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特開2024-160021チケット情報処理装置及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160021
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】チケット情報処理装置及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241031BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024151657
(22)【出願日】2024-09-03
(62)【分割の表示】P 2023077395の分割
【原出願日】2019-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】500033117
【氏名又は名称】株式会社MIXI
(72)【発明者】
【氏名】中井 研
(57)【要約】
【課題】状況に応じて的確にユーザを案内する。
【解決手段】本発明の一態様であるチケット情報処理装置(例えば、チケット発行装置30a)は、所定期間内に提供されるサービスに関する整理チケットを求めるユーザに提示させる提示情報を用いて該ユーザに対する該整理チケットの発行状況を特定する特定手段(例えば、特定部423a)と、前記ユーザ向けの前記整理チケットに反映される該ユーザの案内優先度を前記特定手段により特定される前記発行状況に基づいて決定する決定手段(例えば、決定部424a)と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定期間内に提供されるサービスに関する整理チケットを求めるユーザに提示させる提示情報を用いて該ユーザに対する該整理チケットの発行状況を特定する特定手段と、
前記ユーザ向けの前記整理チケットに反映される該ユーザの案内優先度を前記特定手段により特定される前記発行状況に基づいて決定する決定手段と、
を備えるチケット情報処理装置。
【請求項2】
前記特定手段が、前記所定期間内に前記ユーザに複数回提供され得る前記サービスに関する前記整理チケットの該ユーザに対する前記発行状況を特定し、
前記決定手段が、前記ユーザに対する前記整理チケットの過去の発行回数を少なくとも含む前記発行状況に応じて前記案内優先度が変化するように該案内優先度を決定する、
請求項1に記載のチケット情報処理装置。
【請求項3】
前記決定手段が、前記発行回数が第1の値以下である場合の前記案内優先度を、前記発行回数が前記第1の値より大きい場合の前記案内優先度よりも高くする、
請求項2に記載のチケット情報処理装置。
【請求項4】
前記決定手段が、前記発行回数が多いほど前記案内優先度が低くなるように該案内優先度を決定する、
請求項2又は請求項3に記載のチケット情報処理装置。
【請求項5】
前記決定手段が、前記ユーザに対する前記整理チケットの発行回数が第2の値以上の場合に前記案内優先度を決定せず、
前記決定手段により前記案内優先度が決定された場合に限り該案内優先度が反映された前記整理チケットの発行を発行手段に指示する指示手段をさらに備える、
請求項1に記載のチケット情報処理装置。
【請求項6】
所定期間内に提供されるサービスに関する整理チケットを求めるユーザに提示させる提示情報を用いて該ユーザに対する該整理チケットの発行状況を特定する特定機能と、
前記ユーザ向けの前記整理チケットに反映される該ユーザの案内優先度を前記特定機能により特定される前記発行状況に基づいて決定する決定機能と、
を情報処理装置のコンピュータに実現させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の用途に特に適合したデジタル計算またはデータ処理の装置または方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが提示する情報をサーバに照会し、照会結果に応じて受付案内用のチケットを発行する受付処理システムが知られている。例えば、特許文献1には、端末に挿入される識別カードから読み取られる情報を用いてユーザの案内優先度を判断し、案内優先度が高いユーザには優先受付番号が付されたチケットを発行し、案内優先度が低いユーザには優先受付番号とは異なる番号系列の受付番号が付されたチケットを発行する受付処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-259746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の受付処理システムでは、識別カードに関連付けて記憶されている取引額や預金残高などの情報からVIP(Very Important Person)待遇の優良顧客に該当するか否かを判定し、当該判定の結果に応じて案内優先度が判断される。そのため、各ユーザの案内優先度はほとんど変化しない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、状況に応じて的確にユーザを案内することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、整理チケットを求めるユーザに対する整理チケットの発行状況を判断条件の1つとして用いて当該ユーザの案内優先度を決定する。本発明は、少なくとも下記の各態様を包含する。
【0007】
〔A〕所定期間内に提供されるサービスに関する整理チケットを求めるユーザに提示させる提示情報を用いて該ユーザに対する該整理チケットの発行状況を特定する特定手段と、前記ユーザ向けの前記整理チケットに反映される該ユーザの案内優先度を前記特定手段により特定される前記発行状況に基づいて決定する決定手段と、を備えるチケット情報処理装置。
【0008】
〔B〕所定期間内に提供されるサービスに関する整理チケットを求めるユーザに提示させる提示情報を用いて該ユーザに対する該整理チケットの発行状況を特定する特定段階と、前記ユーザ向けの前記整理チケットに反映される該ユーザの案内優先度を前記特定段階で特定される前記発行状況に基づいて決定する決定段階と、を含む、情報処理装置の制御方法。
【0009】
〔C〕所定期間内に提供されるサービスに関する整理チケットを求めるユーザに提示させる提示情報を用いて該ユーザに対する該整理チケットの発行状況を特定する特定機能と、前記ユーザ向けの前記整理チケットに反映される該ユーザの案内優先度を前記特定機能により特定される前記発行状況に基づいて決定する決定機能と、を情報処理装置のコンピュータに実現させる制御プログラム。
【0010】
〔D〕所定期間内に提供されるサービスに関する整理チケットを求めるユーザに提示させる提示情報を用いて該ユーザに対する該整理チケットの発行状況を特定する特定機能と、前記ユーザ向けの前記整理チケットに反映される該ユーザの案内優先度を前記特定機能により特定される前記発行状況に基づいて決定する決定機能と、を情報処理装置のコンピュータに実現させる制御プログラムを非一時的に記録する記録媒体。
