線を含む)を形成する工程、開口部を形成する(開口
部以外の絶縁層等の除去を含む)工程、画素電極(同一層で形成される配線等を含む)を
形成する工程、の5つのフォトリソグラフィ工程で、液晶表示装置に用いる半導体装置を
作製する。そして本発明の一態様の半導体装置は、開口部を形成する工程と同時に形成さ
れる、半導体層を分断するための溝部を有する。また本発明の一態様の半導体装置は、半
導体層上の保護層に開口部を設け、当該開口部において第1電極及び第2電極と半導体層
との接続を図り、当該開口部以外の保護層に重畳した半導体層の劣化を低減する構成とす
るものである。
【0017】
本発明の一態様は、ゲート電極と、半導体層と、保護層と、第1電極と、第2電極と、を
有するトランジスタと、ゲート電極に電気的に接続する第1の配線と、第1電極に電気的
に接続する第2の配線と、第2電極に電気的に接続する画素電極と、容量配線と、溝部と
、を有し、半導体層上には保護層が接して設けられており、半導体層及び保護層は、第1
の配線と、第2の配線と、画素電極と、容量配線と、に重畳して設けられており、第1電
極及び第2電極は、保護層に形成された開口部で半導体層に電気的に接続しており、溝部
は、第1の配線上に、第1の配線の線幅方向に横切って形成され、また溝部は、容量配線
上に、容量配線の線幅方向に横切って形成され、また溝部は、第2の配線が延在する方向
と平行な方向において、画素電極の端部を越えて形成されている液晶表示装置である。
【0018】
本発明の一態様において、溝部の底面に半導体層がない液晶表示装置が好ましい。
【0019】
本発明の一態様において、溝部の側面に半導体層を有する液晶表示装置が好ましい。
【0020】
本発明の一態様において、溝部は、配向膜と重畳している液晶表示装置が好ましい。
【0021】
本発明の一態様において、溝部の少なくとも一部が、画素電極と重畳している液晶表示装
置が好ましい。
【0022】
本発明の一態様において、半導体層は、酸化物半導体である液晶表示装置が好ましい。
【0023】
本発明の一態様において、保護層は、絶縁性を有する酸化物である液晶表示装置が好まし
い。
【0024】
本発明の一態様において、絶縁性を有する酸化物は、インジウム、ガリウム及び亜鉛を含
む酸化物おいて、ガリウムの一部をチタン、ジルコニウム、ハフニウム、またはゲルマニ
ウムより選ばれる少なくとも一種の元素に置換した材料である液晶表示装置が好ましい。
【0025】
本発明の一態様は、基板上に、第1のフォトリソグラフィ工程によりゲート電極を形成し
、ゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上に半導体層を形成し、第2のフ
ォトリソグラフィ工程により、半導体層上に開口部を有する保護層を形成し、第3のフォ
トリソグラフィ工程により、保護層上に、半導体層に開口部で接する第1電極及び第2電
極を形成し、第1電極及び第2電極上に絶縁層を形成し、第4のフォトリソグラフィ工程
により、第2電極と重なる絶縁層の一部を選択的に除去して行う開口部の形成と、絶縁層
、半導体層、ゲート絶縁層の一部を除去して行う溝部の形成を行い、第5のフォトリソグ
ラフィ工程により、絶縁層上に画素電極を形成する液晶表示装置の作製方法である。
【0026】
本発明の一態様において、基板と、ゲート電極の間に、下地層が形成される液晶表示装置
の作製方法が好ましい。
【0027】
本発明の一態様において、半導体層は、酸化物半導体を含む液晶表示装置の作製方法が好
ましい。
【0028】
本発明の一態様において、開口部の形成後に、保護層の開口部で露出する半導体層の表面
を洗浄する工程を有する液晶表示装置の作製方法が好ましい。
【0029】
また、本発明の一態様は、島状の半導体層を形成するためのフォトリソグラフィ工程及び
エッチング工程を省略して、フォトマスクの枚数を増やすことなく作製することのできる
半導体装置である。具体的には、ゲート電極(同一層で形成される配線を含む)を形成す
る工程、エッチング工程等によるダメージを低減するための保護層を形成する工程、ソー
ス電極及びドレイン電極(同一層で形成される配線を含む)を形成する工程、開口部を形
成する(開口部以外の絶縁層等の除去を含む)工程、EL素子の一方の電極(同一層で形
成される配線等を含む)を形成する工程、EL層を色毎に塗り分けるための隔壁層を形成
する工程、の6つのフォトリソグラフィ工程で、EL表示装置に用いる半導体装置を作製
する。そして本発明の一態様の半導体装置は、開口部を形成する工程と同時に形成される
、半導体層を分断するための溝部を有する。また本発明の一態様の半導体装置は、半導体
層上の保護層に開口部を設け、当該開口部においてソース電極及びドレイン電極と半導体
層との接続を図り、当該開口部以外の保護層に重畳した半導体層の劣化を低減する構成と
するものである。
【0030】
本発明の一態様は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第1のトランジスタ
のゲート電極に電気的に接続する第1の配線と、第1のトランジスタのソースまたはドレ
インとなる電極の一方に電気的に接続する第2の配線と、第2のトランジスタのソースま
たはドレインとなる電極の一方に電気的に接続する第3の配線と、第1のトランジスタの
ソースまたはドレインとなる電極の他方と第2のトランジスタのゲート電極とを電気的に
接続する第4の配線と、第2のトランジスタのソースまたはドレインとなる電極の他方に
電気的に接続するEL素子と、第1のトランジスタのソースまたはドレインとなる電極の
他方と第3の配線とが重畳する領域に形成される容量素子と、溝部と、を有し、第1のト
ランジスタ及び第2のトランジスタの半導体層上には、保護層が接して設けられており、
半導体層及び保護層は、第1の配線と、第2の配線と、第3の配線と、第4の配線と、E
L素子と、に重畳して設けられており、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタのソ
ースまたはドレインとなる電極は、保護層に形成された開口部で半導体層に電気的に接続
しており、溝部は、第1の配線上に、第1の配線の線幅方向に横切って形成され、また溝
部は、第2の配線及び第3の配線が延在する方向と平行な方向において、第2のトランジ
スタのゲート電極の線幅方向に横切って形成されているEL表示装置である。
【0031】
本発明の一態様において、溝部の底面に半導体層がないEL表示装置が好ましい。
【0032】
本発明の一態様において、溝部の側面に半導体層を有するEL表示装置が好ましい。
【0033】
本発明の一態様において、溝部は、隔壁層と重畳しているEL表示装置が好ましい。
【0034】
本発明の一態様において、EL素子の一方の電極と第4の配線とが同じ層に形成されてい
るEL表示装置が好ましい。
【0035】
本発明の一態様において、半導体層は、酸化物半導体であるEL表示装置が好ましい。
【0036】
本発明の一態様において、保護層は、絶縁性を有する酸化物であるEL表示装置が好まし
い。
【0037】
本発明の一態様において、絶縁性を有する酸化物は、インジウム、ガリウム及び亜鉛を含
む酸化物において、ガリウムの一部をチタン、ジルコニウム、ハフニウム、またはゲルマ
ニウムより選ばれる少なくとも一種の元素に置換した材料であるEL表示装置が好ましい
【0038】
また本発明の一態様は、基板上に、第1のフォトリソグラフィ工程によりゲート電極を形
成し、ゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上に半導体層を形成し、第2
のフォトリソグラフィ工程により、半導体層上に開口部を有する保護層を形成し、第3の
フォトリソグラフィ工程により、保護層上に、半導体層に保護層の開口部で接するソース
電極及びドレイン電極を形成し、ソース電及びドレイン電極上に絶縁層を形成し、第4の
フォトリソグラフィ工程により、絶縁層の一部を選択的に除去して行う開口部の形成と、
絶縁層、半導体層、ゲート絶縁層の一部を除去して行う溝部の形成を行い、第5のフォト
リソグラフィ工程により、絶縁層の開口部及び絶縁層上に、EL素子の一方の電極を形成
し、第6のフォトリソグラフィ工程により、EL素子の一方の電極上の一部、及び絶縁層
上に、EL素子のEL層を色毎に塗り分けるための隔壁層を形成するEL表示装置の作製
方法である。
【0039】
本発明の一態様において、基板と、ゲート電極の間に、下地層が形成されるEL表示装置
の作製方法が好ましい。
【0040】
本発明の一態様において、半導体層は、酸化物半導体を含むEL表示装置の作製方法が好
ましい。
【0041】
本発明の一態様において、開口部の形成後に、保護層の開口部で露出する半導体層の表面
を洗浄する工程を有するEL表示装置の作製方法が好ましい。
【発明の効果】
【0042】
本発明の一態様によれば、トランジスタの作製工程におけるフォトリソグラフィ工程を増
加させず、且つ半導体層の劣化を低減することができる。
【0043】
また本発明の一態様によれば、トランジスタを有する表示装置の作製工程に用いるフォト
マスクの枚数を増やさず、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の一態様を説明する上面図。
図2】本発明の一態様を説明する断面図。
図3】本発明の一態様を説明する上面図。
図4】本発明の一態様を説明する断面図。
図5】本発明の一態様を説明する上面図及び断面図。
図6】本発明の一態様を説明する回路図。
図7】本発明の一態様を説明する上面図及び断面図。
図8】本発明の一態様を説明する上面図及び断面図。
図9】本発明の一態様を説明する断面図。
図10】本発明の一態様を説明する断面図。
図11】本発明の一態様を説明する上面図及び断面図。
図12】電子機器の例を説明する図。
図13】本発明の一態様を説明する上面図。
図14】本発明の一態様を説明する断面図。
図15】本発明の一態様を説明する上面図。
図16】本発明の一態様を説明する断面図。
図17】本発明の一態様を説明する上面図。
図18】本発明の一態様を説明する回路図。
図19】本発明の一態様を説明する上面図及び断面図。
図20】本発明の一態様を説明する上面図及び断面図。
図21】本発明の一態様を説明する断面図。
図22】本発明の一態様を説明する断面図。
図23】本発明の一態様を説明する上面図及び断面図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し
得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の
記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において
、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、
その繰り返しの説明は省略する。
【0046】
また、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、構成要素の混
同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0047】
また、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実
際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必
ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0048】
また、トランジスタの「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを
採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることが
ある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて
用いることができるものとする。
【0049】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限
定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、
その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配
線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0050】
(実施の形態1)
本実施の形態では、フォトマスク数及びフォトリソグラフィ工程数を削減した液晶表示装
置の画素構成および作製方法の一例について、図1乃至図10を用いて説明する。
【0051】
図6(A)に、液晶表示装置に用いる半導体装置100の構成の一例を説明する。半導体
装置100は、基板101上に画素領域102と、m個(mは1以上の整数)の端子10
5及び端子107を有する端子部103と、n個(nは1以上の整数)の端子106を有
する端子部104を有している。また、半導体装置100は、端子部103に接続するm
本の配線212と、端子部104に接続するn本の配線216と、配線203を有してい
る。また、画素領域102は、縦m個(行)×横n個(列)のマトリクス状に配置された
複数の画素110を有している。i行j列の画素110(i、j)(iは1以上m以下の
整数、jは1以上n以下の整数)は、配線212_i、配線216_jにそれぞれ接続さ
れている。また、各画素は、容量電極または容量配線として機能する配線203と接続さ
れ、配線203は端子107に接続されている。また、配線212_iは端子105_i
に接続され、配線216_jは端子106_jに接続されている。
【0052】
端子部103及び端子部104は外部入力端子であり、外部に設けられた制御回路とFP
C(Flexible Printed Circuit)等を用いて接続される。外部
に設けられた制御回路から供給される信号は、端子部103及び端子部104を介して半
導体装置100に入力される。図6(A)では、端子部103を画素領域102の左右外
側に形成し、2カ所から信号を入力する構成を示している。また、端子部104を画素領
域102の上下外側に形成し、2カ所から信号を入力する構成を示している。2カ所から
信号を入力することにより、信号の供給能力が高まるため、半導体装置100の高速動作
が容易となる。また、半導体装置100の大型化や高精細化に伴う配線抵抗の増大による
信号遅延の影響を軽減することができる。また、半導体装置100に冗長性を持たせるこ
とが可能となるため、半導体装置100の信頼性を向上させることができる。なお、図6
(A)では端子部103及び端子部104をそれぞれ2カ所設ける構成としているが、そ
れぞれ1カ所設ける構成としても構わない。
【0053】
図6(B)は、画素110の回路構成を示している。画素110は、トランジスタ111
と、液晶素子112と、容量素子113を有している。トランジスタ111のゲート電極
は配線212_iに接続され、トランジスタ111のソースまたはドレインの一方の電極
(以下、第1電極という)は配線216_jに接続されている。また、トランジスタ11
1のソースまたはドレインの他方の電極(以下第2電極という)は、液晶素子112の一
方の電極と、容量素子113の一方の電極に接続されている。液晶素子112の他方の電
極は、電極114に接続されている。電極114の電位は、0Vや、GNDや、共通電位
などの固定電位としておけばよい。容量素子113の他方の電極は、配線203に接続さ
れている。
【0054】
トランジスタ111は、液晶素子112に配線216_jから供給される画像信号を入力
させるか否かを選択する機能を有する。配線212_iにトランジスタ111をオン状態
とする信号が供給されると、トランジスタ111を介して配線216_jの画像信号が液
晶素子112に供給される。液晶素子112は、供給される画像信号(電位)に応じて、
光の透過率が制御される。容量素子113は、液晶素子112に供給された電位を保持す
るための保持容量(Cs容量ともいう)としての機能を有する。容量素子113は、必ず
しも設ける必要はないが、容量素子113を設けることにより、トランジスタ111がオ
フ状態の時に第1電極と第2電極間に流れる電流(オフ電流)に起因する、液晶素子11
2に与えられた電位の変動を抑制することができる。
【0055】
トランジスタ111のチャネルが形成される半導体層には、単結晶半導体、多結晶半導体
、微結晶半導体、非晶質半導体等を用いることができる。半導体材料としては、例えば、
シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、またはガリウムヒ素等
を挙げることができる。なお、本実施の形態で説明する表示装置は、画素領域内に半導体
層が残る構成であるため、上記半導体を用いた表示装置を透過型の表示装置として用いる
場合は、半導体層を極力薄くするなどして、可視光の透過率を高めることが好ましい。
【0056】
また、トランジスタ111のチャネルが形成される半導体層には、酸化物半導体を用いる
ことが好適である。酸化物半導体は、エネルギーギャップが3.0eV以上と大きく、可
視光に対する透過率が大きい。また、酸化物半導体を適切な条件で加工して得られたトラ
ンジスタにおいては、オフ電流を使用時の温度条件下(例えば、25℃)において、10
0zA(1×10-19A)以下、もしくは10zA(1×10-20A)以下、さらに
は1zA(1×10-21A)以下とすることができる。このため、容量素子113を設
けなくても液晶素子112に印加された電位の保持が可能となる。また、消費電力の小さ
い液晶表示装置を実現することができる。
【0057】
次に、図6で示した画素110の構成例について、図1及び図2を用いて説明する。図1
は、画素110の平面構成を示す上面図であり、図2は、画素110の積層構成を示す断
面図である。なお、図1におけるA1-A2、B1-B2、C1-C2、D1-D2の鎖
線は、図2(A)乃至図2(D)における断面A1-A2、断面B1-B2、断面C1-
C2、断面D1-D2に相当する。
【0058】
本実施の形態に示すトランジスタ111は、等間隔に対向する第1電極206A及び第2
電極206Bの形状としている。なお第1電極206A及び第2電極206Bの形は、他
の形状とすることもでき、一例としては、第2電極206Bを、U字型(C字型、コの字
型、または馬蹄型)の第1電極206Aで囲む形状とすることもできる。
【0059】
配線203は、容量電極または容量配線として機能する。本実施の形態では、配線203
と第2電極206Bを重畳させて容量素子113を形成している。
【0060】
また、本実施の形態で説明する半導体装置は、工程簡略化のため島状の半導体層を形成す
るためのフォトリソグラフィ工程やエッチング工程を行わないため、画素領域102の全
てに半導体層205が残る構成となる。その結果、配線212_iがゲート電極として機
能し、配線216_jがソースまたはドレインの一方の電極として機能し、配線216_
j+1がソースまたはドレインの他方の電極として機能する第1の寄生トランジスタが生
じる。
【0061】
また、配線203がゲート電極として機能し、配線216_jがソースまたはドレインの
一方の電極として機能し、配線216_j+1がソースまたはドレインの他方の電極とし
て機能する第2の寄生トランジスタが生じる。
【0062】
また、画素電極210がゲート電極として機能し、絶縁層207がゲート絶縁層として機
能し、配線216_jがソースまたはドレインの一方の電極として機能し、配線216_
j+1がソースまたはドレインの他方の電極として機能する第3の寄生トランジスタが生
じる。
【0063】
なお寄生トランジスタは、トランジスタが形成される領域以外の半導体層が残った場所で
チャネルが形成されて、生成されるトランジスタである。
【0064】
本実施の形態の構成では、島状の半導体層を形成するためのフォトリソグラフィ工程やエ
ッチング工程を省略することで、半導体層へのダメージの低減でき、当該半導体層の劣化
を低減することができる。
【0065】
第1の寄生トランジスタは、配線212_iにトランジスタ111をオン状態とする電位
が供給されると、第1の寄生トランジスタもオン状態となり、配線216_jと配線21
6_j+1が電気的に接続されることとなる。第1の寄生トランジスタにより配線216
_jと配線216_j+1が電気的に接続されると、双方の画像信号が干渉し、正確な画
像信号を液晶素子112に供給することが困難となる。
【0066】
また、第2の寄生トランジスタがnチャネル型のトランジスタとして機能する場合、配線
203に供給された電位よりも、配線216_jまたは配線216_j+1の電位が低く
なり、その電位差の絶対値が第2の寄生トランジスタのしきい値電圧よりも大きくなると
、画素電極210の下に位置する半導体層205にチャネルが形成され、第2の寄生トラ
ンジスタがオン状態となる。
【0067】
第2の寄生トランジスタがオン状態となると、配線216_jと配線216_j+1が電
気的に接続されることとなる。第2の寄生トランジスタにより配線216_jと配線21
6_j+1が電気的に接続されると、双方の画像信号が干渉し、正確な画像信号を液晶素
子112に供給することが困難となる。
【0068】
また、第3の寄生トランジスタがnチャネル型のトランジスタとして機能する場合、画素
電極210に供給された、または保持された電位よりも、配線216_jまたは配線21
6_j+1の電位が低くなり、その電位差の絶対値が第3の寄生トランジスタのしきい値
電圧よりも大きくなると、画素電極210の下に位置する半導体層205にチャネルが形
