(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160011
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20241031BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61B5/055 380
A61B5/055 390
A61B6/03 560T
A61B6/03 560B
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024151370
(22)【出願日】2024-09-03
(62)【分割の表示】P 2020088902の分割
【原出願日】2020-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】益田 幸輝
(57)【要約】
【課題】被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像に対して病変に関する推論をより迅速に行う技術を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得手段と、前記複数の撮像条件の少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択手段と、前記選択された推論モデルを用いて、前記取得された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論手段と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得手段と、
前記複数の撮像条件の少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択手段と、
前記選択された推論モデルを用いて、前記取得された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の推論モデルの入力条件が、前記複数の撮像条件の少なくとも1つの撮像条件とそれぞれ関連付けられており、
前記選択手段は、前記取得された画像群が入力条件を満たす推論モデルを選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記選択手段は、所定の基準に従って、最も優先順位の高い推論モデルを選択することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の基準は、推論モデルの推論精度であることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記推論手段は、前記最も優先順位の高い推論モデルの入力条件に合致する撮像条件の画像と、前記最も優先順位の高い推論モデルとを用いて推論することを特徴とする請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記選択手段は、前記複数の撮像条件に対応する複数の推論モデルを選択し、
前記推論手段は、前記選択された複数の推論モデルを用いて、前記画像群のそれぞれの画像に対して病変に関する推論を行う、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記複数の撮像条件には、少なくともT1強調、T2強調、拡散強調が含まれることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記取得手段は、異なるモダリティにおいて撮像して得られる画像群を取得することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記取得手段は、同一のモダリティにおいて複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
被検体を異なるモダリティで撮像して得られる、複数の画像種からなる画像群を取得する取得手段と、
前記複数の画像種の少なくとも1つの画像種に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択手段と、
前記選択された推論モデルを用いて、前記取得された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
前記選択手段は、画像種と撮像条件に対応する推論モデルを選択することを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の
発生確率を算出する算出手段をさらに有し、
前記選択手段は、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像を、前記取得された画像群から除外して、前記推論モデルを選択することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記選択手段は、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像と同一の撮像条件で取得された画像を前記取得された画像群から除外して、前記推論モデルを選択することを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出手段をさらに有し、
前記選択手段は、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域が関心領域に含まれる画像を前記取得された画像群から除外して、前記推論モデルを選択することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記取得された画像群の画像において前記推論手段による推論によって検出された病変の位置を示す画像を生成する生成手段をさらに有することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出手段と、
前記推論手段によって、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像を用いて前記推論が行われた場合に、品質の低い画像が前記推論に用いられていることを示す情報を生成する生成手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出手段と、
前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像に対して、前記現象に関する補正を行う補正手段と、
をさらに有し、
前記推論手段は、前記補正が行われた画像を含む画像群に対して前記推論を行う、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項18】
被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得ステップと、
前記複数の撮像条件の少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択ステップと、