【発明の効果】
【0011】
本発明により決定される案内優先度が反映された整理チケットを発行すれば、整理チケットの発行状況に応じて的確にユーザを案内することができる。
【0012】
上記〔A〕の「チケット情報処理装置」には、下記の技術的限定を加えてもよい。また、同様の技術的限定を、上記〔B〕の「制御方法」,上記〔C〕の「制御プログラム」及び上記〔D〕の「記録媒体」が記録する制御プログラムにそれぞれ加えてもよい。
【0013】
(1)前記特定手段が、前記所定期間内に前記ユーザに複数回提供され得る前記サービスに関する前記整理チケットの該ユーザに対する前記発行状況を特定し、前記決定手段が、前記ユーザに対する前記整理チケットの過去の発行回数を少なくとも含む前記発行状況に応じて前記案内優先度が変化するように該案内優先度を決定する。これにより、整理チケットの発行回数に応じて的確にユーザを案内することができる。
【0014】
(2)前記決定手段が、前記発行回数が第1の値以下である場合の前記案内優先度を、前記発行回数が前記第1の値より大きい場合の前記案内優先度よりも高くする。これにより、整理チケットの発行回数が少ないユーザを優先的に案内することができる。
【0015】
(3)前記決定手段が、前記発行回数が多いほど前記案内優先度が低くなるように該案内優先度を決定する。これにより、整理チケットの発行回数が少ないユーザを優先的に案内することができる。
【0016】
(4)前記決定手段が、前記ユーザに対する前記整理チケットの発行回数が第2の値以上の場合に前記案内優先度を決定せず、前記決定手段により前記案内優先度が決定された場合に限り該案内優先度が反映された前記整理チケットの発行を発行手段に指示する指示手段をさらに備える。これにより、整理チケットの発行回数が多いユーザを案内しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】システムのネットワーク構成を例示する構成図である。(実施例1)
図2】サーバ装置及びクライアント装置の電気的構成を例示するブロック図である 。(実施例1)
図3】ユーザ装置の電気的構成を例示するブロック図である。(実施例1)
図4】システムの機能構成を例示するブロック図である。(実施例1)
図5】発券情報の項目を例示する説明図である。(実施例1)
図6】二次元コードの発行手順を例示するシーケンス図である。(実施例1)
図7】整理券の発券手順を例示するシーケンス図である。(実施例1)
図8】サービスが提供される会場の内部の見取図である。(実施例2)
図9図8における区画832の周辺領域の拡大図である。(実施例2)
図10】システムの機能構成を例示するブロック図である。(実施例2)
図11】座席情報の項目を例示する説明図である。(実施例2)
図12】整理券の発券手順を例示するシーケンス図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0018】
[1.実施形態]
[1-1.概要]
実施形態1,2は、提供されるサービスに関する整理チケットを発行する仕組みに関する。実施形態1,2では、整理チケットを求めるユーザに提示情報を提示させ、当該提示情報に関連付けて記憶されている情報に応じた案内優先度が反映された整理チケットを当該ユーザに対して発行する。
【0019】
実施形態1では、状況に応じて的確にユーザを案内するため、整理チケットを求めるユーザに対する整理チケットの発行状況を判断条件の一つとして用いて当該ユーザの案内優先度を決定する。実施形態2では、位置に応じて円滑にユーザを案内するため、整理チケットを求めるユーザに対する当該サービスの提供位置の情報を判断条件の一つとして用いて当該ユーザの案内優先度を決定する。
【0020】
[1-2.チケット情報処理装置]
実施形態1に係るチケット情報処理装置(例えば、図4のチケット発行装置30a)は、所定期間内に提供されるサービスに関する整理チケットを求めるユーザに提示させる提示情報を用いて該ユーザに対する該整理チケットの発行状況を特定する特定手段(例えば、図4の特定部423a)と、前記ユーザ向けの前記整理チケットに反映される該ユーザの案内優先度を前記特定手段により特定される前記発行状況に基づいて決定する決定手段
(例えば、図4の決定部424a)と、を備える。
【0021】
実施形態2に係るチケット情報処理装置(例えば、図10のチケット発行装置30b)は、所定空間で提供されるサービスに関する整理チケットを求めるユーザに提示させる提示情報を用いて該ユーザに該サービスが提供される提供位置の情報を特定する特定手段(例えば、図10の特定部423b)と、前記ユーザ向けの前記整理チケットに反映される該ユーザの案内優先度を前記特定手段により特定される前記情報に基づいて決定する決定手段(例えば、図10の決定部424b)と、を備える。
【0022】
実施形態1,2に係るチケット情報処理装置は、クライアントサーバ型のチケット情報処理システムにおいて、サーバ側に記憶されている所定の情報を通信ネットワークを介して取得可能なクライアント側装置として構成されるのが好適である。この場合、クライアント側装置は、サービスが提供される場所の近傍に設置される装置でもよいし、サービスが提供される場所の近傍で案内係が所持する装置でもよい。
【0023】
なお、実施形態1,2に係るチケット情報処理装置は、クライアントサーバ型のチケット情報処理システムにおいて、サーバ側に記憶されている所定の情報を通信ネットワークを介してクライアント側装置に提供可能なサーバ側装置として構成されてもよい。この場合、クライアント側装置は、サービスが提供される場所の近傍に設置される装置でもよいし、サービスが提供される場所の近傍で案内係が所持する装置でもよいし、コンビニエンスストア等に設置される装置でもよい。
【0024】
この明細書では、下記のように用語を用いる。
【0025】
(1)「サービス」とは、ユーザに対して提供される役務をいう。ユーザに対する役務の提供は、有償でも無償でもよい。役務が提供される時期は、所定期間内に限られる場合がある。所定期間に限られる役務は、所定期間内に継続的に又は断続的になされる一連の作為の全部又は一部でもよいし、所定期間内に反復される単発の作為の全部又は一部でもよい。各ユーザは、所定期間内に役務の提供をそれぞれ複数回受けることができる場合がある。所定期間の定め方は任意である。所定期間には、少なくとも始期が定められているのが好ましい。所定期間は、例えば、開始時期から終了時期までの期間,開始時期から所定時間が経過するまでの期間,開始時期から終了条件が満たされるまでの期間として把握される。終了条件は、例えば、サービスの提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物品がなくなることである。提供を受ける者の利用に供する物品は、例えば、提供を受ける者に譲渡若しくは貸与される物品又はこれらの材料となる物品である。役務が提供される場所は、外部から遮断され又は少なくとも部分的に仕切られた所定空間の内部である場合がある。所定空間で提供される役務は、所定空間の内部で複数のユーザに対し一斉に提供される場合がある。