成され、第3の寄生トランジスタがオン状態となる。
【0069】
第3の寄生トランジスタがオン状態となると、配線216_jと配線216_j+1が電
気的に接続されることとなる。第3の寄生トランジスタにより配線216_jと配線21
6_j+1が電気的に接続されると、双方の画像信号が干渉し、正確な画像信号を液晶素
子112に供給することが困難となる。また、画素の開口率を大きくするなどの理由によ
り、画素電極210を配線216_jや配線216_j+1に近づけると、第3の寄生ト
ランジスタの影響がより強くなる。
【0070】
そこで、本実施の形態では、画素110に半導体層205が除去された溝部230を設け
、上述の寄生トランジスタが生じない構成とする。溝部230を、配線212_iの線幅
方向の両端部を越えて横切る様に設けることで、第1の寄生トランジスタの生成を防ぐこ
とができる。また、溝部230を、配線203の線幅方向の両端部を越えて横切る様に設
けることで、第2の寄生トランジスタの生成を防ぐことができる。なお、配線212_i
上の溝部230もしくは、配線203上の溝部230は、それぞれ複数設けてもよい。
【0071】
また、溝部230を配線216_jと画素電極210との間、または配線216_j+1
と画素電極210との間の少なくともどちらか一方に、配線216_jまたは配線216
_j+1が延在する方向と平行な方向に沿って、画素電極210の端部231及び端部2
32を越えて形成する。これにより、第3の寄生トランジスタの生成を防ぐことができる
。なお、溝部230は、配線216_jまたは配線216_j+1と平行に設けられてい
る必要はなく、また、屈曲部または湾曲部を有していてもよい。
【0072】
なお、図1では、配線212_iと配線203に挟まれた領域で溝部230が途切れてい
るが、配線212_iの線幅方向の端部を越えて設けられた溝部230を延伸し、配線2
03の幅方向の端部を越えて設けられた溝部230と接続した構成としてもよい。
【0073】
また、配線203上に溝部230を設けずに、配線203の電位を、配線216_jまた
は配線216_j+1に供給される電位よりも低い電位としておくことで、第2の寄生ト
ランジスタの生成を防ぐこともできる。ただし、この場合は、上記電位を配線203に供
給するための電源を別途設ける必要がある。
【0074】
また、半導体層205が除去された溝部230の大きさに特に制限はないが、寄生トラン
ジスタの生成を確実に防ぐため、配線216_jまたは配線216_j+1が延在する方
向と直交する方向における、溝部230内の半導体層が除去された部分の距離は1μm以
上とすることが好ましく、2μm以上とするとさらに好ましい。
【0075】
また本実施の形態のトランジスタ111では、半導体層205上に保護層351を設け、
当該半導体層205が劣化するのを低減する構成としている。特に本実施の形態では、半
導体層205上の保護層351の一部に開口部301及び開口部302を設け、半導体層
205と第1電極206A及び第2電極206Bとの接続をする構成としている。そのた
め、半導体層205の一部が、半導体層205のエッチング工程時や、第1電極206A
及び第2電極206Bのエッチング工程時にエッチングガスまたはエッチング液に曝され
ることによる、半導体層205の劣化を低減することができる。
【0076】
なお図1に示す画素110のレイアウトで、開口部301及び開口部302は、OPC(
Optical Proximity Correction:光近接効果補正)を用い
たフォトマスクで加工することが好ましい。トランジスタ111の第1電極206A及び
第2電極206Bと半導体層205とを接続するための開口部301及び開口部302を
、OPCを用いたフォトマスクで形成することで、光の回折に伴う開口部の形状の変形を
抑制し、トランジスタのチャネル幅及びチャネル長のばらつきを低減することができる。
【0077】
断面A1-A2は、トランジスタ111及び容量素子113の積層構造を示している。ト
ランジスタ111は、ボトムゲート構造のトランジスタである。断面B1-B2は、画素
電極210及び溝部230を含む、配線216_jから配線216_j+1までの積層構
造を示している。また、断面C1-C2は、配線216_jと、配線212_iの交差部
における積層構造を示している。また、断面D1-D2は、溝部230と、配線216_
j+1と配線212_iの交差部における積層構造を示している。
【0078】
図2(A)に示す断面A1-A2において、基板200上に下地層201が形成され、下
地層201上にゲート電極202及び配線203が形成されている。また、ゲート電極2
02及び配線203上に、ゲート絶縁層204と半導体層205が形成されている。また
、半導体層205上には保護層351が形成されている。また、保護層351上には第1
電極206A及び第2電極206Bが形成されている。半導体層205は、保護層351
に形成された開口部301及び開口部302で、第1電極206A及び第2電極206B
に接続されている。また、保護層351の一部に接し、第1電極206A及び第2電極2
06B上に絶縁層207が形成されている。また、絶縁層207上には画素電極210が
形成されている。画素電極210は、絶縁層207に形成された開口部208で第2電極
206Bに接続されている。
【0079】
配線203と第2電極206Bが、ゲート絶縁層204と半導体層205を間に挟んで重
なっている部分が容量素子113として機能する。ゲート絶縁層204と半導体層205
は誘電体層として機能する。配線203と画素電極210の間に形成される誘電体層を多
層構造とすることで、一つの誘電体層にピンホールが生じても、ピンホールは他の誘電体
層で被覆されるため、容量素子113を正常に機能させることができる。また、酸化物半
導体の比誘電率は14乃至16と大きいため、半導体層205に酸化物半導体を用いると
、容量素子113の静電容量値を大きくすることが可能となる。
【0080】
図2(B)に示す断面B1-B2において、基板200上に下地層201が形成され、下
地層201上にゲート絶縁層204が形成され、ゲート絶縁層204上に半導体層205
が形成されている。半導体層205上には保護層351が形成されている。保護層351
上に配線216_j及び配線216_j+1が形成され、保護層351と、配線216_
j及び配線216_j+1上に絶縁層207が形成されている。また、絶縁層207上に
画素電極210が形成されている。
【0081】
配線216_j+1と画素電極210の間に、ゲート絶縁層204の一部、半導体層20
5の一部、保護層351の一部、及び絶縁層207の一部が除去された溝部230が形成
されている。溝部230は、少なくともその底面において半導体層を有していない構成と
なっている。
【0082】
図2(C)に示す断面C1-C2において、基板200上に下地層201が形成され、下
地層201上に配線212_iが形成されている。また、配線212_i上に、ゲート絶
縁層204と半導体層205が形成されている。また、半導体層205上には保護層35
1が形成されている。また、保護層351上に配線216_jが形成され、配線216_
j上に絶縁層207が形成されている。
【0083】
図2(D)に示す断面D1-D2において、基板200上に下地層201が形成され、下
地層201上に配線212_iが形成されている。また、配線212_i上に、ゲート絶
縁層204と半導体層205が形成されている。また、半導体層205上には保護層35
1が形成されている。また、保護層351上に配線216_j+1が形成され、配線21
6_j+1上に絶縁層207が形成されている。また、ゲート絶縁層204の一部、半導
体層205の一部、保護層351の一部、及び絶縁層207の一部が除去された溝部23
0が形成されている。
【0084】
次に、図1で示した構成とは異なる画素構成例について、図3及び図4を用いて説明する
図3は、画素120の平面構成を示す上面図である。図4(A)乃至図4(C)に示す
断面A1-A2、断面E1-E2、断面F1-F2は、図3におけるA1-A2、E1-
E2、F1-F2の鎖線で示す部位の断面に相当する。図3に示す画素120は、図1
示した画素110と、溝部230の構成が異なる。なお、図3におけるA1-A2の鎖線
で示す部位の構成は、図1及び図2(A)で説明した構成と同じである。
【0085】
画素120は、溝部230を配線216_jと画素電極210との間、及び配線216_
j+1と画素電極210との間に設けた構成としている。また、溝部230を、配線21
2_i及び配線203の幅方向の端部を越えて横切るように設けるだけでなく、配線21
2_iと配線203の間の領域にも設ける構成としている。このように、溝部230を多
く配置することで、寄生トランジスタの形成をより確実に防ぐことができる。
【0086】
次に、図1乃至図4で示した構成とは異なる画素構成例について、図5を用いて説明する
図5(A)は、画素130の平面構成を示す上面図である。図5(B)に示す断面G1
-G2は、図5(A)におけるG1-G2の鎖線で示す部位の断面に相当する。図5に示
す画素130は、画素電極210に光反射率の高い導電層を用いることで、反射型の液晶
表示装置に適用できる画素構成の一例を示している。
【0087】
画素130は、半導体層205が除去された溝部251及び溝部252が、配線212_
iの線幅方向の両端部を越えて横切る様に設けられている。配線212_iの線幅方向の
両端部を越えて横切る溝部を複数設けることで、配線212_iと重畳して形成される寄
生チャネルの影響を、より確実に抑えることができる。
【0088】
なお、島状の半導体層を形成するためのフォトリソグラフィ工程やエッチング工程を行わ
ないため、トランジスタが形成される領域以外に残存する半導体層において、当該半導体
層に重畳する画素電極等に供給される電位によって形成されるチャネルを寄生チャネルと
いう。
【0089】
また、画素130は、半導体層205が除去された溝部253及び溝部254が、配線2
03の線幅方向の両端部を越えて横切る様に設けられている。配線203の線幅方向の両
端部を越えて横切る溝部を複数設けることで、配線203と重畳して形成される寄生チャ
ネルの影響を、より確実に抑えることができる。
【0090】
また、画素130は、半導体層205が除去された溝部255及び溝部256が、配線2
16_jまたは配線216_j+1が延在する方向と平行な方向に沿って、画素電極21
0の端部231及び端部232を越えて設けられている。配線216_jまたは配線21
6_j+1が延在する方向と平行な方向に沿って、画素電極210の端部231及び端部
232を越えて溝部を複数設けることで、画素電極210と重畳して形成される寄生チャ
ネルの影響を、より確実に抑えることができる。溝部255及び溝部256は、配線21
6_jまたは配線216_j+1に平行に設けられている必要はなく、屈曲部または湾曲
部を有していてもよい。
【0091】
画素130が有する溝部255及び溝部256は、湾曲部を有し、一部が画素電極210
と重畳して形成されている。また、画素130は、画素電極210と重畳して形成される
溝部257及び溝部258を有している。このように、画素電極210に重畳して溝部2
55乃至溝部258を設けることにより、画素電極210表面に凹凸を設けることができ
る。画素電極210表面に凹凸を設けると、入射した外光を乱反射させ、より良好な表示
を行うことができる。よって、表示における視認性が向上する。
【0092】
また、画素電極210と重畳して形成される溝部255乃至溝部258は、溝部の側面が
テーパー形状であると、画素電極210の被覆性が向上するため好ましい。
【0093】
次に、端子105及び端子106の構成例について、図7を用いて説明する。図7(A1
)、図7(A2)は、端子105の上面図及び断面図をそれぞれ図示している。図7(A
1)におけるJ1-J2の鎖線は、図7(A2)における断面J1-J2に相当する。ま
た、図7(B1)、図7(B2)は、端子106の上面図及び断面図をそれぞれ図示して
いる。図7(B1)におけるK1-K2の鎖線は、図7(B2)における断面K1-K2
に相当する。なお、断面J1-J2及び断面K1-K2において、J2及びK2は、基板
端部に相当する。
【0094】
断面J1-J2において、基板200上に下地層201が形成され、下地層201上に配
線212が形成されている。また、配線212上に、ゲート絶縁層204、半導体層20
5、保護層351及び絶縁層207が形成されている。絶縁層207上に電極221が形
成され、電極221は、ゲート絶縁層204、半導体層205、保護層351、及び絶縁
層207に形成された開口部219を介して配線212に接続されている。
【0095】
断面K1-K2において、基板200上に、下地層201、ゲート絶縁層204、半導体
層205及び保護層351が形成されている。保護層351上に配線216が形成され、
配線216上に絶縁層207が形成されている。絶縁層207上に電極222が形成され
、電極222は、絶縁層207に形成された開口部220を介して配線216に接続され
ている。
【0096】
なお、端子107の構成も、端子105または端子106と同様の構成とすることができ
る。
【0097】
また、画素領域102と端子部104はn本の配線216で接続されているが、画素領域
102から端子部104が有する端子106に至るまでの配線216の引き回しにおいて
、隣接する配線216同士が近い場合は、隣接する配線216の電位差によって、隣接す
る配線216間に存在する半導体層205中に寄生チャネルが形成され、隣接する配線2
16同士が電気的に接続されてしまう恐れがある。
【0098】
このような現象は、絶縁層を介して、画素領域102から端子部104までの領域全体、
もしくは、隣接する配線216の間に導電層を設け、該導電層の電位を半導体層205中
に寄生チャネルが形成されない電位としておくことで防ぐことができる。
【0099】
例えば、半導体層205に酸化物半導体を用いる場合、多くの酸化物半導体はnチャネル
型の半導体となりやすいため、導電層の電位を配線216に供給される電位よりも低い電
位としておけばよい。
【0100】
また、以下に説明する溝部形成工程において、隣接する配線216間の半導体層205を
除去することでも、隣接する配線216同士の電気的な接続を防ぐことができる。
【0101】
図8に、隣接する配線216の間に、溝部240を形成し、半導体層205を除去する構
成を示す。図8(A)は、端子106に接続する配線216の平面構成を示す上面図であ
る。図8(B)に示す断面L1-L2は、図8(A)におけるL1-L2の鎖線で示す部
位の断面に相当する。図8(A)において、配線216_jは端子106_jに接続され
、配線216_j+1は端子106_j+1に接続され、配線216_j+2は端子10
6_j+2に接続されている。なお、溝部240は、溝部230と同様に形成することが
できる。
【0102】
隣接する配線216_jと配線216_j+1の間に、半導体層205が除去された溝部
240が形成されている。また、隣接する配線216_j+1と配線216_j+2の間
に、半導体層205が除去された溝部240が形成されている。このように、隣接する配
線216間に半導体層205が除去された溝部240を設けることで、隣接する配線21
6同士の電気的な接続を防ぐことができる。
【0103】
また、半導体層205が除去された溝部240の大きさに特に制限はないが、寄生チャネ
ルの生成を確実に防ぐため、配線216_jまたは配線216_j+1が延在する方向と
直交する方向における、溝部240内の半導体層が除去された部分の距離は1μm以上と
することが好ましく、2μm以上とするとさらに好ましい。
【0104】
続いて、図1を用いて説明した液晶表示装置の画素部の作製方法について、図9及び図1
0を用いて説明する。なお、図9及び図10における断面A1-A2、断面J1-J2、
及び断面K1-K2は、図1及び図7におけるA1-A2、J1-J2、及びK1-K2
の鎖線で示した部位の断面図である。なお図9図10における作製方法の説明では特に
、半導体層に酸化物半導体を用いる構成について説明を行う。酸化物半導体を半導体層に
用いる利点については、上述した通りである。
【0105】
まず、基板200上に下地層201となる絶縁層を50nm以上300nm以下、好まし
くは100nm以上200nm以下の厚さで形成する。基板200は、ガラス基板、セラ
ミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる程度の耐熱性を有するプラスチック基
板等を用いることができる。ガラス基板としては、例えば、バリウムホウケイ酸ガラス、
アルミノホウケイ酸ガラス若しくはアルミノケイ酸ガラス等の無アルカリガラス基板を用
いるとよい。本実施の形態では、基板200にアルミノホウケイ酸ガラスを用いる。
【0106】
下地層201は、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化シリコン、酸化シリコ
ン、窒化酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンから選ばれた一又は複数の絶縁層による積
層構造により形成することができ、基板200からの不純物元素の拡散を防止する機能が
ある。なお、本明細書中において、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも
窒素の含有量が多いものであって、好ましくは、ラザフォード後方散乱法(RBS:Ru
therford Backscattering Spectrometry)及び水
素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を
用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が5原子%以上30原子%以下、窒素が20
原子%以上55原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が10原子
%以上30原子%以下の範囲で含まれるものをいう。下地層201は、スパッタリング法
、CVD法、塗布法、印刷法等を適宜用いることができる。
【0107】
本実施の形態では、下地層201として、窒化シリコンと酸化シリコンの積層を用いる。
具体的には、基板200上に窒化シリコンを50nmの厚さで形成し、該窒化シリコン上
に酸化シリコンを150nmの厚さで形成する。
【0108】
次に、下地層201上にスパッタリング法、真空蒸着法、またはメッキ法を用いて100
nm以上500nm以下、好ましくは200nm以上300nm以下の厚さで導電層を形
成し、第1のフォトリソグラフィ工程により、レジストマスクを形成し、導電層を選択的
にエッチング除去し、ゲート電極202、配線203、配線212を形成する。
【0109】
ゲート電極202、配線203、配線212を形成するための導電層は、モリブデン(M
o)、チタン(Ti)、タングステン(W)タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、
銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)等の金属材料又
はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層又は積層して形成することができる。
【0110】
本実施の形態では、導電層として下地層201上に厚さ5nmのTi層を形成し、Ti層
上に厚さ250nmのCu層を形成する。その後、第1のフォトリソグラフィ工程により
導電層を選択的にエッチング除去し、ゲート電極202、配線203、配線212を形成
する(図9(A)参照)。また、形成されたゲート電極202、配線203、配線212
の端部がテーパー形状であると、後に積層する絶縁層や導電層の被覆性が向上するため好
ましい。
【0111】
なお特段の説明が無い限り、本明細書で言うフォトリソグラフィ工程には、レジストマス
クの形成工程と、導電層または絶縁層のエッチング工程と、レジストマスクの剥離工程が
含まれているものとする。
【0112】
次いで、ゲート電極202、配線203、配線212上にゲート絶縁層204を50nm
以上800nm以下、好ましくは100nm以上600nm以下の厚さで形成する。ゲー
ト絶縁層204には、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコ
ン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウ
ム、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化ハフニウム、
ハフニウムシリケート(HfSi(x>0、y>0))、窒素が導入されたハフニ
ウムシリケート、窒素が導入されたハフニウムアルミネート等を用いることができ、プラ
ズマCVD法やスパッタリング法等で形成することができる。また、ゲート絶縁層204
は単層に限らず異なる層の積層でも良い。例えば、ゲート絶縁層AとしてプラズマCVD
法により窒化シリコン層(SiN(y>0))を形成し、ゲート絶縁層Aの上にゲート
絶縁層Bとして酸化シリコン層(SiO(x>0))を積層して、ゲート絶縁層204
としても良い。
【0113】
ゲート絶縁層204の形成は、スパッタリング法やプラズマCVD法などの他、μ波(例
えば周波数2.45GHz)を用いた高密度プラズマCVD法などの成膜方法を適用する
ことができる。
【0114】