前記選択された推論モデルを用いて、前記取得された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項19】
コンピュータを請求項1から17のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療画像の情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療画像検査において、磁気共鳴撮像装置(MRI装置)、コンピュータ断層撮像装置(X線CT装置)、超音波診断装置等の様々な撮像装置(モダリティ)が一般的に用いられている。モダリティごとに様々な撮像条件が採られ、例えばMRI装置では体内の組織構造を強調するT1強調撮像や、病変を強調するT2強調撮像などが用いられている。また、同一のモダリティでも異なる撮像条件で取得された画像には異なる情報が含まれ、臨床においては、これら複数の画像を併用して診断が行われる。
【0003】
医療画像の診断において、機械学習によって作成された推論モデルを用いて、複数の撮像条件で撮像された画像に対する推論(例えば病変の検出)を行う様々な方法が提案されている。例えば特許文献1には、同一の被検体を異なる撮像条件で撮像して得られる画像群から、病変の検出に適した撮像条件で撮像された画像と推論モデルを選択する技術が開示されている。また、特許文献2には、異なる撮像条件で撮像して得られる画像群に対して、各撮像条件に対応する推論モデルによって関心領域を検出し、関心領域における病変の確率を示すマップを用いて病変を特定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-67573号公報
【特許文献2】米国特許第10049451号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の技術では、検出対象の病変が特定されていないと、適切な撮像条件や推論モデルを選択することができない。そのため、画像ごとに、撮像条件に応じて異なる複数の推論モデルを使用するため、推論に時間がかかるという課題がある。また、上記の技術では、複数の画像に対して異なる推論モデルを用いて得られる結果を組み合わせるため、撮像条件が多くなると推論に要する時間も長くなるという課題があった。
【0006】
そこで本開示の技術は、被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像に対して病変に関する推論をより迅速に行う技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得手段と、
前記複数の撮像条件の少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択手段と、
前記選択された推論モデルを用いて、前記取得された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置である。
【0008】
また、本開示の一態様は、被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得ステップと、
前記複数の撮像条件の少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択ステップと、
前記選択された推論モデルを用いて、前記取得された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論ステップと、
を含む情報処理方法である。
【0009】
また、本開示の一態様は、コンピュータを上記の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示の技術によれば、被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像に対して病変に関する推論をより迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係る情報処理装置の概略構成例を示す図
【
図2】第1の実施形態において実行される処理例を示すフローチャート
【
図3】第2の実施形態に係る情報処理装置の概略構成例を示す図
【
図4】第2の実施形態において実行される処理例を示すフローチャート
【
図5】一変形例に係る情報処理装置の概略構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面において構成要素、部材、処理の一部は省略して表示する。
【0013】
<第1の実施形態>
以下に、第1の実施形態に係る情報処理システムについて説明する。本実施形態では、被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群に適切な推論モデルを選択し、画像内の病変に関する推論を行う。以下の説明では、一例として、被検体の頭部をMRI装置で撮像して得られるT1強調画像、T2強調画像、および拡散強調画像を含む画像群から、病変として脳腫瘍を検出する場合を想定する。
【0014】
図1は、本実施形態における情報処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。情報処理システム1は、撮像装置110、データサーバ120、情報処理装置130を有する。撮像装置110は、データサーバ120と接続されており、撮像装置110で撮像されたデータがデータサーバ120に保存される。データサーバ120は、情報処理装置130と接続されている。情報処理装置130は、取得部131、選択部132、推論部133、生成部134、および出力部135を有する。情報処理装置130の各部の機能は、情報処理装置130においてCPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することで実現する。情報処理装置130は、データサーバ120から撮像された画像群のデータを取得し、取得したデータを用いて以下に説明する処理を実行する。
【0015】
本実施形態では、撮像装置110はMRI装置であり、被検体の頭部をT1強調、T2強調、および拡散強調の各撮像条件で撮像する。データサーバ120は、撮像装置110から受信したT1強調画像、T2強調画像、拡散強調画像の画像群を保持する。また、データサーバ120は、T1強調画像、T2強調画像、拡散強調画像を含む画像群を深層ニューラルネットワーク等で事前に学習した学習済みの複数の推論モデルを保持する。なお、画像群には、T1強調画像、T2強調画像、拡散強調画像の少なくとも1種類の画像が含まれていればよく、他の撮像条件で撮像された画像が含まれていてもよい。また、学習に用いる画像は、撮像装置110によって撮像された画像に限らず適宜選択されてよい。
データサーバ120には、例えば、ネットワークを通じて画像を保管および管理するPACS(Picture Archiving and CommunicationSystems)等のシステムを用いることができる。
【0016】