【0026】
(2)「整理チケット」とは、サービスに関する整理情報が表示された整理券又は当該整理券に相当する電子データをいう。整理情報は、所定サービスに関しユーザを案内する順番を特定可能な情報である。案内する順番を特定可能な情報は、例えば、当該ユーザ又は当該ユーザを含むグループの案内順位,案内時期,案内開始条件である。整理情報の系統は、全ての整理チケットに共通でもよいし一部の整理チケットのものだけ相違していてもよい。サービスの提供を受ける資格を示す資格チケットに当該サービスに関する整理情報が表示されている場合、当該資格チケットは整理チケットを兼ねる。資格チケットは、例えば、航空チケット,入場チケットである。
【0027】
(3)「提示情報」とは、リーダで読取可能なコード又は当該コードに格納されたデータをいう。コードは、視認可能でもよいし、視認不能でもよい。視認可能なコードは、紙に印刷された状態又は画面に表示された状態で、所定のリーダにより読み取られ得る。視認可能なコードは、画像形式でもよいし、文字列形式でもよい。画像形式のコードは、例えば、二次元コード(QRコード(登録商標))、一次元コード(バーコード)である。画像形式のコードは、これに対応する文字列を格納している。視認不能なコードは、記録担体に記録され所定のリーダにより読み取られ得る。記録担体は、例えば、磁気カード等の携帯品に貼付されている磁気ストライプや、ICカード,携帯装置,ウェアラブル装置等の携帯品に埋め込まれているICチップである。ICチップは、例えば、FeliCa
(登録商標)チップである。また、提示情報は、リーダで読取可能な、ユーザの生体情報のパターンでもよい。生体情報は、例えば、指紋,掌形,網膜の毛細血管,虹彩,顔形,掌の血管,指の血管である。
【0028】
(4)「発行状況」とは、整理チケットが発行された履歴から分かる状況をいう。履歴から分かる情報は、例えば、特定のユーザに対し整理チケットが過去に発行された回数,特定のユーザに対し整理チケットが最後に発行された時期である。発行状況に基づいて整理チケットが発行される場合、発行の依頼(つまり、提示情報の提示)を受けた順番と上記整理情報が示す案内する順番とが一致しないことが多い。
【0029】
(5)「提供位置」とは、個別のユーザにサービスが提供される位置をいう。換言すれば、個別のユーザがサービスの提供を受ける位置をいう。ユーザごとの提供位置の確定時期は、各ユーザに対する整理チケットの発行時又は発行前である。整理チケットの発行前の確定時期は、例えば、サービスの提供を受けるための予約の確定時である。サービスが上記所定空間の内部において複数のユーザに対して一斉に提供される場合、当該所定空間の内部における提供位置は、ユーザに割り振られた部分空間をいう。ユーザに割り振られた部分空間は、例えば、座席番号で特定される座席で利用可能な空間,エリア番号で特定されるエリアの内部である。座席番号で特定される座席は、近隣の複数の他の座席とともに特定の領域に含まれる場合がある。提供位置に基づいて整理チケットが発行される場合、発行の依頼(つまり、提示情報の提示)を受けた順番と上記整理情報が示す案内する順番とが一致しないことが多い。
【0030】
(6)「案内優先度」とは、サービスの提供又はサービスが提供される場所への移動を案内する際のユーザの優先度合いをいう。優先度合いの高低は、数値の大小で定義されてもよいし、時刻の先後で定義されてもよいし、段階(レベル)の上下で定義されてもよい。段階の上下で定義される優先度合いは、順番が決まっている複数の文字列のいずれかにより表現され得る。案内優先度が高いユーザほど、案内される順番が早い。ある条件(第1条件)を満たす場合に案内優先度を相対的に高くすることは、第1条件を満たす場合に案内優先度を上昇させる処理と第1条件を満たさない場合に案内優先度を下降させる処理との少なくともいずれかを実行することである。また、他の条件(第2条件)を満たす場合に案内優先度を相対的に低くすることは、第2条件を満たす場合に案内優先度を下降させる処理と第2条件を満たさない場合に案内優先度を上昇させる処理との少なくともいずれかを実行することである。
【0031】
(7)第1の値を上回らない(つまり、第1の値以下である)とは、例えば、第1の値に達していないことをいう。第1の値は、例えば、第1閾値である。第1閾値は、適当な自然数である。1人のユーザに対するサービスの提供回数の上限がn回(n:適当な自然数)に設定されている場合、第1閾値はnに設定されるとよい。1人のユーザに対するサービスの提供回数の上限が設定されていない場合、第1閾値は任意に設定され得る。
【0032】
(8)第2の値を下回らない(つまり、第2の値以上である)とは、例えば、第2の値に達していることをいう。第2の値は、例えば、第2閾値である。第2閾値は、適当な自然数である。1人のユーザに対するサービスの提供回数の上限がm回(m:適当な自然数)に設定されている場合、第2閾値はmに設定されるとよい。
【0033】
(9)「入場位置」とは、外部から遮断され又は少なくとも部分的に仕切られた上記所定空間に出入りする際に通る出入口の位置をいう。出入口が複数ある場合、入場位置はいずれか1つの出入口の位置をいう。いずれか1つの出入口は、例えば、提供位置までの経路が最短になるように選択される。
【0034】
(10)「進入位置」とは、提供位置を含む領域に出入りする際に通る進入口の位置をいう。進入口が複数ある場合は、進入位置はいずれか1つの進入口の位置をいう。いずれか1つの進入口は、例えば、入場位置からの経路又は提供位置までの経路が最短になるように選択される。
【0035】
(11)「誘導優先度」とは、ユーザを提供位置へ誘導する際の提供位置の優先度合いをいう。優先度合いの高低は、数値の大小で定義されてもよいし、時刻の先後で定義されてもよいし、段階(レベル)の上下で定義されてもよい。段階の上下で定義される優先度合いは、順番が決まっている複数の文字列のいずれかにより表現され得る。誘導優先度は、誘導の準備状況に応じて変化させるのが好適である。例えば、誘導の準備ができていない場合に、誘導優先度が低くなるように変化させてもよい。誘導優先度が低い提供位置でサービスの提供を受けるユーザほど、案内される順番が遅い。
【実施例0036】
[2.実施例1]
[2-1.概要]
実施例1は、所定期間内に1人のユーザに複数回提供され得るサービス(以下「実施例1のサービス」という。)に関しサービスの提供を案内する整理券(整理チケット)を発券(発行)するサービス(以下「実施例1の事前サービス」という。)に関する。実施例1のサービスは、例えば、遊園地の開園時間内に当該遊園地内の特定のアトラクションで遊戯機械を使用させるサービスである。なお、展示会の開催期間内に展示会場内の特定のブースで展示物を試用させるサービスも実施例1のサービスに該当し得る。
【0037】
[2-2.特徴]