本実施の形態では、ゲート絶縁層204として、窒化シリコンと酸化シリコンの積層を用
いる。具体的には、ゲート電極202上に窒化シリコンを50nmの厚さで形成し、該窒
化シリコン上に酸化シリコンを100nmの厚さで形成する。
【0115】
また、ゲート絶縁層204には、この後形成する酸化物半導体と同種の成分を含む絶縁材
料を用いてもよい。ゲート絶縁層204を異なる層の積層とする場合には、酸化物半導体
に接する層を酸化物半導体と同種の成分を含む絶縁材料とすればよい。このような材料は
酸化物半導体との相性が良く、これをゲート絶縁層204に用いることで、酸化物半導体
との界面の状態を良好に保つことができるからである。ここで、「酸化物半導体と同種の
成分」とは、酸化物半導体の構成元素から選択される一または複数の元素を意味する。
【0116】
具体的にゲート絶縁層204に用いることのできる、この後形成する酸化物半導体と同種
の成分を含む絶縁材料としては、酸化物半導体層としてIn、Ga及びZnを含む酸化物
材料を用いる場合、酸化物半導体が含む元素であるIn、Ga及びZnにおけるGaを、
4価の陽イオンとなる元素より選ばれる少なくとも一種の元素に置き換えた材料であるこ
とが好適である。
【0117】
4価の陽イオンとなる元素の一例としては、周期表の4族元素であるTi、Zr、Hf、
または14族元素であるGeを用いることができる。上述の周期表の4族元素または14
族元素は、In-Ga-Zn系の酸化物半導体(以下、IGZOと呼ぶ。)中の3価の陽
イオンとなるGaと置換することで、酸化物半導体を構成する酸素との結合力を大きくす
ることができ、IGZOより絶縁性が高められたゲート絶縁層204を得ることができる
【0118】
また、4価の陽イオンとなる元素としては、ランタノイドであるセリウム(Ce)でもよ
く、GaをCeに置換して、IGZOより絶縁性が高められたゲート絶縁層204を得る
ことができる。
【0119】
またゲート絶縁層204に用いることのできる、酸化物半導体と同種の成分を含む絶縁材
料としては、酸化物半導体層としてIn、Ga及びZnを含む酸化物材料を用いる場合、
酸化物半導体が含む元素であるIn、Ga及びZnにおけるGaを、イットリウム(Y)
に置き換えた材料が好適である。イットリウムは、Gaよりも電気陰性度が小さいため酸
素との電気陰性度の差を大きくすることができ、酸化物半導体中での酸素とのイオン結合
による結合をより強くすることができ、IGZOより絶縁性が高められたゲート絶縁層2
04を得ることができる。
【0120】
また、ゲート絶縁層204を積層構造とする場合には、酸化物半導体と同種の成分を含む
絶縁材料でなる膜と、該膜の成分材料とは異なる材料を含む膜との積層構造としても良い
【0121】
また、半導体層に酸化物半導体層を用いる場合は、当該酸化物半導体層内に、水素、水酸
基及び水分がなるべく含まれないようにするために、酸化物半導体層の成膜の前処理とし
て、スパッタリング装置の予備加熱室で基板200を予備加熱し、基板200やゲート絶
縁層204に吸着した水素、水分などの不純物を脱離し排気することが好ましい。なお、
予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプが好ましい。なお、この予備加熱の処理は
省略することもできる。またこの予備加熱は、ゲート絶縁層204の成膜前に、ゲート電
極202、配線203、及び配線212まで形成した基板200にも同様に行ってもよい
【0122】
半導体層205に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは
亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該半
導体層を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして
、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとし
てスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf
)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有する
ことが好ましい。
【0123】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(
Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム
(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホル
ミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ル
テチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
【0124】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化
物であるIn-Zn系酸化物、Sn-Zn系酸化物、Al-Zn系酸化物、Zn-Mg系
酸化物、Sn-Mg系酸化物、In-Mg系酸化物、In-Ga系酸化物、三元系金属の
酸化物であるIn-Ga-Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In-Al-Zn系
酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、Sn-Ga-Zn系酸化物、Al-Ga-Zn系酸
化物、Sn-Al-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物、In-La-Zn系酸化
物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Zn系酸化物
、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-Zn系酸化物、
In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系酸化物、I
n-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸化物、In
-Lu-Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn-Sn-Ga-Zn系酸化物、I
n-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-
Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物を用
いることができる。
【0125】
酸化物半導体層は、好ましくはInを含有する酸化物半導体、さらに好ましくは、In、
及びGaを含有する酸化物半導体である。酸化物半導体層を高純度化するため、この後行
う脱水化または脱水素化は有効である。
【0126】
ここで、例えば、In-Ga-Zn系酸化物とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga
)、亜鉛(Zn)を有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない
。また、InとGaとZn以外の金属元素を含んでもよい。
【0127】
酸化物半導体は単結晶、多結晶(ポリクリスタルともいう。)または非晶質などの状態を
とる。好ましくは、酸化物半導体は、CAAC-OS(C Axis Aligned
Crystalline Oxide Semiconductor)とする。
【0128】
CAAC-OSは、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC-OSは、
非晶質相に結晶部を有する結晶-非晶質混相構造の酸化物半導体である。なお、当該結晶
部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型
電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microsco
pe)による観察像では、CAAC-OSに含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確で
はない。また、TEMによってCAAC-OSには粒界(グレインバウンダリーともいう
。)は確認できない。そのため、CAAC-OSは、粒界に起因する電子移動度の低下が
抑制される。
【0129】
CAAC-OSに含まれる結晶部は、c軸がCAAC-OSの被形成面の法線ベクトルま
たは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状
または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属
原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸および
b軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°
以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、-5°以
上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0130】
なお、CAAC-OSにおいて、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC
-OSの形成過程において、酸化物半導体層の表面側から結晶成長させる場合、被形成面
の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC
-OSへ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化す
ることもある。
【0131】
CAAC-OSに含まれる結晶部のc軸は、CAAC-OSの被形成面の法線ベクトルま
たは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC-OSの形状(被形成面の断
面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結
晶部のc軸の方向は、CAAC-OSが形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは
表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後
に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0132】
CAAC-OSを用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が
小さい。
【0133】
次に、スパッタリング法、蒸着法、PCVD法、PLD法、ALD法またはMBE法など
を用いて半導体層205を成膜する。
【0134】
半導体層205は、好ましくはスパッタリング法により、基板温度を100℃以上600
℃以下、好ましくは150℃以上550℃以下、さらに好ましくは200℃以上500℃
以下とし、酸素ガス雰囲気で成膜する。半導体層205の厚さは、1nm以上40nm以
下、好ましくは3nm以上20nm以下とする。成膜時の基板温度が高いほど、得られる
半導体層205の不純物濃度は低くなる。また、半導体層205中の原子配列が整い、高
密度化され、多結晶またはCAAC-OSが形成されやすくなる。さらに、酸素ガス雰囲
気で成膜することでも、希ガスなどの余分な原子が含まれないため、多結晶またはCAA
C-OSが形成されやすくなる。ただし、酸素ガスと希ガスの混合雰囲気としてもよく、
その場合は酸素ガスの割合は30体積%以上、好ましくは50体積%以上、さらに好まし
くは80体積%以上とする。なお、半導体層205は薄いほど、トランジスタの短チャネ
ル効果が低減される。ただし、薄くしすぎると界面散乱の影響が強くなり、電界効果移動
度の低下が起こることがある。
【0135】
半導体層205としてIn-Ga-Zn系酸化物材料をスパッタリング法で成膜する場合
、好ましくは、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1、4:2:3、3:1:2、1
:1:2、2:1:3、または3:1:4で示されるIn-Ga-Zn系酸化物ターゲッ
トを用いる。前述の原子数比を有するIn-Ga-Zn系酸化物ターゲットを用いて半導
体層205を成膜することで、多結晶またはCAAC-OSが形成されやすくなる。
【0136】
本実施の形態では、酸化物半導体層としてIn-Ga-Zn系酸化物ターゲットを用いて
スパッタリング法により30nmの厚さで形成する。また、酸化物半導体層は、希ガス(
代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガスと酸素の混合雰囲気下におい
てスパッタリング法により形成することができる。
【0137】
酸化物半導体層をスパッタリング法で作製するためのターゲットとしては、例えば、組成
として、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol数比]の金属酸化物ター
ゲットを用い、In-Ga-Zn-O層を成膜する。
【0138】
酸化物半導体層を成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化物など
の不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。例えば、スパッタガスとして
アルゴンを用いる場合は、純度9N、露点-121℃、含有HO量0.1ppb以下、
含有H量0.5ppb以下が好ましく、酸素を用いる場合は、純度8N、露点-112
℃、含有HO量1ppb以下、含有H量1ppb以下が好ましい。
【0139】
酸化物半導体層の成膜は、減圧状態に保持された成膜室内に基板を保持し、基板温度を1
00℃以上600℃以下好ましくは300℃以上500℃以下として行う。
【0140】
基板を加熱しながら成膜することにより、成膜した酸化物半導体層に含まれる水素、水分
、水素化物、または水酸化物などの不純物濃度を低減することができる。また、スパッタ
リングによる損傷が軽減される。そして、成膜室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分
が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて酸化物半導体層を成膜する
【0141】
成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオポンプ
、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手
段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライ
オポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含
む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該成膜室で
成膜した酸化物半導体層に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0142】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa
、直流(DC)電源電力0.5kW、スパッタガスとして酸素(酸素流量比率100%)
を用いる条件が適用される。なお、パルス直流電源を用いると、成膜時に発生する粉状物
質(パーティクル、ごみともいう)が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。
【0143】
次いで、第1の加熱処理を行う。この第1の加熱処理によって酸化物半導体層中の過剰な
水素(水や水酸基を含む)を除去(脱水化または脱水素化)し、酸化物半導体層中の不純
物濃度を低減することができる。
【0144】
第1の加熱処理は、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、酸素ガス雰
囲気下、または超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の
露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で-55℃)以下、好まし
くは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、250℃以上750
℃以下、または400℃以上基板の歪み点未満の温度で行う。
【0145】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱
輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas
Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid
Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal An
neal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライ
ドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧
水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置
である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。高温のガスに
は、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しな
い不活性ガスが用いられる。
【0146】
例えば、第1の加熱処理として、高温に加熱した不活性ガス中に基板を移動させて入れ、
数分間加熱した後、基板を移動させて高温に加熱した不活性ガス中から出すGRTAを行
ってもよい。
【0147】
加熱処理を、窒素または希ガスなどの不活性ガス、酸素、超乾燥エアのガス雰囲気下で行
なう場合は、これらの雰囲気に水、水素などが含まれないことが好ましい。また、加熱処
理装置に導入する窒素、酸素、または希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上好
ましくは7N(99.99999%)以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは
0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0148】
第1の加熱処理は、減圧雰囲気または不活性雰囲気で加熱処理を行った後、温度を保持し
つつ酸化性雰囲気に切り替えてさらに加熱処理を行うと好ましい。これは、減圧雰囲気ま
たは不活性雰囲気にて加熱処理を行うと、酸化物半導体層中の不純物濃度を低減すること
ができるが、同時に酸素欠損も生じてしまうためであり、このとき生じた酸素欠損を、酸
化性雰囲気での加熱処理により低減することができる。
【0149】
このように、水素濃度が十分に低減されて高純度化され、十分な酸素の供給により酸素欠
乏に起因するエネルギーギャップ中の欠陥準位が低減された酸化物半導体では、キャリア
濃度が1×1012/cm未満、望ましくは、1×1011/cm未満、より望まし
くは1.45×1010/cm未満となる。例えば、室温(25℃)でのオフ電流(こ
こでは、単位チャネル幅(1μm)あたりの値)は、100zA(1zA(ゼプトアンペ
ア)は1×10-21A)以下、望ましくは、10zA以下となる。また、85℃では、
100zA(1×10-19A)以下、望ましくは10zA(1×10-20A)以下と
なる。このように、i型化(真性化)または実質的にi型化された酸化物半導体を用いる
ことで、極めて優れたオフ電流特性のトランジスタ111を得ることができる。
【0150】
また、高純度化された酸化物半導体を有するトランジスタは、しきい値電圧やオン電流な
どの電気的特性に温度依存性がほとんど見られない。また、光劣化によるトランジスタ特
性の変動も少ない。
【0151】
このように、高純度化し、また、酸素欠損を低減することによりi型(真性)化した酸化
物半導体を有するトランジスタは、電気的特性変動が抑制されており、電気的に安定であ
る。よって安定した電気的特性を有する酸化物半導体を用いた信頼性の高い液晶表示装置
を提供することができる。
【0152】
次いで、半導体層205上に保護層351を形成する。保護層351としては、ゲート絶
縁層204と同様の材料及び方法で形成することができる。
【0153】
なお半導体層205と接する保護層351は、酸素を多く含む状態とすると、半導体層2
05へ酸素を供給する供給源として機能させることができる。
【0154】
本実施の形態では、保護層351として、膜厚200nmの酸化シリコン層を用いる。そ
して、第2のフォトリソグラフィ工程により、保護層351上にレジストマスクを形成し
、半導体層205上の保護層351の一部を選択的に除去し、開口部301及び開口部3
02を形成する(図9(B)参照)。開口部301及び開口部302を形成して残存する
半導体層205上の保護層の形状は、断面形状が台形または三角形状であり、断面形状の