取得部131は、情報処理装置130のユーザの指示に応じて、データサーバ120から、複数のT1強調画像、複数のT2強調画像、および複数の拡散強調画像を含む画像群を取得する。なお、取得部131が取得する画像の種類はこれら3種類に限らず、1種類以上の画像が取得されてよい。取得部131は、被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得手段に対応する。以下の説明では、複数のT1強調画像のことを、T1強調画像、あるいは単にT1強調画像と称する。複数のT2強調画像および複数の拡散強調画像についても同様である。T1強調画像とは第1のパラメータを用いたパルスシーケンスを実行して撮像される画像の名称であり、T2強調画像とは第2のパラメータを用いたパルスシーケンスを実行して撮像される画像の名称である。典型的には、T1強調画像のパラメータはT2強調画像のパラメータと比べ長いTRを設定する。このように、シーケンスにおけるパラメータによって撮像条件が決められる。つまり、シーケンスにおけるパラメータの違いによって撮像条件を異ならせることができる。
【0017】
選択部132は、取得部131によって取得した画像群(T1強調画像、T2強調画像、および拡散強調画像)と、データサーバ120が保持する各推論モデルの入力条件(モデルへの入力対象となる画像(撮像条件)の種類)とを比較する。推論モデルの入力条件は、複数の撮像条件の少なくとも1つの撮像条件とそれぞれ関連付けられている。例えば、入力条件には、T1強調画像のみを入力対象とする条件やT1およびT2強調画像を入力対象とする条件など、T1強調画像、T2強調画像、拡散強調画像のうち少なくとも1種類の画像を入力対象とする条件が含まれる。この比較により、T1強調画像、T2強調画像、拡散強調画像のうち少なくとも1種類の画像の入力条件を満たす推論モデルが特定される。そして、選択部132は、取得した画像群の入力条件を満たす推論モデルのうち、事前に定義された優先順位が最も高い推論モデルを選択する。ここで、選択される推論モデルの優先順位の基準としては、例えば、画像から病変を検出する推論精度の高さが挙げられ、推論精度が高いほど優先順位も高くなる。選択部132は、優先順位が最も高い推論モデルだけでなく、優先順位の上位所定数の推論モデルを選択してもよい。これにより、選択部132は、複数の撮像条件に対応する複数のモデルを選択する。また、優先順位の基準は、推論精度の高さに限らず、他に画像群に含まれる撮像条件ごとの画像数など適宜採用されてよい。選択部132は、複数の撮像条件の少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択手段に対応する。また、優先順位の基準が、最も優先順位の高い推論モデルを選択するための所定の基準に対応する。
【0018】
そして、選択部132は、取得部131によって取得された画像群から、選択した推論モデルの入力条件と合致する画像を新たな画像群として選択する。選択部132は、選択した推論モデルと画像群とを推論部133に出力する。
【0019】
例えば、入力画像に対して何らかの推論を行う推論モデルA、推論モデルB、および推論モデルCをデータサーバ120が保持しているとする。ここで、推論モデルA、B、Cの入力条件は、それぞれ「T1強調画像とT2強調画像を入力対象とする」、「T1強調画像とT2強調画像とFLAIR画像を入力対象とする」、「T1強調画像を入力対象とする」であるとする。また、推論モデルA、B、Cの優先順位は、推論モデルB、推論モデルA、推論モデルCの順に低くなるものとする。また、取得部131によってT1強調画像、T2強調画像、および拡散強調画像を含む画像群が取得されるものとする。
【0020】
この場合、選択部132は、取得した画像群が入力条件を満たす推論モデルとして推論
モデルAと推論モデルCを選択する。画像群にはFLAIR画像は含まれていないため、選択部132は推論モデルBを選択対象から除外する。そして、選択部132は優先順位が最も高い推論モデルAを選択する。さらに、選択部132は、取得部131によって取得された画像群から、推論モデルAの入力条件と合致する入力対象であるT1強調画像とT2強調画像を新たな画像群として選択する。ここで、取得部131によって取得された画像群に含まれる拡散強調画像は、推論モデルAの入力対象外であるため、選択部132は画像群から拡散強調画像を除外する。
【0021】
推論部133は、選択部132によって選択された推論モデルの入力条件と合致する画像からなる新たな画像群に、選択された推論モデルを適用して、各画像内の病変である脳腫瘍の検出を行う。推論部133は、選択部132によって複数の推論モデルが選択された場合は、複数の推論モデルを用いて、画像群のそれぞれの画像に対して病変に関する推論を行う。推論部133は画像群の画像に対する推論を行う推論手段に対応する。
【0022】
生成部134は、推論部133によって検出された脳腫瘍の領域を表す指標を、選択部132によって選択された画像群の画像に重畳した重畳画像を生成する。生成部134は、取得された画像群の画像において推論によって検出された病変の位置を示す画像を生成する生成手段に対応する。
【0023】
出力部135は、生成部134によって生成された脳腫瘍の指標が重畳された重畳画像を、データサーバ120や、図示しない情報処理装置の表示部、外部の表示装置などに出力する。
【0024】
次に、
図2のフローチャートを参照しながら、本実施形態において情報処理装置130が実行する処理について説明する。情報処理装置130のCPUは、例えば、情報処理装置130のユーザからの指示を受け付けて
図2のフローチャートの処理を開始する。
【0025】
ステップS21において、情報処理装置130のCPUは、ユーザから画像の撮像条件の指定を受け付ける。そして、取得部131は、データサーバ120と通信を行い、ユーザが指定した撮像条件と合致する撮像条件で撮像された画像群をデータサーバ120から取得する。取得部131は、取得した画像群を選択部132に出力する。
【0026】
ステップS22において、まず、選択部132は、取得部131から入力された画像群の入力条件を満たす推論モデルを選択する。次に、選択部132は、情報処理装置130のメモリに記憶されている推論モデルの優先順位に従って、優先順位が最も高い推論モデルを選択する。そして、選択部132は、取得部131から入力された画像群から、選択した推論モデルに定義されている入力条件に合致する画像を新たな画像群として選択し、選択した画像群を推論部133に出力する。
【0027】
ここで、選択部132は、取得部131から入力された画像群の入力条件を満たす推論モデルを選択する際に、入力された画像群の画像に含まれるヘッダ情報等を参照して選択する推論モデルを特定してもよい。あるいは、選択部132は、機械学習等を用いて、入力された画像群がどの撮像条件で撮像されたかを判別し、判別結果を基に選択する推論モデルを特定してもよい。これらの場合は、ステップS21において、取得部131は、ユーザからの撮像条件の指定を受け付ける処理を行わずにデータサーバ120から画像群を取得する。
【0028】
ステップS23において、推論部133は、ステップS22で選択された画像群をステップS22で選択された推論モデルに入力することで、各画像内の脳腫瘍を検出する。本実施形態では、推論部133は、一例として、画像にU-Net等の公知のセグメンテー