実施例1の事前サービスでは、整理券を求めるユーザに二次元コード(提示情報)を提示させ、当該二次元コードに関連付けて記憶されている発券情報(照会情報)に応じた案内優先度が反映された整理券を当該ユーザに対して発券する。特に、状況に応じて的確にユーザを案内するため、整理券を求めるユーザに対する整理券の発券状況(発行状況)を判断条件の一つとして用いて当該ユーザの案内優先度を決定する。以下の説明では、整理券の発券回数(発行回数)に応じて案内優先度を変動させている。
【0038】
[2-3.実施例1のシステムの構成]
[2-3-1.ネットワーク構成]
(1)概要
図1は、実施例1のシステムのネットワーク構成を例示する。実施例1のシステムは、実施例1の事前サービスをユーザに提供する。
【0039】
図1に例示されるように、実施例1のシステムは、実施例1の事前サービスを管理する管理サーバ10aと、実施例1の事前サービスに関連するデータを管理するユーザDB(Data Base)20aと、実施例1のサービスが提供される場所の近傍に設置されるチケット発行装置30aと、チケット発行装置30aに有線又は無線で接続される入力出力装置40と、複数のユーザがそれぞれ使用する複数のユーザ端末50と、を含む。チケット発行装置30a及び入力出力装置40は、それぞれ単数でも複数でもよい。なお、図1において、チケット発行装置30a、入力出力装置40及びユーザ端末50は、図面の簡略化のために一つずつのみが示される。
【0040】
管理サーバ10aとチケット発行装置30aは、通信ネットワーク60を通じてデータの授受が可能である。管理サーバ10aとユーザ端末50は、通信ネットワーク60を通じてデータの授受が可能である。管理サーバ10aは、ユーザDB20aで管理されるデータにアクセス可能である。チケット発行装置30aと入力出力装置40は、データの授受が可能である。
【0041】
通信ネットワーク60は、インターネット(Internet),携帯電話網,無線WAN(Wireless Wide Area Network),無線LAN(Wireless Local Area Network),イーサネット(Ethernet)(登録商標)などの既存のネットワークのうち少なくともいずれかを含んでいてよい。
【0042】
(2)管理サーバ
管理サーバ10aは、Webサーバプログラムがインストールされたサーバ装置(コンピュータ)である。管理サーバ10aは、要求(リクエスト)に応じて、ユーザDB20aから必要なデータを取得し、要求元に提供(レスポンス)する。また、管理サーバ10aは、要求(リクエスト)に応じて、ユーザDB20aに必要なデータを登録する。
【0043】
(3)ユーザDB
ユーザDB20aは、DBサーバプログラムがインストールされたサーバ装置(コンピュータ)に包含され又は接続され、当該サーバ装置上で動作するDBサーバとともにDBMS(Data Base Management System)を構成する。DBサーバは、要求(リクエスト)に応じて、要求元に必要なデータを提供する。また、DBサーバは、要求(リクエスト)に応じて、必要なデータを登録する。ユーザDB20aは、実施例1の事前サービスに関連するデータを記憶する記憶装置として機能する。なお、複数のサーバ装置を連携させてサーバシステムを構成し、DBサーバの機能を分担させ又はDBサーバにかかる負担を分散させてもよい。
【0044】
(4)チケット発行装置
チケット発行装置30aは、所定のプログラムがインストールされたクライアント装置
(コンピュータ)である。クライアント装置として、専用の処理装置や汎用の処理装置(例えば、PC(personal computer)など)を用いることができる。チケット発行装置30aは、入力出力装置40から受け取った二次元コードのデータに基づいて必要なデータを管理サーバ10aに照会し、照会結果に応じた整理券を入力出力装置40に発券させる。
【0045】
(5)入力出力装置
入力出力装置40は、二次元コードを読み取る機能(リーダ)と整理券を印刷する機能
(プリンタ)を有する。リーダは二次元コードを撮影して画像データ化し当該画像データを解析して当該二次元コードに対応する文字列データを認識する機能を有する。入力出力装置40は、読み取った二次元コードのデータをチケット発行装置30aに受け渡す。
【0046】
(6)ユーザ端末
ユーザ端末50は、所定のプログラムがインストールされたユーザ装置(コンピュータ)である。実施例1の事前サービスでは、ユーザ装置として、プログラムをインストール可能な汎用の携帯装置(例えば、携帯電話,スマートフォン(smartphone),タブレット
(tablet)端末,タブレットPC(personal computer),ウェアラブルデバイス(wearable device)など)や汎用の処理装置(例えば、PC(personal computer)など)を用いることができる。
【0047】
[2-3-2.電気的構成]
(1)サーバ装置及びクライアント装置の電気的構成
図2は、サーバ装置及びクライアント装置の電気的構成を例示する。図2に例示されるサーバ装置及びクライアント装置は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)を含む制御処理装置211と、RAM(Random Access Memory)を含む主記憶装置212と、HDD(Hard Disc Drive)を含む補助記憶装置213と、マウスやキーボードやタッチパネルディスプレイを含む入力装置214と、ディスプレイやスピーカを含む出力装置215と、ネットワークカード(Network Interface Card)を含む通信制御装置216と、を有する。なお、CPUの代わりにMPU(Micro-Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の装置を用いてもよい。
【0048】
主記憶装置212、補助記憶装置213、入力装置214、出力装置215及び通信制御装置216は、バスラインを介して制御処理装置211とそれぞれ接続される。制御処理装置211は、(1)補助記憶装置213に記憶されたプログラムを主記憶装置212上に読み込み、(2)プログラムの指示に従って入力装置214と補助記憶装置213と通信制御装置216との少なくともいずれかからデータを取得し、(3)取得したデータをプログラムに規定される手順で演算・加工した上で、(4)演算済み・加工済みのデータを補助記憶装置213と出力装置215と通信制御装置216との少なくともいずれかに提供する。
【0049】
(2)ユーザ装置の電気的構成
図3は、ユーザ装置の電気的構成を例示する。図3に例示されるユーザ装置は、制御処理部を構成するDSP311と、主記憶部を構成するRAM312と、補助記憶部を構成するROM313及びEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)314と、入力部及び表示部を構成するタッチパネルディスプレイ315と、音声出力部を構成するスピーカ316と、通信制御部を構成するNIC(Network Interface Controller)317及び無線LAN(Local Area Network)チップ318と、を少なくとも有する。