下端部のテーパ角θが60°以下、好ましくは45°以下、さらに好ましくは30°以下
とする。一例としては、本実施の形態では、フォトリソグラフィ工程により酸化シリコン
層上にレジストマスクを形成し、選択的にエッチングを行って保護層351の断面形状を
台形とし、保護層351の下端部のテーパ角θを約30°とする。
【0155】
保護層351の形成後、加熱処理を行ってもよい。本実施の形態では、窒素雰囲気下30
0℃で1時間加熱処理を行う。
【0156】
また、保護層351には、半導体層205と同種の成分を含む絶縁材料を用いてもよい。
保護層351を異なる層の積層とする場合には、酸化物半導体に接する層を酸化物半導体
と同種の成分を含む絶縁材料とすればよい。このような材料は酸化物半導体との相性が良
く、これを保護層351に用いることで、酸化物半導体との界面の状態を良好に保つこと
ができるからである。ここで、「酸化物半導体と同種の成分」とは、酸化物半導体の構成
元素から選択される一または複数の元素を意味する。
【0157】
具体的に保護層351に用いることのできる、酸化物半導体と同種の成分を含む絶縁材料
としては、酸化物半導体層としてIn、Ga及びZnを含む酸化物材料を用いる場合、酸
化物半導体が含む元素であるIn、Ga及びZnにおけるGaを、4価の陽イオンとなる
元素より選ばれる少なくとも一種の元素に置き換えた材料であることが好適である。
【0158】
4価の陽イオンとなる元素の一例としては、周期表の4族元素であるTi、Zr、Hf、
または14族元素であるGeを用いることができる。上述の周期表の4族元素または14
族元素は、IGZO中の3価の陽イオンとなるGaと置換することで、酸化物半導体を構
成する酸素との結合力を大きくすることができ、IGZOより絶縁性が高められた保護層
351を得ることができる。
【0159】
また、4価の陽イオンとなる元素としては、ランタノイドであるセリウム(Ce)でもよ
く、GaをCeに置換することで、IGZOより絶縁性が高められた保護層351を得る
ことができる。
【0160】
また保護層351に用いることのできる、酸化物半導体と同種の成分を含む絶縁材料とし
ては、酸化物半導体層としてIn、Ga及びZnを含む酸化物材料を用いる場合、酸化物
半導体が含む元素であるIn、Ga及びZnにおけるGaを、イットリウム(Y)に置き
換えた材料が好適である。イットリウムは、Gaよりも電気陰性度が小さいため酸素との
電気陰性度の差を大きくすることができ、酸化物半導体中での酸素とのイオン結合による
結合をより強くすることができ、IGZOより絶縁性が高められた保護層351を得るこ
とができる。
【0161】
また、保護層351を積層構造とする場合には、酸化物半導体と同種の成分を含む絶縁材
料でなる膜と、該膜の成分材料とは異なる材料を含む膜との積層構造としても良い。
【0162】
なお、開口部301及び開口部302を形成するためのエッチングにより露出した半導体
層205の表面には、不純物が付着しやすい。上記不純物には、エッチングに用いたエッ
チングガスまたはエッチング液を構成する元素、或いはエッチングを行った処理室内に存
在する元素などが含まれる。上記不純物として、具体的には、ボロン、塩素、フッ素、炭
素、アルミニウムなどが挙げられる。
【0163】
次いで、半導体層205及び保護層351の表面の洗浄処理を行う。洗浄処理は、TMA
H溶液などのアルカリ性の溶液、水、または希フッ酸などを用いて行うことができる。或
いは、洗浄処理は、酸素、一酸化二窒素、もしくは希ガス(代表的にはアルゴン)を用い
たプラズマ処理により行うことができる。洗浄処理により、半導体層205及び保護層3
51の表面に付着した上記不純物を、除去することができる。
【0164】
なお希フッ酸は、50重量%のフッ酸を、水で100倍乃至100000倍に希釈したも
のを、洗浄処理に用いることが望ましい。洗浄処理に希フッ酸を用いると、半導体層20
5に付着した不純物を、半導体層205の一部とともに除去することができる。
【0165】
次いで、開口部301及び開口部302の半導体層205上、並びに保護層351上に、
第1電極206A、第2電極206B、及び配線216となる導電層を形成する。第1電
極206A、第2電極206B、及び配線216に用いる導電層は、ゲート電極202と
同様の材料及び方法で形成することができる。また、第1電極206A、第2電極206
B、及び配線216に用いる導電層として、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電
性の金属酸化物としては酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜
鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ(In―SnO、ITOと略記する)、
酸化インジウム酸化亜鉛(In―ZnO)またはこれらの金属酸化物材料に酸化シ
リコンを含ませたものを用いることができる。
【0166】
本実施の形態では、開口部301及び開口部302の半導体層205上、並びに保護層3
51上に、導電層として厚さ5nmのTi層を形成し、Ti層上に厚さ250nmのCu
層を形成する。その後、第3のフォトリソグラフィ工程により、レジストマスクを形成し
、導電層を選択的にエッチング除去し、第1電極206A、第2電極206B、及び配線
216を形成する(図9(C)参照)。
【0167】
次いで、第1電極206A、第2電極206B、保護層351、及び配線216上に絶縁
層207を形成する(図10(A)参照)。絶縁層207は、ゲート絶縁層204または
下地層201と同様の材料及び方法で形成することができる。なお、水素や水などが混入
しにくいという点では、スパッタリング法による形成が好適である。絶縁層207に水素
が含まれると、その水素の酸化物半導体層への侵入、又は水素による酸化物半導体層中の
酸素の引き抜きが生じ、酸化物半導体層が低抵抗化(n型化)する恐れがある。従って、
絶縁層207は、水素及び水素を含む不純物が含まれない手段を用いて成膜することが重
要である。
【0168】
絶縁層207としては、代表的には酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ハフニウム、
酸化アルミニウム、酸化ガリウムなどの無機絶縁材料を用いることができる。酸化ガリウ
ムは帯電しにくい材料であるため、絶縁層のチャージアップによるしきい値電圧の変動を
抑えることができる。なお、半導体層205に酸化物半導体を用いる場合、絶縁層207
として、または、絶縁層207と積層して、酸化物半導体と同種の成分を含む金属酸化物
層を形成してもよい。
【0169】
本実施の形態では、絶縁層207として膜厚200nmの酸化シリコンを、スパッタリン
グ法を用いて成膜する。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実
施の形態では100℃とする。酸化シリコン層のスパッタリング法による成膜は、希ガス
(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガスと酸素の混合雰囲気下に
おいて行うことができる。また、ターゲットには、酸化シリコンまたはシリコンを用いる
ことができる。例えば、シリコンをターゲットに用いて、酸素を含む雰囲気下でスパッタ
を行うと酸化シリコンを形成することができる。
【0170】
絶縁層207の成膜時における成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポ
ンプ(クライオポンプなど)を用いることが好ましい。クライオポンプを用いて排気した
成膜室で成膜した絶縁層207は、絶縁層207中に含まれる不純物の濃度を低減するこ
とができる。また、絶縁層207の成膜室内の残留水分を除去するための排気手段として
は、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。
【0171】
絶縁層207を成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化物などの
不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0172】
次いで、減圧雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、または超乾燥エア雰囲
気下で第2の加熱処理(好ましくは200℃以上600℃以下、例えば250℃以上55
0℃以下)を行ってもよい。ただし、第1のフォトリソグラフィ工程、または第3のフォ
トリソグラフィ工程により形成された配線層にAlが用いられている場合は、加熱処理の
温度を380℃以下、好ましくは350℃以下とし、また、上記配線層にCuが用いられ
ている場合は、加熱処理の温度を450℃以下とする。例えば、窒素雰囲気下で450℃
、1時間の第2の加熱処理を行ってもよい。第2の加熱処理を行うと、酸化物半導体層の
一部(チャネル形成領域)が絶縁層207と接した状態で昇温され、酸素を含む絶縁層2
07から酸素を半導体層205へ供給することができる。なお、上記雰囲気に水、水素な
どが含まれないことが好ましい。
【0173】
次いで、第4のフォトリソグラフィ工程により、レジストマスクを形成し、第2電極20
6B上の絶縁層207の一部を選択的に除去し、開口部208を形成する。また、断面K
1-K2断面における配線216上の絶縁層207の一部を選択的に除去し、開口部22
0を形成する。また、断面J1-J2断面における配線212上では、絶縁層207、保
護層351、半導体層205、及びゲート絶縁層204の一部を選択的に除去し、開口部
219を形成する。(図10(B)参照)。なお、図示していないが、本フォトリソグラ
フィ工程において、溝部230も開口部219と同様に形成する。このため、溝部230
の側面は、絶縁層207、保護層351、半導体層205、及びゲート絶縁層204が露
出している。
【0174】
絶縁層207、保護層351、半導体層205、及びゲート絶縁層204のエッチングは
、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよく、両方を用いてもよい。ドライエッ
チングに用いるエッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例えば塩素(C
)、三塩化硼素(BCl)、四塩化珪素(SiCl)、四塩化炭素(CCl
など)を用いることができる。
【0175】
ドライエッチングとしては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etchi
ng)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結
合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。また、下地層201は基板200か
らの不純物元素の拡散を防止する機能を有するため、上記エッチングに際して、下地層2
01が極力エッチングされることのないように、エッチング条件を調整することが好まし
い。
【0176】
一般に、半導体層のエッチングと開口部の形成は、異なるフォトリソグラフィ工程及びエ
ッチング工程により別々に実施されるが、本実施の形態に示す作製工程によれば、一回の
フォトリソグラフィ工程とエッチング工程により、同時に実施することが可能となる。よ
って、フォトマスクの削減のみならず、フォトリソグラフィ工程そのものを削減すること
ができ、その後のエッチング工程も削減することができる。すなわち、少ないフォトリソ
グラフィ工程により、低コストで、生産性よく液晶表示装置を作製することができる。
【0177】
また、本実施の形態に示す作製工程によれば、酸化物半導体層にフォトレジストが直接形
成されることがない。また、酸化物半導体層のチャネル形成領域が絶縁層207で保護さ
れているため、その後のフォトレジストの剥離洗浄工程においても、酸化物半導体層のチ
ャネル形成領域に水分が付着することがないため、トランジスタ111の特性バラツキが
低減され、信頼性が向上する。
【0178】
次いで、開口部208の第2電極206B上、及び絶縁層207上に画素電極210を形
成する。画素電極210となる導電層は、スパッタリング法、真空蒸着法などを用いて、
透光性を有する導電層(透明導電層ともいう)を30nm以上200nm以下、好ましく
は50nm以上100nm以下の厚さで形成する。以上の工程によりトランジスタ111
及び容量素子113を備えた半導体装置ができる(図10(C)参照)。
【0179】
透光性を有する導電層としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タング
ステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを
含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜
鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を
用いることができる。また、1枚乃至10枚のグラフェンシートよりなる材料を用いても
よい。
【0180】
また、本実施の形態では透過型の液晶表示装置の画素部の作製方法について例示したが、
透過型に限らず、反射型や半透過型の液晶表示装置の画素部にも適用することができる。
反射型の液晶表示装置の画素部を得る場合は、画素電極として光反射率の高い導電層(反
射導電層ともいう)、例えば、アルミニウム、チタン、銀、ロジウム、ニッケルなどの可
視光の反射率が高い金属、或いは、これら金属の少なくとも1つを含む合金、またはそれ
らの積層を用いればよい。半透過型の液晶表示装置の画素部を得る場合は、一つの画素電
極を、透明導電層と反射導電層とで形成し、透過部分と反射部分とを設ける。
【0181】
本実施の形態では、透光性を有する導電層として厚さ80nmのITO層を形成し、第5
のフォトリソグラフィ工程により、レジストマスクを形成し、透光性を有する導電層を選
択的にエッチングして、画素電極210、電極221、及び電極222を形成する。
【0182】
画素電極210は、開口部208で第2電極206Bに接続される。また、電極221は
開口部219で配線212に接続される。また、電極222は開口部220で配線216
に接続される。
【0183】
また、端子部103及び端子部104に形成される開口部219及び開口部220におい
て、配線212及び配線216を露出した状態のままとせず、ITOなどの酸化物導電性
材料で覆うことは重要である。配線212及び配線216は金属層であるため、配線21
2及び配線216を露出した状態のままとすると、露出表面が酸化され、FPC等との接
触抵抗が増大する。接触抵抗の増大は、外部から入力される信号の遅延や波形のなまりを
生じ、外部からの信号が正確に伝達されず、半導体装置の信頼性が低下してしまう。配線
212及び配線216の露出表面を、ITOなどの酸化物導電性材料で覆うことにより、
接触抵抗の増大を防ぎ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0184】
本実施の形態によれば、従来よりも少ないフォトリソグラフィ工程により半導体装置を作
製することができ、且つ半導体層の劣化を低減することが可能となる。よって、低コスト
で、生産性が高く、信頼性に優れた液晶表示装置を作製することができる。
【0185】
本実施の形態では、ボトムゲート構造のトランジスタを例として説明したが、トップゲー
ト構造のトランジスタに適用することも可能である。
【0186】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0187】
(実施の形態2)
本実施の形態では、フォトマスク数及びフォトリソグラフィ工程数を削減したEL表示装
置の画素構成および作製方法の一例について、図13乃至図22を用いて説明する。
【0188】
図18(A)に、EL表示装置に用いる半導体装置400の構成の一例を説明する。半導
体装置400は、基板401上に画素領域402と、m個(mは1以上の整数)の端子4
05、及び端子407を有する端子部403と、n個(nは1以上の整数)の端子406
、及び端子408を有する端子部404を有している。また、半導体装置400は、端子
部403に接続するm本の配線512と、端子部404に接続するn本の配線516と、
配線503と、配線563を有している。また、画素領域402は、縦m個(行)×横n
個(列)のマトリクス状に配置された複数の画素410を有している。i行j列の画素4
10(i、j)(iは1以上m以下の整数、jは1以上n以下の整数)は、配線512_
i、配線516_jにそれぞれ接続されている。また、各画素は、共通電極となる配線5
03と接続され、配線503は端子407に接続されている。また、各画素は、電流を流
すための配線563と接続され、配線563は端子408に接続されている。また、配線
512_iは端子405_iに接続され、配線516_jは端子406_jに接続されて
いる。
【0189】
端子部403及び端子部404は外部入力端子であり、外部に設けられた制御回路とFP
C(Flexible Printed Circuit)等を用いて接続される。外部
に設けられた制御回路から供給される信号は、端子部403及び端子部404を介して半
導体装置400に入力される。図18(A)では、端子部403を画素領域402の左右
外側に形成し、2カ所から信号を入力する構成を示している。また、端子部404を画素
領域402の上下外側に形成し、2カ所から信号を入力する構成を示している。2カ所か
ら信号を入力することにより、信号の供給能力が高まるため、半導体装置400の高速動
作が容易となる。また、半導体装置400の大型化や高精細化に伴う配線抵抗の増大によ
る信号遅延の影響を軽減することができる。また、半導体装置400に冗長性を持たせる
ことが可能となるため、半導体装置400の信頼性を向上させることができる。なお、図
18(A)では端子部403及び端子部404をそれぞれ2カ所設ける構成としているが
、それぞれ1カ所設ける構成としても構わない。
【0190】
図18(B)は、画素410の回路構成を示している。画素410は、第1のトランジス
タ411と、第2のトランジスタ412と、容量素子413と、EL素子414を有して
いる。第1のトランジスタ411のゲート電極は配線512_iに接続され、第1のトラ
ンジスタ411のソースまたはドレインの一方の電極(以下、第1電極という)は配線5
16_jに接続されている。また第2のトランジスタ412の第1電極は配線563に接
続され、第2のトランジスタ412のソースまたはドレインの他方の電極(以下、第2電
極という)はEL素子414の一方の電極に接続されている。また、第1のトランジスタ
411の第2電極は、配線513を介して、第2のトランジスタ412のゲート電極及び
容量素子413の一方の電極に接続されている。容量素子413の他方の電極は、配線5
63に接続されている。EL素子414の他方の電極は、配線503に接続されている。
配線503の電位は、0Vや、GNDや、共通電位などの固定電位としておけばよい。配
線563の電位は、EL素子に流す電流量によって適宜電位を設定すればよい。
【0191】
第1のトランジスタ411は、第2のトランジスタ412のゲート電極に、配線516_
jから供給される画像信号を入力させるか否かを選択する機能を有する。配線512_i
に第1のトランジスタ411をオン状態とする信号が供給されると、第1のトランジスタ
411を介して配線516_jの画像信号が第2のトランジスタ412のゲート電極及び
容量素子413の一方の電極に供給される。
【0192】
第2のトランジスタ412は、第2のトランジスタ412のゲート電極に保持される画像
信号に応じた電流をEL素子414に流す機能を有する。第2のトランジスタ412のゲ
ート電極に保持される画像信号が、容量素子413の電極間に保持される。第2のトラン
ジスタ412は、画像信号に応じた電流をEL素子414に流すための電流源として機能
する。
【0193】
第1のトランジスタ411及び第2のトランジスタ412のチャネルが形成される半導体
層には、単結晶半導体、多結晶半導体、微結晶半導体、非晶質半導体等を用いることがで
きる。半導体材料としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、
炭化シリコン、またはガリウムヒ素等を挙げることができる。なお、本実施の形態で説明
する表示装置は、画素領域内に半導体層が残る構成であるため、上記半導体を用いた表示
装置を透過型の表示装置として用いる場合は、半導体層を極力薄くするなどして、可視光
の透過率を高めることが好ましい。
【0194】
また、第1のトランジスタ411及び第2のトランジスタ412のチャネルが形成される
半導体層には、酸化物半導体を用いることが好適である。酸化物半導体は、エネルギーギ
ャップが3.0eV以上と大きく、可視光に対する透過率が大きい。また、酸化物半導体
を適切な条件で加工して得られたトランジスタにおいては、オフ電流を使用時の温度条件
下(例えば、25℃)において、100zA(1×10-19A)以下、もしくは10z
A(1×10-20A)以下、さらには1zA(1×10-21A)以下とすることがで
きる。このため、容量素子413を設けなくても第2のトランジスタ412のゲート電極
に印加された電位の保持が可能となる。
【0195】
また、第1のトランジスタ411及び第2のトランジスタ412は、共にnチャネル型の