ション手法を用いることで、画像内の脳腫瘍を検出する。
【0029】
ステップS24において、生成部134は、推論部133によって検出された脳腫瘍の領域を表す指標をステップS22で選択した画像群の各画像に重畳した重畳画像を生成する。そして、出力部135は、生成部134によって生成された重畳画像をデータサーバ120に出力する。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置によれば、MRI装置などによって撮像された画像群から推論モデルの入力として適切な画像群を選択し、選択した画像群の各画像内の病変を推論することができる。これにより、同一の被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群に対して、病変に関する推論を迅速に行うことができる。
【0031】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る情報処理システムについて説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0032】
撮像装置によって撮像される画像には、例えばアーティファクトなど、推論の品質を低下させる現象が発生することがある。そこで、本実施形態では、情報処理装置は、同一の被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群から、病変の推論に適切な品質の画像群を選択する。そして、情報処理装置は、選択された画像群に適切な推論モデルを選択し、画像内の病変に関する推論を行う。以下の説明では、推論の品質を低下させる現象としてアーティファクトを想定するが、画像の歪みやコントラストなど、推論の品質に影響を及ぼす、画像内に発生するその他の現象を対象に以下の処理を適用してもよい。
【0033】
本実施形態では、画像の撮像時に発生したアーティファクトの推定値に基づいて適切な品質の画像群を選定する例について説明する。以下の説明では、撮像時にモーションアーティファクトが発生した場合を想定するが、画像に生じるアーティファクトの種類はこれに限らない。例えば、リング状アーティファクト、ストリーク状アーティファクト、シャワー状アーティファクト、シェーディングアーティファクト、ビームハードニングなどのアーティファクトが画像に生じる場合でも本実施形態を適用することができる。
【0034】
図3は、本実施形態における情報処理システム3の構成の一例を示すブロック図である。ここでは、第1の実施形態における構成と異なる構成を中心に説明する。情報処理装置330は、取得部131、推論部133、生成部134、出力部135、選択部332、および算出部336を有する。
【0035】
選択部332は、取得部131によって取得した画像群と、データサーバ120が保持する各推論モデルの入力条件とを比較し、優先順位に従って取得した画像群に対する推論モデルを選択する。そして、選択部332は、取得部131によって取得された画像群から、選択した推論モデルの入力条件と合致する画像を新たな画像群として選択する。選択部332は、選択した画像群を算出部336に出力する。
【0036】
算出部336は、選択部332によって選択された画像群に対して、画像を複数の領域に分割して分割領域ごとに、画像処理に基づく公知の手法を用いてモーションアーティファクトの発生確率を撮像条件ごとに算出する。算出部336は画像内の各領域の推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出手段に対応する。
【0037】
モーションアーティファクトの発生確率は、機械学習等を用いて事前に学習した推論モデルを画像に適用して算出してもよい。算出部336は、各画像群の分割領域ごとのモー
ションアーティファクトの発生確率を示す情報を選択部332に出力する。
【0038】
選択部332は、算出部336から入力される発生確率と、あらかじめ定義されたモーションアーティファクトの発生確率の所定の閾値とを比較する。そして、選択部332は、アーティファクトの発生確率が閾値を超える領域を有する画像を特定する。さらに、選択部332は、算出部336に出力した画像群から、ここで特定した画像と同一の撮像条件で撮像された画像を除外して、残りの画像からなる画像群に対して、上記の処理を実行して推論モデルを再度選択する。そして、選択部332は、除外後の画像からなる画像群と再度選択された推論モデルとを推論部133に出力する。
【0039】
次に、
図4のフローチャートを参照しながら、本実施形態において情報処理装置330が実行する処理について説明する。情報処理装置330のCPUは、例えば、情報処理装置330のユーザからの指示を受け付けて
図4のフローチャートの処理を開始する。
【0040】
ステップS21は、第1の実施形態における処理と同じである。取得部131は、データサーバ120から取得した画像群を選択部332に出力する。
【0041】
次に、ステップS31において、選択部332は、取得部131から入力された画像群の入力条件を満たす推論モデルを選択する。次に、選択部332は、情報処理装置130のメモリに記憶されている推論モデルの優先順位に従って、優先順位が最も高い推論モデルを選択する。そして、選択部332は、取得部131から入力された画像群から、選択した推論モデルに定義されている入力条件に合致する画像を新たな画像群として選択する。ステップS31では、選択部332は、選択した画像群を算出部336に出力する。
【0042】
ステップS32において、算出部336は、ステップS31において選択部332によって選択された画像群の画像ごとに、公知の手法を用いて画像を複数の領域に分割する。そして、算出部336は、各画像について、分割領域ごとのモーションアーティファクトの発生確率を公知の手法を用いて算出する。
【0043】
ステップS33において、選択部332は、ステップS32において算出されたモーションアーティファクトの発生確率が事前に定義された閾値を超えるか否かを判定する。モーションアーティファクトの発生確率が閾値を超える領域が存在する場合は(S33:Y)、処理はステップS34に進む。一方、モーションアーティファクトの発生確率が閾値を超える領域が存在しない場合は(S33:N)、処理はステップS23に進む。
【0044】
ステップS34において、選択部332は、ステップS31で選択された画像群から、モーションアーティファクトの発生確率が閾値を超える領域を有する画像と同一の撮像条件で撮像された画像を除外する。そして、処理はステップS35に進む。
【0045】
ステップS35において、選択部332は、ステップS31と同様の処理を実行して、ステップS34における残りの画像からなる画像群に対して処理を行い、画像群と推論モデルとを再度選択し、選択した画像群と推論モデルとを推論部133に出力する。
【0046】
次に、ステップS23、S24の処理は、第1の実施形態における処理と同じである。処理がステップS33からステップS34に進んだ場合(S33:Yの場合)は、ステップS23で、推論部133は、ステップS35で再度選択した画像群をステップS35で再度選択した推論モデルに入力し、画像群の各画像内の脳腫瘍を検出する。また、処理がステップS33からステップS34を経由せずステップS35に進んだ場合(S33:Nの場合)は、ステップS23において、推論部は、ステップS31において選択された推論モデルと画像群を用いて、画像群の各画像内の脳腫瘍を検出する。そして、ステップS