【0050】
RAM312、ROM313、EEPROM314、タッチパネルディスプレイ315、スピーカ316、NIC317及び無線LANチップ318は、バスラインを介してDSP311とそれぞれ接続される。DSP311は、(1)ROM313又はEEPROM314に記憶されたプログラムをRAM312上に読み込み、(2)プログラムの指示に従ってタッチパネルディスプレイ315とEEPROM314とNIC317と無線LANチップ318との少なくともいずれかからデータを取得し、(3)取得したデータをプログラムに規定される手順で演算・加工した上で、(4)演算済み・加工済みのデータをEEPROM314とタッチパネルディスプレイ315とスピーカ316とNIC317と無線LANチップ318との少なくともいずれかに提供する。
【0051】
[2-3-3.機能構成]
図4は、実施例1のシステムの機能構成を例示する。図4に例示されるように、管理サーバ10aは、発行部411a及び提供部413aを具備する。ユーザDB20aは、記憶部412aを具備する。チケット発行装置30aは、特定部423a,決定部424a及び指示部425aを具備する。入力出力装置40は、認識部421及び発券部422を具備する。
【0052】
発行部411a及び提供部413aは、管理サーバ10aとして機能するサーバ装置の制御処理装置211及び通信制御装置216を含んで構成される。記憶部412aは、ユーザDB20aを含んで構成される。特定部423a及び指示部425aは、チケット発行装置30aとして機能するクライアント装置の制御処理装置211及び通信制御装置216を含んで構成される。決定部424aは、チケット発行装置30aとして機能するクライアント装置の制御処理装置211を含んで構成される。認識部421は、入力出力装置40のリーダを含んで構成される。発券部422は、入力出力装置40のプリンタを含んで構成される。
【0053】
管理サーバ10a及びチケット発行装置30aの機能は、サーバ装置向け又はクライアント装置向けのOS(Operating System)と当該OS上で動作するプログラムとがサーバ装置又はクライアント装置にそれぞれインストールされることにより実現される。サーバ装置又はクライアント装置にインストールされるべきプログラムは、CD(Compact Disc),DVD(Digital Versatile Disk),MOディスク(Magneto-Optical disk),フラッシュメモリ(flash memory)などの記録媒体に非一時的に記録された状態で配布され当該記録媒体からサーバ装置又はクライアント装置に読み込まれてもよいし、通信ネットワーク60又はその他の通信ネットワークを介し搬送波に重畳させてサーバ装置又はクライアント装置に供給されてもよい。
【0054】
ユーザ端末50の機能は、ユーザ装置向けOS(Operating System)と当該OS上で動作するWebブラウザプログラムがユーザ装置にそれぞれインストールされることにより実現される。ユーザ装置向けOSは、出荷当初からユーザ装置にインストールされているのが一般的である。ユーザ装置にインストールされるべきその他のプログラムは、通信ネットワーク60を介し搬送波に重畳させてユーザ装置に供給されるのが一般的である。なお、ユーザ装置にインストールされるべき上記その他のプログラムは、CD(Compact Disc),DVD(Digital Versatile Disk),MOディスク(Magneto-Optical disk),フラッシュメモリ(flash memory)などの記録媒体に非一時的に記録された状態で配布され当該記録媒体からユーザ装置に読み込まれてもよい。
【0055】
発行部411aは、ユーザ端末50からの要求に応じて、所定の識別データを埋め込んだ二次元コードを生成しユーザ端末50に提供する。実施例1の事前サービスでは、実施例1のサービスのユーザを特定可能な識別データを格納する二次元コードが生成される。格納される識別データは、例えば、ユーザに一意のユーザIDを所定のハッシュ関数で変換した固定長の英数字列である。なお、二次元コードには単純な数値が埋め込まれていてもよい。また、二次元コードに埋め込まれる識別データは、ユーザに1対1で対応する適当な数値でもよい。
【0056】
記憶部412aは、発券情報を記憶する。発券情報は、識別データごとに整理券の発券状況を管理する情報である。図5に例示されるように、発券情報は、「識別データ」に,整理券の「発券回数」,整理券の「最新発券日時」を少なくとも対応付ける。「発券回数」の初期値は0である。「最新発券日時」の初期値はnull値である。発券情報の項目は、整理券が発券される度に更新される。具体的には、「発券回数」がインクリメントされ、「最新発券日時」が上書きされる。
【0057】
提供部413aは、チケット発行装置30aからの照会に応じ、記憶部412aに記憶されている発券情報の項目をチケット発行装置30aに提供する。実施例1の事前サービスでは、チケット発行装置30aから取得する識別データに対応する発券情報の発券回数及び最新発券日時が提供される。なお、提供部413aによりチケット発行装置30aに発券情報の項目が提供された後に、発券情報の項目(発券回数及び最新発券日時)が更新される。
【0058】
特定部423aは、入力出力装置40の認識部421により読み取られた二次元コードに格納されている識別データに対応する発券情報の項目(照会情報)を管理サーバ10aから取得する。そして、特定部423aは、管理サーバ10aから取得した照会情報を用いて、二次元コードを提示したユーザに対する整理券の発券回数を含む発券状況を特定する。なお、最新発券時期から所定時間(例えば、2時間)が経過している場合、発券回数は0と設定されてもよい。
【0059】
決定部424aは、二次元コードを提示したユーザの案内優先度を特定部423aにより特定される発券状況を判断条件の一つとして用いて決定する。実施例1の事前サービスでは、整理券の発券回数が所定の値(第1の値)以下である場合の優先度を発券回数が当該所定の値より大きい場合の優先度より高くする。所定閾値は、例えば1,2等である。
【0060】
指示部425aは、決定部424aにより決定される案内優先度が反映された整理情報が記載された整理券を発券するよう入力出力装置40の発券部422に指示する。
【0061】
[2-4.実施例1のシステムによる情報処理の手順]
[2-4-1.二次元コードの発行手順]
図6は、実施例1のシステムによる二次元コードの発行手順を例示する。ここでは、実施例1のサービスのユーザを特定可能な識別データを格納する二次元コードが発行される。ステップS605では、ユーザ端末50が、ユーザによる二次元コード発行の指示を受け付ける。二次元コード発行の指示は、例えば、ユーザ端末50のブラウザ画面に「二次元コード発行」と表示されるボタンの領域をタップする操作により行われる。ステップS610では、ユーザ端末50が管理サーバ10aに、二次元コードの発行を指示する。