トランジスタとして説明を行うが、pチャネル型のトランジスタであってもよい。
【0196】
容量素子413は、第2のトランジスタ412のゲート電極に供給された画像信号を保持
するための機能を有する。容量素子413は、必ずしも設ける必要はないが、容量素子4
13を設けることにより、第1のトランジスタ411がオフ状態の時に第1電極と第2電
極間に流れる電流(オフ電流)に起因する、第2のトランジスタ412のゲート電極に与
えられた電位の変動を抑制することができる。
【0197】
EL素子414は、第2のトランジスタ412の第1電極と第2電極間を流れる電流量に
応じて、輝度が制御される。なおEL素子414は、陽極となる一方の電極と陰極となる
他方の電極との間にEL層を挟持した構造である。
【0198】
次に、図18で示した画素410の構成例について、図13及び図14を用いて説明する
図13は、画素410の平面構成を示す上面図であり、図14は、画素410の積層構
成を示す断面図である。なお、図13におけるA1-A2、B1-B2、C1-C2、D
1-D2の鎖線は、図14(A)乃至図14(D)における断面A1-A2、断面B1-
B2、断面C1-C2、断面D1-D2に相当する。
【0199】
本実施の形態に示す第1のトランジスタ411及び第2のトランジスタ412は、等間隔
に対向する第1電極506A及び第2電極506B、並びに第1電極546A及び第2電
極546Bの形状としている。なお第1電極506A及び第2電極506B、並びに第1
電極546A及び第2電極546Bの形状は、他の形状とすることもでき、一例としては
、第2電極546Bを、U字型(C字型、コの字型、または馬蹄型)の第1電極546A
で囲む形状とすることもできる。
【0200】
また、本実施の形態で説明する半導体装置は、工程簡略化のため島状の半導体層を形成す
るためのフォトリソグラフィ工程やエッチング工程を行わないため、画素領域402の全
てに半導体層505が残る構成となる(図13で図示せず)。その結果、配線512_i
がゲート電極として機能し、配線516_jがソース電極またはドレイン電極の一方とし
て機能し、配線563がソース電極またはドレイン電極の他方として機能する第1の寄生
トランジスタが生じる。
【0201】
また、第2のトランジスタ412のゲート電極542がゲート電極として機能し、第2電
極506Bがソース電極またはドレイン電極の一方として機能し、配線563がソース電
極またはドレイン電極の他方として機能する第2の寄生トランジスタが生じる。
【0202】
また、ゲート電極542がゲート電極として機能し、配線563がソース電極またはドレ
イン電極の一方として機能し、第2電極546Bがソース電極またはドレイン電極の他方
として機能する第3の寄生トランジスタが生じる。
【0203】
なお寄生トランジスタは、第1のトランジスタ411及び第2のトランジスタ412が形
成される領域以外の半導体層が残った場所でチャネルが形成されて、生成されるトランジ
スタである。
【0204】
また、第2のトランジスタ412のゲート電極542は、配線563と重畳することで容
量素子413を形成している。
【0205】
本実施の形態の構成では、島状の半導体層を形成するためのフォトリソグラフィ工程やエ
ッチング工程を省略することで、半導体層へのダメージの低減でき、当該半導体層の劣化
を低減することができる。
【0206】
第1の寄生トランジスタは、配線512_iに第1のトランジスタ411をオン状態とす
る電位が供給されると、第1の寄生トランジスタもオン状態となる。
【0207】
第1の寄生トランジスタがオン状態になると、配線516_jと配線563が電気的に接
続されることとなる。第1の寄生トランジスタにより配線516_jと配線563が電気
的に接続されると、配線563から配線516_jに流れる電流により画像信号が正確で
なくなり、ゲート電極542に供給される電位が所望の値でなくなってしまう。
【0208】
また、第2の寄生トランジスタは、ゲート電極542に供給される画像信号に基づく電位
により、ゲート電極542に重畳する半導体層505にチャネルが形成され、第2の寄生
トランジスタがオン状態となる。
【0209】
第2の寄生トランジスタがオン状態となると、第2電極506Bと配線563が電気的に
接続されることとなる。第2の寄生トランジスタにより第2電極506Bと配線563が
電気的に接続されると、第2電極506Bによりゲート電極542に保持された画像信号
が正確でなくなり、ゲート電極542に保持される電位が所望の値でなくなってしまう。
【0210】
また、第3の寄生トランジスタは、ゲート電極542に供給される画像信号に基づく電位
により、ゲート電極542に重畳する半導体層505にチャネルが形成され、第3の寄生
トランジスタがオン状態となる。
【0211】
第3の寄生トランジスタがオン状態となると、配線563と第2電極546Bが電気的に
接続されることとなる。第3の寄生トランジスタにより配線563と第2電極546Bが
電気的に接続されると、第2のトランジスタ412を流れる電流量は画像信号に応じた電
流量でなくなり、EL素子414が所望の輝度で発光できなくなってしまう。
【0212】
そこで、本実施の形態では、画素410に半導体層505が除去された溝部530を設け
、上述の寄生トランジスタが生じない構成とする。溝部530を、配線512_iの線幅
方向の両端部を越えて横切る様に設けることで、第1の寄生トランジスタの生成を防ぐこ
とができる。
【0213】
また、溝部530を、配線516_jまたは配線563が延在する方向と平行な方向に沿
って、ゲート電極542の線幅方向の両端部を越えて横切る様に設けることで、第2の寄
生トランジスタ及び第3の寄生トランジスタの生成を防ぐことができる。なお、配線51
2_i上の溝部530もしくは、ゲート電極542上の溝部530は、それぞれ複数設け
てもよい。
【0214】
また、半導体層505が除去された溝部530の大きさに特に制限はないが、寄生トラン
ジスタの生成を確実に防ぐため、配線516_jまたは配線563が延在する方向と直交
する方向における、溝部530内の半導体層が除去された部分の距離は1μm以上とする
ことが好ましく、2μm以上とするとさらに好ましい。
【0215】
また本実施の形態の第1のトランジスタ411及び第2のトランジスタ412では、半導
体層505上に保護層651を設け、当該半導体層505が劣化するのを低減する構成と
している。特に本実施の形態では、半導体層505上の保護層651の一部に開口部60
1及び開口部602を設け、半導体層505と第1電極506A及び第2電極506Bと
の接続をする構成としている。また、半導体層505上の保護層651の一部に開口部6
06及び開口部607を設け、半導体層505と第1電極546A及び第2電極546B
との接続をする構成としている。そのため、半導体層505の一部が、半導体層505の
エッチング工程時や、第1電極506A、第2電極506B、第1電極546A、及び第
2電極546Bのエッチング工程時にエッチングガスまたはエッチング液に曝されること
による、半導体層505の劣化を低減することができる。
【0216】
なお図13に示す画素410のレイアウトで、開口部601、開口部602、開口部60
6、及び開口部607は、OPC(Optical Proximity Correc
tion:光近接効果補正)を用いたフォトマスクで加工することが好ましい。第1のト
ランジスタ411の第1電極506A及び第2電極506Bと半導体層505とを接続す
るための開口部601及び開口部602、第2のトランジスタ412の第1電極546A
及び第2電極546Bと半導体層505とを接続するための開口部606及び開口部60
7を、OPCを用いたフォトマスクで形成することで、光の回折に伴う開口部の形状の変
形を抑制し、各トランジスタのチャネル幅及びチャネル長のばらつきを低減することがで
きる。
【0217】
断面A1-A2は、第1のトランジスタ411及び第2のトランジスタ412の積層構造
を示している。第1のトランジスタ411及び第2のトランジスタ412は、ボトムゲー
ト構造のトランジスタである。断面B1-B2は、EL素子414及び溝部530を含む
、配線516_jから配線563までの積層構造を示している。また、断面C1-C2は
、溝部530と、配線563と配線512_iの交差部における積層構造を示している。
また、断面D1-D2は、配線563と、第2のトランジスタ412のゲート電極542
の交差部の積層構造を示している。
【0218】
図14(A)に示す断面A1-A2において、基板500上に下地層501が形成され、
下地層501上にゲート電極502及びゲート電極542が形成されている。また、ゲー
ト電極502及びゲート電極542上に、ゲート絶縁層504と半導体層505が形成さ
れている。また、半導体層505上には保護層651が形成されている。また、保護層6
51上には第1電極506A、第2電極506B、第1電極546A、及び第2電極54
6Bが形成されている。半導体層505は、保護層651に形成された開口部601及び
開口部602で、第1電極506A及び第2電極506Bに接続されている。また半導体
層505は、保護層651に形成された開口部606及び開口部607で、第1電極54
6A及び第2電極546Bに接続されている。また、保護層651の一部に接し、第1電
極506A上、第2電極506B上、第1電極546A上、及び第2電極546B上に、
絶縁層507が形成されている。また、絶縁層507上にはEL素子414の一方の電極
510、及び配線513が形成されている。電極510は、絶縁層507に形成された開
口部508で第2電極546Bに接続されている。配線513は、絶縁層507に形成さ
れた開口部603及びゲート絶縁層504の一部、半導体層505の一部、保護層651
の一部、及び絶縁層507の一部が除去された開口部604で、第2電極506B及びゲ
ート電極542に接続されている。また、電極510の一部、配線513、絶縁層507
上に、EL層を色毎に塗り分けるための隔壁層514が形成されている。また、電極51
0上には隔壁層514に設けられた開口部にEL層562が形成されている。EL層56
2上及び隔壁層514上には、配線503の一部であるEL素子414の他方の電極54
4が設けられている。なお電極510、EL層562、及び電極544が積層する領域が
、EL素子414となる。
【0219】
図14(B)に示す断面B1-B2において、基板500上に下地層501が形成され、
下地層501上にゲート絶縁層504が形成され、ゲート絶縁層504上に半導体層50
5が形成されている。半導体層505上には保護層651が形成されている。保護層65
1上に配線516_j及び配線563が形成され、保護層651と、配線516_j及び
配線563上に絶縁層507が形成されている。また、絶縁層507上に電極510が形
成されている。また、電極510の一部、絶縁層507上に、EL層を色毎に塗り分ける
ための隔壁層514が形成されている。また、電極510上には隔壁層514に設けられ
た開口部にEL層562が形成されている。EL層562上及び隔壁層514上には、電
極544が設けられ、電極510、EL層562、及び電極544が積層することにより
EL素子414が形成される。
【0220】
配線563と電極510の間に、ゲート絶縁層504の一部、半導体層505の一部、保
護層651の一部、及び絶縁層507の一部が除去された溝部530が形成されている。
溝部530は、少なくともその底面において半導体層を有していない構成となっている。
【0221】
図14(C)に示す断面C1-C2において、基板500上に下地層501が形成され、
下地層501上に配線512_iが形成されている。また、配線512_i上に、ゲート
絶縁層504と半導体層505が形成されている。また、半導体層505上には保護層6
51が形成されている。また、保護層651上に配線563が形成され、配線563上に
絶縁層507が形成されている。また、絶縁層507上に、隔壁層514が形成され、該
隔壁層514上には電極544が設けられている。また、ゲート絶縁層504の一部、半
導体層505の一部、保護層651の一部、及び絶縁層507の一部が除去された溝部5
30が形成されている。
【0222】
図14(D)に示す断面D1-D2において、基板500上に下地層501が形成され、
下地層501上にゲート電極542が形成されている。また、ゲート電極542上に、ゲ
ート絶縁層504と半導体層505が形成されている。また、半導体層505上には保護
層651が形成されている。また保護層651には開口部605が形成され、該開口部6
05の半導体層505上に配線563が形成され、配線563上に絶縁層507が形成さ
れている。また、絶縁層507上に、隔壁層514が形成され、該隔壁層514上には電
極544が設けられている。
【0223】
ゲート電極542と配線563が、ゲート絶縁層504と半導体層505を間に挟んで重
なっている部分が容量素子413として機能する。ゲート絶縁層504と半導体層505
は誘電体層として機能する。ゲート電極542と配線563の間に形成される誘電体層を
多層構造とすることで、一つの誘電体層にピンホールが生じても、ピンホールは他の誘電
体層で被覆されるため、容量素子413を正常に機能させることができる。また、酸化物
半導体の比誘電率は14乃至16と大きいため、半導体層505に酸化物半導体を用いる
と、容量素子413の静電容量値を大きくすることが可能となる。
【0224】
次に、図13で示した構成とは異なる画素構成例について、図15及び図16を用いて説
明する。図15は、画素420の平面構成を示す上面図である。図16(A)乃至図16
(C)に示す断面E1-E2、断面F1-F2、断面G1-G2は、図15におけるE1
-E2、F1-F2、G1-G2の鎖線で示す部位の断面に相当する。図15に示す画素
420は、図13に示した画素410と、溝部530の構成が異なる。
【0225】
画素420は、溝部530を配線516_jと電極510との間、及び配線516_jと
第1のトランジスタ411のゲート電極502との間に設けた構成としている。また、溝
部530を、第1のトランジスタ411のゲート電極502と電極510の間の領域にも
設ける構成としている。このように、溝部530を多く配置することで、寄生トランジス
タの形成をより確実に防ぐことができる。
【0226】
次に、図13乃至図16で示した構成とは異なる画素構成例について、図17を用いて説
明する。図17は、画素430の平面構成を示す上面図である。
【0227】
図17に示す画素430は、配線512_iの線幅方向の両端部を越えて横切る溝部を複
数設けることで、配線512_iと重畳して形成される寄生チャネルの影響を、より確実
に抑える画素構成の一例を示している。
【0228】
画素430は、半導体層505が除去された溝部551及び溝部552が、配線512_
iの線幅方向の両端部を越えて横切る様に設けられている。配線512_iの線幅方向の
両端部を越えて横切る溝部を複数設けることで、配線512_iと重畳して形成される寄
生チャネルの影響を、より確実に抑えることができる。
【0229】
また、画素430は、半導体層505が除去された溝部553、溝部554及び溝部55
5が、ゲート電極542の線幅方向の両端部を越えて横切る様に設けられている。ゲート
電極542の線幅方向の両端部を越えて横切る溝部を複数設けることで、ゲート電極54
2と重畳して形成される寄生チャネルの影響を、より確実に抑えることができる。
【0230】
次に、端子405及び端子406の構成例について、図19を用いて説明する。図19
A1)、図19(A2)は、端子405の上面図及び断面図をそれぞれ図示している。図
19(A1)におけるJ1-J2の鎖線は、図19(A2)における断面J1-J2に相
当する。また、図19(B1)、図19(B2)は、端子406の上面図及び断面図をそ
れぞれ図示している。図19(B1)におけるK1-K2の鎖線は、図19(B2)にお
ける断面K1-K2に相当する。なお、断面J1-J2及び断面K1-K2において、J
2及びK2は、基板端部に相当する。
【0231】
断面J1-J2において、基板500上に下地層501が形成され、下地層501上に配
線512が形成されている。また、配線512上に、ゲート絶縁層504、半導体層50
5、保護層651及び絶縁層507が形成されている。絶縁層507上に電極521が形
成され、電極521は、ゲート絶縁層504、半導体層505、保護層651、及び絶縁
層507に形成された開口部519を介して配線512に接続されている。
【0232】
断面K1-K2において、基板500上に、下地層501、ゲート絶縁層504、半導体
層505及び保護層651が形成されている。保護層651上に配線516が形成され、
配線516上に絶縁層507が形成されている。絶縁層507上に電極522が形成され
、電極522は、絶縁層507に形成された開口部520を介して配線516に接続され
ている。
【0233】
なお、端子407の構成も、端子405または端子406と同様の構成とすることができ
る。
【0234】
また、画素領域402と端子部404はn本の配線516で接続されているが、画素領域
402から端子部404が有する端子406に至るまでの配線516の引き回しにおいて
、隣接する配線516同士が近い場合は、隣接する配線516の電位差によって、隣接す
る配線516間に存在する半導体層505中に寄生チャネルが形成され、隣接する配線5
16同士が電気的に接続されてしまう恐れがある。
【0235】
このような現象は、絶縁層を介して、画素領域402から端子部404までの領域全体、
もしくは、隣接する配線516の間に導電層を設け、該導電層の電位を半導体層505中
に寄生チャネルが形成されない電位としておくことで防ぐことができる。
【0236】
例えば、半導体層505に酸化物半導体を用いる場合、多くの酸化物半導体はnチャネル
型の半導体となりやすいため、導電層の電位を配線516に供給される電位よりも低い電
位としておけばよい。
【0237】
また、以下に説明する溝部形成工程において、隣接する配線516間の半導体層505を
除去することでも、隣接する配線516同士の電気的な接続を防ぐことができる。
【0238】
図20に、隣接する配線516の間に、溝部540を形成し、半導体層505を除去する
構成を示す。図20(A)は、端子406に接続する配線516の平面構成を示す上面図
である。図20(B)に示す断面L1-L2は、図20(A)におけるL1-L2の鎖線
で示す部位の断面に相当する。図20(A)において、配線516_jは端子406_j
に接続され、配線516_j+1は端子406_j+1に接続され、配線516_j+2
は端子406_j+2に接続されている。なお、溝部540は、溝部530と同様に形成
することができる。
【0239】
隣接する配線516_jと配線516_j+1の間に、半導体層505が除去された溝部
540が形成されている。また、隣接する配線516_j+1と配線516_j+2の間
に、半導体層505が除去された溝部540が形成されている。このように、隣接する配
線516間に半導体層505が除去された溝部540を設けることで、隣接する配線51
6同士の電気的な接続を防ぐことができる。
【0240】
また、半導体層505が除去された溝部540の大きさに特に制限はないが、寄生チャネ
ルの生成を確実に防ぐため、配線516_jまたは配線516_j+1が延在する方向と
直交する方向における、溝部540内の半導体層が除去された部分の距離は1μm以上と
することが好ましく、2μm以上とするとさらに好ましい。
【0241】
続いて、図13を用いて説明したEL表示装置の画素部の作製方法について、図21及び
図22を用いて説明する。なお、図21及び図22における断面A1-A2、断面J1-
J2、及び断面K1-K2は、図13及び図19におけるA1-A2、J1-J2、及び
K1-K2の鎖線で示した部位の断面図である。なお図21図22における作製方法の
説明では特に、半導体層に酸化物半導体を用いる構成について説明を行う。酸化物半導体
を半導体層に用いる利点については、上述した通りである。
【0242】
まず、基板500上に下地層501となる絶縁層を50nm以上300nm以下、好まし
くは100nm以上200nm以下の厚さで形成する。基板500は、ガラス基板、セラ
ミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる程度の耐熱性を有するプラスチック基
板等を用いることができる。ガラス基板としては、例えば、バリウムホウケイ酸ガラス、
アルミノホウケイ酸ガラス若しくはアルミノケイ酸ガラス等の無アルカリガラス基板を用
いるとよい。本実施の形態では、基板500にアルミノホウケイ酸ガラスを用いる。
【0243】
下地層501は、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化シリコン、酸化シリコ
ン、窒化酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンから選ばれた一又は複数の絶縁層による積
層構造により形成することができ、基板500からの不純物元素の拡散を防止する機能が
ある。なお、本明細書中において、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも
窒素の含有量が多いものであって、好ましくは、RBS及びHFSを用いて測定した場合
に、組成範囲として酸素が5原子%以上30原子%以下、窒素が20原子%以上55原子