24において、生成部134は、推論部133によって検出された脳腫瘍の領域を表す指標をステップS35で再度選択した画像群の各画像に重畳した重畳画像を生成する。そして、出力部135は、生成部134によって生成された重畳画像をデータサーバ120に出力する。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置によれば、撮像された画像群にアーティファクトが発生して品質の悪い画像が含まれていても、そのような画像を除外して推論を行うことができる。これにより、同一の被検体を複数の撮像条件で撮像して得られた画像中の病変に関する推論の精度を向上させることができる。
【0048】
(その他の実施形態)
上述した実施形態は本発明の具体例を示すものにすぎない。本発明の範囲は上述した実施形態の構成に限られることはなく、その要旨を変更しない範囲のさまざまな実施形態を採ることができる。
【0049】
以下に、上記の実施形態の変形例について説明する。以下の変形例も互いに組み合わせて実施してもよいし、上記の実施形態と適宜組み合わせて実施してもよい。また、以下の説明において、上記の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0050】
<変形例1>
上記の実施形態では、被検体の頭部をMRI装置で撮像して得られたT1強調画像およびT2強調画像から脳腫瘍を検出する場合を例に説明した。ただし、一変形例として、被検体をMRI装置で撮像する際の撮像条件は、T1強調、T2強調、拡散強調に限らない。その撮像条件は、プロトン密度強調、FLAIR、磁化率強調、MRA(Magnetic Resonance Angiography)、T2スター強調等でもよく、これらの撮像条件を任意に組み合わせてもよい。
【0051】
また、被検体を撮像する撮像装置110は、MRI装置に限らず、X線CT装置や超音波診断装置等でもよい。X線CT装置による撮像条件としては、肺野条件および縦郭条件等が挙げられる。また、超音波診断装置による撮像条件としては、Bモード、ドップラー、およびエラストグラフィ等が挙げられる。さらに、上記の情報処理システムにおいて、複数の撮像装置を併用してもよい。この場合、複数の撮像装置によって同一被検体の同一部位を撮像して得られる画像群を用いることが望ましい。また、PET-CTのような、複数の撮像装置を組み合わせて被検体を撮像する単一の撮像装置を用いてもよい。したがって、上記の情報処理システムにおいて、取得部131が、異なるモダリティにおいて撮像して得られる画像群を取得したり、同一のモダリティにおいて複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得したりすることができる。また、被検体を異なるモダリティで撮像する場合は、これらモダリティによる撮像から、種々の画像種からなる画像群が得られる。ここで画像種とは、被検体を撮像して撮像画像を生成するモダリティの種類を指すものである。
【0052】
図5に、本変形例の一例である情報処理システム5の概略構成を示す。なお、上記の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。情報処理システム5では、データサーバ120が、それぞれ異なるモダリティである第1の撮像装置510、第2の撮像装置520、第3の撮像装置530によって生成される撮像画像を記憶する。例えば、第1の撮像装置510をMRI装置、第2の撮像装置520をCT装置、第3の撮像装置530を超音波診断装置とすることができる。そして、情報処理装置330は、データサーバ120が取得した複数の画像種からなる画像群に対して上記の処理を実行することで、画像群の画像に対して病変に関する推論を行う。
【0053】
本変形例では、取得部131は、被検体を異なるモダリティで撮像して得られる複数の画像種からなる画像群を取得する。また、選択部132は、推論モデルの入力条件として上記の実施形態の撮像条件の代わりに画像種を用いて、複数の画像種の少なくとも1つの画像種に基づいて複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する。なお、選択部132は、画像種と撮像条件に対応する推論モデルを選択してもよい。また、推論部133は、選択された推論モデルを用いて、取得された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う。
【0054】
被検体の撮像に用いられるモダリティの種類は、情報処理システムの使用環境に応じて異なる。本変形例によれば、例えばMR画像とCT画像のみなど、特定の複数の画像種の画像しか得られない場合でも、情報処理装置330において、画像種に応じた病変に関する最適な推論結果が得られる。
【0055】
また、情報処理装置330において、複数の撮像条件を用いて得られる撮像画像と、複数の画像種によって得られる撮像画像とを含む画像群の画像に対して病変に関する推論を行ってもよい。例えば、画像群が、MRI装置によって生成されるT1強調画像、T2強調画像と、別のモダリティであるCT装置によって生成されるCT画像とを含んでいる場合が想定される。このように、単一モダリティの異なるシーケンスで得られた複数の画像と、他のモダリティで得られた画像との組み合わせによる画像群に対しても、情報処理装置330によれば、上記と同様に病変に関する推論が得られる。
【0056】
また、被検体の撮像部位は、頭部に限らず胸部や腹部等でもよく、推論の対象とする病変は、脳腫瘍に限らず、撮像部位に応じて脳梗塞や肺結節等としてもよい。また、病変に関する推論は、病変の検出に限らず、病変の良悪性判定や、予後予測や、画像中に病変が存在するか否かの判定等でもよい。そして、推論の対象や検出対象となる病変に応じて推論モデルが作成される。また、上記の説明において、推論モデルの入力条件として画像種と撮像条件とは同じ入力条件とみなすこともできる、すなわち、撮像条件には撮像に用いられるモダリティの種類が含まれてよい。
【0057】
<変形例2>
上記の実施形態では、データサーバ120から取得した画像群から、アーティファクトの発生確率が閾値を超える領域がある画像と同一の撮像条件で取得された画像を除外する場合について説明した。ただし、一変形例として、選択部332が、取得した画像群から、アーティファクトの発生確率が閾値を超える領域がある画像のみ、すなわちアーティファクトを含む画像のみを除外してもよい。
【0058】
この場合、ステップS34において、選択部332が、ステップS31で選択された画像群から、アーティファクトの発生確率が閾値を超える領域がある画像のみを除外する。ステップS35において、選択部332は、残りの画像の組からなる画像群に対して、上記と同様に推論モデルと画像群とを再度選択する。そして、推論部133は、ステップS35で再度選択した画像群をステップS35で再度選択した推論モデルに入力し、画像群の各画像内の脳腫瘍を検出する。