【0062】
ステップS615では、管理サーバ10a(発行部411a)が二次元コードを発行する。ここでは、実施例1のサービスのユーザを特定可能な識別データが格納された二次元コードが生成される。ステップS620では、管理サーバ10a(発行部411a)がユーザ端末50に、ステップS615で生成された二次元コードを送信する。具体的には、生成された二次元コード(静止画像)を含むWebページを表示させるためのデータが送信される。ステップS625では、ユーザ端末50が、管理サーバ10aから受信した二次元コードを画面に表示する。具体的には、二次元コードを含むWebページが画面に表示される。
【0063】
[2-4-2.整理券の発券手順]
図7は、実施例1のシステムによる整理券の発券手順を例示する。ステップS705では、入力出力装置40(認識部421)が、整理券を求めるユーザが提示する二次元コードを読み取り当該二次元コードに格納されている識別データを認識する。読取対象は、図6に例示される手順によりユーザ端末50に表示された二次元コードでもよいし、当該表示された二次元コードを紙に印刷したものでもよい。ステップS710では、入力出力装置40(認識部421)がチケット発行装置30aに、ステップS705で認識された識別データを送信する。
【0064】
ステップS715aでは、チケット発行装置30a(特定部423a)が管理サーバ10aから、ステップS710で受信した識別データに対応する照会情報(発券情報の項目)を取得する。管理サーバ10a(提供部413a)は、識別データに対応する発券情報をユーザDB20a(記憶部412a)から読み出し、その項目をチケット発行装置30aに提供する。
【0065】
ステップS720aでは、チケット発行装置30a(特定部423a)が、ステップS715aで提供を受けた照会情報を用いて、二次元コードを提示したユーザに対する整理券の発券状況を特定する。ここでは、発券回数を含む発券状況が特定される。ステップS725aでは、チケット発行装置30a(決定部424a)が、ステップS720aで特定された発券状況を判断条件の一つとして用いて案内優先度を決定する。ここでは、発券回数が所定の値(第1の値)以下である場合の案内優先度を、発券回数が当該所定の値より大きい場合の案内優先度より高くする。
【0066】
ステップS730aでは、チケット発行装置30a(指示部425a)が入力出力装置40に、ステップS725aで決定した案内優先度が反映された整理情報が記載された整理券を発券するよう指示する。ステップS735では、入力出力装置40(発券部422)が、管理サーバ10aからの指示に基づいて整理券を発券する。
【0067】
[2-5.変形例1]
[2-5-1.変形例1-1(案内優先度の決定手法に関する変形例)]
決定部424aは、二次元コードを提示したユーザの案内優先度を、当該ユーザに対する整理券の発券回数が多いほど案内優先度が低くなるように決定してもよい。これにより、整理券の発券回数が少ないユーザを優先的に案内することができる。
【0068】
[2-5-2.変形例1-2(案内優先度の決定手法に関する変形例)]
決定部424aは、二次元コードを提示したユーザの案内優先度を、当該ユーザに対する整理券の発券回数が所定条件を満たす程度に多い場合に、決定しないこととしてもよい。これにより、整理券の発券回数が多いユーザを案内しないようにすることができる。
【0069】
[2-5-3.変形例1-3(発券回数の特定手法に関する変形例)]
記憶部412aは、発券情報に代えて、「識別データ」に「発券時期」を少なくとも対応付ける発券履歴を記憶していてもよい。この場合、特定部423aは、入力出力装置40の認識部421により読み取られた二次元コードに格納されている識別データに対応する全ての発券履歴(照会情報)を管理サーバ10aから取得する。そして、特定部423aは、管理サーバ10aから取得した照会情報を用いて、発券履歴を計数することにより、二次元コードを提示したユーザに対する整理券の発券回数を含む発券状況を特定する。なお、最新の発券履歴に含まれる時期(最新発券時期)から所定時間(例えば、2時間)が経過している場合、発券回数は0と設定されてもよい。
【0070】
[2-5-4.変形例1-4(提示情報の変形例)]
実施例1の事前サービスでは、整理券を求めるユーザに生体情報(提示情報)を提示させ、当該生体情報のパターンに関連付けて記憶されている発券情報(照会情報)に応じた案内優先度が反映された整理券を当該ユーザに対して発券してもよい。この場合、事前に二次元コードを発行しておく必要がない。なお、生体情報は、例えば、ユーザの顔形,ユーザの指紋である。これらの生体情報は、ユーザが自身の身体の該当部位を所定のリーダにかざすことにより当該リーダに読み取られる。
【0071】
[3.実施例2]
[3-1.概要]
実施例2は、外部から遮断された会場(所定空間)の内部でそれぞれ指定座席(提供位置)に着席している複数のユーザに対して一斉に提供されるサービス(以下「実施例2のサービス」という。)に関し会場への入場を案内する整理券(整理チケット)を発券(発行)するサービス(以下「実施例2の事前サービス」という。)に関する。実施例2のサービスは、例えば、劇場内の指定座席にそれぞれ着席している複数のユーザに対して演劇を鑑賞させるサービスである。なお、航空機やバス等の輸送機関内の指定座席にそれぞれ着席している複数のユーザを目的地に輸送するサービスも実施例2のサービスに該当し得る。
【0072】
図8は、実施例2のサービスが提供される会場の見取図である。図8に示される会場800の内部には、2つの出入口811,812と、ステージ820と、座席群830と、がある。座席群は、前方から後方まで12列で1列あたり16席、合計192席の座席から成る。各座席は、列名と番号を含む座席番号により特定される。例えば、座席831の座席番号は「A-1」である。各列は左右2つの区画(領域)に分かれており、各区画は横一列に並ぶ8席の座席を含む。各区画と前後の区画との間にはそれぞれ人間が通行可能な隙間がある。各区画の左右は通路になっている。
【0073】
図9は、図8における区画832の周辺領域の拡大図である。区画832は1番から8番までの8席の座席を含む。これら8席の座席は横一列にほぼ隙間なく並んでおり、座席間を人間が通行するのは困難である。そのため、区画832の外部から座席のある内部に進入するには、左右の通路から進入口833を通る矢印834の経路又は進入口835を通る矢印836の経路を通る必要がある。
【0074】
[3-2.特徴]
実施例2の事前サービスでは、整理券を求めるユーザに二次元コード(提示情報)を提示させ、当該二次元コードに関連付けて記憶されている座席情報(照会情報)に応じた案内優先度が反映された整理券を当該ユーザに対して発券する。特に、位置に応じて円滑にユーザを案内するため、整理券を求めるユーザにサービスが提供される指定座席の位置(提供位置)の情報を判断条件の一つとして用いて当該ユーザの案内優先度を決定する。以下の説明では、指定座席の位置(提供位置)と出入口(入場位置)及び進入口(進入位置)との位置関係(提供位置の情報)に応じて案内優先度を変化させている。