%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が10原子%以上30原子%以
下の範囲で含まれるものをいう。下地層501は、スパッタリング法、CVD法、塗布法
、印刷法等を適宜用いることができる。
【0244】
本実施の形態では、下地層501として、窒化シリコンと酸化シリコンの積層を用いる。
具体的には、基板500上に窒化シリコンを50nmの厚さで形成し、該窒化シリコン上
に酸化シリコンを150nmの厚さで形成する。
【0245】
次に、下地層501上にスパッタリング法、真空蒸着法、またはメッキ法を用いて100
nm以上500nm以下、好ましくは200nm以上300nm以下の厚さで導電層を形
成し、第1のフォトリソグラフィ工程により、レジストマスクを形成し、導電層を選択的
にエッチング除去し、ゲート電極502、ゲート電極542、配線512を形成する。
【0246】
ゲート電極502、ゲート電極542、配線512を形成するための導電層は、モリブデ
ン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)タンタル(Ta)、アルミニウム(A
l)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)等の金属
材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層又は積層して形成することができ
る。
【0247】
本実施の形態では、導電層として下地層501上に厚さ5nmのTi層を形成し、Ti層
上に厚さ250nmのCu層を形成する。その後、第1のフォトリソグラフィ工程により
導電層を選択的にエッチング除去し、ゲート電極502、ゲート電極542、配線512
を形成する(図21(A)参照)。また、形成されたゲート電極502、ゲート電極54
2、配線512の端部がテーパー形状であると、後に積層する絶縁層や導電層の被覆性が
向上するため好ましい。
【0248】
なお特段の説明が無い限り、本明細書で言うフォトリソグラフィ工程には、レジストマス
クの形成工程と、導電層または絶縁層のエッチング工程と、レジストマスクの剥離工程が
含まれているものとする。
【0249】
次いで、ゲート電極502、ゲート電極542、配線512上にゲート絶縁層504を5
0nm以上800nm以下、好ましくは100nm以上600nm以下の厚さで形成する
。ゲート絶縁層504には、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化
シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アル
ミニウム、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化ハフニ
ウム、ハフニウムシリケート(HfSi(x>0、y>0))、窒素が導入された
ハフニウムシリケート、窒素が導入されたハフニウムアルミネート等を用いることができ
、プラズマCVD法やスパッタリング法等で形成することができる。また、ゲート絶縁層
504は単層に限らず異なる層の積層でも良い。例えば、ゲート絶縁層Aとしてプラズマ
CVD法により窒化シリコン層(SiN(y>0))を形成し、ゲート絶縁層Aの上に
ゲート絶縁層Bとして酸化シリコン層(SiO(x>0))を積層して、ゲート絶縁層
504としても良い。
【0250】
ゲート絶縁層504の形成は、スパッタリング法やプラズマCVD法などの他、μ波(例
えば周波数2.45GHz)を用いた高密度プラズマCVD法などの成膜方法を適用する
ことができる。
【0251】
本実施の形態では、ゲート絶縁層504として、窒化シリコンと酸化シリコンの積層を用
いる。具体的には、ゲート電極502及びゲート電極542上に窒化シリコンを50nm
の厚さで形成し、該窒化シリコン上に酸化シリコンを100nmの厚さで形成する。
【0252】
また、ゲート絶縁層504には、この後形成する酸化物半導体と同種の成分を含む絶縁材
料を用いてもよい。ゲート絶縁層504を異なる層の積層とする場合には、酸化物半導体
に接する層を酸化物半導体と同種の成分を含む絶縁材料とすればよい。このような材料は
酸化物半導体との相性が良く、これをゲート絶縁層504に用いることで、酸化物半導体
との界面の状態を良好に保つことができるからである。ここで、「酸化物半導体と同種の
成分」とは、酸化物半導体の構成元素から選択される一または複数の元素を意味する。
【0253】
具体的にゲート絶縁層504に用いることのできる、この後形成する酸化物半導体と同種
の成分を含む絶縁材料としては、酸化物半導体層としてIn、Ga及びZnを含む酸化物
材料を用いる場合、酸化物半導体が含む元素であるIn、Ga及びZnにおけるGaを、
4価の陽イオンとなる元素より選ばれる少なくとも一種の元素にに置き換えた材料である
ことが好適である。
【0254】
4価の陽イオンとなる元素の一例としては、周期表の4族元素であるTi、Zr、Hf、
または14族元素であるGeを用いることができる。上述の周期表の4族元素または14
族元素は、IGZO中の3価の陽イオンとなるGaと置換することで、酸化物半導体を構
成する酸素との結合力を大きくすることができ、IGZOより絶縁性が高められたゲート
絶縁層504を得ることができる。
【0255】
また、4価の陽イオンとなる元素としては、ランタノイドであるセリウム(Ce)でもよ
く、GaをCeに置換して、IGZOより絶縁性が高められたゲート絶縁層504を得る
ことができる。
【0256】
またゲート絶縁層504に用いることのできる、酸化物半導体と同種の成分を含む絶縁材
料としては、酸化物半導体層としてIn、Ga及びZnを含む酸化物材料を用いる場合、
酸化物半導体が含む元素であるIn、Ga及びZnにおけるGaを、イットリウム(Y)
に置き換えた材料が好適である。イットリウムは、Gaよりも電気陰性度が小さいため酸
素との電気陰性度の差を大きくすることができ、酸化物半導体中での酸素とのイオン結合
による結合をより強くすることができ、IGZOより絶縁性が高められたゲート絶縁層5
04を得ることができる。
【0257】
また、ゲート絶縁層504を積層構造とする場合には、酸化物半導体と同種の成分を含む
絶縁材料でなる膜と、該膜の成分材料とは異なる材料を含む膜との積層構造としても良い
【0258】
また、半導体層に酸化物半導体層を用いる場合は、当該酸化物半導体層内に、水素、水酸
基及び水分がなるべく含まれないようにするために、酸化物半導体層の成膜の前処理とし
て、スパッタリング装置の予備加熱室で基板500を予備加熱し、基板500やゲート絶
縁層504に吸着した水素、水分などの不純物を脱離し排気することが好ましい。なお、
予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプが好ましい。なお、この予備加熱の処理は
省略することもできる。またこの予備加熱は、ゲート絶縁層504の成膜前に、ゲート電
極502、ゲート電極542、及び配線512まで形成した基板500にも同様に行って
もよい。
【0259】
半導体層505に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは
亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該半
導体層を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして
、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとし
てスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf
)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有する
ことが好ましい。
【0260】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(
Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム
(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホル
ミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ル
テチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
【0261】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化
物であるIn-Zn系酸化物、Sn-Zn系酸化物、Al-Zn系酸化物、Zn-Mg系
酸化物、Sn-Mg系酸化物、In-Mg系酸化物、In-Ga系酸化物、三元系金属の
酸化物であるIn-Ga-Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In-Al-Zn系
酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、Sn-Ga-Zn系酸化物、Al-Ga-Zn系酸
化物、Sn-Al-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物、In-La-Zn系酸化
物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Zn系酸化物
、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-Zn系酸化物、
In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系酸化物、I
n-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸化物、In
-Lu-Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn-Sn-Ga-Zn系酸化物、I
n-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-
Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物を用
いることができる。
【0262】
酸化物半導体層は、好ましくはInを含有する酸化物半導体、さらに好ましくは、In、
及びGaを含有する酸化物半導体である。酸化物半導体層を高純度化するため、この後行
う脱水化または脱水素化は有効である。
【0263】
ここで、例えば、In-Ga-Zn系酸化物とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga
)、亜鉛(Zn)を有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない
。また、InとGaとZn以外の金属元素を含んでもよい。
【0264】
酸化物半導体は単結晶、多結晶(ポリクリスタルともいう。)または非晶質などの状態を
とる。好ましくは、酸化物半導体は、CAAC-OS(C Axis Aligned
Crystalline Oxide Semiconductor)とする。
【0265】
CAAC-OSは、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC-OSは、
非晶質相に結晶部を有する結晶-非晶質混相構造の酸化物半導体である。なお、当該結晶
部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型
電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microsco
pe)による観察像では、CAAC-OSに含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確で
はない。また、TEMによってCAAC-OSには粒界(グレインバウンダリーともいう
。)は確認できない。そのため、CAAC-OSは、粒界に起因する電子移動度の低下が
抑制される。
【0266】
CAAC-OSに含まれる結晶部は、c軸がCAAC-OSの被形成面の法線ベクトルま
たは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状
または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属
原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸および
b軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°
以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、-5°以
上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0267】
なお、CAAC-OSにおいて、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC
-OSの形成過程において、酸化物半導体層の表面側から結晶成長させる場合、被形成面
の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC
-OSへ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化す
ることもある。
【0268】
CAAC-OSに含まれる結晶部のc軸は、CAAC-OSの被形成面の法線ベクトルま
たは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC-OSの形状(被形成面の断
面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結
晶部のc軸の方向は、CAAC-OSが形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは
表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後
に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0269】
CAAC-OSを用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が
小さい。
【0270】
次に、スパッタリング法、蒸着法、PCVD法、PLD法、ALD法またはMBE法など
を用いて半導体層505を成膜する。
【0271】
半導体層505は、好ましくはスパッタリング法により、基板温度を100℃以上600
℃以下、好ましくは150℃以上550℃以下、さらに好ましくは200℃以上500℃
以下とし、酸素ガス雰囲気で成膜する。半導体層505の厚さは、1nm以上40nm以
下、好ましくは3nm以上20nm以下とする。成膜時の基板温度が高いほど、得られる
半導体層505の不純物濃度は低くなる。また、半導体層505中の原子配列が整い、高
密度化され、多結晶またはCAAC-OSが形成されやすくなる。さらに、酸素ガス雰囲
気で成膜することでも、希ガスなどの余分な原子が含まれないため、多結晶またはCAA
C-OSが形成されやすくなる。ただし、酸素ガスと希ガスの混合雰囲気としてもよく、
その場合は酸素ガスの割合は30体積%以上、好ましくは50体積%以上、さらに好まし
くは80体積%以上とする。なお、半導体層505は薄いほど、トランジスタの短チャネ
ル効果が低減される。ただし、薄くしすぎると界面散乱の影響が強くなり、電界効果移動
度の低下が起こることがある。
【0272】
半導体層505としてIn-Ga-Zn系酸化物材料をスパッタリング法で成膜する場合
、好ましくは、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1、4:2:3、3:1:2、1
:1:2、2:1:3、または3:1:4で示されるIn-Ga-Zn系酸化物ターゲッ
トを用いる。前述の原子数比を有するIn-Ga-Zn系酸化物ターゲットを用いて半導
体層505を成膜することで、多結晶またはCAAC-OSが形成されやすくなる。
【0273】
本実施の形態では、酸化物半導体層としてIn-Ga-Zn系酸化物ターゲットを用いて
スパッタリング法により30nmの厚さで形成する。また、酸化物半導体層は、希ガス(
代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガスと酸素の混合雰囲気下におい
てスパッタリング法により形成することができる。
【0274】
酸化物半導体層をスパッタリング法で作製するためのターゲットとしては、例えば、組成
として、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol数比]の金属酸化物ター
ゲットを用い、In-Ga-Zn-O層を成膜する。
【0275】
酸化物半導体層を成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化物など
の不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。例えば、スパッタガスとして
アルゴンを用いる場合は、純度9N、露点-121℃、含有HO量0.1ppb以下、
含有H量0.5ppb以下が好ましく、酸素を用いる場合は、純度8N、露点-112
℃、含有HO量1ppb以下、含有H量1ppb以下が好ましい。
【0276】
酸化物半導体層の成膜は、減圧状態に保持された成膜室内に基板を保持し、基板温度を1
00℃以上600℃以下好ましくは300℃以上500℃以下として行う。
【0277】
基板を加熱しながら成膜することにより、成膜した酸化物半導体層に含まれる水素、水分
、水素化物、または水酸化物などの不純物濃度を低減することができる。また、スパッタ
リングによる損傷が軽減される。そして、成膜室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分
が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて酸化物半導体層を成膜する
【0278】
成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオポンプ
、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手
段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライ
オポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含
む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該成膜室で
成膜した酸化物半導体層に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0279】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa
、直流(DC)電源電力0.5kW、スパッタガスとして酸素(酸素流量比率100%)
を用いる条件が適用される。なお、パルス直流電源を用いると、成膜時に発生する粉状物
質(パーティクル、ごみともいう)が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。
【0280】
次いで、第1の加熱処理を行う。この第1の加熱処理によって酸化物半導体層中の過剰な
水素(水や水酸基を含む)を除去(脱水化または脱水素化)し、酸化物半導体層中の不純
物濃度を低減することができる。
【0281】
第1の加熱処理は、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、酸素ガス雰
囲気下、または超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の
露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で-55℃)以下、好まし
くは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、250℃以上750
℃以下、または400℃以上基板の歪み点未満の温度で行う。
【0282】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱
輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas
Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid
Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal An
neal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライ
ドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧
水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置
である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。高温のガスに