【0059】
これにより、アーティファクトが発生していない画像を除外せずに推論モデルに入力することができるため、より精度の高い推論結果が得られることが期待できる。
【0060】
なお、本変形例において、アーティファクトの発生確率が閾値を超える領域がある画像が除外されたときに、除外された画像と同一の撮像条件で撮像された残りの画像が少ないため、この撮像条件で撮像された画像を用いた推論精度も低くなる可能性もある。そこで
、同一の撮像条件によって撮像された画像におけるアーティファクトが発生している画像の割合が所定の割合を超える場合は、選択部332は上記の実施形態と同様に同一の撮像条件によって撮像されたすべての画像を除外してもよい。ここで、アーティファクトが発生している画像の割合として、同一の撮像条件によって撮像された画像におけるアーティファクトが発生している画像数の比率が挙げられる。また、同一の撮像条件によって撮像された画像におけるアーティファクトが発生している画像数が所定数を超えることを、同一の撮像条件によって撮像された画像におけるアーティファクトが発生している画像の割合が所定の割合を超えるとみなしてもよい。
【0061】
<変形例3>
上記の実施形態では、画像内の位置に関係なくアーティファクトの発生確率が閾値を超える領域がある画像を推論モデルの入力対象から除外する処理について説明した。ただし、一変形例として、ステップS34において、選択部332が、アーティファクトの発生確率が閾値を超える領域があらかじめ定義された関心領域に含まれるか否かを判定してもよい。あるいは、選択部332が、当該関心領域に対してのみ、アーティファクトの発生確率が閾値を超える領域があるか否かを判定してもよい。ここで、関心領域は、ユーザが指定したり、データサーバ120から取得した画像から自動的に抽出されたりなど、適宜定義されてよい。そして、選択部332は、アーティファクトの発生確率が閾値を超える領域が関心領域に含まれる場合に、アーティファクトの発生確率が閾値を超える領域を有する画像を推論モデルの入力対象から除外する。これにより、ある画像においてアーティファクトが発生している場合でも関心領域にアーティファクトが発生していなければ、この画像を除外せずに推論モデルに入力することができるため、より精度の高い推論結果が得られることが期待できる。
【0062】
<変形例4>
上記の実施形態では、アーティファクトの発生確率が閾値を超える領域がある画像を推論モデルの入力対象から除外する場合について説明した。ただし、一変形例として、このような画像を推論モデルの入力対象から除外せず、当該画像を含む画像群を用いた推論モデルの選択や推論が行われてもよい。そして、生成部134が、推論部133による推論結果と併せて、品質の低い画像が推論に使用されていることを示す情報を生成してもよい。あるいは、生成部134が、補正手段として、機械学習等によってアーティファクトの発生確率が閾値を超える領域がある画像に対してアーティファクトに関する補正を行い、推論部133が補正された画像を含む画像群に対して推論を行ってもよい。
【0063】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0064】
130、330 情報処理装置
131 取得部
132、332 選択部
133 推論部
【手続補正書】
【提出日】2024-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得手段と、
前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択手段と、
前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論手段と、
前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出手段と、
を有し、
前記選択手段は、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像を、前記取得された画像群から除外して、前記推論モデルを選択する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得手段と、
前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択手段と、
前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論手段と、
前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出手段と、
を有し、
前記選択手段は、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域が関心領域に含まれる画像を前記取得された画像群から除外して、前記推論モデルを選択する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得手段と、
前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論
モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択手段と、
前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論手段と、
前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出手段と、
前記推論手段によって、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像を用いて前記推論が行われた場合に、品質の低い画像が前記推論に用いられていることを示す情報を生成する生成手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得手段と、
前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択手段と、
前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論手段と、
前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出手段と、
前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出手段と、
前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像に対して、前記現象に関する補正を行う補正手段と、
を有し、
前記推論手段は、前記補正が行われた画像を含む画像群に対して前記推論を行う
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
前記複数の推論モデルの入力条件が、前記複数の撮像条件の少なくとも1つの撮像条件とそれぞれ関連付けられており、