【0075】
[3-3.実施例2のシステムの構成]
[3-3-1.ネットワーク構成]
実施例2のシステムのネットワーク構成は、図1に例示される実施例1のシステムのネットワーク構成と同様である。実施例2のシステムは、実施例2の事前サービスを提供する。
【0076】
[3-3-2.電気的構成]
実施例2におけるサーバ装置及びクライアント装置の電気的構成は、図2に例示されるサーバ装置及びクライアント装置の電気的構成と同様である。実施例2におけるユーザ装置の電気的構成は、図3に例示されるユーザ装置の電気的構成と同様である。
【0077】
[3-3-3.機能構成]
図10は、実施例2のシステムの機能構成を例示する。図10に例示されるように、管理サーバ10bは、発行部411b及び提供部413bを具備する。ユーザDB20bは、記憶部412bを具備する。チケット発行装置30bは、特定部423b,決定部424b及び指示部425bを具備する。入力出力装置40は、認識部421及び発券部422を具備する。実施例1と同様の機能には、図4と同一の符号が付されている。
【0078】
発行部411b及び提供部413bは、管理サーバ10bとして機能するサーバ装置の制御処理装置211及び通信制御装置216を含んで構成される。記憶部412bは、ユーザDB20bを含んで構成される。特定部423b及び指示部425bは、チケット発行装置30bとして機能するクライアント装置の制御処理装置211及び通信制御装置216を含んで構成される。決定部424bは、チケット発行装置30bとして機能するクライアント装置の制御処理装置211を含んで構成される。認識部421は、入力出力装置40のリーダを含んで構成される。発券部422は、入力出力装置40のプリンタを含んで構成される。
【0079】
管理サーバ10b及びチケット発行装置30bの機能は、サーバ装置向け又はクライアント装置向けのOS(Operating System)と当該OS上で動作するプログラムとがサーバ装置又はクライアント装置にそれぞれインストールされることにより実現される。ユーザ端末50の機能は、ユーザ装置向けOS(Operating System)と当該OS上で動作するWebブラウザプログラムがユーザ装置にそれぞれインストールされることにより実現される。
【0080】
発行部411bは、ユーザ端末50からの要求に応じて、所定の識別データを埋め込んだ二次元コードを生成しユーザ端末50に提供する。実施例2の事前サービスでは、実施例2のサービスの指定座席の座席番号又は当該指定座席の予約に一意の予約IDを特定可能な識別データを格納する二次元コードが生成される。格納される識別データは、例えば、座席番号又は予約IDを所定のハッシュ関数で変換した固定長の英数字列である。なお、二次元コードには単純な数値が埋め込まれていてもよい。また、二次元コードに埋め込まれる識別データは、ユーザに1対1で対応する適当な数値でもよい。
【0081】
記憶部412bは、座席情報を記憶する。座席情報は、識別データごとに指定座席の位置の基準位置との位置関係を管理する情報である。図11に例示されるように、座席情報は、「識別データ」に、指定座席と出入口の位置関係を示す「第1長さ情報」,指定座席と進入口の位置関係を示す「第2長さ情報」を少なくとも対応付ける。「第1長さ情報」は、指定座席の最寄りの進入口から最寄りの出入口までの最短経路の長さに相当する数値である。「第2長さ情報」は、指定座席から最寄りの進入口までの最短経路の長さに相当する数値である。なお、「第2長さ情報」は、指定座席から最寄りの進入口までの直線距離に相当する数値でもよい。
【0082】
提供部413bは、チケット発行装置30bからの照会に応じ、記憶部412bに記憶されている座席情報の項目をチケット発行装置30bに提供する。実施例2の事前サービスでは、チケット発行装置30bから取得する識別データに対応する座席情報の第1長さ情報及び第2長さ情報が提供される。
【0083】
特定部423bは、入力出力装置40の認識部421により読み取られた二次元コードに格納されている識別データに対応する座席情報の項目(照会情報)を管理サーバ10bから取得する。そして、特定部423bは、管理サーバ10bから取得した照会情報を用いて、二次元コードを提示したユーザにサービスが提供される指定座席の位置と出入口及び進入口の位置との位置関係をそれぞれ特定する。
【0084】
決定部424bは、二次元コードを提示したユーザの案内優先度を特定部423bにより特定される位置関係を判断条件の一つとして用いて決定する。実施例2の事前サービスでは、指定座席の最寄りの進入口から最寄りの出入口までの最短経路の長さ(第1長さ情報が示す長さ)と、指定座席から最寄りの進入口までの最短経路の長さ(第2長さ情報が示す長さ)と、に応じて案内優先度が決定される。具体的には、第1長さ情報が示す長さが長いほど、そして第2長さ情報が示す長さが長いほど、案内優先度が高くなるように決定される。
【0085】
指示部425bは、決定部424bにより決定される案内優先度が反映された整理情報が記載された整理券を発券するよう入力出力装置40の発券部422に指示する。なお、実施例2の事前サービスでは、出入口が複数ある場合に、入場時に通るべき出入口を特定可能な情報が整理情報とともに整理券に表示されるように構成するのが好適である。
【0086】
[3-4.実施例2のシステムによる情報処理の手順]
[3-4-1.二次元コードの発行手順]
実施例2のシステムによる二次元コードの発行手順は、図6に例示する実施例1のシステムによる二次元コードの発行手順と同様である。ここでは、実施例2のサービスの指定座席の座席番号又は当該指定座席の予約に一意の予約IDを特定可能な識別データを格納する二次元コードが発行される。
【0087】
[3-4-2.整理券の発券手順]
図12は、実施例2のシステムによる整理券の発券手順を例示する。ステップS705では、入力出力装置40(認識部421)が、整理券を求めるユーザが提示する二次元コードを読み取り当該二次元コードに格納されている識別データを認識する。読取対象は、図6に例示される手順と同様の手順によりユーザ端末50に表示された二次元コードでもよいし、当該表示された二次元コードを紙に印刷したものでもよい。ステップS710では、入力出力装置40(認識部421)がチケット発行装置30bに、ステップS705で認識された識別データを送信する。
【0088】
ステップS715bでは、チケット発行装置30b(特定部423b)が管理サーバ10bから、ステップS710で受信した識別データに対応する照会情報(座席情報の項目)を取得する。管理サーバ10b(提供部413b)は、識別データに対応する照会情報をユーザDB20b(記憶部412b)から読み出し、チケット発行装置30bに提供する。
【0089】