は、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しな
い不活性ガスが用いられる。
【0283】
例えば、第1の加熱処理として、高温に加熱した不活性ガス中に基板を移動させて入れ、
数分間加熱した後、基板を移動させて高温に加熱した不活性ガス中から出すGRTAを行
ってもよい。
【0284】
加熱処理を、窒素または希ガスなどの不活性ガス、酸素、超乾燥エアのガス雰囲気下で行
なう場合は、これらの雰囲気に水、水素などが含まれないことが好ましい。また、加熱処
理装置に導入する窒素、酸素、または希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上好
ましくは7N(99.99999%)以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは
0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0285】
第1の加熱処理は、減圧雰囲気または不活性雰囲気で加熱処理を行った後、温度を保持し
つつ酸化性雰囲気に切り替えてさらに加熱処理を行うと好ましい。これは、減圧雰囲気ま
たは不活性雰囲気にて加熱処理を行うと、酸化物半導体層中の不純物濃度を低減すること
ができるが、同時に酸素欠損も生じてしまうためであり、このとき生じた酸素欠損を、酸
化性雰囲気での加熱処理により低減することができる。
【0286】
このように、水素濃度が十分に低減されて高純度化され、十分な酸素の供給により酸素欠
乏に起因するエネルギーギャップ中の欠陥準位が低減された酸化物半導体では、キャリア
濃度が1×1012/cm未満、望ましくは、1×1011/cm未満、より望まし
くは1.45×1010/cm未満となる。例えば、室温(25℃)でのオフ電流(こ
こでは、単位チャネル幅(1μm)あたりの値)は、100zA(1zA(ゼプトアンペ
ア)は1×10-21A)以下、望ましくは、10zA以下となる。また、85℃では、
100zA(1×10-19A)以下、望ましくは10zA(1×10-20A)以下と
なる。このように、i型化(真性化)または実質的にi型化された酸化物半導体を用いる
ことで、極めて優れたオフ電流特性の第1のトランジスタ411及び第2のトランジスタ
412を得ることができる。
【0287】
また、高純度化された酸化物半導体を有するトランジスタは、しきい値電圧やオン電流な
どの電気的特性に温度依存性がほとんど見られない。また、光劣化によるトランジスタ特
性の変動も少ない。
【0288】
このように、高純度化し、また、酸素欠損を低減することによりi型(真性)化した酸化
物半導体を有するトランジスタは、電気的特性変動が抑制されており、電気的に安定であ
る。よって安定した電気的特性を有する酸化物半導体を用いた信頼性の高いEL表示装置
を提供することができる。
【0289】
次いで、半導体層505上に保護層651を形成する。保護層651としては、ゲート絶
縁層504と同様の材料及び方法で形成することができる。
【0290】
なお半導体層505と接する保護層651は、酸素を多く含む状態とすると、半導体層5
05へ酸素を供給する供給源として機能させることができる。
【0291】
本実施の形態では、保護層651として、膜厚200nmの酸化シリコン層を用いる。そ
して、第2のフォトリソグラフィ工程により、保護層651上にレジストマスクを形成し
、半導体層505上の保護層651の一部を選択的に除去し、開口部601、開口部60
2、開口部606及び開口部607を形成する(図21(B)参照)。開口部601、開
口部602、開口部606及び開口部607を形成して残存する半導体層505上の保護
層の形状は、断面形状が台形または三角形状であり、断面形状の下端部のテーパー角θが
60°以下、好ましくは45°以下、さらに好ましくは30°以下とする。一例としては
、本実施の形態では、フォトリソグラフィ工程により酸化シリコン層上にレジストマスク
を形成し、選択的にエッチングを行って保護層651の断面形状を台形とし、保護層65
1の下端部のテーパー角θを約30°とする。なお、図示していないが、本フォトリソグ
ラフィ工程において、開口部605も開口部601、開口部602、開口部606及び開
口部607と同様に形成する。
【0292】
保護層651の形成後、加熱処理を行ってもよい。本実施の形態では、窒素雰囲気下30
0℃で1時間加熱処理を行う。
【0293】
また、保護層651には、半導体層505と同種の成分を含む絶縁材料を用いてもよい。
保護層651を異なる層の積層とする場合には、酸化物半導体に接する層を酸化物半導体
と同種の成分を含む絶縁材料とすればよい。このような材料は酸化物半導体との相性が良
く、これを保護層651に用いることで、酸化物半導体との界面の状態を良好に保つこと
ができるからである。ここで、「酸化物半導体と同種の成分」とは、酸化物半導体の構成
元素から選択される一または複数の元素を意味する。
【0294】
具体的に保護層651に用いることのできる、酸化物半導体と同種の成分を含む絶縁材料
としては、酸化物半導体層としてIn、Ga及びZnを含む酸化物材料を用いる場合、酸
化物半導体が含む元素であるIn、Ga及びZnにおけるGaを、4価の陽イオンとなる
元素より選ばれる少なくとも一種の元素に置き換えた材料であることが好適である。
【0295】
4価の陽イオンとなる元素の一例としては、周期表の4族元素であるTi、Zr、Hf、
または14族元素であるGeを用いることができる。上述の周期表の4族元素または14
族元素は、IGZO中の3価の陽イオンとなるGaと置換することで、酸化物半導体を構
成する酸素との結合力を大きくすることができ、IGZOより絶縁性が高められた保護層
651を得ることができる。
【0296】
また、4価の陽イオンとなる元素としては、ランタノイドであるセリウム(Ce)でもよ
く、GaをCeに置換することで、IGZOより絶縁性が高められた保護層651を得る
ことができる。
【0297】
また保護層651に用いることのできる、酸化物半導体と同種の成分を含む絶縁材料とし
ては、酸化物半導体層としてIn、Ga及びZnを含む酸化物材料を用いる場合、酸化物
半導体が含む元素であるIn、Ga及びZnにおけるGaを、イットリウム(Y)に置き
換えた材料が好適である。イットリウムは、Gaよりも電気陰性度が小さいため酸素との
電気陰性度の差を大きくすることができ、酸化物半導体中での酸素とのイオン結合による
結合をより強くすることができ、IGZOより絶縁性が高められた保護層651を得るこ
とができる。
【0298】
また、保護層651を積層構造とする場合には、酸化物半導体と同種の成分を含む絶縁材
料でなる膜と、該膜の成分材料とは異なる材料を含む膜との積層構造としても良い。
【0299】
なお、開口部601、開口部602、開口部606及び開口部607を形成するためのエ
ッチングにより露出した半導体層505の表面には、不純物が付着しやすい。上記不純物
には、エッチングに用いたエッチングガスまたはエッチング液を構成する元素、或いはエ
ッチングを行った処理室内に存在する元素などが含まれる。上記不純物として、具体的に
は、ボロン、塩素、フッ素、炭素、アルミニウムなどが挙げられる。
【0300】
次いで、半導体層505及び保護層651の表面の洗浄処理を行う。洗浄処理は、TMA
H溶液などのアルカリ性の溶液、水、または希フッ酸などを用いて行うことができる。或
いは、洗浄処理は、酸素、一酸化二窒素、もしくは希ガス(代表的にはアルゴン)を用い
たプラズマ処理により行うことができる。洗浄処理により、半導体層505及び保護層6
51の表面に付着した上記不純物を、除去することができる。
【0301】
なお希フッ酸は、50重量%のフッ酸を、水で100倍乃至100000倍に希釈したも
のを、洗浄処理に用いることが望ましい。洗浄処理に希フッ酸を用いると、半導体層50
5に付着した不純物を、半導体層505の一部とともに除去することができる。
【0302】
次いで、開口部601、開口部602、開口部606及び開口部607の半導体層505
上、並びに保護層651上に、第1電極506A、第2電極506B、第1電極546A
、第2電極546B、及び配線516となる導電層を形成する。第1電極506A、第2
電極506B、第1電極546A、第2電極546B、及び配線516に用いる導電層は
、ゲート電極502と同様の材料及び方法で形成することができる。また、第1電極50
6A、第2電極506B、第1電極546A、第2電極546B、及び配線516に用い
る導電層として、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸
化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジ
ウム酸化スズ(In―SnO、ITOと略記する)、酸化インジウム酸化亜鉛(
In―ZnO)またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用
いることができる。
【0303】
本実施の形態では、開口部601、開口部602、開口部606及び開口部607の半導
体層505上、並びに保護層651上に、導電層として厚さ5nmのTi層を形成し、T
i層上に厚さ250nmのCu層を形成する。その後、第3のフォトリソグラフィ工程に
より、レジストマスクを形成し、導電層を選択的にエッチング除去し、第1電極506A
、第2電極506B、第1電極546A、第2電極546B、及び配線516を形成する
図21(C)参照)。
【0304】
次いで、第1電極506A、第2電極506B、第1電極546A、第2電極546B、
保護層651、及び配線516上に絶縁層507を形成する。絶縁層507は、ゲート絶
縁層504または下地層501と同様の材料及び方法で形成することができる。なお、水
素や水などが混入しにくいという点では、スパッタリング法による形成が好適である。絶
縁層507に水素が含まれると、その水素の酸化物半導体層への侵入、又は水素による酸
化物半導体層中の酸素の引き抜きが生じ、酸化物半導体層が低抵抗化(n型化)する恐れ
がある。従って、絶縁層507は、水素及び水素を含む不純物が含まれない手段を用いて
成膜することが重要である。
【0305】
絶縁層507としては、代表的には酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ハフニウム、
酸化アルミニウム、酸化ガリウムなどの無機絶縁材料を用いることができる。酸化ガリウ
ムは帯電しにくい材料であるため、絶縁層のチャージアップによるしきい値電圧の変動を
抑えることができる。なお、半導体層505に酸化物半導体を用いる場合、絶縁層507
として、または、絶縁層507と積層して、酸化物半導体と同種の成分を含む金属酸化物
層を形成してもよい。
【0306】
本実施の形態では、絶縁層507として膜厚200nmの酸化シリコンを、スパッタリン
グ法を用いて成膜する。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実
施の形態では100℃とする。酸化シリコン層のスパッタリング法による成膜は、希ガス
(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガスと酸素の混合雰囲気下に
おいて行うことができる。また、ターゲットには、酸化シリコンまたはシリコンを用いる
ことができる。例えば、シリコンをターゲットに用いて、酸素を含む雰囲気下でスパッタ
を行うと酸化シリコンを形成することができる。
【0307】
絶縁層507の成膜時における成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポ
ンプ(クライオポンプなど)を用いることが好ましい。クライオポンプを用いて排気した
成膜室で成膜した絶縁層507は、絶縁層507中に含まれる不純物の濃度を低減するこ
とができる。また、絶縁層507の成膜室内の残留水分を除去するための排気手段として
は、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。
【0308】
絶縁層507を成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化物などの
不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0309】
次いで、減圧雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、または超乾燥エア雰囲
気下で第2の加熱処理(好ましくは200℃以上600℃以下、例えば250℃以上55
0℃以下)を行ってもよい。ただし、第1のフォトリソグラフィ工程、または第3のフォ
トリソグラフィ工程により形成された配線層にAlが用いられている場合は、加熱処理の
温度を380℃以下、好ましくは350℃以下とし、また、上記配線層にCuが用いられ
ている場合は、加熱処理の温度を450℃以下とする。例えば、窒素雰囲気下で450℃
、1時間の第2の加熱処理を行ってもよい。第2の加熱処理を行うと、酸化物半導体層の
一部(チャネル形成領域)が絶縁層507と接した状態で昇温され、酸素を含む絶縁層5
07から酸素を半導体層505へ供給することができる。なお、上記雰囲気に水、水素な
どが含まれないことが好ましい。
【0310】
次いで、第4のフォトリソグラフィ工程により、レジストマスクを形成し、第2電極50
6B上の絶縁層507の一部を選択的に除去し、開口部603を形成する。また、第2電
極546B上の絶縁層507の一部を選択的に除去し、開口部508を形成する。また、
ゲート電極542上の絶縁層507、保護層651、半導体層505、及びゲート絶縁層
504の一部を選択的に除去し、開口部604を形成する。また、断面K1-K2断面に
おける配線516上の絶縁層507の一部を選択的に除去し、開口部520を形成する。
また、断面J1-J2断面における配線512上では、絶縁層507、保護層651、半
導体層505、及びゲート絶縁層504の一部を選択的に除去し、開口部519を形成す
る。(図22(A)参照)。なお、図示していないが、本フォトリソグラフィ工程におい
て、溝部530も開口部519と同様に形成する。このため、溝部530の側面は、絶縁
層507、保護層651、半導体層505、及びゲート絶縁層504が露出している。
【0311】
絶縁層507、保護層651、半導体層505、及びゲート絶縁層504のエッチングは
、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよく、両方を用いてもよい。ドライエッ
チングに用いるエッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例えば塩素(C
)、三塩化硼素(BCl)、四塩化珪素(SiCl)、四塩化炭素(CCl
など)を用いることができる。
【0312】
ドライエッチングとしては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etchi
ng)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結
合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。また、下地層501は基板500か
らの不純物元素の拡散を防止する機能を有するため、上記エッチングに際して、下地層5
01が極力エッチングされることのないように、エッチング条件を調整することが好まし
い。
【0313】
一般に、半導体層のエッチングと開口部の形成は、異なるフォトリソグラフィ工程及びエ
ッチング工程により別々に実施されるが、本実施の形態に示す作製工程によれば、一回の
フォトリソグラフィ工程とエッチング工程により、同時に実施することが可能となる。よ
って、フォトマスクの削減のみならず、フォトリソグラフィ工程そのものを削減すること
ができ、その後のエッチング工程も削減することができる。すなわち、少ないフォトリソ
グラフィ工程により、低コストで、生産性よくEL表示装置を作製することができる。
【0314】
また、本実施の形態に示す作製工程によれば、酸化物半導体層にフォトレジストが直接形
成されることがない。また、酸化物半導体層のチャネル形成領域が絶縁層507で保護さ
れているため、その後のフォトレジストの剥離洗浄工程においても、酸化物半導体層のチ
ャネル形成領域に水分が付着することがないため、第1のトランジスタ411及び第2の
トランジスタ412の特性バラツキが低減され、信頼性が向上する。
【0315】
次いで、開口部603の第2電極506B上、開口部604のゲート電極542上、開口
部508の第2電極546B上、及び絶縁層507上に配線513、電極510、電極5
21、及び電極522となる導電層を形成する。配線513、電極510、電極521、
及び電極522となる導電層は、スパッタリング法、真空蒸着法などを用いて、透光性を
有する導電層(透明導電層ともいう)を30nm以上200nm以下、好ましくは50n
m以上100nm以下の厚さで形成する(図22(B)参照)。
【0316】
本実施の形態では、透光性を有する導電層として厚さ80nmのITO層を形成し、第5
のフォトリソグラフィ工程により、レジストマスクを形成し、透光性を有する導電層を選
択的にエッチングして、配線513、電極510、電極521、及び電極522を形成す
る。
【0317】
配線513は、開口部603で第2電極506B、開口部604でゲート電極542に接
続される。また、電極510は、開口部508で第2電極546Bに接続される。また、
電極521は開口部519で配線512に接続される。また、電極522は開口部520
で配線516に接続される。
【0318】
また、端子部403及び端子部404に形成される開口部519及び開口部520におい
て、配線512及び配線516を露出した状態のままとせず、ITOなどの酸化物導電性
材料で覆うことは重要である。配線512及び配線516は金属層であるため、配線51
2及び配線516を露出した状態のままとすると、露出表面が酸化され、FPC等との接
触抵抗が増大する。接触抵抗の増大は、外部から入力される信号の遅延や波形のなまりを
生じ、外部からの信号が正確に伝達されず、半導体装置の信頼性が低下してしまう。配線
512及び配線516の露出表面を、ITOなどの酸化物導電性材料で覆うことにより、
接触抵抗の増大を防ぎ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0319】
なおEL素子414を構成する電極510の材料は、EL層562及び電極544の材料
と併せて適宜選択して構成することで、EL素子414から取り出す光の方向などを設定
することができる。本実施の形態においては、基板500側より光を取り出す構成につい
て説明する。
【0320】
透光性を有する導電層としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タング
ステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを
含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜
鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を
用いることができる。
【0321】
次いで画素部の断面に相当するA1-A2には、隔壁層となる材料を設ける。隔壁層とな
る材料は、有機絶縁材料、無機絶縁材料を用いて形成する。隔壁層514には、第6のフ
ォトリソグラフィ工程により開口部565が形成される。開口部565は、電極510上
の隔壁層となる材料に形成される。なお隔壁層となる材料を感光性の樹脂材料とすること
で、開口部565は、該開口部565の側壁の断面形状を、連続した曲率を有する形状と
することができる。次いで開口部565の電極510と接する領域にEL層562を形成
する。次いで、EL層562上及び隔壁層514上に、EL素子414の他方の電極とな
る電極544を形成する(図22(C)参照)。
【0322】
なお、EL層562は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等を
積層して用いればよい。またEL素子414の他方の電極である電極544としては、電
極510を陽極として仕事関数の大きい材料を用いる場合、仕事関数の小さい金属材料を
用いればよい。具体的に電極544としては、アルミニウムとリチウムとの合金を用いる
ことができる。
【0323】
本実施の形態によれば、従来よりも少ないフォトリソグラフィ工程により半導体装置を作
製することができ、且つ半導体層の劣化を低減することが可能となる。よって、低コスト
で、生産性が高く、信頼性に優れたEL表示装置を作製することができる。
【0324】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0325】
(実施の形態3)
実施の形態1で例示したトランジスタを用いた表示装置の一形態を図11に示す。
【0326】
図11(A)は、トランジスタ4010、及び液晶素子4013を、第1の基板4001
と第2の基板4006との間にシール材4005によって封止したパネルの平面図であり
図11(B)は、図11(A)のM-Nにおける断面図に相当する。また、第1の基板
4001上に、溝部4040が設けられている。
【0327】
第1の基板4001上に設けられた画素部4002を囲むようにして、シール材4005
が設けられ、画素部4002上に第2の基板4006が設けられている。よって画素部4