前記選択手段は、前記取得された画像群が入力条件を満たす推論モデルを選択する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記選択手段は、所定の基準に従って、最も優先順位の高い推論モデルを選択することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記所定の基準は、推論モデルの推論精度であることを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記推論手段は、前記最も優先順位の高い推論モデルの入力条件に合致する撮像条件の画像と、前記最も優先順位の高い推論モデルとを用いて推論することを特徴とする請求項6または7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記選択手段は、前記複数の撮像条件に対応する複数の推論モデルを選択し、
前記推論手段は、前記選択された複数の推論モデルを用いて、前記画像群のそれぞれの画像に対して病変に関する推論を行う、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記複数の撮像条件には、少なくともT1強調、T2強調、拡散強調が含まれることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記取得手段は、異なるモダリティにおいて撮像して得られる画像群を取得することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記取得手段は、同一のモダリティにおいて複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記取得手段は、被検体を異なるモダリティで撮像して得られる、複数の画像種からなる画像群を取得し、
前記選択手段は、前記複数の画像種の少なくとも1つの画像種に基づいて、前記少なくとも1つの推論モデルを選択する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記選択手段は、画像種と撮像条件に対応する推論モデルを選択することを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記選択手段は、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像と同一の撮像条件で取得された画像を前記取得された画像群から除外して、前記推論モデルを選択することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記取得された画像群の画像において前記推論手段による推論によって検出された病変の位置を示す画像を生成する生成手段をさらに有することを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項17】
被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得ステップと、
前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択ステップと、
前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論ステップと、
前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出ステップと、
を含み、
前記選択ステップは、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像を、前記取得された画像群から除外して、前記推論モデルを選択する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項18】
被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得ステップと、
前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択ステップと、
前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論ステップと、
前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出ステップと、
を含み、
前記選択ステップは、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域が関心領域に含まれる画像を前記取得された画像群から除外して、前記推論モデルを選択する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項19】
被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得ステップと、
前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論
モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択ステップと、
前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論ステップと、
前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出ステップと、
前記推論ステップによって、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像を用いて前記推論が行われた場合に、品質の低い画像が前記推論に用いられていることを示す情報を生成する生成ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項20】
被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得ステップと、
前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択ステップと、
前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論ステップと、
前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出ステップと、
前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出ステップと、
前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像に対して、前記現象に関する補正を行う補正ステップと、
を含み、
前記推論ステップは、前記補正が行われた画像を含む画像群に対して前記推論を行う
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項21】