ステップS720bでは、チケット発行装置30b(特定部423b)が、ステップS715bで提供を受けた照会情報を用いて、二次元コードを提示したユーザに実施例2のサービスが提供される指定座席の位置の情報を特定する。ここでは、指定座席の最寄りの進入口から最寄りの出入口までの最短経路の長さ(第1長さ情報が示す長さ)と、指定座席から最寄りの進入口までの最短経路の長さ(第2長さ情報が示す長さ)と、が特定される。ステップS725bでは、チケット発行装置30b(決定部424b)が、ステップS720bで特定された情報に基づいて案内優先度を決定する。ここでは、指定座席の最寄りの進入口から最寄りの出入口までの最短経路の長さが長いほど、そして指定座席から最寄りの進入口までの最短経路の長さが長いほど、案内優先度を高くする。
【0090】
ステップS730bでは、チケット発行装置30b(指示部425b)が入力出力装置40に、ステップS725bで決定した案内優先度が反映された整理情報が記載された整理券を発券するよう指示する。なお、発券の指示は、出入口を特定する情報を含んでいてもよい。ステップS735では、入力出力装置40(発券部422)が、管理サーバ10bからの指示に基づいて整理券を発券する。
【0091】
[3-5.変形例2]
[3-5-1.変形例2-1(案内優先度の決定手法に関する変形例)]
決定部424bは、二次元コードを提示したユーザの案内優先度を、指定座席の最寄りの進入口から最寄りの出入口までの最短経路の長さ(第1長さ情報が示す長さ)に応じて決定してもよい。これにより、出入口と指定座席の位置関係に応じて円滑にユーザを案内することができる。例えば、決定部424bは、二次元コードを提示したユーザの案内優先度を、第1長さ情報が示す長さが長いほど案内優先度が高くなるように決定してもよい。
【0092】
[3-5-2.変形例2-2(案内優先度の決定手法に関する変形例)]
決定部424bは、二次元コードを提示したユーザの案内優先度を、指定座席から最寄りの進入口までの最短経路の長さ(第2長さ情報が示す長さ)に応じて決定してもよい。これにより、進入口と指定座席の位置関係に応じて円滑にユーザを案内することができる。例えば、決定部424bは、二次元コードを提示したユーザの案内優先度を、第2長さ情報が示す長さが長いほど案内優先度が高くなるように決定してもよい。
【0093】
[3-5-3.変形例2-3(案内優先度の決定手法に関する変形例)]
記憶部412bに記憶される座席情報は、識別データごとに指定座席の誘導優先度を管理する情報でもよい。誘導優先度は、誘導の準備状況に応じて変化する。例えば、誘導の準備ができていない旨の情報が入力された場合に、誘導優先度が低くなるように構成されるとよい。特定部423bは、入力出力装置40の認識部421により読み取られた二次元コードに格納されている識別データに対応する座席情報の項目(照会情報)を管理サーバ10bから取得し、取得した照会情報を用いて、二次元コードを提示したユーザにサービスが提供される指定座席の誘導優先度(提供位置の情報)を特定してもよい。決定部424bは、二次元コードを提示したユーザの案内優先度を特定部423bにより特定される誘導優先度を判断条件の一つとして用いて決定してもよい。例えば、指定座席に対する誘導の準備ができていない場合に、案内優先度が低くなるように決定されるとよい。これにより、提供位置の誘導優先度に応じて円滑にユーザを案内することができる。
【0094】
[3-5-4.変形例2-4(提示情報の変形例)]
実施例2の事前サービスでは、整理券を求めるユーザに生体情報(提示情報)を提示させ、当該生体情報のパターンに関連付けて記憶されている座席情報(照会情報)に応じた案内優先度が反映された整理券を当該ユーザに対して発券してもよい。この場合、事前に二次元コードを発行しておく必要がない。なお、生体情報は、例えば、ユーザの顔形,ユーザの指紋である。これらの生体情報は、ユーザが自身の身体の該当部位を所定のリーダにかざすことにより当該リーダに読み取られる。
【符号の説明】
【0095】
10a,10b 管理サーバ
20a,20b ユーザDB
30a,30b チケット発行装置(チケット情報処理装置の一例)
40 入力出力装置
50 ユーザ端末
60 通信ネットワーク
411a,411b 発行部
412a,412b 記憶部
413a,413b 提供部
421 認識部
422 発券部
423a,423b 特定部
424a,24b 決定部
425 指示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-09-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサが、ユーザに関する識別情報を用いてサービスにおける案内優先度を特定可能なチケットの最新発行日時を特定し、
前記ユーザに対する前記チケットの前記最新発行日時に応じて前記チケットに反映される前記ユーザの前記サービスにおける前記案内優先度が変化するように前記案内優先度を決定し、決定した前記案内優先度を反映した前記チケットの発行指示を行う、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサが、前記ユーザに対する前記チケットの前記最新発行日時から所定時間が経過している場合、経過していない場合よりも前記案内優先度を高くする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記ユーザに関する識別情報を用いて前記サービスにおける前記チケットの発行回数を特定し、前記発行回数は、前記最新発行日時から所定時間が経過している場合にカウントされず、前記最新発行日時から所定時間が経過していない場合にカウントされ、
前記発行回数が少ない場合に前記案内優先度を高くする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
プロセッサが、ユーザに関する識別情報を用いてサービスにおける案内優先度を特定可能なチケットの最新発行日時を特定し、
プロセッサが、前記ユーザに対する前記チケットの前記最新発行日時に応じて前記チケットに反映される前記ユーザの前記サービスにおける前記案内優先度が変化するように前記案内優先度を決定し、決定した前記案内優先度を反映した前記チケットの発行指示を行う、
情報処理方法。
【請求項5】
プロセッサに、
ユーザに関する識別情報を用いてサービスにおける案内優先度を特定可能なチケットの最新発行日時を特定させ、プロセッサに、
前記ユーザに対する前記チケットの前記最新発行日時に応じて前記チケットに反映される前記ユーザの前記サービスにおける前記案内優先度が変化するように前記案内優先度を決定させ、決定した前記案内優先度を反映した前記チケットの発行指示を行わせる、
処理を実行させるプログラム。
【請求項6】
サーバと端末装置を備え、前記サーバのプロセッサが、
ユーザに関する識別情報を用いてサービスにおける案内優先度を特定可能なチケットの最新発行日時を特定し、
前記ユーザに対する前記チケットの前記最新発行日時に応じて前記チケットに反映される前記ユーザの前記サービスにおける前記案内優先度が変化するように前記案内優先度を決定し、決定した前記案内優先度を反映した前記チケットの発行指示を行う、
システム。