002は、第1の基板4001とシール材4005と第2の基板4006とによって、液
晶層4008と共に封止されている。
【0328】
また、第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域より外側の領
域に、入力端子4020を有し、FPC4018a(Flexible printed
circuit)、FPC4018bが接続されている。FPC4018aは、別途異
なる基板に作製された信号線駆動回路4003と電気的に接続され、FPC4018bは
、別途異なる基板に作製された走査線駆動回路4004と電気的に接続されている。画素
部4002に与えられる各種信号及び電位は、FPC4018a及びFPC4018bを
介して、信号線駆動回路4003及び走査線駆動回路4004から供給される。
【0329】
なお、別途異なる基板に作製された駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく
、COG(Chip On Glass)方法、ワイヤボンディング方法、TCP(Ta
pe Carrier Package)方法、或いはTAB(Tape Automa
ted Bonding)方法などを用いることができる。
【0330】
また、図示していないが、信号線駆動回路4003または走査線駆動回路4004は、本
明細書で開示するトランジスタを用いて、基板4001上に形成してもよい。
【0331】
表示装置に設けられる表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう)を用いること
ができる。また、電子インクなど、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も
適用することができる。
【0332】
図11に示す表示装置は、電極4015及び配線4016を有しており、電極4015及
び配線4016はFPC4018aが有する端子と異方性導電層4019を介して、電気
的に接続されている。
【0333】
電極4015は、第1の電極4030と同じ導電層から形成され、配線4016は、トラ
ンジスタ4010のソース及びドレインとなる電極と同じ導電層で形成されている。
【0334】
本実施の形態では、トランジスタ4010として、実施の形態1で示したトランジスタを
適用することができる。画素部4002に設けられたトランジスタ4010は表示素子と
電気的に接続し、表示パネルを構成する。表示素子は表示を行うことがでれば特に限定さ
れず、様々な表示素子を用いることができる。
【0335】
図11は、表示素子として液晶素子を用いた表示装置の例を示している。図11において
、表示素子である液晶素子4013は、第1の電極4030、第2の電極4031、及び
液晶層4008を含む。なお、液晶層4008を挟持するように配向膜として機能する絶
縁層4032、絶縁層4033が設けられている。なお、配向膜として機能する絶縁層4
032は、溝部4040上にも設けられている。第2の電極4031は第2の基板400
6側に設けられ、第1の電極4030と第2の電極4031とは液晶層4008を介して
積層する構成となっている。
【0336】
また、スペーサー4035は、第2の基板4006上に絶縁層で形成された柱状のスペー
サーであり、液晶層4008の膜厚(セルギャップ)を制御するために設けられている。
なお球状のスペーサーを用いても良い。
【0337】
表示素子として、液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液
晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これら
の液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイ
ラルネマチック相、等方相等を示す。
【0338】
液晶表示装置に設けられる保持容量の大きさは、画素部に配置されるトランジスタのリー
ク電流等を考慮して、所定の期間の間電荷を保持できるように設定される。チャネル領域
が形成される半導体層に、高純度化された酸化物半導体を用いたトランジスタを用いるこ
とにより、各画素における液晶容量に対して1/3以下、好ましくは1/5以下の容量の
大きさを有する保持容量を設ければ充分である。
【0339】
本実施の形態で用いる高純度化された酸化物半導体層を用いたトランジスタは、オフ状態
における電流値(オフ電流値)を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号
の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よ
って、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果
を奏する。また、高純度化された酸化物半導体層を用いたトランジスタは、保持容量を設
けなくても、液晶素子に印加された電位の保持が可能となる。
【0340】
また、本実施の形態で用いるトランジスタの半導体層に酸化物半導体層を用いることで、
アモルファスシリコンを用いたトランジスタと比較して、高い電界効果移動度が得られる
ため、高速駆動が可能である。よって、液晶表示装置の画素部に上記トランジスタを用い
ることで、高画質な画像を提供することができる。また、上記トランジスタは、同一基板
上に駆動回路部または画素部に作り分けて作製することもできるため、液晶表示装置の部
品点数を削減することができる。
【0341】
以上のように実施の形態1で例示したトランジスタを適用することで、トランジスタを有
する表示装置の作製工程に用いるフォトマスクの枚数を増やさず、トランジスタの信頼性
を向上させた液晶表示装置を作製することができる。よって、低コストで、生産性が高く
、信頼性に優れた液晶表示装置を提供することができる。
【0342】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0343】
(実施の形態4)
実施の形態2で例示したトランジスタを用いた表示装置の一形態を図23に示す。
【0344】
図23(A)は、トランジスタ5010、及びEL素子5013を、第1の基板5001
と第2の基板5006との間にシール材5005によって封止したパネルの平面図であり
図23(B)は、図23(A)のM-Nにおける断面図に相当する。また、第1の基板
5001上に、溝部5040が設けられている。
【0345】
第1の基板5001上に設けられた画素部5002を囲むようにして、シール材5005
が設けられ、画素部5002上に第2の基板5006が設けられている。よって画素部5
002は、第1の基板5001とシール材5005と第2の基板5006とによって封止
されている。
【0346】
また、第1の基板5001上のシール材5005によって囲まれている領域より外側の領
域に、入力端子5020を有し、FPC5018a(Flexible printed
circuit)、FPC5018bが接続されている。FPC5018aは、別途異
なる基板に作製された信号線駆動回路5003と電気的に接続され、FPC5018bは
、別途異なる基板に作製された走査線駆動回路5004と電気的に接続されている。画素
部5002に与えられる各種信号及び電位は、FPC5018a及びFPC5018bを
介して、信号線駆動回路5003及び走査線駆動回路5004から供給される。
【0347】
なお、別途異なる基板に作製された駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく
、COG(Chip On Glass)方法、ワイヤボンディング方法、TCP(Ta
pe Carrier Package)方法、或いはTAB(Tape Automa
ted Bonding)方法などを用いることができる。
【0348】
また、図示していないが、信号線駆動回路5003または走査線駆動回路5004は、本
明細書で開示するトランジスタを用いて、基板5001上に形成してもよい。
【0349】
図23に示す表示装置は、電極5015及び配線5016を有しており、電極5015及
び配線5016はFPC5018aが有する端子と異方性導電層5019を介して、電気
的に接続されている。
【0350】
電極5015は、トランジスタ5010の第1電極及び第2電極と同じ導電層から形成さ
れ、配線5016は、EL素子5013の一方の電極となる第1の電極5030と同じ導
電層で形成されている。
【0351】
本実施の形態では、トランジスタ5010として、実施の形態2で示した第2のトランジ
スタを適用することができる。画素部5002に設けられたトランジスタ5010は表示
素子と電気的に接続し、表示パネルを構成する。
【0352】
また図23に示す表示装置は、表示素子としてEL素子を用いた例を示している。図23
において、EL素子5013は、第1の電極5030、第2の電極5031、及びEL層
5008を含む。EL素子5013が設けられる隔壁層5009は、溝部5040上にも
設けられている。
【0353】
溝部5040を隔壁層5009で埋めることで、溝部5040を形成した際露出した半導
体層及び絶縁層の端部を覆うことができる。当該構成とすることにより、前述の露出した
部分を保護することができるため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0354】
また、本実施の形態で用いるトランジスタの半導体層に酸化物半導体層を用いることで、
アモルファスシリコンを用いたトランジスタと比較して、高い電界効果移動度が得られる
ため、高速駆動が可能である。よって、EL表示装置の画素部に上記トランジスタを用い
ることで、高画質な画像を提供することができる。また、上記トランジスタは、同一基板
上に駆動回路部または画素部に作り分けて作製することもできるため、EL表示装置の部
品点数を削減することができる。
【0355】
以上のように実施の形態2で例示したトランジスタを適用することで、トランジスタを有
する表示装置の作製工程に用いるフォトマスクの枚数を増やさず、トランジスタの信頼性
を向上させたEL表示装置を作製することができる。よって、低コストで、生産性が高く
、信頼性に優れたEL表示装置を提供することができる。
【0356】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0357】
(実施の形態5)
本実施の形態においては、上記実施の形態で説明した表示装置を具備する電子機器の例に
ついて説明する。
【0358】
図12(A)は、ノート型のパーソナルコンピュータであり、本体3001、筐体300
2、表示部3003、キーボード3004などによって構成されている。上記実施の形態
で示した液晶表示装置またはEL表示装置を適用することにより、低コストで、生産性が
高く、信頼性の高いノート型のパーソナルコンピュータとすることができる。
【0359】
図12(B)は、携帯情報端末(PDA)であり、本体3021には表示部3023と、
外部インターフェイス3025と、操作ボタン3024等が設けられている。また操作用
の付属品としてスタイラス3022がある。上記実施の形態で示した液晶表示装置または
EL表示装置を適用することにより、低コストで、生産性が高く、信頼性の高い携帯情報
端末(PDA)とすることができる。
【0360】
図12(C)は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍は、筐体2702およ
び筐体2704の2つの筐体で構成されている。筐体2702および筐体2704は、軸
部2712により一体とされており、該軸部2712を軸として開閉動作を行うことがで
きる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能となる。
【0361】
筐体2702には表示部2705が組み込まれ、筐体2704には表示部2707が組み
込まれている。表示部2705および表示部2707は、続き画面を表示する構成として
もよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とするこ
とで、例えば右側の表示部(図12(C)では表示部2705)に文章を表示し、左側の
表示部(図12(C)では表示部2707)に画像を表示することができる。上記実施の
形態で示した液晶表示装置またはEL表示装置を適用することにより、低コストで、生産
性が高く、信頼性の高い電子書籍とすることができる。
【0362】
また、図12(C)では、筐体2702に操作部などを備えた例を示している。例えば、
筐体2702において、電源端子2721、操作キー2723、スピーカー2725など
を備えている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と
同一面にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐
体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部
などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍は、電子辞書としての機能を持たせた
構成としてもよい。
【0363】
また、電子書籍は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍
サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能で
ある。
【0364】
図12(D)は、携帯電話であり、筐体2800及び筐体2801の二つの筐体で構成さ
れている。筐体2801には、表示パネル2802、スピーカー2803、マイクロフォ
ン2804、ポインティングデバイス2806、カメラ用レンズ2807、外部接続端子
2808などを備えている。また、筐体2800には、携帯型情報端末の充電を行う太陽
電池セル2810、外部メモリスロット2811などを備えている。また、アンテナは筐
体2801内部に内蔵されている。
【0365】
また、表示パネル2802はタッチパネルを備えており、図12(D)には映像表示され
ている複数の操作キー2805を点線で示している。なお、太陽電池セル2810で出力
される電圧を各回路に必要な電圧に昇圧するための昇圧回路も実装している。
【0366】
表示パネル2802は、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示パネル
2802と同一面上にカメラ用レンズ2807を備えているため、テレビ電話が可能であ
る。スピーカー2803及びマイクロフォン2804は音声通話に限らず、テレビ電話、
録音、再生などが可能である。さらに、筐体2800と筐体2801は、スライドし、図
12(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適
した小型化が可能である。
【0367】
外部接続端子2808はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能
であり、充電及びパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部
メモリスロット2811に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動に対応でき
る。
【0368】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであっても
よい。上記実施の形態で示した液晶表示装置またはEL表示装置を適用することにより、
低コストで、生産性が高く、信頼性の高い携帯電話とすることができる。
【0369】
図12(E)は、デジタルビデオカメラであり、本体3051、表示部(A)3057、
接眼部3053、操作スイッチ3054、表示部(B)3055、バッテリー3056な
どによって構成されている。上記実施の形態で示した液晶表示装置またはEL表示装置を
適用することにより、信頼性の高いデジタルビデオカメラとすることができる。
【0370】
図12(F)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置は、筐体96
01に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を表示すること
が可能である。また、ここでは、スタンド9605により筐体9601を支持した構成を
示している。上記実施の形態で示した液晶表示装置またはEL表示装置を適用することに
より、信頼性の高いテレビジョン装置とすることができる。
【0371】
テレビジョン装置の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作
機により行うことができる。また、リモコン操作機に、当該リモコン操作機から出力する
情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
【0372】
なお、テレビジョン装置は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般
のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信
ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者
と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0373】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【符号の説明】
【0374】
100 半導体装置
101 基板
102 画素領域
103 端子部
104 端子部
105 端子
105_i 端子
106 端子
106_j 端子
107 端子
110 画素
111 トランジスタ
112 液晶素子
113 容量素子
114 電極
120 画素
130 画素
200 基板
201 下地層
202 ゲート電極
203 配線
204 ゲート絶縁層
205 半導体層
206A 電極
206B 電極
207 絶縁層
208 開口部
210 画素電極
212 配線
212_i 配線
216 配線
216_j 配線
219 開口部
220 開口部
221 電極
222 電極
230 溝部
231 端部
232 端部
240 溝部
251 溝部
252 溝部
253 溝部
254 溝部
255 溝部
256 溝部
257 溝部
258 溝部
301 開口部
302 開口部
351 保護層
400 半導体装置
401 基板
402 画素領域
403 端子部
404 端子部
405 端子
405_i 端子
406 端子
406_j 端子
407 端子
408 端子
410 画素
411 トランジスタ
412 トランジスタ
413 容量素子
414 EL素子
420 画素
430 画素
500 基板
501 下地層
502 ゲート電極
503 配線
504 ゲート絶縁層
505 半導体層
506A 電極
506B 電極
507 絶縁層
508 開口部
510 電極
512 配線
512_i 配線
513 配線
514 隔壁層
516 配線
516_j 配線
519 開口部
520 開口部
521 電極
522 電極
530 溝部
540 溝部
542 ゲート電極
544 電極
546A 電極
546B 電極
551 溝部
552 溝部
553 溝部
554 溝部
555 溝部
562 EL層
563 配線
565 開口部
601 開口部
602 開口部
603 開口部
604 開口部
605 開口部
606 開口部
607 開口部
651 保護層
2702 筐体
2704 筐体
2705 表示部
2707 表示部
2712 軸部
2721 電源端子
2723 操作キー
2725 スピーカー
2800 筐体
2801 筐体
2802 表示パネル
2803 スピーカー
2804 マイクロフォン
2805 操作キー
2806 ポインティングデバイス
2807 カメラ用レンズ
2808 外部接続端子
2810 太陽電池セル
2811 外部メモリスロット
3001 本体
3002 筐体
3003 表示部
3004 キーボード
3021 本体
3022 スタイラス
3023 表示部
3024 操作ボタン
3025 外部インターフェイス
3051 本体
3053 接眼部
3054 操作スイッチ
3055 表示部(B)
3056 バッテリー
3057 表示部(A)
4001 基板
4002 画素部
4003 信号線駆動回路
4004 走査線駆動回路
4005 シール材
4006 基板
4008 液晶層
4010 トランジスタ
4013 液晶素子
4015 電極
4016 配線
4018a FPC
4018b FPC
4019 異方性導電層
4020 入力端子
4030 電極
4031 電極
4032 絶縁層
4033 絶縁層
4035 スペーサー
4040 溝部
5001 基板
5002 画素部
5003 信号線駆動回路
5004 走査線駆動回路
5005 シール材
5006 基板
5008 EL層
5009 隔壁層
5010 トランジスタ
5013 EL素子
5015 電極
5016 配線
5018a FPC
5018b FPC
5019 異方性導電層
5020 入力端子
5030 電極
5031 電極
5040 溝部
9601 筐体
9603 表示部
9605 スタンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23