コンピュータを請求項1から16のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本開示の一態様は、被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得手段と、前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択手段と、前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論手段と、前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出手段と、を有し、前記選択手段は、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像を、前記取得された画像群から除外して、前記推論モデルを選択するを有することを特徴とする情報処理装置である。
また、本開示の一態様は、被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得手段と、前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択手段と、前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件
で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論手段と、前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出手段と、を有し、前記選択手段は、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域が関心領域に含まれる画像を前記取得された画像群から除外して、前記推論モデルを選択することを特徴とする情報処理装置である。
また、本開示の一態様は、被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得手段と、前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択手段と、前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論手段と、前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出手段と、前記推論手段によって、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像を用いて前記推論が行われた場合に、品質の低い画像が前記推論に用いられていることを示す情報を生成する生成手段と、を有することを特徴とする情報処理装置である。
また、本開示の一態様は、被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得手段と、前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択手段と、前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論手段と、前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出手段と、前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出手段と、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像に対して、前記現象に関する補正を行う補正手段と、を有し、前記推論手段は、前記補正が行われた画像を含む画像群に対して前記推論を行う
ことを特徴とする情報処理装置である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
また、本開示の一態様は、被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得ステップと、前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択ステップと、前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論ステップと、前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の
発生確率を算出する算出ステップと、を含み、前記選択ステップは、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像を、前記取得された画像群から除外して、前記推論モデルを選択することを特徴とする情報処理方法である。
また、本開示の一態様は、被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得ステップと、前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択ステップと、前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論ステップと、前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出ステップと、を含み、前記選択ステップは、前記算出された前記現象
の発生確率が所定の閾値を超える領域が関心領域に含まれる画像を前記取得された画像群から除外して、前記推論モデルを選択することを特徴とする情報処理方法である。
また、本開示の一態様は、被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得ステップと、前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択ステップと、前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論ステップと、前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出ステップと、前記推論ステップによって、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像を用いて前記推論が行われた場合に、品質の低い画像が前記推論に用いられていることを示す情報を生成する生成ステップと、を含むことを特徴とする情報処理方法である。
また、本開示の一態様は、被検体を複数の撮像条件で撮像して得られる画像群を取得する取得ステップと、前記複数の撮像条件から特定された少なくとも1つの撮像条件に基づいて、複数の推論モデルから少なくとも1つの推論モデルを選択する選択ステップと、前記選択された推論モデルを用いて、前記特定された少なくとも1つの撮像条件に対応する撮像条件で撮像された画像群の画像に対して病変に関する推論を行う推論ステップと、前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出ステップと、前記取得された画像群の画像ごとに、画像内の各領域における推論を低下させる現象の発生確率を算出する算出ステップと、前記算出された前記現象の発生確率が所定の閾値を超える領域がある画像に対して、前記現象に関する補正を行う補正ステップと、を含み、前記推論ステップは、前記補正が行われた画像を含む画像群に対して前記推論を行うことを特徴とする情報処理方法である。